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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】眼科撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/10 20060101AFI20220531BHJP
   G02B 26/08 20060101ALI20220531BHJP
   G02B 26/10 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
A61B3/10 300
G02B26/08 E
G02B26/10 C
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020167245
(22)【出願日】2020-10-01
(65)【公開番号】P2021053400
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2020-12-17
(31)【優先権主張番号】19200774
(32)【優先日】2019-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】19201433
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509012991
【氏名又は名称】オプトス ピーエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】プレシアド ミゲル エンジェル
【審査官】田辺 正樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-134905(JP,A)
【文献】特表2018-504219(JP,A)
【文献】特開2017-148097(JP,A)
【文献】特開平04-071526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00-3/18
G02B 6/35、26/00-26/12
G02F 1/00-1/125、1/21-7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼(70)を撮像するための眼科撮像装置(10;10-2;10-3)であって、
導光部(50)と、
前記導光部(50)に入射する光ビームの第1の部分が眼(70)の領域にわたって走査するために前記導光部(50)によって導かれ、前記導光部(50)に入射する前記光ビームの第2の部分が前記導光部(50)によって後方反射されるように、前記導光部(50)を通して前記光ビームを走査するように動作可能な走査要素(40)と、
光検出器(20)であって、前記眼(70)の領域(80)によって反射され、かつ前記導光部(50)によって前記光検出器(20)に導かれた前記光ビームの前記第1の部分からの光を検出するように構成された光検出器(20)と、
前記眼科撮像装置(10;10-2;10-3)に配置されている動的振幅マスク(30;30-2;295)であって、前記眼の領域(80)によって反射された前記光ビームの前記第1の部分からの光と、前記導光部(50)によって後方反射され、前記走査要素(40)によって走査される前記光ビームの走査角度の関数として変化する空間強度分布で前記動的振幅マスク(30)に入射する前記光ビームの前記第2の部分からの光と、を前記導光部(50)から受光するように、に配置されている動的振幅マスク(30;30-2;295)と、
を備え、
前記動的振幅マスク(30;30-2)は、前記眼(70)の前記領域(80)によって反射された前記光ビームの前記第1の部分から受光した光が、前記光検出器(20)に伝播することを可能にするように構成されたマスクされていない部分(38)と、前記光ビームの前記第1の部分が前記眼(70)の前記領域にわたって走査されるときに、前記導光部(50)によって後方反射された前記光ビームの前記第2の部分からの光の少なくとも一部が前記光検出器(20)に到達することを妨げるように、前記走査角度の関数として変化するように構成される空間分布を有するマスクされた部分(36)とを有
前記マスクされた部分(36)を形成している前記動的振幅マスク(30;30-2)の部分の分布は、任意の所与の前記走査角度について、前記走査角度に対して前記導光部(50)によって後方反射される光の前記動的振幅マスク(30;30)の平面内の空間強度分布によって決定される、
眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項2】
前記導光部(50)が、
前記眼(70)の前記領域(80)にわたって走査するために前記光ビームの前記第1の部分を誘導するように構成された1又は複数のレンズ(55-1、55-2、55-3)、又は
前記走査要素(40)からの前記光ビームの前記第1の部分を前記眼(70)の瞳孔に誘導するように構成された形状を有するミラー(50-2)であって、前記眼科撮像装置(10-2;10-3)の使用中に、前記走査要素(40)が前記ミラー(50-2)の第1の焦点に位置し、前記眼(80)の瞳孔が前記ミラー(50-2)の第2の焦点(P)に位置する、ミラー(50-2)
のうちの1つを含む、請求項1に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項3】
前記動的振幅マスク(30;295)がマイクロミラーのアレイ(31)を含み、前記アレイ(31)の各マイクロミラー(34)は、前記マイクロミラー(34)がそこに入射する光を前記光検出器(20)に向けて反射する第1の向き(34-01)と、前記マイクロミラー(34)がそこに入射する光を前記光検出器(20)から離れた方向に反射する第2の向き(34-02)との間で個別に切り替え可能であり、前記動的振幅マスク(30)の前記マスクされていない部分(38)は、前記第1の向き(34-01)にある前記アレイ(31)のマイクロミラー(34)で構成され、前記動的振幅マスク(30;295)の前記マスクされた部分(36)は、前記第2の向き(34-02)にある前記アレイ(31)の少なくともいくつかのマイクロミラー(34)を含む、
請求項1又は請求項2に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項4】
前記動的振幅マスク(30)の前記マスクされた部分(39)は、前記第1の向き(34-01)のマイクロミラーと前記第2の向き(34-02)のマイクロミラーとのインターリーブ配置を含み、
前記動的振幅マスク(30;295)は、比率設定信号を受信し、前記受信した比率設定信号に従って、前記動的振幅マスク(30;295)の前記マスクされた部分(39)内の前記第1の向き(34-01)のマイクロミラーの数と、前記動的振幅マスク(30;295)の前記マスクされた部分(39)内の前記第2の向き(34-02)のマイクロミラーの数との比を設定するように構成されている、
請求項3に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項5】
前記マイクロミラーの各々がデジタルマイクロミラーデバイス、DMDである、
請求項3又は請求項4に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項6】
前記動的振幅マスクが液晶セル(34-2)のアレイ(31-2)を含み、前記アレイの各液晶セル(34-2)内の液晶は、前記液晶セル(34-21)がそこに入射する光(L)を前記光検出器(20)に向けて透過する第1の相と、前記液晶セル(34-22)が、そこに入射する光(L)が前記光検出器(20)に透過されるのを妨げる第2の相との間で個別に切り替え可能であり、前記動的振幅マスク(30-2;295)の前記マスクされていない部分(38)は、前記第1の相の液晶を有する前記アレイ(31-2)の液晶セル(34-21)で構成され、前記動的振幅マスク(30;295)の前記マスクされた部分(36)は、前記第2の相の液晶を有する前記アレイ(31-2)の少なくともいくつかの液晶セル(34-22)を含む、
請求項1又は請求項2に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項7】
前記動的振幅マスク(30)の前記マスクされた部分(36)は、前記第1の相の液晶セル(34-21)と前記第2の相の液晶セル(34-22)とのインターリーブ配置を含み、
前記動的振幅マスク(30-2;295)は、比率設定信号を受信し、前記受信した比率設定信号に従って、前記動的振幅マスク(30-2;295)の前記マスクされた部分(36)の前記第1の相の液晶セル(34-21)の数と、前記動的振幅マスク(30-2;295)の前記マスクされた部分(36)の前記第2の相の液晶セル34-22)の数との比を設定するように構成されている、
請求項6に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項8】
前記動的振幅マスク(30;30-2;295)が、前記眼科撮像装置(10;10-2;10-3)の像面、前記眼科撮像装置(10;10-2;10-3)のフーリエ面、又は前記眼科撮像装置(10;10-2;10-3)の前記像面と前記フーリエ面との間にある前記眼科撮像装置(10;10-2;10-3)の平面の少なくとも1つに位置する、
