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特許7081970電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/06 20060101AFI20220531BHJP
   A47L 9/04 20060101ALN20220531BHJP
【FI】
A47L9/06 Z
A47L9/04 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018081086
(22)【出願日】2018-04-20
(65)【公開番号】P2019187579
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 将
(72)【発明者】
【氏名】長田 剛一
(72)【発明者】
【氏名】倉田 敦史
(72)【発明者】
【氏名】酒井 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】中居 貴弘
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-000602(JP,A)
【文献】特開2008-132299(JP,A)
【文献】特開平10-179460(JP,A)
【文献】特開平08-206043(JP,A)
【文献】特開平11-299712(JP,A)
【文献】特開平11-239551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0145577(US,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02008563(EP,A1)
【文献】特開平7-163495(JP,A)
【文献】特開2000-157461(JP,A)
【文献】特開2008-289852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 9/00- 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下面に吸込口を有するケース体と、吸引力を発生する掃除機本体に連通し塵埃を吸い込む吸込口と、前記吸込口の後方に前記ケース体に対し回動可能に配置された後方フラップとを備え、
前記後方フラップは、前記ケース体の後進時に床面と接触して回動する接触回動部と、前記ケース体の後進時に被掃除面との間に開口を形成し、前記ケース体の前進時に前記開口を閉じるフラップ部とを備え、
記フラップ部は、前記開口を閉じた時に、前記被掃除面に対し前方に傾斜状に倒れた状態であるとともに、最下部が前記被掃除面と接触するかその近傍に位置することを特徴とする電気掃除機の吸口体。
【請求項2】
前記フラップ部は、前記フラップ部が開いた時に前記被掃除面の間に形成する開口を部分的に閉じる少なくとも一つ以上の凸部を有することを特徴とする請求項1に記載の電気掃除機の吸口体。
【請求項3】
前記凸部は、下部に前記被掃除面に対して略平行な面を有していることを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機の吸口体。
【請求項4】
前記凸部は、前記ケース体の進行方向と平行方向に凹凸形状または傾斜形状を備えていることを特徴とする請求項2に記載の電気掃除機の吸口体。
【請求項5】
前記後方フラップは、前記ケース体に対して固定され回動中心となる樹脂や金属の硬質部材で形成される軸一体化して形成される前記フラップ部と、軟質部材で形成される前記接触回動部と、によって構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の電気掃除機の吸口体。
【請求項6】
前記フラップ部は、先端に刷毛部材または軟質部材が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電気掃除機の吸口体。
【請求項7】
