(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定推奨スポット提示方法、倒伏リスク診断方法、および情報提供装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20220531BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01G7/00 603
(21)【出願番号】P 2019044730
(22)【出願日】2019-03-12
【審査請求日】2021-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】特許業務法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】逢坂 良樹
(72)【発明者】
【氏名】片桐 哲也
【審査官】岡北 有平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-49(JP,A)
【文献】特開2006-250827(JP,A)
【文献】特開2018-42524(JP,A)
【文献】濱侃,小型UAVとSfM-MVSを使用した近接画像からの水稲生育モニタリング,水資源学会誌,2016年01月,第29巻第1号,第44-54ページ
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場内で栽培される作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定推奨スポット提示方法であって、
前記圃場を上空から撮影して取得された圃場画像のデータに基づいて、前記作物の生育度を示す生育指標を、前記圃場画像の各画素ごとに求める生育指標算出工程と、
前記各画素ごとの前記生育指標に基づいて、前記生育指標が標準の範囲内にある標準領域を複数特定する標準領域特定工程と、
少なくとも前記複数の標準領域のそれぞれの面積に基づいて、前記複数の標準領域のいずれかを前記測定推奨スポットとして特定する測定推奨スポット特定工程と、
特定した前記測定推奨スポットを示す情報を出力する情報出力工程とを含むことを特徴とする測定推奨スポット提示方法。
【請求項2】
前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の標準領域の中で最も面積の大きい標準領域を、前記測定推奨スポットとして特定することを特徴とする請求項1に記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項3】
前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成工程をさらに含み、
前記標準領域特定工程では、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより、前記複数の標準領域を特定し、
前記測定推奨スポット特定工程では、前記生育マップの前記複数の区域の中で画素数が最も多い区域を特定することにより、前記最も面積の大きい標準領域を特定することを特徴とする請求項2に記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項4】
前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の標準領域のそれぞれの前記面積と、前記各標準領域の中心から前記圃場の畦畔に相当する画像縁部までの距離とに基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする請求項1に記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項5】
前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の標準領域のそれぞれについて、前記標準領域の面積を前記距離で除した評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする請求項4に記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項6】
前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成工程をさらに含み、
前記標準領域特定工程では、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより、前記複数の標準領域を特定し、
前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の区域のそれぞれの画素数を、前記各区域の中心から前記生育マップの縁部までの画素数で除した値を前記評価値として算出し、前記評価値に基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする請求項5に記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項7】
前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成工程をさらに含み、
前記標準領域特定工程では、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域と前記圃場画像で対応する領域を、前記複数の標準領域として特定することを特徴とする請求項1に記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項8】
前記情報出力工程では、前記測定推奨スポットを示す情報を、前記測定推奨スポットを特定した情報提供装置とは異なる端末装置に送信することを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項9】
前記情報出力工程では、前記測定推奨スポットを示す情報を、前記測定推奨スポットを特定した情報提供装置の表示部に表示することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の測定推奨スポット提示方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の測定推奨スポット提示方法を含む倒伏リスク診断方法であって、
前記圃場の前記測定推奨スポットで実際に測定された前記生育パラメータが入力されたときに、前記作物についての生育パラメータと倒伏リスクとの関係を示すテーブルに基づいて、前記作物の倒伏リスクを診断する倒伏リスク診断工程を含むことを特徴とする倒伏リスク診断方法。
【請求項11】
前記生育パラメータは、前記作物の草丈を含むことを特徴とする請求項10に記載の倒伏リスク診断方法。
【請求項12】
前記生育パラメータは、前記作物の葉色および茎数の少なくとも一方をさらに含むことを特徴とする請求項11に記載の倒伏リスク診断方法。
【請求項13】
圃場を上空から撮影して取得された圃場画像のデータに基づいて、前記圃場内で栽培される作物の生育度を示す生育指標を、前記圃場画像の各画素ごとに求める生育指標算出部と、
前記各画素ごとの前記生育指標に基づいて、前記生育指標が標準の範囲内にある標準領域を複数特定する標準領域特定部と、
