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特許7081090配線基板、プローブカード、及び、配線基板の製造方法
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  • 特許-配線基板、プローブカード、及び、配線基板の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】配線基板、プローブカード、及び、配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20220531BHJP
   G01R 1/073 20060101ALI20220531BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H05K3/46 B
G01R1/073 E
H05K3/46 T
H05K1/02 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2017134809
(22)【出願日】2017-07-10
(65)【公開番号】P2019016741
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】葛西 正樹
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-151116(JP,A)
【文献】特開2017-090067(JP,A)
【文献】特開2006-324290(JP,A)
【文献】国際公開第2015/076121(WO,A1)
【文献】特開2000-183534(JP,A)
【文献】国際公開第2014/174710(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/03
H05K 3/46
G01R 1/073
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の配線層と、
前記第1の配線層を覆うように配置され、かつ、前記第1の配線層の上面の一部を露出させる柱状の開口を内部に有する絶縁層と、
前記開口に絶縁材料が充填されてなる柱状の絶縁柱体と、
平面視において前記絶縁柱体と重なるように、前記絶縁層の表面に配置され、前記第1の配線層と導通していない第2の配線層と、を備えることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記絶縁層は、前記第1の配線層を覆うように配置され、かつ、前記開口を内部に有する下層と、前記下層と前記第2の配線層との間に配置された上層と、を有し、
前記絶縁層の下層の前記開口に前記絶縁柱体が設けられており、
前記第2の配線層は、前記絶縁層の上層の表面に配置されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記絶縁層の上層は、前記絶縁層の下層と異なる材料から構成される請求項2に記載の配線基板。
【請求項4】
前記絶縁層の上層は、前記絶縁柱体と一体として形成されている請求項2又は3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第2の配線層は、前記絶縁柱体と接するように配置されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記絶縁柱体は、前記絶縁層と誘電率の異なる材料から構成される請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記第1の配線層は、基板本体の表面に配置されている請求項1~6のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項8】
前記第1の配線層は、基板本体に積層された他の絶縁層の表面に配置されている請求項1~6のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項9】
前記基板本体は、積層された複数のセラミック層を備える請求項7又は8に記載の配線基板。
【請求項10】
前記絶縁層は、樹脂層である請求項1~9のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項11】
平面視において前記絶縁柱体が前記第1の配線層の内側に収まるように配置されている請求項1~10のいずれか1項に記載の配線基板。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1項に記載の配線基板を備えることを特徴とするプローブカード。
【請求項13】
突起部を有する第1の配線層を覆うように、絶縁層の下層を形成する工程と、
前記絶縁層の下層から突出又は露出している前記突起部を除去することによって、前記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を前記絶縁層の下層の内部に形成する工程と、
