(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】距離測定用のアンテナ基準信号
(51)【国際特許分類】
H04W 64/00 20090101AFI20220531BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20220531BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20220531BHJP
H04W 4/46 20180101ALI20220531BHJP
H04W 72/04 20090101ALI20220531BHJP
【FI】
H04W64/00
G08G1/09 H
G08G1/09 F
H04W92/18
H04W4/46
H04W72/04 131
(21)【出願番号】P 2019564422
(86)(22)【出願日】2018-06-22
(86)【国際出願番号】 EP2018066717
(87)【国際公開番号】W WO2018234526
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-09-08
(32)【優先日】2017-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】518144182
【氏名又は名称】アイピーコム ゲーエムベーハー ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ビエナス、マイク
【審査官】玉木 宏治
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-241486(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G08G 1/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の測位情報を通信する方法であって、前記車両の位置を示すために
、第1信号は
、第1車両取り付けアンテナか
ら、第2信号は第2車両取り付けアンテナから、他のエンティティに送信され、前
記第1信号及び前記第2信号は、それぞれ送信した前記アンテナのアイデンティティの少なくとも1つに関する情報、およ
びそれぞれ送信した前記アンテナと前記車両の境界との間の変位を提供する情報を備
え、
前記第1信号は、前記第1車両取り付けアンテナから第1タイムスロットで送信され、前記第2信号は、前記第2車両取り付けアンテナから第2タイムスロットで送信され、
前記第1信号及び前記第2信号は、距離判定基準信号として送信される、車両の測位情報を通信する方法。
【請求項2】
前記第1車両取り付けアンテナ及び前記第2車両取り付けアンテナのうちの少なくと
も一方は、それぞれ送信した前記アンテナの前記アイデンティティの情報を備える信号を送信し、前記アイデンティティの前記情報は
、それぞれ送信した前記アンテナと前記車両の前記境界との間の前記変位を提供する前記情報を前記他のエンティティが決定できるようにする、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号は
、それぞれ送信した前記アンテナの前記アイデンティテ
ィに関する前記情報と
、それぞれ送信した前記アンテナと前記車両のそれぞれの前記境界との間の前記変位を提供する前記情報の両方を備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
それぞれ送信した前記アンテナのアイデンティティに関する前記情報は、アンテナ識別子、前記車両に対す
るそれぞれ送信した前記アンテナの位置の表示、前記車両の種類、車両識別子、および前記車両上のアンテナの数のうちの少なくとも1つを有する、
請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
それぞれ送信した前記アンテナと前記車両の境界との間の変位を提供する前記情報は、前記他のエンティティ
がそれぞれ送信した前記アンテナの測位情報を導出するのに十分な前記車両のアイデンティティに関する情報を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前
記第1信号及び前記第2信号はサイドリンク信号としてPC5エアインタフェースを介して送信さ
れる、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前
記第1信号及び前記第2信号は、前記車両に測位情報の送信を要求する前記他のエンティティからメッセージを受信する前記車両に応答して送信される、
請求項1か
ら6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記信号は、前記車両が前記他のエンティティから前記車両に前記信号の送信を停止することを要求するメッセージを受信するまで、繰り返し送信される、
請求
項7に記載の方法。
【請求項9】
前
記第1信号及び前記第2信号は可変周波数で送信され、前記可変周波数は、前記車両と前記他のエンティティとの間の相対速度に依存する、
請求項1か
ら8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
それぞれ送信した前記アンテナと前記車両の境界との間の変位を提供する前記情報は、前記他のエンティティに対する前記車両の現在の向きに依存する、
請求項1か
ら9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
動作の第1モードにおいて、前記第1車両取り付けアンテナは、前記第1信号を送信し、前記第2車両取り付けアンテナは、前記第2信号を送信せず、動作の第2モードにおいて、前記第1車両取り付けアンテナ及び前記第2車両取り付けアンテナの両方が前記第1信号及び前記第2信号をそれぞれ送信し、前記動作の第1モードと第2モードとの間の切り替えは、前記車両が、その前記他のエンティティに対する向きを変え
ることによりトリガされる、
請求
項10に記載の方法。
【請求項12】
前
記第1信号及び前記第2信号は、復調基準信号、サイドリンク同期信号および距離判定基準信号のうちの少なくとも1つの手段によって送信される、
請求項1か