少なくとも前記複数の標準領域のそれぞれの面積に基づいて、前記複数の標準領域のいずれかを、前記作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定を推奨する測定推奨スポットとして特定する測定推奨スポット特定部と、
特定した前記測定推奨スポットを示す情報を出力する情報出力部とを備えていることを特徴とする情報提供装置。
【請求項14】
前記測定推奨スポット特定部は、前記複数の標準領域の中で最も面積の大きい標準領域を、前記測定推奨スポットとして特定することを特徴とする請求項13に記載の情報提供装置。
【請求項15】
前記測定推奨スポット特定部は、前記複数の標準領域のそれぞれの前記面積と、前記各標準領域から前記圃場の畦畔に相当する画像縁部までの距離とに基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする請求項13に記載の情報提供装置。
【請求項16】
前記測定推奨スポット特定部は、前記複数の標準領域のそれぞれについて、前記標準領域の面積を前記距離で除した評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする請求項15に記載の情報提供装置。
【請求項17】
前記撮影画像を各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成部をさらに含み、
前記標準領域特定部は、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域と前記圃場画像で対応する領域を、前記複数の標準領域として特定することを特徴とする請求項13に記載の情報提供装置。
【請求項18】
前記情報出力部は、前記測定推奨スポットを示す情報を外部の端末装置に送信する通信部を含むことを特徴とする請求項13から17のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項19】
前記情報出力部は、前記測定推奨スポットを示す情報を表示する表示部を含むことを特徴とする請求項13から18のいずれかに記載の情報提供装置。
【請求項20】
前記作物についての生育パラメータと倒伏リスクとの関係を示す倒伏リスク診断テーブルを予め記憶する倒伏リスク診断テーブル記憶部と、
外部からの情報の入力を受け付ける情報入力部と、
前記情報入力部にて、前記圃場の前記測定推奨スポットで実際に測定された前記生育パラメータの入力を受け付けたときに、前記テーブルに基づいて、前記作物の倒伏リスクを診断する倒伏リスク診断部とをさらに備えていることを特徴とする請求項13から19のいずれかに記載の情報提供装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場内で栽培される作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定推奨スポットを提示する測定推奨スポット提示方法と、倒伏リスク診断方法と、情報提供装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場で栽培される作物(例えば稲)の倒伏は、作物の品質低下や病気に繋がるだけでなく、機械での刈り取りを困難にさせる。このため、圃場で農業に従事する者(以下、農業従事者とも称する)にとっては、作物の倒伏を回避することが重要である。例えば、倒伏しやすい作物については倒伏リスク診断を実施し、診断結果(得られた倒伏リスク)に応じて今後の施肥量および施肥タイミングを変えることにより、作物の生育の進行度合いを調整して倒伏の発生を低減することができる。なお、上記の倒伏リスク診断は、例えば作物の草丈などの生育パラメータを測定し、育成指針(農業試験場などが各作物・各品種について作成)と照らし合わせることで行うことができる。ところが、倒伏リスク診断に必要な生育パラメータの測定には、手間と時間がかかる。
【0003】
一方、近年では、リモートセンシング技術の発達により、カメラで撮影したデータから、作物の生育パラメータ(例えば草丈)や生育指標(例えばNDVI(Normalized Difference Vegetation Index;正規化植生指標))を演算で求めることが可能になりつつある(例えば特許文献1、2参照)。例えば、演算で求めた生育パラメータと育成指針とを照らし合わせて倒伏リスク診断を行うようにすれば、生育パラメータの実測が不要となるため、実測の手間および時間を削減して倒伏リスク診断を簡単に行うことができるとも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-220569号公報
【文献】国際公開WO2016/181743号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、演算による生育パラメータの算出値と、生育パラメータの実測値との間では高い相関が得られるものの、作物や品種によっては、算出値と実測値とで差があり、生育パラメータの絶対的な値を演算で精度よく求めることができるレベルに達していないのが現状である。したがって、倒伏リスク診断を正確に行うためには、やはり生育パラメータの実測が必要となる。
【0006】
しかし、上述のように、生育パラメータの実測には手間と時間がかかる。そこで、例えば、圃場内で生育パラメータを測定する領域(測定株)を選定することで、生育パラメータの測定を必要最小限にする手法が考えられる。しかし、このときに測定株の選定を誤ると、測定した生育パラメータの圃場全体での平均からの誤差が大きくなってしまい、生育パラメータの実測値に基づいて倒伏リスク診断を正確に行うことが困難となる。したがって、生育パラメータの必要最小限の測定で倒伏リスク診断を正確に実施できるようにする技術が必要とされる。しかし、このような技術は、未だ提案されていない。
【0007】
なお、例えば生育パラメータを測定する領域内において、作物の生育が不安定で、生育状態にムラがあると、上記領域内の場所によっては、測定した生育パラメータの平均からの誤差が大きくなり、上記生育パラメータに基づく倒伏リスク診断の精度が低下することが懸念される。したがって、この点も考慮して、倒伏リスク診断の正確な実施を実現できるようにすることが望まれる。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、圃場内で生育パラメータの測定に適した領域を測定推奨スポットとしてユーザに提示することができ、これによって、必要最小限の生育パラメータの測定によって、倒伏リスク診断を正確に実施することができるとともに、生育が安定した測定推奨スポットをユーザに提示して、測定した生育パラメータに基づく倒伏リスク診断の精度を上げることができる生育パラメータの測定推奨スポット提示方法と、倒伏リスク診断方法と、情報提供装置とを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面に係る測定推奨スポット提示方法は、圃場内で栽培される作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定推奨スポット提示方法であって、前記圃場を上空から撮影して取得された圃場画像のデータに基づいて、前記作物の生育度を示す生育指標を、前記圃場画像の各画素ごとに求める生育指標算出工程と、前記各画素ごとの前記生育指標に基づいて、前記生育指標が標準の範囲内にある標準領域を複数特定する標準領域特定工程と、少なくとも前記複数の標準領域のそれぞれの面積に基づいて、前記複数の標準領域のいずれかを前記測定推奨スポットとして特定する測定推奨スポット特定工程と、特定した前記測定推奨スポットを示す情報を出力する情報出力工程とを含む。
