(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】錠剤供給装置及び薬剤払出し装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20220531BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20220531BHJP
B65B 35/26 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
A61J3/00 310E
B65G47/14 102B
B65B35/26
(21)【出願番号】P 2018084437
(22)【出願日】2018-04-25
【審査請求日】2021-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000151472
【氏名又は名称】株式会社トーショー
(74)【代理人】
【識別番号】100107928
【氏名又は名称】井上 正則
(72)【発明者】
【氏名】大村 司郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 繁幸
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓
(72)【発明者】
【氏名】深津 邦夫
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-027261(JP,A)
【文献】特開2004-041433(JP,A)
【文献】特開2016-140724(JP,A)
【文献】特開2001-106201(JP,A)
【文献】特開2017-127532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65G 47/14
B65B 35/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
錠剤を収容する薬剤収容部を形成するとともに、その一部に錠剤の放出開口を形成した円筒壁と、前記円筒壁の内部に設けられ、回転することにより前記薬剤収容部に収容された錠剤を前記放出開口から1錠ずつ放出する円盤と、
前記放出開口から放出される錠剤を検出する放出錠剤検出センサと、を有する錠剤放出本体と、
前記錠剤放出本体の上部に
錠剤放出本体に対して着脱自在に設けられ、前記円盤の回転軸に対して軸方向が傾斜して設けられた円筒状の錠剤補助収容部と、前記錠剤補助収容部の底面壁の上方側に設けられた錠剤通過孔と、前記錠剤補助収容部の底面壁と接して回転可能に設けられ、その外周部に複数個の錠剤が収容される錠剤収容孔を複数有し、回転することによって前記錠剤補助収容部の下部で前記錠剤補助収容部から前記錠剤収容孔に複数の錠剤が供給され、前記錠剤補助収容部の上部で前記錠剤収容孔に収容された
複数の錠剤を前記底面壁の前記錠剤通過孔を介して前記錠剤放出本体の前記円盤上に落下させる回転円盤と、
前記回転円盤の下方に設けられた回転円盤に固定された回転軸と、前記回転軸に固定された第1の回転伝達手段と、を有する錠剤補充容器と、
前記錠剤放出本体に設けられた、モータと、前記モータの軸に固定され、前記第1の回転伝達手段と係合する第2の回転伝達手段と、前記モータが回転することにより前記回転円盤を回転させるとともに、前記錠剤通過孔と前記錠剤収容孔とが対向していない位置を検出する非対向位置検出手段を有する駆動部と、前記放出錠剤検出センサの出力に基づいて、前記錠剤の放出が所定時間検出されないときに前記モータを回転駆動して前記錠剤収容孔に収容された複数の錠剤を前記円盤上に落下させるとともに、前記非対向位置検出手段により前記錠剤通過孔と前記錠剤収容孔とが対向していない位置を検出したときに前記モータの回転駆動を停止させる制御部とを有し、
前記錠剤補充容器は、前記錠剤補充容器が前記錠剤放出本体から離脱しているときは、前記回転円盤によって前記錠剤通過孔を塞ぐとともに、前記回転円盤の回転を阻止する回転阻止手段を有する、
ことを特徴とする錠剤供給装置。
【請求項2】
請求項1記載の錠剤供給装置が複数収容された棚部と、
前記棚部の下方に設けられ、前記錠剤供給装置から放出された錠剤を分包紙で分包する包装機と、
を具備する薬剤払出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、錠剤を1個ずつ放出可能な錠剤供給装置及び放出された錠剤を分包して払出す薬剤払出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
