(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ヘッドアップディスプレイシステム
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20220530BHJP
G02F 1/15 20190101ALI20220530BHJP
B60K 35/00 20060101ALI20220530BHJP
【FI】
G02B27/01
G02F1/15 506
B60K35/00 A
(21)【出願番号】P 2020176506
(22)【出願日】2020-10-21
(62)【分割の表示】P 2018527831の分割
【原出願日】2016-06-24
【審査請求日】2020-11-20
(32)【優先日】2015-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500115826
【氏名又は名称】ジェンテックス コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100107537
【氏名又は名称】磯貝 克臣
(72)【発明者】
【氏名】カメンガ デイヴィッド ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】トナー ウィリアム エル
(72)【発明者】
【氏名】ポル デイヴィッド エル
【審査官】堀部 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-249061(JP,A)
【文献】国際公開第2007/011047(WO,A1)
【文献】特開2009-031537(JP,A)
【文献】国際公開第2014/061138(WO,A1)
【文献】特開2014-010321(JP,A)
【文献】特表2010-521347(JP,A)
【文献】特開2015-118271(JP,A)
【文献】特開2014-069703(JP,A)
【文献】国際公開第2013/190959(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0101253(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 27/01 - 27/02
B60K 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のヘッドアップディスプレイシステムであって、
第1の表面と第2の表面とを画定する第1の実質的に透明な基板、
第3の表面と第4の表面とを画定する第2の実質的に透明な基板、
第5の表面と第6の表面とを画定する第3の実質的に透明な基板であって、前記第1の実質的に透明な基板を当該第3の実質的に透明な基板と前記第2の実質的に透明な基板との間に位置させている、第3の実質的に透明な基板、
前記第1の
実質的に透明な基板の前記第2の表面と前記第2の
実質的に透明な基板の前記第3の表面との間に配置された1次シールであって、当該1次シール及び前記第1の
実質的に透明な基板と前記第2の
実質的に透明な基板とがその間に空洞を画定する、1次シール、
前記空洞内に位置して異なる透過率レベルで動作可能な電気光学材料、並びに、
前記第1の表面と前記第6の表面との間に位置する反射偏光子、
を含むコンバイナ画面と、
前記第3の
実質的に透明な基板の前記第5の表面に向けられる第1の偏光を有する光を投射するプロジェクタと、
を備え、
前記電気光学材料は、エレクトロクロミックであり、
前記コンバイナ画面は、10.5%以下のローエンド透過率を有する
ことを特徴とするヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項2】
前記反射偏光子が、ワイヤグリッド偏光子を含み、かつ前記第1の
実質的に透明な基板の前記第1の表面上に位置する、請求項1に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項3】
前記反射偏光子が、前記電気光学材料に電気接続されている、請求項2に記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項4】
前記反射偏光子が、第2の偏光された光を透過させ、第1の偏光を有する光を反射するよう構成されている、請求項1~3のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項5】
前記反射偏光子が、二重輝度向上フィルムを含む、請求項1~4のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項6】
前記第1の
実質的に透明な基板が球面曲率を有する、請求項1~5のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項7】
前記コンバイナ画面が、前記プロジェクタからの光に対して50%より大きい反射率を有する、請求項1~6のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイシステム。
【請求項8】
ヘッドアップディスプレイ用のコンバイナ画面であって、
第1の表面と第2の表面とを画定する第1の実質的に透明な基板、
第3の表面と第4の表面とを画定する第2の実質的に透明な基板、
第5の表面と第6の表面とを画定する第3の実質的に透明な基板であって、前記第1の実質的に透明な基板を当該第3の実質的に透明な基板と前記第2の実質的に透明な基板との間に位置させている、第3の実質的に透明な基板、
前記第2の表面と前記第3の表面との間に位置する電気光学材料、及び、
前記第1の表面と前記第6の表面との間に位置する反射偏光子、
前記第2の表面及び前記第3の表面の少なくとも一方上に位置する導電層と、
を備え、
前記第2の実質的に透明な基板及び前記第3の実質的に透明な基板は、
前記第1の実質的に透明な基板から離間した状態で位置しており、
前記電気光学材料は、エレクトロクロミックである
ことを特徴とするコンバイナ画面。
【請求項9】
前記反射偏光子が導電性である、請求項8に記載のコンバイナ画面。
【請求項10】
前記反射偏光子がワイヤグリッド偏光子である、請求項8または9のいずれかに記載のコンバイナ画面。
【請求項11】