【0010】
本発明の他の側面に係る倒伏リスク診断方法は、上記の測定推奨スポット提示方法を含む倒伏リスク診断方法であって、前記圃場の前記測定推奨スポットで実際に測定された前記生育パラメータが入力されたときに、前記作物についての生育パラメータと倒伏リスクとの関係を示すテーブルに基づいて、前記作物の倒伏リスクを診断する倒伏リスク診断工程を含む。
【0011】
本発明のさらに他の側面に係る情報提供装置は、圃場を上空から撮影して取得された圃場画像のデータに基づいて、前記圃場内で栽培される作物の生育度を示す生育指標を、前記圃場画像の各画素ごとに求める生育指標算出部と、前記各画素ごとの前記生育指標に基づいて、前記生育指標が標準の範囲内にある標準領域を複数特定する標準領域特定部と、少なくとも前記複数の標準領域のそれぞれの面積に基づいて、前記複数の標準領域のいずれかを、前記作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定を推奨する測定推奨スポットとして特定する測定推奨スポット特定部と、特定した前記測定推奨スポットを示す情報を出力する情報出力部とを備えている。
【発明の効果】
【0012】
圃場内で生育指標が標準の範囲内である複数の標準領域の中から、測定推奨スポットが特定され、上記測定推奨スポットの情報が出力されるため、ユーザ(例えば農業従事者)は、出力された上記情報に基づき、圃場内で生育パラメータの測定に適した上記測定推奨スポットを明確に認識することが可能となる。これにより、ユーザは、(圃場全体ではなく)圃場内で測定推奨スポットに相当する領域で生育パラメータの測定を実施すればよく、必要最小限の生育パラメータの測定によって、倒伏リスク診断を行うことが可能となる。また、生育パラメータの実測値に基づく倒伏リスク診断が可能となるため、演算値に基づいて倒伏リスク診断を行う場合に比べて、倒伏リスク診断を正確に行うことが可能となる。さらに、測定推奨スポットは、少なくとも各標準領域の面積に基づいて特定されるため、生育の安定した領域を測定推奨スポットとしてユーザに提示することが可能となる。これにより、測定推奨スポット内では、どの場所でも平均に近い生育パラメータを測定でき、測定した生育パラメータに基づく倒伏リスク診断の精度を上げることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の一形態に係る情報提供システムの全体構成を模式的に示す説明図である。
【
図2】上記情報提供システムが有する情報提供装置の詳細な構成を示すブロック図である。
【
図3】圃場で栽培される作物の特定の品種についての倒伏リスク診断テーブルの一例を示す説明図である。
【
図4】施肥設計テーブルの一例を示す説明図である。
【
図5】上記情報提供システムにおいて実施される倒伏リスク診断方法による処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】上記圃場の生育マップの一例を示す説明図である。
【
図7】上記情報提供装置の表示部の表示画面の一例を示す説明図である。
【
図8】圃場画像の一例を模式的に示す説明図である。
【
図9】測定推奨スポットを特定する方法の変形例を模式的に示す説明図である。
【
図10】上記作物のある品種についてのNDVIと草丈との相関関係を示すグラフである。
【
図11】草丈マップの一例を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0015】
〔1.倒伏リスク診断システムの構成〕
図1は、本実施形態の測定推奨スポット提示方法および倒伏リスク診断方法を実施する情報提供システム1の全体構成を模式的に示す説明図である。情報提供システム1は、飛行体10と、飛行体10に保持される撮像装置20と、情報提供装置30と、端末装置40とを有して構成されている。端末装置40としては、例えば農業従事者が所有するスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(PC)など、情報提供装置30から送信される情報を受信可能な端末装置を想定することができる。
【0016】
なお、農業従事者とは、圃場FDで農業に従事する者を指し、これには圃場FDを経営する経営者や圃場FDの所有者も含まれるとする。また、ここでは、農業従事者のことを「ユーザ」とも称し、情報提供装置30を管理する管理者とは区別する。
【0017】
飛行体10と情報提供装置30、および情報提供装置30と端末装置40とは、通信回線NWを介して通信可能に接続されている。通信回線NWは、例えば無線LAN(Local Area Network)で構成されているが、有線LANやインターネットなどのネットワークを一部に含んで構成されていてもよい。なお、飛行体10の通信機能を撮像装置20に持たせ、撮像装置20と端末装置40とを通信回線NWを介して通信可能に接続してもよい。
【0018】
(飛行体)
飛行体10は、例えば自律飛行可能な無人航空機(ドローン)によって構成されている。飛行体10は、上記の無人航空機以外に、気球、飛行船、飛行機、ヘリコプターなどで構成されてもよい。飛行体10が無人航空機である場合、その飛行は、地上の操縦者が操作部(図示せず)を操作することによって遠隔制御される。
【0019】
(撮像装置)
撮像装置20は、例えばマルチスペクトルカメラにより構成されている。すなわち、撮像装置20は、第1の撮像部と、第2の撮像部とを備えている。第1の撮像部は、圃場FDを撮影して可視光の波長帯域の画像(可視画像)を取得する可視撮像部である。第2の撮像部は、圃場FDを撮影して近赤外光の波長帯域の画像(近赤外画像)を取得する近赤外撮像部である。
【0020】
飛行体10の飛行により、撮像装置20によって圃場FDを上空から撮影して圃場画像を取得することができる。上記の圃場画像の各画素は、例えば圃場FDを構成する各領域Tと対応付けられる。なお、圃場FDが広い場合、圃場FDを複数の区域に分割して各区域ごとに撮像装置20によって撮影を行い、各区域の撮影画像をつなぎ合わせることで、全体で1つの圃場画像を得るようにしてもよい。撮像装置20で取得した圃場画像のデータ(撮影データ)は、通信回線NWを介して情報提供装置30に送られる。
【0021】
(情報提供装置)
情報提供装置30は、圃場FD内で栽培される作物PLの倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定推奨スポットを提示するとともに、上記倒伏リスク診断を行う装置である。ここで、生育パラメータとは、作物PLの草丈(cm)、葉色(SPAD値)、茎数(本/m2)など、ユーザによって測定可能な、作物PLの生育状態を示すパラメータを指す。上記のSPAD値とは、作物PLの葉に含まれる葉緑素(クロロフィル)量を計測器(葉緑素計)で計測して得られる値である。なお、SPADは、Soil & Plant Analyzer Development(農林水産省農蚕園芸局農産課の大規模経営体土壌・作物・生産物分析システム実用化事業)の略である。
【0022】
図2は、情報提供装置30の詳細な構成を示すブロック図である。情報提供装置30は、例えばPC(パーソナルコンピュータ)で構成されており、操作部31と、表示部32と、通信部33と、記憶部34と、制御部35とを有している。なお、情報提供装置30は、多機能携帯端末(例えばスマートフォン、タブレット端末)で構成されていてもよい。
