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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 14/00 20060101AFI20220530BHJP
   F24C 1/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
F24C14/00 C
F24C1/00 370A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018023028
(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公開番号】P2019138571
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】坪内 俊志
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓太
(72)【発明者】
【氏名】増田 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】野尻 元已
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晃央
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敦
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-155777(JP,A)
【文献】特開2010-017276(JP,A)
【文献】特開2005-238030(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 14/00
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫内の一方の側部に配置されて、前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫内の前記一方の側部に配置されて、前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンとを備え、
前記対流ファンによって前記調理庫内の他方の側部から前記一方の側部に空気を吸い込んだ空気を前記調理庫の周壁に沿って前記一方の側部から前記他方の側部に送出して前記調理庫内の空気を循環させ、循環させた空気を前記ヒータによって加熱した熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器であって、
前記調理庫の天井壁には前記調理庫の側部に向けて開口した噴射口を有して洗浄水を噴射する洗浄ノズルを設け
前記洗浄ノズルは前記調理庫の天井壁から鉛直方向下向きに延出する筒形部材よりなり、前記噴射口を前記筒形部材の前記他方側の側面にて周方向に延びるスリットによって形成したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理器において、
前記洗浄ノズルの噴射口から噴出される洗浄水を前記調理庫の天井壁に向けて噴出させるようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
前記洗浄ノズルにより洗浄水を噴射するときに前記対流ファンにより前記調理庫内の空気を対流させるように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項に記載の加熱調理器において、
前記対流ファンを正方向及び逆方向で交互に回転させるようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関し、特に、調理庫内を洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されており、この加熱調理器は、ハウジング内に設けた調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置とを備えている。また、この加熱調理器は、調理庫の天井壁に洗浄水を噴射する洗浄ノズルを備え、洗浄ノズルは、調理庫の天井壁に固定される取付ヘッドと、取付ヘッドに回転可能に遊嵌されるスリーブと、スリーブから径方向に延びる噴射管とを備えている。
【0003】
この加熱調理器で調理庫内を洗浄するときに洗浄ノズルに洗浄水を供給すると、洗浄水は噴射管の先端の噴射口から噴射されるため、噴射管は噴射口から噴射される洗浄水によってスリーブとともに回転し、洗浄水は回転する噴射管から噴射されることで調理庫内の周壁の全体に噴射されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-155777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1に記載の加熱調理器では、洗浄ノズルは調理庫の天井壁に固定される取付ヘッドと、取付ヘッドに回転可能に遊嵌されるスリーブと、スリーブから径方向に延びる噴射管とを備え、噴射管を噴射口から噴射される洗浄水によってスリーブとともに回転させることで、洗浄水を調理庫の周壁の全体に噴射するようにしている。