(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】ハンドヘルドジンバルを制御するための方法、装置及びハンドヘルドジンバル
(51)【国際特許分類】
G03B 15/00 20210101AFI20220530BHJP
G03B 17/56 20210101ALI20220530BHJP
H04N 5/222 20060101ALI20220530BHJP
G03B 5/00 20210101ALI20220530BHJP
【FI】
G03B15/00 P
G03B17/56 B
H04N5/222 100
G03B5/00 J
(21)【出願番号】P 2020540492
(86)(22)【出願日】2018-05-14
(86)【国際出願番号】 CN2018086674
(87)【国際公開番号】W WO2019153565
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】201810133873.8
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518040943
【氏名又は名称】グイリン ジーシェン インフォメーション テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】GUILIN ZHISHEN INFORMATION TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】6th FLOOR, BUILDING 13, CREATIVE INDUSTRIAL PARK, GUIMO ROAD, QIXING DISTRICT, GUILIN 541004, GUANGXI, CHINA.
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(72)【発明者】
【氏名】リアオ,イールン
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第107079103(CN,A)
【文献】国際公開第2016/151925(WO,A1)
【文献】特表2016-541011(JP,A)
【文献】特開2006-149106(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0301230(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0031951(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00
G03B 15/00
G03B 17/56
H04N 5/222
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドヘルドジンバルを制御するための方法であって、
ユーザから入力された、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信するステップ1)と、
クイックフォローモードへの進入についての前記指示に基づき、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新し、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの前記制御パラメータが1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの最大フォローレートと加速度を含むステップ2)と、
更新された1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおける対応する1つ又は複数のモーターの回転を制御し、さらに1つ又は複数の方向の前記撮影コンポーネントの動きを制御するステップ3)とを含む、前記方法。
【請求項2】
1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新することは、前記1つ又は複数の方向のそれぞれにおける撮影コンポーネントの最大フォローレート、及び前記1つ又は複数の方向のそれぞれにおける撮影コンポーネントの加速度を向上させることを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
更新された1つ又は複数の方向のそれぞれにおける撮影コンポーネントの加速度は対応するモーターの回転角度に伴って変化することを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータはさらに1つ又は複数の方向の制御不感帯を含み、且つ、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新することは、さらに前記1つ又は複数の方向のそれぞれにおける制御不感帯を小さくすることを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
制御パラメータが更新される前の前記ハンドヘルドジンバルの以前の動作モードを記録するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
ステップ3)の後、さらに、
ユーザから入力された、クイックフォローモードからの退出についての指示を受信するステップと、
記録された以前の動作モードに基づき、前記撮影コンポーネントの制御パラメータを前記以前の動作モードに対応する制御パラメータに更新するステップと、
