(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】高低差表示システム
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20220531BHJP
A63B 71/06 20060101ALN20220531BHJP
【FI】
G09B29/00 A
A63B71/06 U
(21)【出願番号】P 2019114374
(22)【出願日】2019-06-20
【審査請求日】2021-02-03
(73)【特許権者】
【識別番号】395023118
【氏名又は名称】株式会社テクノクラフト
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】特許業務法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【氏名又は名称】牛木 護
(74)【代理人】
【識別番号】100161665
【氏名又は名称】高橋 知之
(74)【代理人】
【識別番号】100188994
【氏名又は名称】加藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】栂坂 昌業
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-279508(JP,A)
【文献】特開平09-138136(JP,A)
【文献】特開昭64-066685(JP,A)
【文献】特開2012-032367(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00-29/10
A63B 71/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象範囲の全体についてメッシュの標高データを取得し、当該標高データを前記対象範囲の二次元地図情報に埋込んだ三次元メッシュデータを生成するメッシュデータ取得手段と、
前記対象範囲の中で一の地点と他の地点をそれぞれ設定する地点設定手段と、
前記一の地点と前記他の地点とを結ぶ第1の線上における第1の各地点について、各々の標高を前記三次元メッシュデータから取得する標高取得手段と、
前記標高取得手段で取得した前記第1の各地点の標高に基づき、前記一の地点から前記他の地点に至る標高の変化を、前記二次元地図情報に含まれるレイアウト図と共に表示手段に第1の標高線で表示させる表示制御手段と、を備え、
前記他の地点を設定変更できるように、前記地点設定手段を構成し
、
前記第1の各地点の中の一つの地点が特定点として設定されると、前記第1の線に対して直交して前記特定点を通る第2の線上における第2の各地点について、各々の標高を前記三次元メッシュデータから取得するように、前記標高取得手段を構成し、
前記標高取得手段で取得した前記第2の各地点の標高に基づき、前記第2の線に沿った標高の変化を、前記表示手段に第2の標高線で表示させるように、前記表示制御手段を構成することを特徴とする高低差表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザーが知りたい方向に沿った標高の変化を表示させる高低差表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基準地点と目的地点の標高(高度)差を、国土地理院が整備した格子状の標高データである基盤地図情報に基づいて算出し、その算出結果を表示部に数字で表示させるゴルフ支援装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。目標地点は、ユーザーのタッチ操作により設定することもでき、その場合はタッチ操作が可能な範囲内の基盤地図情報を記憶部に記憶させ、設定された目標地点に近い基盤地図情報から、目標地点の標高値を算出することで、基準地点と目的地点との標高差を算出するようにしている。
【0003】
また特許文献2には、記憶部であるROMに各コースのレイアウトデータや目標物の緯度及び経度の地理情報を記憶させておき、選択キーの中でコース選択キーが操作されると、対応するコースのレイアウトデータが読み出されて、平面的なコース図を表示装置に表示させると共に、表示切換え操作に応答して、その平面的なコース図の中から、特定の面(例えばフェアウェイの中央)で切断した図を表示させて、コースの高低差や傾斜を確認できるようにしたゴルフコース用案内装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-6340号公報
【文献】特公平8-27196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
引用文献1のゴルフ支援装置は、基準地点と目的地点との標高差を表示部に表示させる高低差表示システムを備えた構成を有する。しかし、表示部に表示されるのは、基準地点に対して目標地点がどの程度の標高であるのかという一つの情報だけで、基準地点から目標地点までの間に、標高がどのように変化するのかを知ることはできない。
【0006】
一方、引用文献2のゴルフコース用案内装置は、表示装置に表示されるコース(ホール)を切断した図によって、一の地点から他の地点までの間の高度がどのように変化しているのかを知ることができる。しかし、これは元々、記憶部に記憶されたゴルフ場のレイアウトデータの中から、予め決められた面の切断した図を表示させているだけで、一の地点からユーザーが知りたい他の地点までの間の高度の変化を知ることはできない。
【0007】
図15は、ゴルフ場内の平面的な一つのコース図と、そのコースの切断図とを、同一の画面に表示させた従来の例を示している。ここでは、携帯端末の表示部100に、平面的なコースレイアウト
図101や、そのコースレイアウト
図101における一つの代表的な断面を示す切断
図102を含んだコース画面103が表示される。コースレイアウト
図101には、コース内の主な対象物となるティーグランドS1、フェアウェイS2、ラフS3、バンカーS4、池S5、グリーンS6、林S7がそれぞれ配置される。
【0008】
コース画面103の一側には、ティーグラウンドS1からグリーンS6に至る切断
図102が配置され、その切断
図102には必要に応じて、基準地点となるティーグラウンドS1との高低差を、例えば「-1.0m」、「AG(Aグリーン)8.4m」、「BG(Bグリーン)7.9m」のような文字と数字による高低差表記部105が設けられる。しかし、一般的に切断面102は、一つのコースレイアウト
図101の中で、ティーグラウンドS1からグリーンS6までの断面を表示するものであるため、例えばラフS3や林S7に打ち込んだボールを、コースレイアウト
図101で見て横方向に出す場合に、その断面で高度がどのように変化しているのかを、ユーザー側で知ることができなかった。
【0009】
そこで、本発明は上記の課題を解決して、ユーザーが知りたい方向に標高の変化を表示させることが可能な高低差表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願出願人は、上記目的を達成するために、新規な高低差表示システムを発明した。
【0011】
すなわち、本発明の高低差表示システムは、対象範囲の全体についてメッシュの標高データを取得し、当該標高データを前記対象範囲の二次元地図情報に埋込んだ三次元メッシュデータを生成するメッシュデータ取得手段と、前記対象範囲の中で一の地点と他の地点をそれぞれ設定する地点設定手段と、前記一の地点と前記他の地点とを結ぶ第1の線上における第1の各地点について、各々の標高を前記三次元メッシュデータから取得する標高取得手段と、前記標高取得手段で取得した前記第1の各地点の標高に基づき、前記一の地点から前記他の地点に至る標高の変化を、前記二次元地図情報に含まれるレイアウト図と共に表示手段に第1の標高線で表示させる表示制御手段と、を備え、前記他の地点を設定変更できるように、前記地点設定手段を構成したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の高低差表示システムは、前記第1の各地点の中の一つの地点が特定点として設定されると、前記第1の線に対して直交して前記特定点を通る第2の線上における第2の各地点について、各々の標高を前記三次元メッシュデータから取得するように、前記標高取得手段を構成し、前記標高取得手段で取得した前記第2の各地点の標高に基づき、前記第2の線に沿った標高の変化を、前記表示手段に第2の標高線で表示させるように、前記表示制御手段を構成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、表示手段で表示すべき対象範囲の全体について、各地点の標高を示す標高データを取得し、その標高データを対象範囲の二次元情報に埋め込んで、各地点の標高を含む三次元メッシュデータを生成する。そして、対象範囲の中で一の地点と他の地点を設定すれば、三次元メッシュデータを利用して、その間の標高の変化が第1の標高線として、対象範囲のレイアウト図と重ねて表示手段に表示される。このとき、少なくとも他の地点は、地点設定手段で設定変更できるので、ユーザーが知りたい一の地点から他の地点の方向に向けて、標高の変化を第1の標高線で表示させることが可能になる。
【0014】
