(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】燃料メンテナンスガイドシステム
(51)【国際特許分類】
B60W 20/18 20160101AFI20220531BHJP
B60K 6/22 20071001ALI20220531BHJP
B60W 10/00 20060101ALI20220531BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20220531BHJP
B60W 30/182 20200101ALI20220531BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20220531BHJP
F02D 45/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
B60W20/18 ZHV
B60K6/22
B60W10/00 900
B60R16/02 640D
B60R16/02 650D
B60W30/182
B60W50/14
F02D45/00
(21)【出願番号】P 2017236159
(22)【出願日】2017-12-08
【審査請求日】2020-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2017022942
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017173716
(32)【優先日】2017-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100090103
【氏名又は名称】本多 章悟
(72)【発明者】
【氏名】三戸 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 直樹
【審査官】佐々木 淳
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-149972(JP,A)
【文献】特開2016-088131(JP,A)
【文献】特開2014-091467(JP,A)
【文献】特開2012-166777(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-20/50
B60K 6/20- 6/547
B60R 16/02
B60W 30/182
B60W 50/14
F02D 45/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料消費を優先する燃料メンテナンスモードへの移行が運転者の意志にかかわらず所定条件下で自動的に実行される車両における燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記燃料の消費を促す情報を報知するための情報報知部と、
前記燃料メンテナンスモードに自動的に移行する時期を推定し推定された時期の所定期間前から前記情報報知部を報知作動させる制御部と、
を有
し、
前記情報報知部には前記燃料メンテナンスモードへの移行を避けるために必要な給油量が表示されることを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記制御部は前記車両の平均走行距離を用いて前記所定期間を算出する
ことを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記制御部は前記所定期間を前記車両の燃費に基づいて算出する
ことを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記所定期間は使用者の設定によって可変である
ことを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項5】
請求項1乃至4に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記所定期間は所定の下限値未満には設定されない
ことを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記情報報知部には前記燃料メンテナンスモードに移行するまでの日数が表示されることを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項7】
請求項1乃至6に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記情報報知部の前記報知作動は所定量以上の給油により解除される
ことを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項8】