更新された制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおけるモーターの回転を制御し、さらに前記撮影コンポーネントの動きを制御するステップとを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ハンドヘルドジンバルを制御するための装置であって、
ユーザから入力された、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信するように構成されるマンマシンインタラクションユニットと、
クイックフォローモードへの進入についての前記指示に基づき、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新し、更新された1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおける対応する1つ又は複数のモーターの回転を制御し、さらに1つ又は複数の方向の前記撮影コンポーネントの動きを制御するように構成される制御ユニットとを備え、
ここで、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータが1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの最大フォローレートと加速度を含む、前記装置。
【請求項8】
前記制御ユニットはさらに制御パラメータが更新される前の前記ハンドヘルドジンバルの以前の動作モードを記録するように構成されることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記マンマシンインタラクションユニットはさらにユーザから入力された、クイックフォローモードからの退出についての指示を受信するように構成され、
前記制御ユニットはさらに記録された以前の動作モードに基づき、前記撮影コンポーネントの制御パラメータを前記以前の動作モードに対応する制御パラメータに更新し、更新された制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおけるモーターの回転を制御し、さらに前記撮影コンポーネントの動きを制御するように構成されることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記マンマシンインタラクションユニットは前記ハンドヘルドジンバルのハンドルに設けられたボタンであり、
ここで、ユーザは、前記ボタンを押してクイックフォローモードへの進入についての指示を入力し、且つ前記ボタンを緩めてクイックフォローモードからの退出についての指示を入力することを特徴とする請求項7-9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
プロセッサ、メモリ、ハンドル及び1つ又は複数のモーターを備え、前記メモリに前記プロセッサで実行可能な命令が記憶されるハンドヘルドジンバルであって、前記命令が前記プロセッサによって実行されると請求項1-6のいずれか一項に記載の方法を実現することを特徴とするハンドヘルドジンバル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジンバル技術分野に関し、特にクイックフォローモードに進入したり、それから退出したりするようにハンドヘルドジンバルを制御するための方法及装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハンドヘルドジンバルは、ハンドヘルドスタビライザーとも呼ばれ、スマートフォン、カメラなどの撮影機能を備えたコンポーネント(以下で撮影コンポーネントと総称)を固定することに用いられてもよく、且つ該撮影コンポーネントの動き/回転を制御することで撮影のスムーズ及び安定を実現する。現在、主流のハンドヘルドジンバルは、単軸及び多軸(例えば2軸、3軸)ハンドヘルドジンバルを含み、3軸ハンドヘルドジンバルが3つの軸(即ちロール軸、ピッチ軸、ヨー軸)及びそれらに対応する3つのモーターを有し、各モーターが対応する方向の撮影コンポーネントの動きを制御することに用いられる。3軸ハンドヘルドジンバルは3つのモーターの回転を制御することで空間の3つの方向の撮影コンポーネントの動きをそれぞれ制御し、したがって、撮影効果が高い。
【0003】
現在、ハンドヘルドジンバルの動作モードは、一般的にフォローモード(又は通常フォローモードと呼ばれる)とロックモードを含み、通常フォローモードが一般的にヨーフォローモードとヨー及びピッチフォローモード(フルフォローモードとも呼ばれる)に分けられる。通常フォローモードで、ハンドヘルドジンバルに固定された撮影コンポーネントは、ハンドルの回転にフォローして動くことができ、且つ安定且つスムーズなビデオ撮影を実現することができる。しかしながら、ユーザがハンドルを迅速に回転して撮影する必要がある場合、通常フォローモードを用いると、撮影コンポーネントは、ターゲットに速くフォローすることができなく、ターゲットの画面をキャプチャすることが困難である。ロックモードの場合も同様であり、ターゲットが突然急速に移動する場合、ユーザが通常フォローモードにハンドオーバするだけであれば、ターゲットが失われる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、上記従来技術の欠点を克服して、撮影コンポーネントが撮影されるターゲットを失うことなく、ハンドルの回転に速くフォローすることが可能となるようにすることにある。本発明の目的は以下の技術的解決策によって実現される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの態様によるハンドヘルドジンバルを制御するための方法は、
