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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】交通誘導システム及び交通誘導方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/07 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
G08G1/07 P
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017193475
(22)【出願日】2017-10-03
(65)【公開番号】P2019067234
(43)【公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000202361
【氏名又は名称】綜合警備保障株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114306
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 史郎
(72)【発明者】
【氏名】倉本 哲生
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 沢樹
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 貴充
(72)【発明者】
【氏名】大谷 洋介
【審査官】佐々木 佳祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-172987(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0262304(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交互通行区間における車両の通行を制御する交通誘導システムであって、
前記交互通行区間の両端をなす第1端及び第2端のうち、該第1端における車両の通過を検知する第1の通過検知手段と、
前記第2端における車両の通過を検知する第2の通過検知手段と、
前記第1の通過検知手段及び前記第2の通過検知手段による検知結果に基づいて、前記交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定する区間内車両数算定手段と、
前記第1端及び前記第2端における車両の通過に依らず前記区間内車両数の増減が発生した場合に、前記区間内車両数を修正する区間内車両数修正手段と、
前記区間内車両数に基づいて、少なくとも前記第1端及び前記第2端に設けられた信号機を制御する信号制御手段と
前記交互通行区間に隣接する外部領域から前記交互通行区間への車両の進入、及び/又は前記交互通行区間から前記外部領域への車両の退出を示す外部領域出入り情報を通知する通知手段と
を備え、
前記区間内車両数修正手段は、前記通知手段から通知された外部領域出入り情報に基づいて前記区間内車両数を修正する
とを特徴とする交通誘導システム。
【請求項2】
前記交互通行区間に接続された接続道路と前記交互通行区間との間における車両の通過を検知する第3の通過検知手段をさらに備え、
前記区間内車両数修正手段は、前記第3の通過検知手段による検知結果に基づいて前記区間内車両数を修正する
ことを特徴とする請求項1に記載の交通誘導システム。
【請求項3】
前記外部領域は、道路外の店舗又は工事中の道路であることを特徴とする請求項1又は2に記載の交通誘導システム。
【請求項4】
前記通知手段は、前記交互通行区間における車両の通行に係る情報の出力と、前記外部領域出入り情報の入力受付とを行う端末装置に設けられたことを特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の交通誘導システム。
【請求項5】
前記信号制御手段は、前記信号機を進入禁止状態として待機しつつ、車両の検知を条件に前記信号機を進入許可状態に切り替える検知制御モードと、時間経過を条件に前記進入禁止状態と前記進入許可状態とを切り替える時間制御モードとを含む複数の制御モードを有し、
前記車両の通行状態に基づいて前記制御モードの選択を行う制御モード選択手段をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一つに記載の交通誘導システム。
【請求項6】
前記制御モード選択手段は、前記交互通行区間に対する車両の進入経路ごとに前記制御モードの選択を行うことを特徴とする請求項に記載の交通誘導システム。
【請求項7】
前記制御モード選択手段は、特定の進入経路について制御モードの制限を設定された場合に、設定された制限の範囲内で前記制御モードの選択を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の交通誘導システム。
【請求項8】
交互通行区間における車両の通行を制御する交通誘導システムにおける交通誘導方法であって、
前記交互通行区間の両端をなす第1端及び第2端のうち、該第1端に設けられた第1の通過管理装置が、前記第1端における車両の通過を検知する第1の通過検知ステップと、
前記第2端に設けられた第2の通過管理装置が、前記第2端における車両の通過を検知する第2の通過検知ステップと、
前記第1の通過管理装置及び前記第2の通過管理装置と通信可能に設けられた管理装置が、前記第1の通過検知ステップ及び前記第2の通過検知ステップによる検知結果に基づいて、前記交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定する区間内車両数算定ステップと、
前記管理装置が、前記第1端及び前記第2端における車両の通過に依らず前記区間内車両数の増減が発生した場合に、前記区間内車両数を修正する区間内車両数修正ステップと、
前記管理装置が、前記区間内車両数に基づいて、少なくとも前記第1端及び前記第2端に設けられた信号機を制御する信号制御ステップと、
前記管理装置と通信可能に設けられた所定の誘導員端末装置が、前記交互通行区間に隣接する外部領域から前記交互通行区間への車両の進入、及び/又は前記交互通行区間から前記外部領域への車両の退出を示す外部領域出入り情報を通知する通知ステップと
を含み、
前記区間内車両数修正ステップは、前記通知ステップにより通知された外部領域出入り情報に基づいて前記区間内車両数を修正する
