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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 1/00 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
F24C1/00 370A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018023034
(22)【出願日】2018-02-13
(65)【公開番号】P2019138572
(43)【公開日】2019-08-22
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155099
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 裕輔
(72)【発明者】
【氏名】坪内 俊志
(72)【発明者】
【氏名】田中 克幸
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
(72)【発明者】
【氏名】小野 啓太
(72)【発明者】
【氏名】増田 翔太郎
(72)【発明者】
【氏名】野尻 元已
(72)【発明者】
【氏名】足立 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】藤田 晃央
(72)【発明者】
【氏名】杉田 敦
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-150775(JP,A)
【文献】特開2016-217610(JP,A)
【文献】特開2015-105801(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を加熱調理するための調理庫と、
前記調理庫内の一方の側部に配置されて、前記調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、
前記調理庫内の前記一方の側部にて前記対流ファンの空気の吹き出し側に配置されて、前記調理庫内を加熱するヒータと、
前記調理庫の前記対流ファンの吸込部と対向する位置に設けられて、前記調理庫内を前記対流ファンと前記ヒータとにより熱風を生成する加熱室と、食材を収容する収容室とに仕切る仕切板とを備え、
前記対流ファンにより吹き出した空気を前記ヒータによって加熱して熱風とし、前記調理庫内の食材を対流する熱風によって加熱調理する加熱調理器であって、
前記調理庫内の前記一方の側部には前記対流ファンの吸込部に流入するように水を噴出して前記調理庫内を加湿する加湿ノズルを設け、前記加湿ノズルから噴出させた水を前記仕切板に当ててから前記対流ファンの吸込部に吸い込ませるようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
請求項に記載の加熱調理器において、
手動操作によって前記加湿ノズルから水を噴出させるようにしたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理器において、
前記加湿ノズルの1回当たりの水の噴出時間または噴出量が上限を超えたときに、手動操作をしても前記加湿ノズルから水を噴出させないように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項4】
請求項1~の何れか1項に記載の加熱調理器において、
前記加湿ノズルの一定時間内の水の噴出回数が上限を超えたときに、手動操作をしても前記加湿ノズルから水を噴出させないように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【請求項5】
請求項1~の何れか1項に記載の加熱調理器において、
前記調理庫内の温度を検出する温度センサを設け、
前記温度センサの検出温度が上限温度を超えたときに、手動操作をしても前記加湿ノズルから水を噴出させないように制御したことを特徴とする加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スチームコンベクションオーブン等の熱風によって食材を加熱調理する加熱調理器に関し、特に、調理庫内を手動で加湿させることのできる加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
