(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】配膳車
(51)【国際特許分類】
A47B 31/00 20060101AFI20220530BHJP
A47B 91/06 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
A47B31/00 H
A47B91/06
(21)【出願番号】P 2018018365
(22)【出願日】2018-02-05
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】與語 勇一
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 泰光
【審査官】広瀬 杏奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-335426(JP,A)
【文献】特開2005-231394(JP,A)
【文献】特開2008-265554(JP,A)
【文献】特開平07-284416(JP,A)
【文献】特開2005-029015(JP,A)
【文献】特開2018-016316(JP,A)
【文献】実開昭56-027169(JP,U)
【文献】特開平10-291478(JP,A)
【文献】実開昭63-195969(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00
A47B 91/06
B62B 1/00-5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する配膳車であって、
前記貯蔵室を積載する車台と、
前記車台の前側に配され、車輪の向きを変更可能な前側自在輪と、
前記車台の後側に配され、車輪の向きを変更可能な後側自在輪と、
前記車台の前記前側自在輪と前記後側自在輪との間に配され、車輪の向きが固定された固定輪と、を備え、
前記固定輪は、前記後側自在輪よりも前記前側自在輪に近い位置に配されて、
5輪式の構成と4輪式の構成とで変換可能とされており、
前記5輪式の構成では、
前記後側自在輪が、左右一対設けられ、
前記固定輪が、左右一対設けられ、
前記前側自在輪が、左右方向の中央に1つ配されて、前記車台に着脱可能に取り付けられ、
一対の前記固定輪が、前記車台に設けられた、一対の第1の取付部に着脱可能に取り付けられ、
前記車台には、前記前側自在輪を取り外し、前記一対の固定輪を前記第1の取付部から取り外した際に、その取り外した前記一対の固定輪を取付け可能な一対の第2の取付部が別途設けられており、
前記一対の第2の取付部は、前記一対の第1の取付部よりも前方に配されて
おり、
前記4輪式の構成では、
前記前側自在輪を取り外し、前記一対の固定輪を前記第1の取付部から取り外して、その取り外した前記一対の固定輪を前記一対の第2の取付部に取り付けた構成とされ、
前記貯蔵室の前面には、折り畳み式のサイドテーブルが設けられている配膳車。
【請求項2】
当該配膳車の接地面に接触することで車体を制動する制動機構を備え、
前記制動機構は、一対の前記後側自在輪の間に配されている請求項1に記載の配膳車。
【請求項3】
前記前側自在輪は、前記固定輪及び前記後側自在輪よりも上方に位置している請求項1または請求項2に記載の配膳車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配膳車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配膳車として、例えば、特許文献1及び特許文献2に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の配膳車は、4輪の配膳車であって、矩形箱状をなす断熱構造の本体を備えている。本体の底面の後側には、向きが自在に変更可能に構成された左右一対の自在輪が夫々回動可能に配設されており、本体の底面の前側には、左右一対の駆動輪が回転可能に配設されている。また、各自在輪の間には、配膳車の移動を制動するペダルロックが配設されている。
【0004】
特許文献2に記載の配膳車は、6輪の配膳車であって、矩形の断熱箱体からなる貯蔵室本体を備えている。本体の底部には、前後両端部に左右一対ずつの自在輪が設けられており、その前後の自在輪の中間位置に左右一対の固定輪が設けられている。また、後側の自在輪の間には、配膳車の移動を制動する踏圧ペダル(ペダルロック)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-274501号公報