請求項1の発明によれば、一の地点から他の地点の間で特定点が設定された場合には、一の地点と他の地点とを結ぶ第1の線に対して直交し、しかも設定された特定点を通る第2の線に沿った標高の変化を、第2の標高線として表示手段に表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の高低差表示システムについて、システムが利用する腕時計型端末を左手首に装着したプレイヤーの斜視図である。
【
図3】同、高低差表示システムを含む腕時計型端末の全体構成を示すブロック図である。
【
図4】同、ゴルフコースの地図情報を示す図である。
【
図5】(A)同、ショットが打ち上げ時の高低差を示す図である。(B)同、ショットが打ち下ろし時の高低差を示す図である。(C)同、水平時のショットを示す図である。
【
図6】同、携帯端末を下半身用衣服の右後ポケットに収容したプレイヤーの斜視図である。
【
図7】同、スイング解析システムの全体構成を示すブロック図である。
【
図8】同、左手首の3軸合成加速度及び腰の3軸合成加速度の経時変化を示すグラフを示す図である。
【
図9】同、ゴルフ場全体を撮影した空中写真と、取得可能な標高データとを重ね合わせた図である。
【
図10】同、
図9に示すゴルフ場の一部を拡大した航空写真と、5mメッシュの線とを重ね合わせた図である。
【
図11】同、三次元メッシュデータの各地点における標高を示した図である。
【
図12】同、表示部に表示される標高データを用いた高低差表現の一例を示した図である。
【
図13】同、表示部に表示されるコース画面の基本的な例を示す図である。
【
図14】同、表示部に表示されるコース画面の別な例を示す図である。
【
図15】従来例として、ゴルフ場内の平面的な一つのコース図と、そのコースの切断図と、を表示部の一つのコース画面に表示させた図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【0017】
図1~
図14は、本発明の好ましい一実施形態のモバイル端末を利用した飛距離予測機能を有する高低差表示システム1を示している。
図1において、ここではモバイル端末の一例として、プレイヤーPがゴルフをプレイ中に携帯可能な腕時計型端末2と、プレイヤーPが所持する携帯端末3(
図3を参照)を利用する。腕時計型端末2はユーザーであるゴルフのプレイヤーPの腕、好ましくは手首に装着されればよく、本実施形態では、腕時計型端末2を右打ちのプレイヤーPの左手首Pwに装着しているものとする。なお、腕時計型端末2は、左打ちのプレイヤーPが使用することもでき、腕時計型端末2は、右手首に装着してもよい。プレイヤーPはプレイの際にクラブ6を握り、ゴルフコース(ホール)内の地面Sに置かれたボール7にクラブ6のヘッドを打ち当てて、所望の方向にボール7を飛ばす。腕時計型端末2と携帯端末3は、後述の通信手段9(
図3を参照)を介して、相互に信号データのやり取りを行なえる構成となっている。
【0018】
図3は、腕時計型端末2の主に電気的な全体構成を示したものである。同図において、腕時計型端末2は、制御手段10と、第一加速度計測部11と、GPS(Global Positioning System:地球測位システム)受信部12と、気圧計測部13と、気温計
測部14と、高度計
測部15と、集音部16と、心拍計測部17と、送受信部18と、記憶部19と、表示部20と、操作部21と、報知部22と、を備えている。
【0019】
制御手段10は、CPU(中央演算装置)を含んで構成され、記憶部19に記憶されたプログラム23に基づいて腕時計型端末2の全体を制御する。このCPUがプログラム23にしたがって演算処理を実行することにより、腕時計型端末2の各機能が実現される。プログラム23が飛距離補正プログラムと飛距離予測プログラムを含む高低差表示プログラムに相当し、こうしたプログラム23が腕時計型端末2のコンピュータである制御手段10により実行されることで、高低差表示システム1が実現される。
【0020】
第一加速度計測部11は、加速度センサー24及びジャイロセンサー25が組み込まれている。加速度センサー24は、直交三軸方向の加速度を計測することができ、ジャイロセンサー25は直交三軸の各軸回りの角速度を計測することができる。第一加速度計測部11は、腕時計型端末2を装着したプレイヤーPの左手首Pwのショット時の加速度を計測する。第一加速度計測部11により計測された加速度情報は、プレイヤーPのショット時の左手首Pwの加速度情報として制御手段10の飛距離算出部27に送出される。
【0021】
GPS受信部12は、腕時計型端末2の現在位置を取得する位置計測部を構成し、複数の人工衛星28からの電波を無線で受信することで、腕時計型端末2ひいてはその腕時計型端末2を装着するプレイヤーPの三次元位置(経度、緯度及び高度)を計測し、その位置情報を制御手段10に送出するものである。なお、腕時計型端末2の現在位置を検出できるものであれば、GPS受信部12以外の位置検出装置を利用してもよく、受信できる人工衛星28は、GPSを含む測位衛星システムで利用されるあらゆる測位衛星を含む。また、人工衛星28には原子時計が搭載されている。この人工衛星28からは特定の周波数にて極めて正確な時刻信号波が発信されており、これをGPS受信部12により受信することで、腕時計型端末2の時間軸が規定される。GPS受信部12及び人工衛星28が位置計測部として機能する。
【0022】
気圧計測部13は、圧力センサー29が組み込まれており、この圧力センサー29を使用して気圧を計測する。計測された気圧情報は、制御手段10に送出される。
【0023】
気温計測部14は、サーミスタ(図示せず)を利用した温度センサー30が組み込まれており、この温度センサー30により気温を計測する。計測された気温情報は、制御手段10に送出される。
【0024】
高度計測部15は、気圧計測部13に組み込まれた圧力センサー29を使用して、この圧力センサー29で計測した気圧の変化量を基に現在位置の海抜高度(標高)(以下、「高度」という。)を計算し、現在位置の高度情報として制御手段10に送出する。高度計測部15は、気圧変化を変換して相対的な高度を算出するものであり、気圧が気象条件により変化すると、計測値の高度も変化する。そのため、正確な高度がわかる場所で高度計測部15の高度を合わせることで、より正確な高度を計測することができる。例えば、ラウンド前にゴルフ場内の正確な高度がわかる場所で高度を合わせることで、その後のプレイ中により正確な高度を計測することができる。なお、プレイヤーPの現在位置における高度は、GPS受信部12が受信したプレイヤーPの三次元位置(経度、緯度及び高度)の高度を用いてもよい。
【0025】
集音部16は、外部の音を集め音声情報として制御手段10に送出するものであり、例えばマイクである。本実施形態の集音部16は、プレイヤーPの音声を集音することを想定しており、人間の音声が集音可能であればよい。集音部16は、後述するショット地点の状態を音声により入力する際に状態入力部として機能する。
【0026】
心拍計測部17は、反射型の脈波センサー31が組み込まれている。脈波センサー31は、腕時計型端末2をプレイヤーPの左手首Pwに装着したときに、プレイヤーPの心臓の脈動に伴って変化する血流量の変化を、体内を透過する光の変化量として計測することで、脈波を計測することができる。心拍計測部17により計測された脈波情報は、プレイヤーPの心拍数を測定するための脈波情報として制御手段10に送出される。
【0027】
送受信部18は、無線の通信手段9を介して他の機器、例えば、携帯端末3との双方向通信を可能にするものである。そのため、腕時計型端末2は携帯端末3等と各種情報を送受信することができる。
【0028】
記憶部19は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの各種記憶装置を用いて構成され、GPS受信部12が受信した腕時計型端末2の位置情報、気圧計測部13により計測された気圧情報、気温計測部14により計測された気温情報、高度計測部15により計測された高度情報、集音部16から入力された音声情報、心拍計測部17により計測された脈波情報等の各種情報を書き込み及び読み出し可能となっている。
【0029】
記憶部19には、予め表示部20の表示対象範囲となるゴルフ場の各コース(ホール)について、二次元平面的なレイアウト
図26A1のデータを含む地図情報26Aが記憶されている。地図情報26Aは、対象範囲となるレイアウト
図26A1の全体で、緯度と経度の位置座標情報を含んだ2次元地図情報であり、変更・追加・削除等の更新が可能である。記憶部19にはその他に、後述する補正飛距離算出部34から送出された補正飛距離情報を、その都度蓄積して得られた補正飛距離履歴情報26Bと、メッシュデータ取得部38から送出されたメッシュ情報(データ)26Cがそれぞれ記憶保持される。
【0030】
表示部20は、制御手段10に組み込まれた表示制御部45からの表示制御信号を受け、腕時計型端末2の現在位置等の様々な表示を行なうものである。
図2に示すように、表示部20は腕時計型端末2の本体正面に露出して設けられる液晶モジュールや液晶パネルにより構成され、これらの液晶モジュールや液晶パネルは周知のように、多数のサブ画素を格子状に配列したドットマトリクスによる表示を行なうものである。表示部20は、後述するアドバイス情報を文字や地図等により表示して提示する際に情報提示部として機能する。また、表示制御部45は制御手段10の各部と連携して、主に表示部20を制御する表示制御信号を送出するものである。
【0031】
操作部21は、プレイヤーPによる操作を受けて、電気的な操作信号を制御手段10に送出するものである。
