(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】穀物乾燥機
(51)【国際特許分類】
F26B 9/06 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
F26B9/06 E
(21)【出願番号】P 2018244192
(22)【出願日】2018-12-27
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】西野 栄治
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 廉
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-78560(JP,A)
【文献】特開平11-337262(JP,A)
【文献】実開昭50-16068(JP,U)
【文献】特公昭48-27788(JP,B1)
【文献】特開2017-110828(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物の貯留室(11)と乾燥室(12)を有する箱体(10)と、
前記貯留室(11)における穀物の量を外部から視認するための透視窓(16)と、
前記貯留室(11)の内部を照明して前記透視窓(16)を照らす照明装置(25)と、
穀物を前記貯留室(11)の上方になる位置まで搬送して前記貯留室(11)の内部に落下させる搬送装置(30)と、
前記搬送装置(30)から落下する途上の穀物を拡散させる拡散羽根(33)と、
前記搬送装置(30)の前記拡散羽根(33)の上方になる位置以外の位置で穀物を前記貯留室(11)の内部に落下させる開口部(32f)を開閉する開閉部材(41)と、
を備え、
前記開閉部材(41)は、前記照明装置(25)が少なくとも点灯するときに、開けられることを特徴とする穀物乾燥機(1)。
【請求項2】
前記搬送装置(30)のモータ(36a)の負荷電流値を検出する検出計(27)を備え、
前記照明装置(25)は、前記検出計(27)で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに点灯することを特徴とする請求項1に記載の穀物乾燥機。
【請求項3】
前記照明装置(25)を点灯させる操作を行う操作手段(56)を備え、
前記開閉部材(41)は、前記操作手段(56)の操作により前記照明装置(25)を点灯させたときに開けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の穀物乾燥機。
【請求項4】
穀物の貯留室(11)と乾燥室(12)を有する箱体(10)と、
前記貯留室(11)における穀物の量を外部から視認するための透視窓(16)と、
前記貯留室(11)の内部を照明して前記透視窓(16)を照らす照明装置(25)と、
穀物を前記貯留室(11)の上方になる位置まで搬送して前記貯留室(11)の内部に落下させる搬送装置(30)と、
前記搬送装置(30)から落下する途上の穀物を拡散させる拡散羽根(33)と、
前記搬送装置(30)の前記拡散羽根(33)の上方になる位置以外の位置で穀物を前記貯留室(11)の内部に落下させる開口部(32f)を開閉する開閉部材(41)と、
前記搬送装置(30)のモータ(36a)の負荷電流値を検出する検出計(27)と、
を備え、
前記開閉部材(41)は、前記検出計(27)で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに開けられることを特徴とする穀物乾燥機(1)。
【請求項5】
穀物の貯留室(11)と乾燥室(12)を有する箱体(10)と、
前記貯留室(11)における穀物の量を外部から視認するための透視窓(16)と、
前記貯留室(11)の内部を照明して前記透視窓(16)を照らす照明装置(25)と、
穀物を前記貯留室(11)の上方になる位置まで搬送して前記貯留室(11)の内部に落下させる搬送装置(30)と、
前記搬送装置(30)から落下する途上の穀物を拡散させる拡散羽根(33)と、
前記搬送装置(30)のモータ(36a)の負荷電流値を検出する検出計(27)と、
を備え、
前記照明装置(25)は、前記検出計(27)で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに消灯する一方で前記所定の値未満のときに点灯することを特徴とする穀物乾燥機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
箱体の貯留室に収容した穀物の量を目視により確認する技術としては、例えば下記特許文献1に記載の技術が知られている。
特許文献1には、穀粒等の穀物を収容して乾燥させる穀物乾燥機において、穀物を貯留するとともに張込んだ穀物の貯留レベルを目視により確認する覗き窓を前面側の壁に設けた上箱の天板に取付台を設け、その取付台に覗き窓の内側に対して上箱内から光線を投射する灯光器を装設した穀物乾燥機が記載されている。
また、特許文献1には、穀物を穀物乾燥機における台箱状の機体の貯留室となる上箱に収容する際、その穀物を昇降機により上箱の天井付近まで搬送した後、上箱の天井に配置される上部コンベアにより上箱の中央付近まで搬送し、最後に穀物を上部コンベアから上箱内に落下させて収容することも示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4394777号公報(請求項1、段落0011、
図1~
図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された形式の穀物乾燥機においては、穀物を上部コンベアから貯留室の上箱内に落下させて収容する(張り込む)ときに、落下する途上の穀物を回転する拡散羽根により拡散させた状態で上箱内に収容することが多い。
しかしながら、このように拡散羽根を併用して穀物を収容する場合には、拡散羽根で拡散されて飛散する穀物により灯光器の光が散乱した状態で覗き窓に届くようになり、この結果、その覗き窓を通しての内側の状況の視認がしにくくなり、張り込んだ穀物の量を確認することが困難になることがある。
【0005】
本発明は、貯留室に落下させて収容する穀物を落下の途中で拡散させる拡散羽根を備えた穀物乾燥機であっても、透視窓を通した内側の状況の視認をしやすくすることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、次の解決手段により解決される。
請求項1に記載の発明は、穀物の貯留室(11)と乾燥室(12)を有する箱体(10)と、前記貯留室(11)における穀物の量を外部から視認するための透視窓(16)と、前記貯留室(11)の内部を照明して前記透視窓(16)を照らす照明装置(25)と、穀物を前記貯留室(11)の上方になる位置まで搬送して前記貯留室(11)の内部に落下させる搬送装置(30)と、前記搬送装置(30)から落下する途上の穀物を拡散させる拡散羽根(33)と、前記搬送装置(30)の前記拡散羽根(33)の上方になる位置以外の位置で穀物を前記貯留室(11)の内部に落下させる開口部(32f)を開閉する開閉部材(41)と、を備え、前記開閉部材(41)は、前記照明装置(25)が少なくとも点灯するときに、開けられることを特徴とする穀物乾燥機(1)である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、前記搬送装置(30)のモータ(36a)の負荷電流値を検出する検出計(27)を備え、前記照明装置(25)は、前記検出計(27)で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに点灯することを特徴とする請求項1に記載の穀物乾燥機である。
