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特許7080686建設機械の支援装置、支援方法、支援プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】建設機械の支援装置、支援方法、支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20220530BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20220530BHJP
   G01C 21/26 20060101ALN20220530BHJP
【FI】
E02F9/20 N
E02F9/26 B
G01C21/26 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018050747
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019163597
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】因藤 雅人
【審査官】湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-057712(JP,A)
【文献】特開2003-027528(JP,A)
【文献】特開2006-092017(JP,A)
【文献】特開2002-091547(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0163773(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/26
G01C 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設機械の時系列的な位置に関する位置情報の履歴に基づき探索された、所定の起点位置から前記建設機械に向かう経路を表示部に表示させる、
建設機械の支援装置。
【請求項2】
直近で建設機械が運搬車から下された際に取得された前記建設機械の位置に関する位置情報に基づき探索された、所定の起点位置から前記建設機械が運搬車から下ろされた位置に向かう経路を公開されたAPIへアクセスして返信される地図画像に重畳させる形で表示部に表示させる、
建設機械の支援装置。
【請求項3】
前記位置情報は、直近で前記建設機械が運搬車から下された際に取得された前記建設機械の位置情報を含む、
請求項1に記載の建設機械の支援装置。
【請求項4】
前記表示部を搭載し、
前記位置情報を保持する外部装置に前記経路を前記表示部に表示させるための情報を要求する要求部と、
前記要求部からの要求に応じて前記外部装置から送信される、前記情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記情報に基づき、前記経路を前記表示部に表示させる表示制御部と、を備える、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の建設機械の支援装置。
【請求項5】
前記建設機械から前記位置情報を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記位置情報を記憶する記憶部と、
ユーザの利用端末からの要求に応じて、前記記憶部に記憶された前記位置情報に基づき探索された前記経路を前記利用端末の前記表示部に表示させるための情報を、前記利用端末に送信する送信部と、を備える、
請求項1乃至3の何れか一項に記載の建設機械の支援装置。
【請求項6】
建設機械の支援装置が実行する支援方法であって、
建設機械の時系列的な位置に関する位置情報の履歴に基づき探索された、所定の起点位置から前記建設機械に向かう経路を表示部に表示させる、
支援方法。
【請求項7】
建設機械の支援装置が実行する支援方法であって、
直近で建設機械が運搬車から下された際に取得された前記建設機械の位置に関する位置情報に基づき探索された、所定の起点位置から前記建設機械が運搬車から下ろされた位置に向かう経路を公開されたAPIへアクセスして返信される地図画像に重畳させる形で表示部に表示させる、
支援方法。
【請求項8】
建設機械の支援装置に請求項6又は7に記載の支援方法を実行させる、
支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械の支援装置、支援方法、及び、支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
建設機械の位置情報等を管理する管理システムが知られている(例えば、特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許4262180号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、サービスマン等がメンテナンス対象の建設機械の作業現場に向かう際に、建設機械の現在の位置情報を用いて、経路案内を行っても、サービスマン等が当該建設機械に辿りつけない可能性がある。
【0005】
例えば、建設機械は、公道以外で作業する場合が多い。そのため、通常の経路探索手法では、一般的な地図情報から直接的に建設機械に辿りつくための経路を探索することができず、通常、建設機械の位置情報の最寄りの公道上の地点を目的地とする経路案内が行われる場合が多い。その結果、二次元の地図上では、最寄りの地点であっても、実際は、当該地点と建設機械の現在の位置との間に、崖、階段、悪路等が存在し、仮に、サービスマンが当該地点に向かったとしても、建設機械に辿りつけない可能性がある。
【0006】
そこで、上記課題に鑑み、サービスマン等に対して、作業現場の建設機械まで辿りつくことが可能な経路案内を行う建設機械の支援装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態において、
建設機械の時系列的な位置に関する位置情報の履歴に基づき探索された、所定の起点位置から前記建設機械に向かう経路を表示部に表示させる、
建設機械の支援装置が提供される。
また、本発明の他の実施形態において、
直近で建設機械が運搬車から下された際に取得された前記建設機械の位置に関する位置情報に基づき探索された、所定の起点位置から前記建設機械が運搬車から下ろされた位置に向かう経路を公開されたAPIへアクセスして返信される地図画像に重畳させる形で表示部に表示させる、
建設機械の支援装置が提供される。
【0008】
また、本発明の更に他の実施形態は、支援方法及び支援プログラムにより実現される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、サービスマン等に対して、作業現場の建設機械まで辿りつくことが可能な経路案内を行う建設機械の支援装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】経路案内システムの構成の一例を示す概略図である。
図2】経路案内システムの構成の一例を示す構成図である。
図3】経路案内システムの動作を示すシーケンス図である。
