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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】車室前部構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20220531BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20220531BHJP
   B62D 25/08 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
B60K35/00 A
B60K37/00 Z
B62D25/08 J
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018158549
(22)【出願日】2018-08-27
(65)【公開番号】P2020032762
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(72)【発明者】
【氏名】山口 正人
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-95001(JP,A)
【文献】特開2017-43294(JP,A)
【文献】特開2017-226312(JP,A)
【文献】特開2009-149242(JP,A)
【文献】特開2013-23045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0290519(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102017011493(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/00
B62D 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室前部に配置されるインストルメントパネルと、該インストルメントパネルの内部で車幅方向に延びるステアリングサポートメンバと、該インストルメントパネルの内部に収容され情報を投影するHUD装置とを備える車室前部構造において、
当該車室前部構造は、
前記ステアリングサポートメンバに接合されて前記HUD装置を支持するHUDブラケットと、
前記ステアリングサポートメンバから車両前方に向かって延びるスティフナと、
前記ステアリングサポートメンバから上方に向かって延び前記HUDブラケットを支持するHUDブラケットステーと、
前記スティフナに接合され上方に向かって延び前記HUDブラケットを支持する支持ブラケットとを更に備え、
前記HUDブラケットは、
前記支持ブラケットが接合される第1接合部と、
前記HUDブラケットステーが接合される第2接合部とを有することを特徴とする車室前部構造。
【請求項2】
前記インストルメントパネルは、車幅方向に長手の天面部を含み、
前記天面部の裏面には、前記HUDブラケットが固定される固定部が形成されていて、
前記固定部は、車両前後方向で前記第1接合部と前記第2接合部との間に位置することを特徴とする請求項1に記載の車室前部構造。
【請求項3】
当該車室前部構造は、前記ステアリングサポートメンバに接続されステアリングを支持するステアリングブラケットを更に備え、
前記HUDブラケットステーと前記ステアリングブラケットは、上面視において少なくとも一部が重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の車室前部構造。
【請求項4】
当該車室前部構造は、
車幅方向に間隔をあけて前記ステアリングサポートメンバに接合され車両後方へ延びる2つのステアリングサポートメンバステーと、
前記2つのステアリングサポートメンバステーを連結するリンフォースとを更に備え、
前記HUDブラケットステーおよび前記第2接合部は2つずつ存在し、
前記2つのステアリングサポートメンバステー、前記リンフォースおよび前記ステアリングサポートメンバによって環状構造が形成されていて、該環状構造に前記2つのHUDブラケットステーが接合され、前記2つの第2接合部は前記環状構造と上面視で重なる位置に存在することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車室前部構造。
【請求項5】
前記第1接合部は2つ存在し、該2つの第1接合部に前記支持ブラケットが接合されていて、
前記2つの第1接合部の接合点および前記2つの第2接合部の接合点は、上面視において第1の台形の頂点に位置することを特徴とする請求項4に記載の車室前部構造。
【請求項6】
前記2つの第1接合部の接合点、および前記リンフォースと前記2つのステアリングサポートメンバステーとの接合点は、上面視において第2の台形の頂点に位置し、
