(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】電装品モジュール
(51)【国際特許分類】
F24F 1/24 20110101AFI20220531BHJP
F24F 1/22 20110101ALI20220531BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20220531BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
F24F1/24
F24F1/22
F25B1/00 321L
H05K7/20 M
H05K7/20 B
(21)【出願番号】P 2018121262
(22)【出願日】2018-06-26
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(74)【代理人】
【識別番号】110002653
【氏名又は名称】弁理士法人アズテックIP
(72)【発明者】
【氏名】眞砂 秀基
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-175231(JP,A)
【文献】特開2010-025515(JP,A)
【文献】特開2017-141988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/24
F24F 1/22
F25B 1/00
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サービスパネルで閉じられた空気調和機の機械室の冷媒配管に取り付けられた冷却器によってパワーデバイスが冷却される電装品モジュールにおいて、
前記空気調和機の制御を行う制御回路の一部を構成する電子部品が正面に搭載されるメイン基板と、前記制御回路の残りの部分を構成するパワーデバイスを含む電子部品が正面に搭載されるパワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載された固定板とを備え、前記固定板が、前記メイン基板の正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記機械室に取り付けられる電装品モジュールであって、
前記冷却器は、前記冷媒配管に取り付けられるメインヒートシンクと、前記パワーデバイスが取り付けられ且つ前記メインヒートシンクに熱的に結合されるサブヒートシンクを備え、該サブヒートシンクは、前記パワー基板に取り付けられていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の電装品モジュールにおいて、
前記サブヒートシンクは、前記メインヒートシンクにネジで結合され、前記パワー基板と前記固定板には前記ネジの着脱作業用の開口が形成されていることを特徴とする電装品モジュール。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電装品モジュールにおいて、
前記サブヒートシンクは、前記サブヒートシンクを前記パワー基板の正面に取り付けるための基板ホルダを有することを特徴とする電装品モジュール。
【請求項4】
請求項1、2又は3に記載の電装品モジュールにおいて、
前記固定板は、前記メイン基板を着脱自在に取り付けるための基板クランパを備えることを特徴とする電装品モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の室外機の正面のサービスパネルの奥側の機械室に取り付けられる電装品モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な空気調和機は、
図14に示すように、室外に設置される室外機10と室内に設置される室内機20を備えている。室外機10と室内機20は、冷媒配管30によって接続され、蒸気圧縮式冷凍サイクルを形成している。
【0003】
室外機10には、室外空気と冷媒を熱交換する室外熱交換器11、送風ファン11F、冷媒を圧縮する圧縮機12、圧縮機12から吐き出された潤滑油及び冷媒の混合流体から潤滑油を分離する油分離器13、流入した冷媒を膨張させて所定の圧力に減圧させる膨張弁14、流入した冷媒を気液分離するアキュムレータ15、暖房運転と冷房運転を切り替える四方弁16などが設けられている。また、室内機20には、室内空気と冷媒を熱交換する室内熱交換器21、送風ファン21Fなどが設けられている。そして、冷媒配管30は、これら室外熱交換器11、圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16、及び室内熱交換器21を接続している。冷媒配管30は、液側冷媒配管30Lとガス側冷媒配管30Gとを含む。
