IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センターの特許一覧

<>
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図1
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図2
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図3
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図4
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図5
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図6
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図7
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図8
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図9
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図10
  • 特許-センサ保持基板及びセンサモジュール 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】センサ保持基板及びセンサモジュール
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/12 20060101AFI20220531BHJP
   G01F 1/692 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
G01N27/12 B
G01F1/692 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018132635
(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公開番号】P2019020408
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-08
(31)【優先権主張番号】P 2017140244
(32)【優先日】2017-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】506209422
【氏名又は名称】地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100137800
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 正義
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(74)【代理人】
【識別番号】100148079
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 裕明
(74)【代理人】
【識別番号】100158241
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 安子
(72)【発明者】
【氏名】山岡 英彦
(72)【発明者】
【氏名】小宮 一毅
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-167571(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0066646(US,A1)
【文献】実開平01-121844(JP,U)
【文献】特開2016-070931(JP,A)
【文献】特開平08-128891(JP,A)
【文献】特開2006-203009(JP,A)
【文献】特開2006-208358(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0139145(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/12
G01F 1/692
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部又は感熱部を有するセンサを保持するセンサ保持基板であって、
基板本体と、
前記基板本体に一端が支持された複数の電極と
を備え、
前記基板本体表面との間に断熱空間を介して前記複数の電極の他端において前記センサを支持し、
前記電極は、前記基板本体表面から突出した台座部に支持されたパッド部と、前記パッド部に一体に形成され前記断熱空間へ突き出した梁部とを有し、
前記梁部は、一端から他端へ向かって先細形状である
センサ保持基板。
【請求項2】
前記梁部は、少なくとも1つの屈曲部を有する請求項記載のセンサ保持基板。
【請求項3】
発熱部又は感熱部を有するセンサを保持するセンサ保持基板であって、
基板本体と、
前記基板本体に一端が支持された複数の電極と
を備え、
前記基板本体表面との間に断熱空間を介して前記複数の電極の他端において前記センサを支持し、
