(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】オゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター
(51)【国際特許分類】
B01D 53/72 20060101AFI20220531BHJP
B01D 53/82 20060101ALI20220531BHJP
B01D 53/66 20060101ALI20220531BHJP
B01D 53/86 20060101ALI20220531BHJP
B01J 23/34 20060101ALI20220531BHJP
B41J 29/377 20060101ALI20220531BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20220531BHJP
A61L 9/014 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
B01D53/72 ZAB
B01D53/82
B01D53/66
B01D53/86 260
B01D53/86 110
B01J23/34 A
B41J29/377 101
G03G21/00 538
A61L9/014
(21)【出願番号】P 2018034765
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390014487
【氏名又は名称】住江織物株式会社
(72)【発明者】
【氏名】西野 善春
(72)【発明者】
【氏名】濱崎 孝浩
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-229260(JP,A)
【文献】特開平04-358536(JP,A)
【文献】特開2002-023338(JP,A)
【文献】特開2000-126592(JP,A)
【文献】国際公開第2016/167172(WO,A1)
【文献】特開2009-241070(JP,A)
【文献】特開平11-188263(JP,A)
【文献】特開2009-034641(JP,A)
【文献】特開2016-154640(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-014
B01D 39/00、53/46-86
B01J 23/34
B41J 29/377
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム製骨材に、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と、粉末状活性炭と、環状飽和アミンと、
を担持させ
、前記酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)を、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり0.1~5.0g担持させてなり、
前記粉末状活性炭を、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり0.2~2.0g担持させてなり、
前記環状飽和アミンを、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり10~500mg担持させてなることを特徴とする
オゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【請求項2】
前記アルミニウム製骨材がハニカム構造体である請求項1に記載の
オゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【請求項3】
前記環状飽和アミンが、ピペラジンである請求項1又は2に記載の
オゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【請求項4】
前記アルミニウム製骨材の肉厚が、10~100μmの範囲である請求項1~3のいずれか1項に記載の
オゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【請求項5】
前記ハニカム構造体のセル密度が、300~1500セル/inch
2の範囲である請求項1~4のいずれか1項に記載の
オゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内において複写機やレーザープリンタから排出される有害ガスを除去するフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザープリンタの作動時に各種有害ガスが室内へ排出されている。これらのガスとしては、オゾンや揮発性有機化合物(VOC)が挙げられる。作動時に印加される高電圧や高温にさらされることにより、空気、及びインク、トナー等の消耗品、さらに印字用のフィルムや紙、または部品等に含まれている各種成分が分解、気化し排出されている。
【0003】
有害ガスや臭気成分を除去するフィルターは、その方法として活性炭やゼオライト等の物理吸着材を利用した物理吸着タイプと、化学吸着タイプと、オゾンや光触媒、金属フタロシアニン錯体等により悪臭物質を分解除去する触媒タイプ、あるいはこの吸着タイプと触媒タイプを併用した併用タイプがある。
【0004】
このうち例えば、活性炭の優れた吸着作用を利用した技術がよく知られているが、これらは悪臭成分を吸着し、周辺の臭気濃度を短期的に低下させる働きには優れているが、悪臭成分の量が減少するわけではなく、有効期間に限りのある消臭方法であるといわれている。例えば、オゾンの分解除去を始め各種有害ガスを除去する活性炭担持ハニカム構造体が公知である(特許文献1)。
【0005】
また、悪臭物質を分解除去する触媒タイプあるいは併用タイプの場合、様々な悪臭に対して効果的に消臭する有用な方法である。例えば、オゾン分解触媒を用いた方法が公知である(例えば、特許文献2)。
