(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】移載装置
(51)【国際特許分類】
B65G 1/04 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
B65G1/04 507
B65G1/04 511
B65G1/04 515
(21)【出願番号】P 2019066947
(22)【出願日】2019-03-29
【審査請求日】2021-02-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 孝
(72)【発明者】
【氏名】塚本 邦博
(72)【発明者】
【氏名】江本 旭
【審査官】内山 隆史
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-144509(JP,A)
【文献】特開2019-043726(JP,A)
【文献】特開昭51-083379(JP,A)
【文献】特開2000-185806(JP,A)
【文献】特開2017-007786(JP,A)
【文献】特開平09-012105(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品が収容される収容部との間で対象物品を移載するための移載装置であって、
前記対象物品が載置される載置部と、
前記収容部の奥行方向に沿って前記対象物品を移動させて前記収容部と前記載置部との間で前記対象物品を移載する移載部と、を備え、
前記奥行方向に対して水平面内で直交する方向を幅方向として、
前記移載部は、
前記載置部に載置された前記対象物品に対して前記幅方向の両側に配置されていると共に前記奥行方向に出退する一対のサイドアームを有し、一対の前記サイドアームによって前記対象物品を保持して前記対象物品を前記奥行方向に沿って移動させる第1移載装置と、
前記対象物品における前記載置部に載置されている部分を前記奥行方向に沿って移動させる第2移載装置と、を備え、
前記第1移載装置によって前記対象物品を移動させる距離である第1移載距離が、前記載置部と前記収容部との間で前記対象物品を前記奥行方向に沿って移動させる距離である総移載距離よりも短く、
前記奥行方向における前記収容部から前記載置部に向かう側を奥行方向手前側とし、前記奥行方向における前記載置部から前記収容部に向かう側を奥行方向奥側として、
前記移載部は第3移載装置を更に備え、
前記第3移載装置は、前記対象物品を前記奥行方向手前側から押圧する押圧アームを有し、前記押圧アームによって前記対象物品を前記奥行方向奥側に向けて移動させるように構成され、
前記押圧アームは、前記移載部による前記対象物品の移動軌跡と重複する位置に突出した突出状態と、前記移動軌跡と重複しない位置に退避した退避状態とに状態変更自在に構成され、
前記第3移載装置による前記押圧アームの前記奥行方向奥側への移動距離である第3移載距離が前記総移載距離よりも短く、
前記移載部は、前記総移載距離に対する前記第1移載距離の不足分の前記対象物品の移動に前記第2移載装置を用い
て、前記対象物品を前記収容部から前記載置部に移動させて前記対象物品を受け取る受取動作を行い、
前記移載部は、前記受取動作を行う場合、
前記第1移載装置により、前記対象物品を前記収容部から前記載置部の側に向けて前記第1移載距離分移動させた後、一対の前記サイドアームによる前記対象物品の保持を解除し、前記第2移載装置により、前記対象物品を前記載置部まで移動させ、
前記移載部は、前記第2移載装置と前記第3移載装置とを用いて、前記対象物品を前記載置部から前記収容部に移動させて前記対象物品を引き渡す引渡動作を行い、
前記移載部は、前記引渡動作を行う場合、
前記第2移載装置により、前記対象物品を、前記載置部から前記奥行方向奥側に向けて、前記総移載距離と前記第3移載距離との差よりも長い第2移載距離分移動させた後、前記対象物品が前記押圧アームよりも前記奥行方向奥側に位置する状態で、前記押圧アームを前記退避状態から前記突出状態とし、前記突出状態の前記押圧アームを前記奥行方向奥側に移動させることで前記対象物品を前記収容部まで移動させる、移載装置。
【請求項2】
前記移載部は、前記引渡動作の実行前に、一対の前記サイドアームによって、前記載置部に載置されている前記対象物品を前記幅方向の中央側に寄せる動作を行う、請求項1に記載の移載装置。
【請求項3】
前記第2移載装置は、前記幅方向に離間して配置された一対のベルトコンベヤを備え、
前記第3移載装置は、前記押圧アームを前記奥行方向に沿う軸心周りに回転自在に支持するベースを更に備え、
前記ベースは、一対の前記ベルトコンベヤの前記幅方向の間であって、一対の前記ベルトコンベヤの上面よりも下方に設けられ、
前記押圧アームは、前記ベースにおける前記奥行方向の端部において、前記幅方向に離間して一対設けられ、
一対の前記押圧アームの回転軸心が、前記幅方向に離間して配置され、
一対の前記押圧アームのそれぞれは、前記退避状態となる場合に、互いに接近する側に倒れ込むように回転し、前記突出状態となる場合に、互いに離間する側に立ち上がるように回転する、請求項1又は2に記載の移載装置。
【請求項4】
前記対象物品における前記幅方向の両側のそれぞれを向く面を側面部として、
一対の前記サイドアームのそれぞれは、前記幅方向において互いに対向する側に突出するように形成された係止部を備え、
前記第1移載装置は、一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに接近させて前記係止部を前記対象物品の前記側面部に設けられた被係止部に係止させることで、前記対象物品の保持を行い、一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに離間させて前記係止部を前記被係止部から外すことで、前記対象物品の保持の解除を行う、請求項1
から3のいずれか一項に記載の移載装置。
【請求項5】
前記第1移載装置は、一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに接近させることで、前記対象物品を前記幅方向の両側から挟んで保持するように構成され、
前記第1移載装置は、一対の前記サイドアームにより前記対象物品を挟んでいる状態での挟み荷重を検知する荷重検知部を更に備え、
前記移載部は、一対の前記サイドアームにより前記対象物品を保持する場合に、前記荷重検知部により検知される前記挟み荷重が規定値以上になるまで一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに接近させ、前記挟み荷重が規定値以上になったら一対の前記サイドアームを前記幅方向に規定距離分互いに離間させた後、一対の前記サイドアームの前記幅方向の移動を停止させる、請求項1から
4のいずれか一項に記載の移載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品が収容される収容部との間で対象物品を移載するための移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような移載装置の一例が、特開2004-203528号公報(特許文献1)に開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に付す符号は、特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、スタッカクレーン(12)に備えられた荷移載装置(30)によって、自動倉庫(10)に設けられた複数の収容部(15)との間で物品(トレイ20)の移載を行っている。荷移載装置(30)は、物品(20)を幅方向の両側から保持すると共に収容部(15)に向かって進退させる一対のサイドアーム(進退機構71)を備えている。荷移載装置(30)は、一対のサイドアーム(71)によって、収容部(15)との間で物品(20)を移載するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、一対のサイドアーム(71)のそれぞれが、幅方向に重ねて配置されるロアプレート(52)、アッパプレート(70)、ミドルプレート(72)、及びこれらを進退方向に摺動自在に連結する2つのリニアガイド(73,74)を含んで構成されていることから、当該サイドアーム(71)の幅方向の寸法が大型化し易くなっていた。その結果、特許文献1に記載された技術では、一対のサイドアーム(71)を含んで構成される荷移載装置(30)の幅方向の寸法が大型化し易いものとなっていた。