前記第1の台形は、前記第2の台形の内側に位置することを特徴とする請求項5に記載の車室前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室前部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両へのヘッドアップディスプレイ装置の搭載が進んでいる。例えば特許文献1では、インストルメントパネルに組み込まれてヘッドアップディスプレイ装置を固定的に支持する支持部材を備える車両の内装構造が開示されている。特許文献1の支持部材は、インストルメントパネルに対する固定部となる第1固定部と、インパネレインフォースに対する固定部となる第2固定部とを備えている。特許文献1によれば、インパネレインフォースを支持ベースとして、ヘッドアップディスプレイ装置を強固に支持させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-95001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、支持ブラケットは、車両前方の第1固定ネジによって支持部材に固定され、車両後方の第2固定ネジによってインパネレインフォースに固定される。このため、ヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置と称する)を支える支持ブラケットは、後部のみがインパネレインフォースに固定されている片持ちの状態となる。したがって、特許文献1の技術は、HUD装置の支持強度を確保するという点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑み、HUD装置の支持強度を高めることで走行中に車体から伝わる振動を減衰させ、ひいてはHUD装置の投影画像のぶれを好適に抑制することが可能な車室前部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明にかかる車室前部構造の代表的な構成は、車室前部に配置されるインストルメントパネルと、インストルメントパネルの内部で車幅方向に延びるステアリングサポートメンバと、インストルメントパネルの内部に収容され情報を投影するHUD装置とを備える車室前部構造において、当該車室前部構造は、ステアリングサポートメンバに接合されてHUD装置を支持するHUDブラケットと、ステアリングサポートメンバから車両前方に向かって延びるスティフナと、ステアリングサポートメンバから上方に向かって延びHUDブラケットを支持するHUDブラケットステーと、スティフナに接合され上方に向かって延びHUDブラケットを支持する支持ブラケットとを更に備え、HUDブラケットは、支持ブラケットが接合される第1接合部と、HUDブラケットステーが接合される第2接合部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、HUD装置の支持強度を高めることで走行中に車体から伝わる振動を減衰させ、ひいてはHUD装置の投影画像のぶれを好適に抑制することが可能な車室前部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施例にかかる車室前部構造を説明する図である。
図2図1の詳細図である。
図3図1の詳細図で図2とは別角度から見た図である。
図4図2のA-A断面図である。
図5図2のステアリングサポートメンバの運転席側の斜視図である。
図6図2のHUDブラケットの斜視図である。
図7図2のステアリングサポートメンバの運転席側を上方から観察した図である。
図8図7の各部材の接合点の位置関係を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施の形態に係る車室前部構造は、車室前部に配置されるインストルメントパネルと、インストルメントパネルの内部で車幅方向に延びるステアリングサポートメンバと、インストルメントパネルの内部に収容され情報を投影するHUD装置とを備える車室前部構造において、当該車室前部構造は、ステアリングサポートメンバに接合されてHUD装置を支持するHUDブラケットと、ステアリングサポートメンバから車両前方に向かって延びるスティフナと、ステアリングサポートメンバから上方に向かって延びHUDブラケットを支持するHUDブラケットステーと、スティフナに接合され上方に向かって延びHUDブラケットを支持する支持ブラケットとを更に備え、HUDブラケットは、支持ブラケットが接合される第1接合部と、HUDブラケットステーが接合される第2接合部とを有することを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、HUDブラケットは、第1接合部によって前部が支持ブラケットに支持され、第2接合部によって後部がHUDブラケットステーによって支持される。したがって、HUDブラケットひいてはそれに搭載されるHUD装置の支持強度を高めることができる。これにより、走行中に車体から伝わる振動を減衰させ、ひいてはHUD装置の投影画像のぶれを好適に抑制することが可能となる。
【0011】
上記インストルメントパネルは、車幅方向に長手の天面部を含み、天面部の裏面には、HUDブラケットが固定される固定部が形成されていて、固定部は、車両前後方向で第1接合部と第2接合部との間に位置するとよい。かかる構成によれば、第1接合部および第2接合部によってインストルメントパネルの天面部を支持することができる。これにより、インストルメントパネルの天面部の剛性が高まるため、かかる天面部のべかつきを抑制することが可能となる。
【0012】
当該車室前部構造は、ステアリングサポートメンバに接続されステアリングを支持するステアリングブラケットを更に備え、HUDブラケットステーとステアリングブラケットは、上面視において少なくとも一部が重なる位置に配置されているとよい。
【0013】
HUDブラケットステーは、車両前方に設置され、ステアリングサポートメンバを基準として車両前方に荷重が加わるHUD装置を支持する。一方、ステアリングブラケットは、車両後方に延びる部材であり、ステアリングサポートメンバを基準として車両後方に荷重が加わるステアリングを支持する。このとき、上記構成のようにHUDブラケットとステアリングブラケットとが上面視において重なる位置に配置されることにより、HUD装置の重量をステアリングで負担することができる。したがって、ステアリングサポートメンバを基準としてHUD装置とステアリングの重量のバランスが取れ、HUD装置の支持強度の向上を図ることが可能となる。
【0014】
