(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
A63F7/02 304D
(21)【出願番号】P 2017161863
(22)【出願日】2017-08-25
【審査請求日】2019-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000144153
【氏名又は名称】株式会社三共
(74)【代理人】
【識別番号】100103090
【氏名又は名称】岩壁 冬樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124501
【氏名又は名称】塩川 誠人
(74)【代理人】
【識別番号】100174964
【氏名又は名称】井伊 正幸
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敏男
(72)【発明者】
【氏名】米谷 敏洋
(72)【発明者】
【氏名】山崎 幸子
【審査官】中村 祐一
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-202301(JP,A)
【文献】特開2009-005735(JP,A)
【文献】特開2016-026654(JP,A)
【文献】特開2016-179352(JP,A)
【文献】特開2010-148830(JP,A)
【文献】特開2012-120727(JP,A)
【文献】特開2017-086962(JP,A)
【文献】特開2016-120099(JP,A)
【文献】特開2017-176733(JP,A)
【文献】特開2014-176545(JP,A)
【文献】特開2009-034165(JP,A)
【文献】特許第7063605(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技を行う遊技機において、
音を出力するための音出力手段と、
遊技機の制御を行う制御手段と、
前記制御手段から送信された情報にもとづいて前記音出力手段から音を出力する制御を実行する音制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
複数種類の音のうちいずれの音を前記音出力手段から出力するかを指定するとともに該指定した前記音出力手段から出力する音の音量を指定する第1情報と、前記音出力手段から出力する音の音量のみを指定する第2情報と、を前記音制御手段に送信可能であり、
前記音出力手段からの音の出力を開始するにあたって、前記複数種類の音のうち特定音を特定音量で出力させるときに、前記特定音を出力することと該特定音の音量として
最大音量とを指定する第1情報を前記音制御手段に送信するとともに、該第1情報を送信した後に前記特定音の音量として前記特定音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信し、
前記音出力手段から出力中の音の音量を変更するにあたって、変更後の音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信する
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技を行う遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、遊技球などの遊技媒体を発射装置によって遊技領域に発射し、遊技領域に設けられている入賞口などの始動入賞領域に遊技媒体が入賞したときに複数種類の識別情報の可変表示が行われるパチンコ遊技機や、所定の賭数を設定し、スタート操作が行われたときに、複数種類の識別情報(例えば、図柄)の可変表示が行われるスロットマシンなどがある。このように識別情報の可変表示を実行可能に構成された遊技機では、可変表示部において識別情報の可変表示の表示結果が所定の表示結果となった場合に、所定の遊技価値(例えば、大当たり状態への移行など)を遊技者に与えるように構成されたものがある。
【0003】
このような遊技機として、再生すべきBGM音や演出音を特定するフレーズ番号の指定や、その再生音のボリューム(V1,V2)指示などがフレーズ再生チャンネルCH0~CH15を指定して行われ、フレーズ再生チャンネルCH0~CH15の音声が混合されて出力される遊技機が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のようにBGM音や演出音を出力する遊技機において、BGM音や演出音によっては多様な音量で出力するケースがあり、多様な音量での出力に対応するようにデータを用意するとそのデータ量が膨大になるという問題がある。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたものであり、音を出力するためのデータを少なくすることができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
遊技を行う遊技機(例えば、遊技機1)において、
音を出力するための音出力手段(例えば、スピーカ53,54)と、
遊技機の制御を行う制御手段(例えば、サブ制御部91)と、
