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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/50 20060101AFI20220531BHJP
   H02K 3/52 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H02K3/50 A
H02K3/52 E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018184640
(22)【出願日】2018-09-28
(65)【公開番号】P2020054207
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】日本電産株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 紘通
【審査官】中島 亮
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/062346(WO,A1)
【文献】特開2016-189687(JP,A)
【文献】特開2018-107989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/30- 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、
前記ロータと径方向に対向して配置され、複数のコイルを有するステータと、
前記複数のコイルから前記ステータの軸方向上側にそれぞれ引き出された複数の引出線を支持するコイルサポートと、
を備え、
前記コイルサポートは、前記ステータよりも軸方向上側に位置し且つ円環形状を有する円環状部と、前記円環状部の内周又は外周に沿って位置し且つ軸方向上側に突出する複数の保持壁部と、前記円環状部から軸方向下側に突出する少なくとも1つのリブとを有し、
前記複数の保持壁部は、前記複数の引出線を挿入される開口部を有し、
前記複数の引出線は、当該引出線の引き出し位置から、前記複数の保持壁部に向かって径方向に延び、
前記リブは、径方向において、前記引き出し位置と、前記複数の保持壁部との間に位置する、
モータ。
【請求項2】
前記ステータは、前記ロータよりも径方向外側に位置し、
前記ステータは、ステータコアを有し、
前記ステータコアは、前記複数のコイルのそれぞれが巻回される複数のティース部と、前記複数のティース部の径方向外側を環状に繋ぐコアバック部とを有し、
前記複数の引出線はそれぞれ、前記ステータコアにおける前記コアバック部の側から引き出され、
前記複数の保持壁部はそれぞれ、前記円環状部の内周に沿って位置する、
請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記開口部は、周方向に向かって開口し、
前記円環状部は、前記開口部と周方向に連続し且つ径方向に開口する切り欠きであるガイド部を有する、
請求項1又は2に記載のモータ。
【請求項4】
前記リブにおける前記複数の保持壁部の側の壁面が径方向に対してなす角度は、当該壁面の反対側の壁面が径方向に対してなす角度よりも大きい、
請求項1~3のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項5】
前記リブは、径方向において、前記引き出し位置よりも、前記複数の保持壁部の近くに位置する、
請求項1~4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記リブは、周方向に沿って環状に設けられる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータのコイル巻線は、電力供給を得るために、ECUと呼ばれるモータ制御装置に電気的に接続される必要がある。そこで、コイル巻線を所望の引き出し方向に導く支持部材が用いられることがある。
【0003】
例えば特許文献1には、コイルから引き出された口出し線が、バスバーモールドのコイル通し穴によって、バスバーターミナルに対して位置決めされることが開示されている(段落0024)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-219933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のモータでは、コイルの巻き終わり側の口出し線を曲げて、口出し線が不安定にならないようにする必要がある(段落0040)。このため、口出し線に対して治具等による追加加工が必要となるので、作業工程時間が増加してしまうという問題が生じる。
【0006】