図4】比較例に係る経路案内画像及び本実施形態に係る経路案内表示の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る経路案内表示の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[経路案内システムの概要]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る経路案内システムSYSについて説明する。
【0012】
図1は、経路案内システムSYSの構成の一例を示す概略図である。
【0013】
経路案内システムSYSは、ショベル100と、支援端末装置200と、管理端末装置300を含み、支援端末装置200のユーザ(例えば、サービスマン等)に対して、支援端末装置200を通じて、作業現場のショベル100に向かうための経路案内を行う。
【0014】
<ショベルの概要>
ショベル100(建設機械の一例)は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回機構2を介して旋回自在に搭載される上部旋回体3と、上部旋回体3に取り付けられる作業機としてのアタッチメントを含む。
【0015】
具体的には、アタッチメントは、ブーム4、アーム5、及び、バケット6を中心とする掘削アタッチメントとして構成される。上部旋回体3の前部中央付近には、ブーム4が俯仰可能(上下回動可能)に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5が上下回動可能に取り付けられ、且つ、アーム5の先端には、バケット6が上下回動可能に取り付けられている。ブーム4、アーム5、及び、バケット6は、それぞれ、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及び、バケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0016】
また、上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。
【0017】
ショベル100は、例えば、基地局を末端とする移動体通信網やインターネット等を含む所定の通信ネットワークNWを通じて、管理端末装置300と相互に通信を行うことができる。これにより、ショベル100は、自己の位置情報等の各種情報を管理端末装置300に送信(アップロード)することができる。詳細は、後述する。
【0018】
<支援端末装置の概要>
支援端末装置200(支援装置及び利用端末の一例)は、経路案内の対象のユーザ(例えば、サービスマンや作業現場に向かう作業者等)が所持する携帯端末である。支援端末装置200は、例えば、ユーザが所持する汎用のノートPC、タブレット端末、スマートフォン等である。また、支援端末装置200は、経路案内用の専用端末(例えば、サービスマン等が利用するサービスカーに車載されるカーナビゲーション端末装置)であってもよい。
【0019】
支援端末装置200は、通信ネットワークNWを通じて、管理端末装置300と相互に通信を行うことができる。これにより、支援端末装置200は、管理端末装置300から送信される経路案内を行うための情報を受信し、自己に搭載される後述の表示装置204を通じて、ユーザに対するショベル100に向かう経路案内を行うことができる。詳細は、後述する。
【0020】
<管理端末装置の概要>
管理端末装置300(支援装置及び外部装置の一例)は、ショベル100及び支援端末装置200と地理的に離れた位置に配置される端末装置である。管理端末装置300は、例えば、ショベル100が作業する作業現場外に設けられる管理センタ等に設置され、一又は複数のサーバコンピュータ等を中心に構成されるサーバ装置である。この場合、サーバ装置は、経路案内システムSYSを運用する事業者或いは当該事業者に関連する関連事業者が運営する自社サーバであってもよいし、いわゆるクラウドサーバであってもよい。また、管理端末装置300は、ショベル100の作業現場内の管理事務所等に配置される定置型或いは携帯型のコンピュータ端末であってもよい。
【0021】
管理端末装置300は、上述の如く、通信ネットワークNWを通じて、ショベル100及び支援端末装置200のそれぞれと相互に通信を行うことができる。これにより、管理端末装置300は、ショベル100からアップロードされる各種情報を受信し、記憶しておくことができる。また、管理端末装置300は、支援端末装置200から送信される要求信号を受信し、支援端末装置200の表示装置204を通じてユーザに経路案内を行うための情報を送信することができる。
【0022】
[経路案内システムの具体的な構成]
図1に加えて、図2を参照して、経路案内システムSYS(ショベル100、支援端末装置200、管理端末装置300)の具体的な構成について説明する。
【0023】
図2は、経路案内システムSYSの構成の一例を示す構成図である。
【0024】
<ショベルの構成>
ショベル100は、エンジン11と、メインポンプ14と、パイロットポンプ15と、コントロールバルブ17と、操作装置26と、コントローラ30と、エンジン制御装置74と、を含む。
【0025】
エンジン11は、ショベル100の駆動源であり、例えば、上部旋回体3の後部に搭載される。エンジン11は、例えば、軽油を燃料とするディーゼルエンジンである。エンジン11は、例えば、エンジン制御装置74による制御の下、所定の回転数を維持するように動作する。エンジン11の回転軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15の回転軸に接続され、エンジン11の動力は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15に伝達される。
【0026】
メインポンプ14は、作動油ライン16を介して作動油をコントロールバルブ17に供給する。メインポンプ14は、例えば、斜板式可変容量型油圧ポンプであり、斜板傾転角の変化に応じて1回転当たりの吐出流量が変化する。メインポンプ14の斜板傾転角は、例えば、レギュレータ14aにより制御される。レギュレータ14aは、例えば、コントローラ30からの制御電流の変化に応じて、斜板傾転角を変化させることができる。ショベル100には、例えば、メインポンプ14の吐出圧を検出する吐出圧センサや斜板傾転角を検出する傾転角センサ等が取り付けられている。
【0027】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介して操作装置26等の各種油圧制御機器に作動油を供給する。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量型油圧ポンプである。
【0028】
コントロールバルブ17は、ショベル100の各種動作要素を油圧駆動する油圧アクチュエータに関する作動油の流れを制御する油圧制御装置であり、各種動作要素に対応する複数の流量制御弁を含む。コントロールバルブ17は、操作装置26の操作方向及び操作量に対応するパイロット圧の変化に応じて、メインポンプ14から作動油ライン16を通じて受け入れた作動油を一又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給する。油圧アクチュエータは、動作要素としてのブーム4、アーム5、バケット6、下部走行体1、上部旋回体3(旋回機構2)のそれぞれに対応するブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、走行用油圧モータ1A,1B、旋回用油圧モータ2A等を含む。ショベル100には、油圧アクチュエータにおける作動油の圧力を検出する作動油圧センサが取り付けられてもよい。