【0004】
室外機10は、
図15に示すように、仕切板171によって、筐体17の内部が左右方向に熱交換器室10Aと機械室10Bに区画され、熱交換器室10Aには前述した室外熱交換器11と送風ファン11Fが配置されている。機械室10Bには、前述した圧縮機12、油分離器13、膨張弁14、アキュムレータ15、四方弁16などが収容され、これらは筐体17の前面の図示しないサービスパネルを取り外すことにより、
図15に示すように外部から視認可能となっている。
【0005】
この機械室10Bには、さらに、その上下方向のほぼ中間位置に電装品モジュール40が配置されている。この電装品モジュール40は、空気調和機の全体の動作を制御する制御回路、空気調和機の各種設定を行うための設定回路、空気調和機の動作状態を表示する表示回路、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路、コンバータ回路から出力された直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路、その他の回路などを搭載したモジュールであり、プリント基板41にそれらの回路を実現するための複数の電子部品が搭載されている。プリント基板41は、機械室10Bの奥側に配管スペースを確保できるように、1枚で構成されている。
【0006】
図16にプリント基板41の正面を示す。プリント基板41は、機械室10B内に起立した姿勢で取り付けられている。このプリント基板41は上下方向に弱電領域41Aと強電領域41Bに分けて配置されている。
【0007】
弱電領域41Aには、前記した制御回路の一部を構成するマイコン等の電子部品、設定回路を構成するスイッチ41A1やプラグを抜き差しする小電力用コネクタ41A2などの操作のための電子部品やLED41A3などの表示のための電子部品等の弱電系の部品が搭載される。また、強電領域41Bには、前記した制御回路の残りを構成する電力変換を行うための強電系の複数の電子部品、例えばコンバータ回路のIC、インバータ回路のICなどのパワーデバイス41B1、平滑用の大容量電解コンデンサ41B2、大電力用コネクタ41B3などの部品が搭載される。
【0008】
強電領域41Bには、さらに、パワーデバイス41B1で発生する熱を冷却するための冷却器50が配置されている。この冷却器50は冷媒配管30の液側冷媒配管30Lに取り付けられるような形状の図示しないヒートシンクを備える。そのヒートシンクはパワーデバイス41B1が発生する熱が伝わるようにプリント基板41の正面側に図示しないサービスパネル側に向けて配置されている。液側冷媒配管30Lには、冷房運転時には室外熱交換器11で凝縮した冷媒が流れ、暖房運転時には室内熱交換器21で凝縮され膨張弁14で減圧された冷媒が流れるので、その冷媒によって冷却器50のヒートシンクが冷却され、パワーデバイス41B1の温度が所定値以下に保持される。以上説明した空気調和機については、特許文献1に記載がある。
【0009】
ところで、上記した室外機10では、1枚のプリント基板41にすべての電子部品を搭載し、冷却器50をそのプリント基板41の表側、つまり筐体17の正面を向く側に取り付けているので、プリント基板41の上下方向サイズが大きくなり、筐体17の縦方向サイズが大きくなる問題がある。
【0010】
そこで、プリント基板41の上下方向サイズを小さくする方策として、プリント基板41を弱電系電子部品を搭載したメイン基板とパワーデバイス41B1を含む強電系電子部品を搭載したパワー基板に分割する方法がある。この場合は、機械室に取り付けられる固定板を用意し、その固定板の正面側にメイン基板を取り付け、その固定板の裏面側にパワー基板を取り付けることが考えられる。
【0011】
このときは、操作や表示のための電子部品が搭載されるメイン基板が筐体17の前面を向き、パワーデバイス等が搭載されるパワー基板が奥側を向くように、それらメイン基板とパワー基板を配置することが好ましい。そして、パワー基板に半田付けされたパワーデバイスを冷却器50に結合し、その冷却器50を機械室の奥側において冷媒配管30Lに取り付けることが好ましい。
【0012】
しかし、この手法によれば、組み立てた後に電装品モジュールを取り外す必要が生じた場合は、電装品モジュールを冷却器と一体として取り外し、その後に電装品モジュールを冷却器から取り外さなければならない。つまり、電装品モジュールばかりか冷却器50までも冷媒配管30Lから取り外す作業が必要となり、作業が複雑となる。