前記反射偏光子が、垂直偏光された光を反射するよう構成されている、請求項8~10のいずれかに記載のコンバイナ画面。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は概してヘッドアップディスプレイに関し、より具体的には、半透過層を有するヘッドアップディスプレイに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
車両用のヘッドアップディスプレイは、表示装置を透過した周囲光にオーバーレイされた情報を提供する場合がある。一部の状況においては、表示装置の表面からの反射は、望ましくない二重像を生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本開示の少なくとも1つの態様によると、車両用のヘッドアップディスプレイシステムは、第1の表面および第2の表面を画定する第1の実質的に透明な基板と、第3の表面および第4の表面を画定する第2の実質的に透明な基板と、を有するコンバイナ画面を含む。第1の基板と第2の基板との間に1次シールが配置される。当該シールおよび第1の基板と第2の基板とは、その間に空洞を画定する。電気光学材料が、当該空洞内に位置し、反射偏光子が第1の表面と第2の表面との一方の上に位置する。プロジェクタが、第1の基板の第1の表面に向けられる第一の偏光を有する光を投射する。
【0004】
本開示の別の態様によると、ヘッドアップディスプレイ用のコンバイナ画面は、離間した構成で位置する少なくとも2つの実質的に透明な基板を含む。電気光学材料が、少なくとも2つの実質的に透明な基板の間に位置する。反射偏光子が、電気光学材料と基板の少なくとも1つとの間に位置する。コンバイナ画面は、導電層を含む。反射偏光子および導電層は、電気光学材料の対向側に位置する。
【0005】
本開示の別の態様によると、車両用のヘッドアップディスプレイシステムは、第一の偏光の光を投射するためのプロジェクタとコンバイナ画面とを含む。コンバイナ画面は、第1の表面と第2の表面とを画定する実質的に透明な基板を含む。当該基板は少なくとも1つの軸に沿って湾曲している。反射偏光子が、実質的に透明な基板の第2の表面上に位置する。コンバイナ画面は、約40%より大きい第一の光の偏光の反射率を有する。
【0006】
本発明のこれらの及び他の特徴、利点及び目的は、以下の明細書、特許請求の範囲及び添付の図面を参照することにより、当業者によって更に理解されかつ認識される。
【0007】
図面において:
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、一実施例によるヘッドアップディスプレイシステムの正面図である。
【0009】
【
図1B】
図1Bは、別の実施例によるヘッドアップディスプレイシステムの正面図である。
【0010】
【
図2A】
図2Aは、一実施例による、
図1Aの線IIAにおけるコンバイナ画面の断面図である。
【0011】
【
図2B】
図2Bは、一実施例による、
図1Aの線IIBにおけるコンバイナ画面の断面図である。
【0012】
【
図2C】
図2Cは、一実施例による、
図1Aの線IICにおけるコンバイナ画面の断面図である。
【0013】
【
図3A】
図3Aは、別の実施例による、
図1Aの線IIIAにおけるコンバイナ画面の断面図である。
【0014】
【
図3B】
図3Bは、別の実施例による、
図1Aの線IIIBにおけるコンバイナ画面の断面図である。
【0015】
【
図4A】
図4Aは、一実施例によるヘッドアップディスプレイシステムの概略図である。
【0016】
【
図4B】
図4Bは、別の実施例によるヘッドアップディスプレイシステムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の追加の特徴および利点は、以下の詳細な記述において説明され、この記述から当業者に明らかとなる、あるいは、特許請求の範囲および添付図面と共に以下の記述で記載されるように本発明を実行することで認識される。
【0018】
本明細書で用いられる、2つ以上のアイテムの列挙で用いられる場合の"および/または"という用語は、列挙されるアイテムのいずれか1つがそれだけで用いられ得る、あるいは、列挙されるアイテムのうち2つ以上のアイテムのあらゆる組合せが用いられ得ることを意味する。例えば、ある組成物が成分A、Bおよび/またはCを含有するとして記載される場合、当該組成物は、Aを単独で;Bを単独で;Cを単独で;AおよびBを組合せて;AおよびCを組合せて;BおよびCを組合せて;または、A、BおよびCを組合せて含有しうる。
【0019】
本文書において、第1及び第2とか、上及び下などといった関係を示す用語は、一つの実体または動作を別の実体または動作から区別するために使用され、かかる実体または動作間の何らかの実際のかかる関係または順序を必ずしも要求ないし暗示するものではない。「備える/含む(comprises、comprising)」という用語、またはそれらの任意の他の変形は、要素の一覧を備える/含むプロセス、方法、物品、または装置が、それらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないか、あるいは、かかるプロセス、方法、物品、もしくは装置にとって本質的でない他の要素をも含み得るように、非排他的な包含を網羅することが意図されたものである。「・・・を備える」に前置される要素は、更なる制約が無ければ、その要素を含むプロセス、方法、物品、または装置の追加的な同一要素の存在を排除しない。
【0020】
図1A乃至
図2Aに関して、参照符号10は、車両14のヘッドアップディスプレイシステム全体を示す。ヘッドアップディスプレイ10は、コンバイナ画面18を含み得る。コンバイナ画面18は、第1の表面22Aと第2の表面22Bを画定する第1の実質的に透明な基板22を含み得る。第2の実質的に透明な基板26は、第3の表面26Aと第4の表面26Bを画定する。1次シール34が、第1の基板22と第2の基板26との間に配置される。シール34および第1の基板22と第2の基板26は、離間した構成(形態)で位置して、その間に空洞38を画定する。電気光学材料42が、空洞38内に位置する。半透過層46が、第1の表面22A上に位置する。プロジェクタ50が、第1の基板22の第1の表面22Aに向けて光を投射する。プロジェクタ50からの光は、偏光されていなくとも偏光されていてもよい。プロジェクタ50から放射された偏光された光は、水平または垂直偏光角(例えば、第1または第2の光の偏光)、45°偏光角またはその間の変量の角度偏光を有し得る。
【0021】
図1Aおよび
