(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】ポリエステル中空長繊維及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 6/62 20060101AFI20220531BHJP
D01D 5/092 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
D01F6/62 303E
D01D5/092 103
(21)【出願番号】P 2019530414
(86)(22)【出願日】2017-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2017117924
(87)【国際公開番号】W WO2018113767
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-09-11
(31)【優先権主張番号】201611205849.8
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニー,チュンジアン
(72)【発明者】
【氏名】吉宮 隆之
【審査官】川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-245327(JP,A)
【文献】特開平10-018559(JP,A)
【文献】特開平09-001708(JP,A)
【文献】特開平07-068061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01F 6/62
D01D 5/092
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単成分のポリエステルからなるポリエステル中空長繊維であって、横断面の中空率が20.0%~45.0%であり、自然状態で三次元の捲縮形状を有し、且つ捲縮形状の曲率半径が10.0mm~50.0mmであ
り、前記長繊維の単糸繊度が4.0dtex~15.0dtexであることを特徴とするポリエステル中空長繊維。
【請求項2】
前記長繊維の単糸繊度が5.0dtex~10.0dtexである、ことを特徴とする請求項
1に記載のポリエステル中空長繊維。
【請求項3】
前記長繊維は160℃×3minで乾熱処理をした後の曲率半径が3.5mm~10.0mmである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル中空長繊維。
【請求項4】
前記ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はそれらの変性ポリマーである、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のポリエステル中空長繊維。
【請求項5】
請求項1に記載のポリエステル中空長繊維の製造方法であって、乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送し、計量ポンプで正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空紡糸口金、冷却距離を10~150mm、サイドブローの風速を25~90m/minとする、ことを特徴とするポリエステル中空長繊維の製造方法。
【請求項6】
前記冷却距離が60~110mmである、ことを特徴とする請求項
5に記載のポリエステル中空長繊維の製造方法。
【請求項7】
前記サイドブローの風速が30~50m/minである、ことを特徴とする請求項
5又は
6に記載のポリエステル中空長繊維の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填用長綿の製造に適する捲縮形状の中空ポリエステル長繊維及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
紡績業界では、ガチョウのダウン、アヒルのダウンなどの水鳥の羽毛やダウンを、ダウン布団、寝袋、そしてさまざまな防寒・保温製品に詰められるのが一般的である。世界的に発生した鳥インフルエンザは、ダウンの生産量の急激な減少をもたらし、その結果、価格の上昇を引き起こした。また、消費者はダウンの安全性についても疑問を持っており、天然羽毛は十分に洗われていないと悪臭の原因となるため、事前に悪臭を引き起こす汚れを取り除いて清潔さを保つ必要がある。そして、羽毛布団やダウンジャケットのような羽毛を詰めた製品には洗濯が難しいという問題がある。
【0003】
このため、当業者は充填用動物ダウンの代わりに合成繊維を使用することに取り組んでいる。中国特許出願公開第1861871号明細書には、短繊維タイプのダウンを模倣したコットンが開示されているが、短繊維入り綿は嵩高性が低く、保温材に製造されると、触ったときに粒状感を有し、また、短繊維タイプのダウンを模倣したコットンは洗濯時に偏りやすい。したがって、ダウンの代替品として新規充填材を開発することが緊急に必要とされている。ポリエステル繊維は、製造が容易で低価格であるという利点を有するため、ポリエステル系充填材の開発の将来性が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、充填用長綿の製造に適する三次元の捲縮形状を有するポリエステル中空長繊維、及び該ポリエステル中空長繊維の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るポリエステル中空長繊維において、横断面の中空率が20.0%~45.0%であり、自然状態で三次元の捲縮形状を有し、且つ捲縮形状の曲率半径が10.0mm~50.0mmである。
【0007】
本発明に係るポリエステル中空長繊維において、その単糸繊度が、好ましくは、4.0dtex~15.0dtex、より好ましくは、5.0dtex~10.0dtexである。
【0008】
本発明に係るポリエステル中空長繊維において、160℃×3min乾熱処理をしても、三次元の捲縮形状を有し、且つ捲縮形状の曲率半径が3.5mm~10.0mmである。
【0009】
本発明に係るポリエステル中空長繊維において、そのポリマー原料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート又はそれらの変性ポリマーである。
【0010】
本発明はさらに、乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送し、計量ポンプで正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空紡糸口金、冷却距離を10~150mm、サイドブローの風速を25~90m/minとする、上記ポリエステル中空長繊維の製造方法を提供する。
【0011】
前記冷却距離は、好ましくは60~110mmであり、前記サイドブローの風速は30~50m/minである。
【0012】
本発明に係るポリエステル中空長繊維は、溶融紡糸プロセスを用いて製造されるものであり、生産しやすく、低コストである長所を有し、且つ三次元の捲縮構造を有し、充填長綿として使用できる嵩高化トウの加工に適する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ポリエステル中空長繊維の三角形中空横断面の形状を示す図である。