【0013】
そこで、パワー基板にパワーデバイスを露出させるための開口を形成するとともに、固定板にパワー基板の開口が露出する開口を形成し、さらにメイン基板を固定板に着脱自在に取り付けるようにすれば、取り外したメイン基板の側から固定板の開口を経由してパワー基板のパワーデバイスに直接アクセスすることができるので、電装品モジュールを冷却器から簡単に取り外すことができる。この場合は、冷却器が冷媒配管に取り付けられた状態で残ることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところが、仕様の変更などによりメイン基板に搭載されるパワーデバイスの変更が必要となった場合は、新たなパワーデバイスの形状や寸法が異なる場合があり、例えばそのパワーデバイスが冷却器のヒートシンクの取付用のネジ穴に合致しないなど、そのままでは取り付けられないことがある。この場合は、ヒートシンクに新たな取付用のネジ穴を形成するなどの加工を行う必要がある。
【0016】
本発明の目的は、電装品モジュールのパワーデバイスを新たなパワーデバイスに変更する場合であってもヒートシンクの本体に新たなネジ穴を形成するなどの加工を行う必要がないようにした電装品モジュールを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、サービスパネルで閉じられた空気調和機の機械室の冷媒配管に取り付けられた冷却器によってパワーデバイスが冷却される電装品モジュールにおいて、前記空気調和機の制御を行う制御回路の一部を構成する電子部品が正面に搭載されるメイン基板と、前記制御回路の残りの部分を構成するパワーデバイスを含む電子部品が正面に搭載されるパワー基板と、正面に前記メイン基板の裏面が対面し裏面に前記パワー基板の裏面が対面するように前記メイン基板と前記パワー基板が搭載された固定板とを備え、前記固定板が、前記メイン基板の正面が前記サービスパネルの方向を向くように前記機械室に取り付けられる電装品モジュールであって、前記冷却器は、前記冷媒配管に取り付けられるメインヒートシンクと、前記パワーデバイスが取り付けられ且つ前記メインヒートシンクに熱的に結合されるサブヒートシンクを備え、該サブヒートシンクは、前記パワー基板に取り付けられていることを特徴とする。
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の電装品モジュールにおいて、前記サブヒートシンクは、前記メインヒートシンクにネジで結合され、前記パワー基板と前記固定板には前記ネジの着脱作業用の開口が形成されていることを特徴とする。
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の電装品モジュールにおいて、前記サブヒートシンクは、前記サブヒートシンクを前記パワー基板の正面に取り付けるための基板ホルダを有することを特徴とする。
請求項4にかかる発明は、請求項1、2又は3に記載の電装品モジュールにおいて、前記固定板は、前記メイン基板を着脱自在に取り付けるための基板クランパを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、冷却器がメインヒートシンクとサブヒートシンクを備えるようにし、そのサブヒートシンクにパワーデバイスを取り付けるようにしたので、電装品モジュールのパワーデバイスを新たなパワーデバイスに変更する場合であってもメインヒートシンクに新たなネジ穴を形成する必要がない。また電装品モジュールを機械室から取り外す際はサブヒートシンクをメインヒートシンクから取り外せばよいので、パワー基板に多数のパワーデバイスが搭載されている場合でも電装品モジュールを機械室から簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】サービスパネルを取り外した同室外機の斜視図である。
【
図3】機械室から電装品モジュールを取り外した状態の同室外機の斜視図である。
【
図4】電装品モジュールと冷却器の展開斜視図である。
【
図6】上フレームと下フレームを室外機の仕切板へ取り付ける取付説明図である。
【
図7】冷却器を備えた電装品モジュールの縦断面図である。
【
図8】(a)は
図7のA-A線の横断面図、(b)は
図7のB-B線断面図である。
【
図9】室外機の天面パネルを取り外した平面図である。
【
図10】室外機の右側面パネルを取り外した右側面図である。
【