請求項1乃至7に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記燃料メンテナンスモードに移行する前記所定条件は前記燃料が当該車両に補給されたときからの経過日数を基準に設定される
ことを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【請求項9】
請求項1乃至8に記載の燃料メンテナンスガイドシステムであって、
前記車両はプラグインハイブリッド車である
ことを特徴とする燃料メンテナンスガイドシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料メンテナンスガイドシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン等の内燃機関とモータ等の電動機とを組み合わせて走行するハイブリッド車両が知られている。近年では、モータの電力源となる充電池の性能向上や、充電池を外部の商用電源によって充電可能にするプラグインハイブリッド方式等の技術開発により、モータを主たる動力として走行可能な距離が益々伸びている。
特にプラグインハイブリッド車両においては、モータを用いて駆動輪を駆動させるEVモード、モータを動力源とするとともにエンジンを発電機として用いるシリーズモード、エンジンとモータとの双方を駆動源として用いるパラレルモード等が使い分けられている。
特に市街地等での低速走行においては、燃料消費量の低減を目的として、主としてEVモードが選択されることが多い。このときエンジンが用いる燃料は車両内に搭載された状態ではあるが、かかる状態のまま長期間経過すると、燃料の劣化等を生じるおそれがあることが知られている。燃料が劣化するとエンジンの出力、燃費、排ガス等の性能が低下するおそれがある。
そこで、最後に燃料が補給されてから所定の期間が経過したときには、通常ではモータのみを用いるEVモードが選択されるような低速域であっても、エンジンを動かして車両を駆動する燃料メンテナンスモードに強制的に切り換えて燃料消費を促進することで未使用のまま燃料が劣化することを防止する手法が知られている。
【0003】
しかしながら、運転者にとっては、住宅街や車庫入れにおいてエンジンを停止したまま静粛に走行したいにもかかわらずEVモードが選択できないため、利便性の悪化につながる懸念がある。
また、燃料メンテナンスモードの解除条件としては所定量以上の燃料補給を設定することが知られている。その場合、運転者が当該モードを解除したければ所定量以上の燃料補給を行えば良い。しかしながら、燃料残量が多い状態で当該モード移行してしまうと給油可能量が当該モード解除条件の所定量に達しないこともある。このような場合、運転者は所定量の給油が可能となるまで燃料を消費すべくエンジンを作動させなければならならず、運転者に違和感を与えてしまう問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような課題に基づきなされたものであり、燃料メンテナンスモードに入る前に燃料消費を促す情報を予め報知する燃料メンテナンスガイドシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明にかかる燃料メンテナンスガイドシステムは、燃料消費を優先する燃料メンテナンスモードへの移行が運転者の意志にかかわらず所定条件下で自動的に実行される車両における燃料メンテナンスガイドシステムであって、前記燃料の消費を促す情報を報知するための情報報知部と、前記燃料メンテナンスモードに自動的に移行する時期を推定し、推定された時期の所定期間前から前記情報報知部を報知作動させる制御部と、を有し、前記情報報知部には前記燃料メンテナンスモードへの移行を避けるために必要な給油量が表示される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、燃料メンテナンスモードに入る所定期間前から燃料の消費を促す情報を予め報知して燃料の消費を事前に促すことで燃料メンテナンスモードへの移行前から計画的に燃料を消費させることができ、ひいては燃料メンテナンスモードへの移行を効率良く避けことができる、もしくは燃料メンテナンスモードからの離脱が容易になる燃料メンテナンスガイドシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態としての車両の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示した表示部の構成の一例を示す図である。
【
図3】車両の燃料消費量の変動の一例を示す図である。
【
図4】燃料メンテナンスガイドシステムの機能構成の一例を表すブロック図である。
【
図5】事前報知制御部の動作の一例を表すフロー図である。
【
図6】ベース走行距離の算出方法の一例を表す図である。
【
図7】
