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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】照明器具
(51)【国際特許分類】
   F21V 7/09 20060101AFI20220531BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20220531BHJP
   F21V 29/70 20150101ALI20220531BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20220531BHJP
   F21V 7/22 20180101ALI20220531BHJP
   F21V 5/00 20180101ALI20220531BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20220531BHJP
【FI】
F21V7/09 100
F21V29/503
F21V29/70
F21V7/00 320
F21V7/22
F21V5/00 320
F21Y115:10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018131887
(22)【出願日】2018-07-11
(65)【公開番号】P2020009698
(43)【公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000192
【氏名又は名称】岩崎電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160967
【弁理士】
【氏名又は名称】▲濱▼口 岳久
(72)【発明者】
【氏名】小田 祐司
【審査官】竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-147290(JP,A)
【文献】特開2018-14264(JP,A)
【文献】特開2012-89395(JP,A)
【文献】特開2009-40227(JP,A)
【文献】特開2010-3677(JP,A)
【文献】特開2014-203686(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172219(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 7/09
F21V 29/503
F21V 29/70
F21V 7/00
F21V 7/22
F21V 5/00
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具であって、
可視光を照射する照明用LED及び紫外線を照射するUVLEDが実装面に実装されたLED基板と、
前記実装面に対向する第1の主面及び該第1の主面に平行な第2の主面を有し、前記照明用LEDに対応する位置において前記第1の主面から前記第2の主面にかけて相対的に広角に開口する反射面で画定される第1の開口孔、及び前記UVLEDに対応する位置において前記第1の主面から前記第2の主面にかけて相対的に狭角に開口する反射面で画定される第2の開口孔を有する反射鏡と、
前記LED基板及び前記反射鏡を相互に固定する器具筐体と
を備える照明器具。
【請求項2】
前記UVLEDが複数のUVLEDからなり、前記第2の開口孔が複数の第2の開口孔からなり、前記複数のUVLEDが前記照明用LEDを中心とする円周上に配置され、前記複数の第2の開口孔が前記第1の開口孔を中心とする円周上において前記複数のUVLEDに対応して配置された、請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
前記反射鏡の第2の主面側に配置され、前記第1の開口孔を覆う粗面化された拡散領域及び前記第2の開口孔を覆う透明領域を有する前面ガラスをさらに備えた請求項1又は2に記載の照明器具。
【請求項4】
前記拡散領域の粗面化の処理が、前記前面ガラスの上面又は下面の少なくとも一方のすり加工又はフロスト加工である、請求項3に記載の照明器具。
【請求項5】
前記反射鏡が、前記第1の主面側の第1の反射鏡及び前記第2の主面側の第2の反射鏡の積層体からなり、前記第1の開口孔の前記反射面及び前記第2の開口孔の前記反射面のそれぞれが前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡との間で連続的に形成されるように前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡とが当接された、請求項1から4のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記第1の反射鏡と前記第2の反射鏡の当接面において、前記第1の反射鏡又は前記第2反射鏡の一方が前記第1の開口孔及び前記第2の開口孔の全体を囲む凸部を有し、前記第1の反射鏡又は前記第2の反射鏡の他方が前記凸部と嵌合する凹部を有する、請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
前記反射鏡が、金属材料が蒸着された樹脂材料で構成されたものである、請求項1から6のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項8】
前記反射鏡が、プレス加工された金属材料で構成されたものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の照明器具。
【請求項9】
前記LED基板の前記実装面に対向する基板背面に接触配置されたヒートシンクをさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関し、特に光触媒用近紫外線光源を有する照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の照明器具は、広角用レンズに対応する広角用のLEDと、広角用レンズより配光角度が狭い狭角用レンズに対応する狭角用のLEDとを備える。照明器具は、並列配置された広角用スライドボリュームと狭角用スライドボリュームとを備える。広角用スライドボリュームは、所定の方向に操作されると広角用のLEDの光出力を減少させ、上記所定の方向と逆方向に操作されると広角用のLEDの光出力を増加させるように構成される。狭角用スライドボリュームは、上記所定の方向に操作されると狭角用のLEDの光出力を増加させ、上記所定の方向と逆方向に操作されると狭角用のLEDの光出力を減少させるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-14980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、光触媒加工が施されているトイレ、シンクなどの対象物に紫外線(UV)が照射されると、その表面で汚染物質が分解され、防汚、脱臭、抗菌、浄化などの効果が得られることが知られている。