(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】消臭性繊維製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
D06M 15/263 20060101AFI20220530BHJP
D06M 15/285 20060101ALI20220530BHJP
D06M 15/356 20060101ALI20220530BHJP
D06M 13/192 20060101ALI20220530BHJP
D06M 13/207 20060101ALI20220530BHJP
D06M 13/256 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
D06M15/263
D06M15/285
D06M15/356
D06M13/192
D06M13/207
D06M13/256
(21)【出願番号】P 2017244722
(22)【出願日】2017-12-21
【審査請求日】2020-10-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】堀田 京
(72)【発明者】
【氏名】寺西 英司
(72)【発明者】
【氏名】米元 篤史
(72)【発明者】
【氏名】梅村 深雪
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-203176(JP,A)
【文献】特開平02-149505(JP,A)
【文献】国際公開第2011/048888(WO,A1)
【文献】特開平03-051365(JP,A)
【文献】特開2017-089073(JP,A)
【文献】特開2012-202012(JP,A)
【文献】国際公開第2011/118749(WO,A1)
【文献】特開2013-067918(JP,A)
【文献】特開2015-089975(JP,A)
【文献】特開2003-301380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06M 13/00 - 15/715
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1a)で表される化合物及び下記一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物を重合してなるアニオン性重合体(1)、下記一般式(2)で表されるアニオン性化合物(2)(ただし、蓚酸及びりんご酸を除く)、下記一般式(3)で表されるアニオン性化合物(3)(ただし、乳酸を除く)、及び下記一般式(4)で表されるアニオン性化合物(4)からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性化合物を0.5~500g/l含むpH1.0~7.0の処理液中で繊維製品を浴中処理する工程を備え、前記浴中処理の処理時間が5~140分であることを特徴とする、消臭性繊維製品の製造方法。
【化1】
(一般式(1a)において、R1~R3は、同一または異なって、水素原子、-OH、ハロゲン原子、-R4-COOM1、OH基を有していてもよい炭素数1~3のアルキル基を表し、
R4は直接結合又は炭素数1~3のアルキレン基を表し、
M1は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
【化2】
(一般式(1b)において、R5は、直接結合、-C(=O)N(H)-C(CH
3)
2CH
2-又は-C
6H
4-を表し、
M2は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
R6-(COOM3)
2 ・・・一般式(2)
(一般式(2)において、R6は直接結合、又は、-OH及び/若しくは-COOM3を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素から2個の水素を除いた残基を表し、
M3は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
(HO)
X
-R7-COOM4 ・・・一般式(3)
(一般式(3)において、Xは1~3の整数、R7は炭素数1~20の炭化水素からX+1個の水素を除いた残基を表し、
M4は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
Ar-(SO
3M5)
Z ・・・一般式(4)
(一般式(4)中、Arは炭素数6~20の芳香族炭化水素基からZ個の水素を除いた残基を表し、
Zは1~3の整数を表し、
M5は水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
【請求項2】
アニオン性化合物が、一般式(1a)で表される化合物及び一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物を重合してなるアニオン性重合体(1)であることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記浴中処理の処理温度が30~100℃であることを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記処理液が、染色液とは別の処理液である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記繊維製品が、カチオン可染ポリエステル、ポリアミド繊維又はポリアミド繊維とポリウレタン繊維との複合繊維である、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消臭性繊維製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料品(特にインナー)や寝装寝具などには、消臭性や吸水性の観点から、綿や絹などの天然繊維が使用されるが、近年、意匠性や機能性の向上を目的として合成繊維(特にナイロン(登録商標)繊維、カチオン可染ポリエステル(CDP)繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維)が多く使用されるようになってきている。しかしながら、合成繊維は天然繊維に比べて消臭性や吸水性が劣っているという問題がある。
