(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】冷却貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20220530BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
F25D23/00 301Z
F25D23/00 301N
F25D11/00 101E
(21)【出願番号】P 2018098533
(22)【出願日】2018-05-23
【審査請求日】2021-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】春日井 正樹
【審査官】森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-175477(JP,A)
【文献】特開2012-042134(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 23/00
F25D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却貯蔵庫であって、
開閉扉を有する貯蔵庫本体と、
圧縮機及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検出する温度センサと、
制御部と、
報知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機を運転して庫内を冷却する冷却運転であって、前記温度センサによって検出された庫内温度が所定の下限温度まで低下すると前記圧縮機を停止させ、その後に庫内温度が所定の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、
庫内温度が前記上限温度と前記下限温度との間の所定の温度まで低下すると前記報知部に省電力状態であることを報知させる報知処理と、
を実行する
とともに、
前記制御部は、庫内温度が前記上限温度より第3の所定温度以上高い状態が所定時間継続すると、前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させる、冷却貯蔵庫。
【請求項2】
冷却貯蔵庫であって、
開閉扉を有する貯蔵庫本体と、
圧縮機及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検出する温度センサと、
制御部と、
報知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機を運転して庫内を冷却する冷却運転であって、前記温度センサによって検出された庫内温度が所定の下限温度まで低下すると前記圧縮機を停止させ、その後に庫内温度が所定の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、
庫内温度が前記上限温度と前記下限温度との間の所定の温度まで低下すると前記報知部に省電力状態であることを報知させる報知処理と、
を実行するものとされ、
前記制御部は、当該冷却貯蔵庫の異常を検出する異常検出処理を実行し、前記報知部に省電力状態であることを報知させているときに前記異常検出処理によって異常が検出された場合は、前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させ、異常が検出されたことを報知させる、冷却貯蔵庫。
【請求項3】
冷却貯蔵庫であって、
開閉扉を有する貯蔵庫本体と、
圧縮機及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検出する温度センサと、
制御部と、
報知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機を運転して庫内を冷却する冷却運転であって、前記温度センサによって検出された庫内温度が所定の下限温度まで低下すると前記圧縮機を停止させ、その後に庫内温度が所定の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、
庫内温度が前記上限温度と前記下限温度との間の所定の温度まで低下すると前記報知部に省電力状態であることを報知させる報知処理と、
を実行するものとされ、
前記冷凍回路は凝縮器、凝縮器ファン、及び、前記凝縮器の前側に配されているフィルターを有し、