図2に示すように、操作部21は、腕時計型端末2の本体外周部に一乃至複数のボタン32Aを備えると共に、表示部20の表面部に設けた透明なタッチパネル32Bも、操作部21として機能する。操作部21は、後述するショット地点の状態を入力する際に状態入力部として機能する。
【0032】
報知部22は、記憶部19に記憶された情報等を音声によりプレイヤーPに報知するものであり、例えばスピーカーである。報知部22は、後述するアドバイス情報を音声により提示する際に情報提示部として機能する。
【0033】
制御手段10は、前述の飛距離補正プログラムを記録媒体となる記憶部19から読み取ることで、飛距離算出部27と、補正飛距離算出部34と、用語判定部35と、用語辞書部36として機能する。また制御手段10は、飛距離予測プログラムを含む高低差表示システムを、記録媒体となる記憶部19から読み取ることで、メッシュデータ取得部38及び標高差算出部39を含む高低差把握部40と、地点特定部41と、予測飛距離算出部42と、地点設定部43と、標高取得部44と、表示制御部45として機能する。こうした制御手段10の各機能が、本実施形態の高低差表示システム1を構成する。
【0034】
制御手段10は、プレイヤーPの打ったボール7の実際の飛距離を算出する飛距離算出部27を備えている。
図4を参照して、飛距離の具体的な算出方法を説明すると、腕時計型端末2が備える第一加速度計測部11は、腕時計型端末2を装着したプレイヤーPが、特定の範囲となる一つのコース内で、クラブ6をスイングした場合に相当する加速度の変化を計測すると、プレイヤーPがクラブ6をスイングしたと判断し、プレイヤーPのスイングした位置Aの位置情報をGPS受信部12により取得する。取得した位置Aでの最後のスイングをプレイヤーPがボール7を打った第1打と決定し、その位置情報を記憶部19に記憶する。次に、プレイヤーPが打ったボール7の到達地点まで移動し、その位置Bで第一加速度計測部11によりプレイヤーPがクラブ6をスイングしたと判断した場合に、位置Bの位置情報をGPS受信部12により取得する。取得した位置Bでの最後のスイングをプレイヤーPがボール7を打った第2打と決定し、その位置情報を記憶部19に記憶する。飛距離算出部27は、第1打を打った位置情報と第2打を打った位置情報を記憶部19から読み出し、位置Aと位置Bとの直線距離を算出する。算出された直線距離は、第1打の飛距離として記憶部19に記憶される。以降同様に、第3打、第4打…でのショット地点における位置情報を取得し、それぞれ、第2打、第3打…の飛距離を算出し、記憶部19に記憶する。なお、本実施形態では、位置Aでの最後のスイングをプレイヤーPがボール7を打った第1打と決定しているが、プレイヤーPがショットすることを声で宣言し、その後ショットすることで、その音声を集音部16により集音し、集音した時の位置Aの位置情報をGPS受信部12により取得してもよいし、プレイヤーPが操作部21を操作し、位置Aの位置情報をGPS受信部12により取得してもよい。
【0035】
また、飛距離算出部27は、プレイヤーPの打ったボール7がフェアウェイの中心位置Cから左右方向にずれているか否かを算出する。上記の第1打についての具体的な算出方法を説明すると、
図4に示すように、位置Aと位置Bを結んだ直線に対して直角な直線とフェアウェイS2の両端との交点である左端位置L及び右端位置Rの位置情報を地図情報26Aから読み出す。そして、左端位置Lと右端位置Rを結んだ直線の中間点を、フェアウェイS2の中心位置Cと決定する。その中心位置Cから位置Bが左方向に所定距離(例えば、2m)以上離れた場合には第1打を左方向にずれたと判定し、中心位置Cから位置Bが右方向に所定距離(左方向と同様に、例えば、2m)以上離れた場合には第1打を右方向にずれたと判定する。位置Bが中心位置Cから所定距離未満の場合には、第1打をずれ無しと判定する。左右方向のずれの判定は、その後の第2打、第3打…についても行なう。なお、左右方向のずれを判定する所定距離は任意に設定可能である。また、左右方向のずれの判定結果は、クラブ6の番手情報と紐付けされて記憶部19に記憶される。複数の判定結果が蓄積されると、飛距離算出部27は左方向にずれた割合、右方向にずれた割合、ずれ無しの割合を算出し、記憶部19に記憶する。
【0036】
図3に示すように、制御手段10は、プレイヤーPの打ったボール7の実際の飛距離から、気圧、気温、高度、及びショット地点の状態を考慮した補正飛距離を算出する補正飛距離算出部34を備えている。ここで、高度による影響を考慮した補正飛距離算出部34の算出方法を、上記の第1打の飛距離の補正飛距離について説明する。高度計測部15は、位置Aにおける高度を計測し、計測した高度情報を制御手段10の補正飛距離算出部34に送出する。補正飛距離算出部34は、位置Aの高度と基準高度である海抜0mとの高低差を算出し、その高度差に基づき実際の飛距離から所定の計算式により、海抜0mにおいてショットしたと仮定した場合の補正飛距離を算出する。なお、本実施形態では、基準高度を海抜0mと設定して補正飛距離を算出しているが、この基準高度は任意に設定可能である。
【0037】
また、高度計測部15は、位置Bにおいても高度を計測し、計測した高度情報を制御手段10の補正飛距離算出部34に送出する。補正飛距離算出部34は、位置Aの高度と位置Bの高度とを比較し、高度に差がある場合には、その高低差Hを算出する。そして、
図5(A)に示すように位置Aが位置Bよりも低い場合には、ショットが打ち上げであると判定し、
図5(B)に示すように位置Aが位置Bよりも高い場合には、ショットが打ち下ろしであると判定し、
図5(C)に示すように位置Aと位置Bに高度差が無い場合には、水平であると判定する。そして、打ち上げ又は打ち下ろしの場合には、その高低差Hに基づき実際の飛距離から所定の計算式により、位置Aと位置Bに高低差Hが無いと仮定した補正飛距離を算出する。水平であると判定した場合には、実際の飛距離を補正飛距離とする。
【0038】
次に、気温による影響を考慮した補正飛距離算出部34の算出方法を、上記の第1打の飛距離の補正飛距離について説明する。気温計測部14は、位置Aにおける気温を計測し、計測した気温情報を制御手段10の補正飛距離算出部34に送出する。補正飛距離算出部34は、位置Aの気温と基準気温である摂氏20度との温度差を算出し、その温度差に基づき実際の飛距離から所定の計算式により摂氏20度においてショットしたと仮定した場合の補正飛距離を算出する。なお、本実施形態では、基準気温を摂氏20度と設定して補正飛距離を算出しているが、この基準気温は任意に設定可能である。
【0039】
次に、気圧による影響を考慮した補正飛距離算出部34の算出方法を、上記の第1打の飛距離の補正飛距離について説明する。気圧計測部15は、位置Aにおける気圧を計測し、計測した気圧情報を制御手段10の補正飛距離算出部34に送出する。補正飛距離算出部34は、位置Aの気圧と基準気温である1013ヘクトパスカルとの気圧差を算出し、その気圧差に基づき実際の飛距離から所定の計算式により1013ヘクトパスカルにおいてショットしたと仮定した場合の補正飛距離を算出する。なお、本実施形態では、基準気圧を1013ヘクトパスカルと設定して補正飛距離を算出しているが、この基準気圧は任意に設定可能である。
【0040】
次に、ショット地点の状況による影響を考慮した補正飛距離算出部34の算出方法を、上記の第1打の飛距離の補正飛距離について説明する。本実施形態においてショット地点の状況とは、打つボール7が置かれた地面Sの状態とショット時の風の強さと方向である。地面Sの状態は、ティーグランドS1、フェアウェイS2、ラフS3、バンカーS4、池S5、グリーンS6、上り傾斜及び下り傾斜であり、ショット時の風の強さは、「強い」及び「弱い」であり、風の方向は、「アゲインスト」、「フォロー」及び「横風」である。なお、ボール7の飛距離に影響を与えるその他の環境の状態を考慮した補正飛距離を算出してもよい。
【0041】
図3に示すように、制御手段10は、集音部16から送出された音声情報を判定する用語判定部35を備えている。また、制御手段10は、予め登録された用語を記憶させておく用語辞書部36を備えている。予め登録される用語は、例えば、「ティーグランド」、「フェアウェイ」、「ラフ」、「バンカー」、「池」、「上り傾斜」、「下り傾斜」、「アゲインスト」、「フォロー」、「横風」等のショット地点の状態を表すものである。用語判定部35は、集音部16からの音声情報を受信すると、その音声情報に係る用語が用語辞書部36に記憶された用語であるか否かを判定する。用語辞書部36に記憶された用語である場合には、用語判定部35は補正飛距離算出部34にその用語に対応した用語信号を送出する。補正飛距離算出部34は、用語信号を受信すると、その用語に対応した所定の計算式により、実際の飛距離からショット地点がフェアウェイS2であって、傾斜がなく、無風状態と仮定した場合の補正飛距離を算出する。なお、本実施形態では、ショット地点の基準状態をフェアウェイS2であって、傾斜がなく、無風状態と設定して補正飛距離を算出しているが、この基準状態は任意に設定可能である。
【0042】
用語辞書部36には、予めクラブ6の番手に対応する用語が記憶されており、ショットをする前に、クラブ6の番手を音声入力することで、その用語(クラブ6の番手)に対応するクラブ6の番手情報が用語判定部35から補正飛距離算出部34に送出される。そのため、飛距離算出部27は、実際の飛距離をクラブ6の番手に対応させた飛距離情報を記憶部19に送出する。同様に、補正飛距離算出部34も、算出した補正飛距離をクラブ6の番手に対応させた補正飛距離情報を記憶部19に送出する。記憶部19はこうした飛距離情報及び補正飛距離情報を受信する毎に、これらをクラブ6の番手に応じた実際の飛距離や補正飛距離の履歴となる飛距離履歴情報26Bとして蓄積記憶する。なお、用語辞書部36に記憶される用語は、追加・削除・変更等の更新が可能である。