調剤業務において、数百種類にも及ぶ多様な形状の錠剤やカプセル剤を処方箋に従って、たとえば朝昼晩で2週間分42回分を、それぞれ1回分ずつ、所定の複数種類の錠剤やカプセル剤を所定数計数した上で、1ケの個包に封入することができる薬剤払出し装置(特許文献1)が実用化して、調剤業務の効率化と誤服用の防止などに大きく寄与してきた。
【0003】
また、小児医療の現場などでは薬剤の用量を厳密に管理する必要のある場合に、錠剤を中央で半分に切断した形状にして、1錠分の容量の半分とした分割錠剤(いわゆる半錠)を処方する必要がある。このような半錠を処方する場合の方法としては、予め別の装置で半錠に切断した上で、この半錠を専用カセットに装填して払出す「半錠フィーダ」方式(特許文献2)と、薬剤払出し装置の錠剤供給装置から1錠ずつ繰出して、途中で半錠に切断することで半錠を払出す「半錠カット・フィーダ」方式(特許文献3)とが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6255528号公報
【文献】特開2004-41433号公報
【文献】特開2018-27261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2記載の装置では、斜め円板の外周に半錠1ケ分が通過できる孔を複数設けて、この孔に入った錠剤を別の位置から落下させて放出する構造としている。半錠は全錠のような円弧を基本とする滑らかな形状ではなく、角部を有するために、収容部に収容される量が多くなると、複雑な積層状態となり、円板の孔に対して、不適正な進入の仕方をする場合が少なくない。このような不適正な進入をした場合に錠剤が詰まり、エラーとなったり、錠剤が欠けたりしてしまう。特に半錠が欠けてしまうと、その処方用量が減少してしまい、調剤に求められる処方用量精度が保証されないという大きな問題となる。また錠剤が欠けてしまうと、粉が装置内に溜まってしまって、それを除去・清掃するのが困難というような問題も併発する。
【0006】
しかしながら、このような錠剤を1錠ずつ放出する錠剤放出本体の薬剤収容部に収容する錠剤の数が少ない場合は比較的発生しにくくなる。一般的な形状の半錠の場合、10~20錠(半錠)程度であれば、実用上問題はなくなると考えられる。
【0007】
また、特許文献3記載の装置は、平面の円板の外周から順次払い出すようにして、1ケずつを孔に入れる必要をなくすることで、詰まりや錠剤の欠けを防止するようにしている。さらにこの円板上に同時に多数の錠剤が収容されないようにするために、払い出す円板の上部に、少数の錠剤を収容する区分室を持った補充容器を配置して、ここから少しずつ下の円板側に錠剤を補充するようにしている。しかしながら、この装置では、補充容器には、その区分室にそれぞれ錠剤を予め装填するという手間が必要であり、またその区分室分の収容容量しか持ち得ないので、補充できる錠剤の量が制限されるという問題がある。このような錠剤供給装置を搭載した錠剤払出し装置では、稼働率が上がると、しばしば錠剤不足が発生して、その都度係員による錠剤補充作業が必要となって、自動化の効果を阻害するという問題があった。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、錠剤を供給するに当たり、錠剤の詰りや錠剤の欠けを防止した錠剤供給装置及び薬剤払出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の錠剤供給装置は、錠剤を収容する薬剤収容部を形成するとともに、その一部に錠剤の放出開口を形成した円筒壁と、円筒壁の内部に設けられ、回転することにより薬剤収容部に収容された錠剤を放出開口から1錠ずつ放出する円盤と、放出開口から放出される錠剤を検出する放出錠剤検出センサと、を有する錠剤放出本体と、錠剤放出本体の上部に錠剤放出本体に対して着脱自在に設けられ、円盤の回転軸に対して軸方向が傾斜して設けられた円筒状の錠剤補助収容部と、錠剤補助収容部の底面壁の上方側に設けられた錠剤通過孔と、錠剤補助収容部の底面壁と接して回転可能に設けられ、その外周部に複数個の錠剤が収容される錠剤収容孔を複数有し、回転することによって錠剤補助収容部の下部で錠剤補助収容部から錠剤収容孔に複数の錠剤が供給され、錠剤補助収容部の上部で錠剤収容孔に収容された複数の錠剤を底面壁の錠剤通過孔を介して錠剤放出本体の円盤上