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特許7081923アポE模倣ペプチド及び血漿コレステロールを取り除くためのより高い効果
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】アポE模倣ペプチド及び血漿コレステロールを取り除くためのより高い効果
(51)【国際特許分類】
   C07K 14/775 20060101AFI20220531BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20220531BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20220531BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220531BHJP
   C07K 14/47 20060101ALI20220531BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
C07K14/775
A61K38/16
A61K45/00
A61P3/06
A61P3/10
A61P9/00
A61P9/04
A61P19/02
A61P25/28
A61P27/02
A61P29/00 101
A61P37/02
A61P43/00 111
A61P43/00 121
C07K14/47
C07K19/00 ZNA
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017505143
(86)(22)【出願日】2015-07-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2017-09-28
(86)【国際出願番号】 US2015041162
(87)【国際公開番号】W WO2016018665
(87)【国際公開日】2016-02-04
【審査請求日】2018-07-13
【審判番号】
【審判請求日】2020-08-17
(31)【優先権主張番号】62/031,585
(32)【優先日】2014-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507379614
【氏名又は名称】ユーエイビー リサーチ ファンデーション
(73)【特許権者】
【識別番号】516344694
【氏名又は名称】リピメティックス ディヴェロップメント リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100215670
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 直毅
(72)【発明者】
【氏名】アナンタラマイアー ガタダハリ エム
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドバーグ デニス
【合議体】
【審判長】福井 悟
【審判官】伊藤 良子
【審判官】長井 啓子
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-537638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポリポタンパク質(アポE)の受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであって、
前記合成アポE模倣ペプチドは、飽和脂肪酸部分を含み、前記脂質関連ペプチドが、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含み、前記飽和脂肪酸部分が、前記ペプチドのN末端にあり、
前記合成アポE模倣ペプチドが、オクタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH 2 (配列番号625);ミリストイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH 2 (配列番号628);またはパルミトイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH 2 (配列番号629)である、前記合成アポE模倣ペプチド。
【請求項2】
請求項1記載の合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを含み、且つ薬学上許容可能な担体を含んでいてもよい、医薬組成物。
【請求項3】
LDL及び/又はVLDLの対象の細胞への結合を高めるため、
対象の細胞によるLDL及び/又はVLDLの分解を増加させるため、
対象におけるLDL及び/又はVLDLコレステロールを低下させるため、及び/又は 対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させるための、請求項1記載の合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを含み、且つ薬学上許容可能な担体を含んでいてもよい医薬組成物。
【請求項4】
請求項1記載の合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを含み、且つ薬学上許容可能な担体を含んでいてもよい、血漿コレステロールを減少させるための医薬組成物。
【請求項5】
請求項1記載の合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを含み、且つ薬学上許容可能な担体を含んでいてもよい、アテローム性動脈硬化症を治療するための医薬組成物。
【請求項6】
請求項1記載の合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを含み、且つ薬学上許容可能な担体を含んでいてもよい、脂質障害を治療するための医薬組成物。
【請求項7】
請求項1記載の合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを含み、且つ薬学上許容可能な担体を含んでいてもよい医薬組成物であって、
前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドは、少なくとも1回の治療サイクル期の間投与され、
前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドは、前記治療サイクル期の後に続く休止期の間は投与されず、且つ
前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの中止後に治療効果が持続する、前記医薬組成物。
【請求項8】
請求項1記載の合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを含み、且つ薬学上許容可能な担体を含んでいてもよい、急性冠症候群(ACS)を治療するための医薬組成物であって、
前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドは、少なくとも1回の治療サイクル期の間投与され、
前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドは、前記治療サイクル期の後に続く休止期の間は投与されず、且つ
前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの中止後に治療効果が持続する、前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる2014年7月31日に出願された米国特許仮出願番号第62/031,585号の利益を主張する。
【0002】
連邦支援の研究に関する声明
本発明は、国立衛生研究所によって授与されたRO1HL090803のもとで政府の支援を受けた。政府は本発明に特定の権利を有する。
【0003】
EFS-WEBを介してテキストファイルとして提出された配列表への参照
2015年7月20日に創られ、229,376バイトのサイズを有する「21085.0187P1_ST25.txt」と名付けられたテキストファイルとして2015年7月20日に提出された配列表は、37C.F.R.§1.52(e)(5)に従って参照によって本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0004】
米国では、男性及び女性の双方にて心臓疾患は主な死亡の原因である。疾患に対する遺伝的素養、性別、喫煙や食事のような生活習慣因子、年齢、高血圧、及び高コレステロール血症を含む高脂血症を含むいくつかの原因因子が循環器疾患の発症に関与する。これらの因子のいくつか、特に、高脂血症及び高コレステロール血症(高い血中コレステロール濃度)は、アテローム性動脈硬化症に関連する有意なリスク因子を提供する。
【0005】
アテローム性動脈硬化症は、血管における低密度リポタンパク質(LDL)分子の蓄積が原因で生じる炎症反応に関連する。それは何年間も無症候性である。アテローム性動脈硬化は、血管の硬化及び狭窄の原因となる。例えば、生活習慣の変更、投薬及び内科的治療のような、アテローム性動脈硬化症のためにいくつかの治療がある。スタチン類は、アテローム性動脈硬化症の周知の治療法である。スタチン類は、心臓のリスクを減らすことが判明しているが、スタチン療法の中止は保護効果を無効にする(Heeschenら Circulation.105:1446-1452,2002)。
【0006】
アテローム性動脈硬化症を治療することに対する現在のアプローチは、早期の介入及び生涯にわたる治療を提供することである。このアプローチは、生涯過程の早期に無症状の患者を特定することを必要とし、リスクは年齢と共に増加するために生涯にわたって治療を維持することを必要とするので問題がある。さらに、最も有効な現在利用可能な治療法は、一次の介入であれまたは二次の介入であれ、患者の全てにおいて主要な心臓事象を防ぐことはできない。従って、アテローム性動脈硬化症を減らすことにおいて迅速な利益を提供することができ、持続する投与を必要としない長期の効果を有する治療法に対するニーズがある。本明細書で開示された組成物及び方法は、治療を中止した後でさえ持続する治療効果を伴うアテローム性動脈硬化症の治療法を提供する。
【発明の概要】
【0007】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポリポタンパク質E(アポE)模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、アセチル化アミノヘキサン酸(Ac-Aha)を含む。
【0008】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、Ac-Ahaは、ペプチドのN末端であってもよい。
【0009】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、脂質関連ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含む。例えば、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインは、DWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号5)、DWLRAFYDKVAEKLREAF(配列番号618)、DWLRALYDKVAEKLREAL(配列番号619)、DLLRALYDKVAEKLREAW(配列番号620)、またはFAEKLKEAVKDYFAKLWD(配列番号616)であってもよい。
【0010】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、アポEの受容体結合ドメインは、脂質関連ペプチドに共有結合されてもよい。
【0011】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、前記アポリポタンパク質Eは、ヒト、マウス、ウサギ、サル、ラット、ウシ、ブタ及びイヌからなる群から選択される種由来である。
【0012】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、前記合成ペプチドは、C末端でアミド基を用いて保護される。
【0013】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、またはRLTRKRGLK(配列番号13)である。
【0014】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、RLTRKRGLK(配列番号13)、LRRMRRRLMR(配列番号621)、またはRLTRRRGK(配列番号622)である。
【0015】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であってもよい。
【0016】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含む。
【0017】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、アセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、アセチル化ω-アミノ脂肪酸部分は、ペプチドのN末端である。いくつかの態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、脂質関連ペプチドとアポEの受容体結合ドメインの間に挿入してもよい。
【0018】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、脂質関連ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含む。例えば、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインは、DWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号5)、DWLRAFYDKVAEKLREAF(配列番号618)、DWLRALYDKVAEKLREAL(配列番号619)、DLLRALYDKVAEKLREAW(配列番号620)、またはFAEKLKEAVKDYFAKLWD(配列番号616)である。
【0019】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、脂質関連ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含み、アポEの受容体結合ドメインは、脂質関連ペプチドに共有結合されてもよい。
【0020】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、前記アポリポタンパク質Eは、ヒト、マウス、ウサギ、サル、ラット、ウシ、ブタ及びイヌからなる群から選択される種由来であってもよい。
【0021】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、前記合成ペプチドは、C末端でアミド基を用いて保護される。
【0022】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、またはRLTRKRGLK(配列番号13)であってもよい。アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRFFR(配列番号12)、LRKLPKRLLR(配列番号8)、LRNVRKRLVR(配列番号9)、MRKLRKRVLR(配列番号10)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKLRKRFFR(配列番号12)、LRKLRKRLLR(配列番号4)、またはLRKMRKRLMR(配列番号7)であってもよいが、これらに限定されない。
【0023】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、RLTRKRGLK(配列番号13)、LRRMRRRLMR(配列番号621)、またはRLTRRRGK(配列番号22)であってもよい。
【0024】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、合成アポE模倣ペプチドは、ブタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号623);ヘキサノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号624);オクタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号625);デカノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号626);ラウロイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号627);ミリストイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号628);パルミトイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号629);ステアロイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号630);パルミトレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号631);アラキドイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号632);ベヘノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号633);オレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号634);リシノレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号635);リノレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号636);バクセノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号637);ガドレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号638);エルコイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号639);セトレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号640);ネルボノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号641);アドレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号642);α-リノレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号643);γ-リノレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号644);EPA-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号645);またはDHA-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号646)であってもよい。上述において、脂肪酸部分は、左側に示し、ペプチドLRRLRRRLLR(配列番号11)に結合する。「EPA」は、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸に由来する部分を示し;「DHA」は、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸に由来する部分を示す。
【0025】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、天然油または脂肪油、例えば、魚油に由来する脂肪酸部分を含み、合成アポE模倣ペプチドは、(魚油)-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号647)であってもよい。上述において、「(魚油)」は、魚油中の脂肪酸(EPA及びDHAなどの魚油成分を含むが、これらに限定されない)が、ペプチドLRRLRRRLLR(配列番号11)に結合することを示す。従って、合成アポE模倣ペプチドは、それらを調製するために使用した魚油に由来する脂肪酸基を含むペプチドの混合物である。
【0026】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、合成アポE模倣ペプチドは、4-アミノ-ブタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号648);6-アミノ-ヘキサノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号649);8-アミノ-オクタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号650);10-アミノ-デカノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号651);12-アミノ-ラウロイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号652);14-アミノ-ミリストイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号653);16-アミノ-パルミトイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号654);16-アミノ-パルミトレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号655);18-アミノ-ステアロイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号656);18-アミノ-オレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号657);18-アミノ-リノレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号658);または20-アミノ-アラキドイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号659)であってもよい。上述において、脂肪酸部分は、左側に示し、ペプチドLRRLRRRLLR(配列番号11)に結合する。
【0027】
開示されるのは、本明細書で開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つと薬学上許容可能な担体とを含む医薬組成物である。
【0028】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受ける。
【0029】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0030】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0031】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0032】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0033】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0034】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0035】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0036】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0037】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、約0.01mg/kg~約12mg/kgの量で投与する。
【0038】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、糖尿病、アルツハイマー病、末梢動脈疾患(PAD)、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、鬱血性心不全、及び/または全身性エリテマトーデスを有する。
【0039】
また、開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法である。
【0040】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0041】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0042】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0043】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0044】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0045】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0046】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0047】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0048】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、約0.01mg/kg~約12mg/kgの量で投与する。
【0049】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、糖尿病、アルツハイマー病、PAD、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、鬱血性心不全、及び/または全身性エリテマトーデスを有する。
【0050】
また、開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法である。
【0051】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0052】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0053】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0054】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0055】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0056】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0057】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0058】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0059】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、約0.01mg/kg~約12mg/kgの量で投与する。
