(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置をテストする方法
(51)【国際特許分類】
G01K 15/00 20060101AFI20220530BHJP
G01K 7/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
G01K15/00
G01K7/00 321J
(21)【出願番号】P 2018244354
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-04
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】亀山 禎史
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌功
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-211738(JP,A)
【文献】特開2013-104736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0149526(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0104229(US,A1)
【文献】米国特許第7724068(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体装置であって、
第1の温度センサモジュールと、
第2の温度センサモジュールと、
前記第1の温度センサモジュールと通信可能に接続された第1の温度センサコントローラと、
前記第2の温度センサモジュールと通信可能に接続された第2の温度センサコントローラとを備え、
前記第1の温度センサモジュールは、
第1の基準電圧と前記第1の基準電圧を分圧することにより生成された複数の分圧電圧とを出力する第1のバンドギャップリファレンス(BGR)回路と、
前記第1のBGR回路に接続され、前記第1の温度センサコントローラからの指令に基づいて前記複数の分圧電圧から第1の分圧電圧を選択するための第1の選択回路と、
前記第1の基準電圧に基づいて、前記第1の分圧電圧をアナログ値からデジタル値に変換するための第1の変換回路とを含み、
前記第2の温度センサモジュールは、
前記第1のBGR回路から前記複数の分圧電圧の入力を受け付けて、前記第2の温度センサコントローラからの指令に基づいて、前記入力された複数の分圧電圧から第2の分圧電圧を選択するための第2の選択回路と、
第2の基準電圧を出力する第2のバンドギャップリファレンス(BGR)回路と、
前記第2の基準電圧に基づいて、前記第2の分圧電圧をアナログ値からデジタル値に変換するための第2の変換回路とを含み、
第1の温度センサコントローラは、予め設定された関係に従って、前記第1の分圧電圧のデジタル値を当該第1の分圧電圧に対応する第1の温度に換算し、
第2の温度センサコントローラは、予め設定された関係に従って、前記第2の分圧電圧のデジタル値を当該第2の分圧電圧に対応する第2の温度に換算し、
前記半導体装置は、前記第1の温度と前記第2の温度との差が予め定められた範囲内であることに基づいて、前記第1の温度センサモジュールまたは第2の温度センサモジュールが正常に作動していると判定する、半導体装置。
【請求項2】
前記第1の温度センサコントローラからの指令は、
前記半導体装置の動作が保証される上限温度に対応する分圧電圧を選択する指令と、
前記半導体装置の動作が保証される下限温度に対応する分圧電圧を選択する指令と、
前記下限温度と前記上限温度との間の温度に対応する分圧電圧を選択する指令とのいずれかを含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の温度と前記第2の温度との差が予め定められた範囲内でないことに基づいて、第1の温度センサモジュールまたは第2の温度センサモジュールが異常であることを検知し、
前記第1の温度センサモジュールおよび前記第2の温度センサモジュールのうち、もっとも発熱する場所の温度センサモジュールが故障している場合に、前記半導体装置の駆動を停止する、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
半導体装置であって、
第1の温度センサモジュールと、
前記第1の温度センサモジュールと通信可能に接続された第1の温度センサコントローラとを備え、
前記第1の温度センサモジュールは、
第1の基準電圧と前記第1の温度センサモジュールにおける温度の第1の検出結果とを出力する第1のバンドギャップリファレンス(BGR)回路と、
前記第1の基準電圧に基づいて、前記第1の検出結果をアナログ値から第1のデジタル値に変換するための第1の変換回路と、
前記第1のBGR回路に接続され、前記第1の基準電圧および前記第1の検出結果のアナログ値を出力するための第1の出力端子とを含み、前記第1の出力端子は、外部システムの入力に接続されており、
前記外部システムは、アナログデジタル変換器を有し、前記第1の温度センサコントローラの入力に接続されており、
前記アナログデジタル変換器は、前記第1の基準電圧に基づいて、前記第1の検出結果のアナログ値を第1の外部デジタル値に変換し、
前記第1の温度センサコントローラは、
前記第1の外部デジタル値の入力を受ける入力端子を含み、
前記第1のデジタル値と前記第1の外部デジタル値とを比較し、
前記第1のデジタル値と前記第1の外部デジタル値との差が予め定められた範囲内であるか否かに基づいて、前記第1の温度センサモジュールが正常に作動しているか否かを判断する、半導体装置。
【請求項5】
第2の温度センサモジュールと、
前記第2の温度センサモジュールと通信可能に接続された第2の温度センサコントローラとをさらに備え、
前記第1の温度センサモジュールは、前記第1のBGR回路に接続され、前記第1の温度センサコントローラからの指令に基づいて複数の分圧電圧から第1の分圧電圧を選択するための第1の選択回路をさらに含み、
前記第2の温度センサモジュールは、
前記第1のBGR回路から前記複数の分圧電圧の入力を受け付けて、前記第2の温度センサコントローラからの指令に基づいて、前記複数の分圧電圧から第2の分圧電圧を選択するための第2の選択回路と、
第2の基準電圧および前記第2の温度センサモジュールにおける温度の第2の検出結果を出力する第2のバンドギャップリファレンス(BGR)回路と、
前記第2の基準電圧に基づいて、前記第2の検出結果をアナログ値から第2のデジタル値に変換するための第2の変換回路とを含み、
前記第1のBGR回路は、前記第1の基準電圧と、前記第1の基準電圧を分圧することにより生成された複数の分圧電圧とを、前記第1の選択回路および前記第2の選択回路にそれぞれ出力するようにさらに構成されており、
第1の温度センサコントローラは、予め設定された関係に従って、前記第1の分圧電圧のデジタル値を当該第1の分圧電圧に対応する第1の温度に換算し、
第2の温度センサコントローラは、予め設定された関係に従って、前記第2の分圧電圧のデジタル値を当該第2の分圧電圧に対応する第2の温度に換算し、
前記半導体装置は、前記第1の温度と前記第2の温度との差が予め定められた範囲内であることに基づいて、前記第2の温度センサモジュールが正常に作動していると判定する、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2の温度センサモジュールは、
前記第2のBGR回路に接続され、前記第2の基準電圧および前記第2の検出結果を出力するための第2の出力端子をさらに含み、前記第2の出力端子は、前記外部システムの入力に接続されており、
前記外部システムは、前記第2の基準電圧に基づいて、前記第2の検出結果をアナログ値から第2の外部デジタル値に変換し、
前記第2の温度センサコントローラは、
前記外部システムから前記第2の外部デジタル値の入力を受ける入力端子をさらに含み、
前記第2のデジタル値と前記第2の外部デジタル値とを比較し、
前記第2のデジタル値と前記第2の外部デジタル値との差が予め定められた範囲内であるか否かに基づいて、前記第2の温度センサモジュールが正常に作動しているか否かを判断する、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1の温度センサコントローラからの指令は、
前記半導体装置の動作が保証される上限温度に対応する分圧電圧を選択する指令と、