【0006】
また、出願人は上記従来技術を鑑み、オゾンを分解し、揮発性有機化合物(VOC)を吸着することで優れた除去効果が得られるフィルター、すなわち活性炭混抄紙に二酸化マンガンと、環状飽和アミンを担持させたVOC除去フィルターを出願している(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平1-293136号公報
【文献】特開昭61-11154号公報
【文献】特願2017-041585号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、さらに有害ガスのワンパス除去効率を高めるには、フィルターの骨材として活性炭混抄紙を用いると通気の際の圧力損失の点で限界があった。
【0009】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたものであって、圧力損失の増大を抑えながら、複写機、レーザープリンタの作動時に室内へ排出されるオゾンの除去、及び揮発性有機化合物(VOC)のうち特にトルエンとアルデヒド化合物を吸着除去するVOC除去フィルターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1]アルミニウム製骨材に、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と、粉末状活性炭と、環状飽和アミンと、
を担持させ、前記酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)を、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり0.1~5.0g担持させてなり、
前記粉末状活性炭を、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり0.2~2.0g担持させてなり、
前記環状飽和アミンを、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり10~500mg担持させてなることを特徴とするオゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【0012】
[2]前記アルミニウム製骨材がハニカム構造体である前項1に記載のVOC除去フィルター。
【0016】
[3]前記環状飽和アミンが、ピペラジンである前項1または2に記載のオゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【0017】
[4]前記アルミニウム製骨材の肉厚が、10~100μmの範囲である前項1~3のいずれか1項に記載のオゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【0018】
[5]前記ハニカム構造体のセル密度が、300~1500セル/inch2の範囲である前項1~4のいずれか1項に記載のオゾン、アセトアルデヒド、トルエン除去フィルター。
【発明の効果】
【0019】
[1]の発明によれば、アルミニウム製骨材に、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と、粉末状活性炭と、環状飽和アミンと、を担持していることから、オゾンを分解し、揮発性有機化合物(VOC)を吸着することで優れた除去効果を得ることができる。また前記酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)を、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり0.1~5.0g担持させてなることから、トルエンに対し優れた吸着除去を発揮するとともに、アルデヒド化合物に対しても十分な除去効果を得ることができる。担持量が0.1g未満では安定的な効果とは言い難く、5.0gを越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。前記粉末状活性炭を、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり0.2~2.0g担持させてなることから、活性炭の吸着力により優れた除去効果を得ることができる。担持量が0.2g未満では十分な吸着力とは言い難く、2.0gを越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。前記環状飽和アミンを、前記アルミニウム製骨材の単位質量1g当たり10~500mg担持させてなることから、トルエンに対し優れた吸着除去を発揮するとともに、アルデヒド化合物に対しても十分な除去効果を得ることができる。担持量が10mg未満では十分な吸着力とは言い難く、500mgを越えると活性炭の細孔を被覆してしまい、トルエンに対する除去効果が低下する恐れがあるので好ましくない。
【0020】
[2]の発明によれば、前記アルミニウム製骨材がハニカム構造体であるので圧力損失の増大を抑えることができる。
【0024】
[3]の発明によれば、前記環状飽和アミンが、ピペラジンであることから、VOCのなかでも特にトルエンとアルデヒド化合物を除去することができる。
【0025】
[4]の発明によれば、前記アルミニウム製骨材の肉厚が10~100μmの範囲であることから、悪臭を含む気体の流れに対して徒に圧力損失の増加をまねく恐れがなく、十分な強度を確保することができる。肉厚が10μm未満ではフィルターとしての強度が著しく劣るので好ましくなく、100μmを越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。
【0026】