【文献】特開2015-199395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の配膳車(4輪)が旋回する際は、前側の固定輪が旋回の中心となるため、旋回半径が大きくなり、狭い通路を通行する際に小回りが利きにくいという問題がある。一方、特許文献2に記載の配膳車(6輪)が旋回する際は、中央の固定輪が旋回の中心となるため、旋回半径は特許文献1に記載の配膳車よりも小さくなる。
【0007】
しかしながら、ペダルロックで配膳車を制動すると、一般的にペダルロックにあそびが設けられていることから、固定輪を中心に、配膳車の後側は左右方向に揺れることとなる。この時、特許文献1に記載の配膳車(4輪)の場合、配膳車の前側の固定輪が回転軸となるため、後側の揺れ幅に対して、前側の揺れ幅は抑えられる。一方、特許文献2に記載の配膳車(6輪)は、中央の固定輪が回転軸となるため、車体後側が左右方向に揺れると、車体前側も、中央の固定輪を支点として、配膳車の後側の揺れ幅と同じ揺れ幅で、左右方向に大きく揺れるという問題がある。また、貯蔵室の前方に畳み式のサイドテーブルを設ける場合、サイドテーブルから固定輪までの距離は、固定輪から後側の自在輪までの距離よりも長くなることから、後側の揺れ幅よりもさらに大きな揺れ幅となり、サイドテーブルの上に置いた汁物の食事がこぼれ易くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、旋回半径を小さくしつつ、ペダルロック時における車体前側の揺れを抑えることが可能な配膳車の提供を目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の配膳車は、貯蔵室を有する配膳車であって、前記貯蔵室を積載する車台と、前記車台の前側に配され、車輪の向きを変更可能な前側自在輪と、前記車台の後側に配され、車輪の向きを変更可能な後側自在輪と、前記車台の前記前側自在輪と前記後側自在輪との間に配され、車輪の向きが固定された固定輪と、を備え、前記固定輪は、前記後側自在輪よりも前記前側自在輪に近い位置に配されている。
【0010】
配膳車が旋回する際、固定輪を支点として旋回することとなるが、固定輪は、前側自在輪と後側自在輪との間に配されている。これにより、従来の4輪仕様の配膳車のように、固定輪が前側、自在輪が後側に配されている構成と比較して、固定輪が後方に位置するため、配膳車の旋回半径を小さくすることができる。
また、配膳車を壁に幅寄せする際は、一般的に、旋回の支点となる固定輪の位置は前方にある方が、操作が行い易くなるが、固定輪は、前側自在輪に近い位置に配されている。これにより、従来の6輪仕様の配膳車のように、前側自在輪と後側自在輪との間の中央に固定輪が配されている構成と比較して、固定輪が前方に位置するため、幅寄せ等の操作が行い易くなる。
【0011】
また、前記後側自在輪は、左右一対設けられており、前記固定輪は、左右一対設けられており、前記前側自在輪は、左右方向の中央に1つ配されている構成としても良い。
【0012】
前側自在輪の数を1つとする5輪の構成とすることで、従来の6輪構成のように、前側自在輪が左右一対ある構成と比較して、前側自在輪の接地面積が減り、配膳車の始動時にかける負荷の軽減を図ることができる。また、前側自在輪の数が1つとなるため、部品点数を削減することができる。
【0013】
また、当該配膳車の接地面に接触することで車体を制動する制動機構を備え、前記制動機構は、一対の前記後側自在輪の間に配されている構成としても良い。
【0014】
一対の後側自在輪の間に配された制動機構(例えば、ペダルロック)により車体を制動すると、一般的に、ペダルロックにはあそびが設けられていることから、配膳車の後方側は、左右方向に揺れ動くこととなる。この時、配膳車の後方側は、一対の固定輪を支点として左右方向に揺れることとなるが、一対の固定輪は、前側自在輪に近い位置に配されていることから、車体前側の揺れ幅は、車体後側の揺れ幅と比較して小さくなる。これにより、例えば、貯蔵室の上面の前側に配された汁物の食事が揺れによりこぼれることを抑制することができる。
【0015】
また、前記前側自在輪は、前記車台に着脱可能に取り付けられており、一対の前記固定輪は、前記車台に設けられた、一対の第1の取付部に着脱可能に取り付けられており、前記車台には、前記前側自在輪を取り外し、前記一対の固定輪を前記第1の取付部から取り外した際に、その取り外した前記一対の固定輪を取付け可能な一対の第2の取付部が別途設けられており、前記一対の第2の取付部は、前記一対の第1の取付部よりも前方に配されている構成としても良い。