請求項3に記載の発明は、前記照明装置(25)を点灯させる操作を行う操作手段(56)を備え、前記開閉部材(41)は、前記操作手段(56)の操作により前記照明装置(25)を点灯させたときに開けられることを特徴とする請求項1又は2に記載の穀物乾燥機である。
【0008】
また本発明の上記課題は、以下の解決手段によっても解決される。
請求項4に記載の発明は、穀物の貯留室(11)と乾燥室(12)を有する箱体(10)と、前記貯留室(11)における穀物の量を外部から視認するための透視窓(16)と、前記貯留室(11)の内部を照明して前記透視窓(16)を照らす照明装置(25)と、穀物を前記貯留室(11)の上方になる位置まで搬送して前記貯留室(11)の内部に落下させる搬送装置(30)と、前記搬送装置(30)から落下する途上の穀物を拡散させる拡散羽根(33)と、前記搬送装置(30)の前記拡散羽根(33)の上方になる位置以外の位置で穀物を前記貯留室(11)の内部に落下させる開口部(32f)を開閉する開閉部材(41)と、前記搬送装置(30)のモータ(36a)の負荷電流値を検出する検出計(27)と、を備え、前記開閉部材(41)は、前記検出計(27)で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに開けられることを特徴とする穀物乾燥機(1)である。
請求項5に記載の発明は、穀物の貯留室(11)と乾燥室(12)を有する箱体(10)と、前記貯留室(11)における穀物の量を外部から視認するための透視窓(16)と、前記貯留室(11)の内部を照明して前記透視窓(16)を照らす照明装置(25)と、穀物を前記貯留室(11)の上方になる位置まで搬送して前記貯留室(11)の内部に落下させる搬送装置(30)と、前記搬送装置(30)から落下する途上の穀物を拡散させる拡散羽根(33)と、前記搬送装置(30)のモータ(36a)の負荷電流値を検出する検出計(27)と、を備え、前記照明装置(25)は、前記検出計(27)で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに消灯する一方で前記所定の値未満のときに点灯することを特徴とする穀物乾燥機(1)である。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された発明によれば、貯留室に落下させて収容する穀物を落下の途中で拡散させる拡散羽根を備えた穀物乾燥機であっても、照明装置が点灯するときには開閉部材が開けられて穀物が拡散羽根で拡散されることなく落下することになり、穀物が拡散羽根で拡散されて落下する場合に比べて、透視窓を通した内側の状況の視認をしやすくすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、穀物の張り込み量が相対的に多くなって負荷電流値が大きくなったときに照明装置が点灯されて開閉部材が開けられるようになり、貯留室における穀物の量が大幅に変化するときに合わせて透視窓を通した内側の状況の視認をしやすくすることができる。また、この発明では、穀物の張り込み時に照明装置を常時点灯させることがなくなり、照明装置の無駄な点灯時間を減らすこともできる。
請求項3に記載の発明によれば、操作手段の操作により照明装置が点灯されたときにも開閉部材が開けられるようになり、穀物乾燥機の使用者が必要とするときに合わせて透視窓を通した内側の状況の視認をしやすくすることができる。また、この発明でも、穀物の張り込み時に照明装置を常時点灯させることがなくなり、照明装置の無駄な点灯時間を減らすこともできる。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、貯留室に落下させて収容する穀物を落下の途中で拡散させる拡散羽根を備えた穀物乾燥機であっても、穀物の張り込まれる量が相対的に多量になって負荷電流値が所定の値以上になるときには開閉部材が開けられて穀物が拡散羽根で拡散されることなく落下することになり、透視窓を通した内側の状況の視認をしやすくすることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明によれば、貯留室に落下させて収容する穀物を落下の途中で拡散させる拡散羽根を備えた穀物乾燥機であっても、穀物の張り込まれる量が相対的に少量になって負荷電流値が所定の値未満になるときには照明装置が点灯されるが、このときは拡散羽根で拡散される穀物の量も相対的に少量になるので照明装置の光が散乱される割合も減り、これにより透視窓を通した内側の状況の視認をしやすくすることができる。また、この発明では、穀物の張り込み時に照明装置を常時点灯させることがなくなり、照明装置の無駄な点灯時間を減らすこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】(A)は第1の実施形態に係る穀物乾燥機の正面側の斜め右上から見たときの外観を示す斜視図、(B)はその穀物乾燥機の背面側の斜め左上から見たときの外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1の穀物乾燥機の正面側から見たときの内部を示す概要図である。
【
図3】
図1の穀物乾燥機の右側面側から見たときの内部を示す概要図である。
【
図4】
図1の穀物乾燥機の主な駆動系部分の構成を示す概略斜視図である。
【
図5】
図1の穀物乾燥機における操作盤の構成を示す概要図である。
【
図6】
図1の穀物乾燥機の主な制御系部分の構成を示すブロック図である。
【
図7】
図1の穀物乾燥機の張込運転時における制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図8】第2の実施形態に係る穀物乾燥機の張込運転時における制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図9】第3の実施形態に係る穀物乾燥機の張込運転時における制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図10】第4の実施形態に係る穀物乾燥機の張込運転時における制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図11】第5の実施形態に係る穀物乾燥機の張込運転時における制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図12】第6の実施形態に係る穀物乾燥機の張込運転時における制御動作の一部を示すフローチャートである。
【
図13】照明装置の他の設置例を示す概要図である。
【
図14】透視窓の他の構成例とその状態変化の様子を示す模式図である。
【
図15】透視窓に感知手段を併設する場合の構成例を示す模式図である。
【
図16】透視窓を光ファイバーからの光で照らす場合の構成例を示す概要図である。
【
図17】(A)は透視窓の別の構成例を示す模式図、(B)は(A)の透視窓のB-B線に沿う概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
[第1の実施形態]
図1から
図3には、本発明の第1の実施形態に係る穀物乾燥機1が示されている。
【0016】
穀物乾燥機1は、穀物を貯留する貯留室11と穀物を乾燥させる乾燥室12とが設けられた箱体10を備えている。穀物は、籾、麦、豆類等に代表される乾燥処理を要する穀物である。