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項9】
前記動的振幅マスク(30;30-2;295)は、前記走査要素(40)によって前記導光部(50)を通して走査される前記光ビーム(201)を形成する光を受光するように、前記眼科撮像装置(10;10-2;10-3)に配置され、
前記動的振幅マスク(30;30-2;295)の前記マスクされていない部分(38)は、前記走査要素(40)によって前記導光部(50)を通して走査される前記光ビーム(21)を形成する前記受光した光の第1の部分が、前記走査要素(40)に伝播することを可能にするように構成され、前記動的振幅マスク(30;30-2;295)の前記マスクされた部分(36)は、前記走査要素(40)によって前記導光部(50)を通して走査される前記光ビームを形成する前記受光した光の少なくとも一部が、前記走査要素(40)に伝播することを妨げるように構成され、
前記眼科撮像装置(10;10-2;10-3)は、前記走査要素(40)によって前記導光部(50)を通して走査される前記光ビームの強度が前記走査角度に依存しないように、前記走査要素(40)によって前記導光部(50)を通して走査される前記光ビームを形成する前記動的振幅マスク(30;30-2;295)によって受光した前記光の前記強度を、前記走査角度の関数として制御するように構成された光強度コントローラ(210)をさらに含む、
請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項10】
前記光強度コントローラ(210)が、
前記動的振幅マスク(30;30-2;295)によって受光されるべき光を減衰させ、前記走査要素(40)によって前記導光部(50)を通して走査される前記光ビームを形成するように構成された可変光減衰器を含み、
前記光強度コントローラ(210)は、前記走査要素(40)によって前記導光部(50)を通して走査される前記光ビームの前記強度が、前記走査角度に依存しないように、前記走査角度の関数として光の減衰を変化させるために前記可変光減衰器を制御するように構成されている、
請求項9に記載の眼科撮像装置(10;10-2;10-3)。
【請求項11】
前記動的振幅マスク(295)の前記マスクされた部分(R-1)と前記マスクされていない部分(R-1)が平面の第1の領域(R-1)に設けられ、
前記動的振幅マスク(295)はさらに、前記眼(70)の前記領域(80)によって反射され前記動的振幅マスク(295)の前記マスクされていない部分(R-1)を通過した前記光ビームの前記第1の部分からの光が、前記光検出器(20)に伝播することを可能にするように構成された第2のマスクされていない部分(R-2)と、前記光ビームの前記第1の部分が前記眼(70)の前記領域(80)にわたって走査するときに、前記導光部(50)によって後方反射され前記動的振幅マスク(295)の前記マスクされていない部分(R-1)を通過した前記光ビームの前記第2の部分からの前記光の少なくとも一部が前記光検出器(20)に到達することを妨げるように、前記走査角度の関数として変化するように構成されている空間分布を有する第2のマスクされた部分(R-2)とを含み、前記第2のマスクされた部分(R-2)と前記第2のマスクされていない部分(R-2)とは、前記第1の領域(R-1)から分離されている前記平面の第2の領域(R-2)に設けられ、
前記平面の第1の領域(R-1)は前記眼科撮像装置(10-3)の像面と一致し、前記平面の第2の領域(R-2)は前記眼科撮像装置(10-3)のフーリエ面と一致する、
請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の眼科撮像装置(10-3)。
【請求項12】
眼(70)を撮像するための眼科撮像装置(10-4)であって、
導光部(50)と、
前記導光部(50)に入射する光ビームの第1の部分が眼(70)の領域にわたって走査するために前記導光部(50)によって導かれ、前記導光部(50)に入射する前記光ビームの第2の部分が前記導光部(50)によって後方反射されるように、前記導光部(50)を通して前記光ビームを走査するように動作可能な走査要素(40)と、
受光器(37)であって、前記受光器(37)の光検出面に入射する光の当該光検出面にわたる空間光強度分布を検出するように前記眼科撮像装置(10-4)に配置され、前記光が、前記眼の領域(80)によって反射され、前記導光部(50)によって前記受光器(37)に導かれた前記光ビームの前記第1の部分からの光と、前記導光部(50)によって後方反射され、前記走査要素(40)によって走査される前記光ビームの走査角度の関数として変化する空間強度分布で前記受光器(37)に入射する前記光ビームの前記第2の部分からの光とを含む、受光器(37)と、
前記受光器(37)によって検出された空間光強度分布の、デジタルマスクによってマスクされた部分において検出された光強度の値を低減し、処理された空間光強度分布に基づいて画像データを生成するように、前記空間光強度分布に前記デジタルマスクを適用することによって、前記検出された前記空間光強度分布を処理するように構成された画像プロセッサ(25)であって、前記マスクされた部分は、前記光ビームの前記第1の部分が前記眼(70)の前記領域にわたって走査されるときに、前記生成された画像データに対する、前記導光部(50)によって後方反射された前記光ビームの前記第2の部分からの前記光の寄与を低減するように、前記導光部(50)からの反射の強度分布が前記走査角度でどのように変化するかを示す情報に基づいて、前記走査角度の関数として変化するように構成されている空間分布を有する、画像プロセッサ(25)と
を含む、眼科撮像装置(10-4)。
【請求項13】
前記画像プロセッサ(25)は、前記検出された空間光強度分布の前記マスクされた部分の前記検出された光強度の値が、光強度ゼロを示すように設定されるように前記空間光強度分布に前記デジタルマスクを適用することによって、前記空間光強度分布を処理するように構成され、前記マスクされた部分の前記空間分布は、前記光ビームの前記第1の部分が前記眼(70)の前記領域にわたって走査されるときに、前記生成された画像データに対する、前記導光部(50)によって後方反射された前記光ビームの前記第2の部分からの前記光の前記寄与を除去するように、前記走査角度の前記関数として変化するように構成される、
請求項12に記載の眼科撮像装置(10-4)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の例示的な態様は、全体として、眼科撮像装置の分野、より具体的には、スキャナの導光部を介して網膜又は眼の他の部分にわたって光ビームを走査させ、導光部によって収集された、眼から反射された光を検出することによって、眼の画像を取得する眼のスキャナに関する。
【背景技術】
【0002】
レンズのアレイを有する鏡筒などの導光部を使用して眼の撮像を実行する眼の走査撮像システムにおいて、例えば、導光部によって走査された光ビームの一部の光の反射(本明細書では「後方反射」及び「後方反射光」と呼ぶ)は、導光部を通って伝播された光ビームであって、眼から反射され、導光部によって光検出器に導かれた光ビームのうちの残りの光からの光の測定を妨害する場合があり、したがって、生成された眼の画像に反射関連のアーチファクトをもたらすことがある。走査型レーザー検眼鏡(scanning laser ophthalmoscope:SLO)では、このような内部反射の影響は、共焦点検出によってある程度抑制される。
【発明の概要】
【0003】
本明細書の第1の例示的な態様によれば、導光部と、導光部に入射する光ビームの第1の部分が眼の領域にわたって走査するために導光部によって誘導され、導光部に入射する光ビームの第2の部分が導光部によって後方反射されるように、導光部を通して光ビームを走査するように動作可能な走査要素とを備える、眼を撮像するための眼科撮像装置が提供される。眼科撮像装置はさらに、眼の領域によって反射され、かつ導光部によって自身に誘導された光ビームの第1の部分からの光を検出するように構成された光検出器を備える。眼科撮像装置はさらに動的振幅マスクを備え、動的振幅マスクは、眼の領域によって反射された光ビームの第1の部分からの光と、導光部によって後方反射され、走査要素によって走査される光ビームの走査角度の関数として変化する空間強度分布で動的振幅マスクに入射する光ビームの第2の部分からの光と、を導光部から受光するように眼科撮像装置内に配置される。動的振幅マスクは、眼の領域によって反射された光ビームの第1の部分から受け取った光が、光検出器に伝播することを可能にするように構成されたマスクされていない部分と、光ビームの第1の部分が眼の領域にわたって走査するときに、導光部によって後方反射された光ビームの第2の部分からの光の少なくとも一部が光検出器に到達することを妨げるように、走査角度の関数として変化するように構成される空間分布を有するマスクされた部分と、を有する。
【0004】