【0060】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、糖尿病、アルツハイマー病、PAD、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、鬱血性心不全、及び/または全身性エリテマトーデスを有する。
【0061】
また、開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法である。
【0062】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0063】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0064】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0065】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0066】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0067】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0068】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0069】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0070】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、前記合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドを、約0.01mg/kg~約12mg/kgの量で投与する。
【0071】
開示されるのは、開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのいずれか1つまたはその組成物の有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、脂質障害は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、糖尿病、アルツハイマー病、PAD、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、鬱血性心不全、及び/または全身性エリテマトーデスである。
【0072】
また、開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期とを含む投与計画であって、治療サイクルは、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されない。場合によっては、治療サイクルは、週に1回で3ヵ月間、有効量のアポE模倣ペプチドを投与することを含む。場合によっては、治療サイクルは、2週ごとに1回の12週間まで有効量のアポE模倣ペプチドを投与することを含む。
【0073】
開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期とを含む投与計画であって、治療サイクルは、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、投与計画は、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含む。
【0074】
また、開示されるのは、急性冠症候群(ACS)の治療方法であって、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれかを対象に投与することを含み、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されない。
【0075】
開示されるのは、急性冠症候群(ACS)の治療方法であって、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれかを対象に投与することを含み、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、休止期は、少なくとも4週間である。
【0076】
開示されるのは、急性冠症候群(ACS)の治療方法であって、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれかを対象に投与することを含み、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含む。場合によっては、第2の治療サイクルは4週間の休止期の後に投与することができる。場合によっては、第2の治療サイクルを当初の治療サイクルの開始から1年で投与することができる。
【0077】
開示されるのは、急性冠症候群(ACS)の治療方法であって、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれかを対象に投与することを含み、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含み、アポE模倣ペプチド以外のACS治療剤を休止期中に投与する。
【0078】
開示されるのは、急性冠症候群(ACS)の治療方法であって、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれかを対象に投与することを含み、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含み、アポE模倣ペプチド以外のACS治療剤を休止期中に投与し、アポE模倣ペプチド以外のACS治療剤は、従来のLDL低下療法またはHDL上昇療法である。場合によっては、従来のLDL低下療法は、スタチンであってもよい。場合によっては、HDL上昇療法は、アポA1上昇剤、CETP阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、アポA1ミラノ、またはアポA1模倣体であってもよい。
【0079】
開示されるのは、急性冠症候群(ACS)の治療方法であって、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれかを対象に投与することを含み、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含み、アポE模倣ペプチド以外のACS治療剤を休止期中に投与し、アポE模倣ペプチド以外のACS治療剤は、従来のLDL低下療法またはHDL上昇療法であり、治療サイクルは、週に1回で3ヵ月間、有効量のアポE模倣ペプチドを投与することを含む。
【0080】
また、開示されるのは、開示された合成アポEペプチドのいずれか1つに特異的に結合するモノクローナル抗体である。
【0081】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであって、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-AHAを含み、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインは、スクランブルされる。
【0082】
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとからなる合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドであって、受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合され、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドの双方は、スクランブルされる。
【0083】
添付の図面は、本明細書に組み込まれ、その一部を構成し、記載と一緒に開示された方法及び組成物のいくつかの実施形態を説明し、開示された方法及び組成物の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】非常に効果的なペプチドを開発するのに用いたいくつかの戦略を記載する。
図2A-2G】図2A~2Gは、示されたアポE模倣ペプチド類似体の比較分析HPLCプロファイルを示す。クロマトグラフィーは、以下のように実施した:C-18カラム-250×4.6mm;移動相は、35分にわたって(0.1%TFA含有)水中で30~70%アセトニトリルの勾配であった。
図3】単回用量投与(n=4匹の動物/群)後のアポEヌルマウス(100μg/マウス)における示されたアポE模倣ペプチド類似体によるコレステロール低下(血漿コレステロールの低下率)を示す。ベースラインレベルは、用量投与時の相対血漿コレステロールである。時点は、単回用量投与後の示された時間での血漿コレステロールレベルを示す。単回用量は、生理食塩水ビヒクルを用いて投与した。
図4】3つの活性アポE模倣ペプチド類似体の比較分析HPLCプロファイルを示す。クロマトグラフィーは、以下のように実施した:C-18カラム-250×4.6mm;移動相は、12分にわたって(0.1%TFA含有)水中で30~70%アセトニトリルの勾配であった。
図5A-5B】図5Aおよび5Bは、用量レベルがいずれも50μg(図5A)または用量レベルがいずれも100μg(図5B)での血漿コレステロールを低下させる3つの活性アポE模倣ペプチド類似体の効果(%低下)の代表的なデータを示す。本研究は、アポEヌルマウス(n=4匹の動物/群)で実施した。時点は、単回用量投与後の示された時間での血漿コレステロールレベルを示す。単回用量は、生理食塩水ビヒクルを用いて投与した。AC-Aha-[R]hE18A-NH2が、50及び100μg/マウスの両方でアポEヌルマウスにおける血漿コレステロールを低下させるのに非常に効果的であることをデータは示している。
図6】CH3-(CH2n-CO-(アポE模倣ペプチド)分子が、アルキルカルボキシル部分を含まないため、肝クリアランスが強化されたモデルを提供するアポE模倣ペプチドよりも脂質粒子により貪欲に結合するモデルを示す。
図7】実験計画を示す表である。アポEヌルマウスには、100ug/マウスの濃度で尾静脈注射を介して生理食塩水中のペプチドAc-he18A-NH2(AEM-28)、Ac-[R]he18A-NH2(AEM-28(R))、またはAc-Aha-[R]he18A-NH2(AES-21)を投与した。投与前及び投与後1、6及び24時間に頬出血を介して血液を採取した。血清試料は、(Waco社製総コレステロールキットを用いて)総血清コレステロールについて分析することができる。
図8A-8B】図8Aおよび8Bは、総コレステロール(mg/dL)対時間(図8A)及び総コレステロール(投与後の%)対時間(図8B)をそれぞれ示すグラフである。3つの異なるペプチドを、生理食塩水中のペプチド100ugを用いて、およそ10週齢の雌のアポEヌルマウスに尾静脈注射を介して投与した。示した誤差バーは、平均の標準誤差(SEM)である。群1(全ての時点でn=4匹の動物)以外の全ての結果(n=5匹の動物)。
図9図8に示すマウス注射からの結果を示す表である。
図10】総血清コレステロール(投与後レベルの%)の結果を示す表である。
図11】実験計画を示す。アポEヌルマウスには、50μg/マウスの濃度で尾静脈注射を介して生理食塩水中のAC-hE18A-NH2(AEM-28)、AC-[R]hE18A-NH2(AEM-28(R))、またはAC-Aha-[R]he18A-NH2(AES2-21)を投与した。投与前及び投与後1、6及び24時間に頬出血を介して血液を採取した。血清試料は、(総コレステロールキット(Wako Chemicals USA、Inc.、Richmond、VA)を用いて)総血清コレステロールについて分析する。
図12A-12B】図12A及び12Bは、総コレステロール(mg/dL)対時間及び総コレステロール(投与後の%)対時間をそれぞれ示すグラフである。3つの異なるペプチドを、生理食塩水中のペプチド100ugを用いて、およそ10週齢の雌のアポEノックアウトマウスに尾静脈注射を介して投与した。動物は、生理食塩水中のペプチド50μgによる2回目の投与前に2週間回復させた。示した誤差バーは、平均の標準誤差(SEM)である。全ての結果(n=5匹の動物)。「AEM-28生理食塩水」は、ペプチドAC-hE18A-NH2を示し;「AEM-28(R)生理食塩水」は、ペプチドAC-[R]hE18A-NH2を示し;及び「AES2-21」は、ペプチドAC-Aha-[R]he18A-NH2を示す。
図13】生のコレステロール値を示す表である。
図14】投与後コレステロールの%を示す表である。
図15】ショ糖を与えたラットモデルにおける血漿トリグリセリドプロファイルの代表的なデータを示す。65%(w/v)ショ糖を含有する食事を2週間した後にトリグリセリドレベルが増加したことをデータは示している。本研究は、雄のSprague-Dawleyラットで実施した。
図16】単回用量を介して(静脈内尾静脈注射を介して)示されたペプチド(生理食塩水ビヒクル中)または対照(生理食塩水)の投与後の示された時間での、高ショ糖(65%(w/v))の食事を2週間与えたラットにおけるトリグリセリドレベルに与える開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの効果の代表的なデータを示す。「対照」は、生理食塩水を投与したラットを示し;「AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;「R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;及び「Aha-R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAha-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示す。
図17】示されたペプチドまたは対照(生理食塩水)の投与後48時間での、高ショ糖(65%(w/v))の食事を2週間与えたラットにおけるトリグリセリドレベルに与える開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの効果の代表的なデータを示す。「生理食塩水」は、生理食塩水を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;「AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;「R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;及び「Aha-R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAha-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示す。
図18】示されたペプチドまたは対照(生理食塩水)の投与後48時間での、高ショ糖(65%(w/v))の食事を2週間与えたラットにおける血漿コレステロールレベルに与える開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの効果の代表的なデータを示す。「生理食塩水」は、生理食塩水を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;「AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;「R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;及び「Aha-R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAha-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示す。
図19】示されたペプチド(生理食塩水ビヒクル中)または対照(生理食塩水)の投与後48時間での、ラットにおける血漿グルコースレベルに与える開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの効果の代表的なデータを示す。ラットには、ペプチド注入前に高ショ糖(65%(w/v))の食事を2週間与えている。「生理食塩水」は、生理食塩水を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;「AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;「R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAc-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示し;及び「Aha-R-AEM-28」は、5mg/kgのペプチドAha-[R]hE18A-NH2を(尾静脈を介して静脈内)投与したラットを示す。
図20A-20E】図20A~20Eは、脂肪酸部分を含む示され開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの代表的な分析HPLCプロファイルを示す。クロマトグラフィーは、以下のように実施した:C-18Vydacカラム-250×4.6mm;移動相は、12分にわたって35~70%の水/アセトニトリル(0.1%TFA)の勾配であった。
図21】血漿コレステロールレベルに与える、脂肪酸部分を含む開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの効果(血漿コレステロールの%低下)の代表的なデータを示す。データは、示されたペプチド(生理食塩水ビヒクル中)100μgを投与したアポEヌルマウス(雌;群=4)を用いて、ペプチドの投与後の示された時間で得た。この研究で投与したペプチドは、合成後にさらにHPLC精製せずに透析した。ベースラインレベルは、ペプチド投与時の血漿コレステロールレベルである。全てのペプチドは、静脈内尾静脈注射を介して投与した。
図22】血漿コレステロールレベルに与える、脂肪酸部分を含む開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの効果の代表的なデータを示す。示されたペプチド50μgを投与したアポEヌルマウス(雌;群=3)を用いてデータを得た。本研究は、それ以外は図21に記載したように実施した。示された時間は、静脈内尾静脈注射を介して50μgの単回用量の投与後の時間である。
図23】血漿コレステロールレベルに与える、脂肪酸部分を含む開示された合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドの効果の代表的なデータを示す。示されたペプチド100μgを投与したアポEヌルマウス(雌;群=3)を用いてデータを得た。本研究は、それ以外は図21に記載したように実施した。示された時間は、静脈内尾静脈注射を介して50μgの単回用量の投与後の時間である。
図24】血漿コレステロールレベルに与えるミリストイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(すなわち、ミリストイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号628))の効果の代表的な用量反応データを示す。示された用量レベルを投与したアポEヌルマウス(雌;群=5)を用いてデータを得た。ペプチド投与後24時間で試料を採取した。本研究は、それ以外は図21に記載したように実施した。示された用量は、静脈内尾静脈注射を介して投与した。
図25】血漿コレステロールレベルに与えるミリストイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(すなわち、ミリストイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号628))の効果の代表的な用量反応データを示す。示された用量レベルを投与したアポEヌルマウス(雌;群=5)を用いてデータを得た。ペプチドの投与後の示された時間で試料を採取した。本研究は、それ以外は図21に記載したように実施した。示された用量は、静脈内尾静脈注射を介して投与した。
図26】(5時間での)血漿コレステロールの最大減少率対用量レベル(μg)に関して再プロットした図25に記載の研究からのデータを示す。データは閉じた円として示し、データにフィッティングさせた双曲線の結果とともに示す。
図27】24時間での血漿コレステロールの減少率対用量レベル(μg)に関して再プロットした図25に記載の研究からのデータを示す。データは閉じた円として示し、データにフィッティングさせた双曲線の結果とともに示す。
図28】血漿コレステロールレベル(mg/dL)に与えるオクタノイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(すなわち、オクタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号625))の効果の代表的な用量反応データを示す。示された用量レベルを投与したアポEヌルマウス(雌;群=5)を用いてデータを得た。ペプチドの投与後の示された時間で試料を採取した。本研究は、それ以外は図21に記載したように実施した。示された用量は、静脈内尾静脈注射を介して投与した。
図29】血漿コレステロールレベル(ベースライン血漿コレステロールレベルの%)に与えるオクタノイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(すなわち、オクタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号625))の効果の代表的な用量反応データを示す。ベースラインレベルは、ペプチド投与時の血漿コレステロールレベルである。示された用量レベルを投与したアポEヌルマウス(雌;群=5)を用いてデータを得た。ペプチドの投与後の示された時間で試料を採取した。本研究は、それ以外は図21に記載したように実施した。示された用量は、静脈内尾静脈注射を介して投与した。
図30】(5時間での)血漿コレステロールの最大減少率対用量レベル(μg)に関して再プロットした図28~29に記載の研究からのデータを示す。データは閉じた円として示し、データにフィッティングさせた双曲線の結果とともに示す。
図31】24時間での血漿コレステロールの減少率対用量レベル(μg)に関して再プロットした図28~29に記載の研究からのデータを示す。データは閉じた円として示し、データにフィッティングさせた双曲線の結果とともに示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
開示された方法及び組成物は、特定の実施形態の以下の詳細な説明及びその中に含まれる実施例及び図面及びその前の及び以下の記載への参照によってさらに容易に理解され得る。
【0086】
開示された方法及び組成物は、特に特定されない限り、特定の合成法、特定の分析技術または特定の試薬に限定されず、そのようなものとして変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみの目的であり、限定するようには意図されないことも理解されるべきである。
【0087】
A.定義
本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、限定するようには意図されない。
【0088】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されるとき、単数形態「a」、「an」及び「the」は、文脈が特に明瞭に指示しない限り、複数の指示対象を含めることができる。従って、例えば、「1つの化合物」に対する参照は、化合物の混合物を含み、「1つの医薬担体」に対する参照は、2以上のそのような担体の混合物等を含む。
【0089】
単語「または」は、本明細書で使用されるとき、特定のリストの任意の1つのメンバーを意味し、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。
【0090】
範囲は、「約」1つの特定の値から及び/または「約」別の特定の値までとして本明細書では表現され得る。用語「約」は、大まかにまたは周辺の範囲にて近似的に意味するように本明細書で使用される。用語「約」が数的範囲と併せて使用される場合、言及される数値の上下に境界を拡大することによってその範囲を改変する。一般に、用語「約」は、20%の分散によって言及された値の上下に数値を改変するように本明細書で使用される。そのような範囲が表現される場合、別の実施形態は、1つの特定の値から及び/または他の特定の値まで含む。同様に、値が先行する「約」の使用によって近似値として表現される場合、特定の値は、別の実施形態を形成することが理解されるであろう。範囲のそれぞれの端点は、他の端点に関して及び他の端点とは無関係にの双方で有意であることがさらに理解されるであろう。
【0091】
本明細書で使用されるとき、用語「アミノ酸配列」は、アミノ酸残基を表す略記、文字、符号または単語のリストを指す。本明細書で使用されるアミノ酸の略記は、アミノ酸についての従来の1文字コードであり、以下のように表現される:A、アラニン;C、システイン;D、アスパラギン酸;E、グルタミン酸;F、フェニルアラニン;G、グリシン;H、ヒスチジン;I、イソロイシン;K、リジン;L、ロイシン;M、メチオニン;N、アスパラギン;P、プロリン;Q、グルタミン;R、アルギニン;S、セリン;T、トレオニン;V、バリン;W、トリプトファン;及びY、チロシン。
【0092】
化学種の残基は、本明細書及び結びの請求項で用いる場合、特定の反応スキームにおける化学種の生成物、またはこれから得られる製剤もしくは化学製品である成分を指し、このことは、該部分が実際に該化学種から得られるかどうかに関係ない。従って、ポリエステル中のエチレングリコール残基は、エチレングリコールを用いてポリエステルを調製したかどうかに関係なく、該ポリエチレン中の1以上の-OCH2CH2O-ユニットを指す。同様に、ポリエステル中のセバシン酸残基は、この残基が、ポリエステルを得るためにセバシン酸またはそのエステルを反応させることで得られるかどうかに関係なく、該ポリエチレン中の1以上の-CO(CH28CO-部分を指す。
【0093】
「ペプチド」は、本明細書で使用されるとき、任意のペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、遺伝子産物、発現産物またはタンパク質を指す。ペプチドは、連続するアミノ酸で構成される。用語「ペプチド」は、天然に存在する分子または合成の分子を包含する。
【0094】
本明細書で使用されるとき、用語「アポE模倣体」は、アポリポタンパク質Eを模倣するペプチドと相互交換可能である。アポE模倣体は、アポEに関連する、それの特徴である、またはそれを模倣するペプチドである。アポE模倣体には、アポEペプチド(すなわち、完全長アポEに由来するペプチド)が含まれる。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「逆方向付けされる」、「逆方向付け」、「逆類似体」または「逆配列」は、逆に方向付けされないペプチドに比べて逆のアミノ酸配列を有する(すなわち、元々の配列が右から左に読まれる(または書かれる))ペプチドまたはペプチドの一部を指す。例えば、1つのペプチドがアミノ酸配列ABCDEを有するとすると、逆配列を有する逆類似体または逆ペプチドは、以下:EDCBAである。二重ドメインペプチド、例えば、Ac-hE-18A-NH2では、hE配列が右から左に読まれる、または18A配列が右から左に読まれる。LRKLRKRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号1)の逆類似体は、RLLRKRLKRL-DWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号2)またはLRKLRKRLLR-FAEKLKEAVKDYFAKLWD(配列番号3)であってもよい。