図1Bに関して、ヘッドアップディスプレイシステム10は、車両14内に示される。車両14内が示されるが、ヘッドアップディスプレイシステム10は、航空宇宙産業用途、窓用途、透明性用途、拡張現実用途、およびその他の、ビューアが情報(例えば、車両関連機能、または、警報、注意または車両診断などの運転者支援システム)とコンバイナ画面18の後方にある物との両方を見ることを望む用途において、等しく用いられ得ることが理解される。一例として、
図1Aおよび
図1Bにおいて、車両14の速度が速度計の画像を用いてコンバイナ画面18上に表示されている。ヘッドアップディスプレイは、多くの自動車および航空宇宙産業用途に用いられて、運転者またはパイロットに情報を提示すると共に、同時の前方視覚を可能にする。車両14内の図示する実施例において、コンバイナ画面18は、計器パネル62および/またはクラスタフード66(
図1A)から延在しても、車両14のフロントガラス70上に直接位置しても、または車両14のフロントガラス70の一部として組み込まれてもよい(
図1B)。コンバイナ画面18が計器パネル62および/またはクラスタフード66から延在する実施例では、コンバイナ画面18は独立型の構成要素であり得る。こうした実施例は、フロントガラス70とは異なる形状(例えば、曲率)をコンバイナ画面18に付与するのに有利であり得る。コンバイナ画面18がフロントガラス70の上または内部に位置付けられる実施例では、コンバイナ画面18はフロントガラス70と1つ以上の基板(例えば、第1の基板22または第2の基板26)を共有してもよい。こうした実施例は、ヘッドアップディスプレイシステム10と車両14の複雑さ、重量および製造コストを低減するのに有利であり得る。
【0022】
プロジェクタ50は、コンバイナ画面18に近接して位置し、以下により詳細に説明されるように、光をコンバイナ画面18上に投射して、意図されているビューア(例えば、車両14の運転者または乗員)に向けて反射される画像を形成する。プロジェクタ50は、車両14のクラスタフード66に近接して位置付けられても、ルーフ74に位置付けられてもよい。プロジェクタ50は、特定の液晶表示(LCD)、レーザダイオードおよび有機発光ダイオード(OLED)を含むがこれらに限定されない、偏光されていないまたは偏光された光を生成可能な光エンジンである。プロジェクタ50の偏光された光の実施例では、放射された偏光された光は、水平または垂直あるいはその間の変量の偏光角度を有し得る。一部の例では、プロジェクタ50からの偏光された光は、円偏光されてもよい。例えば、光の円偏光は、プロジェクタ50からの直線偏光された光が1/4波長板を透過する場合に達成され得る。ヘッドアップディスプレイシステム10のコンバイナ画面18は、以下により詳細に説明されるように、結果としての反射像がコンバイナ画面18の前方と車両14の前方に「現れる」ように成形される。この特徴を達成するために必要なコンバイナ画面18の正確な表面輪郭は、プロジェクタ50のプロパティ、コンバイナ画面18の位置、プロジェクタ50の位置、およびビューア(例えば、情報の表示が企図される運転者および/または搭乗者)の位置の関数である。車両14の前方に画像を投射することにより、ビューアは、ビューアの目の焦点距離を変更することなく所望の情報を取得することができる。車両14内に位置付けられる従来の表示装置では、ビューアの目はしばしばより短い視距離に再び焦点を合わせなければならず、道路を視る時間が少なくなる。さらに、ビューアの目は前方の道路にも再び焦点を合わせなければならず、このことは道路および前方の状態を視る時間をさらに少なくする。また、コンバイナ画面18の形状は、投射された画像の基本的な特徴を維持するように(つまり、直線は直線のまま、画像の縦横比は維持する等)選択されなければならない。
【0023】
車両14の運転者側を図示するが、ヘッドアップディスプレイシステム10またはその構成要素(例えば、コンバイナ画面18および/またはプロジェクタ50)は、本明細書に提供する教示から逸脱することなく、車両14の助手席側、またはフロントガラス70の上部、に位置してもよいことが理解される。一実施例によると、コンバイナ画面18は、フロントガラス70の上、または近接位置、上部に位置してもよい。以下により詳細に説明されるように、コンバイナ画面18は、異なる透過率レベルで動作して、種々の機能に影響を及ぼし得る。例えば、車両14の前方の周囲光レベルが比較的高い場合には、コンバイナ画面18を暗い状態で動作させて、そこから反射される情報の可視性を高めてもよい。別の例では、コンバイナ画面18は暗い状態で動作して、ビューアの目を日光の入射から遮光するサンバイザーとして機能してもよい。このように、コンバイナ画面18の透過率レベルは、表示機能とは独立して調整され得る。すなわち、コンバイナ画面18の透過率レベルは、情報が表示されているか否か、またはプロジェクタ50が光を放射しているか否か、に関わらず調整可能である。一部の例では、1より多いコンバイナ画面18を有することが望ましい場合がある。例えば、第1のコンバイナ画面18が、運転者側に位置して、運転者に情報(例えば、車両関連情報)を表示する、および/またはサンバイザーとして機能してもよい。第2のコンバイナ画面18が、助手席側に位置して、同乗者に情報(例えば、車両関連情報および/または映画やゲームなどのメディア)を表示する、および/またはサンバイザーとして機能してもよい。本明細書に記載のコンバイナ画面18の種々の機能は、自動でおよび/または手動で制御され得るよう企図される。例えば、コンバイナ画面18は、車両光センサ(例えば、フロントガラス70に近接するまたはバックミラーアセンブリ内の)によって感知された周囲光レベルに応答して暗化されてもよい。種々の実施例によると、コンバイナ画面18は、透明な状態において故障する(つまり、なおも周囲光がコンバイナ画面18を透過し得る)よう構成されてもよい。
【0024】
次に