ユーザから入力された、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信するステップ1)と、
クイックフォローモードへの進入についての前記指示に基づき、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新し、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの前記制御パラメータには1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの最大フォローレートと加速度が含まれるステップ2)と、
更新された1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおける対応する1つ又は複数のモーターの回転を制御し、さらに1つ又は複数の方向の前記撮影コンポーネントの動きを制御するステップ3とを含む。
上記方法では、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新することは、前記1つ又は複数の方向のそれぞれにおける撮影コンポーネントの最大フォローレート、及び前記1つ又は複数の方向のそれぞれにおける撮影コンポーネントの加速度を向上させることを含む。
【0006】
上記方法では、更新された1つ又は複数の方向のそれぞれにおける撮影コンポーネントの加速度は対応するモーターの回転角度に伴って変化することができる。
【0007】
上記方法では、前記1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータはさらに1つ又は複数の方向の制御不感帯を含んでもよく、且つ、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新することは、さらに前記1つ又は複数の方向のそれぞれにおける制御不感帯を小さくすることを含むことができる。
【0008】
上記方法はさらに制御パラメータが更新される前の前記ハンドヘルドジンバルの以前の動作モードを記録するステップを含むことができる。
【0009】
上記方法では、ステップ3)の後、前記方法はさらにユーザから入力された、クイックフォローモードからの退出についての指示を受信するステップと、記録された以前の動作モードに基づき、前記撮影コンポーネントの制御パラメータを前記以前の動作モードに対応する制御パラメータに更新するステップと、更新された制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおけるモーターの回転を制御し、さらに前記撮影コンポーネントの動きを制御するステップとを含むことができる。
【0010】
他の態様によるハンドヘルドジンバルを制御するための装置は、
ユーザから入力された、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信するように構成されるマンマシンインタラクションユニットと、
クイックフォローモードへの進入についての前記指示に基づき、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新し、更新された1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおける対応する1つ又は複数のモーターの回転を制御し、さらに1つ又は複数の方向の前記撮影コンポーネントの動きを制御するように構成され、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの前記制御パラメータが1つ又は複数の方向のそれぞれにおける撮影コンポーネントの最大フォローレートと加速度を含む制御ユニットとを備える。
【0011】
上記装置では、前記制御ユニットはさらに制御パラメータが更新される前の前記ハンドヘルドジンバルの以前の動作モードを記録するように構成されてもよい。
【0012】
上記装置では、前記マンマシンインタラクションユニットはさらにユーザから入力された、クイックフォローモードからの退出についての指示を受信するように構成されてもよい。前記制御ユニットはさらに記録された以前の動作モードに基づき、前記撮影コンポーネントの制御パラメータを前記以前の動作モードに対応する制御パラメータに更新し、更新された制御パラメータを応用して前記ハンドヘルドジンバルにおけるモーターの回転を制御し、さらに前記撮影コンポーネントの動きを制御するように構成されてもよい。
【0013】
上記装置では、前記マンマシンインタラクションユニットは前記ハンドヘルドジンバルのハンドルに設けられたボタンであってもよく、ユーザは、前記ボタンを押してクイックフォローモードへの進入についての指示を入力し、且つ前記ボタンを緩めてクイックフォローモードからの退出についての指示を入力する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、以下の有益な効果を有する:
ハンドヘルドジンバルユーザにクイックフォローモードオプションを提供し、ハンドルを迅速に回転して撮影する必要がある場合、ユーザがクイックフォローモードを選択することにより、ハンドヘルドジンバルに固定された撮影コンポーネントがターゲットに速くフォローしてスムーズに撮影することができ、それによって撮影画面でターゲットが失われることを回避する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図面を参照して例示的な実施形態を詳細に説明し、添付図面が例示的な実施形態を説明することを意図しており、特許請求の予期範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。明確な指摘がない限り、添付図面が比例的に描かれたと見なさない。
【
図1】本発明の1つの実施形態によるハンドヘルドジンバルを制御するための方法のフローチャートである。
【
図2】本発明の他の実施形態によるハンドヘルドジンバルを制御するための方法のフローチャートである。
【
図3】異なる動作モードで、撮影コンポーネントが1つの方向に最大フォローレートに達する時に、対応するモーターが回転する角度を示す図である。
【
図4】1つの方向の撮影コンポーネントのフォローレートの変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的、技術的解決策及び利点をより明確にするために、以下に図面と組み合わせて具体的な実施例で本発明をさらに詳細に説明する。当然のことながら、本明細書で説明される具体的な実施形態は本発明を解釈するためのものだけであり、本発明を限定するためのものではない。
【0017】
いくつかの例示的な方法がフローチャートとして描かれていることに注意すべきである。フローチャートでは操作が順次実行として説明されているが、多くの操作が並行して、同時に又は同期して実行されてもよいことは理解可能である。また、操作の順序を並べ替えることができる。処理は、操作が完了された時に終了してもよいが、図面又は実施形態に含まれない他のステップを含むこともできる。
【0018】
本発明の実施形態を説明する前に、まず、撮影コンポーネントの制御パラメータ及びハンドヘルドジンバルの動作原理を説明する。3軸ハンドヘルドジンバルを例とすると、撮影コンポーネントは、ハンドヘルドジンバルにおける制御ユニットによって各方向の該撮影コンポーネントの動きを制御するための制御パラメータを空間の3つの動き方向のそれぞれに有する。例えば、通常フォローモードで、3軸ハンドヘルドジンバルは、ある動き方向(以下で方向と略称)の撮影コンポーネントの制御パラメータに基づいて該方向の該撮影コンポーネントのフォロー速度及び加減速度を制御する。この通常フォローモードを実現するために、3軸ハンドヘルドジンバルにおける制御ユニットは、3つの方向の撮影コンポーネントの制御パラメータに基づき、3つのモーターにそれぞれ入力される電流を生成して、3つのモーターの回転を制御し、3つのモーターの回転を制御することで対応する方向の撮影コンポーネントの動きを制御する。モーターの影響を受けるため、各動き方向の撮影コンポーネントのフォローレートが全て1つの所定の値(即ち該方向の最大フォローレート)を超えないが、研究により、該最大フォローレートに改善の余地がまだあることが分かった。これは、撮影コンポーネントのフォローレートを向上させることに重要な意味を持つ。
【0019】
以下に多軸ハンドヘルドジンバルを例とすると、本発明の各実施形態を説明する。
本発明の1つの実施形態によれば、ハンドヘルドジンバルを制御するための方法が提供される。
図1に示されるように、該方法は、ユーザから入力された、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信するステップ11と、クイックフォローモードへの進入についての指示に基づき、1つ又は複数の方向(即ち撮影コンポーネントの1つ又は複数の動き方向)の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新するステップ12と、更新された1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを応用してハンドヘルドジンバルにおける対応する1つ又は複数のモーターの回転を制御し、さらに1つ又は複数の方向の該撮影コンポーネントの動きを制御するステップ13とを含む。以下に各ステップを詳細に説明する。
【0020】
ステップ11において、ユーザは、マンマシンインタラクションユニットを介してハンドヘルドジンバルにクイックフォローモードへの進入についての指示を入力することができ、該マンマシンインタラクションユニットが例えばハンドヘルドジンバルのハンドルに設けられたボタンであり、次に、マンマシンインタラクションユニットは該指示をハンドヘルドジンバルにおける制御ユニットに伝送する。ボタンタイプのマンマシンインタラクションユニットを用いる場合、ユーザは、ボタンを押すことにより、クイックフォローモードに進入するように指示することができる。ボタンタイプのマンマシンインタラクションユニットを用いてユーザからの指示を入力する利点は、ユーザが実際の撮影中に突然加速してフォローする必要がある場合、ボタンを用いると動作モードを迅速且つ容易にハンドオーバすることができることにある。
【0021】
