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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】水素ガス分離装置
(51)【国際特許分類】
   C01B 3/56 20060101AFI20220531BHJP
   B01D 53/22 20060101ALI20220531BHJP
   B01D 63/06 20060101ALI20220531BHJP
   B01D 71/02 20060101ALI20220531BHJP
   H01M 8/0662 20160101ALN20220531BHJP
【FI】
C01B3/56 Z
B01D53/22
B01D63/06
B01D71/02 500
H01M8/0662
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019033163
(22)【出願日】2019-02-26
(62)【分割の表示】P 2017238150の分割
【原出願日】2017-12-12
(65)【公開番号】P2019104681
(43)【公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】317019041
【氏名又は名称】株式会社飯島機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100087594
【弁理士】
【氏名又は名称】福村 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100204881
【弁理士】
【氏名又は名称】土井 伸次
(72)【発明者】
【氏名】飯島 章男
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-303802(JP,A)
【文献】特開2013-094800(JP,A)
【文献】特開2017-051903(JP,A)
【文献】特開昭55-127124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 3/56
B01D 53/22
B01D 63/06
B01D 71/02
H01M 8/0662
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内で、水素ガスを含有する原料ガスが存在する原料側空間と高純度の水素ガスが存在する精製側空間とを隔絶する管板と、
前記原料側空間と前記精製側空間とが非連通状態になるように、前記管板に装着される複数の細管と、を備え、
前記細管は、材質がPd-Ag合金又はPd-Ag-Au合金であるとともに、寸法が、内径1mm以上10mm以下であり、かつ、厚み0.05mm以上0.30mm以下であり、管軸長500mm以上1000mm以下であり、
前記容器本体は、前記管板側が開放された容器状の内筒と、外筒と、を内側に配置し、
前記外筒の内部空間が、前記管板により前記原料側空間と前記精製側空間とに隔絶され、
前記内筒は、前記外筒の前記原料側空間に配置されるとともに、前記細管が挿入され、
前記容器本体は、前記原料側空間が位置する一方側に第1フランジが連結されるとともに、前記精製側空間が位置する他方側に第2フランジが連結され、
前記外筒は、前記一方側に原料ガス供給管及びブリードガス排出管が接続された外筒キャップが溶接されるとともに、前記他方側に、水素ガス抽出管が接続されたキャップが溶接され、さらに、前記第1フランジに立設された支持棒により支持されている
ことを特徴とする水素ガス分離装置。
【請求項2】
前記内筒は、前記一方側に内筒キャップが連結されるとともに、前記支持棒により支持されている
ことを特徴とする請求項1に記載の水素ガス分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料ガスから水素ガスを分離する水素ガス分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境のため、二輪車や自動車などの車両は、化石燃料を燃焼させる内燃機関を有するものから、電池と内燃機関を併用するハイブリッド車両、電気車両、燃料電池車両へと移行している。このうち、燃料電池車両は、水素ガスと酸素ガスを燃料として、発電するものである。