【0003】
繊維に消臭性能を付与する方法として、カルボキシル基を繊維に導入する方法が知られている。
例えば、特許文献1には、合成繊維および天然繊維を含む繊維構造物を、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸等のポリカルボン酸を含む水溶液に浸漬し、つぎにマングルで絞り、乾燥後熱セットし、湯水洗後熱セットすることにより、合成繊維および天然繊維のいずれにもカルボキシル基が導入され、洗濯耐久性に優れた消臭性を備える繊維構造物が得られることが記載されている。
【0004】
同様に、特許文献2には、ポリエステル系繊維構造物をヒドロキシ酸水溶液に浸漬した後、乾燥し、次いで熱処理することを特徴とする消臭性繊維構造物の製造方法が記載されており、具体的には、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸などのヒドロキシ酸水溶液に浸漬し、マングルで絞り、乾燥、セットする方法が記載されている。
【0005】
特許文献3には、多価アルコール及びポリカルボン酸を含有する繊維処理剤を保持する繊維又は繊維製品を熱処理することで、繊維上へのポリカルボン酸の固定をより効果的に行なうことができることが記載されており、ポリアクリル酸とホスフィン酸ナトリウムと多価アルコールを含む水溶液をナイロンニットに浸漬した後、マングルで絞り、乾燥、セットする方法が記載されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1~3に記載の方法では、消臭性は良好であるが、処理後の生地が変色するといった問題や風合いが硬化するといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-67918号公報
【文献】特開2015-180788号公報
【文献】特開2016-79530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、風合阻害や生地の変色が発生することなく、初期及び洗濯耐久性に優れたアンモニア消臭性を有する繊維製品を得ることを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物を含む特定のpHの処理液中で浴中処理することにより、繊維製品に、風合阻害や生地の変色が発生することなく、初期及び洗濯耐久性に優れたアンモニア消臭性を付与することができることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0010】
すなわち、本発明は、下記一般式(1a)で表される化合物及び下記一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物を重合してなるアニオン性重合体(1)、下記一般式(2)で表されるアニオン性化合物(2)、下記一般式(3)で表されるアニオン性化合物(3)、及び下記一般式(4)で表されるアニオン性化合物(4)からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性化合物を、0.5~500g/l含む、pH1.0~7.0の処理液中で繊維製品を浴中処理する工程を備えることを特徴とする消臭性繊維製品の製造方法である。
【0011】
【化1】
(一般式(1a)において、R1~R3は、同一または異なって、水素原子、-OH、ハロゲン原子、-R4-COOM1、OH基を有していてもよい炭素数1~3のアルキル基を表し、
R4は直接結合又は炭素数1~3のアルキレン基を表し、
M1は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
【化2】
(一般式(1b)において、R5は、直接結合、-C(=O)N(H)-C(CH
3)
2CH
2-又は-C
6H
4-を表し、
M2は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
R6-(COOM3)
2 ・・・一般式(2)
(一般式(2)において、R6は直接結合、又は、-OH及び/若しくは-COOM3を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素から2個の水素を除いた残基を表し、
M3は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
(HO)
X
-R7-COOM4 ・・・一般式(3)
(一般式(3)において、Xは1~3の整数、R7は炭素数1~20の炭化水素からX+1個の水素を除いた残基を表し、
M4は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
Ar-(SO
3M5)
Z ・・・一般式(4)
(一般式(4)中、Arは炭素数6~20の芳香族炭化水素基からZ個の水素を除いた残基を表し、
Zは1~3の整数を表し、
M5は水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
【0012】
本発明においては、アニオン性化合物が一般式(1a)で表される化合物及び一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物を重合してなるアニオン性重合体(1)であることが好ましい。
