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特許7081451設定制御装置、設定制御装置の制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】設定制御装置、設定制御装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20220531BHJP
   G06F 3/16 20060101ALI20220531BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20220531BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20220531BHJP
   G10L 15/10 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
B41J29/38 202
B41J29/38 303
B41J29/38 201
G06F3/16 630
H04N1/00 350
G06F3/16 650
G03G21/00 388
G03G21/00 376
G03G21/00 386
G10L15/10 500T
G10L15/10 200W
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2018213125
(22)【出願日】2018-11-13
(65)【公開番号】P2020078900
(43)【公開日】2020-05-28
【審査請求日】2021-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117673
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 了
(72)【発明者】
【氏名】中島 秀真
【審査官】牧島 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-046416(JP,A)
【文献】特開2003-131773(JP,A)
【文献】特開2004-208276(JP,A)
【文献】特開2008-236288(JP,A)
【文献】特開2004-351622(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
G06F 3/16
H04N 1/00
G03G 21/00
G10L 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理装置に関するジョブの設定を制御する設定制御装置であって、
ユーザによる設定指示音声に対する音声認識処理の処理結果を取得する取得手段と、
前記設定指示音声による設定指示内容であって設定対象項目と前記設定対象項目の設定値との組合せを含む設定指示内容を前記処理結果に基づき特定する特定手段と、
前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できたか否かを判定する判定手段と、
前記設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される場合、前記画像処理装置において読み取られた原稿に関する原稿情報と前記画像処理装置の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記設定指示内容を推定する推定手段と、
を備えることを特徴とする設定制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の設定制御装置において、
前記推定手段による推定処理の結果に応じて、前記設定指示音声に関する再入力を前記ユーザに要求するか否かを決定する決定手段、
をさらに備え、
前記決定手段は、前記推定処理の結果、前記設定指示内容を一意に特定できた場合、前記再入力を要求しない旨を決定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項3】
請求項2に記載の設定制御装置において、
前記決定手段は、前記推定処理の結果、前記設定指示内容を一意に特定できなかった場合、前記再入力を要求する旨を決定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載の設定制御装置において、
前記推定手段は、前記原稿情報と前記出力用紙情報との少なくとも一方に基づいて、前記設定対象項目と前記設定値とのうち前記設定対象項目を推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項5】
請求項4に記載の設定制御装置において、
前記特定手段は、
前記設定値を指示する指示ワードを前記音声認識処理の前記処理結果から抽出し、
前記ジョブの複数の設定項目に関する設定値候補群の中から前記指示ワードを検索する検索処理を実行し、
前記検索処理の結果、前記設定値候補群のうち1または2以上の候補が前記指示ワードに合致する場合、前記複数の設定項目のうち、前記1または2以上の候補にそれぞれ対応する設定項目である指示ワード対応項目を抽出し、
前記判定手段は、
単一の指示ワード対応項目が抽出される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できた旨を判定し、
複数の指示ワード対応項目が抽出される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨を判定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の設定制御装置において、
前記推定手段は、
前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨が判定される場合において、前記原稿情報あるいは前記出力用紙情報に基づいて前記複数の指示ワード対応項目のうちの一の指示ワード対応項目の値を断定し、
断定された前記値が前記指示ワードと異なるときには、前記複数の指示ワード対応項目のうち、前記一の指示ワード対応項目を除く残余の指示ワード対応項目の中から、前記設定対象項目を推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項7】
請求項6に記載の設定制御装置において、
前記推定手段は、断定された前記値が前記指示ワードと異なる場合において、前記残余の指示ワード対応項目が単一の設定項目であるときには、前記残余の指示ワード対応項目を前記設定対象項目として特定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項8】
請求項6に記載の設定制御装置において、
前記推定処理によっても前記設定指示内容を一意に特定できない場合、前記再入力を要求する要求手段、
をさらに備え、
前記推定手段は、断定された前記値が前記指示ワードと同じである場合、前記設定指示内容を一意に特定できない旨を判定し、
前記要求手段は、前記複数の指示ワード対応項目を前記設定対象項目に関する複数の選択肢として報知し、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力を前記再入力として前記ユーザに要求することを特徴とする設定制御装置。
【請求項9】
請求項6に記載の設定制御装置において、
前記推定処理によっても前記設定指示内容を一意に特定できない場合、前記再入力を要求する要求手段、
をさらに備え、
前記推定手段は、断定された前記値が前記指示ワードと異なる場合であっても、前記残余の指示ワード対応項目が2以上の設定項目であるときには、前記設定指示内容を一意に特定できない旨を判定し、
前記要求手段は、前記残余の指示ワード対応項目を前記設定対象項目に関する複数の選択肢として報知し、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力を前記再入力として前記ユーザに要求することを特徴とする設定制御装置。
【請求項10】
請求項2または請求項3に記載の設定制御装置において、
前記推定手段は、前記原稿情報と前記出力用紙情報との少なくとも一方に基づいて、前記設定対象項目と前記設定値とのうち前記設定値を推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項11】
請求項10に記載の設定制御装置において、
前記特定手段は、前記設定値を指示する指示ワードに関する複数の認識結果が前記音声認識処理によって取得される場合、前記ジョブに関する設定値候補群において前記複数の認識結果をそれぞれ検索し、
前記判定手段は、
前記複数の認識結果のうちの単一の認識結果のみが前記設定値候補群の中から検索される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できた旨を判定し、
前記複数の認識結果のうち2以上の認識結果が前記設定値候補群の中から検索される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨を判定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項12】
請求項11に記載の設定制御装置において、
前記推定手段は、前記2以上の認識結果のうちの一の認識結果に係る文字列が前記原稿内に存在する場合、前記一の認識結果を前記設定値として推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の設定制御装置において、
前記指示ワードは、送信ジョブにおける宛先を指示する語句であり、
前記推定手段は、前記一の認識結果に係る文字列が前記原稿内の宛先領域に存在する場合、前記一の認識結果を前記設定値として推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項14】
請求項12に記載の設定制御装置において、
前記指示ワードは、送信ジョブにおける宛先を指示する語句であり、
前記推定手段は、前記一の認識結果に係る文字列と前記宛先を示す語句の近傍で利用される可能性が所定程度より高い所定の文字列とが前記原稿内において所定の近傍範囲に存在する場合、前記一の認識結果を前記設定値として推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項15】
請求項14に記載の設定制御装置において、
前記所定の文字列は、敬称と役職名と所属組織名とのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする設定制御装置。
【請求項16】
請求項10に記載の設定制御装置において、
前記判定手段は、前記設定値を指示する指示ワードの一部分を前記音声認識処理において認識できなかった場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨を判定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項17】
請求項16に記載の設定制御装置において、
前記推定手段は、前記指示ワードに関する認識結果のうち、前記音声認識処理において認識できた部分である認識成功部分を前記原稿内において検索し、前記原稿内において前記認識成功部分を含む文字列を前記設定値として推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項18】
請求項17に記載の設定制御装置において、
前記指示ワードは、前記原稿のスキャンデータを保存する際のファイル名を指示する語句であり、
前記推定手段は、前記認識成功部分を含む文字列であって前記原稿内のタイトル領域に存在する文字列を前記設定値として推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項19】
請求項17に記載の設定制御装置において、
前記指示ワードは、前記原稿のスキャンデータを保存する際のファイル名を指示する語句であり、
前記推定手段は、前記認識成功部分を含む文字列であって前記原稿内のフッタ領域および/またはヘッダ領域に存在する文字列を前記設定値として推定することを特徴とする設定制御装置。
【請求項20】
請求項1から請求項19のいずれかに記載の設定制御装置において、
前記推定手段は、前記画像処理装置の所定位置に載置された複数の用紙のうちの所定枚数の用紙に対する読取処理を前記画像処理装置に実行させて前記原稿情報を取得することを特徴とする設定制御装置。
【請求項21】
請求項1から請求項20のいずれかに記載の設定制御装置において、
前記設定制御装置は、前記画像処理装置自体であることを特徴とする設定制御装置。
【請求項22】
請求項1から請求項20のいずれかに記載の設定制御装置において、
前記設定制御装置は、前記画像処理装置とは異なる外部サーバであることを特徴とする設定制御装置。
【請求項23】
画像処理装置に関するジョブの設定を制御する設定制御装置に内蔵されたコンピュータに、
a)ユーザによる設定指示音声に対する音声認識処理の処理結果を取得するステップと、
b)前記設定指示音声による設定指示内容であって設定対象項目と前記設定対象項目の設定値との組合せを含む設定指示内容を前記処理結果に基づき特定するステップと、
c)前記設定指示内容を前記ステップb)において一意に特定できたか否かを判定するステップと、
d)前記設定指示内容を一意に特定できなかった旨が前記ステップc)において判定される場合、前記画像処理装置において読み取られた原稿に関する原稿情報と前記画像処理装置の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記設定指示内容を推定するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項24】