【0003】
水素は、メタノール、ジメチルエーテル、天然ガスなどを原料ガスとして精製されている。例えば、特許文献1には、パラジウム合金製(例えば、Pd-Ag合金やPd-Ag-Au合金など)の細管を用いて、水素ガスを含有する原料ガスから水素ガスを分離する水素ガス分離装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-097320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
燃料電池車両を普及させるためには、水素ガスを供給する水素ガス供給ステーションを、現在のガソリンスタンドのように各地に設置する必要がある。しかしながら、特許文献1にみられる水素ガス分離装置は大型であるため、設置面積が広く、ガソリンスタンドに併設することは、非常に困難といえる。
【0006】
そこで、本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、小型化を実現できる水素ガス分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る1つの態様の水素ガス分離装置は、容器本体内で、水素ガスを含有する原料ガスが存在する原料側空間と高純度の水素ガスが存在する精製側空間とを隔絶する管板と、前記原料側空間と前記精製側空間とが非連通状態になるように、前記管板に装着される複数の細管と、を備え、前記細管は、材質がPd-Ag合金又はPd-Ag-Au合金であるとともに、寸法が、内径1mm以上10mm以下であり、かつ、厚み0.05mm以上0.30mm以下であり、管軸長500mm以上1000mm以下であるものである。
(2)上記(1)の態様において、前記細管は、U字状の管であり、その両端の開口部が前記精製側空間側に開口していてもよい。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記管板に装着された複数の細管は、それら複数の細管の配設態様が、少なくとも以下の(a)から(g)のとおりであってもよい。
配設態様:
(a)複数の細管の管軸が、同心円上に位置するように、配列され、
(b)最も内側に位置する第1の円の円周上に配置される細管が、8本以上16本以下であり、
(c)前記第1の円の外側に隣接する第2の円の円周上に配置される細管が、8本以上16本以下であり、
(d)前記第2の円の外側に隣接する第3の円の円周上に配置される細管が、16本以上32本以下であり、
(e)前記第3の円の外側に隣接する第4の円の円周上に配置される細管が、16本以上32本以下であり、
(f)前記第4の円の外側に隣接する第5の円の円周上に配置される細管が、16本以上32本以下であり、
(g)前記第5の円の外側に隣接する第6の円の円周上に配置される細管が、32本以上64本以下である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小型化を実現できる水素ガス分離装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】水素ガス精製装置を示す概略図である。
図2】実施形態の水素ガス分離装置を示す概略断面図である。
図3】(a)実施形態の細管、(b)変形例1の細管、(c)変形例2の細管を示す概略図である。
図4】細管の配置態様を示す概略水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0011】
図1は、水素ガス精製装置1を示す概略図である。図2は、実施形態の水素ガス分離装置10を示す概略断面図である。図3は、(a)実施形態の細管50、(b)変形例1の細管150、(c)変形例2の細管250を示す概略図である。
【0012】
水素ガス精製装置1は、原料ガス供給管2と、ブリードガス排出管3と、水素ガス抽出管4と、これらが接続される水素ガス分離装置10と、を備えており、原料ガスFGから水素ガスHを分離する。
【0013】
まず、原料ガス供給管2は、開閉バルブ2aと熱交換器5とを介して、水素ガス分離装置10の下方に接続されている。また、開閉バルブ2aの下流には、原料ガスFGの供給圧力を検出する圧力計P1が設けられている。
【0014】