図13】メイン基板の固定板への取付状態の横断面図である。
【
図15】従来の室外機のサービスパネルを取り外した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下の実施例では電装品モジュールを取り付けた室外機について説明する。室外機100は、
図1~
図3に示すように、その筐体110が、前面パネル111、その前面パネル111の右横のサービスパネル112、右側面パネル113、左側面パネル114、天面パネル115、背面パネル116、底面パネル117を備え、底面パネル117には脚118が取り付けられている。
【0021】
この筐体110は仕切板119によって、正面パネル111の奥側が熱交換器室110Aになり、サービスパネル112の奥側が機械室110Bになるように、左右方向に区画されている。この仕切板119は機械室110Bの壁面の一部を構成している。そして、熱交換器室110Aに前述した室外熱交換器11や送風ファン11Fが配置されている。また、機械室110Bに、
図15で説明した冷媒配管30、圧縮機12、膨張弁14、アキュムレータ15、サブアキュムレータ15A、四方弁16などが収容されている。機械室110Bは、サービスパネル112を取り外すことにより、室外機100の前面側から視認可能となっている。
【0022】
200は電装品モジュールであり、
図2~
図10に示すように、正面がサービスパネル112の裏面と対面するよう機械室110Bに配置される固定板210と、固定板210の上部にネジ止めされる長尺形状の上フレーム220と、固定板210の下部にネジ止めされる長尺形状の下フレーム230と、上フレーム220を仕切板119に取り付ける取付金具240と、下フレーム230を仕切板119に取り付ける取付金具250と、制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品等の弱電系の電子部品が搭載されるメイン基板260と、制御回路の残りの部分を構成する電子部品、その他の電子部品、後記するパワーデバイス274等の強電系の電子部品が搭載されるパワー基板270を備える。
【0023】
このように、電装品モジュール200のプリント基板はメイン基板260とパワー基板270に分かれていて、メイン基板260の裏面260bが固定板210の正面211aに対面するように固定板210に搭載され、パワー基板270の裏面270bが固定板210の裏面211bに対面するよう固定板210に搭載される。
【0024】
300はメインヒートシンク310とサブヒートシンク330を有する冷却器であり、冷媒配管30LのU字折曲部31が取り付けられた状態で上フレーム220と下フレーム230に跨るように、その上フレーム220と下フレーム230に取り付けられる。
【0025】
固定板210は、
図4に示すように、正面211aにメイン基板260が搭載され裏面211bにパワー基板270が搭載される本体部211と、その本体部211の上端から裏面211bの方向に90度に折り曲げられた補強用の上横片212と、その折曲片212の後端から上方に90度に折り曲げられた取付用の上縦片213を備える。また、本体部211の下端から正面211aの方向に90度に折り曲げられた補強用の下横片214と、その下横片214の前端から下方に90度に折り曲げられた下縦片215とを備える。その下縦片215の両端には下方に突出させた取付部215aが形成されている。
【0026】
そして、この固定板210の本体部211の
図4における右側には、開口216、217が上下方向に並べて形成されている。また、本体部211の正面211aの4ヶ所の角部付近には基板クランパ280がそれぞれ取り付けられている。
【0027】
上フレーム220は、固定板210の上縦片213にネジ止めされる縦片221と、その縦片221の上端から後方に90度に折り曲げられた補強用の上横片222と、縦片211の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片223とを備える。224は冷却器300が取り付けられる上フレーム取付用端部である。
【0028】
下フレーム230は、固定板210の下縦片215にネジ止めされる下縦片231と、下縦片231の上端から後方に90度に折り曲げられた上横片232と、上横片232の奥端から上方に90度に折り曲げられた補強用の上縦片233と、下縦片231の左端から前方に向けて45度に折り曲げられた取付片234とを備える。そして、下縦片231の正面側には端子板400が取り付けられる。235は冷却器300が取り付けられる下フレーム取付用端部である。