画像処理装置に関するジョブの設定を制御する設定制御装置の制御方法であって、
a)ユーザによる設定指示音声に対する音声認識処理の処理結果を取得するステップと、
b)前記設定指示音声による設定指示内容であって設定対象項目と前記設定対象項目の設定値との組合せを含む設定指示内容を前記処理結果に基づき特定するステップと、
c)前記設定指示内容を前記ステップb)において一意に特定できたか否かを判定するステップと、
d)前記設定指示内容を一意に特定できなかった旨が前記ステップc)において判定される場合、前記画像処理装置において読み取られた原稿に関する原稿情報と前記画像処理装置の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記設定指示内容を推定するステップと、
を有することを特徴とする、設定制御装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))などの画像処理装置に関するジョブの設定を制御する設定制御装置、およびそれに関連する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
音声を用いてジョブの設定が行われる際に設定指示音声による設定指示内容を一意に特定できなかった場合に、当該設定指示音声に関する再入力をユーザに要求する技術が存在する。
【0003】
たとえば、特許文献1に記載の技術では、設定指示音声(音声コマンド)に対する音声認識処理の処理結果を用いて設定指示内容を一意に特定できたか否かのみに基づいて、当該設定指示音声に関する再入力をユーザに要求するか否かが判定されている。そして、当該処理結果を用いて設定指示内容を一意に特定できなかった場合に、再入力がユーザに要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-236288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、設定指示音声に関する再入力はユーザにとって煩わしい。特に、同じ設定指示音声を再入力することはユーザにとって煩わしい。
【0006】
そこで、本発明は、音声を用いてジョブの設定が行われる場合において、ユーザによる再入力の発生を抑制することが可能な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく、請求項1の発明は、画像処理装置に関するジョブの設定を制御する設定制御装置であって、ユーザによる設定指示音声に対する音声認識処理の処理結果を取得する取得手段と、前記設定指示音声による設定指示内容であって設定対象項目と前記設定対象項目の設定値との組合せを含む設定指示内容を前記処理結果に基づき特定する特定手段と、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できたか否かを判定する判定手段と、前記設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される場合、前記画像処理装置において読み取られた原稿に関する原稿情報と前記画像処理装置の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記設定指示内容を推定する推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明に係る設定制御装置において、前記推定手段による推定処理の結果に応じて、前記設定指示音声に関する再入力を前記ユーザに要求するか否かを決定する決定手段、をさらに備え、前記決定手段は、前記推定処理の結果、前記設定指示内容を一意に特定できた場合、前記再入力を要求しない旨を決定することを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2の発明に係る設定制御装置において、前記決定手段は、前記推定処理の結果、前記設定指示内容を一意に特定できなかった場合、前記再入力を要求する旨を決定することを特徴とする。
【0010】
請求項4の発明は、請求項2または請求項3の発明に係る設定制御装置において、前記推定手段は、前記原稿情報と前記出力用紙情報との少なくとも一方に基づいて、前記設定対象項目と前記設定値とのうち前記設定対象項目を推定することを特徴とする。
【0011】
請求項5の発明は、請求項4の発明に係る設定制御装置において、前記特定手段は、前記設定値を指示する指示ワードを前記音声認識処理の前記処理結果から抽出し、前記ジョブの複数の設定項目に関する設定値候補群の中から前記指示ワードを検索する検索処理を実行し、前記検索処理の結果、前記設定値候補群のうち1または2以上の候補が前記指示ワードに合致する場合、前記複数の設定項目のうち、前記1または2以上の候補にそれぞれ対応する設定項目である指示ワード対応項目を抽出し、前記判定手段は、単一の指示ワード対応項目が抽出される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できた旨を判定し、複数の指示ワード対応項目が抽出される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨を判定することを特徴とする。
【0012】
請求項6の発明は、請求項5の発明に係る設定制御装置において、前記推定手段は、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨が判定される場合において、前記原稿情報あるいは前記出力用紙情報に基づいて前記複数の指示ワード対応項目のうちの一の指示ワード対応項目の値を断定し、断定された前記値が前記指示ワードと異なるときには、前記複数の指示ワード対応項目のうち、前記一の指示ワード対応項目を除く残余の指示ワード対応項目の中から、前記設定対象項目を推定することを特徴とする。
【0013】
請求項7の発明は、請求項6の発明に係る設定制御装置において、前記推定手段は、断定された前記値が前記指示ワードと異なる場合において、前記残余の指示ワード対応項目が単一の設定項目であるときには、前記残余の指示ワード対応項目を前記設定対象項目として特定することを特徴とする。
【0014】
請求項8の発明は、請求項6の発明に係る設定制御装置において、前記推定処理によっても前記設定指示内容を一意に特定できない場合、前記再入力を要求する要求手段、をさらに備え、前記推定手段は、断定された前記値が前記指示ワードと同じである場合、前記設定指示内容を一意に特定できない旨を判定し、前記要求手段は、前記複数の指示ワード対応項目を前記設定対象項目に関する複数の選択肢として報知し、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力を前記再入力として前記ユーザに要求することを特徴とする。
【0015】
請求項9の発明は、請求項6の発明に係る設定制御装置において、前記推定処理によっても前記設定指示内容を一意に特定できない場合、前記再入力を要求する要求手段、をさらに備え、前記推定手段は、断定された前記値が前記指示ワードと異なる場合であっても、前記残余の指示ワード対応項目が2以上の設定項目であるときには、前記設定指示内容を一意に特定できない旨を判定し、前記要求手段は、前記残余の指示ワード対応項目を前記設定対象項目に関する複数の選択肢として報知し、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力を前記再入力として前記ユーザに要求することを特徴とする。
【0016】
請求項10の発明は、請求項2または請求項3の発明に係る設定制御装置において、前記推定手段は、前記原稿情報と前記出力用紙情報との少なくとも一方に基づいて、前記設定対象項目と前記設定値とのうち前記設定値を推定することを特徴とする。
【0017】
請求項11の発明は、請求項10の発明に係る設定制御装置において、前記特定手段は、前記設定値を指示する指示ワードに関する複数の認識結果が前記音声認識処理によって取得される場合、前記ジョブに関する設定値候補群において前記複数の認識結果をそれぞれ検索し、前記判定手段は、前記複数の認識結果のうちの単一の認識結果のみが前記設定値候補群の中から検索される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できた旨を判定し、前記複数の認識結果のうち2以上の認識結果が前記設定値候補群の中から検索される場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨を判定することを特徴とする。
【0018】
請求項12の発明は、請求項11の発明に係る設定制御装置において、前記推定手段は、前記2以上の認識結果のうちの一の認識結果に係る文字列が前記原稿内に存在する場合、前記一の認識結果を前記設定値として推定することを特徴とする。
【0019】
請求項13の発明は、請求項12の発明に係る設定制御装置において、前記指示ワードは、送信ジョブにおける宛先を指示する語句であり、前記推定手段は、前記一の認識結果に係る文字列が前記原稿内の宛先領域に存在する場合、前記一の認識結果を前記設定値として推定することを特徴とする。
【0020】
請求項14の発明は、請求項12の発明に係る設定制御装置において、前記指示ワードは、送信ジョブにおける宛先を指示する語句であり、前記推定手段は、前記一の認識結果に係る文字列と前記宛先を示す語句の近傍で利用される可能性が所定程度より高い所定の文字列とが前記原稿内において所定の近傍範囲に存在する場合、前記一の認識結果を前記設定値として推定することを特徴とする。
【0021】
請求項15の発明は、請求項14の発明に係る設定制御装置において、前記所定の文字列は、敬称と役職名と所属組織名とのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする。
【0022】
請求項16の発明は、請求項10の発明に係る設定制御装置において、前記判定手段は、前記設定値を指示する指示ワードの一部分を前記音声認識処理において認識できなかった場合、前記設定指示内容を前記特定手段によって一意に特定できなかった旨を判定することを特徴とする。
【0023】
請求項17の発明は、請求項16の発明に係る設定制御装置において、前記推定手段は、前記指示ワードに関する認識結果のうち、前記音声認識処理において認識できた部分である認識成功部分を前記原稿内において検索し、前記原稿内において前記認識成功部分を含む文字列を前記設定値として推定することを特徴とする。
【0024】
請求項18の発明は、請求項17の発明に係る設定制御装置において、前記指示ワードは、前記原稿のスキャンデータを保存する際のファイル名を指示する語句であり、前記推定手段は、前記認識成功部分を含む文字列であって前記原稿内のタイトル領域に存在する文字列を前記設定値として推定することを特徴とする。
【0025】
請求項19の発明は、請求項17の発明に係る設定制御装置において、前記指示ワードは、前記原稿のスキャンデータを保存する際のファイル名を指示する語句であり、前記推定手段は、前記認識成功部分を含む文字列であって前記原稿内のフッタ領域および/またはヘッダ領域に存在する文字列を前記設定値として推定することを特徴とする。
【0026】
請求項20の発明は、請求項1から請求項19のいずれかの発明に係る設定制御装置において、前記推定手段は、前記画像処理装置の所定位置に載置された複数の用紙のうちの所定枚数の用紙に対する読取処理を前記画像処理装置に実行させて前記原稿情報を取得することを特徴とする。
【0027】
請求項21の発明は、請求項1から請求項20のいずれかの発明に係る設定制御装置において、前記設定制御装置は、前記画像処理装置自体であることを特徴とする。
【0028】
請求項22の発明は、請求項1から請求項20のいずれかの発明に係る設定制御装置において、前記設定制御装置は、前記画像処理装置とは異なる外部サーバであることを特徴とする。
【0029】
請求項23の発明は、画像処理装置に関するジョブの設定を制御する設定制御装置に内蔵されたコンピュータに、a)ユーザによる設定指示音声に対する音声認識処理の処理結果を取得するステップと、b)前記設定指示音声による設定指示内容であって設定対象項目と前記設定対象項目の設定値との組合せを含む設定指示内容を前記処理結果に基づき特定するステップと、c)前記設定指示内容を前記ステップb)において一意に特定できたか否かを判定するステップと、d)前記設定指示内容を一意に特定できなかった旨が前記ステップc)において判定される場合、前記画像処理装置において読み取られた原稿に関する原稿情報と前記画像処理装置の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記設定指示内容を推定するステップと、を実行させるためのプログラムであることを特徴とする。
【0030】
請求項24の発明は、画像処理装置に関するジョブの設定を制御する設定制御装置の制御方法であって、a)ユーザによる設定指示音声に対する音声認識処理の処理結果を取得するステップと、b)前記設定指示音声による設定指示内容であって設定対象項目と前記設定対象項目の設定値との組合せを含む設定指示内容を前記処理結果に基づき特定するステップと、c)前記設定指示内容を前記ステップb)において一意に特定できたか否かを判定するステップと、d)前記設定指示内容を一意に特定できなかった旨が前記ステップc)において判定される場合、前記画像処理装置において読み取られた原稿に関する原稿情報と前記画像処理装置の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、前記設定指示内容を推定するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