本明細書の第2の例示的な態様によれば、導光部と、導光部に入射する光ビームの第1の部分が眼の領域にわたって走査するために導光部によって誘導され、導光部に入射する光ビームの第2の部分が導光部によって後方反射されるように、導光部を横切って光ビームを走査するように動作可能な走査要素と、を備える、眼を撮像するための眼科撮像装置が提供される。眼科撮像装置はさらに、受光器であって、眼の領域によって反射され、導光部によって受光器に導かれた光ビームの第1の部分からの光と、導光部によって後方反射され、受光器の光検出面上に、走査要素によって走査される光ビームの走査角度の関数として変化する空間強度分布で受光器に入射する光ビームの第2の部分からの光と、を含む光検出面に入射する光の、受光器の光検出面にわたる空間光強度分布を検出するように眼科撮像装置内に配置されている受光器をさらに含む。眼科撮像装置はさらに、デジタルマスクによってマスクされた検出された空間光強度分布の、マスクされた部分において検出された光強度の値を低減し、処理された光強度分布に基づいて画像データを生成するように、空間光強度分布にデジタルマスクを適用することによって、受光器によって検出された空間光強度分布を処理するように構成された画像プロセッサを備える。マスクされた部分は、光ビームの第1の部分が眼の領域にわたって走査するときに、生成される画像データ対する導光部によって後方反射された光ビームの第2の部分からの光の寄与を低減するように、走査角度の関数として変化するように構成される空間分布を有する。
【0005】
次に、本発明の実施形態を、以下に説明する添付の図を参照して、非限定的な例としてのみ詳細に説明する。異なる図に現れる同様の参照番号は、特に明記しない限り、同一又は機能的に類似した要素を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は本明細書の第1の例示的な実施形態による眼科撮像装置の概略図である。
図2A図2Aは、第1の例示的な実施形態によるマイクロミラーのアレイを含む動的振幅マスクを示した図である。
図2B図2Bは、図2Aに示されている動的振幅マスクのマイクロミラーアレイ内のマイクロミラーの2つの異なる向きを示した図である。
図3図3は、第1の例示的な実施形態の動的振幅マスクの一部を形成するコントローラのハードウェア実装の例を示した図である。
図4図4は、第1の例示的な実施形態による眼科撮像装置の第1の例示的な実装の概略図である。
図5図5は、第1の例示的な実施形態による眼科撮像装置の第2の例示的な実装の概略図である。
図6A図6Aは、第1の例示的な実施形態の変形例による液晶セルのアレイを含む動的振幅マスクを示した図である。
図6B図6Bは、入射光を遮光するように配置された第1の液晶の第1の液晶セルと、入射光を透過するように配置された第2の液晶相の第2の液晶セルとを示した図である。
図7図7は、本明細書の第1の例示的な実施形態の動的振幅マスクのマスクされた部分及びマスクされていない部分の例を示した図である。
図8A図8Aは、走査ビーム角度の第1のセットについて、動的振幅マスクのデジタルマイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーの向きの構成に関するそれぞれの構成情報を格納する第1のルックアップテーブルを示した図である。
図8B図8Bは、走査ビーム角度の第2のセットについて、動的振幅マスクのデジタルマイクロミラーアレイにおけるマイクロミラーの向きの構成に関するそれぞれの構成情報を格納する第2のルックアップテーブルを示した図である。
図9図9は、本明細書の第1の例示的な実施形態による、動的振幅マスクのマスクされた部分におけるマイクロミラーのインターリーブ配置の例を示した図である。
図10図10は、本明細書の第3の例示的な実施形態による眼科撮像装置の例示的な実装を示した図である。
図11図11は、本明細書の第4の例示的な実施形態による眼科撮像装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
取得した眼の画像に対するSLOの導光部内の光学要素からの望ましくない後方反射の悪影響は、共焦点検出に使用される開口部のサイズを小さくすることによって抑制され得るが、そうすると取得した眼の画像の信号対雑音比(SNR)が減少する傾向がある。さらに、本発明者は、走査ビームが網膜又は眼の他の部分にわたって走査するときに、後方反射の空間強度分布が走査ビームの走査角度と共に動的に変化する可能性があり、多くの撮像システムにおいて特定の走査角度で強い反射が観察されることに気づいた。本発明者は、撮像光ビームの走査角度に応じてマスク構成を変更するように構成されている動的振幅マスクを含むように眼科撮像装置を適合させることにより、SNRの改善を達成しつつ、取得した眼の画像中の反射による画像アーチファクトが効果的に抑制され得ることを発見した。以下でより詳細に説明するように、動的振幅マスクは、物理デバイスであっても、デジタルで実装されてもよい。例えば、眼科撮像装置の撮像面又はフーリエ面など、眼科撮像装置の任意の適切な面における後方反射光の空間強度分布は、その後に実行される走査の過程で走査角度が変化するときに、眼科撮像装置の光検出器によって形成される画像に対して後方反射光の少なくとも一部が寄与するのを妨げるために、較正プロセスで異なる走査角度について決定され得、かつ動的振幅マスクを構成するために使用されることができ、したがって、結果として得られる眼の画像中の後方反射によって引き起こされる望ましくない画像アーチファクトを低減又は除去することができる。
【0008】
ここで、添付の図面を参照して、本明細書の例示的な実施形態を詳細に説明する。
【0009】
図1は、本明細書の第1の例示的な実施形態による眼科撮像装置10の構成要素を示す図である。眼科撮像装置10は、導光部50と、導光部50を通じて1又は複数の方向に光ビームを走査するように動作可能である少なくとも1つの走査要素40とを含み、導光部50に入射する光ビームの第1の部分は、眼70の領域80にわたって走査するように導光部50によって誘導され、導光部50に入射する光ビームの第2の部分は、導光部50を通って伝播されて眼70に到達することなく、導光部50によって後方反射されるようになる。
【0010】
眼科撮像装置10はさらに、光検出器20を含み、光検出器20は、眼70の領域80によって反射され、かつ導光部50によって光検出器20に誘導された光ビームの第1の部分からの光を検出するように構成される。
【0011】
眼科撮像装置10はさらに、動的振幅マスク30を含み、動的振幅マスク30は、眼70の領域80によって反射された光ビームの第1の部分からの光を導光部50から受光するように、眼科撮像装置10内に位置及び配向される。動的振幅マスク30はまた、(導光部50を通って伝播されて眼70に到達することなく)導光部50によって後方反射され、かつ、動的振幅マスク30の表面上で、走査要素40によって走査された光ビームの走査角度αに応じて所定の方法で変化する空間強度分布で動的振幅マスク30に入射する、光ビームの第2の部分からの光を導光部50から受光するために、眼科撮像装置10内に位置及び配向される。走査角度は、いくつかの異なる方法で定義され得る。例えば、走査角度αは、この例示的な実施形態のように、光ビームが走査要素40によって反射される走査要素40上の点において基準方向に対して測定され得る。基準方向は、例えば、光路に沿った方向の場合があり、これは、光ビームがこれに沿う場合、光ビームを眼70の走査領域80の中心点に導く。しかしながら、走査角度αはその他の方法で、(例えば、図4に示され、以下で詳しく説明されるように)例えば、眼科撮像装置10の焦点Pにおける基準方向(例えば、眼科撮像装置10の従来のZ軸)に対して定義されてもよいことに留意されたい。
【0012】
動的振幅マスク30にはマスクされていない部分があり、マスクされていない部分は、眼70の領域80によって反射された光ビームの第1の部分からの受光が実質的に減衰せずに光検出器20に伝播することを可能にするように構成される。動的振幅マスク30には、走査角度に応じて所定の方法で変化する空間分布を有するマスクされた部分もあり、その結果、マスクされた部分は、光ビームの第1の部分が眼70を領域80にわたって走査するときに、導光部50によって後方反射される光ビームの第2の部分からの光の少なくとも一部が光検出器20に到達するのを妨げる。動的振幅マスク30のマスクされた部分の形状は、眼科撮像装置10によって実行される走査で使用することができる光ビームの走査角度の少なくとも一部(好ましくはすべて)について、導光部50によって後方反射される光の前述の空間強度分布の少なくとも一部に等しい強度分布に実質的に従い得る。マスクされた部分は、導光部50によって後方反射される光ビームの第2の部分からの光の少なくとも一部が光検出器20に到達するのを妨げるように構成されている動的振幅マスク30のすべての部分を含むことに留意されたい。マスクされた部分を形成している動的振幅マスク30の部分の分布は、任意の所与の走査角度について、その走査角度に対して導光部50によって後方反射される光の動的振幅マスクの平面内の空間強度分布によって決定される。
【0013】