前記半導体装置の動作が保証される下限温度に対応する分圧電圧を選択する指令と、
前記下限温度と前記上限温度との間の温度に対応する分圧電圧を選択する指令とのいずれかを含む、請求項4に記載の半導体装置。
【請求項8】
第1の温度センサモジュールおよび第2の温度センサモジュールを備える半導体装置をテストする方法であって、
第1のバンドギャップリファレンス(BGR)回路が、第1の基準電圧と前記第1の基準電圧を分圧することにより生成された複数の分圧電圧とを出力するステップと、
第1の温度センサコントローラからの指令に基づいて前記複数の分圧電圧から第1の分圧電圧を選択するステップと、
前記第1の基準電圧に基づいて、前記第1の分圧電圧をアナログ値からデジタル値に変換するステップと、
前記第1のBGR回路から前記複数の分圧電圧の入力を受け付けて、第2の温度センサコントローラからの指令に基づいて、前記複数の分圧電圧から第2の分圧電圧を選択するステップと、
第2のBGR回路が、第2の基準電圧を出力するステップと、
前記第2の基準電圧に基づいて、前記第2の分圧電圧をアナログ値からデジタル値に変換するステップと、
予め設定された関係に従って、前記第1の分圧電圧のデジタル値を当該第1の分圧電圧に対応する第1の温度に換算するステップと、
予め設定された関係に従って、前記第2の分圧電圧のデジタル値を当該第2の分圧電圧に対応する第2の温度に換算するステップと、
前記第1の温度と前記第2の温度とを比較して、前記第1の温度と前記第2の温度との差が予め定められた範囲内であることに基づいて、第1の温度センサモジュールまたは第2の温度センサモジュールが正常に作動していると判定するステップとを含む、方法。
【請求項9】
前記第1の温度センサコントローラからの指令は、
前記半導体装置の動作が保証される上限温度に対応する分圧電圧を選択する指令と、
前記半導体装置の動作が保証される下限温度に対応する分圧電圧を選択する指令と、
前記下限温度と前記上限温度との間の温度に対応する分圧電圧を選択する指令とのいずれかを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の温度と前記第2の温度との差が予め定められた範囲内でないことに基づいて、第1の温度センサモジュールまたは第2の温度センサモジュールが異常であることを検知するステップと、
前記第1の温度センサモジュールおよび前記第2の温度センサモジュールのうち、もっとも発熱する場所の温度センサモジュールが故障している場合に、前記半導体装置の駆動を停止すると決定するステップとをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は半導体装置に関し、より特定的には、半導体装置における温度測定に関する。
【背景技術】
【0002】
車載電子システムとして、様々な情報処理装置が車両に搭載される。情報処理装置は、ナビゲーション機能、オーディオ機能等を含む。情報処理装置に使用される半導体装置は、高速処理を実現するために、内部の温度を監視する機能を有する。
【0003】
温度の監視について、例えば特開2017-198523号公報(特許文献1)は、「高確度で温度及び電源電圧を測定することができる半導体装置」を開示している。当該半導体装置は、「温度に関して非線形のディジタル値及び温度に関して略線形のセンサ電圧値を出力する温度センサモジュール10と、温度、ディジタル値及びセンサ電圧値を記憶する記憶部30と、記憶部30に記憶された温度、ディジタル値及びセンサ電圧値を用いて特性式を算出する制御部40と、を含み、記憶部30に記憶された温度、ディジタル値及びセンサ電圧値には、絶対温度測定下における絶対温度、絶対温度におけるディジタル値及び絶対温度におけるセンサ電圧値が含まれる」というものである([要約]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ISO(International Standard Organization)26262に準拠した車載電子システムでは、車両に搭載される半導体装置について、高い安全性が求められる。車載電子システムの安全性に関し、ASIL(Automotive Safety Integrity Level)として、レベルA~レベルDまでが規定されており、ASIL Dでは、最も高い安全性が要求される。したがって、ASIL Dを満たす半導体装置が必要とされている。
【0006】
また、車両に搭載される半導体装置は、複数の温度センサモジュールを備える場合がある。そのような半導体装置の機能安全対応として、各温度センサモジュールが計測する半導体装置の温度(Junction Temperature:Tj)が不明な状況において、当該温度Tjを正しく測定できていることをテストする必要がある。ある局面において、このテスト方法は、テスト対象の温度センサモジュール以外の機能で正しく当該温度を測定して、その測定値とテスト対象の温度センサモジュールの温度Tjの測定値とを比較する必要があると考えられていた。この場合、複数の温度センサモジュールが半導体装置に搭載されても、それぞれの温度センサモジュールが配置されている場所の温度Tjが異なるので、温度センサモジュール同士の温度Tjの計測値を比較しても、当該温度を正しく測定できているか否かが分からない。また、半導体装置の通常使用時の環境では、温度Tjは、その時の温度しか得られないので、半導体装置の動作保証の下限温度(例えば、-40℃)から上限温度(例えば、125℃)の温度域で温度を正しく測定できるかどうかをテストすることは不可能である。
【0007】
したがって、半導体装置の動作保証の下限温度から上限温度までの範囲で当該半導体装置の温度(以下、Tjともいう。)を正しく測定できているか否かをテストする技術が必要とされている。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態によれば、半導体装置は、第1の温度センサモジュールおよび第2の温度センサモジュールと、第1の温度センサモジュールと通信可能に接続された第1の温度センサコントローラと、第2の温度センサモジュールと通信可能に接続された第2の温度センサコントローラとを備える。第1の温度センサモジュールは、第1の基準電圧と第1の基準電圧を分圧することにより生成された複数の分圧電圧とを出力する第1のバンドギャップリファレンス(BGR)回路と、第1のBGR回路に接続され、第1の温度センサコントローラからの指令に基づいて複数の分圧電圧から第1の分圧電圧を選択するための第1の選択回路と、第1の基準電圧に基づいて、第1の分圧電圧をアナログ値からデジタル値に変換するための第1の変換回路とを含む。第2の温度センサモジュールは、第1のBGR回路から複数の分圧電圧の入力を受け付けて、第2の温度センサコントローラからの指令に基づいて、入力された複数の分圧電圧から第2の分圧電圧を選択するための第2の選択回路と、第2の基準電圧を出力する第2のバンドギャップリファレンス(BGR)回路と、第2の基準電圧に基づいて、第2の分圧電圧をアナログ値からデジタル値に変換するための第2の変換回路とを含む。第1の温度センサコントローラは、予め設定された関係に従って、第1の分圧電圧のデジタル値を当該第1の分圧電圧に対応する第1の温度に換算する。第2の温度センサコントローラは、予め設定された関係に従って、第2の分圧電圧のデジタル値を当該第2の分圧電圧に対応する第2の温度に換算する。半導体装置は、第1の温度と第2の温度との差が予め定められた範囲内であることに基づいて、第1の温度センサモジュールまたは第2の温度センサモジュールが正常に作動していると判定する。
【発明の効果】
【0010】
前記一実施の形態によれば、半導体装置の動作保証の下限温度から上限温度までの範囲で当該半導体装置の温度を正しく測定できているか否かをテストすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】複数の温度センサモジュールが半導体装置100に配置されている一態様を表わす図である。
【
図2】バンドギャップリファレンス回路の電気特性を表わす図である。
【
図3】半導体装置100における局所発熱と、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEとの関係を説明するための図である。
【
図4】半導体装置400のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【