ステップ12において、ハンドヘルドジンバルにおける制御ユニット(例えばCPU)は、マンマシンインタラクションユニットから伝送された、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信し、次に該指示に応じて1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの現在の制御パラメータをクイックフォローモードに対応する制御パラメータに変更して、クイックフォローモードに進入する。注意すべきこととして、ユーザのニーズが異なるため、ここで全ての動き方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新することができ、1つの方向の制御パラメータのみを更新することもできる。
【0022】
ここで、全ての動き方向のそれぞれに対して、該方向の撮影コンポーネントの制御パラメータは、該方向の撮影コンポーネントの最大フォローレート(上述したように、撮影コンポーネントが該方向に回転にフォローする時に達することができる最大レート)を含む。各方向におけるクイックフォローモードでの撮影コンポーネントの最大フォローレートが他の動作モードでの撮影コンポーネントの最大フォローレートよりも大きく、これにより、クイックフォローモードでは、撮影コンポーネントがより速い最大フォローレートで動くことができるため、より速く動くことができ、このようにして撮影コンポーネントはハンドルの動きにフォローすることができる。注意すべきこととして、最大フォローレートの向上がハンドヘルドジンバルにおけるモーターの回転速度に影響され、モーターの回転速度が制限されているため、対応する最大フォローレートの向上も制限される。例えば、従来技術では、ヨー軸に対応するモーターの正常動作可能な回転速度限界値が200度/秒であり、対応する方向の該モーターの最大フォローレートが一般的に100度/秒に設定され、したがって、通常フォローモードで、該方向のフォローレートが100度/秒以下である。本発明の1つの実施形態によれば、クイックフォローモードで、該方向の最大フォローレートを100度/秒よりも大きく且つ200度/秒よりも小さい値(例えば180度/秒)に設定することにより、クイックフォローモードで、該方向の撮影コンポーネントのフォローレートが180度/秒に達することができる。同様に、従来技術では、ロール軸又はピッチ軸に対応するモーターは通常、ヨー軸に対応するモーターと同様に、回転速度限界値が200度/秒であり、且つこれらの2つの方向の最大フォローレートが一般的に80度/秒に設定される。本発明の他の実施形態によれば、クイックフォローモードでのこれらの2つの方向の最大フォローレートを160度/秒に設定する(又は2つの異なる値、それぞれ150度/秒、160度/秒に設定する)ことにより、クイックフォローモードに進入する時に、これらの2つの方向に撮影コンポーネントがより速く回転することができる。
【0023】
以上の実施形態では回転速度限界値200度/秒のモーターが用いられるが、当業者は、他のタイプのモーター、例えば回転速度限界値180度/秒、220度/秒のモーターなども適用することを理解すべきである。異なる回転速度限界値を有するモーターに対して、通常フォローモード及びクイックフォローモードでの最大フォローレートがモーターのタイプに応じて異なる値に設定されてもよく、例えば、回転速度限界値220度/秒のモーターに対して、通常フォローモードで、対応する方向の該モーターの最大フォローレートが100度/秒に設定されてもよく、クイックフォローモードで、対応する方向の該モーターの最大フォローレートが200度/秒に設定されてもよい。また、以上の実施形態では、ハンドヘルドジンバルの各軸に同じタイプのモーターが用いられる。本発明の他の実施形態によれば、ハンドヘルドジンバルの各軸にも異なるタイプのモーターが用いられてもよい。
【0024】
最大フォローレートに加えて、撮影コンポーネントの制御パラメーターはさらに撮影コンポーネントの加速度を含むことができる。全ての動き方向のそれぞれに対して、該方向の撮影コンポーネントの加速度は、撮影コンポーネントが該方向に最大フォローレート(又はターゲットレート、例えばハンドルの回転レート)に達する速度を制御することに用いられる。クイックフォローモードで、各方向の撮影コンポーネントの加速度は他の動作モードでの加速度よりも大きくなることができ、該加速度は静的な値であってもよい。このようにして、制御パラメータが更新された後、各方向の撮影コンポーネントの回転の加減速度がより速くなり、これにより、最大フォローレート又はターゲットレートに達する時間が短縮される。注意すべきこととして、モーターの正常動作可能な加速度が制限されているため、加速度の向上も制限される。例えば、ハンドヘルドジンバルのヨー軸に対応するモーターの正常動作可能な加速度限界値が100度/秒^2であり、従来技術において通常フォローモードでの撮影コンポーネントの加速度が一般的に40度/秒^2に設定され、本発明の1つの実施形態によれば、クイックフォローモードでの撮影コンポーネントの加速度が40度/秒^2よりも大きく且つ100度/秒^2よりも小さい値(例えば80度/秒^2)に設定されると、クイックフォローモードに進入した後、撮像コンポーネントが該方向に最大フォローレート又はターゲットレートにより速く達する。同様に、ロール軸又はピッチ軸に対応するモーターの正常動作可能な加速度限界値が一般的に100度/秒^2であり、且つ通常フォローモードでの加速度も40度/秒^2に設定されるため、他の実施形態では、クイックフォローモードでのこれらの2つの方向の加速度が80度/秒^2(又は2つの異なる値、例えばそれぞれ70度/秒^2、90度/秒^2)に設定されてもよく、これにより、速度を速く加減する目的を達成する。
【0025】