図5に示した事前報知制御部の動作の変形例を表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態として、燃料メンテナンスガイドシステム100を搭載した車両500について説明する。なお、以降の説明においては特にプラグインハイブリッド方式の車両に燃料メンテナンスガイドシステムを搭載した場合について述べるが、かかる構成に限定されるものではない。また、本発明と直接関係の無い車両の構成や機能については適宜説明を省略する。
車両500は、
図1に示すように、内燃機関であるエンジン200と、電動機たるモータ300と、エンジン200の燃料を貯留するための燃料タンク210と、モータ300に電力を供給するための駆動用バッテリー310と、を有している。
車両500は、運転者に車両500の各種状態を表示するための情報報知部たる表示部10と、燃料メンテナンスガイドシステム100を制御するための制御部90と、を有している。
制御部90は、燃料の劣化を防止するための燃料メンテナンスモードに移行するまでの期間を推定する推定部たる移行日数算出部91と、移行日数算出部91によって推定された燃料メンテナンスモード開始日(モード移行日)に至るまでの所定期間だけ前の日から表示部10に燃料消費を促すための表示を行わせる事前報知制御部20と、を有している。
制御部90は、移行日数算出部91が推定した燃料メンテナンスモード開始日を過ぎたことを条件として、図示しない運転モード切替部を介して車両500を燃料メンテナンスモードへと自動的に移行させる。移行日数算出部91は例えば、所定量以上の給油から3か月後を燃料メンテナンスモード開始日と推定する。なお、かかる燃料メンテナンスモード開始日は、3か月後に限定されるものではない。
【0010】
燃料メンテナンスモードとは、例えば平素であればモータ300を駆動して電気自動車として動作する(EVモード)ような運転条件下においても、燃料の劣化の防止を目的として、エンジン200を用いて車両500をシリーズモードまたはパラレルモードとして動作させるモードを示している。
具体的には、低速域でも強制的にエンジン200によって車両を駆動させる状態を示す。
かかる燃料メンテナンスモードは、燃料の劣化防止が目的であるため、燃料タンク210内に貯留されている燃料が所定の割合以上入れ替わったことを条件として解除されることが望ましい。例えば、本実施形態では、燃料タンク210内部に15L以上の燃料が給油されたことを条件として解除する。なお、かかる割合に限定されるものではなく、燃料の劣化を防ぐために必要十分な量の給油があったことを条件として良い。
【0011】
表示部10は、
図2に示すように、車両500の使用者たる運転者に向けて車両500の各種状態を表示するためのディスプレイである。
表示部10は、燃料メンテナンスモードに関連する情報を表示可能な状態表示部11と、燃料タンク210内の燃料残量を表示するための燃料残量表示部12と、駆動用バッテリー310の残存電力を表示するための電力残量表示部13と、を有している。
【0012】
移行日数算出部91は、燃料タンク210に所定の量の給油がなされたことを条件として、
図3に示すように、給油された基準日Aを設定する。
移行日数算出部91は、基準日Aから3か月後の日を車両500が燃料メンテナンスモードになる燃料メンテナンスモード移行開始日たる予定日Bとして算定する。なお、本実施形態では例として燃料の劣化が問題になり始めるまでの期間を6か月後と推定し、燃料メンテナンスモードが強制的に開始される予定日Bを3か月後としているが、かかる期間に限定されるものではない。移行日数算出部91は、車両500に燃料が補給されたときを基準として、燃料の劣化防止のための燃料メンテナンスモードに移行する時期を推定する推定部としての機能を有している。また、移行日数算出部91は、本実施形態では日数を算出するとしているが、所定期間を算出するものであれば良く、日数、時間数、月数、等の表現を限定するものではない。
【0013】
事前報知制御部20は、予定日Bが算定されると、予定日Bよりも所定期間Cだけ前から、燃料メンテナンスモードに移行する旨を表示部10に表示させる。言い換えると事前報知制御部20は、情報報知部たる表示部10に報知作動を行わせる。
かかる構成において、事前報知制御部20は、運転者に車両500の情報を通知するための情報を生成する通知情報生成部としての機能を有している。
【0014】
事前報知制御部20が車両500が燃料メンテナンス状態に入る予定日Bに基づく情報を表示部10に表示させることによって当該情報が運転者に報知されると、例えば
図3において一点鎖線で示したように、運転者は燃料メンテナンスモードに入る前から積極的にエンジン200を用いて車両500を駆動させる(シリーズモード、パラレルモード、エンジン発電でのバッテリ充電モード等を選択いる)ことで燃料を計画的に消費させることができる。
このように、運転者の意志に基づいて車両500の運転状態を変えることで、ハイブリッド走行を活用したり、エンジン200の動力が上手く駆動用バッテリー310の電気量として蓄えたりすることで効果的に燃料を消費できる。これにより、燃料メンテナンスモードになる前に燃料タンク内の燃料残量が減少し所定量以上の燃料を給油することが容易になる。