下記の特許文献1には、熱風により食材を加熱調理する加熱調理器が開示されており、この加熱調理器は、ハウジング内に設けた調理庫と、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内に蒸気を供給する蒸気発生装置とを備えている。この加熱調理器で調理プログラムを実行したときには、ヒータと対流ファンとの作動により、調理庫内の空気は熱風になって循環するとともに、蒸気発生装置から調理庫内に蒸気が供給されることで、調理庫内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-040427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に記載の加熱調理器では、蒸気発生装置から調理庫内に蒸気を供給するようにして、調理庫内に収容した食材を蒸気を含んだ熱風によって加熱調理している。パン等の食材を加熱調理するときには、調理人が必要に応じて一時的に調理庫内を湿度を高くしたいときがある。しかし、蒸気発生装置は、蒸気発生容器内に貯えた水を発熱する加熱体により加熱して蒸気を発生させるものであるため、蒸気発生容器内の水が沸騰するまでに時間を要することになり、調理庫内に必要なタイミングで素早く蒸気を送って加湿することができなかった。本発明は、調理庫内を必要なタイミングで素早く加湿できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、食材を加熱調理するための調理庫と、調理庫内の一方の側部に配置されて、調理庫内の空気を対流させる対流ファンと、調理庫内の一方の側部にて対流ファンの空気の吹き出し側に配置されて、調理庫内を加熱するヒータと、調理庫の対流ファンの吸込部と対向する位置に設けられて、調理庫内を対流ファンとヒータとにより熱風を生成する加熱室と、食材を収容する収容室とに仕切る仕切板とを備え、対流ファンにより吹き出した空気をヒータによって加熱して熱風とし、調理庫内の食材を対流する熱風によって加熱調理する加熱調理器であって、調理庫内の一方の側部には対流ファンの吸込部に流入するように水を噴出して調理庫内を加湿する加湿ノズルを設け、加湿ノズルから噴出させた水を仕切板に当ててから対流ファンの吸込部に吸い込ませるようにしたことを特徴とする加熱調理器を提供するものである。
【0006】
上記のように構成した加熱調理器においては、調理庫内の一方の側部には対流ファンの吸込部に向けて水を噴出して調理庫内を加湿する加湿ノズルを設けたので、加湿ノズルから噴出させた水は対流ファンによってヒータに吹き付けられて素早く蒸気となり、調理庫内を素早く加湿することができるようになった。また、加湿ノズルから噴出させた水を仕切板に当ててから対流ファンの吸込部に吸い込ませるようにしたので、仕切板に当てられた水が拡がった後で対流ファンの吸込部に吸い込まれるため、対流ファンから吹き出される水を細かく飛散させることができ、さらに素早く蒸気として加湿させることができるようになった。
【0008】
上記のように構成した加熱調理器においては、手動操作によって加湿ノズルから水を噴出させるようにするのが好ましい。このようにしたときには、調理人が所望のタイミングで調理庫内を加湿することができるようになった。
【0009】
上記のように構成した加熱調理器においては、高温の調理庫に加湿ノズルから多量の水を噴出させると、調理庫の周壁の一部で局所的に温度が低下し、調理庫の周壁が変形するおそれがある。この加熱調理器では、加湿ノズルの1回当たりの水の噴出時間または噴出量が上限を超えたときに、手動操作をしても加湿ノズルから水を噴出させないように制御したので、調理庫の周壁の一部で局所的に温度が低下するのを防ぎ、調理庫の周壁が変形するのを防ぐことができた。同様に、加湿ノズルの一定時間内の水の噴出回数が上限を超えたときに、手動操作をしても加湿ノズルから水を噴出させないように制御するのが好ましい。さらに、調理庫内の温度を検出する温度センサを設け、温度センサの検出温度が上限温度を超えたときに、手動操作をしても加湿ノズルから水を噴出させないように制御するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の加熱調理器の一実施形態の正面図である。
図2図1の扉を開いた状態とした正面図である。
図3】前後方向の中央部における縦方向断面図である。
図4】A-A断面図である。
図5】B-B断面図である。
図6図5の斜視図である。
図7】加湿ノズルの断面図である。
図8】ハウジングの左パネルを取り外して機械室が見えるようにした左側面図である。
図9】制御装置のブロック図である。
図10】芯温センサの概略図である。
