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特許7081078N-(4-ピリジル)ニコチンアミド化合物又はその塩
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】N-(4-ピリジル)ニコチンアミド化合物又はその塩
(51)【国際特許分類】
   C07D 213/82 20060101AFI20220531BHJP
   A01N 43/40 20060101ALI20220531BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20220531BHJP
   A01M 1/20 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
C07D213/82 CSP
A01N43/40 101J
A01P7/04
A01M1/20 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019514582
(86)(22)【出願日】2018-04-25
(86)【国際出願番号】 JP2018016844
(87)【国際公開番号】W WO2018199175
(87)【国際公開日】2018-11-01
【審査請求日】2021-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2017088847
(32)【優先日】2017-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000354
【氏名又は名称】石原産業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】米田 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】吉田 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】田澤 優太
(72)【発明者】
【氏名】可児 達也
(72)【発明者】
【氏名】長 洋子
(72)【発明者】
【氏名】村井 勇斗
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-518884(JP,A)
【文献】特開2004-331541(JP,A)
【文献】特開2017-8029(JP,A)
【文献】国際公開第2016/175017(WO,A1)
【文献】ISMAIL, A. G. et al.,Synthesis of pyrido[4,3-d]pyrimidin-4(3H)-ones from 4-aminonicotinic acid,Journal of the Chemical Society [Section] C: Organic,1967年,(24),2613-17
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 213/82
A01N 43/40
A01P 7/04
A01M 1/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
〔式(I)中、R はハロアルキルであり;
はハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルであり;
は水素原子、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシであり;
はアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;
mは0である。〕
で表されるN-(4-ピリジル)ニコチンアミド化合物又はその塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤。
【請求項3】
請求項1に記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤。
【請求項4】
請求項1に記載の化合物又はその塩の有効量を施用して有害生物を防除する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なN-(4-ピリジル)ニコチンアミド化合物又はその塩に関する。
また、本発明は、該化合物又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤、農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤に関する。
さらに、本発明は、該化合物又はその塩の有効量を施用して有害生物を防除する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、殺虫剤用途の広範囲なヘテロアリールアミド化合物が記載されており、特許文献2には、医薬用途の広範囲なピリジン骨格を有する化合物が記載されている。
また、特許文献3には、医薬用途の広範囲なヘテロアリールアミド化合物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開第2002/070483号
【文献】国際公開第2005/115986号
【文献】日本国特開2003-73357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
長年にわたり、多数の有害生物防除剤が使用されているが、効力が不十分である、害虫等が抵抗性を獲得しその使用が制限されるなど、種々の課題を有するものが少なくない。
従って、かかる欠点の少ない新規な有害生物防除剤の開発が望まれている。
【0005】
そこで、本発明の目的は、有害生物に対して高活性な化合物又はその塩を提供すること、該化合物又はその塩を用いた有害生物防除剤、農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤を提供すること、該化合物又はその塩を施用して有害生物を防除する方法を提供することである。
【0006】
なお、特許文献1に記載の化合物及び特許文献2に記載の化合物は、本発明化合物とは区別される。また、特許文献3に記載の化合物は、後記式(I)において、Rが水素原子のものの具体的な記載があるにとどまる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、より優れた有害生物防除剤を見出すべく、ピリジン化合物につき種々検討した。その結果、新規なN-(4-ピリジル)ニコチンアミド化合物又はその塩が、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有することを見出し、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、下記に関する。
【0009】
[1]式(I):
【0010】
【化1】
【0011】
〔式(I)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ又はハロアルキルアリールであり;
はハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルであり;
は水素原子、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;
はハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mは0~3の整数であり;
前記Rが複数存在する場合、前記Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕で表されるN-(4-ピリジル)ニコチンアミド化合物又はその塩。
[2]前記式(I)において、Rが水素原子、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ又はハロアルキルアリールであり;
がハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルであり;
が水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;
がハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mが0又は1である、前記[1]に記載の化合物又はその塩。
[3]前記式(I)において、Rが水素原子、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ又はハロアルキルアリールであり;
がハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルであり;
が水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又はアルコキシカルボニルであり;
がハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mが0又は1である、前記[1]に記載の化合物又はその塩。
[4]前記式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ又はハロアルキルアリールであり;
がハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルであり;
が水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;