前記制御手段(例えば、サブ制御部91)から送信された情報(例えば、
図4に示す第1コマンド(コマンド1~5)および第2コマンド(コマンド6~8))にもとづいて前記音出力手段から音を出力する制御を実行する音制御手段(例えば、音声出力回路94)と、を備え、
前記制御手段は、
複数種類の音(例えば、BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフ)のうちいずれの音を前記音出力手段から出力するかを指定するとともに該指定した前記音出力手段から出力する音の音量(例えば、最大音量「255」)を指定する第1情報(例えば、
図4に示す第1コマンド)と、前記音出力手段から出力する音の音量(例えば、音量「255」、音量「100」、音量「0」)のみを指定する第2情報(例えば、
図4に示す第2コマンド)と、を前記音制御手段に送信可能であり、
前記音出力手段からの音の出力を開始するにあたって、前記複数種類の音のうち特定音(例えば、BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフのいずれか)を特定音量(例えば、音量「255」、音量「100」、音量「0」のいずれか)で出力させるときに、前記特定音を出力することと該特定音の音量として
最大音量とを指定する第1情報を前記音制御手段に送信するとともに、該第1情報を送信した後に前記特定音の音量として前記特定音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信し(例えば、
図5のSb2およびSb3の処理を行う部分)、
前記音出力手段から出力中の音の音量を変更するにあたって、変更後の音量を指定する第2情報を前記音制御手段に送信する。
この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0008】
一の音量は最大音量である(例えば、
図4に示す音量「255」)。
この構成によれば、特定音が確実に聞こえるように特定音の出力設定を行うことができる。
【0009】
特定音は第1特定音(例えば、BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフのいずれか)と第2特定音(例えば、BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフのいずれかかつ第1特定音以外)とを含み、
制御手段は、音出力手段から前記第1特定音を特定音量で出力させるときと、音出力手段から前記第2特定音を特定音量で出力させるときとにおいて共通の第2情報を音制御手段に送信する(例えば、
図4に示す第2コマンド(コマンド6~8)を
図5のSb3の処理において送信する部分)。
この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0010】
音制御手段は、一の種類の音の出力を開始した後、音量変更条件が成立(例えば、ブラックアウト演出が実行されたこと)したときに音出力手段から出力する音の音量を変更する音量変更制御を実行する音量変更制御手段を含み、
前記音量変更制御手段は、制御手段からの第2情報にもとづいて音量変更制御を実行する(例えば、
図6のSa3の処理を行う部分)。
この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0011】
制御手段は、第1情報を送信してから第2情報を送信するまでの間に他の情報を送信することなく、第1情報と第2情報とを連続的に送信する(例えば、
図5のSb2およびSb3の処理を行う部分)。
この構成によれば、意図しない情報が送信されることを防止することができる。
【0012】
第2情報は、設定可能な音量の種類よりも少ない特定数の種類の音量を特定音量として示す(例えば、
図4に示すように、256段階に設定可能とすることができるが3段階の音量で構成されている部分)。
この構成によれば、用意するデータの量を少なくすることができる。
【0013】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
遊技を行う遊技機(例えば、遊技機1)において、
音を出力するための音出力手段(例えば、スピーカ53,54)と、
遊技機の制御を行う制御手段(例えば、サブ制御部91)と、
前記音出力手段から音を出力する制御を実行する音制御手段(例えば、音声出力回路94)と、を備え、
前記制御手段は、複数のチャンネル(例えば、
図3に示すチャンネル0~チャンネル15)の各々において、前記音出力手段から出力する音を特定可能な音データと、前記音出力手段から出力する音の音量を設定可能であり(例えば、
図3に示すチャンネル0~チャンネル4の演出音の音データと、チャンネル0~チャンネル15の音量を設定可能な部分)、
前記音制御手段は、複数のチャンネルに設定された音データから特定される音を設定された音量に従って前記音出力手段から出力させ(例えば、音声出力回路94は、
図3に示すチャンネル0~チャンネル4の演出音の音データから特定される演出音をスピーカ53,54から出力する部分)、