図5】半導体装置400で実行される処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図6】温度センサモジュールの他のテストの処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図7】温度センサモジュールのさらに他のテストの処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図8】他の局面に従う半導体装置400において実行される処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図9】温度センサコントローラ410のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【
図10】温度センサモジュール440のBGR回路444の電気的特性を表わす図である。
【
図11】一つの温度センサモジュールを備える半導体装置1100のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【
図12】二つの温度センサモジュールを備える半導体装置1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【
図13】半導体装置1100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図14】半導体装置1200における処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図15】他の局面に従う半導体装置1200が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図16】さらに他の局面に従う半導体装置1200が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【
図17】半導体装置1700のハードウェア構成を表わすブロック図である。
【
図18】上述の各実施の形態において例示されたテストの結果からエラー(故障)が検出された場合における処理の一部を表わすフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本明細書に開示された技術的思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない場合がある。
【0013】
[第1の実施の形態]
【0014】
図1を参照して、ある実施の形態に係る半導体装置100における発熱について説明する。
図1(A)は、複数の温度センサモジュール(以下「THS」と表わす場合がある。)が半導体装置100に配置されている一態様を表わす図である。
【0015】
図1(A)に示されるように、半導体装置100は、温度センサモジュール110~118を含む。温度センサモジュール112,113は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)のように発熱量が多いモジュール122,123の近傍にそれぞれ配置されている。温度センサモジュール114は、温度に応じて特性の調整が必要になるモジュール124の近傍に配置されている。
【0016】
図1(B)は、温度センサモジュール112,113が配置されている場所が半導体装置100において最も発熱(局所発熱)していることを示す。例えば、領域132は、モジュール122による発熱が及ぶ範囲を表わす。領域133は、モジュール123による発熱が及ぶ範囲を表わす。
図1(B)に示されるように、半導体装置100の内部では、CPU、GPUなどの発熱量が多いモジュールが搭載されている位置によって、また、そのモジュールの稼働状況によって半導体装置内の発熱の分布が異なる。
【0017】
図2は、バンドギャップリファレンス回路(以下「BGR回路」ともいう。)の電気特性を表わす図である。BGR回路は、グラフ210に示されるような基準電圧VTHREFを生成する。基準電圧VTHREFは、適切な乗算定数で反対符号の温度係数を有する2つの電圧を加算することによって生成され、温度に依存しない。BGR回路では、GNDからレベルが決まるので、BGR回路を駆動する電源電圧の依存性が極めて低い。
【0018】
基準電圧VTHREFは、BGR回路の電源の変動や温度の変化に殆ど影響を受けない一定の電圧(約1.24v)である。BGR回路は、グラフ220として示される絶対温度に対して相補的な(Complementary To Absolute Temperature:CTAT)電圧(以下「CTAT電圧」という。)と、グラフ230として示される温度Tjに対して一次の正特性を有する(Proportional To Absolute Temperature:PTAT)電圧VTHSENSE(以下「PTAT電圧VTHSENSE」ともいう。)とを生成し、PTAT電圧とCTAT電圧とを合成して、電圧Voutを生成する。
【0019】
図3を参照して、半導体装置100における局所発熱と、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEとの関係について説明する。
図3(A)は、
図1(A)と同様に、発熱場所を表わす。温度センサモジュール112,114に付された円310は、高温の発熱が生じていることを示している。温度センサモジュール110,111,114,117に付された円320は、円310で示された場所よりは低温の発熱が生じていることを示している。温度センサモジュール115,118に付された円330は、円320で示された場所よりは低温の発熱が生じていることを示している。
【0020】
図3(B)は、BGR回路の電気的特性を利用した発熱場所の温度Tj分布を表わす図である。ある局面において、半導体装置100の動作保証の温度範囲は、例えば、-40℃~125℃である。円330に関連付けられた温度センサモジュール115,118は、例えば、温度T(1)を検出している。円320に関連付けられた温度センサモジュール110,111,114,117は、例えば、温度T(2)を検出している。円310に関連付けられた温度センサモジュール112,113は、例えば、温度T(3)を検出している。
【0021】
[半導体装置400の構成]
【0022】
図4を参照して、ある実施の形態に従う半導体装置400の構成について説明する。
図4は、半導体装置400のハードウェア構成を表わすブロック図である。半導体装置400は、N+1個の温度センサコントローラ(TSC0、TSC2~TSCN)と、N+1個の温度センサモジュール(THS0、THS2~THSN)とを備える。ある局面において、N個の温度センサコントローラは、N個の温度センサモジュールをそれぞれ制御する。以下、当該N個の温度センサコントローラを総称するときは、温度センサコントローラ410ともいう。当該N個の温度センサを総称するときは、温度センサモジュール430ともいう。当該N個以外の温度センサコントローラを、温度センサコントローラ420と表わす。当該N個以外の温度センサモジュールを温度センサモジュール440と表わす。
【0023】
温度センサコントローラ410,420は、それぞれ、温度センサモジュール430,440との間でデータの授受を行ない、また、信号を出力して当該温度センサモジュールの動作を制御する。
【0024】
温度センサコントローラ410は、CIVM(Chip Internal Voltage Monitor)セレクト信号を温度センサモジュール430に出力する。CIVMセレクト信号は、CIVM回路431に入力される。CIVMセレクト信号は、後述する複数の電圧値のうち選択対象となる電圧値を指定する。
【0025】
CIVM回路431は、電圧入力部432と、セレクタ433とを含む。電圧入力部432は、温度センサモジュール440のBGR回路444から出力される基準電圧の分圧によって得られる電圧値VTH1REF0~電圧値VTH1REFNのいずれかの供給を受ける。セレクタ433は、CIVMセレクト信号に基づいて、いずれかの電圧値を選択し、セレクタ435に供給する。CIVMセレクト信号は、温度センサコントローラ410の制御に応じて指定された、いずれの電圧値を選択するべきかの情報を含む。
【0026】