【0015】
かかる事前通知の方法について述べる。
事前報知制御部20は、
図4に示すように、予定日Bよりも所定期間Cだけ前である通知開始日Dを算出するための通知時期算出部21を有している。
事前報知制御部20は、車両500が1日あたりに走行する距離の平均値を算出するための平均走行距離算出部22と、車両500の前回起動時からの経過日数を記録する経過日数記録部23と、走行距離を記録する走行距離記録部24と、を有している。
【0016】
かかる構成を用いて燃料メンテナンス状態に至るまでの方法について
図5を用いて説明する。
まず、車両500が起動すると、平均走行距離算出部22は、走行距離記録部24と経過日数記録部23とによって記録された走行距離と日数とを元に平均走行距離を算出する(ステップS101)。
次に、移行日数算出部91が、燃料タンク210に最後に給油された基準日Aを用いて、燃料メンテナンスモードになる予定日Bを算出する(ステップS102)。
通知時期算出部21は、平均走行距離算出部22がステップS101で求めた平均走行距離を用いて、後述の計算式に基づいて、通知開始日Dを算出する(ステップS103)。
【0017】
さて、事前報知制御部20は、例えば車両500が燃料メンテナンスモードに入らないうちに燃料を消費したいと運転者が考えたときに、運転者の判断によって優先的にエンジン200を使うことで燃料の消費を促進することを目的に設けられている。
すなわち、通知開始日Dから、予定日Bまでの所定期間Cは、運転条件によって必要十分な量の燃料が消費されうる十分な期間を開けて通知されることが望ましい。
具体的には、かかる所定期間Cにおいて運転者がエンジンを作動させながら普段の走行距離ペースで車両を使用したときの消費燃料が、燃料メンテナンスモードが解除される条件である15L以上となるように設定されることが最も望ましい。当然、かかる数値は、運転者の普段の日当たり走行距離、車両500の実用燃費等によって変動するが、消費したい日数としては一般的な走行条件では少なくとも2週間程度前に通知されれば良いと考えられる。そこで、本実施形態では、実用燃費、解除給油量、消費したい日数を基に
図6に示した計算式より、ベースとなる日当たり走行距離を13.4km/日とした。
【0018】
本実施形態では、二週間での解除給油量消費を前提としたかかるベースの走行距離を基準として、車両500の平均走行距離との差分を求め、差分1kmあたりの通知増減日数である2.3日(1ヶ月あたりの平均走行距離1kmあたりの燃料消費に必要な日数、=31日/13.4km)を乗算することで事前通知されるべき日数を調整している。ここで1kmあたりの通知増減日数は、かかる数値に限定されるものではなく、運転者の走行距離に合わせて適切に設定されていれば良い。
具体的には、車両500の平均走行距離が10km/日であったとき、所定期間Cは(13.4-10)×2.3+14=21.9日として算出されるから、基準日Aよりも21.9日前を通知開始日Dとして算出する。
また、他の例として挙げると、車両500の平均走行距離が4km/日であるときには、所定期間Cは、(13.4-4)×2.3+14=35.7日となる。
【0019】
なお、単にベースとなる走行距離からの差分に従って増減させるだけでは、特に運転者が普段から長距離を運転するような場合には、所定期間Cがとても短くなってしまい、通知開始日Dが前日あるいは当日になる場合も考えられる。
このような状況を防ぐために、本実施形態においては、事前通知最低日数(下限値)として、2週間(14日)を設定している。すなわち、所定期間Cは、かかる下限値たる事前通知最低日数未満には設定されない。かかる事前通知最低日数は、運転者の設定によって自由に変更しても構わない。また、所定期間Cを運転者が予め設定するとしても良い。
【0020】
通知時期算出部21が、通知開始日Dを設定すると、事前報知制御部20は基準日Aから経過した日数と、通知開始日Dとを比較する(ステップS104)。
ステップS104において、未だ通知開始日Dに達していない場合には、ステップS101に戻って処理を継続する。
ステップS104において、通知開始日Dを経過したときには、事前報知制御部20は、
図2に示したように、表示部10に,燃料メンテナンスモード移行までの日数(表示初日は所定期間C)を表示させる(ステップS105)。なお、表示部10には、燃料メンテナンスモード移行までの日数の表示と同時に、燃料メンテナンスモードへの移行を避けるための給油量を表示するとしても良い。
【0021】
ステップS105において表示された後、制御部90は燃料タンク210に燃料メンテ
ナンスモードの解除給油量である15L以上の給油が行われたかどうかを判別する(ステップS106)。
ステップS106において給油がなされた場合には、基準日Aが更新されるとともに、燃料メンテナンス実施予定日Bが再度計算される(ステップS107)。