【
図2】ポリエステル中空長繊維の四辺形中空横断面の形状を示す図である。
【
図3】ポリエステル中空長繊維の自然状態での三次元の捲縮形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
ダウンを代替可能な充填物を開発するために、本発明は、嵩高化トウへの加工に適したポリエステル中空長繊維を提供する。該中空繊維は三次元形状の捲縮構造を有するため、加工した嵩高化トウも三次元構造となり、このため、嵩高化トウの排除体積が大きく、嵩高性に優れた嵩高化トウを得ることができる。繊維を形成できるポリマーのうち、ポリエステル繊維のヤング率が比較的高いため、製造された嵩高化トウの耐圧性および回復性が良好である。
【0015】
三次元の捲縮形状とは、繊維が長手方向に不規則なスパイラル構造を示すことを意味し(
図3)、同時に、一部の単糸間に配向の違いを有することにより、単糸の回転方式、方向が異なり、多次元の立体形状を形成する。
【0016】
本発明に係るポリエステル中空長繊維は、溶融紡糸法により製造された中空繊維である。溶融ポリエステルチップを異型中空紡糸口金から吐出して、次いでサイドブローによって冷却してコイル状にして得る。溶融紡糸過程において、サイドブローの位置を調整することで冷却距離を変化させることによって、サイドブローの風速、紡糸速度などの条件を調整して、それによって中空繊維の中空率を20.0%~45.0%の範囲に制御するとともに、三次元の捲縮形状の曲率半径を10.0mm~50.0mmの範囲にする。同繊維径の中空繊維は、中実繊維と比較して、中空繊維を用いて得られる嵩高化糸の嵩高性が高く、且つ中空率が高いほど軽量である。前記中空繊維の曲率半径が小さすぎると、繊維の単糸間の抱合性が高くなり、嵩高化糸の加工時に繊維が開繊しにくくなり、且つ繊維によって形成されるリングの直径が小さいため、加工トウの嵩高性に悪影響を及ぼす。一方、繊維の捲縮半径が大きすぎると、嵩高化トウに加工され後に形成されるリングの直径が大きすぎて、鞘繊維の本来の三次元効果を弱めたり反映できなかったりして、加工トウの嵩高性にも悪影響を与える。
【0017】
中空紡糸口金の吐出孔の形状、配列の違い、および生産プロセスの変更により、得られる中空繊維の断面は若干異なり、中空部の形状には円形、略三角形、略正方形、略五角形等、各種形状があり、また、中空断面における孔の数が1個に限定されない。
【0018】
本発明に係る中空ポリエステル長繊維の単糸繊度の範囲は、4.0dtex~15.0dtexであることが好ましい。嵩高化トウの原料繊維としては、繊維の単糸繊度が高いほど、繊維の剛性が良好であり、製造された嵩高化トウの嵩高性が向上するとともに、耐圧性および回復性が向上する。しかしながら、単糸繊維の直径が大きすぎると、紡糸中に冷却することが容易ではなく、且つ繊維の均一性が低下し、製造された嵩高化トウの手触りが硬くなる。したがって、中空ポリエステル長繊維の単糸繊度は、5.0dtex~10.0dtexであることがより好ましい。
【0019】
本発明に係る中空ポリエステル長繊維の原料は、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどの一般的なポリエステルが主であり、嵩高化糸に特殊な機能を付与するために、特殊機能としては、抗菌や防ダニができるように変性されたポリマーなど、上記ポリマーの変性共ポリマーを用いることも可能であり、嵩高性の点で通常のポリエステルと同様の効果が得られ得る。
【0020】
中空ポリエステル長繊維は、充填用の嵩高化トウを製造するための原料の一つとして、複数本直接合わせて嵩高化トウを形成し充填用長綿として直接使用してもよいし、他の原料と組み合わせて使用してもよく、たとえば、融点が僅かに低い繊維と混繊糸を形成して、充填用長綿として用いてもよく、あるいは、さらに混繊糸として中空ポリエステル長繊維との芯鞘複合加工を行った後、部分的に融着させて、より優れた嵩高化トウを得て、充填用長綿として用いてもよい。
【0021】
本発明に係る中空ポリエステル長繊維は、160℃×3min乾熱処理を行っても三次元形状を有するが、繊維の熱収縮により捲縮形状が変化し、好ましくはその曲率半径が3.5mm~10.0mmである。このように、中空ポリエステル長繊維は、後続の加工処理を経ても、フワフワした三次元の捲縮形状を維持することができ、手触り、嵩高性、保温性などの性能に優れる。
【0022】
本発明に係る前記中空ポリエステル長繊維は、以下の方法で製造できるが、これに限定されるものではない。
まず、ポリエステルチップの含水率を低下させ、紡糸性を向上させるために、チップの含水率を50ppm以下に制御するように、原料ポリエステルチップを乾燥させる。乾燥後のチップを一般的な溶融紡糸方式により紡糸する。チップをスクリューまたはホットプレートによって溶融した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプで正確に計量された後、溶融ポリマーを紡糸パックに投入する。ただし、紡糸パックに使用される紡糸口金は中空繊維紡糸専用の紡糸口金である。紡糸口金から吐出されたポリマーを冷却して給油した後、巻き取る。僅かに捲縮した中空繊維を得るためには、紡糸過程における冷却距離(紡糸口金の下縁から冷却用サイドブローの上縁までの距離)については厳しい要求があり、通常、10~150mm、好ましくは60~100mmの範囲に制御される。また、中空繊維の両側の構造を異ならせるために、サイドブローの風速にも要求があり、繊維の種類(総繊度、および単糸数)に応じて、通常25~90m/min、好ましくは30~50m/minの範囲に制御される。
【0023】
前記冷却距離が10mm未満であると、紡糸口金から吐出されたポリマーが急冷され、非対称効果が顕著になり、得られる繊維の曲率半径が小さすぎ、繊維単糸間の抱合性が高くなり、嵩高化効果が悪くなり、また、紡糸口金の温度が低下して繊維切れを起こしやすく、紡糸性の低下を招き、前記冷却距離が150mmを超えると、紡糸口金から吐出されたポリマーがある程度均一に冷却されているため、サイドブローによる強制冷却を行っても、非対称効果が既に弱まっているので、得られた繊維の曲率半径が過度に大きくなり、嵩高化効果に悪影響を及ぼす。
【0024】
前記サイドブローの風速が25m/min未満であると、非対称冷却効果が顕著ではなく、得られた繊維の曲率半径が過度に大きくなり、前記サイドブローの風速が90m/minを超えると、非対称効果がより顕著になり、その結果、繊維の曲率半径の低減を引き起こし、また、サイドブローした風が強すぎると、繊維の揺れ程度が大きくなり、紡糸が不安定化し、単糸流れや糸切れの現象が起こりやすい。
【0025】
単糸間の冷却の違いによる物性の相違を防ぐために、紡糸口金の吐出孔は、好ましくは「千鳥」状に配置され、いわゆる菱形に配置される。好ましくは、本紡糸プロセスとしては、主に、紡糸/延伸が同時に完了する、FDYとして一般に知られるワンステップ紡糸プロセスが使用される。しかしながら、まず、一般にPOYとして知られる予備配向繊維を得て、次いで一般にDTとして知られる延伸機による延伸工程を行う、二段法によって製造されてもよい。
【0026】
本発明に係るポリエステル中空長繊維は、三次元の捲縮構造を有すると同時に、繊維の単糸が比較的太く、該中空長繊維を用いて得られる嵩高化トウは、高い排除体積と高い嵩高性を有するとともに、優れた耐圧縮性を有する。
【0027】