【0096】
本明細書で使用されるとき、「二重ドメインペプチド」、「二重ドメイン合成ペプチド」または「二重ドメインアポE模倣ペプチド」は、脂質関連ペプチド/ドメイン及び受容体結合のペプチド/ドメインを含むペプチドを意味することとする。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「単一ドメインペプチド」、「単一ドメインの合成ペプチド」または「単一ドメインアポE模倣ペプチド」は、脂質関連ペプチド/ドメインまたは受容体結合のペプチド/ドメインを含むが、双方を含まないペプチドを意味することとする。
【0098】
本明細書で使用されるとき、「ドメイン交換された」、「交換されたドメイン」または「交換された」ペプチドは、脂質関連ペプチドが合成のアポリポタンパク質E模倣ペプチドのN末端にあるように脂質関連ペプチドをアポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインに共有結合させることを意味することとする。例えば、ペプチド18A-hEは、ドメイン交換されたペプチドの例示である。
【0099】
本明細書で使用されるとき、「スクランブルされた」、「スクランブルされた型」または「スクランブルされたペプチド」は、アミノ酸配列の組成物はスクランブルされないペプチドと同じであるが、アミノ酸の配列が変えられるので、ペプチドがα-両親媒性の螺旋を形成できなくなるまたは脂質関連(またはHSPG関連)の特性を持たないことを意味することとする。しかしながら、場合によっては、本発明で記載されるように、スクランブルされたペプチドは、例えば、π螺旋のような種々の螺旋構造を形成できるままである。例えば、ペプチドの1つがアミノ酸配列ABCDEを有するならば、ペプチドのスクランブルされた型は、アミノ酸配列DEABCを有し得る。スクランブルされたペプチドは、スクランブルされるペプチドの部分より前に「Sc」を有するとして示されることが多い。例えば、Sc-hE-18Aは、ペプチドのhE部分がスクランブルされることを意味する。
【0100】
本明細書で使用されるとき、「試料」は、動物;動物に由来する組織または臓器;細胞(対象の中の、対象から直接採取された、または培養で維持された若しくは培養された細胞株に由来する細胞);細胞溶解物(または溶解分画);または細胞抽出物;または細胞若しくは細胞性物質(例えば、ポリペプチドまたは核酸)に由来する1以上の分子を含有する溶液を意味することとし、それらは本明細書で記載されるようにアッセイされる。試料は、細胞または細胞成分を含有する任意の体液または排泄物(例えば、血液、尿、糞便、唾液、涙液、胆汁、しかし、これらに限定されない)でもあり得る。
【0101】
本明細書で使用されるとき、「対象」は、投与の標的、例えば、動物を指す。従って、開示された方法の対象は、脊椎動物、例えば、哺乳類であってもよい。例えば、対象はヒトであってもよい。その用語は、特定の年齢または性別を意味しない。対象は、「個体」または「患者」と相互交換可能に使用することができる。
【0102】
本明細書で使用されるとき、「調節する」は、上昇させることまたは低下させることによって変化させることを意味することとする。
【0103】
本明細書で使用されるとき、「脂質結合ドメインE」及び「脂質関連ペプチド」は、相互交換可能に使用される。本明細書で使用されるとき、双方の用語は、アポリポタンパク質Eの脂質結合ドメインを意味してもよい。
【0104】
本明細書で使用されるとき、「単離されたポリペプチド」または「精製されたポリペプチド」は、そのポリペプチドが天然で普通会合している物質を実質的に含まないポリペプチド(またはその断片)を意味することとする。本発明のポリペプチドまたはその断片は、例えば、天然の供給源(例えば、哺乳類細胞)からの抽出によって、ポリペプチドをコードする組換え核酸の発現(例えば、細胞にてまたは無細胞翻訳系にて)によって、またはポリペプチドを化学的に合成することによって得ることができる。加えて、ポリペプチド断片は、これらの方法のいずれかによって、または完全長のタンパク質及び/またはポリペプチドを切断することによって得ることができる。
【0105】
本明細書で使用されるとき、「18A」は、ペプチドまたはペプチド配列の文脈で使用する場合、ペプチドDWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号5)を指す。ペプチド配列は、単離されたペプチドとして、またはより大きなペプチド配列内の配列として存在することができる。
【0106】
本明細書で使用されるとき、「hE」は、ペプチドまたはペプチド配列の文脈で使用する場合、ペプチドLRKLRKRLLR(配列番号4)を指す。ペプチド配列は、単離されたペプチドとして、またはより大きなペプチド配列内の配列として存在することができる。
【0107】
本明細書で使用されるとき、「[R]hE」は、ペプチドまたはペプチド配列の文脈で使用する場合、ペプチドLRRLRRRLLR(配列番号11)を指す。ペプチド配列は、単離されたペプチドとして、またはより大きなペプチド配列内の配列として存在することができる。
【0108】
本明細書で使用されるとき、用語、「脂肪族」は、飽和及び不飽和の両方の直鎖(すなわち、非分枝)または分枝の脂肪族炭化水素を含み、これらは、必要に応じて、1以上の官能基で置換されている。当業者に理解されるように、「脂肪族」とは、本明細書中にて、アルキル、アルケニル、アルキニル部分を含むものとするが、これらに限定されない。従って、本明細書で使用されるとき、用語「アルキル」は、直鎖及び分枝のアルキル基を含む。「アルケニル」、「アルキニル」などのような他の一般用語には、類似の規定が適用される。特定の実施形態において、本明細書で使用されるとき、「低級アルキル」とは、約1~6個の炭素原子を有するアルキル基(置換、非置換、分枝または非分枝)を示すように使用される。「置換アルキル」は、1以上の官能基で置換されているアルキル基を指す。置換基には、以下に述べる置換基のいずれか、すなわち、安定化合物の形成をもたらす以下に列挙する置換基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
本明細書で使用されるとき、「アルケニル」は、用語「アルケニル」とは、単一の水素原子を除去することによって少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する炭化水素部分から誘導される一価の基を示す。
【0110】
本明細書で定義されるとき、「n」が整数である「Cn」は、炭化水素分子または断片(例えば、アルキル基)を記載し、「n」は、断片または分子中の炭素原子数を示す。
【0111】
本明細書で使用されるとき、「脂肪酸部分」は、脂肪(カルボキシル)酸のアシル成分を含む任意の分子種及び/または分子断片を指す。すなわち、脂肪酸部分は、脂肪酸から誘導可能なアシル部分(すなわち、一般的には、RC(=O)-の形態である)を包含する基であり、Rは、対応する脂肪酸の脂肪族鎖を表す。
【0112】
本明細書で使用されるとき、用語「脂肪酸」は、脂肪族鎖(「尾部」)を有するモノカルボン酸を包含することを意味し、前記脂肪族鎖は、飽和、モノ不飽和(脂肪族鎖上のどこかに1つの不飽和結合を有する)またはポリ不飽和(脂肪族鎖上のどこかに少なくとも2つの不飽和結合を有する)のいずれかであってもよい。脂肪族鎖上の不飽和結合は、二重(シス及び/またはトランス配置で)または三重結合であってもよい。脂肪酸の脂肪族鎖(飽和、モノ不飽和またはポリ不飽和のいずれか)の長さは、8~32個の炭素原子で変化してもよい。脂肪酸は、天然源(動物源または植物源のいずれか)、合成源または半合成源に由来してもよい。
【0113】
本明細書で使用されるとき、用語「脂肪酸」は、炭化水素鎖において任意の二重結合または三重結合を含有しない飽和脂肪酸を含む。飽和脂肪酸には、プロピオン酸(C3)(例として、C3は、プロピオン酸が3つの炭素原子をその炭化水素鎖中に有することを示す;他の例の脂肪酸の炭化水素鎖における炭素原子の数は、本明細書中に類似な方法で示す)、酪酸(C4)、吉草酸(C5)、カプロン酸(C6)、エナント酸(C7)、カプリル酸(C8)、ペラルゴン酸(C9)、カプリン酸(C10)、ウンデシル酸(C11)、ラウリン酸(C12)、トリデシル酸(C13)、ミリスチン酸(C14)、ペンタデシル酸(C15)、パルミチン酸(C16)、マルガリン酸(C17)、ステアリン酸(C18)、イソステアリン酸(C18)、ノナデシル酸(C19)、アラキジン酸(C20)、ヘンイコシル酸(C21)、ベヘン酸(C22)、トリコシル酸(C23)、リグノセリン酸(C24)、ペンタコシル酸(C25)、セロチン酸(C26)、ヘプタコシル酸(C27)、モンタン酸(C28)、ノナコシル酸(C29)、メリシン酸(C30)、ヘナトリアコンチル酸(C31)、ラッセロ酸(C32)、プシルル酸(C33)、ゲダ酸(C34)、セロプラスチン酸(C35)及びヘキサトリアコンチル酸(C36)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
本明細書で使用されるとき、用語「脂肪酸」は、炭化水素鎖において1つの二重結合または三重結合を含有するモノ不飽和脂肪酸、及び炭化水素鎖において1つより多くの二重結合及び/または三重結合を含有するポリ不飽和脂肪酸も含む。そのような酸には、オメガ3、オメガ6、オメガ9脂肪酸、他の脂肪酸、例えば、ミリストレイン酸及びパルミトレイン酸及び共役脂肪酸などが挙げられるが、これらに限定されない。モノ不飽和及びポリ不飽和脂肪酸の例には、(a)オメガ3脂肪酸、例えば、ヘキサデカトリエン酸(C16:3);(例として、C16:3は、ヘキサデカトリエン酸がその炭化水素鎖における16個の炭素原子及び3つの二重結合を有することを示す;他の例の不飽和脂肪酸の炭化水素鎖における炭素原子及び二重結合の数は、本明細書中に類似な方法で示す)、アルファリノレン酸(C18:3)及びエイコサペンタン酸(20:5)、(b)オメガ6脂肪酸、例えば、リノール酸(18:2)、ドコサジエン酸(C22:2)、アラキドン酸(C20:4)及びテトラコサテトラエン酸(C24:5)、(c)オメガ9脂肪酸、例えば、オレイン酸(C18:1)、エイコセン酸(C20:1)及びネブロン酸(C24:1)、並びに(d)共役脂肪酸、例えば、ルメン酸(C18:2)、エレオスタト酸(C18:3)及びルメレン酸(C18:3)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0115】
本明細書で使用されるとき、用語「脂肪酸」は、分岐鎖脂肪酸も含む。分岐鎖脂肪酸の例には、モノメチル分岐鎖脂肪酸、例えば、14-メチルペンタデカン酸、6-メチルカプリル酸、4-メチル-3-ペンテン酸、(ピロテレブ酸)、2-メチル-2E-ブテン酸(チグリン酸)、2-メチル-2Z-ブテン酸(アンゲリカ酸)、マルチメチル分岐鎖酸、イソプレノイド脂肪酸(ビッタタラクトン、全トランス型レチノイン酸)、分岐鎖メトキシ脂肪酸及びヒドロキシ、並びに他の脂肪酸、例えば、2-ヒドロキシオクタン酸及び4-オキソペンタン酸(レブリン酸)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
用語「脂肪酸」は、脂肪酸ではない成分を含み得る天然油または脂肪などの脂肪酸を含む混合物も含む。脂肪酸の混合物を含むと理解される天然油または脂肪には、動物脂肪、大豆油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、ヒマワリ油、魚油、藻類油等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0117】
用語「ω-アミノ脂肪酸」は、その炭化水素鎖の遠位炭素でアミノ基を特徴とする脂肪酸を指す。本発明の文脈で使用されるω-アミノ脂肪酸部分は、飽和または不飽和の炭化水素鎖であってもよい。これらの部分は、炭化水素鎖の一端でカルボキシル基を有し、炭化水素鎖の他端でアミン基を有する。そのようなω-アミノ脂肪酸部分においてカルボキシル基及びアミン基と結合している炭化水素鎖は、通常、3~32個の炭素原子を有する。
【0118】
ω-アミノ脂肪酸の例には、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、8-アミノカプリル酸、10-アミノカプリン酸(10-アミノデカン酸)、12-アミノラウリン酸(12-アミノドデカン酸)、14-アミノミリスチン酸(14-アミノテトラデカン酸)、14-アミノミリストレイン酸、16-アミノパルミチン酸(16-アミノヘキサデカン酸)、18-アミノステアリン酸、18-アミノオレイン酸、16-アミノパルミトレイン酸、18-アミノリノール酸、18-アミノリノレン酸及び20-アミノアラキドン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
「投与計画」は、本明細書で使用されるとき、少なくとも1回の休止期が後に続く少なくとも1回の治療サイクルを指す。投与計画は、1を超える治療サイクルと1を超える休止期を含んでもよい。例えば、投与計画は、3ヵ月の治療サイクルとその後の1年の休止期であってもよい。別の例は、6ヵ月の治療サイクルとその後の6ヵ月の休止期、次いで3ヵ月の治療サイクルとその後の1年の休止期であってもよい。
【0120】
「用量」または「投与量」は、本明細書で使用されるとき、特定の時間に服用される、例えば、アポE模倣体のような治療剤の特定の量を指す。
【0121】
本明細書で使用されるとき、「治療する」は、疾患または状態の影響の悪化を防ぐ若しくは遅らせる、または疾患の影響を部分的にまたは完全に反転するために、アテローム性動脈硬化症を有する、例えば、ヒトまたは他の哺乳類(例えば、動物モデル)のような対象に開示された組成物の1つを投与することを意味することとする。
【0122】
本明細書で使用されるとき、「防ぐ」は、アテローム性動脈硬化症を発症することに対して高い感受性を有する対象がアテローム性動脈硬化症を発症する機会を出来るだけ減らすことを意味することとする。
【0123】
本明細書で使用されるとき、用語「治療サイクル」は、確立された期間のアポE模倣体の投与を指す。治療サイクルには、広い範囲のアポE模倣体の投与量及び種々の長さの時間のアポE模倣体の投与が含まれる。例えば、治療サイクルは、アポE模倣体が週に2回、3ヵ月間投与される3ヵ月間であってもよい。
【0124】
本明細書で使用されるとき、「有効量」は、所望の効果を提供するための組成物またはアポE模倣体の十分な量を意味することとする。例えば、アポE模倣体の有効量は、治療効果を提供し、且つ治療の中止後、持続する治療効果を提供する量であってもよい。アポE模倣体の有効量は、アテローム性動脈硬化の減少、動脈壁硬化の減少、収縮期高血圧の低下、動脈炎症の減少、HDL分画の抗酸化能の上昇及び/または心筋機能の改善によって説明される利益を生じることができる量であると共に、アポE模倣体の中止の後、持続する治療効果を可能にする量である。必要とされる正確な量は、対象の種、年齢及び全身状態、治療される疾患の(または根底にある遺伝的欠陥)の重症度、使用される特定の化合物、投与の方式等に応じて対象から対象で異なるであろう。従って、正確な「有効量」を特定するのは可能ではない。しかしながら、適切な「有効量」は、ごく普通の実験のみを用いて当業者によって決定され得る。
【0125】
本明細書で使用されるとき、「持続する治療効果」は、治療が中止された後に持続する治療効果である。例えば、持続する治療効果は、急性のコレステロール低下効果がなくなった後でさえ維持される。
【0126】
「休止期」は、本明細書で使用されるとき、アポE模倣体が投与されない時期を指す。
【0127】
「アテローム性動脈硬化症の負荷」は、本明細書で使用されるとき、患者の動脈におけるアテローム性動脈硬化の量である。これには、冠状動脈、頸動脈、末梢動脈及び他の動脈が含まれ得る。粉瘤は、線維性被膜、石灰化の領域、コレステロール結晶及びコレステロールを運ぶマクロファージ(泡沫細胞)を含有する平滑筋とコラーゲンを伴った複雑な病変、及び/または石灰化の少ない、薄い線維性被膜で泡沫細胞とコレステロールが多いあまり複雑ではないさらに不安定な病変(不安定病変)であり得る。不安定病変は、動脈の内腔に侵入し、または動脈の内腔から拡張し得る。
【0128】
字句「脂質障害」は、対象が血液中に過剰の脂質または増加した炎症性脂質を有する場合を意味することとする。脂質には、ox-LDL(すなわち、酸化PAPC(1-パルミトイル-2-アラキドニルホスファチジルコリン))などの脂質が挙げられるが、これらに限定されない。LDLの脂質成分であるPAPCまたはPLPCの酸化により、酸化脂質が生成される。脂質障害を有することは、アテローム性動脈硬化症及び心臓疾患などの炎症性疾患をより発症しやすくなる可能性がある。脂質障害は、遺伝的素因または食事によって引き起こされ得る。
【0129】
本明細書で使用されるとき、「リポタンパク質(単数)」または「リポタンパク質(複数)」は、タンパク質と脂質を含有する生化学的集合体を意味することとする。脂質またはそれらの誘導体は、タンパク質に共有結合し得るまたは非共有結合し得る。多数の酵素、トランスポーター、構造タンパク質、抗原、付着因子及び毒素は、リポタンパク質である。例としては、血液の高密度及び低密度のリポタンパク質、ミトコンドリア及び葉緑体の膜貫通タンパク質、及び細菌のリポタンパク質が挙げられる。
【0130】
本明細書で使用されるとき、「高密度リポタンパク質」(HDL)は、コレステロールを輸送することができるそのサイズが幾分変化する(直径8~11nm)リポタンパク質のクラスを意味することとする。HDLコレステロールは、HDLに会合するコレステロールである。血中コレステロールの約1/4~1/3は、高密度リポタンパク質(HDL)によって運ばれる。HDLコレステロールは、高レベルのHDLが心臓発作に対して保護すると思われるので「善玉」コレステロールとして知られる。低レベルのHDL(男性で40mg/dL未満及び女性で50mg/dL未満)も心臓疾患のリスクを高める。医療専門家は、HDLは身体から受け渡されるとコレステロールを動脈から肝臓に戻す傾向があると考えている。一部の専門家は、HDLが動脈プラークから過剰なコレステロールを取り除くのでその集積を遅らせると考えている。
【0131】
本明細書で使用されるとき、「超低密度リポタンパク質」(VLDL)は、リポタンパク質のサブクラスを意味することとする。それは肝臓にてコレステロールとアポリポタンパク質から組み立てられる。それは血流で低密度リポタンパク質(LDL)に変換される。VLDL粒子は、30~80nmの直径を有する。VLDLは、カイロミクロンが外因性(食事性)の産物を輸送する場合、内在性の産物を輸送する。
【0132】
本明細書で使用されるとき、「低密度リポタンパク質」または「LDL」は、サイズが変化し(約22nm)、それらが実際に質量分布とサイズ分布を有する変化する数のトリグリセリドとコレステリルエステルを含有することができるリポタンパク質を意味することとする。各ネイティブなLDL粒子は、単一のアポリポタンパク質B-100分子(アポB-100、4536アミノ酸アミノ酸残基を有するタンパク質)と、トリグリセリド及びコレステリルエステルを取り囲むリン脂質被膜とを含有し、水性環境でそれらを可溶性に保持する。LDLは、一般に悪玉コレステロールと呼ばれる。LDLコレステロールは、LDLに会合するコレステロールである。多すぎるLDLコレステロールが血中を循環すると、心臓や脳を養う動脈の内壁にそれはゆっくり集積することができる。ほかの物質と一緒に、それは、動脈を狭くし、柔軟性をなくす厚くて硬い沈着物であるプラークを形成することができる。この状態がアテローム性動脈硬化として知られる。血栓が生じ、狭い動脈を遮断すると、その時、心臓発作または卒中が生じ得る。
【0133】
コレステロールは、血液に溶解することはできない。それは、リポタンパク質と呼ばれる担体によって細胞まで及び細胞から輸送されなければならない。LDL及びHDLは、トリグリセリドが豊富なリポタンパク質(VLDL)及びLp(a)コレステロールと共に総コレステロール量を構成し、それは血液検査によって測定することができる。
【0134】
語句「核酸」は、本明細書で使用されるとき、Watson/Crickの塩基対合によって相補性の核酸とハイブリッド形成することが可能であるDNAまたはRNAまたはDNA/RNAハイブリッド、一本鎖または二本鎖、センスまたはアンチセンスにかかわらず、天然に存在するまたは合成のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを指す。本発明の核酸には、ヌクレオチド類似体(例えば、BrdU)、及び非ホスホジエステルヌクレオチド間結合(例えば、ペプチド核酸(PNA)またはチオジエステル結合)も含むことができる。特に、核酸には、限定しないで、DNA、RNA、cDNA、gDNA、ssDNA、dsDNAまたはその任意の組み合わせを挙げることができる。
【0135】
特に定義されない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語は全て、開示された方法及び組成物が属する技術の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で記載されるものに類似するまたはそれと同等である方法及び材料を本方法及び組成物の実践または試験にて使用することができるけれども、特に有用な方法、装置及び材料は記載されるようなものである。本明細書で引用される出版物及びそのためにそれらが引用される材料は、参照によって本明細書に具体的に組み入れられる。以前の発明のために本発明がそのような開示に先行するように権利が与えられないという承認として解釈されるものは何もない。参照が従来技術を構成するという承認は為されない。参照の議論は、著者らが主張するものを述べ、出願者らは引用された文書の正確さ及び適切性に挑戦する権利を保有する。多数の出版物が本明細書で参照されるが、そのような参照はこれらの文書のいずれかが当該技術における共通する一般常識の一部を形成するという承認を構成しないことが明瞭に理解されるであろう。
【0136】
B.アポE模倣ペプチド
開示されるのは、アポリポタンパク質E模倣ペプチドまたはアポE模倣体である。アポE模倣ペプチドの非限定例が、本明細書で提供される。アポE模倣体は単一ドメインまたは二重ドメインのペプチドであってもよい。アポE模倣体を含有する組成物も開示される。
【0137】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、アセチル化アミノヘキサン酸(Ac-Aha)を含む。
【0138】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、Ac-Ahaは、ペプチドのN末端である。いくつかの態様において、Ahaは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含む脂質関連ペプチドの間に挿入してもよい。
【0139】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、脂質関連ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含む。例えば、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインは、DWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号5)、DWLRAFYDKVAEKLREAF(配列番号618)、DWLRALYDKVAEKLREAL(配列番号619)、DLLRALYDKVAEKLREAW(配列番号620)、またはFAEKLKEAVKDYFAKLWD(配列番号616)である。
【0140】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、脂質関連ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含み、アポEの受容体結合ドメインは、脂質関連ペプチドに共有結合されてもよい。
【0141】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、前記アポリポタンパク質Eは、ヒト、マウス、ウサギ、サル、ラット、ウシ、ブタ及びイヌからなる群から選択される種由来であってもよい。
【0142】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、前記合成ペプチドは、C末端でアミド基を用いて保護される。
【0143】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、またはRLTRKRGLK(配列番号13)であってもよい。アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRFFR(配列番号4)、LRKLPKRLLR(配列番号8)、LRNVRKRLVR(配列番号9)、MRKLRKRVLR(配列番号10)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKLRKRFFR(配列番号12)、LRKLRKRLLR(配列番号4)、またはLRKMRKRLMR(配列番号7)であってもよいが、これらに限定されない。
【0144】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、RLTRKRGLK(配列番号13)、LRRMRRRLMR(配列番号621)、またはRLTRRRGK(配列番号622)であってもよい。
【0145】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であってもよい。Ac-Aha-hE18A-NH2のアポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-LRKLRKRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号1)である。Ac-Aha-[R]hE18A-NH2のアポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号662)である。
【0146】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含む。
【0147】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、アセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、アセチル化ω-アミノ脂肪酸部分は、ペプチドのN末端である。いくつかの態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインの脂質関連ペプチドの間に挿入してもよい。
【0148】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、脂質関連ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含む。例えば、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインは、DWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号5)、DWLRAFYDKVAEKLREAF(配列番号618)、DWLRALYDKVAEKLREAL(配列番号619)、DLLRALYDKVAEKLREAW(配列番号620)、またはFAEKLKEAVKDYFAKLWD(配列番号616)である。
【0149】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、脂質関連ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋ドメインを含み、アポEの受容体結合ドメインは、脂質関連ペプチドに共有結合されてもよい。
【0150】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、前記アポリポタンパク質Eは、ヒト、マウス、ウサギ、サル、ラット、ウシ、ブタ及びイヌからなる群から選択される種由来であってもよい。