ら11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記他のエンティティは、第2車両である、
請求項1か
ら12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
車両の測位情報を通信する方法であって、前記車両の位置を示すために、信号は、少なくとも1つの車両取り付けアンテナから他のエンティティに送信され、前記信号は、前記少なくとも1つのアンテナのアイデンティティの少なくとも1つに関する情報、および前記少なくとも1つのアンテナと前記車両の境界との間の変位を提供する情報を備え、
前記信号は、前記車両に測位情報の送信を要求する前記他のエンティティからメッセージを受信する前記車両に応答して送信され、
前記信号は、前記車両が前記他のエンティティから前記車両に前記信号の送信を停止することを要求するメッセージを受信するまで、繰り返し送信される、
方法。
【請求項15】
車両の測位情報を通信する方法であって、前記車両の位置を示すために、信号は、少なくとも1つの車両取り付けアンテナから他のエンティティに送信され、前記信号は、前記少なくとも1つのアンテナのアイデンティティの少なくとも1つに関する情報、および前記少なくとも1つのアンテナと前記車両の境界との間の変位を提供する情報を備え、
前記信号は可変周波数で送信され、前記可変周波数は、前記車両と前記他のエンティティとの間の相対速度に依存する、
方法。
【請求項16】
車両の測位情報を通信する方法であって、前記車両の位置を示すために、信号は、少なくとも1つの車両取り付けアンテナから他のエンティティに送信され、前記信号は、前記少なくとも1つのアンテナのアイデンティティの少なくとも1つに関する情報、および前記少なくとも1つのアンテナと前記車両の境界との間の変位を提供する情報を備え、
前記少なくとも1つのアンテナと前記車両の境界との間の変位を提供する前記情報は、前記他のエンティティに対する前記車両の現在の向きに依存する、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両測位情報の提供を支援するためのユーザ機器装置による信号の生成に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPPの一連のLTE仕様に従って展開された通信システムは、直交周波数分割多重方式、OFDMをダウンリンク方向(タワーからハンドセット)で使用し、その無線Uuインタフェース上のアップリンク方向(ハンドセットからタワー)、つまり、モバイル装置(ユーザ機器、UE)と基地局(eNodeB、eNB)と間のエアインタフェース上でシングル搬送波周波数分割多重アクセス、SC-FDMAを使用する。
【0003】
受信側でコヒーレント復調を可能にするために、基準信号(またはパイロットシンボル)が送信エンティティによってOFDM(ダウンリンク)またはSC-FDMA(アップリンク)時間周波数リソースグリッドに挿入され、チャネル推定が可能になる。プロトコルスタックの上位層から発信される情報を伝送する物理チャネルとは異なり、物理信号は物理層自体が使用するリソース要素のセットに対応し、上位層から発信される情報を伝送しない。代わりに、それらには、既知のシンボル(つまり、事前定義されたデータシーケンス)、いわゆる基準シンボルまたはパイロットシンボルが含まれている。物理信号が生成され、特定の(つまり、事前定義された)リソース要素のPHYレベルで直接印加される。
【0004】
ダウンリンク基準シンボル(セル固有の基準信号)が各スロットの第1と第3最後のOFDMシンボル(これは通常のサイクリックプレフィックスの場合はスロットの第5OFDMシンボルに対応)との範囲内に6つの副搬送波の周波数領域間隔を持つように挿入される。さらに、第1と第2基準シンボルとの間に3つの副搬送波の周波数領域スタガリングがある。その結果、各リソースブロック内(つまり、通常のサイクリックプレフィックスの場合、12個の副搬送波と7個のOFDMシンボルとで構成されるブロック内)に4つの基準シンボルがある。ユーザ機器は、複数の基準シンボルを補間して、チャネル品質を推定する。
【0005】
2つの送信アンテナの場合、基準信号は各アンテナから挿入され、第2アンテナの基準信号は3つの副搬送波によって周波数領域でオフセットされる。ユーザ機器がチャネル係数を正確に推定できるようにするために、基準信号の同じ時間周波数位置で他のアンテナで何も送信されない。つまり、アンテナ#0がその基準信号R0を送信するそれらのリソース要素では、アンテナ#1は上位層から提供される情報も自身の基準信号R1も送信しない(逆も同様)。そうすることで、受信側のユーザ機器が空間的に分離された2つの無線チャネル(つまり、1つはアンテナ#0に対して、もう1つはアンテナ#1に対して)の品質を推定できる。同じ原理を4つの異なるアンテナなどに拡張できる。
【0006】
基準シンボルには複雑な値がある。ダウンリンク方向で使用される基準信号の詳細については、3GPP TS 36.211のセクション6.10.1を参照されたい。
【0007】
LTEのアップリンク方向には、2種類の基準信号もある。
【0008】
第1種類は、eNodeBでコヒーレント信号復調を可能にするために使用される復調基準信号(DM-RS)である。これらの信号は、アップリンクデータと時間多重化され、データと同じ帯域幅を使用して、通常または拡張CPのアップリンクスロットの第4または第3SC-FDMAシンボルで送信される。DM-RSは、PUSCHまたはPUCCHの送信に使用されるアップリンクリソースに関連付けられている。
【0009】
第2種類はサウンディング基準信号(SRS)であり、UEに割り当てられた帯域幅で割り当てられるため、DM-RSはこの目的には使用できないので、チャネル依存(つまり、周波数選択)アップリンクスケジューリングを可能にするために使用される。SRSは、通常1msサブフレームの最後のSC-FDMAシンボルで送信される広帯域基準信号として導入される。リソースグリッドのこの部分ではユーザデータの送信ができないので、アップリンク容量が約7%削減される。SRSはオプション機能であり、オーバーヘッドを制御するために高度に構成可能である。特定のセルでオンまたはオフにすることもできる。異なる送信帯域幅を持つユーザは、周波数領域でこのサウンディングチャネルを共有する。
【0010】