当該冷却貯蔵庫は前記フィルターの目詰まりを検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部によって前記フィルターの目詰まりを検出する目詰まり検出処理を実行し、前記報知部に省電力状態であることを報知させているときに前記目詰まり検出処理によって目詰まりが検出された場合は、前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させ、前記フィルターが目詰まりしていることを報知させる、冷却貯蔵庫。
【請求項4】
冷却貯蔵庫であって、
開閉扉を有する貯蔵庫本体と、
圧縮機及び蒸発器を有する冷凍回路と、
庫内温度を検出する温度センサと、
制御部と、
報知部と、
を備え、
前記制御部は、
前記圧縮機を運転して庫内を冷却する冷却運転であって、前記温度センサによって検出された庫内温度が所定の下限温度まで低下すると前記圧縮機を停止させ、その後に庫内温度が所定の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、
庫内温度が前記上限温度と前記下限温度との間の所定の温度まで低下すると前記報知部に省電力状態であることを報知させる報知処理と、
を実行するものとされ、
前記制御部は、所定の除霜開始条件が成立すると前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させ、前記蒸発器を除霜する除霜運転を実行する、冷却貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は冷却貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷却貯蔵庫において、省電力状態になるとその旨を報知するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、特許文献1に記載の冷蔵庫(冷却貯蔵庫に相当)は単位時間当たりの回転数(以下、単に回転数という)が可変の圧縮機を備えており、庫内温度に基づいて圧縮機の回転数を可変する。当該冷蔵庫は貯蔵室外の温度に応じて基準回転数が設定されており、圧縮機の回転数が基準回転数より低い場合にエコマークを点灯させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は圧縮機の回転数が可変であることが前提であり、回転数が一定の一定速圧縮機の場合には適用できない。このため、一定速圧縮機の場合にエコマークを点灯させることができず、使用者に省電力を意識付けることができない。
【0005】
本明細書では、圧縮機の回転数が可変であるか否かに関わらず省電力状態であることを報知できる技術を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示する冷却貯蔵庫は、開閉扉を有する貯蔵庫本体と、圧縮機及び蒸発器を有する冷凍回路と、庫内温度を検出する温度センサと、制御部と、報知部と、を備え、前記制御部は、前記圧縮機を運転して庫内を冷却する冷却運転であって、前記温度センサによって検出された庫内温度が所定の下限温度まで低下すると前記圧縮機を停止させ、その後に庫内温度が所定の上限温度まで上昇すると前記圧縮機の運転を再開する冷却運転と、庫内温度が前記上限温度と前記下限温度との間の所定の温度まで低下すると前記報知部に省電力状態であることを報知させる報知処理と、を実行する。
【0007】
庫内温度が低下すると蒸発器内の冷媒の蒸発量が減少するため冷凍回路内の圧力が低下し、冷媒を圧縮する圧縮機にかかる負荷が小さくなる。圧縮機にかかる負荷が小さくなると、単位時間当たりの回転数(以下、単に回転数という)が一定の一定速圧縮機であるか回転数が可変の圧縮機(例えばインバータ圧縮機)であるかに関わらず、圧縮機に流れる電流値が小さくなる。このため庫内温度が低下すると省電力となる。また、一般に回転数が可変の圧縮機は庫内温度の低下に従って回転数を下げる制御が行われるので、一定速圧縮機よりも更に省電力となる。
上記の冷却貯蔵庫によると、庫内温度が上限温度と下限温度との間の所定の温度まで低下すると省電力状態であることを報知するので、圧縮機の回転数が可変であるか否かに関わらず省電力状態であることを報知できる。このため、圧縮機の回転数が可変であるか否かに関わらず、使用者に省電力を意識付けることができる。