また、本発明においては、アニオン性化合物を含む処理液中で浴中処理する温度が30~100℃であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、繊維製品に風合阻害や生地の変色が発生することなく、初期及び洗濯耐久性に優れたアンモニア消臭性を付与することができる。
特に合成繊維を含む繊維製品に風合阻害や生地の変色が発生することなく、初期及び洗濯耐久性に優れたアンモニア消臭性を付与することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
本発明は、一般式(1a)で表される化合物及び一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物を重合してなるアニオン性重合体(1)、一般式(2)で表されるアニオン性化合物(2)、一般式(3)で表されるアニオン性化合物(3)、及び一般式(4)で表されるアニオン性化合物(4)からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性化合物を、0.5~500g/l含む、
pH1.0~7.0の処理液中で浴中処理する工程を備えることを特徴とする消臭性繊維製品の製造方法である。
【0015】
(アニオン性化合物)
本発明の消臭性繊維製品の製造方法において使用するアニオン性化合物は、一般式(1a)で表される化合物及び一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物を重合してなるアニオン性重合体(1)、一般式(2)で表されるアニオン性化合物(2)、一般式(3)で表されるアニオン性化合物(3)、及び一般式(4)で表されるアニオン性化合物(4)からなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオン性化合物である。
【0016】
(一般式(1a)で表される化合物及び一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物を重合してなるアニオン性重合体(1)について)
【化3】
(一般式(1a)において、R1~R3は、同一または異なって、水素原子、-OH、ハロゲン原子、-R4-COOM1、OH基を有していてもよい炭素数1~3のアルキル基を表し、
R4は直接結合又は炭素数1~3のアルキレン基を表し、
M1は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
【0017】
R1、R2、R3は、得られるアニオン性重合体(1)の消臭性の観点から水素原子、-OH、メチル基、ハロゲン原子、-R4-COOM1であることが好ましい。この中でも、同様の観点から、R1、R2、R3の全てが水素原子;R1、R2が水素原子であり、R3がメチル基;R1、R2の一方が水素原子であり他方が-COOM1(-R4-COOM1においてR4が直接結合)であり、R3が水素原子;R1、R2が水素原子であり、R3が-OH;R1、R2が水素原子であり、R3が-R4-COOM1(R4はCH2);又はR1、R2の一方が水素原子であり他方が-COOM1(-R4-COOM1においてR4が直接結合)であり、R3がメチル基であることがより好ましい。
R4は一般式(1a)で表される化合物の重合性と得られるアニオン性重合体(1)の消臭性の観点から直接結合であることが好ましい。
M1において一価のカチオンとしてはNa、K、Li又は置換基を有していても良いアンモニウムイオンを挙げることができる。
ここで、置換基を有していても良いアンモニウムイオンは、NH4
+イオン又はN原子上に置換基として有機基を1~3個有するアンモニウムイオンである。有機基は炭素数1~30の脂肪族基、炭素数6~30の芳香族基又は炭素数2~30のヒドロキシアルキル基を表す。
二価のカチオンとしてはCa、Mgなどを挙げることができる。
M1は、得られるアニオン性重合体(1)の消臭性、併用薬剤との相溶性の観点から、水素原子又は一価のカチオンであることが好ましい。
一般式(1a)で表される化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、アンゲリカ酸、チグリン酸、フマル酸、マレイン酸、α-ヒドロキシアクリル酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、及びそれらの塩などを挙げることができる。
【0018】
【化4】
(一般式(1b)において、R5は、直接結合、-C(=O)N(H)-C(CH
3)
2CH
2-又は-C
6H
4-を表し、
M2は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
R5は、得られるアニオン性重合体(1)の消臭性の観点から直接結合、-C
6H
4-であることが好ましい。
M2における一価のカチオン又は二価のカチオンとしては、前述のM1における一価のカチオン又は二価のカチオンと同じものを挙げることができる。M2は、得られるアニオン性重合体(1)の消臭性、併用薬剤との相溶性の観点から、水素原子又は一価のカチオンであることが好ましい。
一般式(1b)で表される化合物としては、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドターシャリーブチルスルホン酸、及びそれらの塩などを挙げることができる。
【0019】
一般式(1a)で表される化合物及び一般式(1b)で表される化合物に共重合することが可能なその他の単量体としては、エチレン、塩化ビニル、酢酸ビニルなどのビニル系モノマー、アクリルアミド、アクリレート類、メタクリレート類などが挙げられる。
アクリレート類及びメタクリレート類は、ヒドロキシル基などの置換基を有していてもよい炭素数1~3の炭化水素基を有するものが好ましい。このようなアクリレート類またはメタクリレート類としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレートなどが挙げられる。