がニトロ、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mが0又は1である、前記[1]に記載の化合物又はその塩。
[5]前記式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ又はハロアルキルアリールであり;
がハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルであり;
が水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又はアルコキシカルボニルであり;
がニトロ、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mが0又は1である、前記[1]に記載の化合物又はその塩。
[6]前記式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシであり;
がハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノであり;
が水素原子、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;
がハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mが0~3の整数であり;
前記Rが複数存在する場合、前記Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい、前記[1]に記載の化合物又はその塩。
[7]前記式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシであり;
がアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノであり;
が水素原子、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;
がハロゲン原子、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mが0又は1である、前記[1]に記載の化合物又はその塩。
[8]前記式(I)において、Rがアルキル、ハロアルキル又はハロアルコキシであり;
がアルキル、ハロアルキル又はアミノであり;
が水素原子又は、アルキルであり;
がハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル又はピラゾリルであり;
mが0又は1である、前記[1]に記載の化合物又はその塩。
[9]前記式(I)において、Rがハロアルキルであり;Rが水素原子、アルキル、シクロアルキル又はアルコキシであり;R4がアルキル、アルコキシ、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり、mが0である、前記[1]~[8]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[10]前記式(I)において、Rが水素原子、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ又はハロアルキルアリールである[1]に記載の化合物又はその塩。
[11]前記式(I)において、Rがアルキル、ハロアルキル又はハロアルコキシある[1]に記載の化合物又はその塩。
[12]前記式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルである[1]、[10]又は[11]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[13]前記式(I)において、Rがアルキル、ハロアルキル又はアミノである[1]、[10]~[12]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[14]前記式(I)において、Rが水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ又はアルコキシカルボニルである[1]、[10]~[13]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[15]前記式(I)において、Rが水素原子又はアルキルである[1]、[10]~[14]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[16]前記式(I)において、R4がハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルケニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルである[1]、[10]~[15]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[17]前記式(I)において、R4がハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルである[1]、[10]~[16]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[18]前記式(I)において、mが0又は1である[1]、[10]~[17]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩。
[19]前記式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ又はハロアルコキシであり;Rがアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ又はジアルキルアミノであり;Rが水素原子、アルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;Rがハロゲン原子、ニトロ、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;mは0又は1である[6]に記載の化合物又はその塩。
[20]前記式(I)において、Rがアルキル、ハロアルキル又はハロアルコキシであり;Rがアルキル、ハロアルキル又はアミノであり;Rが水素原子又はアルキルであり;Rがハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルコキシ、アルコキシカルボニル又はピラゾリルであり;mが0又は1である[6]に記載の化合物又はその塩。
[21]前記[1]~[20]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する有害生物防除剤。
[22]前記[1]~[20]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤。
[23]前記[1]~[20]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤。
[24]前記[1]~[20]のいずれか1つに記載の化合物又はその塩の有効量を施用して有害生物を防除する方法。
【発明の効果】
【0012】
前記式(I)で表される化合物又はその塩を有効成分とする有害生物防除剤は、低薬量で有害生物に対して極めて高い防除効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明について詳述するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものであり、本発明はこれらの内容に特定されるものではない。
なお、本明細書において、「C」(nは自然数)とは「炭素数n」(nは自然数)と同義である。濃度として“ppm”と記載した場合は、“重量ppm”のことを示す。
【0014】
本発明は下記式(I)で表されるN-(4-ピリジル)ニコチンアミド化合物又はその塩(以下、まとめて「本発明化合物」と称することがある。)に関する。
【0015】
【化2】
【0016】
〔式(I)中、Rは水素原子、ハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アリールオキシ又はハロアルキルアリールであり;
はハロゲン原子、アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールオキシ、シアノ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル又はアルキルスルホニルであり;
は水素原子、アルキル、シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル又はアルコキシカルボニルであり;
はハロゲン原子、ニトロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、ハロアルキルカルボニル、シクロアルキルカルボニル、アルコキシカルボニル、(アルキルチオ)カルボニル又はピラゾリルであり;
mは0~3の整数であり;
前記Rが複数存在する場合、前記Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。〕
【0017】
前記式(I)中のハロゲン原子又は置換基としてのハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素の各原子が挙げられる。置換基としてのハロゲン原子の数は1又は2以上であってよく、2以上の場合、各ハロゲン原子は同一でも相異なってもよい。また、ハロゲン原子の置換位置は何れの位置でもよい。