なお、上記の冷却貯蔵庫において省電力状態とは、何らかの基準と比較して省電力状態であることを意味するものではない。使用者に省電力を意識付ける上では、冷却貯蔵庫が何らかの基準と比較して実際に省電力状態であるかどうかは必ずしも必須ではないからである。
【0008】
上記の冷却貯蔵庫は、目標温度の設定を受け付ける受付部を備え、前記上限温度は前記目標温度に第1の所定温度を加算した温度であり、前記下限温度は前記目標温度から第2の所定温度を減算した温度であり、前記所定の温度は前記目標温度であってもよい。
【0009】
一般に一定速圧縮機や回転数が可変の圧縮機に供給される電流の電流値は庫内温度が目標温度まで低下すると省電力状態といえる程度まで小さくなる。上記の冷却貯蔵庫によると、庫内温度が目標温度以下になったときに省電力状態であることを報知させるので、省電力状態になったことを報知するタイミングを、冷却貯蔵庫が省電力状態になったタイミングとより精度良く一致させることができる。
【0010】
前記制御部は、庫内温度が前記上限温度より第3の所定温度以上高い状態が所定時間継続すると、前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させてもよい。
【0011】
前述したように制御部は庫内温度が所定の温度まで低下すると省電力状態であることを報知させる。その場合、省電力状態であることの報知を終了させるタイミングとしては、庫内温度が所定の温度より高くなったタイミングが考えられる。しかしながら、冷却運転では庫内温度が頻繁に上下するので、所定の温度より高くなったタイミングで報知を終了させると省電力状態であることの報知と報知の終了とが頻繁に繰り返されてしまい、使用者が冷却貯蔵庫の故障と誤解する虞がある。
また、開閉扉が開閉されることによって庫内温度が所定の温度より高くなる場合もある。その場合、庫内温度が所定の温度より高くなったときに報知を終了させると、開閉扉が開かれていた時間が短いことによって庫内温度が所定の温度より少し高くなった程度であっても報知が終了するので、報知と報知の終了とが頻繁に繰り返されてしまう。
上記の冷却貯蔵庫によると、庫内温度が上限温度より第3の所定温度以上高い状態が所定時間継続した場合(言い換えると、開閉扉が長い時間開いたままにされたことによって庫内温度が大きく上昇した場合)に省電力状態であることの報知を終了させるので、省電力状態であることの報知と報知の終了とが頻繁に繰り返されてしまうことを抑制できる。これにより、使用者に冷却貯蔵庫の故障と誤解させないようにできる。
【0012】
前記制御部は、当該冷却貯蔵庫の異常を検出する異常検出処理を実行し、前記報知部に省電力状態であることを報知させているときに前記異常検出処理によって異常が検出された場合は、前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させ、異常が検出されたことを報知させてもよい。
【0013】
省電力状態であることと異常が検出されたこととを報知部によって報知する場合、省電力状態であることと異常が検出されたこととを両方同時に報知すると、異常が検出されたことに使用者が気付き難くなる虞がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、異常が検出されたことを報知するときは省電力状態であることの報知を終了させるので、異常が検出されたことが強調される。このため冷却貯蔵庫の使用者は異常が検出されたことに気付き易くなる。これにより、異常を解消するよう使用者により確実に促すことができる。
【0014】
前記冷凍回路は凝縮器、凝縮器ファン、及び、前記凝縮器の前側に配されているフィルターを有し、当該冷却貯蔵庫は前記フィルターの目詰まりを検出する検出部を備え、前記制御部は、前記検出部によって前記フィルターの目詰まりを検出する目詰まり検出処理を実行し、前記報知部に省電力状態であることを報知させているときに前記目詰まり検出処理によって目詰まりが検出された場合は、前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させ、前記フィルターが目詰まりしていることを報知させてもよい。
【0015】
省電力状態であることとフィルターが目詰まりしていることとを報知部によって報知する場合、省電力状態であることとフィルターが目詰まりしていることとを両方同時に報知すると、フィルターが目詰まりしていることに使用者が気付き難くなる虞がある。