【0151】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、前記合成ペプチドは、C末端でアミド基を用いて保護される。
【0152】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、またはRLTRKRGLK(配列番号13)であってもよい。アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRFFR(配列番号4)、LRKLPKRLLR(配列番号8)、LRNVRKRLVR(配列番号9)、MRKLRKRVLR(配列番号10)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKLRKRFFR(配列番号12)、LRKLRKRLLR(配列番号4)、またはLRKMRKRLMR(配列番号7)であってもよいが、これらに限定されない。
【0153】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、アポEの受容体結合ドメインは、LRKLRKRLLR(配列番号4)、LRRLRRRLLR(配列番号11)、LRKMRKRLMR(配列番号7)、RLTRKRGLK(配列番号13)、LRRMRRRLMR(配列番号621)、またはRLTRRRGK(配列番号622)であってもよい。
【0154】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含み、合成アポE模倣ペプチドは、ブタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号623);ヘキサノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号624);オクタノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号625);デカノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号626);ラウロイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号627);ミリストイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号628);パルミトイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号629);ステアロイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号630);パルミトレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号631);アラキドイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号632);ベヘノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号633);オレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号634);リシノレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号635);リノレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号636);バクセノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号637);ガドレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号638);エルコイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号6239);セトレオイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号640);ネルボノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号641);アドレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号642);α-リノレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号643);γ-リノレノイル-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号644);EPA-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号645);またはDHA-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号646)であってもよい。上述において、脂肪酸部分は、左側に示し、ペプチドLRRLRRRLLR(配列番号11)に結合する。「EPA」は、5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸に由来する部分を示し;「DHA」は、4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸に由来する部分を示す。
【0155】
開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、天然油または脂肪油、例えば、魚油に由来する脂肪酸部分を含み、合成アポE模倣ペプチドは、(魚油)-LRRLRRRLLR-DWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号663)であってもよい。上述において、「(魚油)」は、魚油中の脂肪酸(EPA及びDHAなどの魚油成分を含むが、これらに限定されない)が、ペプチドLRRLRRRLLR(配列番号11)に結合することを示す。従って、合成アポE模倣ペプチドは、それらを調製するために使用した魚油に由来する脂肪酸基を含むペプチドの混合物である。
【0156】
場合によっては、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸を含む開示されたペプチドのいずれかであってもよい。
【0157】
場合によっては、合成アポE模倣ペプチドは、アセチル化脂肪酸を含む開示されたペプチドのいずれかであってもよい。
【0158】
また、開示されるのは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであり、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含み、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインは、スクランブルされる。アポEのスクランブルされた受容体結合ドメインの例が、以下に提供される。
【0159】
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとからなる合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドであり、受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合される、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドの双方は、スクランブルされる。アポEのスクランブルされた受容体結合ドメイン及びスクランブルされた脂質関連ペプチドの例が、以下に提供される。
【0160】
アポリポタンパク質E模倣ペプチドは、肝臓における受容体に代替リガンドを提供して、リポタンパク質(LDL、VDLD及びβ-VLDL)を含有するアテローム形成性のアポリポタンパク質Bを一掃することによる直接的なコレステロール低下効果、及び動脈壁に対する直接的な有益な効果の双方を有する。冠状アテローム性動脈硬化を画像化する新しいさらに効果的な方法は、動脈壁に対する利益の直接的な測定を可能にする(Van Velzenら.Hellenic J Cardiol、50:245-263,2009)。アポE模倣ペプチドは、動脈壁からのコレステロールの除去を高め、HDLと併せて機能し、マクロファージからコレステロールを受け入れる脂質が乏しいプレβ-HDLの形成を高める。アポE模倣ペプチドは、動脈壁における死細胞及び死んでいく細胞のマクロファージが介在するクリアランスを刺激し(貪食除去)、PON-1レベルを上昇させ、血漿脂質ヒドロペルオキシドのレベルを下げることによってHDLの質を改善し、アテローム性動脈硬化病変におけるマクロファージ含有量を減らしてさらに安定な病変を生じ、動脈壁における炎症を低下させることができる。その結果、アポE模倣ペプチドは、アテローム性動脈硬化病変のサイズをapoA-I模倣ペプチドよりもさらに迅速に且つスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)よりもさらに迅速に減らす。コレステロールのレベルが生理食塩水処理の動物と同じである場合でさえ、アポE模倣ペプチドで処理した動物にてアテローム性動脈硬化病変の退行が持続する。従って、効果は、コレステロールの低下によって単純には説明することができない。
【0161】
1.アポリポタンパク質E
アポリポタンパク質E(アポE)は、例えば、超低密度リポタンパク質(VLDL)及びカイロミクロンなどのトリグリセリドが豊富なリポタンパク質の代謝において重要な役割を担う。アポリポタンパク質Eは、低密度リポタンパク質(LDL)受容体(アポB、E受容体)及び、LDL受容体関連タンパク質(LRP)、超低密度リポタンパク質受容体(VLDLR)及びアポE2受容体(アポE2R)を含む遺伝子ファミリーのメンバーへのアポE含有リポタンパク質の高親和性結合に介在する(Mahley,R.W.,(1988)Science 240,622-630)。アテローム性動脈硬化におけるアポEの推定上の複雑な役割は、いくつかの所見:(i)ヒトのアポEを過剰発現するマウスは低レベルの血漿総コレステロールレベルを有する(Shimono,H.N.,ら,(1992)、Eur.J.Clin.Invest.90,2084-2991)、(ii)コレステロールを食べさせたウサギへのヒトアポEの静脈内注射は、これらの動物をアテローム性動脈硬化から保護する(Yamada,ら,(1989)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.86,665-669)、及び(iii)マウスにおけるアポE遺伝子の喪失は、自然発生のアテローム性動脈硬化を生じ(Zhang,S.H.ら,(1992)、Science、258,468-471)、それはアポE欠損マウスにてマクロファージ特異的なapoE発現が開始されると改善する(Spangenberg,J.ら,(1997)、Biochem.Biophys.Acta、1349,109-121)、という所見によって強調されている。
【0162】
アポEは、脂質を結合し、2つの主なドメインを有するタンパク質である(Mahley,R.W.ら J.Lipid Res.1999,40:622-630)。22kDaのアミノ末端ドメインは、X線結晶学試験によって4螺旋束であり(Wilson,C.ら Science、1991;252:1817-1822)、正に荷電した受容体結合ドメインを含有することが示されている。受容体への超低密度リポタンパク質(VLDL)の結合に介在するこの領域については、アポリポタンパク質は、リポタンパク質表面に会合しなければならず、これはC末端の両親媒性の螺旋領域によって可能になる。正に荷電した受容体結合ドメインを含有する4螺旋束がリポタンパク質表面で広がらなければ、その時、VLDLは、受容体への結合で不完全である。従って、アテローム形成性のアポE含有リポタンパク質の取り込みを高めるには、アポEの正に荷電したアルギニン(Arg)リッチクラスタードメインとC末端の両親媒性の螺旋ドメインの双方が必要とされる。
【0163】
アポEは、34,200の分子量を持つ299アミノ酸残基のタンパク質として分泌される。アポEのC末端領域(192~299)が高トリグリセリド血症のVLDLへのその結合に必須であり、N末端の22kDaドメイン(1~191)がLDL-Rに結合する(Bradley,W.A.ら,(1986)、J.Lipid Res.27,40-48)という事実を説明するのに、アポEの2つの断片へのトロンビン切断に基づいて、2ドメイン仮説が当初提案された。タンパク質及びその変異体の追加の物理化学的な性状分析は、この概念を拡大し、領域192~211はリン脂質に結合する一方で、アミノ末端ドメイン(1~191)は4螺旋束にてLDL受容体結合ドメインを含有する球状構造であることを示した(Wilson,C.ら,(1991)、Science、252,1817-1822)。合成ペプチド(Sparrowら Biochemistry、31(4):1065-8,1992)及びモノクローナル抗体による研究は、正に荷電したアミノ酸、Arg及びLysにて濃縮されるドメインである残基129~169の間でapoEのLDL受容体結合ドメインを正確に示した(Rall,S.C.,Jr.ら,(1982)、PNAS USA、79,4696-4700;Lalazar,A.ら,(1988)、J.Biol.Chem.263,3542-2545;Dyer,C.A.ら,(1991)、J.Biol.Chem.296,22803-22806;及びDyer,C.A.ら,(1991)、J.Biol.Chem.266,15009-15015)。
【0164】
最小限のアルギニンリッチアポE受容体結合ドメイン(141~150)が、クラスAの両親媒性の螺旋に共有結合した場合、低密度リポタンパク質(LDL)及び超低密度リポタンパク質(VLDL)の取り込み及びクリアランスを高めるのに十分だったという仮説を調べるために、ペプチドを合成し、ヒトアポEの受容体結合ドメインLRKLRKRLLR(配列番号4)(hアポE[141-150]、「hE」とも呼ばれる)を18A、よく特徴付けられた高親和性の脂質関連ペプチド(DWLKAFYDKVAEKLKEAF(配列番号5)、「18A」とも呼ばれる)に連結し、hアポE[141-150]-18A(「hE-18A」とも呼ばれる)と呼ばれるペプチドを生成した(特定のアポE模倣体及びその使用を教示するために、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる米国特許第6,506,880号を参照されたい)。合成したのはまた、Ac-hE18A-NH2と呼ばれるhE-18Aの末端保護された類似体だった。2つの類似体、LRRLRRRLLR-18A(配列番号11)(「hE(R)-18A」とも呼ばれる)及びLRKMRKRLMR-18A(配列番号7)(「mE18A」とも呼ばれる)を用いて、受容体結合ドメインにおけるリジン残基の重要性及び疎水性残基の役割も調べ、それによってヒトアポEの受容体結合ドメインを修飾し、143位及び146位にてアルギニン(R)残基をリジン(K)残基に置換し(LRRLRRRLLR、配列番号11)、且つそれによって、マウスアポEの受容体結合ドメイン(LRKMRKRLMR、配列番号7)をそれぞれ18Aに連結した。次いで細胞によるヒトLDL/VLDLの取り込み及び分解に対する二重特性ペプチドの効果を測定した。
【0165】
誘導されたLDL受容体を伴ったMEF1細胞にて、LDLの内部移行を、それぞれAc-mE-18A-NH2、Ac-hE-18A-NH2及びAc-hE(R)-18A-NH2によって3回、5回及び7回、増強することを測定した。3つのペプチドは全て、LDLの分解を100パーセント高めた。Ac-hE-18A-NH2及び対照ペプチドAc-18A-NH2は、双方ともVLDLと相互作用し、VLDLからのapoEの置換を引き起こした。しかしながら、Ac-hE-18A-NH2が会合したVLDLだけがapoEの非存在にもかかわらず、単独でのVLDLに比べてVLDLの取り込みを6倍及び分解を3倍に高めた。しかしながら、これらのペプチドの存在下での線維芽細胞へのLDLの結合は、調べたLDLの濃度範囲にわたって飽和できなかった。
【0166】
さらに、LDL受容体関連タンパク質(LRP)またはLDL受容体または双方の存在に無関係なLDL内部移行の類似する増強が見られた。しかしながら、ヘパリナーゼ及びヘパリチナーゼによる細胞の事前処理は、細胞による増強されたペプチド介在性のLDLの取り込み及び分解を、80%を超えて無効にした。データは、二重ドメインペプチドが両親媒性の脂質結合ドメイン(18A)を介したLDLへの結合によってLDLの取り込み及び分解を高めることを示した。しかしながら、最小限の141~150のArgリッチドメインは、LDLレベルを低下させなかったが、18A脂質関連ドメインとの組み合わせでのみ低下させ、LDL受容体結合を付与しなかったが、線維芽細胞による取り込み及び分解のためのHSPG経路にLDL/ペプチド複合体を向けた。
【0167】
2.脂肪酸
開示されたペプチドは、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分に結合することができる。種々の態様において、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分は、ペプチドのN末端アミノ基を介して開示されたペプチドに結合する。
【0168】
種々の態様において、脂肪酸部分、ω-アミノ脂肪酸部分、またはアセチル化ω-アミノ脂肪酸部分とペプチドのN末端アミノ基の連結は、それぞれ以下の式によって表される構造を有し:


式中、Aは、2~32個の炭素原子を有する脂肪族基である。さらなる態様において、脂肪族基は、アルキル基である。さらに別の態様において、脂肪族基は、0~3つの二重結合を含む。さらに別の態様において、脂肪族基は、アルケニル基である。
【0169】
さらなる態様において、開示されたペプチドに結合した脂肪酸部分は、精製された脂肪酸から誘導される。さらに別の態様において、開示されたペプチドに結合した脂肪酸部分は、飽和脂肪酸から誘導される。さらに別の態様において、開示されたペプチドに結合した脂肪酸部分は、不飽和脂肪酸から誘導される。さらに別の態様において、不飽和脂肪酸は、2つ以上の二重結合を有するポリ不飽和脂肪酸である。
【0170】
種々の態様において、合成アポE模倣ペプチドは、脂肪酸部分を含む。
【0171】
脂肪酸部分が誘導される脂肪酸の例には、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、デカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘニン酸、エルカ酸、リグノセリン酸、マルガリン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、ガドレイン酸、リシノール酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、アルファ-リノレン酸、ガンマ-リノレン酸、リカン酸、マルガロレイン酸、アラキドン酸、ガドレイン酸、ネルボン酸、アラキドン酸、ドコサペンタエン酸(DPA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
飽和脂肪酸の例には、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ヘンイコサン酸、ドコサン酸、トリコサン酸、テトラコサン酸、ペンタコサン酸、ヘキサコサン酸、ヘプタコサン酸、オクタコサン酸、ノナコサン酸、トリアコンタン酸、ヘントリアコンタン酸、ドトリアコンタン酸、トリトリアコンタン酸、テトラトリアコンタン酸、ペンタトリアコンタン酸、及びヘキサトリアコンタン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
不飽和脂肪酸の例には、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、リノール酸、アルファ-リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、及びドコサペンタエン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0174】
種々の態様において、開示されたペプチドに結合した脂肪酸部分は、未精製の脂肪酸、または天然油または脂肪などの脂肪酸の混合物から誘導される。通常、天然油または脂肪は、1つ以上の脂肪酸を含む概して疎水性の化合物の不均一混合物である。脂肪酸源は、(これらに限定されないが)動物脂肪、生物油、または大豆油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、菜種油、綿実油、亜麻仁油、ヒマワリ油、魚油、藻類油などの野菜油等の天然油または脂肪を含み得る。
【0175】
さらなる態様において、天然油または脂肪は、1以上のオメガ-3脂肪酸、例えば、海産油、例えば、魚油、オキアミ油及び藻類油を含有するかまたは濃縮しているものである。DHA及び/またはEPAを含有する任意の油を使用することができる。さらなる態様において、天然油または脂肪は、少なくとも70重量%または約70重量%のDHA、例えば、少なくとも75重量%または約75重量%、少なくとも80重量%または約80重量%、少なくとも85重量%または約85重量%、または少なくとも90重量%または約90重量%のDHAを含有する。さらに別の態様において、天然油または脂肪は、5重量%または約5重量%~15重量%または約15重量%のEPA、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15重量%のEPAを含有する。さらに別の態様において、天然油または脂肪は、10%以下または約10%のEPA、または10%未満または約10%のEPAを含有する。
【0176】
さらなる態様において、脂肪酸部分は、オメガ-3脂肪酸から誘導される。本明細書で使用されるとき、用語「オメガ-3ポリ不飽和脂肪酸(複数可)」または「オメガ-3脂肪酸」は、共通してn-3位置(すなわち、分子のメチル末端から3個目の結合)に炭素-炭素結合を有する不飽和脂肪カルボン酸のファミリーを指す。通常、それらは、約16~約24個の炭素原子と、3~6個の炭素-炭素二重結合を含有する。オメガ-3ポリ不飽和脂肪酸は、天然に見いだすことができ、これらの天然のオメガ-3ポリ不飽和脂肪酸は、全ての炭素-炭素二重結合がシス配置であることが多い。
【0177】
オメガ-3脂肪酸の例には、7,10,13-ヘキサデカトリエン酸(時に16:3(n-3)と省略される);9,12,15-オクタデカテトリエン酸(α-リノレン酸(ALA)、18:3(n-3));6,9,12,15-オクタデカテトラエン酸(ステアリドン酸(STD)、18:4(n-3));11,14,17-エイコサトリエン酸(エイコサトリエン酸(ETE)、20:3(n-3));8,11,14,17-エイコサテトラエン酸(エイコサテトラエン酸(ETA)、20:4(n-3));5,8,11,14,17-エイコサペンタエン酸(エイコサペンタエン酸(EPA)、(20:5(n-3));7,10,13,16,19-ドコサペンタエン酸(ドコサペンタエン酸(DPA)、22:5(n-3));4,7,10,13,16,19-ドコサヘキサエン酸(ドコサヘキサエン酸(DHA)、22:6(n-3));9,12,15,18,21-テトラコサペンタエン酸(テトラコサペンタエン酸、24:5(n-3));及び6,9,12,15,18,21-テトラコサヘキサエン酸(テトラコサヘキサエン酸、24:6(n-3))が挙げられるが、これらに限定されない。エイコサペンタエン酸(EPA)及びドコサヘキサエン酸(DHA)は、魚油中に天然に見いだされ、様々な食事療法用/治療用組成物中に使用されている。
【0178】
種々の長さの脂肪酸が熟考される。一態様において、脂肪酸は、奇数の炭素数を持つ合成脂肪酸を含む、C6~C24、C10~C24、C10~C28、またはC10~C32の鎖長を含む。さらなる態様において、脂肪酸は、C10、C12、C14、C16、C18、C20、C20、C22及びC24からなる群から選択される鎖長を含む。さらに別の態様において、脂肪酸は、C14、C16及びC18からなる群から選択される鎖長を有する。さらに別の態様において、脂肪酸は、C13、C15及びC17からなる群から選択される鎖長を有する。さらに別の態様において、脂肪酸は、4~28個の炭素を有する。
【0179】
本発明の種々の態様において、脂肪酸脂肪族鎖は、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、または32個の炭素原子を含む。
【0180】
種々の態様において、脂肪酸は、天然に存在する脂肪酸である。さらなる態様において、脂肪酸は、短鎖脂肪酸(例えば、6個未満の炭素)、中鎖脂肪酸(例えば、6~12個の炭素)、長鎖脂肪酸(例えば、12個よりも長い炭素)、または超長鎖脂肪酸(例えば、22個よりも長い炭素)である。さらに別の態様において、脂肪酸は、シス配置の不飽和脂肪酸である。さらに別の態様において、脂肪酸は、シス配置の不飽和脂肪酸である。
【0181】
種々の態様において、合成アポE模倣ペプチドは、ω-アミノ脂肪酸部分を含む。
【0182】
例示のω-アミノ脂肪酸部分は、限定しないで、4-アミノ酪酸、6-アミノカプロン酸、8-アミノカプリル酸、10-アミノカプリン酸(10-アミノデカン酸)、12-アミノラウリン酸(12-アミノドデカン酸)、14-アミノミリスチン酸(14-アミノテトラデカン酸)、14-アミノミリストレイン酸、16-アミノパルミチン酸(16-アミノヘキサデカン酸)、18-アミノステアリン酸、18-アミノオレイン酸、16-アミノパルミトレイン酸、18-アミノリノール酸、18-アミノリノレン酸及び20-アミノアラキドン酸を含むω-アミノ脂肪酸から誘導される。さらなる態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、6-アミノカプロン酸から誘導される。
【0183】
さらなる態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、4-アミノブタノイル、6-アミノカプロイル、8-アミノオクタノイル、10-アミノデカノイル、12-アミノラウロイル、14-アミノミリストイル、14-アミノミリストレオイル、16-アミノパルミトレオイル、18-アミノステアロイル、18-アミノオレオイル、16-アミノパルミトレオイル、18-アミノリノレオイル、18-アミノリノレノイル、または20-アミノアラキドノイルである。さらに別の態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、6-アミノ-カプロイル(または、6-アミノヘキサノイルとも呼ばれる)である。
【0184】
種々の態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、以下の構造を有するω-アミノ脂肪酸から誘導され:
ここで、Aは、2~32個の炭素原子を有する脂肪族基である。さらなる態様において、脂肪族基は、アルキル基である。さらに別の態様において、脂肪族基は、0~3個の二重結合を含む。さらに別の態様において、脂肪族基は、アルケニル基である。種々の態様において、Aは、-(CH25-である。
【0185】
さらなる態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、ペプチドのN末端アミノ基を介してペプチドに結合し、ペプチドへの結合の後に、ω-アミノ脂肪酸部分は、以下の構造を有し:
ここで、Aは、2~32個の炭素原子を有する脂肪族基である。さらなる態様において、脂肪族基は、アルキル基である。さらに別の態様において、脂肪族基は、0~3個の二重結合を含む。さらに別の態様において、脂肪族基は、アルケニル基である。種々の態様において、Aは、-(CH25-である。
【0186】
種々の態様において、合成アポE模倣ペプチドは、アセチル化ω-アミノ脂肪酸部分を含む。さらなる態様において、開示されたペプチドは、開示されたω-アミノ脂肪酸のいずれかに結合することができ、ω-アミノ基上にアセチル部分をさらに含む。