【0018】
なお、本明細書中で用いられる「ハロアルキル」とは、アルキルに含まれる少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されたアルキルを意味する。
「ハロアルコキシ」、「ハロアルキルアリール」又は「ハロアルキルカルボニル」についても同様に、各基に含まれる少なくとも1つの水素原子がハロゲン原子で置換されたアルコキシ、アルキルアリール又はアルキルカルボニルをそれぞれ意味する。これらハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルアリール又はハロアルキルカルボニルにおいて、水素原子から置換されたハロゲン原子を「置換基としてのハロゲン」と称する。
【0019】
前記式(I)中のアルキル又はアルキル部分としては、例えば、メチル、エチル、ノルマルプロピル、イソプロピル、ノルマルブチル、イソブチル、セカンダリーブチル、ターシャリーブチル、ノルマルペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ノルマルヘキシル又はネオヘキシルのような直鎖又は分岐鎖状のC~Cの基が挙げられる。
【0020】
前記式(I)中のアルケニル又はアルケニル部分としては、例えば、ビニル、1-プロペニル、2-プロペニル、イソプロペニル、2-メチル-1-プロペニル、1-メチル-1-プロペニル、2-メチル-2-プロペニル、1-メチル-2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、1-ペンテニル、2-ペンテニル、2-メチル-2-ブテニル、1-ヘキセニル又は2,3-ジメチル-2-ブテニルのような直鎖又は分岐鎖状のC~Cの基が挙げられる。
【0021】
前記式(I)中のアルキニル又はアルキニル部分としては、例えば、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル、3-ブチニル、1-メチル-2-プロピニル、2-メチル-3-ブチニル、3,3-ジメチル-1-ブチニル、1-ヘキシニル、2-ヘキシニル、3-ヘキシニル、4-ヘキシニル又は5-ヘキシニルのような直鎖又は分岐鎖状のC~Cの基が挙げられる。
【0022】
前記式(I)中のシクロアルキル又はシクロアルキル部分としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルのようなC~Cの基が挙げられる。
【0023】
前記式(I)中のアリール又はアリール部分としては、例えば、フェニル、ナフチルのようなC~C10の基が挙げられる。
【0024】
前記式(I)で表される化合物の塩としては、当該技術分野で許容されるものであればあらゆるものが含まれるが、例えば、ジメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩のようなアンモニウム塩;塩酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、硝酸塩のような無機酸塩;酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、シュウ酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩のような有機酸塩などが挙げられる。
【0025】
本発明化合物には、光学異性体のような異性体が存在する場合があるが、本発明化合物には各異性体及び異性体混合物の双方が含まれる。本願明細書においては、特に言及しない限り、異性体は混合物として記載する。尚、本発明化合物には、当該技術分野における技術常識の範囲内において、前記したもの以外の各種異性体も含まれる。また、異性体の種類によっては、本発明化合物とは異なる化学構造となる場合があるが、当業者であればそれらが異性体の関係にあることが十分認識できる為、本発明の範囲内であることは明らかである。
【0026】
本発明化合物は、以下の製造方法、並びに通常の塩の製造方法に従って製造することができるが、これらの方法に限定されるものではない。
【0027】
製法〔1〕
前記式(I)で表される化合物は、下記式(II)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とを脱水縮合剤又は塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
なお、下記式(II)で表される化合物及び下記式(III)で表される化合物は、市販品を使用できる他、公知の方法にて製造できる。
【0028】
【化3】
【0029】
(製法〔1〕における式中、R、R、R、R及びmは前述のとおりである。)
【0030】
脱水縮合剤としては、特に制限されないが、例えば1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩などが挙げられる。
【0031】
該反応は、必要に応じて添加剤を加えて行うことができる。添加剤としては、例えば1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、N-ヒドロキシコハク酸イミド、N,N-ジメチル-4-アミノピリジンなどが挙げられる。
【0032】
塩基としては、特に制限されないが、例えばトリエチルアミン、4-メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミン類、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、2,6-ルチジンなどが挙げられる。
【0033】
該反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、特に制限されないが、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;水;などから1種又は2種以上を適宜選択して、または混合して使用することができる。
【0034】
反応温度は、通常約0℃から反応系内が加熱還流する温度の範囲で行うことができる。反応時間は、通常数分~24時間で行うことができる。
【0035】
製法〔2〕
前記式(I)で表される化合物は、下記式(II-a)で表される化合物と下記式(III)で表される化合物とを塩基の存在下で反応させることにより製造することができる。
【0036】
【化4】
【0037】
(製法〔2〕における式中、R、R、R、R及びmは前述のとおりであり;Xはハロゲン原子である。)
【0038】
塩基は、有機塩基でも無機塩基でもよい。有機塩基としては、特に制限されないが、例えばトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンのようなアミン塩基などが挙げられる。無機塩基としては、特に制限されないが、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
【0039】
該反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、特に制限されないが、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;水;などから1種又は2種以上を適宜選択して、または混合して使用することができる。
【0040】
反応温度は、通常約0℃から反応系内が加熱還流する温度の範囲で行うことができる。反応時間は、通常数分~24時間で行うことができる。
【0041】
前記式(II-a)で表される化合物は、市販品を使用できる他、下記のスキームに示した通り、前記式(II)で表される化合物をハロゲン化剤と反応させることにより製造することができる。
【0042】
【化5】
【0043】
(上記式(II-a)で表される化合物の製法における式中、R、R、X及びmは前述のとおりである。)
【0044】
ハロゲン化剤としては、特に制限されないが、例えば塩化チオニル、塩化オキサリル、塩化ホスホリル、塩化スルフリル、三塩化リン、五塩化リンなどが挙げられる。
【0045】
該反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行うことができる。溶媒としては、特に制限されないが、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;などから1種又は2種以上を適宜選択して、または混合して使用することができる。
【0046】
反応温度は、通常約0℃から反応系内が加熱還流する温度の範囲で行うことができる。反応時間は、通常数分~24時間で行うことができる。
【0047】
前記式(III)で表される化合物は、下記式(III-a)で表される化合物と下記式(IV)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。下記式(III-a)で表される化合物及び下記式(IV)で表される化合物は、市販品を使用できる他、公知の方法にて製造できる。
【0048】
【化6】
【0049】
(上記式(III)で表される化合物の製法における式中、R、R、Xは前述のとおりである。)
【0050】
該反応は、必要に応じて塩基の存在下で行うことができる。塩基としては、例えば水素化ナトリウムのようなアルカリ金属水素化物;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウムのようなアルカリ金属炭酸塩;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物;トリエチルアミン、4-メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミン類;1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン、ピリジン、4-(ジメチルアミノ)ピリジン、2,6-ルチジンなどが挙げられる。
