(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】フィルター膜及びデバイス
(51)【国際特許分類】
B01D 69/08 20060101AFI20220530BHJP
B01D 71/68 20060101ALI20220530BHJP
B01D 71/44 20060101ALI20220530BHJP
B01D 71/60 20060101ALI20220530BHJP
B01D 69/00 20060101ALI20220530BHJP
B01D 69/02 20060101ALI20220530BHJP
B01D 65/02 20060101ALI20220530BHJP
B01D 63/02 20060101ALI20220530BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20220530BHJP
D01F 6/76 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
B01D69/08
B01D71/68
B01D71/44
B01D71/60
B01D69/00
B01D69/02
B01D65/02 500
B01D63/02
B01D61/14
D01F6/76 D
(21)【出願番号】P 2018538086
(86)(22)【出願日】2017-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2017051044
(87)【国際公開番号】W WO2017125470
(87)【国際公開日】2017-07-27
【審査請求日】2019-11-08
(32)【優先日】2016-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501473877
【氏名又は名称】ガンブロ・ルンディア・エービー
【氏名又は名称原語表記】GAMBRO LUNDIA AB
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クラウゼ,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ボスケッティ-デ-フィエーロ,アドリアーナ
(72)【発明者】
【氏名】フォークト,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ゲッケラー,ヨハンネス
(72)【発明者】
【氏名】シュバイガー,フェルディナント
【審査官】山崎 直也
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-534274(JP,A)
【文献】特開2015-221400(JP,A)
【文献】特開2014-240041(JP,A)
【文献】特表2010-506709(JP,A)
【文献】国際公開第2013/147001(WO,A1)
【文献】特許第2736992(JP,B2)
【文献】特開平11-350239(JP,A)
【文献】特開2002-096064(JP,A)
【文献】特開2011-195636(JP,A)
【文献】特表2009-542424(JP,A)
【文献】特開2011-050881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/22
61/00-71/82
C02F 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スポンジ様構造を有する多孔質中空繊維膜であって、前記膜が、0.2μmよりも大きい、多孔度測定法により決定された平均流動細孔サイズを有し、前記膜が、ポリエーテルスルホン及びポリビニルピロリドンを含み、
前記膜が無機化合物を含まず、前記膜が、2,300~4,000μmの内径及び150~320μmの壁厚を有し、及び、前記内径の前記壁厚に対する比が10よりも大きく、26.7よりも小さい、多孔質中空繊維膜。
【請求項2】
前記内径が、3,000μmよりも大きくかつ3,700μよりも小さく又は等しく、前記壁厚が、180~320μmの範囲にある、請求項1に記載の膜。
【請求項3】
少なくとも2.5bar(g)の破裂圧力を有する、請求項1又は2に記載の膜。
【請求項4】
7よりも大きく、8.9を超えない細菌対数減少値(LRV)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の膜。
【請求項5】
陽イオン電荷を有するポリマーをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の膜。
【請求項6】
陽イオン電荷を有する前記ポリマーが、ポリエチレンイミンである、請求項5に記載の膜。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の多孔質中空繊維膜を調製するための連続溶媒相反転紡糸方法であって、
a)少なくとも1種のポリエーテルスルホン、少なくとも1種のポリビニルピロリドン及び任意選択的に、陽イオン電荷を有するポリマーを、N-メチル-2-ピロリドンに溶解して、ポリマー溶液を形成するステップ、
b)前記ポリマー溶液を、2つの同心開口を備えたノズルの外側リングスリットを通して、沈殿浴に押し出すステップ、同時に
c)中心流体を、前記ノズルの内側開口に通して押し出すステップ、
d)得られた膜を洗浄するステップ、及び引き続き
e)前記膜を乾燥するステップ、
を含み、
前記ポリマー溶液が、前記ポリマー溶液の全重量に対して15~20wt%のポリエーテルスルホン及び前記ポリマー溶液の全重量に対して10~15wt%のポリビニルピロリドンを含む、方法。
【請求項8】
前記ポリマー溶液が、前記溶液の全重量に対して0.1~2wt%の、ポリエチレンイミンを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリエーテルスルホンが、90~95kDaの範囲の重量平均分子量M
wを有する、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記中心流体が、前記中心流体の全重量に対して35~50wt%の水及び50~65wt%のNMPを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記沈殿浴が、80~99℃の範囲の温度を有する、請求項7~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記膜が、乾燥に続いて水蒸気又はガンマ放射線で滅菌される、請求項7~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
請求項1~6のいずれか一項に記載の単一中空繊維膜(2
)を含み、当該単一中空繊維膜(2)は、一端(6)で封止される、濾過デバイス。
【請求項14】
デッドエンド濾過により液体から粒子を除去するための、請求項1~6のいずれか一項に記載の又は請求項7~12のいずれか一項により調製された膜の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、大きい内径及び薄い壁を有する、微孔質中空繊維フィルター膜に関する。繊維は、液体の滅菌濾過に又は液体からの粒子の除去に使用することができる。本開示はさらに、膜及び膜を含むフィルターデバイスを生成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
WO 2004/056459 A1は、少なくとも1種の疎水性ポリマー、例えばポリエーテルスルホン、及び少なくとも1種の親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンを含む、血液透析に適切な選択透過性非対称膜を開示する。中空繊維膜の外面は、0.5~3μmの範囲の細孔開口を有し、外面の細孔数はmm2当たり10,000~150,000細孔の範囲にある。膜の細孔サイズは5~20nmの範囲にある。膜の内径は500μm未満であり、その壁強度は90μm未満である。
【0003】
US 2014/0175006 A1は、中空繊維支持層及び支持層の表面の活性層を含む中空繊維膜を備えた複合膜モジュールを開示する。活性層は、支持体上でのアミン及びアシルハロゲン化物の界面重合によって形成される。支持層は、約0.1~約3.0mmの内径、及び約10~約500μmの厚さ、例えば50~200μmの厚さを有していてもよい。実施例において、0.5~1.0mmの内径及び0.1~0.15mmの厚さを有する支持層が使用された。