アップリンク方向で使用される基準信号の詳細については、3GPP TS 36.211のセクション5.5を参照されたい。
【0011】
さらに、LTEの物理層とRSに関する一般的な詳細は、例えば、テレシステムの革新による「LTEの概要:物理層」というタイトルのホワイトペーパーhttp://www.tsiwireless.com/docs/whitepapers/LTE%20in%20a%20Nutshell%20-%20Physical%20Layer.pdfに記載されている。
【0012】
本発明の文脈において、上述のダウンリンクまたはアップリンク基準信号などの任意の種類の基準信号を、一意のアンテナ識別子として使用することができる。したがって、アンテナごとに異なる基準シンボルが使用される。
【0013】
LTEダウンリンクリソースグリッドの特定のリソース要素の物理層に直接印加される(したがって、プロトコルスタックの上位層によって提供される情報を伝送しない)別の種類の物理信号は、LTE同期信号である。
【0014】
すべてのダウンリンクリソース格子では、設定された帯域幅に係わらず、1次同期シンボルと2次同期シンボルがスロット#0および#10の最後の2つのシンボルに配置される。これらは、搬送波の帯域幅全体に広がるわけではない。代わりに、6つの内部リソースブロック(RB)、つまり、RB#47からRB#52までのみに広がっている(このRB番号付けは20MHzのシステム帯域幅に対してのみ有効である。システム帯域幅が小さい場合、番号付けは異なる。いずれの場合も、同期シンボルはDC搬送波の周囲に配置される)。
【0015】
1次同期信号、PSSは次のとおりである。以下のシンボル#6のDC搬送波を中心とした最も内側のスロット#0(サブフレーム#0内)およびスロット#10(サブフレーム#5内)の6つのリソースブロック(RB)に配置され、長さ62のZadoff-Chuシーケンスから構築され、3つの異なるシーケンスが定義され、物理セルIDに基づいて選択され、72の副搬送波のうち62のみがPSSデータを伝送し、残りの10個の副搬送波(各側に5個)はゼロ詰めであり、ダウンリンクフレーム同期に使用され、(2次同期信号、SSSとともに)物理セルIDを決定するために使用される。
【0016】
LTE TDDシステムでは、PSSはサブフレーム#1および#6の第1スロットの第3シンボルにマッピングされる。
【0017】
2次同期信号、SSSは、シンボル#5のDC搬送波を中心とした最も内側のスロット#0(サブフレーム#0)およびスロット#10(サブフレーム#5)内の6つのリソースブロック(RB)に配置され、サブフレーム#0で使用されるSSSシーケンスは、サブフレーム#5で使用されるものとは異なり、168の3つの異なるシーケンスが定義され、物理セルIDに基づいて選択され、62のスクランブルシーケンスで構成され(mシーケンスの計算に基づく)、奇数のインデックス付きリソース要素の値と偶数のインデックス付きリソース要素の値は、異なる方程式から生成され、ダウンリンクフレーム同期に使用され、(PSSとともに)物理セルIDの決定に使用される。
【0018】
LTE TDDシステムでは、SSSはサブフレーム#0および#5の第2スロットの最後のシンボルにマッピングされる。
【0019】
時間領域でのPSS/SSSのシンボル位置は、これがUEがFDDシステムかTDDシステムかを識別するのに役立つのでFDDシステムとTDDシステムとの間で異なる。
【0020】
PSS/SSSの位置は常に周波数領域で固定されているので、UEはPSS/SSSを取得するために予想される帯域で簡単に相関をとることができ、UEは、物理セルID(PCID)、二重化モードFDD対TDD(時間領域のPSS/SSSの位置から)、サブフレーム番号(SSSシーケンスから)、およびスロット境界に関する情報などの多くのパラメータを取得できる。
【0021】
PSSおよびSSSは、無線セルの物理セルID(PCID)を一緒に定義する。UEは、PSSから物理層アイデンティティを検出し、SSSから物理層セルアイデンティティグループを検出する。上記のように、3つの異なるPSS(=Layer_ID)と168の異なるSSS(=Group_ID)があり、PCIDの最大数は504に制限される。PCIDは次の式に従って構成される。
PCID=3*Group_ID+Layer_ID
【0022】
車両通信サービスには、車両間V2V、車両対インフラV2I、車両対ネットワークV2N、および車両対歩行者V2Pの4つの異なる種類が含まれ、一般に「V2Xサービス」と呼ばれる。
【0023】
広く展開されているLTEネットワークは、自動車業界に「コネクテッドカー」のビジョンを実現する絶好の機会を提供するので、Rel-14期間中に3GPPで車両通信のLTEサポートが研究および指定された。3GPPの実行可能性研究の結果はTR 36.885にまとめられ、必要な拡張(サイドリンクリソース割り当て、物理層構造、および同期に関して)を備えたLTE PC5インタフェースを介してV2Xサービスをサポートすることが可能である。
【0024】
この研究では、LTE「サイドリンク」PC5インタフェースだけでなく、LTE UEから基地局Uuインタフェース(およびUuとPC5の組み合わせ)に基づいた車両通信シナリオも検討した。V2Xサービスの最大効率は、動作シナリオを適切に選択/切り替えることで実現できる。
【0025】
LTE Uuエアインタフェースは、アップリンクおよびダウンリンクトラフィックをサポートし、LTE PC5エアインタフェースは、本発明に特に関連するサイドリンクインタフェースである。
【0026】
路側機(RSU)は、静的なエンティティの形で展開でき(例:ストリートファニチャーに取り付けられる)、LTE PC5エアインタフェースを介して車両(または歩行者、あるいは他のRSU)と通信し、近くの基地局への無線LTE Uu接続、またはコアネットワークへの直接S1接続を提供する。
【0027】
LTE Rel-14で定義されている基本的なフレームワークは、LTE PC5およびLTE Uuエアインタフェースを強化し、複数のV2Xユースケース向けにLTE技術を最適化する。要約すると、次の主要な変更が導入された。高速シナリオでの復調性能、GNSSベースの同期のサポート、UE自律動作モードの検知ベースのリソース選択、半永続的な送信およびサイドリンクのスケジューリングを改善するための強化されたサイドリンク物理構造という点の変更である。さらに、UE自律モードおよびeNB制御モードの動作で、無線リソース管理の強化のための車両位置情報の利用が可能になり、V2X通信性能が向上した。