本発明の主な目的は、治具等による追加工程を行うことなく、コイルの引出線を安定な形状に曲げることができる新規なモータ構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するために、本願の例示的な第1発明に係るモータは、軸方向に延びる中心軸を中心とするシャフトを有するロータと、ロータと径方向に対向して配置され、複数のコイルを有するステータと、複数のコイルからステータの軸方向上側にそれぞれ引き出された複数の引出線を支持するコイルサポートと、を備え、コイルサポートは、ステータよりも軸方向上側に位置し且つ円環形状を有する円環状部と、円環状部の内周又は外周に沿って位置し且つ軸方向上側に突出する複数の保持壁部と、円環状部から軸方向下側に突出する少なくとも1つのリブとを有し、複数の保持壁部は、複数の引出線を挿入される開口部を有し、複数の引出線は、当該引出線の引き出し位置から、複数の保持壁部に向かって径方向に延び、リブは、径方向において、引き出し位置と、複数の保持壁部との間に位置する。
【発明の効果】
【0008】
本願の例示的な第1発明によると、治具等による追加工程を行うことなく、コイルの引出線を安定な形状に曲げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一実施形態に係るモータの断面図である。
図2】一実施形態に係るモータを構成するステータ及びコイルサポートを分解した状態の斜視図である。
図3】一実施形態に係るモータを構成するステータ及びコイルサポートを組み立てた状態の斜視図である。
図4】一実施形態に係るモータを構成するコイルサポートの下面図である。
図5】一実施形態に係るモータを構成するコイルサポートの下面側斜視図である。
図6】一実施形態に係るモータにおいてコイル引出線をコイルサポートが保持する様子を示す図である。
図7】一実施形態に係るモータを構成するコイルの引出線の曲げ形状を示す図である。
図8】変形例に係るモータを構成するコイルサポートの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るモータについて説明する。尚、本発明の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、実際の構造と各構造における縮尺や数等を異ならせる場合がある。
【0011】
また、以下の説明においては、モータの中心軸Jと平行にZ軸を設定し、Z軸方向の正の側(+Z側)を「上側」と呼び、Z軸方向の負の側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。また、特に断りのない限り、以下の説明においては、上下方向(Z軸方向)に延びる中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向、すなわち、中心軸Jの軸周りを単に「周方向」と呼び、中心軸Jと平行な方向(即ち、上下方向又はZ軸方向)を、軸方向と呼ぶ。
【0012】
尚、本明細書において、「軸方向に延びる」とは、厳密に中心軸Jと平行な方向に延びる場合に加えて、軸方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。また、「径方向に延びる」とは、厳密に径方向、すなわち、上下方向(Z軸方向)に対して垂直な方向に延びる場合に加えて、径方向に対して、45°未満の範囲で傾いた方向に延びる場合も含む。
【0013】
図1は、本実施形態のモータ1の断面図である。図1に示すように、本実施形態のモータ1は、ロータ10と、ステータ20と、コイルサポート30と、ベアリングホルダ40と、バスバーユニット50と、ハウジング60とを備える。
【0014】
ロータ10は、シャフト11と、ロータコア14と、ロータマグネット15とを有する。シャフト11は、Z軸方向に延びる中心軸Jを中心として回転可能である。ロータコア14は、シャフト11を周方向に囲むと共にシャフト11に固定される。ロータマグネット15は、ロータコア14の周方向に沿った外側面に固定される。ロータコア14及びロータマグネット15は、シャフト11と一体となって回転する。シャフト11は、第1ベアリング12と第2ベアリング13とによって、中心軸Jの軸周りに回転可能に支持される。第1ベアリング12は、ステータ20の上側に位置し、第2ベアリング13は、ステータ20の下側に位置する。第1ベアリング12及び第2ベアリング13の構成は、特に限定されず、いかなる公知のベアリングを用いてもよい。
【0015】