UVがトイレなどの対象物以外の箇所に照射されると、その被照射物によってはUVに起因して劣化してしまう場合があるため、UVの照射は対象物に対して指向性を高めて行うことが望ましい。上記特許文献1の構成によると、LEDの配光(広角又は狭角)が各LEDに対応したレンズによって調整され、一部の所定のLEDについての狭角配光が可能となる。しかし、この狭角配光構成をUVLEDによるUV照射に適用しようとすると、特に狭角用レンズの選定に困難が伴う。安価な樹脂製のレンズを用いるとそのレンズがUVによって劣化してしまい、一方、ガラス製のレンズを用いるとUVによる劣化は回避されるものの、ガラス製レンズ自体が高価であるため、照明器具が高コスト化してしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、可視光の広角照射及び紫外線の狭角照射の双方を可能とする低コストな照明器具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の照明器具は、可視光を照射する照明用LED及び紫外線を照射するUVLEDが実装面に実装されたLED基板と、実装面に対向する第1の主面及び第1の主面に平行な第2の主面を有し、照明用LEDに対応する位置において第1の主面から第2の主面にかけて相対的に広角に開口する反射面で画定される第1の開口孔、及びUVLEDに対応する位置において第1の主面から第2の主面にかけて相対的に狭角に開口する反射面で画定される第2の開口孔を有する反射鏡と、LED基板及び反射鏡を相互に固定する器具筐体とを備える。
【0007】
上記構成の照明器具によると、反射鏡が、照明用LEDに対応する位置において相対的に広角で開口する反射面で画定される第1の開口孔、及びUVLEDに対応する位置において相対的に狭角で開口する反射面で画定される第2の開口孔を有する。このように、レンズを用いることなく可視光の広角照射とUVの狭角照射とが両立される。したがって、可視光の広角照射及びUVの狭角照射の双方を可能とする低コストな照明器具が実現される。
【0008】
ここで、UVLEDは複数のUVLEDからなり、第2の開口孔は複数の第2の開口孔からなり、複数のUVLEDは照明用LEDを中心とする円周上に配置され、複数の第2の開口孔は第1の開口孔を中心とする円周上において複数のUVLEDに対応して配置される。これにより、比較的高出力の発光が可能な照明用LED及び比較的低出力のUVLEDについて、スペース効率の高い合理的配置が実現され、さらに照明器具の汎用性が確保される。
【0009】
また、照明器具は、反射鏡の第2の主面側に配置され、第1の開口孔を覆う粗面化された拡散領域及び第2の開口孔を覆う透明領域を有する前面ガラスをさらに備えることが望ましい。これにより、照明用LEDからの可視光照射の更なる広角化が可能となるとともに、照明器具の耐UV性及び低コスト性が保持される。なお、拡散領域の粗面化の処理は、前面ガラスの上面又は下面の少なくとも一方のすり加工又はフロスト加工であることが好ましい。これにより、前面ガラスの低コスト性が保持される。
【0010】
また、反射鏡は、第1の主面側の第1の反射鏡及び第2の主面側の第2の反射鏡の積層体からなり、第1の開口孔の反射面及び第2の開口孔の反射面のそれぞれが第1の反射鏡と第2の反射鏡との間で連続的に形成されるように第1の反射鏡と第2の反射鏡とが当接されるように構成され得る。これにより、反射鏡に蒸着処理が施される場合に、第1の反射鏡及び第2の反射鏡のそれぞれにおいて各開口孔の低いアスペクト比が確保され、効率的かつ均一な蒸着膜の形成が可能となる。
【0011】
さらに、第1の反射鏡と第2の反射鏡の当接面において、第1の反射鏡又は第2の反射鏡の一方が第1の開口孔及び第2の開口孔の全体を囲む凸部を有し、第1の反射鏡又は第2の反射鏡の他方は凸部と嵌合する凹部を有することが好ましい。これにより、各開口孔から上記当接面を介して反射鏡外部に漏れ得るUVが凸部によって遮蔽されるので、外部部材におけるUV照射に起因する劣化が抑制される。また、凸部及び凹部の嵌合によって、第1の反射鏡と第2の反射鏡との位置決めが促進される。
【0012】
反射鏡は、金属材料が蒸着された樹脂材料で構成され得る。これにより照明器具の軽量化が可能となる。また、反射鏡は、プレス加工された金属材料で構成されてもよい。これにより、反射鏡の量産性が高まり、加工コストの低減が可能となる。
【0013】
照明器具は、LED基板の実装面に対向する基板背面に接触配置されたヒートシンクをさらに備えることが望ましい。このように、照明器具の温度上昇が抑制されることにより、照明用LED及びUVLEDの動作温度が適正化されるだけでなく、LED基板、反射鏡、器具筐体などの熱膨張係数の相違に起因する配光のずれが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態による照明器具を示す分解斜視図である。
図2】本発明の実施形態による照明器具を示す側方断面図である。
図3】本発明の実施形態による照明器具における反射鏡を説明する図である。
図4A】本発明の実施形態によるUVLED照射システムのブロック図である。
図4B】本発明の実施形態によるUVLED照射システムのブロック図である。
図4C】本発明の実施形態によるUVLED照射システムのブロック図である。
図5A】本発明の実施形態におけるUVLED点灯装置のブロック図である。
図5B】本発明の実施形態におけるUVLED点灯装置のブロック図である。
図5C】本発明の実施形態におけるUVLED点灯装置のブロック図である。
図5D】本発明の実施形態におけるUVLED点灯装置のブロック図である。
図6】本発明の実施形態によるUVLED照射システムの一態様を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
図1に本発明の本実施形態による照明器具1の分解斜視図を示し、図2に照明器具1が組み立てられた場合の器具中心軸X0に沿う側方断面図を示す。照明器具1はLED基板2、反射鏡3、前面ガラス4、器具筐体5及びヒートシンク6を備え、反射鏡3は上部反射鏡3a及び下部反射鏡3bからなる。図2に示すように、これらのLED基板2、上部反射鏡3a及び下部反射鏡3b、前面ガラス4、器具筐体5並びにヒートシンク6は、器具中心軸X0の方向に相互に集積されて照明器具1を構成する。
【0016】
なお、以降の説明において使用される「上」、「下」などの表現は、説明の便宜上、図面の上下方向に従って使用されるが、同表現は照明器具1の実際の設置方向を限定するものではない。また、以降の説明で使用される「平面視」は上記の器具中心軸X0に垂直な視方向を意味するが、同表現も照明器具1の実際の設置方向を限定するものではない。また、本開示において使用される用語「UV」とは、用途に応じて適宜の波長を有する紫外線、例えば近紫外線(波長200~380nm)を含むものとする。