しかし、この種の加熱調理器では、調理庫内には食材の加熱調理の際に油が多く飛散して、飛散した油が洗浄ノズルの取付ヘッドとスリーブとの間で固化することで、スリーブが取付ヘッドに固着し、噴射管がスリーブとともに回転しなくなるおそれがある。このため、特許文献1の加熱調理器では、調理庫を洗浄するたびに洗浄ノズルを調理庫の天井壁に取り付ける必要があり、調理庫の洗浄作業が面倒である問題があった。本発明は、調理庫の洗浄作業が面倒とならない加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫内の一方の側部に配置されて、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の一方の側部に配置されて、調理庫内の空気を対流させる対流ファンとを備え、対流ファンによって調理庫内の他方の側部から一方の側部に空気を吸い込んだ空気を調理庫の周壁に沿って他方の側部から一方の側部に送出して調理庫内の空気を循環させ、循環させた空気をヒータによって加熱した熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器であって、調理庫の天井壁には調理庫の側部に向けて開口した噴射口を有して洗浄水を噴射する洗浄ノズルを設け、洗浄ノズルは調理庫の天井壁から鉛直方向下向きに延出する筒形部材よりなり、噴射口を筒形部材の他方側の側面にて周方向に延びるスリットによって形成したことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0007】
上記のように構成した加熱調理器においては、調理庫の天井壁には調理庫の側部に向けて開口した噴射口を有して洗浄水を噴射する洗浄ノズルを設けた。洗浄ノズルは回転等する可動部品を備えたものでないので、調理庫内で加熱調理をしているときに洗浄ノズルを調理庫の天井壁に取り付けた状態としても、洗浄ノズルが油汚れで固着して動かなくなるような不具合が生じないようにすることができた。また、洗浄ノズルは調理庫の天井壁から鉛直方向下向きに延出する円筒形部材を用いたものであり、噴射口を筒形部材の他方側の側面にて周方向に延びるスリットによって形成したので、洗浄ノズルを単純な部品と容易な加工で製造することができた。さらに、噴射口が細いスリットにより形成されているので、噴射口から噴出される洗浄水が前後方向に広い範囲で勢いよく噴出されるようになり、調理庫内の全体に洗浄水を流すことができるようになった。
【0008】
上記のように構成した加熱調理器においては、洗浄ノズルの噴射口から噴出される洗浄水を調理庫の天井壁に向けて噴出させるようにするのが好ましい。このようにしたときには、噴出させた洗浄水が調理庫の天井壁から各側壁に沿って流れ落ち、調理庫の全体に洗浄水を流すことができるようなった
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、洗浄ノズルにより洗浄水を噴射するときに対流ファンにより調理庫内の空気を対流させるように制御するのが好ましい。このようにしたときには、洗浄ノズルから噴射させた洗浄水を調理庫内を対流する空気によって調理庫の全体に飛散させることができ、調理庫内の全体を洗浄水によって洗浄することができるようになった。この場合において、対流ファンを正方向及び逆方向で交互に回転させるのが好ましい。このようにしたときには、洗浄ノズルから噴射させた洗浄水をさらに調理庫の全体に飛散させることができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態とした正面図である。
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図4】A-A断面図である。
図5】B-B断面図である。
図6】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
図7】前後方向の中央部よりも少し後側の縦方向断面図である。
図8】排水タンクと洗浄ノズルとの間の洗浄水経路の概略図である。
図9】洗浄ノズルの左右方向に沿った縦方向断面図(a)と、C-C断面図(b)である。
図10】制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものであり、特に調理庫20内を洗浄する洗浄機能付きの加熱調理器である。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。
【0012】
図2及び図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する収容室21とし、調理庫20の左側部を収容室21に熱風を送り出す加熱室22としている。図3及び図4に示したように、調理庫20の左右方向の中央部より左側には収容室21と加熱室22を仕切る仕切板23が設けられている。仕切板23には多数の孔よりなる吸込口23aが設けられており、収容室21内の空気は吸込口23aを通って加熱室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁(これらは調理庫20の周壁に該当する)との間に通風空間23bが形成されるように調理庫20に取り付けられており、加熱室22の空気は通風空間23bを通って収容室21に送られる。
【0013】