【0029】
操作装置26は、ショベル100のオペレータ等により、油圧アクチュエータの操作のための操作入力が行われる。操作装置26は、パイロットライン25を介してパイロットポンプ15から作動油の供給を受けて所定のパイロット圧を生成する。そして、パイロットライン25aを通じ、対応する流量制御弁のパイロットポートにそのパイロット圧を作用させる。操作装置26から対応する流量制御弁に作用するパイロット圧は、操作装置26の操作方向及び操作量に応じて変化する。パイロット圧センサ15aは、パイロット圧を検出し、その検出値に対応する検出信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0030】
コントローラ30は、ショベル100を駆動制御するための制御装置である。コントローラ30は、その機能が、任意のハードウェア、ソフトウェア、或いは、これらの組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性の補助記憶装置、入出力用の各種インターフェースを含むコンピュータを中心に構成される。そして、コントローラ30は、例えば、ROMや不揮発性の補助記憶装置に格納される一以上のプログラムをCPU上で実行させることにより、各種機能を実現させる。以下、後述する支援端末装置200の制御装置201及び管理端末装置300の制御装置301についても同様である。
【0031】
例えば、コントローラ30は、後述する送信装置S1を通じて、管理端末装置300にショベル100の各種情報を送信(アップロード)する。ショベル100の各種情報には、後述する測位装置S3により測位されるショベル100の位置情報が含まれる。詳細は、後述する(図3参照)。この場合、コントローラ30は、後述する受信装置S2を通じて、各種情報を管理端末装置300に送信する。
【0032】
エンジン制御装置(ECU:Engine Control Unit)74は、エンジン11を駆動制御する。エンジン制御装置74は、例えば、所定の入力装置を介して設定されたエンジン回転数、或いは、設定された作業モード等に対応するエンジン回転数で定回転するように、エンジン11の各種アクチュエータに制御指令を出力し燃料噴射量等を制御する。エンジン制御装置74には、一対一の通信線等を通じて、エンジン回転数センサ、エンジン負荷率センサ、及び燃料噴射量センサ等が通信可能に接続される。また、エンジン負荷率センサの代わりに、エンジントルクセンサが設けられてもよい。
【0033】
また、ショベル100は、上部旋回体3に取り付けられた、送信装置S1、受信装置S2、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5、カメラS6、運転情報取得装置S7、生体情報取得装置S8、操作入力装置S9、及び、表示装置40を含む。送信装置S1、受信装置S2、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5、カメラS6、運転情報取得装置S7、生体情報取得装置S8、操作入力装置S9、及び、表示装置40は、それぞれ、例えば、一対一の通信線やCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークを通じて、コントローラ30に通信可能に接続される。
【0034】
送信装置S1は、コントローラ30による制御の下、通信ネットワークNWを通じて、ショベル100の外部、例えば、管理端末装置300に各種情報を送信する。また、送信装置S1は、通信ネットワークNWを介さず、直接的に(例えば、ブルートゥース(登録商標)通信等によって)、管理端末装置300に情報を送信してもよい。また、送信装置S1は、支援端末装置200に各種情報を送信可能な構成であってもよい。
【0035】
受信装置S2は、コントローラ30による制御の下、通信ネットワークNWを通じて、ショベル100の外部、例えば、管理端末装置300から情報を受信する。また、受信装置S2は、通信ネットワークNWを介さず、直接的に(例えば、ブルートゥース通信等によって)、管理端末装置300から情報を受信してもよい。また、受信装置S2は、支援端末装置200から各種情報を受信可能な構成であってもよい。受信装置S2により受信された情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0036】
送信装置S1及び受信装置S2は、一体として、ショベル100の外部と通信を行うための通信機器(例えば、通信ネットワークNWを通じて、外部と通信を行う移動体通信モジュール)として実現されてよい。以下、支援端末装置200の送信装置202及び受信装置203、並びに、管理端末装置300の送信装置302及び受信装置303についても同様である。
【0037】
測位装置S3は、ショベル100の位置を測位し、ショベル100の位置情報を取得する。測位装置S3は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System:全地球衛星測位システム)装置であり、ショベル100の上空の3以上(好ましくは、4以上)の衛星からの信号を受信し、ショベル100の位置の緯度、経度、高度を測定する。以下、支援端末装置200の測位装置206についても同様である。測位装置S3により取得されたショベル100の位置情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0038】
姿勢検出装置S4は、ショベル100の姿勢、例えば、掘削アタッチメントの姿勢を検出する。姿勢検出装置S4は、例えば、ブーム角度センサ、アーム角度センサ、バケット角度センサ、及び、機体傾斜センサを含む。ブーム角度センサは、上部旋回体3に対するブーム4の俯仰角度(ブーム角度)を取得するセンサであり、例えば、ブームフートピンの回転角度を検出する回転角度センサ、ブームシリンダ7のストローク量を検出するストロークセンサ、ブーム4の傾斜角度を検出する傾斜(加速度)センサ等を含む。また、ブーム角度センサは、加速度センサ及びジャイロセンサの組み合わせ、つまり、6軸センサやIMU(Inertial Measurement Unit:慣性計測装置)であってもよい。アーム角度センサ及びバケット角度センサについても同様である。また、機体傾斜センサは、機体傾斜角度を取得するセンサであり、例えば、水平面に対する上部旋回体3の傾斜角度を検出する。機体傾斜センサは、上部旋回体3の所定の前後軸及び左右軸回りの傾斜角を検出する2軸加速度センサであってよい。また、機体傾斜センサは、3軸加速度センサであってもよい。姿勢検出装置S4により検出されたショベル100の姿勢に対応する検出情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0039】