一例として、動的振幅マスク30は、この例示的な実施形態のように、図2Aに示すようにマイクロミラーアレイ31を含み得る。図2Aでは、アレイ31内の各マイクロミラー34は、基板32上に取り付けられており、第1の向きと第2の向きとの間で個別に切り替え可能である。図2Bを参照すると、各マイクロミラー34は、ピボットPを中心に回転することによってその向きを変えてもよい。図2Bのラベル34-01によって示されるように、マイクロミラー34が第1の向きに向けられると、マイクロミラー34は、マイクロミラーに入射する(導光部50から来た)光Lを光検出器20に向けて反射する。図2Bでは、光検出器20に向けて反射された光は、Lとしてラベル付けされている。他方、マイクロミラー34が(図2Bの34-02によって示されるように)第2の方向に向けられると、マイクロミラー34は、入射光を光検出器20から離れた方向に反射し、すなわち、反射光L’はこの場合、光検出器20に到達しない。さらに、動的振幅マスク30のマスクされていない部分は、第1の向き34-01にあるアレイのマイクロミラーから構成され得(すなわち、完全に構成され)、動的振幅マスク30のマスクされた部分は、第2の向き34-02にある(所望により、以下でより詳細に説明されるように一部のマイクロミラーは第1の向き34-01にある)アレイのマイクロミラーを含む。動的振幅マスク30の各マイクロミラーの向きは、動的振幅マスク30のコントローラ(図示せず)によって制御され、コントローラは、マイクロミラー34のマイクロミラーの向きを設定するための駆動信号を提供する。
【0014】
図3は、プログラム可能な信号処理ハードウェアにおける、図1の動的振幅マスク30のコントローラの例示的な実装を示す。図3のハードウェアはまた、例えば眼70の領域80上に光ビームの走査を実行するように1又は複数の走査要素を駆動したり、光検出器20によって実行された測定から眼の画像を生成したりするなど、眼科撮像装置10の動作の1又は複数の態様を制御してもよい。図3に示す信号処理装置は、走査要素40によって走査される光ビームの1又は複数の走査角度に関する情報を受信するため、及びマイクロミラーアレイ内のマイクロミラーのそれぞれの方向を調整するために制御情報を送信するための通信インターフェース(I/F)110を備える。信号処理装置100はさらに、動的振幅マスク30の全体的な動作を制御するためのプロセッサ(CPU)120と、作業メモリ130(例えば、ランダムアクセスメモリ)と、プロセッサ120によって実行されると動的振幅マスク30内のマイクロミラーの向きの配置を制御するために以下で説明する処理動作をプロセッサ120に実行させるコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム190を格納する命令ストア140とを備える。命令ストア140は、コンピュータ可読命令がプリロードされたROM(例えば、電気的に消去可能なプログラム可能な読み取り専用メモリ(EEPROM)又はフラッシュメモリの形態)を備えてもよい。あるいは、命令ストア140は、RAM又は同様のタイプのメモリを備えてもよく、コンピュータ可読命令は、CD-ROMなどのコンピュータ可読記憶媒体150などのコンピュータプログラム製品、又はコンピュータ可読命令を搬送するコンピュータ可読信号160からそれに入力されることができる。
【0015】
この例示的な実施形態では、プロセッサ120、作業メモリ130及び命令ストア140を含む、図3に示すハードウェアコンポーネントの組み合わせは、動的振幅マスク30のコントローラの機能を実装するように構成され、これを次に図4図9を参照して詳細に説明する。
【0016】
図4は、第1の例示的な実施形態による眼科撮像装置の例示的な実装を示す概略図である。
【0017】
眼科撮像装置10は、この例示的な実施形態のように、SLOの形態で提供されてもよく、ラスターパターンなどで領域80にわたって集束レーザービームを走査するために水平及び垂直走査ミラー(又は2つの(通常は直交する)軸の周りで回転可能な単一のXY走査ミラー)を使用して、また走査の過程で網膜の走査された領域80から反射された光を検出するために光検出器20を使用して、(眼70の走査された部分の例として)眼70の網膜の領域80の画像を生成するように構成されている。共焦点検出のために、光検出器20の前にピンホールを置いてもよい。
【0018】
眼科撮像装置10はさらに、走査ビーム201を形成する光を生成するための、レーザーなどの光源200を備える。光源200は、例えば、400nm~1100nmの範囲の波長を有する光を放出するように構成され得る。光源200から放出された光は、本実施形態のように、特定の波長範囲を有する光のみが眼70に向けて放出されるように、バンドパスフィルタ(図示せず)を通過してもよい。
【0019】
SLOの1又は複数の走査要素40は、光ビーム201を導光部50上で走査するように動作可能であり、本実施形態では、Hガルバノミラー(「H-ガルボ」)40a及びV-ガルバノミラー(「V-ガルボ」)40bを含む2ミラースキャナ構成の例示的な形態をとり、これらは、光源200からの光ビームを受光し、光ビームを導光部50上で水平方向及び垂直方向に走査し、導光部50が次いで光を網膜に誘導する光学的配置で設けられている。走査要素40を形成する2つのガルバノミラーは、光ビーム201の導光部50への光路が変化するように、SLOのコントローラ(図示せず)の制御下でそれぞれのモータによって回転されるため、光ビーム201を使用して照らされ、かつ撮像される網膜上の位置を変化させる。この例示的な実施形態では、導光部50上で走査される光ビームの走査角度は、Hガルバノミラー40a及びVガルバノミラー40bの傾斜角度(θ、φ)に依存し、ここで、角度θはH-ガルバノミラー40aの傾斜角度であり、角度φはV-ガルバノミラー40bの傾斜角度である。傾斜角度θ及びφは、Hガルバノミラー40a及びVガルバノミラー40bのそれぞれの回転軸周りの回転度をそれぞれ示す。H-ガルバノミラー40a及びV-ガルバノミラー40bは、例えば、米国特許第7,959,290号に記載されているような構成で設けられてもよく、この内容はその全体が本明細書に組み込まれる。この場合、Hガルバノミラー40a及びVガルバノミラー40bは、この米国特許の図1に示される第1の走査要素(14)及び第2の走査要素(16)と同じ方法で配置されてもよく、配置は記載されている走査補償手段(18)を含む。
【0020】
導光部50は、本実施形態のように、一組の凸レンズ55-1から55-3を含む鏡筒の形態をとってもよく、この形態は、光ビーム201を走査要素40から傾斜角度(θ、φ)に依存する網膜上の点まで誘導するように構成され、また、網膜によって反射された光を走査要素40に戻すよう誘導するように構成されている。しかしながら、導光部50は、レンズベースである必要はなく、例えば、光ビーム201を走査要素40から眼70に誘導するように構成された1又は複数のミラーの代替形態をとってもよい。図5は、ミラーベースの導光部50-2を使用する眼科撮像装置10-2の例示的な実装を示す。図5に示すように、導光部50-2は、図5の例のように、楕円形ミラーの形態をとってもよく、眼科撮像装置10-2の使用中に走査要素40はミラーの第1の焦点に位置し、眼70の瞳孔はミラーの第2の焦点Pに位置する。したがって、眼科撮像装置10-2は、例えば、米国特許第5,815,242号に記載されている種類の広視野を撮像するための光学的配置を採用してもよく、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。図5の例では楕円形のミラーが使用されているが、ミラーはまた、非球面ミラー、又は光ビームを眼70の一部に収束するように適切に成形された任意のミラーの形をとることができる。
【0021】
図4の例示的な実施形態を再び参照すると、導光部50は、すべての走査角度で走査要素40から眼70へ実質的にすべての光を透過させることはできず、入射光の一部を走査要素40に後方反射し、ここで、反射される部分は、光ビーム201の走査角度αによって変化する。通常、図4に示す種類のレンズベースの撮像システムでは、ビーム走査角度αの特定の値で強い後方反射が得られる。同様の問題は、多くのミラーベースの撮像システムでも発生する。
【0022】
眼科撮像装置10はさらに光検出器20を備え、光検出器20は、網膜によって反射され、導光部50によって光検出器20に誘導された光を検出するように構成される。
【0023】
眼科撮像装置10はビームスプリッタ230も有し、ビームスプリッタ230は、光源200からの光ビームが走査要素40を通過することを可能にすると共に、網膜から反射された光の一部を光検出器20に誘導するのに役立つ。光カプラー240は、ビームスプリッタ230に接続され、眼科撮像装置10のフーリエ面255からの光をビームスプリッタ230に結合するように構成される。
【0024】
動的振幅マスク30は、本実施形態のように、例えば、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Mirror Device:DMD)の形態をとってもよい。動的振幅マスク30を形成するDMDは、回転可能なマイクロミラーのアレイを含み、これらは、第1及び第2の一方の異なる方向から第1及び第2の他方の方向に切り替わるように動的振幅マスク30のコントローラによって個別に制御可能である。より具体的には、DMDは、DMD内の各マイクロミラーを、走査要素40から返された光を光検出器20に向けて反射するために第1の方向、又は入射光を光検出器20から離れた方向に反射し、したがって、走査要素40から戻された光が光検出器20に到達するのを妨げるように第2の方向のいずれかに設定するように構成され得る。このように、DMDを使用すると、DMDの各マイクロミラー位置で受光された光のバイナリ振幅変調が可能になる。
【0025】