に落下させる回転円盤と、回転円盤の下方に設けられた回転円盤に固定された回転軸と、回転軸に固定された第1の回転伝達手段と、を有する錠剤補充容器と、錠剤放出本体に設けられた、モータと、モータの軸に固定され、第1の回転伝達手段と係合する第2の回転伝達手段と、モータが回転することにより回転円盤を回転させるとともに、錠剤通過孔と錠剤収容孔とが対向していない位置を検出する非対向位置検出手段を有する駆動部と、放出錠剤検出センサの出力に基づいて、錠剤の放出が所定時間検出されないときにモータを回転駆動して錠剤収容孔に収容された複数の錠剤を円盤上に落下させるとともに、非対向位置検出手段により錠剤通過孔と錠剤収容孔とが対向していない位置を検出したときにモータの回転駆動を停止させる制御部とを有し、
前記錠剤補充容器は、錠剤補充容器が錠剤放出本体から離脱しているときは、回転円盤によって錠剤通過孔を塞ぐとともに、回転円盤の回転を阻止する回転阻止手段を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る薬剤払出し装置の錠剤カセット棚を引き出した状態を示す斜視図。
【
図2】実施形態に係る薬剤払出し装置の内部を透視した正面図。
【
図3】実施形態に係る錠剤補充容器及び錠剤補充容器を錠剤放出本体に装着したときの外観の斜視図。
【
図4】実施形態に係る半錠供給装置の側面の断面図。
【
図5】実施形態に係る半錠供給装置の平面の断面図。
【
図6】実施形態に係る錠剤補充収容部の円筒底面及び回転円盤の関係を説明する図。
【
図7】実施形態に係るスリット円板とフォトインタラプタを説明する図。
【
図8】実施形態に係る半錠供給装置の錠剤放出本体から錠剤補充容器を離脱したときの側面の断面図。
【
図9】実施形態に係る薬剤払い出し装置のブロック図。
【
図10】実施形態に係る薬剤払い出し装置の動作を説明するためのフローチャート。
【
図11】錠剤放出本体の変形例を示す平面の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態に係る錠剤供給装置及び薬剤払出し装置を、図面を用いて説明する。
【0012】
本実施形態では、丸い錠剤を半分に分割した分割錠剤(半錠)供給装置を例にして説明するが、丸い錠剤や細長い錠剤、さらには三角形の錠剤にも適用可能である。
【0013】
図1は薬剤払出し装置100の1つの錠剤カセット棚200aを引き出した状態を示す斜視図である。
図2は薬剤払出し装置100の内部を透視した正面図である。薬剤払出し装置100には、その上部に4台の錠剤カセット棚200a~200dが並んで収容されている。それぞれの錠剤カセット棚200は、
図1に200aで示すように手動で手前に引き出せるようになっている。
【0014】
この錠剤カセット棚200a~200dのそれぞれには、その右側に右カセット収容部201、左側に左カセット収容部202が具備される。それぞれのカセット収容部201,202は5段に形成され、各段にはそれぞれが特定の寸法と形状の錠剤を払出す錠剤供給装置である専用カセット203が収容されるようになっている。カセット収容部201、202に収容される専用カセット203は、例えば特許第6255528号公報に記載されたような従来から公知のもので、それぞれの錠剤の寸法と形状に適合した専用カセットである。実施形態では、各棚に50個から58個、4棚全体として232個の専用カセット203を収容することができる。
【0015】
一方、最も下段には分割錠剤である半錠の供給に対応した半錠カセット204a、204bが収容されている。この半錠カセット204a、204bが本実施形態の半錠剤供給装置に対応する。以下、半錠カセット204a、204bをまとめて半錠カセット204と記す。
【0016】
半錠カセット204は各棚に4ケ収容され、薬剤払出し装置100全体で計16ケ収容できる。この半錠カセット204は、その上部に錠剤補充容器が装着されており、専用カセット203より大型化する(
図2では専用カセット203と半錠カセット204とを同じサイズで記載してあるが、半錠カセット204は専用カセット203の約2個分の大きさである)。このため、それぞれの薬局において、使用頻度の高い錠剤は、専用カセット203を使用し、使用頻度の低い半錠は半錠カセット204を使用するようにする。
【0017】