【0017】
LED基板2は、基板背面21及び実装面22を有する。LED基板2は、例えばアルミベース基板などである。実装面22の中心部に照明用LED23(以下、「白色LED23」ともいう)が実装され、実装面22の周縁部、すなわち、白色LED23の周囲に複数の(10個の)UVLED24が実装される。本実施形態では、UVLED24は、白色LED23を中心とする円周上に配置される。白色LED23は白色光を照射するLED素子であり、UVLED24の各々は光触媒用の近紫外線を照射するLED素子である。白色LED23は一か所に集合配置された複数のLED素子であり、これらは直列接続又は直並列接続される。複数のUVLED24は、直列接続又は直並列接続される。なお、各LED間のパターン配線の図示は省略されている。
【0018】
なお、白色LED23は、照明空間での用途に応じて、黄色(電球色)などの他の発光色のLEDに代替されてもよい。すなわち、白色LED23は、照明器具1の仕様に応じて適宜の可視光を照射する照明用LEDである。白色LED23は、不図示の配線を介して器具外部の白色LED用の電源装置から直流電流の供給を受ける。複数のUVLED24は、不図示の配線を介して器具外部のUVLED用の電源装置から直流電流の供給を受ける。
【0019】
反射鏡3は、LED基板2側の上部反射鏡3a及び前面ガラス4側の下部反射鏡3bからなり、略円盤形状を有する。言い換えると、反射鏡3は、器具中心軸X0方向において上部反射鏡3a及び下部反射鏡3bに分割された略円盤形状部材の積層体である。上部反射鏡3a及び下部反射鏡3bは、例えば、成形されたポリカーボネートなどの耐熱性の樹脂にアルミが蒸着されて形成される。さらに、アルミ蒸着面上にUV増反射膜が付加されてもよい。
【0020】
上部反射鏡3aは、図1に示すように、LED基板2の実装面22に対向する上面31a及びそれに実質的に平行な下面32aを有する。上部反射鏡3aは、白色LED23に対応する位置において上面31aから下面32aにかけて貫通する開口孔33a、及びUVLED24に対応する位置において上面31aから下面32aにかけて貫通する10個の開口孔34aを有する(図の明瞭化のために1つの符号のみを示す)。なお、10個の開口孔34aの各々は同じ構造を有するので、以下ではその1つを代表して説明する。
【0021】
図2に示すように、開口孔33aは、上面31aから下面32aに拡がるようにテーパ状に開口し、その側方断面(すなわち、開口孔33aの中心軸X1に沿った断面)は台形状である。また、各開口孔34aは、上面31aから下面32aに拡がるように開口し、その側方断面(すなわち、開口孔34aの中心軸X2に沿った断面)は略楕円形状の一部分となる。開口孔33aの内壁は、アルミ蒸着された反射面35aを形成する。各開口孔34aの内壁は、アルミ蒸着され、好ましくはUV増反射膜が付加された反射面36aを形成する。なお、上部反射鏡3aの作製工程において、開口孔33aの反射面36aにUV増反射膜が付加されても問題はない。
【0022】
下部反射鏡3bは、図1に示すように、上部反射鏡3aの下面32aに対向する上面31b及びそれに実質的に平行な下面32bを有する。下部反射鏡3bは、白色LED23に対応する位置において上面31bから下面32bにかけて貫通する開口孔33b、及びUVLED24に対応する位置において上面31bから下面32bにかけて貫通する10個の開口孔34bを有する(図の明瞭化のために1つの符号のみを示す)。なお、10個の開口孔34bの各々は同じ構造を有するので、以下ではその1つを代表して説明する。
【0023】
図2に示すように、開口孔33bは、上面31bから下面32bに拡がるようにテーパ状に開口し、その側方断面(すなわち、開口孔33bの中心軸X1に沿った断面)は台形状である。また、各開口孔34bは、上面31bから下面32bに拡がるように開口し、その側方断面(すなわち、開口孔34bの中心軸X2に沿った断面)は略楕円形状の一部分となる。開口孔33bの内壁は、アルミ蒸着された反射面35bを形成する。各開口孔34bの内壁は、アルミ蒸着され、好ましくは紫外線増反射膜が付加された反射面36bを形成する。なお、下部反射鏡3bの作製工程において、開口孔33bの反射面36bにUV増反射膜が付加されても問題はない。
【0024】
ここで、各開口孔34bの開口角は開口孔33bの開口角よりも狭い。より詳細には、開口孔33bの反射面35bが中心軸X1となすテーパ角をαとし、開口孔34bが下面32bに達する位置において反射面36b(その接線)が中心軸X2となす角をβとすると、α>βである。すなわち、開口孔33bについての開口角αは相対的に大きく、各開口孔34bについての開口角βは相対的に小さい。
【0025】
上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとが積層された場合、すなわち上部反射鏡3aの下面32aと下部反射鏡3bの上面31bとが当接された場合に、平面視において、開口孔33aと開口孔33bとが対応し、各開口孔34aと各開口孔34bとが対応するように位置決め構成が設けられる。例えば、上部反射鏡3aの下面32a及び下部反射鏡3bの上面31bに、相互に嵌合可能な凹凸部が設けられてもよい。そして、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとが相互に位置決めされた場合に、開口孔33aの反射面35aと開口孔33bの反射面35bとが連続的な反射面35を形成し、開口孔34aの反射面36aと開口孔34bの反射面36bとが連続的な反射面36を形成する。このように開口孔33a及び開口孔33bが連続して開口孔33を構成し、各開口孔34a及び各開口孔34bが連続して各開口孔34を構成する。その結果として、開口孔33は相対的に広角となり、各開口孔34は相対的に狭角となる。
【0026】
図3に、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bが結合された場合の反射鏡3の概略図を示す。図3(a)は反射鏡3を下面32b側から観た平面図であり、図3(b)は反射鏡3の側方透視図である。図3(a)及び図3(b)においては、図の明瞭化のために、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bの境界、反射鏡3の外側部構造などの図示が省略されている。図3(a)に示すように、下部反射鏡3bの下面32bは、中心部の開口孔33bの開口端33be及びその周囲の10個の開口孔34bの開口端34beを有する。また、上部反射鏡3aの上面31aは、中心部の開口孔33aの開口端33ae及びその周囲の10個の開口孔34aの開口端34aeを有する。なお、本実施形態では、開口端34aeは正方形であるが、開口端34aeの形状はこれに限られず、円形などであってもよい。また、本実施形態では、器具中心軸X0に垂直な視方向において、開口孔33がテーパ状に形成されるが、開口孔33は楕円形状、放物面など他の二次曲面形状に形成されてもよい。また、本実施形態では、器具中心軸X0に垂直な視方向において、開口孔34は楕円形状に形成されるが、開口孔34はテーパ状、又は放物面などの他の二次曲面形状に形成されてもよい。いずれの場合であっても、開口孔33(反射面35)が相対的に広角となり、各開口孔34(反射面36)が相対的に狭角となるように構成される。