【0006】
また、特許文献1に記載された技術では、上記のように構成された一対のサイドアーム(71)が、幅方向の両側から物品(20)を保持した状態でこれを収容部(15)に移載することから、移載中のサイドアーム(71)が、移載先の収容部(15)に対して幅方向に隣接する収容部(15)に収容された他の物品(20)に接触しないように、幅方向に隣接する複数の収容部(15)同士の配置間隔を広く設定する必要があった。その結果、特許文献1に記載された技術では、自動倉庫(10)内における物品(20)が収容されないデッドスペースが大きくなり易く、収容効率を高めるために改善の余地があった。
【0007】
上記実状に鑑みて、幅方向の寸法の小型化を図ることが可能であると共に、物品が収容される収容場所の収容効率を高めることが可能な移載装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る移載装置は、
物品が収容される収容部との間で対象物品を移載するための移載装置であって、
前記対象物品が載置される載置部と、
前記収容部の奥行方向に沿って前記対象物品を移動させて前記収容部と前記載置部との間で前記対象物品を移載する移載部と、を備え、
前記奥行方向に対して水平面内で直交する方向を幅方向として、
前記移載部は、
前記載置部に載置された前記対象物品に対して前記幅方向の両側に配置されていると共に前記奥行方向に出退する一対のサイドアームを有し、一対の前記サイドアームによって前記対象物品を保持して前記対象物品を前記奥行方向に沿って移動させる第1移載装置と、
前記対象物品における前記載置部に載置されている部分を前記奥行方向に沿って移動させる第2移載装置と、を備え、
前記第1移載装置によって前記対象物品を移動させる距離である第1移載距離が、前記載置部と前記収容部との間で前記対象物品を前記奥行方向に沿って移動させる距離である総移載距離よりも短く、
前記奥行方向における前記収容部から前記載置部に向かう側を奥行方向手前側とし、前記奥行方向における前記載置部から前記収容部に向かう側を奥行方向奥側として、
前記移載部は第3移載装置を更に備え、
前記第3移載装置は、前記対象物品を前記奥行方向手前側から押圧する押圧アームを有し、前記押圧アームによって前記対象物品を前記奥行方向奥側に向けて移動させるように構成され、
前記押圧アームは、前記移載部による前記対象物品の移動軌跡と重複する位置に突出した突出状態と、前記移動軌跡と重複しない位置に退避した退避状態とに状態変更自在に構成され、
前記第3移載装置による前記押圧アームの前記奥行方向奥側への移動距離である第3移載距離が前記総移載距離よりも短く、
前記移載部は、前記総移載距離に対する前記第1移載距離の不足分の前記対象物品の移動に前記第2移載装置を用いて、前記対象物品を前記収容部から前記載置部に移動させて前記対象物品を受け取る受取動作を行い、
前記移載部は、前記受取動作を行う場合、
前記第1移載装置により、前記対象物品を前記収容部から前記載置部の側に向けて前記第1移載距離分移動させた後、一対の前記サイドアームによる前記対象物品の保持を解除し、前記第2移載装置により、前記対象物品を前記載置部まで移動させ、
前記移載部は、前記第2移載装置と前記第3移載装置とを用いて、前記対象物品を前記載置部から前記収容部に移動させて前記対象物品を引き渡す引渡動作を行い、
前記移載部は、前記引渡動作を行う場合、
前記第2移載装置により、前記対象物品を、前記載置部から前記奥行方向奥側に向けて、前記総移載距離と前記第3移載距離との差よりも長い第2移載距離分移動させた後、前記対象物品が前記押圧アームよりも前記奥行方向奥側に位置する状態で、前記押圧アームを前記退避状態から前記突出状態とし、前記突出状態の前記押圧アームを前記奥行方向奥側に移動させることで前記対象物品を前記収容部まで移動させる。
【0009】
本構成によれば、第1移載装置によって対象物品を移動させる第1移載距離が、載置部と収容部との間で対象物品を移動させる距離である総移載距離よりも短く設定されているため、第1移載装置のサイドアームの奥行方向の出退量を小さくすることができる。そのため、サイドアームの奥行方向の寸法を小型化できると共に、奥行方向に突出した状態でのサイドアームの強度の確保も容易となる。従って、本構成によれば、第1移載装置の一対のサイドアームのそれぞれについて、必要な強度を確保しつつ幅方向の寸法を小さくすることが可能となる。その結果、移載装置全体として幅方向の小型化を図ることが可能となる。
また、物品が収容される収容部が幅方向に複数並ぶ場合には、出退するサイドアームと物品とが接触しないように、当該複数の収容部の幅方向の配置間隔を設定する必要がある。本構成によれば、サイドアームの幅方向の寸法を小さくすることができるため、複数の収容部の幅方向の配置間隔を小さくすることが可能となり、複数の収容部を備える収容場所の収容効率を高めることが容易となる。
【0010】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
本実施形態に係る移載装置について図面を参照して説明する。例えば
図1及び
図2に示すように、移載装置13は、複数の物品9を収容する物品収容設備100において、搬送(移載)の対象とされる対象物品90の搬送を行う物品搬送装置1に適用される。
【0013】
〔物品収容設備の概略構成〕
まず、物品収容設備100の概略構成について説明する。
【0014】
図1及び
図2に示すように、物品収容設備100は、物品9を搬送する物品搬送装置1と、複数の物品9が収容される物品収容棚2と、を備えている。図示の例では、1つの物品搬送装置1を挟んで、一対の物品収容棚2が設けられている。
【0015】
物品収容棚2は、複数の収容部Aを備えている。複数の収容部Aのそれぞれは、物品9を収容可能に構成されている。本実施形態では、複数の収容部Aは、上下方向および幅方向Wに沿って並んで配置されている。
【0016】
物品搬送装置1は、対象物品90が載置される載置部132を備えて当該対象物品90を載置部132と収容部Aとの間で移載する移載装置13を備えている。物品搬送装置1は、物品収容棚2に備えられた複数の収容部Aのそれぞれに対して対向する位置(移載位置)に移載装置13を移動可能に構成されている。そして、物品搬送装置1は、各収容部Aに対応する移載位置に移載装置13を配置させた状態で、当該移載装置13による対象物品90の移載動作を行うように構成されている。本実施形態では、物品搬送装置1は、上下方向および幅方向Wに沿って移載装置13を移動させることが可能に構成されている。これにより物品搬送装置1は、移載装置13によって、物品収容棚2に備えられた複数の収容部Aの中から選択される任意の収容部Aとの間で対象物品90の移載が可能となっている。
【0017】
以下の説明では、収容部Aに対して対象物品90が移載装置13により移動される方向を奥行方向Lとし、奥行方向Lに対して水平面内で直交する方向を幅方向Wとする。そして、奥行方向Lにおける収容部Aから載置部132に向かう側を奥行方向手前側L1とし、奥行方向Lにおける載置部132から収容部Aに向かう側を奥行方向奥側L2とする。なお、本明細書では、各部材についての寸法、配置方向、配置位置等に関する用語は、誤差(製造上許容され得る程度の誤差)による差異を有する状態をも含む概念として用いるものとする。