ことを特徴とする交通誘導方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、交互通行区間における車両の通行を制御する交通誘導システム及び交通誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の相互通行が不可能な道路では、双方向に向かう車両を交互に通行させる交互通行が行われている。かかる交互通行は、元々の幅員が不足している場合に限らず、工事などにより一時的に幅員が減少している場合にも用いられる。
【0003】
交互通行が行われる交互通行区間の両端に人員を配置して車両の通行を制御することとすると、必要な人員の数が多くなる。そこで、交互通行区間における車両の通行を制御するシステムが利用されている。
【0004】
例えば、特許文献1は、交互通行区間の出入口近傍に信号機と車両感知器とを設置し、車両感知器からの感知信号に基づいて信号機を制御する車両運行管理システムを開示している。また、特許文献2は、交互通行区間の途中に接続された進入路が存在する場合に、交互通行区間の両端及び進入路に接近する接近車両をそれぞれ検出し、接近車両の有無に基づいて交互通行区間の両端及び進入路に設けた信号機の表示を切り替える車両誘導信号システムを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-184790号公報
【文献】特開2001-291188号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術は適用可能な範囲が限定的であり、汎用性が低いという問題点があった。例えば、特許文献1に代表される技術では、交互通行区間の途中に接続された進入路である接続道路を考慮しておらず、交互通行区間の両端のみで車両が出入りする場合にしか適用できない。特許文献2では、接続道路を考慮しているが、車両検知装置により交互通行区間内の車両を検知するため、交互通行区間の長さが240m程度までに限定される。また、従来の技術では、交互通行区間に隣接する店舗などでの車両の出入りに対応することができない。
【0007】
このように、従来の技術は、適用可能な道路が限定されており、適用不能な多くの道路で交互通行区間を設ける場合には人員を配置して交通誘導を行わざるを得ないのが実状であった。
【0008】
これらのことから、高い汎用性を持ち、必要な人員を削減しつつ、円滑で効率的な交通誘導を実現することが重要な課題となっている。
【0009】
本発明は、上記の従来技術の課題を解消するためになされたものであって、円滑で効率的な交通誘導を行う交通誘導システム及び交通誘導方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、交互通行区間における車両の通行を制御する交通誘導システムであって、前記交互通行区間の両端をなす第1端及び第2端のうち、該第1端における車両の通過を検知する第1の通過検知手段と、前記第2端における車両の通過を検知する第2の通過検知手段と、前記第1の通過検知手段及び前記第2の通過検知手段による検知結果に基づいて、前記交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定する区間内車両数算定手段と、前記第1端及び前記第2端における車両の通過に依らず前記区間内車両数の増減が発生した場合に、前記区間内車両数を修正する区間内車両数修正手段と、前記区間内車両数に基づいて、少なくとも前記第1端及び前記第2端に設けられた信号機を制御する信号制御手段と、前記交互通行区間に隣接する外部領域から前記交互通行区間への車両の進入、及び/又は前記交互通行区間から前記外部領域への車両の退出を示す外部領域出入り情報を通知する通知手段とを備え、前記区間内車両数修正手段は、前記通知手段から通知された外部領域出入り情報に基づいて前記区間内車両数を修正することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記の発明において、前記交互通行区間に接続された接続道路と前記交互通行区間との間における車両の通過を検知する第3の通過検知手段をさらに備え、前記区間内車両数修正手段は、前記第3の通過検知手段による検知結果に基づいて前記区間内車両数を修正することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記の発明において、前記外部領域は、道路外の店舗又は工事中の道路であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記の発明において、前記通知手段は、前記交互通行区間における車両の通行に係る情報の出力と、前記外部領域出入り情報の入力受付とを行う端末装置に設けられたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、上記の発明において、前記信号制御手段は、前記信号機を進入禁止状態として待機しつつ、車両の検知を条件に前記信号機を進入許可状態に切り替える検知制御モードと、時間経過を条件に前記進入禁止状態と前記進入許可状態とを切り替える時間制御モードとを含む複数の制御モードを有し、前記車両の通行状態に基づいて前記制御モードの選択を行う制御モード選択手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、上記の発明において、前記制御モード選択手段は、前記交互通行区間に対する車両の進入経路ごとに前記制御モードの選択を行うことを特徴とする。
【0017】
また、本発明は、上記の発明において、前記制御モード選択手段は、特定の進入経路について制御モードの制限を設定された場合に、設定された制限の範囲内で前記制御モードの選択を行うことを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、交互通行区間における車両の通行を制御する交通誘導システムにおける交通誘導方法であって、前記交互通行区間の両端をなす第1端及び第2端のうち、該第1端に設けられた第1の通過管理装置が、前記第1端における車両の通過を検知する第1の通過検知ステップと、前記第2端に設けられた第2の通過管理装置が、前記第2端における車両の通過を検知する第2の通過検知ステップと、前記第1の通過管理装置及び前記第2の通過管理装置と通信可能に設けられた管理装置が、前記第1の通過検知ステップ及び前記第2の通過検知ステップによる検知結果に基づいて、前記交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定する区間内車両数算定ステップと、前記管理装置が、前記第1端及び前記第2端における車両の通過に依らず前記区間内車両数の増減が発生した場合に、前記区間内車両数を修正する区間内車両数修正ステップと、前記管理装置が、前記区間内車両数に基づいて、少なくとも前記第1端及び前記第2端に設けられた信号機を制御する信号制御ステップと、前記管理装置と通信可能に設けられた所定の誘導員端末装置が、前記交互通行区間に隣接する外部領域から前記交互通行区間への車両の進入、及び/又は前記交互通行区間から前記外部領域への車両の退出を示す外部領域出入り情報を通知する通知ステップとを含み、前記区間内車両数修正ステップは、前記通知ステップにより通知された外部領域出入り情報に基づいて前記区間内車両数を修正することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、円滑で効率的な交通誘導を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本実施例に係る交通誘導システムの概念を説明するための説明図である。