向き検出装置S5は、ショベル100の向きを検出する。向き検出装置S5は、例えば、地磁気センサ、旋回機構2の旋回軸に関するレゾルバ或いはエンコーダ、ジャイロセンサ等で構成される。具体的には、向き検出装置S5は、3軸地磁気センサとジャイロセンサの組み合わせで構成されてよい。また、向き検出装置S5は、一対のGNSS受信機により構成されてもよい。向き検出装置S5により検出されたショベル100の向きに関する検出情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0040】
コントローラ30は、例えば、測位装置S3、姿勢検出装置S4、及び、向き検出装置S5等の出力に基づいてバケット6の爪先の軌跡に関する情報を取得できる。
【0041】
カメラS6は、周囲の所定範囲の空間を撮像する。カメラS6は、取得した画像(撮像画像)をコントローラ30に出力し、当該撮像画像は、コントローラ30に取り込まれる。例えば、カメラS6は、ショベル100の後方の空間を撮像するカメラS6Bを含む。また、カメラS6は、ショベル100の右側方の空間を撮像するカメラ及びショベル100の左側方の空間を撮像するカメラの少なくとも一方を含んでもよい。また、カメラS6は、キャビン10内のオペレータ等を撮像するカメラを含んでもよい。これにより、コントローラ30は、キャビン10内のカメラが撮像したオペレータの画像に各種画像処理を施し、オペレータを識別(特定)したり、オペレータの認証行ったりすることができる。
【0042】
運転情報取得装置S7は、ショベル100の運転状態に関する情報である運転情報を取得する。例えば、運転情報取得装置S7は、パイロット圧センサ15a、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5等を含む。また、運転情報取得装置S7は、吐出圧センサ、傾転角センサ、作動油圧センサ、エンジン回転数センサ、エンジン負荷率センサ、燃料噴射量センサを含んでよい。また、運転情報取得装置S7は、作業環境に関する情報を含んでもよい。この場合、運転情報取得装置S7は、外気温センサ、内気温センサ、気圧センサ、湿度センサ、照度センサ、機体傾斜センサ、及び、振動センサ等を含んでよい。運転情報取得装置S7により取得された運転情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0043】
生体情報取得装置S8は、ショベル100のオペレータ等(生体)の各種状態に関する情報である生体情報を取得する。生体情報取得装置S8は、例えば、キャビン10内の運転席に埋め込まれた脈拍センサ、体圧センサ、及び、体温センサを含む。また、生体情報取得装置S8は、運転席に埋め込まれた体重計等を含んでもよい。また、生体情報取得装置S8は、オペレータ等が運転席に着座すると、オペレータ等の生体情報を所定の制御周期で繰り返し取得するように構成されていてもよい。
【0044】
また、生体情報取得装置S8は、カメラS6に含まれうる、キャビン10内のオペレータ等を撮像するカメラを含んでいてもよい。これにより、コントローラ30は、当該カメラにより撮像されたオペレータ等を含む撮像画像に各種画像処理を施すことにより、オペレータ等の体調を判定することができる。
【0045】
また、生体情報取得装置S8は、リストバンド型脈拍計やリストバンド型血圧計等のオペレータ等により着用されるセンサ、つまり、ウェアラブルセンサであってもよい。この場合、ウェアラブルセンサは、オペレータ等がウェアラブルセンサを着用しているか否かを表す情報(着脱情報)と共に生体情報を出力するように構成されていてもよい。
【0046】
生体情報取得装置S8により取得された生体情報は、コントローラ30に取り込まれる。
【0047】
操作入力装置S9は、オペレータ等からのショベル100に関する各種操作入力を受け付ける。操作入力装置S9は、例えば、ボタン、トグル、レバー等、ハードウェアによる操作部を含んでよい。また、例えば、タッチパネル式の表示装置40に表示されるボタンアイコン等のソフトウェアによる操作部を含んでもよい。即ち、操作入力装置S9は、タッチパネル式の表示装置40を含む構成であってもよい。例えば、操作入力装置S9は、オペレータ等(運搬作業者)から当該ショベル100が運搬用のトラック或いはトレーラ(共に、運搬車の一例。以下、便宜的に、「運搬用のトラック等」と称する)から下されたことを示す操作(以下、便宜的に「下ろし時教示操作」と称する)を受け付ける。操作入力装置S9における操作状態に対応する信号は、コントローラ30に取り込まれる。
【0048】
表示装置40は、コントローラ30による制御の下、各種情報画像を表示する。表示装置40は、例えば、キャビン10内の運転席の近傍におけるオペレータ等から視認し易い位置に配置される。表示装置40は、例えば、カメラS6の撮像画像を表示する。この場合、表示装置40には、複数台のカメラの撮像画像が合成されることにより得られる合成画像が表示されてもよい。また、当該合成画像は、視点変換処理等の各種画像処理が施されていてもよい。また、表示装置40は、ノート型のコンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等の携帯端末装置であってよい。この場合、当該携帯端末装置は、オペレータ等によって、適宜、キャビン10内のオペレータ等から視認し易い位置に配置される態様であってよい。
【0049】
また、ショベル100は、上部旋回体3に搭載された蓄電池70を含む。
【0050】
コントローラ30、表示装置40、及び、エンジン制御装置74等は、上部旋回体3に搭載される蓄電池70から電力の供給を受けることにより動作する。また、送信装置S1、受信装置S2、測位装置S3、姿勢検出装置S4、向き検出装置S5、カメラS6、運転情報取得装置S7、生体情報取得装置S8、及び、操作入力装置S9についても、直接的に、或いは、コントローラ30等の内部の電源回路等を通じて、蓄電池70からの電力の供給を受けることにより動作する。蓄電池70は、エンジン11により駆動される発電機の発電電力で充電される。また、蓄電池70は、エンジン11のスタータ等にも電力を供給する。これにより、スタータは、蓄電池70からの電力で駆動され、エンジン11を始動させることができる。
【0051】
<支援端末装置の構成>
支援端末装置200は、制御装置201と、送信装置202と、受信装置203と、表示装置204と、操作入力装置205と、測位装置206を含む。
【0052】
制御装置201は、支援端末装置200の各種動作を制御する。制御装置201は、例えば、ROMや不揮発性の補助記憶装置に格納される一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、経路探索部2011と、表示制御部2012と、経路案内部2013を含む。経路探索部2011、表示制御部2012、及び、経路案内部2013の機能は、例えば、制御装置201のROMや補助記憶装置に予めインストールされる経路案内用のアプリケーションプログラム(以下、便宜的に、「経路案内アプリ」と称する)が起動されることにより、ユーザによる利用が可能になる態様であってよい。
【0053】
送信装置202は、制御装置201による制御の下、通信ネットワークNWを通じて、支援端末装置200の外部に情報を送信する。例えば、送信装置202は、管理端末装置300に各種情報を送信することができる。また、送信装置202は、ショベル100に情報を送信可能な態様であってもよい。