次に、205は垂直シュートであって、矢印206のようにカセット収容部から放出される錠剤を、各棚200の下部に位置する棚バッファ部207に自然落下させる。棚バッファ部207は、回動するシャッタ機構208とガイド体209とで構成され、シャッタ208が閉鎖されていると、下向きの三角形空間のバッファを形成して、落下してくる錠剤を一旦保留しておくことができる。棚バッファ部207は、そのシャッタ機構208が、図示しない制御部からの指令で開くと矢印210の方向に錠剤は落下することができる。この各棚の下部に設けられた4つの棚バッファ部207の下に、それぞれのシャッタ機構208が開いたときに、その錠剤を受け入れることができる大きなロート形状を持つ斜めシュート211が配置されている。この斜めシュート211によって落下した錠剤は中央のシュート出口212に集められる。
【0018】
さらに斜めシュート211の下部に包装機213が配置されている。包装機213は内蔵する分包紙ロール214に1包分ずつ所定の印字を行ったり、1包ずつ熱シールを行ったりする機能を持っている。前記のシュート出口212から導かれる複数の錠剤を例えば朝昼晩という服用単位毎に215のように分包して、矢印216方向に搬送することで、連続包装して出口217から完成品を排出するものである。
【0019】
次に、半錠カセット204について
図3乃至
図6を用いて説明する。
【0020】
図3は半錠カセット204を示すもので、
図3(b)は半錠放出本体401の上に錠剤補充容器402を装着した状態を示すもので、
図3(a)は錠剤補充容器402を半錠放出本体401から取外し、錠剤を補充するために蓋体402aを開放した状態を示す図である。
【0021】
図4は本実施形態の要部である半錠カセット204の側面の断面図、
図5は半錠カセット204の半錠放出本体401の部分の平面の断面図である。
【0022】
半錠放出本体401は、下板301の上に各機構が取付けられている。302は軸心保持台であって、軸受303を介して、垂直軸304が回転自在に取付けられている。垂直軸304の途中には歯車305が固定されており、下板301に固定された第1のモータ306によって、歯車307を介して、回転力が伝達され、垂直軸304が回転することができる。垂直軸304には内側に凹面が形成された逆円錐形の円錐円盤308(小径ターンテーブル)が固定され、垂直軸304が回転することにより、この円錐円盤308も矢印308aの方向に回転する。
【0023】
この円錐円盤308の外側には、円錐円盤308の外周を囲むように回転円筒312が設けられている。回転円筒312の下端部の内周には全周に亘って突部313が形成され、この突部313が下板301に固定された3本の支軸314の上部に設けられた溝軸受け315と径合することによって回転円筒312を回転自在に支持している。また、回転円筒312の下端部の外周には歯車316が形成され、この歯車316が中間歯車317を介して第2のモータ318の軸に結合された歯車319と噛み合うことで、第2のモータ318が回転すると回転円筒312も回転する。
【0024】
回転円筒312の上端は、その内周が円錐円盤308の外周とほぼ接する位置で、その上面が平坦な大径ターンテーブル320を形成している。大径ターンテーブル320は矢印320a方向に円錐円盤308の回転角速度よりも速い回転角速度で回転することにより、円錐円盤308から半錠を大径ターンテーブル320に移載するとき、詰まることなく高速で移載できる。大径ターンテーブル320の外周には大径ターンテーブル320の外周とほぼ接するように円筒壁321が下板301に固定されている。円筒壁321の内周と大径ターンテーブル320の内周との距離は収容される半錠の分割面と円弧面との距離(すなわち、錠剤が円形であったときの円の半径)の半径の1/2とほぼ同等に形成されている。これら円錐円盤308、大径ターンテーブル320及び円筒壁321によって複数の半錠を収容する薬剤収容部を形成している。
【0025】
また、円筒壁321の一部には壁が除去され、半錠を放出する放出開口322が設けられ、その放出開口322の外側には半錠の落下シュート323が設けられている。この落下シュート323の上部には放出した錠剤を透過光で検知する放出錠剤検出センサ328が設けられている。
【0026】
一方、円錐円盤308の上部まで突出している垂直軸304は、半円錐体309に対して回転自在に嵌め込まれている。さらに半円錐体309はその上部を円筒壁321に固定された固定板310に固定されている。また、半円錐体309の側部には曲線状(半円形)の整流ガイド311の内周端が固定され、整流ガイド311の外周端は大径ターンテーブル320の近傍に接近するように固定配置されている。整流ガイド311の下端は円錐円盤308の上面との間に、収容される半錠が通過できないわずかな隙間が形成されている。