なお、ステップS106において予定日Bまでに15L以上の給油が行われなかったときには、車両500は燃料メンテナンスモードに自動的に移行する。
その場合には、基準日A、予定日Bともに変更されないために、ステップS105に戻って処理が継続し、15L以上の給油が行われるまで、燃料メンテナンスモードが継続する。
このように車両500が燃料メンテナンスモードに移行したときには、特に運転者に注意を喚起することを目的として、
図7に変形例として示すような処理を行うとしても良い。
すなわちステップS106において給油がなされていないときには、事前報知制御部20は、車両500が燃料メンテナンスモードになったかどうかの判別を行う(ステップS108)。ステップS108において燃料メンテナンスモードになったと判断した場合には、事前報知制御部20は表示部10の表示を、燃料メンテナンスモード移行までの日数と燃料メンテナンスモードへの移行を避けるための給油量の表示から燃料メンテナンスモードが開始した旨や燃料の給油を促す情報の表示へと切り替える(ステップS109)。
具体的には例えば、「燃料メンテナンスモードが開始しています。一度に15L以上の給油をすると燃料メンテナンスモードは解除されます。」等のメッセージの表示に切り替える。
なお、ここでは単純なメッセージのみの表示としているが、メッセージの表示や給油量の表示を点滅表示や文字を大きくするなど、より運転者の注意を引くように強調表示するとしても良いし、かかる表示方法に限定されるものではない。
【0022】
本実施形態では、車両500は、燃料の消費を促す表示を出すための表示部10と、燃料が車両500に補給されたときを基準日Aとして、燃料の劣化防止のための燃料メンテナンスモードに移行するまでの期間を推定する移行日数算出部91と、移行日数算出部91によって推定された時期に至るまでの日数に関する情報を表示部10に表示させる事前報知制御部20と、を有している。
かかる構成により、運転者は、車両500が燃料メンテナンスモードに移行する前に、燃料を消費するように運転状態を変更できるから、運転者の判断によらない燃料メンテナンスモードへの移行を避けることが容易になる。
【0023】
また本実施形態では、車両500は、事前報知制御部20が事前表示のための所定期間Cを算出するための通知時期算出部21を有している。
かかる構成により、運転者は、車両500が燃料メンテナンスモードに移行する所定期間Cだけ前から、燃料を消費するように運転状態を変更できるから利便性が向上する。
【0024】
また本実施形態では、車両500の平均走行距離を算出する平均走行距離算出部22を有し、通知時期算出部21は、平均走行距離を用いて所定期間Cを算出する。
かかる構成により、運転者は、車両500が燃料メンテナンスモードに移行する所定期間Cだけ前から、燃料を消費するように運転状態を変更でき、所定期間Cが運転者の普段運転するときの平均走行距離に基づいて算出されるから、運転状態の計画的な変更による燃料メンテナンスモードへの自動的な移行の回避が容易である。
【0025】
また本実施形態では、通知時期算出部21は、所定期間Cを車両500の実効燃費や解除給油量などの所定の設定に基づいて算出する。
かかる構成により、車両500の車種等に合わせて所定期間Cを適切に設定することができるため、より実態に即した予定日Bと通知開始日Dを算出できる。したがって運転状態の計画的な変更による燃料メンテナンスモードへの移行回避が容易である。
【0026】
また本実施形態では、所定期間Cは、運転者の設定によって可変である。かかる構成により運転者の運転の仕方や好みに合わせた変更が行えるから、運転者にとって違和感のないタイミングでの報知を実現でき燃料メンテナンスモードへの移行回避が容易になる。
なおここでいう運転者の設定とは、例えばスイッチ等の手動操作でも良いし、表示部10のタッチパネルを操作して設定を変更することであっても良い。
【0027】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、本実施形態では、表示部は日数の表記としたが、時間数であっても良いし、文字表示に限らずグラフ表示や警告灯表示でもよく、燃料消費を促す情報報知は表示に限らず音声であってもよい。
また、本実施形態では、制御部の一機能として燃料メンテナンスガイドシステムを設けているが、かかる構成に限るものではなく、車両を制御するシステム自体が有しているとしても良いし、車両外部から表示部に情報を通知する方式や車両外部に情報を通知し情報端末などの表示部に情報を通知する方式としても良い。
【0028】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0029】
10…表示部、20…事前報知制御部、21…通知時期算出部、22…平均走行距離算出部、90…制御部、100…燃料メンテナンスガイドシステム、500…車両、A…基準日、B…予定日、C…所定期間、D…通知開始日