(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール及び点状エッチングモジュールのエッチングプロファイルを制御する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/3065 20060101AFI20220531BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
H01L21/302 101E
H05H1/24
(21)【出願番号】P 2020543603
(86)(22)【出願日】2019-02-13
(86)【国際出願番号】 KR2019001765
(87)【国際公開番号】W WO2019160329
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-10-16
(31)【優先権主張番号】10-2018-0017914
(32)【優先日】2018-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521036654
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ フュージョン エナジー
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ソク、ドン チャン
(72)【発明者】
【氏名】ロ、タイ ヒョプ
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ヨン ホ
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ヨン ソプ
(72)【発明者】
【氏名】イ、カン イル
(72)【発明者】
【氏名】ユ、ソン ユル
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ソ オク
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-245644(JP,A)
【文献】特表2013-522884(JP,A)
【文献】特表2004-518527(JP,A)
【文献】特開2004-006211(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H05H 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート状の誘電体と、
前記誘電体の上面に面接触して配置される円形電極と、
前記誘電体の下面に面接触して配置され、気体を収容する気体収容空間を提供する環状電極と、
前記円形電極と環状電極との間に高電圧を印加する電源供給部と、を含み、
高電圧が印加されて放電が開始されると、前記環状電極の内側面と前記誘電体の下面との間で前記環状電極の中心方向に展開されるプラズマから被処理基板の方向にフィラメント状プラズマを照射する、環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項2】
前記円形電極は前記環状電極の内径より小さい直径を有することを特徴とする、請求項1に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項3】
前記円形電極の直径(Re)と前記環状電極の内径(Se)の比率は8:18以下であることを特徴とする、請求項1に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項4】
前記円形電極の直径(Re)と前記環状電極の内径(Se)との差は20mm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項5】
前記気体は放電開始のための放電ガスを含み、
前記放電ガスはHe、Ne、Ar及びXeからなる群から選択された少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項6】
前記気体は前記被処理基板のエッチングのためのエッチングガスを含み、
前記被処理基板はSiCであり、
前記エッチングガスはNF
3またはSF
6であることを特徴とする、請求項5に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項7】
前記エッチングガスは、前記気体収容空間に注入される気体の総体積に対して1%未満で注入されることを特徴とする、請求項6に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項8】
前記気体収容空間に前記気体を注入するための気体注入部を含むことを特徴とする、請求項1に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項9】
前記気体注入部は、前記環状電極の側面方向で前記気体収容空間に気体を注入するように構成されることを特徴とする、請求項8に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項10】
前記気体注入部は、前記環状電極の外面を囲むように設置される円筒状気体注入部材を含み、
前記環状電極の外面と円筒状気体注入部材の内面との間には、前記
円筒状気体注入部材から注入された気体を前記気体収容空間に案内する気体ガイド通路が備えられることを特徴とする、請求項8に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項11】