本発明に係る試験方法は以下の通りである。
【0028】
(1)総繊度及び単糸繊度の試験方法
総繊度の試験はJIS L 1013:2010基準に準拠して行われ、単糸繊度は総繊度と単糸数から算出した。
【0029】
(2)中空率
中空長繊維を繊維軸垂直方向に薄く切断して切片(すなわち、繊維横断面)を得て、通常の光学顕微鏡下で、適切な倍率で撮影し、その写真から中空部の面積S1および繊維全体の面積S2(中空部を含む)を算出し、次に中空率を算出した。
中空率=(S1/S2)×100%。
【0030】
(3)曲率半径の試験方法
自然状態での曲率半径:糸を
検尺機(繊度測定用)で10回転(1m/回転)
巻いて綛を作り、試験試料を恒温恒湿環境(20℃×65%RH)に8時間以上放置(懸吊)して、その状態を安定化させ(
図3参照)、次に、
吊り下げた綛の試料下方の20cm以内の湾曲部分について半径を測定して、異なる20箇所を選択して測定して平均値を取り、得られたデータを曲率半径とする。測定機器はキーエンス(KEYENCE)社製デジタルマイクロスコピーシステム(VHX-2000C)であり、倍率が20倍である。ソフトウェアの曲率径算出機能により曲率半径が測定される(
図4参照)。すなわち、捲縮した繊維における3つの位置によって繊維の曲率半径を測定した。
乾熱処理後の曲率半径:糸を
検尺機(繊度測定用)で10回転
巻いて綛を作り、乾燥機に入れて、160℃×3分の処理条件で熱処理し、次に、試料を恒温恒湿環境で4時間以上放置し、最後に
綛の試料下方の20cm以内の湾曲部分について半径を測定し、異なる20箇所で測定した後、平均値を取る。得られたデータは曲率半径となる。
【0031】
(4)嵩高性
IDFB方法に従って試験を行う。
(1)まず、試験試料を20℃×65%RHの環境に8時間以上置くことにより、試験試料を安定化させる。
(2)試料を30g秤量し、フワフワ状態になるまで手動で振り、次に計量筒に入れて、カバーを掛ける。
(3)ウエイトプレートを試料との最高接触点まで下へ動かし、次にウエイトプレートを離して自由に落下させ、ウエイトプレートを離すと同時に時間を計り、安定化のため1分後に、高さを読み取って記録する。
(4)カバーを開けて試料を取り出し、フワフワ状態になるまで再び振って、計量筒に入れてカバーを掛け、そしてステップ(3)に従って再度測定し、同様な方法によって5回試験する。
(5)5回の平均高さを算出した後、嵩高性を算出した。
【実施例】
【0032】
以下、本発明の内容を実施例により説明するが、本発明は実施例に記載の内容に限定されるものではない。
【0033】
実施例1
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を25m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は300T-20f、中空断面は中空三角形、中空率は20.0%、単糸繊度は15.0dtex、熱処理前の曲率半径は50.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は10.0mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、390inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0034】
実施例2
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を40m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は150T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は15.0dtex、熱処理前の曲率半径は42.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は8.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、600inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0035】
実施例3
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を40m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は60T-4f、中空断面は中空三角形、中空率は45.0%、単糸繊度は15.0dtex、熱処理前の曲率半径は37.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は7.0mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、800inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0036】
実施例4
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は40.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は7.8mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、650inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0037】
実施例5
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を50m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-20f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は5.0dtex、熱処理前の曲率半径は35.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は6.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、610inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0038】
実施例6
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を75m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は60T-15f、中空断面は中空三角形、中空率は45.0%、単糸繊度は4.0dtex、熱処理前の曲率半径は10.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は3.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、480inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0039】
実施例7