【0027】
324は、放出開口322へ通過する半錠の幅を規制する導出ガイドであり、軸325に軸支され、この軸325に固定された歯車326と、対向する歯車327を介して、第3のモータ328によってその先端324aを破線のように回動可能としている。そして、第3のモータ328を所定角度回転することで、導出ガイド先端324aと円筒壁321の内面との間隙を、半錠の分割面と円弧面との距離(すなわち、錠剤が円形であったときの円の半径)の1.2倍程度とすることにより、円筒壁321と導出ガイド324の先端324aとの間隙に半錠が1個ずつ通過できるようにしている。
【0028】
円筒壁321と導出ガイド324の先端324aとの間隙を通過した半錠は放出開口322を通って放出され、落下シュート323を経由して分包機213へ供給される。落下シュートへ放出された半錠は放出錠剤検出センサ328によって検出され、後述するように放出された半錠の数が計数される。なお、330はモータの駆動回路などの電気系統を収容する収容部である。
【0029】
このように構成された半錠放出本体401の動作を説明する。
【0030】
薬剤収容部に半錠が入っている状態で、第1のモータ306と第2のモータ318とを回転させると、円錐円盤308と大径ターンテーブル320とが回転する。円錐円盤308が回転すると円錐円盤308の上の半錠は円錐円盤とともに回転移動するが、整流ガイド311によって移動が規制される。すると回転方向の移動が規制された半錠は円錐円盤308の外形方向に移動する。外形方向に移動した半錠は大径ターンテーブル320に移載される。移載された半錠は大径ターンテーブル320によって搬送され、導出ガイド324と円筒壁321の間を通って1個ずつ放出開口322から落下シュート323に放出される。
【0031】
このように構成された半錠放出本体401の上には錠剤補充容器402が着脱自在に装着されている。
【0032】
錠剤補充容器402は、円筒状の外壁403と円筒の底面壁404とからなる錠剤補助収容部405を有する。錠剤補助収容部405はその軸心406が、半錠放出本体401の円盤308を回転する垂直軸304に対して約45度傾斜して錠剤補充容器402の筐体407内に取り付けられている。また、傾斜した底面壁404の上方には半錠を通過させるための孔408が設けられている。
【0033】
錠剤補助収容部405内には底面壁404と接して円筒の軸心406を中心として回転自在な回転円盤409が設けられている。回転円盤409は所定の厚さを有し、回転円盤の外周部分には底面壁404の孔408と動じ形状の4つの錠剤収容孔409a、409b、409c、409dが設けられている。なお、錠剤収容孔の詳細は後述する。回転円盤409に一端が固定された回転軸410は底面壁を貫通して、底面壁404に固定された軸受けホルダ411に回転自在に軸支されている。また、回転軸410の他端には第1の回転伝達手段である従動傘歯車412が固定されている。さらに錠剤補助収容部405の底面壁404の外側には、孔408に対向して、孔408を通過した半錠が半錠放出本体401の円錐円盤308へ落下するのを案内する落下シュート413が設けられている。
【0034】
一方、半錠放出本体401の上部には、従動傘歯車412と噛合って回転する、第2の回転伝達手段である駆動傘歯車414が設けられている。駆動傘歯車414と従動傘歯車412とは、錠剤補充容器402が半錠放出本体401に装着されたときに係合し、錠剤補充容器402が半錠放出本体401から取外された(離脱)ときは係合が外れるようになっている。
【0035】
錠剤補充容器402が半錠放出本体401に装着されたときは従動傘歯車412がモータ415によって回転させられるが、錠剤補充容器402が半錠放出本体401から取外されたときに従動傘歯車412の回転を阻止する機構430が錠剤補充容器402設けられている。その詳細は後述する。なお、回転伝達手段は駆動傘歯車と従動傘歯車に限らず、摩擦ローラの組合せによって構成することもできる。
【0036】
また、駆動傘歯車414は第4のモータ415の軸の一端に固定されている。これによって第4のモータ415が回転することにより、回転円盤409が回転する。第4のモータ415の軸の他端にはスリットを有する円板416が取り付けられ、スリットと対向してフォトインタラプタ417が設けられている。
【0037】
この第4のモータ415と駆動傘歯車414とで、駆動部を構成する。