図2図2は、交互通行区間の端に設置する装置の一例を説明する説明図である。
図3図3は、交通誘導システムのシステム構成を説明する説明図である。
図4図4は、停車検知装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図5図5は、通過管理装置の外観構成を示す図である。
図6図6は、通過管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図7図7は、誘導員端末装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図8図8は、管理装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図9図9は、図8に示した記憶部に格納される装置設定データの一例を示す図である。
図10図10は、検知制御モードにおける信号制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図11図11は、図10に示した通過待機処理の詳細を示すフローチャートである。
図12図12は、時間制御モードにおける信号制御部の処理手順を示すフローチャートである。
図13図13は、時間制御モードからの変更に係る処理手順を示すフローチャートである。
図14図14は、検知制御モードからの変更に係る処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る交通誘導システム及び交通誘導方法の好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例
【0022】
<実施例に係る交通誘導システムの概念>
まず、本実施例に係る交通誘導システムの概念について説明する。図1は、本実施例に係る交通誘導システムの概念を説明するための説明図である。図1では、片側1車線の2車線道からなる道路の図示した工事作業エリアで道路工事を行っており、この道路工事によって1車線が使用不能となっている。そこで、残りの1車線を用いて交互通行区間を設けている。図1においては、交互通行区間を網掛で示している。
【0023】
交互通行区間における車両の通行を制御するため、交互通行区間の一方の端には信号機25Aと通過車両検知センサ22Aとを設置し、他方の端には信号機25Bと通過車両検知センサ22Bとを設置している。また、交互通行区間の途中に接続された接続道路が存在するため、接続道路の交互通行区間近傍にも信号機25Cと通過車両検知センサ22Cとを設置している。さらに、交互通行区間に隣接して店舗が存在するため、誘導員が誘導員端末装置30を携行して店舗に係る車両の出入りへの対応を行う。
【0024】
この図1に示した交通誘導システムでは、交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定し、区間内車両数に基づいて車両の通行を制御する。具体的には、通過車両検知センサ22A及び通過車両検知センサ22Bにより交互通行区間の両端における車両の通過を検知し、交互通行区間への車両の進入が発生した場合には区間内車両数を1加算し、交互通行区間からの車両の退出が発生した場合には区間内車両数を1減算する。そして、区間内車両数が0であることを条件に信号の切り替え制御を行う。
【0025】
ここで、交互通行区間には接続道路や店舗が存在するため、交互通行区間の両端における車両の通過に依らず区間内車両数の増減が発生する場合がある。例えば、交互通行区間の端から進入した車両が、接続道路に出た場合や店舗に入った場合には、交互通行区間の端を通過することなく区間内車両数が減少する。同様に、接続道路や店舗から交互通行区間に車両が進入した場合には、交互通行区間の端を通過することなく区間内車両数が増加する。
【0026】
交互通行区間の両端における車両の通過に依らず区間内車両数の増減が発生した場合には、区間内車両数を修正し、修正後の区間内車両数が0であることを条件に信号の切り替え制御を行う。具体的には、通過車両検知センサ22Cが車両の通過を検知した場合には、検知した車両の進行方向に応じて区間内車両数の減算又は加算を行う。また、店舗に係る車両の出入りについては、誘導員が誘導員端末装置30を操作して区間内車両数の減算又は加算を行う。
【0027】
なお、工事車両が交互通行区間から工事作業エリアに出た場合や、工事車両が工事作業エリアから交互通行区間に入った場合についても、店舗の場合と同様に誘導員が誘導員端末装置30を操作して区間内車両数の減算又は加算を行う。すなわち、店舗や工事作業エリアは、交互通行区間に隣接する外部領域であり、外部領域に係る車両の出入りは誘導員端末装置30によって通知が行われるのである。
【0028】
図1(a)は、交互通行区間の途中での退出を示している。まず、交互通行区間の一端に設けられた信号機25Aが進入許可状態となると、車両V1が交互通行区間に進入する。通過車両検知センサ22Aは、車両V1の進入を検知し、区間内車両数を1加算する(S11)。その後、車両V1が交互通行区間を走行し、交互通行区間の他端から出たならば、通過車両検知センサ22Bが車両V1の退出を検知し、区間内車両数を1減算する(S12a)。この結果、区間内車両数が「0」となり、信号機25Bを進入禁止状態から進入許可状態に切り替えることができる(S13)。
【0029】
一方、交互通行区間に進入した車両V1が接続道路に出たならば、通過車両検知センサ22Cが車両V1の退出を検知し、区間内車両数を1減算する(S12b)。この結果、区間内車両数が「0」となり、信号機25Bを進入禁止状態から進入許可状態に切り替えることができる(S13)。車両V1が接続道路に出た場合には、交互通行区間の他端から出る場合に比べ、早期に区間内車両数の減算が発生し、信号機25Bの切替えをより早く行うことができるため、信号機25B側で待機している車両の待ち時間を短縮し、効率的な交通誘導を行うことができる。
