(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】電動送風機およびそれを搭載した電気掃除機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/16 20060101AFI20220531BHJP
A47L 9/00 20060101ALI20220531BHJP
A47L 9/32 20060101ALI20220531BHJP
F04D 29/28 20060101ALI20220531BHJP
F04D 29/44 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
F04D29/16
A47L9/00 H
A47L9/32 Z
F04D29/28 P
F04D29/44 Y
(21)【出願番号】P 2017152861
(22)【出願日】2017-08-08
【審査請求日】2019-08-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-09
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢宏
(72)【発明者】
【氏名】坂上 誠二
(72)【発明者】
【氏名】本多 武史
(72)【発明者】
【氏名】京谷 浩平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 繁則
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】窪田 治彦
【審判官】熊谷 健治
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-154797(JP,A)
【文献】実開昭54-132811(JP,U)
【文献】特開2015-108369(JP,A)
【文献】特開2008-101537(JP,A)
【文献】特開2017-82609(JP,A)
【文献】特開平4-179897(JP,A)
【文献】特開平10-141279(JP,A)
【文献】特開2010-17613(JP,A)
【文献】特開2008-163892(JP,A)
【文献】特開2013-188800(JP,A)
【文献】実公平7-27668(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D29/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口を形成するシュラウドプレートを備えた遠心羽根車と、前記遠心羽根車を覆
うファンケーシングとで構成される電動送風機において、前記シュラウドプレートの吸気口端部は、
前記ファンケーシングに近接対面するように配置され
、前記シュラウドプレートの
前記吸気口端部と、近接対面する
前記ファンケーシングとの双方に、互いに対向する方向に突出するリブを設け、
双方の前記リブは、当該リブの根本幅よりも先端幅が小さく形成された断面形状が三角形であり、
一方の前記リブの先端と、他方の前記リブの先端とが対向して配置され、
前記遠心羽根車と前記ファンケーシングに使用する材料は、溶融温度に差のある互いに異なる樹脂であることを特徴とする電動送風機。
【請求項2】
請求項1に記載の電動送風機を備え、塵埃を集塵する集塵室と、操作するための持ち手となるグリップ部と、電気の入切をするためのスイッチ部を有した電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動送風機およびそれを搭載した電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コードレススティッククリーナの需要が高まっている。コードレススティッククリーナは軽量化のために低電圧のバッテリーを採用しているが、電動送風機においても小型化が求められている。しかしながら、ごみ取り性能を十分に確保できる吸込力を得るためのファン出力を生み出せることが電動送風機として必須条件となる。これらを満足するために電動送風機に関しては、駆動する回転数を高速化することで、ファンの高出力化、小型化ができる。そのため、電動送風機にはブラシレスモータが採用され、回転数を80,000min-1以上としている例が多い。
【0003】
一方、キャニスター形のクリーナに用いられている電動送風機では、低コスト化なども踏まえ以前よりブラシ付きモータを採用している。もちろん、十分な吸込力を得るためにファンの高出力化が求められているなか、駆動する回転数は40,000min-1~50,000min-1程度である。しかし、ファン出力を確保するためにファンの外径がコードレススティック用のファンに比べ、2倍以上も大きい。さらには、効率的な風の流路を確保するために、回転するファンと、それを覆う形で配置されるファンケーシングとの一部分を、摺動可能とするシール部材を介して当接させ、気密をとることで高効率なファン出力を得ている。
【0004】
ブラシレスモータに置き換えると、小型軽量化のためファンの外径に関しては、回転数の高速化により補っているとして、ファンの気密による高出力化は応用し得る技術である。