ステータ20は、ロータ10と径方向に対向して配置される。ステータ20は、ハウジング60に固定される。ステータ20は、複数のコイル21と、ステータコア25と、上側インシュレータ26と、下側インシュレータ27とを有する。コイル21の数は、例えば12個である。各コイル21から、ステータ20の上側に引出線21aが引き出される。ステータコア25は、ロータ10を囲む環状構造である。ステータコア25は、中心軸Jを中心とする円環状のコアバック部25aと、コアバック部25aから径方向内側に延びる複数のティース部25bとを有する。コアバック部25aは、複数のティース部25bの径方向外側を環状に繋ぐ。複数のティース部25bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。ティース部25bの数は、例えば12個である。各ティース部25bには、上側インシュレータ26及び下側インシュレータ27を介してコイル21が巻き付けられる。上側インシュレータ26は、ステータコア25の上側に位置する。下側インシュレータ27は、ステータコア25の下側に位置する。上側インシュレータ26と下側インシュレータ27とは、ステータコア25の各ティース部25bの周方向端面及び軸方向端面を覆う。
【0016】
コイルサポート30は、ステータ20の上側に配置され、複数の引出線21aを支持する。ベアリングホルダ40は、コイルサポート30の上側に配置され、第1ベアリング12を支持する。ベアリングホルダ40は、ハウジング60に固定される。バスバーユニット50は、ベアリングホルダ40の上側に配置され、ハウジング60の上側の開口を覆う。バスバーユニット50は、ハウジング60に固定される。ハウジング60は、モータ1の各構成部材(ロータ10、ステータ20、コイルサポート30、ベアリングホルダ40、バスバーユニット50等)を収容する。
【0017】
図2及び図3はそれぞれ、本実施形態のステータ20及びコイルサポート30を分解した状態及び組み立て状態の斜視図である。尚、図2及び図3において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0018】
図2及び図3に示すように、1つのコイル21からは、1つの引出線21aが引き出される。本実施形態のステータ20は、12個のコイル21を有するため、ステータ20からは、軸方向上側に12本の引出線21aが引き出される。12本の引出線21aはそれぞれ、コイル21を構成するコイル線の端部である。
【0019】
また、図2及び図3に示すように、コイルサポート30は、ステータ20よりも軸方向上側に位置する円環状部31と、軸方向上側に突出する複数の保持壁部32とを有する。円環状部31は、径方向に幅(内周と外周との間隔)を持つ円環形状を有する。複数の保持壁部32は、円環状部31の内周に沿って等間隔に配置される。本実施形態ではステータ20から12本の引出線21aが引き出されるので、コイルサポート30は、12個の保持壁部32を有する。各保持壁部32は、円環状部31の内周に沿って配置されるので、各保持壁部32は、円環状部31の径方向内側において各引出線21aを保持する。
【0020】
各保持壁部32は、コイル21の引出線21aを軸方向に挿入される開口部32aを有する。各開口部32aは軸方向に円環状部31を貫通する。各保持壁部32は、各開口部32aにおける円環状部31を貫通する部分の内周面に沿って軸方向上側に延びる。すなわち、各保持壁部32の内周面は、各開口部32aにおける円環状部31を貫通する部分の内周面と連続する。各保持壁部32は、上側から見て、周方向に開口したU字状に形成される。各保持壁部32は、径方向の内側と外側で各開口部32aを挟んで対向する一対の壁部を含み、当該一対の壁部に挟まれるように引出線21aが配置される。これにより、保持壁部32を設けなかった場合と比べて、引出線21aの保持を安定させることができる。
【0021】
各コイル21からは、引出線21aが、ステータ20の径方向外側(ステータコア25のコアバック部25a側)の引き出し位置21bからステータ20の上側を通って、保持壁部32(開口部32a)の下側まで径方向に引き回される。すなわち、コイル21から延びる引出線21aは、ステータ20の上側において径方向外側から内側に向かって引き回され、ステータ20の径方向内側寄りでコイルサポート30の保持壁部32(開口部32a)に保持される。また、各引出線21aは、保持壁部32の開口部32aを通過して、コイルサポート30の上側でバスバーユニット50(図1参照)に電気的に接続される。
【0022】
尚、コイルサポート30は、例えば樹脂などの絶縁材料からなる。また、コイルサポート30において、円環状部31の上下面は中心軸J(Z軸)と直交する。円環状部31の中央には、シャフト11(図1参照)と同心の円形開口が設けられ、当該円形開口をシャフト11が貫通する。円環状部31は、ステータ20の上側で且つベアリングホルダ40の下側に位置する。これにより、円環状部31は、ステータ20の上側で引き回された引出線21aの上側を覆い、引出線21aとベアリングホルダ40との絶縁を確保する。