【0054】
受信装置203は、通信ネットワークNWを通じて、支援端末装置200の外部からの情報を受信する。例えば、受信装置203は、管理端末装置300から各種情報を受信することができる。また、受信装置203は、ショベル100から各種情報を受信可能な態様であってもよい。受信装置203により受信された情報は、制御装置201に取り込まれる。
【0055】
表示装置204は、各種情報画像を表示する。表示装置204は、例えば、液晶ディスプレイである。例えば、表示装置204は、経路案内アプリの機能(つまり、表示制御部2012)により、地図画像と所定の起点位置(例えば、サービスマン等のユーザの現在位置に対応する支援端末装置200の現在位置やサービスマン等のユーザが勤務する営業所等)から作業現場のショベル100に向かう経路とを表示する。また、表示装置204は、ショベル100による作業に関する情報、ショベル100のオペレータ等の疲労に関する情報、地形データに関する情報等を表示してもよい。
【0056】
操作入力装置205は、ユーザからの操作入力を受け付ける。操作入力装置205は、例えば、液晶ディスプレイの上に配置されるタッチパネルを含む。また、操作入力装置205は、タッチパッド、キーボード、マウス、トラックボール等を含んでもよい。以下、管理端末装置300の操作入力装置305についても同様である。操作入力装置205の操作状態に関する情報は、制御装置201に取り込まれる。
【0057】
測位装置206は、支援端末装置200の位置を測位し、支援端末装置200の位置情報を取得する。測位装置206により取得された支援端末装置200の位置情報は、制御装置201に取り込まれる。
【0058】
経路探索部2011は、操作入力装置205に対するユーザの所定操作に応じて、所定の起点位置からショベル100に向かう経路を探索する。
【0059】
経路探索部2011(要求部の一例)は、管理端末装置300に対して、ショベル100に向かう経路案内を行うための情報、換言すれば、ショベル100に向かう経路を表示装置204に表示させるための情報(以下、「経路案内用情報」と称する)の送信を要求する。つまり、経路探索部2011は、送信装置202を通じて、管理端末装置300に、経路案内情報の送信を要求する経路案内情報要求を送信する。例えば、経路探索部2011は、ユーザによる操作入力装置205に対する操作により、選択対象の一又は複数のショベル100の中から一のショベル100が選択されると、送信装置202を制御し、管理端末装置300に経路案内用情報要求を送信する。このとき、選択対象の一又は複数のショベル100は、制御装置201(例えば、補助記憶装置)等に予め登録(保存)されており、且つ、管理端末装置300から受信装置203により受信される更新版に関する情報に基づき、更新されうる。また、経路案内用情報要求には、選択されたショベル100の識別情報(例えば、ショベル100ごとに規定される機体番号やID(Identifier)等)が含まれる。そして、経路探索部2011は、経路案内用情報要求に応じて管理端末装置300から送信される経路案内用情報が受信装置203(受信部の一例)により受信されると、当該経路案内用情報に基づき、ショベル100に向かう経路探索を行う。経路探索部2011の動作の詳細は後述する(図3参照)。
【0060】
表示制御部2012は、経路案内用情報に基づき、所定の起点位置からショベル100に向かう経路案内を行うための経路案内画像を表示装置204に表示させる。具体的には、表示制御部2012は、経路探索部2011による探索結果に基づき、所定の起点位置からショベル100に向かう経路案内を行うための経路案内画像を表示装置204に表示させる。経路案内画像には、地図画像と、経路探索部2011による探索結果としての経路に関する画像(以下、「経路画像」と称する)が含まれ、経路画像は、地図画像上に重畳される。表示制御部2012の動作の詳細は、後述する(図3図5参照)。
【0061】
経路案内部2013は、表示装置204に表示される経路案内画像に基づき、既知の方法で、ユーザに対するショベル100に向かう経路案内を行う。例えば、経路案内部2013は、経路案内画像に含まれる経路画像、測位装置206により取得される支援端末装置200の現在の位置情報等に基づき、ショベル100に向かう経路上の右左折のタイミング等を音声や表示装置204への重畳的な表示により通知する。
【0062】
<管理端末装置の構成>
管理端末装置300は、制御装置301と、送信装置302と、受信装置303と、表示装置304と、操作入力装置305を含む。
【0063】
制御装置301は、管理端末装置300の各種動作を制御する。制御装置301は、例えば、ROMや不揮発性の補助記憶装置等に格納される一以上のプログラムをCPU上で実行することにより実現される機能部として、情報取得部3011と、情報提供部3012を含む。また、制御装置301は、例えば、管理端末装置300(制御装置301)に含まれる不揮発性の補助記憶装置に規定される記憶領域としての記憶部3010を含む。
【0064】
送信装置302は、制御装置301による制御の下、通信ネットワークNWを通じて、管理端末装置300の外部に各種情報を送信する。例えば、送信装置302は、ショベル100や支援端末装置200に各種情報を送信することができる。
【0065】
受信装置303は、通信ネットワークNWを通じて、管理端末装置300の外部から情報を受信する。例えば、受信装置303は、ショベル100や支援端末装置200から各種情報を受信することができる。受信装置303により受信された情報は、制御装置301に取り込まれる。
【0066】
表示装置304は、各種情報画像を表示する。本実施形態では、表示装置304は、液晶ディスプレイであり、ショベル100による作業に関する情報、ショベル100のオペレータ等の疲労に関する情報、地形データに関する情報等を表示してよい。
【0067】
操作入力装置305は、管理端末装置300の作業者や管理者等による操作入力を受ける。操作入力装置305の操作状態に関する情報は、制御装置301に取り込まれる。
【0068】
情報取得部3011(取得部の一例)は、受信装置203により受信されるショベル100から送信された情報のうちの予め規定された種類の情報を取得し、記憶部3010に保存する。このとき、情報取得部3011は、記憶部3010への保存対象の種類の情報に対して、対象のショベル100の識別情報と、当該情報の受信日時に関する情報(受信日時情報)とを紐付けて、記憶部3010に保存する。また、ショベル100から受信された情報の中に当該情報の送信日時に関する情報(送信日時情報)や、当該情報の取得日時に関する情報(取得日時情報)が含まれる場合、情報取得部3011は、受信日時情報の代わりに、送信日時情報や取得日時情報を、記憶部3010への保存対象の種類の情報に紐付けて、記憶部3010に保存してもよい。記憶部3010への保存対象の種類の情報には、ショベル100が運搬用のトラック等から下された際に運搬作業者等による所定操作(下ろし時教示操作)をトリガとして取得されるショベル100の位置情報(以下、便宜的に「下ろし位置情報」と称する)が含まれる。また、記憶部3010への保存対象の種類の情報には、ショベル100において、所定のタイミング、例えば、ショベル100の起動時及び停止時の少なくとも一方で取得される、ショベル100の位置情報(以下、「起動時位置情報」及び「停止時位置情報」と称する)が含まれてもよい。