【0187】
さらなる態様において、ω-アミノ脂肪酸部分は、ペプチドのN末端アミノ基を介してペプチドに結合し、ペプチドへの結合の後に、ω-アミノ基はアセチル化され、ω-アミノ脂肪酸部分は、以下の構造を有し:
ここで、Aは、2~32個の炭素原子を有する脂肪族基である。さらなる態様において、脂肪族基は、アルキル基である。さらに別の態様において、脂肪族基は、0~3個の二重結合を含む。さらに別の態様において、脂肪族基は、アルケニル基である。種々の態様において、Aは、-(CH25-である。
【0188】
脂肪酸部分が誘導される脂肪酸は、市販されており、種々の化学的方法で調製することができる(Recent Developments in the Synthesis of Fatty Acid Derivatives,Editors:Knothe G and Derksen JTB,AOCS Press 1999,ISBN 1-893997-00-6)。
【0189】
3.単一ドメインペプチド
開示されるのは、単一ドメインの合成アポE模倣体である。単一ドメインの合成アポE模倣体は、アポEの受容体結合ドメインまたは脂質関連ペプチドからなることができる。
【0190】
i.受容体結合ドメインペプチド
合成アポE模倣体のための受容体結合ドメインペプチドは、アポEのヒト受容体結合ドメインペプチドであってもよい。例えば、開示された合成アポE模倣体の受容体結合ドメインペプチドは、LRKLRKRLLR、LRRLRRRLLR、またはLRKLRKRFFRのアミノ酸配列を含んでもよい。そのような合成アポE模倣体の受容体結合ドメインペプチドは、マウス、ウサギ、サル、ラット、ウシ、ブタ及びイヌからなる群から選択される種に由来してもよい。
【0191】
開示された合成アポE模倣体で使用することができる受容体結合ドメインペプチドの例は、表1に提供される。
【0192】
表1におけるイタリック体の残基は、ヒト配列からの変化を示すが、アミノ酸の特性は保存されている。表1における太字イタリック体の残基は、その位置でのヒト配列との差異を示す。
【0193】
合成アポE模倣体のための受容体結合ドメインペプチドは、アポリポタンパク質B(アポB)のLDL受容体(LDLR)結合ドメインであってもよい。アポBのLDL受容体(LDLR)結合ドメインは、配列RLTRKRGLKを有することができる。アポB-100は、LDL受容体の結合ドメインとして役立つ9つのアミノ酸(3359~3367)を持つ550,000Daの糖タンパク質である(Segrestら,J.Lipid.Res.42,pp.1346-1367(2001))。クラスリン被覆ピットにおけるLDLRへの結合の際、LDLは、エンドサイトーシスを介して内部移行し、pHの低下が受容体をLDLから解離させるエンドソームに移動する。受容体は、細胞の表面に戻って再利用される一方で、LDLは、粒子が分解されるリソソームに移動する(Goldsteinら,Ann.Rev.Cell Biol.1,pp.1-39(1985))。アポBのLDL受容体(LDLR)結合ドメインは、開示されたペプチドと共に使用される場合、アポEについて本出願全体を通して記載されるように変化させ、及び/または修飾することもできる。例えば、アポBのLDL受容体(LDLR)結合ドメインは、開示された脂質関連ペプチドと共に使用することができ、その際、アポBのLDL受容体(LDLR)結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合される。加えて、アポBのLDL受容体(LDLR)結合ドメインは、スクランブルすることができ、逆方向性にすることができ、以下で記載されるようなドメイン交換ペプチドの一部であってもよい。
【0194】
ii.脂質関連ペプチド
脂質関連ペプチドは、単独で使用することができ、またはアポE模倣ペプチドと併用して使用することができる。これらの合成アポE模倣体のための脂質関連ペプチドは、非極性面にて芳香族または脂肪族の残基を有するアポA-IのクラスAの両親媒性の螺旋ペプチド、アポA-IのクラスAの両親媒性の螺旋ペプチド模倣体、ペンタペプチド、テトラペプチド、トリペプチド、ジペプチド及びアミノ酸の対を含む小さなペプチド、アポ-J(G*ペプチド)及び、例えば、以下で記載されるようなペプチド模倣体であってもよいが、これらに限定されない。
【0195】
a.クラスAの両親媒性の螺旋ペプチド
一態様において、開示された方法での使用のための脂質関連ペプチドには、例えば、米国特許第6,664,230号及びPCT公開WO02/15923及びWO2004/034977にて記載されたようなクラスAの両親媒性の螺旋ペプチドが挙げられる。クラスAの両親媒性の螺旋を含むペプチド(「クラスAのペプチド」)は、アテローム性動脈硬化症の1以上の症状を緩和すると同様に他の障害を治療することが可能であることが発見された。
【0196】
クラスAのペプチドは、極性と非極性の残基の分離を生じ、それによって極性の面と非極性面を形成し、正に荷電した残基は、極性/非極性の界面に存在し、負に荷電する残基は、極性の面の中心に存在するα螺旋の形成を特徴とする(例えば、Anantharamaiah(1986)、Meth.Enzymol,128:626-668を参照されたい)。アポA-Iの第4エクソンは、3.667残基/ターンに折り畳まれるとクラスAの両親媒性の螺旋構造を生じることが言及される。
【0197】
18Aと名付けられたクラスAのペプチドの1つ(例えば、Anantharamaiah(1986)、Meth.Enzymol,128:626-668を参照)は、本明細書で記載されるように修飾されて、経口で投与可能な且つ、アテローム性動脈硬化症の1以上の症状及び/または本明細書で記載されるような他の適応を抑制するまたは予防することに高度に有効であるペプチドを生じた。特定の理論に束縛されないで、開示されたペプチドは、LDLの酸化を軽減する播種分子(複数可)を取得することによってインビボで作用することができると考えられる。
【0198】
18Aの疎水性面におけるPhe残基の数を増やすことは、Palgunachariら(1996)、Arteriosclerosis,Thrombosis,& Vascular Biol.16:328-338によって記載された計算により判定されたように脂質の親和性を高めることができる。理論的には、18Aの非極性面での残基のPheによる手順通りの置換は、6ペプチドが得られ得る。追加の2、3及び4のPheを伴うペプチドは、それぞれ13、14及び15単位の理論的な脂質親和性(λ)値を有し得る。しかしながら、追加のPheが4から5に増すと、λ値は、4単位急増した(19λ単位に)。6または7のPheに増やすことは、あまり劇的な増加を生じなかった(それぞれ20及び21λ単位に)。
【0199】
4F、D4F、5F及びD5F等と名付けられたペプチドを含めて多数のこれらクラスAのペプチドが作製された。種々のクラスAのペプチドは、アテローム性動脈硬化感受性のマウス及びウサギにて病変の発症を阻害した。加えて、ペプチドは、本明細書で記載される種々の病態の1以上の症状を緩和することにおいて様々な、しかし、有意な程度の有効性を示す。多数のそのようなペプチドを表2に示す。



*リンカーには下線を引く;NMAはN-メチルアントラニリルである
【0200】
特定の態様において、ペプチドは、残基は全てL形態のアミノ酸であるL-4Fまたは1以上の残基がD形態のアミノ酸であるD-4Fとしても知られる4F(表2におけるD-W-F-K-A-F-Y-D-K-V-A-E-K-F-K-E-A-F(配列番号16))の変異を含む。本明細書で記載されるペプチドのいずれかにおいて、C末端及び/またはN末端及び/または内部の残基は、本明細書で記載されるような1以上の保護基で保護することができる。
【0201】
表2の種々のペプチドが、アミノ末端を保護するアセチル基またはN-メチルアントラニリル基及びカルボキシル末端を保護するアミド基と共に説明される一方で、これらの保護基のいずれかは、排除され得る及び/または本明細書で記載されるような別の保護基で置換され得る。ペプチドは、本明細書で記載されるような1以上のD形態のアミノ酸を含んでもよい。特定の態様において、表2のペプチドのあらゆるアミノ酸(例えば、あらゆるエナンチオマーアミノ酸)は、D形態のアミノ酸である。
【0202】
表2は、完全に包括的であるわけではないことも言及される。本明細書で提供される教示を用いて、他の好適なクラスAの両親媒性の螺旋ペプチドを(例えば、保存的または半保存的な置換(例えば、Eによって置換されるD)、伸長、欠失等によって)ごく普通に作製することができる。従って、例えば、一実施形態は、本明細書で示されるペプチド(例えば、表2における2F、3F、3F14、4F、5F、6F、または7Fとして同定されたペプチド)のいずれか1以上の切り詰めを利用する。従って、例えば、A-F-Y-D-K-V-A-E-K-L-K-E-A-F(配列番号5のアミノ酸5~18)は、1以上のDアミノ酸を含む18AのC末端から14アミノ酸を含むペプチドを説明する一方で、他は他の切り詰めを説明する。
【0203】
さらに長いペプチドも好適である。そのような長いペプチドは、全体でクラスAの両親媒性の螺旋を形成してもよく、またはクラスAの両親媒性の螺旋は、ペプチドの1以上のドメインを形成することができる。加えて、本発明は、ペプチドの多量体の型(例えば、コンカテマー)を熟考する。従って、例えば、本明細書で説明されるペプチドは(直接またはリンカー(例えば、炭素リンカーまたは1以上のアミノ酸)を介して1以上の介在アミノ酸と)一緒にカップリングすることができる。説明に役立つポリマーペプチドには、18A-Pro-18A及び、特定の実施形態において、1以上のDアミノ酸を含む、さらに好ましくはアミノ酸ごとに本明細書で記載されるようなDアミノ酸を含む、及び/または一方若しくは双方の末端が保護されている以下の表(表2B)におけるペプチドが挙げられる。

b.非極性面にて芳香族または脂肪族の残基を有するアポA-IのクラスAの両親媒性の螺旋ペプチド模倣体
【0204】
また、開示されるのは、修飾されたクラスAの両親媒性の螺旋ペプチドである。特定の好ましいペプチドは、1以上の芳香族残基を非極性面、例えば、3F(4Fに存在するように)の中心で組み入れ、または1以上の脂肪族残基を非極性面、例えば、3Fの中心で組み入れる。例えば、表3を参照されたい。特定の理論に束縛されないで、ペプチド3Fの非極性面における中心の芳香族残基は、非極性面の中心におけるπ電子の存在のために水分子がペプチド/脂質複合体の疎水性の脂質アルキル鎖の近傍に浸透するのを可能にすることができ、それは同様に、細胞表面からそれらを遮蔽する反応性酸素種(例えば、脂質ヒドロペルオキシド)の侵入を可能にする。非極性面、例えば、3Fの中心で脂肪族残基を伴うペプチドは、同様に作用することができるが、3Fほど効果的ではない。
【0205】
一態様において、ペプチドは、炎症誘発性のHDLを抗炎症性のHDLに変換することができ、抗炎症性のHDLをさらに抗炎症性にすることができ、及び/または動脈壁の細胞によって生成されるLDLが誘導する単球の走化性活性を表2で示すD4Fまたは他のペプチドと同等にまたはそれより大きく低下させることができる。

【0206】
c.他のクラスA及び一部のクラスYの両親媒性の螺旋ペプチド
上述のクラスAの両親媒性の螺旋ペプチドの1以上と同一のアミノ酸組成を有するクラスAの両親媒性の螺旋ペプチド。従って、例えば、特定の実施形態において、本発明は、4Fと同一のアミノ酸組成を有するペプチドを熟考する。従って、特定の実施形態において、本発明は、18アミノ酸からなるペプチドを含む活性剤を含み、その際、18アミノ酸は、3つのアラニン(A)、2つのアスパラギン酸(D)、2つのグルタミン酸(E)、4つのフェニルアラニン(F)、4つのリジン(K)、1つのバリン(V)、1つのトリプトファン(W)及び1つのチロシン(Y)から成り、ペプチドは、クラスAの両親媒性の螺旋を形成し、酸化剤による酸化に対してリン脂質を保護する。種々の実施形態において、ペプチドは、少なくとも1つの「D」アミノ酸残基を含み;特定の実施形態において、ペプチドは、全て「D」形態のアミノ酸残基を含む。そのような種々のペプチドを表4で説明する。これらのペプチドのリバース(レトロ)、インバース、レトロ-インバース及び環状に順を変えた形態も熟考される。表4は、アミノ酸組成:3つのアラニン(A)、2つのアスパラギン酸(D)、2つのグルタミン酸(E)、4つのフェニルアラニン(F)、4つのリジン(K)、1つのバリン(V)、1つのトリプトファン(W)及び1つのチロシン(Y)を有する代表的な18アミノ酸の長さのクラスAの両親媒性の螺旋ペプチドの配列及び識別子の名称を提供する。
















【0207】
生物学的に活性があり、有用なペプチドを容易に同定するのは可能である。従って、例えば、以下のペプチド:3F1;3F2;4F、そのリバース(レトロ)形態及びそのレトロ-インバーソ形態は活性があるとして的確に同定されている。脂質関連ペプチドは、長さ18アミノ酸であり、クラスAの両親媒性の螺旋を形成するペプチドを含むことができ、その際、該ペプチドは、アミノ酸組成:2つのアスパラギン酸、2つのグルタミン酸、4つのリジン、1つのトリプトファン、1つのチロシン、1以下のロイシン、1以下のバリン、1以上で3以下のアラニンを有し、且つ群:フェニルアラニン、アルファ-ナフトアラニン、ベータ-ナフトアラニン、ヒスチジンに由来する3~6のアミノ酸を伴い、且つ、中性pHで正の電荷を持つ4アミノ酸を含むクラスAの両親媒性の螺旋の螺旋輪における極性面で9または10のアミノ酸を含有し、正に荷電した残基の2つは極性面と非極性面の界面に存在し、極性面における4つの正に荷電した残基の2つは隣接し、非極性面では群:フェニルアラニン、α-ナフトアラニン、β-ナフトアラニン、ヒスチジンに由来するアミノ酸残基の2つも隣接し、非極性面にてこの群に由来する4以上のアミノ酸があれば、この群に由来する隣接しない少なくとも2つの残基もある。場合によっては、酸性アミノ酸は、2つのアスパラギン酸及び2つのグルタミン酸を有するよりもむしろグルタミン酸である。いくつかの態様において、脂質関連ペプチドは、18Aであってもよく、18Aの酸性アミノ酸の各々は、Glu残基である。
【0208】
クラスAの両親媒性の螺旋ペプチドと同様に特定のクラスYが開示される。クラスYの両親媒性の螺旋ペプチドは、当業者に既知である(例えば、Segrestら(1992)、J.Lipid Res.33:141-166;Oram及びHeinecke(2005)、Physiol.Rev.85:1343-1372等を参照されたい)。これらのペプチドには、クラスAの両親媒性の螺旋を形成する18アミノ酸のペプチド、または式I:
DXXKYXXDKXYDKXKDYX(配列番号367) (I)
によって記載されるクラスYの両親媒性の螺旋が挙げられるが、これには限定されず、式中、Dは独立してAspまたはGluであり、Kは独立してLysまたはArgであり、Xは独立してLeu、norLeu、Val、Ile、Trp、Phe、Tyr、β-Nal、またはα-Nalであり、2つのK残基の間の極性面にあることができる1つを除いてX残基は全て非極性面にあり(例えば、螺旋ホイール図で見た場合);Yは独立して非極性面におけるAla、His、Ser、Gln、Asn、またはThrであり(例えば、螺旋ホイール図で見た場合)、Yは独立して極性面におけるAla1つ、HIs1つ、Ser1つ、Gln1つ、Asn1つ、または極性面におけるThr1つであり(例えば、螺旋ホイール図で見た場合)、2以下のKは隣接し(例えば、螺旋ホイール図で見た場合)、3以下のDは隣接し(例えば、螺旋ホイール図で見た場合)、4番目のDはYによって他のDから分離される。ヒスチジン及び/またはα-及びβ-ナフトアラニンを伴うペプチドを含むこの種の代表的なペプチドを表5に示す。これらのペプチドのリバース(レトロ)、インバース、レトロ-インバース及び環状に順を変えた形態も熟考される。





【0209】
クラスAの4F及びベータ-Nphを伴うRev4F類似体の例。同様に、アルファ-Nph類似体を設計することができる。上記類似体と同様に、HisをNph類似体に組み入れることができる。D>E類似体、E>D類似体及びD-E交換類似体は、上述の類似体と同様に追加の可能性である。
4Nph Ac-DWNphKANphYDKVAEKNphKEANph-NH2 (配列番号460)
[D-E交換] 4Nph Ac-EWNphKANphYEKVADKNphKDANph-NH2 (配列番号461)
[D>E]4Nph Ac-EWNphKANphYEKVAEKNphKEANph-NH2 (配列番号462)
[E>D]4Nph Ac-DWNphKANphYDKVADKNphKDANph-NH2 (配列番号463)
[D-1>E]4Nph Ac-EWNphKANphYDKVAEKNphKEANph-NH2 (配列番号464)
[D-8>E]4Nph Ac-DWNphKANphYEKVAEKNphKEANph-NH2 (配列番号465)
[E-12>D]4Nph Ac-DWNphKANphYDKVADKNphKEANph-NH2 (配列番号466)
[E-16>D]4Nph Ac-DWNphKANphYDKVAEKNphKDANph-NH2 (配列番号467)
【0210】
4Nphについて上述したように、以下で提供される類似体のそれぞれについて最低7つの追加の類似体。
[F-3, 6,>Nph]4F Ac-DWNphKANphYDKVAEKFKEAF-NH2 (配列番号468)
[F-14, 18>Nph]4F Ac-DWFKAFYDKVAEKNphKEANph-NH2 (配列番号469)
[[F-3>Nph]4F Ac-DWNphKAFYDKVAEKFKEAF-NH2 (配列番号470)
[F-6>Nph]4F Ac-DWFKANphYDKVAEKFKEAF-NH2 (配列番号471)
[F-14>Nph]4F Ac-DWFKAFYDKVAEKNphKEAF-NH2 (配列番号472)
[F-18>Nph]4F Ac-DWFKAFYDKVAEKFKEANph-NH2 (配列番号473)
【0211】
以下で記載される類似体のそれぞれについて、D-Eを交換すること、D>E及びE>D及び単一のDまたはEの類似体によって上述のように最低7の追加の類似体が可能である。
Rev-4Nph Ac-NphAEKNphKEAVKDYNphAKNphWD-NH2 (配列番号474)
[F-3, 6>Nph]Rev Ac-NphAEKNphKEAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号475)
4F [F-13, 16]Rev-4F Ac-FAEKFKEAVKDYNphAKNphWD-NH2 (配列番号476)
[F-3>Nph]Rev-4F Ac-NphAEKFKEAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号477)
[F-6>Nph]Rev-4F Ac-FAEKNphKEAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号478)
[F-13>Nph]Rev-4F Ac-FAEKFKEAVKDYNphAKFWD-NH2 (配列番号479)
[F-16>Nph]Rev-4F Ac-FAEKEKEAVKDYFAKNphWD-NH2 (配列番号480)
【0212】
以下に記載される類似体について、Hisまたはアルファ-Nph及びベータ-Nphを組み入れることによって追加の類似体が可能である。
Rev-[D>E]-4F Ac-FAEKFKEAVKEYFAKFWE-NH2 (配列番号481)
Rev-[E>D]4F Ac-FADKFKDAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号482)
Rev-R4-4F Ac-FAERFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号483)
Rev-R6-4F Ac-FAEKFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号484)
Rev-R10-4F Ac-FAEKFKEAVRDYFAKFWD-NH2 (配列番号485)
Rev-R14-4F Ac-FAEKFKEAVKDYFARFWD-NH2 (配列番号486)
Rev-[D>E]-4F Ac-FAEKFKEAVKEYFAKFWE-NH2 (配列番号481)
Rev-[E>D]4F Ac-FADKFKDAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号482)
Rev-R4-4F Ac-FAERFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号483)
Rev-R6-4F Ac-FAEKFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号484)
Rev-R10-4F Ac-FAEKFKEAVRDYFAKFWD-NH2 (配列番号485)
Rev-R14-4F Ac-FAEKFKEAVKDYFARFWD-NH2 (配列番号486)
Rev-[D>E]-4F Ac-FAEKFKEAVKEYFAKFWE-NH2 (配列番号481)
Rev-[E>D]4F Ac-FADKFKDAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号482)
Rev-R4-4F Ac-FAERFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号483)
Rev-R6-4F Ac-FAEKFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号484)
Rev-R10-4F Ac-FAEKFKEAVRDYFAKFWD-NH2 (配列番号485)
Rev-R14-4F Ac-FAEKFKEAVKDYFARFWD-NH2 (配列番号486)
Rev-R4-4F Ac-FAERFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号483)
Rev-R6-4F Ac-FAEKFREAVKDYEAKFWD-NH2 (配列番号487)
Rev-R10-4F Ac-FAEKFKEAVRDYFAKFWD-NH2 (配列番号485)
Rev-R14-4F Ac-FAEKFKEAVKDYFARFWD-NH2 (配列番号486)
Rev-[D>E]-4F Ac-FAEKFKEAVKEYFAKFWE-NH2 (配列番号481)
Rev-[E>D]4F Ac-FADKFKDAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号482)
Rev-R4-4F Ac-FAERFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号483)
Rev-R6-4F Ac-FAEKFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号484)
Rev-R10-4F Ac-FAEKFKEAVRDYFAKFWD-NH2 (配列番号485)
Rev-R14-4F Ac-FAEKFKEAVKDYFARFWD-NH2 (配列番号486)
【0213】
以下の類似体のそれぞれについて、上述の例を用いて追加のH類似体及びNph類似体が可能である。各類似体は、上記の例で記載された変化を伴う7類似体を生じることができる。
Rev3F-2 Ac-LFEKFAEAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号488)
RevR4-3F-2 Ac-LFERFAEAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号489)
RevR10-3F2 Ac-LFEKFAEAFRDYVAKWKD-NH2 (配列番号490)
RevR15-3F-2 Ac-LFEKFAEAFKDYVARWKD-NH2 (配列番号491)
RevR17-3F-2 Ac-LFEKFAEAFKDYVAKWRD-NH2 (配列番号492)
Rev[D>E]3F2 Ac-LFEKFAEAFKEYVAKWKE-NH2 (配列番号493)
Rev[E>D]3F-2 Ac-LFDKFADAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号494)
Rev-[E3>D]-3F-2 Ac-LFDKFAEAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号495)
Rev-[E7>D]-3F-2 Ac-LFEKFADAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号496)
Rev[D11>E]3F-2 Ac-LFEKFAEAFKEYVAKWKD-NH2 (配列番号497)
Rev-[D18>E]3F-2 Ac-LFEKFAEAFKDYVAKWKE-NH2 (配列番号498)
Rev3F-1 Ac-FAEKAWEFVKDYFAKLKD-NH2 (配列番号499)
RevR4-3F-1 Ac-FAERAWEFVKDYFAKLKD-NH2 (配列番号500)
RevR10-3F-1 Ac-FAEKAWEFVKDYFAKLKD-NH2 (配列番号501)
RevR15-3F-1 Ac-FAEKAWEFVKDYFAKLKD-NH2 (配列番号502)
RevR17-3F-1 Ac-FAEKAWEFVKDYFAKLRD-NH2 (配列番号503)
Rev[D>E]3F-1 Ac-FAEKAWEFVKEYFAKLKE-NH2 (配列番号504)
Rev[E>D}3F-1 Ac-FADKAWDFVKDYFAKLKD-NH2 (配列番号505)
Rev[E3>D]-3F-1 Ac-FADKAWEFVKDYFAKLKD-NH2 (配列番号506)
Rev[E7>D]3F-1 Ac-FAEKAWDFVKDYFAKLKD-NH2 (配列番号507)
Rev-[D11>E]3F-1 Ac-FAEKAWEFVKEYFAKLKD-NH2 (配列番号508)
Rev-[D18>E]3F-1 Ac-FAEKAWEFVKDYFAKLKE-NH2 (配列番号509)
Rev-5F Ac-FFEKFKEFVKDYFAKLWD-NH2 (配列番号510)
Rev-[D>E]5F Ac-FFEKFKEFVKEYFAKLWE-NH2 (配列番号511)
Rev-[E>D]5F Ac-FFDKFKDFVKDYFAKLWD-NH2 (配列番号512)
Rev-R4-5F Ac-FFERFKEFVKDYFAKLWD-NH2 (配列番号513)
Rev-R6-5F Ac-FFEKFREFVKDYFAKLWD-NH2 (配列番号514)
Rev-R10-5F Ac-FFEKFKEFVRDYFAKLWD-NH2 (配列番号515)
Rev-R15-5F Ac-FFEKFKEFVKDYFARLWD-NH2 (配列番号516)
Rev-[E3>D]-5F Ac-FFDKFKEFVKDYFAKLWD-NH2 (配列番号517)
Rev-[E7>D]5F Ac-FFEKFKDFVKDYFAKLWD-NH2 (配列番号518)
Rev-[D11>E]-5F Ac-FFEKFKEFVKEYFAKLWD-NH2 (配列番号519)
Rev-[D18>E]-5F Ac-FFEKFKEFVKDYFAKLWE-NH2 (配列番号520)
Rev-5F-2 Ac-FLEKFKEFVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号521)
Rev-[D>E]-5F-2 Ac-FLEKFKEFVKEYFAKFWE-NH2 (配列番号522)
Rev-[E>D]-5F-2 Ac-FLDKFKEFVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号523)
Rev-[E3>D]-5F-2 Ac-FLDKFKEFVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号524)
Rev-[E7>D]-5F-2 Ac-FLEKFKDFVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号525)