【0023】
操作部31は、外部からの情報の入力を受け付ける。このような操作部31は、具体的には、キーボード、マウス、タッチパッドなどで構成される。操作部31は、例えば情報提供装置30の管理者によって操作されるが、農業経営者などのユーザによって直接操作されてもよい。
【0024】
表示部32は、各種の情報を表示するディスプレイであり、例えば液晶表示装置で構成されている。通信部33は、撮像装置20および端末装置40と、情報提供装置30との間で情報の入出力を行うための通信インターフェースであり、送信回路、受信回路、変調回路、復調回路、アンテナなどを含んで構成され、通信回線NWと通信可能に接続されている。
【0025】
農業経営者などのユーザは、操作部31を直接操作することにより、情報(例えば草丈などの生育パラメータの実測値)を入力することができる。また、ユーザは、端末装置40にて上記生育パラメータの実測値を入力し、入力した上記生育パラメータの情報を、端末装置40から通信回線NWを介して情報提供装置30に送信することもできる。この場合、情報提供装置30では、通信部33を介して上記生育パラメータの情報が入力される。したがって、操作部31および通信部33は、外部からの情報の入力を受け付ける情報入力部36を構成しているとも言える。
【0026】
一方、表示部32には、制御部35の後述する測定推奨スポット特定部35eで特定された測定推奨スポットを表示させることができる。また、通信部33を介して上記測定推奨スポットの情報を端末装置40に送信することにより、端末装置40では上記測定推奨スポットを画面に表示させることができる。このことから、表示部32および通信部33は、測定推奨スポットの情報を出力する情報出力部37を構成しているとも言える。
【0027】
記憶部34は、例えばハードディスク、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、不揮発性メモリなどで構成されており、各種の情報を記憶する。より具体的には、記憶部34は、主記憶部34aと、撮影データ記憶部34bと、倒伏リスク診断テーブル記憶部34cと、生育指標記憶部34dと、施肥設計テーブル記憶部34eと、マップ記憶部34fと、倒伏リスク診断結果記憶部34gとを有している。
【0028】
主記憶部34aは、制御部35の動作プログラムを記憶する。撮影データ記憶部34bは、撮像装置20から出力される撮影データを記憶する。
【0029】
倒伏リスク診断テーブル記憶部34cは、圃場FD内の作物PLについてユーザによって測定される生育パラメータと、作物PLの倒伏リスクとの関係を示す倒伏リスク診断テーブルを予め記憶する。
図3は、作物PLの特定の品種(品種名;A-1)についての倒伏リスク診断テーブルの一例を示す。倒伏リスクは、作物PLの草丈、葉色、茎数に応じて例えば4段階のレベル(レベル0~3)に分けられており、レベルが上がるほど倒伏リスクが高いこと示す。なお、倒伏リスク診断テーブルには、今後の施肥に関して各倒伏リスクに応じた対処方法(今後の施肥量または施肥タイミング)に関する情報も付加されている。
【0030】
生育指標記憶部34dは、後述する生育指標算出部35bによって算出された生育指標(例えばNDVI)を記憶する。施肥設計テーブル記憶部34eは、生育指標と施肥量(追肥量)との対応関係を示す施肥設計テーブルを記憶する。
図4は、施肥設計テーブルの一例を示す説明図である。施肥設計テーブルは、例えば育成指針やユーザの過去の経験に基づいて予め作成され、施肥設計テーブル記憶部34eに記憶される。
【0031】
マップ記憶部34fは、各種のマップを記憶する。上記マップには、圃場FDの撮影画像(圃場マップ)のほか、上記撮影画像を生育指標の値に応じて複数の区域に分割した生育マップ、圃場FD内での施肥量の分布を示す施肥マップ、倒伏リスクの分布を示す倒伏リスクマップなどが含まれる。倒伏リスク診断結果記憶部34gは、後述する倒伏リスク診断部35fによる倒伏リスクの診断結果を記憶する。
【0032】
制御部35は、例えばCPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)で構成されている。この制御部35は、主制御部35aと、生育指標算出部35bと、生育マップ作成部35cと、標準領域特定部35dと、測定推奨スポット特定部35eと、倒伏リスク診断部35fと、施肥設計テーブル変更部35gとを有している。
【0033】
主制御部35aは、記憶部34(主記憶部34a)に記憶された動作プログラムに従って動作し、情報提供装置30の各部の動作を制御する。なお、生育指標算出部35b、生育マップ作成部35c、標準領域特定部35d、測定推奨スポット特定部35e、倒伏リスク診断部35f、および施肥設計テーブル変更部35gの詳細については、以下に示す倒伏リスク診断方法の説明の中で併せて記述する。
【0034】
〔2.倒伏リスク診断方法について〕
次に、上記構成の情報提供システム1における倒伏リスク診断の詳細について説明する。
図5は、本実施形態の倒伏リスク診断方法による処理の流れを示すフローチャートである。
【0035】
まず、倒伏リスク診断に先だって、作物PLの生育パラメータと倒伏リスクとの関係を示す倒伏リスク診断テーブル(
図3参照)を作成し、倒伏リスク診断テーブル記憶部34cに記憶させる(S1)。また、生育指標としてのNDVIと施肥量との対応関係を示す施肥設計テーブル(
図4参照)を作成し、施肥設計テーブル記憶部34eに記憶させる(S2)。
【0036】
なお、上記の倒伏リスク診断テーブルおよび施肥設計テーブルの作成は、育成指針や過去の経験に基づいて、ユーザ(例えば農業経営者)が行ってもよいし、システムの管理者が行ってもよい。また、上記の倒伏リスク診断テーブルおよび施肥設計テーブルは、操作部31の操作によって情報提供装置30で作成されて記憶されてもよいし、情報提供装置30以外の端末装置(例えば端末装置40)で作成され、その後、情報提供装置30に送信されて記憶されてもよい。
【0037】
続いて、飛行体10を飛行させ、飛行体10に保持された撮像装置20によって圃場FDを上空から撮影して撮影データを取得する(S3)。上記の撮影データは、通信回線NWを介して情報提供装置30に送信され、撮影データ記憶部34bに記憶される。
【0038】
次に、測定推奨スポット提示工程が行われる(S4)。測定推奨スポット提示工程では、圃場FD内で作物PLの生育パラメータの測定を推奨する測定推奨スポットの情報がユーザに提示される。
【0039】
より詳しくは、まず、制御部35の生育指標算出部35bが、撮影データ記憶部34bに記憶された撮影データ、つまり、圃場FDを上空から撮影して取得された圃場画像のデータに基づいて、圃場FD内の作物PLの生育度を示す生育指標を、圃場画像の各画素ごとに求める(S4-1;生育指標算出工程)。
【0040】
本実施形態では、上記生育指標として、NDVIを用いる。NDVIは、植生の分布状況や活性度を示す生育指標であり、撮像装置20で取得された撮影データに含まれる可視画像の(例えばRの)画像データRvおよび近赤外画像の画像データRiを用いて、NDVI={(Ri-Rv)/(Ri+Rv)}で表される。NDVIは、-1と1との間に正規化した数値を示し、正の大きい数字になるほど植生が濃いことを表す。
【0041】