前記後方フラップには、前記後方フラップの開方向、または閉方向に前記後方フラップを付勢する手段を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の電気掃除機の吸口体。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7の何れか1項に記載の電気掃除機の吸口体を備えたことを特徴とする電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機の吸口体及びこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特許第6105886号公報(特許文献1)がある。この公報に開示されている電気掃除機の吸口体は、前後方向に移動可能なケース体と、電動機と、前記ケース体に回転可能に配置され前記電動機によって駆動されることで塵埃を下流側へと導く回転体と、被掃除面に対向して開口し塵埃を吸い込む吸込口と、前記吸込口の前後に回動可能に配置された、被掃除面との接触により前記吸口体の反移動方向にそれぞれ回動して、移動方向前側に位置するものが前記吸込口体に傾斜上に倒れて前記回転体の下側に対向するとともに移動方向後ろ側に位置するものが被掃除面に対して起立する清掃部材とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6105886号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、大小様々な塵埃をより確実に塵埃を吸引でき、かつ操作性の軽い電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下面に吸込口を有するケース体と、吸引力を発生する掃除機本体に連通し塵埃を吸い込む吸込口と、前記吸込口の後方に前記ケース体に対し回動可能に配置された後方フラップを備え、前記後方フラップは、前記ケース体の後進時に床面と接触して回動する接触回動部と、前記ケース体の後進に被掃除面との間に開口を形成し、前記ケース体の前進時に前記開口を閉じるフラップ部とを備え、前記フラップ部は、前記開口を閉じた時に、前記被掃除面に対し前方に傾斜状に倒れた状態であるとともに、最下部が前記被掃除面と接触するかその近傍に位置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、吸込体の前進時及び後進時ともに、ケース体の移動方向前側に位置するフラップが開き被掃除面に対し開口を形成するとともに、ケース体の移動方向後側に位置するフラップが傾斜状に倒れた状態で閉じて床との密閉性を確保することで、大小様々な塵埃をより確実に塵埃を吸引でき、かつ、操作性の軽い電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る電気掃除機の全体を示す外観斜視図である。
図2】本発明に係る実施例1の吸口体の上面図である。
図3】本発明に係る実施例1の吸口体の下面図である。
図4】本発明に係る実施例1の吸口体の側面図である。
図5】本発明に係る実施例1の吸口体の上側部分を取り外した状態の上面図である。
図6図2に記載の吸口体の前進時のA-A断面図である。
図7図2に記載の吸口体の後退時のA-A断面図である。
図8】実施例2の前進時における吸口体の斜視図である。
図9】実施例3の前進時における吸口体の斜視図である。
図10】実施例4の前進時における吸口体の斜視図である。
図11】前方フラップ76Dの斜視図である。
図12】前方フラップ76Eの斜視図である。
図13】後方フラップ77Fの斜視図である。
図14】吸口ケース10の、軸受押え部材32を外した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施例について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0009】
以下、本発明に係る実施例1について図面を参照して説明する。図1に本発明の実施例1に係る電気掃除機の外観図を示す。電気掃除機1は、掃除機本体2と、ホース部3と接続し手元操作スイッチSW等が設けられた操作管4と、伸縮自在に設けられた延長管5と、吸口体6とで構成されている。
【0010】
掃除機本体2は、吸引力を発生させる電動送風機2a、この電動送風機2aの吸引力で集塵した塵埃を収容する集塵部2bなどを備えている。なお、本実施例では、いわゆるサイクロン式の電気掃除機を例に挙げて説明するが、いわゆる紙パック式の電気掃除機に適用してもよい。
【0011】
ホース部3の一端は、掃除機本体2の集塵部2bと連通するように掃除機本体2の接続口2cに接続されている。また、ホース部3の他端は、操作管4の一端に接続されている。
【0012】
操作管4は、手元操作スイッチSWなどを備えたハンドル4a、掃除機本体2から給電される図示しない給電端子などを備えている。この給電端子には、延長管5の一端に設けられる図示しない通電端子が接続される。
【0013】
操作管4の手元操作スイッチSWを操作することによって、電動送風機2aの運転と停止や強中弱の切り替え、吸口体6に設けられた電動機40(図5参照)の運転と停止が可能となっている。
【0014】