これらの共重合可能なモノマーは、1種を単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。
【0020】
このような一般式(1a)で表される化合物及び一般式(1b)で表される化合物の中から選ばれる少なくとも1種を含む単量体組成物においては、得られるアニオン性重合体(1)の消臭性の観点から、単量体組成物全量に対して、一般式(1a)で表される化合物と一般式(1b)で表される化合物の合計が40質量%以上含まれることが好ましく、70質量%以上含まれていることがより好ましく、90質量%以上含まれていることがさらにより好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
【0021】
上記アニオン性重合体(1)の分子量としては、特に限定されることはないが、消臭性と重合体や処理液の扱いやすさの観点から、分子量が500~500万であることが好ましく、500~20万がより好ましい。
【0022】
アニオン性重合体(1)は、従来公知のラジカル重合法で製造することができ、例えば、該単量体組成物の水溶液にラジカル重合開始剤を添加して、30~150℃で2~5時間加熱反応させる方法が挙げられる。このとき、水溶液に、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類やアセトンなどの水性溶剤を添加してもよい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、過硫酸塩と重亜硫酸ナトリウムなどの組み合わせによるレドックス系重合開始剤、過酸化水素、水溶性アゾ系重合開始剤などが挙げられる。これらのラジカル重合開始剤は1種を単独で使用してもよく、または2種以上を併用してもよい。さらに、ラジカル重合の際には、重合度を調整する目的で連鎖移動剤(例えば、チオグリコール酸オクチル)を添加してもよい。
【0023】
(一般式(2)で表されるアニオン性化合物(2)について)
R6-(COOM3)2 ・・・一般式(2)
(一般式(2)において、R6は直接結合、又は、-OH及び/若しくは-COOM3を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素から2個の水素を除いた残基を表し、
M3は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
R6で表される、-OH若しくは-COOM3を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素からX+Y個の水素を除いた残基は、ハロゲン基、-NH2、-C(=O)-、-O-、-S-を有していてもよい。
R6で表される、-OH若しくは-COOM3を有していてもよい炭素数1~20の炭化水素における炭素数1~20の炭化水素としては、炭素数1~20の脂肪族炭化水素、炭素数1~20の脂環族炭化水素、炭素数6~20の芳香族炭化水素が挙げられる。炭素数2~20の脂肪族炭化水素、炭素数2~20の脂環族炭化水素は二重結合、三重結合を含んでいてもよい。
R6の炭素数は、アニオン性化合物(2)の入手しやすさ、安全性、消臭性の観点から、2~6が好ましく、2~3がより好ましい。
M3における一価のカチオン又は二価のカチオンとしては、前述のM1における一価のカチオン又は二価のカチオンと同じものを挙げることができる。M3は、アニオン性化合物(2)の消臭性、併用薬剤との相溶性の観点から、水素原子又は一価のカチオンであることが好ましい。
アニオン性化合物(2)は、消臭性が向上するという観点から、-COOM3を2~6有することが好ましく、3~6有することがより好ましい。
【0024】
このような、アニオン性化合物(2)としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸等が挙げられる。
分子中に2個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、例えば飽和脂肪族ジカルボン酸、不飽和脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸などを挙げることができる。
飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、プロピルマロン酸、ブチルマロン酸、ヘプチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、リンゴ酸、酒石酸、タルトロン酸、シトラマル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、イミノジ酢酸、チオジプロピオン酸、チオマレイン酸などを挙げることができる。
不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ヘキサジエン二酸(ムコン酸)、ドデカジエン二酸などを挙げることができる。
芳香族ジカルボン酸としては、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ホモフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、メチルフタル酸、ヒドロキシイソフタル酸、ヒドリンデンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、カルボキシメチル安息香酸、トリフルオロメチルフタル酸、アゾキシベンゼンジカルボン酸、ヒドラゾベンゼンジカルボン酸、スルホイソフタル酸、ジフェニルスルフォンジカルボン酸、ピリジンジカルボン酸、ケリダム酸、ピラジンジカルボン酸などを挙げることができる。