【0016】
一般的に、旋回の支点となる固定輪の位置が前側にある方が、配膳車の幅寄せ等の操作が行い易くなる。そこで、上記のように構成することで、例えば、前側自在輪を取り外し、一対の固定輪を、第1の取付部から別の第2の取付部に付け替えることで、5輪構成から、固定輪の位置がさらに前方にある4輪構成の配膳車に変更することが可能となる。これにより、幅寄せ等の操作が必要な際に、適宜、4輪構成に変更することが可能となる。
【0017】
また、前記前側自在輪は、前記固定輪及び前記後側自在輪よりも上方に位置している構成としても良い。
【0018】
前側自在輪は、固定輪及び後側自在輪よりも上方に位置しているため、配膳車が平面上に置かれている状態では、前側自在輪の接地圧は、固定輪及び後側自在輪の接地圧よりも低くなる。これにより、配膳車の始動時にかける負荷が軽減され、また、配膳車の切り返し操作時にかける負荷も軽減される。また、配膳車が上り傾斜面Sに差し掛かった際に、固定輪が上り傾斜面Sに接地し易くなるため、前側自在輪及び後側自在輪だけが接地し、配膳車が前後左右に自由に動くようになることを抑制している。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、旋回半径を小さくしつつ、ペダルロック施錠時における車体前側の揺れを抑制する配膳車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施形態の配膳車10について、
図1から
図12を参照しつつ説明する。以降の説明では、
図1のX方向を前方、Z方向を上方、Y方向を右方とする。
配膳車10は、
図1に示すように、食事を収容可能な断熱箱体の貯蔵室12と、貯蔵室12を積載する車台26と、を備えている。
【0022】
貯蔵室12は、
図1に示すように、前方側に配され、食事を冷却する冷蔵室14と、後方側に配され、食事を加熱する温蔵室16とから構成されている。また、冷蔵室14の下方には、冷蔵室14内を冷却する冷凍機器類が収容された機械室18が設けられている。
【0023】
貯蔵室12の上面には、
図1に示すように、板状の天板20が設けられており、天板20の後端側には、ハンドル22が設けられている。ユーザはハンドル22を手で握りつつ、押しまたは引き操作して配膳車10を走行させる。冷蔵室14の前面には、折り畳み式のサイドテーブル24が設けられている。
【0024】
車台26は、
図2に示すように、方形板状をなしており、車台26の下面には、車輪の向きを変更可能な自在輪30、車輪の向きが固定されている固定輪36、及び、配膳車10を制動可能な踏圧式のペダルロック(制動機構)38が設けられている。配膳車10は、3つの自在輪30、及び、2つの固定輪36からなる5輪構成とされる。
【0025】
自在輪30は、
図2に示すように、車台26の下面の前方側に配され、左右方向の中央に位置する前側自在輪32と、車台26の下面の後方側に配された左右一対の後側自在輪34と、から構成されている。固定輪36は、前側自在輪32と後側自在輪34との間に、左右一対設けられている。
図6に示すように、一対の固定輪36は、一対の後側自在輪34よりも前側自在輪32に近い位置に配されており、前側自在輪32と後側自在輪34との間の前後方向の長さをL1、固定輪36と後側自在輪34との間の前後方向の長さをL2とすると、L2は、L1の4分の3程度の長さとなっている。このように、一対の固定輪36を後側自在輪34よりも前側自在輪32に近い位置に配することで、従来のように、前側自在輪と後側自在輪との間の中央に固定輪が配されている6輪仕様の配膳車と比較して、幅寄せ等の操作が行い易くなる。また、前側自在輪32の数が1つで良いため、従来の6輪仕様の配膳車と比較して、部品点数を削減することができる。
【0026】
前側自在輪32は、
図4に示すように、一対の固定輪36及び一対の後側自在輪34よりも、僅かに上方に位置している。これにより、配膳車10が平面F上に置かれている状態では、前側自在輪32の接地圧が一対の固定輪36、及び、一対の後側自在輪34の接地圧よりも低くなり、配膳車10の始動時にかける負荷、及び、配膳車10を旋回させる際の負荷が軽減される。また、
図5に示すように、配膳車10が上り傾斜面Sに差し掛かった際に、固定輪36が傾斜面Sに接地し易くなるため、固定輪36が接地せず、前側自在輪32及び後側自在輪34だけが接地し、配膳車10が前後左右に動くことが抑制される。