延長管5は、外管5aと内管5bとを備え、外管5aの他端部に内管5bの一端部が挿入されて外管5aと内管5bとの内側に設けられた図示しない通風路が連通するように連結されて、伸縮自在に構成されている。なお、図1は、延長管5が最短の状態を図示している。
【0015】
図2は、吸口体の上面図である。図2に示すように、吸口体6は、上面視において略T字形状を呈する吸口ケース10と、吸口ケース10に連結される吸口継手13とを備えている。
【0016】
吸口ケース10は、上面視において、左右方向(幅方向)に細長く形成された吸口本体11と、吸口本体11の左右方向の中央部に吸口継手13と連結される連結部12とを備えている。連結部12には、吸口本体11と吸口継手13とを連通させる流路R(図3参照)が形成されている。
【0017】
吸口本体11には、前端面から左右側面にかけてバンパ11aが設けられている。バンパ11aは、使用時に吸口本体11内の気密を確保するとともに、電気掃除機1(図1参照)の使用時に吸口本体11が家具等に衝突した際に、当該家具等への傷付き防止と吸口本体11への衝撃を吸収する緩衝材の役割を果たしている。
【0018】
吸口継手13は、連結部12に対して回動自在に連結される第1連結部14と、この第1連結部14に対して回動自在に連結される第2連結部15とを備えている。第1連結部14は、図2の上面視において略D字形状を呈し、連結部12と連結される円筒形状の軸14aを有している。この軸14aは、軸方向が吸口本体11の左右方向であって、軸14aの両端部が連結部12に形成された軸受部12g(図5参照)に支持されている。また、第1連結部14は、床面(清掃面)M(図4参照)に対して略平行な状態から略垂直な状態まで回動可能となるように構成されている。すなわち、第1連結部14を吸口ケース10に対して軸14aを支点として回動させることによって、延長管5(図1参照)を床面M(図4参照)に略平行な状態と略垂直な状態との間において回動させることができる。
【0019】
第2連結部15は、第1連結部14に対して吸口本体11の左右方向に(図2の紙面時計回り方向および反時計回り方向に)回動可能となるように構成されている。これにより、例えば、延長管5を床面Mに対して略垂直にした状態から、延長管5を床面Mに略平行な状態に向けて倒すことができる。また、第2連結部15には、給電が行われる給電端子15aが設けられている。なお、本実施例の電気掃除機1(図1参照)では、吸口体6に給電する電力を、掃除機本体2からホース部3、操作管4、延長管5を通じて供給するように構成している。
【0020】
図3は、吸口体の下面図である。図4は、吸口体の側面図である。図3および図4に示すように、吸口体6は、回転ブラシ20を備えている。吸口ケース10(吸口本体11)には、下面(清掃面と向き合う面)に開口部を有するブラシ室Qと、同じく下面に開口部(吸引口)を有する均圧室Pとが形成されている。
【0021】
回転ブラシ20は、吸口本体11の左右方向に沿って前後方向の前側に配置され、ブラシ室Q内に回転可能に支持されている。また、回転ブラシ20は、吸口本体11の左右方向(回転ブラシ20の軸方向)の一端側から他端側まで連続して設けられている。
【0022】
また、回転ブラシ20は、硬さが異なるブラシなど複数種類のブラシ20a、20b、20cを備え、各ブラシ20a、20b、20cがらせん状に配設されている。なお、本実施の形態例では、3種類のブラシ20a、20b、20cを配設した場合を例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、2種類以下であってもよく、4種類以上であってもよく、らせん状に配置されたブラシ間にゴムなどの弾性材料からなるブレード部材をらせん状に配置する構成を追加してもよく、適宜変更することができる。
【0023】
サイド固定刷毛70および71は、刷毛体等の弾性材料で構成されていて、吸口ケース10(吸口本体11)の左右方向両端に配置されている。サイド固定刷毛70および71は、吸口ケース10(吸口本体11)の左右方向両端付近の床面Mとの隙間を塞ぐことにより,ブラシ室Qと均圧室Pの気密性を向上させ,特に微細塵の集塵性能を向上させている。
【0024】
吸口体6は、吸口ケース10の連結部12の下面に、前方フラップ76、後方フラップ77、ブラシ駆動スイッチ16、車輪17、軸受押え部材31、32を備えている。
【0025】
前方フラップ76は,軸方向(左右方向)に延在するフラップ76aと、床面Mから摩擦力を受け前方フラップ部76aを回動可能に動作させる前方接触回動部76b,76cと、軸部76dによって構成されており、回転ブラシ20に対して前方且つ平行に配置されており、吸口本体11の左右方向の一端側から他端側にかけて連続して回動可能に支持されている。
【0026】