図3及び図4に示したように、調理庫20の収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。各支持フレーム24は前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部と支持するレール24bとを備えている。
【0014】
図3及び図5に示したように、調理庫20の左側部(一方の側部)にはヒータ25と対流ファン26が設けられている。ヒータ25は調理庫20を加熱するものであり、対流ファン26は調理庫20内の空気を対流させるものである。ヒータ25は調理庫20の左側壁に環状に巻回されている。また、環状に巻回されたヒータ25の内側には対流ファン26が配置されている。ヒータ25と対流ファン26を作動させると、収容室21(調理庫20内の他方の側部)の空気は吸込口23aを通って加熱室22(調理庫20内の一方の側部)に送られ、対流ファン26から遠心方向外向きに吹き出された空気は加熱室22内にてヒータ25によって加熱されて熱風となり、加熱された熱風は仕切板23と調理庫20の各壁との間の通風空間23bを通って収容室21に送られる。図5に示したように、調理庫20の左側壁には温度センサ27が設けられており、温度センサ27は調理庫20内の温度を検出している。
【0015】
図6に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、調理庫20から排水を流すための排水タンク14の上側に立設している。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は図5に示した調理庫20の蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0016】
図3に示したように、調理庫20の天井壁には洗浄ノズル40が設けられており、洗浄ノズル40は調理庫20内に洗浄水を噴射するものである。また、図7に示したように、調理庫20の底壁には排水口20cが形成されており、排水口20cは第1排水管15によって排水タンク14に接続されている。図8に示したように、排水タンク14には第2排水管16が接続されており、第2排水管16には排水弁17が介装されている。排水タンク14内の水は排水弁17を開放することで第2排水管16を通ってハウジング11の外側に排出される。また、第2排水管16には排水弁17よりも上流側に洗浄水供給管41の導入端部が接続されており、洗浄水供給管41の導出端部は調理庫20の天井壁に設けた洗浄ノズル40に接続されている。洗浄水供給管41にはポンプ42が介装されており、排水タンク14内に貯めた洗浄水はポンプ42によって洗浄ノズル40に送られる。なお、排水タンク14には洗浄用の水(洗浄水)を供給する給水管43が接続されており、給水管43には給水弁44が介装されている。調理庫20内を洗浄するときに給水弁44を開放すると、給水管43から排水タンク14内に洗浄水が供給される。調理庫20内を洗浄するときには、排水タンク14内に洗浄水を貯えるようにするために排水弁17を閉止するようにしている。
【0017】
図3及び図9に示したように、洗浄ノズル40は調理庫20内に洗浄水を噴射するものである。洗浄ノズル40は調理庫20の天井壁から鉛直方向下向きに延出して、上下に洗浄水を通す通水路40aを有した金属製の有底の円筒形部材(筒形部材)よりなる。洗浄ノズル40は、調理庫20の左右方向の中央部よりも加熱室22(一方の側部)の方に寄せた位置に配置されている。洗浄ノズル40の右側の周面には通水路40aと連通する噴射口40bが形成されており、噴射口40bは調理庫20の加熱室22(一方の側部)と反対側の側部(他方の側部)に向けて開口している。
【0018】
図9(b)に示したように、噴射口40bは洗浄ノズル40の周方向に延びる細いスリットにより形成されている。スリットよりなる噴射口40bは洗浄ノズル40の加熱室22と反対側の側部を向く方向を中心にして前後方向に240°で開口している。噴射口40bが前後方向に240°で開口しているため、洗浄ノズル40の噴射口40bから噴射される洗浄水は加熱室22と反対側の側部(他方の側部)の前後方向に広い範囲で噴射され、調理庫20の広い範囲に洗浄水を吹き付けることができるようになる。なお、この実施形態では噴射口40bを前後方向に240°で開口させたが、これに限られるものでなく、180°以上で開口させれば前後方向に広い範囲で噴射することができる。また、スリットよりなる噴射口40bは上側に向けて8°の角度で傾斜している。噴射口40bが調理庫20の天井壁に向けて上側に傾斜しているため、洗浄水が調理庫20の天井壁から周壁に沿って流れ落ちるために、調理庫20内の全体に洗浄水を流すことができるようになるだけでなく、調理庫20の天井壁の洗い残しを減らすことができるようになった。なお、噴射口40bを上側に向けて8°で傾斜させたが、これに限られるものでなく、5°~10°の角度で傾斜させているときに、調理庫20の天井壁に噴射させやすくなる。また、洗浄ノズル40は有底の円筒形部材にスリットよりなる噴射口40bを形成したものであり、洗浄ノズル40から洗浄水を噴射させるときに回転体のような可動部材を備えないので、洗浄ノズル40を取り付けた状態で調理をした後でも、洗浄ノズル40から適切に洗浄水を噴射させるようにすることができる。
【0019】