【0038】
次に、
図6及び
図7を用いて底面壁404の孔408と回転円盤409の錠剤収容孔409a、409b、409c、409dとの関係について説明する。
【0039】
図6は
図4の矢印419の方向から見た図である。
図6(a)に示すように、底面壁404には、その傾斜した上方に半円状の孔408が設けられている。一方、
図6(b)、に示すように、回転円盤409の外周部には90度ずつずれた位置に、4つの錠剤収容孔409a、409b、409c、409dが設けられており、各錠剤収容孔409a~409dにはそれぞれ10~20個の半錠が収容されるようになっている。この回転円盤409は第4のモータ415を回転することにより
図6(c)に矢印409eで示す方向に回転させられる。錠剤収容孔409a~409dの形状は底面壁404の孔408と動じ半円状の形状である。底面壁404の孔408と回転円盤409の孔とが対向することにより錠剤収容孔409a~409dに収容されている半錠が孔408を介して半錠放出本体401の円錐円盤308上に落下する。また、錠剤収容孔409a~409dのそれぞれが錠剤補助収容部405の下方に回転してきたときに錠剤補助収容部405内の半錠が錠剤収容孔409a~409d内に供給されるようになっている。
【0040】
図7は
図4の矢印420の方向から見た図である。
図7に示すように、第4のモータ415の軸の他端には90度ずつずれた位置にスリット416sを有する円板416が設けられ、この円板416のスリット416sをフォトインタラプタ417で検出するようになっている。
【0041】
このように構成された錠剤補充容器402の動作について説明する。
【0042】
モータ415が回転すると回転円盤409が回転し、
図6(b)の位置に来ると、錠剤収容孔409aに収容された半錠が孔408を介して円錐円盤308上に落下する。またこのとき、回転円盤409の錠剤収容孔409cが錠剤補助収容部405の下方に位置するときに錠剤補助収容部405に収容されている半錠が錠剤収容孔409cに供給される。そして、モータ415がさらに45度回転し、
図6(c)の位置に来ると
図7に示すように円板416のスリット416sがフォトインタラプタ417によって検出され、モータ415の回転が停止される。回転円板409がこの位置で停止されているときは、底面壁404の孔408は回転円盤409によって塞がれているので、錠剤補助収容部405内の錠剤は孔408を介して落下することが無い。このようにモータ415はフォトインタラプタ417がスリット416sを検出した位置で停止させられる。スリットを有する円板416とフォトインタラプタ417で非対向位置検出手段を構成する。
【0043】
錠剤補充容器402には錠剤補充容器402が半錠放出本体401から取外されたときに回転円盤409の回転が阻止される機構が設けられている。回転円盤409が図6(c)の位置にあるときに錠剤補充容器402を半錠放出本体401から取外すと、回転円盤409によって底面壁の孔408を塞いでいるので、錠剤補助収容部405の錠剤が開部に放出されることは無い。しかしながら、係員が不用意に従動傘歯車412を手回ししてしまうと、錠剤収容孔409に収納されている錠剤が底面壁の孔408を介して外にこぼれる。これを防ぐのが回転阻止機構430である。
【0044】
図8に示すように、軸431を中心に回転自在なロック爪板432が取り付けられ、その一端が従動傘歯車412の歯の間に食込んでいる。ロック爪板432の他端はストッパ433に当接してそれ以上の回動を規制している。バネ434はロック爪板432をロックする方向に弾性付勢している。435は半錠放出本体401の固定板310に設けられた突起である。
【0045】
図4に示すように、錠剤補充容器402を半錠放出本体401の上に装着すると、固定板301にも受けられた突起435によってロック爪板432が押し上げられ、ロックつめ板432の一端が従動傘歯車412の間から外れてロックが解除され、回転円盤409の回転が許容されるものである。
【0046】
図9は、実施形態の薬剤払出し装置100の制御ブロック図である。
【0047】
薬剤払出し装置100内には全体制御部218が設けられ、この全体制御部218には筐体内通信路を介して、包装機213、複数の専用カセット201,202、及び複数の半錠カセット204が接続されている。また、全体制御部218はLANを経由して薬局内の処方箋システム219に接続されている。
【0048】