【0018】
〔物品収容棚〕
次に、物品収容棚2の構成について説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、物品収容棚2は、上下方向に沿って延在する複数の柱部材Pと、幅方向Wに沿って延在する複数の梁部材Bと、物品9が収容される複数の収容部Aと、を備えている。
【0020】
複数の柱部材Pは、奥行方向Lおよび幅方向Wに間隔を空けて規則的に並んで配置されている。また、複数の梁部材Bのそれぞれは、奥行方向Lおよび上下方向に間隔を空けて並んで配置されており、幅方向Wに並んで配置される複数の柱部材Pを連結している。
【0021】
本実施形態では、収容部Aは、梁部材Bに支持された載置部材Aaを備えている。載置部材Aaには、物品9が載置される。物品9は、載置部材Aaに載置された状態で収容部Aに収容される。本例では、1つの収容部Aは、幅方向Wに並ぶ一対の載置部材Aaを備えている。図示の例では、載置部材Aaは、主面が上下方向を向くと共に奥行方向Lに沿って延びる一定幅の板状部材により構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、例えば、1つの収容部Aに1枚の板状部材で構成された載置部材Aaが設けられていても良く、或いは、複数本の棒状部材で構成された載置部材Aaが設けられていても良い。
【0022】
なお、
図1に示す例では、上記のような構成の物品収容棚2が一対、物品搬送装置1を挟んで奥行方向Lの両側に分かれて配置されている。但し、このような例に限定されることなく、物品収容設備100における物品搬送装置1の設置数および物品収容棚2の設置数、並びに、物品搬送装置1と物品収容棚2との配置構成は任意に設定することができる。
【0023】
〔物品搬送装置〕
次に、物品搬送装置1の構成について説明する。
【0024】
図1及び
図2に示すように、物品搬送装置1は、物品9のうち搬送(移載)の対象とされる対象物品90を、物品収容設備100の内部において搬送する装置である。物品搬送装置1は、収容部Aとの間で対象物品90を移載するための移載装置13を備えている。
【0025】
図1に示すように、本実施形態では、物品搬送装置1は、幅方向Wに沿って設けられた走行レールRを走行する走行部Dと、走行部Dに設けられて上下方向に沿って延在するマストHと、を備えている。上述の移載装置13は、マストHに沿って昇降自在に設けられている。本実施形態では、物品搬送装置1は、上下方向および水平方向(本例では幅方向W)の双方に沿って対象物品90を搬送可能ないわゆるスタッカークレーンとして構成されている。なお本例では、物品搬送装置1は、1本のマストHによって移載装置13を昇降するように構成されたモノマスト式のスタッカークレーンとして構成されている。
【0026】
走行部Dは、走行駆動部MD(走行モータ)によって駆動されて走行レールRを走行する。移載装置13は、昇降駆動部MH(昇降モータ)によって駆動されてマストHに沿って昇降する。このような構成により、移載装置13は、上下方向および幅方向Wに移動自在となっており、物品収容棚2に備えられた複数の収容部Aに対応する移載位置に移動可能となっている。
【0027】
〔移載装置〕
次に、移載装置13の構成について詳細に説明する。
【0028】
移載装置13は、物品9が収容される収容部Aとの間で対象物品90を移載するための装置である。ここで、移載装置13が移載対象とする対象物品90は、物品9のうち、例えば物品収容設備100を管理する上位の制御装置(不図示)からの搬送指令において指定されたものである。本実施形態では、物品9は、商品等を収納する箱状の物品である。より具体的には、物品9は、樹脂製の容器、例えば、コンテナ又は折り畳み自在ないわゆる折り畳みコンテナ等とされる。
【0029】
図1及び
図2に示すように、本例では、物品9(対象物品90)における奥行方向手前側L1を向く面を第1面部91とし、奥行方向奥側L2を向く面を第2面部92としている。そして、物品9(対象物品90)における幅方向Wの両側のそれぞれを向く面を側面部93とし、下方を向く面を底面部94としている。物品9の上面には、商品等の内容物を収納するための開口部(不図示)が設けられている。なお、上記では、説明の便宜上、奥行方向手前側L1及び奥行方向奥側L2と関連付けて第1面部91及び第2面部92を定義しているだけであり、物品9(対象物品90)が収容される方向によっては、第1面部91が奥行方向奥側L2を向く場合があり、第2面部92が奥行方向手前側L1を向く場合がある。一対の側面部93のそれぞれは、物品9(対象物品90)が収容される方向に応じて、幅方向Wのいずれか一方側を向く。
【0030】
一対の側面部93のそれぞれには、移載装置13による対象物品90の移載の際に利用される被係止部93aが設けられている。被係止部93aは、例えば、側面部93から幅方向Wに突出すると共に上下方向に沿って延在するリブ状に形成されている。本例では、一対の側面部93のそれぞれに、第1被係止部931aと第2被係止部932aとが、互いに奥行方向Lに離間して設けられている。第1被係止部931aは、第2被係止部932aよりも第1面部91に近い位置に配置されている。第2被係止部932aは、第1被係止部931aよりも第2面部92に近い位置に配置されている。本例では、
図2に示すように、奥行方向Lにおける第1面部91から第1被係止部931aまでの距離が、奥行方向Lにおける第2面部92から第2被係止部932aまでの距離よりも短くなるように、第1被係止部931aおよび第2被係止部932aが側面部93に配置されている。換言すれば、側面部93における奥行方向Lの中央部から第1被係止部931aまでの距離と、当該中央部から第2被係止部932aまでの距離とが異なっている。本実施形態に係る移載装置13は、上記のような物品9(対象物品90)を移載対象としている。
【0031】
図2及び
図3に示すように、移載装置13は、対象物品90が載置される載置部132と、収容部Aの奥行方向Lに沿って対象物品90を移動させて収容部Aと載置部132との間で対象物品90を移載する移載部Tと、を備えている。このような構成により、移載装置13は、複数の収容部Aを備えた物品収容棚2との間で対象物品90を移載可能に構成されている。本実施形態では、移載装置13は、物品搬送装置1を挟んで奥行方向Lの両側に配置された物品収容棚2(収容部A)のそれぞれに対して、対象物品90を移載可能に構成されている(
図1参照)。図示の例では、移載装置13は、マストHに支持されると共に当該マストHに対して昇降自在に支持された基台部131を備えている。そして、上述の載置部132及び移載部Tは、基台部131に支持されている。
【0032】
移載部Tは、少なくとも第1移載装置10Tと第2移載装置20Tとを備えている。更に、本例では、第3移載装置30Tを備えている。第1移載装置10Tと第2移載装置20Tと第3移載装置30Tとは、いずれも対象物品90を奥行方向Lに沿って移動させるように構成されていると共に、互いに異なる構造を有している。
図4に示すように、本実施形態では、移載部Tは、第1移載装置10T、第2移載装置20T、及び第3移載装置30Tの動作を制御する移載制御部TCを備えている。
【0033】
〔第1移載装置〕
図3~
図5に示すように、第1移載装置10Tは、載置部132に載置された対象物品90に対して幅方向Wの両側に配置されていると共に奥行方向Lに出退する一対のサイドアーム11を有し、一対のサイドアーム11によって対象物品90を保持して対象物品90を奥行方向Lに沿って移動させるように構成されている。本実施形態では、第1移載装置10Tは、サイドアーム11を奥行方向Lに摺動自在に支持する支持フレーム12を更に備えている。支持フレーム12は、基台部131に支持されて、幅方向Wに離間して一対設けられている(
図3参照)。
【0034】