【0027】
なお、本実施形態では、白色LED23及びUVLED24の照射方向(光軸)、すなわち中心軸X1及びX2が器具中心軸X0と平行(例えば、天井又は床面に対して垂直)となるように配光設計されているが、これらの照射方向は開口孔33及び34の設計によって適宜変更可能である。白色LED23の照射方向(中心軸X1)が器具中心軸X0となす角と、UVLED24の照射方向(中心軸X2)が器具中心軸X0となす角とは、相互に異なっていてもよい。例えば、白色LED23の照射方向(中心軸X1)が器具中心軸X0と平行であり、UVLED24の照射方向(中心軸X2)が器具中心軸X0に対して所定の角度を有していてもよい。
【0028】
また、図1及び図2に示すように、上部反射鏡3aの下面32aには、その周縁部に隆線状の凸部37が設けられる。凸部37は、開口孔33a及び複数の開口孔34aの全体を囲むように形成され、好ましくは連続体として形成される。一方、下部反射鏡3bの上面31bには、その周縁部に溝状に凹部38が設けられる。凹部38は、凸部37に対応して形成され、すなわち、開口孔33a及び複数の開口孔34aの全体を囲むように形成され、好ましくは連続体として形成される。凸部37と凹部38とは相互に嵌合可能に構成される。凸部37の高さ及び凹部38の深さは、双方が嵌合した場合に上部反射鏡3aの下面32aと下部反射鏡3bの上面31bとが当接可能となるように設定される。
【0029】
凹部38が設けられることによって、上部反射鏡3aの下面32aと下部反射鏡3bの上面31bとの間に生じ得るわずかな隙間から、特にUVLED24から反射鏡3の側方外側にUVが漏れることが防止される。これにより、後述する樹脂製の器具筐体6に対するUV照射が防止され、器具筐体6の劣化が抑制される。また、凸部37及び凹部38の嵌合によって、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとの位置決めが促進される。特に、凸部37及び凹部38が平面視において完全な円形状でない場合には、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとの相対的な回転が規制されて位置決め機能が向上する。また、凸部37及び凹部38が平面視において非対称形状である場合には、双方の嵌合によって、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとの相対位置が確定し、誤った組立てが防止される。
【0030】
なお、本実施形態では、上部反射鏡3aの下面32aに凸部37が設けられるとともに下部反射鏡3bの上面31bに凹部38が設けられるが、上部反射鏡3aの下面32aに凹部38が設けられるとともに下部反射鏡3bの上面31bに凸部37が設けられてもよい。また、上部反射鏡3aの下面32aに凸部37の一部及び凹部38の一部が設けられるとともに下部反射鏡3bの上面31bに凸部37の残余の部分及び凹部38の残余の部分が設けられ、凸部37の一部と凹部38の残余の部分とが嵌合するとともに凸部37の残余の部分と凹部38の一部とが嵌合するようにしてもよい。この場合、凸部37及び凹部38が平面視において円形であったとしても、凸部37の一部の両端と凸部37の残余の部分の両端とが当接することによって上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとが回転が規制され、相互の位置決めが可能となる。
【0031】
反射鏡3の作製において、反射鏡3の少なくとも反射面35a、36a、35b及び36bは、上述したようにアルミなどの金属の蒸着によって鏡面化される。ここで、反射鏡3が上部反射鏡3aと下部反射鏡3bに分割されることにより、反射鏡3を一体形成した場合と比べて低いアスペクト比(深さ/孔径)の開口孔33a、34a、33b及び34bが形成され、蒸着時の膜厚の均一性が向上し、鏡面性の高い反射面を得ることができる。また、反射面36a及び36b(開口孔34a及び34b)に対するUV増反射膜の蒸着においても同様の効果が得られる。
【0032】
前面ガラス4は、上面41及び下面42を有する円盤状のガラス板であり、上面41が下部反射鏡3bの下面32bに対向するように配置される。前面ガラス4は中心の拡散領域43及び周縁の透明領域44からなり、拡散領域43は粗面化される。拡散領域43は、反射鏡3bの開口孔33bに対応する位置、好ましくは開口孔33bを覆う位置に設けられる。すなわち、拡散領域43の上部には、開口孔33及び白色LED23が位置する。透明領域44は、反射鏡3bの複数の開口孔34bに対応する位置、好ましくは複数の開口孔33bを覆う位置に設けられる。すなわち、透明領域44の上部には、複数の開口孔34及び複数のUVLED24が位置する。拡散領域43の粗面化処理は、上面41及び下面42のいずれか一方又は双方に対して、すり加工(例えば、サンドブラスト加工)、フロスト加工(例えば、サンドブラスト加工及びその後のフッ酸処理)などによって施される。
【0033】
器具筐体5は、樹脂製のハウジングであり、一体形成された上部側の筒状部51、中段のテーパ部54及び下部側の平坦部55を有する。筒状部51は、器具中心軸X0方向に開口した環状の筒体(例えば円筒)である。筒状部51は、内面52及び内部上面53を有する。反射鏡3及び前面ガラス4が内面52及び内部上面53に対して固定される。反射鏡3及び前面ガラス4と内面52及び内部上面53との相互の位置決めは、適宜の構成(相互に嵌合する全体的又は部分的構成など)によってなされるものとする。テーパ部54は、筒状部51から下方に開口する円錐体の一部であり、白色LED23及び複数のUVLED24の照射範囲を確保する。照明器具1が天井内部に取り付けられると、平坦部55の上面が天井面に当接し、器具中心軸X0が天井面に垂直となる。
【0034】
ヒートシンク6は、金属製の放熱板であり、天板部61及び側壁部62を有する。天板部61は、LED基板2の基板背面21に接触配置され、適宜の固定部材でLED基板2に結合される。例えば、LED基板2及び天板部61の相互に対応する位置にネジ穴が切られ、このネジ穴にボルトが挿通されて双方が固定される。側壁部62は、照明器具1が組立てられた状態において、その内周側に反射鏡3及び器具筐体5の筒状部51を含むように構成される。必要に応じて放熱フィン(不図示)が天板部61の上面に固定され、更なる放熱性が確保され得る。
【0035】
<反射鏡3の代替実施形態>