脂環式ジカルボン酸としては、例えば、ヘット酸、4-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸、シクロプロパンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ピペリジン-2,3-ジカルボン酸(ヘキサヒドロキノリン酸)、ピペリジン-2,6-ジカルボン酸(ヘキサヒドロジピコリン酸)、ピペリジン-3,4-ジカルボン酸(ヘキサヒドロシンコメロン酸)などを挙げることができる。
分子中に3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、例えば、トリカルバリル酸、アコニチン酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸、クエン酸、1,2,3-ブタントリカルボン酸などの脂肪族トリカルボン酸;トリメリット酸などの芳香族トリカルボン酸などを挙げることができる。
分子中に4個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、テトラヒドロフランテトラカルボン酸、メチルテトラヒドロフタル酸とマレイン酸のエン付加物、エチレンジアミン四酢酸、トランス-1,2-ジアミノシクロヘキサン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、ジフタル酸、エポキシ化コハク酸二量化物などの脂肪族テトラカルボン酸;ピロメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸などを挙げることができる。
分子中に5個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸などの脂肪族ペンタカルボン酸を挙げることができる。
分子中に6個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸としては、例えば、トリエチレンテトラミン六酢酸などの脂肪族ヘキサカルボン酸を挙げることができる。
一般式(2)で表される化合物のなかでも、入手しやすさ、安全性、消臭性の観点から、クエン酸がより好ましい。
【0025】
(一般式(3)で表されるアニオン性化合物(3)について)
(HO)
X
-R7-COOM4 ・・・一般式(3)
(一般式(3)において、Xは1~3の整数、R7は炭素数1~20の炭化水素からX+1個の水素を除いた残基を表し、M4は、水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
Xは、アニオン性化合物(3)の入手しやすさ、安全性、消臭性の観点から、1又は2が好ましい。
R7で表される、炭素数1~20の炭化水素からX+1個の水素を除いた残基は、ハロゲン基、-NH2、-C(=O)-、-O-、-S-を有していてもよい。
このような炭素数1~20の炭化水素としては、炭素数1~20の脂肪族炭化水素、炭素数1~20の脂環族炭化水素、炭素数6~20の芳香族炭化水素が挙げられる。炭素数2~20の脂肪族炭化水素、炭素数2~20の脂環族炭化水素は二重結合、三重結合を含んでいてもよい。
R7は、アニオン性化合物(3)の入手しやすさ、安全性、消臭性の観点から炭素数1~5が好ましい。
M4における一価のカチオン又は二価のカチオンとしては、前述のM1における一価のカチオン又は二価のカチオンと同じものを挙げることができる。M4は、アニオン性化合物(3)の消臭性、併用薬剤との相溶性の観点から、水素原子又は一価のカチオンであることが好ましい。
【0026】
このようなアニオン性化合物(3)の中でも、入手しやすさ、安全性、消臭性の観点から、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、ヒドロキシ酪酸及び下記一般式(10)で表されるモノカルボン酸(アクリル酸系モノマー)からなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
【化5】
(一般式(10)において、R10~R12は、同一または異なって、水素原子、-OH、OH基を有していてもよい炭素数1~3のアルキル基を表し、M1は、前述と同じ意味を表す。)
R10、R11は、消臭性の観点から、水素原子又はメチル基であることが好ましい。
R12は、消臭性の観点から、水素原子、メチル基又は-OHであることが好ましい。
【0027】
(一般式(4)で表されるアニオン性化合物(4)について)
Ar-(SO3M5)
Z
・・・一般式(4)
(一般式(5)中、Arは炭素数6~20の芳香族炭化水素基からZ個の水素を除いた残基を表し、
Zは1~3の整数を表し、
M5は水素原子、一価のカチオン又は二価のカチオンを表す。)
アニオン性化合物(5)において、Arで表される炭素数6~20の芳香族炭化水素基からZ個の水素を除いた残基は、ハロゲン基、-NH2、-OH、-COOM5、炭素数1~3のアルキル基、炭素数2~3のアルケニル基を有していてもよい。
このような炭素数6~20の芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ビフェニル、ジフェニルメタン、ジフェニルプロパン、ジフェニルスルホン、クレゾール、安息香酸、フェノール、ジヒドロキシベンゼン、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビスフェノールS、ビスフェノールAなどを挙げることができる。
Zは、アニオン性化合物(5)の入手しやすさと消臭性の観点から、2~3であることが好ましく、3であることがより好ましい。
M5における一価のカチオン又は二価のカチオンとしては、前述のM1における一価のカチオン又は二価のカチオンと同じものを挙げることができる。M5は、アニオン性化合物(5)の消臭性、併用薬剤との相溶性の観点から、水素原子又は一価のカチオンであることが好ましい。
これらのアニオン性化合物は、1種のものを単独で用いても、2種以上のものを混合して用いてもよい。
【0028】
このようなアニオン性化合物の中でも、処理後の繊維上及び/又は繊維中に存在するアニオン基が多く、高耐久性の消臭効果が得られるといった観点から、アニオン性重合体(1)がより好ましい。