【0027】
自在輪30及び固定輪36は、
図10に示すように、車台26の下面に設けられた4つのネジ穴からなる取付部50に、それぞれ着脱可能に取り付けられている。取付部50は、一対の固定輪36が取付け可能な一対の第1の取付部52と、前側自在輪32が取付け可能な第3の取付部56と、一対の後側自在輪34が取付け可能な一対の第4の取付部58と、一対の第1の取付部52の前方に配され、後述する4輪構成に変更する際に用いられる一対の第2の取付部54と、から構成されている。
【0028】
ペダルロック38は、
図2、
図7に示すように、一対の後側自在輪34の間に配されており、車台26の下面に取付けられえる取付板40と、取付板40から下方に突出する円筒状の筒部42と、筒部42内に嵌装されたロッド44と、筒部42から後方に突出し、筒部42に上下方向に回動可能に取り付けられた踏圧部48と、を備えている。踏圧部48が踏まれると、
図9に示すように、ロッド44が下方に進出し、ロッド44の先端に設けられた円板状の押圧板46が平面Fと接触し、平面Fを押圧する。これにより、配膳車10の車体後部が持ち上がり、配膳車10は制動される。この状態で再度、踏圧部48が踏まれると、ロッド44が上方に後退し、配膳車10の制動が解除される。
【0029】
配膳車10がペダルロック38により制動されている状態では、一般的に、ロッド44の外面と筒部42の内面との間や、ロッド44の内面と、踏圧部46及びロッド44の連結部の外面との間に隙間が生じるため、
図9に示すように、配膳車10は、左右方向に揺れ動くこととなる。さらに、ロッド44が下方に進出した状態では、ロッド44が撓り易くなるため、配膳車10は、大きく揺れ動くこととなる。このとき、配膳車10の後端部側は、
図6に示すように、一対の固定輪36を支点として、左右方向に振幅A1で揺れ動き、配膳車10の前端部側は、一対の固定輪36を支点として、左右方向に振幅A2で揺れ動くものとする。配膳車10の前端部側の振幅A2の大きさは、一対の固定輪36が後側自在輪34よりも前側自在輪32に近い位置に配されていることから、配膳車10の後端部側の振幅A1よりも小さくなる。これにより、例えば、天板20の前側、又は、貯蔵室12の前方にサイドテーブル24を立てた状態でサイドテーブル24に汁物の食事を置いても、振幅A2が振幅A1よりも小さく抑えられているため、揺れにより食事がこぼれることが抑制される。
【0030】
配膳車10は、
図2に示す5輪構成から、
図11に示す4輪構成への変更が可能となっている。5輪構成から4輪構成に変更する際は、
図10に示すように、先ず、前側自在輪32を第3の取付部56から取り外す。次に、一対の固定輪36を第1の取付部52から取り外す。次に、
図10、
図11に示すように、一対の固定輪36を第2の取付部54に取り付ける。これにより、配膳車10は、5輪構成から4輪構成に変更される。このように、5輪構成から4輪構成へ変更する際は、新たに自在輪30又は固定輪36を準備することなく4輪構成に変更することができる。また、車台26に新たにネジ穴を開けることなく4輪構成に変更することができる。
【0031】
5輪構成の配膳車10を旋回させたときの旋回半径は、
図6に示すように、一対の固定輪36から配膳車10の後端までの長さL3と等しくなる。一方、4輪構成の配膳車10の旋回半径は、第2の取付部54が第1の取付部52よりも前方に配されているため、5輪構成における旋回半径よりも大きくなる。しかし、固定輪36の位置が5輪構成の配膳車10よりも前方に配されているため、幅寄せ等の操作がより行い易くなる。このように、配膳車10の旋回半径を小さく抑えたい場合は5輪構成とし、幅寄せ等の操作が多い場合は4輪構成とする等、必要に応じて構成を適宜変更することができる。
【0032】
本実施形態によれば、以下の作用、効果を奏する。
本実施形態の配膳車10は、貯蔵室12を有する配膳車10であって、貯蔵室12を積載する車台26と、車台26の前側に配され、車輪の向きを変更可能な前側自在輪32と、車台26の後側に配され、車輪の向きを変更可能な後側自在輪34と、車台26の前側自在輪32と後側自在輪34との間に配され、車輪の向きが固定された固定輪36と、を備え、固定輪36は、後側自在輪34よりも前側自在輪32に近い位置に配されている。
【0033】
本実施形態によれば、配膳車10が旋回する際、固定輪36を支点として旋回することとなるが、固定輪36は、前側自在輪32と後側自在輪34との間に配されている。これにより、従来の4輪仕様の配膳車のように、固定輪が前側、自在輪が後側に配されている構成と比較して、固定輪36が後方に位置するため、配膳車10の旋回半径を小さくすることができる。