前記絶縁層の下層の表面に絶縁材料を塗布することによって、前記開口に前記絶縁材料を充填して絶縁柱体を形成するとともに、前記絶縁層の下層の表面に絶縁層の上層を形成する工程と、
平面視において前記絶縁柱体と重なるように、前記絶縁層の上層の表面に第2の配線層を形成する工程と、を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項14】
突起部を有する第1の配線層を覆うように、絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層から突出又は露出している前記突起部を除去することによって、前記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を前記絶縁層の内部に形成する工程と、
前記開口に絶縁材料を充填することによって、絶縁柱体を形成する工程と、
平面視において前記絶縁柱体と重なるように、前記絶縁層の表面に第2の配線層を前記絶縁柱体と接するように形成する工程と、を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、プローブカード、及び、配線基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子の電気検査には、プローブカードと呼ばれる検査基板が使用される。プローブカードに使用される配線基板は、一般的な配線基板と同様、絶縁層の形成と配線層の形成を繰り返すことによって製造される。
【0003】
配線基板を製造する際、下層の配線層がバリ等の突起部を有していると、当該配線層を覆うように形成した絶縁層から突起部の一部が突出することがある。その場合、絶縁層から突出した突起部が上層の配線層と導通することでショート不良が発生するおそれがある。特に、プローブカードは非常に高精度な製品であり、1箇所でもショートの可能性があると品質を保証することができなくなるため、高度な管理が必要とされている。
【0004】
配線層の突起部に関する技術として、例えば、特許文献1には、プロービング痕のような突出部を表面に有する電極パッドの少なくとも一部を覆う第1の絶縁膜を形成し、第1の絶縁膜の表面から突出した部分を除去した後、第1の絶縁膜上及び電極パッド上に第2の絶縁膜を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-238627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された技術では、第1の絶縁膜の表面から突出した部分のみを研磨等の方法によって除去し、その上に第2の絶縁膜を配置している。しかし、この構成では、絶縁性は第2の絶縁膜の厚みに起因することになる。すなわち、第2の絶縁膜が厚くなるほど絶縁性は向上し、第2の絶縁膜が薄くなるほど絶縁性は低下する。したがって、絶縁性を確保するためには第2の絶縁膜を厚くする必要があるが、製品全体の厚みが大きくなる等の不具合が生じてしまう。
【0007】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、配線層のショート不良が抑制された配線基板を提供することを目的とする。本発明はまた、上記配線基板を備えるプローブカード、及び、上記配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の配線基板は、第1の配線層と、上記第1の配線層を覆うように配置され、かつ、上記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を内部に有する絶縁層と、上記開口に絶縁材料が充填されてなる絶縁柱体と、平面視において上記絶縁柱体と重なるように、上記絶縁層の表面に配置された第2の配線層と、を備えることを特徴とする。
【0009】
一実施形態において、上記絶縁層は、上記第1の配線層を覆うように配置され、かつ、上記開口を内部に有する下層と、上記下層と上記第2の配線層との間に配置された上層と、を有し、上記絶縁層の下層の上記開口に上記絶縁柱体が設けられており、上記第2の配線層は、上記絶縁層の上層の表面に配置されている。
【0010】
上記実施形態において、上記絶縁層の上層は、上記絶縁層の下層と異なる材料から構成されていてもよい。
【0011】
上記実施形態において、上記絶縁層の上層は、上記絶縁柱体と一体として形成されていることが好ましい。
【0012】
また、一実施形態において、上記第2の配線層は、上記絶縁柱体と接するように配置されている。
【0013】
上記実施形態において、上記絶縁柱体は、上記絶縁層と異なる材料から構成されていてもよい。
【0014】
本発明の配線基板において、上記第1の配線層は、基板本体の表面に配置されていてもよいし、基板本体に積層された他の絶縁層の表面に配置されていてもよい。