以上の実施例では加速度限界値100度/秒^2のモーターが用いられるが、他の実施形態では、他のタイプのモーター(例えば、加速度限界値120度/秒^2のモーター)が用いられてもよい。ここで、通常フォローモードとクイックフォローモードでの撮影コンポーネントの加速度は、モーターのタイプに応じて異なる値に設定されてもよい。また、以上の実施形態では、ハンドヘルドジンバルの各軸に同じタイプのモーター(加速度限界値100度/秒^2のモーター)が用いられ、本発明の他の実施形態によれば、ハンドヘルドジンバルの各軸にも異なるタイプのモーターが用いられてもよい。理解すべきこととして、各方向の撮影コンポーネントの制御パラメータは予め設定されてもよく、例えば、制御パラメータが予め複数回のデバッグにより取得されてもよく、且つ該制御パラメータがハンドヘルドジンバルに記憶されてもよい。
【0026】
ステップ13において、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの最大フォローレートと加速度が更新された(該1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの最大フォローレートと加速度が向上した)後、ハンドヘルドジンバルにおける制御ユニットは、更新された1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの最大フォローレートと加速度に基づき、対応する1つ又は複数のモーター(上述したように、複数のモーターのそれぞれが対応する方向の撮影コンポーネントの動きを制御することに用いられる)に流れる電流を制御し、これにより該1つ又は複数のモーターの回転を制御する。1つ又は複数のモーターの回転を制御することにより、さらに対応する1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの動きを制御する。
【0027】
図3には1つの方向に、通常フォローモードと(最大フォローレートと加速度が向上した)クイックフォローモードで、撮影コンポーネントが対応する最大フォローレートに達する場合、該方向の撮影コンポーネントの動きを制御するためのモーターが回転する角度が示される。ここで、通常フォローモードで、対応するモーターの回転角度が1である場合、撮影コンポーネントは最大フォローレートMAX1に達する。クイックフォローモードで、対応するモーターの回転角度が2である場合(角度2<角度1)、撮影コンポーネントは最大フォローレートMAX2(MAX2>MAX1)に達する。
図3から分かるように、クイックフォローモードで、撮影コンポーネントはより高い最大フォローレートにより速く達することができる。
【0028】
図3に示される撮影コンポーネントの加速度が静的な一定値であるが、他の実施形態では、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信する場合、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの加速度が変化する(例えば、対応するモーターの回転角度に伴って変化する)値に更新されてもよく、これにより、異なるユーザのニーズを満たす。
図4には1つの方向の撮影コンポーネントのフォローレートの変化グラフが示される。該フォローレートは次のように示される。
【0029】
ここで、yが撮影コンポーネントのフォローレートを表し、xが該方向の撮影コンポーネントの動きを制御するためのモーターの回転角度を表し、a、b、cがパラメータであり、ユーザの実際のニーズに応じて選択されてもよい。また、式(1)の導関数を求めると該方向の撮影コンポーネントの加速度を得ることができる。
【0030】
1つの好ましい実施形態では、制御パラメータはさらに制御不感帯を含むことができる。ある方向の前記ハンドヘルドジンバルのハンドルの動きが該方向の制御不感帯を超えたとセンシングされた場合、該方向の前記撮影コンポーネントの動きがトリガーされ、即ち撮影コンポーネントがフォローする。クイックフォローをより良く実現するために、クイックフォローモードで、各方向に撮影コンポーネントの制御不感帯は他の動作モードに対応する制御不感帯よりも小さくすることができる。これは、制御不感帯の値が小さいほど、ハンドヘルドジンバルの応答が敏感になるためである。例えば、従来技術では、通常フォローモードで、ロール軸及びヨー軸に対応する方向の制御不感帯が一般的に5度であり、且つピッチ軸に対応する方向の制御不感帯が一般的に3度である。本発明の1つの実施形態によれば、クイックフォローモードで、各方向の撮影コンポーネントの制御不感帯が1度に設定されてもよい。
【0031】
本発明の他の実施形態によれば、ハンドヘルドジンバルを制御するための方法がさらに提供される。
図2に示されるように、該方法の実施形態のプロセスは、ユーザから入力された、クイックフォローモードへの進入についての指示を受信するステップ11’と、クイックフォローモードへの進入についての指示に基づき、1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを更新し、制御パラメータが更新される前のハンドヘルドジンバルの動作モードを記録するステップ12’と、更新された1つ又は複数の方向の撮影コンポーネントの制御パラメータを応用してハンドヘルドジンバルにおける対応する1つ又は複数のモーターの回転を制御し、さらに1つ又は複数の方向の該撮影コンポーネントの動きを制御するステップ13’と、ユーザから入力された、クイックフォローモードからの退出についての指示を受信し、次にクイックフォローモードから退出するステップ14’とを含む。ステップ11’-ステップ13’でクイックフォローモードに進入するプロセスが示され、上述したステップ11-ステップ13と基本的に同様であるが、ステップ12’で、ハンドヘルドジンバルにおける制御ユニットはさらに制御パラメータが更新される前のハンドヘルドジンバルの動作モードを記録する必要がある。以下にステップ14’を詳細に説明する。