前記被処理基板は導電性基板であり、
前記導電性基板をエッチングすることを特徴にする、請求項1に記載の環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュール。
【請求項12】
請求項1の装置を利用し、
環状電極の気体収容空間に注入される気体の総体積に対して放電ガス及びエッチングガスの供給比率を変更する過程を含むことを特徴とする、エッチングプロファイルを制御する方法。
【請求項13】
前記気体の総体積に対して前記エッチングガスの供給比率を高くして、狭くて深くエッチングすることを特徴とする、請求項12に記載のエッチングプロファイルを制御する方法。
【請求項14】
前記気体の総体積に対して前記エッチングガスの供給比率を低くして、広くて薄くエッチングすることを特徴とする、請求項12に記載のエッチングプロファイルを制御する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエッチングモジュールに関するもので、より詳しくは、環状沿面放電プラズマ装置を利用してフィラメント状プラズマを照射することができる点状エッチングモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体の製造はウェハーの表面に薄膜の積層、エッチング及びイオン注入を繰り返し実施して所望の回路の動作特性を有する半導体素子を形成することである。
【0003】
エッチング作業は積層された薄膜を選択的に取り除く作業で、溶液を用いてエッチングする湿式エッチングと反応ガスを用いてエッチングする乾式エッチングに分けられる。
【0004】
特に、乾式エッチングは、反応ガスをイオン化させるために発生させるプラズマの発生方式によってプラズマエッチング(Plasma etching)、反応性イオンエッチング(Reactive ion etching)、磁気強化反応性イオンエッチング(Magnetically enhanced reactive ion etching)などの方式がある。
【0005】
ここで、プラズマエッチングは反応ガスを二つの電極の間に入れて強い電場を形成させてガスをイオン化させ、このイオン化された反応ガスをウェハーの表面に加速させて積層された薄膜を選択的に取り除く方式である。
【0006】
このようなプラズマエッチングに用いられるプラズマエッチング装置は、プロセスチャンバに流入された反応ガスがプロセスチャンバ上部のRF電極板とプロセスチャンバ下部の陰極板との間で発生されたプラズマによってイオン化され、イオン化された反応ガスをウェハーの表面で加速させて積層された薄膜を選択的に取り除く装置である。
【0007】
ここで、プラズマによってイオン化された反応ガスはエッチング効率を向上させるためにウェハーに集中されなければならず、このために、従来のプラズマエッチング装置では、反応ガスをウェハーの上に集めるフォーカスリングが必ず要求される。従って、従来のプラズマエッチング装置には、前記フォーカスリングを具備しなくてはウェハー表面の局所的なエッチングが難しいという問題がある。
【0008】
一方、高温、高圧、高周波数、耐放射線性、耐磨耗性及び耐腐食性を有する炭化ケイ素(Silicon carbide、SiC)が次世代半導体として早い成長を見せている。
【0009】
特に、SiCは、Siより優れた共振周波数(600MHz)と、生体と高温で非常に安定的であるので、自動車、船舶、宇宙航空産業などの極限環境だけではなく、今後の次世代RF及びバイオ用微小電子機械システム(MEMS)として注目されている。
【0010】
しかしながら、SiCは熱化学的に安定性が高くて微細加工が困難な問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、環状沿面放電プラズマ装置によるフィラメント状プラズマを生成して被処理基板の精密な表面処理が可能になるようにした点状エッチングモジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決するための本発明の一実施例による点状エッチングモジュールは、プレート状の誘電体と、前記誘電体の上面に面接触して配置される円形電極と、前記誘電体の下面に面接触して配置され、気体を収容する気体収容空間を提供する環状電極と、前記円形電極及び環状電極との間に高電圧を印加する電源供給部とを含み、高電圧が印加されて放電が開始されると前記環状電極の内側面及び前記誘電体の下面の間で前記環状電極の中心方向に展開されるプラズマから被処理基板の方向にフィラメント状プラズマを照射する。
【0013】
一実施例において、前記円形電極は前記環状電極の内径より小さい直径を有する。
【0014】
一実施例において、前記円形電極の直径と前記環状電極の内径の比率は8:18以下であってもよい。
【0015】
一実施例において、前記円形電極の直径(Re)と前記環状電極の内径(Se)との差は20mm以下であってもよい。
【0016】
一実施例において、前記気体は放電開始のための放電ガスを含み、前記放電ガスはHe、Ne、Ar及びXeからなる群から選択された少なくとも1つであってもよい。
【0017】
一実施例において、前記気体は前記被処理基板のエッチングのためのエッチングガスを含み、前記被処理基板はSiCであり、前記エッチングガスはNF3またはSF6であってもよい。
【0018】
一実施例において、前記エッチングガスは前記気体収容空間に注入される気体の総体積に対して1%未満で注入されてもよい。