つぎに、ブリードガス排出管3は、一端が水素ガス分離装置10の下方に接続されており、他端がニードルバルブ3aを介して、図示されないブリードガス回収装置に接続されている。また、ニードルバルブ3aの下流には、ブリードガスBGの排出流量を検出する流量計FMが設けられている。
【0015】
ニードルバルブ3aの絞り量を調整することで、ブリードガスBGの排出流量が調整され、ひいては、原料ガスFGの供給流量が調整される。そして、原料ガスFGの供給流量を調整することで、水素ガスHの抽出量を制御することができる。
【0016】
一方、水素ガス抽出管4は、一端が水素ガス分離装置10の上方に接続されており、他端が熱交換器5と開閉バルブ4aとを介して、図示されない水素ガス回収装置(水素ボンベ)に接続されている。また、開閉バルブ4aの上流には、水素ガスHの抽出圧力を検出する圧力計P2が設けられている。
【0017】
熱交換器5は、外管5a及び内管5bの二重管構造として形成されており、外管5aが水素ガス抽出管4に接続され、内管5bが原料ガス供給管2に接続されている。つまり、外管5aと内管5bと間に形成される管状空間を精製された高純度の水素ガスHが流れるようになっており、水素ガスHの熱エネルギーが、原料ガスFGに伝達され、原料ガスFGの予備加熱が行われるとともに、水素ガスHの除熱(冷却)が行われる。
【0018】
なお、高純度の水素ガスHは、純度が99.999%以上、酸素濃度0.5ppm以下、窒素濃度5.0ppm以下、一酸化炭素濃度0.1ppm以下、二酸化炭素濃度0.1ppm以下、メタン0.5ppm以下、露点-70℃以下程度のものを指すが、更に超高純度の水素ガスHも含むものとする。
【0019】
そして、水素ガス分離装置10は、原料ガス供給管2から供給された原料ガスFGから水素ガスHを分離し、ブリードガスBGを排出するもので、容器本体20と、外筒30と、管板40、細管50と、内筒60と、を備えている。
【0020】
容器本体20は、円筒状のものであり、一方側に第1フランジ21が形成され、他方側に第2フランジ22が形成されている。この容器本体20は、例えば、SUS316などのステンレス鋼製の鋼管で形成されており、その鋼管は、その肉厚として厚みが1.5mmから2.0mm程度である。
【0021】
第1フランジ21は、円板状のもので、第1フランジ21の中心と容器本体20の中心とが一致するように、容器本体20に溶接により連結されている。また、第1フランジ21には、開口孔21a及び開口孔21bが形成されている。開口孔21aに原料ガス供給管2が接続されることで、原料ガスFGを容器本体20の内部に供給できるようになっており、一方、開口孔21bにブリードガス排出管3が接続されることで、ブリードガスBGを容器本体20の外部に排出できるようになっている。
【0022】
第2フランジ22は、リング状のもので、第2フランジ22の中心と容器本体20の中心とが一致するように、容器本体20に溶接により連結されており、さらに、リングの内側には、ガスキャップ23が溶接により連結されている。
【0023】
このガスキャップ23には、中央に開口孔23aが形成されている。この開口孔23aに水素ガス抽出管4が接続されることで、分離された水素ガスHを容器本体20の外部に抽出できるようになっている。
【0024】
外筒30は、円筒状のものであり、容器本体20の内側に、容器本体20の内側表面から1.5mm~2.0mm程度の隙間をあけて配置されている。この外筒30は、ステンレス鋼製の鋼管で形成されており、その鋼管は、その肉厚として厚みが2.0mmから2.5mm程度である。この外筒30は、一方側に外筒キャップ31が溶接により連結されており、他方側はガスキャップ23に溶接により連結されている。
【0025】
この外筒キャップ31は、円板状のものであり、略中央部が第1フランジ21に立設された支持棒32により支持され、第1フランジ21から離間して配置されている。つまり、外筒30は、容器本体20の内周面及び第1フランジ21から離間して配置されている。
【0026】
外筒キャップ31には、開口孔31a及び開口孔31bが形成されている。開口孔31aと第1フランジ21の開口孔21aとの間には、原料ガスFG供給用の接続配管2bが接続されており、一方、開口孔31bと第1フランジ21の開口孔21bとの間には、ブリードガスBG排出用の接続配管3bが接続されている。
【0027】