【0028】
最近、より正確で信頼性の高いV2X測位(3GPP TR22.886を参照)のニーズが確認され、これは、限定されないがGNSS、カメラ入力、LIDAR、レーダ、モビリティセンサーなどの複数の技術によってV2Xで実現できる。これらのアプローチにはすべて、独自の技術的な利点および欠点がある。V2Xサービスの測位向上は、より信頼性が高く正確な測位性能を提供するために、様々な技術(の組み合わせ)に依存する可能性がある。 3GPP TR 22.886によれば、将来的には3GPPシステムは以下をサポートするものとする。すなわち、V2XアプリケーションをサポートするUE向けの0.1mの相対的な横方向の位置精度、および0.5m未満の相対的な縦方向の位置精度である。
【0029】
3GPP TSG RANプレナリー#75で、LTE技術の車両測位技術をさらに調査することが提案された(文書RP-170427およびRP-170428を参照)(可能であれば、結果を後でLTEの「5G」後継技術で再利用する意図がある)。これに関連して、正確な車間距離測定と車両測位を可能にするために、LTE PC5エアインタフェースでの距離測定が言及された。また、GNSSベースのソリューション自体はV2X測位に十分な精度を提供しない可能性がある(または、地下駐車場などの一部の展開シナリオではまったく利用できない可能性がある)と述べられた。
【0030】
LTE PC5エアインタフェースに基づく距離測定は、車両間の相対距離を推定するための最も有望なソリューションの1つと見なされ得る。いくつかのシナリオでは、これらのLTE PC5ベースのソリューションは、V2X測位性能の全体的な改善を促進できる補完的な設計オプションと見なすことができる。
【0031】
LTE PC5エアインタフェースは、LTE Uuエアインタフェースでのアップリンク送信にも指定されているのと同じ周波数/時間リソースを使用する。すなわち、FDD-LTEの場合、アップリンク搬送波周波数が使用され、TDD-LTEの場合、アップリンクサブフレームが特定のセルでのサイドリンク通信に使用される。次の物理サイドリンクチャネルPSxCHが定義された。物理サイドリンクブロードキャストチャネル(PSBCH)は、システムおよび同期関連の情報を伝送する。物理サイドリンクディスカバリ・チャンネル(PSDCH)は、サイドリンクディスカバリメッセージを伝送する。物理サイドリンク制御チャネル(PSCCH)は、サイドリンク通信の制御情報を伝送する。物理サイドリンク共有チャネル(PSSCH)は、サイドリンク通信の実際のデータを伝送する。
【0032】
サイドリンク送信では、UL送信方式と同じ基本送信方式が使用される。ただし、サイドリンクは、すべてのサイドリンク物理チャネルの単一クラスター送信に制限されている。さらに、サイドリンクは通常、各サイドリンクサブフレームの終わりに1つのシンボルギャップを使用する。V2Xサイドリンク通信の場合、PSCCHとPSSCHは同じサブフレームで送信される。サイドリンクの物理層の処理は、次のステップがUL送信と異なる。
スクランブル:PSDCHおよびPSCCHの場合、スクランブルはUE固有ではない。
変調:64QAMは、サイドリンク通信ではサポートされていない。
【0033】
サイドリンクでは、2種類の物理信号が定義された。サイドリンク同期信号(SLSS)、およびサイドリンク復調基準信号(DM-RS)が定義された。
【0034】
図1は、サイドリンクリソースプール(のサブセット)を表す。このようなリソースプール(のサブセット)は、周波数範囲の様々な部分でサブフレームごとに複数回現れる場合がある。サイドリンク同期信号(SLSS)は、レガシーLTE Uuダウンリンクリソースグリッドで使用されるものと同様の1次サイドリンク同期信号(PSSS)および2次サイドリンク同期信号(SSSS)で構成される。
図1の例では、このセクションの焦点はこれらのPRBを超えて伸びないSLSSにあるので、6つの物理リソースブロックPRBに制限がある。実際の展開では、サイドリンクリソースプール(のサブセット)の帯域幅が広くなる場合がある。また、他の物理チャネル(つまり、
図1に示されているPSBCH以外)が格子の様々なリソース要素にマッピングされると、同期信号の位置が異なる場合がある。これは、簡単にするために
図1には示されていない。
【0035】
様々な物理サイドリンクチャネルPSxCH(PSSCH、PSCCH、PSDCH、およびPSBCHなど)に関連付けられた復調基準信号(DM-RS)は、TS 36.211のセクション9.8で定義されているいくつかの例外を除き、LTE Uuエアインタフェースの物理アップリンク共有チャネル(PUSCH)に従って送信されなければならない。
【0036】
PSDCHおよびPSCCHの場合、固定ベースシーケンス、サイクリックシフト、および直交カバーコードに基づいて基準信号が作成される。V2Xサイドリンク通信の場合、PSCCHのサイクリックシフトは各送信でランダムに選択される。
【0037】
別の例外は、サイドリンクDM-RSシーケンスの長さが、割り当てられたリソースのサイズ(つまり、副搬送波の数)に等しいことである。
【0038】
さらに別の例外は、V2Xサイドリンク通信では、基準信号が、通常のCPの場合、PSSCHおよびPSCCHでは、第1スロットの第3および第6シンボル、第2スロットの第2および第5シンボル、PSBCHでは第1スロットの第5および第7シンボル、第2スロットの第3シンボルにおいて、つまり、
図1が示すよりも頻繁に送信される。
【0039】
アンテナポートの数は、すべての物理サイドリンクチャネルに対して1つである。したがって、複数のアンテナを同時に使用することによる送信または受信は、サイドリンクに対して現在指定されていない。
【0040】
JP2005/241486は、レーダ信号を使用して、低コスト条件下で、所定の車両から先行車両までの距離および後続車両までの距離を正確に測定する手段を記載している。
【0041】
WO2016/159712A1は、装置が位置、種類、および方向情報を含むメッセージをブロードキャストすることができるV2X通信プロトコルを記載している。位置情報は、GPSデータまたは相対位置を使用して装置の絶対位置を提供できる。
【0042】
