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▶ 岩▲崎▼ 利弘の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-27
(45)【発行日】2022-06-06
(54)【発明の名称】鋭角ネジ節鉄筋及び軽量継手
(51)【国際特許分類】
   E04C 5/03 20060101AFI20220530BHJP
【FI】
E04C5/03
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022024479
(22)【出願日】2022-02-21
【審査請求日】2022-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516125358
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 利弘
(74)【代理人】
【識別番号】100205523
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 浩也
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 利弘
【審査官】沖原 有里奈
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-138725(JP,U)
【文献】特開2021-038653(JP,A)
【文献】特許第4624904(JP,B2)
【文献】特開2013-209834(JP,A)
【文献】特開2002-256655(JP,A)
【文献】実開昭49-142725(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04C 5/00-5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネジ節鉄筋であって、
ネジ込み角度を81度以上としながら、頂点部を鋭角とする節と、
を備え、
前記節の間隔を8mm~10mmに保つ、
ことを特徴とするネジ節鉄筋。
【請求項2】
二本の請求項1のネジ節鉄筋を連結する継手であって、
開き調整部と、
継手端部外周部にグラウト注入孔と、
を備えることを特徴とするネジ節鉄筋継手。
【請求項3】
二本の請求項1のネジ節鉄筋を連結する継手であって、
継手端部外周部にグラウト注入孔と、
を備え、
開き調整部を備えず、
前記ネジ節鉄筋連結時に二本のネジ節鉄筋が触れる、
ことを特徴とするネジ節鉄筋継手。
【請求項4】
請求項3の継手であって、
二本の請求項1の異径ネジ節鉄筋を連結するために、継手端部外周部の直径が異なる、
ことを特徴とするネジ節鉄筋継手。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の継手であって、
端部外周部に固定用雌ねじ穴部と、
を備えることを特徴とするネジ節鉄筋継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全重量の軽量化を目的とするネジ節鉄筋及び継手に関する。
【背景技術】
【0002】
2本のネジ節鉄筋(1)を連結する継手(2)については、継手性能を確保するために、多数の発明がなされている。
【0003】
特許文献1の発明では、鉄筋継手において、グラウト材の充填硬化後でも確実に鉄筋の挿入深さを再確認できるようにすることを特徴とする鉄筋継手を提供している。
【0004】
特許文献2の発明では、グラウト材の充填後においても鉄筋の突合せ間隔を目視して鉄筋の挿入深さの確認を行うことができる鉄筋用継手を提供している。
【0005】
特許文献3の発明では、短尺筒状の本体の内周面に、上記異形鉄筋の螺旋状凸部が螺合する螺旋溝を有し、核本体の軸線方向中央部に厚肉に形成され外方に膨出させられた厚肉膨出部が設けられ、核厚肉膨出部外周面が回転操作工具を係合させ得る断面多角形に形成されるとともに、厚肉膨出部を挟む両端部に、外径が上記厚肉膨出部の最小外径より小さく、かつ一定の外径を有する円筒部が形成され、上記厚肉膨出部には、外周面から内周面に貫通する通孔が形成され、しかも全体がオーステンパー処理を施されていることを特徴とする異形鉄筋用継手を提供している。
【0006】