【0029】
(アニオン性化合物を0.5~500g/l含む、pH1.0~7.0の処理液中で浴中処理する工程)
本発明の消臭性繊維製品は、上述のアニオン性化合物を0.5~500g/l含む、pH1.0~7.0の処理液中で浴中処理することにより、繊維製品にアニオン性化合物を付着させることで得られる。
【0030】
浴中処理は、精練工程、染色工程、FIX工程及び/又は仕上げ工程と同浴で行ってもよいし別浴で行なってもよいが、消臭性の観点から別浴で行うことが好ましい。その中でも精練工程と染色工程との間、染色工程とFIX工程との間及び/又はFIX工程と仕上げ工程との間に行うことがより好ましい。経済性の観点から、通常、上記のいずれか1つの工程で処理を行うことが一般的である。
【0031】
処理液中のアニオン性化合物の濃度は、得られる消臭性繊維製品の消臭性と風合いと黄変とそれ以上濃度を向上させても性能の向上が少ないといった経済性の観点から、0.5~100g/lが好ましく、0.5~50g/l、1~30g/l、2~30g/l、3~30g/l質量%の順でより好ましい。
【0032】
処理液のpHは、アニオン性化合物の繊維製品への効率的な付着、消臭性、風合、黄変、処理液の安全性の観点から、1.0~6.0であることが好ましく、2.0~5.0であることがより好ましい。
処理液のpHが上記範囲外である場合は、硫酸、酢酸、塩酸などの酸やアンモニア水、炭酸ナトリウムなどのアルカリを使用することで処理浴のpHを上記範囲に調整することができる。
【0033】
また、処理液の温度は、アニオン性化合物の繊維製品への効率的な付着、消臭性、風合、黄変、それ以上処理を行なっても性能の向上が少ないといった経済性の観点から、5~130 ℃であることが好ましく、10~110℃であることがより好ましく、30~100℃であることがさらに好ましく、40~100 ℃であることがさらにより好ましく、処理時間は5(好ましくは5分を超えて)~140分処理することが好ましく、10~120分処理することがより好ましい。
【0034】
処理浴比は特に限定されないが、アニオン性化合物の均一な付着、処理のし易さなどの観点から1:1~50が好ましく、1:4~30がより好ましい。
【0035】
アニオン性化合物を含む処理液は、アニオン性化合物を水性媒体で希釈することで、又は水性媒体からなる処理浴にアニオン性化合物を添加することで、得ることができる。
【0036】
水性媒体としては、水、又は水と水に溶解する炭素数1~3のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールなどの混合溶媒であることが好ましい。水としては特に限定されないがイオン交換水又は蒸留水を好適に用いることができる。
【0037】
繊維製品を上記アニオン性化合物が含まれる処理液中で浴中処理する際に使用できる機械は、浴中処理ができるものであれば特に制限はなく、例えば、液流染色機、気流染色機、ドラム染色機、ウィンス染色機、ワッシャー染色機、チーズ染色機などを挙げることができる。
【0038】
本発明にかかる繊維製品の形態としては特に限定されず、糸、編物、織物、不織布、綿などいずれの形態であってもよいし、衣料品や寝装品などの最終製品の形態であってもよい。
繊維製品を構成する繊維素材としては、例えば、天然繊維、合繊繊維、半合成繊維、再生繊維、これらの繊維の組み合わせによる複合繊維を挙げることができるが、処理前後での消臭性向上効果が大きいといった観点から、合成繊維であることが好ましく、具体的には、ナイロンなどのポリアミド繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリウレタン繊維、又はこれらの複合繊維であることがより好ましく、中でもポリアミド繊維、カチオン可染ポリエステル繊維、ポリウレタン繊維、又はこれらの複合繊維がさらに好ましく、特にポリアミド繊維又はポリアミド/ポリウレタン複合繊維であることがさらにより好ましい。
【0039】
本発明の消臭性繊維製品は、具体的な製品としては、例えば衣料品、寝装寝具などに好適に使用され、特に、肌着(インナー)、靴下、タイツ、パンスト、スポーツウェア、アウトドア製品等に用いることが最適である。
【0040】
上記処理を行う際には、従来から用いられている繊維用機能加工剤を、本発明の効果が阻害されない程度に併用することもできる。このような繊維用機能加工剤としては、例えば、従来公知の消臭剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、浸透剤、柔軟剤、撥水撥油剤、難燃剤、フィックス剤、抗菌剤、防汚剤、帯電防止剤、吸水剤などを挙げることができる。
【0041】
このような繊維用加工剤は、繊維製品を本発明のアニオン性化合物を含む処理液中で浴中処理する前後に、或いは同時に処理を行うことができる。これらの繊維用機能加工剤を、アニオン性化合物を含む処理液と別に処理する場合は、浴中処理に限らず、パッド、噴霧、コーティング等で処理することも構わない。
【0042】
このような繊維用機能加工剤を使用することで、消臭性に加え、その他の機能性を付与することができ、複数の機能を有する機能性繊維製品を製造することができる。
【0043】
これらの繊維用機能加工剤の使用量は特に限定されないが、消臭性を阻害しにくく、各種機能性を充分に発揮することができるといった観点から、繊維重量に対し0.5~50質量%が好ましく、1~30質量%がより好ましい。
【0044】
本発明の製造方法においては、アニオン性化合物の繊維製品への十分な固着という観点から、アニオン性化合物を含む処理液中で浴中処理する工程の後に、乾燥工程を行うことが好ましい。
乾燥工程は風乾でも良いが、加熱して乾燥することが好ましい。加熱乾燥は湿熱乾燥でもよいが、乾熱乾燥が好ましい。
乾燥条件は、繊維の種類に応じて適宜設定すればよいが、短時間での乾燥、風合、黄変、堅牢度の観点から、乾燥温度は5~180℃が好ましく、20~160℃がより好ましく、乾燥時間は1~360分が好ましい。