動的振幅マスク30の機能は、例えば、液晶セルのアレイ、又はアナログマイクロミラーアレイなど、DMD以外の任意の適切なタイプの空間光変調器によって提供され得ることに留意されたい。図6Aを参照すると、動的振幅マスクが液晶セルのアレイ31-2を含む代替の例示的な実施形態では、アレイ31-2の各液晶セル34-2内の液晶は、第1の液晶相と第2の液晶相との間で個別に切り替え可能であり得る。図6Bに示すように、第1の液晶相にある液晶セル34-21は、そこに入射する光Lを光検出器20に向けて透過する。他方、第2の液晶相にある液晶セル34-22は、入射光Lが光検出器20に透過されるのを妨げることで、入射光Lを遮光する。さらに、動的振幅マスク30のマスクされていない部分は、第1相に液晶を有するアレイ31-2の液晶セルから構成され得、一方、動的振幅マスク30のマスクされた部分は、第2相に液晶を有するアレイの液晶セルを含み得る。
【0026】
図4に示される例示的な実施形態に戻ると、動的振幅マスク30は眼科撮像装置10内に配置されて、眼70から反射された光、並びに導光部50の1又は複数の光学面によって後方反射された光を導光部50から受光する。上記のように、この反射光は、走査要素40によって走査される光ビーム201の走査角度αの関数として変化する空間強度分布で動的振幅マスク30に入射する。
【0027】
DMDの形態の動的振幅マスク30は、この例示的な実施形態のように、眼70から反射された光が走査要素40によって動的振幅マスク30を介して光検出器20に導かれるように、走査要素40と光検出器20との間の光路内で眼科撮像装置10のフーリエ面255内に置かれてもよい。DMDがフーリエ面255に置かれると、DMDに入射する光の強度分布は、導光部50から受光された光の強度の角度分布を示す。
【0028】
一例として、凸レンズ270は、走査要素40によって返されるSLO光のフーリエ変換を実施し、一方、凸レンズ250は、凸レンズ250の後ろの平面245が眼科撮像装置10の像面となるように逆変換を実施する。したがって、走査要素40から返された光のフーリエ面255は、レンズ250及び270のそれぞれから1焦点距離である位置で、レンズ250と270との間に位置する。凸レンズ250は、この例示的な実施形態のように、光カプラー240から1焦点距離の距離にあり得る。
【0029】
眼科撮像システム10は、本実施形態のように、対象の眼70における回折誤差を補償するために、走査要素40から返された光を再集束させるための凸レンズ280をさらに備え得る。この例では、凸レンズ280の位置は、眼70から返された光が275に位置する中間像面に集束されるように、モータによって制御される。
【0030】
動的振幅マスク30は、この例示的な実施形態では眼科撮像装置10のフーリエ面255に位置するが、動的振幅マスク30は、代わりに、例えば275の平面など、眼科撮像装置10の像面に置かれる場合があることに留意されたい。さらなる代替例として、動的振幅マスク30は、眼科撮像装置10の像面とフーリエ面との間にある平面に置かれてもよい。
【0031】
動的振幅マスク30は、眼70から反射された(及び導光部50によってマスク30に導かれた)光が光検出器20に伝播することを可能にするように構成されているマスクされていない部分と、後方反射光(すなわち、眼70に入射することなく、導光部50によって後方反射された走査要素40からの光)の少なくとも一部が光検出器20に到達するのを妨げるように構成されているマスクされた部分とを有する。動的振幅マスク30のマスクされた部分は、本実施形態のように、上記で定義された第1の向きに設定されているDMDのマイクロミラーで構成され得、一方、マスクされていない部分は、上記で定義された第2の方向に設定されているDMD内のマイクロミラーで構成され得る。図7は、マスクされた部分36とマスクされていない部分38とを含む動的振幅マスク30の例示的な概略図を提供する。図7は、マスク30の単一の領域によって形成されるマスクされた部分36を示しているが、マスクされた部分36は、代わりに、動的振幅マスク30上の複数の孤立した領域によって形成され得ることに留意されたい。
【0032】
さらに、この例示的な実施形態の動的振幅マスク30は、上記のように、空間的に離散したマスキング要素によって形成されるが、動的振幅マスク30は、代わりに、例えば連続的に変形可能な反射面を採用することによって、マスクの表面全体にわたって連続的に可変である光学マスキングを提供するように構成されてもよい。さらに、動的振幅マスク30は、上記のように光のバイナリ変調を実行する必要はなく、いくつかの例示的な実施形態では、最大強度レベル(マスク30から光検出器20に減衰せずに通過する光に対応する)と最小強度レベル(動的振幅マスク30によって完全にマスク(又は遮光)され、光検出器20が光強度ゼロに対応する値を検出する光に対応する)との間にある中間出力光強度レベルを提供するために、受光した光の強度を変調し得る。
【0033】
上記の動的振幅マスク30のコントローラ(図示せず)は、走査要素40によって走査される光ビーム201の走査角度αの関数として、マスクされた部分36の空間分布を変化させるように構成され、その結果、マスクされた部分36の形状は、光ビーム201の走査角度αが走査の過程で変化するときに、動的振幅マスク30の導光部50からの後方反射光の空間強度分布に従う。したがって、動的振幅マスク30は、走査角度αのすべての値について、望ましくない後方反射光の強度を少なくとも部分的に低減するように構成される。
【0034】
動的振幅マスク30は、この例示的な実施形態のように、走査要素40によって走査された光ビーム201の走査角度αを示す情報(例えば、H-ガルボ40a及びV-ガルボ40bの向きを設定するためにSLOのコントローラによって生成される駆動信号など、傾斜角度θ及びφを示す信号)を受け取り、受け取った情報を使用して、マスクされていない部分38を形成するようにマイクロミラーアレイ31内のどのマイクロミラー34が第1の向きに設定されるべきか、そしてマスクされた部分36の少なくとも一部を形成するためにどのマイクロミラー34が第2の向きに設定されるべきかを決定するように構成されてもよい。この決定は、この例示的な実施形態のように、複数の走査角度範囲の各走査角度範囲に対して設定される動的振幅マスク30のマイクロミラーのそれぞれの向きを示す、事前に格納されたマスク構成情報に基づいてもよい。マスク構成情報は、例えば、ルックアップテーブルなどの任意の適切な形式で格納され得る。さらに、マスク構成情報は、本実施形態のように、以下に説明するように、較正プロセスを通じて事前に取得されてもよい。
【0035】
各走査角度範囲のマスク構成情報は、動的振幅マスク30の表面上の後方反射光の空間強度分布の特徴付けに基づいて事前に決定され得る。動的振幅マスク30上の後方反射光の空間強度分布は、例えば、(眼70の代わりに)実質的に無反射の撮像対象物上で、又は撮像対象物が存在しないため後方反射光以外の光が導光部50によってほとんど又はまったく返されない状態で、撮像用走査を実行するように眼科撮像装置10を制御することによって特徴付けられてもよい。この場合、複数の異なる走査角度について後方反射光を測定するために、較正プロセスにおいて動的振幅マスク30の代わりに受光器アレイ(図示せず)を眼科撮像装置10に配置することができる。例えば、この例示的な実施形態のように、動的振幅マスク30が装置10の通常の動作のために眼科撮像装置10のフーリエ面(例えば、平面255)に置かれる例示的な実施形態において、後方反射強度分布は、受光器アレイが同じフーリエ面に置かれ、後方反射光の角度強度分布の指標を提供する「反射画像」を取得するために使用される、較正プロセスに基づいて特徴付けられてもよい。動的振幅マスク30が装置10の通常動作のために眼科撮像装置10の像面に置かれる代替の実施形態において、後方反射強度分布は、複数の異なる走査角度についてこの平面にわたる後方反射光の空間強度分布を測定するために(動的振幅マスク30の代わりに)同じ像面に置かれた受光器アレイを使用した較正プロセスに基づいて、同様に特徴付けられ得ることに留意されたい。
【0036】
反射画像を生成するために使用される受光器アレイ(図示せず)は、動的振幅マスク30の受光面と実質的に同じサイズの検出面を有し得、各受光器の位置を動的振幅マスク30の対応する要素に、例えばこの例示的な実施形態の動的振幅マスク30を形成しているマイクロミラーアレイ31上の対応するマイクロミラー34にマッピングできるように受光器アレイ密度を有し得る。あるいは、受光器アレイは、動的振幅マスク30の受光面の検出面よりも大きい検出面、及び異なる受光器アレイ密度を有し得、受光器の位置と動的振幅マスク30の対応する要素との間のマッピングは、例えば補間によって決定され得る。
【0037】
較正プロセス中、受光器アレイは、眼科撮像装置10が非常に低い(理想的にはゼロの)反射率で試験撮像対象物を撮像するときに、導光部50から受光器アレイに入射する光の空間強度分布を複数の走査角度の各々について記録するために、SLOのコントローラ(又は、例えば、較正プロセス中に受光器アレイに接続された専用コンピュータ)によって制御されてもよい。受光器アレイ全体のすべての受光器の位置で検出された光の強度が、各走査角度αの反射画像が生成されるようにSLOコントローラによって記録される。アレイで検出された光(装置が試験画像を撮像することにより生じる)が所定の閾値を超える強度値を示すピクセル位置を識別及び記録して、有意なレベルの後方反射を検出するアレイの位置を示してもよい。受光器アレイ上の各受光器位置は、この例の動的振幅マスク30上のそれぞれのマイクロミラーに対応するため、非常に高い強度の後方反射光を経験する(すなわち、所定の閾値レベルを超える)受光器アレイの領域は、動的振幅マスク30のマスクされた領域を決定するために使用され得る。