本実施形態では、第1移載装置10Tは、一対のサイドアーム11を幅方向Wに互いに接近させることで、対象物品90を幅方向Wの両側から挟んで保持するように構成されている。また、第1移載装置10Tは、対象物品90を保持した状態から、一対のサイドアーム11を幅方向Wに互いに離間させることで、対象物品90に対する保持を解除するように構成されている。
【0035】
本実施形態では、第1移載装置10Tは、第1駆動部M10を備えている(
図4参照)。第1駆動部M10は、
図5に示すように、一対のサイドアーム11を奥行方向Lに沿って移動させる(出退させる)第1出退駆動部M11と、一対のサイドアーム11を幅方向Wに沿って移動させる(開閉させる)第1開閉駆動部M12と、を含んでいる。本実施形態では、第1出退駆動部M11は、支持フレーム12に対してサイドアーム11を奥行方向Lに相対移動させることにより、当該サイドアーム11を奥行方向Lに出退移動させる。第1開閉駆動部M12は、一対の支持フレーム12を基台部131(
図3参照)に対して幅方向Wに相対移動させることにより、一対の支持フレーム12によって支持される一対のサイドアーム11を幅方向Wに沿って開閉移動させる。第1出退駆動部M11及び第1開閉駆動部M12のそれぞれの駆動力源としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の電動機、或いは、空気圧や液圧を用いたシリンダ駆動機構等を用いることができる。
【0036】
本実施形態では、一対のサイドアーム11のそれぞれは、幅方向Wにおいて互いに対向する側に突出するように形成された係止部111を備えている。本例では、第1移載装置10Tは、一対のサイドアーム11を幅方向Wに互いに接近させて係止部111を対象物品90の側面部93に設けられた被係止部93a(
図2等参照)に係止させることで、対象物品90の保持を行い、一対のサイドアーム11を幅方向Wに互いに離間させて係止部111を被係止部93aから外すことで、対象物品90の保持の解除を行うように構成されている。より具体的には、一対のサイドアーム11は、収容部Aに収容された対象物品90に対して幅方向Wの外側に配置された状態で、幅方向Wの内側に移動して互いに接近することで、対象物品90における側面部93に接触又は近接した状態となる(
図8(a)参照)。その後、一対のサイドアーム11は、奥行方向手前側L1に移動することで、係止部111によって対象物品90の被係止部93aを係止する。これにより、第1移載装置10Tによって対象物品90が保持される。そしてこの状態から、一対のサイドアーム11が奥行方向手前側L1に更に移動することにより、対象物品90が奥行方向手前側L1に移動する(
図8(c)参照)。対象物品90の移動後、一対のサイドアーム11が、幅方向Wの外側に移動して係止部111が被係止部93aから離間することで、第1移載装置10Tによる対象物品90の保持が解除される。
【0037】
本実施形態では、サイドアーム11は、奥行方向Lに延在する本体部110を備えている。上述の係止部111は、本体部110から幅方向Wの内側、すなわち対をなす他方のサイドアーム11に向かう側に突出するように設けられている。本例では、係止部111は、本体部110における奥行方向Lの端部に配置されている。これにより、サイドアーム11の奥行方向Lの寸法を最大限に利用して、対象物品90を移載することが可能となっている。そのため、サイドアーム11の奥行方向Lの寸法の小型化を図ることができる。従って、サイドアーム11の強度を確保し易くなっている。また本例では、係止部111は、本体部110における奥行方向Lの両端部のそれぞれに配置されている。これにより、物品搬送装置1を挟んで奥行方向Lの両側に配置された物品収容棚2(収容部A)のそれぞれに対して対象物品90を移載可能となっている。本実施形態では、本体部110は、主面が幅方向Wを向く板状部材により構成されている。これにより、サイドアーム11の幅方向Wの小型化を図ることが可能となっており、その結果、移載装置13の幅方向Wの小型化を図ることができる。
【0038】
本実施形態では、第1移載装置10Tは、一対のサイドアーム11により対象物品90を挟んでいる状態での挟み荷重を検知する荷重検知部10Sを更に備えている。本例では、第1移載装置10Tは、荷重検知部10Sによる検知結果に基づいて、一対のサイドアーム11を幅方向Wの内側への移動量を制御するように構成されている。具体的には、以下のような制御を行う。すなわち、まず、一対のサイドアーム11の幅方向Wの間に対象物品90が配置された状態で、一対のサイドアーム11を、対象物品90の側面部93に接触するまで幅方向Wの内側に移動させる。一対のサイドアーム11が対象物品90に接触した状態から更に幅方向Wの内側に移動しようとすると、対象物品90を幅方向Wの両側から挟み込んだ状態となり、一対のサイドアーム11に挟み荷重が作用することになる。本実施形態では、荷重検知部10Sは、このような挟み荷重を、第1開閉駆動部M12(第1駆動部M10)が出力している駆動トルクにより検知するように構成されている。
【0039】
そして、第1開閉駆動部M12によって行う一対のサイドアーム11の駆動は、荷重検知部10Sによる検知結果に基づくトルク制御によって行われている。本例では、一対のサイドアーム11は、挟み荷重が規定値Vmax以上になるまで幅方向Wの内側に向けて駆動される。換言すると、一対のサイドアーム11の幅方向Wの内側への駆動は、挟み荷重が規定値Vmax以上になった時に停止される。サイドアーム11はある程度の弾性変形が許容される構造となっているため、一対のサイドアーム11が対象物品90を挟み込んで挟み荷重が規定値Vmax以上になった状態では、サイドアーム11は、幅方向Wの内側に向けて凸となるように撓んだ状態となる。そこで本例では、第1移載装置10Tは、挟み荷重が規定値Vmaxになった後、一対のサイドアーム11を幅方向Wに規定距離分互いに離間させて停止させる。これにより、対象物品90の幅方向Wの寸法に関係なく、対象物品90の側面部93と一対のサイドアーム11との位置関係を規定の状態にすることができる。従って、例えば、対象物品90の向きが都度異なる場合や、幅方向Wの寸法が異なる複数種類の物品が対象物品90とされる場合等であっても、それぞれの場合に応じて異なる制御を行う必要がなく、それぞれの対象物品90を一対のサイドアーム11によって適切に保持することが可能となっている。
【0040】
本実施形態では、規定距離は、サイドアーム11の撓み量を考慮して、一対のサイドアーム11の係止部111のそれぞれが対象物品90の側面部93から隙間を空けて離間する状態となる距離に設定される。この隙間は、被係止部93aの側面部93からの幅方向Wへの突出量よりも十分に小さく設定される。これにより、サイドアーム11を奥行方向Lに移動させて一対の係止部111を一対の被係止部93aに対して奥行方向Lに係止させることができると共に、当該サイドアーム11の移動中に係止部111と対象物品90の側面部93とが摺動することを抑制できる。なお、上述の規定値Vmaxは、サイドアーム11及び対象物品90の材質や強度等に基づいて適切な値に設定される。
【0041】
〔第2移載装置〕
図3、
図4、及び
図6に示すように、第2移載装置20Tは、対象物品90における載置部132に載置されている部分を奥行方向Lに沿って移動させるように構成されている。ここで、第2移載装置20Tは、対象物品90における載置部132に載置されている部分を移動させる構成であり、対象物品90における載置部132から奥行方向Lに突出した部分を移動させる構成ではない。すなわち、この第2移載装置20Tは、奥行方向Lにおける移載装置13の載置部132が設けられている範囲内で対象物品90に接触し、当該対象物品90を移動させる構成とされている。本実施形態では、第2移載装置20Tは、複数のプーリ21Bに巻回されたベルト21Aを有するベルトコンベヤ21を備えている。本例では、第2移載装置20Tは、幅方向Wに離間して配置された一対のベルトコンベヤ21を備えている。