図10に示したように、加熱調理器10は制御装置50を備えており、制御装置50は、排水弁17、ヒータ25、対流ファン26、温度センサ27、蒸気発生装置30、ポンプ42及び給水弁44に接続されている。制御装置50はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置50は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理する調理プログラムと、調理庫20内を洗浄する洗浄プログラムを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、食材の調理に応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間を記憶させた上記の各調理プログラムがROMに予め設定されているとともに、ユーザのニーズに応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間とした各調理プログラムを設定可能となっている。また、洗浄プログラムは、洗剤を含んだ洗浄水を噴射させながら循環させる1回の洗浄モードと、洗剤を含まない洗浄水を噴射させながら循環させる3回(複数回)の濯ぎモードとを実行するものである。
【0020】
調理プログラムの例えばコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって循環するとともに、蒸気発生装置30から調理庫20内に蒸気が供給されることで、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。このとき、食材に含まれる油分が対流する熱風とともに調理庫20内を飛散し、油分が調理庫20の各壁、仕切板23及び支持フレーム24等に付着することになる。この種の加熱調理器10では調理庫20内を常に衛生的に管理することが望ましいので、調理庫20を例えば使用した日毎に洗浄することが好ましい。このために、この加熱調理器10では調理庫20内を自動で洗浄する洗浄プログラムを有している。
【0021】
調理庫内を洗浄するときには、調理庫20の排水口20cに設けたに排水目皿20dの上側にキューブ形の洗剤(固形洗剤)を置いた状態で洗浄プログラムを実行させる。洗浄プログラムは、洗剤を含んだ洗浄水で洗浄する洗浄モードと、洗剤を含まない洗浄水で濯ぎ洗浄をする3回の濯ぎモードを実行する。洗浄モードを開始すると、排水弁17を閉止するとともに給水弁44を所定時間開放することで、排水タンク14内に洗浄水が貯えられるようになる。排水タンク14内に洗浄水を貯えるようにしているときに、蒸気発生装置30を作動させて調理庫20内に蒸気を供給するようにして、調理庫20の周壁に付着している油分等の汚れを浮かせるようにするのが好ましい。
【0022】
排水タンク14内に洗浄水が貯まった後でポンプ42を作動させると、排水タンク14内に貯えられた洗浄水は洗浄水供給管41を通って洗浄ノズル40に送られる。洗浄水は洗浄ノズル40の噴射口40bから調理庫20の収容室21における加熱室22と反対側の側部に向けて前後方向に広範囲に拡がって吹き付けられる。また、噴射口40bが調理庫20の天井壁に向けて上側に傾斜しているために、噴射口40bから吹き出される洗浄水は調理庫20の天井壁にも吹き付けられる。噴射口40bから吹き付けられた洗浄水は調理庫20の天井壁から周壁に沿って流れ落ちる。調理庫20の周壁を流れ落ちた洗浄水は排水口20cから第1排水管16を通って再び排水タンク14に戻る。排水タンク14に戻った洗浄水はポンプ42によって再び洗浄ノズル40に送られ、洗浄水は調理庫20と排水タンク14とを循環するようになる。このとき、排水目皿20dの上側に置いた洗剤が洗浄水に溶けるようになり、洗浄水は洗剤を含むようになる。
【0023】
また、洗浄プログラムを実行しているときには、ヒータ25と対流ファン26を作動させている。洗浄ノズル40の噴射口40bから噴き出された洗浄水は、対流ファン26によって対流させている空気によってさらに調理庫20の周壁の隅々まで吹き付けられるようになっている。すなわち、調理庫20内では収容室21内の空気が対流ファン26により吸込口23aを通って加熱室22に吸い込まれ、吸い込まれた空気は加熱室22から通風空間23bを通って収容室21に送られ、調理庫20内の空気は収容室21と加熱室22との間を対流している。噴射口40bから調理庫20の右方に向けて吹き付けられる洗浄水はこの対流する空気によって調理庫20の周壁の隅々まで吹き付けられるようになる。
【0024】
また、対流ファン26の作動とともにヒータ25も作動させているために、調理庫20内を対流する空気は加熱され、加熱された空気は洗浄ノズル40から調理庫20内に吹き付けられた洗浄水を温めるようになる。このように、洗浄プログラムを実行しているときヒータ25と対流ファン26とを作動させることで、洗浄ノズル40の噴射口40bから噴き出される洗浄水は油汚れを落としやすい高い温度状態となって、調理庫20の周壁、仕切板23及び支持フレーム24の隅々まで吹き付けられるようになり、調理庫20の周壁等に付着している油汚れを落としやすくすることができた。さらに、対流ファン26を正方向と逆方向で交互に回転させるようにして、調理庫20内を対流する空気の流れを変えるようにしている。このようにしていることで、洗浄ノズル40の噴射口40bから噴き出された洗浄水は対流ファン26の正方向で回転させたときと逆方向で回転させたときで変わる空気の流れにより調理庫20内のさらに隅々まで吹き付けられるようになっている。洗浄プログラムの洗浄モードを所定時間実行すると、ヒータ25と対流ファン26とポンプ42の作動を停止させ、排水弁17を開放して排水タンク14内の洗剤を含んだ洗浄水を排水する。