図11】C-C断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の加熱調理器の一実施形態を添付図面を参照して説明する。本発明の加熱調理器は、スチームコンベクションオーブンと呼ばれるもので、蒸気を含んだ熱風を対流させて食材を加熱調理するものである。図1に示したように、加熱調理器10は、ハウジング11内の左側部に機械室12と、ハウジング11内の機械室12を除いた部分に食材を加熱調理するための調理庫20とを備えている。図2に示したように、調理庫20の前面部には食材を出し入れする開口部20aが設けられており、開口部20aにはこれを開閉する扉13が設けられている。
【0012】
図2及び図3に示したように、調理庫20は食材を収容して加熱調理するためのものであり、調理庫20の左側部を除く部分を食材を収容する収容室21とし、調理庫20の左側部を収容室21に熱風を送り出す加熱室22としている。図3及び図4に示したように、調理庫20の左右方向の中央部より左側には収容室21と加熱室22を仕切る仕切板23が設けられている。仕切板23には多数の孔よりなる吸込口23aが設けられており、収容室21内の空気は吸込口23aを通って加熱室22に送られる。また、仕切板23は調理庫20の天井壁、底壁、前壁及び後壁との間に通風空間23bが形成されるように調理庫20に取り付けられており、加熱室22の空気は通風空間23bを通って収容室21に送られる。
【0013】
図3及び図4に示したように、調理庫20の収容室21にはホテルパンと呼ばれるトレイを上下に多段状に支持する左右一対の支持フレーム24が設けられている。各支持フレーム24は前後一対の支柱24aと、前後の支柱24aに固定されてトレイの左右の縁部と支持するレール24bとを備えている。
【0014】
図3及び図5に示したように、調理庫20の左側部(一方の側部)にはヒータ25と対流ファン26と加湿ノズル27が設けられている。ヒータ25は調理庫20を加熱するものであり、対流ファン26は調理庫20内の空気を対流させるものであり、加湿ノズル27は調理庫20内を加湿するものである。ヒータ25は調理庫20の左側壁に環状に巻回されている。また、環状に巻回されたヒータ25の内側には対流ファン26が配置されているいる。対流ファン26は右側を吸込部26aとしており、収容室21内の空気は仕切板23の吸込口23aを通って対流ファン26の吸込部26aに吸い込まれ、遠心方向外向きに吹き出される。対流ファン26から遠心方向外向きに吹き出された空気はヒータ25を通る際に加熱されて熱風となって通風空間23bを通って収容室21に送られる。
【0015】
図6及び図7に示したように、加湿ノズル27は調理庫20内に一時的に加湿するものである。加湿ノズル27は調理庫20の左側壁から右側に向けて突出する円筒形をしている。加湿ノズル27には水道などの給水源から導出した給水管28が接続されている。また、給水管28には給水弁28a(図9に示した)が介装されており、給水源の水は給水弁28aの開放によって給水管28を通って加湿ノズル27に送られる。加湿ノズル27の周面の先端部には水を噴出させる噴出口27aが形成されており、噴出口27aは加湿ノズル27の軸線方向と直交する仮想的な鉛直平面よりも収容室21側となる仕切板23に向けて30°で傾斜している。噴出口27aから噴出される水は一旦仕切板23に当てられて拡がり、仕切板23に当てられた水は対流ファン26の吸込部26aに吸い込まれる。対流ファン26の吸込部26aに吸い込まれた水は空気とともに遠心方向外向きに吹き出されてヒータ25に当たって蒸気となり、蒸気は空気とともに通風空間23bを通って収容室21に送られる。図5及び図6に示したように、調理庫20の左側壁には温度センサ29が設けられており、温度センサ29は調理庫20内の温度を検出している。
【0016】
図8に示したように、ハウジング11の機械室12には調理庫20内に蒸気を供給する蒸気発生装置30が設けられている。蒸気発生装置30は、誘導加熱によって水を加熱して蒸気を発生させるものであり、調理庫20から排水を流すための排水タンク14の上側に立設している。蒸気発生装置30は、所定の水位の水を貯えた筒形の蒸気発生容器31と、蒸気発生容器31内の水を加熱する加熱体(図示省略)と、蒸気発生容器31の外周に巻回されて加熱体を発熱させる誘導加熱コイル32と、蒸気発生容器31内で発生した蒸気を調理庫20に送出する蒸気送出筒33とを備えている。蒸気送出筒33は図5に示した調理庫20の蒸気導入口20bに接続されており、蒸気発生容器31内で発生した蒸気は蒸気送出筒33を通って蒸気導入口20bから調理庫20内に送られる。
【0017】