セレクタ435には、BGR回路434から出力される基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEも入力される。セレクタ435は、CIVMセレクト信号に基づいて、CIVM回路431から入力された電圧値と、BGR回路434から入力された基準電圧およびPTAT電圧とから二つの電圧値を選択する。選択された電圧値はADC(Analog-to-Digital Converter)436に入力される。ADC436は、二つの電圧値の内の一つの電圧値を基準に他の電圧値をAD(Analog-to-Digital)変換する。例えば、ある局面において、ADC436は、基準電圧VTHREFを基準にして、PTAT電圧VTHSENSEをAD変換する。AD変換によって得られたデジタル値は、温度センサコントローラ410に入力される。
【0027】
温度センサコントローラ420も、温度センサコントローラ410と同様に、温度センサモジュール440との間でデータを通信し、温度センサモジュール440を制御する。温度センサモジュール440において、BGR回路444は、N+1個の電圧値VTHS1REF0,VTHS1REF1,・・・VTHS1REFNを生成し、温度センサモジュール440以外の温度センサモジュール430に出力する。また、BGR回路444は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを生成してセレクタ435にそれぞれ出力する。
【0028】
[動作]
【0029】
図5を参照して、温度センサモジュールの通常動作時における温度Tjの測定フローについて説明する。
図5は、半導体装置400で実行される処理の一部を表わすフローチャートである。
【0030】
ステップS510にて、各温度センサモジュール430のBGR回路434は、それぞれ、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを生成し、セレクタ435に出力する。
【0031】
ステップS520にて、温度センサモジュール440のBGR回路444は、電圧値VTH1REF0~電圧値VTH1REFNを生成して、他の温度センサモジュール430に出力する。ステップS530にて、他の温度センサモジュール430のCIVM回路431は、電圧入力部432において、当該基準電圧の入力を受ける。
【0032】
ステップS540にて、温度センサコントローラ410は、基準電圧VTHREFを分圧することにより得られる電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHSREFNのいずれかを選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。ステップS550にて、温度センサモジュール430に含まれるCIVM回路431のセレクタ435は、温度センサコントローラ410から受信した信号に基づいて、電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHSREFNのうちのいずれかを選択する。
【0033】
ステップS560にて、温度センサコントローラ410は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。ステップS570にて、温度センサモジュールのセレクタ435は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを選択する。ステップS580にて、温度センサモジュール430のADC436は、選択された基準電圧VTHREFを基準にして、PTAT電圧VTHSENSEをAD変換し、得られたデジタル値を温度センサコントローラ410に出力する。
【0034】
ステップS590にて、温度センサコントローラ410は、当該デジタル値をアプリケーションプログラムに適用して、温度Tjを算出する。
【0035】
[テスト時の動作]
【0036】
図6は、温度センサモジュールの他のテストの処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同じ処理には同じステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない場合がある。
【0037】
ステップS640にて、温度センサコントローラ410は、電圧値VTHS1REF0を選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。ステップS650にて、温度センサモジュール430に含まれるCIVM回路431のセレクタ435は、温度センサコントローラ410から受信した信号に基づいて、電圧値VTHS1REF0を選択する。
【0038】
ステップS660にて、温度センサコントローラ410は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF0を選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。ステップS670にて、温度センサモジュールのセレクタ435は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF0を選択する。ステップS680にて、温度センサモジュール430のADC436は、選択された基準電圧VTHREFを基準に、電圧値VTHS1REF0をAD変換し、得られたデジタル値を温度センサコントローラ410に出力する。
【0039】
ステップS690にて、温度センサコントローラ410は、当該デジタル値をアプリケーションプログラムで温度Tjに換算して、半導体装置400の動作保証範囲の上限温度(例えば、125℃)の場合における温度換算値(TREF0)を算出する。
【0040】
各BGR回路444は特性について個体差があるものの、半導体装置400は、各温度センサモジュールの温度換算値TREF0がほぼ一致することを確認することで、各温度センサモジュールは、温度Tjを正しく計測することができると判定し得る。なお、ある局面において、ほぼ一致とは、各温度換算値TREF0の差が予め設定された範囲内であることを言い、必ずしも各温度換算値TREF0が同一である必要はない。
【0041】
図7は、温度センサモジュールのさらに他のテストの処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同じ処理には同じステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない場合がある。
【0042】
ステップS740にて、温度センサコントローラ410は、半導体装置400の動作保証範囲の下限温度(例えば、-40℃)に対応する電圧値VTHS1REF1を選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。
【0043】
ステップS750にて、温度センサモジュール430に含まれるCIVM回路431のセレクタ435は、温度センサコントローラ410から受信した信号に基づいて、電圧値VTHS1REF1を選択する。
【0044】
ステップS760にて、温度センサコントローラ410は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF1を選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。
【0045】
ステップS770にて、温度センサモジュールのセレクタ435は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF1を選択する。
【0046】
ステップS780にて、温度センサモジュール430のADC436は、選択された基準電圧VTHREFを基準にして、電圧値VTHS1REF1をAD変換し、得られたデジタル値を温度センサコントローラ410に出力する。
【0047】
ステップS790にて、温度センサコントローラ410は、当該デジタル値をアプリケーションプログラムで温度Tjに換算して、上記動作保証範囲の下限温度に対応する温度換算値TREF1を算出する。
【0048】
各BGR回路444は特性について個体差があるものの、各温度センサモジュールの各温度換算値TREF1がほぼ一致することを確認することで、各温度センサモジュールは、温度Tjを正しく計測することができると判断し得る。なお、ある局面において、ほぼ一致とは、各温度換算値TREF1の差が予め設定された範囲内であることを言い、必ずしも各温度換算値TRE10が同一である必要はない。
【0049】
図8を参照して、さらに他の局面について説明する。