なお、生育指標算出部35bは、生育指標として、NDVIの代わりに以下の値を算出してもよい。NDVI以外の指標としては、例えば、RVI(Ratio Vegetation Index;比植生指数、RVI=Ri/Rv)、DVI(Difference Vegetation Index;差植生指数、DVI=Ri-Rv)、TVI(Transformed Vegetation Index、TVI=NDVI0.5+0.5)、またはIPVI(Infrared Percentage Vegetation Index、IPVI=Ri/(Ri+Rv)=(NDVI+1)/2)等が挙げられる。
【0042】
次に、生育マップ作成部35cは、圃場画像を、各画素のNDVIの値に応じて複数の区域に分割することにより、圃場FDの生育マップ(NDVI画像)を作成する(S4-2;生育マップ作成工程)。例えば
図6は、圃場FDの生育マップの一例を示している。圃場FDの撮影データに基づき、NDVIの値が例えば0.50~0.75の範囲で得られたとき、上記範囲を0.05の幅で5段階の区域に分けると、
図6のような生育マップが得られる。なお、各区域の幅は、情報提供装置30の管理者によって自由に設定することができる。生育マップの情報(データ)は、マップ記憶部34fに記憶される。
【0043】
次に、標準領域特定部35dは、圃場画像の各画素ごとのNDVIに基づいて、NDVIが標準の範囲内にある標準領域Sを複数特定する(S4-3;標準領域特定工程)。例えば、標準領域特定部35dは、生育マップにおいてNDVIが標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより、複数の標準領域Sを特定する。
【0044】
ここで、NDVIの「標準の範囲」とは、NDVIの測定値の範囲(最小値から最大値までの範囲)を所定幅で複数に分割したときの、NDVIの中央値(または平均値)を含む範囲を考えることができる。例えば、
図6の生育マップでは、NDVIが0.50~0.75の分布であるため、NDVIの中央値(0.625)を含む0.60~0.65の範囲を「標準の範囲」とすることができる。
【0045】
続いて、測定推奨スポット特定部35eは、複数の標準領域Sのそれぞれの面積に基づいて、複数の標準領域Sのいずれかを測定推奨スポットSrecとして特定する(S4-4;測定推奨スポット特定工程)。例えば、測定推奨スポット特定部35eは、複数の標準領域Sの中で最も面積の大きい標準領域Sを、測定推奨スポットSrecとして特定する。
【0046】
ここで、標準領域Sの面積は、標準領域Sを構成する画素の数と対応する。したがって、測定推奨スポット特定部35eは、生育マップにおいて、NDVIが標準の範囲である複数の区域のそれぞれについて画素数をカウントし、この中で画素数が最も多い区域を特定することにより、最も面積の大きい標準領域Sを特定でき、特定した上記標準領域Sを測定推奨スポットSrecとして特定することができる。特定された測定推奨スポットSrecは、他の区域と明確に区別するために、太枠で強調して示される(
図6参照)。
【0047】
S4-4で特定された測定推奨スポットSrecを示す情報(例えば測定推奨スポットSrecを含む生育マップのデータ)は、情報出力部37により出力される(S4-5;情報出力工程)。上記情報は、通信部33を介して端末装置40に送信されたり、情報提供装置30の表示部32に表示される。これにより、ユーザは、端末装置40で生育マップを表示させて測定推奨スポットSrecを確認したり、情報提供装置30の表示部32の表示画面を直接見て測定推奨スポットSrecを確認することが可能となる(
図7参照)。
【0048】
ユーザは、測定推奨スポットSrecを確認すると、圃場FD内で測定推奨スポットSrecに相当する領域内に進入し、そこで作物FDの生育パラメータを測定する。例えば、メジャーやものさしを用いることにより、ユーザは作物PLの生育パラメータとしての草丈を測定することができる。このとき、ユーザは、葉緑素計を用いて作物PLの葉色(SPAD値)を生育パラメータとして併せて測定してもよく、さらに、1m2あたりの茎数をカウントし、この茎数を生育パラメータとして併せて取得してもよい。
【0049】
ユーザは、測定した生育パラメータの情報を端末装置40に入力し、情報提供装置30に送信すると、情報提供装置30の通信部33が上記生育パラメータの情報を受信することにより、生育パラメータの入力が受け付けられる(S5)。なお、S5では、ユーザが情報提供装置30の操作部31を直接操作して、測定した生育パラメータの情報を入力してもよい。この場合は、操作部31によって上記生育パラメータの入力が受け付けられる。
【0050】
S5にて、生育パラメータの入力が受け付けられると、倒伏リスク診断部35fは、倒伏リスク診断テーブル記憶部34cに記憶された倒伏リスク診断テーブルに基づいて、作物PLの倒伏リスクを診断する(S6;倒伏リスク診断工程)。例えば、測定推奨スポットで測定された生育パラメータとして「草丈58cm」が入力された場合、倒伏リスク診断部35fは、
図3で示した倒伏リスク診断テーブルから「倒伏リスク1」を診断結果として抽出する。この診断結果は、倒伏リスク診断結果記憶部34gに記憶される。
【0051】
最後に、施肥設計テーブル変更部35gは、S6での診断結果に基づいて、施肥設計テーブル記憶部34eに記憶された施肥設計テーブルを、倒伏リスクに応じて変更する(S7)。例えば、S6にて、「倒伏リスク1」の診断結果が出た場合、倒伏のリスクがあるとして、施肥量(追肥量)を標準の2kgから1kgに変更する必要があるため、
図4のテーブル(検量線)を、追肥量の平均値が1kgとなるように変更する。
【0052】
図7は、情報提供装置30の表示部32の表示画面の一例を示している。表示画面には、品種、圃場一覧(圃場名、倒伏リスク、追肥予定日)、施肥設計テーブル、生育マップ、草丈の入力欄、倒伏リスク診断ボタンが表示されている。なお、施肥設計テーブルおよび生育マップは、施肥設計の対象となる圃場が「水田02」である場合のテーブルおよびマップをそれぞれ示している。ユーザが、測定した草丈を操作部31の操作によって入力し、倒伏リスク診断ボタンをクリックすると、施肥設計テーブル変更部35gは、倒伏リスク診断部35fでの診断結果に基づいて施肥設計テーブルを変更し、表示部32には、変更後の施肥設計テーブルが表示される。なお、破線は変更前の施肥設計テーブルを示し、実線は変更後の施肥設計テーブルを示す。
【0053】
また、ユーザは、操作部31の操作により、表示部32に表示させるマップを、生育マップと施肥マップとで切り替えることもできる。施肥マップは、生育マップで示されるNDVIの分布を、施肥設計テーブルに基づいて追肥量の分布に変換したものである。
【0054】
なお、
図7の表示画面で示される情報は、情報提供装置30から端末装置40にも出力可能である。これにより、ユーザは、端末装置40にて同じ表示画面を視認し、今後の施肥設計を確認することができる。
【0055】
なお、翌年以降は、
図5のS3以降の工程を行って、倒伏リスク診断およびそれに基づく施肥設計を行えばよい。
【0056】
〔3.効果〕