前記制御手段は、所定条件が成立(例えば、ブラックアウト演出の実行、エラーの発生)したときに前記音出力手段から出力する音の音量を低下させる音量低下制御を実行する音量低下制御手段を(例えば、
図3に示す部分、
図6のSa3の処理を行う部分、
図7のSc2の処理を行う部分)含み、
前記音量低下制御手段は、音データが設定されているチャンネルに低下後の音量を設定するとともに音データが設定されていないチャンネルにも低下後の音量を設定して前記音量低下制御を実行する(例えば、
図3に示す部分、
図6のSa3の処理を行う部分、
図7のSc2の処理を行う部分)。
この構成によれば、意図しない音量で音が出力されてしまい、演出効果を損ねてしまうことを防止することができる。
【0014】
音量低下制御手段は、音出力手段から出力する音の音量を0にする音量低下制御を実行する(例えば、
図3に示す部分、
図6のSa3の処理を行う部分、
図7のSc2の処理を行う部分)。
この構成によれば、音量が0になるので遊技者が音を認識することをできなくすることができる。
【0015】
演出画像を表示する表示手段(例えば、液晶表示器51)を備え、
所定条件は前記表示手段から特定画像(例えば、ブラックアウト演出を実行するときに表示する画像)を表示するときに成立する(例えば、
図3に示す部分、
図6のSa3の処理を行う部分)。
この構成によれば、特定画像の表示と連動して音量を低下させることができるので演出効果を高めることができる。
【0016】
所定条件は音出力手段から特定音(例えば、エラー音)を出力するときに成立する(例えば、
図3に示す部分、
図7のSc2の処理を行う部分)。
この構成によれば、遊技者が特定音を聞こえやすくなるように音量低下制御を実行することができる。
【0017】
音制御手段は、停止条件が成立したときに前記音出力手段からの音の出力を停止させる音出力停止制御を実行する音出力停止制御手段を含み、
前記音出力停止制御手段は、音データが設定されているチャンネルについて音の出力を停止させるとともに音データが設定されていないチャンネルについても音の出力を停止させる前記音出力停止制御を実行する。
この構成によれば、意図しない音が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止することができる。
【0018】
音出力手段は、特別条件が成立したときに特別音を出力し、
音制御手段は、特定チャンネルに設定された音データにもとづいて前記音出力手段から音を出力する制御を実行し、
音量低下制御手段は、特定チャンネル以外のチャンネルについて音量低下制御を実行する。
この構成によれば、特別音が出力されることが担保され、特定条件の成立を好適に報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図3】チャンネルごとの演出音と音量の関係を説明するための図である。
【
図4】サブ制御部が音声出力回路に送信するコマンドを説明するための図である。
【
図5】演出音出力処理の制御内容を示すフローチャートである。
【
図6】音量低下制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態における音量低下制御処理の制御内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
[遊技機の構成]
図1は、本実施の形態に係る遊技機1を示す図である。
図1に示すように、本実施の形態に係る遊技機1は、画像を表示する液晶表示器51と、演出音やエラー音などの音を出力するスピーカ53,54とを備える。遊技機1は遊技が行われているときに演出を実行する。演出は、液晶表示器51からの演出画像の表示およびスピーカ53,54からの演出音の出力により実行される。液晶表示器51を用いた演出の一例としてブラックアウト演出がある。ブラックアウト演出は、液晶表示器51において、演出画像、演出図柄や背景画像などを視認不可能とする画像(特定画像)を表示する演出である。
【0021】
[ブロック図]
図2は、遊技機1の構成を示すブロック図である。遊技機1には、
図2に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御される。
【0022】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータにより構成され、遊技の進行に関する処理を行うとともに遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御するメイン制御部41が搭載されている。
【0023】
演出制御基板90は、サブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにより構成されて演出の制御を行うサブ制御部91が搭載されている。換言すると、サブ制御部91は、演出の制御を行うことによりスロットマシン1の制御を行う。
【0024】
演出制御基板90には、液晶表示器51、スピーカ53、54等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91による制御にもとづいて駆動されるようになっている。