Rev-[D11>E]-5F-2 Ac-FLEKFKEFVKEYFAKFWD-NH2 (配列番号526)
Rev-[D18>E]-5F-2 Ac-FLEKFKEFVKDYFAKFWE-NH2 (配列番号527)
Rev-R4-5F-2 Ac-FLERFKEFVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号528)
Rev-R6-5F-2 Ac-FLEKFREFVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号529)
RevR10-5F-2 Ac-FLEKFKEFVRDYFAKFWD-NH2 (配列番号530)
Rev-R16-5F-2 Ac-FLEKFKEFVKDYFARFWD-NH2 (配列番号531)
Rev-6F Ac-FFEKFKEFFKDYFAKLWD-NH2 (配列番号532)
Rev-[D>E]-6F Ac-FFEKFKEFFKEYFAKLWE-NH2 (配列番号533)
Rev-[E>D]-6F Ac-FFDKFKDFFKDYFAKLWD-NH2 (配列番号534)
Rev-R4-6F Ac-FFERFKEFFKDYFAKLWD-NH2 (配列番号535)
Rev-R6-6F Ac-FFEKFREFFKDYFAKLWD-NH2 (配列番号536)
Rev-R10-6F Ac-FFEKFKEFFRDYFAKLWD-NH2 (配列番号537)
Rev-R14-6F Ac-FFERFKEFFKDYFARLWD-NH2 (配列番号538)
Rev-[E3>D]-6F Ac-FFDKFKEFFKDYFAKLWD-NH2 (配列番号539)
Rev-[E7>D]-6F Ac-FFEKEKDFFKDYFAKLWD-NH2 (配列番号540)
Rev-[D11>E]-6F Ac-FFEKFKEFFKEYFAKLWD-NH2 (配列番号541)
Rev-[D18>E]-6F Ac-FFEKFKEFFKDYFAKLWE-NH2 (配列番号542)
Rev-4F Ac-FAEKFKEAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号543)
Rev-[D>E]-4F Ac-FAEKFKEAVKEYFAKFWE-NH2 (配列番号481)
Rev-[E>D]4F Ac-FADKFKDAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号482)
Rev-R4-4F Ac-FAERFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号483)
Rev-R6-4F Ac-FAEKFREAVKDYFAKFWD-NH2 (配列番号484)
Rev-R10-4F Ac-FAEKFKEAVRDYFAKFWD-NH2 (配列番号485)
Rev-R14-4F Ac-FAEKFKEAVKDYFARFWD-NH2 (配列番号486)
4F-2 Ac-DKWKAVYDKFAEAFKEFF-NH2 (配列番号544)
[D>E]-4F-2 Ac-EKWKAVYEKFAEAFKEFF-NH2 (配列番号545)
[E>D]-4F-2 Ac-DKWKAVYDKFADAFKDFF-NH2 (配列番号546)
R2-4F-2 Ac-DRWKAVYDKFAEAFKEFF-NH2 (配列番号547)
R4-4F-2 Ac-DKWRAVYDKFAEAFKEFF-NH2 (配列番号548)
R9-4F-2 Ac-DKWKAVYDRFAEAFKEFF-NH2 (配列番号549)
R14-4F-2 Ac-DKWKAVYDKFAEAFREFF-NH2 (配列番号550)
Rev4F-2 Ac-FFEKFAEAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号551)
Rev-[D>E]-4F-2 Ac-FFEKFAEAFKEYVAKWKE-NH2 (配列番号552)
Rev-[E>D]-3F-2 Ac-FFDKFADAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号553)
Rev-R4-4F-2 Ac-FFERFAEAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号554)
Rev-R10-4F-2 Ac-EFERFAEAFRDYVAKWKD-NH2 (配列番号555)
Rev-R15-4F-2 Ac-FFEKFAEAFKDYVARWKD-NH2 (配列番号556)
Rev-R17-4F-2 Ac-FFERFAEAFKDYVAKWRD-NH2 (配列番号557)
Rev-[E3>D]-4F-2 Ac-FFDKFAEAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号558)
Rev-[E7>D]-4F-2 Ac-FFEKFADAFKDYVAKWKD-NH2 (配列番号559)
Rev-[D11>E]-4F-2 Ac-FFERFAEAFKEYVAKWKD-NH2 (配列番号560)
Rev-[D18>E]-4F-2 Ac-FFERFAEAFKDYVAKWKE-NH2 (配列番号561)
Rev-7F Ac-FFEKFKEFFKDYFAKFWD-NH2 (配列番号562)
Rev-[E>D]-7F Ac-FFDKFKDFFKDYFAKFWD-NH2 (配列番号563)
Rev-[D>E]-7F Ac-FFEKFKEFFKEYFAKFWE-NH2 (配列番号564)
Rev-R4-7F Ac-FFERFKEFFKDYFAKFWD-NH2 (配列番号565)
Rev-R6-7F Ac-FFEKFREFFKDYFAKFWD-NH2 (配列番号566)
Rev-R10-7F Ac-FFEKFKEFFRDYFAKFWD-NH2 (配列番号567)
Rev-R14-7F Ac-FFEKFKEFFKDYFARFWD-NH2 (配列番号568)
Rev-[E3>D]-7F Ac-FFDKFKEFFKDYFAKFWD-NH2 (配列番号569)
Rev-[E7>D]7F Ac-FFEKFKDFFKDYFAKFWD-NH2 (配列番号570)
Rev-[D11>E]-7F Ac-FFEKFKEFFKEYFAKFWD-NH2 (配列番号571)
Rev-[D18>E]-7F Ac-FFEKFKEFFKDYFAKFWE-NH2 (配列番号572)
【0214】
本明細書で記載されるペプチドのいずれかは、本明細書で同定される相当する天然のアミノ酸に加えてまたはその代わりに非天然のアミノ酸を含むことができることも言及される。そのような修飾には、アセチル化、アミド化、ホルミル化、メチル化、硫酸化等が挙げられるが、これらに限定されない。説明に役立つ非天然のアミノ酸には、オルニチン、ノルロイシン、ノルバリン、N-メチルバリン、6-N-メチルリジン、N-メチルイソロイシン、N-メチルグリシン、サルコシン、イノシン、アロ-イソロイシン、イソデスモリジン、4-ヒドロキシプロリン、3-ヒドロキシプロリン、アロ-ヒドロキシリジン、ヒドロキシリジン、N-エチルアスパラギン、N-エチルグリシン、2,3-ジアミノプロピオン酸、2,2’-ジアミノプロピオン酸、デスモシン、2,4-ジアミノ酪酸、2-アミノピメリン酸、3-アミノイソ酪酸、2-アミノイソ酪酸、2-アミノヘプタン酸、6-アミノカプロン酸、4-アミノ酪酸、2-アミノ酪酸、β-アラニン、3-アミノアジピン酸、2-アミノアジピン酸等が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、本明細書で記載されるペプチドの「天然の」アミノ酸の1以上を相当する非天然のアミノ酸(例えば、上述のような)で置換することができる。
【0215】
特定の実施形態において、本発明は、修飾されたリジンの使用を特に熟考する。そのような修飾には、イプシロンリジンのビオチン修飾及び/またはイプシロンリジンのメチル化が挙げられるが、これらに限定されない。イプシロンメチル化リジンを含む説明に役立つペプチドには、Ac-D-W-F-K(eCH32-A-F-Y-D-K(eCH32-V-A-E-K(eCH3)-2-F-K(eCH32-E-A-F-NH(CH32(配列番号573)及び:Ac-DWFK(eCH32AFYDK(eCH32VAEK(eCH32FK(eCH32EAF-NH(CH3)(配列番号574)が挙げられるが、これらに限定されない。他の修飾されたアミノ酸には、オルニチン類似体及びホモアミノアラニン類似体(Lysのための(CH24--NH2の代わりに、それは、Haaのための--(CH22--NH2及びOrnのための--(CH23--NH2であってもよい)等が挙げられるが、これらに限定されない。これらの修飾は説明に役立つものであって限定を意図するものではないことが言及される。修飾されたアミノ酸を持つ説明に役立つ4F類似体を表6に示す。
表6:修飾されたアミノ酸を含む説明に役立つ4F類似体
4FのεN-ジメチル-Lys誘導体(εN-Dime)
4FのεN-ジエチル-Lys誘導体(εN-Diet)
4FのεN-モノエチル-Lys誘導体(εN-Me)
4FのεN-エチル-Lys誘導体(εN-Et)
4FのホモLys類似体(hK) (--CH 2 ) 5 -NH 2

【0216】
4.二重ドメインペプチド
二重ドメインペプチドも開示される。二重ドメインペプチドは、アポリポタンパク質Eの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣ペプチドであることができ、前記受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合される。
【0217】
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Bの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣ペプチドであり、前記受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合される。開示された合成アポE模倣ペプチドの非限定例は、表7に提供される。開示された合成アポE模倣ペプチドは、アセチル基及びアミノ基を用いてN末端保護することもできる。表7は、二重ドメインを含む開示された合成アポE模倣ペプチドの非限定の代表的な例を提供する。
表7:二重ドメインペプチド

【0218】
i.ドメイン交換ペプチド
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣体であり、前記受容体結合ドメインは、ドメインが交換される方向性にて前記脂質関連ペプチドに共有結合される。また、開示されるのは、アポリポタンパク質Bの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣体であり、前記受容体結合ドメインは、ドメインが交換される方向性にて前記脂質関連ペプチドに共有結合される。これらのペプチドは、「ドメイン交換された」、「交換されたドメイン」または「交換された」ペプチドと呼ばれ得る。例えば、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣体であり、前記受容体結合ドメインは、上記で記載されたもの及び表7におけるものにドメイン交換される方向性にて前記脂質関連ペプチドに共有結合される。具体的には、脂質関連ペプチドは、脂質関連ペプチドが合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドのN末端であるように、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインに共有結合される。表8は、アポリポタンパク質Eの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせを含む開示された合成アポE模倣体の非限定例を提供し、前記受容体結合ドメインは、ドメインが交換される方向性にて前記脂質関連ペプチドに共有結合される。
表8:ドメイン交換ペプチド

【0219】
開示されたドメイン交換された合成アポE模倣体も、アセチル基及びアミノ基を用いてN末端保護することができる。
【0220】
ii.逆方向性のペプチド
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣ペプチドであり、前記受容体結合ドメインは、逆方向性にて前記脂質関連ペプチドに共有結合される。例えば、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣ペプチドであり、受容体結合ドメインの配列または脂質関連ペプチドの配列のいずれかまたは双方の配列が逆方向性にある。また、開示されるのは、アポリポタンパク質Bの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせからなる合成アポE模倣ペプチドであり、前記受容体結合ドメインは、逆方向性にて前記脂質関連ペプチドに共有結合される。表9は、アポリポタンパク質Eの開示された受容体結合ドメインと開示された脂質関連ペプチドの組み合わせを含む開示された合成アポE模倣ペプチドの非限定例を提供し、前記受容体結合ドメインは、逆方向性にて前記脂質関連ペプチドに共有結合される。
表9:逆方向性のペプチド

【0221】
iii.スクランブルされたペプチド
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドからなる合成アポE模倣ペプチドであり、前記受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合され、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインは、スクランブルされる。例えば、開示されるのは、D-W-L-K-A-F-V-Y-D-K-V-F-K-L-K-E-F-F(配列番号69)のアミノ酸配列を含むアポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドからなる合成アポリポタンパク質E模倣ペプチドであり、前記受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合される。また、開示されるのは、アポリポタンパク質Bの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドからなる合成アポE模倣ペプチドであり、前記受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合され、アポリポタンパク質Bの受容体結合ドメインは、スクランブルされる。
【0222】
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドからなる合成アポE模倣ペプチドであり、前記受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合され、脂質関連ペプチドは、スクランブルされる。例えば、本明細書で開示されるのは、E-W-L-K-A-F-V-Y-E-K-V-F-K-L-K-E-F-F(配列番号70)のアミノ酸配列を含むアポリポタンパク質Eの脂質結合ドメインと受容体結合ドメインペプチドを含む合成アポE模倣ペプチドであり、前記脂質結合ドメインは、前記受容体結合ドメインペプチドに共有結合される。
【0223】
また、開示されるのは、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインとアポリポタンパク質Eの脂質関連ペプチドからなる合成アポE模倣体であり、受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合され、受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドの双方がスクランブルされる。表10は、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドを含む開示されたスクランブルされた合成アポE模倣体の非限定例を提供し、前記受容体結合ドメインは、前記脂質関連ペプチドに共有結合され、アポリポタンパク質Eの受容体結合ドメインは、スクランブルされる。
表10:スクランブルされたドメインペプチド
【0224】
開示されたスクランブルされた合成アポE模倣体も、アセチル基及びアミド基を用いてN末端保護及びC末端保護することができる。開示されたスクランブルされた合成アポE模倣体も、上述のように逆方向付けすることができる。
【0225】
iv.連結
本発明に従って任意の好適なリンカーを使用することができる。ペプチド連結は、当該技術で既知の及び以下の参考文献:Spatola(1983)p.267 in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,Peptides,and Proteins,B.Weinstein,編,Marcel Dekker,New York;Spatola(1983)Vega Data 1(3)Peptide Backbone Modifications.(一般的な見解);Morley(1980)Trends Pharm.Sci.pp.463-468(一般的な見解);Hudsonら.(1979)Int J PeptProt Res 14:177-185(--CH2NH--,CH2CH2--);Spatolaら(1986)Life Sci 38:1243-1249(--CH2--S);Hann,(1982)J ChemSoc Perkin Trans I、307-314(--CH--CH--,シス及びトランス);Almquistら (1980)J Med.Chem.23:1392-1398(--COCH2--);Jennings-Whiteら(1982)Tetrahedron Lett.23:2533(--COCH2--);Szelkeら,European Appln.EP45665(1982)CA:97:39405(1982)(--CH(OH)CH2--);Holladayら(1983)Tetrahedron Lett 24:4401-4404(--C(OH)CH2--);及びHruby(1982)Life Sci.,31:189-199(--CH2--S--))にてさらに記載されている方法によって、--CH2NH--、--CH2S--、--CH2--CH2--、--CH=CH--(シス及びトランス)、--COCH2--、--CH(OH)CH2--、--CH2SO--等からなる群から選択することができる。
【0226】
特に好まれる非ペプチド連結の1つは、--CH2NH--である。そのようなペプチド模倣体は、例えば、さらに経済的な製造、高い化学的安定性、向上した医薬特性(半減期、吸収、効能、有効性等)、低下した抗原性及びその他を含むポリペプチドの実施形態にわたって有意な利点を有し得る。
【0227】
一態様において、リンカーは、切断可能なリンカーである。少ない例ではあるが、切断可能なリンカーには、プロテアーゼ切断可能なペプチドリンカー、ヌクレアーゼ感受性の核酸リンカー、リパーゼ感受性の脂質リンカー、グリコシダーゼ感受性の炭水化物リンカー、pH感受性のリンカー、低酸素感受性のリンカー、光切断可能なリンカー、熱不安定性リンカー、酵素切断可能なリンカー(例えば、エステラーゼ切断可能なリンカー)、超音波感受性のリンカー、X線切断可能なリンカー等が挙げられる。
【0228】
5.変異体
受容体結合ドメインまたは脂質関連ペプチドは、上述のように修飾するまたは変化させることができる。例えば、受容体結合ドメインまたは脂質関連ペプチドを変異させる、スクランブルする、及び/または逆方向性にすることができる。二重ドメインポリペプチドのために本明細書で開示される任意の他の修飾または変化を単一ドメインペプチドにも使用することができる。
【0229】
本明細書で開示されたペプチドの多数の他の変異体または誘導体も熟考される。例えば、スクランブルされたペプチドを逆方向性にすることができ、または交換された方向性にすることができる。さらに、逆方向性のペプチドを交換された方向性にすることができる。開示されたペプチドの他の組み合わせ全ても熟考される。ペプチドの非限定例は、本明細書で記載されている(例えば、表1~5を参照されたい)。本明細書で使用されるとき、用語「類似体」は、「変異体」及び「誘導体」と相互交換可能に使用される。変異体及び誘導体は、当業者によく理解されており、アミノ酸配列の修飾が関与し得る。そのようなアミノ酸配列の修飾は、通常、3つのクラス:実質的な変異体、挿入変異体または欠失変異体の1以上に入る。挿入には、単一または複数のアミノ酸残基のアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の融合と同様に配列内の挿入が挙げられる。挿入は、普通、例えば、1~4の残基の幅で、アミノ末端またはカルボキシル末端の融合のものより小さな挿入である。これらの変異体は、普通、タンパク質をコードするDNAにおけるヌクレオチドの部位特異的変異誘発を行い、それによって変異体をコードするDNAを作出し、その後組換え細胞の培養にてDNAを発現させることによって調製される。既知の配列を有するDNAにて所定の部位で置換変異を行う技法は周知であり、例えば、M13プライマー変異誘発及びPCR変異誘発。アミノ酸置換は、通常、単一の残基であるが、同時に多数の異なる位置で生じることができる。置換、欠失、挿入またはその任意の組み合わせを組み合わせて、最終的な誘導体または類似体に到達し得る。置換変異体は、少なくとも1つの残基が取り除かれ、その場所に種々の残基が挿入されるものである。そのような置換は、一般に、表11及び12に従って行われ、保存的置換と呼ばれる。
【0230】
機能のまたは免疫的な同一性における実質的な変化は、表11のものより保存性ではない置換を選択すること、すなわち、(a)置換の領域におけるポリペプチド主鎖の構造、例えば、シートまたは螺旋の立体構造、(b)標的部位での分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩高さを維持することに対するその効果においてさらに有意に異なる残基を選択することによって起こされる。一般に、タンパク質の特性において最大の変化を生じると予想される置換は、(a)親水性残基、例えば、セリルまたはスレオニルが疎水性残基、例えば、ロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニル;トリプトファン、チロシニルで置換される、(b)システインまたはプロリンが任意の他の残基で置換される、(c)電気的に正の側鎖を有する残基、例えば、リシル、アルギニルまたはヒスチジルが電気的に負の残基、例えば、グルタミルまたはアスパルチルで置換される;または(d)嵩高の側鎖を有する残基、例えば、フェニルアラニンが側鎖を有さないもの、この場合、例えば、グリシンで(またはによって)置換される、または(e)硫酸化及び/またはグリコシル化のための部位の数を増やすことによるものである。
表11:アミノ酸置換

表12:アミノ酸略語
【0231】
本明細書で開示されるタンパク質の変異体及び誘導体を定義する方法の1つは、特定の既知の配列に対する相同性/同一性という点でそれらを定義することであることを理解されたい。具体的に開示されるのは、本明細書で具体的に引用される合成アポE模倣体に対して少なくとも、70%または少なくとも75%または少なくとも80%または少なくとも85%または少なくとも90%または少なくとも95%の相同性を有する、本明細書で開示される合成アポE模倣体または他のタンパク質またはペプチドの変異体である。当業者は、2つのタンパク質の相同性をどのように決定するのかを容易に理解する。
【0232】
ポリペプチドは、例えば、翻訳後プロセッシングのような天然の過程によって、または当該技術で周知である化学修飾法によって修飾することができる。修飾は、ペプチド主鎖、アミノ酸の側鎖及びアミノ末端またはカルボキシル末端を含むポリペプチドのどこでも生じることができる。所与のポリペプチドにて同じ型の修飾がいくつかの部位で同じ程度にまたは様々な程度に存在することができる。また、所与のポリペプチドは、多数の型の修飾を有することができる。修飾には、限定しないで、アセチル化、アシル化、ADP-リボシル化、アミド化、共有結合架橋または環化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ヌクレオチドまたはヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、システインまたはピログルタミン酸の形成、ホルミル化、γ-カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨード化、メチル化、イリストイル化、酸化、ペグ化、タンパク質分解処理、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、及びアルギニル化のような転移RNAが介在するタンパク質へのアミノ酸の付加が挙げられる(Proteins-Structure and Molecular Properties 第2版,T.E.Creighton,W.H.Freeman and Company,New York(1993);Posttranslational Covalent Modification of Proteins,B.C.Johnson編,Academic Press,New York,pp.1-12(1983)を参照されたい)。
【0233】
変異体は、ペプチド模倣体も含むことができる。本明細書で使用されるとき、「ペプチド模倣体」は、正常なペプチド化合物の一部の変化を含むタンパク質の機能の模倣体を意味する。ペプチド模倣体は、通常、生物特性にて特定のタンパク質の1以上の機能を模倣する短い配列のアミノ酸である。ペプチド類似体は、元々のペプチドの一部の特性を高め、例えば、安定性を高め、有効性を高め、送達を向上させ、半減期等を延ばす。既知のポリペプチド配列に基づいてペプチド模倣体を作製する方法は、例えば、米国特許第5,631,280号;同第5,612,895号;及び同第5,579,250号に記載されている。ペプチド模倣体の使用には、所与の位置での非アミド結合を伴う非アミノ酸残基の組み入れが関与することができる。本発明の一実施形態は、化合物が結合、好適な模倣体で置き換えられたペプチド主鎖またはアミノ酸成分を有するペプチド模倣体である。好適なアミノ酸模倣体であり得る非天然のアミノ酸の一部の非限定例には、β-アラニン、L-α-アミノ酪酸、L-γ-アミノ酪酸、L-α-アミノイソ酪酸、L-ε-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、N-ε-Boc-N-α-CBZ-L-リジン、N-ε-Boc-N-α-Fmoc-L-リジン、L-メチオニンスルホン、L-ノルロイシン、L-ノルバリン、N-α-Boc-N-δCBZ-L-オルニチン、N-δ-Boc-N-α-CBZ-L-オルニチン、Boc-p-ニトロ-L-フェニルアラニン、Boc-ヒドロキシプロリン、及びBoc-L-チオプロリンが挙げられる。
【0234】
6.核酸
本明細書が種々のペプチド配列を議論するので、それらのポリペプチド配列をコードすることができる核酸も開示されることが理解される。これには、特定のポリペプチド配列に関連する縮重した配列全て、すなわち、特定のポリペプチド配列1つをコードする配列を有する核酸全てと同様にタンパク質配列の開示された変異体及び誘導体をコードする縮重した核酸を含む核酸全てが含まれる。従って、各特定の核酸配列は、本明細書で書き出されなくてもよいが、各配列及びあらゆる配列が実際開示され、開示されたポリペプチド配列を介して本明細書で記載されることが理解される。
【0235】
7.ブロッキング基/保護基及びD残基
開示された組成物は、アセチル基とそれに続く保護基とを含んでもよい。保護基は、限定されないが、脂肪酸であってもよい。脂肪酸は、飽和、不飽和または必須脂肪酸であってもよい。脂肪酸には、DHA、EPA、リノール酸、またはミリスチン酸などの任意の他の飽和アミノ酸が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0236】