請求項1から請求項24に記載の発明によれば、ユーザによる設定指示音声による設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される場合、画像処理装置において読み取られた原稿に関する原稿情報と画像処理装置の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報とのうちの少なくとも一方に基づいて、当該設定指示内容が推定される。したがって、音声を用いてジョブの設定が行われる場合において、当該設定指示内容を一意に確定できる可能性が高まるので、ユーザによる再入力の発生を抑制することが可能である。
【0032】
特に、請求項8に記載の発明によれば、複数の指示ワード対応項目が、設定対象項目に関する複数の選択肢として報知されて、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力が再入力としてユーザに要求される。そのため、ユーザは、報知された指示ワード対応項目の中から設定対象項目を選択するだけで済む。したがって、再入力が発生する場合であっても、当該再入力を容易に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】画像処理装置(MFP)の外観を示す図である。
図2】MFPの機能ブロックを示す図である。
図3】特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。
図4】MFPの動作を示すフローチャートである。
図5】特定不可指示の設定指示内容の推定処理に関するサブルーチン処理を示す図である。
図6】候補群規定テーブルを示す図である。
図7】第2実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。
図8】第2実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理に関するサブルーチン処理を示す図である。
図9】第3実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。
図10】第3実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理に関するサブルーチン処理を示す図である。
図11】原稿を示す図である。
図12】第3実施形態に係る候補群規定テーブルを示す図である。
図13】第4実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。
図14】第4実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理に関するサブルーチン処理を示す図である。
図15】原稿を示す図である。
図16】原稿を示す図である。
図17】原稿を示す図である。
図18】設定制御システムを示す図である。
図19】左開きの原稿(両面原稿)を示す図である。
図20】片面原稿を示す図である。
図21】上開きの原稿(両面原稿)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
<1.第1実施形態>
<1-1.構成概要>
図1は、MFP(マルチ・ファンクション・ペリフェラル(Multi-Functional Peripheral))10の外観を示す図である。ここでは、MFP10自体が、当該MFP10において実行可能なジョブの設定(設定処理)を制御する設定制御装置として動作する。
【0036】
図2は、MFP10の機能ブロックを示す図である。
【0037】
MFP10は、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能およびボックス格納機能などを備える装置(複合機とも称する)である。具体的には、MFP10は、図2の機能ブロック図に示すように、画像読取部2、印刷出力部3、通信部4、格納部5、操作部6、音声入出力部7およびコントローラ(制御部)9等を備えており、これらの各部を複合的に動作させることによって、各種の機能を実現する。なお、MFP10は、画像形成装置あるいは画像処理装置などとも称される。
【0038】
画像読取部2は、MFP10の所定の位置(自動原稿供給部(ADF:Auto Document Feeder)等)に載置された原稿を光学的に読み取って(すなわちスキャンして)、当該原稿の画像データ(原稿画像あるいはスキャン画像とも称する)を生成する処理部である。
【0039】
印刷出力部3は、印刷対象に関するデータ(印刷対象データ)に基づいて紙などの各種の媒体に画像を印刷出力する処理部である。
【0040】
通信部4は、公衆回線等を介したファクシミリ通信を行うことが可能な処理部である。さらに、通信部4は、ネットワークを介したネットワーク通信を行うことも可能である。このネットワーク通信では、たとえば、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)等の各種のプロトコルが利用される。当該ネットワーク通信を利用することによって、MFP10は、所望の相手先との間で各種のデータを授受することが可能である。通信部4は、各種データを送信する送信部4aと各種データを受信する受信部4bとを有する。
【0041】
格納部5は、ハードディスクドライブ(HDD)および半導体メモリ等の記憶装置で構成される。
【0042】
操作部6は、MFP10に対する操作入力(操作パネル部6c等に対する操作入力)を受け付ける操作入力部6aと、各種情報の表示出力を行う表示部6bとを備えている。
【0043】
このMFP10においては、略板状の操作パネル部6c(図1参照)が設けられている。また、操作パネル部6cは、その正面側にタッチパネル25(図1参照)を有している。タッチパネル25は、操作入力部6aの一部としても機能するとともに、表示部6bの一部としても機能する。タッチパネル25は、液晶表示パネルに各種センサ等が埋め込まれて構成され、各種情報を表示するとともに操作者からの各種の操作入力を受け付けることが可能である。
【0044】
音声入出力部7(図1参照)は、音声入力部7a(マイク等)と音声出力部7b(スピーカ等)とを備えている。
【0045】
音声入力部7aは、ユーザによって発せられた音声(設定指示音声等)を取得することが可能である。音声出力部7bは、音声出力を行うことが可能である。たとえば、音声出力部7bは、ユーザによる設定指示音声に関する再入力を要求するメッセージ(後述)を音声出力して、当該再入力を当該ユーザに要求する。
【0046】
コントローラ9は、MFP10に内蔵され、MFP10を統括的に制御する制御装置である。コントローラ9は、CPU(Central Processing Unit)(マイクロプロセッサあるいはコンピュータプロセッサなどとも称される)および各種の半導体メモリ(RAMおよびROM)等を備えるコンピュータシステムとして構成される。コントローラ9は、CPUにおいて、ROM(例えば、EEPROM(登録商標))内に格納されている所定のソフトウエアプログラム(以下、単にプログラムとも称する)を実行することによって、各種の処理部を実現する。なお、当該プログラム(詳細にはプログラムモジュール群)は、USBメモリなどの可搬性の記録媒体に記録され、当該記録媒体から読み出されてMFP10にインストールされるようにしてもよい。あるいは、当該プログラムは、ネットワーク等を経由してダウンロードされてMFP10にインストールされるようにしてもよい。
【0047】
具体的には、図2に示されるように、コントローラ9は、上記のプログラム等の実行により、通信制御部11と入力制御部12と表示制御部13と特定部14と判定部15と推定部16と音声認識処理部17と抽出部18と決定部19とを含む各種の処理部を実現する。
【0048】
通信制御部11は、他の装置との間の通信動作を通信部4等と協働して制御する処理部である。
【0049】
入力制御部12は、操作入力部6a(タッチパネル25等)に対する入力動作等を制御する制御部である。
【0050】
表示制御部13は、表示部6b(タッチパネル25等)における表示動作を制御する処理部である。
【0051】
音声認識処理部17は、ユーザによる音声に対して音声認識処理を実行して当該音声の音声認識結果(音声認識処理の処理結果)を取得する処理部である。音声認識処理部17は、当該音声認識結果としてテキストデータを取得する。
【0052】
抽出部(設定指示抽出部)18は、当該音声指示(テキストデータ)からジョブに関する設定指示(設定指示音声)200(図3等参照)を抽出して取得する処理部である。
【0053】
特定部14は、ユーザによる設定指示(設定指示音声)200による設定指示内容を特定する処理(指示内容特定処理とも称する)を実行する処理部である。当該設定指示内容は、設定対象項目と当該設定対象項目の設定値(一の設定値)との組合せで構成される。
【0054】
判定部15は、各種の判定動作を実行する処理部である。たとえば、判定部15は、設定指示200の設定指示内容を特定部14によって(指示内容特定処理において)一意に特定できたか否か(設定指示内容を1つに絞り込むことができたか否か)を判定する。換言すれば、判定部15は、当該設定指示200が特定不可指示であるか否かを判定する。特定不可指示(特定失敗指示とも称される)は、指示内容特定処理において設定指示内容を特定できない設定指示(設定指示内容を特定することに失敗した設定指示)である。
【0055】
推定部16は、設定指示200の設定指示内容を一意に特定できなかった旨(設定指示200が特定不可指示である旨)が判定される場合に、当該設定指示内容(特定不可指示の設定指示内容)を推定する処理(指示内容推定処理とも称する)を実行する処理部である。
【0056】
決定部19は、推定部16による指示内容推定処理の結果に応じて、設定指示音声(設定指示200)に関する再入力(音声入力操作とパネル入力操作(手指による押下操作)との少なくとも一方を含む再入力操作)をユーザ(音声指示の付与ユーザ)に要求するか否かを決定する処理部である。
【0057】
なお、ここでは、主にコントローラ9のCPUにてソフトウエアプログラムを実行することによって、上述の各種の動作が実行されているが、これに限定されず、MFP10(詳細には、コントローラ9の内部あるいは外部)にて設けられた専用ハードウエア等を用いて、上述の各種の動作が実行されるようにしてもよい。たとえば、通信制御部11、入力制御部12、表示制御部13、特定部14、判定部15、推定部16、音声認識処理部17、抽出部18および決定部19(図2)等の全部または一部が、1または複数の専用ハードウエアを用いて実現されてもよい。
【0058】
<1-3.動作>
図3は、特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。
【0059】
具体的には、まず、ユーザによる音声指示(たとえば「A3、白黒で3部コピーして」)が取得されると、当該ユーザによる設定指示200(設定指示201等)が当該音声指示から抽出(取得)される。その後、当該設定指示200に関して指示内容特定処理が実行される。そして、当該設定指示200の設定指示内容を当該指示内容特定処理において一意に特定できなかった旨が判定される場合、スキャン処理によって読み取られた原稿に関する原稿情報(たとえば原稿サイズ情報)に基づいて、当該設定指示(特定不可指示)200の設定指示内容が推定される。
【0060】
このような動作の詳細について、以下に説明する。
【0061】
図4は、MFP10(設定制御装置)の動作を示すフローチャートである。
【0062】
ここでは、ユーザが原稿(10枚の用紙を有する原稿)をMFP10のADFに載置して音声指示「A3、白黒で3部コピーして」(ジョブに関する設定指示音声とジョブの実行指示音声とを含む音声指示)を発すること(図3参照)を想定する。MFP10は、当該音声指示(音声指示データ)を音声入力部7a(図2)を用いて取得すると、図4の動作を開始する。
【0063】
まず、ステップS10において、MFP10は、ユーザによる音声指示「A3、白黒で3部コピーして」に対して音声認識処理を実行して、当該音声指示のテキストデータ(テキスト変換データ)を音声認識処理の処理結果(音声認識結果)として取得する。ここでは、MFP10は、ユーザによる音声指示「A3、白黒で3部コピーして」の全てを(正確に)認識することに成功し、当該音声指示の音声認識結果「A3、白黒で3部コピーして」を取得する。
【0064】
そして、MFP10は、当該テキストデータ(音声認識結果)に基づいて、実行すべきジョブの種類(ユーザによって指定されたジョブ種類)を決定するとともに、ユーザによる音声指示の音声認識結果(音声認識結果全体)から当該ジョブに関する設定指示(設定指示音声)200の音声認識結果を抽出して取得する(ステップS11)。
【0065】
具体的には、まず、MFP10は、自然言語処理(形態素解析等)を用いて当該テキストデータを解析する。そして、MFP10は、音声指示に文字列「コピー」が含まれることに基づいて、ユーザによって指定されたジョブ種類としてコピージョブを決定する。また、MFP10は、当該音声指示(音声指示から抽出された文字列群(単語群))のうち、当該ジョブ種類に関連する文字列(「コピー」)以外の文字列を、コピージョブに関する設定指示(設定指示音声)200として抽出する。ここでは、3つの文字列(「A3」、「白黒」、「3部」)が、コピージョブに関する設定指示200(201~203)としてそれぞれ抽出される。
【0066】
そして、処理はステップS11からステップS12へと進む。
【0067】
ステップS12において、MFP10は、各設定指示201~203の設定指示内容(設定対象項目と当該設定対象項目の設定値との組合せ)を特定する指示内容特定処理を実行する。
【0068】
図6は、コピージョブの複数の設定項目に関する設定値候補群を規定した候補群情報(候補群規定テーブル301(300))を示す図である。当該候補群規定テーブル301においては、コピージョブの各設定項目と当該各設定項目の複数の設定値候補(各設定項目の設定値候補群)とが対応付けて規定(登録)されている。