[5]の発明によれば、前記ハニカム構造体のセル密度が300~1500セル/inch2の範囲であることから、悪臭を含む気体の流れに対して圧力損失の増加をまねく恐れがないとともに、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と、粉末状活性炭と、環状飽和アミンと、を十分担持することができる。セル密度が300セル/inch2未満では、悪臭との接触効率が低下するため各種有害ガスのワンパス除去効果が低下する恐れがあるので好ましくなく、1500セル/inch2を越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明のVOC除去フィルターについて詳しく説明する。本発明のVOC除去フィルターは、アルミニウム製骨材に、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と、粉末状活性炭と、環状飽和アミンと、を担持させたことを特徴とする。
【0028】
アルミニウム製骨材は、アルミニウム製であれば構造は特に限定されないが、強度を保持しながら表面積を確保でき、しかも通気の際の圧力損失の増加を抑制できる構造が好ましく、平面視で波状のいわゆるコルゲート構造や矩形状の構造が好ましく、矩形状では六角断面のハニカム構造体が好ましい。これらの構造体は公知の方法で製造することができる。例えば、コルゲート構造体は、アルミニウム製の板をコルゲート加工機を用い波形シート(中芯)にし、接着剤により平面状シート(ライナー)と積層する。同様に繰り返し積層することで、平面状シート(ライナー)と波形シート(中芯)とが順に積層されたコルゲート構造体を製造することができる。また、ハニカム構造体は、アルミニウム製の板に接着剤を一定のピッチで塗布して積層させて積層板をつくる。次の層では塗布位置を半ピッチずらしたうえで積層する。同様に繰り返し積層し、複数のアルミニウム板が積層される。接着剤により各板が固着した後、両端側から引き延ばすことで適度に拡げることでハニカム構造体を製造することができる。
【0029】
なお、前記アルミニウム製骨材はハニカム構造体が好ましく、ハニカム構造体にすることで、圧力損失の増大を抑えることができるし、構造的に安定し強度も維持できるので好ましい。
【0030】
本発明の酸化マンガン(IV)は二酸化マンガンともいい、また、酸化マンガン(III)は三酸化二マンガン(Mn2O3)ともいい、公知のものである。アルミニウム製骨材に、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と、粉末状活性炭と、環状飽和アミンと、を担持させる方法としては、まず、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と粉末状活性炭とを水に分散させ、さらに接着剤、例えばシリカ系バインダーを加えた水分散体に、アルミニウム製骨材を浸漬し、次に60~90℃の温度で乾燥させた後、950~1100℃の温度で焼結させたフィルターを環状飽和アミン水溶液に浸漬し、続いて脱水、105~120℃の温度で乾燥することで本発明のVOC除去フィルターを得ることができる。また、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)のアルミニウム製骨材の単位質量1g当りの担持量は、0.1~5.0gの範囲が好ましい。担持量をこの範囲にすることで、トルエンに対し優れた吸着除去を発揮するとともに、アルデヒド化合物に対しても十分な除去効果を得ることができる。担持量が0.1g未満では安定的な効果とは言い難く、5.0gを越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。
【0031】
前記シリカ系バインダとしては、水ガラス、二酸化珪素(SiO2)を挙げることができる。
【0032】
本発明の粉末状活性炭としては、粉末状であれば特に限定されないが、例えば木炭、椰子殻炭、石炭等の原料を、炭化したのち賦活化処理を施した活性炭を粉状にしたものを挙げることができる。粉末状活性炭は、吸着比表面積が非常に高いことから好ましく用いられる。中でも、椰子殻活性炭が好ましい。前記粉末状活性炭のアルミニウム製骨材の単位質量1g当たりの担持量は、0.2~2.0gの範囲が好ましい。担持量をこの範囲にすることで、活性炭の吸着力により優れた除去効果を得ることができる。担持量が0.2g未満では十分な吸着力とは言い難く、2.0gを越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。
【0033】
本発明の環状飽和アミンは、特に限定されるものではないが、例えば、モルホリン、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。なかでも、常温で固体であることからピペラジンが好ましく、特にトルエンとアルデヒド化合物を除去することができる。前記環状飽和アミンのアルミニウム製骨材の単位質量1g当たりの担持量は、10~500mgの範囲が好ましい。担持量をこの範囲にすることで、トルエンに対し優れた吸着除去を発揮するとともに、アルデヒド化合物に対しても十分な除去効果を得ることができる。担持量が10mg未満では十分な吸着力とは言い難く、500mgを越えると活性炭の細孔を被覆してしまい、トルエンに対する除去効果が低下する恐れがあるので好ましくない。
【0034】
本発明において、前記アルミニウム製骨材の肉厚は、10~100μmの範囲が好ましく、この範囲にすることで、悪臭を含む気体の流れに対して徒に圧力損失の増加をまねく恐れがなく、十分な強度を確保することができる。肉厚が10μm未満ではフィルターとしての強度が著しく劣るので好ましくなく、100μmを越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。
【0035】
