(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】タンクローリ
(51)【国際特許分類】
B60P 3/22 20060101AFI20220530BHJP
B67D 7/78 20100101ALI20220530BHJP
B65D 88/12 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
B60P3/22 Z
B67D7/78 D
B65D88/12 F
(21)【出願番号】P 2018094356
(22)【出願日】2018-05-16
【審査請求日】2021-03-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】特許業務法人しんめいセンチュリー
(72)【発明者】
【氏名】笠 直亮
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-216817(JP,A)
【文献】特開2007-314004(JP,A)
【文献】実開昭62-035985(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 3/00,3/22
B67D 7/78
B65D 88/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車輪と、それら複数の車輪に支持されると共に艤装品が配設されるシャシフレームと、そのシャシフレームに架装される円筒状のタンクと、そのタンクの内部の積載物を外部へ送出するポンプと、そのポンプに接続されると共に前記ポンプによって送られる前記積載物を前記タンクの外部に送出する配管として構成される送出管と、を備えるタンクローリにおいて、
前記ポンプは、前記タンクの軸方向後端側に配設される吐出部を備え、
前記タンクは、その軸方向前端側に配設されると共に前記タンクの内部と外部を連通する第1管座と、前記タンクの軸方向後端側に配設されると共に前記タンクの内部と外部を連通する第2管座と、を備え、
前記送出管は、
前記第1管座および前記第2管座を前記タンクの内部
で接続する第1配管
と、前記吐出部および前記第2管座を前記タンクの外部で接続する第2配管と、を備えることを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記第1配管は、湾曲して形成される湾曲部を備えることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項3】
前記車輪と前記シャシフレームとの間に配設されると共に前記シャシフレームの高さを調節可能に構成される懸架装置を備え、
前記ポンプは、前記タンクの軸方向後端側に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載のタンクローリ。
【請求項4】
前記第1配管を前記タンクの内部で支持する支持部材を備え、
前記第1配管は、前記タンクの軸方向に延設され、
前記支持部材は、前記第1配管を前記タンクの軸方向へ変位可能に支持することを特徴とする請求項1から
3のいずれかに記載のタンクローリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクローリに関し、特に、積載物を送出する送出管の経路を簡略化できるタンクローリに関する。
【背景技術】
【0002】
タンク内の積載物をポンプによってタンク外に送出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、ポンプに接続される配管(送出管)がタンクの下方に設けられるタンクローリが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001―206136号公報(例えば、段落0014,0015、