【0043】
本実施形態では、ショット地点の状態及びクラブ6の番手を音声により入力する方法を採用しているが、操作部21を操作してショット地点の状態及びクラブ6の番手を入力してもよい。この場合も、プレイヤーPが過去にプレイした実際の飛距離や補正飛距離の履歴が、補正飛距離履歴情報26Bとして記憶部19に蓄積記憶される。
【0044】
また、本実施形態では、気圧、気温及び高度を全て計測し、ショット地点の状態を入力しているが、例えば、気温を計測しない等、計測する項目や入力する項目は任意に決定することができ、これら以外の項目を追加してもよい。
【0045】
図7は、本実施形態のスイング解析システム51を組み込んだ腕時計型端末2及び携帯端末3の全体構成図である。携帯端末3はプレイヤーPの下半身用衣服の収容部であるポケット、好ましくは後ポケットに収容される。
図6に示すように、本実施形態では、携帯端末3を下半身用衣服の右後ポケット8Aに収容している。なお、携帯端末3は腰Pkの加速度等を計測するために腰Pkに近接していればよく、下半身用衣服の左後ポケット8Bに収容してもよい。
【0046】
携帯端末3は、制御手段52と、第二加速度計測部53と、GPS(Global Positioning System:地球測位システム)受信部54と、送受信部55と、記憶部56と、表示部57と、操作部58と、を備えている。
【0047】
制御手段52は、CPU(中央演算装置)を含んで構成され、記憶部56に記憶されたプログラム59に基づいて携帯端末3の全体を制御する。このCPUがプログラム59にしたがって演算処理を実行することにより、携帯端末3の各機能が実現される。また、上述のとおり、プログラム23により腕時計型端末2の各機能が実現される。プログラム23及びプログラム59がスイング解析プログラムに相当し、これらプログラム23及びプログラム59がコンピュータである腕時計型端末2及び携帯端末3により実行されることで、スイング解析システム51が実現される。
【0048】
第二加速度計測部53は、加速度センサー60及びジャイロセンサー61が組み込まれている。加速度センサー60は、直交三軸方向の加速度を計測することができ、ジャイロセンサー61は直交三軸の各軸回りの角速度を計測することができる。第二加速度計測部53は、携帯端末3が右後ポケット8Aに収容された状態でプレイヤーPがスイングすることで、プレイヤーPの腰Pkの加速度、速度及び傾きを計測する。第二加速度計測部53により計測された加速度情報、速度情報及び傾き情報は、制御手段52の解析部62に送出される。
【0049】
GPS受信部54は、携帯端末3の現在位置を取得する位置計測手段を構成し、複数の人工衛星28からの電波を無線で受信することで、携帯端末3の三次元位置(経度、緯度及び高度)を計測し、その位置情報を制御手段52に送出するものである。なお、携帯端末3の現在位置を検出できるものであれば、GPS受信部54以外の位置検出装置を利用してもよい。また、人工衛星28には原子時計が搭載されている。この人工衛星28からは特定の周波数にて極めて正確な時刻信号波が発信されており、これをGPS受信部54により受信することで、携帯端末3の時間軸が規定される。上述のとおり、腕時計型端末2も、人工衛星28からの時刻信号波を受信して時間軸が規定されることから、腕時計型端末2と携帯端末3の時間軸は同期される。
【0050】
送受信部55は、無線の通信手段9を介して、腕時計型端末2と携帯端末3との双方向通信を可能にするものである。腕時計型端末2も送受信部18を備えており、腕時計型端末2の記憶部19に記憶された情報を携帯端末3に送信することや、携帯端末3の記憶部56に記憶された情報を腕時計型端末2に送信することが可能である。また送受信部55は、通信手段9とは別なネットワーク63を介して、腕時計型端末2のみならず、例えばインターネット上に設置される各種サーバと携帯端末3との双方向通信を可能にするものである。
【0051】
記憶部56は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの各種記憶装置を用いて構成され、GPS受信部54が受信した携帯端末3の位置情報や、後述するプレイヤーPの左手首Pwの3軸合成加速度情報や、プレイヤーPの腰Pkの3軸合成加速度情報等の各種情報を書き込み及び読み出し可能となっている。
【0052】
表示部57は、携帯端末3の本体正面に露出して設けられる液晶モジュールや液晶パネルにより構成され、これらの液晶モジュールや液晶パネルは周知のように、多数のサブ画素を格子状に配列したドットマトリクスによる表示を行なうものである。
【0053】
操作部58は、プレイヤーPによる操作を受けて、電気的な操作信号を制御手段52に送出するものである。本実施形態の携帯端末3では、表示部57の表面部に設けた透明なタッチパネル57Aが操作部58として機能する。それ以外の操作用のボタンやキーを、操作部58としてもよい。
【0054】
解析部62は、第一加速度計測部11が計測したプレイヤーPの左手首Pwの加速度と、第二加速度計測部53が計測したプレイヤーPの腰Pkの加速度と、飛距離算出部27が算出したボール7の飛距離と、に基づいてプレイヤーPの左手首Pw及び腰Pkの動きと飛距離との関係を解析する。本実施形態では、プレイヤーPのスイングにおける、いわゆるタメ、左手首Pwの加速度、速度及び傾き、腰Pkの加速度、速度及び傾き、とボール7の飛距離との関係を解析する。
【0055】
上述のとおり、腕時計型端末2の第一加速度計測部11と携帯端末3の第二加速度計測部53の時間軸は同期されており、プレイヤーPがスイングを行なうと、第一加速度計測部11によりプレイヤーPの左手首Pwの3軸合成加速度を計測し、第二加速度計測部53でプレイヤーPの腰Pkの3軸合成加速度を計測する。また、上述のとおり、腕時計型端末2の飛距離計測部27により実際のボール7の飛距離がクラブ6の番手に対応して記憶部19に記憶される。プレイヤーPの左手首Pwの3軸合成加速度情報とクラブ6の番手に対応した飛距離情報が、腕時計型端末2の送受信部18と携帯端末3の送受信部55を介して解析部62に送出されると共に、プレイヤーPの腰Pkの3軸合成加速度情報が解析部62に送出される。これらの情報は、紐付けされて記憶部56に記憶される。
【0056】
ここで、プレイヤーPのスイングにおけるタメの算出について説明する。
図8は左手首Pwの3軸合成加速度の経時変化を示す折れ線G1と、腰Pkの3軸合成加速度の経時変化を示す折れ線G2を示したものである。また、折れ線G1及び折れ線G2のグラフの下側には、プレイヤーPのスイングにおける、アドレスの静止状態P1、バックスイングの途中(左手首Pwが軽くなり始め)P2、トップP3、インパクトP4、フォローP5、フィニッシュP6の各ポイントを示している。
【0057】
本実施形態では、腰Pkの3軸合成加速度のピークGP2が左手首Pwの3軸合成加速度のピークGP1よりも時間的に早く発生したスイングをタメが有るものとする。そして、ピークGP1がピークGP2よりも時間的に早く発生した場合や、ピークGP1とピークGP2との時間差tが0である場合には、タメが無いものとする。また、時間差tのうちタメが有る場合の時間差tをタメの時間Tという。なお、
図8は、タメが有る場合のスイングの左手首Pwと腰Pkの3軸合成加速度を示している。
【0058】
図7に示すように、解析部62は、速度算出部65を備えており、この速度算出部65がプレイヤーPの左手首Pwの3軸合成加速度情報に基づいて、腕時計型端末2、ひいてはプレイヤーPの左手首Pwの速度を所定の計算式により算出する。左手首Pwの速度は、トップP3からインパクトP4までのスイングの平均速度や、インパクトP4の瞬間の単位時間における速度等を算出する。例えば、本実施形態におけるインパクトP4の瞬間の速度V=5.75m/sである。
【0059】
また、速度算出部65によりプレイヤーPの腰Pkの3軸合成加速度情報に基づいて、プレイヤーPの腰Pkの速度を所定の計算式により算出する。腰Pkの速度は、スイングにおける平均速度や、インパクトP4の瞬間の単位時間における速度等を算出する。
【0060】
また、
図7に示すように、解析部62は傾き算出部66を備えており、この傾き算出部66がプレイヤーPの左手首Pwの3軸合成加速度情報に基づいて、腕時計型端末2、ひいてはプレイヤーPの左手首Pwの傾きを3軸方向の角度で算出する。左手首Pwの傾きは、アドレスの静止状態P1、バックスイングの途中(左手首Pwが軽くなり始め)P2、トップP3、インパクトP4、フォローP5、フィニッシュP6の各ポイントで算出する。例えば、本実施形態におけるアドレスの静止状態P1の左手首Pwの傾きは、θx=5.5、θy=42.5、θz=-21.1である。
【0061】
また、傾き算出部66によりプレイヤーPの腰Pkの3軸合成加速度情報に基づいて、プレイヤーPの腰Pkの傾きを3軸方向の角度で算出する。腰Pkの傾きは、アドレスの静止状態P1、バックスイングの途中(左手首Pwが軽くなり始め)P2、トップP3、インパクトP4、フォローP5、フィニッシュP6の各ポイントで算出する。
【0062】