また、外筒30には、外筒キャップ31とガスキャップ23との間に、管板40が溶接により連結されている。つまり、外筒30は、管板40により内部空間が、水素ガスHを含有する原料ガスFGが存在する原料側空間RFと、高純度の水素ガスHが存在する精製側空間RHと、に隔絶されている。
【0028】
管板40は、ステンレス鋼又はニッケル製の円板状のものであり、外筒30の内径と等しい外径を有している。また、この管板40には、複数の細管50が所定の配列で装着され、配設されている。なお、図1及び図2において、細管50は2本のみが描かれているが、実際には複数本が管板40に装着されている。ただし、細管50の配設態様については後述する。
【0029】
細管50は、図3(a)に示すように、直線状部分が離間した略U字状に形成された管状体である。この細管50は、2つの開口部51側が管板40に同一半径上(図1及び2における紙面表裏方向)で、溶接、好適にはレーザ溶接などにより装着されることで、細管50の二つの開口部51が精製側空間RHに開口するとともに、原料側空間RFと精製側空間RHとを隔絶(非連通状態)している。なお、細管50は、図3(b)に示すように、直線状部分が接触又は実質的に接触した略U字状に形成されていてもよい。
【0030】
この水素ガス分離装置10に適用される細管50は、直管を二つ折りにしてなり、細管50内部の空間が二つ折りにした部分で内部空間が、一端側の開口部51に通じる空間と他端側の開口部51に通じる空間とに仕切られた形態であってもよい。
【0031】
要するに、細管50は、原料側空間RFと精製側空間RHとを非連通状態にすることができ、換言すると、細管50そのものは原料側空間RFと精製側空間RHとを連通状態にするものでない限り、略U字状の形状に限定されない。
【0032】
例えば、図3(c)に示されるように、変形例2の細管250は、直線状の管状体であり、一方側に開口部51が形成され、他方側が半球殻状の閉塞端52として形成されている、盲管の形態をであってもよい。細管250は、細管250を形成する金属の組織、つまり金属組織が連続的に繋がっていることが好ましい。金属組織が連続的に繋がっている細管250は、押出加工により好適に製造されることができる。
【0033】
あるいは、両端に開口部51を有する直管(円筒管)における一端側の開口部51を溶接により封止することで、端部を閉鎖した盲管状の細管250を形成することもできるが、溶接により一端側の開口部51を封止してなる盲管状の細管250は、溶接により封止した部分(溶接封止部分)と、溶接されていない管状部分とで、金属組織が異なり、不連続となるから、低コストではあるが、必ずしも好適なものとはいえない。金属組織が異なる細管250を、水素ガス分離装置10に装着すると、溶接封止部分を有する細管250は、溶接封止部分で錆が発生することがある。
【0034】
そのため、U字状の管形状と、盲管状の直管形状とを比較すると、U字状をなす細管50における曲成部分が、直管形状の細管250に比べて、水素ガスHの分離機能を余分に有するため、細管50の形状としては、U字状の細管50が、盲管状の細管250よりも好適である。
【0035】
細管50の管軸長は、500mm以上1000mm以下である。また、細管50の内径は、1mm以上10mm以下であり、厚みは、0.05mm以上0.30mm以下である。つまり、細管50の外径は、1.1mm以上10.6mm以下である。
【0036】
さらに、細管50は、水素ガスHのみを外側から内側に透過させる材料、例えば、Pd-Ag合金で形成されているとよく、Pd-Ag-Au合金であることがより好ましい。
【0037】
また、外筒30の内側には、複数の細管50が挿入される内筒60が配置されている。この内筒60は、円筒状のものであり、ステンレス鋼製の鋼管で形成されている。内筒60は、外筒キャップ31側である一方側に内筒キャップ61が溶接により連結されており、他方側が開放された容器状になっている。
【0038】
そして、この内筒キャップ61は、略中央部が第1フランジ21に立設された支持棒32により支持され、外筒キャップ31から離間して配置されている。つまり、内筒60は、外筒30の内周面、外筒キャップ31及び管板40から離間して配置されている。なお、支持棒32は、内筒60の内側を通過し、管板40に近接する位置まで延びている。
【0039】