本明細書で記載される種々の組成物は、保護基なしで示され得るが、特定の実施形態(例えば、特に経口投与用では)において、それらは、1、2、3、4以上の保護基を持つことができる。保護基は、ペプチド(複数可)のC末端及び/またはN末端及び/またはペプチド(複数可)を含む1以上の内部残基にカップリングすることができる(例えば、構成アミノ酸上の1以上のR基をブロックすることができる)。従って、例えば、特定の実施形態において、本明細書で記載されるペプチドのいずれかは、例えば、アミノ末端を保護するアセチル基及び/またはカルボキシル末端を保護するアミド基を持つことができる。そのような「二重保護されたペプチド」の一例は、ブロッキング基を持つAc-LRKLRKRLLRDWLKAFYDKVAEKLKEAF-NH2(配列番号1)であり、これらの保護基のいずれかまたは双方を排除することができ、及び/または本明細書で記載されるような別の保護基で置換することができる。特定の理論に束縛されないで、本発明の主題ペプチドの特にアミノ末端及び/またはカルボキシル末端の遮断は、経口送達を改善することができ、血清半減期を増やすこともできることは本発明の発見だった。
【0237】
多数の保護基がこの目的に好適である。そのような基には、アセチル基、アミド基及びアルキル基が挙げられるが、これらに限定されず、アセチル基及びアルキル基はN末端の保護に特に好まれ、アミド基はカルボキシル末端の保護に好まれる。例えば、保護基には、脂肪酸におけるようなアルキル鎖、プロペオニル、ホルミル等を挙げることができるが、これらに限定されない。カルボキシル保護基には、アミド、エステルが挙げられ、エーテル形成保護基も使用することができる。例えば、アセチル基を用いてアミノ末端を保護することができ、アミド基を用いてカルボキシル末端を保護することができる。これらのブロッキング基は、ペプチドの螺旋形成傾向を高める。追加のブロッキング基には、種々の長さのアルキル基、例えば、式CH3(CH2nCOを有する基が挙げられ、式中、nは約1~約20、好ましくは約1~約16または18、さらに好ましくは約3~約13、最も好ましくは約3~約10である。
【0238】
さらに、保護基には、脂肪酸におけるようなアルキル鎖、プロペオニル、ホルミル等が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、カルボキシル保護基には、アミド、エステル、及びエーテル形成保護基を挙げることができる。これらのブロッキング基は、ペプチドの螺旋形成傾向を高めることができる。ブロッキング基には、種々の長さのアルキル基、例えば、式CH3(CH2nCOを有する基を挙げることができ、式中、nは約3~約20、好ましくは約3~約16、さらに好ましくは約3~約13、最も好ましくは約3~約10である。
【0239】
他の保護基には、Fmoc、t-ブトキシカルボニル(t-BOC)、9-フルオレンアセチル基、1-フルオレンカルボキシル基、9-フルオレンカルボキシル基、9-フルオレン-1-カルボキシル基、ベンジルオキシカルボニル、キサンチル(Xan)、トリチル(Trt)、4-メチルトリチル(Mtt)、4-メトキシトリチル(Mmt)、4-メトキシ-2,3,6-トリメチル-ベンゼンスルホニル(Mtr)、メシチレン-2-スルホニル(Mts)、4,4-ジメトキシベンズヒドリル(Mbh)、トシル(Tos)、2,2,5,7,8-ペンタメチルクロマン-6-スルホニル(Pmc)、4-メチルベンジル(MeBzl)、4-メトキシベンジル(MeOBzl)、ベンジルオキシ(BzlO)、ベンジル(Bzl)、ベンゾイル(Bz)、3-ニトロ-2-ピリジンスルフェニル(Npys)、1-(4,4-ジメチル-2,6-ジアクソシクロヘキシリデン)エチル(Dde)、2,6-ジクロロベンジル(2,6-DiCl-Bzl)、2-クロロベンジルオキシカルボニル(2-Cl-Z)、2-ブロモベンジルオキシ-カルボニル(2-Br-Z)、ベンジルオキシメチル(Bom)、シクロヘキシルオキシ(cHxO)、t-ブトキシメチル(Bum)、t-ブトキシ(tBuO)、t-ブチル(tBu)、アセチル(Ac)、及びトリフルオロアセチル(TFA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0240】
保護基/ブロッキング基は、本発明のペプチドを含む適当な残基(複数可)にそのような基をカップリングする方法がそうであるように、当業者に周知である(例えば、Greeneら(1991)、Protective Groups in Organic Synthesis,第2版,John Wiley & Sons,Inc.Somerset,N.J.を参照されたい)。例えば、アセチル化は、ペプチドが無水酢酸を用いた樹脂上にある場合、合成の間に達成することができる。アミド保護は、合成のための適当な樹脂を選択することによって達成することができる。
【0241】
本明細書で開示された組成物は、本明細書で記載されるような1以上のD形態の(レボではなくデキストロ)アミノ酸を含むこともできる。例えば、少なくとも2つのエナンチオマーアミノ酸、少なくとも4つのエナンチオマーアミノ酸、または少なくとも8または10のエナンチオマーアミノ酸は、「D」形態のアミノ酸であってもよい。さらに、本明細書で記載されるペプチドの2つに1つまたはあらゆるアミノ酸(例えば、あらゆるエナンチオマーアミノ酸)は、「D」形態のアミノ酸である。
【0242】
さらに、エナンチオマーアミノ酸の少なくとも50%は、「D」形態のアミノ酸であることができ、エナンチオマーアミノ酸の少なくとも80%は、「D」形態であることができ、エナンチオマーアミノ酸の少なくとも90%または全てさえは、「D」形態のアミノ酸であってもよい。
【0243】
FMOC-Ahaは、正常アミノ酸鎖伸長手順(縮合剤としてHOBt+DCCまたはHBTUを使用)を用いて、最後のアミノ酸として成長鎖に加えてもよい。DMF中の20%ピペリジンを用いてFMOC基の除去後、NH2は、塩基条件下で過剰の無水酢酸を用いるか、または、ペプチド鎖伸長に用いたアミノ酸縮合剤を用いて酢酸を縮合するかのいずれかでアセチル化することができる。
【0244】
C.医薬組成物
開示されるのは、本明細書で開示される合成アポE模倣ペプチドのいずれかと薬学上許容可能な担体とを含む医薬組成物である。
【0245】
「薬学上許容可能な」によって、当業者に周知であるように、有効成分の任意の分解を出来るだけ抑えるように、且つ対象における任意の有害な副作用を出来るだけ抑えるように選択される物質または担体を意味する。担体の例には、ジミリストイルホスファチジル(DMPC)、リン酸緩衝化生理食塩水、または多小胞リポソームが挙げられる。例えば、PG:PC:コレステロール:ペプチドまたはPC:ペプチドは、本発明にて担体として使用することができる。他の好適な薬学上許容可能な担体及びその製剤化は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(第19版)編.A.R.Gennaro,Mack Publishing Company,Easton,PA、1995にて記載されている。通常、適当な量の薬学上許容可能な塩を製剤で用いて製剤を等張にする。薬学上許容可能な担体の他の例には、生理食塩水、リンガー溶液及びデキストロース溶液が挙げられるが、これらに限定されない。溶液のpHは、約5~約8、または約7~約7.5であってもよい。さらなる担体には、組成物を含有する固形の疎水性ポリマーの半透過性マトリクスのような持続する放出製剤が挙げられ、そのマトリクスは、成形された物品、例えば、フィルム、ステント(血管形成処置の間に血管に埋め込まれる)、リポソームまたは微粒子の形態である。例えば、投与経路及び投与される組成物の濃度に応じて特定の担体がさらに好ましくてもよいことは当業者に明らかであろう。これらは最も典型的には、例えば、無菌の水、生理食塩水、及び生理的pHで緩衝化された溶液のような溶液を含むヒトへの薬剤の投与のための標準の担体である。
【0246】
医薬組成物には、本発明のポリペプチド、ペプチド、核酸、ベクターの意図される活性が危うくされない限り、担体、増粘剤、希釈剤、緩衝液、保存剤等も含まれ得る。医薬組成物には、1以上の有効成分(本発明の組成物に加えて)、例えば、抗菌剤、抗炎症剤、麻酔薬等も含まれ得る。医薬組成物は、局所治療または全身治療が所望かどうかに応じて及び治療される領域に応じて多数の方法で投与され得る。
【0247】
非経口投与の製剤には、無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液及びエマルジョンが含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、例えば、オリーブ油のような植物油、及び例えば、オレイン酸エチルのような注射可能な有機エステルである。水性担体には、生理食塩水及び緩衝化媒体を含む、水、アルコール性/水性の溶液、エマルジョンまたは懸濁液が挙げられる。非経口のビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、乳酸化リンガー溶液、または固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養補給液、電解質補給液(例えば、リンガーのデキストロースに基づくもの)等が挙げられる。保存剤及び他の添加剤、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤及び不活性気体等も存在してもよい。
【0248】
局所投与のための製剤には、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、点滴剤、坐薬、スプレー、液体及び粉末が含まれていてもよい。従来の医薬担体、水性基剤、粉末基剤、油性基剤、増粘剤等が必要または所望されてもよい。
【0249】
経口投与のための組成物には、粉末または顆粒、水または非水性媒体における懸濁液または溶液、カプセル、サシェまたは錠剤が挙げられる。増粘剤、風味剤、希釈剤、乳化剤、分散助剤、または結合剤が望ましくてもよい。組成物の一部は、例えば、塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硝酸、チオシアン酸、硫酸及びリン酸のような無機酸、及び例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、及びフマル酸のような有機酸との反応によって形成される、または、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウムのような無機塩基、及び、例えば、モノ-、ジ-、トリ-アルキル及びアリールアミン及び置換されたエタノールアミンのような有機塩基との反応によって形成される薬学上許容可能な酸付加塩または塩基付加塩として投与される可能性があり得る。
【0250】
D.LDL及びVLDLに影響を及ぼす方法
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受ける。アポE模倣ペプチドは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであってもよく、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含む。例えば、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であってもよい。
【0251】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、合成アポE模倣ペプチドを、合成アポE模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0252】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0253】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0254】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0255】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0256】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0257】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0258】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0259】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、前記合成アポE模倣ペプチドは、約0.01mg/kg~約20mg/kgの量で投与される。例えば、アポE模倣ペプチドの濃度は、0.01、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mg/kg、またはその間の任意の範囲であり得る。
【0260】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを対象に投与することを含む方法であって、それによって、血漿LDL、血漿VLDL、または双方が影響を受け、対象は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、糖尿病、アルツハイマー病、PAD、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、及び/または鬱血性心不全、または細菌感染症を有する。
【0261】
E.血漿コレステロールの減少方法
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法である。アポE模倣ペプチドは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであってもよく、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含む。例えば、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であってもよい。
【0262】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、合成アポE模倣ペプチドを、合成アポE模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0263】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0264】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0265】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0266】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0267】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0268】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0269】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0270】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、前記合成アポE模倣ペプチドは、約0.01mg/kg~約20mg/kgの量で投与される。例えば、アポE模倣ペプチドの濃度は、0.01、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mg/kg、またはその間の任意の範囲であり得る。
【0271】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、血漿コレステロールの減少方法であり、対象は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、糖尿病、アルツハイマー病、PAD、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、及び/または鬱血性心不全を有する。
【0272】
F.アテローム性動脈硬化症の治療方法
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法である。アポE模倣ペプチドは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであってもよく、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含む。例えば、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であってもよい。
【0273】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、合成アポE模倣ペプチドを、合成アポE模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0274】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0275】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0276】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0277】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0278】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0279】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0280】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0281】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、前記合成アポE模倣ペプチドは、約0.01mg/kg~約20mg/kgの量で投与される。例えば、アポE模倣ペプチドの濃度は、0.01、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mg/kg、またはその間の任意の範囲であり得る。
【0282】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、糖尿病、アルツハイマー病、PAD、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、及び/または鬱血性心不全を有する。
【0283】
G.脂質障害の治療方法
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法である。アポE模倣ペプチドは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドであってもよく、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含む。例えば、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であってもよい。
【0284】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、合成アポE模倣ペプチドを、合成アポE模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む組成物として投与する。
【0285】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、LDLの対象の細胞への結合を高める。
【0286】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象の細胞によるLDLの分解を増加させる。
【0287】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象におけるLDLコレステロールを低下させる。
【0288】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、VLDLの対象の細胞への結合を高める。
【0289】
開示されるのは、開示された合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つを含む組成物の有効量を対象に投与することを含む、アテローム性動脈硬化症の治療方法であり、対象の細胞によるVLDLの分解を増加させる。
【0290】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象におけるVLDLコレステロールを低下させる。
【0291】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、対象におけるコレステロールの血漿中総濃度を低下させる。
【0292】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、前記合成アポE模倣ペプチドは、約0.01mg/kg~約20mg/kgの量で投与される。例えば、アポE模倣ペプチドの濃度は、0.01、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20mg/kg、またはその間の任意の範囲であり得る。
【0293】
開示されるのは、開示されたアポE模倣ペプチドまたはその組成物のいずれか1つの有効量を対象に投与することを含む、脂質障害を有する対象の治療方法であり、脂質障害は、冠状動脈疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、糖尿病、アルツハイマー病、PAD、脳血管疾患、糖尿病由来の循環器疾患、黄斑変性症、及び/または鬱血性心不全であってもよい。
【0294】
H.モノクローナル抗体
開示されるのは、本明細書で記載される合成アポE模倣ペプチドのいずれか1つに特異的に結合するモノクローナル抗体である。
【0295】
I.投与計画
開示されるのは、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれかの少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期とを含む投与計画である。投与計画の休止期は、アポE模倣ペプチドを投与しない期間である。アポE模倣ペプチドは、限定されないが、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であり得る。
【0296】
開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期とを含む投与計画であって、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されない。アポE模倣ペプチドの有効量は、持続する治療効果を生じるだけでなく、それは急性の有益な効果を引き起こすのに十分な量でもある。従って、アポE模倣ペプチドの効果は、治療サイクルの間、治療サイクルの終了時、及び休止期の間に測定することができ、見ることができる。持続する治療効果は、急性のコレステロール低下効果がなくなった後でさえ見られる治療効果である。
【0297】
本明細書で開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期を含む投与計画であって、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣体の中止の後、持続する治療効果を可能にすることを含み、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、治療サイクルは、週に1回で3ヵ月間、有効量のアポE模倣ペプチドを投与することを含み、または治療サイクルは、2週ごとに1回の12週間まで有効量のアポE模倣ペプチドを投与することを含む。
【0298】
開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期とを含む投与計画であって、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、投与計画は、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含む。
【0299】
一態様において、投与計画は、少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期とを含んでもよく、治療サイクルは、アポEの受容体結合ドメインと脂質関連ペプチドとを含む合成アポE模倣ペプチドの有効量を投与して、アポE模倣ペプチドの中止の後、持続する治療効果を可能にすることを含み、アポE模倣ペプチドは、休止期の間、投与されず、合成アポE模倣ペプチドは、Ac-Ahaを含む。
【0300】
投与計画は、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含むことができる。第2の休止期は、第2の治療サイクルの後に存在することができる。場合によっては、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9または第10の治療サイクルを投与することができ、各治療サイクルには休止期が続く。一態様において、投与計画は、無限の治療サイクルを含み、それぞれそれには休止期が続く。例えば、対象は、生涯にわたって連続する治療サイクルとそれに続く休止期とを含む投与計画を処方され得る。
【0301】
一態様において、第2の投与計画は、アテローム性動脈硬化病変の再発または他のアテローム性動脈硬化因子に基づいて処方することができる。第2の投与計画は、当初の投与計画が投与された1、2、3、4、5年後、または5年を上回った後に投与することができる。第2の投与計画は、当初の投与計画と同じであることができ、または異なることができる。例えば、当初の投与計画は、3ヵ月の治療サイクルとそれに続く1年の休止期であってもよい。1年の休止期の後、対象を検査することができ、アテローム性動脈硬化病変が再び集積しているのであれば、その時は、別の3ヵ月の治療サイクルとそれに続く休止期または6ヵ月の治療サイクルとそれに続く休止期からなる第2の投与計画を処方することができる。アポE模倣体の用量は、当初の投与計画と任意のさらに処方される投与計画との間で変化することができる。
【0302】
場合によっては、第2の投薬は、第1の治療後に対象で判断された血管応答性、収縮期の高血圧症の存在、または労作性狭心症に基づいて投与することができる。場合によっては、第2の投薬は、血漿コレステロールの量に基づいて投与することができる。投与頻度は、血漿コレステロールを減少させる必要性に応じて変化させ、本明細書で開示される障害のいずれかのリスクを最小限または排除することができる。
【0303】
1.治療サイクル
治療サイクルは、種々の投与量のアポE模倣ペプチドの投与と同様に種々の時点での投与を含むことができる。アポE模倣ペプチドは、6ヵ月までの種々の時間量で投与することができる。場合によっては、投与は、1、2、3、4、5または6ヵ月までの間で存在することができる。例えば、アポE模倣ペプチドは、週に1回、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、または24週間投与することができる。
【0304】
各治療サイクルの時間の長さは、投薬当たり投与されるアポE模倣ペプチドの量に応じて変化することができる。治療サイクルは、週に1回、2回または3回のアポE模倣ペプチドの投与を含むことができる。いくつかの態様において、アポE模倣ペプチドを毎日投与することができる。いくつかの態様において、アポE模倣ペプチドを2週ごとに1回または月に1回でさえ投与することができる。場合によっては、アポE模倣体を2週ごとに4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24週間投与することができる。例えば、治療サイクルは、週に1回で4週間または2週ごとに1回で6ヵ月までアポE模倣ペプチドを投与することを含むことができる。従って、各治療サイクルは、投与について確立した長さの時間と同様にその時間枠の間、確立した投薬スケジュールを含む。