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、タンクローリのタンクの下方には、車輪を駆動させるプロペラシャフトや、シャシフレームを支持する懸架装置、又は、積載物をタンクに充填するための配管等の艤装品が配設される。また、近年の排ガス規制等により、配設する艤装品が増えており、今後も規制によって艤装品が増えることが予想される。よって、上述した従来の技術では、タンクの下方に配設される艤装品と送出管との干渉を防ぐために、送出管の経路が複雑になるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、積載物を送出する送出管の経路を簡略化できるタンクローリを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明のタンクローリは、複数の車輪と、それら複数の車輪に支持されると共に艤装品が配設されるシャシフレームと、そのシャシフレームに架装される円筒状のタンクと、そのタンクの内部の積載物を外部へ送出するポンプと、そのポンプに接続されると共に前記ポンプによって送られる前記積載物を前記タンクの外部に送出する配管として構成される送出管と、を備えるものであり、前記ポンプは、前記タンクの軸方向後端側に配設される吐出部を備え、前記タンクは、その軸方向前端側に配設されると共に前記タンクの内部と外部を連通する第1管座と、前記タンクの軸方向後端側に配設されると共に前記タンクの内部と外部を連通する第2管座と、を備え、前記送出管は、前記第1管座および前記第2管座を前記タンクの内部で接続する第1配管と、前記吐出部および前記第2管座を前記タンクの外部で接続する第2配管と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載のタンクローリによれば、送出管は、タンクの内部に配設される第1配管を備えるので、シャシフレームに配設される艤装品と第1配管とが干渉することを抑制できる。よって、艤装品を避けて第1配管の経路を形成する必要がないので、送出管の経路を簡略化できるという効果がある。
また、ポンプは、タンクの軸方向後端側に配設される吐出部を備え、タンクは、その軸方向前端側に配設されると共にタンクの内部と外部を連通する第1管座と、タンクの軸方向後端側に配設されると共にタンクの内部と外部を連通する第2管座と、を備える。送出管は、吐出部および第2管座をタンクの外部で接続する第2配管を備え、第1配管は、第1管座および第2管座を接続する。艤装品が比較的少ないタンクの後端側かつタンクの外部に第2配管を配設することにより、第2配管が艤装品と干渉することを抑制できる。更に、吐出部や第2配管がタンクの外部に配設されるので、吐出部や第2配管のメンテナンスを容易にできるという効果がある。
【0008】
請求項2記載のタンクローリによれば、請求項1記載のタンクローリの奏する効果に加え、第1配管は、湾曲して形成される湾曲部を備えるので、例えば、タンクの内圧によってタンクが膨張し、軸方向に伸びるようにタンクが変形すると、そのタンクの変形に伴って湾曲部が伸びるよう変形する。即ち、湾曲部をタンクの変形に追従させることができるので、タンクの変形による第1配管の破損を抑制することができるという効果がある。
【0009】
請求項3記載のタンクローリによれば、請求項1又は2に記載のタンクローリの奏する効果に加え、車輪とシャシフレームとの間に配設されると共にシャシフレームの高さを調節可能に構成される懸架装置を備えるので、懸架装置によってタンクの前端側から後端側にかけて下降傾斜させることができる。この場合、ポンプがタンクの軸方向後端側に配設されるので、タンクを後端側に向けて下降傾斜させた状態で積載物を送出することにより、タンクの後端側に配設されるポンプによって積載物を効率よく吸引することができる。よって、タンク内に積載物が残留することを抑制し、積載物を効率よく送出することができるという効果がある。
【0010】
【0011】
【0012】
請求項4記載のタンクローリによれば、請求項1から3のいずれかに記載のタンクローリの奏する効果に加え、次の効果を奏する。第1配管をタンクの内部で支持する支持部材を備え、第1配管は、タンクの軸方向に延設され、支持部材は、第1配管をタンクの軸方向へ変位可能に支持する。これにより、例えば、タンクの膨張や収縮によってタンクが軸方向に伸びる(又は、縮む)ように変形した場合に、支持部材に対して第1配管を相対的に変位させることができる。よって、例えば、支持部材と第1配管との接続部分や、支持部材とタンクの内面との接続部分に応力が加わることを抑制できる。従って、タンクの変形による第1配管や支持部材の破損を抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(a)は、本発明の一実施の形態におけるタンクローリの側面図であり、(b)は、