【0019】
一実施例において、前記気体収容空間に前記気体を注入するための気体注入部を含むことができる。
【0020】
一実施例において、前記気体注入部は、前記環状電極の側面方向で前記気体収容空間に気体を注入するように構成することができる。
【0021】
一実施例において、前記気体注入部は、前記環状電極の外面を囲むように設置される円筒状気体注入部材を含み、前記環状電極の外面及び円筒状気体注入部材の内面との間には、前記気体注入部材から注入された気体を前記気体収容空間に案内する気体ガイド通路が備えられてもよい。
【0022】
一実施例において、前記被処理基板は導電性基板であり、前記導電性基板をエッチングすることができる。
【0023】
本発明の一実施例による点状エッチングモジュールを利用してエッチングプロファイルを制御する方法は、環状電極の気体収容空間に注入される気体の総体積に対して放電ガス及びエッチングガスの供給比率を変更する過程を含む。
【0024】
一実施例において、前記気体の総体積に対して前記エッチングガスの供給比率を高くして、狭くて深くエッチングすることができる。
【0025】
一実施例において、前記気体の総体積に対して前記エッチングガスの供給比率を低くして、広くて薄くエッチングすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明による点状エッチングモジュールによれば、薄い線形状に生成されるフィラメント状プラズマを被処理基板に照射して、被処理基板の表面の特定領域の集中的なエッチング及び局所的なエッチングが可能であり、それにより、被処理基板の精密な表面処理が可能になり、特に、SiCのエッチング工程に容易に利用することができるという利点がある。
【0027】
また、プラズマを被処理基板の方向に集中させる別途の装置がなくても、被処理基板の特定領域の集中的なエッチング及び局所的なエッチングが可能になるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施例による点状エッチングモジュールの構成を示した断面図である。
【
図2】本発明の一実施例による点状エッチングモジュールの気体注入部を例示する図面である。
【
図3】本発明の一実施例による点状エッチングモジュールでNF
3の供給比率を変更しながらSiC基板をエッチングして現われるエッチングプロファイルを分析したグラフである。
【
図4】本発明の一実施例による点状エッチングモジュールでSiC基板を数回往復移動させながらエッチングして現われるエッチングプロファイルを分析したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付した図面を参照して本発明の実施例による点状エッチングモジュールについて詳しく説明する。本発明は多様な変更を加えることができ、様々な形態を有することができ、特定の実施例を図面に例示して本文に詳しく説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物乃至代替物を含むものと理解すべきである。各図面を説明する際に類似する構成要素に対して類似する参照符号を用いた。添付図面において、構造物の寸法は本発明の明確性のために実際より拡大して示した。
【0030】
第1、第2などの用語は多様な構成要素を説明するために用いることができるが、前記構成要素は前記用語によって限定されてはならない。前記用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで用いられる。例えば、本発明の権利範囲を逸脱しない範囲内で第1構成要素は第2構成要素に命名されることができ、同様に、第2構成要素も第1構成要素に命名されることができる。
【0031】
本出願で用いた用語はただ特定の実施例を説明するために用いられたもので、本発明を限定する意図はない。単数の表現は文脈上明白に違うことを意味しない限り、複数の表現を含む。本出願で、「含む」または「有する」などの用語は明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはこれらを組み合わせたものなどの存在または付加可能性を予め排除しないことと理解されるべきである。
【0032】
特に定義しない限り、技術的または科学的用語を含んで、ここで用いられる全ての用語は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有している。一般的に用いられる辞典に定義されているのと同じ用語は関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有することと解釈されるべきであり、本出願で明白に定義しない限り、理想的であるかまたはあまりにも形式的な意味に解釈されてはならない。
【0033】
本発明による点状エッチングモジュールは環状沿面放電プラズマ装置の形状を有し、エッチングモジュールとして利用される。即ち、本発明は環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュールを提供する。以下で、環状沿面放電プラズマ装置を利用した点状エッチングモジュールについて詳しく説明する。
【0034】
図1は本発明の一実施例による点状エッチングモジュールの構成を示した断面図であり、
図2は本発明の一実施例による点状エッチングモジュールの気体注入部を例示する図面である。
【0035】
図1を参照すれば、本発明の一実施例による点状エッチングモジュールは、誘電体110、円形電極120、環状電極130及び電源供給部140を含む。