また、前記ハニカム構造体のセル密度は、300~1500セル/inch2の範囲が好ましく、この範囲にすることで、悪臭を含む気体の流れに対して圧力損失の増加をまねく恐れがないとともに、酸化マンガン(IV)及び/または酸化マンガン(III)と、粉末状活性炭と、環状飽和アミンと、を十分担持することができる。セル密度が300セル/inch2未満では、悪臭との接触効率が低下するため各種有害ガスのワンパス除去効果が低下する恐れがあるので好ましくなく、1500セル/inch2を越えても徒に圧力損失が増大する恐れが増すばかりなので好ましくない。
【実施例】
【0036】
次に、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例のものに特に限定されるものではない。なお、酸化マンガン(IV)、酸化マンガン(III)、粉末活性炭と環状飽和アミンのアルミニウム製骨材への坦持量をそれぞれ表1に示す。また、オゾン、トルエン、及びアセトアルデヒドの除去性能試験(ワンパス除去性能)の結果を表2に示す。除去性能試験(耐久性)の試験結果を表3に示す。
【0037】
<使用材料>
アルミニウム製骨材:厚さ40μm
酸化マンガン:酸化マンガン(IV)
粉末活性炭:椰子殻炭
環状飽和アミン:ピペラジン
【0038】
<実施例1>
上述の使用材料を用いてVOC除去フィルターを得た。すなわち、肉厚(厚さ)40μmのアルミニウム箔を用い、アルミニウム製の板にシリカ‐アルミナ系接着剤を塗布して積層させて積層板をつくり、接着剤により各板が固着した後、両端側から引き延ばすことで適度に拡げることでハニカム構造体を成形する方法で、ハニカム構造(ハニカムコア材)に成形して、セル密度600セル/inch2であり、幅方向80mm×積層方向80mm×厚さ方向10mmの大きさのフィルターを得た。
【0039】
次に、あらかじめ用意した水分散体、すなわち水20部に、粉末活性炭(種類:椰子殻炭)50部、酸化マンガン(IV)50部、シリカ系バインダー(オルガノシリカゾル)50部をよく混ぜた水分散体に、上記フィルターを浸漬したのち、乾燥機に入れ温度80℃×10分乾燥させた後、加熱炉で温度1000℃で20分焼結することで、酸化マンガン(IV)と粉末活性炭を担持したフィルターを得た。酸化マンガン(IV)と粉末活性炭のアルミニウム製骨材1g当りの担持量はそれぞれ1.0g、1.0gであった。
【0040】
次に、このフィルターをピペラジン水溶液(濃度8質量%)に浸漬し、脱水し乾燥(温度120℃×5分)せしめたVOC除去フィルターを得た。このときのピペラジンのアルミニウム製骨材1g当りの担持量は120mgであった。
【0041】
<実施例2~6、比較例1~4>
実施例1において、骨材の材質、厚さ、構造、セル密度、及び酸化マンガン、粉末活性炭、環状飽和アミンの種類と担持量を表1に記載の構成にした実施例2~6のVOC除去フィルターと、比較例1~4のフィルターをそれぞれ得た。
【0042】
【0043】
<有害ガス、VOC等の除去性能試験(ワンパス除去性能)>
幅方向12mm×積層方向12mm×厚さ方向10mmにカットしたフィルター片を試験片としワンパス試験装置に装着して、オゾン、トルエン、アセトアルデヒドのそれぞれのガスに対して測定した。まず、この試験片と同じ内寸の角型配管に配置されたホルダーに試験片を固定し、配管の一端から毎分135リットル(SV値=180,000H-1)の通気を行なうファンをセットしたワンパス試験装置の一端からガスを断続的にワンパス条件で注入(入口側濃度)し、30分後に他端から流出するガス濃度(出口側濃度)を測定し、ガスの除去率(%)を下記の式を用いて算出し評価した。「○」以上を合格とした。なお、オゾン、トルエン、アセトアルデヒドガスの入口側濃度は順に2ppm、10ppm、10ppmとし、また、風速は全て0.23m/秒とした。
除去率(%)=100×( 入口側濃度 - 出口側濃度 ) / 入口側濃度
(1)オゾンガスの除去率(%)
「◎」:90%以上、
「○」:80%以上90%未満、
「×」:80%未満、
(2)トルエンガスの除去率(%)
「◎」:20%以上、
「○」:15%以上20%未満、
「×」:15%未満、
(3)アセトアルデヒドガスガスの除去率(%)
「◎」:20%以上、
「○」:15%以上20%未満、
「×」:15%未満、
【0044】
【0045】
<有害ガス、VOC等の除去性能試験(耐久性)>
幅方向80mm×積層方向80mm×厚さ方向10mmにカットしたフィルター片を試験片として、ポリエステル製の試験袋に入れ、オゾン、トルエン、アセトアルデヒドのそれぞれのガスに対して測定した。ガスは3リットル注入した。2時間後の試験袋内の濃度を測定し、一旦残存ガスを素早く脱気する。この試験を合計16回同じ試験片で繰り返しおこなった。 この試験片1個当たりに吸着した総吸着量を理想気体の状態方程式(PV=nRT、P:圧力、V:体積、n:モル数、R:気体定数、T:ケルビン温度)によって算出し、評価した。「○」以上を合格とした。なお、オゾン(初期濃度200ppm)、トルエン(初期濃度700ppm)、アセトアルデヒド(初期濃度600ppm)で行った。
(1)オゾンガスの総吸着量(mg/試験片1片)
「◎」:250以上
「○」:200以上250未満
「×」:200未満、
(2)トルエンガスの総吸着量(mg/試験片1片)
「◎」:500以上
「○」:400以上500未満
「×」:400未満
(3)アセトアルデヒドガスガスの総吸着量(mg/試験片1片)
「◎」:200以上
「○」:150以上200未満
「×」:150未満
【0046】
【0047】
表2及び表3から明らかなように、本発明のVOC除去フィルターは厳しい条件の消臭試験による評価において、悪臭ガスのオゾン、トルエン、アセトアルデヒドに対して優れた消臭効果を発揮するフィルターであった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、室内において複写機やレーザープリンタから排出される有害ガスを除去するフィルターとして広く利用される。