【0005】
シール部材を用いたシール方法の従来技術として、例えば、特開2000-179495号公報(特許文献1)や、特開平9-236098号公報(特許文献2)に開示されているものがある。
【0006】
特開2000-179495号公報に開示されている電動送風機は、電動機のハウジングに取り付けられ、遠心ファンおよびディフューザを覆うように形成したファンケーシングと、該ファンケーシングの吸気孔部に、該遠心ファンの吸気孔と同軸に円環状に形成した湾曲部と、シール保持部材に保持された状態で該遠心ファンの吸気孔部と摺接するシール部材と、該ファンケーシングに取り付けられ、該シール部材を押圧するシール押さえ部材からなる電動送風機において、該シール保持部材は該シール部材を嵌合する凹溝を備え、かつ湾曲部に嵌合保持した構成としている。
【0007】
また、特開平9-236098号公報に開示されている電動送風機は、ファンカバーの吸込口周縁に環状部を形成し、該環状部にファンの吸込口縁が当接するシール材を設け、シール材を、耐熱性、低摩擦性、柔軟性を有すると共に、削れやすい合成樹脂を環状部に充填したことで構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2000-179495号公報
【文献】特開平9-236098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1では、遠心ファンの吸気孔部とファンケーシングに取り付けられたシール部材とが確実に摺接される形となり気密が確保できるものの、とりわけ摺接可能となる最初の負荷に打ち勝つための始動トルクはとても大きなものとなる。これはつまり、キャニスター形クリーナに採用されるブラシ付きモータのように大きな始動トルクを得られるモータに対して有効な気密方法となる。ブラシレスモータとなると、その制御方法によっては、始動時の磁石の磁極位置を決定する動作が必要となり、大変小さなトルクしか生じないために始動不可能となってしまう恐れがある。また、シール部材としては別部品、別工程となるため、材料や作業のコストが追加でかかることとなる恐れがある。特許文献2においても、同様の課題が生じる恐れがある。
【0010】
本発明では、高効率、高出力な電動送風機およびそれを搭載した電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで本発明は、過度な始動負荷がかからず、シールするための別部材を必要とせずに気密性を確保する方法として、吸気口を形成するシュラウドプレートを備えた遠心羽根車と、前記遠心羽根車を覆うファンケーシングとで構成される電動送風機において、前記シュラウドプレートの吸気口端部は、前記ファンケーシングに近接対面するように配置され、前記シュラウドプレートの前記吸気口端部と、近接対面する前記ファンケーシングとの双方に、互いに対向する方向に突出するリブを設け、双方の前記リブは、当該リブの根本幅よりも先端幅が小さく形成された断面形状が三角形であり、一方の前記リブの先端と、他方の前記リブの先端とが対向して配置され、前記遠心羽根車と前記ファンケーシングに使用する材料は、溶融温度に差のある互いに異なる樹脂であることを特徴とする電動送風機を提案する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、遠心羽根車のシュラウドプレートの吸気口端部、或いは近接対向するファンケーシングの少なくとも一方に設けるリブによって、遠心羽根車とファンケーシングの隙間を極力小さくすることができ、気密漏れを低減することで、高効率、高出力な電動送風機およびそれを搭載した電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1にかかる電動送風機を示す断面図。
【
図2】実施形態1にかかる電動送風機を示す分解斜視図。
【
図3】実施形態1にかかるロータ組立体を示す分解斜視図。
【
図4】実施形態1にかかる遠心羽根車の全体構成図(a)と、実施形態1におけるシュラウドプレートの吸気口端部にリブを設けた形状図(b)と、シュラウドプレートの吸気口端部のリブの断面図(c)である。
【
図5】実施形態1にかかるファンケーシングの形状図(a)と、実施形態1におけるファンケーシングにリブを設けた形状図(b)と、ファンケーシングに設けたリブの断面図(c)である。
【
図6(a)】実施形態1における電動送風機の送風機部の構造部分断面図であり、
図4(b)の実施形態1における遠心羽根車のシュラウドプレートの吸気口端部にリブを設けた場合の断面図である。
【
図6(b)】実施形態1における電動送風機の送風機部の構造部分断面図であり、
図5(b)の実施形態1におけるファンケーシングにリブを設けた場合の断面図である。
【
図6(c)】実施形態1における電動送風機の送風機部の構造部分断面図であり、
図4(b)、
図5(b)に示すリブの両方を設けた場合の断面図である。
【
図7】実施形態2にかかるファンケーシングに溝を設けた断面図である。
【
図8】実施形態2にかかる遠心羽根車の吸気口端部に溝を設けた断面図である。