図1(a)の状態から後方に傾斜させた状態を示すタンクローリの側面図である。
【
図2】(a)は、液化ガスの充填時における配管系統を示す模式図であり、(b)は、液化ガスの送出時における配管系統を示す模式図である。
【
図4】(a)は、
図3のIVa―IVa線における断面図であり、(b)は、
図3のIVb-IVb線における断面図である。
【
図5】
図3のV-V線における部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、タンクローリ1の全体構成について説明する。
図1(a)は、本発明の一実施の形態におけるタンクローリ1の側面図であり、
図1(b)は、
図1(a)の状態から後方に傾斜させた状態を示すタンクローリ1の側面図である。なお、
図1では、図面を簡素化するために、タンクローリ1の一部の図示を省略している。
【0015】
図1に示すように、タンクローリ1は、複数の車輪2と、それら複数の車輪2に支持されるシャシフレーム3と、そのシャシフレーム3に架装されるタンク4と、そのタンク4の内部に配設されると共にタンク4の内部の積載物を外部へ送出するポンプ5と、そのポンプ5に接続される送出管6と、その送出管6をタンク4の内部で支持する複数(本実施の形態では、4個)の支持部材7とを備え、液化ガス(例えば、LPガス)を運搬する車両として構成される。
【0016】
車輪2は、シャシフレーム3の前部に配設される1軸の前輪2aと、シャシフレーム3の後部に配設される2軸の後輪2bとから構成され、それら前輪2a及び後輪2bにシャシフレーム3が支持される。
【0017】
シャシフレーム3と車輪2との間には懸架装置30が介設され、シャシフレーム3の前端には運転席として構成されるキャブ31が配設される。
【0018】
懸架装置30は、空気ばねから構成されるサスペンションであり、前輪2aとシャシフレーム3との間、及び、後輪2bとシャシフレーム3との間のそれぞれに配設される。懸架装置30は、車輪2(路面)からシャシフレーム3に伝達される振動を緩衝する機能に加え、キャブ31に配設される操作手段(図示せず)が操作されることでシャシフレーム3を上下方向に伸縮する機能を備える。よって、前輪2a側の懸架装置30を伸長させると共に、後輪2b側の懸架装置30を短縮させる(若しくは、前輪2a側の懸架装置30のみを伸長させるか、後輪2b側の懸架装置30のみを短縮させる)ことにより、シャシフレーム3や、そのシャシフレーム3に架装されるタンク4を後方側にかけて下降傾斜させることができる(
図1(b)参照)。
【0019】
シャシフレーム3は、タンクローリ1の前後方向に延設されるフレームであり、タンクローリ1の左右方向で所定間隔を隔てて一対が対向配置される(
図4参照)。タンクローリ1の左右方向外側におけるシャシフレーム3の外面には、弁計器箱32、荷役作業(タンク4への液化ガスの充填、又は、タンク4からの液化ガスの送出)に使用される携行工具が格納される工具箱(図示せず)、及び、消火器箱(図示せず)等の艤装品が配設される。
【0020】
また、一対のシャシフレーム3の対向間(タンク4の下方)には、後輪2bを駆動するためのプロペラシャフト(図示せず)、液化ガスをタンク4に充填するための配管(図示せず)、液化ガスを重力により送出するための配管(図示せず)、及び、排ガスの浄化装置(図示せず)等の艤装品が配設される。
【0021】
弁計器箱32は、液化ガスの荷役作業時に操作される操作装置や、後述する第1接続口42、第2接続口63、流量計、及び、圧力計等が収容されるケースである。弁計器箱32は、タンク4の長軸方向(以下、単に「軸方向」と記載する)中央よりも前方側(後輪2bよりも前方側)に配設される。
【0022】
サブフレーム33は、タンク4の前後方向に延設されるフレームであり、タンク4の左右方向に所定間隔を隔てて一対が配設される。タンク4の下部に一対のサブフレーム33が設置され、それら一対のサブフレーム33によりタンク4がシャシフレーム3に支持される。
【0023】
タンク4は、液化ガスを積載するための円筒状のタンクである。タンク4は、その内部に配設される通気管40と、その通気管40に接続されるガス管41と、そのガス管41を外部施設(例えば、貯槽タンク)に接続するための第1接続口42と、タンク4の軸方向中央よりも前方側(後輪2bよりも前方側)でタンク4の内部と外部を連通する第1管座43と、タンク4の軸方向中央よりも後方側(後輪2bよりも後方側)でタンク4の内部と外部を連通する第2管座44と、第1管座43よりもタンク4の軸方向前方側に配設される液口45と、その液口45を後述する第3配管62に接続する接続管46と、を備える。なお、液口45は、通気管40よりもタンク4の後方側に設けても良い。