前記電極は、前記基板本体表面から突出した台座部に支持されたパッド部と、前記パッド部に一体に形成され前記断熱空間へ突き出した梁部とを有し、
前記梁部の先端には前記センサとの間に配置される接合部が設けられ、前記接合部はAuSn、AuAl、AuAgのいずれかを含
ンサ保持基板。
【請求項4】
前記梁部は、少なくとも1つの屈曲部を有する請求項3記載のセンサ保持基板。
【請求項5】
ンサ保持基板と、前記センサ保持基板に保持された発熱部又は感熱部を有するセンサとを備えるセンサモジュールであって、
前記センサ保持基板は、基板本体と、前記基板本体に一端が支持された複数の電極とを備え、前記基板本体表面との間に断熱空間を介して前記複数の電極の他端において前記センサを支持し、
前記センサの幅方向長さは、前記電極の幅方向長さの1~3倍であ
ンサモジュール。
【請求項6】
前記電極は、前記基板本体表面に対し垂直方向に延びた柱状部を有する請求項5記載のセンサモジュール。
【請求項7】
前記センサ保持基板は、前記電極の他端において、半田ボールによって接合することにより前記センサを支持する請求項5記載のセンサモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ保持基板及びセンサモジュールに関し、特に発熱部又は感熱部を有するセンサを備えるセンサモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
センサとして、例えば産業用途向けガスセンサは、高い信頼性のある巻き線型ガスセンサが現在でも主流である。しかし巻き線型ガスセンサは、消費電力が大きく、量産性・耐衝撃性が低いという問題がある。これに対し、量産性・耐衝撃性に優れたMEMS式ガスセンサの開発・製品化がなされているが、感ガス材の体積が小さくなるため、長期安定性に課題がある。耐衝撃性や長期安定性を重要視する製品においては、積層セラミック技術を用いたガスセンサが用いられている(例えば、特許文献1)。上記特許文献1には、複数のセラミックシートを重ねて形成されたNOxを検出するセンサが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-286473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の場合、開口部を有するセラミックシートを中間に挟むことにより、内部に中空部を設ける構造であるため、センサが大型化してしまい、消費電力が増大してしまう、という懸念がある。センサの消費電力を低減するには、センサで発生した熱を他へ逃がさずにセンサに留めておくことが有効である。
【0005】
本発明は、断熱性を向上することができるセンサ保持基板及びセンサモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るセンサ保持基板は、発熱部又は感熱部を有するセンサを保持するセンサ保持基板であって、基板本体と、前記基板本体に一端が支持された複数の電極とを備え、前記基板本体表面との間に断熱空間を介して前記複数の電極の他端において前記センサを支持する。
【0007】
本発明に係るセンサモジュールは、上記センサ保持基板と、前記複数の電極の他端に支持されたセンサとを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、基板本体から浮いた状態でセンサを支持し、センサで生じた熱が基板本体に直接伝わるのを防ぐことにより、断熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るセンサモジュールを示す斜視図である。
図2】センサを示す斜視図であり、図2Aは底面から見た斜視図、図2Bは感ガス基板の斜視図である。
図3】本実施形態に係るセンサモジュールの縦端面図である。
図4】本実施形態に係るセンサモジュールの製造方法を段階的に示す縦端面図であり、図4Aは基板を用意した段階、図4Bはホトレジストを選択的に除去した段階、図4Cは金属膜の一部をエッチングにより除去した段階、図4Dは電極上にセンサを固定した段階、図4Eは基板本体の一部をエッチングにより除去した段階を示す図である。
図5】電極の変形例を示す平面図である。
図6】変形例(1)に係るセンサモジュールの縦端面図であり、図6Aはピラーを用いた例、図6Bは半田ボールを用いた例を示す図である。
図7】変形例(2)に係るセンサモジュールの平面図である。
図8】変形例(2)に係るセンサモジュールのエッチング工程を段階的に示す縦断面図であり、図8Aは初期段階、図8Bは終了段階を示す図である。
図9】変形例(3)に係るセンサモジュールのセンサを示す平面図である。
図10】変形例(4)に係る梁部の長さが異なるセンサモジュールを示す平面図であり、図10Aは1.0mm、図10Bは1.5mm、図10Cは2.0mm、図10Dは2.0mmでかつ屈曲部を有する場合の図である。
図11】梁部の長さと断熱性との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
(全体構成)