図9に示したように、加熱調理器10は制御装置40を備えており、制御装置40は、ヒータ25、対流ファン26、給水弁28a、温度センサ29及び蒸気発生装置30に接続されている。制御装置40はマイクロコンピュータ(図示省略)を有しており、マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続されたCPU、RAM、ROM及びタイマ(いずれも図示省略)を備えている。制御装置40は、ROMに調理庫20内の食材を加熱調理する調理プログラムとを備えている。調理プログラムは、ヒータ25と対流ファン26を作動させて対流する熱風により食材を加熱調理するホットエアーモード調理プログラムと、対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ熱風により食材を加熱調理するスチームモード調理プログラムと、ヒータ25と対流ファン26と蒸気発生装置30を作動させて対流する蒸気を含んだ高温の熱風により食材を加熱調理するコンビモード調理プログラムとの3種類の調理プログラムを備えている。なお、食材の調理に応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間を記憶させた上記の各調理プログラムがROMに予め設定されている。また、ユーザのニーズに応じた調理庫20内の設定温度、蒸気量及び調理時間等の調理条件を各調理プログラムで設定可能となっている。制御装置40はハウジング11の正面に設けた操作パネル41に接続されており、操作パネル41の操作によって上記の調理プログラムの選択及び調理条件の設定入力が可能となっている。
【0018】
操作パネル41には調理庫20内を一時的に加湿させる加湿操作ボタン(図示省略)が設けられており、加湿操作ボタンの押動操作によって給水弁28aが開放されて加湿ノズル27から水が噴出され、調理庫20内が一時的に加湿されるようになる。また、制御装置40は加湿操作ボタンの押動操作による加湿ノズル27から水を噴出させるのを一定の条件で制限しており、高温の調理庫20に加湿ノズル27から多量の水が噴出させないようにして、調理庫20の周壁の一部が局所的に温度低下して、調理庫20の周壁が変形するのを防いでいる。具体的には、制御装置40は、加湿ノズル27の1回の押動操作による噴出時間(噴出量)が上限として例えば10秒(例えば20ml)を超えたときに、加湿操作ボタンを押動操作しても加湿ノズル27から水を噴出させないように制御している。また、制御装置40は、加湿ノズル27の一定時間として例えば5分内の水の噴出回数が上限として例えば5回を超えたときに、加湿操作ボタンを押動操作しても加湿ノズル27から水を噴出させないように制御している。制御装置40は、温度センサ29の検出温度が所定の上限温度として例えば260℃を超えているときに、加湿操作ボタンを押動操作しても加湿ノズル27から水を噴出させないように制御している。
【0019】
図10に示したように、この加熱調理器10は、食材の芯温を検知するための芯温センサ42を備えており、この芯温センサ42は制御装置40に接続されている。芯温センサ42は食材に突き刺す測定棒42aを備え、測定棒42a内には熱電対よりなる3つの測定部42b~42dが設けられている。各測定部42b~42dは測定棒42aの先端部、中間部及び基端部に配置され、各測定部42b~42dは制御装置40に対して並列に接続されている。各測定部42b~42dで検出された温度は制御装置40に入力され、制御装置40は操作パネル41の表示部(図示省略)に表示させる。各測定部42b~42dを制御装置40に対して並列に接続しているので、各測定部42b~42dの温度を同時に検知できるだけでなく、各測定部42b~42dの一つが断線等で温度を検知できないようになっても、各測定部42b~42dの残るもので温度を検知できる。
【0020】
この加熱調理器10で、調理プログラムの例えばコンビモード調理プログラムを実行したときには、ヒータ25と対流ファン26との作動により、調理庫20内の空気は熱風になって循環するとともに、蒸気発生装置30から調理庫20内に蒸気が供給されることで、調理庫20内に収容した食材は蒸気を含んだ熱風によって加熱調理される。パン生地(食材)を焼成(加熱調理)するときには、表面をカリッと仕上げるために、パンの焼き加減を確認しながら調理庫20内を一時的に素早く加湿する必要がある。
【0021】
調理庫20内を加湿するタイミングとなり、調理人が操作パネル41の加湿操作ボタンを押動操作すると、制御装置40は給水弁28aを開放して、図11に示したように、加湿ノズル27の噴出口27aから水が噴出される(2点鎖線の直線Aで示した)。噴出された水は一旦仕切板23に当てられて拡がり、仕切板23に当てられた水は対流ファン26の吸込部26aから吸い込まれる(2点鎖線の矢印Bで示した)。対流ファン26の吸込部26aから吸い込まれた水は空気とともに遠心方向外向きに吹き出されて外側のヒータ25に当たって蒸気となり、蒸気は空気とともに通風空間23bを通って収容室21に送られる(2点鎖線の矢印Cで示した)。収容室21内に収容したパン生地は加湿操作ボタンを押動操作して直ぐに供給される蒸気により加湿される。パン生地は高温の調理庫20内で一時的に加湿された後で、加湿された後のパン生地に含まれる水分が高温の調理庫20内で蒸発するので、パン生地は表面がカリッとした食感で焼成されるようになる。