以上のように、本実施形態では、NDVIが標準の範囲内である複数の標準領域Sの中から、生育パラメータの測定を推奨する測定推奨スポットSrecが特定され(S4-4)、その特定された測定推奨スポットSrecを示す情報が出力される(S4-5)。これにより、ユーザは、出力された上記情報に基づき、生育パラメータの測定に適した測定推奨スポットSrecを明確に認識することが可能となる。したがって、倒伏リスク診断を実施するにあたって、ユーザは、圃場FD内で測定推奨スポットSrecに相当する領域で生育パラメータの測定を実施すればよく、圃場FD内で何箇所も生育パラメータを測定しなくても済む。その結果、ユーザによる生育パラメータの必要最小限の測定によって、倒伏リスク診断を実施することが可能となる。また、実際に測定された生育パラメータの値(実測値)に基づいて倒伏リスク診断を実施できるため、例えば演算値に基づいて倒伏リスク診断を行う場合よりも、倒伏リスク診断を正確に行うことができる。
【0057】
さらに、測定推奨スポットSrecは、各標準領域Sの面積に基づいて特定されるため、生育の安定した領域を測定推奨スポットSrecとしてユーザに提示することが可能となる。これにより、圃場FD内で測定推奨スポットSrecに相当する領域内では、どの場所でも平均に近い生育パラメータを測定でき、測定した生育パラメータに基づく倒伏リスク診断の精度を上げることが可能となる。
【0058】
また、S4-4では、複数の標準領域Sの中で最も面積の大きい標準領域を、測定推奨スポットSrecとして特定するため、生育が最も広い範囲にわたって安定している標準領域Sを測定推奨スポットSrecとして特定することができる。これにより、圃場FD内で測定推奨スポットSrecに相当する領域では、平均に近い生育パラメータを確実に測定でき、測定した生育パラメータに基づく倒伏リスク診断の精度を確実に上げることが可能となる。
【0059】
特に、S4-3では、生育マップにおいてNDVIが標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより複数の標準領域Sを特定し、S4-4では、上記複数の区域の中で画素数が最も多い区域を特定することにより、最も面積の大きい標準領域Sを特定する。これにより、最も面積の大きい標準領域Sを精度よく特定して、測定推奨スポットを精度よく特定することができる。
【0060】
また、S4-5において、測定推奨スポットSrecを示す情報を、上記測定推奨スポットSrecを特定した情報提供装置30とは異なる端末装置40に送信することにより、ユーザは、端末装置40にて、測定推奨スポットSrecを認識することが可能となる。したがって、ユーザは、情報提供装置30から離れた場所にいる場合でも、端末装置40を用いて測定推奨スポットSrecを認識することが可能となる。
【0061】
また、S4-5において、測定推奨スポットSrecを示す情報を、上記測定推奨スポットSrecを特定した情報提供装置30の表示部32に表示することにより、ユーザは、表示部32に表示された情報を見て、測定推奨スポットSrecを認識することが可能となる。したがって、例えば、ユーザが情報提供装置30の近くにいる場合には、表示部32を直接視認して測定推奨スポットSrecを認識することが可能となる。
【0062】
また、S6では、測定推奨スポットで実際に測定された生育パラメータが操作部31または通信部33を介して入力されたときに、倒伏リスク診断テーブルに基づいて、作物PLの倒伏リスクが診断される。この場合、情報提供装置30にて、倒伏リスク診断テーブルに基づく倒伏リスクの自動診断を実現することが可能となる。
【0063】
また、生育パラメータは、作物PLの草丈を含む。この場合、生育パラメータとして、作物PLの草丈の測定値が入力されたときに、上記の倒伏リスク診断テーブルに基づいて、倒伏リスク診断を自動的に行うことができる。
【0064】
ここで、上記生育パラメータは、作物PLの葉色および茎数の少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。この場合、草丈のみならず、葉色および茎数の少なくとも一方を考慮して倒伏リスク診断を行うことができるため、倒伏リスク診断の精度をさらに向上させることが可能となる。例えば、測定した作物PLの草丈が58cmであり、葉色を示すSPAD値が43であり、茎数が550本/m
2であるとき、
図3で示した倒伏リスク診断テーブルを用いると、草丈のみに基づく倒伏リスクの診断結果は“1”となるが、葉色および茎数に基づく倒伏リスクの診断結果は“2”となる。この場合、総合的な倒伏リスクを例えば最大値の“2”として、草丈のみに基づいて倒伏リスク診断を行う場合よりも、その診断精度を向上させることができる。
【0065】
なお、S6での倒伏リスク診断は、ユーザが直接行ってもよい。例えば測定した生育パラメータを育成指針等と照らし合わせて、ユーザ自らが倒伏リスクを診断してもよい。そして、診断結果に応じてユーザ自身が施肥設計を変更するようにしてもよい。このことから、情報提供装置30は、少なくとも、S4で示した測定推奨スポット提示工程を行えばよく、必要に応じて倒伏リスク診断を行えばよいと言える。
【0066】
〔4.変形例〕
図8は、圃場画像の一例を模式的に示している。
図5のS4-3では、生育マップにおいてNDVIが標準の範囲内にある複数の区域と圃場画像で対応する領域を、複数の標準領域Sとして特定してもよい。この場合、圃場画像において、複数の標準領域Sのうちで最も面積の大きい(最も画素数の多い)標準領域Sを測定推奨スポットSrecとして特定し、特定した測定推奨スポットSrecを示す情報(例えば圃場画像のデータ)を外部に出力することができる。したがって、このような形態であっても、ユーザは、出力された上記情報に基づき、生育パラメータの測定に適した測定推奨スポットSrecを明確に認識することができるため、圃場FDにおいて測定推奨スポットSrecに相当する領域での生育パラメータの必要最小限の測定によって、倒伏リスク診断を実施することが可能となる。
【0067】
図9は、測定推奨スポットSrecを特定する方法の変形例を模式的に示す説明図である。
図5のS4-4では、複数の標準領域Sのそれぞれの面積と、各標準領域Sの中心から圃場FDの畦畔に相当する画像縁部までの距離dとに基づいて、測定推奨スポットSrecを特定してもよい。なお、上記の画像縁部とは、
図9に示すように、複数の標準領域Sを生育マップで考える場合は、生育マップの縁部を指し、複数の標準領域Sを
図8で示した圃場画像で考える場合は、圃場画像の縁部を指す。また、各標準領域Sの中心とは、各標準領域Sの長軸と短軸との交点、各標準領域Sが外接する四角形の2つの対角線の交点、各標準領域Sの重心、などを考えることができる。また、画像縁部は4辺で構成されるため、標準領域Sから画像縁部までの距離dは、各辺に対して4つ存在する。距離dは、ここでは、4つの辺のそれぞれに対する4つの距離のうち、最小となる距離を指すとするが、予め指定した辺(例えばアクセスしやすい畦畔に相当する辺)に対する距離であってもよい。
【0068】
距離dが短いほど、圃場FD内で標準領域Sと対応する領域は、圃場FDの畦畔の近くに位置する。したがって、各標準領域Sの面積と距離dとに基づいて測定推奨スポットSrecを特定することにより、圃場FD内で生育が安定し、かつ、畦畔に近い領域を測定推奨スポットSrecとして特定することができる。畦畔に近い上記領域に対しては、ユーザは畦畔から容易に進入できるため、生育パラメータを迅速に測定することが可能となる。また、畦畔から離れた圃場の中心部まで進入して生育パラメータを測定する場合に比べて、周囲の作物PLを踏み荒らすリスクも低減される。
【0069】