上記の冷却貯蔵庫によると、フィルターが目詰まりしていることを報知するときは省電力状態であることの報知を終了させるので、フィルターが目詰まりしていることが強調される。このため冷却貯蔵庫の使用者はフィルターが目詰まりしていることに気付き易くなる。これにより、目詰まりを解消するよう使用者により確実に促すことができる。
【0016】
前記制御部は、所定の除霜開始条件が成立すると前記報知部に省電力状態であることの報知を終了させ、前記蒸発器を除霜する除霜運転を実行してもよい。
【0017】
除霜運転を行うと庫内温度が上昇するので、その後に冷却運転を再開したとき、庫内温度が低下するのに時間を要する。このため、除霜運転が行われると省電力状態ではなくなる。上記の冷却貯蔵庫によると、除霜開始条件が成立すると省電力状態であることの報知を終了させるので、省電力状態であることの報知を、省電力状態ではなくなるタイミングで終了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図6】エコ表示部の点灯/消灯を説明するためのタイミングチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態1>
実施形態1を
図1ないし
図6に基づいて説明する。以降の説明において上下方向及び左右方向とは
図1に示す上下方向及び左右方向を基準とし、前後方向とは
図2に示す前後方向を基準とする。
【0020】
図1及び
図2を参照して、本実施形態に係る冷蔵庫1(冷却貯蔵庫の一例)の全体構成について説明する。冷蔵庫1は主に業務に用いられる2ドア式の冷蔵庫である。
図2に示すように、冷蔵庫1は前側に開口11A及び11Bを有する断熱箱体からなる貯蔵庫本体11を備えている。開口11A及び11Bは上下方向の概ね中央において左右方向に延びる角柱状の前面枠11Cによって上下に仕切られている。
図1及び
図2に示すように、貯蔵庫本体11には開口11A及び11Bを開閉する2つの断熱扉12(12A、12B)が取り付けられている。断熱扉12は開閉扉の一例である。貯蔵庫本体11の下面には貯蔵庫本体11を支持する4つの脚部13が取り付けられている。
【0021】
図2に示すように、貯蔵庫本体11の上には上側が開放された機械室16が設けられている。機械室16には冷却ユニット17、制御部18(
図4参照)、電源部(図示せず)などが収容されている。
図1及び
図2に示すように、機械室16の前面には操作部19(報知部、受付部の一例)が設けられている。冷蔵庫1の使用者は操作部19を操作して庫内の目標温度の設定などの各種の操作を行うことができる。目標温度は所定の温度の一例である。以降の説明では設定された目標温度のことを設定温度という。
【0022】
(2)冷却ユニット及びその周辺の構成
図3を参照して、冷却ユニット17及びその周辺の構成について説明する。冷却ユニット17は断熱性のユニット台20に冷凍回路21を取り付けたものである。ユニット台20は貯蔵庫本体11の天井壁11Dに形成されている開口11Eより一回り大きい形に形成されており、開口11Eを塞ぐように天井壁11Dの上に配置されている。
【0023】
冷凍回路21は圧縮機22、凝縮器23、凝縮器ファン24、蒸発器25、図示しない膨張弁などを備えている。圧縮機22は回転数が可変なインバータ圧縮機であってもよいし、回転数が一定の一定速圧縮機であってもよい。
凝縮器23の前側には空気中の塵埃が凝縮器23に付着して凝縮能力が低下することを防止するための図示しないフィルターが設けられている。なお、凝縮器23に対するフィルターの位置は前側に限定されるものではない。フィルターの位置は凝縮器23に塵埃が付着することを抑制可能な位置であれば適宜に決定できる。
【0024】
凝縮器23の冷媒管にはフィルターの目詰まりを検出するための目詰まりサーミスタ31(
図4参照)が配置されている。目詰まりサーミスタ31は検出部の一例である。
蒸発器25はユニット台20の下側に取り付けられており、天井(天井壁11D及びユニット台20)と次に説明するダクト部27とによって構成される空気循環路28に収容されている。
【0025】
ダクト部27は天井との間に空気循環路28を形成するものであるとともに、蒸発器25に付着した霜が溶けた水である除霜水を受けるドレンパンとしても機能する。ダクト部27は後側に向かって下に傾斜する略平板状の底壁27A、底壁27Aの左右の縁部から上側に立ち上がっている側壁27B、及び、底壁27Aの後側の縁部から上側に僅かに立ち上がっている後壁27Cを有している。
【0026】