【0042】
本実施形態では、第2移載装置20Tは、一対のベルトコンベヤ21により対象物品90を下方から支持するように構成されている。対象物品90は、移載装置13によって搬送(移載)されている状態において、一対のベルトコンベヤ21に載置される。従って本実施形態では、一対のベルトコンベヤ21が、対象物品90が載置される載置部132を構成している。つまり、移載装置13によって搬送中の対象物品90は、載置部132によって下方から支持される。なお、一対のベルトコンベヤ21の上面が、対象物品90が載置される面である載置面となる。
【0043】
本実施形態では、第2移載装置20Tは、第2駆動部M20を備えている(
図4及び
図6参照)。第2駆動部M20は、ベルトコンベヤ21を駆動する。第2駆動部M20は、
図6に示すように、ベルト21Aを巻回する複数のプーリ21Bのうち少なくとも1つを、正転方向又は逆転方向に回転駆動する。これにより、第2移載装置20Tは、一対のベルトコンベヤ21に載置された対象物品90を、奥行方向手前側L1及び奥行方向奥側L2に自在に移動させることができる。第2駆動部M20の駆動力源としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の電動機を用いることができる。
【0044】
〔第3移載装置〕
図3、
図4、及び
図7に示すように、第3移載装置30Tは、対象物品90を奥行方向手前側L1から押圧する押圧アーム31を有し、押圧アーム31によって対象物品90を奥行方向奥側L2に向けて移動させるように構成されている。本実施形態では、第3移載装置30Tは、押圧アーム31を支持するベース32を更に備えている。ベース32は、一対のベルトコンベヤ21の幅方向Wの間であって、一対のベルトコンベヤ21の上面よりも下方に設けられている(
図9参照)。本例では、移載装置13に対して奥行方向Lの両側に配置された一対の物品収容棚2(収容部A)に対応して(
図1参照)、ベース32における奥行方向Lの両端部のそれぞれに、押圧アーム31が支持されている。図示の例では、押圧アーム31は、ベース32における奥行方向Lの両端部のそれぞれにおいて、一対設けられている。
【0045】
本実施形態では、第3移載装置30Tは、押圧アーム31が対象物品90に対して奥行方向手前側L1にある状態から、押圧アーム31を奥行方向奥側L2に向けて移動させることで、一対のベルトコンベヤ21(載置部132)に載置された対象物品90の第1面部91(或いは第2面部92)を奥行方向奥側L2に向かって押圧するように構成されている。これにより、対象物品90が奥行方向奥側L2に移動する。本例では、第3移載装置30Tは、押圧アーム31を支持するベース32を基台部131(
図3参照)に対して奥行方向奥側L2に相対移動させることで、押圧アーム31を奥行方向奥側L2に移動させるように構成されている。なお、押圧アーム31によって対象物品90を奥行方向奥側L2に移動させた後は、第3移載装置30Tは、ベース32を基台部131(
図3参照)に対して奥行方向手前側L1に相対移動させることで、押圧アーム31を奥行方向手前側L1に移動させる。これにより第3移載装置30Tは、押圧アーム31を、対象物品90を押圧する前の基準位置に戻すことができる。
【0046】
本実施形態では、押圧アーム31は、移載部Tによる対象物品90の移動軌跡と重複する位置に突出した突出状態(
図7において仮想線で示す)と、移動軌跡と重複しない位置に退避した退避状態(
図7において実線で示す)とに状態変更自在に構成されている。本例では、押圧アーム31は、ベース32に対して、奥行方向Lに沿う軸心周りに回転自在に支持されており、この回転によって、突出状態と退避状態とに状態変更される。
【0047】
また本実施形態では、押圧アーム31は、当該押圧アーム31の回転軸心を基準とする径方向の外側部分に配置されて対象物品90を押圧する際に当該対象物品90に接触する押圧部31aを備えている。押圧部31aは、押圧アーム31の突出状態において、一対のベルトコンベヤ21(載置部132)の上面よりも上方に配置され(
図9(b)参照)、押圧アーム31の退避状態において、一対のベルトコンベヤ21(載置部132)の上面よりも下方に配置される(
図9(a)参照)。なお、押圧アーム31の退避状態では、押圧部31aを含む押圧アーム31の全体が、一対のベルトコンベヤ21(載置部132)の上面よりも下方に配置される。上記のような構成により、第3移載装置30Tによって対象物品90を移載する際には、押圧アーム31を突出状態とすることで、押圧部31aによって対象物品90の第1面部91(或いは第2面部92)を押圧して、当該対象物品90を適切に移動させることができる。また、第1移載装置10T又は第2移載装置20Tによる対象物品90の移動中には、押圧アーム31を、対象物品90の移動軌跡と重複しない退避状態とすることで、これらによる対象物品90の移動の妨げとならないようにすることができる。
【0048】
本実施形態では、第3移載装置30Tは、第3駆動部M30を備えている(
図4参照)。第3駆動部M30は、
図7に示すように、押圧アーム31を奥行方向Lに沿う軸心周りに回転させる第3回転駆動部M31と、ベース32を奥行方向Lに沿って移動させる(スライドさせる)第3スライド駆動部M32と、を含んでいる。本例では、第3回転駆動部M31は、奥行方向Lの一方側の一対の押圧アーム31と奥行方向Lの他方側の一対の押圧アーム31とを独立して駆動できるように、それぞれの押圧アーム31の組ごとに設けられている。なお、各組の一対の押圧アーム31はギヤ機構等によって同期して回転する構成とされていると好適である。第3回転駆動部M31の駆動力源としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の電動機を用いることができる。第3スライド駆動部M32は、ベース32を基台部131(
図3参照)に対して奥行方向Lに相対的にスライド移動させる。第3スライド駆動部M32の駆動力源としては、例えば、サーボモータやステッピングモータ等の電動機、或いは、空気圧や液圧を用いたシリンダ駆動機構等を用いることができる。
【0049】
本実施形態では、第3移載装置30Tは、載置部132又は第3移載装置30Tに対する対象物品90の位置を検知する位置検知部30Sを更に備えている。ここでは、位置検知部30Sは、押圧アーム31に対する対象物品90の位置を検知する。そして、第3移載装置30Tは、位置検知部30Sによる検知結果に基づいて、押圧アーム31を突出状態に状態変更させるように構成されている。詳細には、第3移載装置30Tの第3回転駆動部M31が、位置検知部30Sによる検知結果に基づいて、押圧アーム31を回転駆動する。例えば、載置部132(一対のベルトコンベヤ21)に載置された対象物品90が押圧アーム31と平面視で重複する位置にある状態で、押圧アーム31を突出状態とした場合には、当該押圧アーム31と対象物品90とが接触することになる。そこで、位置検知部30Sは、載置部132に載置された対象物品90が平面視で押圧アーム31と重複しているか否か、より詳細には、当該対象物品90が押圧アーム31よりも奥行方向奥側L2に位置しているか否かを検知する。第3移載装置30Tは、このことが位置検知部30Sによって検知された場合に限り、押圧アーム31を突出状態とする。なお、位置検知部30Sは、例えば光センサによって構成し、対象物品90が光軸を遮断した状態と遮断しない状態とに応じて対象物品90の位置を検知する構成とすることができる。なお、このような構成に限定されることなく、位置検知部30Sは、公知の各種センサにより構成することができる。
【0050】
〔移載部の動作〕
次に、移載部Tが対象物品90を移載する際の動作について説明する。移載部Tは、上述した第1移載装置10Tと第2移載装置20Tと第3移載装置30Tとを用いて、対象物品90の移載を行う。なお、第1移載装置10T、第2移載装置20T、及び第3移載装置30Tの動作は、移載部Tが備える移載制御部TC(