【0024】
通気管40は、タンク4の軸方向中央よりも前方側に配設されると共にタンク4の下面(内面)から上方に向けて突出して形成される。この通気管40は、タンク4における液化ガスの充填、送出時に、ボイルオフガス(液化ガスが自然入熱等により気化したもの)をタンク4の外部に排出、若しくは、タンク4の内部に供給するための配管である。
【0025】
液口45は、外部施設からタンク4の内部に液化ガスを充填、若しくは、タンク4の内部の液化ガスを重力(自重)によって外部施設へ送出するための液口である。即ち、タンク4に積載される液化ガスは、重力またはポンプ5のいずれかによってタンク4の外部に送出される。
【0026】
ポンプ5は、タンク4の内部の液化ガスを吸引し、外部へ送出するためのポンプであり、駆動源(例えば、電気モータ)から供給される駆動力によって駆動する。ポンプ5は、タンク4の内部に配設されると共にタンク4の内部の液化ガスを吸引する本体部50と、その本体部50によって吸引された液化ガスを吐出すると共にタンク4の外部に配設される吐出部51と、を備え、タンク4の軸方向中央よりも後方側(後輪2bよりも後方側)に配設される。
【0027】
送出管6は、ポンプ5(吐出部51)を外部施設(例えば、貯槽タンク)に接続するための配管として構成され、ポンプ5によって送られる液化ガスが送出管6を通って外部施設に送出される。送出管6は、第1管座43及び第2管座44をタンク4の内部で接続する第1配管60と、第2管座44及び吐出部51をタンク4の外部で接続する第2配管61と、タンク4の外部で第1管座43に接続される第3配管62と、その第3配管62を外部施設に接続するための第2接続口63と、を備える。
【0028】
ここで、
図2を参照して、タンク4における液化ガスの充填、送出方法について説明する。
図2(a)は、液化ガスの充填時における配管系統を示す模式図であり、
図2(b)は、液化ガスの送出時における配管系統を示す模式図である。なお、
図2におけるA~Dの矢印は、液化ガスやボイルオフガスの移動経路を示している。また、液化ガスを重力(自重)によって液口45から送出する方法や、外部施設側の配管系統は、公知の構成が採用可能であるので、その詳細な説明(
図2における図示)を省略する。
【0029】
図2に示すように、ガス管41には、緊急遮断弁41aと、その緊急遮断弁41aよりも第1接続口42側(
図1参照)に配設される開閉弁41bと、が設けられる。液口45には、緊急遮断弁45aが設けられ、接続管46には、開閉弁46aが設けられる。また、ポンプ5の吐出部51(
図1参照)には、緊急遮断弁51aが設けられ、接続管46よりも第2接続口63(
図1参照)側における第3配管62には、開閉弁62aが設けられる。
【0030】
まず、
図2(a)を参照して、タンク4への液化ガスの充填について説明する。第1接続口42及び第2接続口63(共に
図1参照)にホースHを接続することにより、タンク4が外部施設に接続される。液化ガスの充填時には、緊急遮断弁45a及び開閉弁46aを開状態とする。
【0031】
この状態で開閉弁62aを開状態にして外部施設のポンプを駆動させると、開閉弁46a及び緊急遮断弁45aは開状態であるので、接続管46を介した液口45への液化ガスの流れは許容され(経路A)、タンク4の内部に液化ガスが充填される。
【0032】
この時、緊急遮断弁41a及び開閉弁41bを開状態とすることにより、タンク4の内部のボイルオフガスが通気管40及びガス管41を介して外部施設へ排出される(経路B)。これにより、タンク4の内部に液化ガスが充填され、その充填後に外部施設のポンプを停止させた上で開状態の弁をそれぞれ閉状態にすることにより、液化ガスの充填が完了する。
【0033】
次に、
図2(b)を参照して、タンク4からの液化ガスの送出について説明する。液化ガスの送出時には、第1接続口42及び第2接続口63(共に
図1参照)にホースHを接続した状態で、緊急遮断弁51aを開状態とし、開閉弁46aを閉状態とする。この状態で開閉弁62aを開状態にしてポンプ5を駆動することにより、接続管46を介した液口45への液化ガスの流れは閉状態の開閉弁46a(緊急遮断弁45a)によって遮断され、第2配管61、第1配管60、及び、第3配管62を介して外部施設に液化ガスが送出される(経路C)。