図8は、他の局面に従う半導体装置400において実行される処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同じ処理には同じステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は、繰り返さない場合がある。
【0050】
ステップS840にて、温度センサコントローラ410は、電圧値VTHS1REFNを選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。電圧値VTHS1REFNは、上記動作保証範囲(-40℃~125℃)に含まれるいずれかの温度に対応する電圧値である。
【0051】
ステップS850にて、温度センサモジュール430に含まれるCIVM回路431のセレクタ435は、当該信号の受信に応答して、温度センサコントローラ410から受信した信号に基づいて、電圧値VTHS1REFNを選択する。
【0052】
ステップS860にて、温度センサコントローラ410は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REFNを選択する信号を温度センサモジュール430に出力する。
【0053】
ステップS870にて、温度センサモジュールのセレクタ435は、当該信号の受信に応答して、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REFNを選択する。
【0054】
ステップS880にて、温度センサモジュール430のADC436は、選択された基準電圧VTHREFを基準に、電圧値VTHS1REFNをAD変換し、得られたデジタル値を温度センサコントローラ410に出力する。
【0055】
ステップS890にて、温度センサコントローラ410は、得られたデジタル値をアプリケーションに適用して、温度換算値TREFNに換算する。本実施の形態におけるアプリケーションは、電圧値を温度に換算するために予め定められた関係を用いて、電圧値を温度に換算する処理を実現する。当該予め定められた関係は、例えば、
図3あるいは後述する
図10に例示されるグラフによって、あるいは、電圧値と温度との対応を表わすテーブルとして規定される。
【0056】
温度センサコントローラは、各温度センサモジュールの温度換算値TREFNがほぼ一致することを確認することで、各温度センサモジュールは、それぞれ、温度Tjを正しく計測できていると判定し得る。なお、ある局面において、ほぼ一致とは、各温度換算値TREFNの差が予め設定された範囲内であることを言い、必ずしも各温度換算値TREFNが同一である必要はない。
【0057】
別の局面において、温度センサコントローラは、各温度センサモジュールの温度換算値TREFNが一致しないことを確認すると、温度センサモジュール430または温度センサモジュール440は、それぞれ、温度Tjを正しく計測できていない(すなわち、故障の可能性がある)と判定し得る。なお、温度換算値TREFNが一致しないとは、各温度換算値TREFNの差が予め設定された上記の範囲よりも大きいことをいう。
【0058】
図9および
図10を参照して、温度センサコントローラ410の構成について説明する。
図9は、温度センサコントローラ410のハードウェア構成を表わすブロック図である。
図9に示されるように、温度センサコントローラ410は、電圧入力部432と、セレクタ433と、BGR回路444と、セレクタ435と、ADC436とを備える。
【0059】
BGR回路444において、基準電圧VTHREFを抵抗分割することにより、電圧値VTHS1REF0~VTHS1REFNを生成する。各電圧は半導体内の抵抗比に基づいて作られるので、各電圧比は、半導体の抵抗の製造バラツキがあっても変わらない。このことから、各温度センサモジュールの温度換算値TREFN同士の比(例えば、ステップS690で得られた温度換算値TREF0と、ステップS790で得られた温度換算値TREF1との比)は一致することが期待できる。これにより、温度センサモジュールの性能および機能が期待通りに動作していることを確認できる。
【0060】
他方、例えば、温度換算値TREF0(ステップS690)のみが得られる場合、この値を用いた各温度センサモジュールの結果に誤差があった場合に、その誤差が少なければ温度センサモジュールの性能の確認ができるが、誤差が大きい場合は、温度センサモジュールの性能の確認が困難になる。なお、ここで扱う誤差とは、回路系のオフセット誤差や負荷差分誤差を指す。温度センサコントローラが、例えば、温度換算値TREF0(ステップS690)および温度換算値TREF1(ステップS790)の2値を使用した場合、その差分や比率については、回路系のオフセット誤差や負荷差分誤差が相殺されるので、温度センサモジュールの性能も確認が容易に行える。
【0061】
次に、
図10を参照して、温度センサコントローラ410のBGR回路444の基準電圧VTHREFを抵抗分割して電圧値VTHS1REF0~VTHS1REFNを作る場合の一例を説明する。
図10は、温度センサモジュール440のBGR回路444の電気的特性を表わす図である。
【0062】
まず、ある局面において、半導体装置400の動作保証の上限温度(例えば125℃)を示すPTAT電圧VTHSENSEとして、電圧値VTHS1REF0が設定される。また、当該動作保証範囲の下限温度(例えば、-40℃)を示すPTAT電圧VTHSENSEとして、電圧値VTHS1REF1が設定される。さらに、当該動作保証範囲内の温度を示すPTAT電圧VTHSENSEとして、例えば、電圧値VTHS1REF0と電圧値VTHS1REF1との間の中間電位として、任意の数の電圧値VTHS1REFNが均等に設定される。このようにして、動作保証範囲内で、半導体装置400の機能および性能をテストすることができる。
【0063】
別の局面において、3個以上の温度センサモジュールが温度換算値TREF0(ステップSS690)と温度換算値TREF1(ステップS790)を計測する場合がある。なお、温度換算値TREFN(ステップS890)がさらに含まれる場合もあり得る。このような場合、全ての温度センサモジュールが共に同程度の値を計測していれば、温度センサコントローラは、その全ての温度センサモジュールの温度Tjの測定値が正しいと判断できる。
【0064】
3個以上の温度センサモジュールのうち、温度センサモジュール440を含む2個以上の温度センサモジュールが同程度の温度Tjを計測していて、これ以外の温度センサモジュールが異なった温度Tjを計測している場合は、温度センサコントローラは、温度センサモジュール440と異なる温度Tjの値を計測している温度センサモジュールが故障していると判断できる。なお、温度センサモジュール440が故障していることは、前述の各温度センサモジュールの温度換算値TREFN(ステップS890)同士の比(例えば、温度換算値TREF0と温度換算値TREF1との比)が期待値と一致しないことで、確認することができる。
【0065】
また、
図3における温度センサモジュール110と温度センサモジュール111のように、二つの温度センサモジュールが隣接している場合には、温度センサモジュール110の温度Tjと、温度センサモジュール111の温度Tjとがほぼ一致するので、温度センサモジュール110の各電圧値(基準電圧VTHREF、PTAT電圧VTHSENSEおよび電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFN)と、温度センサモジュール111の各電圧値(基準電圧VTHREF、PTAT電圧VTHSENSEおよび電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFN)とが同程度であることが確認できる。温度センサモジュール110の上記の各計測値と、温度センサモジュール111の上記の各計測値とが全て同程度であれば、温度センサモジュール110と、温度センサモジュール111とが正しく作動していると判断できる。他方、温度センサモジュール110の上記の各計測値と、温度センサモジュール111の上記の各計測値とのうち、同程度の値を示さない計測値が存在する場合には、温度センサモジュール110および温度センサモジュール111のいずれかが故障していることになる。ASILのテストでは、この場合は、故障と判定される。
【0066】