【0051】
該反応は、必要に応じて溶媒の存在下で行うことができる。溶媒は、特に制限されないが、例えばジエチルエーテル、ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、1,4-ジオキサン、ジメトキシエタンなどのエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルムなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼンなどの芳香族炭化水素類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホランなどの非プロトン性極性溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル類;酢酸エチル、プロピオン酸エチルなどのエステル類;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素類;アセトン、エチルメチルケトンなどのケトン類;水;などから1種又は2種以上を適宜選択して、または混合して使用することができる。
【0052】
反応温度は、通常約0℃から反応系内が加熱還流する温度の範囲で行うことができる。反応時間は、通常数分~24時間で行うことができる。
【0053】
本発明化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤の望ましい態様について以下に記述する。
本発明化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤は、例えば農園芸分野で問題となる害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫の防除剤、即ち農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤等として有用である。また、動物寄生生物の防除剤、即ち殺動物寄生生物剤として有用である。
【0054】
本発明化合物は、モモアカアブラムシ、ワタアブラムシ等のようなアブラムシ類;コナガ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ、コドリンガ、ボールワーム、タバコバッドワーム、マイマイガ、コブノメイガ、チャノコカクモンハマキ、コロラドハムシ、ウリハムシ、ボールウィービル、トビイロウンカ等のようなウンカ類、ヨコバイ類、カイガラムシ類、カメムシ類、タバココナジラミ等のようなコナジラミ類、アザミウマ類、バッタ類、ハナバエ類、コガネムシ類、タマナヤガ、カブラヤガ、アリ類等のような農業害虫類;ナメクジ、マイマイ等のような腹足類;イエダニ、ゴキブリ類、イエバエ、アカイエカ等のような衛生害虫類;バクガ、アズキゾウムシ、コクヌストモドキ、ゴミムシダマシ類等のような貯穀害虫類;イガ、ヒメカツオブシムシ、シロアリ類等のような衣類、家屋害虫類;等の害虫、ナミハダニ、ニセナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ、チャノホコリダニ、ミカンサビダニ、ネダニ等のような植物寄生性ダニ類;ケナガコナダニ、コナヒョウダニ、ミナミツメダニ等のような屋内塵性ダニ類;等のダニ、ネコブセンチュウ類、シストセンチュウ類、ネグサレセンチュウ類、イネシンガレセンチュウ、イチゴメセンチュウ、マツノザイセンチュウ等のような植物寄生性線虫類;等の線虫、ダンゴムシ、ワラジムシのような等脚類;等の土壌害虫の防除に有効である。
【0055】
本発明化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤は、植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類等の防除に特に有効である。その中でも、植物寄生性ダニ類、農業害虫類の防除にさらに優れた効果を示すため、殺虫剤又は殺ダニ剤として非常に有用である。
【0056】
また、本発明化合物を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、有機リン剤、カーバメート剤、合成ピレスロイド剤、ネオニコチノイド剤等の薬剤に対する各種抵抗性害虫の防除にも有効である。
【0057】
さらに本発明化合物は、優れた浸透移行性を有していることから、本発明化合物を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤を土壌に処理することによって土壌有害昆虫類、ダニ類、線虫類、腹脚類、等脚類の防除と同時に茎葉部の害虫類をも防除することができる。
【0058】
本発明化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤の別の望ましい態様としては、前記した植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類、腹足類、土壌害虫類等を総合的に防除する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤が挙げられる。
【0059】
本発明化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤は、通常、該化合物と各種補助剤とを混合して粉剤、粒剤、顆粒水和剤、水和剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、顆粒水溶剤、水溶剤、乳剤、液剤、ペースト剤、エアゾール剤、微量散布剤等の種々の形態に製剤して使用されるが、本発明の目的に適合するかぎり、当該分野で通常用いられているあらゆる製剤形態にすることができる。
【0060】
製剤に使用する補助剤としては、珪藻土、消石灰、炭酸カルシウム、タルク、ホワイトカーボン、カオリン、ベントナイト、カオリナイト、セリサイト、クレー、炭酸ナトリウム、重曹、芒硝、ゼオライト、澱粉等の固型担体;水、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ、ジオキサン、アセトン、イソホロン、メチルイソブチルケトン、クロロベンゼン、シクロヘキサン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、アルコール等の溶剤;脂肪酸塩、安息香酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、ポリカルボン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルジグリコールエーテル硫酸塩、アルコール硫酸エステル塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリールスルホン酸塩、アリールスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリスチレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、アルキルアリールリン酸塩、スチリルアリールリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリールリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸塩ホルムアルデヒド縮合物のような陰イオン系の界面活性剤;ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリセライド、脂肪酸アルコールポリグリコールエーテル、アセチレングリコール、アセチレンアルコール、オキシアルキレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンスチリルアリールエーテル、ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシプロピレン脂肪酸エステルのような非イオン系の界面活性剤;オリーブ油、カポック油、ひまし油、シュロ油、椿油、ヤシ油、ごま油、トウモロコシ油、米ぬか油、落花生油、綿実油、大豆油、菜種油、亜麻仁油、きり油、液状パラフィン等の植物油や鉱物油;等が挙げられる。
【0061】
これら補助剤の各成分は、本発明の目的から逸脱しないかぎり、1種又は2種以上を適宜選択して使用することができる。また、前記した補助剤以外にも当該分野で知られたものの中から適宜選んで使用することもでき、例えば、増量剤、増粘剤、沈降防止剤、凍結防止剤、分散安定剤、薬害軽減剤、防黴剤等、通常使用される各種補助剤も使用することができる。
【0062】
本発明化合物と各種補助剤との配合割合(重量比)は0.001:99.999~95:5、望ましくは0.005:99.995~90:10である。これら製剤の実際の使用に際しては、そのまま使用するか、又は水等の希釈剤で所定濃度に希釈し、必要に応じて各種展着剤(界面活性剤、植物油、鉱物油等)を添加して使用することができる。
【0063】