【0069】
たとえば、候補群規定テーブル301においては、コピージョブの設定項目「原稿サイズ」と当該設定項目「原稿サイズ」の設定値候補群(「A4」、「A3」、「B5」、...)とが対応付けて規定されている。また、候補群規定テーブル301においては、コピージョブの設定項目「出力用紙サイズ」と当該設定項目「出力用紙サイズ」の設定値候補群(「A4」、「A3」、「B5」、...)とが対応付けて規定されている。さらに、候補群規定テーブル301においては、コピージョブの設定項目「カラー設定」と当該設定項目「カラー設定」の設定値候補群(「フルカラー」、「白黒」)とが対応付けて規定されている。他の設定項目に関しても、候補群規定テーブル301において、各設定項目と当該各設定項目の設定値候補群とが対応付けて規定されている。
【0070】
MFP10は、当該候補群規定テーブル301に基づいて、各設定指示201~203に関する指示内容特定処理を実行する。
【0071】
具体的には、まず、MFP10は、設定値を指示する指示ワード(設定値指示ワード)を各設定指示201~203(「A3」、「白黒」、「3部」)の音声認識結果から抽出する。ここでは、設定指示201から指示ワード「A3」が抽出され、設定指示202から指示ワード「白黒」が抽出され、設定指示203から指示ワード「3部」が抽出される。
【0072】
その後、MFP10は、候補群規定テーブル301(図6)に基づいて、コピージョブの複数の設定項目に関する設定値候補群(詳細には、複数の設定項目の複数の設定値候補群)の中から複数の指示ワード(「A3」、「白黒」、「3部」)をそれぞれ検索する検索処理を実行する。そして、当該検索処理の結果、当該設定値候補群のうち1または2以上の候補(設定値候補)が指示ワードに合致する場合、MFP10は、当該複数の設定項目のうち、当該1または2以上の候補にそれぞれ対応する設定項目(指示ワード対応項目とも称する)を抽出する。換言すれば、指示ワードに合致する1または2以上の候補を設定することが可能な設定項目(設定可能項目とも称される)が、コピージョブに関する複数の設定項目の中から抽出される。
【0073】
詳細には、指示ワード「白黒」が候補群規定テーブル301(複数の設定項目の複数の設定値候補群)において検索された結果、一の設定値候補「白黒」のみが当該指示ワード「白黒」に合致する(図6参照)。そして、当該一の設定値候補「白黒」に対応する設定項目「カラー設定」のみが、指示ワード「白黒」に関する指示ワード対応項目(当該一の設定値候補「白黒」を設定することが可能な設定項目)として抽出される。この場合(単一の指示ワード対応項目「カラー設定」のみが抽出される場合)、MFP10は、設定指示202(「白黒」)に係る設定対象項目として設定項目「カラー設定」を特定する。これにより、MFP10は、設定対象項目「カラー設定」と設定値(指示ワードに合致する一の設定値候補)「白黒」との組合せを、当該設定指示202の設定指示内容として特定する(図3参照)。すなわち、MFP10は、当該設定指示202の設定指示内容を一意に特定することに成功する。
【0074】
また、指示ワード「3部」が候補群規定テーブル301において検索された結果、一の設定値候補「3部」のみが当該指示ワード「3部」に合致する(図6参照)。そして、当該一の設定値候補「3部」に対応する設定項目「部数」のみが、指示ワード「3部」に関する指示ワード対応項目として抽出される。これにより、設定対象項目「部数」と設定値「3部」との組合せが、当該設定指示203の設定指示内容として特定される(図3参照)。
【0075】
このようにして、指示内容特定処理(ステップS12)においては、一の指示ワードに関して単一の指示ワード対応項目のみが抽出される場合、当該単一の指示ワード対応項目と当該一の指示ワードに合致する一の設定値候補との組合せが、設定指示200の設定指示内容として特定される。
【0076】
これに対して、2以上の指示ワード対応項目が抽出される場合、MFP10は、設定指示200の設定指示内容(詳細には設定対象項目)を一意に特定することができない(設定指示内容を1つに絞り込むことができない)。
【0077】
詳細には、指示ワード「A3」が候補群規定テーブル301(図6)において検索された結果、設定項目「原稿サイズ」の設定値候補「A3」と設定項目「出力用紙サイズ」の設定値候補「A3」との2つの設定値候補が当該指示ワード「A3」に合致する(図6参照)。そして、当該2つの設定値候補にそれぞれ対応する2つの設定項目(「原稿サイズ」および「出力用紙サイズ」)が、指示ワード対応項目(指示ワード「A3」を設定することが可能な設定可能項目)として抽出される(図3も参照)。この場合(2以上の指示ワード対応項目が抽出される場合)、MFP10は、設定指示201(「A3」)の設定指示内容(詳細には設定対象項目)を一意に特定することができない。
【0078】
このようにして各設定指示200(201~203)に関して指示内容特定処理が実行された後、処理はステップS12からステップS13へと進む。
【0079】
ステップS13において、MFP10は、特定不可指示(指示内容特定処理において設定指示内容を特定できない設定指示)の存否を判定する。換言すれば、各設定指示200(201~203)の設定指示内容を指示内容特定処理(ステップS12)において一意に特定できたか否か(一意に特定することに成功したか否か)、が判定される。
【0080】
ここでは、MFP10は、設定指示201(「A3」)の設定指示内容を指示内容特定処理(ステップS12)において一意に特定できなかった旨(一意に特定することに失敗した旨)を判定する。換言すれば、複数の設定指示201~203のうちの設定指示201が特定不可指示である旨(複数の設定指示201~203の中に特定不可指示が存在する旨)が判定される。そして、処理はステップS13からステップS14へと進む。なお、指示内容特定処理において全ての設定指示200の設定指示内容を一意に特定できた場合(特定不可指示が存在しない場合)は、処理はステップS13からステップS19(後述)へと進む。
【0081】
ステップS14において、MFP10は、特定不可指示(ここでは設定指示201(「A3」))の設定指示内容を推定する指示内容推定処理を実行する。図5は、指示内容推定処理(ステップS14)に関するサブルーチン処理を示す図である。
【0082】
ここにおいて、ユーザが「A3」と発声した場合、実際の原稿の原稿サイズが「A4」(ユーザの発した値とは異なる値)であるときには、ユーザによる指示ワード「A3」は設定項目「原稿サイズ」の設定値を指示するものではないと判断できる。すなわち、スキャン処理によって原稿が読み取られて実際の原稿の原稿サイズ情報が取得された結果、指示ワード「A3」と当該原稿サイズ情報「A4」とが異なる場合には、複数の指示ワード対応項目(「原稿サイズ」および「出力用紙サイズ」)のうち、当該原稿サイズ情報に関連する設定項目「原稿サイズ」を設定対象項目の候補から排除できる。その結果、特定不可指示201(「A3」)の設定指示内容が更に絞り込まれ、当該設定指示内容が一意に特定される。
【0083】
このような動作がステップS21A~S26において実行される。
【0084】
具体的には、まず、ステップS21Aにおいて、MFP10は、ADFに載置された原稿(詳細には、原稿の10枚の用紙の全て)に対してスキャン処理を実行して、当該原稿に関する原稿情報を取得する。たとえば、MFP10は、当該原稿の原稿サイズ情報(「A4」等)を取得する。そして、処理はステップS21AからステップS22Aへと進む。
【0085】
ステップS22Aにおいて、MFP10は、スキャン処理によって取得された原稿情報に基づいて、当該原稿情報に関連する設定項目(原稿関連項目とも称する)の値(設定値)を断定する。たとえば、スキャン処理によって取得された原稿サイズ情報に基づいて、原稿関連項目「原稿サイズ」の値が断定される。そして、処理はステップS22AからステップS23へと進む。
【0086】
ステップS23において、MFP10は、特定不可指示201(「A3」)における指示ワード「A3」と原稿関連項目「原稿サイズ」の断定値(断定された値)とが同じであるか否か、を判定する。
【0087】
特定不可指示201における指示ワード「A3」と当該断定値とが異なる旨がステップS23において判定される場合、処理はステップS23からステップS24へと進む。
【0088】
たとえば、原稿の原稿サイズ情報「A4」が取得されて(ステップS21A)、原稿関連項目「原稿サイズ」の設定値として値「A4」が断定される(ステップS22A)場合、指示ワード「A3」と原稿関連項目の断定値「A4」とが異なる旨がステップS23において判定される。そして、処理はステップS23からステップS24へと進む。
【0089】
ステップS24において、MFP10は、複数の指示ワード対応項目のうち、当該原稿関連項目「原稿サイズ」を除く残余の指示ワード対応項目が単一の設定項目であるか否か、を判定する。ここでは、2つの指示ワード対応項目(「原稿サイズ」および「出力用紙サイズ」)のうち、原稿関連項目「原稿サイズ」を除く残余の指示ワード対応項目は設定項目「出力用紙サイズ」のみであり、残余の指示ワード対応項目が単一の設定項目である旨が判定される。そして、処理はステップS24からステップS25へと進む。なお、当該残余の指示ワード対応項目が2以上の設定項目である場合、処理はステップS24からステップS27へと進み、MFP10は、特定不可指示201の設定指示内容を一意に特定できなかった旨(設定指示内容を一意に特定することに失敗した旨)を判定する。
【0090】
ステップS25において、MFP10は、当該残余の単一の(唯一の)指示ワード対応項目(ここでは「出力用紙サイズ」)を、特定不可指示201(「A3」)に係る設定対象項目として推定する。これにより、設定対象項目「出力用紙サイズ」と設定値「A3」との組合せが、特定不可指示201の設定指示内容として推定(特定)される。そして、処理はステップS25からステップS26へと進む。
【0091】
ステップS26において、MFP10は、特定不可指示201の設定指示内容を設定指示推定処理において一意に特定できた旨(設定指示内容を一意に特定することに成功した旨)を判定する。
【0092】
一方、特定不可指示201における指示ワード「A3」と原稿関連項目「原稿サイズ」の断定値とが同じである旨がステップS23において判定される場合、処理はステップS23からステップS27へと進む。
【0093】
たとえば、スキャン処理によって原稿サイズ情報「A3」が取得されて(ステップS21A)、原稿関連項目「原稿サイズ」の設定値として値「A3」が断定された(ステップS22A)場合、指示ワード「A3」と原稿関連項目の断定値「A3」とが同じである旨がステップS23において判定される。
【0094】
そして、処理はステップS23からステップS27へと進み、MFP10は、特定不可指示201の設定指示内容を設定指示推定処理において(設定指示推定処理によっても)一意に特定できなかった旨(当該設定指示内容を1つに絞り込むことができなかった旨)を判定する。具体的には、特定不可指示201「A3」における設定対象項目が指示ワード対応項目「原稿サイズ」である可能性と当該設定対象項目が指示ワード対応項目「出力用紙サイズ」である可能性との双方が未だ残っており、MFP10は、特定不可指示201の設定指示内容を設定指示推定処理において一意に特定できなかった旨を判定する。
【0095】
このようにして、特定不可指示201に関する指示内容推定処理(ステップS14)が実行される。そして、処理はステップS14からステップS15(図4)へと進む。
【0096】
ステップS15~S17(図4)において、MFP10は、当該指示内容推定処理(ステップS14)の処理結果に応じて、設定指示音声(特定不可指示200)に関する再入力をユーザに要求するか否かを決定する。具体的には、指示内容推定処理(ステップS14)の結果、全ての特定不可指示の設定指示内容を一意に特定できたか否かに応じて、設定指示音声に関する再入力をユーザに要求するか否かが決定される。
【0097】
たとえば、スキャン処理によって原稿サイズ情報「A4」が取得された場合は、上述したように、設定対象項目「出力用紙サイズ」と設定値「A3」との組合せが特定不可指示201の設定指示内容として推定された(ステップS25(図5))結果、特定不可指示201の設定指示内容を一意に特定できた旨が判定される(ステップS26)。この場合、処理はステップS15からステップS16へと進み、MFP10は、当該特定不可指示201に関する再入力をユーザに要求しない旨を決定する。
【0098】
そして、処理はステップS16からステップS19へと進み、MFP10は、各設定指示200(201~203)の設定指示内容に基づいてコピージョブを実行する。具体的には、設定項目「出力用紙サイズ」と設定値「A3」との組合せ、設定項目「カラー設定」と設定値「白黒」との組合せ、および設定項目「部数」と設定値「3部」との組合せに基づいてコピージョブが実行される。当該コピージョブの実行に際しては、ステップS21A(図5)において原稿(詳細には、原稿の10枚の用紙の全て)に対して実行されたスキャン処理の処理結果(スキャンデータ)が利用される。ただし、これに限定されず、ADFへの原稿の再配置がユーザに要求されて、当該原稿に対するスキャン処理が再度実行されてもよい。
【0099】
このように、特定不可指示201の設定指示内容の推定処理の結果、当該設定指示内容を一意に特定できた場合は、再入力がユーザに要求されずにコピージョブが実行される。
【0100】