【0023】
図4及び図5はそれぞれ、本実施形態のコイルサポート30の下面図及び下面側斜視図であり、図6は、本実施形態においてコイル21の引出線21aをコイルサポート30が保持する様子を示す図である。尚、図6において、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。
【0024】
図4図6に示すように、各保持壁部32の開口部32aは、周方向に向かって開口する。ここで、各保持壁部32の開口部32aは全て周方向の同じ側に向かって開口する。また、円環状部31は、各引出線21aを開口部32aに誘導する複数のガイド部33を有する。各ガイド部33は、円環状部31を軸方向に貫通する切り欠きである。各ガイド部33は、各開口部32aの開口から、円環状部31の内周に沿って延び、径方向内側に開口する。このため、コイルサポート30をステータ20に取り付ける際には、各引出線21aを各ガイド部33の近傍に配置してコイルサポート30を周方向(各ガイド部33の方)に回転させるだけで、各引出線21aはガイド部33を経由して各開口部32aに対して位置合わせされる。すなわち、コイルサポート30に対する各引出線21aの挿入工程を簡素化することができる。
【0025】
また、図4図6に示すように、コイルサポート30は、円環状部31の下面から軸方向下側に突出するリブ34を有する。ステータ20にコイルサポート30を取り付けた状態において、リブ34は、各引出線21aの引き出し位置21b(本実施形態ではコアバック部25a側:図2参照)と、各保持壁部32との間に位置する。尚、コイルサポート30は、円環状部31の外周に沿って位置し且つ軸方向下側に延びる複数の(例えば3つの)脚部35を有する。各脚部35は、周方向に沿って等間隔に配置される。脚部35がステータコア25の上面に保持されることによって、コイルサポート30はステータ20に固定される。
【0026】
本実施形態によると、コイルサポート30は、引出線21aの引き出し位置21bと保持壁部32との間に位置し且つ軸方向下側に突出するリブ34を有する。このため、コイルサポート30をステータ20に取り付ける際に、径方向に沿って延びる引出線21aに対し、リブ34を起点として折り曲げてクセ付けすることが可能となる。そして、折り曲げられた引出線21aは、ステータ20の軸方向上側に引き出されるように、保持壁部32の開口部32aに挿入される。その結果、コイルサポート30に対して荷重を与えることなく、保持壁部32に引出線21aが固定されるので、コイルサポート30は安定してステータ20に固定される。また、治具等による整形作業という追加工程を行うことなく、引出線21aを安定な形状に曲げることができるので、作業工程時間の増加を抑制しつつ、コイルサポート30の取付強度、すなわち、モータ1の信頼性を向上させることができる。
【0027】
図7は、本実施形態において、保持壁部32に保持される引出線21aがリブ34によって整形されている様子を示している。尚、リブ34を用いた整形によって引出線21aがコイルサポート30に荷重を与えることなく固定されていれば、最終製品においてリブ34と引出線21aは必ずしも接触している必要はない。
【0028】
一方、本実施形態のコイルサポート30にリブ34を形成しなかった場合、治具等による整形作業という追加工程を行わなければ、引出線21aを十分に折り曲げてクセ付けすることができない。このため、保持壁部32に引出線21aを保持すると、引出線21aから保持壁部32つまりコイルサポート30に荷重がかかる。その結果、コイルサポート30を安定してステータ20に固定することができなくなる。具体的には、引出線21aの整形状態によってはコイルサポート30の取付強度不足に起因する変形が発生し、工程内で不良が生じる原因にもなりうる。一方、引出線21aに対して治具等による整形作業を行う場合には、作業時間の増大に加えて、複雑な形状の治具等の準備のために、製造コストが増大してしまう。
【0029】
また、本実施形態において、各引出線21aは、ステータコア25のコアバック部25aの側から引き出され、各保持壁部32は、ステータ20の軸方向上側を覆う円環状部31の内周に沿って位置する。このため、各引出線21aの引き出し位置21bと各保持壁部32との間にリブ34を設けることによって、径方向外側から径方向内側に延びる各引出線21aに対して、径方向内側で軸方向に折れ曲がるように確実にクセ付けすることができる。
【0030】
また、本実施形態において、図4及び図5に示すように、リブ34は、円環状部31における各保持壁部32が配置された内周に沿って、各保持壁部32よりも径方向外側に環状に設けられる。このため、各引出線21aの引き出し位置21bと各保持壁部32との間にリブ34を確実に設けることができる。