各半錠カセット204内には半錠カセット制御部413が設けられている。半錠カセット制御部413には円錐円盤308を回転駆動する第1のモータ306、回転円筒312すなわち大径ターンテーブル320を回転駆動する第2のモータ318、導出ガイド324を回動駆動する第3のモータ328、回転円盤409を回転駆動する第4のモータ415、落下シュート323に設けられ、放出された半錠を検出する放出錠剤検出センサ328、及び円板416のスリット416sを検出するフォトインタラプタ417がそれぞれ接続されている。
【0049】
そして、処方箋に従って分包動作を開始する場合は、処方箋システム219から全体制御部218に対して、1服用当たりの錠剤名、数量、朝昼晩等の服用指示、日数等の指示が伝えられる。全体制御部218は、1服用あたり必要な各錠剤が入っている専用カセット201,202に対して、必要な数量の払出し指示をする。同様に半錠カセット204の半錠カセット制御部413にも、必要な数量の払出し指示が伝えられる。この分包指令に基づいて専用カセット201,202からの錠剤の放出、半錠カセット204からの半錠の放出、及び包装機213により放出された錠剤の包装が成されるものである。
【0050】
次に、半錠カセット204からの半錠の放出動作について、
図10のフローチャートを参照して説明する。
【0051】
すなわち、全体制御部218から半錠カセット204の半錠カセット制御部413にも、放出する数量指示が伝えられる。なお、この半錠カセット制御部413は、予めこの半錠カセットに特定の寸法の錠剤をセットする準備操作において、その寸法に対応して、第3のモータ318を所定パルス駆動して、導出ガイド324の先端324aと円筒壁321の内面との幅を、半錠幅の1.2倍程度として、半錠が1個のみ順次通過できるように設定される。
【0052】
半錠カセット制御部413は全体制御部218から放出すべき放出指令数量nを受信する(ST1)。放出指令数量nを受信すると半錠カセット制御部413は落下シュート323の上部に設けられた放出錠剤検出センサ328の出力に基づいて半錠の放出数量を計数する第1のカウンタの値Cをゼロにクリアする。また、放出錠剤検出センサ328の出力に基づいて半錠の放出が所定時間途絶えたことを検出するタイマPをリセット(P=0)する(ST2)。これら第1のカウンタ及びタイマは図示しないが、半錠カセット制御部413内のRAMに設けられている。
【0053】
次に、第1のモータ306及び第2のモータ318を駆動して円錐円盤308及び大径ターンテーブル320を回転させる(ST3)。半錠が放出開口322から放出されるまでは落下シュート323の放出錠剤検出センサ328はONとならず(ST4=N)、タイマPが所定時間経過したかが判別される(ST5)。タイマPが所定時間経過していなければ放出錠剤検出センサ328が半錠を検出するまで繰り返す。円錐円盤308及び大径ターンテーブル320が回転して半錠が1個ずつ放出開口322から放出され、この放出された半錠が落下シュート323を落下する途中で放出錠剤検出センサ328によって検出される(ST4)。放出錠剤検出センサ328がONとなることにより、第1のカウンタの値Cがカウントアップ(C=C+1)されるとともにタイマPがリセットされる(P=0)(ST6)。カウントアップした結果、第1のカウンタの値Cが放出指令数量nと一致したか否かが判定される(ST7)。第1のカウンタの値Cが放出指令数量nと一致していないと(ST7=N)、ST4に戻って半錠の放出が継続される。
【0054】
一方、半錠放出本体401内の半錠を全て放出して半錠の放出ができなくなり、タイマPが所定時間、例えば5秒経過すると(ST5=Y)、第4のモータ415を回転させて錠剤補充容器402の回転円盤409を回転させる。そして、フォトインタラプタ417が次のスリット417sを検出するまで回転円盤409を90度回転させると、錠剤収容孔409aに収容されていた半錠が穴408を介して円錐円盤308上に落下する。円錐円盤308と大径ターンテーブル320とが回転しているので、円錐円盤308に落下した半錠は再び放出開口322から放出される。
【0055】
その後、タイマPをリセット(P=0)して(ST9)半錠の放出を継続する。ST7で放出した半錠の数Cが放出指令数量nに等しくなると(ST7=Y)、第1のモータ306及び第2のモータ318を停止させて(ST10)、放出動作を終了する。
【0056】