【0004】
EP 0 998 972 A1は、毛管膜の壁に組み込まれた連続強化繊維によって長手方向に強化された自立型毛管膜を開示する。毛管膜の内径は、一般に0.2~6mmであり、特に0.4~3mmである。壁の厚さは一般に0.1~2mmであり、特に0.2~1mmである。比較例において、1.5mmの内径及び0.5mmの壁厚を有する;又は3mmの内径及び1mmの壁厚を有する、強化繊維のない膜がそれぞれ開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2004/056459号
【文献】米国特許出願公開第2014/0175006号明細書
【文献】欧州特許出願公開第0998972号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
(発明の要旨)
本開示は、スポンジ構造を示す、かつ2,300~4,000μmの内径及び150~500μmの壁強度を有する、多孔質中空繊維膜を提供する。膜は、0.2μmよりも大きい、毛管流動多孔度測定によって決定された平均流動細孔サイズを有し、ポリエーテルスルホン及びポリビニルピロリドンを含む。本開示は、多孔質中空繊維膜を作製するための、連続溶媒相反転紡糸方法も提供する。本開示は、多孔質中空繊維膜を含むフィルターデバイスを、さらに提供する。フィルターデバイスは、液体の滅菌濾過、液体からの細菌及び/又は内毒素の除去、あるいは液体からの粒子の除去に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示によるフィルターデバイスの実施形態の、概略断面図を示す。
【
図2】中空繊維膜の破裂圧力を決定するための装置を示す。
【
図3】本開示によるフィルターデバイスの細菌及び内毒素対数減少値(LRV)を決定するための装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様において、スポンジ様構造を有する多孔質中空繊維膜が提供される。膜は、0.2μmよりも大きい、毛管流動多孔度測定によって決定された平均流動細孔サイズを有する。一実施形態において、平均流動細孔サイズは0.2~0.4μmの範囲にある。別の実施形態において、平均流動細孔サイズは0.3μmよりも大きく、例えば0.3~0.7μmの範囲にある。さらに別の実施形態において、平均流動細孔サイズは1μmよりも大きく、例えば1~10μmの範囲にあり、又は1~5μmの範囲にある。
【0009】
毛管流動多孔度測定は、気体差圧で湿式及び乾式膜を通る流量が測定される、液体押出し技法である。測定前に、膜を低表面張力液体(例えば、Porofil(登録商標)という商標で市販されている、パーフルオロエーテル)に浸漬して、小さいものも含む全ての細孔が湿潤液体で満たされるのを確実にする。液体が細孔から押し出される圧力を測定することにより、それに対応する直径を、ラプラスの方程式を使用して計算することができる。この方法によれば、細孔サイズ分布は、質量輸送において活性な細孔に関して決定される。終端及び隔離された細孔は、省略される。中空繊維膜は、内側から外側へ測定される。
【0010】
ラプラス方程式
Dp=4γcosθ/ΔP
Dp=細孔直径[m]
γ=表面張力[N/m];Porofil(登録商標)に関しては0.016[N/m]
ΔP=圧力[Pa]
Cosθ=接触角;完全濡れによりcosθ=1
【0011】
膜は、ポリエーテルスルホン(PESU)及びポリビニルピロリドン(PVP)を含む。一実施形態において、膜は、陽イオン電荷を有するポリマーをさらに含む。陽イオン電荷を有する適切なポリマーの例には、ポリエチレンイミン、変性ポリエチレンイミン及び変性ポリフェニレンオキシドが含まれる。一実施形態では、750kDaの重量平均分子量を有するポリエチレンイミンが使用される。別の実施形態では、2,000kDaの重量平均分子量を有するポリエチレンイミンが使用される。
【0012】
適切なポリエーテルスルホンの例には、約70,000~100,000Daの重量平均分子量を有するポリエーテルスルホンが含まれる。一実施形態において、90~95kDaの範囲の重量平均分子量Mwを有するポリエーテルスルホンが使用される。例は、92kDaの重量平均分子量Mwを有しかつ多分散性Mw/Mnが3である、ポリエーテルスルホンである。別の実施形態では、70~80kDaの範囲の重量平均分子量Mwを有するポリエーテルスルホンが使用される。例は、75kDaの重量平均分子量Mwを有しかつ多分散性Mw/Mnが3.4のポリエーテスルホンである。
【0013】
適切なポリビニルピロリドンには、50kDa~2,000kDaの範囲の重量平均分子量を有するビニルピロリドンのホモポリマーが含まれる。これらのホモポリマーは、一般に、14kDa~375kDaの範囲の数平均分子量を有する。本発明の膜を調製するための、適切なポリビニルピロリドンの例は、それぞれ、全てがBASF SEから入手可能なLuvitec(登録商標)K30、Luvitec(登録商標)K85、Luvitec(登録商標)K90及びLuvitec(登録商標)K90HMである。
【0014】
本発明の一実施形態において、多孔質中空繊維膜に含まれたポリビニルピロリドンは、高(≧100kDa)及び低(<100kDa)重量平均分子量成分からなる。
【0015】
重量平均分子量<100kDaを有する適切なポリビニルピロリドンの例は、50kDaの重量平均分子量及び14kDaの数平均分子量を有するポリビニルピロリドンである。そのような生成物は、Luvitec(登録商標)K30という商標の下でBASF SEから入手可能である。
【0016】
重量平均分子量>100kDaを有する適切なポリビニルピロリドンの例には、約1,000~2,000kDa、例えば1,100~1,400kDa又は1,400~1,800kDaの重量平均分子量;約200~400kDa、例えば250~325kDa、又は325~325kDaの数平均分子量;及び約4~5、例えば4.3~4.4、又は4.3~4.8の多分散性Mw/Mnを有するポリビニルピロリドンが含まれる。
【0017】
本発明の一実施形態は、約1,100kDaの重量平均分子量;及び約250kDaの数平均分子量を有するポリビニルピロリドンホモポリマーを使用する。
【0018】
本発明の別の実施形態は、約1,400kDaの重量平均分子量;及び約325kDaの数平均分子量を有するポリビニルピロリドンホモポリマーを使用する。
【0019】
本発明のさらに別の実施形態は、約1,800kDaの重量平均分子量;及び約375kDaの数平均分子量を有するポリビニルピロリドンホモポリマーを使用する。
【0020】
膜は、2,300~4,000μmの内径及び150~500μmの壁強度を有する。一実施形態において、内径は、3,000μmよりも大きくかつ3,700μmよりも小さく又は3,700μmに等しく、壁強度は、180~320μmの範囲にある。別の実施形態において、内径は2,300~2,500μmであり、壁強度は180~320μmである。さらに別の実施形態において、内径は2,900~3,400μmであり、壁強度は180~320μmである。
【0021】
膜の内径のその壁強度に対する比は、10よりも大きい。一実施形態において、内径の壁強度に対する比は15よりも大きい。内径の壁強度に対する大きい比を有する膜、即ち薄壁膜は、より可撓性で容易に変形可能である。これらの膜は、厚壁膜よりも、曲げによってよじれを形成し難い。薄壁中空繊維の端部は、終端フィルター要素が生成されるようにクリンプ処理することによって、容易に閉じることができる。
【0022】
一実施形態において、膜は、少なくとも2.5bar(g)の、例えば3bar(g)よりも高い、以下の方法セクションに記述されるように決定された破裂圧力を示す。一実施形態において、膜は、3~5bar(g)の範囲の破裂圧力を示す。
【0023】
一実施形態において、膜は、7よりも大きい細菌対数減少値(LRV)を有する。別の実施形態において、膜は、8よりも大きいLRVを有する。LRVは、以下の方法セクションで記述されるように、ブレブンジモナス・ジミヌタ(Brevundimonas diminuta)(BD)ATCC 19146の懸濁液で試験される。
【0024】
本開示はまた、多孔質中空繊維膜を調製するための連続溶媒相反転紡糸方法であって、