当該車室前部構造は、車幅方向に間隔をあけてステアリングサポートメンバに接合され車両後方へ延びる2つのステアリングサポートメンバステーと、2つのステアリングサポートメンバステーを連結するリンフォースとを更に備え、HUDブラケットステーおよび第2接合部は2つずつ存在し、2つのステアリングサポートメンバステー、リンフォースおよびステアリングサポートメンバによって環状構造が形成されていて、環状構造に2つのHUDブラケットステーが接合され、2つの第2接合部は前記環状構造と上面視で重なる位置に存在するとよい。
【0015】
かかる構成のように環状構造すなわち閉断面が形成されることにより、上下方向からの荷重に対するHUD装置の支持剛性を更に高めることができる。したがって、HUD装置の投影画像のぶれをより効果的に抑制することが可能となる。
【0016】
上記第1接合部は2つ存在し、2つの第1接合部に支持ブラケットが接合されていて、2つの第1接合部の接合点および2つの第2接合部の接合点は、上面視において第1の台形の頂点に位置するとよい。これにより、車両幅方向の振動に対するHUD装置の支持剛性を高めることができる。したがって、上述した効果を更に高めることが可能となる。
【0017】
上記2つの第1接合部の接合点、およびリンフォースと2つのステアリングサポートメンバステーとの接合点は、上面視において第2の台形の頂点に位置し、第1の台形は、第2の台形の内側に位置するとよい。これにより、車両幅方向の振動に対するHUD装置の支持剛性の更なる向上を図ることが可能となる。
【実施例
【0018】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。かかる実施例に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0019】
図1は、本実施例にかかる車室前部構造100を説明する図であり、車室前部(全体は不図示)に配置されるインストルメントパネル110の天面部の運転席側を車両後方から観察した状態を示している。図2は、図1の詳細図であり、図3は、図2とは別角度から見た図である。図2は、HUD装置140近傍を車両後方から観察した状態を示していて、図3は、HUD装置140近傍を車両前方から観察した状態を示している。なお、理解を容易にするために、図1ではHUD装置140およびHUDブラケット150を不図示としている。
【0020】
図1図2および図3に示すように、本実施例の車室前部構造100は、インストルメントパネル110、ステアリングサポートメンバ120、HUD装置140およびHUDブラケット150(図2および図3参照)を備える。図1に示すインストルメントパネル110は、車室前部に配置され、計器類102が搭載されるパネルであり、天面部は車幅方向に長手に延びている。インストルメントパネル110の内部には、車幅方向に延びるステアリングサポートメンバ120が配置されている。
【0021】
図4は、図2のA-A断面図である。図2図3および図4に示すHUD装置140は、フロントガラス(不図示)に情報を投影する装置であり、インストルメントパネル110の内部に収容される。HUD装置140は、インストルメントパネル110内部に配置されてステアリングサポートメンバ120に接合されたHUDブラケット150によって支持される。HUDブラケット150の下方には、ハーネス類132やダクト134が配置されている。
【0022】
図5は、図2のステアリングサポートメンバ120の運転席側の斜視図である。図2および図3に示すように、ステアリングサポートメンバ120には、スティフナ160およびHUDブラケットステー170が接合される。図5に示すように、スティフナ160は、ステアリングサポートメンバ120から車両前方に向かって延びていて、ダッシュパネル(不図示)に接合されている。また、HUDブラケットステー170は、ステアリングサポートメンバ120から上方に向かって延びてHUDブラケット150(図2および図3参照)を支持する。またスティフナ160には、上方に向かって延びてHUDブラケット150を支持する支持ブラケット180が接合される。
【0023】
図6は、図2のHUDブラケット150の斜視図である。本実施例の特徴として、HUDブラケット150は、図6に示すように、断面形状が上方に開口したハット型であり、第1接合部152および第2接合部154を有する。図3に示すように、第1接合部152は、支持ブラケット180が下方から接合される部位であり、第2接合部154は、HUDブラケットステー170が車両前方から接合される部位である。
【0024】
上記構成によれば、図3に示すように、HUDブラケット150は、第1接合部152によって前部が支持ブラケット180に支持され、第2接合部154によって後部がHUDブラケットステー170によって支持される。これにより、HUDブラケットの前部および後部の両方が支持ブラケット180やHUDブラケットステー170によって支持されるため、HUDブラケット150ひいてはHUD装置140の支持強度を高めることができる。したがって、車体から伝わる振動を減衰させ、ひいてはHUD装置140の投影画像のぶれを好適に抑制することが可能となる。
【0025】
図2に示すように、インストルメントパネル110の天面部の裏面には、HUDブラケット150が固定される固定部112が形成されている。一方、図6に示すように、HUDブラケット150の上部には、インストルメントパネル110の固定部112に固定される第3接合部156が形成されている。これにより、HUDブラケット150ひいてはHUD装置140をインストルメントパネル110に支持させることができるため、支持強度を更に高めることが可能となる。
【0026】