【0022】
上記のように構成した加熱調理器10においては、調理庫20内の左側部(一方の側部)には対流ファン26の吸込部26aに吸い込まれるように水を噴出して調理庫20内を加湿する加湿ノズル27を設けた。加湿ノズル27から噴出させた水は対流ファン26によってヒータ25に吹き付けられて素早く蒸気となり、調理庫20内を適切なタイミングで素早く加湿することができるようになった。特に、この加熱調理器10は蒸気発生装置30を備えており、蒸気発生装置30から調理庫20内に蒸気を送出するようにしたものである。蒸気発生装置30は蒸気発生容器31内の水を加熱して沸騰させて蒸気を発生させるものであるので、蒸気発生容器31内の水を沸騰させて蒸気を発生させるまでに時間を要することになり、蒸気発生装置30から一時的でも素早く調理庫20内に蒸気を送出することができなかった。これに対し、加湿ノズル27から噴出させる水を対流ファン26によってヒータ25に吹き付けて蒸気を発生させるようにしているので、蒸気発生装置30で蒸気を送出させるよりも素早く蒸気を発生させて調理庫20内を加湿することができるようになった。また、加湿ノズル27から噴出される水を調理庫20の収容室21側で噴出させると、噴出させた水が食材に直接付着して食材の加湿むらが生じるおそれがある。これに対し、加湿ノズル27から噴出される水を対流ファン26の吸込部26aに流入させるようにし、吸込部26aからヒータ25に吹き付けて蒸気として収容室21に送出するようにしているので、収容室21内の食材に蒸気が均一に届くようになり、収容室21内の食材に加湿むらが生じるのを防ぐことができた。
【0023】
また、調理庫20は対流ファン26の吸込部26aと対向する位置に、ヒータ25と対流ファン26とにより熱風を生成する加熱室22と、食材を収容する収容室21とを仕切る仕切板23を設け、加湿ノズル27から噴出させた水を仕切板23に当ててから対流ファン26の吸込部26aに吸い込ませるようにしている。このようにしたことで、仕切板23に当てられた水が拡がった後で対流ファン26の吸込部26aに吸い込まれるため、対流ファンから吹き出される水を細かく飛散させることができ、さらに素早く蒸気として加湿させることができるようになった。
【0024】
また、この加熱調理器10においては、加湿ノズル27を加湿操作ボタンの手動操作によって水を噴出させるようにしている。これにより、調理人が所望のタイミングで調理庫20内を加湿することができるようになった。高温の調理庫20に加湿ノズル27から一度に多量の水を噴出させると、調理庫20の周壁の一部で局所的に温度が低下し、調理庫20の周壁が変形するおそれがある。これに対し、この加熱調理器10では、加湿ノズル27の1回当たりの水の噴出時間または噴出量が上限を超えたときに、加湿操作ボタンを押動操作しても加湿ノズル27から水を噴出させないように制御している。これにより、調理庫20の周壁は一部で局所的に温度が低下しないようになり、調理庫20の周壁が変形するのを防ぐことができた。なお、加湿ノズル27の一定時間内の水の噴出回数が上限を超えたときに、加湿操作ボタンを押動操作しても加湿ノズル27から水を噴出させないように制御したとき、調理庫20内の温度を検出する温度センサ29の検出温度が上限温度を超えたときに、加湿操作ボタンを押動操作しても加湿ノズル27から水を噴出させないように制御したときにも、調理庫20の周壁は一部で局所的に温度が低下しないようになり、調理庫20の周壁が変形するのを防ぐことができた。
【0025】
この実施形態では、調理庫20の一方の側部として左側部にヒータ25と対流ファン26と加湿ノズル27を設けたが、本発明はこれに限られるものでなく、調理庫20の一方の側部として右側部または後側部にヒータ25と対流ファン26と加湿ノズル27を設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0026】
10…加熱調理器、20…調理庫、21…収容室、22…加熱室、23…仕切板、25…ヒータ、26…対流ファン、26a…吸込部、27…加湿ノズル、29…温度センサ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11