a)少なくとも1種のポリエーテルスルホン、少なくとも1種のポリビニルピロリドン、及び任意選択的に、陽イオン電荷を有するポリマーを、N-メチル-2-ピロリドンに溶解して、ポリマー溶液を形成するステップ;
b)ポリマー溶液を、2つの同心開口を備えたノズルの外側リングスリットを通して、沈殿浴に押し出すステップ;同時に
c)中心流体を、ノズルの内側開口に通して押し出すステップ;
d)得られた膜を洗浄するステップ;及び引き続き
e)膜を乾燥するステップ;
f)乾燥に続き、膜を、水蒸気又はγ放射線で滅菌するステップ
を含み;
ポリマー溶液が、ポリマー溶液の全重量に対して15~20wt%のポリエーテルスルホン、及びポリマー溶液の全重量に対して10~15wt%のポリビニルピロリドンを含む、方法を提供する。
【0025】
一実施形態において、ポリマー溶液は、溶液の全重量に対して0.1~2wt%の、陽イオン電荷を有するポリマーを含む。陽イオン電荷を有する適切なポリマーの例には、ポリエチレンイミン、変性ポリエチレンイミン及び変性ポリフェニレンオキシドが含まれる。
【0026】
一実施形態において、ポリマー溶液は、溶液の全重量に対して0.1~2wt%のポリエチレンイミンを含む。一実施形態において、750kDaの重量平均分子量を有するポリエチレンイミンが使用される。別の実施形態において、2,000kDaの重量平均分子量を有するポリエチレンイミンが使用される。
【0027】
ポリマー溶液中のポリエーテルスルホンの濃度は、一般に、15~20wt%の範囲、例えば17~19wt%の範囲にある。
【0028】
一実施形態において、90~95kDaの範囲の重量平均分子量Mwを有するポリエーテルスルホンを含むポリマー溶液が、使用される。例は、92kDaの重量平均分子量Mwを有しかつ多分散性Mw/Mnが3である、ポリエーテルスルホンである。別の実施形態において、70~80kDaの範囲の重量平均分子量Mwを有するポリエーテルスルホンを含むポリマー溶液が、使用される。例は、75kDaの重量平均分子量Mwを有しかつ多分散性Mw/Mnが3.4の、ポリエーテルスルホンである。
【0029】
ポリマー溶液中のポリビニルピロリドンの濃度は、一般に10~15wt%の範囲にあり、例えば11~12wt%の範囲にある。
【0030】
方法の一実施形態において、ポリマー溶液は、高い(≧100kDa)及び低い(<100kDa)分子量のPVPを含む。一実施形態において、ポリマー溶液中のPVPの全重量に対して50~60wt%、例えば50~55wt%は高分子量成分であり、ポリマー溶液中のPVPの全重量に対して40~60wt%、例えば45~50wt%は低分子量成分である。
【0031】
一実施形態において、ポリマー溶液は、50kDaの重量平均分子量を有するポリビニルピロリドンを5~6wt%;及び1,100kDaの重量平均分子量を有するポリビニルピロリドンを6wt%含む。
【0032】
膜を調製するための方法の一実施形態において、中心流体は、中心流体の全重量に対して、水を35~50wt%及びNMPを50~65wt%含み、例えば水を35~45wt%及びNMPを55~65wt%、又は水を40~50wt%及びNMPを50~60wt%、例えば水を40wt%及びNMPを60wt%含む。
【0033】
方法の一実施形態において、沈殿浴は水で構成される。方法の一実施形態において、沈殿浴は、80~99℃の範囲の温度、例えば85~95℃、又は85~90℃の範囲の温度を有する。
【0034】
膜を調製するための方法の一実施形態において、紡糸口金の温度は50~60℃の範囲、例えば52~56℃の範囲にある。
【0035】
方法の一実施形態において、ノズルの開口から沈殿浴までの距離は、30~70cmの範囲、例えば40~60cmの範囲にある。
【0036】
方法の一実施形態において、紡糸速度は5~15m/分の範囲、例えば8~13m/分の範囲にある。
【0037】
次いで膜は、残留溶媒及び低分子量成分を除去するために洗浄される。膜を生成するための連続方法の特定の実施形態において、膜は、いくつかの水浴を経て案内される。方法のある特定の実施形態において、個々の水浴は異なる温度を有する。例えば、各水浴は、先行する水浴よりも高い温度を有していてもよい。
【0038】
次いで膜を乾燥し、引き続き滅菌する。滅菌ステップは、中空繊維膜の液体透過率(Lp)を増大させるのに重要である。より多くの流体の流れは、滅菌ステップを通過しなかった膜に比べ、滅菌膜で実現することができる。一実施形態において、中空繊維膜は引き続きγ放射線で滅菌される。特定の実施形態において、使用される放射線量は、25~50kGyの範囲内にあり、例えば25kGyである。別の実施形態において、中空繊維膜は引き続き、少なくとも121℃の温度で少なくとも21分間水蒸気で滅菌される。滅菌ステップ後、中空繊維膜は、大幅に増大した水力学的透過率を示す。
【0039】
本開示は、上述の特徴を有する単一中空繊維膜を含む濾過デバイスも提供する。一実施形態では、濾過デバイスは、微生物汚染物質を液体から除去することができる滅菌グレードのフィルターである。
【0040】
濾過デバイスは、管状ハウジングであって、この管状ハウジングの端部がそれぞれデバイスの入口及び出口を画定する管状ハウジング;管状ハウジング内に配置された単一中空繊維膜であって、この中空繊維膜の一端がデバイスの入口に接続されかつ中空繊維膜の他端が封止されている単一中空繊維膜を含む。
【0041】
図1は、濾過デバイスの一実施形態の概略断面図を示す。中空繊維膜2が管状ハウジング1内に配置されている。コネクター3は、管状ハウジング1の一端を封止し、デバイスの入口4を提供する。デバイスの一実施形態において、入口4は、テーパーフィッティングの形をとり、例えばルアーテーパーの形をとる。中空繊維膜2は、フィッティング5でコネクター3に接合される。中空繊維膜2の第2の端部6は封止される。管状ハウジング1の第2の端部は開放され、出口7をデバイスに提供する。本開示の範囲内のいくつかの実施形態において、出口7は、流体容器、例えばドラム、ボトル、アンプル又はバッグの入口に接合される。本開示の範囲内のその他の実施形態において、出口7は、コネクター;ジョイント;又はフィッティング、例えばテーパーフィッティング、例えばルアーテーパーを備える。
【0042】
本開示の範囲内の一実施形態において、出口7は、滅菌流体容器に流体接続される。溶液は、デバイスの入口4に進入し、コネクター3を通過して中空繊維膜2に入ってもよい。次いで溶液は、中空繊維膜2を経て濾過されて、フィルター出口7から出て、出口7に流体接続された滅菌容器に入る。デバイスは、隔離された流体接続を入口4と容器との間に提供し、したがって溶液が膜を経て濾過されると、濾過された溶液は、容器の滅菌環境内に直接入る。フィルターの出口7と容器の入口との間のハウジング1の部分は、カット及び封止領域として構成されてもよい。溶液が容器内に濾過されると、フィルターの出口7と容器の入口との間の接続部は封止されてもよく、フィルターデバイスが封止領域の上流をカットオフしてもよい。
【0043】
図1に示されるフィルターデバイスの1つのタイプにおいて、ハウジング1は、ほぼ同心状の構成で中空繊維膜2を取り囲む。中空繊維膜2から出る、濾過された流体は、ハウジング1内に収容され、最終的には出口7を通過する。中空コネクター3は、ハウジング1及び中空繊維膜2を一緒に固定する。フィルターデバイスの開放入口端4は、中空コネクター3の開放出口端を構成するフィッティング5に封止状態で接続される。接続は、中空繊維膜2の開放入口端をコネクター3のフィッティング5に、例えばエポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、シアノアクリレート樹脂、又はシクロヘキサノンのような中空コネクター3の材料用の溶媒で接着することによって、実現されてもよい。示されるタイプにおいて、コネクター3のフィッティング5は、中空繊維膜2の内側に適合し中空繊維膜2の開放入口端に固定される、中空円筒状部材を含む。したがって、コネクター3のフィッティング5の直径は、中空繊維膜2の内径に実質的に類似しており又は中空繊維膜2の内径よりも僅かに小さい。中空繊維膜2の開放入口端は、例えば、中空コネクター3がレーザー放射線を吸収する材料から作製される場合にはレーザー溶接、ミラー溶接、超音波溶接、又は摩擦溶接によって、コネクター3の開放出口端5に溶接されてもよい。その他のタイプにおいて、コネクター3のフィッティング5の内径は、中空繊維膜2の外径よりも僅かに大きく、中空繊維膜2の開放入口端は、コネクター3のフィッティング5内に挿入される。中空繊維膜2の開放入口端は、例えば熱溶接(例えば、高温円錐金属チップをコネクター3の開放入口端4内に導入して、コネクター3のフィッティング5の内側を部分的に融解する。)、中空コネクター3がレーザー放射線を吸収する材料から作製される場合にはレーザー溶接、ミラー溶接、超音波溶接、又は摩擦溶接によって、コネクター3のフィッティング5に溶接されてもよい。