底壁27Aの前側部分には空気循環路28内に空気を吸い込むための円形の吸込口27Dが形成されている。後壁27Cは貯蔵庫本体11の後側の壁11Fから前側に離間しており、後壁27Cと貯蔵庫本体11の後側の壁11Fとの間に吹出口27Eが形成されている。また、後壁27Cには左右方向の概ね中央から後側に向かって延びる断面U字状の排水溝27Fが一体に形成されている。貯蔵庫本体11の後側の壁11Fの内部には排水通路11Gが形成されており、排水溝27Fは後側の端部が排水通路11Gに挿入されている。ダクト部27によって受けられた除霜水は排水溝27Fから排水通路11Gを介して庫外に排出される。
【0027】
庫内ファン29はダクト部27の吸込口27Dに上側から装着されている。庫内ファン29が回転すると庫内の空気が吸込口27Dから空気循環路28に吸い込まれ、蒸発器25によって冷却されて吹出口27Eから庫内に吹き出される。
庫内サーミスタ30(温度センサの一例)は空気循環路28内において庫内ファン29と蒸発器25との間に配されている。庫内サーミスタ30は庫内温度を検出して制御部18に出力する。
【0028】
(3)冷蔵庫の電気的構成
図4を参照して、冷蔵庫1の電気的構成について説明する。冷蔵庫1は制御部18を備えている。制御部18には操作部19、圧縮機22、庫内ファン29、凝縮器ファン24、庫内サーミスタ30、目詰まりサーミスタ31などが接続されている。
【0029】
制御部18はCPU18A、ROM18B、RAM18Cなどを備えている。制御部18はROM18Bに記憶されている制御プログラムを実行することによって冷蔵庫1の各部を制御する。制御部18はCPU18Aに替えて、あるいはCPU18Aに加えてASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などを備えていてもよい。
【0030】
図5を参照して、操作部19について説明する。操作部19には表示装置40、複数の操作ボタン41(受付部の一例)、点検表示部42(報知部の一例)、フィルター表示部43(報知部の一例)、霜取中表示部44(報知部の一例)、エコ表示部45(報知部の一例)などが設けられている。
表示装置40には現在の庫内温度や目標温度(以下、「設定温度」という)などが表示される。操作ボタン41は使用者が設定温度などの各種の設定を行うためのボタンである。点検表示部42、フィルター表示部43、霜取中表示部44及びエコ表示部45についての説明は後述する。
【0031】
(4)冷却運転
図6を参照して、制御部18によって実行される冷却運転について説明する。冷却運転は圧縮機22及び凝縮器ファン24の運転/停止を切り替えることによって庫内温度を所定の冷却温度範囲内に維持するものである。冷却温度範囲の上限温度は例えば設定温度+1.7K[ケルビン]であり、下限温度は設定温度-2.7Kである。1.7Kは第1の所定温度の一例であり、2.7Kは第2の所定温度の一例である。
【0032】
冷却運転では、制御部18は圧縮機22、凝縮器ファン24及び庫内ファン29を運転し、庫内温度が下限温度まで低下すると圧縮機22及び凝縮器ファン24を停止させる。これらを停止させると庫内温度が徐々に上昇する。制御部18は庫内温度が冷却温度範囲の上限温度まで上昇すると圧縮機22及び凝縮器ファン24の運転を再開する。これを繰り返すことによって庫内温度が概ね冷却温度範囲内に維持される。
【0033】
(5)除霜運転
図6を参照して、制御部18によって実行される除霜運転について説明する。前述した冷却運転を行うと蒸発器25に霜が付着する。このため制御部18は所定の除霜開始条件が成立すると除霜運転を行う。除霜開始条件は「前回の除霜運転が終了してから一定時間が経過した」、「予め設定されている時刻に達した」などである。除霜開始条件は適宜に決定できる。
【0034】
蒸発器25の除霜方式としては、圧縮機22を停止させるとともにヒータによって蒸発器25を加熱するヒータデフロスト方式や、圧縮機22を停止させる一方、ヒータによる加熱は行わず、庫内温度の上昇によって除霜するオフサイクルデフロスト方式などが知られている。除霜運転は任意の方式によって行うことができるが、ここではオフサイクルデフロスト方式を例に説明する。
【0035】
オフサイクルデフロスト方式では、制御部18は圧縮機22及び凝縮器ファン24を停止させ、庫内ファン29のみを運転させる。冷蔵庫1の外部からの熱侵入や庫内ファン29の発熱で庫内温度が徐々に上昇し、庫内ファン29の風との熱交換で蒸発器25に付着した霜が解ける。そして、制御部18は予め設定されている除霜終了温度まで庫内温度が上昇すると除霜を終了する。なお、除霜運転を終了する条件は適宜に決定できる。