【0036】
誘電体110は電気的絶縁性及び誘電性を同時に有するセラミックス材質を基にし、石英、硝子、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化シリコン、銀リン酸塩、シリコンカーバイド、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化鉄、チタン酸ジルコン酸鉛、カーボンナノチューブなどを用いることができる。このような誘電体110はプレート状に備えられる。例えば、円形プレート状であってもよい。
【0037】
円形電極120は前記誘電体110の上面に面接触して配置される。円形電極120は円形プレート状に備えられる。
【0038】
環状電極130はリング状である。環状電極130は前記誘電体110の下面に面接触して配置される。環状電極130は気体を収容する気体収容空間131を提供する。前記気体収容空間131はリング状の内側である。前記気体収容空間131には放電開始及びエッチングのための気体が注入される。
【0039】
電源供給部140は円形電極120と環状電極130との間に高電圧を印加する。一例として、円形電極120には高電圧が印加され、環状電極130は接地として利用することができる。
【0040】
一方、前記気体収容空間131に気体を注入するために、気体注入部150が備えられる。気体注入部150は環状電極130の側面方向で気体収容空間131に気体を注入するように構成される。
【0041】
一実施例において、気体注入部150は環状電極130の外面から気体収容空間131の方向に貫通される気体注入孔を含むことができる。
【0042】
他の実施例において、気体注入部150は、
図2に示したように、円筒状気体注入部材151を含むことができる。円筒状気体注入部材151は環状電極130の外面を囲むように設置され、この時、環状電極130の外面と円筒状気体注入部材151の内面との間には円筒状気体注入部材151から注入された気体を気体収容空間131に案内する気体ガイド通路152が備えられる。
【0043】
気体注入部150を通じて注入される気体は、放電開始のための放電ガス及び被処理基板160のエッチングのためのエッチングガスを含む。
【0044】
前記放電ガスはHe、Ne、Ar及びXeからなる群から選択された少なくとも一つであってもよい。放電ガスは、電源供給部140から高電圧が印加される場合、ブレークダウンされて放電が開始されるようにする。このために、放電ガスは高濃度で注入することができる。
【0045】
エッチングガスはNF3またはSF6であってもよい。このようなエッチングガスはSiC素材の被処理基板160をエッチングするために利用することができる。エッチングガスは、気体収容空間131に注入される気体の総体積に対して1%未満で注入することができる。
【0046】
このような本発明の一実施例による点状エッチングモジュールは、電源供給部140から円形電極120に高電圧が印加されると、気体収容空間131内に注入された気体内の放電ガスがブレークダウンされて放電が開始され、放電が開始すると、環状電極130の内側面及び誘電体110の下面の間で環状電極130の中心方向にプラズマが展開され、環状電極130の中心部でプラズマの展開方向の先端がカップリングされるプラズマのカップリングが行われて、環状電極130の中心部から被処理基板160の方向に垂直に落ちるフィラメント状プラズマ200を、被処理基板160の表面に照射することになる。被処理基板160に照射されるフィラメント状プラズマ200は、被処理基板160の表面を点状エッチングする。
【0047】
ここで、「点状エッチング」は、フィラメント状プラズマ200が被処理基板160の表面の一地点を向けてフィラメント状に照射されて被処理基板160の表面を点状にエッチングすることを意味する。
【0048】
このようなエッチング過程でフィラメント状プラズマ200が被処理基板160の表面を点状エッチングする時、常に所定のエッチングパターンを維持して、エッチングしようとする地点を逸脱しないで、エッチングしようとする地点で正確なエッチングが行われるようにすることが好ましい。このために、円形電極120は環状電極130の内径より小さい直径を有するように設計される。即ち、円形電極120の直径Reと環状電極130の内径Seとの比率は、8:18以下になるように設計することができる。ここで、8:18の比率は、環状電極120の内径Seに対する円形電極120の直径Reの比である。または、前記円形電極の直径Reと前記環状電極の内径Seとの差は、20mm以下になるように設計することができる。このような条件で円形電極120の直径と環状電極130の内径との比率が設定されると、フィラメント状プラズマは、搖れることなく被処理基板160に向けて照射され得る。
【0049】
以下では、このような本発明の一実施例による点状エッチングモジュールを利用して被処理基板をエッチングする際に現われるエッチングプロファイルを確認するための実施例を例示して説明する。
【0050】
実施例
18mmの内径を有する環状電極130を誘電体110の下面に面接触して配置し、10mmの直径を有する円形電極120を誘電体110の上面に面接触して配置した。前記円形電極120には高電圧が印加されるように電源供給部140と連結し、前記環状電極130は接地として利用される。環状電極130の下には被処理基板160を位置させた。前記被処理基板160は、導電性基板としてSiC基板を位置させた。
【0051】