【0025】
洗浄プログラムの洗浄モードが終了すると、濯ぎモードを実行する。濯ぎモードでは、排水弁17を閉止するとともに給水弁44を所定時間開放することで、排水タンク14内に濯ぎ用の洗浄水を貯えるようにする。その後、ポンプ42を作動させると、排水タンク14内に貯えられた洗浄水は洗浄水供給管41を通って洗浄ノズル40に送られ、上述した洗浄モードと同様に、洗浄ノズル40の噴射口40bから噴き出される洗浄水は調理庫20の周壁、仕切板23及び支持フレーム24の隅々まで吹き付けられるようになり、洗浄モードに吹き付けられた洗剤を含んだ洗浄水を洗い流すようにすることができる。この濯ぎモードでも、ヒータ25と対流ファン26を作動させるとともに、対流ファン26を正方向と逆方向とで交互に回転させるようにしている。洗浄プログラムの濯ぎモードを所定時間実行すると、ヒータ25と対流ファン26とポンプ42の作動を停止させ、排水弁17を開放して排水タンク14内の濯ぎに用いた洗浄水を排水する。なお、この実施形態では濯ぎモードを複数回として3回実行して洗浄プログラムを終了する。
【0026】
上記のように構成した加熱調理器10においては、調理庫20の天井壁には側部に向けて開口した噴射口40bを有して洗浄水を噴射する洗浄ノズル40を設けた。洗浄ノズル40は回転等する可動部品を備えたものでないので、調理庫20内で加熱調理をしているときに洗浄ノズル40を調理庫20の天井壁に取り付けた状態としても、洗浄ノズル40が油汚れで固着して動かなくなるような不具合が生じないようにすることができた。
【0027】
また、この実施形態では、洗浄ノズル40の噴射口40bはヒータ25及び対流ファン26が配置されている一方の側部(調理庫20の左側部)と反対側の他方の側部(調理庫20の右側部)に向けて開口している。また、調理庫20のヒータ25及び対流ファン26が配置されている加熱室22と反対側は食材を収容して加熱調理させる収容室21であり、噴射口40bを収納室21の右側部に向けて開口させたので、調理庫20の収容室21に付着している油汚れを洗い流しやすくすることができた。
【0028】
また、洗浄ノズル40の噴射口40bをヒータ25及び対流ファン26が配置されている一方の側部に向けて開口させてもよい。このようにしたときには、噴射口40bから噴出された洗浄水が対流ファン26によって飛散されて調理庫20の全体に吹き付けられるようになる。
【0029】
また、洗浄ノズル40の噴射口40bから噴出される洗浄水を調理庫20の天井壁に向けて噴出させるようにしている。これによって、噴出させた洗浄水が調理庫の天井壁から各側壁に沿って流れ落ち、調理庫20の全体に洗浄水を流すことができるだけでなく、汚れの残りやすい調理庫20の天井壁を洗浄水で洗い流しやすくすることができるようなった。
【0030】
また、洗浄ノズル40は調理庫20の天井壁から鉛直方向下向きに延出する円筒形部材を用いたものであり、噴射口40bを洗浄ノズル40の加熱室22と反対側(他方側)の側面にて周方向に延びるスリットによって形成したので、洗浄ノズル40を単純な部品と容易な加工で製造することができた。さらに、噴射口40bが細いスリットにより形成されているので、噴射口40bから噴出される洗浄水が前後方向に広い範囲で勢いよく噴出されるようになり、調理庫20内の全体に洗浄水を流すことができるようになった。
【0031】
この実施形態の加熱調理器10では、洗浄ノズル40の噴射口40bにより洗浄水を噴射するときに、対流ファン26により調理庫20内の空気を対流させるように制御するしている。洗浄ノズル40の噴射口40bは調理庫20の加熱室22の反対側を向いていて、洗浄水は噴射口40bから加熱室22の反対側にのみ噴き出されることになるが、対流ファン26によって調理庫20内を対流する空気によって加熱室22側にも飛散させることができ、調理庫20内の周壁に付着している汚れを隅々にまで洗浄水で洗い落とすことができるようになった。この場合に、対流ファン26を正方向及び逆方向で交互に回転させるようにしているので、洗浄水は対流ファン26の正方向と逆方向で回転させたときで変わる空気の流れによって調理庫20内のさらに隅々まで飛散するようになり、調理庫20内の周壁に付着している汚れを隅々にまで洗浄水で洗い落とすことができるようになった。
【0032】
この実施形態では、調理庫20の一方の側部として左側部にヒータ25と対流ファン26を設け、洗浄ノズル40の噴射口40bを他方の側部として調理庫20の右側部に向けるようにしたが、本発明はこれに限られるものでなく、調理庫20の一方の側部として右側部にヒータ25と対流ファン26を設け、洗浄ノズル40の噴射口40bを他方の側部として調理庫20の左側部に向けるようにしてもよいし、調理庫20の一方の側部として後側部にヒータ25と対流ファン26を設け、洗浄ノズル40の噴射口40bを他方の側部として調理庫20の前側部に向けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0033】
10…加熱調理器、20…調理庫、25…ヒータ、26…対流ファン、40…洗浄ノズル、40b…噴射口。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10