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を70m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は65T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は6.5dtex、熱処理前の曲率半径は30.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は6.0mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、580inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0040】
実施例8
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を70m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は50T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は5.0dtex、熱処理前の曲率半径は20.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は4.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、520inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0041】
実施例9
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を25m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は60T-4f、中空断面は四辺中空、中空率は45.0%、単糸繊度は15.0dtex、熱処理前の曲率半径は42.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は8.1mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、760inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0042】
実施例10
普通ポリトリメチレンテレフタレートチップ(すなわち普通3GT)を原料として、乾燥後の水分率が30ppmとなるように、該ポリトリメチレンテレフタレートを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は38.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は7.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、630inch3/30gであった。具体的には、表1に示した。
【0043】
実施例11
普通ポリブチレンテレフタレートチップ(すなわち普通PBT)を原料として、乾燥後の水分率が33ppmとなるように、該ポリブチレンテレフタレートを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は36.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は7.0mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、600inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0044】
実施例12
カチオン変性ポリエチレンテレフタレートチップを原料として、乾燥後の水分率が30ppmとなるように、該カチオン変性ポリエチレンテレフタレートを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は33.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は33.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は6.4mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、610inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0045】
実施例13
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を10mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は40.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は12.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は3.6mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、490inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0046】
実施例14
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を60mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は37.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は30.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は6.1mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、600inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0047】
実施例15
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を90mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は32.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は34.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は9.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、720inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0048】
実施例16
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を110mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は30.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は38.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は12.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、620inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0049】