本発明化合物を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤の施用は、気象条件、製剤形態、施用時期、施用場所、病害虫の種類や発生状況等の相違により一概に規定できないが、一般に0.05~800,000ppm、望ましくは0.5~500,000ppmの有効成分濃度で行ない、その単位面積あたりの施用量は、1ヘクタール当り本発明化合物が0.05~50,000g、望ましくは1~30,000gである。
【0064】
また、本発明には、このような施用方法による有害生物の防除方法、中でも農園芸分野で問題となる害虫、ダニ、線虫又は土壌害虫の防除方法、特には植物寄生性ダニ類、農業害虫類、植物寄生性線虫類の防除方法も含まれる。
【0065】
本発明化合物を有効成分として含有する有害生物防除剤の種々の製剤、又はその希釈物の施用は、通常、一般に行なわれている施用方法すなわち、散布(例えば、噴霧、ミスティング、アトマイジング、散粒、水面施用等)、土壌施用(混入、灌注等)、表面施用(塗布、粉衣、被覆等)、浸漬毒餌等により行うことができる。また、家畜に対して前記有効成分を飼料に混合して与え、その排泄物での有害虫、特に有害昆虫の発生及び生育を阻害することも可能である。また、いわゆる超高濃度少量散布法(ultra low volume application method)により施用することもできる。この方法においては、活性成分を100%含有することが可能である。
【0066】
また、本発明化合物を有効成分として含有する農園芸用殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤又は殺土壌害虫剤は、他の農薬、肥料、薬害軽減剤等と混用或は併用することができ、この場合に一層優れた効果、作用性を示すことがある。他の農薬としては、除草剤、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺土壌害虫剤、殺菌剤、抗ウイルス剤、誘引剤、抗生物質、植物ホルモン、植物成長調整剤等が挙げられる。特に、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物の1種又は2種以上とを混用或は併用した殺虫用組成物、殺ダニ用組成物、殺線虫用組成物又は殺土壌害虫用組成物は、適用範囲、薬剤処理の時期、防除活性等を好ましい方向へ改良することが可能である。尚、本発明化合物と他の農薬の有効成分化合物は各々別々に製剤したものを施用時に混合して使用しても、両者を一緒に製剤して使用してもよい。本発明には、このような殺虫用組成物、殺ダニ用組成物、殺線虫用組成物又は殺土壌害虫用組成物も含まれる。
【0067】
上記他の農薬中の、殺虫剤、殺ダニ剤、殺線虫剤或いは殺土壌害虫剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会試験コード)としては、例えばプロフェノホス(profenofos)、ジクロルボス(dichlorvos)、フェナミホス(fenamiphos)、フェニトロチオン(fenitrothion)、EPN(O-エチル-O-4-ニトロフェニルフェニルフォスフォノチオエート、O-ethyl O-4-nitrophenyl phenylphosphonothioate)、ダイアジノン(diazinon)、クロルピリホス(chlorpyrifos)、クロルピリホスメチル(chlorpyrifos‐methyl)、アセフェート(acephate)、プロチオホス(prothiofos)、ホスチアゼート(fosthiazate)、カズサホス(cadusafos)、ジスルホトン(dislufoton)、イソキサチオン(isoxathion)、イソフェンホス(isofenphos)、エチオン(ethion)、エトリムホス(etrimfos)、キナルホス(quinalphos)、ジメチルビンホス(dimethylvinphos)、ジメトエート(dimethoate)、スルプロホス(sulprofos)、チオメトン(thiometon)、バミドチオン(vamidothion)、ピラクロホス(pyraclofos)、ピリダフェンチオン(pyridaphenthion)、ピリミホスメチル(pirimiphos-methyl)、プロパホス(propaphos)、ホサロン(phosalone)、ホルモチオン(formothion)、マラチオン(malathion)、テトラクロルビンホス(tetrachlorvinphos)、クロルフェンビンホス(chlorfenvinphos)、シアノホス(cyanophos)、トリクロルホン(trichlorfon)、メチダチオン(methidathion)、フェントエート(phenthoate)、ESP(オキシデプロホス、oxydeprofos)、アジンホスメチル(azinphos-methyl)、フェンチオン(fenthion)、ヘプテノホス(heptenophos)、メトキシクロル(methoxychlor)、パラチオン(parathion)、ホスホカルブ(phosphocarb)、デメトン-S-メチル(demeton-S-methyl)、モノクロトホス(monocrotophos)、メタミドホス(methamidophos)、イミシアホス(imicyafos)、パラチオン-メチル(parathion-methyl)、テルブホス(terbufos)、ホスファミドン(phosphamidon)、ホスメット(phosmet)、ホレート(phorate)、ホキシム(phoxim)、トリアゾホス(triazophos)のような有機リン酸エステル系化合物;
カルバリル(carbaryl)、プロポキスル(propoxur)、アルジカルブ(aldicarb)、カルボフラン(carbofuran)、チオジカルブ(thiodicarb)、メソミル(methomyl)、オキサミル(oxamyl)、エチオフェンカルブ(ethiofencarb)、ピリミカルブ(pirimicarb)、フェノブカルブ(fenobucarb)、カルボスルファン(carbosulfan)、ベンフラカルブ(benfuracarb)、ベンダイオカルブ(bendiocarb)、フラチオカルブ(furathiocarb)、イソプロカルブ(isoprocarb)、メトルカルブ(metolcarb)、キシリルカルブ(xylylcarb)、XMC(3,5-キシリルメチルカルバメート、3,5-xylyl methylcarbamate)、フェノチオカルブ(fenothiocarb)のようなカーバメート系化合物;
カルタップ(cartap)、チオシクラム(thiocyclam)、ベンスルタップ(bensultap)、チオスルタップナトリウム(thiosultap-sodium)、チオスルタップジナトリウム(thiosultap-disodium)、モノスルタップ(monosultap)、ビスルタップ(bisultap)、シュウ酸水素チオシクラム(thiocyclam hydrogen oxalate)のようなネライストキシン誘導体;
ジコホル(dicofol)、テトラジホン(tetradifon)、エンドスルファン(endosulfan)、ジエノクロル(dienochlor)、ディルドリン(dieldrin)のような有機塩素系化合物;
酸化フェンブタスズ(fenbutatin oxide)、シヘキサチン(cyhexatin)のような有機金属系化合物;
フェンバレレート(fenvalerate)、ペルメトリン(permethrin)、シペルメトリン(cypermethrin)、デルタメトリン(deltamethrin)、シハロトリン(cyhalothrin)、テフルトリン(tefluthrin)、エトフェンプロックス(ethofenprox)、フルフェンプロックス(flufenprox)、シフルトリン(cyfluthrin)、フェンプロパトリン(fenpropathrin)、フルシトリネート(flucythrinate)、フルバリネート(fluvalinate)、シクロプロトリン(cycloprothrin)、ラムダシハロトリン(lambda-cyhalothrin)、ピレスリン(pyrethrins)、エスフェンバレレート(esfenvalerate)、テトラメスリン(tetramethrin)、レスメスリン(resmethrin)、プロトリフェンブト(protrifenbute)、ビフェントリン(bifenthrin)、ゼータシペルメトリン(zeta-cypermethrin)、アクリナトリン(acrinathrin)、アルファシペルメトリン(alpha-cypermethrin)、アレスリン(allethrin)、ガンマシハロトリン(gamma-cyhalothrin)、シータシペルメトリン(theta-cypermethrin)、タウフルバリネート(tau-fluvalinate)、トラロメスリン(tralomethrin)、プロフルスリン(profluthrin)、ベータシペルメトリン(beta-cypermethrin)、ベータシフルトリン(beta-cyfluthrin)、メトフルトリン(metofluthrin)、フェノトリン(phenothrin)、フルメトリン(flumethrin)、デカメトリン(decamethrin)のようなピレスロイド系化合物;
ジフルベンズロン(diflubenzuron)、クロルフルアズロン(chlorfluazuron)、テフルベンズロン(teflubenzuron)、フルフェノクスロン(flufenoxuron)、トリフルムロン(triflumuron)、ヘキサフルムロン(hexaflumuron)、ルフェヌロン(lufenuron)、ノバルロン(novaluron)、ノビフルムロン(noviflumuron)、ビストリフルロン(bistrifluron)、フルアズロン(fluazuron)のようなベンゾイルウレア系化合物;