上記実施形態では、反射鏡3が上部反射鏡3a及び下部反射鏡3bの積層体からなる構成を示したが、反射鏡3は一体形成されてもよい。また、上記実施形態では、反射鏡3が樹脂及びそれに付加された金属蒸着膜からなる構成を示したが、反射鏡3は(積層体からなる場合であっても一体形成される場合であっても)アルミなどの金属で構成されてもよい。この場合、反射鏡3は、その金属材料のプレス加工(金型成形など)によって形成され得る。反射鏡3が一体形成される場合には、当然に凸部37及び凹部38は不要であり、存在しない。
【0036】
<システム構成>
図4A図4Cに照明器具1を用いたUVLED照射システム100のブロック図の例を示す。UVLED照射システム100は、例えば、トイレに設置され、壁掛便器(不図示)などの対象物を含む照明空間に照明を与えるとともに、光触媒加工された壁掛便器をUV殺菌するものである。
【0037】
図4Aに示すUVLED照射システム100は、白色LED110、UVLED120、白色LED点灯装置130、UVLED点灯装置140、人感センサ150、臭気センサ160及び制御部170を備える。白色LED110は上述の白色LED23又は複数の白色LED23のアレイに対応し、UVLED120は上述の複数のUVLED24のアレイに対応する。上記構成要素のうち、少なくとも白色LED110及びUVLED120が、照明器具1に設けられる。人感センサ150は、照明器具1(器具筐体5)に取り付けられてもよいし、照明器具1の外部(照明空間の天井など)に別置されてもよい。同様に、臭気センサ160は、照明器具1(器具筐体5)に取り付けられてもよいし、照明器具1の外部(照明空間の天井など)に別置されてもよい。白色LED点灯装置130、UVLED点灯装置140及び制御部170は、例えば商用電源などの交流電源から給電される。
【0038】
白色LED110は、対象物を含む照明空間(すなわち、室内)に照明を与える照明用LEDである。白色LED点灯装置130は、交流電源からの交流電圧を直流電流に変換して、この直流電流を白色LED110に供給する。白色LED点灯装置130の動作状態は、制御部170によって決定される。
【0039】
UVLED120は、照射範囲に含まれる壁掛便器などの対象物にUVを照射する。なお、対象物の表面には光触媒加工(コーティング)が施されている。すなわち、対象物にUVLED120からUVが照射されると、対象物の表面の汚れ成分が光触媒作用によって分解され、これにより対象物の洗浄が行われる。UVLED点灯装置140は、交流電源からの交流電圧を直流電流に変換して、この直流電流をUVLED120に供給する。UVLED点灯装置140の動作状態は、制御部170によって決定される。
【0040】
人感センサ150は、室内(すなわち、トイレ全体)の人体の在/不在を検知する。人感センサ150は、検知エリアにおける熱の短時間的な変化を感知して人体の在/不在を検知する焦電型赤外線センサ、撮像素子によって撮像された画像に画像認識技術を適用して人体の在/不在を検知する画像センサ、又は発射したマイクロ波の反射波から人体の動きを検出して在/不在を検知するマイクロ波センサである。人感センサ150は、照明空間内の人体の在/不在に応じて反転する人感検知信号を生成し、この人感検知信号を制御部170に出力する。説明の便宜上、人感検知信号は、人体の在/不在にそれぞれ対応する在信号/不在信号からなるものとする。すなわち、在信号及び不在信号の一方が「0」で表され、他方が「1」で表される。
【0041】
臭気センサ160は、対象物の臭気レベルLaを検知する。臭気センサ160は、大気中のアンモニア成分を検出するセンサであり、アンモニア成分の検知量を電気信号である臭気レベルLaに変換する。ここで、臭気センサ160は、(照明器具1の外部に取り付けられる場合)天井など、室内において対象物よりも高い位置に(好ましくは最も高い位置に)設置されることが好ましい。これにより、空気よりも軽いアンモニアの成分が臭気センサ160によって確実に検出される。臭気センサ160は、臭気レベルLaを示す汚染レベル信号(例えば、アナログ信号)を生成し、汚染レベル信号を制御部170に出力する。
【0042】
制御部170は、点消灯制御部171、及び反転タイマ173又はUV用タイマ174を含み、マイコンなどで構成される。また、制御部170は、必要に応じてUV強度決定部172を含む。制御部170は、人感検知信号又は汚染レベル信号に応じて、白色LED点灯装置130及びUVLED点灯装置140の出力状態を決定する。以下に、人感センサ150、臭気センサ160、反転タイマ173又はUV用タイマ174の個々の動作に関して、制御部170の動作を説明する。
【0043】
点消灯制御部171は、人感センサ150から在信号が入力される場合、白色LED点灯装置130に白色LED110を点灯させ、UVLED点灯装置140にUVLED120を消灯させる。一方、点消灯制御部171は、人感センサ150から不在信号が入力される場合、その入力の直後又は所定時間経過後に、白色LED点灯装置130に白色LED110を消灯させ、UVLED点灯装置140にUVLED120を点灯させる。上記の所定時間は数秒であればよく、この所定時間を確保することによって、使用者が静止したことに起因して不在信号が出力されてしまった場合に(おそらくは白色LED110の消灯に応じて使用者が動くことによって在信号が再出力される)、その使用者にUVが照射されてしまうことを防止することができる。
【0044】
点消灯制御部171は、臭気センサ160からの汚染レベル信号の周期レベルLoが所定のオン閾値を超えた場合に、UVLED点灯装置140にUVLED120を点灯させる。そして、点消灯制御部171は、汚染レベル信号の周期レベルLoがオフ閾値未満となった場合に、UVLED点灯装置140にUVLED120を消灯させる。なお、オフ閾値はオン閾値未満であることが好ましい。
【0045】
UV強度決定部172は、UVLED点灯装置140の出力を制御する。例えば、UV強度決定部172は、臭気センサ160からの汚染レベル信号の臭気レベルLaに応じて、UVLED点灯装置140の出力を制御する。一例として、UV強度決定部172は、臭気レベルLaの増加/減少に応じてUVLED120からのUV照射強度がそれぞれ増加/減少するようにUVLED点灯装置140の出力状態を決定するように構成され得る。ただし、システム構成の簡素化のために、UV強度決定部172は省略されてもよい。
【0046】
反転タイマ173は、時刻に応じて白色LED110の点灯/消灯とUVLED120の消灯/点灯とを切り換える(反転する)ように白色LED点灯装置130及びUVLED点灯装置140の出力を制御する。反転タイマ173は、例えば、照明空間における業務時間内には白色LED110が点灯されるとともにUVLED120が消灯され、業務時間外には白色LED110が消灯されるとともにUVLED120が点灯されるように設定される。UVLED照射システム100が駅舎のトイレに設置される場合には、業務時間は駅が利用可能となる時間帯に対応する。UVLED照射システム100が商業施設のトイレに設置される場合には、業務時間は商業施設の営業時間に対応する。