このように、プレイヤーPのスイングにおける各種情報の計測を継続することで、計測結果が記憶部56に蓄積される。解析部62は、蓄積された計測結果から、最も飛距離が長かった時のスイングのタメの時間T、左手首Pwと腰Pkの加速度、速度及び傾きを算出し、それらの条件をプレイヤーPのベストスイングとして記憶部56に記憶する。このベストスイングにおけるタメの時間T、左手首Pwと腰Pkの加速度、速度及び傾きは、携帯端末3の表示部57に表示することができ、プレイヤーPはこれらの情報を確認することができる。また、飛距離が長かった所定回数(例えば、10回)のスイングのタメの時間T、左手首Pwと腰Pkの加速度、速度及び傾きの平均値を算出し、その結果を表示部57に表示することもできる。なお、記憶部56に記憶されている情報であれば、飛距離が短かったスイングの各種情報を表示部57に表示することもできる。
【0063】
記憶部19に記憶されたプログラム23と記憶部56に記憶されたプログラム59は、アドバイス情報提示プログラムにも相当する。これらプログラム23及びプログラム59がコンピュータである腕時計型端末2及び携帯端末3により実行されることで、アドバイス情報提示システム67が実現される。高低差表示システム1は、こうしたアドバイス情報提示システム67の機能も含んでいる。
【0064】
図3に示すように、腕時計型端末2の制御手段10は、アドバイス算出部37を備えている。アドバイス算出部37は、プレイヤーPに対して助言・忠告等のアドバイスを提示する際のアドバイス情報を算出する。アドバイスは、腕時計型端末2が備える報知部22から音声により報知することや、腕時計型端末2の表示部20に文字、図形や地図等により表示することが可能である。アドバイス情報は、表示部20に表示するか、報知部22により音声により報知するか、その両方とするか、を操作部21への操作で選択することができる。
【0065】
以下、具体的なアドバイス情報について説明する。プレイヤーPが、音声又は操作部21の操作により、ゴルフ場のコース情報を入力すると、アドバイス算出部37は記憶部19から該当するコースの地図情報26Aに含まれるレイアウト
図26A1のデータを読み出し、表示部20に表示する。なお、このレイアウト
図26A1の表示は、腕時計型端末2を装着したプレイヤーPの位置情報を計測し、予め記憶部19に記憶された当該コースの位置情報から、プレイヤーPが当該コース内に入ったことを確認した時点で、記憶部19から対応するレイアウト
図26A1のデータを読み出して、表示制御部40により表示部20に自動的に表示させるようにしてもよい。
【0066】
また、地図情報26AからバンカーS4や池S5等のハザードの情報を読み出し、ハザード情報を報知する。ハザード情報は、バンカーS4や池S5等の位置情報や、現在位置から当該バンカーS4や池S5等までの距離情報等であり、また、「左バンカー注意!」等の文言を表示部20に表示したり、報知部22により音声で報知したりするものである。なお、表示制御部40により表示部20に表示されるコース画面47中のレイアウト
図26A1はカラーで表示され、ティーグランドS1、フェアウェイS2、ラフS3、バンカーS4、池S5、グリーンS6はそれぞれ異なる色で表示されるため、ハザード情報は視覚的に確認し易くなっている。
【0067】
プレイヤーPがショットすることを音声又は操作部21の操作により、腕時計型端末2に入力すると、アドバイス算出部37は、その時点でGPS受信部12から取得したプレイヤーPの最新の位置情報と、その位置情報に対応したコースの地図情報26Aから、一の地点となるプレイヤーPのショットが行われる予定の位置と、フェアウェイS2やグリーンS6までの距離を算出する。また、記憶部19から飛距離履歴情報26Bを読み出して、そこから取得した番手毎の飛距離や補正飛距離の履歴に基づき、プレイヤーPの各番手における平均飛距離や平均補正飛距離を算出し、フェアウェイS2やグリーンS6までの距離に適した推奨クラブ6の番手を提示する。このときアドバイス算出部37は表示制御部40と連携して、プレイヤーPが位置するコースのレイアウト
図26A1と同じコース画面47で、推奨するクラブ6の番手を番手表記部68により、またその番手に対応したプレイヤーPの過去の平均飛距離を飛距離履歴表記部69により、表示部20に表示させる(
図2参照)。
【0068】
またコース画面47には、番手表記部68の左右に記号による戻る表記部70と進む表記部71がそれぞれ配置される。戻る表記部70や進む表記部71の表面をタップ操作することにより、アドバイス算出部37は表示制御部40と連携して、推奨クラブ6以外のクラブ6について、そのクラブ6の番手における平均飛距離を、コース画面47の飛距離履歴表記部69で表示部20に表示させることもできる。このとき、選択したクラブ6の番手が番手表記部68に表示される。
【0069】
さらにアドバイス算出部37は、推奨クラブ6を使用した場合のプレイヤーPのショットの左右方向へのずれの割合や傾向等についても算出する。アドバイス算出部37は、プレイヤーPのショットの左右方向へのずれの割合を記憶部19から読み出し、表示部20又は報知部22により提示する。左右方向へのずれについての提示方法は、ずれの割合を表示部20に表示するか、報知部22により音声で報知してもよく、また、ずれの割合からプレイヤーPのショットの傾向を算出し、その傾向を「左方向へのずれ65%、注意!」等の文言で表示部20に表示するか、報知部22により音声で報知してもよい。
【0070】
また、アドバイス算出部37は、プレイヤーPの過去の飛距離が長かったショットや、左右方向のズレが無かったショットのタメの時間Tの平均の長さ、左手首Pwの加速度、速度及び傾きや、腰Pkの加速度、速度及び傾きを算出して、その結果を表示部20に表示したり、報知部22により報知したりすることができる。
【0071】
また、プレイヤーPによる次のショットが、打ち上げになるか、打ち下ろしになるか、高低差Hが事前にわかっている場合には、その旨を音声又は操作部21の操作により腕時計型端末2に入力することで、記憶部19に記憶されている補正飛距離履歴情報26Bを読み出して、そこからプレイヤーPの打ち上げ時、打ち下ろし時、当該高低差Hに対応した過去の平均飛距離を算出し、表示部20に表示することもできる。
【0072】
また、ショット地点の状態(ティーグランドS1、フェアウェイS2、ラフS3、バンカーS4、池S5、上り傾斜、下り傾斜、風の強さ、風の方向等)を音声又は操作部21の操作により腕時計型端末2に入力することで、記憶部19に記憶されている補正飛距離履歴情報26Bを読み出して、そこからプレイヤーPのその状態に対応した過去の平均飛距離を算出し、表示部20に表示することもできる。
【0073】
アドバイス算出部37が算出するアドバイス情報は、記憶部19,56に記憶された情報に基づいて算出されるが、例えば、補正飛距離履歴情報26Bに含まれる過去のショットの飛距離情報中から、実際の飛距離が極端に短い失敗ショットの情報を排除した飛距離情報や補正飛距離情報から平均飛距離を算出し、その結果を表示部20や報知部22に提示させてもよい。
【0074】
さらにアドバイス算出部37は、心拍計測部17からの脈波情報により、プレイヤーPの心拍数を監視し、その心拍数に応じたアドバイスを表示部20に表示したり、報知部22により報知したりすることができる。例えばアドバイス算出部37は、第一加速度計測部11からの加速度情報と、GPS受信部12からの位置情報を取り込んで、プレイヤーPが特定の位置(例えばバンカー内)でショットしたと判断したときに、心拍計測部17からの脈波情報に基づき、そのプレイヤーPの心拍数がショット前とショット後で所定の値以上に上昇したら、「(バンカーから脱出して)がんばりましたね」というような激励のメッセージを報知部22から報知させる。これにより、プレイヤーPのモチベーションを上げて、楽しくプレイを継続させることが可能になる。
【0075】
次に、制御手段10が記憶部19からのプログラムとして、飛距離予測プログラムを読み取ったときの各部の構成と動作について説明する。
【0076】
図3において、制御手段10は、記憶部19に記憶されている二次元の地図情報26Aについて、任意の二地点の高低差を把握するための高低差把握部40としての機能を備えている。高低差把握部40は、携帯端末3と連携してネットワーク63に接続するサーバ(図示せず)にアクセスし、そのサーバに記憶保存されている国土地理院の基盤地図情報の中から、地図情報26Aに含まれた対象範囲となるゴルフコースの全体について、特に5mメッシュの標高データを携帯端末3の送受信部55から通信手段9を介して取得し、その標高データをゴルフコースの地図情報26Aに埋込んで、緯度,経度,標高の三次元メッシュデータを独自に生成するメッシュデータ取得部38と、地図情報26Aに含まれるゴルフコース内で、何れも緯度と経度を特定した一の地点の標高と、他の地点の標高との差を、メッシュデータ取得部38で生成された三次元のメッシュデータを利用して算出する標高差算出部39とにより構成される。メッシュデータ取得部38は、前述の三次元メッシュデータを生成すると、これをメッシュ情報26Cとして記憶部19に記憶させるのが好ましい。これにより標高差算出部39は、記憶部19に記憶されるメッシュ情報26Cを読み出して、一の地点と他の地点との標高差を算出することが可能になり、標高差算出部39が標高差を算出する毎に、メッシュデータ取得部38が三次元メッシュデータを生成する手間を省略できる。
【0077】