箱体10は、主に貯留室11と乾燥室12とで構成されるものであるが、その貯留室11と乾燥室12に付属する他の機器も含まれる。
【0017】
このうち貯留室11は、例えば直方体状の収容空間を有する部分であり、箱体10の上方側に配置されている。
また、乾燥室12は、穀物を乾燥させる空間を有する部分であり、貯留室11の下方側に連続して配置されている。この乾燥室12は、正面側に配置された燃焼バーナ21による熱風を正面側から背面側に通過させる筒状の熱風室13と、熱風室13を左右から挟んで下方の中央位置で合流するよう設けられて熱風および穀物を通過させる流下通路14と、流下通路14の左右外側に設けられて流下通路14を通過した熱風を背面側に配置された排気ファン22により吸引する排風室15とを有している。
貯留室11と乾燥室12は、遮光性の部材で構成されていてかつほぼ密閉された構造になっているため、その内部である室内が薄暗い空間になっている。
【0018】
また、穀物乾燥機1は、穀物を箱体10の天井部10b付近まで上昇させるよう運ぶバケット式の昇降機31と、昇降機31で運ばれた穀物を箱体10の天井部10bにおいて貯留室11まで移送する上部移送機32とを含む搬送装置30を備えている。
【0019】
昇降機31は、箱体10の正面部10aの外側に上下方向に延びる状態で取り付けられる角筒状の搬送路体31aの内部空間に、複数のバケットを上下方向に循環移動させるバケット搬送機器31bを配置したバケット式の搬送装置である。この昇降機31における搬送機器31bは、
図4に示されるようにモータ36aやベルト式等の回転伝達装置36bを含む駆動装置36の駆動力により作動する。また昇降機31は、その下部側において穀物を投入する張込ホッパ38と接続されており、その上部側において上部移送機32と接続されている。
【0020】
上部移送機32は、
図1や
図3に示されるように、箱体10の天井部10bの外側にほぼ水平方向に延びる状態で取り付けられる筒状の搬送路体32aの内部空間に、回転軸32bの周りに螺旋状の搬送羽根32cが形成されて回転するラセン搬送機器を配置したラセン式の搬送装置である。ラセン搬送機器は、上記駆動装置36の駆動力の一部が回転伝達装置36bで分配されて伝達されることにより回転する。
この上部移送機32は、原則として、穀物を貯留室11の上方位置になる天井部10bのほぼ中央の位置まで搬送した後に貯留室11の内部に落下させる。搬送路体32aには、穀物を落下させる位置の底面に箱体10の天井部10bも貫通させる図示しない第1の排出口32eが形成されており、その第1の排出口32eを通して穀物を貯留室11の内部に落下させるようになっている。
【0021】
また、上部移送機32は、
図3に示されるように、搬送路体32aの底面の排出口から貯留室11の内部に入り込んだ位置で回転して落下途上の穀物を拡散させる拡散羽根33が併設されている。
拡散羽根33は、回転軸33aの下端部からほぼ水平方向に放射状に延びる複数枚の羽根部33bが設けられている。また拡散羽根33は、上記駆動装置36の駆動力の一部が上部移送機32の回転軸32bを経由してギヤ等の回転伝達機構36cにより回転軸33aにも伝達されることにより回転する。また、拡散羽根33は、上部移送機32から排出されて落下する途上の穀物を回転する羽根の部分に接触させることにより、その穀物を貯留室11の内部で拡散させた状態にして落下させる。
【0022】
さらに、上部移送機32は、
図3に示されるように、搬送路体32aのうち拡散羽根33の上方になる位置以外の位置の底面に箱体10の天井部10bも貫通させる図示しない第2の排出口32fが形成されており、その第2の排出口32fを開閉するよう作動する開閉シャッタ41が併設されている。
開閉シャッタ41は、駆動モータ、ソレノイド等の駆動装置42の駆動力により開閉する方向に移動させられる。
この開閉シャッタ41が第2の排出口32fを閉じた位置にあるときには、上部移送機32が穀物を第2の排出口32fから落下させることなく第2の排出口32fを通過させて第1の排出口32eまで搬送して落下させる。また開閉シャッタ41が第2の排出口32fを開いた位置にあるときには、上部移送機32が穀物を第2の排出口32fから落下させる。
【0023】
また、穀物乾燥機1は、乾燥室12における流下通路14を流下して合流する穀物を所要の量ずつ繰り出す排出装置34と、その排出装置34から繰り出された穀物を箱体10の正面部10aの側に移送するとともに昇降機31に送り込む下部移送機35とを備えている。
【0024】
排出装置34は、円柱状の回転体に複数の搬送溝が形成されたロータリバルブ等で構成されており、乾燥室12の下部に配置されている。下部移送機35は、搬送路体に上部移送機32のラセン搬送機器が同様に設けられて構成されており、排出装置34の下方に配置されている。排出装置34と下部移送機35は、
図4に示されるように、上記駆動装置36の駆動力の一部が昇降機31のバケット搬送機器31bを経由して回転伝達機構36dにより再分配されて伝達されることにより作動する。
この排出装置34と下部移送機35も、搬送装置30の一部を構成するものである。また、排出装置34と下部移送機35は、回転伝達機構36dの伝達機能のON,OFFの切り替えにより、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33との作動とは独立して作動のON,OFFが可能になっている。
【0025】
さらに、穀物乾燥機1は、箱体10の正面部10aで貯留室11の正面部にもなる側壁に、乾燥室12を含む貯留室11に収容される穀物の量(貯留量)を外部から目視で確認する透視窓16が設けられている。
透視窓16は、例えば透光性を有する部材で構成された窓であり、貯留室11の正面になる箱体10の正面部10aの上下方向に対してほぼ等間隔で一列になって並ぶように複数設けられている。
【0026】
また、穀物乾燥機1は、箱体10の天井部10bに貯留室11の内部を照明して透視窓16を照らす照明装置25を備えている。
照明装置25は、箱状の枠体の内部に発光機器を装着したものである。発光機器としては、例えばLED素子を発光源としたものが使用される。また、照明装置25は、例えば、
図1(A)に示されるように箱体10の天井部10bのうち透視窓16に接近した位置に配置されている。
【0027】
図1等において符号26は昇降機31にて運ばれる穀物の一部を採取して水分量を自動で計測する水分計、符号28は穀物乾燥機1の点検等の作業を行う際に使用する作業用はしご、符号29は穀物乾燥機1を設置する設置面9等の場所において移動させるときに使用するストッパ付きのキャスタをそれぞれ示す。
また、符号18は貯留室11、乾燥室12(熱風室13、流下通路14、排風室15)等を外側から支持する複数の柱フレーム、符号19は各柱フレーム18を水平方向において連結する複数の連結フレームをそれぞれ示す。
【0028】
また、穀物乾燥機1は、
図1や
図3に示されるように、箱体10の正面部10aにおける下部に、制御装置を内蔵する操作盤50を備えている。
操作盤50は、
図5に示されるように、動作状態、動作条件等に関する情報の画面が表示される画面表示部52や、以下に例示する各運転の実行や停止を指示して操作する各種の操作ボタン53a~53eや、動作、種類等の条件の選択を行う選択ボタン54a~54fや、非常時の緊急停止ボタン55等が配置されている。操作盤50では、張込運転、通風運転、乾燥運転、排出運転等の運転の実行および停止を選択して指示する操作を行うことができる。
【0029】