【0069】
情報提供部3012(送信部の一例)は、支援端末装置200からの要求に応じて、各種情報を支援端末装置200に提供する。例えば、情報提供部3012は、受信装置303により支援端末装置200から経路案内用情報要求が受信された場合、当該要求に応じて、記憶部3010から経路案内用情報を取得し、送信装置302を通じて、支援端末装置200に送信する。これにより、管理端末装置300は、支援端末装置200にショベル100に向かう経路案内を行わせる、換言すれば、支援端末装置200の表示装置204にショベル100に向かう経路を表示させることができる。経路案内用情報には、例えば、経路案内用情報要求で特定されるショベル100の最新の下ろし位置情報が含まれる。また、経路案内用情報には、最新の下ろし位置情報に対応する位置でショベル100が運搬用のトラック等から下された後に、ショベル100で取得された起動時位置情報及び停止時位置情報が含まれてもよい。つまり、経路案内用情報には、記憶部3010の最新の下ろし位置情報と紐付けられている受信日時情報よりも後のタイミングに対応する受信日時情報が紐付けられている起動時位置情報や停止時位置情報が含まれうる。以下、最新の下ろし位置情報に対応する位置でショベル100が運搬用のトラック等から下された後に、ショベル100で取得された起動時位置情報及び停止時位置情報は、作業現場におけるショベル100の移動履歴を表すため、便宜的に、「移動履歴情報」と称する。
【0070】
[経路案内システムの具体的な動作]
次に、図3を参照して、経路案内システムSYSの具体的な動作について説明する。
【0071】
図3は、経路案内システムSYSの動作の一例を示すシーケンス図である。
【0072】
まず、ショベル100が作業現場に運搬用のトラック等で運ばれてきて、トラック等から下ろされる際の経路案内システムSYS(ショベル100、管理端末装置300)の動作(ステップS102~S110)を説明する。
【0073】
ステップS102にて、ショベル100のコントローラ30は、操作入力装置S9を通じて、オペレータ(運搬作業者)からの下ろし時教示操作を受け付ける。
【0074】
尚、ステップS102にて、ショベル100のコントローラ30は、運搬作業者による下ろし時教示操作に依ることなく、ショベル100が運搬用のトラック等から下されたか否かを判断してもよい。例えば、コントローラ30は、カメラS6の撮像画像に基づき、各種画像処理を適用することで、ショベル100の下ろし作業が行われているか否かを判断してよい。これにより、コントローラ30は、自動的に、ショベル100が運搬用のトラック等から下されたと判定し、ステップS104、S106の処理を行うことができる。
【0075】
ステップS104にて、ショベル100のコントローラ30は、操作入力装置S9から下ろし時教示操作が受け付けられた旨の操作状態に関する情報が入力されると、測位装置S3からショベル100の現在の位置情報、つまり、下ろし位置情報を取得する。
【0076】
ステップS106にて、ショベル100のコントローラ30は、送信装置S1を通じて、下ろし位置情報を管理端末装置300に送信(アップロード)する。
【0077】
ステップS108にて、管理端末装置300の受信装置303は、ショベル100からのショベル100の下ろし位置情報を受信する。
【0078】
ステップS110にて、管理端末装置300の情報取得部3011は、受信装置303により受信されたショベル100の下ろし位置情報を受信バッファ等から取得する。そして、情報取得部3011は、ショベル100の下ろし位置情報を、当該ショベル100の識別情報と、対応する日時情報(例えば、受信日時情報)とに紐付けて、記憶部3010に保存する。これにより、管理端末装置300には、作業現場に運ばれてきたショベル100が運搬用のトラック等から下ろされた位置に関する位置情報(下ろし位置情報)を保持することができる。
【0079】
続いて、ショベル100が運搬されてきた作業現場で作業を行うときの経路案内システムSYS(ショベル100、管理端末装置300)の動作(ステップS112~S120)について説明する。以下、ステップS112とステップS114との間のショベル100の具体的な作業に関する動作は、省略する。
【0080】
ステップS112にて、ショベル100のコントローラ30は、ショベル100が起動されると、測位装置S3からショベル100の現在の位置情報、つまり、起動時位置情報を取得する。
【0081】
ステップS114にて、ショベル100のコントローラ30は、ショベル100の停止操作が行われると、測位装置S3からショベル100の現在の位置情報、つまり、停止時位置情報を取得する。
【0082】
ステップS116にて、ショベル100のコントローラ30は、送信装置S1を通じて、起動時位置情報及び停止時位置情報を管理端末装置300に送信する。
【0083】
尚、ステップS114,S116の処理が行われているときに、エンジン11は、既に停止していてもよいし、停止していなくてもよい。また、ショベル100は、起動時位置情報及び停止時位置情報の送信後、コントローラ30が停止されることにより、完全に停止する。つまり、コントローラ30は、終了処理として、ステップS114,S116の処理を行う。また、コントローラ30は、ステップS116の処理を、終了処理として行う代わりに、次回のショベル100の起動時に行ってもよい。また、コントローラ30は、ショベル100の停止操作を待つことなく(例えば、取得直後に)、送信装置S1を通じて、起動時位置情報を管理端末装置300に送信してもよい。
【0084】
ステップS118にて、管理端末装置300の受信装置303は、ショベル100からの起動時位置情報及び停止時位置情報を受信する。
【0085】
ステップS120にて、管理端末装置300の情報取得部3011は、受信装置303により受信されたショベル100の起動時位置情報及び停止時位置情報を受信バッファ等から取得する。そして、情報取得部3011は、ショベル100の起動時位置情報及び停止時位置情報を、当該ショベル100の識別情報と、対応する日時情報(例えば、受信日時情報)とに紐付けて、記憶部3010に保存する。これにより、管理端末装置300は、下ろし位置情報だけでなく、作業現場に下ろされた後に、ショベル100が作業に応じて移動した移動履歴を保持することができる。
【0086】
続いて、ショベル100が作業している作業現場に向かうユーザ(例えば、ショベル100のサービスマン等)に、支援端末装置200を通じて、経路案内を行うとき経路案内システムSYS(支援端末装置200、管理端末装置300)の動作について説明する。
【0087】
ステップS122にて、支援端末装置200の制御装置201は、操作入力装置205を通じたユーザからの所定操作に応じて、経路案内アプリを起動させる。これにより、支援端末装置200において、経路探索部2011、表示制御部2012、及び、経路案内部2013等の機能が有効になる。
【0088】