【0044】
代替の実施形態において、中空繊維膜2は金型に挿入され、熱可塑性ポリマーがその周りに射出成型されて、中空コネクター3を形成する。一実施形態において、コネクター3及びハウジング1は共に、熱可塑性ポリマーを中空繊維膜2の周りに射出成型することによって形成される。
【0045】
中空コネクター3は、流体入口4をさらに含む。流体は、例えば、接続された流体供給ラインを介して中空コネクター3の流体入口4内に供給することができる。いくつかのタイプにおいて、流体入口4は、ルアーロック型のフィッティング又はその他の標準医療用フィッティングを含むことができる。ハウジング1は、中空コネクター3の封止表面に取着される。このタイプの封止表面は、円筒状であり、フィッティング5の直径よりも大きい直径を有し、フィッティング5に対してほぼ同心状に配置される。事実、このタイプにおいて、封止表面の直径は、ハウジング1の内径とほぼ同一であり又はハウジング1の内径よりも僅かに小さい。そのように構成されると、ハウジング1は封止表面を受容し、そこから、中空繊維膜2の表面に接触することなく、中空繊維膜2を取り囲み保護するように延びる。ハウジング1は、接着剤、エポキシ、溶接、結合などで封止表面に固定することができる。ハウジング1は、中空繊維膜2の細孔を通過した後の流体を受容する。そこから、現在濾過された流体は容器内に入る。
【0046】
図1の前述のアセンブリの1つのタイプにおいて、ハウジング1は、中空繊維膜2の外径よりも大きい内径を含み、ハウジング1は、中空繊維膜2の長手方向の寸法よりも大きい長手方向の寸法を含む。したがって、ハウジング1及び中空繊維膜2はコネクター3上に組み立てられ、中空繊維膜2は全体がハウジング1内にあり(即ち、全体がハウジング1の内部にある。)、隙間が、ハウジング1の内部側壁と中空繊維膜2の外部側壁との間に存在する。したがって、中空繊維膜2に入る溶液は、中空繊維膜2の細孔から出て行き、障害なしに隙間を流通し、ハウジング1の内側に沿って容器まで流れる。いくつかのタイプにおいて、ハウジング1は、可撓性チューブ、剛性チューブとすることができ、又は可撓性及び剛性であるその他の部分を備えたチューブを含むことができる。特に、いくつかのタイプにおいて、中空繊維膜2に隣接する少なくとも剛性部分を備えたハウジング1は、中空繊維膜2をさらに保護するように及び/又は中空繊維膜2が可撓性チューブ内において締め付けられないように若しくはよじれないように働くことができる。その他のタイプにおいて、そのような保護は、必要でなくても望まれなくてもよい。一実施形態において、ハウジング1は、中空繊維膜2の外径よりも0.2~3mm大きい内径、及び中空繊維膜2の長さよりも1~5cm長い長手方向の寸法を有する。一実施形態において、中空繊維膜2は、約2.3mm~約5mmの範囲の外径、約3cm~約20cmの範囲の長手方向の寸法、及び約150μm~約500μmの範囲の壁厚を有する。ハウジング1及び中空繊維膜2の開示された幾何寸法に連結された、中空繊維膜2の細孔サイズは、容器、例えば滅菌水、滅菌生理食塩液などのような患者の注射剤を入れた製品バッグを満たすための、中空繊維膜2を通る許容可能な流量を確実にする。その他のタイプにおいて、寸法のいずれか又は全ては、特定の適用例に応じて変化し得る。
【0047】
ハウジング1に適切な材料には、PVC;PETのようなポリエステル;PMMAのようなポリ(メタ)アクリレート;ポリカーボネート(PC);PE、PP、又はシクロオレフィンコポリマー(COC)のようなポリオレフィン;ポリスチレン(PS)、シリコンポリマーなどが含まれる。
【0048】
本開示の膜及び濾過デバイスは、液体から粒子を除去するのに有利に使用されてもよい。除去され得る粒子の例には、細菌のような微生物;溶液の、溶解していない構成成分(例えば、活性成分の塩の結晶又は凝集体)、摩耗、溶接などによる製造中に発生した塵埃粒子又はプラスチック粒子のような固形分が含まれる。濾過デバイスが、陽イオン電荷を有する膜を組み込んだとき、内毒素及び細菌DNAを液体から除去することも可能である。
【0049】
本開示の範囲により包含されることが意図される一実施形態において、本開示のデバイスは、患者の血流中に流体を注入するための輸液ラインの部分を形成する。そのような流体の例には、生理食塩液、薬物溶液、グルコース溶液、非経口栄養液、血液透析濾過又は血液濾過治療の過程で患者に供給される置換流体のような、滅菌医療用流体が含まれる。本開示のデバイスは、患者の血流に進入する流体に関する、最終滅菌障壁を形成する。
【0050】
本開示のさらなる態様は、液体から粒子を除去する方法であって、本開示の濾過デバイスを経た液体の濾過を含む方法である。濾過は、デッドエンド濾過又はダイレクトフロー濾過とも呼ばれるノーマルフロー濾過(NFF)である。本開示の膜はスキンを持たないので、それにより内側から外側へ及び外側から内側への濾過の両方を行うことが可能である。
【0051】
本開示のデバイスで濾過することができる適切な液体の例には、滅菌水、生理食塩液、薬物溶液、透析液、置換液、非経口栄養液などのような医療用液体が含まれる。
【0052】
符号の説明
1-ハウジング
2-中空繊維膜
3-コネクター
4-フィルター入口
5-フィッティング
6-中空繊維膜の封止端
7-フィルター出口
11-小型モジュール供給材入口
12-小型モジュール濾液出口
13-小型モジュール濃縮液出口
14-圧力調整器
15-データロガーを備えた圧力センサー
21-曝露懸濁液
22-蠕動ポンプ
23-濾過前圧力モニター
24-単繊維フィルター入口ポート
25-単繊維フィルター出口ポート
26-濾液収集ボトル
【0053】
方法
毛管流動多孔度測定
POROLUX(商標)1000(POROMETER N.V.、9810 Eke、ベルギー)を、これらの測定に使用し;Porofil(登録商標)湿潤流体を、低表面張力液体として使用する。
【0054】
POROLUX”1000シリーズは、細孔直径を測定するのに圧力ステップ/安定性方法を使用する。気体の入口弁は、非常に正確で精密な運動により開放される、大きな特別に設計されたニードル弁である。圧力を増大させるには、弁を精密点まで開放し、次いでその運動を停止させる。圧力及び流量センサーは、使用される定義済み安定性アルゴリズムが圧力及び流量の両方に一致したときのデータ点のみ得ることになる。このようにPOROLUX(商標)1000は、ある特定の圧力での細孔の開放を検出し、データ点を受け取る前に同じ直径の全ての細孔が完全に開放するまで待機する。この結果、細孔サイズの非常に正確な測定がなされ、実際の細孔サイズ分布の計算が可能になる。POROLUX(商標)1000は、平均流量細孔サイズを測定する。測定可能な細孔サイズは、約13nm~500μmの等価直径(湿潤液体に応じて)に及ぶ。
【0055】
中空繊維試料を、8cmの小片に切断した。これらを、エポキシ樹脂でモジュールに接着させ、POROLUX(商標)1000で測定した。注封後の有効繊維長は約5cmであった。
【0056】
気体差圧で、湿潤膜及び乾燥膜を経た流量を測定した。測定前に、膜を低表面張力液体(Porofil(登録商標)、16ダイン/cm)に浸漬して、小さいものも含めた全ての細孔に湿潤液体を確実に満たした。液体が細孔から押し出される圧力を測定することにより、その対応する直径を、ラプラスの方程式を使用して計算することができる。
【0057】
ラプラスの方程式:
Dp=4γcosθ/ΔP
Dp=細孔直径[m]
γ=表面張力[N/m];Porofil(登録商標)に関しては0.016[N/m]
ΔP=圧力[Pa]
Cosθ=接触角;完全な濡れによりcosθ=1
【0058】
流量は、濡れた膜の上で及び乾燥した膜の上で、ある特定の圧力で測定し、その結果、濡れ曲線、乾燥曲線、及びその間の半乾燥曲線が得られた。半乾燥曲線が濡れ曲線と交差する点が、平均流量細孔サイズである。細孔サイズは、流れ圧力から一次導関数を介して計算される。全ての測定は、2つの独立した、異なるモジュールで実施され、二重反復測定がなされた。
【0059】
小型モジュールの準備