【0038】
例えば、この例示的な実施形態では、所与の走査角度の反射画像を取得した後、所定の閾値を超える強度値を測定した受光器アレイ内の受光器は、動的振幅マスク30上に対応して位置するマイクロミラーアレイ31のマイクロミラー34にマッピングされ、これらは、当該走査角度αのマスクされた部分を形成するように第2の向きに設定されるべきである。これらのマイクロミラーを識別する情報は、眼科撮像装置10内のメモリユニット(例えば、命令ストア140)内に、選択された走査角度に関連してマスク構成情報として格納され得る。眼科撮像装置10の通常動作中に、動的振幅マスク30は、眼70の領域80内の対応する点を撮像するときに使用される計画された各走査角度について、計画された走査角度に最も近い較正中に使用された走査角度に関連付けられたマスク構成情報を(メモリユニットから)検索し、検索したマスク構成情報を使用して、その走査角度に対して生成された後方反射光が検出器20に到達するのを妨げるように(又は後方反射光の強度を少なくとも低減するように)動的振幅マスク30を構成する。
【0039】
上記の較正プロセスが複数の走査角度に対して実行され、それぞれのマスク構成情報が複数の走査角度の各々について(メモリユニットに)格納される。走査を実行する間に眼科撮像装置10によって使用される予定の各走査角度について、較正中に使用された最も近い走査角度に関連して格納されたマスク構成情報が検索され、動的振幅マスク30の構成を設定するために使用され得る。
【0040】
図8A及び図8Bは、上記の較正手順中に得られたマスク構成情報を格納するルックアップテーブルの例を示し、走査の過程で使用されるマイクロミラーの向きを決定するために眼科撮像装置10によってこれを使用することができる。例示的なルックアップテーブルは、例えば、メモリユニットに格納され得る。
【0041】
図8Aは、10°の走査要素40のHガルボミラー40aの傾斜角度θ、及び10°のVガルボミラー40bの傾斜角度φについて、較正中に得られたマスク構成情報を格納する例示的なルックアップテーブルを示す。図8Aのルックアップテーブルは、マスク構成情報をバイナリビット値の2次元アレイの形式で格納し、各バイナリビット値は、マイクロミラーアレイ内の対応する位置にあるマイクロミラーの第1の向き又は第2の向きのいずれかを表す。表中のビット値「1」は、マイクロミラー34を上記の第1の向きに設定することを示し、ビット値「0」は、マイクロミラー34を第2の向きに設定することを示す。図8Bは、走査角度の第2のセット(即ち、θ=10°及びφ=20°)のマスク構成情報を格納する別のルックアップテーブルの例を示す。もちろん、図8A及び図8Bに示す例示的なルックアップテーブルは、例示のみを目的としており、本発明の範囲は必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0042】
動的振幅マスク30内の各マイクロミラー34には、(x、y)座標が割り当てられ、テーブル内のエントリに対応する。したがって、図8A及び図8Bの例示的な例のルックアップテーブルには、16個のマイクロミラーの2次元アレイを有する動的振幅マスクのマスク構成情報が提供されているが、本明細書の他の例示的な実施形態では、ルックアップテーブルには、そのマイクロミラーアレイ内により少ない又はより多い数のマイクロミラーを有する動的振幅マスクのマスク構成が、より一般的には格納され得る。眼科撮像装置10のいくつかの実際の実装では、例えば、ルックアップテーブルは、数百又は数千のエントリを有し得る。
【0043】
いくつかの例示的な実施形態では、動的振幅マスク30のマスクされた部分は、第1の向きのマイクロミラー34と第2の向きのマイクロミラーとのインターリーブ配置を含み得る。そのような例示的な実施形態では、動的振幅マスク30は、(コントローラに接続されたキーボード又はタッチパッドなどの入力デバイスを介して)ユーザ入力に基づいて生成された比率設定信号を受信し、受信した比率設定信号に従って、マスクされた部分の第1の向きのマイクロミラー34の数とマスクされた部分の第2の向きのマイクロミラー34の数との比を設定するように構成されてもよい。
【0044】
図9は、第1及び第2の向きのマイクロミラー34のインターリーブ配置を含む、マスクされていない部分38とマスクされた部分39とを有する動的振幅マスク30の例を示し、マスクされた部分39内の図示の市松模様のパターン内の白い四角は第1の向きのマイクロミラーを表し、一方、黒い四角は第2の向きのマイクロミラーを表す。図9の例では、動的振幅マスク30は、50%の比率を示す比率設定信号に従って構成され、その結果、マスクされた部分39内のマイクロミラー34の半分は、第2の向きに設定され、マスクされた部分39内の残りのマイクロミラー34は、第1の向きに設定されている。動的振幅マスク30のマスクされた部分における第1の向きのマイクロミラー34の数と第2の向きのマイクロミラー34の数との比を調整することにより、光検出器20によって検出される光の強度を調整して、検出される信号(反射画像)のSNRと後方反射抑制の有効性との間に十分なトレードオフを得ることができる。
【0045】
動的振幅マスク30が液晶セルアレイの代替形態をとるいくつかの例示的な実施形態では、同様に、動的振幅マスク30のマスクされた部分が、第1相の液晶セルと第2相の液晶セルとのインターリーブ配置を含み得る。そのような実施形態では、動的振幅マスク30は、同様に、上記のようにユーザ入力に基づいて生成された比率設定信号を受信し、受信した比率設定信号に従って、動的振幅マスク30のマスクされた部分の第1相の液晶セルの数と動的振幅マスク30のマスクされた部分の第2相の液晶セルの数との比率を設定するように構成され得る。
【0046】
図4に示す実施形態などの例示的な実施形態では、動的振幅マスク30は、好ましくは、導光部50及び走査要素40を介して眼70からマスク30に伝わった光だけでなく、光源200から眼70に向けて反対方向に進行する光もマスクするように、眼科撮像装置10に配置されることに留意されたい。この種の光学的配置では、動的振幅マスク30は、後方反射光を抑制することに加えて、走査角度αとして眼70に入る光の強度も変化させることができ、したがって、マスク30の構成は、眼科撮像装置10によって実行される走査の過程で変化する。眼70に入る光ビームの強度の変動は、取得された眼の画像にアーチファクトを引き起こす可能性がある。
【0047】
前述のことに対処するために、眼科撮像装置10は、この例示的な実施形態のように光強度コントローラ210をさらに備えてもよく、光強度コントローラ210は、動的振幅マスク30によって受光される光の強度を制御するように構成され、走査要素40によって導光部50を通して走査される光ビーム201の強度が走査角度αに実質的に依存しないように、走査角度αの関数として、走査要素40によって導光部50を通して走査される光ビーム201を形成する。
【0048】
光強度コントローラ210は、この例示的な実施形態のように可変光減衰器(図4には示されていない)を備えてもよく、可変光減衰器は、動的振幅マスク30によって受光され、走査要素40によって導光部50を通して走査される光ビームを形成する(光源200からの)光を減衰させるように構成される。光強度コントローラ210は、走査要素40によって導光部50を通して走査される光ビームの強度が走査角度に実質的に依存しないように、走査角度の関数として光の減衰を変化させるために可変光減衰器を制御するように構成され得る。可変光減衰器(図示せず)によって実行される減衰のレベルは、複数の異なる走査角度毎に、眼70に発射される光のパワー変動の事前特徴付けに基づいて選択されてもよい。この事前特徴付けは、各走査角度について眼科撮像装置10から出力される光ビームの強度を測定することによって行われ得る。あるいは、光強度コントローラ210は、本実施形態のように、各走査角度のマスク構成情報を使用することによって、光の減衰を変化させるために可変光減衰器(図示せず)を制御するように構成され得る。例えば、いくつかの実施形態では、光強度コントローラ210は、可変光減衰器を制御して、上記で論じた走査角度によるマイクロミラー配向比の変化(例えば、ルックアップテーブルからの対応する情報)に基づいてその減衰を変化させてもよい。より一般的には、眼70にわたって走査する光ビームの強度の変動は、動的振幅マスク30上のマスクされた部分32の面積の変化に直接関連するため、走査角度を伴うマスクされた部分の面積の変化を示す任意の情報をコントローラ210によって使用して、走査角度の関数として減衰器の必要な減衰レベルを設定してもよい。
【0049】
[実施形態2]
上記の例示的な実施形態では、単一の動的振幅マスク30が、眼科撮像装置10に、例えば眼科撮像装置10のフーリエ面(例えば、255)又は像面(例えば、275)に設けられる。しかしながら、眼科撮像装置は、2つ以上の動的振幅マスク30を含み得、この例示的な実施形態のように、眼科撮像装置のフーリエ面に位置する第1の動的振幅マスク(第1の例示的な実施形態と同じ)と、眼科撮像装置の像面に位置する第2の動的振幅マスクとを含み得る。第2の動的振幅マスクは、第2のマスクされていない部分及び第2のマスクされた部分を含み得、第2のマスクされた部分はまた、走査要素40によって走査される光ビームの走査角度の関数として変化するように構成される空間分布を有する。