ところで、容器本体20の外周には、容器本体20内の原料ガスFG(水素ガスHも含む。)を加熱するヒータ70が巻回されて、設けられている。このヒータ70は、容器本体20の軸線方向に沿って3つの区分に分割されており、それぞれの区分ごとに、200℃から700℃程度の範囲の温度調整が可能になっている。
【0040】
このような構造により、原料ガス供給管2から供給された原料ガスFGは、水素ガス分離装置10において、接続配管2bを介して外筒30の内部、つまり、原料側空間RFに流れ、外筒30の内側と内筒60の外側との間を通って、内筒60の開放端又は管板40まで至り、反転して内筒60の内側をブリードガス排出管3に向かって通っていく。
【0041】
そして、原料ガスFGが原料側空間RFを通過する際に、複数の細管50の表面に拡散し接触することで、水素ガスHのみが、原料側空間RF側から精製側空間RH側に細管50を透過し、細管50の内部を通り、更に精製側空間RHを介して水素ガス抽出管4に抽出される。また、原料ガスFGのうち水素ガスH以外の不純物は、接続配管3bを介してブリードガス排出管3に排出される。
【0042】
ここで、管板40における細管50の配設態様について説明する。図4は、細管50の配置態様を示す概略水平断面図である。
【0043】
複数の細管50は、以下の(b)から(k)において特定されるような配設態様で、(a)複数の細管50の管軸は、第1の円C1から第10の円C10の各同心円上にそれぞれ位置するように、管板40に装着されている。なお、細管50は、外径が1.0mmのものである。また細管50の本数は、外筒30の原料側空間RFの容積や原料ガスFGの供給流量によって適宜変更されることがあるが、原料ガスFGの供給流量が10m/hrの場合について、具体的に例示する。
【0044】
(b)最も内側に位置する第1の円C1の円周上に配置される細管50が、8本以上16本以下である。例えば、本実施形態では、第1の円C1は、直径10mmであり、細管50は、等間隔で8本配置されるとよい。
【0045】
(c)第1の円C1の外側に隣接する第2の円C2の円周上に配置される細管50が、8本以上16以下である。例えば、本実施形態では、第2の円C2は、直径14mmであり、細管50は、等間隔で8本配置されるとよい。
【0046】
(d)第2の円C2の外側に隣接する第3の円C3の円周上に配置される細管50が、16本以上32本以下である。例えば、本実施形態では、第3の円C3は、直径18mmであり、細管50は、等間隔で16本配置されるとよい。
【0047】
(e)第3の円C3の外側に隣接する第4の円C4の円周上に配置される細管50が、16本以上32本以下である。例えば、本実施形態では、第4の円C4は、直径22mmであり、細管50は、等間隔で16本配置されるとよい。
【0048】
(f)第4の円C4の外側に隣接する第5の円C5の円周上に配置される細管50が、16本以上32本以下である。例えば、本実施形態では、第5の円C5は、直径26mmであり、細管50は、等間隔で16本配置されるとよい。
【0049】
(g)第5の円C5の外側に隣接する第6の円C6の円周上に配置される細管50が、32本以上64本以下である。例えば、本実施形態では、第6の円C6は、直径32mmであり、細管50は、等間隔で32本配置されるとよい。
【0050】
(h)第6の円C6の外側に隣接する第7の円C7の円周上に配置される細管50が、32本以上64本以下である。例えば、本実施形態では、第7の円C7は、直径36mmであり、細管50は、等間隔で32本配置されるとよい。
【0051】
(i)第7の円C7の外側に隣接する第8の円C8の円周上に配置される細管50が、32本以上64本以下である。例えば、本実施形態では、第8の円C8は、直径40mmであり、細管50は、等間隔で32本配置されるとよい。
【0052】
(j)第8の円C8の外側に隣接する第9の円C9の円周上に配置される細管50が、32本以上64本以下である。例えば、本実施形態では、第9の円C9は、直径44mmであり、細管50は、等間隔で32本配置されるとよい。
【0053】
(k)第9の円C9の外側に隣接する第10の円C10の円周上に配置される細管50が、32本以上64本以下である。例えば、本実施形態では、第10の円C10は、直径48mmであり、細管50は、等間隔で32本配置されるとよい。
【0054】
このように、本実施形態では、合計224本の細管50が、管板40に装着されることになる。