図4参照)によって制御される。
【0051】
移載部Tは、収容部Aから対象物品90を受け取る受取動作と、収容部Aに対象物品90を引き渡す引渡動作と、を行うように構成されている。そして、本実施形態では、受取動作を第1移載装置10Tと第2移載装置20Tとを用いて行い、引渡動作を第2移載装置20Tと第3移載装置30Tとを用いて行う。
図8は受取動作の説明図であり、
図9は引渡動作の説明図である。以下、
図8に基づいて移載部Tによる受取動作について説明し、
図9に基づいて移載部Tによる引渡動作について説明する。
【0052】
〔受取動作〕
受取動作を行う場合、移載部Tは、
図8(a)に示すように、まず一対のサイドアーム11を、収容部Aに収容されている対象物品90に対して幅方向Wの両側に配置させる。このとき、移載部Tは、サイドアーム11における係止部111が、対象物品90の被係止部93a(ここでは第1被係止部931a)よりも奥行方向奥側L2に位置するように、一対のサイドアーム11を奥行方向奥側L2に突出させている。そしてこの状態から、移載部Tは、一対のサイドアーム11を幅方向Wに互いに接近させる。これにより、サイドアーム11における係止部111が対象物品90の側面部93に接触して、対象物品90が挟持された(保持された)状態となる。
【0053】
ここで、
図8(b)に示すように、移載部Tは、一対のサイドアーム11により対象物品90を保持する場合に、荷重検知部10S(
図4参照)により検知される挟み荷重が規定値Vmax以上になるまで一対のサイドアーム11を幅方向Wに互いに接近させ、挟み荷重が規定値Vmax以上になったら一対のサイドアーム11を幅方向Wに規定距離分互いに離間させた後、一対のサイドアーム11の幅方向Wの移動を停止させる。これにより、上記のとおり、一対のサイドアーム11と対象物品90の側面部93との位置関係を規定の状態とする。そして、この状態から、移載部Tは、一対のサイドアーム11を奥行方向手前側L1に移動させることで、一対のサイドアーム11のそれぞれに設けられた係止部111によって側面部93の第1被係止部931aを奥行方向奥側L2から係止する。
【0054】
次に、
図8(c)に示すように、移載部Tは、一対の係止部111のそれぞれが第1被係止部931aを係止した状態で、一対のサイドアーム11を奥行方向手前側L1に向けて第1移載距離D1分移動させる。ここで、この第1移載装置10Tによって対象物品90を移動させる距離である第1移載距離D1が、載置部132と収容部Aとの間で対象物品90を奥行方向Lに沿って移動させる距離である総移載距離よりも短く設定されている。そのため、第1移載装置10Tによって対象物品90を第1移載距離D1分移動させるのみでは、
図8(c)に示すように、対象物品90の一部が載置部132から奥行方向奥側L2にはみ出した状態となり、対象物品90の全体が載置部132に完全に載置された状態とはならない。そこで、移載部Tは、総移載距離に対する第1移載距離D1の不足分の対象物品90の移動に第2移載装置20Tを用いる。
【0055】
すなわち、
図8(d)に示すように、移載部Tは、受取動作を行う場合、第1移載装置10Tによって、対象物品90を奥行方向手前側L1に向けて第1移載距離D1分移動させた後、第2移載装置20Tによって、対象物品90を更に奥行方向手前側L1に向けて総移載距離から第1移載距離D1を差し引いた残距離D2´分移動させる。この残距離D2´は、受取動作において第2移載装置20Tによって対象物品90を移動させる距離であり、後述する引渡動作において第2移載装置20Tが対象物品90を移動させる距離である第2移載距離D2とは同じ距離であっても異なる距離であってもよい。また本例では、第2移載装置20Tによる対象物品90の移動中に一対のサイドアーム11が対象物品90に干渉することを避けるため、第2移載装置20Tによる対象物品90の移動を開始する前に、第1移載装置10Tの一対のサイドアーム11による対象物品90の保持を解除する。すなわち、移載部Tは、受取動作を行う場合、第1移載装置10Tにより、対象物品90を収容部Aから載置部132の側(奥行方向手前側L1)に向けて第1移載距離D1分移動させた後、一対のサイドアーム11による対象物品90の保持を解除し、第2移載装置20Tにより、対象物品90を載置部132まで移動させる。以上により、対象物品90の全体が載置部132に載置された状態となり、受取動作が完了する。
【0056】
このように、上記の構成によれば、第1移載装置10Tによって対象物品90を移動させる第1移載距離D1が、載置部132と収容部Aとの間で対象物品90を移動させる距離である総移載距離よりも短く設定されているため、第1移載装置10Tのサイドアーム11の奥行方向Lの出退量を小さくすることができる。そのため、サイドアーム11の奥行方向Lの寸法を小型化できると共に、奥行方向Lに突出した状態でのサイドアーム11の強度の確保も容易となる。従って、第1移載装置10Tの一対のサイドアーム11のそれぞれについて、必要な強度を確保しつつ幅方向Wの寸法を小さくすることが可能となり、その結果、移載装置13全体として幅方向Wの小型化を図ることが可能となっている。
【0057】
また、上記の構成によれば、サイドアーム11の幅方向Wの寸法を小さくすることができるため、複数の収容部Aの幅方向Wの配置間隔を小さくすることが可能となり、複数の収容部Aを備える物品収容棚2(
図1等参照)の収容効率を高めることが容易となっている。
【0058】
〔引渡動作〕
図9に示すように、本実施形態では、移載部Tは、第2移載装置20Tと第3移載装置30Tとを用いて、対象物品90を載置部132から収容部Aに移動させて当該対象物品90を引き渡す引渡動作を行う。
【0059】
引渡動作を行う場合、移載部Tは、
図9(a)に示すように、まず一対のサイドアーム11によって、載置部132に載置されている対象物品90を幅方向Wの中央側に寄せる。これにより、対象物品90を収容部Aに移載する前段階において、当該対象物品90を、収容部Aに対する幅方向Wの適正位置に配置することができる。
【0060】
次に、
図9(b)に示すように、移載部Tは、第2移載装置20T(ここでは一対のベルトコンベヤ21)によって、対象物品90を奥行方向奥側L2に向けて第2移載距離D2分移動させる。本実施形態では、第2移載距離D2は総移載距離よりも短く設定されている。そのため、第2移載装置20Tによって対象物品90を第2移載距離D2分移動させるのみでは、
図9(b)に示すように、対象物品90の一部のみが収容部Aに収容された状態、すなわち対象物品90における奥行方向手前側L1の部分が収容部Aから奥行方向手前側L1にはみ出した状態となり、対象物品90の全体が収容部Aに完全に収容された状態とはならない。そこで、移載部Tは、総移載距離に対する第2移載距離D2の不足分の対象物品90の移動に第3移載装置30Tを用いる。
【0061】
そのため、本実施形態では、移載部Tは、第2移載装置20Tによって対象物品90を奥行方向奥側L2に向けて第2移載距離D2分移動させている途中、又は、第2移載距離D2分移動させた後、対象物品90が押圧アーム31よりも奥行方向奥側L2に配置された場合に、押圧アーム31を突出状態に状態変更させる(
図9(b)参照)。なお、上述のように、対象物品90が押圧アーム31よりも奥行方向奥側L2に位置した状態であるか否かは、位置検知部30Sによって検知される。このように、移載部Tは、押圧アーム31を突出状態とすることで、第3移載装置30Tによる対象物品90の移載の準備を行う。
【0062】
そして、