【0029】
冷却器300は、アルミニウム製のメインヒートシンク310と、そのヒートシンク310に形成された断面が半円形状の2個の溝311に嵌め込まれる液側冷媒配管30LのU字折曲部31と、そのU字折曲部31をメインヒートシンク310に固定するための板金製のカバー320と、メインヒートシンク310の溝311が形成された面と反対側の平面312に固定されるサブヒートシンク330とを備える。
【0030】
カバー320は、液側冷媒配管30LのU字折曲部31をヒートシンク310に押し付ける中央の押え部321と、その押え部321の一方の側端から折り曲げられたフック部322と、押え部321の他の側端からフック部322と向き合うように折り曲げられた取付部323とを備える。
【0031】
サブヒートシンク330は、メインヒートシンク310と同じアルミニウム製の板材で形成され、
図5に示すように、その正面330aの上端には正面330aの方向に突出するように両側に爪331aを有する基板ホルダ331が取り付けられ、下端にも正面330aの方向に突出するように両側に爪332aを有する基板ホルダ332が取り付けられ、また正面330aから裏面330bに貫通する2個の取付孔330c、330dが形成されている。そして、このサブヒートシンク330の正面330aにはパワー基板270に搭載されるパワーデバイス274が後記するようにネジB1~B6で固定されている。
【0032】
メイン基板260には、その正面260aに、前記したように制御回路の一部を構成する電子部品やその他の電子部品等の弱電系の電子部品が搭載されている。即ち、
図11に示すように、表示器としてのLEDランプ261a、操作部としてのディップスイッチ261bやボタンスイッチ261cなどを含む表示設定回路261、制御回路の一部を構成するマイクロコンピュータ等の制御IC262、周辺部に配置される複数のコネクタ263、コンデンサ264aやコモンモードチョークコイル264bを含む外来ノイズ及び自発ノイズの対策用のEMC(ElectroMagnetic Compatibillity)フィルタ回路264、膨張弁14や四方弁16を駆動する駆動回路265、配管30の温度を検出する図示しないサーミスタに接続される温度検出回路266など弱電系の電子部品が搭載されている。260bはメイン基板260の裏面である。260cは上端、260dは下端、260eは左端、260fは右端である。このメイン基板260は、裏面260bが固定板210の本体部211の正面211aと対面するように、その正面211aに搭載される。
【0033】
パワー基板270には、その正面270aに、前記したように制御回路の残りの部分を構成する後記するパワーデバイス274を含む弱電系の電子部品が搭載されている。即ち、
図12に示すように、整流用のダイオードブリッジ271a、バイポーラトランジスタのゲート部分にMOSFETを組み込み動作抵抗を小さくしたIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子271b、高速動作用のFRD(Fast Recovery Diode)素子271c、力率改善用のPFC(Power Factor Correction)コイル271d、大電力平滑用の電解コンデンサ271eが搭載される。これらダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、PFCコイル271d、電解コンデンサ271eなどは、外部から供給される交流電力を直流電力に変換して出力するコンバータ回路271を構成する。さらに、駆動回路や自己保護機能が組み込まれコンバータ回路271から供給される直流電力を交流電力に変換して出力するインバータ回路を構成するIPM(Intelligent Power Module)素子272も搭載されている。さらに、スイッチング電源回路273を構成するスイッチングトランス273aやスイッチングIC273bなどの素子も搭載されている。270bはパワー基板270の裏面である。270cは上端、270dは下端、270eは左端、270fは右端である。ダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272などは、発熱の大きなパワーデバイス274であり、左端270eの近傍に縦並びで搭載されている。このパワー基板270は、裏面270bが固定板210の本体部211の裏面211bと対面するように、その裏面211bに搭載される。
【0034】
そして、このパワー基板270には、