EP3 322 234A1としても公開されているWO2017/007285A1は、タイミングが衛星タイミングに基づいているD2Dシステムを記載している。
【0043】
前述のように、Rel-15の作業に関する第1アイデアは、「車両の高精度測位」のトピックに関して3GPP TSG RANに提出された。これに関連して、一部の企業は、車両間のPC5無線リンクを使用して直接測距測定を行うことを提案した。この取り組みは、3GPP SA1ワーキンググループによって定義された要件に基づいており、測定の粒度をセンチメートルの範囲まで下げたいと考えている。
【0044】
これまで、説明および視覚化は、車両の屋根の上に中央に取り付けられたアンテナが1つしかないシナリオに基づいていた。例えば、MIMOをサポートするために必要な複数のアンテナを装備した車両については、まだ説明されていない。
【0045】
ただし、車両に取り付けられた1つまたは複数のアンテナまでの正確な距離を決定することは、単に車両の設計が多種多様であるので、3GPPでの今後のV2V測距の説明には役立たない。一方の車には、車両の屋根の上の中央にある単一のアンテナを装備でき、別の車には、車両の両側の窓ガラスに統合された2つの平面アンテナが装備され得るが、さらに別の車には、4つのアンテナのセットが装備され得、2つは前面に(例えば、フロントバンパーまたはエンジンフードに取り付けられている)および2つはバック(例えば、リアバンパーまたは車のトランクの蓋に)に位置する。また、平均的な乗用車の寸法は、長さは約4~5メートルであり、幅は最大2メートルである。
【0046】
したがって、車両の外側の境界および縁までの実際の距離に関して、許容できない不定性が存在する。この問題は、アンテナ間の距離測定の精度を高めるだけでは解決できない。したがって、本発明の目的は、距離測定方法(特にV2XユースケースのPC5エアインタフェース上)を強化するためのさらなる手段を定義し、取り付け位置が不確かなアンテナまでの距離ではなく、車両の外側の境界および縁までの信頼できる距離を取得することである。
【0047】
本発明は、車両測位情報を通信する方法を提供し、信号は、車両の位置を示すために少なくとも1つの車両取り付けアンテナから別のエンティティに送信され、信号は、少なくとも1つのアンテナのアイデンティティの少なくとも1つに関する情報、および少なくとも1つのアンテナと車両の境界との間の変位を提供する情報を含む。
【0048】
本発明の第1態様では、各車両アンテナは、車両間の距離が高精度の車両測位のために計算されている場合に、(例えば、横方向寸法および/または縦方向寸法および/または高さ方向寸法において)補正を実行することを可能にする信号を発信することができる。
【0049】
この目的のために、信号は例えば、車両のそれぞれの縁に対するアンテナ位置の明示的な幾何学的(横および/または縦および/または高度)オフセット値、または一意のアンテナ識別子(例えば、車両ごとに「一意」)などの車両の外側の境界に向かってそれぞれのアンテナの相対位置を導出できるようにする手段、またはアンテナの大まかな位置(例えば、フロントアンテナ、車両の左右に取り付けられたアンテナ、またはリアアンテナ)、または車両の種類(例えば、製造業者、モデル、車体設計、モデル年などに関する情報)、または一意の車両識別子(計算が行われることになっている地域ごとの「一意」など)、またはこの特定の測定のための車両上のアクティブアンテナの数、を含む。
【0050】
本発明の第2態様では、車両の(関連部分の)幾何学的寸法は、幾何学的オフセット値が明示的に通知されない場合(または通知できない場合)、アンテナ信号から導出される(例えば、データベース調査により)。
【0051】
本発明の第3態様は、第1態様の情報に対して異なる符号化オプションを提供する。例えば、既存のDM-RS(のサブセット)の再利用または再専用化、既存のSLSS(のサブセット)の再利用または再専用化、またはそれぞれのリソースグリッドに新しい物理信号(例えば、距離判定基準信号、DD-RS)を導入することにより、PC5エアインタフェースの物理層で信号を印加するための方法が提供される。さらに(または物理信号に情報を印加する代わりに)、第1態様の情報は、(例えば、PSSCHまたはPSBCH上で)物理サイドリンクチャネルPSxCHを介して送信されてもよく、情報はプロトコルスタックの上位層から取得される。このアプローチは、伝達されるデータの量が増加している場合に使用できる(例:「この車には、各コーナーに1つずつ合計4つのアンテナが装備されている。アンテナ-ID#xyz1(Antenna-ID#xyz1)は右前のコーナー、アンテナ-ID#xyz2(Antenna-ID#xyz2)は左前の角に割り当てられる」など)。
【0052】
本発明の第4態様は、2つまたは複数の車両間の信号フローを含むニーズごとに信号の作動および停止を提供する。
【0053】
本発明の第5態様は、シナリオ(例えば、高速移動車両の信号のシンボルを多くし、低速移動または駐車車両のシンボルを少なくする)に応じて、シナリオに応じて(例えば、ガレージでの低速での分岐とは異なる高速道路での高速運転を処理するため)シンボルレートおよび時間領域における信号挿入の占有パターンの動的な変化である。
【0054】
車両の種類に応じて、静的および動的アンテナ構成があり得る。常時アクティブ/必要ではないアンテナに対するこれらの種類のアンテナ信号の作動および停止は、本発明の第6態様である。
【0055】
本発明は、車両の高精度測位を可能にする。以前は、車両に取り付けられた2つ(または複数)のアンテナ間の距離しか測定できなかったが、これは車両の横方向および縦方向の測位の粒度をセンチメートルの範囲に下げるというSA1の要件を満たしていない。
【0056】