図9(c)に示すように、移載部Tは、第3移載装置30Tによって、対象物品90を更に奥行方向奥側L2に向けて総移載距離から第2移載距離D2を差し引いた残距離D3´分移動させる。本実施形態では、第3移載装置30Tは、押圧アーム31を第3移載距離D3分移動させることにより、対象物品90を、総移載距離と第2移載距離D2との差である残距離D3´分移動させる。この第3移載距離D3は、第3移載装置30Tによる押圧アーム31の奥行方向奥側L2への移動距離であり、総移載距離よりも短く設定されている。図示するように、第3移載距離D3は、残距離D3´よりも長い。本例では、移載部Tは、引渡動作を行う場合、第2移載装置20Tにより、対象物品90を、載置部132から奥行方向奥側L2に向けて、総移載距離と第3移載距離D3との差よりも長い第2移載距離D2分移動させた後、対象物品90が押圧アーム31よりも奥行方向奥側L2に位置する状態で、押圧アーム31を退避状態から突出状態とし(
図9(b)参照)、突出状態の押圧アーム31を奥行方向奥側L2に移動させることで対象物品90を収容部Aまで移動させる(
図9(c)参照)。以上により、対象物品90の全体が収容部Aに収容された状態となり、引渡動作が完了する。
【0063】
このように、上記の構成によれば、主に第2移載装置20Tと第3移載装置30Tとを用いて引渡動作を行うため、引渡動作における第1移載装置10Tの役割を軽減することができる。また、引渡動作のうち、対象物品90を奥行方向奥側L2に向けて移動させる動作に関しては、第1移載装置10Tを用いることがない。従って、第1移載装置10Tの一対のサイドアーム11の強度の確保も更に容易となり、当該サイドアーム11のそれぞれについての幅方向Wの寸法の小型化も更に容易となっている。その結果、移載装置13全体として幅方向Wの更なる小型化を図ることが可能となっている。
【0064】
〔その他の実施形態〕
次に、移載装置のその他の実施形態について説明する。
【0065】
(1)上記の実施形態では、移載部Tが、対象物品90を載置部132から収容部Aに移動させて当該対象物品90を引き渡す引渡動作を、第2移載装置20Tと第3移載装置30Tとを用いて行う例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、移載部Tは、第3移載装置30Tに代えて、第1移載装置10Tと第2移載装置20Tとを用いて引渡動作を行っても良い。例えば、移載部Tは、対象物品90を奥行方向奥側L2に向けて、第2移載装置20T(ベルトコンベヤ21)によって規定距離分移動させた後、第1移載装置10T(サイドアーム11)によって残りの距離分移動させることで、引渡動作を行うと良い。この場合、例えば、第1移載装置10Tのサイドアーム11によって対象物品90の第1面部91(或いは第2面部92)を奥行方向奥側L2に押圧し、或いは、当該サイドアーム11の係止部111によって対象物品90の被係止部93aを奥行方向奥側L2に押圧することができる。
すると好適である。
【0066】
(2)上記の実施形態では、第3移載装置30Tの押圧アーム31が、ベース32に対して、奥行方向Lに沿う軸心周りに回転自在に支持されており、この回転によって、突出状態と退避状態とに状態変更する例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、押圧アーム31は、対象物品90の移動軌跡に対して重複する位置と重複しない位置とに移動自在に構成されていれば良い。例えば、押圧アーム31は、ベース32に対してスライド移動するように(例えば上下方向にスライド移動するように)構成されていても良い。
【0067】
(3)上記の実施形態では、第1移載装置10Tは、サイドアーム11による挟み荷重が規定値Vmaxになった後、一対のサイドアーム11の撓み量を考慮して一対のサイドアーム11のそれぞれが対象物品90から隙間を空けて離間するように、一対のサイドアーム11を幅方向Wの外側に移動させる例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第1移載装置10Tは、一対のサイドアーム11が対象物品90に接した状態のまま、一対のサイドアーム11を奥行方向Lに移動させて対象物品90を奥行方向Lに移動させる構成であっても良い。また、一対のサイドアーム11を幅方向Wの移動の制御方法についても、上記の実施形態には限定されない。例えば、一対のサイドアーム11を幅方向Wの内側への移動を、移動距離に基づいて制御しても良いし、移動時間と移動速度とに基づいて制御しても良い。或いは、一対のサイドアーム11と対象物品90との距離をセンサ等によって検知し、その検知結果に基づいて制御しても良い。
【0068】
(4)上記の実施形態では、荷重検知部10Sが、一対のサイドアーム11により対象物品90を挟んでいる状態での挟み荷重を、第1開閉駆動部M12(第1駆動部M10)が出力している駆動トルクにより検知するように構成されている場合を例として説明したが、これには限定されない。例えば、荷重検知部10Sは、一対のサイドアーム11における対象物品90との接触部分(本例では係止部111)に設けられ、一対のサイドアーム11が対象物品90を幅方向Wの両側から押圧する圧力を検知する圧力センサとして構成されていても良い。
【0069】
(5)上記の実施形態では、第2移載装置20Tの一対のベルトコンベヤ21が、載置部132を構成している例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば、第2移載装置20Tと載置部132とは、別々に設けられていても良い。この場合、例えば第2移載装置20Tの一対のベルトコンベヤ21が、これとは別に設けられた載置部132に対して上下方向に相対移動するように構成されていると良い。ここで、一対のベルトコンベヤ21と載置部132との一方が基台部131に対して上下方向に移動し、他方が基台部131に固定された構成とすることができる。そして、一対のベルトコンベヤ21は、対象物品90を奥行方向Lに沿って移動させる際には、対象物品90が載置された載置部132よりも相対的に上方に位置するように移動することで当該載置部132から対象物品90を受け取るようにされると好適である。
【0070】
(6)上記の実施形態では、第2移載装置20Tが、幅方向Wに離間して配置された一対のベルトコンベヤ21を備えている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、例えば第2移載装置20Tは、ベルトコンベヤ21に代えて、ローラコンベヤを備えていても良い。
【0071】
(7)上記の実施形態では、一対のサイドアーム11のそれぞれが係止部111を備え、当該一対の係止部111が対象物品90の被係止部93aに対して奥行方向Lに係止することにより対象物品90の保持を行う構成を例として説明した。しかし、このような例には限定されない。例えば、一対のサイドアーム11が対象物品90を幅方向Wの両側から挟むことにより、対象物品90の保持を行う構成としても良い。この場合、一対のサイドアーム11のそれぞれが係止部111を備えていなくても良い。
【0072】
(8)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0073】
〔上記実施形態の概要〕
以下、上記において説明した移載装置について説明する。
【0074】
物品が収容される収容部との間で対象物品を移載するための移載装置であって、
前記対象物品が載置される載置部と、
前記収容部の奥行方向に沿って前記対象物品を移動させて前記収容部と前記載置部との間で前記対象物品を移載する移載部と、を備え、
前記奥行方向に対して水平面内で直交する方向を幅方向として、
前記移載部は、
前記載置部に載置された前記対象物品に対して前記幅方向の両側に配置されていると共に前記奥行方向に出退する一対のサイドアームを有し、一対の前記サイドアームによって前記対象物品を保持して前記対象物品を前記奥行方向に沿って移動させる第1移載装置と、
前記対象物品における前記載置部に載置されている部分を前記奥行方向に沿って移動させる第2移載装置と、を備え、