【実施例】
【0045】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
【0046】
実施例1
アニオン性化合物としてポリアクリル酸(重量平均分子量30,000)を水で希釈し、98%硫酸又は25%安水を使用して、アニオン性化合物が3%o.w.f.であり、pHが2.4である処理液を作成した。
この処理液に繊維製品としてナイロン6ニット(精練済み、目付:280g/m2 )を浸漬し、ミニカラー染色機(テキサム技研製)を使用して、浴比(ナイロン6ニット:処理液)1:10で、温度50℃で、30分間の浴中処理を行なった。その後、40℃で30秒間湯洗、30秒間水洗を行い、130℃で2分間ピンテンターで乾燥を行うことにより、消臭性繊維製品を得た。
得られた消臭性繊維製品について、下記の方法に従って消臭性、風合、変色(黄変)の評価を行なった。その結果を表1に示す。
【0047】
1.消臭性の評価(アンモニアに対する消臭性)
実施例及び比較例で得られた処理布について、洗濯前(L-0)および洗濯10回後(L-10)の消臭性を下記の方法で評価した。
洗濯は、洗濯用合成洗剤(JIS K 3371に規定する第1種(弱アルカリ性))の代わりにJAFET標準洗剤40mlを使用し、洗濯工程の最後につり干し又は平干しを行なわない工程を洗濯1回(L-1)としてこれを10回繰り返した以外は、JIS L 0217(103法)と同様に洗濯を行った。
なお、洗濯10回後には、その後風乾(平干し)し、20℃、65%RHの条件下に24時間放置し、処理布の調湿を行った。
【0048】
処理布(10cm×10cm)1枚を5Lテドラーバックに入れ、バック内を脱気した後、アンモニア100ppm(容量比)を含有する空気3Lを注入し、密封した。20℃で2時間放置した後、検知管にてアンモニアの残留濃度を測定した。また、空試験として、処理布を入れないで同様に試験を行って残留濃度を測定した。消臭率(%)を次式により算出した。
消臭率(%)={1-(試料の残留濃度/空試験の残留濃度)}×100
【0049】
2.風合い
実施例及び比較例で得られた処理布(洗濯前)の風合いを手の触感により試験し、以下の基準に基いて評価した。なお、試験布の調湿は上記と同様の方法で行った。
○ :未処理布と同等であり、柔軟であり、良好である。
△ :未処理布よりやや劣り、やや柔軟であり、やや良好である。
× :未処理布より劣り、粗硬であり、柔軟性に劣る。
○△は○と△の中間を、△×は△と×の中間を表す。
【0050】
3.変色(黄変)
実施例及び比較例で得られた処理布(洗濯前)を、ミノルタ分光測色計CM-3700d(色彩管理ソフトウエアSpectra Magic NX CM-S100W、光源D65、 視野10度)で測色し、未処理布に対するΔb*値の差より、(変色)黄変を下記のように判断した。
<判定の基準>
A:Δb*値が0以上~0.5未満であり、変色(黄変)を認めない。
B:Δb*値が0.5以上~1.0未満であり、若干の変色(黄変)を認める
C:Δb*値が1.0以上であり、はっきりと変色(黄変)を認める
【0051】
実施例2~実施例11、比較例1~比較例5
アニオン性化合物の種類と使用量、処理液のpH、併用薬剤の種類と使用量、繊維製品の種類、浴比、処理条件(温度、時間)、湯水洗の有無を表1、表2に記載の様に変更した以外は、実施例1と同様に操作を行って、消臭性繊維製品を得た。
得られた消臭性繊維製品について実施例1と同様に消臭性、風合、変色(黄変)の評価を行なった。その結果を表1、表2に示す。
【0052】
比較例6
アニオン性化合物としてポリアクリル酸(重量平均分子量30,000)を水で希釈し、98%硫酸又は25%安水を使用して、アニオン性化合物が60g/lであり、pHが2.2である処理液を作成した。
この処理液に繊維製品としてナイロン6ニット(精練済み、目付:280g/m2 )を浸漬し、絞り率が100%になるようマングルで絞り、130℃で乾燥した後、160℃で2分間セットを行なった(パッド処理:Pad)。その後、40℃で30秒間湯洗、30秒間水洗を行い、150℃で1分間ピンテンターで乾燥を行うことにより、消臭性繊維製品を得た。
得られた消臭性繊維製品について実施例1と同様に消臭性、風合、変色(黄変)の評価を行なった。その結果を表3に示す。
【0053】
比較例7~比較例16
アニオン性化合物の種類と使用量、処理液のpH、併用薬剤の種類と使用量、繊維製品の種類、処理条件(温度、時間)、湯水洗の有無を表3に記載の様に変更した以外は、比較例6と同様に操作を行って、消臭性繊維製品を得た。
【0054】
得られた消臭性繊維製品について実施例1と同様に消臭性、風合、変色(黄変)の評価を行なった。その結果を表3に示す。
【0055】
実施例12
繊維製品としてナイロン/ポリウレタン未精練ニット(混率:ナイロン/ポリウレタン(95/5)、目付け:160g/m2)を用い精練を行なった。
その後、アニオン性化合物としてポリアクリル酸(重量平均分子量30,000)を水で希釈し、98%硫酸又は25%安水を使用して、アニオン性化合物が3%o.w.f.であり、pHが2.2である処理液に浸漬し、ミニカラー染色機(テキサム技研製)を使用して、浴比(ナイロン/ポリウレタンニット:処理液)1:15で、温度90℃で、30分間の浴中処理を行なった。その後、40℃で30秒間湯洗、30秒間水洗、脱水を行い、50℃で60分間乾燥を行なった。
その後、染色→Fix→仕上げの一連の処理を行うことにより、消臭性繊維製品を得た。
【0056】
得られた消臭性繊維製品について、実施例1と同様に消臭性、風合の評価を行なった。その結果を表4に示す。
【0057】
精練、染色、FIX、仕上げの各工程の方法について下記に示す。
<精練>
機械 ミニカラー染色機(テキサム技研製)
浴比 1:15
精練浴の組成
精練剤(サンモールPU-206、日華化学(株)製) 2%o.w.f.