メトプレン(methoprene)、ピリプロキシフェン(pyriproxyfen)、フェノキシカルブ(fenoxycarb)、ジオフェノラン(diofenolan)のような幼若ホルモン様化合物;
ピリダベン(pyridaben)のようなピリダジノン系化合物;
フェンピロキシメート(fenpyroximate)、フィプロニル(fipronil)、テブフェンピラド(tebufenpyrad)、エチプロール(ethiprole)、トルフェンピラド(tolfenpyrad)、アセトプロール(acetoprole)、ピラフルプロール(pyrafluprole)、ピリプロール(pyriprole)のようなピラゾール系化合物;
イミダクロプリド(imidacloprid)、ニテンピラム(nitenpyram)、アセタミプリド(acetamiprid)、チアクロプリド(thiacloprid)、チアメトキサム(thiamethoxam)、クロチアニジン(clothianidin)、ニジノテフラン(nidinotefuran)、ジノテフラン(dinotefuran)、ニチアジン(nithiazine)のようなネオニコチノイド系化合物;
テブフェノジド(tebufenozide)、メトキシフェノジド(methoxyfenozide)、クロマフェノジド(chromafenozide)、ハロフェノジド(halofenozide)のようなヒドラジン系化合物;
ピリダリル(pyridalyl)、フロニカミド(flonicamid)のようなピリジン系化合物;
スピロジクロフェン(spirodiclofen)、スピロメシフェン(spiromesifen)、スピロテトラマト(spirotetramat)、スピロピジオン(spiropidion)のような環状ケトエノール系化合物;
フルアクリピリム(fluacrypyrim)のようなストロビルリン系化合物;
フルフェネリム(flufenerim)のようなピリジナミン系化合物;
ジニトロ系化合物、有機硫黄化合物、尿素系化合物、トリアジン系化合物、ヒドラゾン系化合物、また、その他の化合物として、フロメトキン(flometoquin)、ブプロフェジン(buprofezin)、ヘキシチアゾクス(hexythiazox)、アミトラズ(amitraz)、クロルジメホルム(chlordimeform)、シラフルオフェン(silafluofen)、トリアザメイト(triazamate)、ピメトロジン(pymetrozine)、ピリミジフェン(pyrimidifen)、クロルフェナピル(chlorfenapyr)、インドキサカルブ(indoxacarb)、アセキノシル(acequinocyl)、エトキサゾール(etoxazole)、シロマジン(cyromazine)、1,3-ジクロロプロペン(1,3-dichloropropene)、ジアフェンチウロン(diafenthiuron)、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ビフェナゼート(bifenazate)、プロパルギット(propargite)、クロフェンテジン(clofentezine)、メタフルミゾン(metaflumizone)、フルベンジアミド(flubendiamide)、シフルメトフェン(cyflumetofen)、クロラントラニリプロール(chlorantraniliprole)、シアントラニリプロール(cyantraniliprole)、シクラニリプロール(cyclaniliprole)、シエノピラフェン(cyenopyrafen)、ピリフルキナゾン(pyrifluquinazon)、フェナザキン(fenazaquin)、アミドフルメット(amidoflumet)、スルフルアミド(sulfluramid)、ヒドラメチルノン(hydramethylnon)、メタアルデヒド(metaldehyde)、リアノジン(ryanodine)、ベルブチン(verbutin)、クロロベンゾエート(chlorobenzoate)、チアゾリルシナノニトリル(thiazolylcinnanonitrile)、スルホキサフロル(sulfoxaflor)、フルエンスルホン(fluensulfone)、トリフルメゾピリム(triflumezopyrim)、アフィドピロペン(afidopyropen)、フルピラジフロン(flupyradifuron)、フルキサメタミド(fluxametamide)、テトラニリプロール(tetraniliprole)、フルララネル(fluralaner)、ブロフラニリド(broflanilide)、ピフルブミド(pyflubumide)、dicloromezotiaz、fluhexafon、チオキサザフェン(tioxazafen)、fluazaindolizine、acynonapyr、ベンズピリモキサン(benzpyrimoxan)、oxazosulfyl、flupyrimin、tyclopyrazoflorのような化合物;等が挙げられる。
【0068】
更に、Bacillus thuringiensis aizawai、Bacillus thuringiensis kurstaki、Bacillus thuringiensis israelensis、Bacillus thuringiensis japonensis、Bacillus thuringiensis tenebrionis等のBacillus thuringiensisが生成する結晶タンパク毒素、昆虫病原ウイルス剤、昆虫病原糸状菌剤、線虫病原糸状菌剤等のような微生物農薬;アベルメクチン(avermectin)、エマメクチンベンゾエート(emamectin benzoate)、ミルベメクチン(milbemectin)、ミルベマイシン(milbemycin)、スピノサド(spinosad)、イベルメクチン(ivermectin)、レピメクチン(lepimectin)、DE-175、アバメクチン(abamectin)、エマメクチン(emamectin)、スピネトラム(spinetoram)のような抗生物質及び半合成抗生物質;アザディラクチン(azadirachtin)、ロテノン(rotenone)のような天然物;ディート(deet)のような忌避剤;等と、混用、併用することもできる。
【0069】
上記他の農薬中の、殺菌剤の有効成分化合物(一般名;一部申請中を含む、又は日本植物防疫協会試験コード)としては、例えば、メパニピリム(mepanipyrim)、ピリメサニル(pyrimethanil)、シプロジニル(cyprodinil)、フェリムゾン(ferimzone)のようなアニリノピリミジン系化合物;
5-クロロ-7-(4-メチルピペリジン-1-イル)-6-(2,4,6-トリフルオロフェニル)[1,2,4]トリアゾロ[1,5-a]ピリミジンのようなトリアゾロピリミジン系化合物;
フルアジナム(fluazinam)のようなピリジナミン系化合物;
トリアジメホン(triadimefon)、ビテルタノール(bitertanol)、トリフルミゾール(triflumizole)、エタコナゾール(etaconazole)、プロピコナゾール(propiconazole)、ペンコナゾール(penconazole)、フルシラゾール(flusilazole)、マイクロブタニル(myclobutanil)、シプロコナゾール(cyproconazole)、テブコナゾール(tebuconazole)、ヘキサコナゾール(hexaconazole)、ファーコナゾールシス(furconazole‐cis)、プロクロラズ(prochloraz)、メトコナゾール(metconazole)、エポキシコナゾール(epoxiconazole)、テトラコナゾール(tetraconazole)、オキスポコナゾールフマル酸塩(oxpoconazole fumarate)、シプコナゾール(sipconazole)、プロチオコナゾール(prothioconazole)、トリアジメノール(triadimenol)、フルトリアホール(flutriafol)、ジフェノコナゾール(difenoconazole)、フルキンコナゾール(fluquinconazole)、フェンブコナゾール(fenbuconazole)、ブロムコナゾール(bromuconazole)、ジニコナゾール(diniconazole)、トリシクラゾール(tricyclazole)、プロベナゾール(probenazole)、シメコナゾール(simeconazole)、ペフラゾエート(pefurazoate)、イプコナゾール(ipconazole)、イミベンコナゾール(imibenconazole)のようなアゾール系化合物;
キノメチオネート(quinomethionate)のようなキノキサリン系化合物;
マンネブ(maneb)、ジネブ(zineb)、マンゼブ(mancozeb)、ポリカーバメート(polycarbamate)、メチラム(metiram)、プロピネブ(propineb)、チラム(thiram)のようなジチオカーバメート系化合物;
フサライド(fthalide)、クロロタロニル(chlorothalonil)、キントゼン(quintozene)のような有機塩素系化合物;
ベノミル(benomyl)、シアゾファミド(cyazofamid)、チオファネートメチル(thiophanate‐methyl)、カーベンダジム(carbendazim)、チアベンダゾール(thiabendazole)、フベリアゾール(fuberiazole)のようなイミダゾール系化合物;
シモキサニル(cymoxanil)のようなシアノアセトアミド系化合物;