ここで、張込運転は、張込ホッパ38から投入されて張り込まれた穀物を昇降機31および上部移送機32により搬送して貯留室11の内部に落下させて張り込む運転である。通風運転は、貯留室11に収容された穀物を排気ファン22による通風を行いながら排出装置34、下部移送機35、昇降機31、上部移送機32等の搬送手段により順次搬送して循環移動させる運転である。
また、乾燥運転は、燃焼バーナ21を駆動して貯留室11に収容された穀物を上記循環移動と同様に循環移動させながら乾燥室12を通過させる際に乾燥させる運転である。排出運転は、乾燥運転の終了後に、貯留室11に収容された穀物を循環移動させるとともに、昇降機31の上端部と上部移送機32の間に配置された排出ホッパ39における図示しない排出シャッタを開いた状態にして張り込んだ作物を機外に排出する運転である。排出ホッパ39には、図示しない搬出搬送用のパイプなどが接続される。
【0030】
操作盤50には、
図6に示されるように制御装置58を中心にした制御系の構成が内蔵されている。制御装置58には、例えば、操作盤50における操作ボタン53a~53eや選択ボタン54a~54f、水分計26等からの情報が入力される一方で、昇降機31、上部移送機32、拡散羽根33等の搬送装置30における駆動装置36、燃焼バーナ21、排気ファン22、シャッタ駆動装置42、照明装置25、操作盤50における画面表示部52等の制御対象に制御信号を出力するよう接続されている。また、制御装置58は、メモリ59に予め格納されているプログラム、データ等に基づいて制御信号を所要の制御対象に出力して作動する。
【0031】
そして、穀物乾燥機1は、特に穀物の張込運転が行われる際、照明装置25が少なくとも点灯するときに、開閉シャッタ41を開けるという制御動作を制御装置58が実行するよう構成されている。
図7には、この穀物乾燥機1の張込運転時における主な制御動作のフローチャートが示されている。この制御動作は、張込運転時に限らず、例えば乾燥運転時等において同様に行っても構わない(後述する各実施形態等においても同様である。)。
【0032】
まず、
図7に示されるように、穀物乾燥機1において張込ボタン53aが押されると(ステップ10:S10)、搬送系の駆動装置36のモータ36aが始動して昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33が作動し始める(S11)。
【0033】
この穀物乾燥機1では、原則として、張込ホッパ38に投入される穀物が、昇降機31、上部移送機32の順で搬送された後、最後に上部移送機32における第1の排出口32eから落下させられるとともにその落下の途上で回転する拡散羽根33に接触して拡散された状態になって落下させられる。これにより、穀物は、箱体10の貯留室11等に堆積するよう収容される。
【0034】
また、この張込運転の開始時には、制御装置58において操作盤50からの入力情報に基づいて、今回張り込まれる穀物が豆類以外のもの、例えば籾、麦等のものであるかが判断される(S12)。
【0035】
穀物が豆類以外のものである場合は、この張込運転において照明装置25が点灯される設定であるか否かが判断される(S13)。
【0036】
この際、照明装置25が点灯される設定であると判断されると、照明装置25が点灯されるとともに、シャッタ駆動装置42が始動して開閉シャッタ41が開けられる(S14)。これにより、上部移送機32における第1の排出口32eよりも搬送方向上流側にある第2の排出口32fが開いた状態になる。
照明装置25が点灯される設定であるとは、例えば、穀物の種類や張り込み量等の条件に応じて張込運転時に照明装置25を点灯させることがプログラム等において予め定められている場合などである。
【0037】
この場合、張り込まれる豆類以外の穀物は、上部移送機32における第2の排出口32fから自然に落下させられて貯留室11に収容される。つまり、このときの穀物は、その落下の途上で拡散羽根33により拡散されることなく貯留室11の内部に落下する。ちなみに、豆類の穀物も同様に拡散羽根33により拡散されることなく貯留室11の内部に落下して収容される(この点は後述する他の実施形態等でも同様である。)。
【0038】
したがって、このときの穀物乾燥機1では、照明装置25からの光が拡散羽根33で拡散されて飛散する穀物で散乱されることなく複数の透視窓16に自然な状態でそれぞれ届いて各透視窓16を正常に照らすので、その透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を視認しやすくなり、この結果、透視窓16を通して張り込んだ穀物の量の確認を行うことができる。
【0039】
一方、ステップ12において張り込む穀物が豆類であると判断された場合には、照明装置25の点灯の有無にかかわらず、開閉シャッタ41が開けられる。
この場合は、豆類の穀物が拡散羽根33で拡散されることなく貯留室11に収容されるので、豆類の穀物が拡散羽根33に接触することで傷付けられることが回避される。
【0040】
また、ステップ13において照明装置25が点灯される設定ではないと判断された場合には、開閉シャッタ41が開けられることなく閉じられたままである。このようなケースとしては、例えば、張り込む穀物の張り込み量が操作盤50上の張込量ボタン54aで予め設定されていて、その入力情報から透視窓16を通して張り込んだ穀物の量の確認をする必要がないことが判明している場合などである。
この場合は、張り込んだ穀物の量の確認をする必要がないので、照明装置25が点灯されることなく消灯した状態で張込運転が行われる。
【0041】
そして、この穀物乾燥機1では、例えば水分計26により張り込みの穀物の有無を検出しており、水分計26による穀物なしと検出されるか否かが判断される(S15)。水分計26による穀物の検出は、水分計26による検出電流値に基づいて行われる。
この際、水分計26による穀物なしと検出されると、搬送系の駆動装置36のモータ36aが停止して昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33の作動が停止させられる(S16)。またこのときの搬送系の動作停止に連動して、開いていた状態の開閉シャッタ41が閉じられる(S17)。
【0042】
以上により、張込運転が終了する。
【0043】
[第2の実施形態]
図8には、本発明の第2の実施形態に係る穀物乾燥機の動作例が示されている。
第2の実施形態に係る穀物乾燥機は、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1と対比した場合、
図4に示されるように搬送装置30の駆動装置36におけるモータ36aの負荷電流値を検出する検出計としての過負荷電流値検出センサ27を備えている点と、照明装置25について過負荷電流値検出センサ27で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに点灯するよう構成した点とで異なる。
【0044】
過負荷電流値検出センサ27としては、例えば、定電圧制御されるモータ36aに駆動用の電流を供給する図示しない電源部における電流値を計測する電流計が使用される。過負荷電流値検出センサ27は、
図6に二点鎖線で示されるように制御装置58と接続されており、その検出結果の情報を制御装置58に送るようになっている。
また、所定の値については、例えば、モータ36aに供給される定格電流値以内の電流値であるが、張り込む穀物の量が昇降機31や上部移送機32を満たす程度に連続して多く搬送されるときにモータ36aに実際に供給される電流値を目安に閾値として予め設定される。この所定の値は、制御装置58のメモリ59に制御データの一部として格納される。
【0045】