【
図9】実施形態2における電動送風機の送風機部の構造部分断面図である。(a)は、
図4(b)の実施形態1における遠心羽根車のシュラウドプレートの吸気口端部にリブを設け、
図7の実施形態2にかかるファンケーシングに溝を設けた場合の断面図であり、(b)は、
図5(b)の実施形態1におけるファンケーシングにリブを設け、
図8の実施形態2にかかる遠心羽根車の吸気口端部に溝を設けた場合の断面図である。
【
図10】実施形態3におけるファンケーシングに2つのリブを設けた形状図(a)であり、ファンケーシングに設けた2つのリブの部分断面図(b)である。
【
図11(a)】実施形態3における電動送風機の送風機部の構造拡大断面図であり、
図7(b)の実施形態2にかかるファンケーシングに2つのリブを設けた場合の断面図であり
【
図11(b)】実施形態3における電動送風機の送風機部の構造拡大断面図であり、
図8(a)に、
図4(b)の遠心羽根車にリブを設けた場合の断面図である。
【
図11(c)】実施形態3における電動送風機の送風機部の構造拡大断面図であり、ファンケーシングに設けた2つのリブのいずれか一方を、遠心羽根車のシュラウドプレートの吸気口端部に近接させた場合の断面図である。
【
図12】本実施例における電動送風機を搭載した電気掃除機を示し、(a)はスティック型として使用する際の斜視図、(b)は電気掃除機をハンディ型として使用する際の側面図である。
【
図13】本実施例における電動送風機を搭載した掃除機本体の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、
図1~
図10を用いて説明する。
【0015】
[実施形態1]
図1は実施形態1にかかる電動送風機を示す断面図であり、
図2は実施形態1にかかる電動送風機の分解斜視図である。
【0016】
ステータ240は、ステータコア210の周りにコイル211が巻かれ、一緒になって相巻線を形成している。この相巻線は、電動送風機200に備わる図示しない回路部に電気的に接続されている。
【0017】
ハウジング208は、合成樹脂製であり、ロータ組立体230の軸受部を内包する軸受カバー215とインサート成形によって構成される。軸受カバー215の外周には、軸受212の冷却用のヒートシンクである回転軸方向に長い複数の冷却フィン27が設けられている。また、軸受カバー215は、非磁性金属材料製であり、軽量化、放熱性などに有利なものが良い。本実施例では、アルミ材を使用している。
【0018】
また、ハウジング208の支持部26には、軸方向Gに延在するねじ穴28が形成されている。ねじ穴28には固定ねじ218が螺合可能で、固定ねじ218の螺合によってディフューザ205がハウジング208に固定される。
【0019】
また、ハウジング208には、ハウジング208内に空気が流れ込む開口34と、電動送風機200の外部に空気を排出する排気口35とが形成されている。また、ハウジング208の軸方向Gの端部に配置されるステータ240は、固定ねじ219によってハウジング208に固定されている。
【0020】
ファンケーシング204は、ディフューザ205と、ロータ組立体230の遠心羽根車203を覆う格好で、ハウジング208と嵌合される。
【0021】
図3は実施形態1にかかるロータ組立体を示す分解斜視図である。
図3に示すように、ロータ組立体230は、遠心羽根車203、回転軸207、ロータコア209、軸受212、212、リング部材213、ばね217およびカバー250によって構成されている。なお、軸受212、212とばね217とで軸受部が構成されている。
【0022】
遠心羽根車203は、回転軸207の軸方向Gの一端に固定されている。本実施例では、遠心羽根車203を回転軸207に圧入固定しているが、回転軸207の端部(先端)にねじを設け、遠心羽根車203を固定ナットによって固定してもよい。
【0023】
ロータコア209は、回転軸207の、遠心羽根車203が固定されている端部とは逆側の軸方向Gの端部に設けられている。このロータコア209は、例えば、希土類系のボンド磁石によって構成されている。希土類系のボンド磁石は、希土類系磁性粉末と有機バインダーとを混合して作られる。希土類系のボンド磁石としては、例えば、サマリウム鉄窒素磁石や、ネオジム磁石等を用いることができる。また、ロータコア209は、回転軸207に一体成形されている。また、ロータコア209は、カバー250により周面に接した状態で覆われている。カバー250は、非磁性の薄板を筒状に形成したものであり、例えば、ステンレス鋼にニッケル量を多く配合したもので構成される。
【0024】
リング部材213は、バランス調整用のものであり、回転軸207におけるロータコア209側の端部に設けられている。また、リング部材213は、ロータコア209よりも比重が大きく、かつ、非磁性の材料で構成されている。例えば銅材などの焼結品(燒結体)や機械加工で形成することができる。また、リング部材213としては、ロータコア209よりも比重が大きく、かつ、非磁性の材料であれば、銅に限定されるものではない。
【0025】