図1に示すように、センサモジュール10Aは、センサ保持基板12Aと、センサ14とを備える。センサ保持基板12Aは、平板矩形状の基板本体16と、第1電極20,第2電極22,第3電極24,第4電極26とを有する。基板本体16は、フレキシブルプリント基板や、表面に酸化膜を有するSi基板を用いることができる。基板本体16の一表面には、複数、本実施形態の場合4個の台座部18が形成されている。当該台座部18は、基板本体16の一表面から突出した突起であり、基板本体16の対向する辺にそれぞれ2個ずつ、平行に配置されている。センサ14とセンサ保持基板12Aの間を空気断熱する観点から、台座部18の高さは、10μm以上が好ましい。
【0012】
第1電極20,第2電極22,第3電極24,第4電極26は、台座部18にそれぞれ1個ずつ固定されている。本明細書では、第1電極20,第2電極22,第3電極24,第4電極26を特に区別しない場合、総称して電極と呼ぶ。電極は、銅や金などの導電性材料で形成されている。電極は、台座部18に固定されたパッド部21と、パッド部21に一体に形成され、基板本体16の中央に向かって突出した梁部23とを有する。パッド部21は、図示しない外部配線と電気的に接続するため、大きい表面積を有するのが好ましい。本図の場合、パッド部21は正方形状である。梁部23は、センサ14から基板本体16への熱伝導を抑制するため、幅方向長さがパッド部21の一辺の長さより短い縦長矩形状であり、基端がパッド部21の一辺の中央に接続されている。梁部23は、例えば、幅方向長さが500~1000μm、厚さが0.2~1.0μmである。
【0013】
センサ14は、平板矩形状であり、発熱部(本図には図示しない)を有するガスセンサである。センサ14は、基板本体16の中央に配置される。センサ14は、基板本体16に接触せずに、第1電極20,第2電極22,第3電極24,第4電極26によって保持されている。
【0014】
図2Aに示すように、センサ14は、感ガス基板32と、当該感ガス基板32に重ねて設けられた加熱基板34とを有する。加熱基板34は、表面の四隅近傍に、合計4個設けられた第1実装パッド30,第2実装パッド31,第3実装パッド33,第4実装パッド35を有する。感ガス基板32は、感ガス材としてのSnO(酸化第二錫)、ZnO(酸化亜鉛)、Fe(三酸化二鉄)を含有したセラミックス基板である。
【0015】
発熱部36は、加熱基板34の表面に設けられている。発熱部36は、金や白金などの発熱体材料で形成された金属膜である。加熱基板34は、セラミックス基板である。発熱部36は、感ガス基板32の全体を加熱するように、加熱基板34の表面をジグザグに蛇行して形成されている。発熱部36の一端は第1実装パッド30、他端は第2実装パッド31と一体に形成されている。
【0016】
図2Bに示すように、感ガス基板32は、第1電極パッド37,第2電極パッド39と、第1櫛形電極41,第2櫛形電極43とを有する。第1電極パッド37は、第1櫛形電極41と一体に形成されており、第2電極パッド39は、第2櫛形電極43と一体に形成されている。第3実装パッド33は、スルーホール(図示しない)を通じて、第1電極パッド37に接続されている。同様に、第4実装パッド35は、スルーホール(図示しない)を通じて、第2電極パッド39に接続されている。
【0017】
上記のセンサ14は、積層セラミック技術により形成することができる。センサ14の大きさは、特に制限されないが、例えば、一辺の長さが0.2~1.0mm、厚さが0.02~0.1mmである。センサ14は、加熱基板34を下側、感ガス基板32を上側にしてセンサ保持基板12Aに実装される。
【0018】
図3に示すように、センサ14は、両側部において梁部23の先端に支持されている。梁部23は、基端がパッド部21及び台座部18を介して基板本体16に支持され、先端が基板本体16に支持されていない自由端であり、いわゆる片持ち梁構造である。
【0019】
センサ14の第1実装パッド30及び第2実装パッド31と梁部23の先端とは、接合部28を介して、互いに接合されている。本図には表れていないが、センサ14の第3実装パッド33,第4実装パッド35も同様に、別の梁部23の先端と接合部28を介して接合されている。接合部28は、例えば、半田を用いることができる。また接合部28は、AuSn、AuAl及びAuAgのいずれか1種を含む。接合部28に上記共晶材料を用いることによって、センサモジュール10Aは、より高温での使用条件でも、安定して使用することができる。
【0020】
基板本体16表面の上方に配置されたセンサ14は、底面15と、基板本体16の一表面との間に断熱空間19が形成された状態で、梁部23に支持されている。上記のようにして、センサ14は、基板本体16に対し、浮いた状態で支持されている。本図の場合、第1実装パッド30は第3電極24、第2実装パッド31は第2電極22、第3実装パッド33は第4電極26、第4実装パッド35は第1電極20に、それぞれ接合される。第2電極22及び第3電極24間には、加熱用の電圧が印加される。第1電極20及び第4電極26間には、検知用の電圧が印加される。
【0021】
センサモジュール10Aの製造方法を、図4を参照して説明する。まず、導電膜が積層された基板、例えばポリイミドで形成された基板本体16上に銅膜40を積層した銅ポリイミド基板を用意する(図4A)。銅ポリイミド基板は、フレキシブルプリント回路で用いられる汎用的な基板を用いることができるので、コストを低減することができる。
【0022】
次いで銅膜上にホトレジスト42を選択的に形成する(図4B)。その後ホトレジスト42が形成されていない部分の銅膜40を、エッチングにより除去する(図4C)。次いで、ホトレジスト42をアセトンなどの有機溶媒を用いて除去する。この段階において、基板本体16上に、パッド部21及び梁部23が形作られる。