図2Aを参照すると、図示の実施例で、コンバイナ画面18は第1の基板22と第2の基板26を含む。第1の基板22は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)などの実質的に透明な材料、高分子材料(例えば、アクリルおよび/またはポリカーボネート)、またはその組み合わせ、からなってもよい。第1の基板22の厚みは、約2.2mm、2.0mm、1.5mm、1.2mmより小さく、または約1.0mmより小さくし得る。第1の基板22は、四角形、長方形、円形、楕円形およびその組み合わせを含む種々の形状をとり得る。第1の基板22の長さおよび/または幅の寸法は、約10mm、20mm、50mm、75mm、85mm、100mm、150mm、175mm、200mm、250mm、300mmまたは500mmより大きくし得る。種々の実施例によると、第1の基板22は、当該基板22の長さまたは幅(つまり、縦軸または横軸)にわたる曲率を有してもよい。例えば、第1の基板22の曲率半径(つまり、第一の表面22Aの曲率の理論上の中心点から測定される)は、約2000mm、1500mm、1300mm、1250mm、1200mm、1100mm、1000mm、900mm、800mm、700mm、600mm、500mm、400mm、300mm、200mmより小さくまたは約100mmより小さくし得る。具体的な実施例では、第1の基板22の第1の表面22Aは、約500mmとし得る。球面曲率の第1の基板22の実施例では、第1の表面22Aの縦方向および横方向の曲率半径をほぼ等しくし得る(例えば、約500mm)。さらに別の実施例では、第1の基板22は「自由形式」の形状を有するよう湾曲し得る(例えば、縦および/または横方向に沿って曲率が変化し得る)。第1の基板22の曲率は、第1の基板22をビューアに対して実質的に凸状または凹状とし得る。第1の基板22は複数の別個の構成要素から互いに「ステッチ」されてより大きな第1の基板22を形成してもよいことが理解される。ステッチされる第1の基板22の実施例の別個の構成要素の寸法、厚みおよび/または曲率は、当該別個の構成要素間で等しくても違ってもよい。
【0025】
図示の実施例で、第1の基板22は電気光学素子78の一部である。電気光学素子78は、第1の基板22、第2の基板26、1次シール34および電気光学材料42を含む。第2の基板26は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)などの実質的に透明な材料、高分子材料(例えば、アクリル)、またはその組み合わせ、からなってもよい。第2の基板26は、第1の基板22と同一または異なる寸法、厚みおよび/または曲率半径を有し得ることが理解される。さらに、第2の基板26は、第1の基板22に関して記載したのと同様の方法で互いに「ステッチ」されてもよいことが理解される。具体的な実施例で、第2の基板26は、約1.6mmの厚みとし得る。第2の基板26は、第1の基板22のそれと同様に、その長さおよび幅に沿った曲率を有し得る。具体的な実施例で、第2の基板26は、約1250mmの球面曲率半径を有してもよい。第1の基板22および第2の基板26の縁部は、通常丸みを付けられてもよい。丸み付き縁部の曲率半径は、約2.5mmより大きくし得る。
【0026】
2つの剛体基板(例えば、第1の基板22と第2の基板26)を積層する場合、最終の積層における応力を最小化することが重要である。例えば、厚み3mmの2片のベントガラスがあり、各片の曲率が良好に合致しない場合、当該2片を平行に保持するのに必要な力は大きく、特に自動車用途や航空宇宙産業用途において見受けられることが多い昇温状態では時間の経過によって積層が剥がれる場合がある。この応力問題に対する解決法の1つは、確実に基板の曲率を非常に正確に合致させることである。具体的な実施例で、第1の基板22と第2の基板26、および以下に記載する全ての中間層は、昇温状態において共に湾曲または曲げられて合致するペアを形成し得て、これによって第1の基板22と第2の基板26の間に高い曲率一致があるようにされ得る。
【0027】
図示の実施形態で、それぞれ第1の基板22および第2の基板26の第2の表面22Bおよび第3の表面26A上に位置するのは、導電層86である。導電層86には、透明金属酸化物(例えば、酸化インジウムスズ、F:SnO2、ZnO、IZO)カーボン(グラフェンおよび/またはグラファイト)および/または導電金属メッシュ(例えば、ナノワイヤ)などの透明導電体が含まれ得る。酸化インジウムスズの実施例では、導電層86のシート抵抗は、約12ohm/sqとし得る。
【0028】
第1の基板22および第2の基板26は、平行関係に位置され、1次シール34を用いて外周の周りをシールされてもよい。シール34は、第2の表面22Bおよび第3の表面26Aの周りに延在して電気光学材料42を第1の基板22と第2の基板26の間に閉じ込める。第1の基板と第2の基板との間にシールを形成することに関する追加の情報は、「METHOD OF FORMING OPTICALLY TRANSPARENT SEAL AND SEAL FORMED BY SAID METHOD」と題された米国特許第5,790,298号に見出すことができ、その全体が当該引用によって本明細書に組み込まれる。
【0029】
一実施例によると、電気光学素子78は、液晶媒体(例えば、電気光学材料42)を含み、コンバイナ画面18を透過する光を減衰させる(つまり、コンバイナ画面18の光透過を減少させる)よう構成された、液晶装置とし得る。別の実施例では、電気光学素子78は、浮遊粒子装置とし得る。さらに別の実施例では、電気光学素子78は、エレクトロクロミック素子とし得る。このような実施例では、電気光学素子78の電気光学材料42は、少なくとも1つの溶媒と、少なくとも1種類の陽極材料と、少なくとも1種類の陰極材料と、を含むエレクトロクロミック媒体である。通常、陽極材料および陰極材料は、両方とも電気活性材料であり、また、それらの少なくとも1つはエレクトロクロミックである。その通常の意味にかかわらず、用語「電気活性(electroActive)」は、本明細書では、特定の電位差に曝されたときにその酸化状態が変化する材料を意味し得ることが理解される。さらに、「エレクトロクロミック」という用語は、その通常の意味にかかわらず、特定の電位差に曝されたときに1つまたは複数の波長でその消光係数に変化を示す材料を意味し得ることが理解されよう。本明細書に記載のエレクトロクロミック成分は、電流が当該材料に加えられると色または不透明度が第1相から第2相に変化するように、色または不透明度が電流によって影響を受ける材料を含む。