小型モジュール[=ハウジング内に繊維]は、繊維を20cmの長さに切断し、繊維を40℃及び<100mbarで1時間乾燥し、引き続き繊維をハウジング内に移すことによって、準備する。繊維の端部は、UV硬化性接着剤を使用して閉鎖する。小型モジュールを、60℃で一晩、真空乾燥炉内で乾燥し、次いで繊維の端部にポリウレタンを注封する。ポリウレタンを硬化した後、注封膜束の端部を切断して繊維を再び開放する。小型モジュールは、繊維の保護を確実にする。
【0060】
小型モジュールの水力学的透過率(Lp)
小型モジュールの水力学的透過率(Lp)は、片側が封止されている小型モジュール内に、圧力下で、定められた体積の水を押圧し、必要とされる時間を測定することによって決定される。水力学的透過率は、下記の方程式(1):
Lp=V/[p・A・t] (1)
により、決定された時間t、有効膜表面積A、印加圧力p、及び膜を通して押圧された水の体積Vから計算される。
【0061】
有効膜表面積Aは、繊維長及び繊維の内径から、下記の方程式(2)
A=π・di・l [cm2]
(di=繊維の内径[cm]
l=有効繊維長[cm])
により計算される。
【0062】
小型モジュールを30分間濡らし、その後、Lp試験を行う。この目的のため、小型モジュールを、超純水500mlが入っているボックス内に置く。30分後、小型モジュールを試験システム内に移す。試験システムは、37℃で維持される水浴、及び小型モジュールを載置することができるデバイスからなる。水浴の充填高さは、小型モジュールが、指定されたデバイス内の水表面の下に位置付けられるのを確実にしなければならない。
【0063】
膜の漏れが、悪い試験結果をもたらすのを回避するために、小型モジュール及び試験システムの完全性試験を前もって実施する。完全性試験は、片側が閉鎖している小型モジュールを通して空気を押圧することによって行われる。気泡は、小型モジュール又は試験デバイスの漏れを示す。漏れが、試験デバイス内での小型モジュールの不正確な載置に起因するかどうか、又は膜に漏れがあるのかどうかをチェックしなければならない。小型モジュールは、膜の漏れが検出された場合には廃棄しなければならない。完全性試験で加えられる圧力は、加えられた圧力が高過ぎることによる水力学的透過率の測定中の漏れを引き起こすことができないことを確実にするために、水力学的透過率の決定中に加えられる圧力と、少なくとも同じ値でなければならない。
【0064】
破裂圧力
・破裂圧力を試験する前に、完全性試験の後に水力学的透過率(Lp)の測定を、上述の小型モジュールで行う。
・破裂圧力試験用の装置を、
図2に示す。
・供給材側(11)及び濾液側(12)を、0.5barのゲージ圧を有する圧縮空気を使用してパージする。
・管材を、小型モジュールの供給材コネクター(11)及び濃縮液コネクター(13)に、シクロヘキサノン及びUV硬化接着剤を使用して接着する。
・次いで小型モジュールを圧力調整器(14)に接続し、濃縮液コネクター(13)を閉鎖する。データロガー(15)を備えた圧力センサーを接続する。濾液コネクター(12)は開放したままにする。
・測定を開始する(ロギング間隔3秒)。
・圧力調整器(14)を使用して、試験圧力を初期値に、例えば2bar(g)に設定し、1分間保持する。
・引き続き、繊維が破裂するまで1分毎に圧力を0.1bar増大させる。破裂が聞こえ、それと同時に僅かな圧力低下が観察される。
・試験は、繊維が破裂することなく7bar(g)に耐えられる場合、合格である。
・試験の終わりに、データロガーからのデータを読み出し、破裂圧力を決定する。
【0065】
細菌及び内毒素対数減少値(LRV)
膜のLRVを、下記の手順により、ブレブンジモナス・ジミヌタ(BD)ATCC 19146の懸濁液で試験した:
【0066】
A.BD細菌曝露懸濁液の調製
BDを生成するための方法が、ASTM F838-05(2013年に再認可)の基準に合格すること、及び曝露懸濁液が、≧107CFU/cm2膜面積の曝露に到達することは、重要である。
1.ブレブンジモナス・ジミヌタ(BD)ATCC 19146の保存培養物から、3種のトリプチケースソイ寒天(TSA)プレートを接種し、28~34℃で48±2時間インキュベートする。
2.BD TSAプレート(セクションAステップ1、1週間以下の寿命)から、BD成長のいくつかのコロニーを取り出し、トリプチケースソイブロス(TSB)に懸濁する。懸濁液を、分光光度的に、625nmの波長で>1.0の吸光度に調節する。
3.この調節された懸濁液12mLを、120mlのTSBが入っている滅菌した150mLポリスチレンボトルに加える。ボトルを完全に混合し、28~34℃で24±2時間インキュベートする。
4.TSBボトルを28~34℃から取り出す。
5.調製1-0.5LのSLBが入っている1Lフラスコ。フラスコを室温で一晩置く。
6.接種1-A4からのフラスコ当たり2mLのBDと共に0.5LのSLBが入っている1Lフラスコ。旋回させて接種材料を混合する。TSAプレート上に接種し、28~34℃で24~48時間インキュベートすることによって、TSBの純度をチェックする。
7.接種されたフラスコ(キャップは緩めてある。)を、50rpmで振盪させながら、28~34℃で48±2時間インキュベートする。注記-SLB懸濁液は、使用前に5℃で最長8時間まで保存してもよい。
8.フラスコを混合し、990mLの滅菌物が入っているフラスコに10mLを添加する-これがBD曝露懸濁液である。これは、試験がなされる全てのフィルターに関して行われることになる。
9.試料を取り出して、BD曝露懸濁液の濃度を、平板計数法を使用することによりチェックする。
10.連続1:10希釈を滅菌水で10-5に調製する。二重反復用の1mL TSA混釈平板を、10-2、10-3、10-4及び10-5希釈物から調製する。混釈平板を28~34℃で最長72時間までインキュベートする。予測される濃度は106CFU/mLである。
【0067】
B.BD細菌曝露懸濁液を制御するための試験手順
コロニーが単分散性であるかどうかを決定するには、BD曝露有機体を、細孔サイズが0.45μmのフィルター上での膜濾過で、微視的に試験することになる。
1.試料を、1LのBD曝露フラスコから得る。試料がすぐに加工されない場合は、試料を2~8℃で保存する。
2.0.45μm膜フィルターに通して1mLを濾過し、濾過された体積に等しい又はそれよりも大きい体積の滅菌水で濯ぐ。濾液は滅菌ボトルに収集されることになる。
3.濾液を0.2μm膜フィルターに通して濾過する。
4.フィルターを、濾過された体積に等しい又はそれよりも大きい体積の滅菌水で濯ぐ。
5.0.2μm膜フィルターをTSAプレート上に無菌状態で置き、28~34℃で最長72時間までインキュベートする。
6.BDのサイズ制御は、0.45μmフィルターからの濾液中の成長を示すはずである。
7.BDのコロニーは、黄-ベージュで、僅かに凸状で、完全な、及び光沢がある。
8.BD曝露懸濁液から試料を得て、グラム染色を行う。BD曝露懸濁液は、主に単細胞からなるものとし、サイズが約0.3~0.4μm×0.6~1.0μmのグラム陰性桿状有機体を現すはずである。
9.40mLの試料を、当初のBD曝露懸濁液から得て、50mLの遠心分離管に移す。3000rpmで10分間遠心分離する。上澄みを注ぎ出し、0.1Mカコジル酸緩衝液中の2%グルタルアルデヒド10mLを添加する。遠心分離管を渦撹拌し、William Grahamに送ってSEMを得る。
【0068】
C.単繊維フィルターを曝露するための試験手順
フィルターの曝露は、19~24℃で行うものとする。試験用の装置を
図3に示す。
1.セクションAステップ8に従い、BD曝露懸濁液を調製する。
2.管材及び単繊維フィルター(フィルターライン管材は、取着された管材と共に設定され、圧力ゲージ用の管材接続を必要とする。)を滅菌し、水蒸気滅菌ができない場合には、あらゆる付属物を消毒する。ポンプ、クランプ、及び圧力ゲージを設定する。
3.試料をBD曝露懸濁液から得て、平板計数法(セクションA8参照)を使用することにより濃度をチェックする。
4.単繊維フィルターを、試験用に設定する。
5.単繊維フィルター入口ラインを、ポンプを通して、滅菌水が入っているフラスコに、滅菌非発熱ボトルに無菌状態で入れ、ポンプを始動させる。ラインをプライム処理し、較正スケール及びタイマーを使用してポンプ流量(150、255及び500mL/分)を確認する。入口ライン、廃棄物ライン及び出口ラインを、単繊維フィルターに無菌状態で接続する。単繊維フィルター出口ラインの流れを止める。約5mLのプライム溶液を、内毒素分析のために滅菌水フラスコから取り出し、2~8℃で保存する。