回転軸207には、遠心羽根車203とロータコア209との間に、軸受212、212が設けられている。軸受212、212は、軸方向に離間して配置され、回転軸207を回転自在に支持している。軸受212、212の間にはコイル状のばね217が設けられ、軸受212、212の外輪に予圧を与えている。
【0026】
図4は、実施形態1にかかる遠心羽根車203の形状図である。
図4(a)は、遠心羽根車203の全体構成図であり、
図4(b)は、実施形態1におけるシュラウドプレート221の吸気口端部222にリブ223を設けた形状図であり、
図4(c)は、吸気口端部222のリブ223の断面図である。
【0027】
本実施形態では、
図4(a)のように遠心羽根車203は、羽根220aと羽根220a根元には流路を構成するための曲面プレートと回転軸207が圧入可能となる回転軸穴が一体的に形成されたハブプレート220と、吸気口が形成され、羽根220aを曲面プレートと挟むように配置できるシュラウドプレート221で構成される。ハブプレート220には、シュラウドプレート221を嵌合い可能にするための位置決め用の凸部が形成されており、シュラウドプレート221には羽根と位置決め用凸部が嵌合い可能なように溝が形成されている。ハブプレート220とシュラウドプレート221の固定には、超音波溶着をすることにより高速回転をしても分離、剥がれが生じないようにしている。そのため、ハブプレート220には超音波溶着用のリブが羽根の上端面に、位置決め用凸部より外周側に配置されている。本発明では
図4(b)のように、シュラウドプレート221の吸気口端部222に小さなリブ223を一周にわたり設けている。
図4(c)のように、リブ223の形状はシュラウドプレート221の吸気口端部222側のリブ223根元幅よりもリブ223先端幅を小さくするようにする。そのため、リブ223の断面形状としては、三角形、台形、半円形、半楕円形を問わない。本実施形態では三角形のリブ断面形状とし、リブ223の根本幅は0.3mm、リブ223の高さは0.3mmとしている。ここで、遠心羽根車203の構成としては、羽根220aがシュラウドプレート221と一体に構成されていても別体で構成されていても構わない。
【0028】
図5は、実施形態1にかかるファンケーシング204の形状図である。
図5(a)は、ファンケーシング204の全体形状図であり、
図5(b)は、実施形態1におけるファンケーシング204にリブ224を設けた形状図であり、
図5(c)は、実施形態1のファンケーシング204に設けたリブ224の断面図である。
【0029】
実施形態1では
図5(b)のように、ファンケーシング204の、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に近接対向する部分にリブ224を一周にわたり設けている。
図5(c)のように、リブ224の形状はファンケーシング204側のリブ224根元幅よりもリブ224先端幅を小さくするようにする。そのため、リブ224の断面形状としては、三角形、台形、半円形、半楕円形を問わない。本実施形態では三角形のリブ断面形状とし、リブ224の根本幅は0.3mm、リブ224の高さは0.3mmとしている。
【0030】
図6は、実施形態1における電動送風機200の送風機部201の構造部分断面図である。
図6(a)は、
図4(b)の実施形態1における遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222のみにリブ223を設けた場合の断面図であり、
図6(b)は、
図5(b)の実施形態1にかかるファンケーシング204のみにリブ224を設けた場合の断面図であり、
図6(c)は
図4(b)、
図5(b)に示すリブ223とリブ224の両方を設けた場合の断面図である。
図6(a)、(b)を見てわかるように、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222、或いは近接対向するファンケーシング204の少なくとも一方にリブ223、或いはリブ224を設けることで遠心羽根車203とファンケーシング204の隙間を極力小さく出来、気密漏れを低減することが可能となり、高効率、高出力なファン性能を得ることができる。隙間を埋めるためには、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222をファンケーシング204側に延長するか、或いは近接対向するファンケーシング204の端面部をさらに近接する設計で可能となるが、小さいリブ223、或いは小さいリブ224とすることで、仮に組立てバラツキにより接触した場合でも、接触面積が小さいため、軽負荷の外力で摺動可能となる。ここで、遠心羽根車203とファンケーシング204に使用する材料に関して、樹脂を用いる場合は、互いに異なる材料とし、且つ溶融温度に差を設けた材料を選択するのが良い。こうすることで、遠心羽根車203、或いはファンケーシング204のリブ、或いは端面部に削り跡が生じるのみとなり、摺動可能となる。
【0031】