前記第1移載装置によって前記対象物品を移動させる距離である第1移載距離が、前記載置部と前記収容部との間で前記対象物品を前記奥行方向に沿って移動させる距離である総移載距離よりも短く、
前記移載部は、前記総移載距離に対する前記第1移載距離の不足分の前記対象物品の移動に前記第2移載装置を用いる。
【0075】
本構成によれば、第1移載装置によって対象物品を移動させる第1移載距離が、載置部と収容部との間で対象物品を移動させる距離である総移載距離よりも短く設定されているため、第1移載装置のサイドアームの奥行方向の出退量を小さくすることができる。そのため、サイドアームの奥行方向の寸法を小型化できると共に、奥行方向に突出した状態でのサイドアームの強度の確保も容易となる。従って、本構成によれば、第1移載装置の一対のサイドアームのそれぞれについて、必要な強度を確保しつつ幅方向の寸法を小さくすることが可能となる。その結果、移載装置全体として幅方向の小型化を図ることが可能となる。
また、物品が収容される収容部が幅方向に複数並ぶ場合には、出退するサイドアームと物品とが接触しないように、当該複数の収容部の幅方向の配置間隔を設定する必要がある。本構成によれば、サイドアームの幅方向の寸法を小さくすることができるため、複数の収容部の幅方向の配置間隔を小さくすることが可能となり、複数の収容部を備える収容場所の収容効率を高めることが容易となる。
【0076】
ここで、
前記移載部は、前記対象物品を前記収容部から前記載置部に移動させて前記対象物品を受け取る受取動作を行う場合、
前記第1移載装置により、前記対象物品を前記収容部から前記載置部の側に向けて前記第1移載距離分移動させた後、一対の前記サイドアームによる前記対象物品の保持を解除し、前記第2移載装置により、前記対象物品を前記載置部まで移動させると好適である。
【0077】
本構成によれば、対象物品を収容部から載置部に移動させて受け取る受取動作を、第1移載装置と第2移載装置とを用いて適切に行うことができる。
【0078】
また、
前記対象物品における前記幅方向のそれぞれの両側を向く面を側面部として、
一対の前記サイドアームのそれぞれは、前記幅方向において互いに対向する側に突出するように形成された係止部を備え、
前記第1移載装置は、一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに接近させて前記係止部を前記対象物品の前記側面部に設けられた被係止部に係止させることで、前記対象物品の保持を行い、一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに離間させて前記係止部を前記被係止部から外すことで、前記対象物品の保持の解除を行うと好適である。
【0079】
本構成によれば、一対のサイドアームを幅方向に移動させることで、対象物品に対する保持と保持の解除とを自在に行うことができる。そして、係止部を対象物品の被係止部に係止させることにより対象物品を保持した状態で、当該対象物品を奥行方向に移動させることが可能となる。
【0080】
また、
前記奥行方向における前記収容部から前記載置部に向かう側を奥行方向手前側とし、前記奥行方向における前記載置部から前記収容部に向かう側を奥行方向奥側として、
前記移載部は第3移載装置を更に備え、
前記第3移載装置は、前記対象物品を前記奥行方向手前側から押圧する押圧アームを有し、前記押圧アームによって前記対象物品を前記奥行方向奥側に向けて移動させるように構成され、
前記押圧アームは、前記移載部による前記対象物品の移動軌跡と重複する位置に突出した突出状態と、前記移動軌跡と重複しない位置に退避した退避状態とに状態変更自在に構成され、
前記第3移載装置による前記押圧アームの前記奥行方向奥側への移動距離である第3移載距離が前記総移載距離よりも短く、
前記移載部は、前記第2移載装置と前記第3移載装置とを用いて、前記対象物品を前記載置部から前記収容部に移動させて前記対象物品を引き渡す引渡動作を行うと好適である。
【0081】
本構成によれば、対象物品を載置部から収容部に移動させて引き渡す引渡動作を、第2移載装置と第3移載装置とを用いて適切に行うことができる。また、第3移載装置によって対象物品を移動させる場合には、押圧アームを対象物品の移動軌跡と重複する位置に突出した突出状態とすることで、当該押圧アームによって対象物品を移動させることが可能となる。そして、第3移載装置によって対象物品を移動させない場合には、押圧アームを対象物品の移動軌跡と重複しない位置に退避した退避状態とすることで、例えば他の移載装置によって物品を移動させる際に、押圧アームが当該移動の妨げとならないようにすることができる。
また、本構成によれば、引渡動作における第1移載装置の役割を軽減し、又はなくすことができる。従って、第1移載装置の一対のサイドアームの強度の確保も更に容易となり、当該サイドアームのそれぞれについての幅方向の寸法の小型化も更に容易となる。その結果、移載装置全体として幅方向の更なる小型化を図ることが可能となる。
【0082】
また、
前記移載部は、前記引渡動作を行う場合、
前記第2移載装置により、前記対象物品を、前記載置部から前記奥行方向奥側に向けて、前記総移載距離と前記第3移載距離との差よりも長い第2移載距離分移動させた後、前記対象物品が前記押圧アームよりも前記奥行方向奥側に位置する状態で、前記押圧アームを前記退避状態から前記突出状態とし、前記突出状態の前記押圧アームを前記奥行方向奥側に移動させることで前記対象物品を前記収容部まで移動させると好適である。
【0083】
本構成によれば、第2移載装置と第3移載装置とを用いて引渡動作を行う場合に、第3移載装置の押圧アームが、第2移載装置によって移動中の対象物品に接触することを回避しつつ、第2移載装置によって第2移載距離分移動した後の対象物品を当該押圧アームによって収容部まで適切に移動させることができる。
【0084】
また、
前記第1移載装置は、一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに接近させることで、前記対象物品を前記幅方向の両側から挟んで保持するように構成され、
前記第1移載装置は、一対の前記サイドアームにより前記対象物品を挟んでいる状態での挟み荷重を検知する荷重検知部を更に備え、
前記移載部は、一対の前記サイドアームにより前記対象物品を保持する場合に、前記荷重検知部により検知される前記挟み荷重が規定値以上になるまで一対の前記サイドアームを前記幅方向に互いに接近させ、前記挟み荷重が規定値以上になったら一対の前記サイドアームを前記幅方向に規定距離分互いに離間させた後、一対の前記サイドアームの前記幅方向の移動を停止させると好適である。
【0085】
本構成によれば、荷重検知部による検知結果に基づいて、一対のサイドアームによって対象物品を適切に保持することが可能となる。また、このような構成によって、例えば、配置される向きによって保持対象箇所が異なる同種類の複数の物品、或いは、幅方向の寸法や形状等が異なる複数種類の物品を扱う場合であっても、それぞれの物品に応じた制御を行う必要なく、各種の物品を一対のサイドアームによって適切に保持することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本開示に係る技術は、物品が収容される収容部との間で対象物品を移載するための移載装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0087】
13 :移載装置
132 :載置部
T :移載部
10T :第1移載装置
20T :第2移載装置
30T :第3移載装置
10S :荷重検知部
11 :サイドアーム
111 :係止部
31 :押圧アーム
9 :物品
90 :対象物品
93 :側面部
93a :被係止部
D1 :第1移載距離
D2 :第2移載距離
D3 :第3移載距離
Vmax :規定値
A :収容部
L :奥行方向
L1 :奥行方向手前側
L2 :奥行方向奥側
W :幅方向