【0034】
この時、緊急遮断弁41a及び開閉弁41bを開状態とすることにより、外部施設からのボイルオフガスがガス管41及び通気管40を介してタンク4の内部に供給される(経路D)。これにより、タンク4の内部の液化ガスが送出され、その送出後にポンプ5を停止させた上で開状態の弁をそれぞれ閉状態にすることにより、液化ガスの送出が完了する。
【0035】
この液化ガスの送出時に、懸架装置30によってシャシフレーム3の高さを調節することにより、前方側から後方側にかけてシャシフレーム3(タンク4)を下降傾斜させた状態で液化ガスを送出することができる(
図1(b)参照)。これにより、タンク4の後端側に配設されるポンプ5(本体部50)によって液化ガスを効率よく吸引することができるので、タンク4の内部に液化ガスが残留することを抑制し、液化ガスを効率よく送出することができる。
【0036】
また、シャシフレーム3に配設される艤装品を避ける態様で第1配管60がタンク4の内部に配設されることにより、艤装品と第1配管60とが干渉することを抑制できる。よって、艤装品を避けて第1配管60の経路を形成する必要がないので、第1配管60の経路を簡略化できる。
【0037】
更に、第1配管60がタンク4の内部に配設されることにより、例えば、荷役作業時に使用されるホース等が第1配管60に接触することを抑制できるので、第1配管60の破損を抑制することができる。また、例えば、キャビテーションにより第1配管60が破損して液化ガスが第1配管60から漏出しても、第1配管60がタンク4の内部に配設されるので、第1配管60から漏出する液化ガスはタンク4の内部に戻される。よって、第1配管60が破損しても、第1配管60から漏出する液化ガスがタンク4の外部に流出することを抑制できる。
【0038】
ここで、従来は、ポンプ5がタンク4の軸方向中央よりも前方側(後輪2bよりも前方側)に配設されていたため、ポンプ5の重量の分、前輪2aに加わる負荷が過大となり、前輪2aの劣化が促進される虞があった。また、タンク4の軸方向中央よりも前方側(後輪2bよりも前方側)は、後方側(後輪2bよりも後方側)に比べてシャシフレーム3に配設される艤装品が多いため、タンク4の前端側にポンプ5を配設すると、そのポンプ5に接続される送出管6が艤装品と干渉しやすくなり、送出管6の経路が複雑になる。
【0039】
これに対して、本実施の形態では、ポンプ5がタンク4の後端側に配設されるので、前輪2aに加わる負荷を減少させることができる。更に、タンク4の外部に配設される第2配管61を、艤装品が比較的少ないタンク4の後端側(シャシフレーム3の後端側)に配設することができるので、第2配管61が艤装品と干渉することを抑制できる。よって、第2配管61の経路を簡略化できる。
【0040】
ここで、ポンプ5に接続される第2配管61がタンク4の下方に配設される(タンク4の外部に露出する)ことにより、第2配管61を通る液化ガスが熱されることで気化しやすくなる虞がある。即ち、上述した排ガスの浄化装置(図示せず)は、排ガスを浄化するための触媒の活性化させることや、排ガスの浄化装置に堆積した粒子状物質を燃焼させること等によって高温になりやすいため、かかる浄化装置が配設されるタンク4の下方は温度が上昇しやすい。
【0041】
これに対して、本実施の形態では、ポンプ5から第2配管61に送られる液化ガスは、タンク4の内部に配設される第1配管60を通ることにより、タンク4の内部の液化ガスによって冷却される。よって、第2配管61(送出管6の一部)がタンク4の下方に配設される場合であっても、液化ガスが気化することを抑制できるので、液化ガスを効率よく送出することができる。
【0042】
第2接続口63や、第1接続口42の配設位置は、任意に設定することができるが、本実施の形態では、同一の弁計器箱32の内部に第1接続口42及び第2接続口63が配設され、第1接続口42よりも第2接続口63がシャシフレーム3の前方側に配設される。この場合、通気管40、ガス管41及び第1接続口42よりもタンク4の軸方向後方側に第1管座43を配設すると、ガス管41及び第1接続口42や、艤装品等を避けて第3配管62の経路を形成する必要があり、第3配管62の経路が複雑になる。また、タンク4の外部に露出する第3配管62の長さが長いと、外部からの衝撃(例えば、走行中にタイヤが巻き込んだ小石等の衝突)で破損する可能性が高くなる。