【0025】
本実施形態においてメイン制御部41は、パラレル出力ポートを介してサブ制御部91に各種のコマンドを送信する。メイン制御部41からサブ制御部91へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、サブ制御部91からメイン制御部41へ向けてコマンドが送られることはない。
【0026】
サブ制御部91は、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。制御回路には音声出力回路94が含まれる。音声出力回路94は、サブ制御部91からのコマンドや、複数のチャンネルの各々に設定された演出音の音声データおよび音量によりスピーカ53,54から演出音を出力する制御を実行する。具体的には、音声出力回路94は、サブ制御部91からのコマンドを受信したときに、圧縮された演出音の音声データおよび音量をROM91bから読み出し、読み出した音声データおよび音量をデコード(復号化、伸張)する。音声出力回路94は、音声の出力チャンネル(換言すると、再生チャンネル)として16チャンネル(チャンネル0~15)を備え、独立した16種類の音声を同時出力可能である。そして、音声出力回路94は、複数のチャンネルでデコードされた音声データから特定される演出音を、設定された音量に従ってスピーカ53、54から出力する。すなわち、サブ制御部91は、複数のチャンネルの各々において、音声出力回路94に対するコマンドにより、演出音を特定可能な音データと、スピーカ53,54から出力する音の音量を設定可能である。
【0027】
スピーカ53,54から出力される演出音の音量は、各チャンネルに音量を設定することにより調節可能であるとともに、音声出力回路94が備えるアッテネーターを制御することにより調節可能である。各チャンネルには後述する3種類の音量のいずれかを設定可能である。また、アッテネーターによる調節は最大音量から最小音量(すなわち、消音)に調節することが可能である。アッテネーターはチャンネルごとに設けられている。なお、音量のデータは8ビット(1バイト)であるため、256段階に設定可能とすることができるが、本実施形態では3段階で設定可能になっている。これにより、音量を調節するためのデータを少なくすることができる。なお、音量の設定は3段階に限らなくてもよいが、音量が大きくなるにつれて音量の差が大きくなるように音量を設定することが好適である。これにより、音量を小さくするときには微調節が可能だが、音量を大きくするときには大まかな調節が可能になるように構成する。これにより、利便性を向上させることができる。
【0028】
[チャンネルごとの演出音の種類と音量]
図3に示すように、音声出力回路94は、演出音の出力チャンネルとして16チャンネル(チャンネル0~15)を備え、独立した16種類の演出音を同時出力可能である。各チャンネルには、出力する演出音ごとに音量を設定することが可能である。本実施形態では、演出音の音量は3段階から設定可能である。具体的には、音量「255」、音量「100」、音量「0」のうちからいずれかを設定可能であり、音量「255」が最大音量であり、音量「0」が最小音量(すなわち、消音)である。
【0029】
図3(a)に示すように、チャンネル0は、BGM1を出力するチャンネルである。
図3(a)ではチャンネル0において音量が「255」に設定されている例を示している。チャンネル1は、BGM2を出力するチャンネルである。
図3(a)ではチャンネル1において音量が「255」に設定されている例を示している。チャンネル2は、BGM3を出力するチャンネルである。
図3(a)ではチャンネル2において音量が「255」に設定されている例を示している。チャンネル3は、予告音を出力するチャンネルである。
図3(a)ではチャンネル3において音量が「255」に設定されている例を示している。チャンネル4は、キャラクタのセリフを出力するチャンネルである。
図3(a)ではチャンネル4において音量が「255」に設定されている例を示している。チャンネル5~15は使用されていないチャンネルである。チャンネル5~15は、使用されていないチャンネルのため、チャンネル5~15には、音量も設定されていない。
【0030】
図3(b)に示すように、サブ制御部91は、ブラックアウト演出を実行するときは、音量低下制御を実行し、各チャンネルの音量データを書き換えることにより各チャンネルの音量を音量「0」に設定する。このとき、使用されているチャンネル0~4に限らず、未使用のチャンネル5~15の音量も「0」に設定する。
【0031】
このように、ブラックアウト演出を実行するときに、使用されているチャンネル0~4に限らず、未使用のチャンネル5~15の音量も「0」に設定するので、意図しない音量で演出音が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止できる。
【0032】
また、音量低下制御を実行して音量を音量「0」に設定するので、演出音の音量が確実に聞こえないようにすることができる。
【0033】
また、ブラックアウト演出を実行するときに音量低下制御を実行するので、ブラックアウト演出を実行するときの液晶表示器51での特定画像の表示と連動して演出効果を高めることができる。