なお、温度センサモジュール110は、経年劣化補正に用いられる。上述の「同程度」の計測では、この温度センサモジュールによって経年劣化補正が行なわれた後の値が用いられる。また、温度センサモジュール110は、それを備える半導体装置が普通に使用されている場合には停止しているので、半導体装置の出荷テストで温度センサモジュール110の動作確認を行うことにより、温度センサモジュール110および温度センサモジュール111の各動作特性は同程度に維持されることが確認できる。また、仮に、温度センサモジュールの故障が、機能面で生じているのであれば、計測値は、例えば、GND固定でり、あるいは、正電源電圧(Vcc)や他の電位に固定されていたり、Openで不定になるような状態になり得る。したがって、このような故障は、計測結果で判断し得る。
【0067】
以上のようにして、各温度センサモジュールのBGR回路の特性の多少の差分があり得るものの、各温度センサモジュールによる各温度換算値TREF0,TREF1,TREFNがほぼ一致することを確認することで、半導体装置400が保証する温度範囲内において、各温度センサモジュールが相互に正しく温度Tjを計測できることになる。
【0068】
また、
図4に示される温度センサモジュール440電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNは、
図10に示されるように、BGR回路444の基準電圧VTHREFを抵抗分圧することによって得られた値であることから、複数回繰り返して測定しても安定して同程度の値が得られることを期待できる。複数回繰り返して測定した結果がほぼ同じ値となっていることを確認することにより、ASIL-Dレベルにおけるのもう1つの要件のテスト時の計測の瞬間に正しく計測ができていることも確認することができる。
【0069】
[第2の実施の形態]
【0070】
以下、第2の実施の形態について説明する。本実施の形態では、二つの温度センサモジュールが半導体装置に搭載される場合のテスト方法が説明される。
【0071】
まず、
図11を参照して、半導体装置1100の構成について説明する。
図11は、一つの温度センサモジュールを備える半導体装置1100のハードウェア構成を表わすブロック図である。半導体装置1100は、温度センサモジュール1140と、出力端子1120,1130と、外部システム1180とを備える。温度センサモジュール1140は、温度センサモジュール440の構成に加えて、ドライバ1110と、出力端子1120,1130とをさらに備える。ドライバ1110は、出力端子1120,1130を介して、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを温度センサモジュール1140の外部に出力する。出力される基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEは、外部システム1180に入力される。ある局面において、外部システム1180は、各温度センサモジュールのテスターであり、各温度センサモジュールから出力される信号の入力を受けるように構成されている。別の局面において、各温度センサモジュール毎に外部システムが使用されてもよい。
【0072】
外部システム1180において、ADC1150は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEの各アナログ値をデジタル値に変換する。デジタル値は、デジタル端子1160から出力されて、温度センサコントローラ420に入力される。
【0073】
図12は、二つの温度センサモジュールを備える半導体装置1200のハードウェア構成を表わすブロック図である。半導体装置1200は、温度センサモジュール430,1140と、出力端子1120および1130と、外部システム1180とをさらに備える。
図12に示される半導体装置1200における各構成要素の接続関係および信号の入出力関係は、
図4で例示されたものと同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0074】
図13を参照して、半導体装置の制御構造について説明する。
図13は、半導体装置1100が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
【0075】
ステップS1300にて、温度センサモジュール1140のBGR回路444は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを出力する。
【0076】
ステップS1310にて、ドライバ1110は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEの各アナログ値を出力端子1120および1130にそれぞれ出力する。
【0077】
ステップS1320にて、出力端子1120および1130は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEの各アナログ値を外部システム1180に出力する。
【0078】
ステップS1330にて、外部システム1180において、ADC1150は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEのアナログ値をデジタル値に変換する。変換によって得られるデジタル値は、外部システム1180から温度センサコントローラ420に送られる。
【0079】
ステップS1340にて、デジタル端子1160は、ADC1150から出力された基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEの各デジタル値の入力を受け付ける。
【0080】
ステップS1350にて、温度センサコントローラ420は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを選択する信号を温度センサモジュール1040に出力する。
【0081】
ステップS1360にて、セレクタ435は、当該信号の受信に応答して、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを選択する。
【0082】
ステップS1370にて、ADC436は、基準電圧VTHREFを基準に、PTAT電圧値VTHSENSEのアナログ値をデジタル値に変換する。デジタル値は、温度センサコントローラ420に入力される。
【0083】
ステップS1380にて、温度センサコントローラ420は、アプリケーションを実行し、外部システム1180から入力されたデジタル値と、温度センサモジュール1140からのデジタル値とを比較し、これらのデジタル値がほぼ等しいか否かを確認する。
【0084】
ステップS1390にて、外部システム1180は、ADC1150によって得られたデジタル値を用いてテストのために予め準備された処理を実行し、期待されている温度Tjが得られたか否かを確認する。
【0085】
図11に示される構成によれば、外部システム1180のように、半導体装置1100の外部で、BGR回路444が正常に作動しているか否かを確認できる。温度センサコントローラ420は、BGR回路444の出力値について、半導体装置1100の内部(すなわち、温度センサモジュール1140)でのデジタル処理によって得られたデジタル値と、外部システム1180によって得られたディジタル値とを比較する。半導体装置1100は、これらのデジタル値がほぼ等しくなるか否かを確認する。これらのデジタル値がほぼ等しい場合には、温度センサコントローラ420は、BGR回路444のアナログ値に変換する回路系が正常に作動していることを確認できる。
【0086】
BGR回路444において、電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNは、基準電圧VTHREFを抵抗分割することによって導出されているので、基準電圧VTHREFの値から、電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNの値を推定することができる。このことから、半導体装置1100は、電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNが、CIVM431を経由してセレクタ435によって選択されて処理された値として、期待した値であるか否かの確認ができる。このようにして、半導体装置1100は、温度センサモジュール1140回路系全体が正常に作動していることが確認できる。
【0087】
次に、
図14を参照して、半導体装置1200の制御構造について説明する。
図14は、半導体装置1200における処理の一部を表わすフローチャートである。