【0015】
本発明の配線基板において、上記基板本体は、積層された複数のセラミック層を備えることが好ましい。
【0016】
本発明の配線基板において、上記絶縁層は、樹脂層であることが好ましい。
【0017】
本発明のプローブカードは、本発明の配線基板を備えることを特徴とする。
【0018】
本発明の配線基板の製造方法は、突起部を有する第1の配線層を覆うように、絶縁層の下層を形成する工程と、上記絶縁層の下層から突出又は露出している上記突起部を除去することによって、上記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を上記絶縁層の下層の内部に形成する工程と、上記絶縁層の下層の表面に絶縁材料を塗布することによって、上記開口に上記絶縁材料を充填して上記絶縁柱体を形成するとともに、上記絶縁層の下層の表面に絶縁層の上層を形成する工程と、平面視において上記絶縁柱体と重なるように、上記絶縁層の上層の表面に第2の配線層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の配線基板の製造方法は、突起部を有する第1の配線層を覆うように、絶縁層を形成する工程と、上記絶縁層から突出又は露出している上記突起部を除去することによって、上記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を上記絶縁層の内部に形成する工程と、上記開口に絶縁材料を充填することによって、上記絶縁柱体を形成する工程と、平面視において上記絶縁柱体と重なるように、上記絶縁層の表面に第2の配線層を上記絶縁柱体と接するように形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、配線層のショート不良が抑制された配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図2図2は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図3図3は、本発明の第3実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図4図4は、本発明の第4実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図5図5A図5B図5C図5D及び図5Eは、図1に示す配線基板の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
図6図6A図6B図6C図6D及び図6Eは、図2に示す配線基板の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の配線基板、プローブカード、及び、配線基板の製造方法について説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する本発明の個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【0023】
[配線基板]
本発明の配線基板は、第1の配線層と、上記第1の配線層を覆うように配置され、かつ、上記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を内部に有する絶縁層と、上記開口に絶縁材料が充填されてなる絶縁柱体と、平面視において上記絶縁柱体と重なるように、上記絶縁層の表面に配置された第2の配線層と、を備えることを特徴とする。
【0024】
以下、本発明の配線基板の実施形態について説明する。
以下に示す各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2実施形態以降では、第1実施形態と共通の事項についての記述は省略し、異なる点についてのみ説明する。なお、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の配線基板」という。
【0025】
図1は、本発明の第1実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図1には全体的な構成が示されていないが、配線基板1は、第1の配線層11と、第1の配線層11を覆うように配置された絶縁層21と、絶縁層21の表面に配置された第2の配線層12と、を備えている。絶縁層21は、第1の配線層11の上面の一部を露出させる開口31を内部に有し、絶縁層21の開口31には、絶縁材料が充填されてなる絶縁柱体30が設けられている。図1に示す配線基板1では、第1の配線層11は、基板本体20の表面に配置されている。第2の配線層12は、平面視において、すなわち、絶縁層21が積層された方向(図1では上下方向)から見て、絶縁柱体30と重なるように配置されている。
【0026】