【0030】
また、交互通行区間に進入した車両V1が店舗に入ることで交互通行区間から出たならば、誘導員が誘導員端末装置30を操作して、区間内車両数を1減算する(S12c)。この結果、区間内車両数が「0」となり、信号機25Bを進入禁止状態から進入許可状態に切り替えることができる(S13)。車両V1が店舗などに入ることで交互通行区間から出た場合にも、交互通行区間の他端から出る場合に比べ、早期に区間内車両数の減算が発生し、信号機25Bの切替えをより早く行うことができる。
【0031】
図1(b)は、交互通行区間の途中からの進入を示している。まず、交互通行区間の一端に設けられた信号機25Aが進入許可状態となると、車両V1が交互通行区間に進入する。通過車両検知センサ22Aは、車両V1の進入を検知し、区間内車両数を1加算する(S21)。さらに、誘導員の誘導により車両V2が店舗から交互通行区間に進入する場合には、誘導員が誘導員端末装置30を操作して、区間内車両数を1加算する(S22)。具体的な手順としては、まず、交互通行区間に進入しようとする車両V2が存在する場合に、誘導員が車両V2の走行方向と現在の走行方向の一致を確認するとともに、区間内車両数を1加算するよう誘導員端末装置30を操作する。その後、誘導員が走行車両の通過を確認する等の安全確認を行って、車両V2を交互通行区間に進入させるよう誘導することになる。
【0032】
その後、車両V1が交互通行区間を走行し、交互通行区間の他端から出たならば、通過車両検知センサ22Bが車両V1の退出を検知し、区間内車両数を1減算する(S23)。さらに、車両V2が交互通行区間を走行し、交互通行区間の他端から出たならば、通過車両検知センサ22Bが車両V2の退出を検知し、区間内車両数を1減算する(S24)。車両V1と車両V2の双方の退出を検知し、区間内車両数が「0」となれば、信号機25Bを進入禁止状態から進入許可状態に切り替えることができる(S25)。
【0033】
このように、本実施例に係る交通誘導システムは、交互通行区間の両端に設置されて車両の通過を検知する通過車両検知センサ22A及び通過車両検知センサ22Bを有し、通過車両検知センサ22A及び通過車両検知センサ22Bによる検知結果に基づいて区間内車両数を算定するとともに、交互通行区間の両端における車両の通過に依らず区間内車両数の増減が発生した場合には区間内車両数を修正し、区間内車両数に基づいて信号機を制御する。
【0034】
かかる構成及び制御により、接続道路や店舗、工事作業エリアからの車両の出入りがある場合にも適用可能であり、また、交互通行区間の長さが制限されることもない。そのため、高い汎用性を実現し、人員を削減しつつ、円滑で効率的な交通誘導を行うことができる。また、車両が交互通行区間の途中で退出した場合には、早期に信号の切替えを行うことができるため、他の車両の待ち時間を短縮し、効率的な交通誘導を行うことができる。
【0035】
<交通誘導システムの構成>
まず、交通誘導システムにおいて、交互通行区間の端に設置する装置について説明する。図2は、交互通行区間の端に設置する装置の一例を説明する説明図である。図2では、車両V3の荷台に通過管理装置20Aを搭載し、車両V3を交互通行区間の端に駐車することで、通過管理装置20Aの設置を行っている。この通過管理装置20Aは、図1に示した通過車両検知センサ22Aと信号機25Aとを含む装置である。また、通過管理装置20Aの手前には停止線を設け、停止線で停止した車両を検知可能な位置に停車検知装置10Aを設置する。さらに、ロードコーンを適宜配置することで車両が走行すべき経路を規定してもよい。
【0036】
なお、交互通行区間の他方の端についても同様に、通過車両検知センサ22Bと信号機25Bとを含む通過管理装置20Bを設置し、停止線を設け、停車検知装置10Bを設置する。さらに、接続道路についても、通過車両検知センサ22Cと信号機25Cとを含む通過管理装置20Cを設置し、停止線を設け、停車検知装置10Cを設置する。車両検知装置10Cなどは、必ずしも車両に搭載した状態で使用する必要は無く、道路事情によっては車両から降ろして設置してもよい。
【0037】
図3は、交通誘導システムのシステム構成を説明する説明図である。図3に示すように、停車検知装置10A、通過管理装置20A、停車検知装置10B、通過管理装置20B、停車検知装置10C、通過管理装置20C及び誘導員端末装置30は、管理装置40と通信可能に接続される。管理装置40と他の装置との通信には無線通信を用い、管理装置40は他の装置と無線通信が可能な範囲内であれば任意の位置に設置することができる。
<各装置の構成>
【0038】
次に、図3に示した停車検知装置10A、停車検知装置10B及び停車検知装置10Cの機能構成について説明する。停車検知装置10A、停車検知装置10B及び停車検知装置10Cは、同一の構成を有するので、停車検知装置10として説明を行う。
【0039】
図4は、停車検知装置10の機能構成を示す機能ブロック図である。図4に示すように、停車検知装置10は、無線通信部11、停車検知センサ12、スピーカ13及び制御部14を有する。
【0040】
無線通信部11は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて管理装置40との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。停車検知センサ12は、停止線近傍に光や電波を発射し、その反射波を受信することで停止線近傍に所在する物体を検知する。スピーカ13は、必要に応じて警告音やメッセージ音声を出力する音声出力デバイスである。
【0041】
制御部14は、停車検知装置10の全体制御を行う制御部であり、停車検知部14a等を有する。停車検知部14aは、停車検知センサ12の出力を用いて停止線近傍に停止した車両の検知を行い、検知結果を管理装置40に送信する処理を行う。
【0042】
次に、図3に示した通過管理装置20A、通過管理装置20B及び通過管理装置20Cについて説明する。通過管理装置20A、通過管理装置20B及び通過管理装置20Cは、同一の構成を有するので、通過管理装置20として説明を行う。
【0043】
図5は、通過管理装置20の外観構成を示す図である。同図に示すように、通過管理装置20は、通過車両検知センサ22、表示部23及びスピーカ24を有する本体部と、本体部に接続された信号機25と、本体部を支持する脚部と有し、脚部にはキャスター28とバッテリ27とを設けている。