詳細には、本発明は以下の利点を提供する。車両の寸法、アンテナの取り付けポイント、およびアンテナの数は、車両によって異なる場合があるので(第1および第2態様を参照)、高精度の測位ユースケースには、それぞれ車両の幾何学的寸法(すなわち、外側の境界)に関連するアンテナ位置の知識が必要である。距離測定を実行するために追加の労力が必要ないので、既に指定された物理信号を再利用することは有益である。また、無線通信は制限なしで同時に(つまり、物理信号に割り当てられていないこれらのリソース要素に対して)実行できる。信号はさらに高い精度を提供するように設計できるので、特別な物理信号を使用すると有益である(第3態様を参照)。オンデマンドでの作動および停止は、距離測定が不要な場合にリソースを節約するので、有益である(第4態様を参照)。シンボルレートの動的な変更(第5態様を参照)は、少数のシンボルで十分な場合にリソースを節約する一方で、困難な状況(高速移動車両など)で高精度の距離測定を可能にするので、有益である。動的アンテナ構成(第6態様を参照)は、少数のアンテナで十分な場合にリソースを節約する一方で、複雑な状況(高伝搬損失や外部境界の変更など)で高精度の距離測定を可能にするので、有益である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
ここで、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して、一例としてのみ説明する。
【
図1】1次および2次サイドリンク同期信号と、物理サイドリンクブロードキャストチャネルとを含む、LTE PC5インタフェースで使用する既知のサイドリンクリソースグリッドを示す。
【
図3】2アンテナの車両のサイドリンクリソースグリッドを示す。
【
図4】車両測位を作動および停止するためのメッセージシーケンスチャートである。
【
図5】速度依存の車両測位の第2メッセージシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
図2を参照すると、本発明を実施する2つの車両1と2との間の概略的な関係が示されている。各車両には2つのアンテナA1.1、A1.2、A2.1およびA2.2があり、各アンテナはそれぞれの車両の境界に対して既知の位置に配置されている。示されているように、アンテナA1.2は車両1の後方境界から距離AO1.2
longに位置し、アンテナA2.1は車両2の前方境界から距離AO2.1
longに位置している(下付き文字「long」は、距離が長手方向であることを示す)。
【0059】
第1実施形態では、高精度の車両測位のために補正を実行できるようにするアンテナ信号が発信される。
【0060】
この実施形態では、各車両アンテナは、LTE PC5エアインタフェースで使用されるサイドリンクリソースグリッドで距離判定基準信号(DD-RS)を発信する。これらのDD-RSは、例えば、アンテナID(それぞれの位置で理想的には一意)を含むか、またはアンテナID(車両ごとに一意)と、車両ID(それぞれの領域で理想的には一意)とを含むことができる。ここで、車両1は、それぞれのアンテナ用に予約されたリソース要素で送信されるDD-RS物理信号上に以下の例示的なアンテナIDを暗号化している。フロントアンテナはA1.1、リアアンテナはA1.2である。同様に、車両2は、そのDD-RS物理信号で表される次のアンテナ識別子を使用し、フロントアンテナはA2.1、リアアンテナはA2.2である。
【0061】
さらに、各車両は、(主に幾何学的な)測距情報の個々のセットであるPSBCHなどの利用可能な物理サイドリンクチャネルPSxCHのいずれかを介して送信できる。一実施形態では、そのような個々のセットは、サイドリンクディスカバリメッセージに関連付けられるか、またはサイドリンクUE情報RRC(SidelinkUEInformation RRC)メッセージに含まれ得る。別の実施形態では、この個々のセットは、測距目的のために特に定義された新しい種類のメッセージの一部(またはそれに関連する)であり得る。
【0062】
この実施形態では、すべてのアンテナは、車両の外側境界の非常に近くに取り付けられ、エンジンフードまたは車のトランク(または、代替的にフロントバンパーとリアバンパー)の中央に配置される。この例では、簡単にするために、通りの高さより上の高さを省略できる。
【0063】
この例では、車両1は次のデータセットを送信する。
車両ID(Vehicle-ID):abcd1234
車両の種類(Type of Vehicle):中型車
アクティブアンテナの数(Number of active antennas):2
アンテナA1.1=フロントアンテナ、中央に位置し、車の前縁から0mm離れている。
アンテナA1.2=リアアンテナ、中央に位置し、車の後縁から40mm離れている。車両2は次のデータセットを送信する。
車両ID(Vehicle-ID):dcba4321
車両の種類(Type of Vehicle):大型車
アクティブアンテナの数(Number of active antennas):2
アンテナA2.1=フロントアンテナ、中央に位置し、車の前縁から75mm離れている。
アンテナA2.2=リアアンテナ、中央に位置し、車の後縁から60mm離れている。
【0064】
一実施形態では、上記で定義されたセットのいくつかの詳細は送信されない。代わりに、各車両の個別に送信された車両ID(Vehicle-ID)を使用して、例えば、データベースから、またはアルゴリズムを使用して、それぞれの車の外側の境界に関する情報などの他の情報を導出する。
【0065】
2つの関連する車両の各々が、ここで、以下の原則に従って距離判定方法を実行できる。
【0066】
車両1は、自身のアンテナA1.1およびA1.2の幾何学的オフセットを認識している。例えば、これらの幾何学的データは車両の内部ストレージに保存された。車両1は、後方の測定(つまり、後続の車両までの距離を判定するため)に独自のアンテナA1.2を使用する。車両2によって物理基準信号として送信された様々なDD-RS(車両2に取り付けられたアンテナごとに1つ)および物理サイドリンクチャネルPSxCHの1つで受信した測距情報のセットから、車両1は、距離測定に使用する(および無視する)アンテナ基準信号に加えて、それぞれの幾何学的アンテナのオフセット、すなわち75mmのオフセットを有するフロントアンテナA2.1を認識している。距離測定自体(つまり、値「DAA1.2-A2.1」の取得)は、例えば受信したDD-RSから波の移動時間を計算し、それに光速度を掛けることにより本発明の一部ではなく、周知の手段によって行われる。 VDlong=DA1.2-A2.1-AO2.1long-AO1.2long
VDlong=DA1.2-A2.1-(75mm+40mm)
VDlong=DA1.2-A2.1-115mm
【0067】