第2の実施形態に係る穀物乾燥機においても、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様に、特に穀物の張込運転が行われる際、照明装置25が少なくとも点灯するときに、開閉シャッタ41を開けるという制御動作を制御装置58が実行するよう構成されている。
図8には、この穀物乾燥機の張込運転時における主な制御動作のフローチャートが示されている。
【0046】
まず、この穀物乾燥機においても、
図8に示されるように、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様、張込ボタン53aが押されると(S10)、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33が作動し始めるとともに(S11)、今回張り込まれる穀物が豆類以外のものであるかが判断され(S12)、穀物の張込運転が開始される。
【0047】
続いて、ステップ12において穀物が豆類以外のものであると判断された場合は、制御装置58において過負荷電流値検出センサ27で検出される過負荷電流値が所定の値:Is以上になるか否かが判断される(S21)。
この際、過負荷電流値がIs以上になると、照明装置25が点灯され(S22)、これに連動して開閉シャッタ41が開けられる(S14)。ステップ12において張り込む穀物が豆類であると判断された場合には、照明装置25の点灯の有無にかかわらず、開閉シャッタ41が開けられる。
【0048】
この後は、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様に、水分計26による穀物なしと検出されるか否かが判断され(S15)、水分計26による穀物なしと検出されると、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33の作動が停止させられる(S16)。また、この搬送系の動作停止に連動して、開いていた開閉シャッタ41が閉じられるとともに(S17)、点灯していた照明装置25が消灯される(S24)。
以上により、張込運転が終了する。
【0049】
このように第2の実施形態に係る穀物乾燥機においては、穀物の張り込み量が相対的に多くなって負荷電流値が大きくなったときにも照明装置25が点灯されて開閉シャッタ41が開けられるようになるので、張り込まれる豆類以外の穀物が、上部移送機32における第2の排出口32fから自然に落下させられ、その落下の途上で拡散羽根33により拡散されることなく貯留室11の内部に落下する。
これにより、照明装置25からの光は、拡散羽根33で拡散された穀物により散乱させられることなく、複数の透視窓16を正常に照らすようになる。
【0050】
したがって、この穀物乾燥機では、特に穀物の張り込み量が相対的に多くなって貯留室11における穀物の量が大幅に変化するときに合わせて、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を視認しやすくなり、透視窓16を通して張り込んだ穀物の量を確認することができる。
また、この穀物乾燥機では、照明装置25を張込運転の開始時からずっと点灯しておく必要がなくなり、照明装置25の無駄な点灯時間を減らすこともできる。
なお、この穀物乾燥機においては、過負荷電流値が一度Is以上になると、その後にIs未満になっても、照明装置25を消灯することなく点灯し続け、開閉シャッタ41も張込運転の終了時まで開け続けるよう構成されている。
【0051】
[第3の実施形態]
図9には、本発明の第3の実施形態に係る穀物乾燥機の動作例が示されている。
第3の実施形態に係る穀物乾燥機は、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1と対比した場合、
図5に二点鎖線で示されるように照明装置25を点灯させる操作を行う操作手段としての照明スイッチ56を備えている点と、開閉シャッタ41について照明スイッチ56の操作により照明装置25を点灯させたときに開けるよう構成した点とで異なる。
【0052】
照明スイッチ56は、照明装置25の点灯および消灯のための操作を行うことができるものであり、
図5に示されるように例えば操作盤50内に設けられる。照明スイッチ56は、
図6に二点鎖線で示されるように制御装置58と接続されており、その操作結果の情報を制御装置58に送るようになっている。なお、照明スイッチ56については、ボタン式等の他の形式の操作手段でも構わない。
【0053】
第3の実施形態に係る穀物乾燥機においても、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様に、特に穀物の張込運転が行われる際、照明装置25が少なくとも点灯するときに、開閉シャッタ41を開けるという制御動作を制御装置58が実行するよう構成されている。
図9には、この穀物乾燥機の張込運転時における主な制御動作のフローチャートが示されている。
【0054】
まず、この穀物乾燥機においても、
図9に示されるように、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様に、張込ボタン53aが押されることで穀物の張込運転が開始される(S10~S12)。
【0055】
続いて、ステップ12において穀物が豆類以外のものであると判断された場合は、制御装置58において照明スイッチ56の操作により照明装置25を点灯することになるか否かが判断される(S25)。
この際、照明スイッチ56の操作により照明装置25を点灯することになると、照明装置25が点灯され(S22)、これに連動して開閉シャッタ41が開けられる(S23)。ステップ12において張り込む穀物が豆類であると判断された場合には、照明装置25の点灯の有無にかかわらず、開閉シャッタ41が開けられる。
【0056】
この後は、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合や第2の実施形態に係る穀物乾燥機の場合と同様に、水分計26による穀物なしと検出されると、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33の作動が停止させられ、その搬送系の動作停止に連動して開閉シャッタ41が閉じられるとともに照明装置25が消灯され(S15~S17,S24)、張込運転が終了する。
【0057】
このように第3の実施形態に係る穀物乾燥機においても、照明スイッチ56の操作により照明装置25が点灯されたときにも開閉シャッタ41が開けられるようになり、張り込まれる豆類以外の穀物が、上部移送機32における第2の排出口32fから自然に落下させられ、その落下の途上で拡散羽根33により拡散されることなく貯留室11の内部に落下する。
これにより、照明装置25からの光は、拡散羽根33で拡散された穀物により散乱させられることなく、複数の透視窓16を正常に照らすようになる。
【0058】
したがって、この穀物乾燥機では、特に穀物乾燥機の使用者が必要とするときに合わせて、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を視認しやすくなり、透視窓16を通して張り込んだ穀物の量を確認することができる。
また、この穀物乾燥機では、照明装置25を張込運転の開始時からずっと点灯しておく必要がなくなり、照明装置25の無駄な点灯時間を減らすこともできる。
なお、この穀物乾燥機においては、照明スイッチ56の操作により点灯していた照明装置25が消灯されたときには、開閉シャッタ41が閉じられる。
【0059】
[第4の実施形態]