【0044】
通過車両検知センサ22は、光や電波を発射し、その反射波を受信することで交互通行区間に出入りする車両を検知する。表示部23は、LEDパネルなどの表示デバイスで構成される。スピーカ24は、必要に応じて警告音やメッセージ音声を出力する音声出力デバイスである。表示部23及びスピーカ24は、例えば、停止線から少し離れて停止した車両に対する「少し前に進んで停止線でお待ち下さい」などのメッセージの報知などに用いられる。
【0045】
バッテリ27は、通過管理装置20の電源として用いられる。キャスター28は、通過管理装置20を傾けた状態で接地して回転するよう設けられており、通過管理装置20の移動の補助に用いられる。
【0046】
信号機25は、進入禁止状態において点灯制御される赤色灯と、進入許可状態において点灯制御される青色灯とを有する。なお、赤色灯と青色灯は、必要に応じて点滅させることも可能である。
【0047】
図6は、通過管理装置20の機能構成を示す機能ブロック図である。図6に示すように、通過管理装置20は、既に説明した通過車両検知センサ22、表示部23、スピーカ24及び信号機25に加え、無線通信部21及び制御部26を有する。無線通信部21は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて管理装置40との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。
【0048】
制御部26は、通過管理装置20の全体制御を行う制御部であり、通過検知部26a及び車両誘導部26b等を有する。通過検知部26aは、通過車両検知センサ22の出力を用いて車両の通過を検知し、検知結果を管理装置40に送信する処理を行う。車両誘導部26bは、信号機25の進入禁止状態と進入許可状態とを切り替えて点灯制御を行うことで、車両の通行を制御する。また、車両誘導部26bは、必要に応じて表示部23及びスピーカ24によるメッセージ出力を行うことで、停止位置の調整などの車両の誘導を行うことができる。
【0049】
次に、図3に示した誘導員端末装置30について説明する。図7は、誘導員端末装置30の機能構成を示す機能ブロック図である。図7に示すように、誘導員端末装置30は、無線通信部31、表示部32、操作部33、スピーカ34及び制御部35を有する。
【0050】
無線通信部31は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて管理装置40との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。表示部32は、液晶パネルなどの表示デバイスで構成され、誘導員に対する表示出力に用いられる。操作部33は、ボタン等の操作デバイスで構成され、誘導員からの操作の受付に用いられる。また、タッチパネルディスプレイなどを用い、表示部32と操作部33とを一体に構成してもよい。スピーカ34は、誘導員に対する音声出力に用いられる音声出力デバイスである。
【0051】
制御部35は、誘導員端末装置30の全体制御を行う制御部であり、通行状態報知部35a及び外部領域出入り通知部35b等を有する。なお、実際には、通行状態報知部35a及び外部領域出入り通知部35bに対応するプログラムをCPU上にロードして実行することで、通行状態報知部35a及び外部領域出入り通知部35bの機能を発揮させることになる。
【0052】
通行状態報知部35aは、車両の通行状態を誘導員に報知する処理を行う。車両の通行状態には、区間内車両数、各信号機25の状態などが含まれる。通行状態報知部35aによる報知は、表示部32及びスピーカ34を用いて行うことができる。
【0053】
外部領域出入り通知部35bは、交互通行区間に隣接する外部領域から交互通行区間への車両の進入と、交互通行区間から外部領域への車両の退出とを示す外部領域出入りデータを管理装置40に通知する通知部である。外部領域とは、例えば店舗、工事作業エリア、住居等である。外部領域と交互通行区間との間で車両の出入りが発生した場合に、誘導員が操作部33を操作して外部領域出入りデータを入力すると、外部領域出入り通知部35bは入力された外部領域出入りデータを管理装置40に送信する。外部領域出入りデータには、進入又は退出の区分と、車両の数とが含まれる。なお、区間内車両数がゼロであることを示す外部領域出入りデータを送信可能としてもよい。
【0054】
次に、図3に示した管理装置40について説明する。図8は、管理装置40の機能構成を示す機能ブロック図である。図8に示すように、管理装置40は、無線通信部41、表示部42、操作部43、スピーカ44、記憶部45及び制御部46を有する。
【0055】
無線通信部41は、周知技術である特定小電力通信、無線LAN又はLTE(Long Term Evolution)通信等を用いて、停車検知装置10、通過管理装置20及び誘導員端末装置30との間で無線通信を行うための通信インタフェース部である。表示部42は、液晶パネルなどの表示デバイスで構成され、操作者に対する表示出力に用いられる。操作部43は、ボタン等の操作デバイスで構成され、操作者からの操作の受付けに用いられる。また、タッチパネルディスプレイなどを用い、表示部42と操作部43とを一体に構成してもよい。スピーカ44は、操作者に対する音声出力に用いられる音声出力デバイスである。
【0056】
記憶部45は、ハードディスク装置又は不揮発性メモリなどからなる記憶デバイスであり、装置設定データ45a及び区間内車両数データ45b等を記憶する。装置設定データ45aは、交通誘導システムに含まれる装置の設定を管理するデータである。区間内車両数データ45bは、区間内車両数を示すデータである。
【0057】
制御部46は、管理装置40の全体制御を行う制御部であり、信号制御部46a、制御モード選択部46b、区間内車両数算定部46c及び区間内車両数修正部46d等を有する。なお、実際には、信号制御部46a、制御モード選択部46b、区間内車両数算定部46c及び区間内車両数修正部46dに対応するプログラムをCPU上にロードして実行することで、信号制御部46a、制御モード選択部46b、区間内車両数算定部46c及び区間内車両数修正部46dの機能を発揮させることになる。
【0058】
信号制御部46aは、交通誘導システムに含まれる信号機を制御する制御部である。例えば、交通誘導システムに通過管理装置20として、通過管理装置20A、通過管理装置20B及び通過管理装置20Cが含まれる場合には、それぞれの通過管理装置20が有する信号機25が制御対象となる。