【0043】
これに対して、本実施の形態では、通気管40、ガス管41及び第1接続口42よりもシャシフレーム3の前方側に第1管座43が形成されるので、ガス管41及び第1接続口42に第3配管62が干渉することを抑制できる。よって、第3配管62の経路を簡略化できる。更に、ガス管41及び第1接続口42よりもシャシフレーム3の後方側に第1管座43を形成する場合に比べ、タンク4の外部に露出する第3配管62の長さを短くすることができるので、第3配管62が外部からの衝撃で破損することを抑制できる。
【0044】
また、通気管40、ガス管41及び第1接続口42よりも前方側に第1管座43が形成されるので、第1配管60の一部を通気管40よりも前方側に位置させることができる。即ち、タンク4の内部に配設される第1配管60を極力長く形成することにより、第1配管60を通る液化ガスをより効果的に冷却することができる。よって、液化ガスが送出時に気化することを抑制できるので、液化ガスを効率よく送出することができる。
【0045】
ここで、タンク4の内部に積載される液化ガスの温度や圧力により、タンク4が膨張または収縮して変形することがある。この場合、例えば、第1配管60がタンク4の内面に直接固定される構成であると、タンク4の変形に伴う応力が第1配管60とタンク4との接続部分や第1配管60自体に加わりやすくなり、タンク4や第1配管60が破損する虞がある。
【0046】
これに対して、本実施の形態では、第1配管60は、タンク4の軸方向に延設されると共にタンク4の内面から離間して配設される延設部60aと、その延設部60aの両端部から第1管座43及び第2管座44のそれぞれに向けて湾曲して(タンク4の側面視においてL字状形に)形成される一対の湾曲部60bを備える。これにより、例えば、軸方向に伸びるようにタンク4が変形すると、そのタンク4の変形に伴って湾曲部60bが変形する(湾曲部60bの湾曲が伸びるように変形する)。即ち、湾曲部60bをタンク4の変形に追従させることができるので、タンク4の変形に伴う第1配管60の破損を抑制できる。
【0047】
次いで、
図3及び
図4を参照して、タンク4及び送出管6の詳細構成について説明する。
図3は、タンクローリ1の上面図である。
図4(a)は、
図3のIVa―IVa線における断面図であり、
図4(b)は、
図3のIVb-IVb線における断面図である。なお、
図3及び
図4では、図面を簡素化するために、タンクローリ1の一部の図示を省略している。
【0048】
図3及び
図4に示すように、タンク4の第1管座43は、一対のシャシフレーム3の対向間(一対のサブフレーム33の対向間)でタンク4の内部と外部とを連通する管座として構成される。この第1管座43にタンク4の外部で接続される第3配管62は、一対のシャシフレーム3の対向間から下方に延びると共にシャシフレーム3の左右方向一側に屈曲し、タンクローリ1の左右方向一側に位置するシャシフレーム3の下方から弁計器箱32の内部に挿入される。
【0049】
即ち、第1管座43を一対のシャシフレーム3の対向間に配設することにより、第3配管62の一部を一対のシャシフレーム3の対向間に配設することができる。よって、例えば、荷役作業時に使用されるホース等が第3配管62に接触することを抑制できるので、第3配管62が破損することを抑制できる。また、第3配管62のうち、シャシフレーム3よりもタンクローリ1の左右方向外側に位置する部位は、その全体が弁計器箱32の内部に配設される。よって、シャシフレーム3よりもタンクローリ1の左右方向外側で第3配管62が外部に露出することを抑制できるので、第3配管62が外部からの衝撃(例えば、走行中にタイヤが巻き込んだ小石等の衝突)で破損することを抑制できる。
【0050】
また、第1管座43は、タンク4の前後方向における弁計器箱32の配設領域内(即ち、タンク4の前後方向において、弁計器箱32の前端よりも後方側であって、弁計器箱32の後端よりも前方側)に設けられる。これにより、第1管座43から弁計器箱32までの距離を短くすることができるので、それら第1管座43及び弁計器箱32を接続する第3配管62の経路を簡略化できる。
【0051】
図4(b)に示すように、タンク4の第2管座44は、一対のシャシフレーム3の対向間(一対のサブフレーム33の対向間)でタンク4の内部と外部とを連通する管座として構成される。また、ポンプ5の吐出部51も一対のシャシフレーム3の対向間に配設されるので(