特許文献4の発明では、接合する2つのネジフシ鉄筋の先端がネジ山の位相が合致せずとも、また、ネジ山ピッチが継手のネジ山ピッチと若干異なった場合も、継手内の中央において先端同士を接近させて接合することが可能であり、ネジ節鉄筋用継手のネジ山の少なくともひっかかり高さ部分の幅を、両側の傾斜角はそのままとし、山頂幅がピッチの15%以下になるように削減した継手を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-255297号公報
【文献】特開2019-112780号公報
【文献】実登第2511842号
【文献】特開2002-235404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記発明は次のような問題点があった。
【0009】
特許文献1の発明は、キャップに備えたグラウト注入孔からグラウト材を注入し、グラウト材硬化後に、確認窓からグラウト材をそぎ落とすことにより、鉄筋を露出させ、鉄筋の挿入深さを確認することができる継手だが、施工管理者の目視検査や現場監理者の目視検査ができず、挿入深さ測定後にもかかわらず、グラウト材をそぎ落とすことによって施工管理者や現場監理者による目視検査に厖大な費用が掛かる。また、継手自体も高価である。
【0010】
特許文献2の発明は、第1連結部の基端部と第2連結部の基端部との間に、第1および第2連結部を離間させた状態で、架け渡す橋架部を複数設け、複数の橋架部の間から鉄筋の挿入状況を確認する。しかし、上記特許文献1と同様に施工管理者や現場監理者の目視管理が出来にくい状況が生まれ、鉄筋室にグラウト材が漏れないようにシール材が施され、高価な継手を用いて2か所のグラウト注入と排出を確認する必要がある。よって手間がかかり、中央にグラウトが排出するとグラウト排出を止める手段もなく、点検口が埋まり目視検査が出来ない。
【0011】
特許文献3の発明は、従来からの継手で一方向引張試験において、最大荷重が鉄筋間の中央部のグラウト注入孔に掛かることによって、グラウト注入孔が切り欠き脆性による継手破断を起こし、中央部が肉厚膨出するため、継手質量が増え、コストも増す。
【0012】
特許文献4の発明は、継手のネジ山の両側の傾斜角はそのままにし、山頂幅がピッチの15%以下になるように削減したとあるので、山頂幅は必然と0%に近くなり、鉄筋の抜け出し引張強度を確保するために山のひっかかりを多くする必要がある為、継手全長が長くなり、中央部のグラウト注入孔とともに継手の質量も増えコストが増す。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、ネジ節鉄筋であって、ネジ込み角度を81度以上としながら、頂点部を鋭角とする節と、を備え、前記節の間隔を8mm~10mmに保つことを特徴としている。
【0014】
請求項2の発明は、二本の請求項1のネジ節鉄筋を連結する継手であって、開き調整部と、継手端部外周部にグラウト注入孔と、を備えることを特徴としている。
【0015】
請求項3の発明は二本の請求項1のネジ節鉄筋を連結する継手であって、継手端部外周部にグラウト注入孔と、を備え、開き調整部を備えず、前記ネジ節鉄筋連結時に二本のネジ節鉄筋が触れる、ことを特徴としている。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3の継手であって、二本の請求項1の異径ネジ節鉄筋を連結するために、継手端部外周部の直径が異なる、ことを特徴としている。
【0017】
請求項5の発明は、請求項2乃至請求項4の継手であって、端部外周部に固定用雌ねじ穴部と、を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
上記ネジ節鉄筋は、節の頂点を鋭角にすることでコンクリートの付着性を向上し、、節と軸線との角度を大きくすることで、ネジ節鉄筋の螺合をスムーズにし、すべりを少なくし螺合強度が向上し、継手全長を短くすることによって、大幅な軽量化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態にかかる、節(A)の頂点を鋭角にし、コンクリート付着性を向上し、節(A)の間隔(P)を狭め、節(A)と軸線(E)との角度(C)を大きくしたネジ節鉄筋(1)を示す図である。
図2】本発明の実施形態にかかる、最少螺合山数(b)の外周(R)にグラウト注入孔(3)と固定用雌ネジ穴(4)を備え、最多螺合山数(b2)で開き調整部(b1)がある継手(20)を示す図である。