【0059】
信号機25の制御においては、信号制御部46aは、複数の制御モードのいずれかを用いて信号の切り替えを行う。複数の制御モードには、検知制御モード、時間制御モード及び手動制御モードなどが含まれる。
【0060】
検知制御モードは、信号機25を進入禁止状態として待機しつつ、停止線近傍の停止車両を検知したことを条件に信号機25を進入許可状態に切り替える制御モードである。信号機25を進入許可状態としても車両の進入が発生しなかったならば、他の信号機25での待機時間を不要に伸ばす事態となる。そこで、比較的交通量が少ない場合には、検知制御モードを用いて停止車両が存在する場合にのみ進入許可状態に切り替えることで、全体としての待ち時間を減少させ、車両の通行を効率化することができる。
【0061】
時間制御モードは、時間経過を条件に進入禁止状態と進入許可状態とを切り替える制御モードである。時間制御モードでは、停止線近傍に車両が存在するか否かに関わらず信号機25を進入許可状態に切り替える。比較的交通量が多い場合には、特定の時点で車両が検知されなかったとしても進入許可状態が終了するまでには車両の進入が発生する可能性が高い。そのため、あらかじめ規定したタイミングで信号機25の状態を切り替えた方が全体としての待ち時間を減少させ、車両の通行を効率化することができるのである。
【0062】
手動制御モードは、誘導員の操作に基づいて信号機25の状態を切り替えて交通誘導を行う制御モードである。この手動制御モードは、交互通行区間の状況や交通誘導システムの状態に異常が発生した場合などに用いられる。
【0063】
交通誘導システムが有する複数の信号機25は、それぞれ個別に制御モードを設定可能であり、信号制御部46aは、複数の信号機25を順次選択し、選択した信号機25に設定された制御モードを用いて信号の切り替えを行う。
【0064】
また、1つの信号機25について信号の切り替えを行なった後は、次の信号機25を選択することになるが、このとき、信号制御部46aは、区間内車両数がゼロであることを条件として次の信号機25を選択する。この結果、信号制御部46aが、いずれかの信号機25を進入禁止状態から進入許可状態に切り替える場合には、区間内車両数がゼロとなっている。
【0065】
制御モード選択部46bは、車両の通行状態に基づいて、信号機25の制御モードを変更する処理を行う。例えば、検知制御モードに設定された信号機25について、交通量が多い場合には、時間制御モードを選択して変更することが望ましい。同様に、時間制御モードに設定された信号機25について、交通量が少ない場合には、検知制御モードを選択して変更することが望ましい。
【0066】
そこで、制御モード選択部46bは、所定の選択条件が満たされた場合には、設定されている制御モードとは異なる制御モードを選択し、制御モードの変更を行う。具体的には、検知制御モードにおいて車両が連続して進入し、信号機25の進入許可状態が上限まで継続する「上限タイムアウト」が所定回数連続した場合に、制御モード選択部46bは、時間制御モードの選択条件が満たされたと判定する。また、時間制御モードにおいて信号機25が進入許可状態である間に、車両が1台も進入しない「進入ゼロ」が所定回数連続した場合に、制御モード選択部46bは、検知制御モードの選択条件が満たされたと判定する。
【0067】
なお、制御モード選択部46bは、信号機25ごと、すなわち、交互通行区間に対する車両の進入経路ごとに制御モードの選択を行う。また、特定の進入経路について制御モードの選択に関する制限が設定されている場合には、制御モード選択部46bは、設定された制限の範囲内で制御モードの選択を行う。
【0068】
区間内車両数算定部46cは、交互通行区間の両端における車両の通過に基づいて、交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定する処理部である。具体的には、通過管理装置20A及び通過管理装置20Bから通知された車両の通過の検知結果を用い、交互通行区間への車両の進入が発生した場合には区間内車両数を1加算し、交互通行区間からの車両の退出が発生した場合には区間内車両数を1減算する。区間内車両数算定部46cは、算定した区間内車両数を区間内車両数データ45bとして記憶部45に格納する。
【0069】
区間内車両数修正部46dは、交互通行区間の両端における車両の通過に依らず区間内車両数の増減が発生した場合に、区間内車両数の修正を行う処理部である。具体的には、通過管理装置20Cから通知された車両の通過の検知結果を用い、通知された車両の進行方向に応じて区間内車両数の減算又は加算を行う。また、外部領域に係る車両の出入りを示す外部領域出入りデータを誘導員端末装置30から受信したならば、外部領域出入りデータに応じて区間内車両数の減算又は加算を行う。区間内車両数修正部46dは、修正した区間内車両数により区間内車両数データ45bを更新する。
【0070】
次に、図8に示した記憶部45に格納される装置設定データ45aの一例について説明する。図9は、図8に示した記憶部45に格納される装置設定データ45aの一例を示す図である。図9に示した装置設定データ45aは、通過管理装置20の装置IDに対し、選択可能な制御モード、選択中の制御モード、上限タイムアウト連続回数及び進入ゼロ連続回数を対応づけたデータである。
【0071】
具体的には、図9では、装置ID「20A」に対し、選択可能な制御モードとして「時間制御、検知制御及び手動制御」を対応付け、選択中の制御モードが「検知制御」であり、上限タイムアウト連続回数が「2」である状態を示している。なお、検知制御モードを選択中であるために、進入ゼロ連続回数についてはデータなしを示す符号を対応づけている。
【0072】
また、図9では、装置ID「20B」に対し、選択可能な制御モードとして「時間制御、検知制御及び手動制御」を対応付け、選択中の制御モードが「時間制御」であり、進入ゼロ連続回数が「3」である状態を示している。なお、検知制御モードを選択中であるために、上限タイムアウト連続回数についてはデータなしを示す符号を対応づけている。
【0073】
同様に、図9では、装置ID「20C」に対し、選択可能な制御モードとして「検知制御及び手動制御」を対応付け、選択中の制御モードが「検知制御」であり、上限タイムアウト連続回数が「0」である状態を示している。すなわち、装置ID「20C」の選択可能な制御モードには「時間制御」が含まれておらず、制御モードの選択に制限が設定された状態となっている。
【0074】
<交通誘導システムの動作>