エレクトロクロミック成分は、単層、単相成分、多層成分、または多相成分であり得、「Electrochromic Layer And Devices Comprising Same」と題する米国特許第5,928,572号、「Electrochromic Compounds」と題する米国特許第5,998,617号、「Electrochromic Medium Capable Of Producing A Preselected Color」と題する米国特許第6,020,987号、「Electrochromic Compounds」と題する米国特許第6,037,471号、「Electrochromic Media For Producing A Pre-selected Color」と題する米国特許第6,141,137号、「Electrochromic System」と題する米国特許第6,241,916号、「Near Infrared-Absorbing Electrochromic Compounds And Devices Comprising Same,」と題する米国特許第6,193,912号、「Coupled Electrochromic Compounds With Photostable Dication Oxidation States」と題する米国特許第6,249,369号、そして「Electrochromic Media With Concentration Enhanced Stability, Process For The Preparation Thereof and Use In Electrochromic Devices」と題する米国特許第6,137,620号、「Electrochromic Device」と題する米国特許出願公開第2002/0015214号、そして「Electrochromic Polymeric Solid Films, Manufacturing Electrochromic Devices Using Such Solid Films, And Processes For Making Such Solid Films And Devices」と題する国際特許出願PCT/US98/05570号、「Electrochromic Polymer System」と題する国際特許出願PCT/EP98/03862号、および「Electrochromic Polymeric Solid Films, Manufacturing Electrochromic Devices Using Such Solid Films, And Processes For Making Such Solid Films And Devices」と題する国際特許出願PCT/US98/05570号、に記載され、それらのすべては当該参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。種々の実施例によると、電気光学素子78は、故障した場合になおもコンバイナ画面18が使用可能となるように透明な状態となるよう構成され得る。エレクトロクロミックの電気光学素子78の実施例の使用は、エレクトロクロミックが非常に広域なグレースケールを有し得るために、有利となり得る。さらに、エレクトロクロミックのグレースケールを角度非依存にして、運転者がコンバイナ画面18に対する運転者の視点を移動させたときに電気光学素子78の知覚された暗化が変化しないようにしてもよい。
【0030】
次に
図2Aおよび2Bを参照すると、コンバイナ画面18は1つ以上の半透過層46を含んでもよい。半透過層46は、入射光の一部を透過し、入射光の一部を反射し得る層である。種々の実施例によると、半透過層46は、任意の偏光角の光の割合を反射するよう構成され得る、または特定の偏光角のみの光を反射するよう構成され得る。半透過層46は、プロジェクタ50からの1次画像を反射する(
図1A)と同時に周囲光がコンバイナ画面18を透過するよう構成される。図示する実施例で、半透過層46は、第1の基板22の第1の表面22A上(
図2A)、および/または第1の基板22の第2の表面22B上に位置し得る。あるいは、半透過層46は、本明細書に提供する教示から逸脱することなく、第3の表面26Aや第4の表面26B上に位置し得ることが理解される。半透過層46および導電層86(例えば、第3の表面26A上の)は、電気光学材料42の対向側に位置する。
【0031】
種々の実施例によると、半透過層46は、1つ以上の反射偏光子を含み得る。こうした反射偏光子には、フィルムが含まれ得る。半透過層46としての反射偏光子の使用は、ヘッドアップディスプレイシステム10の効率を増大させ得る。例えば、50%反射の非偏光感応性のリフレクタは、偏光された光の50%を反射して残りを透過する。これに対して、反射偏光子は、その反射軸がプロジェクタ50によって出力される光の偏光角に平行となるように配向される場合、偏光された光の約100%が反射され、周囲光の約50%が透過される(例えば、周囲光のランダムな偏光角のために)。反射偏光子には、ワイヤグリッド偏光子、または二重輝度向上フィルム(DBEF)偏光子などの多層プラスチックフィルム、が含まれ得る
【0032】
DBEFフィルム反射偏光子を組み込む半透過層46の実施例では、反射偏光子は湾曲した実施例の第1および/または第2の基板22、26に直接積層され得る。平坦な剛体基板へのフィルムの積層は当該技術において公知であるが、反射偏光子、特にDBEFフィルムの実施例の反射偏光子を湾曲した基板へ積層することが、優れた半透過層46を生成し得ることが発見された。さらには、驚くべきことに、そして予期せずに、DBEFフィルムを2次元(例えば、球面曲面)に湾曲した基板にうまく積層し得ることを発見した。DBEFフィルムの実施例の半透過層46は、縦および/または横方向に約500mm、600mm、700mm、800mm、900mm、1000mm、1100mm、1200mm、1230mm、1300mm、1400mm、または約1500mm以上の曲率半径を有する基板(例えば、第1の基板22および/または第2の基板26)に積層され得る。積層された実施例のDBEFフィルムの周囲光の反射率は、約5%、10%、20%、30%、40%。45%、49%、50%より大きく、または約51%より大きくし得る。積層された実施例のDBEFフィルムの周囲光の透過率は、約5%、10%、20%、30%、40%。45%、49%、50%より大きく、または約51%より大きくし得る。さらに、積層された実施例のDBEFフィルムの、反射偏光子の反射偏光角と実質的に等しい偏光角を有する光の反射率は、約30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、91%、95%、または99%より大きくし得る。具体的な実施例によると、DBEFフィルムは、球面半径500mmおよびサイズ175mm×85mmの2片のソーダ石灰ガラスの間に位置しかつ積層される。積層された実施例の反射率は約51%であり、透過率は約46%である。交差した吸収型直線偏光子で測定した場合、透過率は約1.5%まで落ちる。平坦なガラス基板を有する類似の構成は、同一の結果を生じ、この構成において、曲がった基板に積層する結果として反射偏光子プロパティが変化しないことを実証する。