図3】本発明の実施形態にかかる、各々のネジ節鉄筋(1)の最少螺合山数(b)で連結可能の継手(21)を示す図である。
図4】本発明の実施形態にかかる、サイズ毎の太径側と細径側(24)がある異径継手(22)を示す図である。。
図5】本発明の実施形態にかかる、継手(23)の雌ネジ山の底辺を狭くし、鉄筋(1)の節の間隔の嵌め合いをルーズにし、固定間の位相差が生じても連結可能な継手(23)を示す図である。
図6】本発明の実施形態にかかる、最終スタンドの本発明の仕上げカリバーによる生産方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、様々な変形が可能である。さらに、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0021】
図1は、i)がネジ節鉄筋(1)の側面図、ii)がネジ節鉄筋(1)の正面図を示している。ネジ節間隔(P)は、例えばD25サイズで、甲社=(P)10mm、乙社=(P)11mm、丙社=(P)12mmであるが、本発明にかかる間隔(P)は、5mm~12mm、好ましくは8mm~10mm、さらに好ましくは9mmである。
【0022】
図1に示す節(A)と軸線(E)との角度(C)は、甲、乙及び丙社製のネジ節鉄筋(1)では80度であるが、本発明のネジ節鉄筋(1)では80度より大きく、好ましくは81度以上、さらに好ましくは82~87度である。
【0023】
さらに節(A)は、甲、乙及び丙社製のネジ節鉄筋(1)では台形であるが、図1に示すように、本発明のネジ節鉄筋(1)では頂点部を鋭角である。
【0024】
上記のような本発明のネジ節鉄筋(1)によって、コンクリートの付着性を向上し、節(A)の間隔(P)を狭くすることができる。また、節(A)と軸線(E)との角度(C)を大きくすることで、鉄筋(1)の螺合をスムーズ、及びすべりを少なくすることによって螺合強度が向上し、以下に示す継手(2)を短くすることが可能となる。
【0025】
図1のネジ節鉄筋(1)を製造するにあたって、JISG3112の鉄筋コンクリート用棒鋼では、当該規格、コンクリート補強に使用する熱間圧延によって製造された丸鋼及び異形棒鋼について規定するとある。
【0026】
当該規格の丸鋼種類及び記号は2種類であり、SR235、SR295となっている。また、異形棒鋼の種類及び記号は5種類であり、SD295A、SD295B、SD345、SD390、SD490である。近年ではSD590、SD685に相当するものが製造されている。
【0027】
図1のネジ節鉄筋(1)を製造するために、JISG3112の鉄筋コンクリート用棒鋼の規格で形状は、異形棒鋼は表面に突起を備え、軸線方向の突起であるリブ、軸線方向以外の突起である節を備える。節(A)は、全長にわたり、ほぼ一定間隔(P)に分布し、同一形状・寸法をもつものとされている。
【0028】
D16以上の規格では、異形棒鋼の節の付根部は応力集中の少ない形状としなければならず、節(A)形状を台形から鋭角節(A)に変更については規定が無い。
【0029】
よって本発明のように鋭角にすることにより、節(A)の間隔(P)を狭めることが可能となる。節(A)と軸線(E)との角度(C)は45度以上と規定されているのため81度以上としても規格内となる。
【0030】
節の高さ(H)は、サイズ毎に最小値、最大値が規定されているため範囲内とし、寸法は規格内となるため、JISG3112の鉄筋コンクリート用棒鋼に適合する。
【0031】
図6に示すように本発明のネジ節鉄筋(1)の製造方法を説明する。
加熱されたビレットを規格毎の断面圧下率に応じて複数の熱間圧延スタンドで圧延し、サイズ毎のネジ節鉄筋の形状は、最終仕上げスタンドの前工程の圧延スタンドで圧延されたカリバー(リーダーオーバル)を最終スタンドで圧延する。
【0032】
上記作業により、適用範囲の丸鋼(9)、異形棒鋼(10)でその中のネジ節棒鋼(1)にわかれる。
【0033】
図1のネジ節鉄筋(1)の最終仕上げスタンドは、図6で示すように、2本の上ロール(5)と下ロール(6)がセットされたスタンドであって、上ロール(5)の回転と下ロール(6)の回転方向がそれぞれ逆となる。さらに前工程のカリバー(U)を噛みこんで圧延し、軸線(E)方向にネジ節鉄筋(1)を搬出できる形状となっている。
【0034】
上ロール(5)と下ロール(6)のカリバー(7)と(8)は、ネジ節鉄筋であるため、上ロール(5)の節(A)と下ロール(6)の節(A)が重なり、一体のネジ節鉄筋になっている。
【0035】