【0034】
なお、本実施形態において、特別条件が成立したときに特別音を特定チャンネルから出力するように構成し、特定チャンネルについては音量低下制御を実行するための所定条件が成立しても音量低下制御を実行しないように制御することが可能である。例えば、音量低下制御が実行される所定条件をブラックアウト演出が実行されることとする。また、特別条件をパチンコ遊技機において始動入賞口に遊技球が入賞したことや、スロットマシンにおいて回転中のリールを停止させるストップスイッチが操作されたこととし、チャンネル6を特定チャンネルとする。また、チャンネル6からは、パチンコ遊技機において始動入賞口に遊技球が入賞したときに出力される始動入賞音や、スロットマシンにおいて回転中のリールを停止させるストップスイッチが操作されたときに出力されるストップ音が特別音として出力されるようにする。そして、サブ制御部91は、ブラックアウト演出を実行するときに、チャンネル6以外のチャンネルについて音量を「0」に設定し、チャンネル6については音量を低下させないように音量を設定する。これにより、ブラックアウト演出を実行するときにおいても始動入賞音やストップ音は出力される。このように構成することにより、特別音である始動入賞音やストップ音の出力は担保されるため、特別条件であるパチンコ遊技機において始動入賞口に遊技球が入賞したことや、スロットマシンにおいて回転中のリールを停止させるストップスイッチが操作されたことを好適に報知することができる。
【0035】
[演出音を出力させるためのコマンドについて]
図4は、演出音をスピーカ53,54から出力させるために、サブ制御部91から音声出力回路94に送信されるコマンドの種類を示している。コマンド1~5は複数種類の演出音のうちいずれを出力するかを示すデータと演出音の音量を示すデータとからなる。コマンド6~8は演出音の音量を示すデータのみからなる。以下、コマンド1~5を第1コマンド(第1情報に相当)と称し、コマンド6~8を第2コマンド(第2情報に相当)と称することがある。
【0036】
図4に示すように、コマンド1は、BGM1を音量「255」によって出力させることを示すコマンドである。コマンド2は、BGM2を音量「255」によって出力させることを示すコマンドである。コマンド3は、BGM3を音量「255」によって出力させることを示すコマンドである。コマンド4は、予告音を音量「255」によって出力させることを示すコマンドである。コマンド5は、セリフを音量「255」によって出力させることを示すコマンドである。コマンド6は、音量「255」のみを示すコマンドである。コマンド7は、音量「100」のみを示すコマンドである。コマンド8は、音量「0」のみを示すコマンドである。
【0037】
サブ制御部91は、まず、コマンド1~5のいずれか(すなわち、第1コマンド)を音声出力回路94に送信する。これにより、サブ制御部91は、複数種類の演出音のうちスピーカ53,54から出力する特定の演出音(すなわち、特定音)と一の音量(音量「255」)を音声出力回路94に指示する。次いで、サブ制御部91は音声出力回路94にコマンド6~8のいずれか(すなわち、第2コマンド)を送信する。これにより、スピーカ53,54から出力する演出音の音量を第2コマンドで示す特定音量に指示する。音声出力回路94は、コマンド1~5のいずれかを受信したときに、指示された特定の演出音に対応するチャンネルに音声データおよび音量をデコードする。また、音声出力回路94は、コマンド6~8のいずれかを受信したときに、指示された特定の演出音に対応するチャンネルに音量をデコードする。これにより、サブ制御部91は、音声出力回路94の複数のチャンネルの各々において、演出音を特定可能なデータと、スピーカ53,54から出力する音の音量を設定可能である。そして、音声出力回路94は、受信したコマンドが示す特定の演出音に対応するチャンネル(例えば、コマンド1を受信したときには、コマンド1が示すBGM1に対応するチャンネル1)から一の音量(音量「255」)によって特定の演出音を出力する。次いで、コマンド6~8のいずれかを受信したときに、受信したコマンドで示された特定音量(音量「255」、音量「100」、音量「0」のいずれか)によって特定の演出音を出力する。このような一連の制御により、特定の演出音が特定音量で出力される。なお、コマンド1~5のいずれかを受信して特定の演出音の出力を開始してからコマンド6~8のいずれかを受信して一の音量を特定音量に変更するまでの期間は音量が変更されたことを遊技者が認識できない程度の期間である。よって、遊技者は、最初からコマンド1~5のいずれかで示された特定の演出音がコマンド6~8のいずれかで示された特定音量で出力開始されたように聞こえる。
【0038】
このように、いずれの種類の演出音を出力するかと一の音量(最大音量「255」)を示すコマンド1~5(第1コマンド)を送信してから特定音量(音量「255」、音量「100」、音量「0」のいずれか)を示すコマンド6~8(第2コマンド)を送信することによって演出音を特定音量で出力するので、演出音ごとに3種類の特定音量のコマンドを用意しなくてもよくなり、演出音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0039】