なお、コピージョブの実行に先立って、指示内容推定処理(ステップS14)の推定結果の正否をユーザに確認する確認処理が実行されてもよい。具体的には、特定不可指示201(「A3」)に係る設定対象項目(推定設定項目)の推定結果の正否をユーザに確認する確認メッセージ(たとえば「A3は出力用紙サイズでよろしいですね?」)が音声出力されてもよい。そして、推定結果が正しい旨の音声入力(「はい」等)に応答して、コピージョブが実行されてもよい。なお、当該確認メッセージの音声出力に加えて(あるいは、当該音声出力に代えて)、当該確認メッセージがMFP10のタッチパネル25に表示出力されてもよい。そして、推定結果が正しい旨が当該タッチパネル25を用いて(たとえば、タッチパネル25に表示された「はい」ボタンを用いて)入力されてもよい。
【0101】
一方、スキャン処理によって原稿サイズ情報「A3」が取得された場合は、上述したように、指示内容推定処理(ステップS14)の結果、特定不可指示201の設定指示内容を一意に特定することができなかった旨が判定される(ステップS27(図5))。この場合、処理はステップS15からステップS17へと進み、MFP10は、当該特定不可指示201に関する再入力をユーザに要求する旨を決定する。
【0102】
そして、処理はステップS17からステップS18へと進み、MFP10は、当該再入力をユーザに要求するとともに、ユーザによる再入力に応じて特定不可指示201の設定指示内容を一意に特定する。
【0103】
具体的には、まず、当該特定不可指示201に関する再入力をユーザに要求する。
【0104】
より具体的には、MFP10は、特定不可指示201に係る複数の指示ワード対応項目(「原稿サイズ」および「出力用紙サイズ」)を設定対象項目に関する複数の選択肢としてユーザに報知(通知)し、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力を当該再入力としてユーザに要求する。たとえば、MFP10は、2つの指示ワード対応項目(2つの選択肢)(「原稿サイズ」および「出力用紙サイズ」)の中から所望の選択肢を選択する入力を要求する要求メッセージ(たとえば「A3は、原稿サイズの設定値ですか?出力用紙サイズの設定値ですか?」)を出力する。なお、当該要求メッセージの出力方法としては、音声出力のみであってもよく、タッチパネル25への表示出力のみであってもよい。あるいは、当該要求メッセージの出力方法は、音声出力と当該表示出力との双方であってもよい。
【0105】
そして、ユーザは、当該要求メッセージを確認した後、MFP10からの要求に対して回答(再入力)する。たとえば、ユーザは、「出力用紙サイズです」と発声する。
【0106】
MFP10は、ユーザからの回答(再入力)に基づいて、特定不可指示201(「A3」)の設定指示内容を一意に特定する。具体的には、当該再入力に基づいて、設定対象項目「出力用紙サイズ」と設定値「A3」との組合せが特定不可指示201の設定指示内容として特定される。
【0107】
その後、処理はステップS18からステップS19へと進み、MFP10は、各設定指示201~203の設定指示内容に基づいてコピージョブを実行する。
【0108】
以上のように、第1実施形態では、ユーザによる設定指示音声(たとえば、設定指示201(「A3」))による設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される(ステップS13)場合、スキャン処理によって読み取られた原稿に関する原稿情報に基づいて、当該設定指示内容が推定される(ステップS14)。したがって、音声を用いてジョブの設定が行われる場合において、当該設定指示内容を一意に確定できる可能性が高まるので、ユーザによる再入力の発生を抑制することが可能である。
【0109】
特に、当該設定指示内容の推定処理の結果、当該設定指示内容を一意に特定できた場合、ユーザによる設定指示音声に関する再入力をユーザに要求しない旨が決定される。したがって、音声を用いてジョブの設定が行われる場合において、ユーザによる再入力の発生が抑制される。
【0110】
また、上記第1実施形態では、指示内容推定処理によっても特定不可指示200の設定指示内容を一意に特定できず、再入力を要求する旨が決定される(ステップS17(図4))場合、複数の指示ワード対応項目が複数の選択肢として報知されて、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力が再入力としてユーザに要求される(ステップS18)。端的に言えば、ユーザにとって回答し易い質問形式を用いて再入力が当該ユーザに要求される。したがって、再入力が発生する場合であっても、ユーザは、報知された指示ワード対応項目(選択肢)の中から設定対象項目を選択するだけで済むので、再入力を容易に行うことが可能である。
【0111】
<1-4.第1実施形態の改変例>
<第1実施形態の第1の改変例>
なお、上記第1実施形態では、複数の指示ワード対応項目が設定対象項目に関する複数の選択肢として報知されて設定指示音声に関する再入力が要求されている(ステップS18(図4))が、これに限定されない。
【0112】
たとえば、当該複数の指示ワード対応項目が報知されずに再入力が要求されてもよい。具体的には、特定不可指示201(「A3」)に係る設定対象項目をユーザに問い合わせるメッセージ(たとえば「A3はいずれの設定項目についての設定値ですか?」)が出力(音声出力および/または表示出力)されて再入力が要求されてもよい。
【0113】
<第1実施形態の第2の改変例>
また、上記第1実施形態では、設定指示201(「A3」)の設定指示内容が推定されているが、これに限定されず、他の設定指示200の設定指示内容が推定されてもよい。
【0114】
たとえば、ユーザによる音声指示「両面でコピーして」が取得された場合には、次のような動作が実行される。
【0115】
具体的には、まず、設定指示「両面」(当該音声指示から抽出された設定指示)における指示ワード「両面」に合致する設定値候補としては、設定項目「原稿の読取面(両面読取/片面読取)」の設定値候補「両面」と設定項目「印刷出力面(両面出力/片面出力)」の設定値候補「両面」との2つの設定値候補が設定値候補群の中から検索される。そして、当該設定項目「原稿の読取面」と設定項目「印刷出力面」との2つの設定項目が、当該指示ワード「両面」に関する指示ワード対応項目として抽出される(ステップS12(図4))。これにより、当該設定指示「両面」の設定指示内容を一意に特定できない旨が判定される(ステップS13)。
【0116】
その後、MFP10は、原稿に対してスキャン処理を実行して、原稿印字面情報(次述)を原稿情報として取得する(ステップS21A(図5))。原稿印字面情報は、読み取られた原稿が両面原稿(両面に印字された原稿)であるか片面原稿(片面のみに印字された原稿)であるかを示す情報である。
【0117】
たとえば、原稿印字面情報「片面原稿」が取得された場合、処理はステップS22AからステップS23を経て、2つの指示ワード対応項目(「原稿の読取面」および「印刷出力面」)のうちの設定項目「原稿の読取面」が排除される(ステップS24)。そして、残余の単一の指示ワード対応項目「印刷出力面」が、設定指示「両面」に係る設定対象項目として推定される(ステップS25)。これにより、特定不可指示「両面」の設定指示内容を一意に特定できた旨がステップS26において判定され、当該特定不可指示「両面」に関する再入力を要求しない旨がステップS16(図4)において決定される。
【0118】
一方、原稿印字面情報「両面原稿」が取得された場合、処理はステップS22AからステップS23へと進み、ステップS23において「YES」と判定されて(指示ワード対応項目「原稿の読取面」を排除できず)、特定不可指示「両面」の設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される(ステップS27)。そして、当該特定不可指示「両面」に関する再入力を要求する旨がステップS17(図4)において決定される。
【0119】
ユーザによる音声指示「両面でコピーして」が取得された場合は、このような動作が実行される。
【0120】
また、ユーザによる音声指示「上開きでコピーして」が取得された場合には、次のような動作が実行される。
【0121】
具体的には、まず、設定指示「上開き」(当該音声指示から抽出された設定指示)に係る指示ワード「上開き」に合致する設定値候補としては、設定項目「原稿開き方向」の設定値候補「上開き」と設定項目「出力開き方向」の設定値候補「上開き」との2つの設定値候補が設定値候補群の中から検索される。そして、当該設定項目「原稿開き方向」と設定項目「出力開き方向」との2つの設定項目が、指示ワード対応項目として抽出される(ステップS12(図4))。これにより、当該設定指示「上開き」の設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される(ステップS13)。
【0122】
その後、MFP10は、原稿に対してスキャン処理を実行して、原稿印字面情報と原稿開き方向情報(次述)とを原稿情報として取得する(ステップS21A(図5))。原稿開き方向情報は、読み取られた原稿の開き方向を示す情報である。なお、設定項目「原稿の読取面」が設定値「両面」に設定されている場合にのみ、ユーザは、設定項目「原稿開き方向」の設定値を指定することが可能である。
【0123】
たとえば、原稿印字面情報「両面原稿」と原稿開き方向情報「左開き」とが取得された場合(図19参照)、処理はステップS22AからステップS23を経て、2つの指示ワード対応項目(「原稿開き方向」および「出力開き方向」)のうちの指示ワード対応項目「原稿開き方向」が排除される(ステップS24)。そして、残余の単一の指示ワード対応項目「出力開き方向」が設定指示「上開き」に係る設定対象項目として推定される(ステップS25)。
【0124】
また、たとえば原稿印字面情報「片面原稿」が取得された場合(図20参照)も、2つの指示ワード対応項目(「原稿開き方向」および「出力開き方向」)のうち指示ワード対応項目「原稿開き方向」が排除される(ステップS24)。そして、残余の単一の指示ワード対応項目「出力開き方向」が設定指示「上開き」に係る設定対象項目として推定される(ステップS25)。
【0125】
そして、特定不可指示「上開き」の設定指示内容を一意に特定できた旨がステップS26において判定され、当該特定不可指示「上開き」に関する再入力を要求しない旨がステップS16(図4)において決定される。
【0126】
一方、原稿印字面情報「両面原稿」と原稿開き方向情報「上開き」とが取得された場合(図21参照)、処理はステップS22AからステップS23へと進み、ステップS23において「YES」と判定されて(指示ワード対応項目「原稿開き方向」を排除できず)、特定不可指示「上開き」の設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される(ステップS27)。そして、当該特定不可指示「上開き」に関する再入力を要求する旨がステップS17(図4)において決定される。
【0127】
ユーザによる音声指示「上開きでコピーして」が取得された場合は、このような動作が実行される。
【0128】
<第1実施形態の第3の改変例>
また、上記第1実施形態では、特定不可指示200における指示ワードに関して2つの指示ワード対応項目が抽出されているが、これに限定されず、当該指示ワードに関して3つ以上の指示ワード対応項目が抽出されてもよい。
【0129】
たとえば、当該指示ワードに関して3つの指示ワード対応項目が抽出された場合には、次のような動作が行われる。
【0130】
ここでは、ユーザが音声指示「両面、フルカラー、コピー禁止のスタンプでコピーして」と発することを想定する。
【0131】
MFP10がスタンプ機能をも有する場合、設定指示「両面」に係る指示ワード「両面」に合致する設定値候補としては、設定項目「原稿の読取面」の設定値候補「両面」と設定項目「印刷出力面」の設定値候補「両面」と設定項目「スタンプの配置面(両面配置/片面配置)」との3つの設定値候補が設定値候補群の中から検索される。そして、当該設定項目「原稿の読取面」と設定項目「印刷出力面」と設定項目「スタンプの配置面」との3つの設定項目が、当該指示ワード「両面」に関する指示ワード対応項目として抽出される(ステップS12(図4))。これにより、当該設定指示「両面」の設定指示内容を一意に特定できない旨が判定される(ステップS13)。
【0132】
その後、MFP10は、原稿に対してスキャン処理を実行して、原稿印字面情報を原稿情報として取得する(ステップS21A(図5))。
【0133】
そして、たとえば原稿印字面情報「両面原稿」がステップS21Aにおいて取得された場合、処理はステップS22AからステップS23へと進み、ステップS23において「YES」と判定されて(設定項目「原稿の読取面」を排除できず)、特定不可指示「両面」の設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される(ステップS27)。これにより、当該特定不可指示「両面」に関する再入力を要求する旨がステップS17(図4)において決定される。
【0134】
その後、MFP10は、特定不可指示「両面」に関する再入力をユーザに要求する。具体的には、3つの指示ワード対応項目(「原稿の読取面」「印刷出力面」および「スタンプの配置面」)を設定対象項目に関する3つの選択肢として報知し、当該3つの選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力を当該再入力として要求する。たとえば、MFP10は、3つの指示ワード対応項目(3つの選択肢)の中から所望の選択肢を選択する入力を要求する要求メッセージ(たとえば「両面は、原稿の読取面の設定値ですか?印刷出力面の設定値ですか?スタンプの配置面の設定値ですか?」)を出力する。
【0135】
