(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ホースの巻取装置
(51)【国際特許分類】
A62C 27/00 20060101AFI20220530BHJP
A62C 33/00 20060101ALI20220530BHJP
B65H 75/40 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
A62C27/00 508
A62C33/00 B
B65H75/40 C
(21)【出願番号】P 2018135452
(22)【出願日】2018-07-19
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000117135
【氏名又は名称】芦森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082027
【氏名又は名称】竹安 英雄
(72)【発明者】
【氏名】広川 登郎
(72)【発明者】
【氏名】麻生 孝治
(72)【発明者】
【氏名】石並 慧
【審査官】田邉 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-105102(JP,A)
【文献】実開昭62-194668(JP,U)
【文献】特開昭47-019540(JP,A)
【文献】米国特許第4784221(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A62C 27/00
A62C 33/00
B65H 75/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーム(2)と、当該フレーム(2)の両端下部に設けられた車輪(3)と、前記フレーム(2)の中央上部に回動自在に設けられたリール支持フック(4)と、当該リール支持フック(4)に取り付けられた前方に延びる走行操作用のハンドル(5)とを有する走行フレーム(1)と、左右両側に一対の輪枠(10)を有する巻取リール(9)と、当該巻取リール(9)における前記輪枠(10)の外側に前記輪枠(10)より大径で輪枠(10)と同軸に設けられた一対の外輪枠(11)と、当該外輪枠(11)のホース巻込方向の回転のみを前記巻取リール(9)に伝達するワンウェイクラッチ(12)とを有するリール(8)とよりなり、当該リール(8)の左右両端から突設した回転軸(13)を前記リール支持フック(4)に回転自在に支持したことを特徴とする、ホースの巻取装置
【請求項2】
前記ハンドル(5)の前端にホースを誘導する誘導ローラー(6)を設けたことを特徴とする、請求項1に記載のホースの巻取装置
【請求項3】
前記リール支持フック(4)が、上方に開いた凹部(14)とそれに続くスロープ(17)とを有し、リール(8)の回転軸(13)を前記凹部(14)に嵌合することによりリール支持フック(4)にリール(8)を回転自在に支持したことを特徴とする、請求項1又は2に記載のホースの巻取装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消防用などの大口径のホースを容易にホースリールに巻き取ったり繰り出したり、ホースリールに巻き取ったホースを容易に運搬したりすることのできる装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このようなホースを巻き取ったり繰り出したり、巻き取った状態のホースを運搬したりすることができる装置としては、特開2014-105102号に記載されたものが知られている。
【0003】
このものは、一端に走行操作用のハンドルを設けたフレームの中央部に、リールの回転軸を着脱自在に嵌合するフックを設け、前記リールの回転軸の両端にラチェットレバーを嵌合し、当該ラチェットレバーを往復回動せしめることにより、前記リールにホースを巻回するようにしたものである。
【0004】
しかしながら前記構造では、リールにホースを巻回するたびにラチェットレバーを着脱しなければならず、当該ラチェットレバーの嵌合部が壊れる可能性があり、またラチェットレバーを紛失する危険性もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであって、ホースを容易にホースリールに巻き取ったり繰り出したりすることができると共に、ホースリールに巻き取ったホースを容易に運搬したりすることのできる装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
而して本発明は、フレームと、当該フレームの両端下部に設けられた車輪と、前記フレームの中央上部に回動自在に設けられたリール支持フックと、当該リール支持フックに取り付けられた前方に延びる走行操作用のハンドルとを有する走行フレームと、左右両側に一対の輪枠を有する巻取リールと、当該巻取リールにおける前記輪枠の外側に前記輪枠より大径で輪枠と同軸に設けられた一対の外輪枠と、当該外輪枠のホース巻込方向の回転のみを前記巻取リールに伝達するワンウェイクラッチとを有するリールとよりなり、当該リールの左右両端から突設した回転軸を前記リール支持フックに回転自在に支持したことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、前記ハンドルの前端にホースを誘導する誘導ローラーを設けることが好ましい。また本発明においては、前記リール支持フックが上方に開いた凹部とそれに続くスロープとを有し、リールの回転軸を前記凹部に嵌合することによりリール支持フックにリールを回転自在に支持することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】本発明において走行フレームからリールを下ろした状態の右側面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明を図面に基づいて説明する。図面において1は走行フレームであって、その左右に一対のフレーム2が設けられており、当該フレーム2の前後両端下部に車輪3、3が設けられている。