また、コマンド1~5(第1コマンド)は最大音量である音量「255」を示すので演出音が確実に聞こえるように演出音の出力設定を行うことができる。
【0040】
また、BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフを出力するときに共通の第2コマンド6~8を用いて音量を設定するので、演出音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0041】
また、サブ制御部91は、一の演出音(BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフのいずれか)の出力を開始した後に音量変更条件が成立したときに第2コマンドを送信することにより一の演出音の音量を変更する制御を行うので、演出音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0042】
なお、サブ制御部91は、一の契機(例えば、スタートスイッチの操作、遊技球の発射、図柄の変動開始)にコマンド1~5のいずれかとコマンド6~8のいずれかを連続的に送信し、コマンド1~5のいずれかとコマンド6~8のいずれかとの間で異なるコマンドを送信しない。これにより音声出力回路94に意図しない指示がなされることを防止できる。
【0043】
また、前述したように、遊技機1では、音量の種類(段階)を256種類に設定可能であるが、本実施形態では3種類(段階)のうちから設定可能になっている。よって、第2コマンドは、設定可能な256種類の音量よりも少ない3種類の音量を特定音量として示す。これにより、演出音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0044】
[演出音出力処理]
次に、遊技機1が一定時間間隔(本実施形態では、約0.56ミリ秒)毎に実行するタイマ割込処理内で実行する演出音出力処理について説明する。
【0045】
図5に示すように、演出音出力処理では、まず、演出音の出力開始条件が成立したか否かが判定される(Sb1)。演出音の出力開始条件が成立していないときには処理を終了する。
【0046】
演出音の出力開始条件が成立したときには、サブ制御部91は音声出力回路94に第1コマンド(
図3に示すコマンド1~5のいずれか)を送信する(Sb2)。音声出力回路94は、第1コマンドを受信したときに、指示された特定の演出音に対応するチャンネルに音声データおよび音量をデコードし、第1コマンドによって示されている特定の演出音を第1コマンドによって示されている一の音量(最大音量「255」)によってスピーカ53,54から出力する。
【0047】
次いで、サブ制御部91は、サブ制御部91は音声出力回路94に第2コマンド(
図3に示すコマンド6~8のいずれか)を送信する(Sb3)。音声出力回路94は、第2コマンドを受信したときに、指示された特定の演出音に対応するチャンネル音量をデコードし、スピーカ53,54から特定の演出音の音量を第2コマンドによって示されている特定音量に変更する。
【0048】
このように、本実施形態では、特定の演出音と一の音量を示す第1コマンドを送信してから特定音量を示す第2コマンドを送信することによって演出音を特定音量で出力するので、演出音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0049】
[音量低下制御処理]
次に、遊技機1が一定時間間隔(本実施形態では、約0.56ミリ秒)毎に実行するタイマ割込処理内で実行する音量低下制御処理について説明する。
【0050】
図6に示すように、音量低下制御処理では、まず、遊技が開始されたか否かが判定される(Sa1)。遊技が開始されていないと判定されたときには処理を終了する。
【0051】
遊技が開始されたと判定されたときにはブラックアウト演出の実行が開始されたか否かが判定される(Sa2)。すなわち、ブラックアウト演出の実行が開始されることにより、音量低下制御を実行するための所定条件が成立したか否かが判定される。
【0052】
ブラックアウト演出の実行が開始されたときには、サブ制御部91は、演出音の出力音の音量を0にする第2コマンド(
図3に示すコマンド8)を音声出力回路94に送信することにより、各チャンネルの音量を0に設定する(Sa3)。すなわち、音声出力回路94は、サブ制御部91が送信した第2コマンドを受信したときに、各チャンネルの音量を0に設定する。各チャンネルとは、演出音を出力するのに使用するチャンネル0~4に限らず未使用のチャンネル5~15も含み、音声出力回路94は、全てのチャンネル0~15の音量を「0」に設定する。
【0053】
なお、ブラックアウト演出が実行される前に演出音の出力が開始されているときにはブラックアウト演出が実行されることにより演出音の音量が変更される制御されることなる。よって、ブラックアウト演出が実行されることは音量変更条件が成立したともいえる。