図4にも示したように、パワーデバイス274が配置される領域の上部に開口270gが形成され、下部に開口270hが形成され、その開口270gの上部の左右両側にサブヒートシンク330の基板ホルダ331の爪331aが係合する係合孔270iが形成され、開口270hの下部の左右両側にサブヒートシンク330の基板ホルダ332の爪332aが係合する係合孔270jが形成されている。パワーデバイス274はサブヒートシンク330にネジ止めされ、パワー基板270の正面270aに半田付けされる。
【0035】
なお、
図4、
図5では、パワーデバイス274がパワー基板270へ半田付けされる直前の状態、つまりサブヒートシンク330に取り付けられた状態を示した。そして、パワーデバイス274がパワー基板270へ半田付けされ、サブヒートシンク330がメインヒートシンク310にネジ止めされることで、パワーデバイス274に発生した熱がサブヒートシンク330を経由してメインヒートシンク310に伝達され、冷媒配管30Lに伝達されるようになっている。
【0036】
さて、室外機100の機械室110Bに電装品モジュール200を配置するには、まず、パワーデバイス274をサブヒートシンク330の正面330aにネジB1~B6によって取り付けて(
図7)から、そのサブヒートシンク330の上側の基板ホルダ331の係止爪331aをパワー基板270の係合孔270iに係合し、下側の基板ホルダ332の係止爪332aをパワー基板270の係合孔270jに係合することで、サブヒートシンク330をパワー基板270の正面に取り付ける。そして、パワーデバイス274のそれぞれのリードをパワー基板270に半田付けすることにより、サブヒートシンク330がパワー基板270に取り付けられる。そして、サブヒートシンク330が取り付けられたパワー基板270を固定板210の裏面210bに図示しないネジで搭載する。さらに、その固定板210の上下に上フレーム220と下フレーム230をネジ止めする。
【0037】
一方、斜面241を有する取付金具240と、斜面251を有する取付金具250を仕切板119に予め取り付けておく(
図3)。そして、
図6に示すように、上フレーム220の取付片223を取付金具240の斜面241にネジ止めし、下フレーム230の取付片234を取付金具250の斜面251にネジ止めする。これにより、固定板210の上下にネジ止めされている上フレーム220と下フレーム230が、仕切板119に片持ち支持の形で横姿勢で取り付けられる。
【0038】
次に、
図8(a)、(b)に示すように、メインヒートシンク310の溝311に冷媒配管30LのU字折曲部31を押し当ててから、カバー320のフック部322をヒートシンク310の一方のカバー取付部313に係合し、カバー320の押え部323をヒートシンク310の他方のカバー取付部314に押し付けて、その押え部323の上部と下部をカバー取付部314にネジB7、B8で固定する。この作業は室外機100の背面パネル116を取り外した状態で行われる。以上によって、メインヒートシンク310が冷媒配管30Lに取り付けられる。
【0039】
次に、
図7に示すように、上フレーム220の縦片221の取付用端部224をメインヒートシンク310の上部にネジB9で固定し、下フレーム230の上縦片233の取付用端部235をメインヒートシンク310の下部にネジB10で固定する。そして、パワー基板270が取り付けられた固定板210の上縦片213を上フレーム220に対してネジB11で固定し、その固定板210の下縦片215を下フレーム230にネジB12で固定する。
【0040】
以上によってパワー基板270のパワーデバイス274が取り付けられたサブヒートシンク330の裏面330bがメインヒートシンク310の平面312に当接するので、サブヒートシンク330の取付孔330cからに挿通したネジB13と、取付孔330dから挿通したネジB14によって、サブヒートシンク330をメインヒートシンク310に固定する。ネジB13の締め付けは、固定板210の開口216とパワー基板270の開口270gからドライバを差し込んで行い、ネジB14の締め付けは、固定板210の開口217とパワー基板270の開口270hからドライバを差し込んで行う。これにより、サブヒートシンク330とメインヒートシンク310が一体化され、それらが1個のヒートシンクとして機能することになる。
【0041】
なお、サブヒートシンク330の板厚が薄い場合は、パワーデバイス274を取り付けるネジB1の先端がメインヒートシンク310に当たって締め付けが不十分になる場合があるが、このような場合は、