また制御手段10は、高低差把握部40の他に、地点特定部41と、予測飛距離算出部42としての機能を備えている。地点特定部41は、GPS受信部12からの位置情報を取得して、プレイヤーPがこれからショットを行なう一の地点の二次元位置を特定し、次にプレイヤーPが一の地点から推奨するクラブ6の番手でボール7を打ったときの平均飛距離となる標準飛距離のデータを、記憶部19の飛距離履歴情報26Bから取得して、一の地点から標準飛距離にボール7が到達したときの他の地点の二次元位置を特定したうえで、これらの2つの地点の二次元位置のデータを、標高差算出部39に送出するものである。このデータを受けて標高差算出部39は、前述の一の地点と他の地点との標高差の算出を開始する。
【0078】
予測飛距離算出部42は、地点特定部41から送出された2地点を特定するデータにより、標高差算出部39で算出された標高差に基づいて、標準飛距離に対して実際に飛ぶと予測される飛距離(予測飛距離)を算出し、その算出結果をデータ出力するもので、このデータの出力先は表示部20となる。ここでは、一の地点の標高よりも他の地点の標高が低くなる程、一の地点からのショットが打ち下ろしで長くなると予測されるため、予測飛距離が標準飛距離よりも長く算出され、逆に一の地点の標高よりも他の地点の標高が高くなる程、一の地点からのショットが打ち上げで短くなると予測されるため、予測飛距離が標準飛距離よりも短く算出される。
【0079】
図9は、ゴルフ場全体を撮影した空中写真と、そこに重ね合わせた標高データの一例を示したものである。図中、符号Xは空中写真で撮影されたゴルフ場であり、このゴルフ場の空中写真Xに基づいて、
図2や
図4に示すようなデザイン化された地図情報26Aのレイアウト
図26A1が予めコース毎に作成される。また符号Yは、国土地理院の発行する基盤地図情報において、5mメッシュの標高データの取得可能領域を示している。この5mメッシュの標高データは、高低差把握部40のメッシュデータ取得部38が、ネットワーク63に接続するサーバにアクセスすることで取得可能である。なお、基盤地図情報には5mメッシュの他に10mメッシュの標高データも用意されているが、データが細かい5mメッシュの標高データを利用するのが好ましい。
【0080】
メッシュデータ取得部38は、ゴルフ場Xの全体を含む太枠内全体の標高データを、前述のネットワーク63に接続するサーバから携帯端末3を介して取得する。ここでは、「15/29021/12666」と、「15/29022/12666」と、「15/29021/12667」と、「15/29022/12667」の4つの二次元領域内について、5mメッシュの標高データの全てを取得し、取得した標高データを用いて、地図情報26Aの各コースに対応した5m間隔の緯度,経度,標高からなる三次元メッシュデータを作成する。メッシュデータ取得部38で作成された三次元メッシュデータは、各コースの地図情報26Aと関連付けて、記憶部19にメッシュ情報26Cとして記憶保持される。
【0081】
図10は、
図9に示すゴルフ場Xの中で、特定のコースXh全体を拡大して示したものである。同図において、符号YLは5mメッシュの線を示している。
メッシュデータ取得部38は、ゴルフ場Xの各コースXhについて、それぞれ5mメッシュの標高データを取得し、各コースXhをデザイン化した二次元の地図情報26Aに対して、標高を含めた三次元のメッシュデータを作成して、これを記憶部19にメッシュ情報26Cとして記憶させる。このメッシュ情報26Cは、コースXhの全体について、5m間隔の各地点での標高データが含まれている。
【0082】
図11は、コースXh内の特定の場所で、メッシュ情報26Cに含まれる各地点Ypの標高を示している。同図において、各地点Ypに示す数字は、何れもその地点Ypの標高(単位:メートル)を示している。また図示しないが、各地点Ypの緯度と経度も、標高と共にメッシュ情報26cに含まれている。標高差算出部39は、記憶部19からメッシュ情報26cを読み出すことにより、コースXh内のどの地点Ypであっても、任意の2つの地点Yp1、Yp2の標高差をメッシュ情報26cにより算出できる。例えば一の地点Yp1と他の地点Yp2との間の標高差は、一の地点Yp1の標高である「16.71」メートルと、他の地点Yp2の標高である「18.53」メートルの差、すなわち18.53-16.71=1.82メートルと算出できる。また、メッシュ情報26cには緯度や経度の情報も含まれているので、地面Sが一の地点Yp1からどの方向にどのような標高差で傾いているのかを、標高差算出部39で算出して把握することもできる。
【0083】
こうした高低差把握部40による標高差(高低差)の算出は、プレイヤーPが一の地点Yp1からボール7を打ったときに、プレイヤーPの標準飛距離から特定される他の地点Yp2との標高差を加味した予測飛距離の算出に利用できる。
【0084】
図12は、本実施形態の高低差表示システム1において、表示部20に表示される標高データを用いた高低差表現の一例を示している。前述のように、プレイヤーPがショットすることを音声又は操作部21の操作により、腕時計型端末2に入力すると、アドバイス算出部37はプレイヤーPの位置情報をGPS受信部12から取り込み、その位置情報を含んだコースの地図情報26Aに重ね合わせて、推奨するクラブ6の番手に対応したプレイヤーPの過去の平均飛距離を、プレイヤーPの位置を中心とした円弧線(レーダー)73で表示部20に表示させる。前述のように、推奨するクラブ6の番手は、プレイヤーPの位置と、地図情報26Aに含まれるフェアウェイS2やグリーンS6の位置との関係に応じて、アドバイス算出部37が自動的に設定する。
【0085】
このとき地点特定部41は、アドバイス算出部37で取り込んだGPS受信部12からの位置情報を、次にプレイヤーPがショットを行なう一の地点Yp1の二次元位置として特定し、同じくアドバイス算出部37で算出した平均飛距離に基づき、一の地点Yp1から平均飛距離でボール7を打ったときに、フェアウェイS2やグリーンS6の中心位置Cに到達する地点を、他の地点Yp2として特定し、各地点Yp1,Yp2の二次元位置を標高差算出部39に送出する。なお、こうしたアドバイス算出部37の機能を、地点特定部41が備えてもよい。
【0086】
地点特定部41が一の地点Yp1と他の地点Yp2の二次元位置をそれぞれ特定すると、標高差算出部39は2つの地点Yp1,Yp2の標高差を算出して予測飛距離算出部42に送出する。これを受けて予測飛距離算出部42は、表示部20に円弧線73として表示される平均飛距離に対して、標高差算出部39から取得した高低差を加味して、実際にボール7が飛ぶと予測される飛距離を算出し、その算出結果を円弧線73が交わるフェアウェイS2の中心位置C付近に百分率74として表示させる。その結果、実際のコースにおける地面Sの高低差に応じて、プレイヤーPが打つボール7の平均飛距離を正しく補正して予測することが可能となり、これを表示部20に例えば百分率74で表示させることで、プレイヤーPがボール7の飛距離を正しく予測できる。
【0087】
図12に示す例では、表示部20に表示されるコースのティーグランドS1上で、プレイヤーPがショットすることを腕時計型端末2に入力すると、地点特定部41は、ティーグランドS1上で一の地点Yp1の緯度と経度を特定し、プレイヤーPが一の地点Yp1から平均飛距離でボール7を打ったときに、フェアウェイS2の中心位置Cに到達する他の地点Yp2の緯度と経度を特定して、これらのデータを標高差算出部39に送出する。標高差算出部39は、一の地点Yp1の緯度と経度から、その位置に最も近い地点での標高データを記憶部19のメッシュ情報26Cから取得し、また他の地点Yp2の緯度と経度から、その位置に最も近い地点での標高データを記憶部19のメッシュ情報26Cから取得して、その差を算出する。
【0088】
例として、プレイヤーPが一の地点Yp1から、推奨する番手のクラブ6でボール7を打ったときの過去の平均飛距離が215ヤードであったとする。このとき標高差算出部39は、一の地点Yp1に最も近い地点の標高が240メートルで、他の地点Yp2に最も近い地点の標高が270メートルであったとすると、一の地点Yp1から見て目標となる他の地点Yp2との標高差は、30メートルの打ち上げ(-30m)であると算出する。この算出結果を受けて、予測飛距離算出部42は、215ヤードの平均飛距離に対して予測される飛距離がその95%となることを、百分率74で表示部20に表示させる。
【0089】
なお、予測飛距離算出部42による予測飛距離の算出結果は、表示部20にではなく報知部22にデータ出力させてもよい。この場合、報知部22から例えば、「平均飛距離に対して95パーセントの飛距離になると予測されます」のようなアナウンスを報知させることができる。また、百分率ではなく予測される飛距離そのもの(例えば、215×95%に相当する「204ヤード」)を、直接表示または報知させてもよい。
【0090】
次に、制御手段10が記憶部19からのプログラムとして、高低差表示プログラム飛距離予測プログラムを読み取ったときの各部の構成と動作について説明する。なお、高低差表示プログラムの一部は、飛距離予測プログラムを兼用する。
【0091】
図3において、制御手段10は、地点設定部43と、標高取得部44と、表示制御部45を備えている。地点設定部43は、対象範囲となるゴルフ場の各コースの中で、一の地点と他の地点をそれぞれ設定するものである。ここでいう一の地点は、地点特定部41で特定されたGPS受信部12からの位置情報に基づく一の地点と同じものであってもよいし、それ以外の地点であってもよい。例えば、表示制御部45が
図12に示すようなレイアウト
図26A1を表示部20に表示させた状態で、ユーザーとなるプレイヤーPがタッチパネル32Bをタッチ操作することで、そのタッチしたレイアウト