【0054】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態について説明するが、第1実施形態と共通の部分については詳しい説明は省略する。第1実施形態では、音量低下制御を行うための所定条件をブラックアウト演出が実行されることとしたが、第2実施形態では、音量低下制御を行うための所定条件をエラーが発生したこととする実施形態である。
[音量低下制御処理]
第2実施形態おいて、遊技機1が一定時間間隔(本実施形態では、約0.56ミリ秒)毎に実行するタイマ割込処理内で実行する音量低下制御処理について説明する。
【0055】
図7に示すように、音量低下制御処理では、エラーが発生したか否かが判定される(Sc1)。エラーが発生していないときには処理を終了する。エラーが発生したときには、サブ制御部91は、アッテネーターを制御することにより各チャンネルの音量を0に設定する(Sc2)。各チャンネルとは、演出音を出力するのに使用するチャンネル0~4に限らず未使用のチャンネル5~15も含み、サブ制御部91は、全てのチャンネル0~15の音量を「0」に設定する(
図3参照)。
【0056】
以上のように、第2実施形態では、サブ制御部91は、エラーが発生したときに音量低下制御を実行し、各チャンネルの音量データを書き換えることなく、アッテネーターを制御することにより各チャンネルの音量を音量「0」に設定する。このとき、使用されているチャンネル0~4に限らず、未使用のチャンネル5~15の音量も「0」に設定する。なお、エラーが発生したときには割込処理の実行によりエラー音が出力される。よって、エラー音が出力されるときに各チャンネルの音量を音量「0」に設定すると換言することができる。
【0057】
このように、エラーの発生時(換言すると、エラー音の出力時)に、使用されているチャンネル0~4に限らず、未使用のチャンネル5~15の音量も「0」に設定するので、意図しない音量で演出音が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止できる。
【0058】
また、エラーが発生し、エラー音を出力するときに音量低下制御を実行するための所定条件が成立するので、エラー音が聞こえるように制御することができる。
【0059】
なお、本実施形態において、音声出力の停止条件が成立したときに音声の出力を停止する音声出力停止制御を実行することが可能である。この場合には、演出音の音声データが設定されているチャンネルにおける音声の出力を停止させるとともに、音声データが設定されていないチャンネルについても音声の出力を停止するように構成する。例えば、停止条件をエラーが発生したこととする。そいて、
図3の例において、サブ制御部91は、エラーが発生したときに、演出音が設定されているチャンネル0~4の音声の出力を停止するとともに、未使用のチャンネル5~15の音声の出力も停止させる。これにより、意図しない音声が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止できる。なお、停止条件となるエラーは、電断復帰が必要なエラーにすることが好適である。すなわち、電断が必要なエラーに対しては演出音の出力を停止させ、再度電源が投入されたときに初期化された音量で演出音を出力させるようにする。これにより、電断を行うことなく復帰が可能なエラーのみ音量低下制御を行い、電断復帰が必要なエラーについては音量低下制御を行わなくてもよいため、処理を簡素化できる。
【0060】
なお、第1実施形態と第2実施形態とを別個に説明しているが、各実施形態を組み合せて実施することが可能である。すなわち、所定条件をブラックアウト演出が実行されることおよびエラーが発生することとし成立した所定条件に応じた制御を行うことが可能である。
【0061】
[本実施形態の効果]
本実施形態においては、所定条件が成立したときに音量低下制御を行うにあたり、演出音が設定されているチャンネルの音量を低下させるとともに、演出音が設定されていない未使用のチャンネルの音量も低下させる(本例では、
図3に示す部分、
図6のSa3の処理を行う部分、
図7のSc2の処理を行う部分)。
よって、意図しない音量で演出音が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止できる。
【0062】
本実施形態においては、音量低下制御を実行して音量を音量「0」に設定する(本例では、
図3に示す部分、
図6のSa3の処理を行う部分、
図7のSc2の処理を行う部分)。
よって、演出音の音量が確実に聞こえないようにすることができる。
【0063】
本実施形態においては、ブラックアウト演出を実行するときに音量低下制御を実行する(本例では、
図3に示す部分、
図6のSa3の処理を行う部分)。
よって、ブラックアウト演出と連動して演出効果を高めることができる。
【0064】
本実施形態においては、音量低下制御を実行するための所定条件は、特定音であるエラー音を出力するときに成立する(本例では、
図3に示す部分、
図7のSc2の処理を行う部分)。
よって、エラー音が聞こえるように制御することができる。
【0065】
本実施形態においては、音声出力の停止条件が成立したときに音声の出力を停止する音声出力停止制御を実行することが可能である。