ステップS124にて、支援端末装置200の経路探索部2011は、操作入力装置205を通じたユーザからの所定操作(選択操作)に応じて、予め登録される一又は複数のショベル100の中から目的地に対応する一のショベル100を選択する。例えば、ユーザは、表示装置204に表示される所定の操作画面上に提示される登録されたショベル100のリストの中から、操作入力装置205としての表示装置204上のタッチパネルを操作することにより、目的地に対応する一のショベル100を選択することができる。
【0089】
ステップS126にて、支援端末装置200の経路探索部2011は、送信装置202を通じて、ステップS124で選択された一のショベル100の識別情報を含む経路案内用情報要求を管理端末装置300に送信する。
【0090】
ステップS128にて、管理端末装置300の受信装置303は、支援端末装置200からの経路案内用情報要求を受信する。
【0091】
ステップS130にて、管理端末装置300の情報提供部3012は、受信装置303により受信された経路案内用情報要求を受信バッファ等から取得する。そして、情報提供部3012は、経路案内用情報要求で特定される、選択された一のショベル100の最新の下ろし位置情報を記憶部3010から取得する。
【0092】
また、ステップS132にて、管理端末装置300の情報提供部3012は、当該一のショベル100が運搬用のトラック等から下された最新の日時から現在までの位置情報の履歴を取得する。具体的には、情報提供部3012は、最新の下ろし位置情報に紐付けられている受信日時情報よりも後のタイミングに対応する受信日時情報と紐づけられている起動時位置情報及び停止時位置情報により構成される移動履歴情報を記憶部3010から取得する。
【0093】
尚、ステップS130,S132の処理は、その順番が逆であってもよいし、並列的に行われてもよい。
【0094】
ステップS134にて、管理端末装置300の情報提供部3012は、送信装置202を通じて、取得した最新の下ろし位置情報と、当該下ろし位置情報に対応する日時から現在までの移動履歴情報を含む経路案内用情報を支援端末装置200に送信する。
【0095】
尚、本例では、管理端末装置300は、支援端末装置200からの経路案内用情報要求に応じて、経路案内用情報を送信する、つまり、リクエスト送信するが、自動的に送信する、つまり、プッシュ送信してもよい。例えば、管理端末装置300は、記憶部3010の下ろし位置情報が更新されるたびに、つまり、ショベル100から下ろし位置情報を取得するたびに、支援端末装置200に最新の下ろし位置情報を送信してもよい。これにより、支援端末装置200における制御装置201の不揮発性の補助記憶装置等の内部メモリには、予め登録される一又は複数のショベル100のそれぞれの最新の下ろし位置情報が保存される。また、運搬用のトラック等からショベル100が下ろされたときでなくとも、例えば、管理端末装置300は、記憶部3010のショベル100の現在の作業現場における移動履歴情報が更新されるたびに、つまり、ショベル100から起動時位置情報及び停止時位置情報を取得するたびに、更新された最新の移動履歴情報を支援端末装置200に送信してもよい。これにより、支援端末装置200における制御装置201の不揮発性の補助記憶装置等の内部メモリには、予め登録される一又は複数のショベル100のそれぞれの最新の作業現場における移動履歴情報が保存される。
【0096】
ステップS136にて、支援端末装置200の受信装置203は、管理端末装置300からの経路案内用情報を受信する。
【0097】
ステップS138にて、支援端末装置200の経路探索部2011は、受信装置203により受信された経路案内用情報を受信バッファ等から取得する。そして、経路探索部2011は、既知の経路探索アルゴリズムに基づき、経路案内用情報に含まれる最新の下ろし位置情報に対応する場所を目的地として所定の起点位置から当該目的地までの経路を探索する。
【0098】
例えば、経路探索部2011は、具体的に、所定の経路探索アルゴリズムに基づく処理を行うことにより、所定の起点位置から当該目的地、つまり、ショベル100の最新の下ろし位置情報に対応する場所までの経路探索を行う。また、経路探索部2011は、支援端末装置200の外部のウェブ上で公開された経路探索に関するAPI(Application Programming Interface)にアクセスすることにより、経路探索を行ってもよい。また、経路探索アルゴリズムでは、目的地、つまり、ショベル100の最新の下ろし位置情報に対応する場所が公道から大きく外れている場合、例えば、当該目的地に最寄りの公道上の位置を目的地として経路探索が行われてよい。
【0099】
ステップS140にて、支援端末装置200の表示制御部2012は、ショベル100の最新の下ろし位置情報に対応する場所を目的地とする経路探索部2011による探索結果に対応する経路を表示装置204に表示させる。例えば、表示制御部2012は、所定の起点位置と目的地とを含む縮尺の地図画像と、当該地図画像上に重畳される、経路探索部2011による探索結果に対応する経路画像とを含む経路案内画像を表示装置204に表示させる。また、表示制御部2012は、上述のAPIを通じて返信される、地図画像と経路画像とが重畳された経路案内画像をそのまま表示装置204に表示させてもよい。これにより、サービスマン等のユーザは、例えば、メンテナンス対象のショベル100に向かう際に、所定の起点位置から対象となるショベル100が最新の作業現場で運搬用のトラック等から下ろされた位置までの移動経路を把握することができる。
【0100】
ステップS142にて、経路探索部2011は、ショベル100の移動履歴情報に基づき、ショベル100の最新の下ろし位置情報に対応する日時から現在までの移動履歴を、ステップS140の経路案内画像に重畳させて表示装置204に表示させる。これにより、サービスマン等のユーザは、ショベル100が運搬用トラックから下ろされてから作業現場での移動軌跡を把握することができる。
【0101】
尚、ステップS142の処理は、省略されてもよい。
【0102】
[経路案内画像の具体例]
次に、図4図5を参照して、支援端末装置200の表示装置204に表示される経路案内画像の具体例について説明する。
【0103】
まず、図4は、比較例に係る経路案内画像及び本実施形態に係る経路案内画像の一例を示す図である。具体的には、図4(a)は、比較例に係る経路案内画像を示す図であり、より具体的には、直近で取得されたショベル100の位置情報に基づき、本実施形態と同様の経路探索アルゴリズムにより経路探索が行われた場合の経路案内画像である。また、図4(b)は、本実施形態に係る経路案内画像の一例を示す図であり、より具体的には、図3のステップS140の処理により表示装置204に表示される経路案内画像に相当する。
【0104】
尚、図4(a),(b)において、黒の細線は、道路を表し、グレーの太線は、河川を表し、黒の極太線は、経路探索結果に対応する経路を表す。また、図4(a),(b)では、所定の起点位置からショベル100に向かう経路全体ではなく、ショベル100の作業現場の近い領域を拡大表示させた場合の経路案内画像が示される。以下、後述する図5の場合も同様である。
【0105】
図4(a),(b)に示すように、ショベル100は、山間部の作業現場401において、公道から大きく外れた位置402で作業を行っている。
【0106】