またHUDブラケット150が第3接合部156においてインストルメントパネル110の天面部の裏面に面接合されることにより、インストルメントパネル110の天面部の剛性を高め、べかつきを抑制することができる。更に、HUD装置140を取り外す際にHUDブラケット150の第3接合部156を把持部として機能させることができるため、メンテナンス性の向上を図ることも可能となる。
【0027】
特に本実施例では、図6に示すように、第3接合部156は、車両前後方向で第1接合部152と第2接合部154との間に配置される。これにより、インストルメントパネル110において、第3接合部156が固定される固定部112も、必然的に車両前後方向において第1接合部152と第2接合部154との間に位置することとなる。かかる構成によれば、第1接合部152および第2接合部154によって固定部112近傍のインストルメントパネル110の天面部を均等に支持することができる。したがって、インストルメントパネル110の天面部の剛性を更に高め、べかつきをより効果的に抑制することが可能となる。
【0028】
なお、本実施例では、HUDブラケット150が2つの第1接合部152および2つの第2接合部154を有する構成を例示したが、これに限定するものではない。第1接合部152および第2接合部154をそれぞれ1つ以上有すれば、上述した効果を得ることが可能であり、それらの数は適宜変更してもよい。また第3接合部156においても、必ずしも2つ設ける必要はなく、1つ以上形成されていれば上述した効果を得ることが可能である。
【0029】
図7は、図2のステアリングサポートメンバ120の運転席側を上方から観察した図である。図7に示すように、本実施例の車室前部構造100は、ステアリングサポートメンバ120に接続されてステアリング104を支持するステアリングブラケット190を更に備える。そして本実施例の特徴として、HUDブラケットステー170とステアリングブラケット190は、図7に示すように上面視において少なくとも一部が重なる位置に配置される。
【0030】
HUDブラケットステー170は、車両前方に伸びる部材であり、ステアリングサポートメンバ120を基準として車両前方に荷重が加わるHUD装置140(図2および図3参照)を支持する。これに対し、ステアリングブラケット190は、車両後方に延びる部材であり、ステアリングサポートメンバ120を基準として車両後方に荷重が加わるステアリング104を支持する。したがって、上述したようにHUDブラケットステー170とステアリングブラケット190とを上面視において重なる位置に配置することにより、HUD装置140の重量をステアリング104で負担することができる。これにより、ステアリングサポートメンバを基準としてHUD装置とステアリングの重量のバランスが取れ、HUD装置140の支持強度の更なる向上を図ることが可能となる。
【0031】
また本実施例の車室前部構造100は、図7に示すように、2つのステアリングサポートメンバステー(以下、ステー200と称する)およびリンフォース210を更に備える。2つのステー200は、車幅方向に間隔をあけた状態でステアリングサポートメンバ120に接合されて、車両後方へ延びている。これらの2つのステー200は、リンフォース210によって連結される。
【0032】
本実施例の車室前部構造100では、図7に示すように、2つのステー200、リンフォース210およびステアリングサポートメンバ120によって環状構造Aが形成されている。そして、その環状構造Aに2つのHUDブラケットステー170が接合され、環状構造Aと上面視で重なる位置で2つの第2接合部154(図6参照)がそれぞれ接合されている。
【0033】
上記構成によれば、環状構造Aによって上面視において閉断面が形成される。これにより、上下方向からの荷重に対するHUD装置140の支持剛性を更に高めることができる。したがって、HUD装置140の投影画像のぶれをより効果的に抑制することが可能となる。
【0034】
図8は、図7の各部材の接合点の位置関係を説明する図である。本実施例の車室前部構造100では、2つの第1接合部152に支持ブラケット180が接合されていて、図8に示すように、2つの第1接合部152の接合点P1および2つの第2接合部154の接合点P2は、上面視において第1の台形T1の頂点に位置する。これにより、車両幅方向の振動に対するHUD装置140の支持剛性を高めることができる。
【0035】
更に本実施例の車室前部構造100では、2つの第1接合部152の接合点P1、およびリンフォース210と2つのステアリングサポートメンバステー200との接合点P3は、上面視において第2の台形T2の頂点に位置する。そして、上述した第1の台形T1は、第2の台形T2の内側に位置する。これにより、車両幅方向の振動に対するHUD装置140の支持剛性の更なる向上を図ることが可能となる。
【0036】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。実施例ではHUD装置140はフロントガラス投影式のものを中心に説明したが、コンバイナを有するタイプのHUD装置も本願発明が適用されることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、車室前部構造に利用することができる。
【符号の説明】
【0038】
100…車室前部構造、102…計器類、104…ステアリング、110…インストルメントパネル、112…固定部、120…ステアリングサポートメンバ、140…HUD装置、150…HUDブラケット、152…第1接合部、154…第2接合部、156…第3接合部、160…スティフナ、170…HUDブラケットステー、180…支持ブラケット、190…ステアリングブラケット、200…ステー、210…リンフォース、A…環状構造
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8