6.単繊維内から空気を除去するために、ポンプを始動させる(フィルター1に関して152.6mL/分、フィルター2に関して253.7mL/分、及びフィルター3に関して489.4mL/分)。使用される場合には滅菌剤の残留物に関して試験をする。ステップ7に行く前に残留物は0ppmでなければならない。そうでない場合には、残留滅菌剤が0ppmになるまで、滅菌水によるプライム処理を続ける。
7.ポンプを停止させ、単繊維フィルター廃棄物ラインの流れを止める。単繊維フィルター出口ラインの流れ停止を解除する。空気を単繊維フィルター出口ラインから除去するために、ポンプを再び始動させる(上記ステップ6の流量で)。使用される場合には滅菌剤残留物に関して試験をする。残留物は、ステップ8に行く前に0ppmでなければならない。そうでない場合には、残留滅菌剤が0ppmになるまで滅菌水でプライム処理を続ける。
8.ポンプを停止させ、入口ラインに最も近い単繊維フィルター出口ラインの流れを止める。ポンプを再び始動させる(上記ステップ6の流量で)。空の1L滅菌ボトルを天秤上に置き、風袋を量る。1Lのプライム溶液を、単繊維フィルター出口ラインから滅菌ボトルに無菌状態で収集する;これは、プライム/陰性対照と呼ばれることになる。ポンプを停止させる。約5mLのプライム溶液を、内毒素分析のために1Lボトルから取り出し、2~8℃で保存する。残されたプライム溶液を、0.2μm膜フィルターに通して濾過する。膜フィルターを、濾過ユニットの全体積に等しい滅菌水で濯ぐ。膜フィルターを、TSAプレート上に無菌状態で置き、28~34℃で最長72時間インキュベートする。
9.単繊維フィルター入口ラインの流れを止め、単繊維フィルター入口ラインをBD曝露懸濁液中に無菌状態で移動させる(セクションAステップ8参照)。単繊維フィルター入口ラインの流れ停止を解除し、ポンプを始動させる。単繊維フィルターを、約1LのBD曝露懸濁液に、上記ステップ6からの流量で曝露する。
10.空の1L滅菌ボトルを天秤上に置き、風袋を量る。ポンプを始動させ、単繊維フィルター出口ラインからの流れ停止を解除する。濾液を収集し、1L曝露の終わりに向けた圧力を測定する。これは、試験濾液(Test Filtrate)と呼ばれることになる。
11.約1Lの収集後、ポンプを停止させ、単繊維フィルター入口及び出口ラインの流れを停止する。単繊維フィルター入口ラインを、約1Lの滅菌水が入っているフラスコに移す。単繊維フィルター入口ライン及び出口ラインからの流れ停止を解除する。ポンプを始動させ、単繊維フィルターを1Lの滅菌水で、上記ステップ6の流量で濯ぐ。単繊維フィルター上の全てのラインをクランプ解除し、2~8℃で保存する。
12.生物学的安全性キャビネット内で、試験濾液を混合し、内毒素分析のために約5mLを取り出し、2~8℃で保存する。試験濾液を、1mL、10mL、100mL及び残分の一定分量で、細孔サイズが0.2μmの分析膜フィルターに通して濾過する。膜フィルターを、濾過ユニットの全体積に等しい滅菌水で濯ぐ。
13.膜フィルターを、TSAプレート上に滅菌状態で置く。
14.TSAプレートを28~34℃でインキュベートする。観察されたコロニーの数を、約48時間(週末にかかる場合には48時間よりも長い。)及び7日目に記録する。
15.コロニーが膜フィルター上に現れた場合、コロニー上でグラム染色を行う。グラム染色が、グラム陰性桿菌以外の何かを示す場合は、汚染として報告する。グラム染色がグラム陰性桿菌を示す場合、その成長をBD曝露の成長と比較して、同じ有機体かどうかを決定する。
16.細菌の対数減少値(LRV)を計算する。セクションDステップ1を参照されたい。
17.内毒素の対数減少値(LRV)を計算する。セクションDステップ2を参照されたい。
【0069】
D.LRVの計算
1.細菌対数減少値(LRV)は、3つの単繊維フィルターのそれぞれに関して計算されることになる。
・細菌LRV=log10(曝露における全CFU/濾液中の全CFU)
2.内毒素対数減少値(LRV)は、3つの単繊維フィルターのそれぞれに関して計算されることになる。
・内毒素LRV=log10(曝露における全EU/濾液中の全EU)
【0070】
E.陰性濾過対照
1.生物安全性キャビネット内で、滅菌水ボトルを振盪させて混合する。滅菌水は、その日の試料を濯ぐのに使用されるのと同じロットになる。
2.細孔サイズが0.2μmの分析膜フィルターを、マニホールド上に置く。
3.滅菌水100mL及び300mLを真空中で濾過する。
4.膜フィルターをTSAプレート上に、無菌状態で置く。
5.TSAプレートを28~32℃でインキュベートする。約48時間(週末にかかる場合には48時間よりも長い。)及び7日目に、観察されたコロニーの数を記録する。
・陰性対照膜フィルターは、成長を示さないはずである。
・BDのサイズ制御は、0.45μm膜フィルターからの濾液中の成長を示すはずである。
・BD有機体のサイズは、幅が0.3~0.4μm、長さが0.6~1.0μmであるはずである。
【実施例】
【0071】
[実施例1]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE)の;5%w/w水中及び64%w/w NMP中溶液を、55℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,900μmの内径を有し;内側開口は1,700μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は85℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を10m/分の速度で紡糸した。
【0072】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,282μmの内径及び213μmの壁厚を有していた。平均流量細孔サイズは599nmであることが決定された。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌し、繊維の別の部分は、25kGyの線量のガンマ放射線で滅菌した。
【0073】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0074】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、112×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、848×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
ガンマ滅菌された繊維を含む小型モジュールは、2,777×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0075】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して3.0bar(g);及びガンマ滅菌された繊維に関して2.7bar(g)であることが決定された。
【0076】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、8.9であることが決定された。
【0077】
[実施例2]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE)の;5%w/w水中及び64%w/wNMP中溶液を、55℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,900μmの内径を有し;内側開口は1,700μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は85℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を11.4m/分の速度で紡糸した。
【0078】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,086μmの内径及び254μmの壁厚を有していた。平均流量細孔サイズは380nmであることが決定された。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌し、繊維の別の部分は、25kGyの線量のガンマ放射線で滅菌した。