図8(a)に示すように、メインヒートシンク310にネジB1の先端を逃がすための凹部315を設けておけばよい。メインヒートシンク310の残りのネジB2~B6に対応する箇所についても同様の凹部を設けておけばよい。
【0042】
最後に、固定板210の本体部211の正面211aの4ヶ所の基板クランパ280に、メイン基板260の4ヶ所の角部を結合させると、
図13に示すように、本体部211の正面211aにメイン基板260が取り付けられる。
【0043】
以上のようにして機械室110Bに電装品モジュール200が取り付けられた後に、その電装品モジュール200のメイン基板260のコネクタ263に所要の配線が接続されたプラグが接続され、端子板400に所要の別の配線が接続される。
【0044】
このように本実施例では、メイン基板260とパワー基板270を、上フレーム220と下フレーム230にネジ止めされる固定板210の両面に搭載するので、それらメイン基板260とパワー基板270の上下方向サイズを、メイン基板260とパワー基板270を上下に並べて1枚とした場合のプリント基板の上下方向サイズと比較して、大幅に小さくすることができ、上下スペースに余裕が少ない筐体を有する室外機にも有効に適用することができる。
【0045】
また、電装品モジュール200を冷却器300から取り外すときは、まずサービスパネル112を取り外して電装品モジュール200を露出させ、固定板210に取り付けた基板クランパ280の爪281を
図13に示すように外側に広げて、固定板210からメイン基板260を取り外す。
【0046】
この結果、固定板210の開口216、217とメイン基板270の開口270g、270hが、サービスパネル112の側に露出する。そこで、ドライバを開口216、270gから差し込んでネジB13を取り外し、ドライバを開口217、270hから差し込んでネジB14を取り外すと、サブヒートシンク330が取り付けられた状態のパワー基板270をメインヒートシンク310から分離することができる。よって、この後、固定板210を上フレーム220と下フレーム230から取り外せば、固定板210をパワー基板270及びサブヒートシンク330と一体として外部に取り出すことができる。パワーデバイス274の取り外しは、それらパワーデバイス274のリードの半田を温めながらパワー基板270からサブヒートシンク330の基板ホルダ331、332を引き抜くことで可能となる。以上のようにして、電装品モジュール200の交換や修理等のメンテナンスが可能となる。
【0047】
このように、ダイオードブリッジ271a、IGBT素子271b、FRD素子271c、IPM素子272等のパワーデバイス274は、メインヒートシンク310には取り付けられていないので、メインヒートシンク310を取り外すことなく、サブヒートシンク330を交換することだけで、現在のパワー基板270からパワーデバイス274を新たなパワーデバイスに取り替えた新たなパワー基板270に交換することができる。よって、後加工によりメインヒートシンク310に新たなパワーデバイス用の新たなネジ穴を形成する必要がない。このため、新たなパワーデバイスを直接メインヒートシンク310に固定する場合に問題となる位置ずれや代替パワーデバイスのリードに加わるストレスを回避することができる。
【0048】
また、サブヒートシンク330はメインヒートシンク310に対して少ない数のネジ(実施例では2個のネジB13,B14)で取り付けることができるので、パワーデバイス274のそれぞれをネジB1~B6でメインヒートシンク310に固定する場合に比べて、取付/取り外しの作業性が向上する。
【0049】
さらに、パワー基板270に形成される開口270g、270hはネジB13,B14の着脱のためだけに使用されるので、その開口面積を小さくすることができる。このため、パワー基板270の強度劣化を防止できると共に基板面積の減少を回避することができる。
【符号の説明】
【0050】
30L:液側冷媒配管、31:U字折曲部
100:室外機、110:筐体、110A:熱交換器室、110B:機械室、111:正面パネル、112:サービスパネル、113:右側面パネル、114:左側面パネル、115:天面パネル、116:背面パネル、117:下面パネル、118:スタンド、119:仕切板
200:電装品モジュール、210:固定板、220:上フレーム、230:下フレーム、240,250:取付金具、260:メイン基板、270:パワー基板、274:パワーデバイス、280:基板クランパ
300:冷却器、310:メインヒートシンク、320:カバー、330:サブヒートシンク
400:端子板