図26A1上の地点を、地点設定部43が一の地点として設定変更してもよい。
【0092】
また、他の地点は任意に設定変更できるように地点設定部43を構成する。具体的には、表示制御部45がレイアウト
図26A1を表示部20に表示させた状態で、ユーザーとなるプレイヤーPがタッチパネル32Bをタッチ操作することで、そのタッチしたレイアウト
図26A1上の地点を、地点設定部43が他の地点として設定変更してもよい。この場合、タッチパネル32Bをタッチ操作する毎に、他の地点を任意に設定変更できる。また、腕時計型端末2や携帯端末3などのユーザーが保有する端末に、その端末の向いている方向を検知する方位センサー(地磁気センサー)が搭載されていれば、その方位センサーからの検知出力を地点設定部43が受けて、GPS受信部12,54からの位置情報に基づく端末の現在位置となる一の地点から、端末の向いている方向の任意の地点を他の地点と設定変更するように、地点設定部43を構成することで、操作部21への操作入力なしに、端末を向けた方向に他の地点を自動的に設定変更することができる。
【0093】
標高取得部44は、地点設定部43で設定された一の地点と他の地点とを結ぶ第1の線上の各地点について、それぞれの地点の標高をメッシュ情報26Cに記憶保存された三次元メッシュデータから取得するものである。これを受けて表示制御部45は、レイアウト
図26A1上に第1の線を表示させるように表示部20を制御する。また標高取得部44は、前述した第1の線上で、各地点の中の一つの地点が特定点として設定されると、第1の線に対して直交して特定点を通る第2の線を設定し、その第2の線上の各地点について、それぞれの地点の標高を三次元メッシュデータから取得する構成も備えている。これを受けて表示制御部45は、レイアウト
図26A1上に第2の線を表示させるように表示部20を制御する。なお、第1の線や第2の線は直線または曲線である。
【0094】
表示制御部45は、特に高低差表示プログラムに関する機能として、標高取得部44で取得した第1の線上の各地点の標高に基づき、一の地点から他の地点に至る標高の変化を、地図情報26に含まれるレイアウト
図26A1と共に、腕時計型端末2の表示部20に第1の標高線として表示させる構成を有する。この場合の第1の標高線は、第1の線を基準となる一の地点の標高として、一の地点から他の地点に至る標高の変化を、第1の線から凹凸状に変化させて表すのが好ましい。また表示制御部45は、標高取得部44で取得した第2の線上の各地点の標高に基づき、その第2の線に沿った標高の変化を、腕時計型端末2の表示部20に第2の線で表示させる構成を有する。この場合の第2の標高線は、第2の線を基準となる特定点の標高として、第2の線に沿った標高の変化を、第2の線から凹凸状に変化させて表すのが好ましい。
【0095】
図13は、本実施形態の高低差表示システム1において、腕時計型端末2の表示部20に表示されるコース画面47の基本的な例を示している。同図において、表示制御部45は、ゴルフ場の中の平面的なコースのレイアウト
図26A1や、そのレイアウト
図26A1における一つの代表的な断面を示す切断
図75を配置したコース画面47を、腕時計型端末2の表示部20に表示させる。ここでは、プレイヤーPの位置情報をGPS受信部12から取り込んだときに、その位置情報を含んだ地図情報26Aを読み出すことで、プレイヤーPが位置するコースのレイアウト
図26A1を、コース画面47に表示させることができる。レイアウト
図26A1には、コース内の主な対象物となるティーグランドS1、フェアウェイS2、ラフS3、バンカーS4、池S5、グリーンS6、林S7がそれぞれ配置される。また、前述した百分率74をコース画面47で表示させてもよい。
【0096】
本実施形態の表示制御部45は、表示部20に表示されるコースのレイアウト
図26A1の中で、地点設定部43により設定された一の地点と他の地点を、それぞれ第1のポイントSp1と第2のポイントSp2として記号で表示させている。表示部20に表示されるポイントSp1の表面上でタッチパネル32Bをタッチ操作し、そのままの状態で指を動かすと、動かした指先が一の地点として地点設定部43により設定変更され、その位置にポイントSp1の表示も移動する。同様に、表示部20に表示されるポイントSp2の表面上でタッチパネル32Bをタッチ操作し、そのままの状態で指を動かすと、動かした指先が一の地点として地点設定部43により設定変更され、その位置にポイントSp2の表示も移動する。
【0097】
こうして、地点設定部43が一の地点と他の地点を設定すると、標高取得部44は、一の地点と他の地点とを結ぶ第1の直線上の各地点について、それぞれの地点の標高をメッシュ情報26Cに記憶保存された三次元メッシュデータから取得する。このとき表示制御部45は、レイアウト
図26A1上でポイントSp1,Sp2間を結ぶ第1の直線L1を表示部20に表示させ、ユーザーであるプレイヤーPに、レイアウト
図26A1上でどの断面を断面
図75として表示させるのかを、直感的に認識させることができる。
【0098】
コース画面47の一側には、レイアウト
図26A1上の第1の直線L1における切断
図75が配置され、その切断
図75には、プレイヤーPが設定した一の地点となる第1のポイントSp1から、他の地点となる第2のポイントSp2に至る標高の変化を、プレイヤーPに表示で視認させるために、標高取得部44で取得した第1の直線上の各地点の標高を、折れ線グラフ的に繋いだ第1の標高線H1が設けられる。また切断
図75には、必要に応じて、基準地点となるポイントSp1との標高の差である高低差を、例えば「-3.0m」のような文字と数字で表記した高低差表記部76が設けられる。表示制御部45が、こうした切断
図75をレイアウト
図26A1と共に、共通のコース画面47で表示部20に表示させることで、プレイヤーPは必要に応じてポイントSp1,Sp2の位置をタッチパネル32Bへの操作入力により設定変更するだけで、レイアウト
図26A1内のティーグラウンドS1からグリーンS6に向けての断面だけでなく、自身が知りたい例えばボール7を打つ方向に向けての断面について、標高がどのように変化しているのかを、切断
図75に設けられた第1の標高線H1の表示で、直ちに視認することが可能になる。
【0099】
図14は、本実施形態の高低差表示システム1において、腕時計型端末2の表示部20に表示されるコース画面47の別な好ましい例を示している。コース画面47には、前述した番手表記部68、飛距離履歴表記部69、戻る表記部70、進む表記部71の他に、標高差表記部81と、予測飛距離表記部82とを設けた支援情報表示窓83が、その下側に配置される。この支援情報表示窓83は、操作部21の例えばタッチパネル32Bへの特定の操作により、何時でもコース画面47に表示させ、または非表示にさせることが可能である。コース画面47の支援情報表示窓83以外の領域には、前述したレイアウト
図26A1や、第2のポイントSp2や、第1の直線L1や、第1の標高線H1を含む第1の切断
図75の他に、スライド線SDや、予測飛距離の円弧線85や、第2の直線L2や、第2の標高線H2を含む第2の切断
図86や、マーカーMA1,MB1,MA2,MB2が、それぞれ配置される。表示制御部45は、こうしたコース画面47が表示されるように表示部20を制御する。
【0100】
そして、プレイヤーPの位置情報をGPS受信部12から取り込んだときに、その位置情報を含んだ地図情報26Aを読み出すことで、プレイヤーPが位置するコースのレイアウト
図26A1と共に、支援情報表示窓83を含んだコース画面47が表示部20に表示される。支援情報表示窓83には、最初に推奨するクラブ6の番手を表示し、戻る表記部70や進む表記部71の表面をタップ操作した後には、選択したクラブ6の番手を表示する番手表記部68と、番手表記部68に表示されるクラブ6の番手について、アドバイス算出部37で算出された平均飛距離を表示する飛距離履歴表記部69と、標高差算出部39で算出された標高差を表示する標高差表記部81と、予測飛距離算出部42で算出された予測飛距離を表示する予測飛距離表記部82が、それぞれ配置される。
【0101】
一方、コース画面47の支援情報表示窓83以外の領域では、プレイヤーPが位置するコースのレイアウト
図26A1に重ね合わせて、地点設定部43により設定された他の地点となる菱形記号の第2のポイントSp2と、地点設定部43により設定された一の地点と他の地点とを結ぶ第1の直線L1と、第1の直線L1を基準となる一の地点の標高として、一の地点から他の地点に至る標高の変化を、第1の線の両側から凹凸状に変化させて表示する第1の標高線H1を含む第1の切断
図75と、第1の直線L1上で各地点の中の一つの地点が特定点Tとして設定されると、その特定点T1を通り、且つ第1の直線L1に対して直交するように表示する第2の直線L2と、第2の直線L2を基準となる特定点Tの標高として、第2の線に沿った標高の変化を、第2の線から凹凸状に変化させて表示
する第1の標高線H2を含む第2の切断
図86が、それぞれ配置される。
図14では、支援情報表示窓83により第1のポイントSp1が隠れて表示されていないが、この第1のポイントSp1は、地点特定部41がアドバイス算出部37で取り込んだGPS受信部12からの位置情報を、次にプレイヤーPがショットを行なう一の地点Yp1の二次元位置として特定した前述の一の地点Yp1に相当する。したがって第1のポイントSp1は、GPS受信部12で測位された腕時計型端末2ひいてはプレイヤーP自身の現在位置ということになる。
【0102】