図1に示す配線基板1では、絶縁層21は、第1の配線層11を覆うように配置された下層21aと、下層21aと第2の配線層12との間に配置された上層21bと、を有しており、第2の配線層12は、絶縁層21の上層21bの表面に配置されている。絶縁層21の下層21aは開口31を内部に有し、絶縁層21の下層21aの開口31に絶縁柱体30が設けられている。また、絶縁層21の上層21bは、絶縁柱体30と一体として形成されている。
【0027】
図1に示す配線基板1は、第2の配線層12を覆うように絶縁層21の表面に配置された少なくとも1層の絶縁層をさらに備えてもよい。
【0028】
図2は、本発明の第2実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図2に示す配線基板2は、絶縁層21が下層と上層とを有さず、第2の配線層12が絶縁柱体30と接するように配置されていることを除いて、図1に示す配線基板1と共通の構成を有している。
【0029】
図2に示す配線基板2は、第2の配線層12を覆うように絶縁層21の表面に配置された少なくとも1層の絶縁層をさらに備えてもよい。
【0030】
図3は、本発明の第3実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図3に示す配線基板3は、第1の配線層11が他の絶縁層22の表面に配置されていることを除いて、図1に示す配線基板1と共通の構成を有している。
【0031】
図3には示されていないが、他の絶縁層22は、基板本体に積層されている。また、他の絶縁層22は、少なくとも1層であればよく、1層でもよいし、2層以上でもよい。
【0032】
図3に示す配線基板3は、第2の配線層12を覆うように絶縁層21の表面に配置された少なくとも1層の絶縁層をさらに備えてもよい。
【0033】
図4は、本発明の第4実施形態に係る配線基板の特徴部分を模式的に示す断面図である。
図4に示す配線基板4は、第1の配線層11が他の絶縁層22の表面に配置されていることを除いて、図2に示す配線基板2と共通の構成を有している。
【0034】
図4には示されていないが、他の絶縁層22は、基板本体に積層されている。また、他の絶縁層22は、少なくとも1層であればよく、1層でもよいし、2層以上でもよい。
【0035】
図4に示す配線基板4は、第2の配線層12を覆うように絶縁層21の表面に配置された少なくとも1層の絶縁層をさらに備えてもよい。
【0036】
本発明の配線基板においては、図1図4に示すように、第1の配線層と第2の配線層との間に配置された絶縁層の開口に、絶縁材料が充填されてなる絶縁柱体が設けられていることを特徴としている。絶縁柱体によって、第1の配線層と第2の配線層との導通が防止されるため、ショート不良を抑制することができる。
【0037】
本発明の配線基板は、積層された複数の絶縁層を備えることが好ましい。
本発明の配線基板が複数の絶縁層を備える場合、各層の絶縁層において、第1実施形態~第4実施形態のいずれかの構成を有することが好ましく、第1実施形態~第4実施形態の構成を組み合わせて有してもよい。各層の絶縁層に存在する絶縁柱体の形状、大きさ及び数は、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。ただし、第1実施形態~第4実施形態の構成を有していない絶縁層が存在してもよく、また、同一層の絶縁層において、絶縁柱体が設けられていない部分が存在してもよい。
【0038】
本発明の配線基板は、特に、基板本体と、上記基板本体に積層された複数の絶縁層と、を備えることが好ましい。
基板本体は、上記絶縁層とは材料及び厚さの少なくとも一方が異なる絶縁層が複数積層されてなるものであり、例えば、積層された複数のセラミック層を備える。セラミック層は、低温焼結セラミック(LTCC)材料を含む層であってもよいし、高温焼結セラミック(HTCC)材料を含む層であってもよい。基板本体は、内部配線をさらに備える。
【0039】
基板本体の厚さは、基板本体に積層された絶縁層の合計厚さよりも厚いことが好ましい。また、基板本体を構成する各絶縁層の厚さは、基板本体に積層された各絶縁層の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0040】
本発明の配線基板において、第1実施形態及び第3実施形態のように、絶縁層が下層と上層とを有し、絶縁層の上層の表面に第2の配線層が配置される場合には、配線基板の絶縁性をさらに高くすることができる。
【0041】
絶縁層の上層は、絶縁層の下層と同じ材料から構成されていてもよいし、絶縁層の下層と異なる材料から構成されていてもよい。例えば、絶縁層の上層を、絶縁層の下層と誘電率の異なる材料から構成することにより、配線基板の誘電率を調整することができる。なお、「異なる材料」には、材料の配合が異なる場合も含まれる。
【0042】
絶縁層の上層は、絶縁柱体と同時に形成することによって、絶縁柱体と一体として形成されていることが好ましい。この場合、絶縁層の上層が下層と同じ材料から構成されていれば、絶縁柱体は絶縁層の下層と同じ材料から構成され、一方、絶縁層の上層が下層と異なる材料から構成されていれば、絶縁柱体は絶縁層の下層と異なる材料から構成される。