比較例では、上述の如く、直近で取得されたショベル100の位置情報、つまり、位置402に関する情報に基づき、経路探索が行われる。そのため、比較例では、図4(a)に示すように、ショベル100の位置402に最寄りの公道上の位置403が目的地として選択され、探索結果としての位置403を終点とする経路404が経路案内画像上に表示される。
【0107】
しかしながら、位置403は、経路404に対応する公道の行き止まりに対応しており、位置403と、ショベル100が作業を行っている位置402との間の領域405には、人が通行可能な道路が整備されていない。そのため、支援端末装置200のユーザは、経路404に沿って、ショベル100に向かっても、結局、ショベル100に辿りつくことができない可能性が高くなる。
【0108】
このように、比較例の場合、ショベル100の直近の位置情報に基づき経路探索が行われるため、山間部の作業現場で作業を行っているショベル100の位置によっては、ショベル100に辿りつくことができないような経路が提供される可能性がある。
【0109】
これに対して、本実施形態では、上述の如く、ショベル100の最新の下ろし位置に関する位置情報、具体的には、最新の下ろし位置情報に基づき、経路探索が行われる。そのため、図4(b)に示すように、ショベル100が作業現場401で運搬用のトラック等から下ろされた際の位置406、つまり、最新の下ろし位置406を終点(目的地)とする経路407が経路案内画像上に表示される。よって、ショベル100の最新の下ろし位置406は、運搬用のトラック等が侵入可能な位置であると想定されるので、ユーザは、経路407に沿って、ショベル100に向かうことにより、ショベル100が作業を行っている作業現場401に辿りつくことができる。そして、ユーザは、作業現場内の作業車で移動したり、作業現場401内の地形等によっては、徒歩で移動したりすることにより、メンテナンス対象のショベル100に辿りつくことができる。
【0110】
このように、本実施形態の本例(図4(b)に示す一例)では、支援端末装置200は、ショベル100の最新の下ろし位置に関する位置情報に基づき探索された、所定の起点位置からショベル100に向かう経路を表示装置204に表示させる。具体的には、支援端末装置200は、ショベル100の最新の下ろし位置に関する位置情報に基づき、所定の起点位置からショベル100に向かう経路を探索し、探索結果の経路を表示装置204に表示させる。つまり、支援端末装置200は、直近でショベル100が運搬用のトラック等から下ろされた際に取得されたショベル100の位置情報(即ち、最新のショベル100の下ろし位置情報)に基づき、所定の起点位置からショベル100に向かう経路を探索する。これにより、ショベル100が最新の作業現場で下ろされた位置に向かう経路をユーザに提示することができる。そのため、ユーザは、少なくともショベル100を運搬した運搬用のトラック等が侵入可能な作業現場の特定の位置まで辿りつくことができ、作業現場内を所定の方法で移動することにより、ショベル100に辿りつくことができる。よって、支援端末装置200は、サービスマン等のユーザに対して、作業現場のショベル100まで辿りつくことが可能な経路案内を行うことができる。
【0111】
続いて、図5は、本実施形態に係る経路案内画像の他の例を示す図である。具体的には、図5は、図3のステップS142の処理により表示装置204に表示される経路案内画像に相当する。
【0112】
図5に示すように、本例では、経路案内画像上に、図4)の経路407に加えて、ショベル100の作業現場401における移動軌跡501が更に表示される。これにより、サービスマン等のユーザは、当該移動軌跡501を、作業現場401内でショベル100に向かって移動する際の参考にすることができる。具体的には、ショベル100の移動軌跡上は、ショベル100が作業を行いながら進んだ経路に相当するため、少なくとも徒歩により移動できる可能性が高い。そのため、サービスマン等のユーザは、作業現場内において、より容易にショベル100に辿りつくことができる。
【0113】
以上、本発明を実施するための形態について詳述したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0114】
例えば、上述した実施形態では、ショベル100が運搬用のトラック等から下された最新の位置に関する位置情報は、直近でショベル100が運搬用のトラック等から下された際に取得された位置情報であるが、当該態様には限定されない。具体的には、ショベル100が運搬用のトラック等から下された位置に関する位置情報は、作業現場におけるショベル100の移動軌跡情報(例えば、起動時位置情報及び停止時位置情報を含む位置情報群)から推測された位置情報であってもよい。例えば、作業現場におけるショベル100の移動軌跡における起点は、ショベル100が運搬用のトラック等から下ろされた位置にある程度近い場所であると推測できるからである。
【0115】
また、上述した実施形態及び変形例では、作業現場における移動軌跡情報は、直近でショベル100が運搬用のトラック等から実際に下ろされた際の日時を起点とする現在までのショベル100の位置情報群として取得されるが当該態様には限定されない。具体的には、作業現場における移動軌跡情報は、ショベル100の時系列的な位置情報の履歴のうち、相対距離が運搬用のトラック等で移送されたと判断可能な程度に離れている、時系列的に隣接する一対の位置情報が基準とされてもよい。つまり、基準とされる一対の位置情報のうちの時系列的に後の位置情報を起点位置とする時系列的なショベル100の位置情報群であってよい。
【0116】
また、上述した実施形態及び変形例では、支援端末装置200により経路探索が行われるが、管理端末装置300により経路探索が行われてもよい。この場合、経路探索部2011の機能は、管理端末装置300の制御装置301に移管される。そして、管理端末装置300の制御装置301は、送信装置302を通じて、ショベル100に向かう経路を表示装置204に表示させるための情報、つまり、経路案内用情報として、探索結果に相当する経路関する情報を支援端末装置200に送信する。
【0117】
また、上述した実施形態及び変形例では、ユーザに対する経路案内の目的地に対応する建設機械は、ショベル100であったが、他の建設機械であってもよい。例えば、上述した実施形態に係る経路案内システムSYSは、ショベル100に代えて、或いは、加えて、ブルドーザ、ホイールローダ、アスファルトフィニッシャ等の道路機械や、ハーベスタ等を備える林業機械等を含む態様であってもよい。
【符号の説明】
【0118】
30 コントローラ
100 ショベル
200 支援端末装置(支援装置、利用端末)
201 制御装置
202 送信装置
203 受信装置(受信部)
204 表示装置
205 操作入力装置
300 管理端末装置(支援装置、利用端末)
301 制御装置
302 送信装置
303 受信装置
304 表示装置
305 操作入力装置
2011 経路探索部(要求部)
2012 表示制御部
2013 経路案内部
3010 記憶部
3011 情報取得部(取得部)
3012 情報提供部(送信部)
S1 送信装置
S2 受信装置
S3 測位装置
S9 操作入力装置
SYS 経路案内システム
図1
図2
図3
図4
図5