このように、本実施の形態によれば、円錐円盤308には、常時錠剤収容穴409a~409dに収容されている10~20個程度の半錠しか存在しないので、常に少量の放出となって半錠の詰りや半錠の欠けが少なくなる。また、錠剤補充容器402には電気部品が存在しないので錠剤放出本体401から取外して水洗いすることができ、半錠を補充しているときに発生しやすい薬剤の粉末を簡単に除去できるものである。
【0057】
本発明は、半錠に限定されるものではなく、丸い錠剤や細長い錠剤、さらには三角形の錠剤にも適用可能である。また、錠剤放出本体についても円錐円盤と大径ターンテーブルを用いた構成に限定されるものではなく、例えば
図11に示すように1枚の円盤であっても良い。
【0058】
【0059】
図11は本実施形態の錠剤放出本体の変形例の平面の断面図である。
【0060】
錠剤放出本体500は、下板501の上に回転自在に設けられた垂直軸504には円盤508が水平に固定され、垂直軸504が回転することにより、この円盤508も矢印508aの方向に回転する。
【0061】
この円盤508の外周を取囲むように垂直の円筒壁512が設けられ、円盤508と円筒壁512とによって複数の丸い錠剤Pを収容する薬剤収容部を形成している。この円筒壁512の一部を切り欠くことにより錠剤Pを放出する放出開口である円盤出口514が形成されている。
【0062】
円盤508の上部まで突出している垂直軸504は、半円錐体509に対して回転自在に嵌め込まれている。また、半円錐体509の側部には半円形のガイド体511の一端が固定され、ガイド体511の他端は順次円筒壁512に接近するように配置されている。
【0063】
以上のように構成されているので、円盤508が回転することによって円盤508の上に載っている錠剤Pは円盤508とともに回転するが、半円形のガイド体511にガイドされて錠剤が円盤の内周方向から外周方向に移動させられる。
【0064】
513は円筒壁512から突出して設けられた突出板であって、その高さは円盤508の上面から錠剤1.5錠分の厚さ程度の間隙を持っている。この突出板513は、複数の錠剤が積み重なって搬送された時に、下側の錠剤のみが、円盤508の外周に沿って円盤出口514側に導出され、上側の錠剤は突出板513によって円盤508の内周方向に落下させられる。
【0065】
515は、錠剤の幅を規制するガイド体であり、軸516に軸支され、この軸516に固定された歯車517と、対向する歯車518を介して、モータ519によってその先端515aを破線のように回動可能としている。そして、モータ519を所定角度回転することで、ガイド先端515aと円筒壁512の内面との間隙を、錠剤の幅の1.2倍程度として、円筒壁512とガイド体515との間隙に1錠ずつ通過できるようにしている。
【0066】
円盤出口514の外側には円盤出口514を塞ぐように上下に一対のローラ521、522を有するローラ切出し部(放出手段)が設けられている。これらローラ521、522はその回転軸の方向が円筒壁512の外周の接線方向となるように配置されている。そして、一対のローラ521,522が回転することによってこれらのローラ間に錠剤を挟持して図示しない落下シュートに放出する。
【0067】
以上のように本発明は、1枚の円盤を用いて丸い錠剤を払出す錠剤供給装置にも適用可能である。
【0068】
以上詳述したように、本発明によれば、円盤を用いた錠剤放出本体の円盤部には常に少量の錠剤のみが存在するので、錠剤の詰りや錠剤の欠けが少ない錠剤供給装置を提供できるものである。
【0069】
本発明のいくつかの実施形態、変形例を説明したが、これらの実施形態、変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態、変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
100・・・錠剤払出し装置
200・・・錠剤カセット棚
204・・・半錠カセット(薬剤供給装置)
213・・・包装機
308・・・円錐円盤(円盤)
320・・・大径ターンテーブル
321・・・円筒壁
322・・・放出開口
324・・・導出ガイド
328・・・放出錠剤検出センサ
401・・・半錠放出本体
402・・・錠剤補充容器
404・・・底面壁
406・・・円筒の軸心
408・・・底面壁の孔(錠剤通過孔)
409・・・回転円盤
409a~409d・・・錠剤収容孔
412・・・従動傘歯車(第1の回転伝達機構)
413・・・半錠カセット制御部
414・・・駆動傘歯車(第2の回転伝達機構)
415・・・第4のモータ
417・・・フォトインタラプタ
430・・・回転阻止機構