【0033】
次に
図2Bを参照すると、ヘッドアップディスプレイ10のコンバイナ画面18の代替例が示される。図示する実施例で、半透過層46は、電気光学素子78内で第1の基板26の第2の表面22B上に位置する。こうした実施例では、半透過層46は、ワイヤグリッド偏光子を含み得る。半透過層46は、本明細書に提供する教示から逸脱することなく、第3の表面26A上に塗布されてもよい。図示する実施例で、半透過層46は、電気光学素子78の電気光学材料42に電力を提供する導電層86の1つとして機能する。換言すると、ワイヤグリッド偏光子の実施例の半透過層は、電気光学材料42に電気接続される。
【0034】
図示する構成において(つまり、電気光学素子78内に)半透過層46としてワイヤグリッド偏光子を使用することは、いくつかの利点を提供し得る。ワイヤグリッドが導電性である場合、これを電気光学装置78の導電層86の1つとして使用して、ワイヤグリッド偏光子が半透過層46と電極との両方として機能するようしてもよい。この半透過層46の実施例を他のコーティングと組み合わせて導電性を向上させ、電極としてより良好に機能するようにしてもよい。ワイヤグリッド偏光子/導電層86を、プロジェクタ50の偏光角と整合して、1次画像の反射を最大としてもよい。
【0035】
次に
図2Aおよび2Bを参照すると、電気光学素子78を組み込むコンバイナ画面18の実施例に関して、コンバイナ画面18上に投射された画像は、あらゆる状態においても見えるだけ十分に明るくなければならない。このことは、特に車両14の外側の照明が明るいときに問題となる。コンバイナ画面18からの反射光とコンバイナ画面18後方の照明との間のコントラストは、晴天では低くなる場合がある。明るく、より強い照明源(例えば、プロジェクタ50)は、コントラストを改善し、コンバイナ画面18の反射像の輝度を増大させるが、最も経済的な解決法とは言えず、また、非常に明るい日中の条件下で適切なコントラストを提供するのに十分に明るい反射像は別の条件下では明るすぎる場合がある。制御を用いて輝度の変動に対処し得るが、コンバイナ画面18の特定の背景は、車両14が移動するとき、および運転者の目の位置に部分的に応じて、常に変化する。したがって、上記の通り、電気光学素子78は、コンバイナ画面18の透過率を下げてコンバイナ画面18の背景に対する反射像のコントラストを増大させるように構成され得る。
【0036】
以上で説明したように、暗くされていない状態での透過率の上昇または低下、最適なコントラスト比に対する異なる反射率値、および/または、用途に応じたより広範な透過率レベルの動的範囲、のニーズが存在し得る。コンバイナ画面18の反射率および透過率プロパティの初期および範囲は、プロジェクタ50の能力およびその光出力能力と共にフロントガラス70(
図1A)の光透過率レベルによって、さらに複雑となる。フロントガラス70は、コンバイナ画面18のコントラスト比および可視性に直接影響し得る。フロントガラス70の透過率レベルに影響を及ぼすいくつかのファクタがある。フロントガラス70の最小の光透過率は、車両14が販売される地域の規制に基づくが、車両14がどのように装備されて市販されるかに基づいてより高い透過率レベルが存在し得る。この範囲のファクタは、異なる車両および環境条件に適合し得る解決法に対するニーズを生み出す。したがって、電気光学素子78は、制御回路からの入力に基づいてコンバイナ画面18を透過する光の量を変動させるよう制御され得る。例えば、日中の条件下では、コンバイナ画面18は暗くされてコントラスト比を向上させ、コンバイナ画面18からの反射像の可視性を向上可能とし得る。
【0037】
電気光学素子78は、約25%のクリアな状態の反射率および約24%の透過率を有し得る。電気光学素子78は、約10.5%のローエンド透過率と約15%のローエンド反射率を有し得る。あるいは、別の実施例では、ハイエンド透過率は約45%、さらには約60%より大きくし得る。装置の特徴を、ローエンド透過率が約7.5%より小さく、さらには約5%よりも小さくなるように変更してもよい。一部の実施例では、透過率レベルは約2.5%以下まで下げることも可能である。ハイエンド透過率の増大は、以上で説明する通り、吸光性の低いコーティングおよび材料の使用により得られ得る。ローエンド透過率の低下は、吸光性の高い材料の含有を通して得られ得る。広域な動的範囲を所望する場合には、吸光生の低い材料を、活性状態において高い吸光を達成する電気光学材料42及びセル間隔と組み合わせて使用し得る。当業者は、特定の装置特徴を達成するために選択可能な、コーティングと電気光学材料42、セル間隔とコーティング導電性レベル、の多数の組み合わせが存在することを認識する。
【0038】
次に
図2Cを参照すると、図示の実施例で、コンバイナ画面18は第3の基板30を含む。第3の基板30は、第5の表面30Aと第6の表面30Bを画定し得る。第3の基板30は、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)などの実質的に透明な材料、高分子材料(例えば、アクリル)、またはその組み合わせ、からなってもよい。第3の基板30の厚みは、約2.2mm、2.0mm、1.5mm、1.2mm、1.0mm、0.8mm、0.6mmより小さく、または約0.5mmより小さくし得る。第3の基板30は、四角形、長方形、円形、楕円形およびその組み合わせを含む種々の形状をとり得る。第3の基板30の長さおよび/または幅の寸法は、約10mm、20mm、50mm、75mm、85mm、100mm、150mm、175mm、200mm、250mm、300mmまたは500mmより大きくし得る。種々の実施例によると、第3の基板30は、基板30の長さまたは幅(つまり、縦軸または横軸)にわたる曲率を有し得る。例えば、第3の基板30の曲率半径(第5の表面30Aの曲率の理論上の中心点から測定される)は、約1300mm、1200mm、1100mm、1000mm、900mm、800mm、700mm、600mm、500mm、400mm、300mm、200mmより小さくまたは約100mmより小さくし得る。具体的な実施例では、第3の基板30の第5の表面30Aは、約500mmとし得る。第3の基板30の球面曲率の実施例において、第5の表面30Aの縦方向および横方向の曲率半径は、ほぼ等しくし得る(例えば、約500mm)。さらに別の実施例では、第3の基板30は「自由形式」の形状を有するよう湾曲し得る(例えば、縦および/または横方向に沿って曲率が変化し得る)。第3の基板30の曲率は、第3の基板30をビューアに対して実質的に凸状または凹状とし得る。第3の基板30は複数の別個の構成要素から互いに「ステッチ」されてより大きな第3の基板30を形成してもよいことが理解される。ステッチされる実施例の第3の基板30の別個の構成要素の寸法、厚みおよびまたは湾曲は、当該別個の構成要素間で等しくても違ってもよいことが理解される。