図10は、検知制御モードにおける信号制御部46aの処理手順を示すフローチャートである。信号制御部46aは、信号機25の初期状態を進入禁止状態にする(ステップS101)。そして、信号機25が制御対象として選択されているか判定する(ステップS102)。判定の結果、選択されていなければ(ステップS102;No)、ステップS102に移行し、選択されるまで待機する。選択された場合は(ステップS102;Yes)、信号制御部46aは、対応する停車検知装置10からの通知に基づいて、停止線近傍の停車車両が存在するか否かを判定する(ステップS103)。判定の結果、停車車両が存在しなければ(ステップS103;No)、信号制御部46aは、他の信号機25を制御対象として選択し(ステップS114)、処理を終了する。
【0075】
一方、停車車両が存在する場合には(ステップS103;Yes)、信号制御部46aは、信号機25の状態を進入許可状態とする(ステップS104)。続いて信号制御部46aは、上限タイマ及び連続通過タイマをオンし、それぞれ初期値からカウントダウンを開始する(ステップS105)。上限タイマの初期値は、検知制御モードにおける1回の進入許可状態の最大の長さに対応する。また、連続通過タイマの初期値は、検知制御モードにおける1回の進入許可状態の最小の長さに対応する。上限タイマがゼロになる上限タイムアウトが発生した場合には、停止線近傍に車両が存在したとしても進入許可状態を終了し、進入禁止状態に切り替えることになる。連続通過タイマは、検知制御モードにおいて、車両が通過する度にリセットされるタイマであり、連続通過タイマがゼロになる連続通過タイムアウトが発生した場合、すなわち車両の通過が途絶えた場合には、上限タイマの値に関わらず進入許可状態を終了し、進入禁止状態に切り替えることになる。
【0076】
その後、通過管理装置20が車両の進入を検知したか否かを判定し(ステップS106)、車両の進入が検知されたならば(ステップS106;Yes)、区間内車両数算定部46cが区間内車両数を1加算し(ステップS107)、信号制御部46aは、連続通過タイマをリセットする(ステップS108)。
【0077】
車両の進入が検知されていない場合(ステップS106;No)、信号制御部46aは、連続通過タイマがゼロになる連続通過タイムアウトが発生したか否かを判定する(ステップS109)。
【0078】
連続通過タイムアウトが発生していない(ステップS109;No)場合、又は連続通過タイマをリセットした場合(ステップS108)、信号制御部46aは、上限タイマがゼロになる上限タイムアウトが発生したか否かを判定する(ステップS110)。上限タイムアウトが発生していなければ(ステップS110;No)、信号制御部46aは、ステップS106に移行し、車両の進入を検知したか否かを判定する。
【0079】
上限タイムアウトが発生した場合(ステップS110;Yes)、又は連続通過タイムアウトが発生した場合(ステップS109;Yes)、信号制御部46aは、上限タイマ及び連続通過タイマをオフし(ステップS111)、信号機25を進入禁止状態に切り替える(ステップS112)。そして、進入済みの車両が交互通行区間を退出するまで待機する通過待機処理(ステップS113)の後、信号制御部46aは、他の信号機25を制御対象として選択し(ステップS114)、処理を終了する。
【0080】
図11は、図10に示した通過待機処理の詳細を示すフローチャートである。通過待機処理が開始すると、区間内車両数修正部46dは、車両の進入を示す外部領域出入りデータを誘導員端末装置30から受信したか否かにより外部領域からの進入判定を行う(ステップS201)。そして、外部領域からの進入ありと判定したならば(ステップS202;Yes)、区間内車両数修正部46dは、区間内車両数を1加算する修正を行う(ステップS203)。
【0081】
ステップS203の後、または、外部領域からの進入なしと判定した場合(ステップS202;No)、区間内車両数算定部46c及び区間内車両数修正部46dは、交互通行区間からの退出判定を行う(ステップS204)。具体的には、区間内車両数算定部46cは、いずれかの通過管理装置20が交互通行区間から外部領域への車両の通過を検知した場合に、交互通行区間からの退出ありと判定する。また、区間内車両数修正部46dは、車両の退出を示す外部領域出入りデータを誘導員端末装置30から受信した場合に交互通行区間からの退出ありと判定する。
【0082】
区間内車両数算定部46c又は区間内車両数修正部46dが交互通行区間からの退出ありと判定したならば(ステップS205;Yes)、区間内車両数算定部46c又は区間内車両数修正部46dは、区間内車両数を1減算する(ステップS206)。
【0083】
ステップS206の後、又は交互通行区間からの退出なしと判定した場合(ステップS205;No)、信号制御部46aは、区間内車両数がゼロであるか否かを判定する(ステップS207)。区間内車両数がゼロでなければ(ステップS207;No)、ステップS201に移行し、外部領域からの進入を判定する。一方、区間内車両数がゼロであれば(ステップS207;Yes)、信号制御部46aは、処理を終了する。
【0084】
図12は、時間制御モードにおける信号制御部46aの処理手順を示すフローチャートである。信号制御部46aは、信号機25の初期状態を進入禁止状態にする(ステップS301)。そして、信号制御部46aは、信号機25が制御対象として選択されているか判定する(ステップS302)。判定の結果、選択されていなければ(ステップS302;No)、ステップS302に移行し、選択されるまで待機する。選択された場合は(ステップS302;Yes)、信号制御部46aは、信号機25を進入許可状態に切り替える(ステップS303)とともに、進入許可タイマをオンし、初期値からカウントダウンを開始する(ステップS304)。進入許可タイマの初期値は、時間制御モードにおける1回の進入許可状態の長さに対応する。進入許可タイマがゼロになる進入許可タイムアウトが発生した場合には、停止線近傍に車両が存在したとしても進入許可状態を終了し、進入禁止状態に切り替えることになる。
【0085】
その後、通過管理装置20が車両の進入を検知したか否かを判定し(ステップS305)、車両の進入が検知されたならば(ステップS305;Yes)、区間内車両数算定部46cが区間内車両数を1加算する(ステップS306)。
【0086】
ステップS306の後、又は車両の進入が検知されていない場合(ステップS305;No)、信号制御部46aは、進入許可タイマがゼロになる進入許可タイムアウトが発生したか否かを判定する(ステップS307)。
【0087】
進入許可タイムアウトが発生していない場合(ステップS307;No)、信号制御部46aは、ステップS305に移行し、車両の進入を検知したか否かを判定する。