よって、上ロール(5)と下ロール(6)は、同径(V)で、且つ、ロール外周(K)がサイズ毎のピッチ(P)で割り切れる外周(K)とし、本発明の図1のネジ節鉄筋(1)の上ロールカリバー(7)と下ロールカリバー(8)が切削され、上ロール(5)と下ロール(6)の間にはネジ節鉄筋(1)の形状を作りこむためにロール隙(N)を設ける。
【0036】
図1のネジ節鉄筋(1)に二面幅(B)は、ネジ節鉄筋を熱間圧延で製造するためのものであり、二本のロールをかえして製造しなければならない。
【0037】
ネジ節鉄筋(1)には位相がある為、位相合わせが可能なように二面幅(B)が設けられている。ネジ節鉄筋(1)の二面幅(B)を備える方法としては、前工程の圧延されたひょうたん型のリーダオーバル(U)を備え、中央部の凹みが仕上げスタンドに噛み込み、圧延されると幅方向に、はみ出さないよう設計する。
【0038】
図1のネジ節鉄筋(1)の位相合わせをする方法は以下の通りである。
【0039】
仕上げロールの上ロール(5)のカリバー(7)と、下ロール(6)のカリバー(8)の2本のロール間で試験圧延された棒鋼は、位相が定まっていないため、試圧品の圧延方向を基準に10山以上が測定できる範囲で、端部を垂直に切断する。
【0040】
上ロールカリバー(7)の垂直端部から10山管を測定し、下ロールカリバー(8)を同じように10山を測定後、下ロールカリバー(8)を基準とし、下ロールカリバー(8)寸法と上ロールカリバー(7)寸法の誤差分を測定する。
【0041】
ロールカリバーの節は、上ロールカリバー(7)を軸線(E)方向とし、位相がピッチ(p)に対し近い方に前又は後に上ロールの回転をずらさなければ位相が合わないため、上ロール(5)を回転する軸に、上ロールカリバー(7)の微調整ができるよう、仕上げスタンドと減速機を繋ぐ上ユニバーサルジョイントに位相合わせる装置を内蔵させる。
【0042】
上記で判定された寸法が、P/2に近い方に正回転又は後回転に寸法を合わせることで、位相を合すことが可能となる。
【0043】
上記方法により他の規格を満足し、ネジ節鉄筋(1)の製品が多量製造できる。
【0044】
図2~5に示す鋳鉄製の継手(2)は、上記方法で製造したネジ節鉄筋(1)を連結する継手(2)である。以下、継手(2)の一例を挙げるが、継手(2)の素材、製造方法、形状はこれに限られない。
【0045】
継手(2)は、鋳造工程で本発明の軽量化した継手(2)の外周を主型としており、、主型の半割毎の外周に、グラウト注入孔(3)、及びナットレス用の穴付きボルトの雌ねじ(4)下穴を備えてもよい。
【0046】
また、継手(2)は、グラウト注入性を考慮してグラウト孔(3)間をスリット加工した中子をセットしても良く、グラウト注入材(7)の注入性を高めるために設ける。
【0047】
継手(2)は、主型の片側半割の砂型枠を合わせることで鋳込み型枠が出来、中子と外周砂型に空間に球状化黒鉛鋳鉄の溶けた高温の湯を鋳込むことで、半製品が出来上がり、加工仕上げすることで製品となる。
【0048】
継手(2)は、鋳鉄製で球状化黒鉛鋳鉄なので、鋳鉄ADI熱処理技術を利用し強固にする。
【0049】
この熱処理においては、製品の質量により価格が決まるので、同じ継手(2)でも質量が軽いほどコストが低減できる。なお、鋳鉄製品の一枠の込め数にもよるが、鋳造製品も質量換算で価格が決まるため、軽量化し込め数を多くすればするほどコスト低減ができる。
【0050】
鋼鉄製の継手(2)は、鋳鉄製の継手と違い鋼管製パイプなどの素材から製造する物や鍛造による素材が存在する。軽量化された材質により熱処理の方法が異なるため、費用対効果を考慮してもよい。
【0051】
従来の鉄筋(1)と継手(2)は、ネジ山が台形状で構成されているのに対し、本発明は鉄筋(1)の節(A)と継手(2)のネジ山の頂点が鋭角の形状で構成されることによって、ピッチ(P)を狭く、ネジ込み角度(C)を大きく、及び継手(2)の全長が短くなっているため、機械加工性、生産性が向上する。また、グラウト注入孔(3)と鉄筋と継手固定用雌ネジ孔(4)は後付加工となる。
【0052】
図2~5に示す継手(2)の雌ねじは、鉄筋(1)と継手(2)を強固に固定でき、継手(2)の径を細くしているため、外周径より突起物が出るとコンクリートかぶり厚さに影響を及ぼすので、外周径より突起しないように、六角穴付きボルトを使用しても良い。
【0053】