図6(c)のように遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222にリブ223と、ファンケーシング204の遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に近接対向する部分にリブ224を一緒に設けても良い。
【0032】
実施形態1のリブ223の高さに関しては、組立て時に接触しても、小さい接触面積で済むようなリブ223高さに設定すれば良く、先に示したリブ223高さに限定するものではない。リブ223根元幅に関しても同様である。
【0033】
[実施形態2]
実施形態2における電動送風機200の形態は、実施形態1で説明した形態と同様のため、異なる部分以外の説明は省略する。
【0034】
図7は、実施形態2にかかるファンケーシング204に溝225を設けた断面図である。
【0035】
図8は、実施形態2にかかる遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に溝226を設けた断面図である。
そして、
図9は、実施形態2における電動送風機の送風機部の構造部分断面図である。まず、
図9(a)は、
図4(b)の実施形態1における遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222にリブ223を設け、それに近接対抗するファンケーシング204に、
図7のような溝225を設けた場合の断面図である。こうすることで、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に設けたリブ223が、近接対抗するファンケーシング204の溝225により、組立てバラツキによる接触を低減させることが出来る。溝225の断面形状に関しては、リブ223の根元幅よりも溝225の幅を同等以下。リブ223の高さよりも、溝225の深さを同等以下、と設定すると気密漏れの低減することが可能となり、高効率、高出力なファン性能を得ることができる。また、
図9(b)は、
図5(b)の実施形態1におけるファンケーシング204にリブ224を設け、それに近接対抗する遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に溝226を設けた場合の断面図である。
図9(b)の効果に関しても、
図9(a)で述べた内容と同様の効果を得ることが出来る。
【0036】
[実施形態3]
実施形態3における電動送風機200の形態は、実施形態1で説明した形態と同様のため、異なる部分以外の説明は省略する。
【0037】
図10は、実施形態3にかかるファンケーシング204に2つのリブ224を設けた形状図である。
図10(a)は、実施形態2にかかるファンケーシング204に2つのリブ224を設けた形状図であり、
図10(b)は、実施形態3にかかるファンケーシング204に2つのリブ224を設けた部分断面図である。
【0038】
図10(a)は、ファンケーシング204の、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222と近接対向する部分に、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222を挟むような位置に2つのリブ224を設けている。
図10(b)に、ファンケーシング204に設けた2つのリブ224の形状断面図を示すが、リブ224形状については、実施形態1で説明した形状と同様である。
【0039】
図11は、実施形態3の電動送風機200の送風機部201の構造拡大断面図である。
図11(a)は、
図10(b)の実施形態3にかかるファンケーシング204に2つのリブ224を用いた場合の断面図であり、
図11(b)は、
図11(a)に、
図4(b)の遠心羽根車203にリブ223を用いた場合の断面図であり、
図11(c)は、ファンケーシング204の2つのリブ224のいずれか一方を、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に設けたリブ223に近接させた場合の断面図である。
【0040】
図11(a)のように、ファンケーシング204の、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222と近接対向する部分に、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222を挟むような位置に2つのリブ224を設けることで、遠心羽根車203とのシュラウドプレート221の吸気口端部222の内径、および外径部分にて隙間を小さくすることができる。これにより、気密漏れ低減が2か所のリブ224で可能となり、高効率、高出力なファン性能を得ることができる。また、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222の内・外径側に配置することで、組立てバラツキによる接触に対しても裕度持つことができる。もちろん、
図11(b)のように、ファンケーシング204の、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に設けたリブ223と近接対向する部分に、リブ223の内径、及び外径側に等間隔の隙間が出来る様にリブ224を設けた形態にしても良い。さらには、