また、S4-4では、複数の標準領域Sのそれぞれについて、標準領域Sの面積を距離dで除した評価値Eを算出し、算出した評価値Eに基づいて、測定推奨スポットSrecを特定してもよい。具体的には、S4-3にて、生育マップにおいてNDVIが標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより複数の標準領域Sを特定し、S4-4では、上記複数の区域のそれぞれの画素数を、各区域の中心から生育マップの縁部までの画素数で除した値を評価値Eとして算出し、算出した評価値Eに基づいて、測定推奨スポットSrecを特定してもよい。
【0070】
評価値Eは、標準領域Sの面積が大きいほど、また、距離dが短いほど、大きな値となる。したがって、評価値Eに基づいて測定推奨スポットSrecを特定することにより(例えば評価値Eが最も大きい標準領域Sを測定推奨スポットSrecとして特定することにより)、圃場FD内で生育が安定し、かつ、畦畔から近い領域を測定推奨スポットSrecとして確実に特定することができる。これにより、ユーザは上記領域に進入して生育パラメータを迅速に測定することが確実に可能となる。
【0071】
なお、各標準領域Sの面積に基づいて測定推奨スポットSrecを特定する際に、各標準領域Sの縦横比を考慮して測定推奨スポットSrecとして特定してもよい。例えば、縦横比が1に最も近い標準領域Sを測定推奨スポットSrecとして特定してもよい。また、畦畔に近すぎる領域では、生育が不安定である可能性があるため、複数の標準領域Sのうち、畦畔に相当する画像縁部までの距離dが一定値以下である標準領域Sを除外し、残りの標準領域Sの中から測定推奨スポットSrecを特定してもよい。
【0072】
なお、得られた生育マップ(NDVI画像)を、必要に応じて草丈マップに変換して出力するようにしてもよい。NDVIと草丈とは相関関係があるが、作物および品種によって異なることは前述の通りである。例えば
図10は、ある作物PLのある品種についてのNDVIと草丈との相関関係を示すグラフである。圃場FDにおいてNDVIが異なる領域で作物PLの草丈を実測することにより、
図10に示す直線の式(y=ax+b)を求めることができる。上記直線が求まれば、
図6で示した生育マップを
図11に示す草丈マップに変換することができる。この場合、ユーザは、出力される草丈マップを見て、倒伏リスクを診断することも可能となる。同様の観点で、生育マップ(NDVI画像)を、葉色マップや茎数マップに変換して出力するようにしてもよい。
【0073】
なお、
図7の表示部32では、生育マップとして、複数の標準領域およびその中で生育パラメータの測定を推奨するスポットを表示させるようにしているが、NDVIの値が標準よりも大きい複数の高生育領域の中から(例えば高生育領域の面積に基づいて)生育パラメータの測定を推奨する領域を選択して表示させたり、NDVIの値が標準よりも小さい複数の低生育領域の中から(例えば低生育領域の面積に基づいて)生育パラメータの測定を推奨する領域を選択して表示させるようにしてもよい。この場合、ユーザは、圃場FD内で対応する領域に進入して生育パラメータを測定し、その実測値を入力することで、情報提供装置30では、生育マップを、
図10に示すような草丈マップに変換したり、葉色マップや茎数マップに変換することも可能である。
【0074】
〔5.プログラムおよび記録媒体〕
以上で説明した情報提供装置30は、例えば、所定のプログラム(アプリケーションソフトウェア)をインストールしたコンピュータ(PC)で構成することができる。上記プログラムをコンピュータ(例えば制御部35)が読み取って実行することにより、情報提供装置30の各部を動作させて上述した各処理(各工程)を実行させることができる。このようなプログラムは、例えばネットワークを介して外部からダウンロードすることによって取得されて記憶部34(例えば主記憶部34a)に記憶される。また、上記プログラムは、例えばCD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory)などのコンピュータ読取可能な記録媒体に記録され、この記録媒体から上記プログラムをコンピュータが読み取って記憶部34に記憶する形態であってもよい。
【0075】
〔6.補足〕
以上で説明した測定推奨スポット提示方法、倒伏リスク診断方法、プログラム、情報提供装置および情報提供システムは、以下のように表現することもできる。
【0076】
1.圃場内で栽培される作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定推奨スポット提示方法であって、
前記圃場を上空から撮影して取得された圃場画像のデータに基づいて、前記作物の生育度を示す生育指標を、前記圃場画像の各画素ごとに求める生育指標算出工程と、
前記各画素ごとの前記生育指標に基づいて、前記生育指標が標準の範囲内にある標準領域を複数特定する標準領域特定工程と、
少なくとも前記複数の標準領域のそれぞれの面積に基づいて、前記複数の標準領域のいずれかを前記測定推奨スポットとして特定する測定推奨スポット特定工程と、
特定した前記測定推奨スポットを示す情報を出力する情報出力工程とを含むことを特徴とする測定推奨スポット提示方法。
【0077】
2.前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の標準領域の中で最も面積の大きい標準領域を、前記測定推奨スポットとして特定することを特徴とする前記1に記載の測定推奨スポット提示方法。
【0078】
3.前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成工程をさらに含み、
前記標準領域特定工程では、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより、前記複数の標準領域を特定し、
前記測定推奨スポット特定工程では、前記生育マップの前記複数の区域の中で画素数が最も多い区域を特定することにより、前記最も面積の大きい標準領域を特定することを特徴とする前記2に記載の測定推奨スポット提示方法。
【0079】
4.前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の標準領域のそれぞれの前記面積と、前記各標準領域の中心から前記圃場の畦畔に相当する画像縁部までの距離とに基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする前記1に記載の測定推奨スポット提示方法。
【0080】
5.前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の標準領域のそれぞれについて、前記標準領域の面積を前記距離で除した評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする前記4に記載の測定推奨スポット提示方法。
【0081】
6.前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成工程をさらに含み、
前記標準領域特定工程では、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより、前記複数の標準領域を特定し、
前記測定推奨スポット特定工程では、前記複数の区域のそれぞれの画素数を、前記各区域の中心から前記生育マップの縁部までの画素数で除した値を前記評価値として算出し、前記評価値に基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする前記5に記載の測定推奨スポット提示方法。