よって、意図しない音量で演出音が出力されて演出効果を損ねてしまうことを防止できる。
【0066】
本実施形態においては、特定チャンネルについては音量低下制御を実行するための所定条件が成立しても音量低下制御を実行しない。
よって、特別音が出力されることが担保され、特定条件の成立を好適に報知することができる。
【0067】
本実施形態においては、特定の演出音と一の音量(最大音量「255」)を示す第1コマンド(本例では、コマンド1~5)を送信してから特定音量(音量「255」、音量「100」、音量「0」のいずれか)を示す第2コマンド(本例では、コマンド6~8)を送信することによって特定の演出音を特定音量で出力する(本例では、
図4に示す部分、
図5のSb2およびSb3の処理を行う部分)。
よって、演出音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0068】
本実施形態においては、第1コマンド(本例では、コマンド1~5)が示す一の音量は最大音量の音量「255」である(本例では、
図4に示す部分)。
よって、演出音が確実に聞こえるように演出音の出力設定を行うことができる。
【0069】
本実施形態においては、第1特定音(本例では、BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフのいずれか)と第2特定音(本例では、BGM1、BGM2、BGM3、予告音、セリフのいずれかかつ第1特定音以外)とを出力するときで、共通の第2コマンド(本例では、コマンド6~8)を用いて音量を設定する。
よって、演出音を出力するために用意するデータを少なくすることができる。
【0070】
本実施形態においては、一の演出音の出力を開始した後に音量変更条件が成立したときにサブ制御部91が第2コマンドを送信することにより一の演出音の音量を変更する制御を行う(本例では、
図6のSa3の処理を行う部分)。
【0071】
本実施形態においては、第1コマンドを送信してから第2コマンドを送信するまでの間に他のコマンドを送信することなく第1コマンドと第2コマンドとを連続的に送信する(本例では、
図5のSb2およびSb3の処理を行う部分)。
よって、音声出力回路94に意図しない指示がなされることを防止できる。
【0072】
本実施形態においては、第2コマンドは、設定可能な音量の種類よりも少ない特定数の種類の音量を特定音量として示す(本例では、
図4に示すように、256段階に設定可能とすることができるが3段階の音量で構成されている部分)
よって、音量を調節するためのデータを少なくすることができる。
【0073】
[変形例]
以上、本発明における主な実施の形態を説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限られず、種々の変形、応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記の実施の形態の変形例について説明する。
【0074】
[遊技機について]
上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報を変動表示可能な可変表示部を複数備え、可変表示部を変動表示した後、可変表示部の変動表示を停止することで表示結果を導出し、複数の可変表示部の表示結果の組合せである表示結果組合せに応じて入賞が発生可能なスロットマシンであってもよい。上述した遊技機1は、各々が識別可能な複数種類の識別情報の変動表示の結果に応じて、遊技者にとって有利な大当り遊技状態に制御可能なパチンコ遊技機であってもよい。
【0075】
[音量低下制御を実行するための所定条件について]
上記実施形態では、ブラックアウト演出が実行されたこと、エラーが発生したことを所定条件の成立として例に挙げて説明したが、上記実施形態と異なる所定条件を設定してもよい。例えば、スロットマシンにおいて遊技の進行を遅延させるフリーズ演出が実行されたこと、スロットマシンおよびパチンコ遊技機において特定の操作がされたことを示す操作音が出力されることを挙げることができる。
【0076】
[音制御手段について]
上記実施形態では、音制御手段として演出制御基板90が備える音声出力回路94を例に挙げて説明したが、演出制御基板と別個に音声を出力するための制御を実行する音声出力制御基板を設けてもよい。
【0077】
[第1情報における一の音量ついて]
上記実施形態では、第1情報として第1コマンドを例に挙げ、第1コマンドにおいて一の音量として最大音量「255」を設定する例を挙げたが、一の音量は最大音量に限らず、任意に設定した音量にしてよい。
【0078】
[第2情報における特定音量ついて]
上記実施形態では、第2情報として第2コマンドを例に挙げ、第2コマンドにおいて一特定音量として3種類の音量(音量「255」、音量「100」、音量「0」)を設定する例を挙げたが、特定音量は3種類に限らず、任意に設定した種類の音量にしてよい。例えば、音量のデータが8ビットであれば、256段階の音量を第2コマンドに設定することが挙げられる。
【符号の説明】
【0079】
1 遊技機、51 液晶表示器、53,54 スピーカ