【0036】
(6)点検表示部、フィルター表示部、霜取中表示部及びエコ表示部
図5を参照して、点検表示部42、フィルター表示部43、霜取中表示部44及びエコ表示部45について説明する。
点検表示部42は冷蔵庫1の異常が検出されたことを示す透明あるいは半透明の図形及び「点検」という文字列と、それらの図形及び文字列の背後に配されているLEDなどの光源とを備えている。冷蔵庫1の異常とは、設定温度と庫内温度との差が一定値以上である場合や、庫内サーミスタ30の断線・短絡などによって異常な温度が検出された場合などである。冷蔵庫1の異常はこれらに限られるものではない。制御部18は冷蔵庫1の異常を検出する異常検出処理を実行し、異常を検出すると点検表示部42を点灯(報知の一例)させる。そして、制御部18は冷蔵庫1の点検が行われて異常が検出されなくなると点検表示部42を消灯させる。
【0037】
フィルター表示部43は凝縮器23の前側に設けられているフィルターの目詰まりが検出されたことを示す透明あるいは半透明の図形及び「フィルター」という文字列と、それらの図形及び文字列の背後に配されているLEDなどの光源とを備えている。制御部18は目詰まりサーミスタ31によって検知された温度が所定温度以上の状態を所定時間以上継続するとフィルターが目詰まりしていると見做す(目詰まり検出処理の一例)。制御部18はフィルターが目詰まりしていると見做した場合はフィルター表示部43を点灯(報知の一例)させる。そして、制御部18は目詰まりが解消されたと見做すとフィルター表示部43を消灯させる。
【0038】
霜取中表示部44は除霜運転中であることを示す透明あるいは半透明の図形及び「霜取中」という文字列と、それらの図形及び文字列の背後に配されているLEDなどの光源とを備えている。制御部18は前述した所定の除霜開始条件が成立すると霜取中表示部44を点灯(報知の一例)させ、除霜運転が終了すると霜取中表示部44を消灯させる。
【0039】
エコ表示部45は冷蔵庫1が省電力状態であることを示す透明あるいは半透明の図形及び「ECO」という文字列と、それらの図形及び文字列の背後に配されているLEDなどの光源とを備えている。以下、エコ表示部45について具体的に説明する。
【0040】
庫内温度が低下すると蒸発器25内の冷媒の蒸発量が減少するため冷凍回路21内の圧力が低下し、冷媒を圧縮する圧縮機22にかかる負荷が小さくなる。圧縮機22にかかる負荷が小さくなると、一定速圧縮機であるかインバータ圧縮機であるかに関わらず、圧縮機22に流れる電流値が小さくなる。このため庫内温度が低下すると省電力となる。また、一般にインバータ圧縮機は庫内温度の低下に従って回転数を下げる制御が行われるので、一定速圧縮機よりも更に省電力となる。
【0041】
このため、制御部18は庫内温度が設定温度まで低下するとエコ表示部45を点灯させる。これにより、冷蔵庫1が省電力状態であることが報知される。ここで、本実施形態において省電力状態とは、何らかの基準と比較して省電力状態であることを意味するものではない。使用者に省電力を意識付ける上では、冷蔵庫1が何らかの基準と比較して実際に省電力状態であるかどうかは必ずしも必須ではないからである。
詳しくは後述するが、制御部18は、エコ表示部45を点灯させた後、庫内温度が上限温度より第3の所定温度以上高い状態が所定時間継続するとエコ表示部45を消灯させる。
【0042】
(7)各表示部の点灯/消灯
図6を参照して、各表示部の点灯/消灯についてより具体的に説明する。
図6において時点T1は冷蔵庫1の電源が投入された時点である。
図6に示す例では時点T2において庫内温度が設定温度まで低下している。このため、制御部18は時点T2でエコ表示部45を点灯させる(報知処理の一例)。
【0043】
時点T3は冷蔵庫1の異常が検出された時点であり、時点T4は異常が検出されなくなった時点である。前述したように制御部18は冷蔵庫1の異常を検出すると点検表示部42を点灯させる。制御部18は点検表示部42を点灯させている間はエコ表示部45を消灯させる。このため、エコ表示部45と点検表示部42とを両方同時に点灯させる場合に比べ、異常が検出されたことが視覚的に強調される。そして、制御部18は異常が検出されなくなると点検表示部42を消灯させてエコ表示部45の点灯を再開する。
【0044】