また、配膳車10を壁に幅寄せする際は、一般的に、旋回の支点となる固定輪36の位置は前方にある方が、操作が行い易くなるが、固定輪36は、前側自在輪32に近い位置に配されている。これにより、従来の6輪仕様の配膳車のように、前側自在輪と後側自在輪との間の中央に固定輪が配されている構成と比較して、固定輪36が前方に位置するため、幅寄せ等の操作が行い易くなる。
【0034】
また、後側自在輪34は、左右一対設けられており、固定輪36は、左右一対設けられており、前側自在輪32は、左右方向の中央に1つ配されている構成としても良い。
【0035】
前側自在輪34の数を1つとする5輪の構成とすることで、従来の6輪構成のように、前側自在輪が左右一対ある構成と比較して、前側自在輪34の接地面積が減り、配膳車10の始動時にかける負荷の軽減を図ることができる。また、前側自在輪34の数が1つとなるため、部品点数を削減することができる。
【0036】
また、当該配膳車10の接地面に接触することで車体を制動するペダルロック(制動機構)38を備え、ペダルロック(制動機構)38は、一対の後側自在輪34の間に配されている構成としても良い。
【0037】
一対の後側自在輪34の間に配されたペダルロック(制動機構)38により車体を制動すると、一般的に、ペダルロック(制動機構)38にはあそびが設けられていることから、配膳車10の後方側は、左右方向に揺れ動くこととなる。この時、配膳車10の後方側は、一対の固定輪36を支点として左右方向に揺れることとなるが、一対の固定輪36は、前側自在輪32に近い位置に配されていることから、車体前側の揺れ幅は、車体後側の揺れ幅と比較して小さくなる。これにより、例えば、貯蔵室12の天板(上面)20の前側に配された汁物の食事が揺れによりこぼれることを抑制することができる。
【0038】
また、前側自在輪32は、車台26に着脱可能に取り付けられており、一対の固定輪36は、車台26に設けられた、一対の第1の取付部52に着脱可能に取り付けられており、車台26には、前側自在輪32を取り外し、一対の固定輪36を第1の取付部52から取り外した際に、その取り外した一対の固定輪36を取付け可能な一対の第2の取付部54が別途設けられており、一対の第2の取付部54は、一対の第1の取付部52よりも前方に配されている構成としても良い。
【0039】
一般的に、旋回の支点となる固定輪36の位置が前側にある方が、配膳車10の幅寄せ等の操作が行い易くなる。そこで、上記のように構成することで、例えば、前側自在輪32を取り外し、一対の固定輪36を、第1の取付部52から別の第2の取付部54に付け替えることで、5輪構成から、固定輪36の位置がさらに前方にある4輪構成の配膳車に変更することが可能となる。これにより、幅寄せ等の操作が多く必要な際に、適宜、4輪構成に変更することが可能となる。
【0040】
また、前側自在輪32は、固定輪36及び後側自在輪34よりも上方に位置している構成としても良い。
【0041】
前側自在輪32は、固定輪36及び後側自在輪34よりも上方に位置しているため、配膳車10が平面F上に置かれている状態では、前側自在輪32の接地圧は、固定輪36及び後側自在輪34の接地圧よりも低くなる。これにより、配膳車10の始動時にかける負荷が軽減され、また、配膳車10の切り返し操作時にかける負荷も軽減される。また、配膳車10が上り傾斜面Sに差し掛かった際に、固定輪36が上り傾斜面Sに接地し易くなるため、前側自在輪32及び後側自在輪34だけが接地し、配膳車10が前後左右に自由に動くようになることを抑制している。
【0042】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)本実施形態では、固定輪36と後側自在輪34との間の長さL2は、前側自在輪32と後側自在輪34との間の長さL1の4分の3程度の長さとしたが、固定輪36の位置は、後側自在輪34よりも前側自在輪32に近い位置に配されていれば、どの位置に配しても良い。
(2)本実施形態では、5輪構成から4輪構成に変更する構成を示したが、例えば、5輪構成から、第3の取付部56の前側自在輪32を取り外し、一対の第2の取付部54に一対の前側自在輪を取付けることで、6輪構成に変更する構成としても良い。
【符号の説明】
【0043】
10…配膳車
12…貯蔵室
26…車台
32…前側自在輪
34…後側自在輪
36…固定輪
38…ペダルロック(制動機構)
52…第1の取付部
54…第2の取付部