一方、ステップS21A(図5)において原稿印字面情報「片面原稿」が取得された場合、処理はステップS22AからステップS23を経た後、3つの指示ワード対応項目(「原稿の読取面」、「印刷出力面」および「スタンプの配置面」)のうちの一の指示ワード対応項目(原稿関連項目)「原稿の読取面」が排除される。ただし、ここでは、当該3つの指示ワード対応項目のうち、原稿関連項目「原稿の読取面」を除く残余の指示ワード対応項目(「印刷出力面」および「スタンプの配置面」)としては、2以上の設定項目が存在する。これに応じて、処理はステップS24からステップS27へと進み、特定不可指示「両面」の設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される。その結果、当該特定不可指示「両面」に関する再入力を要求する旨がステップS17(図4)において決定される。
【0136】
その後、MFP10は、特定不可指示「両面」に関する再入力をユーザに要求する。ただし、ここでは、3つの指示ワード対応項目(「原稿の読取面」「印刷出力面」および「スタンプの配置面」)の全てが報知されるのではなく、3つの指示ワード対応項目のうち、原稿関連項目「原稿の読取面」を除く残余の指示ワード対応項目が報知される。
【0137】
具体的には、MFP10は、3つの指示ワード対応項目のうち、原稿関連項目「原稿の読取面」を除く残余の指示ワード対応項目(2つの指示ワード対応項目「印刷出力面」および「スタンプの配置面」)を設定対象項目に関する複数の選択肢として報知し、当該複数の選択肢の中から所望の選択肢を選択する入力を当該再入力として要求する。たとえば、MFP10は、残余の2つの指示ワード対応項目(2つの選択肢)の中から所望の選択肢を選択する入力を要求する要求メッセージ(たとえば「両面は、印刷出力面の設定値ですか?スタンプの配置面の設定値ですか?」)を出力する。
【0138】
このように、複数の指示ワード対応項目のうち、原稿関連項目を除く残余の指示ワード対応項目が2以上の設定項目である(ステップS24(図5))ことによって設定指示内容を一意に特定できなかった旨がステップS27において判定された場合は、当該残余の指示ワード対応項目が複数の選択肢として報知されて再入力がユーザに要求される。これによれば、報知された指示ワード対応項目(選択肢)の中から設定対象項目をユーザが選択するにあたって、選択肢の数が低減されるので、再入力が要求される場合において当該再入力を更に容易に行うことが可能である。
【0139】
<2.第2実施形態>
第2実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0140】
上記第1実施形態では、スキャン処理によって読み取られた原稿に関する原稿情報(原稿サイズ情報等)に基づいて、特定不可指示の設定指示内容が推定されている(ステップS14(図5))。
【0141】
これに対して、この第2実施形態では、MFP10の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報に基づいて、特定不可指示の設定指示内容が推定される。
【0142】
この第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、図4の動作がMFP10において実行される。
【0143】
図7は、第2実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。ここでは、上記第1実施形態と同様に、ユーザが音声「A3、白黒で3部コピーして」を発することを想定する。
【0144】
この場合、第1実施形態と同様に、設定指示201(「A3」)の設定指示内容を指示内容特定処理(ステップS12(図4))において特定できない旨(設定指示201が特定不可指示である旨)がステップS13にて判定されて、特定不可指示201の設定指示内容の推定処理(指示内容推定処理)がステップS14において実行される。
【0145】
図8は、第2実施形態に係る指示内容推定処理(ステップS14)に関するサブルーチン処理を示す図である。
【0146】
図8に示されるように、この第2実施形態では、ステップS21A,S22A(図5)に代えてステップS21B,S22Bの処理が実行される。
【0147】
まず、ステップS21Bにおいて、MFP10は、各種センサ等を用いて、MFP10内の各給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報(たとえば出力用紙サイズ情報)を取得(検出)する。
【0148】
そして、処理はステップS21BからステップS22Bへと進む。
【0149】
ステップS22Bにおいて、MFP10は、ステップS21B(出力用紙サイズ検出処理)において取得された出力用紙サイズ情報に基づいて、当該出力用紙サイズ情報に関連する設定項目(出力用紙関連項目とも称する)の設定値を断定する。たとえば、出力用紙サイズ情報に基づいて、出力用紙関連項目「出力用紙サイズ」の設定値が断定される。
【0150】
そして、処理はステップS22BからステップS23へと進む。ステップS23以降の処理内容は、第1実施形態と同様である。
【0151】
具体的には、全ての給紙トレイにおいて出力用紙サイズ情報が検出された結果、出力用紙サイズ情報「A4」(のみ)がステップS22Bにおいて取得された場合(全ての給紙トレイにA4サイズの出力用紙のみが配置されている場合)は、出力用紙関連項目「出力用紙サイズ」の設定値として値「A4」が断定される(ステップS22B)。この場合、特定不可指示201における指示ワード「A3」と出力用紙関連項目の断定値「A4」とが異なる旨がステップS23において判定される。
【0152】
そして、処理はステップS23からステップS24へと進み、特定不可指示201における指示ワード「A3」は設定項目「出力用紙サイズ」を指示するものではないこと(設定項目「出力用紙サイズ」の設定値は値「A3」ではなく値「A4」である旨)が判断されて、当該設定項目「出力用紙サイズ」が排除される。
【0153】
その後、処理はステップS24からステップS25へと進み、複数の指示ワード対応項目(「原稿サイズ」および「出力用紙サイズ」)のうち、出力用紙関連項目「出力用紙サイズ」を除く残余の単一の指示ワード対応項目「原稿サイズ」が、特定不可指示201(「A3」)に係る設定対象項目として推定される。これにより、当該特定不可指示201(「A3」)の設定指示内容を一意に特定できた旨が判定され(ステップS26)、当該特定不可指示201に関する再入力を要求しない旨がステップS16(図4)において決定される。
【0154】
一方、出力用紙サイズ情報「A3」がステップS22Bにおいて取得された場合は、出力用紙関連項目「出力用紙サイズ」の設定値として値「A3」が断定される(ステップS22B)。この場合、特定不可指示201における指示ワード「A3」と出力用紙関連項目の断定値「A3」とが同じである旨がステップS23において判定される。
【0155】
この場合、特定不可指示201「A3」における設定対象項目が指示ワード対応項目「原稿サイズ」である可能性と当該設定対象項目が指示ワード対応項目「出力用紙サイズ」である可能性との双方が未だ残っており、MFP10は、特定不可指示201の設定指示内容を設定指示推定処理において一意に特定できなかった旨を判定する(ステップS27)。そして、当該特定不可指示201に関する再入力を要求する旨がステップS17(図4)において決定される。
【0156】
このように、第2実施形態では、MFP10の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報に基づいて、特定不可指示201の設定指示内容が推定される(ステップS14)。
【0157】
なお、上記第1、第2実施形態では、原稿情報と出力用紙情報とのうちのいずれか一方のみに基づいて指示内容推定処理(ステップS14)が実行されている。具体的には、上記第1実施形態では、原稿情報と出力用紙情報とのうちの原稿情報のみに基づいて特定不可指示の設定指示内容の推定処理が実行されており、上記第2実施形態では、原稿情報と出力用紙情報とのうちの出力用紙情報のみに基づいて当該推定処理が実行されている。しかしながら、本発明はこれに限定されない。
【0158】
たとえば、原稿情報と出力用紙情報との双方に基づいて、特定不可指示(たとえば設定指示201(「A3」))の設定指示内容の推定処理(ステップS14)が実行されてもよい。
【0159】
具体的には、まず、原稿のスキャン処理が実行されて原稿情報(たとえば原稿サイズ情報)が取得され(ステップS21A(図5))、原稿関連項目「原稿サイズ」の設定値(たとえば値「A3」)が断定される(ステップS22A)。
【0160】
その後、特定不可指示201(「A3」)における指示ワード「A3」と原稿関連項目の断定値「A3」とが同じである旨が図5のステップS23において判定されると、今度は出力用紙情報(たとえば出力用紙サイズ情報)が取得される(ステップS21B(図8))。そして、出力用紙関連項目「出力用紙サイズ」の設定値が断定される(ステップS22B)。なお、当該指示ワード「A3」と原稿関連項目の断定値(たとえば「A4」)とが異なる場合は、上記第1実施形態と同様にして、設定項目「出力用紙サイズ」が特定不可指示201に係る設定対象項目として推定される(ステップS25(図5))。
【0161】
そして、たとえば出力用紙サイズ情報「A4」が取得された場合は、当該指示ワード「A3」と出力用紙関連項目「出力用紙サイズ」の断定値「A4」とが異なる旨がステップS23(図8)において判定される。その後、2つの指示ワード対応項目(「原稿サイズ」および「出力用紙サイズ」)のうちの出力用紙関連項目「出力用紙サイズ」が設定対象項目の候補から排除され(ステップS24)、単一の指示ワード対応項目「原稿サイズ」が、特定不可指示「A3」に係る設定対象項目として推定(特定)される(ステップS25(図8))。その結果、設定対象項目「原稿サイズ」と設定値「A3」との組合せが特定不可指示201の設定指示内容として特定され、当該設定指示内容を一意に特定できた旨が判定される(ステップS26)。
【0162】
このように、原稿情報と出力用紙情報との双方に基づいて、特定不可指示(201)の設定指示内容の推定処理が実行されてもよい。これによれば、ユーザによる再入力の発生をさらに抑制することが可能である。
【0163】
また、上記第2実施形態では、MFP10内の複数の給紙トレイのそれぞれに配置された出力用紙に関する出力用紙情報(出力用紙サイズ情報)が取得(検出)されているが、これに限定されず、たとえば、当該複数の給紙トレイのうちの所定の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報が取得されてもよい。
【0164】
ここにおいて、設定項目「給紙トレイ」の設定値がユーザによって指定された場合には、当該設定項目「給紙トレイ」の設定値として指定された給紙トレイ(「トレイ2」等)内の出力用紙を用いて印刷出力される。それ故、設定項目「給紙トレイ」の設定値がユーザによって指定された場合には、全ての給紙トレイにおいて出力用紙情報を検出するのではなく、MFP10内の複数の給紙トレイのうち、設定項目「給紙トレイ」の設定値としてユーザに指定された給紙トレイのみにおいて出力用紙情報を検出するだけで足りる、とも考えられる。
【0165】
この点を考慮して、MFP10内の複数の給紙トレイのうち、設定項目「給紙トレイ」の設定値としてユーザによって指定された給紙トレイ(「トレイ2」等)に配置された出力用紙に関する出力用紙情報が取得されてもよい。
【0166】
また、設定項目「給紙トレイ」の設定値がユーザによって指定されていない場合、通常、当該設定項目「給紙トレイ」のデフォルト値として設定された給紙トレイ(「トレイ1」等)内の出力用紙を用いて印刷出力される。
【0167】
この点を考慮して、MFP10内の複数の給紙トレイのうち、設定項目「給紙トレイ」のデフォルト値として設定された給紙トレイ(「トレイ1」等)に配置された出力用紙に関する出力用紙情報が取得されてもよい。
【0168】
このように、複数の給紙トレイのうちの所定の給紙トレイに配置された出力用紙に関する出力用紙情報が取得されてもよい。
【0169】
<3.第3実施形態>
第3実施形態は、第1実施形態の変形例である。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0170】
上記第1実施形態では、設定指示200の設定指示内容における設定対象項目と当該設定対象項目の設定値とのうちの設定対象項目が推定される態様が例示されている。
【0171】
これに対して、この第3実施形態では、当該設定対象項目と設定値とのうちの設定値が推定される態様が例示される。
【0172】
この第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、図4の動作がMFP10において実行される。
【0173】
図9は、第3実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。ここでは、ユーザが原稿(10枚の用紙を有する原稿)151(図11参照)をMFP10のADFに載置して音声指示「オオタ(太田)さん宛にファックスを送って」を発すること(図9参照)を想定する。
【0174】
MFP10は、ユーザによる当該音声指示に対して音声認識処理を実行して、当該音声指示の音声認識結果(テキストデータ)を取得する(ステップS10)。ただし、ここでは、ユーザの発音が不明瞭であること等に起因して、当該音声のうちの「オオタ」の部分において複数の音声認識結果(「太田(オオタ)」および「小田(オダ)」)が音声認識処理によって取得されるものとする。なお、ここでは、音声認識結果(テキストデータ)の各文字列が漢字に変換されるものとする。
【0175】
そして、処理はステップS10からステップS11へと進む。
【0176】