一方、コース画面47の上側に配置された第2のポイントSp2は、その表面上でタッチパネル32Bをタッチ操作し、そのままの状態でスライド線SDに沿って指を左右に動かすと、動かした指先が他の地点として地点設定部43により設定変更され、その位置に第2のポイントSp2の表示も移動する。つまりこの例では、第1の地点であるプレイヤーP自身の位置から、レイアウト
図26A1に示されたコースのどの方向に向けて、標高差の変化を第1の標高線H1で表示させたいのかを、スライド線SDに沿って第2のポイントSp2を指でスライド移動させるだけで簡単に選択できる。
【0103】
標高取得部44は、地点設定部43が他の地点の位置を設定変更する毎に、一の地点と他の地点とを結ぶ第1の直線L1上の各地点について、それぞれの地点の標高をメッシュ情報26Cに記憶保存された三次元メッシュデータから取得し、これを受けて表示制御部45が、レイアウト
図26A1上でポイントSp1,Sp2間を結ぶ第1の直線L1を表示部20に表示させることで、ユーザーであるプレイヤーPに、レイアウト
図26A1上でどの断面を断面
図75として表示させるのかを、直感的に認識させることができる。
【0104】
本例における第1の切断
図75は、三次元メッシュデータから取得した第1の直線L1上の各地点について、第1の色(例えば赤:
図14では濃い色調)で第1の直線L1の一側に表れる凸状の第1の標高線H1の部分が、基準となる一の地点よりも高い標高であることを示し、第2の色(例えば青:
図14では薄い色調)で第1の直線L1の他側に表れる凹状の第1の標高線H1の部分が、基準となる一の地点よりも低い標高であることを示している。第1の直線L1と第1の切断
図75は、何れもレイアウト
図26A1上に重ね合わせて表示されるので、プレイヤーPは自身の希望する第1の直線L1の方向で、レイアウト
図26A1に示されたどの辺りがどのような標高差であるのかを、凹凸状に示された第1の標高線H1により直感的に認識できる。
【0105】
標高取得部44は、前述の特定点Tとは別に、三次元メッシュデータから取得した第1の直線L1上の各地点について、表示部20に表示するレイアウト
図26A1を含んだ二次元の地図情報に基づいて、例えばフェアウェイS2の中心に位置するや、地点バンカーS4に位置する地点を、プレイヤーPに対する注目点として設定する。これを受けて表示制御部45は、それぞれの注目点を記号によるマーカーMA1,MB1で、第1の直線L1上に表示させる。これによりプレイヤーPは、第1の直線L1上のフェアウェイS2の中心位置では、マーカーMA1の他側に凹状の第1の標高線H1が表れていることから、現在位置よりも標高が低いと認識でき、また第1の直線L1上のバンカーS4の位置では、マーカーMB1の一側に凸状の第1の標高線H1が表れていることから、現在位置よりも標高が高いと認識でき、プレイヤーPに注目点の標高を直感的に認識させることができる。
【0106】
標高取得部44は、三次元メッシュデータから取得した第1の直線L1上の各地点の中で、予測飛距離算出部42で算出された予測飛距離(
図14では230ヤード)よりも10ヤード手前(
図14では220ヤード)となる地点を特定点Tとして設定する。但し、これはあくまでも一例で、第1の直線L1上で一の地点から、例えばアドバイス算出部37で算出された平均飛距離や、予測飛距離算出部42で算出された予測飛距離に到達する地点を、予め設定した距離分だけ加算や減算し、あるいは加減算することなく特定点Tとして設定してもよいし、操作部21への操作入力により任意に設定変更できるようにしてもよい。何れにせよ、標高取得部44が特定点Tと第2の直線L2を設定し、第2の直線L2上の各地点について、それぞれの地点の標高を三次元メッシュデータから取得すると、表示制御部45はコース画面47において、第2の直線L2と共に第2の標高線H2を含む第2の切断
図86を、レイアウト
図26A1上に重ね合わせて表示部20に表示させることが可能になる。
【0107】
本例における第2の切断
図86は、三次元メッシュデータから取得した第2の直線L2上の各地点について、第1の色(例えば赤:
図14では濃い色調)で第2の直線L2の一側に表れる凸状の第2の標高線H2の部分が、基準となる一の地点よりも高い標高であることを示し、第2の色(例えば青:
図14では薄い色調)で第2の直線L2の他側に表れる凹状の第2の標高線H2の部分が、基準となる一の地点よりも低い標高であることを示している。第2の直線L2と第2の切断
図86は、何れもレイアウト
図26A1上に重ね合わせて表示されるので、プレイヤーPは第1の直線L1に直交する第2の直線L2の方向で、レイアウト
図26A1に示されたどの辺りがどのような標高差であるのかを、凹凸状に示された第2の標高線H2により直感的に認識できる。
【0108】
標高取得部44は、三次元メッシュデータから取得した第2の直線L1上の各地点について、特定点Tから決められた距離に位置する地点を、若しくは表示部20に表示するレイアウト
図26A1を含んだ二次元の地図情報に基づいて、例えばフェアウェイS2とラフS3の境界に位置する地点や、プレイヤーPに対する注目点として設定する。これを受けて表示制御部45は、それぞれの注目点を記号によるマーカーMA2,MB2で、第1の直線L2上に表示させる。これによりプレイヤーPは、予測した飛距離の近くで、フェアウェイS2の左側にボール7を打ち込んだ場合には、マーカーMA2の他側に凹状の第2の標高線H2が表れていることから、ボール7がフェアウェイS2からラフS3に転げ落ちると認識でき、また予測した飛距離の近くで、逆にフェアウェイS2の右側にボール7を打ち込んだ場合には、マーカーMB2の一側に凸状の第2の標高線H2が表れていることから、ボール7がフェアウェイS2の端から中心に戻ると予測でき、プレイヤーPに注目点の標高を直感的に認識させることができる。
【0109】
以上のように本実施形態の高低差表示システム1は、対象範囲となるゴルフ場のコースの全体について、好ましくは国土地理院が発行した基盤地図情報の中から、メッシュの標高データを取得し、当該標高データをゴルフ場のコースを示す二次元の地図情報26に埋込んで三次元メッシュデータを生成するメッシュデータ取得手段としてのメッシュデータ取得部38と、ゴルフ場のコースの中で一の地点と他の地点をそれぞれ設定する地点設定手段としての地点設定部43と、一の地点と他の地点とを結ぶ第1の線である直線L1上における第1の各地点について、各々の標高を三次元メッシュデータから取得する標高取得手段としての標高取得部44と、標高取得部44で取得した第1の各地点の標高に基づき、一の地点から他の地点に至る標高の変化を、二次元地図情報に含まれるレイアウト
図26A1と共に表示手段となる表示部20に第1の標高線H1で表示させる表示制御手段としての表示制御部45と、を備え、他の地点の位置を任意に設定変更できるように地点設定部43を構成している。
【0110】
この場合、表示部20で表示すべきゴルフ場のコースの全体について、各地点の標高を示す標高データを取得し、その標高データをゴルフ場のコースの二次元情報に埋め込んで、各地点の標高を含む三次元メッシュデータを生成する。そして、ゴルフ場のコースの中で一の地点と他の地点を地点設定部43で設定すれば、三次元メッシュデータを利用して、その間の標高の変化が第1の標高線H1として、ゴルフ場のコースのレイアウト
図26A1と重ねて表示部20に表示される。このとき、少なくとも他の地点は、地点設定部43で設定変更できるので、ユーザーが知りたい一の地点から他の地点の方向に向けて、標高の変化を第1の標高線H1で表示させることが可能になる。
【0111】
また、本発明の高低差表示システムは、第1の各地点の中の一つの地点が特定点として設定されると、第1の直線L1に対して直交して特定点を通る第2の線である直線L2上における第2の各地点について、各々の標高を三次元メッシュデータから取得するように標高取得手部44を構成し、その記標高取得部44で取得した第2の各地点の標高に基づき、第2の直線L2に沿った標高の変化を、表示部20に第2の標高線H2で表示させるように、表示制御部45を構成するのが好ましい。
【0112】
この場合、一の地点から他の地点の間で特定点が設定された場合には、一の地点と他の地点とを結ぶ第1の線に対して直交し、しかも設定された特定点を通る第2の線に沿った標高の変化を、第2の標高線として表示手段に表示させることが可能となる。
【0113】
以上、本発明の好ましい一実施形態について説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施が可能である。本発明の高低差表示システムで利用できる地図情報26Aは、ゴルフ場のコースに限らず、例えばトレッキング(山歩き)用のコースであってもよく、この場合はユーザーが歩きたい複数の道筋を、一の地点と他の地点とを結ぶ第1の線として設定できるようにし、その第1の線における標高の変化を表示部20に表示させるのが望ましい。また、本実施形態における制御手段10や記憶部19の構成の一部または全てを、端末となる腕時計型端末2以外の機器(例えば、携帯端末3)に配設してもよい。この場合、機器と端末は、有線や無線の通信手段9で相互に接続される。
【符号の説明】
【0114】
1 高低差表示システム
26 地図情報(二次元地図情報)
26A1 レイアウト図
38 メッシュデータ取得部(メッシュデータ取得手段)
43 地点設定部(地点設定手段)
44 標高取得部(標高取得手段)
45 表示制御部(表示制御手段)
H1 第1の標高線
H2 第2の標高線