【0039】
具体的な実施例で、第1の基板22と第3の基板30、および全ての中間層(例えば、半透過層46)は、昇温において共に湾曲または曲げられて一致するペアを形成し、これによって第1の基板22と第3の基板30の間に高い曲率一致があるようにしてもよい。応力を低減する別のアプローチは、基板のうちの1つ(例えば、第3の基板30)を薄くすることである。曲率が良好に合致しない場合でも、薄い基板は大きく低減された強度を有し得る。したがって、全体的な応力が低減され得る。基板の強度は厚みの3乗に関連するため、厚みの低減は、強度に大きく影響し、したがって基板および任意の中間層の応力に大きく影響する。さらに、薄い第3の基板30は、以下により詳述するように、反射性の理由から有利となり得る。図示する実施例で、コンバイナ画面18はビューアに対して第3の基板30の後方に位置する半透過層46を含む。こうした実施例では、薄い実施例の第3の基板30を使用することは有利となり得る。プロジェクタ50(
図1A)が半透過層46と整合される場合には、本質的に2つの反射がある。第1の反射は半透過層46からの1次反射である。第2の反射は第3の基板30の第5の表面30Aからの反射である。第5の表面30Aからの反射は、反射防止コーティングが添加されない限り、ガラスの実施例の第3の基板30の4%強である。最良の反射像では、反射像の強度に関係なく、1次反射と2次反射の間のオフセットをできる限り小さくすることが有益であり得る。薄い第3の基板30は、2つの画像間のオフセットを低減する。反射防止コーティングが第3の基板30の第5の表面30Aに添加される場合、第5の表面30Aからの反射は約0.5%より小さく、または約0.3%より小さく、または約0.2%より小さくなり得る。第3の基板30の使用は、これが半透過層46に対する保護(例えば、自動車環境において存在し得る引っ掻き、汚れ、水、埃等からの)を提供し得る点において有利であり得る。さらに、薄い第3の基板30の実施例と第6の表面30Bと第1の表面22Aの間の半透過層46の位置は、コンバイナ画面18内の反射防止層の低減または除去を可能にする。
【0040】
次に
図3Aおよび3Bを参照すると、電気光学素子78を含まないコンバイナ画面18の実施例が示される。
図3Aを参照すると、コンバイナ画面18は単一の基板(例えば、第1の基板22)から形成され得る。図示する実施例で、半透過層46は、第1の基板22の第1の表面22A上に位置する。図示する実施例で、第1の基板22は、
図2Aおよび2Bに関連して開示するコンバイナ画面18の実施例に関連して記載するように湾曲している。半透過層46が環境に露出しているため(つまり、基板によって被覆または保護されていない)、環境的露出から保護するために随意の保護層を半透過層46上に配置してもよい。コンバイナ画面18が第1の基板22の第1の表面22A上に半透過層46を含むこうした実施例は、基板が半透過層46とビューアとの間に存在するために存在し得る二重反射を除去し得る点において有利となり得る。実際には第1の表面22Aからの反射率は、半透過層46からの反射と比較した場合に、著しい二重像を生じない(例えば、第1の表面22Aからの反射率は約4%以下となり得る)ことが理解される。第1の表面22Aと第2の表面22Bは本質的に平行とし得るため、2つの画像のオフセットは通常小さく、そのため第1の表面からの4%の反射率は不都合な二重像を生じない。薄い第1の基板22(例えば、第3の基板30に類似する)は、画像間のオフセットを低減し得る。1.6mmより小さい第1の基板22の厚みが好ましい。
【0041】
次に
図3Bを参照すると、半透過層46は、第1の基板22と第2の基板26の間に位置するものとして示される。こうした実施例では、コンバイナ画面18は半透過層46の縁部を隠すための1つ以上の隠蔽構造体を含み得る。さらに、コンバイナ画面18は、第1の表面22A~第4の表面26Bまでの上に位置する1つ以上の反射防止コーティングを含み得る。
【0042】
次に
図4Aおよび
図4Bを参照すると、動作中の、偏光されたビューイングウィンドウ104(例えば、偏光サングラス)を有する(
図4B)および有しない(
図4A)よう図示される、ヘッドアップディスプレイ10の実施例が示されている。コンバイナ画面18の半透過層46からの1次画像の反射を最大化するためには、プロジェクタ50の偏光角を半透過層46の反射偏光角に整合させることが望ましい。いずれの偏光角を使用してもよいが、偏光角の選択にあたってはいくつかの考慮事項がある。1つのケース(
図4A)では、半透過層46の透過偏光角は、ほぼ垂直であり得、プロジェクタ50が水平角偏光を有する光を放射する間、反射偏光角は実質的に水平角において整合される。こうした構成は、グレア(例えば、表面から反射された水平偏光された光)が、プロジェクタ50からのほぼ全ての光を反射する間にコンバイナ画面18を透過することを防止し得るという点において有利となり得る。例えば、50%、60%、70%、80%、90%より大きい、または99%より大きいプロジェクタ50からの偏光された光がビューアに対して反射され得る。別のケース(