図11(c)のように、遠心羽根車203のシュラウドプレート221の吸気口端部222に設けたリブ223に対し、それを挟むように近接対向するファンケーシング204に2つのリブ224が設けてあれば、どちらか一方のリブ224がリブ223に近接する構成としていても良い。
【0041】
以下、として、本発明に係る送風機を備える電動送風機200を搭載する電気掃除機400について図面を参照しながら説明する。
【0042】
なお、以下では、スティック型とハンディ型とを適宜切り替えて使用できる充電式の電気掃除機400に適用した場合を例に挙げて説明するが、スティック型のみ、ハンディ型のみ、など様々なタイプの電気掃除機に適用することができる。
【0043】
図12は実施形態1~3における電動送風機200を搭載した電気掃除機400を示し、(a)はスティック型として使用する際の斜視図、(b)は電気掃除機400をハンディ型として使用する際の側面図である。
【0044】
図12(a)に示すように、電気掃除機400は、塵埃を集塵する集塵室401および集塵するのに必要な吸込気流を発生させる電動送風機200(
図4)を収納する掃除機本体410、掃除機本体410に対して伸縮自在に設けられた伸縮パイプ402、伸縮パイプ402の一端に設けられたグリップ部403、グリップ部403に設けられた電動送風機200の入切を行うスイッチ部404を備えて構成されている。
【0045】
図12(a)に示す電気掃除機400は、スティック状態であり、伸縮パイプ402が伸ばされた状態である。また、掃除機本体410の他端には吸口体405が取り付けられ、掃除機本体410と吸口体405とが接続部406で繋がれている。
【0046】
図12(b)に示す電気掃除機400は、ハンディ状態であり、伸縮パイプ402が掃除機本体410内に収納され、グリップ部403が伸縮パイプ402側に近接した状態である。また、ハンディ状態での持ち手となるハンディグリップ部407は、掃除機本体410の上面側に、近接されたグリップ部403と集塵室401との間に設けられている。また、掃除機本体410の他端部には吸口体(隙間ノズル)408が取り付けられ、掃除機本体410と吸口体408とが接続部406で繋がれている。
【0047】
以上の電気掃除機400において、グリップ部403のスイッチ部404を操作することで、掃除機本体410に収納された電動送風機200(
図1参照)が作動し、吸込気流を発生させる。そして、吸口体405、408から塵埃を吸込み、接続部406を通して掃除機本体410の集塵室401に集塵する。
【0048】
図13は本実施形態1~3における電動送風機を搭載した掃除機本体の縦断面図である。なお、
図13は、ハンディ状態であり、掃除機本体410から吸口体408を取り外した状態である。
【0049】
図13に示すように、掃除機本体410の内部には、吸引力を発生させる電動送風機200、電動送風機200に電力を供給する電池ユニット420、駆動用回路430が設けられている。
【0050】
吸口体405、408(
図12(a)、(b)参照)から吸い込まれた空気は、掃除機本体410に設けられた流路440(
図12(a)参照)を通って電動送風機200の前方に配置された集塵室401に送られ、集塵室401内に集塵される。そして、集塵室401で塵挨が分離された後の空気は、電動送風機200、駆動用回路430を通り、掃除機本体410に形成された排気口(不図示)から外部に排出される。
【0051】
これら、本発明に係る送風機を備える電動送風機を搭載する電気掃除機により、高い吸い込み性能を有する電気掃除機とすることができる。
【0052】
以上、本発明にかかるリブを設けた送風機について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明した。なお、本発明の内容は、前記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改変・変更等することができることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0053】
13 ディフューザ羽根
14 リターンガイド羽根
26 支持部
27 冷却フィン
28 ねじ穴
29 凹部
30 ブリッジ
31 フレーム
32 ねじ穴
34 開口
35 排気口
36 傾斜部
200 電動送風機
201 送風機部
202 電動機部
203 遠心羽根車
204 ファンケーシング
205 ディフューザ
206 吸込口
207 回転軸
208 ハウジング
209 ロータコア
210 ステータコア
211 コイル
212 軸受
213 リング部材
214 位置決め用スリーブ
215 軸受カバー
217 ばね
218 固定ねじ
219 固定ねじ
220 ハブプレート
220a 羽根
221 シュラウドプレート
222 吸気口端面
223 リブ
224 リブ
225 溝
226 溝
230 ロータ組立体
240 ステータ
250 カバー
270 モータ
400 電気掃除機
410 掃除機本体
420 電池ユニット
430 駆動用回路
G 軸方向