図1参照)、第2管座44及び吐出部51を接続する第2配管61を一対のシャシフレーム3の対向間に配設することができる。よって、例えば、荷役作業時に使用されるホース等が第2配管61に接触することを抑制できるので、第2配管61の破損を抑制できる。
【0052】
第1配管60の一対の湾曲部60bは、タンク4の軸方向視において(
図4参照)、第1管座43および第2管座44からそれぞれタンク4の内部(軸側)に向けて延びると共にタンク4の左右方向一側に向けてそれぞれ湾曲して(円弧状に)形成され、それら一対の湾曲部60bどうしが延設部60aによって接続される。これにより、タンク4の左右方向における中央よりも外側に延設部60aが配設される。よって、タンク4の左右方向における中央の下面から上方に向けて突出して通気管40が形成される場合であっても、その通気管40と延設部60aとが干渉することを抑制できる。
【0053】
この場合、湾曲部60bが第1管座43および第2管座44からタンク4の左右方向一側に向けて湾曲するので、例えば、延設部60aの自重やタンク4の振動によって、湾曲部60bの湾曲方向(タンク4の左右方向一側)に向けて第1配管60が傾倒しやすくなる。
【0054】
これに対して、本実施の形態では、延設部60aとタンク4の内面とを接続する支持部材7によって延設部60aが支持されるので、第1配管60が傾倒することを抑制できる。よって、第1配管60と、第1管座43及び第2管座44との接続部分に第1配管60の傾倒に伴う応力が加わることを抑制できるので、第1配管60、第1管座43及び第2管座44の耐久性を向上させることができる。
【0055】
次いで、
図5を参照して、支持部材7の詳細構成について説明する。
図5は、
図3のV-V線における部分拡大断面図である。
【0056】
図5に示すように、支持部材7は、タンク4の内面からタンク4の内部(軸側)に向けて立設する立設部70と、その立設部70の立設先端部分に固定されると共にU字状に形成される保持部71と、を備える。
【0057】
立設部70及び保持部71によって取り囲まれる空間は、延設部60aの外径に対応した形状か、若しくは若干広い寸法に形成され、延設部60aがタンク4の軸方向へ変位可能に保持される。これにより、例えば、タンク4の膨張や収縮によってタンク4が軸方向に伸びる(又は、縮む)ように変形した場合に、立設部70及び保持部71に対して延設部60aを相対的に変位させることができる。更に、立設部70及び保持部71に対して延設部60aを相対的に回転させることもできる。
【0058】
よって、例えば、延設部60aが立設部70及び保持部71に拘持(固定)される場合に比べ、立設部70及び保持部71と延設部60aとの接続部分や、立設部70とタンク4の内面との接続部分に、タンク4の変形に伴う応力が加わることを抑制できる。従って、タンク4の変形による第1配管60や支持部材7の破損を抑制することができる。
【0059】
以上、上記実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
【0060】
上記実施の形態では、タンクローリ1が液化ガスを輸送する車両として構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、タンクローリ1を液化ガス以外の液体(例えば、石油、飲料水、薬品等)を輸送する車両として構成しても良い。
【0061】
上記実施の形態では、シャシフレーム3の前方側に配設される1軸の前輪2aと、後方側に配設される2軸の後輪2bとを備える車両から構成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、タンクローリ1が2軸の前輪2aと1軸の後輪2bとを備える構成、又は、2軸の前輪2aと2軸の後輪2bとを備える構成でも良い。また、タンクローリ1がセミトレーラーの車両から構成されても良い。
【0062】
上記実施の形態では、送出管6が第1配管60と第2配管61とを備える場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第2配管61を省略し、第1配管60をタンク4の内部で直接ポンプに接続する構成でも良い。
【0063】