時点T5はフィルターが目詰まりしていると見做された時点であり、時点T6はフィルターの目詰まりが解消されたと見做された時点である。前述したように制御部18はフィルターが目詰まりしていると見做した場合はフィルター表示部43を点灯させる。制御部18はフィルター表示部43を点灯させている間はエコ表示部45を消灯させる。このため、エコ表示部45とフィルター表示部43とを両方同時に点灯させる場合に比べ、フィルターが目詰まりしていることが視覚的に強調される。そして、制御部18は目詰まりが解消されるとフィルター表示部43を消灯させてエコ表示部45の点灯を再開する。
【0045】
図6に示す例では時点T7で断熱扉12が開かれている。断熱扉12が開かれると庫内温度が上昇する。時点T8は断熱扉12が開かれたことによって庫内温度が上限温度より1.0K高い温度(言い換えると設定温度より2.7K高い温度)まで上昇した時点である。時点T9は時点T8から1分が経過した時点である。
図6に示す例では、断熱扉12が長い時間開いたままにされたことにより、庫内温度が上限温度より1.0K以上高い状態が時点T9まで継続している。制御部18は庫内温度が上限温度より1.0K以上高い状態が1分間継続した場合にエコ表示部45を消灯させる。1.0Kは第3の所定温度の一例であり、1分は所定時間の一例である。以下、庫内温度が上限温度より1.0K以上高い状態が1分間継続した場合にエコ表示部45を消灯させる理由について説明する。
【0046】
前述したように制御部18は庫内温度が設定温度まで低下するとエコ表示部45を点灯させる。その場合、エコ表示部45を消灯させるタイミングとしては、庫内温度が設定温度より高くなったタイミングが考えられる。しかしながら、冷却運転では庫内温度が頻繁に上下するので、庫内温度が設定温度より高くなったタイミングで消灯させると点灯と消灯とが頻繁に繰り返されてしまい、使用者が冷蔵庫1の故障と誤解する虞がある。
【0047】
また、断熱扉12が開閉されることによって庫内温度が設定温度より高くなる場合もある。その場合、庫内温度が設定温度より高くなったときにエコ表示部45を消灯させると、断熱扉12が開かれていた時間が短いことによって庫内温度が設定温度より少し高くなった程度であっても消灯するので、点灯と消灯とが頻繁に繰り返されてしまう。
【0048】
これに対し、断熱扉12が長い時間開いたままにされた場合にエコ表示部45を消灯させるようにすると、エコ表示部45の点灯と消灯とが頻繁に繰り返されてしまうことを抑制できる。
【0049】
また、別の理由としては、省電力のために断熱扉12を長い時間開いたままにしないよう使用者に意識付けることがある。使用者が断熱扉12を長い時間開いたままにすると庫内温度が上限温度より1.0K以上高い状態が1分間以上継続するのでエコ表示部45が消灯する。このため、使用者は自身が断熱扉12を長い時間開いたままにしたために冷蔵庫1が省電力状態ではなくなったと理解する。このため、使用者はエコ表示部45が消灯する前に断熱扉12を閉めようと意識することになり、省電力の意識付けになる。
【0050】
図6に示す例では時点T10において庫内温度が設定温度まで低下している。このため、制御部18は時点T10でエコ表示部45を点灯させる。
【0051】
時点T11は除霜開始条件が成立した時点であり、時点T12は除霜運転が終了した時点である。制御部18は前述した所定の除霜開始条件が成立するとエコ表示部45を消灯させ、霜取中表示部44を点灯させる。除霜運転を行うと庫内温度が上昇するので、制御部18は時点T12で除霜運転が終了しても直ぐにはエコ表示部45を点灯させず、その後に庫内温度が設定温度以下になったときにエコ表示部45を点灯させる。
【0052】
(8)実施形態の効果
冷蔵庫1によると、庫内温度が設定温度まで低下するとエコ表示部45を点灯させるので、圧縮機22が一定速圧縮機であるかインバータ圧縮機であるか否かに関わらずエコ表示部45を点灯させることができる。このため、一定速圧縮機であるかインバータ圧縮機であるか否かに関わらず、使用者に省電力を意識付けることができる。
また、冷蔵庫1によると、部品点数を削減できるという利点もある。具体的には、前述した特許文献1に記載の技術ではエコマークを点灯させるために貯蔵室外の温度を検出するセンサを備える必要がある。これに対し、冷蔵庫1は貯蔵室外の温度を検出するセンサを備えなくてもエコ表示部45を点灯させることができるので、冷蔵庫1の部品点数を削減できる。
【0053】