【0082】
7.前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成工程をさらに含み、
前記標準領域特定工程では、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域と前記圃場画像で対応する領域を、前記複数の標準領域として特定することを特徴とする前記1に記載の測定推奨スポット提示方法。
【0083】
8.前記情報出力工程では、前記測定推奨スポットを示す情報を、前記測定推奨スポットを特定した情報提供装置とは異なる端末装置に送信することを特徴とする前記1から7のいずれかに記載の測定推奨スポット提示方法。
【0084】
9.前記情報出力工程では、前記測定推奨スポットを示す情報を、前記測定推奨スポットを特定した情報提供装置の表示部に表示することを特徴とする前記1から8のいずれかに記載の測定推奨スポット提示方法。
【0085】
10.前記1から9のいずれかに記載の測定推奨スポット提示方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0086】
11.前記10に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体。
【0087】
12.前記1から9のいずれかに記載の測定推奨スポット提示方法を含む倒伏リスク診断方法であって、
前記圃場の前記測定推奨スポットで実際に測定された前記生育パラメータが入力されたときに、前記作物についての生育パラメータと倒伏リスクとの関係を示すテーブルに基づいて、前記作物の倒伏リスクを診断する倒伏リスク診断工程を含むことを特徴とする倒伏リスク診断方法。
【0088】
13.前記生育パラメータは、前記作物の草丈を含むことを特徴とする前記12に記載の倒伏リスク診断方法。
【0089】
14.前記生育パラメータは、前記作物の葉色および茎数の少なくとも一方をさらに含むことを特徴とする前記13に記載の倒伏リスク診断方法。
【0090】
15.前記12から14のいずれかに記載の倒伏リスク診断方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0091】
16.前記15に記載のプログラムを記録した、コンピュータ読取可能な記録媒体。
【0092】
17.圃場を上空から撮影して取得された圃場画像のデータに基づいて、前記圃場内で栽培される作物の生育度を示す生育指標を、前記圃場画像の各画素ごとに求める生育指標算出部と、
前記各画素ごとの前記生育指標に基づいて、前記生育指標が標準の範囲内にある標準領域を複数特定する標準領域特定部と、
少なくとも前記複数の標準領域のそれぞれの面積に基づいて、前記複数の標準領域のいずれかを、前記作物の倒伏リスク診断に用いる生育パラメータの測定を推奨する測定推奨スポットとして特定する測定推奨スポット特定部と、
特定した前記測定推奨スポットを示す情報を出力する情報出力部とを備えていることを特徴とする情報提供装置。
【0093】
18.前記測定推奨スポット特定部は、前記複数の標準領域の中で最も面積の大きい標準領域を、前記測定推奨スポットとして特定することを特徴とする前記17に記載の情報提供装置。
【0094】
19.前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成部をさらに含み、
前記標準領域特定部は、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより、前記複数の標準領域を特定し、
前記測定推奨スポット特定部は、前記生育マップの前記複数の区域の中で画素数が最も多い区域を特定することにより、前記最も面積の大きい標準領域を特定することを特徴とする前記18に記載の情報提供装置。
【0095】
20.前記測定推奨スポット特定部は、前記複数の標準領域のそれぞれの前記面積と、前記各標準領域から前記圃場の畦畔に相当する画像縁部までの距離とに基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする前記17に記載の情報提供装置。
【0096】
21.前記測定推奨スポット特定部は、前記複数の標準領域のそれぞれについて、前記標準領域の面積を前記距離で除した評価値を算出し、算出した前記評価値に基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする前記20に記載の情報提供装置。
【0097】
22.前記圃場画像を、前記各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成部をさらに含み、
前記標準領域特定部は、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域を特定することにより、前記複数の標準領域を特定し、
前記測定推奨スポット特定部は、前記複数の区域のそれぞれの画素数を、前記各区域の中心から前記生育マップの縁部までの画素数で除した値を前記評価値として算出し、前記評価値に基づいて、前記測定推奨スポットを特定することを特徴とする前記21に記載の情報提供装置。
【0098】
23.前記撮影画像を各画素の前記生育指標の値に応じて複数の区域に分割することにより、前記圃場の生育マップを作成する生育マップ作成部をさらに含み、
前記標準領域特定部は、前記生育マップにおいて前記生育指標が標準の範囲内にある複数の区域と前記圃場画像で対応する領域を、前記複数の標準領域として特定することを特徴とする前記17に記載の情報提供装置。
【0099】
24.前記情報出力部は、前記測定推奨スポットを示す情報を外部の端末装置に送信する通信部を含むことを特徴とする前記17から23のいずれかに記載の情報提供装置。
【0100】
25.前記情報出力部は、前記測定推奨スポットを示す情報を表示する表示部を含むことを特徴とする前記17から24のいずれかに記載の情報提供装置。
【0101】
26.前記作物についての生育パラメータと倒伏リスクとの関係を示す倒伏リスク診断テーブルを予め記憶する倒伏リスク診断テーブル記憶部と、
外部からの情報の入力を受け付ける情報入力部と、
前記情報入力部にて、前記圃場の前記測定推奨スポットで実際に測定された前記生育パラメータの入力を受け付けたときに、前記テーブルに基づいて、前記作物の倒伏リスクを診断する倒伏リスク診断部とをさらに備えていることを特徴とする前記17から25のいずれかに記載の情報提供装置。
【0102】
27.前記17から26のいずれかに記載の情報提供装置と、
前記情報提供装置に前記撮像画像のデータを出力する撮像装置と、
前記撮像装置を保持して前記圃場の上空を飛行する飛行体とを含むことを特徴とする情報提供システム。
【0103】
28.上記情報提供装置から送信される前記測定対象スポットの情報を受信する端末装置をさらに含むことを特徴とする前記27に記載の情報提供システム。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、圃場内で栽培される作物の倒伏リスク診断に利用可能である。
【符号の説明】
【0106】
30 情報提供装置
31 操作部(情報入力部)
32 表示部(情報出力部)
33 通信部(情報入力部、情報出力部)
34c 倒伏リスク診断テーブル記憶部
35b 生育指標算出部
35c 生育マップ作成部
35d 標準領域特定部
35e 測定推奨スポット特定部
35f 倒伏リスク診断部
40 端末装置
FD 圃場