【0047】
UV用タイマ174は、白色LED110の点消灯には関与せず、時刻に応じてUVLED120の点消灯のためにUVLED点灯装置140の出力を制御する。UV用タイマ174は、例えば、特定の時間帯に、白色LED110の点灯状態にかかわらず、UVLED120が点灯されるように設定される。これは、例えば駅舎のトイレなどにおいて、ラッシュ後の時間帯(すなわち、壁掛便器などの対象物の汚染度が高くなる時間)に、例外的に白色LED110及びUVLED120の双方の点灯を行うものである。このUV用タイマ174によりUVLED120が点灯される場合、トイレの使用者が受けるUV量を軽減するために、UV強度決定部172及びUVLED点灯装置140はUVLED120を低出力状態で点灯させてもよいし、間欠的に点灯させてもよい。
【0048】
なお、白色LED110及びUVLED120の点消灯状態を決定するための人感センサ150、臭気センサ160、反転タイマ173又はUV用タイマ174は、設置場所、用途などに応じて選択的に採用され得る。例えば、人感センサ150、臭気センサ160、反転タイマ173又はUV用タイマ174は単独で使用されてもよいし、人感センサ150及び臭気センサ160が併用されてもよい。人感センサ150及び臭気センサ160が併用される場合、使用者の在/不在と臭気レベルLaが閾値を超えているか否かとの組合せに対する白色LED110及びUVLED120の点消灯の関係は以下の通りである。なお、臭気レベルLaがオン閾値を超えてからオフ閾値を下回るまでの状態を臭気Highといい、それ以外の状態を臭気Lowというものとする。
使用者在、臭気High・・・・白色LED110:点灯、UVLED120:消灯
使用者在、臭気Low・・・・・白色LED110:点灯、UVLED120:消灯
使用者不在、臭気High・・・白色LED110:消灯、UVLED120:点灯
使用者不在、臭気Low・・・・白色LED110:消灯、UVLED120:消灯
【0049】
また、使用者不在かつ臭気Lowの状態において、UV強度決定部172がUVLED点灯装置140にUVLED120を低出力で点灯させるようにしてもよい。この低出力点灯は、汚染レベルが低下しないまでも増加しないようなUV強度での点灯であればよい。これにより、その後の時間において、使用者在の状態が長時間にわたって継続し、臭気レベルLaがオン閾値を超えたにもかかわらずUVLED120の消灯状態を継続させなければならない状態が発生する可能性が低減される。
【0050】
図5A及び図5Bは、図4Aに示すUVLED照射システム100において少なくとも人感センサ150及び臭気センサ160が採用される場合のUVLED点灯装置140の構成を説明する図である。なお、図5A及び図5B(並びに後述の図5C及び図5D)では、図の明瞭化のためにUVLED120として3個のLED素子のみを示すが、実際の接続数はこれに限られない。UVLED点灯装置140は、整流回路及びDC/DCコンバータで構成され得る。
【0051】
図5Aに、DC/DCコンバータの一例として、フライバックコンバータを示す。例えば、UVLED点灯装置140は、整流回路141、入力コンデンサ142、トランス143、スイッチング素子(FET)144、ダイオード145、出力コンデンサ146及びドライバ147を備える。FET144は、ドライバ147によってPWM駆動される。制御部170(点消灯制御部171)は、使用者在又は臭気Lowの状態においてドライバ147の動作を停止させてFET144をオフに維持する。一方、制御部170は、使用者不在かつ臭気Highの状態に応じてドライバ147にFET144を駆動させる。また、UV強度決定部172が設けられる場合には、制御部170は、臭気レベルLaの増加/減少に応じて、FET144のPWM駆動におけるオン時間(又はオンデューティ)を増加/減少させ、UVLED120によるUV照射強度を増加/減少させる。なお、白色LED点灯装置130も、上記と同様の構成のDC/DCコンバータを有していればよい。
【0052】
また、図5Bに示すように、スイッチ素子(FET)149がDC/DCコンバータ148の出力経路に挿入接続されてもよい。なお、DC/DCコンバータ148には、フライバックコンバータ、力率改善回路+降圧チョッパ回路(バック型コンバータ)など、任意の形態のコンバータが採用され得る。制御部170(点消灯制御部171)は、使用者在又は臭気Lowの状態においてFET149をオフに維持し、使用者不在かつ臭気Highの状態においてFET149をオンする。また、UV強度決定部172が設けられる場合には、制御部170は、臭気レベルLaの増加に応じて、FET149のPWM駆動におけるオンデューティを増加/減少させて、UVLED120からのUV照射強度を増加/減少させる。FET149のPWM駆動におけるスイッチング周波数は、0.1Hz~100kHz程度であればよい。UVLED120の点灯は使用者の不在時を前提とするため、そしてUV照射自体が可視光ではないため、点灯に起因するちらつきなどが現れてもよい。したがって、スイッチング周波数の下限は、制御部170及びFET149の性能などに応じて決定される。また、スイッチング周波数の上限は、制御部170及びFET149の性能、スイッチングノイズの要件などに応じて決定される。
【0053】
図4Bに示すUVLED照射システム100は、白色LED110、UVLED120、人感センサ150、臭気センサ160、制御部170及び白色/UVLED共用点灯装置180(以下、「共用点灯装置180」という)を備える。共用点灯装置180は、交流電源からの交流電圧を直流電流に変換して、この直流電流を白色LED110又はUVLED120に供給する。共用点灯装置180の動作状態は、制御部170によって決定される。
【0054】
図5Cは、図4Bに示すUVLED照射システム100において少なくとも人感センサ150及び臭気センサ160が採用される場合の共用点灯装置180の構成を説明する図である。共用点灯装置180は、整流回路181、DC/DCコンバータ182並びにスイッチ素子(FET)183及び184を備える。整流回路181及びDC/DCコンバータ182は、図5Bの整流回路141及びDC/DCコンバータ148と実質的に同様である。FET183はDC/DCコンバータ182と白色LED110の間の出力経路に挿入接続され、FET184はDC/DCコンバータ182とUVLED120の間の出力経路に挿入接続される。
【0055】
制御部170(点消灯制御部171)は、使用者在の状態においてFET183をオンに維持するとともにFET184をオフに維持し、使用者不在かつ臭気Highの状態においてFET183をオフに維持するとともにFET184をオンに維持する。制御部170(点消灯制御部171)は、使用者不在かつ臭気Lowの状態においては、FET183及びFET184をオフに維持する。ただし、この場合は、制御部170から共用点灯装置180への制御信号(図5Cの破線参照)によって、FET183又は184の動作とは別に共用点灯装置180の出力動作を停止させてもよい。また、UV強度決定部172が設けられる場合には、制御部170は、図5BのFET149の駆動と同様に、FET184のPWM駆動におけるオンデューティを増加/減少させてUVLED120からのUV照射強度を増加/減少させることができる。