図4B)では、プロジェクタ50の偏光角がほぼ垂直となってコンバイナ画面18の半透過層46の反射偏光角もほぼ垂直となり得る。このケースでは、偏光サングラス(例えば、偏光ビューイングウィンドウ104または他の偏光ビューイングフィルタ)を着用している場合であっても、当該サングラスの透過偏光角も垂直であるために、プロジェクタ50から反射された1次画像を容易に見ることができ得る。こうした実施例では、コンバイナ画面18は、半透過層46を透過する水平偏光された光がサングラスによって遮断されるためにほぼ不透明に見え、ビューアは1次画像をなおも視ることができ得る。プロジェクタが水平偏光された光を放射する実施例では、偏光されたビューイングウィンドウ104の使用によってビューアが利用可能な反射像が除去され得るが、コンバイナ画面18は透明に見えるままとし得ることが理解される。さらに別のケースでは、プロジェクタ50から放射された光と半透過層46の反射偏光角は45度に配向され得る。こうした実施例は、プロジェクタ50からの光のいくらか、そしてコンバイナ画面18を透過する光のいくらかを、サングラスを着用するビューアが視ることを可能とし得る。有利となり得る別の構成は、プロジェクタ50からの円偏光された光と、反射円偏光の実施例の半透過層46の使用である。この構成では、プロジェクタ50は、第1の円偏光の光を放射し、半透過層46は第1の円偏光の光を反射して第2の円偏光の光を透過し得る。 サングラス(例えば、偏光されたビューイングウィンドウ104)は、典型的には直線偏光されるため、第1の円偏光のいくらかと第2の円偏光のいくらかは偏光サングラスを通してビューアへと透過され得る。この構成では、ビューアは、頭部の向きに関係なく、偏光サングラスを着用したまま、投射像と周囲背景画像の両方を見ることができ得る。
【0043】
本開示の使用により、いくつかの利点が提供され得る。第1に、反射偏光子の実施例の半透過層46の使用により、コンバイナ画面18の効率が増大し得る。反射偏光子は一方の偏光の光の反射と他方の光の透過の両方を行うため、プロジェクタ50からの光を高い割合で反射すると同時にコンバイナ画面18を透過する光の透過率を低減させることでコンバイナ画面18のコントラストを増大させることができる。第3に、上記の開示は、ヘッドアップディスプレイ用の光と費用対効果の高いコンバイナ画面18との生成を可能とする。電気光学素子78は、かならずしも本明細書で提供する実施例において必要とされるわけではないため、コンバイナ画面18は、湾曲した基板(例えば、第1の基板22または第2の基板26)上に半透過層46を形成するシンプルなものとし得る。第4に、本明細書で提供するヘッドアップディスプレイ10の実施例は、偏光サングラスおよび偏光ビューイングウィンドウ104を使用する場合でも機能し得る。第5に、コンバイナ画面18はビューアによって経験されるグレアを低減すると同時に、日除けとしても機能する。第6に、反射偏光子を半透過層46として利用する実施例では、ほとんどの表示光が通らないため、反射偏光子の後方の表面からの(例えば、プロジェクタ50に対して)プロジェクタ50からの光の大きな反射は存在しない。こうした実施例は、プロジェクタ50と反射偏光子との間以外の表面における反射防止コーティングの低減または除去を可能にするという点において有利となり得る。第7に、エレクトロクロミックの実施例の電気光学素子78の使用により、電気光学素子78が故障した場合であっても周囲光がコンバイナ画面18を透過し得る(つまり、コンバイナ画面18がなおも使用され得る)ように、クリアまたは透明な状態の電気光学素子78の故障モードが可能となり得る。さらに、エレクトロクロミックの実施例の電気光学素子78の使用により、角度非依存のコンバイナ画面18のグレースケールが可能となり得る。このため、コンバイナ画面18のビューイング視点のシフトは、コンバイナ画面18の周囲光減衰の知覚レベルまたは画像コントラストに影響し得ない。
【0044】
当業者や本開示の製造者または使用者は、本開示の変形を思いつくであろう。従って、図面に図示され前述された実施形態は、単に例示を目的にしたものであって、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定義され、均等論を含む特許法の原則に従って解釈される。
【0045】
記述された発明及び他の構成要素の構築は、いなかる特定の材料にも限定されないことが、当業者によって理解されるだろう。本明細書に開示された発明の他の例示的な実施形態は、本明細書に別段の記載がある場合を除き、広範な材料から形成され得る。
【0046】
本開示用に、用語「coupled(結合された)」(couple,coupling,coupledなどその形式のすべてにおいて)は、直接的であれ間接的であれ、互いに2つの構成要素(電気的または機械的)が接合することを概して意味する。このような接合は、本質的に静止状態かまたは本質的に可動状態であってもよい。このような接合は、2つの構成要素(電気的または機械的)、ならびに、互いとまたは2つの構成要素と1つの単体として一体成形される付加的中間部材で、達成されてもよい。このような接合は、本質的に永続的であってよいか、または、別段の記載がない限り、本質的に取外し可能つまり遊離可能であってもよい。
【0047】
例示的な実施形態において示されるような本開示の要素の構築および配置は、単に説明的であることに注意することも重要である。本発明の少数の実施形態だけが、本開示において詳細に記述されているが、本開示を検討する当業者は、列挙された主題の新規の教示および利点から逸脱することなく、多くの修正が可能(例えば、さまざまな要素のサイズ、寸法、構造、形および比率、パラメータ値、取り付け方法、材料の使用、色、向きなど)であることを容易に認識するだろう。例えば、一体成形として示される要素は、複数の部品が一体成形されてもよいように示される複数の部品または要素から構成されてもよく、インタフェースの操作が逆にまたは他の態様に変化されてもよく、システムの構造および/または部材またはコネクタまたは他の要素の長さまたは幅が変化されてもよく、要素間に提供された調整位置の性質または個数が変化されてもよい。システムの要素および/またはアセンブリは、任意の広範な色、質感、および組合せにおいて、十分な強度または耐久性を提供する、任意の広範な材料から構成されてもよい。その結果、すべてのこのような修正は、本発明の範囲内に含まれるように意図される。他の代用、修正、変化、および省略は、本発明の精神から逸脱することなく、所望の他の例示的な実施形態のデザイン、操作条件および配置において、なされ得る。
【0048】
いずれの説明されたプロセスまたは説明されたプロセス内のステップも、その他の開示されたプロセスまたはステップと組み合わされ、本開示の範囲内で構造を形成し得ることが理解されるであろう。本明細書に開示された例示的な構造およびプロセスは、説明のためのものであり、制限として解釈してはならない。
【0049】
変形および修正が、本開示の概念から逸脱することなく、前述の構造および方法においてなされ得ることも理解されるべきであり、さらに、このような概念は、特許請求の範囲がそれらの言葉で別段に明確に述べられていない限り、以下の特許請求の範囲に含まれるものとされることが理解されるべきである。更に、以下に記載される特許請求の範囲が、発明の詳細な説明に組み込まれ、その一部をなす。