2つの車両間の距離を判定するために、他のアンテナ(アンテナA2.2など)に関連する幾何学的な詳細を考慮する必要はなく、それらのアンテナ(アンテナA2.2など)によって送信される基準信号を分析する必要はない。用語DA1.2-A2.1は、アンテナA1.2とA2.1との間の測定距離であり、一方、上記の式の減数は補正係数を表す。結果の「VDlong」は、車両2の前縁と車両1の後縁との間の距離である。
【0068】
上記で選択した例示的なシンタックスAx.yでは、文字「x」は車両を表し、文字「y」は上記車両に関連付けられたアンテナを指定する。フロントアンテナの「y」は「1」に設定され、リアアンテナの「y」は「2」に設定される。もちろん、他の構文構造および/または他の値も可能である。
【0069】
車両は、近くの他の車両から物理的な基準信号として受信した様々なアンテナ識別子を使用して、例えば、PC5エアインタフェースを介した物理サイドリンクチャネルPSxCHのいずれかで他の車両による測距情報の送信に欠陥があった場合、または送信がまったくなかった場合、データベースから測距情報の望ましいセットを取得することもできる。アンテナ識別子は、例えばデータリポジトリ内のファイルの保存場所を指す参照またはリンクの形式で符号化できる。参照またはリンクは、ユニフォームリソースロケータ(URL)またはその派生の形式で構成されているか、含まれている場合がある。データベースは、いくつかの分散物理メモリエンティティで構成される論理エンティティであり得、測距情報のいかなるセットもそこに部分的にまたは全体で保存され得る。データベースは、車両(の少なくとも1つ)またはインターネット上の一部のサードパーティサーバー、あるいはその両方に存在する場合があり、データベースクエリは、例えばPC5エアインタフェースまたはLTE Uuエアインタフェース、あるいはその両方を介して、例えばアプリケーション層で行われ得る。
【0070】
図3は、特定のリソース要素(ここではアンテナごとに2つ)がアンテナ識別子を伝送するように構成できるDD-RS物理信号用に予約されているサイドリンクリソースグリッドの例を示している。サイドリンクリソースグリッドの例では、異なるDD-RS物理信号が時間領域で互いにオフセットされて分散されているが、同じDD-RS物理信号からの異なるシンボルは周波数領域で分離されている。一意のDD-RS物理信号の発信のために第1アンテナAx.1によって使用されるリソース要素Rx.1は、第2アンテナAx.2によって使用されない(逆も同様)。したがって、受信アンテナは、空間的に分離されたすべての無線リソースの品質を推定する必要はない。代わりに、受信側は、(ユースケースに応じて)測距情報のセットに示されているように、関連性のあるDD-RS(および関連するアンテナ)に割り当てられたリソースでのみ測定する必要がある。
【0071】
別の例では、一部またはすべてのアンテナが、アンテナごとに異なるDD-RSで同じ時間周波数リソースを使用している。これはリソースを節約するので、有利である。
【0072】
さらに別の例では、すべてのアンテナが同じDD-RSを使用するが、時間周波数リソースは異なる。これは、アンテナごとに1つの相関器を使用する代わりに、1つの相関器のみを使用してすべてのアンテナまでの距離を導出するため、受信機をより簡単に構築できるので有利である。この方法が適切に機能するには、どのアンテナがどの時間周波数リソースを使用しているかを明確に定義する必要がある。
【0073】
(主に幾何学的な)測距情報のセット、例えばプロトコルスタックの上位層から取得されたものは、物理サイドリンクチャネルPSxCHのいずれかを介して(例えばPSSCHまたはPSBCH上で)送信されてもよい。
【0074】
測距情報セットのASN.1表記で可能な符号化オプションを以下に示す。車両ごとに2つのアンテナを伴う現在の例では、変数「maxAntennas」は「2」の値をとり、そのため、まず、アンテナAx.1、例えば、車両「x」のフロントアンテナの場合、次に、アンテナAx.2、例えば車両「x」のリアアンテナの場合、「AntennaGeoDetails」というラベルが付いた部分が2回表示される。変数「Antenna-ID」は、物理層基準信号を介して送信されたDD-RSを、物理サイドリンクチャネルPSxCHのいずれかを介して送信された、対応する測距情報のセットと相関させるために使用される。DD-RSは、Antenna-IDを使用して生成される。例えば、ランダムアクセスプリアンブルのLTEで使用されるZadoff-Chuシーケンスなど、良好な相関特性を持つ任意のシーケンスを使用できる(3GPP TS 36.211章5.7.2を参照)。この場合、Antenna-IDは1つのルートシーケンス番号「u」とサイクリックシフト「N_CS」の1つの値にマッピングされる。このマッピングは静的に行うことができ、つまり、標準で指定され、マッピングテーブルがモバイル装置に保存されるか、マッピングテーブルがモバイル装置に通知されるか、「u」および「N_CS」の値がAntenna-IDを送信する代わりに、測距情報の一部として直接通知される。
【表1】
【0075】
上記のASN.1構造では、商品の入れ替えまたは積み降ろしのために車両に必要な追加のスペース要件を表現することもできる。
【0076】
情報要素「リンク」は、上記のデータベース検査のための基準(例えば、URLの形式のモデル固有の基準)を含んでもよい。結果として、上記の提案された構造のいくつかの部分は、代替的に上記データベースから導出され得る。
【0077】
各車両は、測距情報の個々のセットを送信する。一実施形態では、そのような個々のセットは、サイドリンクディスカバリメッセージ、またはサイドリンクUE情報RRC(SidelinkUEInformation RRC)メッセージに関連付けられ得る(または含まれ得る)。別の実施形態では、この個々のセットは、測距目的のために特に定義された新しい種類のメッセージの一部で(またはそれに関連する)あり得る。
【0078】
2つの情報要素「AntennaType」と「OperationMode」は、例えばトレーラーを引っ張っているトラックが曲がる場合など、車両の外側の境界が動的に変化する可能性のある以下のユースケースを考慮して含まれている。
【0079】
示されているように、本発明の第4態様は、ニーズごとに信号を作動および停止することである。
図4は、車両1と2との間の例示的な信号フローを示している。
【0080】