メタラキシル(metalaxyl)、メタラキシル-M(metalaxyl-M)、メフェノキサム(mefenoxam)、オキサジキシル(oxadixyl)、オフレース(ofurace)、ベナラキシル(benalaxyl)、ベナラキシル-M(benalaxyl-M、別名キララキシル(kiralaxyl、chiralaxyl))、フララキシル(furalaxyl)、シプロフラム(cyprofuram)、カルボキシン(carboxin)、オキシカルボキシン(oxycarboxin)、チフルザミド(thifluzamide)、ボスカリド(boscalid)、ビキサフェン(bixafen)、イソチアニル(isothianil)、チアジニル(tiadinil)、セダキサン(sedaxane)のようなアニリド系化合物;
ジクロフルアニド(dichlofluanid)のようなスルファミド系化合物;
水酸化第二銅(cupric hydroxide)、有機銅(oxine copper)のような銅系化合物;
ヒメキサゾール(hymexazol)のようなイソキサゾール系化合物;
ホセチルアルミニウム(fosetyl‐Al)、トルクロホスメチル(tolclofos‐methyl)、S-ベンジル O,O-ジイソプロピルホスホロチオエート、O-エチル S,S-ジフェニルホスホロジチオエート、アルミニウムエチルハイドロゲンホスホネート、エジフェンホス(edifenphos)、イプロベンホス(iprobenfos)のような有機リン系化合物;
キャプタン(captan)、キャプタホル(captafol)、フォルペット(folpet)のようなフタルイミド系化合物;
プロシミドン(procymidone)、イプロジオン(iprodione)、ビンクロゾリン(vinclozolin)のようなジカルボキシイミド系化合物;
フルトラニル(flutolanil)、メプロニル(mepronil)のようなベンズアニリド系化合物;
ペンチオピラド(penthiopyrad)、3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9RS)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドと3-(ジフロロメチル)-1-メチル-N-[(1RS,4SR,9SR)-1,2,3,4-テトラヒドロ-9-イソプロピル-1,4-メタノナフタレン-5-イル]ピラゾール-4-カルボキサミドの混合物(イソピラザム(isopyrazam))、シルチオファム(silthiopham)、フェノキサニル(fenoxanil)、フラメトピル(furametpyr)のようなアミド系化合物;
フルオピラム(fluopyram)、ゾキサミド(zoxamide)のようなベンズアミド系化合物;
トリホリン(triforine)のようなピペラジン系化合物;
ピリフェノックス(pyrifenox)のようなピリジン系化合物;
フェナリモル(fenarimol)のようなカルビノール系化合物;
フェンプロピディン(fenpropidin)のようなピペリジン系化合物;
フェンプロピモルフ(fenpropimorph)、トリデモルフ(tridemorph)のようなモルフォリン系化合物;
フェンチンヒドロキシド(fentin hydroxide)、フェンチンアセテート(fentin acetate)のような有機スズ系化合物;
ペンシキュロン(pencycuron)のような尿素系化合物;
ジメトモルフ(dimethomorph)、フルモルフ(flumorph)のようなシンナミック酸系化合物;
ジエトフェンカルブ(diethofencarb)のようなフェニルカーバメート系化合物;
フルジオキソニル(fludioxonil)、フェンピクロニル(fenpiclonil)のようなシアノピロール系化合物;
アゾキシストロビン(azoxystrobin)、クレソキシムメチル(kresoxim‐methyl)、メトミノストロビン(metominostrobin)、トリフロキシストロビン(trifloxystrobin)、ピコキシストロビン(picoxystrobin)、オリザストロビン(oryzastrobin)、ジモキシストロビン(dimoxystrobin)、ピラクロストロビン(pyraclostrobin)、フルオキサストロビン(fluoxastrobin)のようなストロビルリン系化合物;
ファモキサドン(famoxadone)のようなオキサゾリジノン系化合物;
エタボキサム(ethaboxam)のようなチアゾールカルボキサミド系化合物;
イプロバリカルブ(iprovalicarb)、ベンチアバリカルブ-イソプロピル(benthiavalicarb-isopropyl)のようなバリンアミド系化合物;
メチル N-(イソプロポキシカルボニル)-L-バリル-(3RS)-3-(4-クロロフェニル)-β-アラニナート(valiphenalate)のようなアシルアミノアシッド系化合物;
フェナミドン(fenamidone)のようなイミダゾリノン系化合物;
フェンヘキサミド(fenhexamid)のようなハイドロキシアニリド系化合物;
フルスルファミド(flusulfamide)のようなベンゼンスルホンアミド系化合物;
シフルフェナミド(cyflufenamid)のようなオキシムエーテル系化合物;
アントラキノン系化合物;
クロトン酸系化合物;
バリダマイシン(validamycin)、カスガマイシン(kasugamycin)、ポリオキシン(polyoxins)のような抗生物質;
イミノクタジン(iminoctadine)、ドディン(dodine)のようなグアニジン系化合物;
6-ターシャリーブチル-8-フルオロ-2,3-ジメチルキノリン-4-イル アセテート(テブフロキン(tebufloquin))のようなキノリン系化合物;
(Z)-2-(2-フルオロ-5-(トリフルオロメチル)フェニルチオ)-2-(3-(2-メトキシフェニル)チアゾリジン-2-イリデン)アセトニトリル(フルチアニル(flutianil))のようなチアゾリジン系化合物;
その他の化合物として、ピリベンカルブ(pyribencarb)、イソプロチオラン(isoprothiolane)、ピロキロン(pyroquilon)、ジクロメジン(diclomezine)、キノキシフェン(quinoxyfen)、プロパモカルブ塩酸塩(propamocarb hydrochloride)クロルピクリン(chloropicrin)、ダゾメット(dazomet)、メタムナトリウム塩(metam‐sodium)、ニコビフェン(nicobifen)、メトラフェノン(metrafenone)、UBF-307、ジクロシメット(diclocymet)、プロキンアジド(proquinazid)、アミスルブロム(amisulbrom;別名アミブロドール(amibromdole))、3-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-5-クロロ-2-メトキシ-4-メチルピリジン、4-(2,3,4-トリメトキシ-6-メチルベンゾイル)-2,5-ジクロロ-3-トリフルオロメチルピリジン、ピリオフェノン(pyriofenone)、イソフェタミド(isofetamid)マンジプロパミド(mandipropamid)、フルオピコリド(fluopicolide)、カルプロパミド(carpropamid)、メプチルジノキャップ(meptyldinocap)、スピロキサミン(spiroxamine)、フェンピラザミン(fenpyrazamine)、マンデストロビン(mandestrobin)、ZF-9646、BCF-051、BCM-061、BCM-062等が挙げられる。
【0070】
その他、本発明化合物と混用或いは併用することが可能な農薬としては、例えば、The Pesticide Manual(第15版)に記載されているような除草剤の有効成分化合物、特に土壌処理型のもの等がある。
【実施例
【0071】
次に本発明の実施例を記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。まず、本発明化合物の合成例を記載する。
【0072】
合成例1
4-(6-(トリフルオロメチル)ニコチンアミド)ニコチン酸メチル(化合物No.I-9)の合成
4-アミノ-ニコチン酸メチル(366mg、2.4mmol)、O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロリン酸塩(997mg、2.6mmol)及びトリエチルアミン(1.22mL、8.7mmol)を6-(トリフルオロメチル)ニコチン酸(418mg、2.2mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(15mL)溶液に加え室温で24時間攪拌した。反応混合物を水(50mL)に投入し、生じた固体をろ過し、目的物(426mg、収率60%)を得た。
【0073】
合成例2
4-(N-エチル-6-(トリフルオロメチル)ニコチンアミド)ニコチン酸メチル(化合物No.I-11)の合成
(1)4-クロロニコチン酸メチル(3.3g、19.2mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(40mL)溶液に70%エチルアミン水溶液(9.9g、153.9mmol)を加え、70℃で2時間攪拌した。反応混合物を水(200mL)に投入し酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過で取り除いた後、溶媒を減圧下留去し4-(エチルアミノ)ニコチン酸メチル(3.0g、収率87%)を得た。
【0074】