ステップS11において、MFP10は、音声指示(テキストデータ)に文字列「ファックス」と文字列「送って」とが含まれることに基づいて、ユーザによって指定されたジョブ種類としてファクシミリ送信ジョブを特定する。また、MFP10は、音声指示に文字列「宛」が含まれることに基づいて、当該文字列「宛」と当該文字列「宛」の直前の文字列(送信ジョブにおける宛先を指示する語句)(太田/小田)とを含む文字列を、ファクシミリ送信ジョブにおける送信宛先を指示する設定指示210(200)として抽出する。
【0177】
そして、処理はステップS11からステップS12へと進み、指示内容特定処理が実行される。
【0178】
具体的には、MFP10は、文字列「宛」に基づいて、ファクシミリ送信ジョブにおける設定項目「送信宛先」を設定指示210に係る設定対象項目として特定する。また、MFP10は、設定対象項目「送信宛先」の設定値を指示する指示ワードを、当該文字列「宛」の直前に存在する文字列から抽出する。ただし、ここでは、当該指示ワード(宛先を指示する語句)に複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)が存在している(図9参照)。
【0179】
この場合、MFP10は、ファクシミリ送信ジョブに関する設定値候補群において当該複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)をそれぞれ検索する。詳細には、MFP10は、当該設定対象項目「送信宛先」の設定値候補群(図12参照)において当該複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)をそれぞれ検索する。なお、図12は、第3実施形態に係る候補群規定テーブル302(300)を示す図である。
【0180】
音声認識結果の検索処理の結果、ここでは、2つの音声認識結果(「太田」および「小田」)の双方が設定対象項目「送信宛先」の設定値候補群の中から検索される。この場合、MFP10は、設定指示210(「(太田/小田)さん宛」)の設定指示内容(詳細には、設定指示内容における設定値)を一意に特定できない旨(設定指示210が特定不可指示である旨)を判定する(ステップS13)。
【0181】
なお、2つの音声認識結果のうちの一の音声認識結果のみが設定対象項目「送信宛先」の設定値候補群の中から検索される場合は、当該一の音声認識結果が設定対象項目「送信宛先」の設定値として特定されるとともに、当該設定指示210の設定指示内容を一意に特定できた旨が判定される。たとえば、2つの音声認識結果のうちの一の音声認識結果「太田」が設定対象項目「送信宛先」の設定値候補群に存在しており、且つ残余の音声認識結果「小田」が当該設定値候補群に存在しない場合は、当該一の音声認識結果「太田」が設定値として特定されて、当該設定指示210の設定指示内容を一意に特定できた旨が判定される。
【0182】
設定指示210の設定指示内容を一意に特定できない旨がステップS13において判定される場合、処理はステップS13からステップS14へと進み、MFP10は、特定不可指示210の設定指示内容の推定処理(指示内容推定処理)を実行する。図10は、第3実施形態に係る指示内容推定処理(ステップS14)に関するサブルーチン処理を示す図である。
【0183】
ステップS31において、MFP10は原稿情報を取得する。具体的には、まず、MFP10は、原稿(10枚の用紙を有する原稿)151(図11)に対してスキャン処理を実行してスキャンデータを生成する。そして、MFP10は、当該スキャンデータに対してOCR処理(光学文字認識処理)を実行して、原稿151の文字認識結果(OCR処理結果)を原稿情報として取得する。
【0184】
ステップS32において、MFP10は、原稿151(原稿151のスキャンデータ)内の宛先領域181(図11)にて各音声認識結果(「太田」および「小田」)に係る文字列を検索する(ステップS32)。具体的には、MFP10は、原稿151における宛先領域181(原稿151の1ページ目の左上領域)を抽出する機能を有しており、原稿151のOCR処理結果に基づいて、当該宛先領域181に記述されている文字列を抽出する。そして、MFP10は、当該宛先領域181において各音声認識結果(「太田」および「小田」)に係る文字列を検索する。
【0185】
その後、MFP10は、複数の音声認識結果(ここでは2つの音声認識結果(「太田」および「小田」))のうちの一の音声認識結果のみに係る文字列が当該宛先領域181に存在するか否かを判定する(ステップS33)。
【0186】
ここでは、図11に示されるように、原稿151内の宛先領域181には文字列「太田」が記載されており、当該宛先領域181には文字列「小田」は記載されていない。この場合、当該宛先領域181内に2つの音声認識結果のうち一の音声認識結果「太田」のみに係る文字列が存在する旨がステップS33において判定される。詳細には、当該宛先領域181内に一の音声認識結果「太田」に係る文字列が存在しており且つ残余の音声認識結果(「小田」)に係る文字列が存在しない旨が判定される。そして、処理はステップS33からステップS34へと進む。
【0187】
なお、宛先領域181にいずれの音声認識結果に係る文字列も存在しない旨、あるいは宛先領域181に2つの音声認識結果に係る文字列の双方が存在する旨がステップS33において判定される場合は、処理はステップS33からステップS36へと進み、特定不可指示210の設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される。
【0188】
ステップS34において、MFP10は、複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)のうち、原稿151内の宛先領域181に存在する一の音声認識結果「太田」を設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定する。これにより、設定対象項目「送信宛先」と設定値「太田」との組合せが、特定不可指示210の設定指示内容として推定(特定)される(図9参照)。
【0189】
そして、処理はステップS34からステップS35へと進み、MFP10は、特定不可指示210の設定指示内容を一意に特定できた旨を判定する。
【0190】
その後、特定不可指示210の設定指示内容を指示内容推定処理(ステップS14)において一意に特定できた旨がステップS35において判定されたことに基づいて、当該特定不可指示210に関する再入力をユーザに要求しない旨がステップS16(図4)において決定される。
【0191】
そして、ユーザによる設定指示200(210)に基づいてファクシミリ送信ジョブが実行される(ステップS19)。具体的には、設定項目「送信宛先」と設定値「太田」との組合せに基づいてファクシミリ送信ジョブが実行される。
【0192】
以上のように、第3実施形態では、設定指示200に係る設定対象項目と当該設定対象項目の設定値との組合せ(設定指示200の設定指示内容)のうちの設定値が推定される。
【0193】
<第3実施形態の第1の改変例>
なお、上記第3実施形態では、原稿151内の宛先領域181(図11)において各音声認識結果(「太田」および「小田」)に係る文字列が検索されている(ステップS32(図10))が、これに限定されず、原稿151全体において各音声認識結果に係る文字列が検索されてもよい。そして、複数の音声認識結果のうちの単一の音声認識結果のみに係る文字列が当該原稿151内に存在する場合、当該単一の音声認識結果が設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されてもよい。
【0194】
<第3実施形態の第2の改変例>
また、上記第3実施形態では、複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)のうちの一の音声認識結果のみに係る文字列が原稿151の宛先領域181(図11)内に存在する場合、当該一の音声認識結果が設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されている(ステップS34(図10))が、これに限定されない。
【0195】
ここにおいて、送信ジョブ(ファクシミリ送信ジョブ等)においては、敬称、役職名および所属組織名等の文字列(宛名近傍付加文字列とも称される)が、宛先を示す語句(「太田」)の近傍で利用される(付加される)可能性が所定程度よりも高い。
【0196】
この点を考慮して、このような文字列(宛名近傍付加文字列)と複数の音声認識結果のうちの一の音声認識結果に係る文字列とが原稿151内において所定の近傍範囲に存在する場合に、当該一の音声認識結果が設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されてもよい。
【0197】
具体的には、まず、MFP10は、原稿151(あるいは宛先領域181)において各音声認識結果(「太田」および「小田」)に係る文字列を検索する。
【0198】
そして、複数の音声認識結果のうちの一の音声認識結果「太田」のみに係る文字列が原稿151内に存在する場合、MFP10は、当該原稿151内において当該一の音声認識結果「太田」と敬称(敬称を示す文字列)(「様」、「殿」等)とが所定の近傍範囲に存在するか否かを判定する。たとえば、MFP10は、当該原稿151内において当該一の音声認識結果「太田」と敬称とが所定文字数(たとえば10文字)の範囲(距離)に存在するか否かを判定する。具体的には、MFP10は、当該原稿151内において当該一の音声認識結果「太田」と敬称との文字列間の距離(文字数)が所定の距離(所定の文字数)以内である否かを判定する。
【0199】
たとえば、原稿151内において当該一の音声認識結果「太田」の直後に敬称「様」が存在する(図11参照)場合、MFP10は、原稿151内において一の音声認識結果「太田」と敬称「様」との文字列間の文字数が10文字以内である旨(一の音声認識結果「太田」と敬称「様」とが所定の近傍範囲に存在する旨)を判定する。そして、MFP10は、当該一の音声認識結果「太田」を設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定する。
【0200】
なお、ここでは、複数の音声認識結果のうちの一の音声認識結果「太田」に係る文字列と敬称とが原稿151内において所定の近傍範囲に存在するか否かが判定されているが、これに限定されない。
【0201】
たとえば、当該一の音声認識結果「太田」に係る文字列と役職名(役職を示す文字列)(「部長」、「課長」等)とが原稿151内において所定の近傍範囲に存在するか否かが判定されてもよい。そして、たとえば原稿151内において一の音声認識結果「太田」の直前に役職名「部長」が存在する(図11参照)場合、原稿151内において一の音声認識結果「太田」と役職名「部長」との文字列間の距離(文字数)が所定文字数以内である旨(一の音声認識結果「太田」と役職名「部長」とが所定の近傍範囲に存在する旨)が判定されてもよい。
【0202】
あるいは、当該一の音声認識結果「太田」に係る文字列と所属組織名(所属組織を示す文字列)(「株式会社」等)とが原稿151内において所定の近傍範囲に存在するか否かが判定されてもよい。そして、たとえば原稿151内において一の音声認識結果「太田」の9文字前に所属組織名「株式会社」が存在する(図11参照)場合、原稿151内において一の音声認識結果「太田」と所属組織名「株式会社」との文字列間の距離が所定文字数以内である旨(一の音声認識結果「太田」と所属組織名「株式会社」とが所定の近傍範囲に存在する旨)が判定されてもよい。
【0203】
このように、原稿151内において複数の音声認識結果のうちの一の音声認識結果のみに係る文字列に対する所定の近傍範囲に宛名近傍付加文字列が存在する場合に、当該一の音声認識結果が設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されてもよい。
【0204】
<第3実施形態の第3の改変例>
また、上記第3実施形態では、原稿151内の宛先領域181(あるいは原稿151全体)(図11)において各音声認識結果(「太田」および「小田」)に係る文字列が検索されている(ステップS32(図10))が、これに限定されない。たとえば、原稿151内の宛先領域181において、各音声認識結果(「太田」および「小田」)に係る文字列ではなく、宛名近傍付加文字列が検索されてもよい。そして、複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)のうち、原稿151内において宛名近傍付加文字列に対する所定の近傍範囲に存在する一の音声認識結果が、設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されてもよい。
【0205】
たとえば、MFP10は、当該宛先領域181において敬称(敬称を示す文字列(「様」等))を検索する。そして、複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)のうち、宛先領域181内において当該敬称「様」に対する所定の近傍範囲(所定文字数の範囲)に存在する一の音声認識結果「太田」が、設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定される。具体的には、複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)のうち、宛先領域181内において当該敬称「様」との文字列間距離が所定の距離(所定の文字数)以内である一の音声認識結果「太田」が、設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定される。
【0206】
なお、ここでは、宛先領域181において敬称が検索されているが、これに限定されない。
【0207】