更に、冷蔵庫1によると、冷却温度範囲の上限温度は設定温度に1.7Kを加算した温度であり、下限温度は設定温度から2.7Kを減算した温度であり、所定の温度は設定温度である。一般に一定速圧縮機やインバータ圧縮機は庫内温度が設定温度まで低下すると省電力状態といえる程度まで電流値が小さくなる。冷蔵庫1によると、庫内温度が設定温度以下になったときにエコ表示部45を点灯させるので、エコ表示部45を点灯させるタイミングを、冷蔵庫1が省電力状態になったタイミングとより精度良く一致させることができる。
【0054】
更に、冷蔵庫1によると、庫内温度が上限温度より1.0K以上高い状態が1分間継続した場合(言い換えると、断熱扉12が長い時間開いたままにされたことによって庫内温度が大きく上昇した場合)にエコ表示部45を消灯させるので、エコ表示部45の点灯と消灯とが頻繁に繰り返されてしまうことを抑制できる。これにより、使用者に冷蔵庫1の故障と誤解させないようにできる。また、庫内温度が上限温度より1.0K以上高い状態が1分間継続した場合にエコ表示部45を消灯させることにより、使用者に省電力を意識付けることができる。
【0055】
更に、冷蔵庫1によると、点検表示部42を点灯させている間はエコ表示部45を消灯させることによって異常が検出されたことが視覚的に強調されるので、使用者は冷蔵庫1の異常が検出されたことに気付き易くなる。これにより、異常を解消するよう使用者により確実に促すことができる。
【0056】
更に、冷蔵庫1によると、フィルター表示部43を点灯させている間はエコ表示部45を消灯させることによってフィルターが目詰まりしていることが視覚的に強調されるので、使用者はフィルターが目詰まりしていることに気付き易くなる。これにより、目詰まりを解消するよう使用者により確実に促すことができる。
【0057】
更に、冷蔵庫1によると、除霜運転中はエコ表示部45を消灯させる。除霜運転を行うと庫内温度が上昇するので、その後に冷却運転を再開したとき、庫内温度が低下するのに時間を要する。このため、除霜運転が行われると省電力状態ではなくなる。冷蔵庫1によると、除霜開始条件が成立するとエコ表示部45を消灯させるので、省電力状態ではなくなるタイミングでエコ表示部45を消灯できる。
【0058】
<他の実施形態>
本明細書によって開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本明細書によって開示される技術的範囲に含まれる。
【0059】
(1)上記実施形態では庫内温度が上限温度より1.0K以上高い状態が1分間継続した場合にエコ表示部45を消灯させる場合を例に説明した。これに対し、庫内温度が設定温度より高くなるとエコ表示部45を消灯させてもよい。
【0060】
(2)上記実施形態では冷却貯蔵庫として冷蔵庫1を例に説明したが、冷却貯蔵庫は冷凍庫であってもよい。また、冷却貯蔵庫は複数の貯蔵庫を備えるものであってもよい。例えば、冷却貯蔵庫は冷凍庫と冷蔵庫とを備えるものであってもよい。複数の貯蔵庫を備える場合は、少なくとも一つの貯蔵庫で庫内温度が設定温度以下になった場合にエコ表示部45を点灯させてもよい。そのようにすると使用者への省電力の意識付けを積極的に行うことができる。
【0061】
(3)上記実施形態では所定の温度として設定温度を例に説明したが、所定の温度は上限温度と下限温度との間の温度であれば適宜に決定できる。言い換えると、上限温度と下限温度との間において何度以下を省電力状態と定義するかは適宜に決定できる。
【0062】
(4)上記実施形態では報知の一例として点検表示部42、フィルター表示部43、霜取中表示部44及びエコ表示部45を点灯させる場合を例に説明したが、報知の方法はこれに限られない。例えば、操作部19に液晶ディスプレイを設け、「点検」、「フィルター」、「霜取中」、「ECO」といった文字列を液晶ディスプレイに表示させることによって報知してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…冷蔵庫(冷却貯蔵庫の一例)、11…貯蔵庫本体、12…断熱扉(開閉扉の一例)、18…制御部、19…操作部(報知部、受付部の一例)、21…冷凍回路、22…圧縮機、23…凝縮器、24…凝縮器ファン、25…蒸発器、30…庫内サーミスタ(温度センサの一例)、31…目詰まりサーミスタ(検出部の一例)、42…点検表示部(報知部の一例)、43…フィルター表示部(報知部の一例)、44…霜取中表示部(報知部の一例)、45…エコ表示部(報知部の一例)