【0050】
したがって、図4を参照して上記で説明した例示的な実施形態の変形例である第2の例示的な実施形態では、第1の動的振幅マスクはフーリエ面255に置かれ、第2の動的振幅マスクは像面275に置かれる。したがって、第1の動的振幅マスクは、走査角度に基づいて、フーリエ面で導光部50から反射された光の空間光変調を実行するように配置される。第2の動的振幅マスクは、走査角度に基づいて、像面で導光部50から反射された光の空間光変調を実行するように構成される。
【0051】
第2の例示的な実施形態では、第1の動的振幅マスク及び第2の動的振幅マスクの両方が、走査角度に基づいてそれぞれのマスクされた部分の空間分布を変化させるように構成されるが、任意の走査角度について、第1の動的振幅マスクは、2つの動的振幅マスクに入射する反射光の空間分布が異なる可能性があるため、第2の動的振幅マスクのマスクされた部分の空間分布とは異なる空間分布を有するマスクされた部分を有するように構成され得ることに留意されたい。第1の例示的な実施形態を参照して上記で説明したものと同様の較正プロセスを使用して、第2の動的振幅マスクのマスク構成情報を取得してもよい。
【0052】
他の点では、この例示的な実施形態は、第1の例示的な実施形態と同じであり、上記の第1の例示的な実施形態への変形及び修正は、本実施形態にも適用可能である。
【0053】
[実施形態3]
第3の例示的な実施形態では、第1の例示的な実施形態で説明した動的振幅マスクのマスクされた部分及びマスクされていない部分は、平面の第1の領域に設けられ(これらの部分をそれぞれ、第1のマスクされた部分及び第1のマスクされていない部分と呼ぶ)、動的振幅マスクはさらに、第2のマスクされた部分及び第2のマスクされていない部分を含み、これらは同じ平面の第2の領域に設けられ、第2の領域は、第1の領域とは異なるか又は別個である。さらに、平面の第1の領域は、眼科撮像装置のフーリエ面と一致し、平面の第2の領域は、眼科撮像装置の像面と一致する。
【0054】
これに加えて、第2のマスクされていない部分は、眼70の領域80によって反射され、かつ動的振幅マスクの第1の領域の(第1の)マスクされていない部分を通過した光ビームの第1の部分からの光が、光検出器20に伝播するように構成される。さらに、第2のマスクされた部分は、走査角度としての関数として変化するように構成されている空間分布を有する。特に、第2のマスクされた部分の空間分布は、光ビームの第1の部分が眼70の領域80にわたって走査するときに、導光部50によって後方反射され、第1の領域の動的振幅マスクの(第1の)マスクされていない部分を通過した光ビームの第2の部分からの光の少なくとも一部が光検出器20に到達することを第2のマスクされた部分が妨げるように、変化するよう構成される。
【0055】
図10は、第3の例示的な実施形態による眼科撮像装置10-3の概略図である。図10では、動的振幅マスク295は、眼科撮像装置10-3の像面と一致する第1の領域R-1を含む。第1の領域R-1は、第1のマスクされた部分R-1と、第1のマスクされていない部分 -1とを含む。動的振幅マスク295はさらに、眼科撮像装置10-3のフーリエ面と一致する第2の領域R-2を含む。第2の領域R-2は、第2のマスクされた部分R-2と、第2のマスクされていない部分R-2とを含む。図10に示すように、第1の領域R-1及び第2の領域R-2は、同じ平面に位置し、互いに分離されている。図4の第1の例示的な実施形態に示された参照番号と同じ参照番号を有する、図10に示される眼科撮像装置10-3の他の構成要素は、図4に示された第1の例示的な実施形態の対応する構成要素と同じように機能する。動的振幅マスク295の異なる実装に加えて、唯一の違いは、図10では、収束レンズ250及び270の再配置があり、第1の領域R-1と第2の領域R-2との間で光を導く役割をするミラー290が設けられていることである。この再配置は、図10に示す例示的な実施形態において、眼科撮像装置10-3のフーリエ面と眼科撮像装置10-3の像面を同一平面にすることを可能にする。
【0056】
他の点では、この例示的な実施形態は、第1の例示的な実施形態と同じであり、上記の第1の例示的な実施形態への変形及び修正は、本実施形態にも適用可能である。
【0057】
[実施形態4]
上記の例示的な実施形態の眼科撮像装置には、光検出器20、200によって生成される画像における望ましくない反射を低減するために、導光部50によって返される光を物理的にマスキングするための少なくとも1つの動的振幅マスク30、295が各々設けられている。他方、第4の例示的な実施形態の眼科撮像装置は、特に走査の過程で取得された画像を処理し、その中の望ましくない反射を低減するために、デジタル領域でマスキングを実行するように構成される。この例示的な実施形態は、物理的な構成要素としての光検出器20及び動的振幅マスク30の代わりに、検出された画像を処理し望ましくない反射をデジタルで除去するデジタルマスクを実装するように構成された受光器及び画像プロセッサを有することにより、第1の例示的な実施形態とは異なる。しかしながら、前述の例示的な実施形態と共通して、この例示的な実施形態はまた、導光部50からの反射の強度分布が走査角度でどのように変化するかを示す情報を利用する。特に、反射光の角度に依存する性質のために、デジタルマスクは、走査要素によって走査された光ビームの走査角度に基づいて動的にデジタルマスキングを実行するように適合される。
【0058】
図11は、第4の例示的な実施形態による、眼70を撮像するための眼科撮像装置10-4を示す。眼科撮像装置10-4は、導光部50と走査要素40とを備え、これらは第1の実施形態と同じである。すなわち、走査要素40は、導光部50に入射する光ビームの第1の部分が、眼70の領域にわたって走査するために導光部50によって誘導され、導光部50に入射する光ビームの第2の部分が、導光部50によって後方反射されるように、導光部50を通して光ビームを走査するように動作可能である。
【0059】
眼科撮像装置10-4は、光検出面を有する受光器37をさらに含む。受光器37は、光検出面に入射する光の空間光強度分布を検出するように眼科撮像装置10-4に配置され、入射光は、眼70の領域80によって反射され導光部50によって受光器37に導かれた光ビームの第1の部分からの光と、導光部50によって後方反射され、走査要素40によって走査される光ビームの走査角度の関数として変化する光検出面上の空間強度分布で受光器37に入射する光ビームの第2の部分からの光とを含む。
【0060】
一例として、受光器37は、本実施形態のように、相補型金属-酸化膜-半導体(CMOS)画像センサの形態で設けられてもよい。しかしながら、受光器37は、代わりに、例えば、電荷結合素子(CCD)画像センサ、又はそこに入射する光の空間強度分布を記録することができる任意の他の装置の形態をとり得る。さらに、この例示的な実施形態では、受光器37は眼科撮像装置10-4の像面に置かれるが、受光器37は代替的に、眼科撮像装置10-4のフーリエ面、又は像面とフーリエ面との間にある別の平面に置くことができる。
【0061】
眼科撮像装置10-4はさらに画像プロセッサ25を含み、画像プロセッサ25は、特に、検出された空間光強度分布の、デジタルマスクによってマスクされた部分における検出された光強度の値を低減し、処理された光強度分布に基づいて画像データを生成するように、空間光強度分布を示すデータにデジタルマスクを適用することによって、受光器37によって生成されると共に受光器37によってその検出面上で検出された空間光強度分布を示すデータを処理するように構成される。例えば、受光器37によって生成されたデータをピクセル値の2次元アレイとして表すことができる場合、各ピクセル値は、ピクセルの場所に対応する検出面上のそれぞれの場所で受光器37によって測定された光強度を示し、デジタルマスクは、対応するサイズのマスク値のアレイを含み得、画像プロセッサ25は、ピクセル値の2次元アレイ内の各ピクセルに、それに対応してデジタルマスクに位置するマスク値を乗算することによって、受光器37によって取得されたデータを処理するように構成される。一例として、各マスク値は「1」又は「0」であってよく、検出された空間光強度分布のマスクされた部分はゼロで構成され、一方、検出された空間光強度分布の残りのマスクされていない部分は、受光器37によって検出されたまま変更されていない強度値で構成される。マスクされた部分は、光ビームの第1の部分が眼70の領域80にわたって走査するときに、画像プロセッサ25によって生成される画像データに対する導光部50によって後方反射された光ビームの第2の部分からの光の寄与を実質的に除去するように、走査角度の関数として変化するように構成されるゼロの空間分布を有する。
【0062】
しかしながら、受光器37によって生成されたピクセル値の2次元アレイ内に対応して位置するピクセルが、空間光強度分布のマスクされた部分で乗算されるマスク値は、「0」である必要はなく、代わりに1から0の間の任意の中間値を取ることができることに留意すべきであり、その結果、マスクされた部分は加重値の空間分布を有し、加重値の空間分布は、光ビームの第1の部分が眼70の領域80にわたって走査するときに、画像プロセッサ25によって生成される画像データに対する、導光部50によって後方反射された光ビームの第2の部分からの光の寄与をある程度(例えば、事前定義されたパーセンテージで)低減するように、走査角度の関数として変化するように構成される。