【0079】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0080】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、145×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、1,680×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
ガンマ滅菌された繊維を含む小型モジュールは、3,432×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0081】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して3.5bar(g);及びガンマ滅菌された繊維に関して3.3bar(g)であることが決定された。
【0082】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、7.8であることが決定された。
【0083】
[実施例3]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE)の;5%w/w水中及び64%w/w NMP中溶液を、55℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,900μmの内径を有し;内側開口は1,700μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は85℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を12.7m/分の速度で紡糸した。
【0084】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,026μmの内径及び265μmの壁厚を有していた。平均流量細孔サイズは380nmであることが決定された。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌し、繊維の別の部分は、25kGyの線量のガンマ放射線で滅菌した。
【0085】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0086】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、100×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、929×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
ガンマ滅菌された繊維を含む小型モジュールは、3,003×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0087】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して3.6bar(g);及びガンマ滅菌された繊維に関して3.4bar(g)であることが決定された。
【0088】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、8.9であることが決定された。
【0089】
[実施例4]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE)の;5%w/w水中及び64%w/w NMP中溶液を、55℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,900μmの内径を有し;内側開口は1,700μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は90℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を12.7m/分の速度で紡糸した。
【0090】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,028μmの内径及び271μmの壁厚を有していた。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌し、繊維の別の部分は、25kGyの線量のガンマ放射線で滅菌した。
【0091】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0092】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、86×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、1,218×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
ガンマ滅菌された繊維を含む小型モジュールは、3,647×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0093】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して3.7bar(g);及びガンマ滅菌された繊維に関して3.3bar(g)であることが決定された。
【0094】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、7.8であることが決定された。
【0095】
[実施例5]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE)の;5%w/w水中及び64%w/w NMP中溶液を、55℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,600μmの内径を有し;内側開口は1,400μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は90℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を10.9m/分の速度で紡糸した。
【0096】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,108μmの内径及び309μmの壁厚を有していた。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌し、繊維の別の部分は、25kGyの線量のガンマ放射線で滅菌した。
【0097】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0098】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、57×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、813×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
ガンマ滅菌された繊維を含む小型モジュールは、3,225×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0099】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して4.1bar(g);及びガンマ滅菌された繊維に関して3.8bar(g)であることが決定された。
【0100】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、8.0であることが決定された。
【0101】
[実施例6]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する5%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE);及び約2MDaの重量平均分子量を有する1%w/wのポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)SK、BASF SE)の、5%w/w水中及び64%w/w NMP中溶液を、55℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は3,000μmの外径及び2,400μmの内径を有し;内側開口は2,200μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は90℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を9.5m/分の速度で紡糸した。