図10には、本発明の第4の実施形態に係る穀物乾燥機の動作例が示されている。
第4の実施形態に係る穀物乾燥機は、第2の実施形態に係る穀物乾燥機と対比した場合、照明装置25が少なくとも張込運転時には常時点灯する設定になっている点と、
図10に示されるように開閉シャッタ41について過負荷電流値検出センサ27で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに開けるよう構成した点とで異なる。
【0060】
過負荷電流値検出センサ27については、第2の実施形態における過負荷電流値検出センサ27と同様に構成されている。また、所定の値についても、第2の実施形態における所定の値と同様に構成されている。
【0061】
第4の実施形態に係る穀物乾燥機においては、特に穀物の張込運転が行われる際、照明装置25を常時点灯させるという制御動作と、過負荷電流値検出センサ27で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに、開閉シャッタ41を開けるという制御動作を制御装置58が実行するよう構成されている。
図10には、この穀物乾燥機の張込運転時における主な制御動作のフローチャートが示されている。
【0062】
まず、この穀物乾燥機においても、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様に、
図10に示されるように、張込ボタン53aが押されると(S10)、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33が作動し始め(S11)、今回張り込まれる穀物が豆類以外のものであるかが判断され(S12)、穀物の張込運転が開始される。この際、昇降機31等の作動開始と合わせて照明装置25が点灯される(S30)。
【0063】
続いて、ステップ12において穀物が豆類以外のものであると判断された場合は、制御装置58において過負荷電流値検出センサ27で検出される過負荷電流値が所定の値:Is以上になるか否かが判断される(S31)。
この際、過負荷電流値がIs以上になると、開閉シャッタ41が開けられる(S32)。ステップ12において張り込む穀物が豆類であると判断された場合には、過負荷電流値の結果にかかわらず、開閉シャッタ41が開けられる。
【0064】
この後は、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合や第2の実施形態に係る穀物乾燥機の場合と同様に、水分計26による穀物なしと検出されると、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33の作動が停止させられ、その搬送系の動作停止に連動して開閉シャッタ41が閉じられるとともに照明装置25が消灯され(S15~S17,S33)、張込運転が終了する。
【0065】
このように第4の実施形態に係る穀物乾燥機においては、穀物の張り込まれる量が相対的に多量になって負荷電流値が所定の値以上になるときには、照明装置25が点灯しているなかで開閉シャッタ41が開けられるので、張り込まれる豆類以外の穀物が、上部移送機32における第2の排出口32fから自然に落下させられ、その落下の途上で拡散羽根33により拡散されることなく貯留室11の内部に落下する。
これにより、照明装置25からの光は、拡散羽根33で拡散された穀物により散乱させられることなく、複数の透視窓16を正常に照らすようになる。
【0066】
したがって、この穀物乾燥機では、特に穀物の張り込み量が相対的に多くなって貯留室11における穀物の量が大幅に変化するときに合わせて、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を視認しやすくなり、透視窓16を通して張り込んだ穀物の量を確認することができる。
【0067】
[第5の実施形態]
図11には、本発明の第5の実施形態に係る穀物乾燥機の動作例が示されている。
第5の実施形態に係る穀物乾燥機は、第2の実施形態に係る穀物乾燥機と対比した場合、
図11に示されるように照明装置25について過負荷電流値検出センサ27で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに消灯する一方でその所定の値未満のときに点灯するよう構成した点とで異なる。
【0068】
過負荷電流値検出センサ27については、第2の実施形態における過負荷電流値検出センサ27と同様に構成されている。また、所定の値:Isについても、第2の実施形態における所定の値と同様に構成されている。
【0069】
第5の実施形態に係る穀物乾燥機においては、特に穀物の張込運転が行われる際、過負荷電流値検出センサ27で検出される負荷電流値に応じて照明装置25を消灯又は点灯させるという制御動作を制御装置58が実行するよう構成されている。
図11には、この穀物乾燥機の張込運転時における主な制御動作のフローチャートが示されている。
【0070】
まず、この穀物乾燥機においても、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様に、
図11に示されるように、張込ボタン53aが押されると(S10)、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33が作動し始め(S11)、張り込まれる穀物が豆類以外のものであるかが判断され(S12)、穀物の張込運転が開始される。
【0071】
続いて、ステップ12において穀物が豆類以外のものであると判断された場合は、制御装置58において過負荷電流値検出センサ27で検出される過負荷電流値が所定の値:Is以上になるか否かが判断される(S40)。
この際、過負荷電流値がIs以上になると、照明装置25が(点灯している場合には)消灯される(S41)。
このときの張込運転は、開閉シャッタ41が閉じているものの、照明装置25が消灯したなかで行われる。
【0072】
続いて、制御装置58において過負荷電流値検出センサ27で検出される過負荷電流値が所定の値:Is未満になるか否かが判断される(S42)。
過負荷電流値がIs未満になると、消灯していた照明装置25が点灯される(S43)。
このときの張込運転は、照明装置25が点灯したなかで行われる。
また、ステップ12において張り込む穀物が豆類であると判断された場合には、過負荷電流値の結果にかかわらず開閉シャッタ41が開けられる(S44)が、
図11に示されるように、開閉シャッタ41が開けられた後はステップ42に移行する。
【0073】
この後は、第1の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合や第2の実施形態に係る穀物乾燥機の場合と同様に、水分計26による穀物なしと検出されると、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33の作動が停止させられ、その搬送系の動作停止に連動して照明装置25が消灯され(S15~S17,S45)、張込運転が終了する。なおステップ44において開閉シャッタ41が開けられた場合は、その開閉シャッタ41が閉じられる(S17)。
【0074】
このように第5の実施形態に係る穀物乾燥機においては、豆類以外の穀物の張り込まれる量が相対的に少量になって負荷電流値が所定の値Is未満になるときに照明装置25が点灯されるが、このときの穀物は、第1の排出口32eから落下させられるとともに、その落下する途上で拡散羽根33に接触して拡散された状態にされて貯留室11に収容される。