【0023】
続いて接合部28を介して梁部23上にセンサ14を接合する(図4D)。センサ14を基板本体16上に実装する際は、電子部品をプリント基板に配置する実装機を用いることができる。最後に、センサ14直下を含む基板本体16の表面をエッチングすると、パッド部以外の部分が等方的にエッチングされることにより台座部18が形成される(図4E)。以上により片持ち梁構造の梁部23が形成され、当該梁部23により支持されたセンサ14を有するセンサモジュール10Aを形成することができる。
【0024】
(作用及び効果)
上記センサモジュール10Aは、ガス検出時において、第2電極22及び第3電極24から第2実装パッド31及び第1実装パッド30を通じて電圧を印加することにより、発熱部36を加熱する。これにより感ガス基板32が検出対象のガスを検出するのに適した温度に加熱される。この状態でセンサモジュール10Aが検出対象のガスを含有する気体に曝されることにより、感ガス基板32が当該気体に曝されると、感ガス基板32の電気抵抗値が変動する。感ガス基板32の電気抵抗値に基づく出力信号が、第3実装パッド33及び第4実装パッド35を通じて、第4電極26及び第1電極20から出力される。
【0025】
センサ14は、積層セラミック技術により形成することができるので、小型化することができる。センサ14を小型することに伴い、発熱部36も小型化することができるので、センサモジュール10Aは、消費電力を低減することができる。また積層セラミック技術は、多様な電子部品で広く使われている技術であることから、センサ14は、信頼性を確保したまま、量産性、歩留りを向上することができる。
【0026】
センサ14は、基板本体16から浮いた状態で支持されていることにより、加熱された発熱部36により生じた熱が基板本体16に直接伝わるのを防いで、断熱性を向上することができる。このようにしてセンサモジュール10Aは、センサ14の断熱性を向上したことにより、より消費電力を低減することができる。
【0027】
センサ14を支持する梁部23は、幅方向長さがパッド部21の一辺の長さより短く形成されていることにより、加熱された発熱部36により生じた熱が基板本体16へ逃げるのを抑制する。このようにセンサモジュール10Aは、センサ14の断熱性をより向上することができる。なお、従来のガスセンサで用いられているボンディングワイヤに比べ、梁部23は断面積が大きいので、センサモジュール10Aは、機械的強度に優れ、高い耐衝撃性も得られる。
【0028】
(変形例)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内で適宜変更することが可能である。
【0029】
例えば、図5に示すように、電極44は、パッド部21と、パッド部21に接続された基端から、先端へ向かって先細形状の梁部46とを有することとしてもよい。本図の場合、梁部46は、基端から第1梁部48、第2梁部50、及び第3梁部52が一体に形成されている。第2梁部50は、第1梁部48より幅方向長さが短く形成されている。第3梁部52は、第2梁部50より幅方向長さが短く形成されている。第3梁部52の先端には接合パッド54が設けられている。接合パッド54は、センサ14に設けられた第1実装パッド30,第2実装パッド31,第3実装パッド33,第4実装パッド35と同じ大きさを有するのが好ましい。発熱部36を効率的に加熱する観点から、梁部46の材料は発熱部36に比べ、単位長さ当たりの電気抵抗が小さい導電性材料が望ましい。一方、梁部46の断面積、すなわち幅方向長さや厚さを大きくすると、加熱された発熱部36により生じた熱が基板本体16へ逃げてしまいやすくなる。本変形例のように、梁部46が先細形状であることにより、パッド部21近傍で梁部46が発熱するのを防ぐとともに、加熱された発熱部36により生じた熱が梁部46を通じて基板本体16へ逃げるのをより抑制することができる。
【0030】
上記実施形態の場合、センサ14は片持ち梁構造の梁部23によって、基板本体16から浮いた状態で支持されている場合について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば図6Aに示すように、センサモジュール10Bは、パッド部21に接続され、基板本体16表面に対し垂直方向に延びた柱状部62を有している。センサ14は、柱状部62の先端において、接合部(図示しない)を介して接合されている。柱状部は、電極21と同様の導電性材料で形成され、その高さは、200~1000μmが好ましい。本変形例の場合、基板本体56に形成される穴の開口は、センサ14より小さくすることができる。
【0031】
また図6Bに示すように、センサモジュール10Cは、パッド部21に接続された半田ボール64を有している。センサ14は、半田ボール64の上端において、接合されている。接合後における半田ボールの高さは、100~500μmが好ましい。上記センサモジュール10B,10Cは、センサ14を基板本体56から浮いた状態で支持することができるので、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0032】