たとえば、宛先領域181において役職名(役職を示す文字列(「部長」等))が検索されてもよい。そして、複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)のうち、宛先領域181内において役職名「部長」に対する所定の近傍範囲に存在する一の音声認識結果「太田」が、設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されてもよい。
【0208】
あるいは、宛先領域181において所属組織名(所属組織を示す文字列(「株式会社」等))が検索されてもよい。そして、複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)のうち、宛先領域181内において所属組織名「株式会社」に対する所定の近傍範囲に存在する一の音声認識結果「太田」が、設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されてもよい。
【0209】
このように、原稿151内の宛先領域181において宛名近傍付加文字列が検索されて、複数の音声認識結果のうち、原稿151内において宛名近傍付加文字列に対して所定の近傍範囲に存在する一の音声認識結果が、設定対象項目「送信宛先」の設定値として推定されてもよい。
【0210】
<第3実施形態の第4の改変例>
また、上記第3実施形態では、音声指示に対する音声認識処理において音声認識結果の各文字列が漢字に変換されて取得されているが、これに限定されない。たとえば、音声認識処理において音声認識結果の各文字列が、漢字に変換されず片仮名(あるいは平仮名等)で取得されてもよい。この場合、原稿151内における各音声認識結果の検索処理(ステップS32(図10))においては、たとえば、原稿151内の文字列の読みが取得された後、原稿151内において各音声認識結果が検索されればよい。
【0211】
<4.第4実施形態>
第4実施形態は、第3実施形態の変形例である。以下では、第3実施形態との相違点を中心に説明する。
【0212】
上記第3実施形態では、設定指示内容における設定値を指示する指示ワードに関して複数の音声認識結果(「太田」および「小田」)が音声認識処理によって取得されたことに起因して当該設定指示内容を特定できない態様が例示されている。
【0213】
これに対して、この第4実施形態では、当該指示ワードの一部分を音声認識処理において認識できなかったことに起因して当該設定指示200の設定指示内容を特定できない態様を例示する。
【0214】
図13は、第4実施形態に係る特定不可指示の設定指示内容の推定処理等に関する概略動作を示す図である。ここでは、ユーザが原稿(詳細には、10枚の用紙を有する原稿)152(図15参照)をMFP10のADFに載置して音声指示「ファイル名を『発明説明書』に設定して、スキャンデータをボックス保存して」と発すること(図13参照)を想定する。
【0215】
この第4実施形態においても、第3実施形態と同様に、図4の動作がMFP10において実行される。
【0216】
具体的には、まず、MFP10は、ユーザによる当該音声指示に対して音声認識処理を実行して、当該音声指示の音声認識結果(テキストデータ)を取得する(ステップS10)。ただし、ここでは、ユーザの発音が不明瞭であること等に起因して、音声認識処理において当該音声指示のうちの一部分「発明」を認識することに失敗したことを想定する。
【0217】
そして、処理はステップS10からステップS11へと進む。
【0218】
ステップS11において、MFP10は、音声指示(テキストデータ)に文字列「ボックス保存」が含まれることに基づいて、ユーザによって指定されたジョブ種類としてボックス保存ジョブを特定する。また、MFP10は、当該テキストデータに対する形態素解析等に基づいて、設定指示「ファイル名を**説明書に設定」を、原稿のスキャンデータのファイル名を指定する設定指示220(200)として抽出する。
【0219】
そして、処理はステップS11からステップS12へと進み、指示内容特定処理が実行される。
【0220】
具体的には、MFP10は、文字列「ファイル名」に基づいて、設定指示220に係る設定対象項目として設定項目「ファイル名」を特定する。ただし、ここでは、当該設定対象項目「ファイル名」の設定値を指示する指示ワード(スキャンデータを保存する際のファイル名を指示する語句)(「**説明書」)に認識成功部分(「説明書」)と認識失敗部分(「**」)とが含まれている(図13参照)。認識成功部分は、音声認識処理において認識できた部分(音声認識に成功した部分)である。認識失敗部分は、音声認識処理において認識できなかった部分(音声認識に失敗した部分)である。
【0221】
指示ワードに認識成功部分と認識失敗部分とが含まれる場合、MFP10は、当該設定対象項目「ファイル名」の設定指示内容(詳細には、設定指示内容における設定値)を特定できない旨(設定指示220が特定不可指示である旨)をステップS13において判定する。
【0222】
そして、処理はステップS13からステップS14へと進み、MFP10は、特定不可指示220の設定指示内容の推定処理(指示内容推定処理)を実行する。図14は、第4実施形態に係る指示内容推定処理(ステップS14)に関するサブルーチン処理を示す図である。
【0223】
まず、ステップS41において、MFP10は原稿情報を取得する。ここでは、第3実施形態と同様にして、スキャン処理とOCR処理とが実行されて原稿152(図15)の文字認識結果が原稿情報として取得される。
【0224】
そして、ステップS42において、MFP10は、原稿152内のタイトル領域182(図15)において認識成功部分「説明書」を検索する。具体的には、MFP10は、原稿152におけるタイトル領域182(原稿152の1ページ目のセンタリング領域(中央寄せされた文字列領域))を抽出する機能を有しており、原稿152のOCR処理結果に基づいて、当該タイトル領域182に記述されている文字列を抽出する。そして、MFP10は、当該タイトル領域182において認識成功部分「説明書」を検索する。
【0225】
その後、ステップS43において、MFP10は、当該タイトル領域182内に認識成功部分「説明書」が存在するか否かを判定する。
【0226】
ここでは、図15に示されるように、原稿152内のタイトル領域182には、文字列「説明書」が記載されている。この場合、タイトル領域182内に認識成功部分「説明書」が存在する旨がステップS43において判定され、処理はステップS43からステップS44へと進む。なお、当該タイトル領域182内に認識成功部分「説明書」が存在しない旨がステップS43において判定される場合は、処理はステップS43からステップS46へと進み、特定不可指示220の設定指示内容を一意に特定できなかった旨が判定される。
【0227】
ステップS44において、MFP10は、当該タイトル領域182内において認識成功部分「説明書」を含む文字列(ここでは「発明説明書」)を、設定対象項目「ファイル名」の設定値として推定する(図13参照)。これにより、設定対象項目「ファイル名」と設定値「発明説明書」との組合せが、特定不可指示220の設定指示内容として推定(特定)される。
【0228】
そして、処理はステップS44からステップS45へと進み、MFP10は、特定不可指示220の設定指示内容を一意に特定できた旨を判定する。
【0229】
その後、処理はステップS14(図4)からステップS15,S16へと進み、指示内容推定処理(ステップS14)の結果、特定不可指示220の設定指示内容を一意に特定できた旨が判定されたことに基づいて、再入力をユーザに要求しない旨が決定される。
【0230】
そして、ユーザによる設定指示200(220)に基づいてボックス保存ジョブが実行される。具体的には、設定項目「ファイル名」と設定値「発明説明書」との組合せに基づいてボックス保存ジョブが実行される。
【0231】
なお、上記第4実施形態では、設定対象項目「ファイル名」に関する指示ワードにおける認識成功部分「説明書」が原稿152のタイトル領域182(図15)内において検索されているが、これに限定されない。たとえば、当該認識成功部分「説明書」が原稿153のフッタ領域183(図16)とヘッダ領域184(図17)との少なくとも一方の領域内において検索されてもよい。そして、当該認識成功部分「説明書」を含む文字列であって当該フッタ領域183とヘッダ領域184と少なくとも一方の領域内に存在する文字列「発明説明書」が、設定対象項目「ファイル名」の設定値として推定されてもよい。
【0232】
また、上記第4実施形態では、原稿152のタイトル領域182(図15)内において指示ワード「**説明書」の認識成功部分「説明書」が検索されている(ステップS42(図14))が、これに限定されず、原稿152全体において当該認識成功部分「説明書」が検索されてもよい。そして、原稿152において当該認識成功部分「説明書」を含む文字列が設定対象項目「ファイル名」の設定値として推定されてもよい。
【0233】
さらに、上記第4実施形態では、原稿情報(詳細には、原稿のOCR処理結果)に基づいて特定不可指示の設定指示内容(詳細には、設定指示内容における設定値)が推定されているが、これに限定されず、出力用紙情報に基づいて、設定指示内容(詳細には、設定指示内容における設定値)が推定されてもよい。
【0234】
たとえば、ユーザが音声「出力用紙サイズをB4に設定してコピーして」と発したにもかかわらず、「B4(ビーヨン)」の一部分「4(ヨン)」を認識できなかった場合に、出力用紙情報(詳細には、出力用紙サイズ情報)に基づいて、設定指示内容における設定値が推定されてもよい。
【0235】
具体的には、MFP10は、MFP10内の複数の給紙トレイのそれぞれにおいて出力用紙サイズ情報を取得(検出)する。そして、MFP10は、複数の給紙トレイのそれぞれにおいて取得された出力用紙サイズ情報の中から、認識成功部分「B」に基づいてB系列サイズの出力用紙サイズ情報を抽出する。
【0236】
その結果、たとえば出力用紙サイズ情報「B4」のみが抽出され且つ他のB系列サイズの出力用紙サイズ情報(「B5」等)が抽出されなかった場合、MFP10は、設定指示内容における設定値として値「B4」を推定(特定)する。
【0237】
一方、出力用紙サイズ情報「B4」のみならず、他のB系列サイズの出力用紙サイズ情報(「B5」等)もが抽出された場合、MFP10は、設定指示内容を一意に特定できなかった旨を判定する。
【0238】
このように、出力用紙情報に基づいて、設定指示内容(詳細には、設定指示内容における設定値)の推定処理が実行されてもよい。
【0239】
<5.変形例等>
以上、この発明の実施の形態について説明したが、この発明は上記内容のものに限定されるものではない。
【0240】
<スキャン処理に関する改変例>
たとえば、上記第1、第3および第4実施形態においては、複数の用紙(たとえば、10枚の用紙)を有する原稿の全て(10枚の用紙の全て)に対してスキャン処理が実行されて原稿情報が取得されているが、これに限定されない。
【0241】
ここにおいて、たとえば原稿サイズ情報に基づいて設定対象項目の推定処理が実行される場合、原稿の1枚目の原稿サイズ情報に基づいて当該設定対象項目を推定することが可能である。すなわち、原稿の10枚の用紙の全てに対してスキャン処理を実行することは必ずしも要しない。また、設定項目「送信宛先」の設定値の推定処理あるいは設定項目「ファイル名」の設定値の推定処理等が実行される場合も、原稿の1枚目のOCR処理結果に基づいて各設定値を推定することが可能であり、原稿の10枚の用紙の全てに対してスキャン処理を実行することは必ずしも要しない。
【0242】
この点を考慮して、指示内容推定処理において原稿情報が取得される際において、原稿の全ての用紙(10枚の用紙)のうちの所定枚数(所定の読取枚数)Nの用紙(のみ)に対してスキャン処理が実行されるようにしてもよい。
【0243】
具体的には、10枚の用紙のうちの1枚(N=1)の原稿のみ(端的に言えば、原稿の1枚目のみ)に対してスキャン処理が実行されて原稿情報が取得されてもよい。
【0244】
これによれば、指示内容推定処理を効率的に実行することが可能である。
【0245】
なお、原稿の読取枚数Nは、1枚(N=1)に限定されず、2枚(N=2)等であってもよい。
【0246】
たとえば、設定値候補「両面」に対応する設定対象項目の推定処理が実行される場合は、原稿の1枚目が表紙である可能性(原稿の1枚目のみが片面原稿であり且つ2枚目以降が両面原稿である可能性)を考慮して、原稿の複数の用紙のうちの2枚(N=2)の用紙(原稿の1枚目および2枚目)のみに対してスキャン処理が実行されてもよい。
【0247】
また、原稿の読取枚数Nは、予め定められていてもよく、ユーザあるいは管理者によって指定されてもよい。
【0248】
<設定制御装置に関する改変例>
また、上記各実施形態等では、図4および図5図8図10図14)等の処理を実行する設定制御装置として、MFP10が例示されているが、これに限定されず、当該設定制御装置は、外部サーバ90であってもよい。
【0249】
図18は、この改変例に係る設定制御システム1を示す図である。外部サーバ90は、MFP10とは別に設けられた外部装置である。MFP10と外部サーバ90とは、ネットワーク108を介して接続されており、各装置10,90の相互間でデータの送受信が可能である。
【0250】
MFP10は、ユーザによる音声(音声指示データ)を外部サーバ90に送信し、外部サーバ90は、当該音声に対して音声認識処理を実行して音声指示を取得する。そして、外部サーバ90は、上記各実施形態におけるMFP10の動作と同様の動作(たとえば、図4および図5の動作)を行う。
【0251】
このように、外部サーバ90が設定制御装置として動作してもよい。
【符号の説明】
【0252】
10 画像処理装置(MFP)
151,152,153 原稿
200 設定指示
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21