【0055】
(I)原料ガスFGの供給流量が1.2m/hrの場合は、第1の円C1から第3の円C3までに配列し、合計32本の細管50を管板40に装着するとよい。
(II)原料ガスFGの供給流量が2m/hrの場合は、第1の円C1から第4の円C4までに配列し、合計48本の細管50を管板40に装着するとよい。
(III)原料ガスFGの供給流量が5m/hrの場合は、第1の円C1から第7の円C7までに配列し、合計128本の細管50を管板40に装着するとよい。
【0056】
(実施例)
実施形態の水素ガス分離装置10を用いて(図1参照)、原料ガスFGから水素ガスHを分離・抽出した。この実施例では、原料ガスFGとして、水素ガスHと窒素ガスとを用いた。
表1に示されるように、水素ガス分離装置10において、運転開始から5分までは、窒素ガスを表1に示すガス圧P1で原料ガス供給管2から供給し、次いで昇温を開始し、昇温開始から120分が経過するまでは、窒素ガスを表1に示すガス圧P1で供給し、供給開始後から3分が経過すると、窒素ガスを表1に示す時間及びガス圧P1で供給し、その後、窒素ガスの供給を停止するとともに、水素ガスHを表1に示す時間及びガス圧P1で原料ガス供給管2から供給した。
そして、水素ガス抽出管4から流出する水素ガスHのガス圧P2及び流量を測定してその値を表1に示した。
【0057】
【表1】
【0058】
なお、圧力計P1の圧力は、原料ガスFGの代替ガスである窒素ガス又は水素ガスHの供給圧力で、圧力計P2の圧力は水素ガスHの抽出圧力である。抽出した水素ガスHの流量の補正値は、常圧に換算したものである。温度T2は水素ガス抽出管4における温度、温度t1はブリードガス排出管3における温度、温度t3は内筒キャップ61付近における温度、温度t4は内筒キャップ61の中間付近における温度、温度t5は内筒キャップ61の開口付近における温度である。
【0059】
この実験から、原料ガスFGの供給圧力P1を上昇させることで、抽出できる水素ガスHの量が増加することがわかる。
【0060】
以上、説明したとおり、本発明に係る実施形態の水素ガス分離装置10は、容器本体20内で、水素ガスHを含有する原料ガスFGが存在する原料側空間RFと高純度の水素ガスHが存在する精製側空間RHとを隔絶する管板40と、原料側空間RFと精製側空間RHとを途絶するとともに、管板40に装着される複数の細管50と、を備え、細管50は、材質がPd-Ag合金又はPd-Ag-Au合金であるとともに、寸法が、内径1mm以上10mm以下であり、かつ、厚み0.05mm以上0.30mm以下であり、管軸長500mm以上1000mm以下であり、管板40における細管50の配設態様は、上述した少なくとも(a)から(g)のとおりであるものである。
【0061】
これにより、水素ガス分離装置10を小型化することができる。そのため、水素ガス分離装置10を既存のガソリンスタンドに併設することができ、燃料電池車両の普及につなげることができる。
【0062】
また、実施形態では、細管50が管板40に装着されたときに、細管50は、精製側空間RHに対して開口し、原料側空間RFに対して閉塞している。これにより、原料ガスFGから水素ガスHを途絶して、水素ガスHのみを抽出することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0064】
(変形例)
上記実施形態では、細管50は、2つの開口部51側が管板40に同一半径上に位置するように装着されたが、第1の円C1から第10の円C10までの異なる半径上に位置するものであってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 水素ガス精製装置
2 原料ガス供給管、2a 開閉バルブ、2b 接続配管
3 ブリードガス排出管、3a ニードルバルブ、3b 接続配管
4 水素ガス抽出管、4a 開閉バルブ
5 熱交換器、5a 外管、5b 内管
10 水素ガス分離装置
20 容器本体、21 第1フランジ、22 第2フランジ、23 ガスキャップ
30 外筒、31 外筒キャップ、32 支持棒
40 管板
50 細管、51 開口部、52 閉塞端
60 内筒、61 内筒キャップ
70 ヒータ
FG 原料ガス、H2 水素ガス、BG ブリードガス
P1,P2 圧力計、FM 流量計、TM 温度計
図1
図2
図3
図4