【0043】
なお、絶縁層の上層が下層と同じ材料から構成されている場合であっても、絶縁層の上層と下層との界面、及び、絶縁層の下層と絶縁柱体との界面を区別することは可能である。
【0044】
絶縁層の上層の厚さは特に限定されないが、絶縁層の下層よりも薄いことが好ましい。絶縁層の上層の厚さは、絶縁層の全体の厚さの50%以下であることが好ましい。
【0045】
本発明の配線基板において、第2実施形態及び第4実施形態のように、絶縁柱体と接するように第2の配線層が配置される場合、配線基板の全体を薄くすることができる。
【0046】
絶縁柱体と接するように第2の配線層が配置される場合、絶縁柱体は、絶縁層と同じ材料から構成されていてもよいし、絶縁層と異なる材料から構成されていてもよい。例えば、絶縁柱体を、絶縁層と誘電率の異なる材料から構成することにより、配線基板の誘電率を調整することができる。なお、「異なる材料」には、材料の配合が異なる場合も含まれる。また、絶縁柱体が絶縁層と同じ材料から構成されている場合であっても、絶縁柱体と絶縁層との界面を区別することは可能である。
【0047】
本発明の配線基板において、絶縁層を構成する材料は特に限定されず、例えば、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサイド樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。このように、本発明の配線基板において、絶縁層は、樹脂層であることが好ましい。
【0048】
本発明の配線基板においては、第1の配線層の上面の一部が露出している限り、絶縁層が有する開口の深さは特に限定されない。例えば、本発明の配線基板を後述する方法によって製造する場合、第1の配線層の突起部を除去することによって開口を形成することができるが、第1の配線層の表面に突起部の一部が残存していてもよい。
【0049】
本発明の配線基板においては、絶縁柱体によって第1の配線層と第2の配線層とが絶縁されている限り、開口の全体を充填するように絶縁柱体が形成されていてもよいし、開口の一部(例えば、第1の配線層と絶縁柱体との間)に空洞が存在するように絶縁柱体が形成されていてもよい。
【0050】
本発明の配線基板において、絶縁柱体の形状及び大きさは、特に限定されるものではない。また、第1の配線層と第2の配線層との間に、複数の絶縁柱体が設けられていてもよい。この場合、絶縁柱体の形状及び大きさは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0051】
本発明の配線基板において、第1の配線層及び第2の配線層を構成する材料は特に限定されず、例えば、Cu、Ag、Au、Al、Ni等の金属が挙げられる。
【0052】
[プローブカード]
本発明のプローブカードは、本発明の配線基板を備えることを特徴とする。
本発明の配線基板がプローブカード用基板として使用される場合、基板本体と、上記基板本体に積層された複数の絶縁層と、を備えることが好ましい。
【0053】
本発明の配線基板は、絶縁層側の主面に設けられる表面電極にプローブピンを実装することでプローブカードとして使用することができる。
本発明の配線基板はプローブカードの全体であってもよく、本発明の配線基板がプローブカードの一部として使用されてもよい。
本発明の配線基板がプローブカードの一部として使用される場合は、スペーストランスフォーマー又はインターポーザ―と呼ばれる基板として働き、配線ピッチ変換基板として使用されることが好ましい。この場合、本発明の配線基板の基板本体側の表面電極をプローブカード本体となるプリント配線板と電気的に接続して使用する。
【0054】
本発明の配線基板がプローブカード用基板として使用される場合、絶縁層側の主面に設けられる表面電極(上面電極ともいう)のピッチは、基板本体側の主面に設けられる表面電極(下面電極ともいう)のピッチよりも狭く設定されていて、配線基板の内部に再配線構造が形成される。
【0055】
各上面電極が形成される配線基板の上部においては、検査対象である半導体素子の端子間隔に合わせるために、微細な配線パターンの形成が可能な薄膜で形成された複数の絶縁層の積層体で構成されていることが好ましい。一方、各下面電極が形成される配線基板の下部においては、絶縁層よりも剛性が高い基板本体で構成されていることが好ましい。したがって、基板本体の厚さは、基板本体に積層された絶縁層の合計厚さよりも厚いことが好ましい。また、基板本体を構成する各絶縁層の厚さは、基板本体に積層された各絶縁層の厚さよりも厚いことが好ましい。
【0056】
[配線基板の製造方法]
以下、本発明の配線基板の製造方法の実施形態について説明する。なお、各実施形態を特に区別しない場合、単に「本発明の配線基板の製造方法」という。
【0057】