【0031】
また、本実施形態において、例えば図7に示すように、リブ34における保持壁部32の側の壁面34aが径方向に対してなす角度は、反対側の壁面34bが径方向に対してなす角度よりも大きい。このため、各引き出し位置21bから各保持壁部32に向けて径方向に延びる各引出線21aを開口部32aに挿入するために軸方向に折り曲げる際に、リブ34の頂部34cによって各引出線21aを確実にクセ付けすることができる。
【0032】
また、本実施形態において、例えば図7に示すように、リブ34は、径方向において、各引出線21aの引き出し位置21bよりも、各保持壁部32の近くに位置する。このため、各引き出し位置21bから各保持壁部32に向けて径方向に延びる各引出線21aを開口部32aに挿入するために軸方向に折り曲げる際に、各引出線21aがリブ34に接触しやすくなるので、各引出線21aをクセ付けしやすくなる。
【0033】
また、本実施形態において、各保持壁部32を、ステータコア25におけるティース部25b同士の間に設けてもよい。このようにすると、引出線21aの引き出し位置21bをステータコア25におけるティース部25b同士の間に設けた場合には、引出線21aに周方向の負荷をかけることなく各保持壁部32に保持することができる。
【0034】
以上、本発明についての実施形態を説明したが、本発明は前述の実施形態のみに限定されず、発明の範囲内で種々の変更が可能である。すなわち、前述の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0035】
例えば、本実施形態では、各引出線21aの引き出し位置21bをステータコア25のコアバック部25a側に設け、各保持壁部32を円環状部31の内周側(ステータコア25のティース部25b側)に設けた。しかし、これに代えて、各引出線21aの引き出し位置をステータコア25のティース部25b側に設け、各保持壁部32を円環状部31の外周側(ステータコア25のコアバック部25a側)に設けてもよい。この場合にも、リブ34を、各引出線21aの引き出し位置と各保持壁部32との間に設けることによって、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0036】
また、本実施形態では、円環状部31における各保持壁部32が配置された内周に沿って、環状のリブ34を1つ形成した(図4図5参照)。しかし、これに限られず、各引出線21aの引き出し位置と各保持壁部32との間にリブ34が存在すればよい。例えば、引出線21a毎に、或いは、例えば2~6本の引出線21aのグループ毎に、独立したリブを複数設けてもよい。
【0037】
また、本実施形態では、リブ34における保持壁部32の側の壁面34aが径方向に対してなす角度を、反対側の壁面34bが径方向に対してなす角度よりも大きくした(図7参照)。具体的には、リブ34の径方向の断面形状は、保持壁部32の側の壁面34aが径方向に対し略垂直な略直角三角形であった。しかし、これに限られず、リブ34は、引出線21aにクセ付け可能な形状を有していればよい。例えば、リブ34は、径方向の断面形状が三角形又は四角形等の角部を有する形状であってもよい。
【0038】
また、本実施形態では、リブ34は、径方向において、各引出線21aの引き出し位置21bよりも、各保持壁部32の近くに位置していた(図7参照)。しかし、各引出線21aの引き出し位置と各保持壁部32との間にリブ34が存在していれば、リブ34の配置位置は特に限定されない。
【0039】
また、本実施形態では、各保持壁部32の開口部32aを、周方向に向かって開口させた。しかし、開口部32aを含む各保持壁部32の形状は特に限定されるものではない。例えば、図8に示す変形例に係るコイルサポート30Aのように、各保持壁部32の開口部32aを、径方向内側に向かって開口させてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 モータ
10 ロータ
11 シャフト
12 第1ベアリング
13 第2ベアリング
14 ロータコア
15 ロータマグネット
20 ステータ
21 コイル
21a 引出線
21b 引き出し位置
25 ステータコア
25a コアバック部
25b ティース部
26 上側インシュレータ
27 下側インシュレータ
30、30A コイルサポート
31 円環状部
32 保持壁部
32a 開口部
33 ガイド部
34 リブ
35 脚部
40 ベアリングホルダ
50 バスバーユニット
60 ハウジング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8