しかし、このときは、拡散羽根33で拡散される穀物の量が相対的に少量になるので、照明装置25の光が拡散された穀物で散乱される割合も減る。
これにより、照明装置25からの光は、負荷電流値が所定の値Is以上であるときに比べて、拡散羽根33で拡散された穀物により散乱させられることが少なく、複数の透視窓16をほぼ正常に照らすようになる。
【0075】
したがって、この穀物乾燥機では、特に穀物の張り込み量が相対的に少量になって貯留室11における穀物の張り込みが終了する間近になる時期に合わせて、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を視認しやすくなり、透視窓16を通して張り込んだ穀物の量を確認することができる。
また、この穀物乾燥機では、照明装置25を張込運転の開始時からずっと点灯しておく必要がなくなり、照明装置25の無駄な点灯時間を減らすこともできる。
【0076】
ちなみに、この穀物乾燥機においては、穀物の張り込み量が相対的に多量になって負荷電流値が所定の値Is以上になるときには照明装置25が消灯されるので、透視窓16を通した内側の状況の視認がほぼできない状態になる。
しかし、このときは、拡散羽根33で拡散される穀物の量も相対的に多量になって照明装置25の光が散乱される割合も多くなり、透視窓16を通した内側の状況の視認がしにくくなるときでもあるため、特に問題はない。
【0077】
[第6の実施形態]
図12には、本発明の第6の実施形態に係る穀物乾燥機の動作例が示されている。
第6の実施形態に係る穀物乾燥機は、第3の実施形態に係る穀物乾燥機と対比した場合、
図12に示されるように開閉シャッタ41について照明スイッチ56の操作により照明装置25を点灯させたときに開けるが、照明装置25が所定の時間が経過すると消灯して開閉シャッタが閉じられるよう構成した点で異なる。
【0078】
この穀物乾燥機においても、
図12に示されるように、第3の実施形態に係る穀物乾燥機1の場合と同様に、張込ボタン53aが押されることで穀物の張込運転が開始される(S10~S12)。
【0079】
続いて、ステップ12において穀物が豆類以外のものであると判断された場合は、制御装置58において照明スイッチ56の操作により照明装置25を点灯することになるか否かが判断される(S60)。
この際、照明スイッチ56の操作により照明装置25を点灯することになると、照明装置25が点灯され(S61)、これに連動して開閉シャッタ41が開けられる(S62)。
続いて、照明装置25の点灯する時間が予め定める所定の時間を経過するか否かが判断され(S63)、その所定の時間が経過すると、照明装置25が消灯され(S64)、これに連動して開閉シャッタ41が閉じられる(S65)。
ステップ12において張り込む穀物が豆類であると判断された場合には、照明装置25の点灯の有無にかかわらず、開閉シャッタ41が開けられる(S66)。
【0080】
この後は、ステップ15において水分計26による穀物なしと検出されると、昇降機31、上部移送機32および拡散羽根33の作動が停止させられ(S16)、張込運転が終了する。
また、ステップ15において水分計26による穀物なしと検出されない場合は、上記動作が同様に繰り返される。
なお、張り込む穀物が豆類であった場合は、水分計26による穀物なしと検出されて上部移送機32および拡散羽根33の作動が停止させられた後に(S15~S16)、開閉シャッタ41が閉じられ(S17)、もって張込運転が終了する。
【0081】
このように第6の実施形態に係る穀物乾燥機においては、使用者の照明スイッチ56の操作により照明装置25が点灯されたときに開閉シャッタ41が開けられるようになり、そのときの照明装置25が所定の時間だけ点灯している間だけ、張り込まれる豆類以外の穀物が、上部移送機32における第2の排出口32fから自然に落下させられ、その落下の途上で拡散羽根33により拡散されることなく貯留室11の内部に落下する。
これにより、点灯した照明装置25からの光は、拡散羽根33で拡散された穀物により散乱させられることなく、複数の透視窓16を正常に照らすようになる。
【0082】
したがって、この穀物乾燥機では、穀物乾燥機の使用者が必要とするときに合わせて照明装置25が所定の時間だけ点灯している間は、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を視認しやすくなり、透視窓16を通して張り込んだ穀物の量を確認することができる。
一方、照明装置25が消灯しているときには、開閉シャッタ41が閉じられて穀物が拡散羽根33により拡散されて収容されるので、穀物を貯留室11内に満遍なく収容させることができる。なおこの効果は、穀物が拡散羽根33で拡散されて収容されるときは、他の実施形態の場合でも同様に得られる。
また、この穀物乾燥機では、使用者が張り込んだ穀物の量を透視窓16で視認して確認したときにだけ照明スイッチ56を操作して照明装置25が点灯させることになるので、照明装置25の無駄な点灯時間を減らすこともできる。
【0083】
なお、この第6の実施形態では、上記第5の実施形態で説明したように照明装置25について過負荷電流値検出センサ27で検出される負荷電流値が所定の値以上のときに消灯させる構成を併用してもよい。
また、上記第1~第5の実施形態においても、照明装置25が点灯したときは、この第6の実施形態の場合のように点灯した照明装置25を所定の時間が経過した後に消灯させ、これに連動させて開閉シャッタ41を閉じ、しかる後に水分計26による穀物なしの検出を行うように構成してもよい。
【0084】
[変形例]
本発明は、第1~第6の実施形態でそれぞれ例示した内容に何ら限定されるものではない。このため本発明は、例えば、以下に挙げるような変形例も含むものである。
【0085】
上記照明装置25については、連続した点灯でなく、点滅するよう構成してもよい。
このように照明装置25を点滅するよう構成した場合は、連続して点灯させる場合に比べて、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を更に視認しやすくなる。
【0086】
また、上記照明装置25については、日中等の明るい時間帯(例えば10:00~17:00の時間帯)には光量を相対的に上げた点灯を行い、夜間等の暗い時間帯には光量を相対的に下げて点灯させるように構成してもよい。この光量については、例えば24時間時計で管理して制御すればよい。
【0087】
このように構成した場合は、日中等の明るい時間帯においては、穀物乾燥機の周囲も比較的明るくて透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を視認しにくいが、光量が上がることでその分、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況を更に視認しやすくすることができる。反対に、夜間等の暗い時間帯においては、穀物乾燥機の周囲も暗くなるので透視窓16を透過する光が見えやすくなり、光量を下げても、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況の視認性を確保しやすくなる。また、光量を下げることで電気代等の経費削減も可能になる。
なお、照明装置25の点灯については、光量を下げることに代えて又は併せて、光の色を視認しやすい色に変更する(変色させる)ように構成してもよい。
【0088】
また、第1~第4の実施形態における拡散羽根33の動作については、日中等の明るい時間帯で照明装置25を点灯させるとともに開閉シャッタ41を開けるときには、回転を停止させるよう構成してもよい。この場合は、搬送系の駆動装置36における駆動力の拡散羽根33への伝達をON/OFFすることが可能なクラッチ機構等を採用すればよい。また、この場合は、排気ファン22を作動させることが望ましい。