(2)テトラヒドロフラン(6mL)中の4-(エチルアミノ)ニコチン酸メチル(300mg、1.7mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(0.85mL、5.0mmol)の混合物に6-(トリフルオロメチル)ニコチン酸クロリド(350mg、1.7mmol)を加え、65℃で5時間攪拌した。反応混合物を水(20mL)に投入し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過で取り除いた後、溶媒を減圧下留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、目的物(437mg、収率74%)を得た。
【0075】
合成例3
4-(N-メトキシ-6-(トリフルオロメチル)ニコチンアミド)ニコチン酸メチル(化合物No.I-131)の合成
(1)O-メチルヒドロキシルアミン塩酸塩(8.4g、100.5mmol)のN-メチル-2-ピロリドン(67mL)溶液に水(13mL)、水酸化ナトリウム(2.7g、67.0mmol)、トリエチルアミン(4.7mL、33.5mmol)を順に加え室温で15分攪拌した。得られた反応混合物中に4-クロロニコチン酸メチル(5.75g、33.5mmol)を加え75℃で15時間攪拌した。反応混合物を水(300mL)に投入し酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過で取り除いた後、溶媒を減圧下留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、4-(メトキシアミノ)ニコチン酸メチル(1.7g、収率28%)を得た。
【0076】
(2)テトラヒドロフラン(9mL)中の4-(メトキシアミノ)ニコチン酸メチル(500mg、2.7mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(1.44mL、8.2mmol)の混合物に6-((トリフルオロメチル)ニコチン酸クロリド(863mg、4.1mmol)を加え、65℃で16時間攪拌した。反応混合物を水(45mL)に投入し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムを加え乾燥した。無水硫酸ナトリウムをろ過で取り除いた後、溶媒を減圧下留去した。残渣をフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:n-ヘプタン/酢酸エチル)で精製し、目的物(330mg、収率34%)を得た。
【0077】
次に、本発明に係る式(I)で表される化合物の代表例を第1表に挙げる。また、これらの化合物は、前記合成例或いは前記した種々の製造方法に基づいて合成することができる。第1表中、物性欄に記載の数値は融点(℃)を示し、「NMR」と記載した化合物についてはそれらのH-NMRスペクトルデータを第2表に挙げる。
【0078】
尚、第1表中のNo.は化合物番号を示す。
また、表中、Meはメチル基を、Etはエチル基を、Prはプロピル基を、Buはブチル基を、「cyc-」は「シクロ」を、「i-」は「イソ」を、「t-」は「ターシャリー」を、「n-」は「ノルマル」を各々表す。
また、(R)mの欄において、例えば「6-NH」と記載された化合物は、表中の化学構造式に付与した置換位置のみがRで置換されていること、即ち、6位のみがアミノにて置換されている「m=1」の化合物であることを表す。一方、「m=0」と記載された化合物は、Rにて置換されていない化合物であることを表す。他の同様の記載もこれに準じる。
化合物No.I-54のH-NMRスペクトルは、光学異性体の混合物としてそれぞれのピークが測定された。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【表3】
【0082】
【表4】
【0083】
【表5】
【0084】
【表6】
【0085】
【表7】
【0086】
【表8】
【0087】
【表9】
【0088】
【表10】
【0089】
【表11】
【0090】
試験例1 トビイロウンカに対する効果試験
本発明化合物の濃度が200ppmとなるよう調製した薬液に、イネ幼苗を浸漬処理した。薬液が風乾した後に、湿った脱脂綿で根部を包んで試験管に入れた。この中にトビイロウンカ2~3齢幼虫を約10頭放虫し、管口をガーゼでふたをして25℃の照明付恒温室内に静置した。処理5日後にトビイロウンカの生死を判定し、下記の計算式により死虫率(%)を求めた。前記化合物No.I‐4、I‐8、I‐9、I‐10、I‐11及びI‐94について試験した結果、いずれの化合物も90%以上の死虫率を示した。
死虫率(%)=(死虫数/放虫数)×100
【0091】
試験例2 タバココナジラミに対する効果試験
ポット植えのキュウリ苗にタバココナジラミ成虫を放虫した。1日間産卵させた後、キュウリ苗を取り出して25℃の照明付恒温室内に静置した。7日後、キュウリ苗に寄生している1~2齢幼虫数を調査し、本発明化合物の濃度が200ppmとなるよう調製した薬液を、ハンドスプレーを用いて散布処理した。薬液が風乾した後に、25℃の照明付恒温室内に静置した。処理7日後に老齢幼虫数を調査し、下記計算式により防除価を求めた。前記化合物No.I‐7、I‐8、I‐9、I‐10、I‐11、I‐12、I‐13、I‐15、I‐25、I‐27、I‐29、I‐30及びI‐94について試験した結果、いずれの化合物も90以上の防除価を示した。
防除価=(1-(Ta×Cb)/(Tb×Ca))×100
Ta:処理キュウリ苗における処理後の老齢幼虫数
Tb:処理キュウリ苗における処理前の1~2齢幼虫数
Ca:無処理キュウリ苗における処理後の老齢幼虫数
Cb:無処理キュウリ苗における処理前の1~2齢幼虫数
【0092】
試験例3 モモアカアブラムシに対する効果試験
試験管に水挿ししたダイコン葉上にモモアカアブラムシ成虫を5頭放虫した。1日後に成虫を取り除いた後、ダイコン葉上に寄生している幼虫数を数え、本発明化合物の濃度が200ppmとなるように調製した薬液に浸漬処理した。薬液が風乾した後に、25℃の照明付恒温室内に静置した。処理5日後にモモアカアブラムシの生死を判定し、下記の計算式により死虫率を求めた。尚、離脱虫及び異常虫は死亡虫とみなした。前記化合物No.I‐3、I‐7、I‐8、I‐9、I‐10、I‐11、I‐15、I‐25、I‐30及びI‐94について試験した結果、いずれの化合物も90%以上の死虫率を示した。
死虫率(%)=(死虫数/供試虫数)×100
【0093】
次に製剤例を記載する。
製剤例1
(1)本発明化合物 20重量部
(2)クレー 70重量部
(3)ホワイトカーボン 5重量部
(4)ポリカルボン酸ナトリウム 3重量部
(5)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム 2重量部
以上のものを均一に混合して水和剤とする。
【0094】
製剤例2
(1)本発明化合物 5重量部
(2)タルク 60重量部
(3)炭酸カルシウム 34.5重量部
(4)流動パラフィン 0.5重量部
以上のものを均一に混合して粉剤とする。
【0095】
製剤例3
(1)本発明化合物 20重量部
(2)N,N-ジメチルアセトアミド 20重量部
(3)ポリオキシエチレントリスチリルフェニルエーテル 10重量部
(4)ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム 2重量部
(5)キシレン 48重量部
以上のものを均一に混合、溶解して乳剤とする。
【0096】
製剤例4
(1)クレー 68重量部
(2)リグニンスルホン酸ナトリウム 2重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート 5重量部
(4)ホワイトカーボン 25重量部
以上の各成分の混合物と、本発明化合物とを4:1の重量割合で混合し、水和剤とする。
【0097】
製剤例5
(1)本発明化合物 50重量部
(2)アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウムホルムアルデヒド縮合物 2重量部
(3)シリコーンオイル 0.2重量部
(4)水 47.8重量部
以上のものを均一に混合、粉砕した原液に更に
(5)ポリカルボン酸ナトリウム 5重量部
(6)無水硫酸ナトリウム 42.8重量部
を加え均一に混合、造粒、乾燥して顆粒水和剤とする。
【0098】
製剤例6
(1)本発明化合物 5重量部
(2)ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル 1重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル 0.1重量部
(4)粒状炭酸カルシウム 93.9重量部
前記(1)~(3)を予め均一に混合し、適量のアセトンで希釈した後、前記(4)に吹付け、アセトンを除去して粒剤とする。
【0099】
製剤例7
(1)本発明化合物 2.5重量部
(2)N,N-ジメチルアセトアミド 2.5重量部
(3)大豆油 95.0重量部
以上のものを均一に混合、溶解して微量散布剤(ultra low volume formulation)とする。
【0100】
製剤例8
(1)本発明化合物 10重量部
(2)ジエチレングリコールモノエチルエーテル 80重量部
(3)ポリオキシエチレンアルキルエーテル 10重量部
以上の成分を均一に混合し、液剤とする。
【0101】
本発明を詳細に、また特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。本出願は2017年4月27日出願の日本特許出願(特願2017-088847)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。