図14に示される処理は、
図13に示される処理において、温度センサモジュール1140の温度Tjが正確に測定されていることが確認された後に、温度センサモジュール430の温度Tjが正確に測定されていることを確認するために実行される。
【0088】
ステップS1410にて、温度センサモジュール430のBGR回路434は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEをセレクタ435に出力する。温度センサモジュール1140のBGR回路444は、基準電圧VTHREFおよびPTAT電圧VTHSENSEを出力する。
【0089】
ステップS1420にて、温度センサモジュール1140のBGR回路444は、電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNを出力する。
【0090】
ステップS1430にて、温度センサモジュール430のCIVM431および温度センサモジュール430のCIVM431は、それぞれ、BGR回路444から出力された電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNの入力を受け付ける。
【0091】
ステップS1440にて、温度センサコントローラ410,420は、動作保証範囲の上限温度に対応する電圧値VTHS1REF0を選択する信号を温度センサモジュール430,1140にそれぞれ出力する。
【0092】
ステップS1450にて、温度センサモジュール430,1140の各CIVM431において、各セレクタ433は、当該信号の受信に応答して、電圧値VTHS1REF0をそれぞれ選択する。
【0093】
ステップS1460にて、温度センサコントローラ410,420は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF0を選択する信号を、温度センサモジュール430,1140にそれぞれ送信する。
【0094】
ステップS1470にて、温度センサモジュール430,1140の各セレクタ435は、当該信号の受信に応答して、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF0をそれぞれ選択する。
【0095】
ステップS1480にて、温度センサモジュール430,1140の各ADC436は、基準電圧VTHREFを基準にして、電圧値VTHS1REF0をアナログ値からデジタル値に変換する。
【0096】
ステップS1490にて、温度センサコントローラ410,420は、アプリケーションを実行し、得られたデジタル値を温度Tjに換算する。
【0097】
温度センサモジュール1140の動作保証が、
図13に示される態様で既に行なわれているので、半導体装置1200は、温度センサモジュール430および温度センサモジュール1140による各温度換算値TREF0がほぼ一致することを確認することで、温度センサモジュール430は温度Tjを正確に計測できることを確認できる。
【0098】
次に、
図15を参照して、他の局面についてさらに説明する。
図15は、他の局面に従う半導体装置1200が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図15に示される処理は、
図13に示される処理において、温度センサモジュール1140の温度Tjが正確に測定されていることが確認された後に、温度センサモジュール430の温度Tjが正確に測定されていることを確認するために実行される。なお、前述の処理と同一の処理には、同一のステップ番号を付してある。したがって、同一の処理の説明は繰り返さない。
【0099】
ステップS1540にて、温度センサコントローラ410,420は、電圧値VTHS1REF1を選択する信号を温度センサモジュール430,1140にそれぞれ出力する。
【0100】
ステップS1550にて、温度センサモジュール430,1140の各CIVM431において、セレクタ433は、当該信号の受信に応答して、電圧値VTHS1REF1を選択する。
【0101】
ステップS1560にて、温度センサコントローラ410,420は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF1を選択する信号を、温度センサモジュール430,1140にそれぞれ送信する。
【0102】
ステップS1570にて、温度センサモジュール430,1140の各セレクタ435は、当該信号の受信に応答して、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REF1をそれぞれ選択する。
【0103】
ステップS1580にて、温度センサモジュール430,1140の各ADC436は、基準電圧VTHREFを基準にして、電圧値VTHS1REF1をアナログ値からデジタル値に変換する。
【0104】
ステップS1590にて、温度センサコントローラ410,420は、アプリケーションを実行し、得られたデジタル値を温度Tjに換算する。
【0105】
温度センサモジュール1140の動作保証が、
図13に示される態様で既に行なわれているので、温度センサモジュール430および温度センサモジュール1140による各温度換算値TREF1がほぼ一致することを確認することで、温度センサモジュール430は温度Tjを正確に計測できることが確認される。
【0106】
図16を参照して、さらに他の局面について説明する。
図16は、さらに他の局面に従う半導体装置1200が実行する処理の一部を表わすフローチャートである。
図16に示される処理は、
図13に示される処理において、温度センサモジュール1140の温度Tjが正確に測定されていることが確認された後に、温度センサモジュール430の温度Tjが正確に測定されていることを確認するために実行される。なお、前述の処理と同一の処理には、同一のステップ番号を付してある。したがって、同一の処理の説明は繰り返さない。
【0107】
ステップS1640にて、温度センサコントローラ410,420は、電圧値VTHS1REFNを選択する信号を、温度センサモジュール430,1140にそれぞれ出力する。
【0108】
ステップS1650にて、温度センサモジュール430,1140の各CIVM431において、各セレクタ433は、当該信号の受信に応答して、電圧値VTHS1REFNを選択する。
【0109】
ステップS1660にて、温度センサコントローラ410,420は、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REFNを選択する信号を、温度センサモジュール430,1140にそれぞれ送信する。
【0110】
ステップS1670にて、温度センサモジュール430,1140の各セレクタ435は、当該信号の受信に応答して、基準電圧VTHREFおよび電圧値VTHS1REFNをそれぞれ選択する。
【0111】
ステップS1680にて、温度センサモジュール430,1140の各ADC436は、基準電圧VTHREFを基準にして、電圧値VTHS1REFNをアナログ値からデジタル値に変換する。
【0112】
ステップS1690にて、温度センサコントローラ410,420は、アプリケーションを実行し、得られたデジタル値を温度Tjに換算する。
【0113】
温度センサモジュール1140の動作保証が、
図13に示される態様で既に行なわれているので、各温度センサモジュールのBGRの動作特性の多少の差異があり得るものの、温度センサモジュール430および温度センサモジュール1140による各温度換算値TREFNがほぼ一致することを確認することで、温度センサモジュール430は温度Tjを正確に計測できることが確認される。
【0114】
各温度換算値TREF0,TREF1およびTREFNは、第1の実施の形態で説明した半導体装置が保証する温度の範囲に相当することから、各温度センサモジュールの温度換算値TREF0,TREF1,TREFNがほぼ一致することを確認することで、半導体装置が保証する温度の範囲内において、各温度センサモジュールがいずれも温度Tjを計測できると判断し得る。
【0115】
なお、さらに別の局面において、温度センサモジュール430を任意の数だけ増やしても本実施の形態における温度センサモジュール430と同様に対応できるので、第1の実施の形態において複数の温度センサモジュール430が半導体装置に含まれる場合にも適用できる。
【0116】
[第3の実施の形態]
【0117】