このような実施例の構造で、前記SiC基板のエッチングのために、環状電極130により提供される気体収容空間131内に、放電ガス及びエッチングガスが混合された気体を気体注入部150を通じて注入した。この時、放電ガスとしてはHeを注入し、エッチングガスとしてはNF3を注入した。
【0052】
エッチング過程で前記Heは1lpmを供給し、前記NF
3の供給比率を変更して、NF
3の供給比率によるエッチングプロファイルを分析した。NF
3の供給比率を、0ccm、0.5ccm、1ccm、2ccmの順に漸次に増加させながらエッチングプロファイルを分析した。NF
3の供給比率によってそれぞれ5分間エッチングした。このようなエッチングプロファイルの制御過程を通じて分析されたエッチングプロファイルを
図3のグラフに示した。
【0053】
図3は本発明の一実施例による点状エッチングモジュールでNF
3の供給比率を変えながらSiC基板をエッチングして現われるエッチングプロファイルを分析したグラフである。
図3のグラフで、「F0、0.37um」はNF
3の供給比率が0ccmで、エッチング深さが0.37μmであることを意味し、「F0.5、1.3um」は NF
3の供給比率が0.5ccmで、エッチング深さが1.3μmであることを意味し、「F1、2.88um」はNF
3の供給比率が1ccmで、エッチング深さが2.88μmであることを意味し、「F2、3.64um」はNF
3の供給比率が2ccmで、エッチング深さが3.64μmであることを意味する。
【0054】
図3のグラフに示すように、NF
3の供給比率が漸次に高くなれば被処理基板160のエッチング深さが深くて細くなることを確認することができ、反対に、NF
3の供給比率が低くなれば被処理基板160のエッチング深さが浅くて広くなることを確認することができた。
【0055】
一方、フィラメント状プラズマの安定性を確認するために、被処理基板160を左右に数回往復移動させながら被処理基板160をエッチングした結果に応じたエッチングプロファイルを分析した。この時、以下の各条件でエッチングした結果のエッチングプロファイルを分析した。
【0056】
1)Heは1lpm及びNF3は0.5ccmで供給し、被処理基板160は左、右に40回往復させた。2)Heは1lpm及びNF3は1ccmで供給し、被処理基板160は左、右に80回往復させた。3)Heは1lpm及びNF3は1ccmで供給し、被処理基板160は左、右に160回往復させた。
【0057】
前記1)~3)の各条件ごとに5分間エッチングし、各条件でのエッチングプロファイルの分析結果は
図4のグラフで示した。
図4は本発明の一実施例による点状エッチングモジュールでSiC基板を数回往復移動させながらエッチングして現われるエッチングプロファイルを分析したグラフである。
図4のグラフで「#40」は被処理基板が40回往復移動されたことを意味し、「#80」は被処理基板が80回往復移動されたことを意味し、「#160」は被処理基板が160回往復移動されたことを意味する。
【0058】
図4のグラフに現われたように、1)~3)のエッチング条件でそれぞれのエッチングプロファイルは、全部パターンが一定で、NF
3の供給比率によって深さのみ変化することを確認することができた。これは、被処理基板160を数回往復させてエッチングしてもフィラメント状プラズマが搖れることなく安定的に被処理基板160を向けて照射されることを証明する。
【0059】
このような本発明の一実施例による点状エッチングモジュールは環状沿面放電プラズマ装置の形状を有する。即ち、誘電体110の下面に面接触して配置される環状電極130及び誘電体110の上面に配置される円形電極120の配置構造によって環状沿面放電プラズマ装置の構造を具現することができる。環状沿面放電プラズマ装置の構造を通じて、環状電極130によって気体収容空間131が提供され、提供された気体収容空間131にHe、Ne、Ar及びXeのようなブレークダウン電圧が低い放電ガスを注入するようにして大気圧環境で放電が開始されて誘電体110の下面及び環状電極130の内側面の間で沿面放電プラズマが展開される。そして、沿面放電プラズマは環状電極130の中心方向に展開され、展開される沿面放電プラズマが環状電極130の中心部でカップリングされることによって、フィラメント状プラズマが生成され、フィラメント状プラズマが被処理基板160の方向に照射される点状エッチングモジュールが具現される。
【0060】
従って、本発明の一実施例による点状エッチングモジュールは薄い線形に生成されるフィラメント状プラズマを被処理基板160に照射して、被処理基板160の表面の特定領域の集中的なエッチング及び局所的なエッチングが可能であり、それにより、被処理基板160の精密な表面処理が可能になり、特にSiCのエッチング工程に容易に利用することができるという利点がある。
【0061】
また、プラズマを被処理基板の方向に集中させる別途の装置がなくても、被処理基板の特定領域の集中的なエッチング及び局所的なエッチングが可能になるという利点がある。
【0062】
提示された実施例に対する説明は本発明の技術分野において通常の知識を有する者が本発明を利用または実施することができるように提供される。このような実施例に対する多様な変形は本発明の技術分野において通常の知識を有する者にとって明白であり、ここで定義された一般的な原理は、本発明の範囲を逸脱することなく他の実施例に適用されることができる。そして、本発明はここで提示された実施例に限定されるのではなく、ここで提示された原理及び新規特徴と一貫される最も広義の範囲で解釈されるべきである。