【0089】
このように構成した場合は、拡散羽根33による穀物の散乱を確実に防ぐことができ、また拡散羽根33の無駄な回転を減らすこともできる。また、排気ファン22を作動させた場合は、貯留室11内の塵埃等の発生を抑えることができるので、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況の視認性を向上させることができる。
なお、夜間等の暗い時間帯は、照明装置25を点灯させるとともに開閉シャッタ41を開けるときでも、拡散羽根33を回転させておいてもよい。これは、夜間等の暗い時間帯は拡散羽根33で穀物がある程度拡散された場合でも、日中等の明るい時間帯に比べると、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況が視認しやすいからである。
【0090】
また、上記照明装置25については、
図13に示される照明装置25Bのように、箱体10のうち透視窓16のある正面部10aとは反対側の背面部10dの上部に開口部を設け、その開口部の外側(箱体10の外部)から貯留室11の内部を照明する状態で配置してもよい。
この場合、照明装置25Bは、箱体10の正面部10aにおける上下方向に一列状に並ぶ複数の透視窓16(
図1等を参照)のうち少なくとも中央部の付近と上部側にある透視窓16を照射して照らすように設置すればよい。言い換えれば、照明装置25Bは、
図13に二点鎖線の矢印で例示されるように、少なくとも中央部の付近と上部側にある透視窓16を箱体10の背面部10dからほぼ水平方向に延びる光で照射するように設置するとよい。また、照明装置25Bは、箱体10の背面部10dの上下方向に間隔をあけて複数個設置しても構わない。
【0091】
このように照明装置25Bを設置した場合は、例えば照明装置25を箱体10の天井部10bに設置する場合(
図1等を参照)などに比べると、透視窓16が照明装置25Bの光でほぼ直接的に照らされるか又はほぼ直交するような状態で確実に照らされるとともに、照明装置25Bの光が透視窓16の内側に存在する穀物の量に応じて適切に遮られて透視窓16を通した穀物の量の状態が的確に反映されるようになり、透視窓16を通した貯留室11の内側の状況の視認性を向上させることができる。
【0092】
また、上記透視窓16については、
図14に示される透視窓16Bのように、貯留室11内に収容される穀物8の圧力を受けることにより貯留室11の内側および外側の間で窓面の凸の方向(突出形状部の突出する方向)が反転するように弾性変形し得る透光性の樹脂部材で構成してもよい。
この透視窓16Bとしては、例えば、穀物8の圧力を受けないときには
図14(A)に示されるように窓面の凸の方向が貯留室11の内側に向いた状態であり、貯留室11内に収容される穀物8の圧力を透視窓16Bの下部におよぶ第1の収容時高さ80aで受けて押され始めることにより
図14(B)に示されるように窓面の凸の方向が貯留室11の外側に向くよう変更し始め、最後に穀物8の圧力を透視窓16Bの全面におよぶ第2の収容時高さ80bで受けて強く押されることにより
図14(C)に示されるように窓面の凸の方向が貯留室11の外側に向いて反転するように弾性変形するものを適用することができる。また、この透視窓16Bは、その窓面を押す穀物8が存在しなくなった後は、
図14(A)に示されるように窓面の凸の方向が貯留室11の内側に向いた状態に自然に復元するものであることが望ましい。
【0093】
このような透視窓16Bを採用した場合は、透視窓16Bが照明装置25(25B)により照らされることに加えて、穀物8の収容される量に応じて外側に変形した状態になることにより、透視窓16Bそのものおよび透視窓16Bを通した貯留室11の内側の状況の視認性が更に向上する。
また、透視窓16Bの場合は、窓面の凸の方向が貯留室11の外側に向いて膨らんだ状態になると、その状態にある透視窓16Bを照明装置25(25B)の光が透過するときに種々屈折して拡散された状態で外部に放射されるので、この観点からも透視窓16Bのどのあたりまで穀物8が収容されているかがわかりやすくなる。
【0094】
また、上記透視窓16Bを採用する場合は、
図15に示されるように、透視窓16Bの窓面が外側に膨らむように変形する状態で感知する感知手段17を設けてもよい。
感知手段17としては、例えば感圧センサ、感圧スイッチ等が適用される。また、この感知手段17については、穀物の収容時高さ80a,80bの変化により透視窓16Bの外側に膨らむ程度の違いに応じて個別に感知するよう複数のものを配置しても構わない。さらに、感知手段17は、透視窓16Bを視認することを妨げない位置に配置される。
さらに、上記透視窓16Bと上記感知手段17を採用する場合は、その感知手段17の感知結果を制御装置58に入力した後、例えば操作盤50の画面表示部52に表示するとよい。また、感知手段17の感知結果を制御装置58に入力して穀物の張込量を自動検知させるとともに自動設定するようにしてもよい。
【0095】
また、上記複数の透視窓16については、
図16に示されるように、光ファイバー70の末端から出射される光を複数の透視窓16に箱体10の外側からそれぞれ照射して照らすように構成してもよい。
この場合、例えば、
図16に示されるように、光ファイバー70に入光させる光の光源ユニット71を操作盤50の内部に設置したうえで、その光源ユニット71と接続した光ファイバー70を、箱体10の正面部10aに上下方向に取り付けたハーネス等の配線用部材72に組み込んで引き回した後、各透視窓16の手間の位置に届くよう分配して配置する。ちなみにこの場合、照明装置25は、その設置を省略してもよいが、光ファイバー70と併用して各透視窓16を照明するように構成するとよい。
このように構成した場合は、複数の透視窓16が光ファイバー70の末端から出射される光で直接照らされ、透視窓16そのものや透視窓16を通した内側の状況の視認性を向上させることができる。
【0096】
さらに、上記複数の透視窓16については、
図17に示されるように、その一部の端部(一辺部)に導光板(導光部材)75を配置し、光ファイバー70からの光が導光板75で広げられた状態で照らされる透視窓16Cとして構成してもよい。
この場合、導光板75には、ジョイント73等を介して上記光ファイバー70どうしを連結して接続すればよい。これにより、各透視窓16Cは、導光板75で広められた光で照らされるので、透視窓16Cを通した内側の状況の視認性を向上させることができる。
【0097】
また、上記透視窓16Cは、
図17に示されるように、例えば内部に光を散乱される状態の数字、記号、文字等の識別情報76を刻印した透明アクリル板162により構成するとよい。
この場合は、導光板75で広められた光が透明アクリル板162の内部に刻印された識別情報76により散乱されることで、その識別情報76が明るく光って浮かび上がるように視認される。これにより、透視窓16Cを通した内側の状況の視認性を更に向上させることができる。
【符号の説明】
【0098】
1 穀物乾燥機
8 穀物
10 箱体
11 貯留室
12 乾燥室
16 透視窓
25 照明装置
27 過負荷電流値検出センサ(検出器の一例)
30 搬送装置
31 昇降機(搬送装置の一部)
32 上部移送機(搬送装置の一部)
32f 第2の排出口(開口部の一例)
33 拡散羽根
36a モータ
41 開閉シャッタ(開閉部材の一例)
56 照明スイッチ(操作手段の一例)