【0032】
ステップ14’で、まず、ユーザから入力された、クイックフォローモードからの退出についての指示をマンマシンインタラクションユニット(例えばボタン)を介して受信することができ、ボタンタイプのマンマシンインタラクションユニットを用いる場合、ユーザはボタンを緩めることにより、クイックフォローモードから退出するように指示することができる(上述したように、ボタンを押すことにより、クイックフォローモードに進入するように指示する)。次に、マンマシンインタラクションユニットは、該指示を制御ユニットに伝送し、制御ユニットは、ハンドヘルドジンバルがクイックフォローモードに進入する前の動作モードレコードを探し、且つ現在の制御パラメータを以前の動作モードに対応する制御パラメータに更新する。次に、制御ユニットは、更新された制御パラメータを応用してモーターの回転を制御し、さらに各方向の撮影コンポーネントの動きを制御する。
【0033】
図2に示される実施形態では、ユーザがマンマシンインタラクションユニットを介してクイックフォローモードからの退出についての指示を入力する場合、制御ユニットは該指示に基づいて制御パラメータの値を更新し、これにより、ハンドヘルドジンバルは以前の記録された動作モードに進入する(即ち、クイックフォローモードの前の動作モードに進入する)。他方の実施形態では、ユーザから入力された、他の動作モード(例えばロックモード又は通常フォローモード)への進入についての指示に応じて、クイックフォローモードから退出することができる。具体的には、ユーザは他のマンマシンインタラクションユニット(即ち、クイックフォローモードへの進入、退出についての指示を入力するボタンとは異なるマンマシンインタラクションユニット)を介して他の動作モードへの進入についての指示を入力することができ、次に、該マンマシンインタラクションユニットは他の動作モードへの進入についての指示をハンドヘルドジンバルの制御ユニットに伝送する。他の動作モードへの進入についての指示に対して、制御ユニットは現在の制御パラメータを他の動作モードに対応する制御パラメータに更新し、且つ更新された制御パラメータを応用して各方向の撮影コンポーネントの動きを制御する。
【0034】
以上では、ユーザの指示を入力するためのヒューマンマシンインタラクションユニットをボタンの形で説明したが、他の実施形態では、ヒューマンマシンインタラクションユニットは、ハンドヘルドジンバルのハンドルに設けられたスイッチ、インタラクティブ画面などの部材であってもよいと理解すべきである。これらの部材は、ユーザの指示を制御ユニットに伝送するように、無線接続又は有線接続によりハンドヘルドジンバルの制御ユニットに接続されてもよい。他の実施形態では、ユーザは、ハンドヘルドジンバルに固定された撮影コンポーネントを介してクイックフォローモードへの進入についての指示を入力することもでき、例えば、クイックフォローモードに進入するようにハンドヘルドジンバルにスマートフォンのAPP設定によって指示し、スマートフォンは、無線接続又は有線接続により該指示をハンドヘルドジンバルの制御ユニットに伝送することができる。しかしながら、撮影コンポーネント(又は他の外部コンポーネント)を利用してユーザからの指示を入力するような場合、ユーザはクイックフォローモードから退出するようにハンドヘルドジンバルに速く指示することができない可能性がある。この問題を解決するために、1つの実施形態では、ハンドヘルドジンバルに設けられた他のインタラクションユニットを利用してクイックフォローモードからの退出についての指示を入力することができる。
【0035】
上記方法は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、疑似コード、ハードウェア記述言語又はそれらの任意の組み合わせによって実現されてもよい。ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア又は疑似コードで実現される場合、タスクを実行するためのプログラムコード又はコードセグメントは、記憶媒体などのコンピュータ可読媒体に格納されてもよく、プロセッサは、該タスクを実行することができる。
【0036】
ソフトウェアで実現される例示的な実施形態は、通常、いくつかの形のプログラム記憶媒体で符号化され、又はいくつかのタイプの伝送媒体で実施されると理解すべきである。プログラム記憶媒体は、磁気ディスク(例えばフロッピーディスク又はハードディスク)又は光ディスク(例えばコンパクトディスク読み取り専用メモリ又は「CD ROM」)などの任意の非一時的記憶媒体であってもよく、且つ読み取り専用又はランダムにアクセスされてもよい。同様に、伝送媒体は、ツイストペア、同軸ケーブル、光ファイバ、又は本分野で知られているいくつかの他の適用可能な伝送媒体であってもよい。
【0037】
本発明は好ましい実施形態で説明されたが、本発明は、本明細書で説明される実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなく様々な変更及び変形をさらに含む。