以下、第3の実施の形態について説明する。本実施の形態に係る半導体装置1700は、各温度センサモジュールが外部端子を有する点で、前述の各実施の形態に係る半導体装置と異なる。
【0118】
図17を参照して、本実施の形態に係る半導体装置1700の構成について説明する。
図17は、半導体装置1700のハードウェア構成を表わすブロック図である。半導体装置1700は、複数(N-1)個の温度センサコントローラ410と、温度センサコントローラ420と、複数(N-1)個の温度センサモジュール1730と、温度センサモジュール1040とを備える。各温度センサモジュール1730は、温度センサコントローラ410にそれぞれ接続されている。
【0119】
図17に示される構成によれば、各温度センサモジュールの温度Tjを出力端子1120および1130を介して受信するアナログ値を用いて計測できるので、温度センサモジュール1040から他の温度センサモジュール1730に電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNを供給しなくても、各温度センサモジュール1730は、第2の実施の形態で説明したようなテストを実行することができる。
【0120】
[第4の実施の形態]
【0121】
以下、第4の実施の形態について説明する。前述の各実施の形態では、温度計測のテストにおいて、基準電圧VTHREFが採用されているが、当該テストは他の電圧値を用いても実行可能である。
【0122】
そこで、
図4を再び参照して、本実施の形態について説明する。
図4に示されるように、温度センサモジュール440のセレクタ435は、BGR回路444から出力されるPTAT電圧VTHSENSEを選択することができる。そこで、ADC436は、温度センサモジュール440の電圧値VTHS1REF0~電圧値VTHS1REFNを基準に、他の温度センサモジュール430のBGR回路434の電圧値VTHSENSEをアナログ値からデジタル値に変換し得る。
【0123】
この場合、CIVM431のセレクタ433と、セレクタ435とがAD変換することにより得られる値は、以下のようになる。
・電圧値VTHREF,VTHSENSE:ADC(A1)
・電圧値VTHREF,VTHS1REF0~VTHS1REFN:ADC(B1~BN)
・電圧値VTHSENSE,VTHS1REF0~VTHS1REFN:ADC(C1~CN)
【0124】
ここで、ADC(A1)は、CIVM431を通過していないアナログ信号を表わす。
ADC(BN)は、CIVM431を通過したアナログ信号を表わす。
ADC(CN)は、CIVM431を通過したアナログ信号を表わす。
【0125】
温度センサコントローラ420は、ADC(BN)と、ADC(CN)とを用いて、ADC(A1)に相当する値(以下ADC(D1)と表わす。)を推定できる。この場合、ADC(A1)とADC(D1)との差分が、CIVM431の入力出力のオフセットに相当する。各温度センサモジュールのCIVM431の入力出力オフセットは、各半導体装置内でも異なり得る。温度センサモジュールによる温度測定の確度が高い場合に当該温度センサモジュールの性能テストを行なうとき、第1の実施の形態または第2の実施の形態において説明された半導体装置は、第3の実施の形態で行なわれるテストの結果に対して、上述の入力出力オフセットを補完することによって、確度のよい温度センサモジュールのテストを実行することができる。
【0126】
図18を参照して、さらに他の局面について説明する。
図18は、上述の各実施の形態において例示されたテストの結果からエラー(故障)が検出された場合における処理の一部を表わすフローチャートである。なお、前述の処理と同じ処理には同一のステップ番号を付してある。したがって、同じ処理の説明は繰り返さない。
【0127】
ステップS1800にて、温度センサコントローラ410は、エラー判定を実行する。例えば、(N+1)個の温度センサコントローラ410による各温度換算値TREF0の全てが一致しない場合には、温度センサコントローラ410は、半導体装置にエラーが生じていると判定する。
【0128】
ステップS1810にて、温度センサコントローラ410は、エラー判定を実行する。例えば、(N+1)個の温度センサコントローラ410による各温度換算値TREF1の全てが一致しない場合には、温度センサコントローラ410は、半導体装置にエラーが生じていると判定する。
【0129】
ステップS1820にて、温度センサコントローラ410は、エラー判定を実行する。例えば、(N+1)個の温度センサコントローラ410による各温度換算値TREFNの全てが一致しない場合には、温度センサコントローラ410は、半導体装置にエラーが生じていると判定する。
【0130】
ステップS1830にて、温度センサコントローラ410は、半導体装置内の最も発熱する1カ所以上の場所の温度センサモジュールにエラーが生じているか否かを判断する。この判断は、例えば、各温度センサモジュールからの出力を用いた電圧値の比較の結果に基づいて行なわれる。1カ所以上の場所の温度センサモジュールにエラーが生じている場合には(ステップS1830にてYES)、制御はステップS1840に移される。そうでない場合には(ステップS1830にてNO)、制御はステップS1870に移される。
【0131】
ステップS1840にて、温度センサコントローラ410は、温度センサモジュール430が正常であるか否かを判断する。この判断は、例えば、温度センサモジュール430からの出力値が、
図3(B)に示される範囲に含まれるか否かに基づいて行なわれる。温度センサモジュール430が正常である場合には(ステップS1840にてYES)、制御はステップS1850に移される。そうでない場合には(ステップS1840にてNO)、制御はステップS1860に移される。
【0132】
ステップS1850にて、半導体装置は、アプリケーションの動作状況に拘わらず、当該半導体装置の稼働を停止する。ただし、エラーが発生している温度センサモジュールのTREF0,TREF1のいずれも正常である場合には、安全重視で当該温度センサモジュールを稼働させてもよい。
【0133】
ステップS1860にて、半導体装置は、アプリケーションの動作状況に拘わらず、当該半導体装置の稼働を停止する。
【0134】
ステップS1870にて、温度センサコントローラ410は、温度センサモジュール430が正常であるか否かを判断する。この判断は、例えば、温度センサモジュール430からの出力値が、
図3(B)に示される範囲に含まれるか否かに基づいて行なわれる。温度センサモジュール430が正常である場合には(ステップS1870にてYES)、制御はステップS1880に移される。そうでない場合には(ステップS1870にてNO)、制御はステップS1890に移される。
【0135】
ステップS1880にて、半導体装置は、アプリケーションの動作状況により、当該エラーが発生している温度センサモジュール以外の温度センサモジュールを用いて温度Tjを監視し、当該半導体装置を稼働させる。ただし、エラーが発生している温度センサモジュールの温度換算値TREF0,TREF1のいずれも正常である場合には、安全重視で当該温度センサモジュールを稼働させてもよい。
【0136】
ステップS1890にて、半導体装置は、アプリケーションの動作状況に拘わらず、当該半導体装置の稼働を停止する。
【0137】
以上のようにして、本開示によれば、複数の温度センサモジュールを備える半導体装置において、各温度センサモジュールにより計測される温度Tjが不明な状況において、当該温度が正しく計測できているか否かをテストすることができる。また、半導体装置における温度センサに関する機能安全規格(例えば、ISO26262 ASIL)への対応が実現され得る。
【0138】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0139】
110,111,112,113,114,115,116,117,118,430,440,1040,1140,1730 温度センサモジュール、100,400,1100,1200,1700 半導体装置、122,123,124 モジュール、132,133 領域、210,220,230 グラフ、310,320,330 円、410,420 温度センサコントローラ、431 CIVM回路、432 電圧入力部、434,444 BGR回路、436 ADC、433,435 セレクタ、1110 ドライバ、1120,1130 出力端子、1160 デジタル端子、1180 外部システム。