継手(2)は、グラウト材の種類によらず固定できるため、従来の初期養生が必要な無機グラウトでは鉄筋(1)と継手(2)の固定にロックナットを使用していたが、本発明はロックナットレス、又はロックナットから六角穴付きボルトに置き換えることが可能であるため、安価とすることが可能である。また、ロックナットに掛かる段取り施工の作業工数も減少している。
【0054】
建設に使用する際は、ロックナットレス無機グラウトを使用するため、耐火性の観点から柱や梁のコンクリートかぶり厚さによる資材の低減および部屋の空間を向上することが可能となる。
【0055】
図2は、i)が継手(20)の側面図、ii)が継手(20)の正面図を示しており、継手(20)は、2本のネジ節鉄筋(1)を連結する。継手(20)は、開き調整部(b1)と、継手(20)端部外周部にグラウト注入孔(3)とを備えている。継手(20)は、長さ調整部(b1)にグラウト注入孔(3)を備えていないため、切り欠き脆性による断面積の考慮の必要が無い。よって、鉄筋鋼種と呼び名毎の最大荷重に合った断面積で良く、両端部に向かって継手(20)に掛かる荷重が軽減しているため、負荷に沿って継手の両端外周径を細くすることが可能となる。また、断面積も低減でき、質量も減るため軽量化される。
【0056】
継手(20)の最少挿入螺合山数(b)の外周には、グラウト注入孔(3)を設けている。グラウト注入孔(3)は、ネジ節鉄筋(1)がネジ山の螺合内および負荷が軽減した場所であるため、切り欠き脆性が起き難い。また、グラウト注入孔(3)は、継手(20)と鉄筋(1)の螺合部の節(A)と節(A)との伸びがない箇所に設けているため、ネジ節鉄筋(1)の最大荷重以下で破断し難い。
【0057】
また、図2に示す通り、グラウト注入孔(3)は、2カ所設けているが、どちらか1カ所のみでもよい。2カ所にした場合、、継手(20)がどちらに向いてもグラウト注入(7)が容易となる。
【0058】
グラウト注入を行った際、グラウト注入孔(3)に近い方の継手(20)の端部からグラウト注入材(7)が先行して漏れ出る場合があるため、2か所のグラウト注入孔(3)間を結ぶ溝(スリット)を備えることにより、注入性を高めている。
【0059】
ネジ節鉄筋(1)の最少螺合山数(b)の目視管理として、例えば、ネジ節鉄筋(1)の節(A)が継手(20)内のネジ山と螺合する最少螺合山数(b)の範囲に赤色を塗装してもよく、最多螺合山数(b2)の継手には、2段2色のマーキングとしてもよい。
【0060】
赤色が両端に隠れ、最多螺合山数の塗色が目視管理出来れば合格としてもよい。なお、螺合山数でマーキング長さを決めていた場合、塗色のマーキングの少しのズレは半ピッチ(P)内の塗色ズレならば合格としてもよい。
【0061】
最少螺合山数(b)は5山で管理するが、4山、3山の安全率を設定して安全性を高めてもよい。
【0062】
図3は、i)が継手(21)の側面図、ii)が継手(21)の正面図を示しており、継手(21)は、継手(21)端部外周部にグラウト注入孔(3)を備え、開き調整部(b1)を備えず、連結時に二本のネジ節鉄筋(1)が触れることを特徴とする。継手(21)は、最少螺合山数(b)の両端鉄筋(1)が中央で突き合う全長(L1)のメタルタッチ継手である。端部のバリや節(A)部のつぶれの影響があるので、圧接継手と同様に精密切断品やバリ等が無いようにサンダー掛けをしてもよい。
【0063】
継手(21)は、圧接継手工法のように、単独でネジ節鉄筋(1)を繋いでいく工法で効力が発揮できる。また、先組工法の継手(21)でも良い。継手(21)を使用した場合、鉄筋(1)のメタルタッチで回転数が少なく施工も簡易となり、グラウト材注入(7)量も少ない。また、ロックナットレスであるため、簡易にネジ節鉄筋(1)に固定できる。
【0064】
図4は、i)が継手(22)の側面図、ii)が継手(22)の正面図を示しており、継手(22)は、二本の請求項1の異径ネジ節鉄筋(1)を連結するために、継手(22)端部外周部の直径が異なることを特徴としている。継手(22)は、サイズ径の違うネジ節鉄筋(1)を連結し、最少螺合山数(b)の外周にグラウト注入孔(3)を備え、中央の肉厚部の開き調整部(b1)を備えず、細径側(24)も肉厚部が削除された軽量化された異径継手(22)であり、図3と同様に端部のバリ等が無いように圧接継手と同様にサンダー掛けや精密切断をしてもよい。
【0065】
図5は、i)が継手(23)の側面図、ii)が継手(23)の正面図を示しており、継手(23)は、ネジ節鉄筋同士の間隔である開き調整部(b1)とネジ節鉄筋(1)端部の切断誤差により、位相差で連結出来ないネジ節鉄筋(1)ことを特徴としている。