温度条件
85℃×20分精練→60℃×5分湯洗→5分水洗→脱水→乾燥(50℃)
<染色>
機械 ミニカラー染色機(テキサム技研製)
浴比 1:15
染色浴の組成
染料Y:(Nylosan Golden Yellow N-4RL、日本化薬(株)製)0.1%o.w.f.
染料R:(Nylosan Red N-GZS、日本化薬(株)製) 0.04%o.w.f.
染料B:(Nylosan Blue N-GFL167%、日本化薬(株)製) 0.044%o.w.f.
均染剤(ニューボンSD-2N、日華化学(株)製) 2%o.w.f.
硫安 0.5g/L
温度条件
90℃×60分染色→60℃×5分湯洗→5分水洗→脱水→乾燥(50℃)
<Fix>
機械 ミニカラー染色機(テキサム技研製)
浴比 1:15
FIXの組成
Fix剤(サンライフTN-8、日華化学(株)製) 2%o.w.f.
酢酸 5g/L
温度条件
80℃×20分FIX→60℃×5分湯洗→5分水洗→脱水→乾燥(50℃)
<仕上げ>
機械 ミニカラー染色機(テキサム技研製)
浴比 1:15
仕上げ浴の組成
柔軟剤(エバファノールN-33、日華化学(株)製) 2%o.w.f.
温度条件
40℃×20分仕上げ→脱水→乾燥(50℃)
【0058】
実施例13~15
アニオン性化合物の処理(加工)を行うタイミング、アニオン性化合物の種類と使用量、処理液のpH、併用薬剤の種類と使用量、浴比、処理条件(温度、時間)、湯水洗の有無、乾燥条件を表4に記載の様に変更した以外は、実施例12と同様に操作を行って、消臭性繊維製品を得た。
得られた消臭性繊維製品について実施例12と同様に消臭性、風合の評価を行なった。その結果を表4に示す。
【0059】
実施例16
精練→染色→Fix→仕上げの一連の処理中の染色時に、染色浴に、アニオン性化合物としてポリアクリル酸(重量平均分子量30,000)が3%o.w.f.となるように併用して、消臭性繊維製品を得た。
得られた消臭性繊維製品について実施例12と同様に消臭性、風合の評価を行なった。その結果を表4に示す。
【0060】
実施例17
アニオン性化合物をFIX浴に併用した以外は、実施例16と同様に処理を行なって、消臭性繊維製品を得た。
得られた消臭性繊維製品について実施例12と同様に消臭性、風合の評価を行なった。その結果を表4に示す。
【0061】
比較例17
繊維製品としてナイロン/ポリウレタン未精練ニット(混率:ナイロン/ポリウレタン(95/5)、目付け:160g/m2)を用い、精練→染色→Fix→仕上げの一連の処理を行なっただけで、途中のいずれの工程でもアニオン性化合物による処理は行なわずに、消臭性繊維製品を得た。
得られた消臭性繊維製品について実施例12と同様に消臭性、風合の評価を行なった。その結果を表5に示す。
【0062】
実施例においては、風合の硬化や生地の変色を発生することなく良好な消臭性(初期、耐久)が得られている。
一方、比較例においては、消臭性と風合と生地変色をすべて満足する消臭性繊維製品は得られていない。
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、繊維製品に、風合阻害や生地の変色を発生することなく、初期及び洗濯耐久性に優れたアンモニア消臭性を付与することができる。
したがって、本発明により得られる繊維製品は、衣料品や寝装寝具など、特に、肌着(インナー)、靴下、タイツ、パンスト、スポーツウェア、アウトドア製品等に使用される消臭性繊維として有用である。