【0063】
第4の例示的な実施形態の画像プロセッサは、図3に示され、かつ前述の例示的な実施形態の動的振幅マスク30のコントローラの実装に関連して前述した、プログラム可能な信号処理ハードウェアを使用して実装され得る。
【0064】
第1、第2、及び第3の例示的な実施形態の動的振幅マスク30と同様に、この例示的な実施形態のデジタルマスクは、走査要素40によって走査される光ビームの異なる走査角度に対して動的に構成される。より具体的には、デジタルマスキングを実行するために使用されるマスク値は、検出される空間光分布の異なる領域が異なる走査角度ごとにマスキングされるように、使用される走査角度に応じて変化し得る。眼科撮像装置10-4によって使用される各走査角度に適切なデジタルマスクを決定するために、第1、第2、及び第3の例示的な実施形態に関して説明した較正プロセスと同様の較正プロセスが使用され得る。より具体的には、後方反射光の空間強度分布は、実質的に無反射の撮像対象物に対して、又は撮像対象物が存在しない状態で走査を実行することによって、各走査角度について特徴付けることができる。受光器37上の後方反射光の空間光分布に基づいて、各デジタルマスクに対応するマスク値のセットを走査角度ごとに設定し、眼科撮像装置のメモリに格納することができる。
【0065】
前述の説明では、いくつかの例示的な実施形態を参照して、例示的な態様が説明されている。したがって、この仕様は、限定的なものではなく、例示的なものと見なされるべきである。同様に、例示的な実施形態の機能性及び利点を強調する図面に示された図は、例示的な目的のためにのみ提示されている。例示的な実施形態のアーキテクチャは、添付の図に示されている以外の方法で利用(及び実行)され得るように十分に柔軟であり、適合性がある。
【0066】
本明細書に提示された例のソフトウェアの実施形態は、コンピュータプログラム、又はソフトウェア、例えば、例示的な一実施形態では各々が非一時的であり得る(そしてメモリ又はストアを形成することができる)機械アクセス可能媒体又は機械可読媒体、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置などの製造品に含まれるか、又は格納される、命令又は命令のシーケンスを有する1又は複数のプログラムとして提供され得る。非一時的な機械アクセス可能媒体、機械可読媒体、メモリ、命令ストア、又はコンピュータ可読記憶装置又は媒体上のプログラム又は命令は、コンピュータシステム又は他の電子装置をプログラムするために使用され得る。機械又はコンピュータ可読デバイス/媒体、メモリ、命令ストア、及び記憶装置は、電子命令の格納又は送信に適したフロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、及び光磁気ディスク又は他のタイプの媒体/機械可読媒体/命令ストア/記憶装置を含み得るが、これらに限定されない。本明細書で説明される技術は、特定のソフトウェア構成に限定されない。これらは、あらゆるコンピューティング又は処理環境での適用性が見出され得る。本明細書で使用される用語「コンピュータ可読媒体」、「機械アクセス可能媒体」、「機械可読媒体」、「メモリ」、「命令ストア」、「コンピュータ可読記憶媒体」、及び「コンピュータ可読記憶装置」は、マシン、コンピュータ、又はコンピュータプロセッサによって実行するための命令又は一連の命令を格納、エンコード、又は送信することができ、本明細書に記載されている方法のいずれか1つをマシン/コンピュータ/コンピュータプロセッサに実行させる、任意の媒体を含むものとする。さらに、当技術分野では、ソフトウェアは何らかの形(例えば、プログラム、手順、プロセス、アプリケーション、モジュール、ユニット、ロジックなど)でアクションを実行する、又は結果を引き起こすものとされるのが一般的である。このような表現は、処理システムによるソフトウェアの実行により、プロセッサがアクションを実行して結果を生成することを簡略な方法で述べているに過ぎない。
【0067】
いくつかの実施形態はまた、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイを準備することによって、又は従来の構成回路の適切なネットワークを相互接続することによって実施され得る。
【0068】
いくつかの実施形態は、コンピュータプログラム製品を含む。コンピュータプログラム製品は、本明細書に記載の例示的な実施形態の手順のいずれかを実行するためにコンピュータ又はコンピュータプロセッサを制御又は実行させることができる命令が、その上又はその中に格納されている、記憶媒体又は媒体、メモリ、命令ストア、又は記憶装置であり得る。記憶媒体/メモリ/命令ストア/記憶装置は、例示であり限定ではないが、光ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、DRAM、VRAM、フラッシュメモリ、フラッシュカード、磁気カード、光学カード、ナノシステム、分子メモリ集積回路、RAID、リモートデータストレージ/アーカイブ/ウェアハウジング、並びに命令及びデータのうちの少なくとも1つを格納するのに適した任意の他のタイプのデバイスのうちの少なくとも1つを含み得る。
【0069】
一部の実装は、コンピュータ可読媒体又は媒体、メモリ、命令ストア、又は記憶装置のいずれか1つに格納され、本明細書に記載の例示的な実施形態の結果を利用してシステムのハードウェアを制御し、システム又はマイクロプロセッサが人間のユーザ又は他のメカニズムと相互作用することを可能にするためのソフトウェアを含む。このようなソフトウェアは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、及びユーザアプリケーションを含み得るが、これらに限定されない。最終的に、そのようなコンピュータ可読媒体又は記憶装置はさらに、上記のように、本発明の例示的な態様を実行するためのソフトウェアを含む。
【0070】
システムのプログラミング及びソフトウェアのうちの少なくとも1つには、本明細書に記載の手順を実施するためのソフトウェアモジュールが含まれる。本明細書のいくつかの例示的な実施形態では、モジュールはソフトウェアを含むが、本明細書の他の例示的な実施形態では、モジュールは、ハードウェア、又はハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを含む。
【0071】
本発明の様々な例示的な実施形態を上記で説明してきたが、それらは例示として提示されたものであり、限定ではないことを理解されたい。関連技術の当業者には、その中で形態及び詳細に様々な変更を行うことができることが明らかであろう。したがって、本発明は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではなく、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0072】
さらに、要約の目的は、特許庁及び一般の人々、特に特許又は法的用語又は表現に精通していない当技術分野の科学者、技術者及び実務家が、大まかに閲覧して本出願の技術的開示の性質及び本質を迅速に判断できるようにすることである。要約は、本明細書に提示された例示的な実施形態の範囲に関していかなる方法でも限定することを意図するものではない。また、特許請求の範囲に記載されているいずれの手順も、提示された順序で実行される必要はないことを理解されたい。
【0073】
本明細書は多くの特定の実施形態の詳細を含むが、これらは、あらゆる発明の範囲又は請求され得るものの制限として解釈されるべきではなく、本明細書に記載の特定の実施形態に固有の特徴の説明として解釈されるべきである。別個の実施形態の文脈で本明細書に記載されている特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて実施することもできる。逆に、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、複数の実施形態で別々に、又は任意の適切なサブコンビネーションで実施することもできる。さらに、特徴は、特定の組み合わせで作用するものとして上記に記載されている場合があり、最初にそのように特許請求されている場合さえあるが、請求された組み合わせからの1又は複数の特徴は、場合によっては組み合わせから削除することができ、請求された組み合わせは、サブコンビネーション、又はサブコンビネーションの変形例を対象としている可能性がある。
【0074】
ここで、いくつかの例示の実施形態及び実施形態を説明したが、前述のものは例示であり限定ではなく、例として提示されていることは明らかである。
【0075】
本明細書に記載のデバイス及び装置は、その特性から逸脱することなく他の特定の形態で具体化され得る。前述の実施形態は、説明されたシステム及び方法を限定するのではなく、例示である。したがって、本明細書に記載の光学システム及び装置の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の意味及び均等物の範囲内に入る変更がそこに含まれる。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11