本発明の配線基板の製造方法の一実施形態として、本発明の第1実施形態に係る配線基板を製造する方法について説明する。
本発明の第1実施形態に係る配線基板の製造方法は、突起部を有する第1の配線層を覆うように、絶縁層の下層を形成する工程と、上記絶縁層の下層から突出又は露出している上記突起部を除去することによって、上記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を上記絶縁層の下層の内部に形成する工程と、上記絶縁層の下層の表面に絶縁材料を塗布することによって、上記開口に上記絶縁材料を充填して上記絶縁柱体を形成するとともに、上記絶縁層の下層の表面に絶縁層の上層を形成する工程と、平面視において上記絶縁柱体と重なるように、上記絶縁層の上層の表面に第2の配線層を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0058】
図5A図5B図5C図5D及び図5Eは、図1に示す配線基板の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【0059】
図5Aでは、突起部15を有する第1の配線層11が表面に配置された基板本体20を準備する。
【0060】
基板本体20は、例えば、内部配線が形成されたセラミックグリーンシートを複数枚積層した後、焼成することにより作製することができる。
【0061】
第1の配線層11は、例えば、スパッタ等の薄膜形成法によって形成することができる。この際、異物等によって、第1の配線層11に突起部15が発生することがある。図5Aでは、第1の配線層が1つの突起部を有しているが、複数の突起部を有していてもよい。第1の配線層が複数の突起部を有する場合、突起部の形状及び大きさは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0062】
図5Bでは、基板本体20の表面に、第1の配線層11を覆うように、絶縁層の下層21aを形成する。この際、突起部の大きさによって、突起部の上面が絶縁層の下層から突出又は露出する。図5Bでは、突起部15の上面が絶縁層の下層21aから突出しているが、絶縁層の下層21aから露出する程度でもよい。また、第1の配線層が複数の突起部を有する場合、絶縁層の下層から突出も露出もしていない突起部が存在してもよい。
【0063】
絶縁層の下層21aは、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂をスピンコート等の塗布法によって塗布した後、熱で硬化させることによって形成することができる。
【0064】
図5Cでは、絶縁層の下層21aから突出している突起部15を除去することによって、第1の配線層11の上面の一部を露出させる開口31を絶縁層の下層21aの内部に形成する。
【0065】
例えば、絶縁層の下層21aが形成された基板本体20全体をウェットエッチングすることによって突起部15を除去することができる。また、レーザー等を用いて物理的に突起部15を除去してもよい。なお、絶縁層の下層から突出も露出もしていない突起部は、除去されなくてもよい。
【0066】
図5Dでは、絶縁層21の下層21aの表面に絶縁材料を塗布することによって、開口31に絶縁材料を充填して絶縁柱体30を形成するとともに、絶縁層21の下層21aの表面に絶縁層21の上層21bを形成する。これによって、絶縁層21の上層21bは、絶縁柱体30と一体として形成される。
【0067】
絶縁層21の上層21bは、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂をスピンコート等の塗布法によって塗布した後、熱で硬化させることによって形成することができる。絶縁層21の上層21bを形成するための材料は、絶縁層21の下層21aを形成するための材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0068】
図5Eでは、平面視において絶縁柱体30と重なるように、絶縁層21の上層21bの表面に第2の配線層12を形成する。
【0069】
第2の配線層12は、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。その場合、第2の配線層12は、スパッタ等により下地のTi膜を形成した後、同じくスパッタ等によりTi膜上にCu膜を成膜し、さらに、その上にレジストを形成した後、露光・現像し、Cu膜上にCu電極を電解めっき又は無電解めっきにより形成することで得られる。
【0070】
必要に応じて、絶縁層21の表面に、他の絶縁層を形成してもよい。さらに、配線層の形成と絶縁層の形成を繰り返してもよい。
【0071】
また、最上層の配線層の表面には、表面保護のために、Ni/Auめっきを施してもよい。
【0072】
以上により、図1に示す配線基板1が得られる。
【0073】