また、後方フラップも同様に、軸方向(左右方向)に延在するフラップ77aと、後方接触回動部77b,77cと、後方フラップ部77aを回動可能に動作させる軸部77dによって構成され、回転ブラシ20に対して後方且つ平行に配置されており、吸口本体11の左右方向の一端側から他端側にかけて連続して回動可能に支持されている。
【0027】
ブラシ駆動スイッチ16は、吸口体6の下面が床面M(清掃面)に接触しているか否かを検出するスイッチであり、車輪16aとともに構成されている。この車輪16aは、ばね等の付勢手段によって常に吸口ケース10(連結部12)の下面から一部が突出するように設けられている。そして、車輪16aが吸口ケース10から飛び出して床面Mと接触していないと検出されたときには、回路基板50(制御基板)(図5参照)の制御によって電動機40(図5参照)の駆動が停止され、回転ブラシ20の回転が停止する。また、車輪16aが押し込まれて床面Mと接触していると検出されたときには、回路基板50の制御によって電動機40が駆動され、回転ブラシ20が回転する。
【0028】
車輪17は、操作管4で操作される前後動や回転操作の応力を受けて吸口体6の底面を床面Mに密着させ、これにより吸口体6の操作性能を向上する役割を有している。また、軸受押え部材31は、回転ブラシ20の回転軸を支持すると同時に、前方フラップ76及び後方フラップ77の軸部76d、77dの吸口ケース10へ取り付ける部分を覆うものであり、吸口ケース10にねじを用いて固定されている。軸受押え部材32は、回転ブラシ20の回転軸を支持すると同時に、前方フラップ76及び後方フラップ77の軸部76d、77dの吸口ケース10へ取り付ける部分を覆うものであり、取り外し可能となるように吸口ケース10にロック機構(図示せず)を用いて固定されている。
【0029】
図5は、吸口体6の吸口ケース10の上側部分を取り外した状態の上面図である。図5に示すように、吸口体6は、回転ブラシ20(図3参照)の上方に、回転ブラシ20を駆動する電動機40および電動機40を制御する回路基板50を備えている。
【0030】
電動機40は、吸口本体11の左右方向の一端側に取り付けられている。また、電動機40は、その出力軸が吸口本体11の左右方向と平行に配置されている。また、電動機40の出力軸は、左右方向の一端側に向けて延び、吸口本体11内の一端部(図示右側の端部)において、歯付きベルト41を介して回転ブラシ20と連結されている。
【0031】
回路基板50は、吸口本体11の左右方向で電動機40とは反対側に取り付けられている。また、回路基板50は、長辺が左右方向に沿って配置された長方形状の基板を有し、実装面が鉛直方向上向きの状態で吸口本体11内に配置されている。なお、実装面は、必ずしも鉛直方向上向きに限定されず、水平方向に対して傾斜してもよく、前後方向を向くように(縦向きに)してもよい。
【0032】
図6および図7図2におけるA-A断面図であり、図6は、吸口体6の前進時を示しており、図7は後進時を示している。図6において、63はブラシ室Qと均圧室Pを隔てる前方隔壁、64は後方フラップ77と均圧室Pを隔てる後方隔壁である。本実施例では、前方隔壁63が前記第1の気密保持手段を構成し、後方隔壁64が第2の気密保持手段を構成している。
【0033】
図6に示すように、均圧室Pは床面Mに向かって開口(吸引口)を有しており、その他の面は吸口体筐体の隔壁により囲まれおり、図3に示す流路Rと流路的に連通している。この均圧室Pは、前方隔壁63と後方隔壁64により負圧を大きくすることができる。
【0034】
吸口体前進時には、前方フラップ76は、前方接触回動部76b及び76cと床面Mとの摩擦力によって後方(移動方向後側)に回動し、前方フラップ部76aと床面Mとの間に開口を形成する。これにより吸口体の前方に位置する比較的大きな塵埃D1は、ブラシ室Q内に吸引され、回転ブラシ20によって掻きとられ、吸口体後方へ送られる。そして前方隔壁63と床面Mとの隙間を通って均圧室P内に吸引され、流路R(図3参照)に流入する。
【0035】
一方、後方フラップ77は、後方接触回動部77b及び77cと床面Mとの摩擦力によって、後方(移動方向後側)に回動し、床面Mと接する、または隙間を小さくすることで吸口内部の気密を高めるとともに、均圧室P内に吸引された塵埃D1が、吸口体6の後方へ取りこぼすことを抑制できる。このとき、後方フラップ部77aは吸口ケース10と当接し床面Mの垂直方向に対して後方に傾斜した状態となるため、吸口体6と床面Mの摩擦抵抗が小さく、吸口体6の前後操作を軽く行うことができる。また、後方フラップ部77aの材質や床面Mの接触代によって、床面Mとの間の摩擦抵抗が小さい場合もあり、このとき後方フラップ部77aが後方に傾斜させなくても良い。
【0036】