上記実施形態では、1個の基板本体に対し1個のセンサ14を接合して、センサモジュール10Aを製造する方法について説明したが、本発明はこれに限らない。複数のセンサモジュール10Aを作製できるより大きい面積の基板本体に、4個を一組とした電極群を複数形成し、一組ごとにセンサ14を接合し、基板本体の適所に台座部18を形成した後、一組に対応した位置で、センサモジュール10Aを切り出す。このように製造することにより、一度に複数のセンサモジュール10Aを製造することができる。
【0033】
上記実施形態の場合、センサ14を4個の電極(梁部)で支持する場合について説明したが、本発明はこれに限らず、センサ14の構成に合わせて、2個又は3個の電極(梁部)で支持してもよい。
【0034】
上記実施形態では、センサ14が、ガスセンサである場合について説明したが、例えばセンサ14は、フローセンサ、温度センサ、ボロメータに適用することができる。またセンサ14は、感熱部を有する例として、赤外線センサなどにも適用することができる。センサモジュールは断熱性が高いので、感熱部を有するセンサ14の検出感度を向上することができる。
【0035】
図7を参照して、製造工程を最適化することができる構造について説明する。本図に示すセンサモジュール10Dのセンサ14の幅方向長さD1は、梁部23の幅方向長さD2の1~3倍である。図8Aに示すように、基板本体16の表面を等方性エッチングすると、長さD1の方が長さD2より長いので、センサ14よりも梁部23の方が先に基板本体16から離れる。さらに等方性エッチングを進めることによって、図8Bに示すように、センサ14が基板本体16から離れる。したがってセンサ14の幅方向長さD1が、梁部23の幅方向長さD2により近い方が、全体のエッチング時間を短縮することができる。センサ14の幅方向長さとは、センサ14が長方形状の場合、対向する長辺の間の長さであり、センサ14が正方形状の場合、対向する辺の間の長さをいう。本変形例の場合、長さD1は、製造工程を最適化するうえで、長さD2の1~3倍であるのが好ましく、1~2倍であるのがより好ましい。長さD1は長さD2と等しいのが最も好ましい。
【0036】
図9に示すように、センサ70は、複数の開口部72を格子状に配置した形状でもよい。開口部72は、センサ14の厚さ方向に貫通した開口である。開口部72は、本図の場合、平面視において四角形であるが、本発明はこれに限定されず、例えば、三角形や、六角形などでもよい。本図の場合、開口部72同士の間隔、及びセンサ70の外縁と開口部72の間隔が、幅長さD1である。幅長さD1を上記範囲に制限することによって、図7に示すセンサモジュール10Dと同様の効果が得られる。
【0037】
センサが発熱部を有する場合、発熱部で生じた熱は、梁部を通じてパッド部から基板本体へ逃げる。同様に、センサが感熱部を有する場合、外部からセンサへ与えられた熱量によって生じた熱は、梁部を通じてパッド部から基板本体へ逃げる。いずれの場合も、センサから梁部及びパッド部を通じて基板本体へ熱が逃げることによって、消費電力の増加や検出感度の低下を招く。梁部を通じてパッド部から基板本体へ逃げる熱を低減するには、梁部の長さを長くすることが有効である。
【0038】
梁部は、屈曲部を設けることによって、パッド部からセンサまでの直線距離よりも梁部の長さを長くすることができる。屈曲部は、パッド部と同一平面上に位置するのが、好ましい。同一平面とは、完全な同一平面に限らず、完全な同一平面から若干厚さ方向にずれた平面を含む。センサモジュールは、梁部に屈曲部を設けることによって、断熱性と小型化を実現することができる。さらに、梁部に屈曲部を設けることによって、同じ長さで屈曲部を有さない梁部に比べ、梁部が熱膨張した際、センサと接合部の間に生じる応力を低減することができる。
【0039】
図10に示すセンサモジュールのモデルを用いて、パッド部からセンサまでの梁部の長さと断熱性との関係をシミュレーションによって調べた。センサの材質はAl、環境設定は自然対流とし、センサの温度を400℃としたときのパッド部の温度を計算して求めた。図10Aのセンサモジュール10Eは梁部74の長さが1.0mm、図10Bのセンサモジュール10Fは梁部76の長さが1.5mm、図10Cのセンサモジュール10Gは梁部78の長さが2.0mm、図10Dのセンサモジュール10Hは梁部80の長さが2.0mmで2個の屈曲部82を有する例である。その結果を図11に示す。図11は、横軸が梁部の長さ(mm)、左側の縦軸がパッド部の温度(℃)、左側の縦軸が梁部長さ1mmの消費電力に対する消費電力比、○のプロットがパッド部の温度、×のプロットが消費電力を示す。本図から、梁部の長さが短いほど、パッド部の温度及び消費電力比が上昇し、断熱性が低下することが分かった。また梁部の長さが2mm程度でパッド部温度の低減効果、及び消費電力の低減効果は飽和すると共に、屈曲部を有する場合でもパッド部の温度はほとんど変わらない。このことから、梁部に屈曲部を形成して直線状の梁部よりも長さを長くすることで、センサモジュールは、断熱性と小型化を実現することができる。
【符号の説明】
【0040】
10A,10B,10C センサモジュール
12A センサ保持基板
14 センサ
15 底面
16 基板本体
18 台座部
19 断熱空間
20,22,24,26 第1~第4電極(電極)
21 パッド部
23 梁部
28 接合部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11