本発明の配線基板の製造方法の別の実施形態として、本発明の第2実施形態に係る配線基板を製造する方法について説明する。
本発明の第2実施形態に係る配線基板の製造方法は、突起部を有する第1の配線層を覆うように、絶縁層を形成する工程と、上記絶縁層から突出又は露出している上記突起部を除去することによって、上記第1の配線層の上面の一部を露出させる開口を上記絶縁層の内部に形成する工程と、上記開口に絶縁材料を充填することによって、上記絶縁柱体を形成する工程と、平面視において上記絶縁柱体と重なるように、上記絶縁層の表面に第2の配線層を上記絶縁柱体と接するように形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0074】
図6A図6B図6C図6D及び図6Eは、図2に示す配線基板の製造方法の一例を模式的に示す断面図である。
【0075】
図6Aでは、突起部15を有する第1の配線層11が表面に配置された基板本体20を準備する。
【0076】
図6Aに示す工程は、図5Aに示す工程と同様である。図6Aでは、第1の配線層が1つの突起部を有しているが、複数の突起部を有していてもよい。第1の配線層が複数の突起部を有する場合、突起部の形状及び大きさは、それぞれ同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0077】
図6Bでは、基板本体20の表面に、第1の配線層11を覆うように、絶縁層21を形成する。この際、突起部の大きさによって、突起部の上面が絶縁層から突出又は露出する。図6Bでは、突起部15の上面が絶縁層21から突出しているが、絶縁層21から露出する程度でもよい。また、第1の配線層が複数の突起部を有する場合、絶縁層から突出も露出もしていない突起部が存在してもよい。
【0078】
絶縁層21は、例えば、ポリイミド樹脂等の樹脂をスピンコート等の塗布法によって塗布した後、熱で硬化させることによって形成することができる。
【0079】
図6Cでは、絶縁層21から突出している突起部15を除去することによって、第1の配線層11の上面の一部を露出させる開口31を絶縁層21の内部に形成する。
【0080】
例えば、絶縁層21が形成された基板本体20全体をウェットエッチングすることによって突起部15を除去することができる。また、レーザー等を用いて物理的に突起部15を除去してもよい。なお、絶縁層から突出も露出もしていない突起部は、除去されなくてもよい。
【0081】
図6Dでは、開口31に絶縁材料を充填することによって、絶縁柱体30を形成する。絶縁柱体30を形成するための材料は、絶縁層21を形成するための材料と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0082】
図6Eでは、平面視において絶縁柱体30と重なるように、絶縁層21の表面に第2の配線層12を絶縁柱体30と接するように形成する。図6Eに示す工程は、図5Eに示す工程と同様である。
【0083】
必要に応じて、絶縁層21の表面に、他の絶縁層を形成してもよい。さらに、配線層の形成と絶縁層の形成を繰り返してもよい。
【0084】
また、最上層の配線層の表面には、表面保護のために、Ni/Auめっきを施してもよい。
【0085】
以上により、図2に示す配線基板2が得られる。
【0086】
なお、本発明の第3実施形態及び第4実施形態に係る配線基板を製造する場合には、突起部を有する第1の配線層が表面に配置された基板本体に代えて、少なくとも1層の絶縁層が積層され、かつ、突起部を有する第1の配線層が上記絶縁層の表面に配置された基板本体を準備することを除いて、それぞれ本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係る配線基板と同様に製造すればよい。この場合、第1の配線層は、第2の配線層と同様、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
【0087】
本発明の配線基板の製造方法においては、第1の配線層の突起部を完全に除去することによって開口を形成してもよいし、第1の配線層の表面に突起部の一部が残存していてもよい。
【0088】
本発明の配線基板の製造方法においては、開口の全体を充填するように絶縁柱体を形成してもよいし、開口の一部(例えば、第1の配線層と絶縁柱体との間)に空洞が存在するように絶縁柱体を形成してもよい。
【0089】
本発明の配線基板、プローブカード、及び、配線基板の製造方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、基板本体の構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0090】
1,2,3,4 配線基板
11 第1の配線層
12 第2の配線層
15 突起部
20 基板本体
21 絶縁層
21a 絶縁層の下層
21b 絶縁層の上層
22 他の絶縁層
30 絶縁柱体
31 開口
図1
図2
図3
図4
図5
図6