【0088】
進入許可タイムアウトが発生した場合(ステップS307;Yes)、信号制御部46aは、進入許可タイマをオフし(ステップS308)、信号機25を進入禁止状態に切り替える(ステップS309)。そして、進入済みの車両が交互通行区間を退出するまで待機する通過待機処理(ステップS310)の後、信号制御部46aは、他の信号機25を制御対象として選択し(ステップS311)、処理を終了する。なお、通過待機処理は、図11に示した処理手順により行えばよい。
【0089】
次に、制御モードの変更について説明する。図13は、時間制御モードからの変更に係る処理手順を示すフローチャートである。制御モード選択部46bは、時間制御モードで動作中の信号機25について装置設定データ45aを参照し(ステップS401)、検知制御モードが選択可能であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0090】
検知制御モードが選択可能であるならば(ステップS402;Yes)、制御モード選択部46bは、進入ゼロの連続回数が所定値を超えるか否かを判定する(ステップS403)。そして、進入ゼロの連続回数が所定値を超えるならば(ステップS403;Yes)、制御モード選択部46bは、検知制御モードを選択して制御モードの変更を行う(ステップS404)。ステップS404の後、又は検知制御モードが選択可能でない場合(ステップ402;No)、又は進入ゼロの連続回数が所定値を超えない場合(ステップS403;No)、処理を終了する。
【0091】
図14は、検知制御モードからの変更に係る処理手順を示すフローチャートである。制御モード選択部46bは、検知制御モードで動作中の信号機25について装置設定データ45aを参照し(ステップS501)、時間制御モードが選択可能であるか否かを判定する(ステップS502)。
【0092】
時間制御モードが選択可能であるならば(ステップS502;Yes)、制御モード選択部46bは、上限タイムアウトの連続回数が所定値を超えるか否かを判定する(ステップS503)。そして、上限タイムアウトの連続回数が所定値を超えるならば(ステップS503;Yes)、制御モード選択部46bは、時間制御モードを選択して制御モードの変更を行う(ステップS504)。ステップS504の後、又は時間制御モードが選択可能でない場合(ステップS502;No)、又は上限タイムアウトの連続回数が所定値を超えない場合(ステップS503;No)、処理を終了する。
【0093】
上述してきたように、本実施例によれば、交互通行区間の両端に通過管理装置20を設置して車両の通過を検知し、交互通行区間の両端における車両の通過の検知結果に基づいて、交互通行区間内に所在する車両の数を区間内車両数として算定し、交互通行区間の両端における車両の通過に依らず区間内車両数の増減が発生した場合には区間内車両数を修正し、区間内車両数に基づいて信号機25を制御する。
【0094】
かかる構成及び制御により、接続道路や店舗、工事作業エリアからの車両の出入りがある場合にも適用可能であり、また、交互通行区間の長さが制限されることもない。そのため、高い汎用性を実現し、人員を削減しつつ、円滑で効率的な交通誘導を行うことができる。また、車両が交互通行区間の途中で退出した場合には、早期に信号の切替えを行うことができるため、他の車両の待ち時間を短縮し、効率的な交通誘導を行うことができる。
【0095】
また、信号機25を進入禁止状態として待機しつつ、車両の検知を条件に信号機25を進入許可状態に切り替える検知制御モードと、時間経過を条件に進入禁止状態と進入許可状態とを切り替える時間制御モードとを含む複数の制御モードを有し、車両の通行状態に基づいて制御モードの選択を行うことで、信号機25を効率的に切替え制御し、円滑な交通誘導を行うことができる。
【0096】
この制御モードの選択は、交互通行区間に対する車両の進入経路ごとに行うことが可能である。また、特定の進入経路について制御モードの制限を設定された場合には、設定された制限の範囲内で制御モードの選択を行う。
【0097】
なお、本発明は上記の実施例に限定されるものではなく、適宜構成や動作を変更して実施することができる。例えば、上記実施例では、進入ゼロの連続回数と上限タイムアウトの連続回数を通行状態として用いて制御モードの選択を行う場合の構成を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、任意の通行状態を制御モードの選択条件とすることができる。
【0098】
また、上記の実施例では、誘導員端末装置30から通知された外部領域出入りデータに基づいて区間内車両数の増減を行う場合を例に説明を行ったが、外部領域出入りデータに基づいて区間内車両数をリセット可能としてもよい。すなわち、誘導員が交互通行区間に車両が存在しないことを確認して所定の操作を行った場合に、区間内車両数のリセットを求める外部領域出入りデータを誘導員端末装置30から管理装置40に送信することで、信号機25の状態を切替可能とするのである。
【0099】
また、上記の実施例では、検知制御モードにおける制御開始時に上限タイマをオンにしている。このため、他の進入経路で車両が待機しているか否かに関わらず、上限タイムアウトで進入禁止状態となるが、変形例として、他の進入経路の停止線近傍で停止車両を検知した場合に上限タイマをオンしてもよい。かかる構成では、車両が連続して進入し、かつ他の進入経路で待機車両が存在しない限り、進入許可状態を継続することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上のように、本発明に係る交通誘導システム及び交通誘導方法は、交互通行区間における円滑で効率的な交通誘導に適している。
【符号の説明】
【0101】
10、10A、10B、10C 停車検知装置
11、21、31、41 無線通信部
12 停車検知センサ
13、24、34、44 スピーカ
14、26、35、46 制御部
14a 停車検知部
20、20A、20B、20C 通過管理装置
22 通過車両検知センサ
23、32、42 表示部
25 信号機
26a 通過検知部
26b 車両誘導部
30 誘導員端末装置
33、43 操作部
35a 通行状態報知部
35b 外部領域出入り通知部
40 管理装置
45 記憶部
45a 装置設定データ
45b 区間内車両数データ
46a 信号制御部
46b 制御モード選択部
46c 区間内車両数算定部
46d 区間内車両数修正部
V1~V3 車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14