【0056】
図4Cに示すUVLED照射システム100は、白色LED110、UVLED120、人感センサ150、臭気センサ160、制御部170、共用点灯装置180及び切替スイッチ185を備える。切替スイッチ185は、リレースイッチなどである。共用点灯装置180及び切替スイッチ185の動作状態は、制御部170によって決定される。
【0057】
図5Dは、図4Cに示すUVLED照射システム100において少なくとも人感センサ150及び臭気センサ160が採用される場合の共用点灯装置180及び切替スイッチ185の構成を説明する図である。共用点灯装置180は、整流回路181及びDC/DCコンバータ182を備える。切替スイッチ185は、DC/DCコンバータ182と白色LED110及びUVLED120との間の出力経路に挿入接続される。
【0058】
制御部170(点消灯制御部171)は、使用者在の状態において切替スイッチ185を白色LED110側の接点C1に位置させ、使用者不在かつ臭気Highの状態において切替スイッチ185をUVLED120側の接点C2に維持する。制御部170(点消灯制御部171)は、使用者不在かつ臭気Lowの状態においては、制御部170から共用点灯装置180への制御信号によって、切替スイッチ185の動作とは別に共用点灯装置180の出力動作を停止させてもよい。あるいは、切替スイッチ185が非接続接点(すなわち、白色LED110にもUVLED120にも接続されない接点)を有する場合には、使用者不在かつ臭気Lowの状態において、制御部170(点消灯制御部171)は切替スイッチ185を当該非接続接点に位置させる。また、UV強度決定部172が設けられる場合には、制御部170は、図5Aのドライバ147の制御と同様にDC/DCコンバータ182を制御してUVLED120からのUV照射強度を増加/減少させることができる。
【0059】
上記の共用点灯装置180(DC/DCコンバータ182)の一実施例を以下に示す。本例では、白色LED110は、2個の白色LED素子の直列回路が2列並列接続された回路(すなわち、4個の白色LED素子の直並列接続回路)で構成される。UVLED120は、6個の白色LED素子の直列回路が2列並列接続された回路(すなわち、12個の白色LED素子の直並列接続回路)で構成される。白色LED素子及びUVLED素子の各々の定格電流はともに700mAであり、白色LED素子の1素子当たりの順方向電圧Vfは11.9Vであり、UVLED素子の1素子当たりの順方向電圧Vfは3.7Vである。すなわち、出力電流:1400mA(700mA×2)及び出力電圧:22~24V(11.9V×2=23.8V、3.7V×6=22.2V)の共用点灯装置180が、白色LED110及びUVLED120に共通の点灯装置となる。
【0060】
図4B及び図4C並びに図5C及び図5Dに示したように、白色LED110及びUVLED120に対して点灯装置を共用化することによって、システムの小規模化及び低コスト化が可能となる。なお、制御部170が、DC/DCコンバータ182が白色LED110又はUVLED120のいずれに接続されるのかに応じて共用点灯装置180の出力を調整する調整機能を有していてもよい。この場合、白色LED110とUVLED120の定格値(定格電流又は順方向電圧Vf)が異なっていても、共用点灯装置180が白色LED110及びUVLED120に共通の点灯装置となり得る。
【0061】
本実施形態のUVLED照射システム100は、上述したように、各1つの白色LED110、UVLED120、白色LED点灯装置130及びUVLED点灯装置140又は共用点灯装置180(及び切替スイッチ185)、人感センサ150、臭気センサ160並びに制御部170を1ユニットとして成立する。一方、UVLED照射システム100が複数の照明器具1を含む場合に、人感センサ150及び臭気センサ160の設置数は、照明器具1の設置数よりも少なくてもよい(すなわち、人感センサ150及び臭気センサ160が複数の照明器具1に共有されてもよい)。
【0062】
例えば、図6に示すように、UVLED照射システム100は、照明空間に対して、1つの人感センサ150、1つの臭気センサ160及び1つの制御部170並びにn個のユニットU-1~U-nを備えるようにしてもよい。この場合、ユニットU-1~U-nの各々が、白色LED110、白色LED点灯装置130、UVLED120及びUVLED点灯装置140を備える。また、白色LED点灯装置130及びUVLED点灯装置140の代わりに共用点灯装置180(及び切替スイッチ185)が採用されてもよい。なお、ユニットU-1~U-nを総称して又はいずれか1つを代表してユニットUという。
【0063】
この構成では、人感センサ150から在信号が出力される場合、制御部170の点消灯制御部171(不図示)が、各ユニットUの白色LED点灯装置130に白色LED110を点灯させ、UVLED点灯装置140にUVLED120を消灯させる。一方、人感センサ150から不在信号が出力される場合、制御部170の点消灯制御部171が、各ユニットUの各々の白色LED点灯装置130に白色LED110を消灯させる。さらに、人感センサ150から不在信号が出力される場合でかつ臭気センサ160からの汚染レベル信号が臭気Highを示す場合には、制御部170の点消灯制御部171が、各ユニットUの各々のUVLED点灯装置140にUVLED120を点灯させる。また、UV強度決定部172(不図示)が設けられる場合には制御部170は、臭気センサ160からの汚染レベル信号の臭気レベルに応じて、各ユニットUのUVLED点灯装置140の出力を制御するようにしてもよい。
【0064】
なお、UVLED照射システム100の構成には、種々のバリエーションが可能である。例えば、人感センサ150の設置数と臭気センサ160の設置数とは異なっていてもよい。複数の人感センサ150が同じ室内に設置される場合には、複数の不在信号の論理和(OR)が採用されるものとする。また、複数の臭気センサ160が同じ室内に設置される場合には、複数の汚染レベル信号が示す臭気レベルの平均値、中央値又は最大値が採用されるものとする。また、1つのUVLED120の照射エリアが、1つの対象物に対応するようにしてもよいし、複数の対象物を含むようにしてもよい。
【0065】
<実施形態の照明器具1の総括>