<発明を実施するための方法>
【0066】
(ステップS1)
設計図書により規格毎に指定された継手(2)を選択し、ネジ節鉄筋(1)の鋼種サイズを確認後、ネジ節鉄筋(1)のマーキングを使用する。マーキングが無い場合は、鋼種サイズを確認し、サイズに合った種類のマーキングゲージを使用してもよい。
【0067】
(ステップS2)
連結するネジ節鉄筋(1)の片方に、使用する継手(2)の全長をネジ節鉄筋(1)の端部までねじ込む
【0068】
(ステップS3)
連結する相方のネジ節鉄筋(1)を端部に合致させ、ねじ込まれた継手(2)を相方に螺合させていく
【0069】
(ステップS4)
継手の種類により鉄筋のマーキングの色別塗色位置まで螺合させ、2本のネジ節鉄筋(1)の最少螺合山数(b)の色別塗色が継手(2)の両端部に隠れることを確認する。
【0070】
(ステップS5)
継手位置を決定後、継手に備えるロックネジ(4)を締め付けネジ節鉄筋(1)と継手(2)を固定する。
【0071】
(ステップS6)
設計図書の指示に従い、有機グラウト無機グラウトの有無を確認し、既定のグラウト注入材を用意する。
【0072】
(ステップS7)
グラウト注入に入る前に継手の向きを確認する。縦型の場合は、グラウト注入孔(3)の下側の注入孔(3)から注入すると下側の端部からグラウト材が排出されるため、確認後グラウト止治具(別途支給品)を使用し、垂れ流しを防止する。連続して注入し、上部から排出が確認出来たら注入を止める。グラウト材を下から上に注入していくと充填を確実に行うことが可能となる。
【0073】
(ステップS8)
縦型連結の継手(2)にて、グラウト注入孔(3)の上部から注入する場合は、グラウト注入材が下から排出をした際に、グラウト止治具(別途支給品)を使用し、垂れ流しを止める。
【0074】
(ステップS9)
再度下方から注入をし、上方から排出が確認出来た場合は注入を止め完了とする。
【0075】
(ステップS10)
縦型連結の継手(2)は、グラウト注入を完了後、一定時間後、下方のグラウト止治具を取り外す
【0076】
(ステップS11)
横型連結の継手(2)では、どちらの注入孔(3)を使用しても良く、グラウト注入孔(3)に近い端部から排出するので、排出を確認後、グラウト止治具を装着する。反対の端部から排出を確認後、注入を止め、グラウト止治具を外す
【0077】
(ステップS12)
図5の継手(23)を使用する時は、図2と全長(L)が同様なので、継手(2)の規格を確認し、図2と同様の手順で作業する。
【0078】
(ステップS13)
継手(2)は、グラウト注入の際、降雨の場合、無機質のグラウト注入は乾きにくく、雨で流れることが予想されるため、天候状況を確認して作業すると良い。また、グラウト止治具を上部に被せておいてもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 ネジ節鉄筋
2 継手
20 継手の一例
21 継手の一例
22 継手の一例
23 継手の一例
24 継手(22)の細径側
3 グラウト注入孔
4 雌ネジ
5 上ロール
6 下ロール
7 上カリバー
8 下カリバー
9 丸鋼
10 Dバー
A 節
B 二面幅
C ネジ込み角度
D 節外径
E 鉄筋軸線
F 鉄筋内径および天地
G 外径(カリバー底)
H 節高さ
J 節底
K ロール外周
L 継手長さ
M 回転方向
N ロール隙
O 圧延方向
P 節間隔
R 継手外径
S 継手内径
U リーダーオーバル(仕上げ前カリバー)
V 上ロール直径
W 下ロール直径
b 最少螺合山数
b1 開き調整部
b2 最多螺合山数

【要約】
【課題】従来の二本のネジ節鉄筋を連結する継手は、一方向引張試験において、最大荷重が鉄筋間の中央部のグラウト注入孔に掛かることによって、グラウト注入孔が切り欠き脆性による継手破断を起こし、中央部が肉厚膨出するため、継手質量が増え、コストも増していた。
【解決手段】二本のネジ節鉄筋(1)を連結する、継手(2)であって、開き調整部(b1)と、継手(2)端部外周部にグラウト注入孔(3)と、を備えることによって、節(A)の頂点を鋭角であることからコンクリートの付着性を向上し、、節(A)と軸線(E)との角度(C)を大きくすることで、鉄筋(1)の螺合をスムーズにし、すべりを少なくし螺合強度が向上し、継手(2)全長(L)を短くすることによって、大幅な軽量化が可能となる。
【選択図】 図2

図1
図2
図3
図4
図5
図6