上記実施の形態では、通気管40よりもタンク4の軸方向前方側に第1管座43が配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、第1管座43を通気管40よりもタンク4の軸方向後方側に配設する構成でも良い。これにより、通気管40を避けての第1配管60の経路を形成する(湾曲部60bをタンク4の左右方向に向けて湾曲させる)ことを不要にできるので、第1配管60を容易に形成できる。
【0064】
上記実施の形態では、第1管座43及び第2管座44が一対のシャシフレーム3の対向間(一対のサブフレーム33の対向間)でタンク4の内部と外部とを連通する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1管座43又は第2管座44が、一対のサブフレーム33よりも上方側でタンク4の内部と外部とを連通する構成や、タンク4の軸方向前方側の前面または後方側の背面でタンク4の内部と外部とを連通する構成でも良い。即ち、一対のサブフレーム33よりも上方側で送出管6の一部が外部に露出する構成でも良い。
【0065】
上記実施形態では、タンク4の軸方向中央よりも後方側(後輪2bよりも後方側)にポンプ5が配設され、第2接続口63がタンク4の軸方向中央よりも前方側(後輪2bよりも前方側)に配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、タンク4の軸方向中央よりも前方側(後輪2bよりも前方側)にポンプ5を配設し、タンク4の軸方向中央よりも後方側(後輪2bよりも後方側)に第2接続口63を配設する構成でも良い。即ち、ポンプ5及び第2接続口63の配設位置は任意に設定でき、それらポンプ5及び第2接続口63を接続する第1配管60の少なくとも一部が艤装品と干渉しないようにタンク4の内部に配設される構成であれば、第1配管60の経路を簡略化できる。
【0066】
上記実施形態では、ポンプ5の本体部50がタンク4の内部に配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、タンク4の外部に本体部50を設ける構成でも良く、少なくともタンク4の内部の液化ガスを吸引できる構成であれば、本体部50(ポンプ5)の配設位置は限定されない。
【0067】
上記実施形態では、第1配管60の湾曲部60bが、延設部60aの両端部から第1管座43及び第2管座44のそれぞれに向けて湾曲して形成される場合を例示したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、第1配管60(延設部60a)の一部がS字状に湾曲する構成や、第1配管60(延設部60a)の一端側のみをタンク4の内面に向けて湾曲させる構成でも良い。即ち、第1配管60の形状は、ポンプ5及び第2接続口63の配設位置に応じて適宜設定でき、その第1配管60の少なくとも一部を湾曲させる構成であれば、かかる湾曲部分をタンク4の変形に追従させることができる。
【0068】
上記実施の形態では、湾曲部60bの曲率についての説明を省略したが、湾曲部60bの曲率半径や湾曲形状は適宜設定できる。例えば、湾曲部60bの曲率半径は、少なくとも第1配管60の直径よりも大きく設定すれば良い。
【0069】
上記実施の形態では、支持部材7(立設部70)のタンク4の内面への固定方法や、保持部71の立設部70への固定方法の説明を省略したが、それらの固定方法の一例として、溶接やボルト止め等が例示される。
【0070】
上記実施の形態では、保持部71がU字状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、例えば、保持部71を2枚の板状体から構成して延設部60aを挟持することや、保持部71を1枚の板状体から構成して延設部60aの下面から支持する構成でも良い。この場合には、保持部71によって延設部60aをタンク4の左右方向へ変位可能に保持(支持)することが好ましい。これにより、タンク4が径方向に膨張するように変形した場合に、支持部材7(立設部70及び保持部71)に対して延設部60aを相対的に変位させることができる。よって、タンク4の径方向への変形に伴う第1配管60や支持部材7の破損を抑制できる。
【符号の説明】
【0071】
1 タンクローリ
2 車輪
3 シャシフレーム
30 懸架装置
4 タンク
43 第1管座
44 第2管座
5 ポンプ
51 吐出部
6 送出管
60 第1配管
60b 湾曲部
61 第2配管
7 支持部材