以上のように、本実施形態の照明器具1は、可視光を照射する照明用LED23及びUVを照射するUVLED24が実装面22に実装されたLED基板2と、実装面22に対向する第1の主面(上面31a)及び上面31aに平行な第2の主面(下面32b)を有し、照明用LED23に対応する位置において上面31aから下面32bにかけて相対的に広角に開口する反射面35で画定される開口孔33及びUVLED24のそれぞれに対応する位置において上面31aから下面32bにかけて相対的に狭角に開口する反射面36で画定される開口孔34を有する反射鏡3と、LED基板2及び反射鏡3を相互に固定する器具筐体5とを備える。
【0066】
上記構成の照明器具1によると、反射鏡3が、照明用LED23に対応する位置において相対的に広角で開口する反射面35で画定される開口孔33及びUVLED24に対応する位置において相対的に狭角で開口する反射面36で画定される開口孔34を有する。このように、レンズを用いることなく照明光の広角照射とUVの狭角照射とが両立される。したがって、照明光の広角照射及びUVの狭角照射の双方を可能とする低コストな照明器具1が実現される。
【0067】
ここで、複数のUVLED24が照明用LED23を中心とする円周上に配置され、複数の開口孔34が開口孔33を中心とする円周上において複数のUVLED24に対応して配置されることが好ましい。これにより、比較的高出力の発光が可能な照明用LED23及び比較的低出力のUVLED24について、スペース効率の高い合理的配置が実現され、さらに照明器具1の汎用性が確保される。
【0068】
また、照明器具1は、反射鏡3の下面32b側に配置され、開口孔33を覆う粗面化された拡散領域43及び複数の開口孔34を覆う透明領域44を有する前面ガラス4をさらに備える。これにより、照明用LED23からの可視光照射の更なる広角化が可能となるとともに、照明器具1の耐UV性及び低コスト性が保持される。なお、拡散領域43の粗面化の処理は、前面ガラス4の上面41又は下面42の少なくとも一方のすり加工又はフロスト加工であることが好ましい。これにより、前面ガラスの低コスト性が保持される。
【0069】
また、反射鏡3は、上面31a側の上部反射鏡3a及び下面32b側の下部反射鏡3bの積層体からなり、開口孔33の反射面35及び開口孔34の反射面36のそれぞれが上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとの間で連続的に形成されるように上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとが当接されるように構成される。これにより、反射鏡3に蒸着処理が施される場合に、反射鏡3が一体形成される場合と比べて開口孔33及び34のアスペクト比が減少し、均一な蒸着膜の形成が可能となる。
【0070】
さらに、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bの当接面32a及び31bにおいて、上部反射鏡3a又は下部反射鏡3bの一方が開口孔33及び開口孔34の全体を囲む凸部37を有し、上部反射鏡3a又は下部反射鏡3bの他方は凸部37と嵌合する凹部38を有する。これにより、開口孔33及び34から上記当接面に生じ得るわずかな隙間を介して反射鏡3の外部に漏れ得るUVが凸部37によって遮蔽されるので、器具筐体5におけるUV照射に起因する劣化が抑制される。また、凸部37及び凹部38の嵌合によって、上部反射鏡3aと下部反射鏡3bとの位置決めが促進される。
【0071】
また、反射鏡3は、金属材料が蒸着された樹脂材料で構成され得る。これにより照明器具1の軽量化が可能となる。あるいは、反射鏡3は、プレス加工された金属材料で構成されてもよい。これにより、反射鏡3の量産性が高まり、加工コストの低減が可能となる。
【0072】
照明器具1は、LED基板2の基板背面21に接触配置されたヒートシンク6をさらに備えることが望ましい。このように、照明器具1の温度上昇が抑制されることにより、照明用LED23及びUVLED24の動作温度が適正化されるだけでなく、LED基板2、反射鏡3、前面ガラス4及び器具筐体5の熱膨張係数の相違に起因する配光のずれが抑制される。
【0073】
<変形例>
以上に本発明の好適な実施形態を示したが、本発明は、例えば以下に示すように種々の態様に変形可能である。
【0074】
(1)白色LED23及びUVLED24の配置などに関する変形
上記実施形態では、照明器具1の汎用性などを考慮して、1か所の白色LED23及びそれを中心とする円周上に均等配置された10個(10か所)のUVLED24を例示したが、白色LED23及びUVLED24の数及び配置はこれに限られない。例えば、白色LED23の実装数(又は実装箇所数)は照明器具1に求められる照度に応じて増加されてもよいし、UVLED24の実装数(又は実装箇所数)は照明器具1に求められるUV照射強度に応じて増減されてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では白色LED23の周囲に複数のUVLED24が配置される構成を示したが、これらの配置はこれに限られない。例えば、複数の白色LED23が配置される場合には、複数の白色LED23が複数のUVLED24の分布の中に分散配置されてもよい。また、複数の白色LED23が複数のUVLED24の一部又は全部よりも外周側に配置されてもよいし、上記実施形態と同様に複数のUVLED24の全てが複数の白色LED23よりも外周側に配置されてもよい。
【0076】
また、照明器具1の仕様に応じて、UVLED24は、器具中心軸X0に対して対称配置されなくてもよい。例えば、平面視において白色LED23とUVLED24とが偏在配置されてもよいし、さらに直線で切った2領域に分けて配置されてもよい。上記いずれの場合(いずれの数又は配置)においても、反射鏡3において、白色LED23の配置に対応して開口孔33が設けられ、UVLED24の配置に対応して開口孔34が設けられる。また、上記いずれの場合においても、前面ガラス4において、開口孔33の配置に対応して拡散領域43が設けられ、開口孔34の配置に対応して透明領域44が設けられる。
【0077】
(2)臭気センサ160に関する変形
上記実施形態では、臭気センサ160がアンモニアを検出するセンサである構成を示したが、臭気センサ160はメタンチオール、硫化水素、アミン類などの他の臭気成分を検出するセンサであってもよい。また、臭気センサ160は、上記臭気成分の2つ以上を検出可能なセンサであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 照明器具
2 LED基板
21 基板背面
22 実装面
23 照明用LED(白色LED)
24 UVLED
3 反射鏡
3a 上部反射鏡
3b 下部反射鏡
31a、31b 上面
32a、32b 下面
33、33a、33b、34、34a、34b 開口孔
35、35a、35b、36、36a、36b 反射面
37 凸部
38 凹部
4 前面ガラス
41 上面
42 下面
43 拡散領域
44 透明領域
5 器具筐体
6 ヒートシンク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6