【0102】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,641μmの内径及び241μmの壁厚を有していた。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌し、繊維の別の部分は、25kGyの線量のガンマ放射線で滅菌した。
【0103】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0104】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、167×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、2,568×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
ガンマ滅菌された繊維を含む小型モジュールは、3,258×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0105】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して2.7bar(g);及びガンマ滅菌された繊維に関して2.5bar(g)であることが決定された。
【0106】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、6.5であることが決定され、内毒素LRVは4.1であることが決定された。
【0107】
[実施例7]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する5.5%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE);及び約2MDaの重量平均分子量を有する0.5%w/wのポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)SK、BASF SE)の、5%w/w水中及び64%w/w NMP中溶液を、53℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,900μmの内径を有し;内側開口は1,700μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は90℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を9.5m/分の速度で紡糸した。
【0108】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,164μmの内径及び180μmの壁厚を有していた。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌した。
【0109】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0110】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、101×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、2,299×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0111】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して2.8bar(g)であることが決定された。
【0112】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、8.8であることが決定され、内毒素LRVは4.1であることが決定された。
【0113】
[実施例8]
約75kDaの重量平均分子量を有する19%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)6020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する5%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE);及び約750kDaの重量平均分子量を有する0.2%w/wのポリエチレンイミン(Lupasol(登録商標)P、BASF SE)の、5%w/w水中及び64.8%w/w NMP中溶液を、53℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,900μmの内径を有し;内側開口は1,700μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は90℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を9.5m/分の速度で紡糸した。
【0114】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,283μmの内径及び184μmの壁厚を有していた。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌した。
【0115】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0116】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、69×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、1,999×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0117】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して2.6bar(g)であることが決定された。
【0118】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、8.0であることが決定され、内毒素LRVは4.0であることが決定された。
【0119】
[実施例9]
約92kDaの重量平均分子量を有する17%w/wポリエーテルスルホン(Ultrason(登録商標)7020、BASF SE);約1,100kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K85、BASF SE);約50kDaの重量平均分子量を有する6%w/w PVP(Luvitec(登録商標)K30、BASF SE)の;5%w/w水中及び66%w/w NMP中溶液を、53℃でサーモスタット調温し、2つの同心開口を備えた紡糸口金の外側リングスリット、即ち外側開口は2,500μmの外径及び1,600μmの内径を有し;内側開口は1,400μmの直径を有する外側リングスリットを通して、水が入っている凝固浴に押し出した。40%w/wの水及び60%w/wのNMPを含有する溶液を、中心流体として使用し、紡糸口金の内側開口を通して押し出した。紡糸口金の温度は55℃であり;凝固浴の温度は90℃であり、空隙は52.5cmであった。繊維を9.5m/分の速度で紡糸した。
【0120】
繊維を引き続き脱塩水で洗浄し、一定の流れの乾燥空気中で、50℃で150分間乾燥した。得られた繊維は、3,211μmの内径及び244μmの壁厚を有していた。繊維の一部を、121℃の水蒸気で21分間滅菌した。
【0121】
小型モジュールを上述のように準備し、繊維の水力学的透過率及び破裂圧力を、上述のように試験した。
【0122】
非滅菌繊維を含む小型モジュールは、204×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールは、2,786×10-4cm3/(cm2・bar・秒)のLpを示した。
【0123】
破裂圧力は、水蒸気滅菌された繊維に関して2.9bar(g)であることが決定された。
【0124】
水蒸気滅菌された繊維を含む小型モジュールに関する細菌LRVは、8.3であることが決定された。