車両1は、車両2からの2つの情報のうちの少なくとも一方、すなわち(主に幾何学的な)測距情報のセットおよび/またはアンテナ識別子の送信を要求(「測距オンにする」)することができる。前者は、プロトコルスタックの上位層から受信され、物理サイドリンクチャネルPSxCH(例えば、サイドリンクディスカバリメッセージまたはサイドリンクUE情報RRCメッセージに関連付けられているか、含まれているか、測距目的で特に定義された新しい種類のメッセージの一部である可能性がある)のいずれかでPC5エアインタフェースを介して送信され得る。後者は、基準信号として物理層に直接印加することができる。
図4のこれら2つの異なる種類の情報の順序は任意に選択され、実際の展開では異なる場合がある。車両1は、車両2に2つの情報を1回または繰り返し要求できる。したがって、各情報は1回だけ、または繰り返し送信され得る。簡略化のために、これは
図4には示されていない。
【0081】
車両1によって送信されたトリガーメッセージ(「測距をオンにする」)は、サイドリンクブロードキャストメッセージの形式でPC5インタフェースを介して複数の車両に送信できる。別の実施形態では、車両1によって送信されたトリガーメッセージは、サイドリンク専用メッセージの形式でPC5インタフェースを介して単一の車両に送信される。
【0082】
車両2から受信した情報に基づいて、車両1は測距測定に関連するアンテナA2.yを選択し、上記のように問題となっている車両間の正しい距離に到達する補正係数を適用することができる。
【0083】
図4のメッセージシーケンスは、複数の車両へのサイドリンクブロードキャストメッセージの形式、または単一の車両へのサイドリンク専用メッセージの形式のいずれかでPC5インタフェースを介して車両1から送信され得る終了メッセージ(「測距をオフにする」)で終了する。
【0084】
さらに別の実施形態では、2台の車両間の相対速度を使用して、基準信号のシンボルレートを変更する。相対速度は、例えば次の方法で導出できる。車両1は、車両2にその速度V1(または(主に幾何学的な)測距情報のセットおよび/またはDD-RSの送信に必要な周期性について)を通知することができる(
図5の「速度表示#1」を参照)。車両2は、次いで、車両間の相対速度VRを計算し、この値を使用して、独自のアンテナA2.yでDD-RSの発信パターンを制御できる。次のステップで、車両2は、車両1に自身の速度V2または相対速度VRあるいはその両方について通知することができる(
図5の速度表示#2を参照)。車両1は、順番にそれ自体で相対速度VR'を計算し(車両2から受信した相対速度VRを確認し)、これらの動作の結果を使用して、独自のアンテナA1.yでDD-RSの発信パターンを制御できる。必要に応じて、車両1は車両2に検証結果を通知し、場合によっては変更された相対速度VR*を車両2に提供できる(
図5の速度表示#3を参照)。このフィードバックを使用して、車両2からのDD-RS発信パターンを微調整することができる。別の例では、相対速度は、受信したサイドリンク信号のドップラー周波数から導出される。さらに別の例では、測定された距離の経時変化から相対速度が計算される。
【0085】
図5のメッセージシーケンスは、部分的または全体的に数回繰り返されてもよい。車両は、固定された周期でDD-RSのシーケンスの発信期間を交渉することもできる。これは、簡単にするために
図5には示されていない。
【0086】
このアプローチでは、2台の車両間の相対速度VR、VR'、またはVR*により、アンテナ識別子の発信周期を決定できる。つまり、車両1が低速で走行し、車両2が高速で走行している場合、様々なアンテナ上の様々なDD-RSの発信の周期性を高める必要がある。一方、車両1が所定の速度で走行し、車両2が同様の速度で走行している場合、様々なアンテナ上の様々なDD-RSの発信の周期性を減らすことができる。このため、車両間の相対速度に関連する閾値をプロビジョニングし、それぞれの車両で使用して、リソースグリッド内のDD-RS占有パターンを制御し、これによりシンボルレート(つまり、発信の周期性)を制御することができる。
【0087】
代替的に、または相対速度に加えて、シンボルレートおよび/または時間領域での信号の挿入の占有パターンの変更は、それぞれの車両の対地速度により制御され得、例えばDD-RSのより多くのシンボルが、高速で移動する車両には送信され、低速で移動する車両または駐車車両には送信されないようにする。
【0088】
以下に説明するように、車両の種類に応じて、この方法には静的および動的アンテナ構成があり得る。
【0089】
図6は、曲線のトラクター/トレーラーの組み合わせを示している。
図6から容易にわかるように、この車両の外側の境界は、車両が移動するにつれて動的に変化する。例えば、ゾーンZ1に新しい縁が表示される。したがって、本発明の別の態様は、
図6に示されるようなケースをカバーするために、動的な方法でアンテナを作動および停止することである。
【0090】
車両の外側境界の変化は、同じ車両に関連付けられたアンテナ間の距離測定を実行することで検出できる(ここでは、
図6のトラクター/トレーラーの組み合わせは1台の車両と見なされる)。
図6の例の場合、アンテナA2.1およびA1.2は、トラクター/トレーラーの組み合わせが右に曲がった場合に、アンテナが互いに近づくことを検出する。同様に、アンテナA2.4およびA1.3は、同じ状況でさらに離れることを検出できる。
【0091】
したがって、本発明の追加の態様は、車内距離測定である(すなわち、同じ車両に取り付けられた関連アンテナを基準信号で構成し、互いのアンテナ間の距離を判定できるようにする)。あるいは、カップリングの回転角αを使用して、車両の外側境界の変動を検出することもできる。
【0092】
ゾーンZ1では、アンテナA1.2(トラクターの左リアアンテナ)とA2.1(トレーラーの左フロントアンテナ)が縁に取り付けられているため、それらを方法で簡単に使用できる。まだ使用されていない場合は、作動する必要がある。
【0093】
上記に関して、本文書で説明されている情報要素(IE)の名前と符号化の変形は、単に例として機能するものと理解されるものとする。パラメータとそれらの値の符号化には、他にも多くのオプションがある。本発明は、ここに開示された符号化の例に決して制限されない。
【0094】
さらに、パラメータは何らかの方法で細分化することができ、例えば、新しいまたは既存の階層構造で照合するか、例えばリストの形で他の情報要素とグループ化することができる。