実施例17
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を150mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は25.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は44.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は14.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、550inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0050】
実施例18
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を90m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は35.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は18.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は3.9mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、510inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0051】
実施例19
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を50m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は28.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は28.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は4.5mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、530inch3/30gであった。具体的には、表2に示した。
【0052】
比較例1
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を一般的な円孔紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を25m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行ってポリエステル繊維を得た。繊維の特性としては、繊維の品種は56T-24f、断面は中実円形、単糸繊度は2.3dtexであり、熱処理前にも熱処理後にも捲縮特性がなかった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、240inch3/30gであった。具体的には、表3に示した。
繊維の横断面が中実であるため、得られた繊維には捲縮が生じることがなく、嵩高性が小さく、このため、羽毛の代わりとなる充填用綿として使用されることに適しなかった。
【0053】
比較例2
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を90mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は10.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は40.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は10.0mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、310inch3/30gであった。具体的には、表3に示した。
繊維の中空率が小さすぎるため、曲率半径を有するが、軽量性が悪く、嵩高性が小さく、このため、羽毛の代わりとなる充填用綿として使用されることに適しなかった。
【0054】
比較例3
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を5mm、サイドブローの風速を35m/minとして、DSD高速紡糸プロセスにより紡糸した。冷却距離が小さすぎるため、紡糸可能であるが、糸切れや糸のフローティングの現象が深刻になり、生産性が低かった。具体的には、表3に示した。
【0055】
比較例4
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を110m/minとして、DSD高速紡糸プロセスにより紡糸した。サイドブローの風速が大きすぎるため、紡糸可能であるが、繊維の揺れが深刻になることによって糸切れや糸のフローティングの現象が深刻になり、生産性が低かった。具体的には、表3に示した。
【0056】
比較例5
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を200mm、サイドブローの風速を70m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は15.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は65.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は23.0mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、350inch3/30gであった。具体的には、表3に示した。
冷却距離が大きすぎるため、得られた繊維の曲率半径が過度に大きくなり、繊維の三次元効果が現れず、嵩高性が低下している。
【0057】
比較例6
セミダルポリエステルチップ(東麗合成繊維(南通)有限公司製のT200N)を原料として、乾燥後の水分率が39ppmとなるように、該ポリエステルチップを予備結晶化除湿乾燥機で乾燥させた。乾燥後のチップをスクリューで溶融して押し出した後、配管を介して計量ポンプに輸送して、計量ポンプにより正確に計量したポリマーを紡糸パックに輸送し、紡糸パックの紡糸口金を中空専用紡糸口金、冷却距離を65mm、サイドブローの風速を20m/minとして、DSD高速紡糸プロセスを行って中空ポリエステル繊維を得た。中空繊維の特性としては、繊維の品種は100T-10f、中空断面は中空三角形、中空率は12.0%、単糸繊度は10.0dtex、熱処理前の曲率半径は55.0mm、160℃×3min乾熱処理後の曲率半径は20.0mmであった。該繊維を鞘繊維と芯繊維の原料として、鞘糸のフィード速度/芯糸のフィード速度を20倍としたオーバーフィードによりフィードして、芯鞘型の嵩高化糸に加工して、6本の糸を合わせて、嵩高化トウを得て、嵩高化トウの嵩高性を試験したところ、350inch3/30gであった。具体的には、表3に示した。
サイドブローの風速が小さすぎるため、得られた繊維の曲率半径が過度に大きくなり、繊維の三次元効果が現れず、嵩高性が低下している。
【0058】
【0059】
【0060】