【0011】
また前記フレーム2の中央上部には、リール支持フック4が回動自在に設けられており、当該リール支持フック4に取り付けられた走行操作用のハンドル5が前方に延び出して設けられている。
【0012】
そして当該走行操作用のハンドル5の前端には、前記走行操作用のハンドル5を操作する取っ手7が設けられ、当該走行操作用のハンドル5の前端間にはホースを誘導する誘導ローラー6が設けられている。
【0013】
8は前記リール支持フック4に支持されたリールであって、当該リール8において9は左右に一対の輪枠10を有する巻取リールであり、当該輪枠10の両側方には、当該輪枠10より大径の一対の外輪枠11が設けられ、当該外輪枠11は前記輪枠10と同軸に設けられている。
【0014】
また前記巻取リール9の中央部には、ホース15の端末に取り付けられた接続金具を収納することができるように、空間18が形成されている。
【0015】
そして前記外輪枠11と巻取リール9とは、ワンウェイクラッチ12を介して連結されており、当該ワンウェイクラッチ12は、外輪枠11をホース巻込方向に回転した場合のみ、当該回転を巻取リール9に伝達するようになっている。
【0016】
而して前記リール8の左右両端から突設された回転軸13が、リール支持フック4の上部に形成された凹部14に係止されて、リール8がリール支持フック4に対して回転自在に支持されている。
【0017】
而して本発明は、前記リール8の回転軸13をリール支持フック4の凹部14に係止して、リール8を回転自在に支持し、ホース15を誘導ローラー6に掛けてその一端に取り付けられた接続金具を巻取リール9の前記空間18に収容して、当該ホース15を巻取リール9に巻きつける。
【0018】
そして外輪枠11を把持してホース巻取方向(
図1における矢印A方向)に回転せしめることにより、ワンウェイクラッチ12により外輪枠11とともに巻取リール9も同方向に回転し、巻取リール9にホース15を巻回する。
【0019】
このとき両手で両外輪枠11を把持して同時に回転せしめることもできるが、両外輪枠11を交互にホース巻取方向に回転させ、反対側の外輪枠11を逆向きに回転させることにより、ワンウェイクラッチ12の作用によりホース巻取方向にのみ回転するので、両手で両外輪枠11を把持したままで、いちいち持ち直す必要もなく容易にホース15を巻取リール9に巻き取ることができる。
【0020】
このようにしてホース15をフック金具9に巻回した状態で、ホース15をリール8から引っ張ることにより、リール8をA方向とは逆方向に回転させながらホース15をリール8から自由に繰り出すこともできる。
【0021】
またこのようにしてホース15を巻取リール9に巻回したのち、取っ手7を把持して車輪3、3を転がして任意の箇所に移動することができ、巻取リール9にホース15を巻回した状態でそのホース15を運搬することができる。
【0022】
そしてホース15を保管する場所に来たならば、そこで
図3に示すように取っ手7を持ち上げて、走行操作用のハンドル5をリール支持フック4の回動軸16を軸として時計方向に回動させる。
【0023】
これによりリール8の回転軸13はリール支持フック4の第二の軸14から外れ、スロープ17を転動して外輪枠11が床面に接してリール8を走行フレーム1から下ろすことができ、リール8を転がして移動させ、また走行フレーム1は他のリール8にホース15を巻回する作業に移ることができる。
【0024】
本発明によれは、リール8において巻取リール9に外輪枠11が一体に設けられており、前記公報におけるようにラチェットレバーを着脱する必要がなく、その取付部が壊れたりラチェットレバーを紛失したりする恐れがない。
【0025】
また本発明によれば、巻取リール9に外輪枠11がワンウェイクラッチ12を介して連結されているので、両手で両外輪枠11を把持し、それを交互に回動させることにより、ワンウェイクラッチ12の作用により巻取リール9がホース15の巻取方向にのみ回転し、容易にホース15を巻回することができる。
【0026】
また本発明によれば、リール8はホース15を巻き取る巻取リール9と、当該巻取リール9の輪枠10より大径の外輪枠11とよりなっているので、リール8を地上で転がしたときにも巻取リール9に巻回されたホース15は地面から離れており、ホース15の巻きに多少の緩みがあったとしても、ホース15が地面に擦れて汚れたり傷ついたりする恐れがない。
【符号の説明】
【0027】
1 走行フレーム
2 フレーム
3 車輪
4 リール支持フック
5 走行操作用のハンドル
6 誘導ローラー
8 リール
9 巻取リール
10 輪枠
11 外輪枠
12 ワンウェイクラッチ
13 回転軸
14 凹部
15 ホース
17 スロープ