【0305】
一態様において、治療サイクルの間に1を超えるアポE模倣ペプチドを投与することができる。1を超えるアポE模倣ペプチドは、一緒にまたは別々の組成物にて製剤化することができる。場合によっては、1以上のアポE模倣体が、例えば、コレステロール低下薬のような1以上の他の治療剤と併用して投与される。
【0306】
2.休止期
開示された投与計画は、少なくとも1回の治療サイクルとそれに続く休止期とを含むことができる。休止期は、アポE模倣ペプチドが投与されない時期であり、時期の長さは変化することができる。休止期の長さは、治療サイクルの間に投与されたアポE模倣体の持続する治療効果がどれだけ長く続くかに依存する。場合によっては、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヵ月であってもよい。場合によっては、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10年であってもよい。例えば、休止期は、少なくとも4週間(1ヵ月)であってもよい。
【0307】
休止期がどれくらい長く続くべきかを決定する方法の1つは、対象を検査して対象の動脈にてアテローム性動脈硬化の負荷の進行を判定することである。アテローム性動脈硬化の負荷が循環器疾患のリスクを高めるレベルまで進行しているのであれば、その時は、対象は、第2の投与計画を処方され得る。アテローム性動脈硬化の負荷が安定しているのであれば、その時は休止期を延長することができる。休止期の長さは、VLDL低下、LDL低下、グルコース低下、炎症低下、血管応答性、収縮期の高血圧症の存在、または労作性狭心症、または血漿コレステロール量に基づくものであってもよい。対象を定期的に検査することができる。例えば、3、6、9、12、18、24、30または36ヵ月ごとに対象を検査することができる。
【0308】
一態様において、休止期は、治療サイクルの間に投与されるアポE模倣ペプチドの量及び達成されるアテローム性動脈硬化の軽減に応じて減らすことができ、または延ばすことができる。例えば、治療サイクルの間でアポE模倣ペプチドの用量が増し、アテローム性動脈硬化の負荷が実質的に軽減するのであれば、休止期を延ばすことができる。休止期の長さは、治療サイクルの長さに基づいて変化することもできる。例えば、対象が特定の用量のアポE模倣ペプチドを週に1回で3ヵ月間受け取っているのであれば、その時、休止期は、同じ用量のアポE模倣体を週に1回で6ヵ月間受け取っている対象よりも短い可能性がある。
【0309】
アポE模倣体は休止期の間には投与されないが、アポE模倣体以外のアテローム性動脈硬化治療剤は、休止期の間に投与することができる。アポE模倣体以外のアテローム性動脈硬化治療剤は、従来の脂質低下剤、例えば、スタチン、胆汁酸金属イオン封鎖剤またはフィブラート、またはCETP阻害剤、VLDL合成阻害剤、PCSK9阻害剤のような新規のアテローム性動脈硬化治療剤、及び/または動脈炎症阻害剤であってもよい。言い換えれば、アポE模倣体以外のアテローム性動脈硬化治療剤は、従来のLDL低下治療剤またはHDL上昇治療剤であってもよい。
【0310】
場合によっては、アポE模倣体の有益な効果は、治療サイクルが完了した後でさえ対象にて依然として存在することができる。一例において、アポE模倣体の半減期は、1、2、3、4、5、10、15、20、25または30日未満である。場合によっては、アポE模倣体は、治療サイクルが完了した後の対象にてもはや検出可能ではない。従って、長期の治療効果は、残留するアポE模倣体に由来するものではない。
【0311】
3.用量
アポE模倣ペプチドの用量または投与量は、例えば、患者における年齢、状態、性別及び疾患の程度、投与経路、治療サイクルの長さ、または他の薬剤が計画に含まれるどうかのような、これらに限定されないが、多数の因子に応じて変化することができ、当業者によって決定されることができる。
【0312】
有効な投与量は、経験的に決定することができ、そのような決定を行うことは当該技術の技量の範囲内である。組成物の投与のための投与量範囲は、疾患が治療される所望の効果を生じるのに十分大きなものである。例えば、投与量は、治療効果を提供するのに有効な量、及び治療(すなわち、アポE模倣ペプチド)が中止された後でさえ持続する治療効果を提供するまたは可能にするのに有効な量であってもよい。治療効果は、アテローム性動脈硬化病変の軽減、動脈壁硬化の減少、収縮期高血圧の低下、血管応答性の上昇、心機能の改善であってもよいが、これらに限定されない。治療効果は、例えば、C反応性タンパク質のような、これに限定されないが、動脈炎症のマーカーによって測定することができる。治療効果は、MRI、血管内超音波、超高速画像CTスキャン、Bモード超音波検査、仮想組織学、血管内超音波、光干渉性断層撮影、または他の既知の方法を含むアテローム性動脈硬化画像技術によって測定することができる。
【0313】
投与量は、例えば、望ましくない交差反応、アナフィラキシー反応等のような有害な副作用を起こすほど大きくすべきではない。投与量は、対抗適応の事象にて個々の内科医によって調整され得る。投与量は変化することができ、毎日1以上の用量投与で1日または数日間投与することができる。医薬品の所与のクラスについて適当な投与量についての文献にて指針を見いだすことができる。
【0314】
好適な投与量には、0.01mg/kg~20mg/kgの間の量が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、本明細書で開示されるのは、対象に開示されたアポE模倣ペプチドの1以上を投与することを含む方法であり、アポE模倣ペプチドは、約0.01mg/kg~約20mg/kgの量で投与される。例えば、アポE模倣ペプチドの濃度は、0.01、0.1、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20mg/kgであり得る。
【0315】
アポE模倣ペプチドの用量をボーラス注射としてまたは1時間以上の点滴として投与することができる。
【0316】
J.投与計画を用いた治療方法
少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与することと、それに続く休止期とを含む、急性冠症候群(ACS)またはアテローム性動脈硬化症の治療方法を提供する。例えば、アポE模倣ペプチドは、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2であってもよい。従って、開示された方法は、1以上の開示された投与計画を用いてアポE模倣ペプチドを投与することを含む。従って、開示される治療サイクルまたは休止期のいずれかを開示された方法で使用することができる。本明細書で開示される方法は、治療剤の非存在下でさえ持続する治療効果を可能にすることができる。開示された方法は、有効量のアポE模倣体の投与を含むことができる。有効量のアポE模倣体は、アポE模倣体を中止した後に持続する治療効果を可能にすることができる量であり得る。
【0317】
本明細書で開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与することを含むACSの治療方法であり、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、休止期の間アポE模倣ペプチドは投与されない。
【0318】
本明細書で開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与することを含むACSの治療方法であり、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、休止期の間、アポEペプチドは投与されず、休止期は、少なくとも4週間である。
【0319】
本明細書で開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与することを含むACSの治療方法であり、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、休止期の間、アポEペプチドは投与されず、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含む。第2の治療サイクルは、4週間の休止期の後、または当初の治療サイクルの開始から1年後に投与することができる。
【0320】
本明細書で開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与することを含むACSの治療方法であり、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、休止期の間、アポEペプチドは投与されず、アポE模倣ペプチド以外のACS治療剤は、休止期の間に投与される。アポE模倣ペプチド以外のACS治療剤は、従来のLDL低下療法またはHDL上昇療法であり得る。従来のLDL低下療法は、限定されないが、スタチンであり得る。HDL上昇療法は、限定されないが、アポA1上昇剤、CETP阻害剤、ホスホリパーゼA2阻害剤、アポA1ミラノ、またはアポA1模倣体であり得る。
【0321】
本明細書で開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量のアポE模倣体を投与することを含むアテローム性動脈硬化症の治療方法であり、治療サイクルは、有効量のアポE模倣体を投与して、アポE模倣体の中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、アポE模倣体は、Ac-Aha-hE18A-NH2またはAc-Aha-[R]hE18A-NH2ペプチドからなり、治療サイクルには休止期が続き、休止期の間、アポE模倣体は投与されない。
【0322】
本明細書で開示されるのは、少なくとも1回の治療サイクルの間、有効量の開示されたアポE模倣ペプチドのいずれか1つを投与することを含むACSの治療方法であり、治療サイクルは、有効量のアポE模倣ペプチドを投与して、アポE模倣ペプチドの中止後、持続する治療効果を可能にすることを含み、治療サイクルには休止期が続き、休止期の間、アポEペプチドは投与されず、治療サイクルは、週に1回で3ヵ月間、有効量のアポE模倣ペプチドを投与することを含む。
【0323】
開示された治療方法は、対象に応じて種々の時間で存在することができる。特に、治療は、循環器事象または脳血管事象のリスクが高いまたは高い残留リスクがあると見なされる対象にて存在することができる。一例において、治療は、急性冠状動脈事象に続いて対象が安定化された後、開始することができる。一例において、治療は、急性冠状動脈事象の直後、または急性冠状動脈事象の3、6、9または12ヵ月後、開始することができる。治療は、例えば、冠状動脈バイパス手術(CABG)、経皮冠動脈介入(血管形成、PCI)、または冠状動脈へのステントの埋め込みのような急性の介入心臓処置に続いて開始することができる。高リスクであると見なされる対象は、ホモ接合型家族性高コレステロール血症(FH)、重度難治性FH、糖尿病を有する個体、または急性冠症候群(ACS)後の個体であってもよい。高リスクの対象では、治療を延長することができる。
【0324】
1.治療サイクル
治療サイクルは、投与計画に関して前に記載したように、時間の長さで変化することができる。治療サイクルは、少なくとも4週間であってもよいが、6ヵ月まで続くことができる。一例において、開示された方法は、有効量のアポE模倣ペプチドの週1回で1ヵ月間(4週間)、3ヵ月間(12週間)または6ヵ月間(24週間)の投与が関与する治療サイクルを有する。治療サイクルには、週1回、2回または3回のアポE模倣ペプチドの投与が含まれ得る。いくつかの態様において、アポE模倣ペプチドは、毎日投与することができる。いくつかの態様において、アポE模倣ペプチドは、2週ごとに1回またはさらに月に1回投与することができる。場合によっては、アポE模倣ペプチドは、2週間ごとに4、6、8、10、12、14、16、18、20、22または24週間投与することができる。各治療サイクルは、投与についての確立された時間の長さと同様にその時間枠の間での確立された投薬スケジュールを含むことができる。
【0325】
方法は、休止期の後に第2の治療サイクルをさらに含むことができる。一態様において、第2の治療サイクルは4週間の休止期の後に投与することができる。別の態様において、第2の治療サイクルは、当初の治療サイクルの開始から少なくとも1年で投与することができる。
【0326】
2.休止期
休止期は、投与計画に関して前に記載したように、少なくとも4週間であってもよいが、数年続くことができる。休止期の間、アポE模倣ペプチドは投与されない。
【0327】
休止期の長さは、治療サイクルの間に投与されたアポE模倣ペプチドの持続する治療効果がどれくらい長く続くかに依存する。場合によっては、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11または12ヵ月であってもよい。場合によっては、休止期は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9または10年であってもよい。例えば、休止期は、少なくとも4週間(1ヵ月)であってもよい。
【0328】
一態様において、休止期は、治療サイクルの間に投与されたアポE模倣ペプチドの用量に応じて減らすことができ、または延長することができる。例えば、治療サイクルの間のアポE模倣ペプチドの用量が増やされるのであれば、休止期を延長することができる。休止期の長さは、治療サイクルの長さに基づいて変化することもできる。例えば、対象が週に1回で3ヵ月間特定の用量のアポE模倣ペプチドを受け取るのであれば、その時は、休止期は、週に1回で6ヵ月間同じ用量のアポE模倣ペプチドを受け取る対象よりも短くてもよい。
【0329】
アポE模倣ペプチドは休止期の間は投与されないけれども、アポE模倣ペプチド以外のアテローム性動脈硬化治療剤は、休止期の間に投与することができる。アポE模倣体以外のアテローム性動脈硬化治療剤は、例えば、スタチンまたは胆汁酸封鎖剤のような従来の脂質低下剤、及び/または、例えば、PCSK9阻害剤、VLDL合成阻害剤、及び/またはCETP阻害剤のような治療剤であってもよい。
【0330】
3.アテローム性動脈硬化症
血管壁におけるLDLの蓄積とLDLに対する炎症反応の組み合わせは、アテローム性動脈硬化症を惹起するのに関与する。血管壁内のLDLは、酸化されるようになり、それは血管壁を損傷し、免疫応答を誘発する。マクロファージのような免疫細胞は、酸化されたLDLを処理することができず、最終的には破裂して、動脈壁におけるさらに多くの酸化されたコレステロールをもたらす。血管壁に対してますます損傷を引き起こすこのサイクルは連続する。コレステロールの増加は、最終的に血管壁の硬化と狭窄を生じるプラークをもたらす。開示された方法は、アテローム性動脈硬化症及び他の脂質障害を治療するのに有用である。
【0331】
K.送達
本明細書で記載される方法では、アポE模倣ペプチドの投与または送達は、種々のメカニズムを介することができる。上記で定義されたように、本明細書で開示されるのは、治療方法、治療するための投与計画及びそれらの投与計画を使用する方法である。投与計画及び方法は、例えば、薬学上許容可能な担体のような担体も含むことができる本明細書で記載されるポリペプチドまたは核酸のいずれか1つ以上を含有する組成物を含む。例えば、開示されるのは、本明細書で開示されるアポE模倣ペプチドと薬学上許容可能な担体とを含む医薬組成物である。
【0332】
開示されたアポE模倣ペプチドは、溶液または懸濁液(例えば、微粒子、リポソームまたは細胞に組み込まれた)であってもよい。これらの組成物は、抗体、受容体または受容体リガンドを介して特定の細胞型に対して標的とされることができる。当業者は、開示された組成物と共にそのような標的剤をどのように作製し、使用するかを知っている。標的剤は、例えば、抗体が抱合されるリポソーム;細胞特異的なリガンドを介した受容体が介在するDNAの標的化;及びインビボでの細胞の高度に特異的なレトロウイルス標的化のようなビヒクルであってもよい。そのような任意のビヒクルは、本明細書の組成物の一部であってもよい。例えば、アポE模倣ペプチドを血管壁に向ける標的剤を組成物に含めることができる。
【0333】
開示された組成物のために任意の好適な投与経路を使用することができる。好適な投与経路には、例えば、局所、腸内、局部、全身性または非経口の経路を挙げることができる。例えば、投与は、経皮、吸入、浣腸、結膜、点眼剤、点耳剤、肺胞、鼻、鼻内、腸内、経口、口腔内、経口腔、腸管、直腸、直腸内、経直腸、注射、点滴、静脈内、動脈内、筋肉内、脳内、心室内、脳室内、心臓内、皮下、骨内、皮内、くも膜下、腹腔内、膀胱内、空洞内、髄内、眼内、頭蓋内、経皮、経粘膜、経鼻、吸入、嚢内、硬膜外、硬膜外、硝子体内等であってもよい。開示された組成物は、任意の他の治療法にて及び任意の他の治療法と共に使用することができる。
【0334】
典型的なペプチド製剤とは異なって、D形態のアミノ酸を含む本発明のペプチドは、胃酸等によるタンパク質分解に対して保護することなく経口でさえ投与することができる。それにもかかわらず、特定の実施形態において、保護的賦形剤の使用によってペプチド送達を向上させることができる。このことは通常、ポリペプチドを組成物と複合体化し、それを酸性及び酵素的な加水分解に耐性にすることによって、または適宜耐性の担体、例えば、リポソームにポリペプチドをパッキングすることによって達成される。経口送達のためにポリペプチドを保護する手段は、当該技術分野で周知である(例えば、治療剤の経口送達のための脂質組成物を記載している米国特許第5,391,377号を参照されたい)。
【0335】
高い血清半減期は、持続放出のタンパク質「パッキング」システムの使用によって維持することができる。そのような持続放出システムは、当業者に周知である。好ましい一実施形態において、タンパク質及びペプチドのためのProLease生分解性マイクロスフェア送達システム(Tracy(1998)、Biotechnol.Prog.,14:108;Johnsonら(1996)、Nature Med.2:795;Herbertら(1998),Pharmaceut.Res.15,357)、他の剤と共にまたはそれを伴わずに乾燥製剤として配合することができるポリマーマトリクスにおける活性剤を含有する生分解性ポリマーマイクロスフェアで構成される乾燥粉末。
【0336】
ProLeaseマイクロスフェア製作工程は、活性剤の完全性を維持しながら、高いカプセル化効率を達成するために具体的に考案された。工程は、(i)安定化賦形剤を伴う薬剤溶液をスプレー凍結乾燥することによるバルクからの凍結乾燥薬剤粒子の調製、(ii)薬剤/ポリマー懸濁液の調製に続く超音波処理または均質化を行って、薬剤の粒度を低下させること、(iii)液体窒素への噴霧化による凍結された薬剤/ポリマーのマイクロスフェアの作出、(iv)エタノールによるポリマー溶媒の抽出、及び(v)最終的な乾燥粉末産物を作出するための濾過及び真空乾燥からなる。得られる粉末は、固形形態の活性剤を含有し、それは、多孔性ポリマー粒子の中で均質に且つ厳格に分散される。工程で最も一般的に使用されるポリマーであるポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLG)は、生体適合性であり且つ生分解性である。
【0337】
カプセル化は、低温(例えば、-40℃)で達成することができる。カプセル化の間、タンパク質は、水の非存在下にて固体状態で維持されるので、タンパク質の水が誘導する立体構造的な移動を出来るだけ抑え、反応物質としての水を含むタンパク質の分解反応を防ぎ、タンパク質が変性を受け得る有機/水性の界面を回避する。好まれる工程は、ほとんどのタンパク質が不溶性であるので高いカプセル化効率(例えば、95%を超える)が得られる溶媒を使用する。
【0338】
別の実施形態において、溶液の1以上の成分を、希釈の準備ができている、例えば、保存容器にて(例えば、予め測定した容量にて)、またはある容量の水に添加する準備ができている可溶性カプセルにて「濃縮物」として提供することができる。
【0339】
前述の製剤及び投与方法は、説明に役立つことが意図されるのであって、限定することは意図されない。本明細書で提供される教示を用いて、他の好適な製剤及び投与の方式を容易に考案することができることが理解されるであろう。
【0340】
1.併用療法
開示された方法の一態様において、アポE模倣体は、単独で、または1以上の追加の治療剤との併用で投与することができる。追加の治療剤は、治療される疾患または症状に基づいて選択される。種々のクラスの好適な医薬剤及び薬剤の記載は、Goodman及びGilman,The Pharmacological Basis of Therapeutics,(第11版,McGraw-Hill Publishing Co.)(2005)にて見いだされ得る。例えば、アポE模倣体を含有する医薬組成物は、アテローム性動脈硬化症を治療するための1以上の既知の治療剤と併用して投与することができる。アテローム性動脈硬化症を治療するための治療剤には、コレステロール低下剤、HDL上昇剤、血圧降下剤、血液菲薄剤(すなわち、血栓を防ぐ薬物)、抗炎症剤及び抗アテローム形成剤が挙げられるが、これらに限定されない。コレステロール低下剤の例には、コレステロール吸収阻害剤、胆汁酸封鎖剤、フィブラート、PCSK9阻害剤、ミクロソームトリグリセリド転移タンパク質阻害剤、アポリポタンパク質B合成阻害剤、またはCETP阻害剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0341】
アポE模倣体は、開示された追加の治療剤のいずれかと併せてまたはそれが後に続いて投与することができる。治療は、LDLアフェレーシス療法と併せてまたはそれが後に続いて投与することができる。
【0342】
併用療法は、投与計画の治療サイクルの間にアポE模倣体と追加の治療剤とを投与することを含むことができる。併用療法は、治療サイクルの間にアポE模倣体を、及び休止期の間に追加の治療剤を投与することを含むこともできる。
【実施例
【0343】
開示された方法及び組成物は、それらが変化し得るので、特定の記載される方法論、プロトコール及び試薬に限定されないことが理解される。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態のみを記載する目的のためのものであって、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明の範囲を限定することは意図されないことも理解されるべきである。
【0344】
当業者は、わずかなごく普通の実験を用いて、本明細書で記載される方法及び組成物の特定の実施形態に対する多数の同等物を認識するであろうし、突き止めることができるであろう。そのような同等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【0345】
実施例1:合成アポE模倣ペプチド類似体の調製及び分析
図3~14に記載の研究に使用した合成アポE模倣ペプチドは、標準のFmoc固相ペプチド合成技術によって調製した。種々のペプチド及び調製の理論的根拠を図1に示す。合成ペプチドの代表的な分析HPLCプロファイルを図2A~2Gに示す。
【0346】
実施例2:アポEヌルマウスにおけるAEM類似体の効果
血漿コレステロールレベルに与える種々の合成アポE模倣ペプチドの効果を示す研究を図3~14に示す。
【0347】
実施例3:高ショ糖を与えたラットにおけるAEM類似体の効果
雄のSprague-Dawleyラットをチャールズリバー社から購入し、65%ショ糖を含有する食事を2週間与えた。リポタンパク質プロファイル(図15)は、トリグリセリドの増加を示した。ラットは、ペプチドの投与時には370+/-20gの重さであった。(5mg/kg尾静脈)投与したペプチドは以下の通りであった:Ac-hE18A-NH2、Ac-[R]hE18A-NH2及びAc-Aha-[R]hE18A-NH2、ここで、hEは、LRKLRKRLLR(配列番号4)を指し、[R]hEは、LRRLRRRLLR(配列番号6)を指し、Ahaは、H2N-(CH25-COOHを指す。グラフに示した時間に採血し、細胞を分離した後、コレステロール、トリグリセリド及びグルコースレベルについて血漿を分析した。種々の時点の血漿トリグリセリドレベルを図16に示す。血漿トリグリセリド(図17)、コレステロールレベル(図18)、及び血漿グルコースレベル(図19)について、ペプチド投与後48時間でのデータも得た。
【0348】
実施例4:ペプチドを含有する脂肪酸の調製及び分析
以下のペプチドを調製した:(1)オクタノイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(配列番号625);(2)ミリストイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(配列番号628);(3)オレオイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(配列番号634);(4)パルミトイル-LRRLRRRLLR-18A-NH2(配列番号629);及び(5)魚油-LRRLRRRLLR-18A-NH2(配列番号647)、ここで、魚油は、主としてエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の混合物であり、他の成分は少量である。
【0349】
ペプチドは、Rinkアミド樹脂(10gの樹脂上に存在する5mMの官能基を使用した)上で合成した。HBTu縮合法(3つのカップリングの5x、3x、及び2xで各アミノ酸の3つのカップリング)を用いて、適当なFMOC-アミノ酸誘導体を添加した。最後のアミノ酸であるロイシン(L)を添加した後、樹脂は、およそ40gの重量であり、アミノ酸のカップリングの定量的収率を示した。脂肪酸ごとに樹脂(2g)を取り出し、DMF中のHBTuを用いて、10X及び5Xカップリングで各脂肪酸を2回添加した。TFA:水:アニソール:エチレンジチオール(容量で95:2:2:1、10ml/Gの試薬)を室温で3.5時間用いて、ペプチドを樹脂から放出させた。樹脂を濾過した後、エーテルを添加してペプチドを沈殿させ、エーテルで3回遠心分離して洗浄した。ペプチドをまず透析した後、HPLCで精製した。魚油誘導体は、精製するのが非常に困難な混合物を含有していることが知られているため、これは精製しなかったが、アポEヌルマウスにおいて血漿コレステロールを低下させるこのペプチドの能力については、他の透析したペプチドと比較した。ペプチドの精製は、C18シリカゲルカラムを用いて達成し、図20A~20Eは、ペプチドの代表的な分析HPLCプロファイルを示す(C-18 Vydacカラム-250×4.6mm;溶媒系は、水/アセトニトリル(0.1%TFA)、12分で35~70%の勾配であった)。
【0350】
実施例5:アポEヌルマウスにおけるペプチドを含有する脂肪酸の効果
血漿コレステロールに与える、ペプチドのN末端で脂肪酸部分を含む合成アポE模倣ペプチドの効果を図21~31に示す。
【0351】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく本発明に種々の改変及び変更を実施できることが当業者には明らかになるであろう。本発明の他の実施形態は、本明細書の考慮、及び本明細書で開示される本発明の実施から、当業者には明らかになるであろう。本明細書及び実施例は、典型としてのみ解されるよう意図されたものであり、本発明の真の範囲及び精神は、以下の特許請求の範囲によって示される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20A
図20B
図20C
図20D
図20E
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【配列表】
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