吸口体後進時には、前方接触回動部76b及び76cと床面Mとの摩擦力によって、前方(移動方向後側)に回動し、床面Mと接する、または隙間を小さくすることで吸口内部の気密を高めるとともに、均圧室P内に吸引された塵埃D1が、吸口体6の前方へ取りこぼすことを抑制できる。このとき、前方フラップ部76aは吸口ケース10と当接し床面Mの垂直方向に対して前方に傾斜した状態となるため、吸口体と床面Mの摩擦抵抗が小さく、吸口体の前後操作を軽く行うことができる。また、前方フラップ部76aの材質や床面Mの接触代によって、床面Mとの間の摩擦抵抗が小さい場合もあり、このとき前方フラップ部76aは後方に傾斜させなくても良い。
【0037】
一方、後方フラップ77は、後方接触回動部77b及び77cと床面Mとの摩擦力によって前方(移動方向後側)に回動し、後方フラップ部77aと床面Mとの間に開口を形成する。これにより吸口体の前方に位置する比較的大きな塵埃D2は、後方隔壁64と床面Mとの隙間を通って均圧室P内に吸引され、流路R(図4参照)に流入する。
【0038】
以上のように、吸込体の前進時及び後進時ともに、ケース体の移動方向前側に位置するフラップが開き被掃除面に対し開口を形成するとともに、ケース体の移動方向後側に位置するフラップが傾斜状に倒れた状態で閉じて床との密閉性を確保することで、大小様々な塵埃をより確実に塵埃を吸引でき、かつ、操作性の軽い電気掃除機の吸口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0039】
以下、本発明に係る実施例2について図8を参照して説明する。なお、実施例1と同一の構成物には同一番号を付している。
【0040】
図8は、実施例2の前進時における吸口体の斜視図である。前方フラップ76Aの前方フラップ部76Aaは、床面Mに対して形成する開口を部分的に閉じる凸部76Aeを有している。これにより、開口から前方の塵埃D1を吸引するとともに、吸口体内部の気密性をより高めることができる。また、凸部76Aeを床面Mと接触させることで床面Mを引っ掻くことで床面Mにこびりついた塵埃D1を浮かせ、吸引しやすくすることができる。
【0041】
本実施例では、前方フラップについて述べたが、後方フラップで同様の構造を取っても同様の効果が得られる。
【実施例3】
【0042】
以下、本発明に係る実施例3について図9を参照して説明する。なお、実施例1と同一の構成物には同一番号を付している。
【0043】
図9は、実施例3の前進時における吸口体の斜視図である。前方フラップ76Bのフラップ部76Baは、床面Mに対して形成する開口を部分的に閉じる凸部76Beを有しており、凸部76Beは床面Mの略平行な面76Bfを備えている。これにより、前方の塵埃D1を開口から吸引するとともに、吸口体内部の気密性をより高めることができ、また、面76Bfと床面Mの間を吸引風が通ることで床面M付近を通る吸引風の量が増えるため、絨毯上に散布された小麦粉や重曹などの細かい塵埃も吸引しやすくなる。
【0044】
本実施例では、前方フラップについて述べたが、後方フラップに同構造を適用しても同様の効果が得られる。
【実施例4】
【0045】
以下、本発明に係る実施例4について図10を参照して説明する。なお、実施例1と同一の構成物には同一番号を付している。
【0046】
図10は、実施例4の前進時における吸口体の斜視図である。前方フラップ76Cのフラップ部76Caは、床面Mに対して形成する開口を部分的に閉じる凸部76Ceを有しており、凸部76Ceは進行方向に平行な方向に対して、凹凸形状である凹凸部76Cgを備えている。これにより、前方の塵埃D1を開口から吸引するとともに、吸口体内部の気密性をより高めることができ、また、吸口体前進時に凸部76Ceに衝突する塵埃D1を凹凸部76Cgにより開口部に導きやすくなる。これにより、比較的大きな塵埃をより急いしやすくすることができる。なお、凹凸部76Cgは、凹凸形状ではなく、傾斜形状でも良い。
【0047】
本実施例では、前方フラップについて述べたが、後方フラップに同構造を適用しても同様の効果が得られる。
【実施例5】
【0048】
以下、本発明に係る実施例5について図11を参照して説明する。なお、実施例1と同一の構成物には同一番号を付している。
【0049】
図11は、前方フラップ76Dの斜視図である。前方フラップ76Dは、金属やステンレススチールなどで形成された金属製の軸部76Ddに、別部材で構成されるフラップ部76Da、接触回動部76Db、76Dcを嵌合することで構成される。この時、軸部76Ddに十字リブやL字のリブなどの凹凸を備えることでフラップ部76Da、接触回動部76Db、76Dcの空転を防止することができる。接触回動部76Db、76Dcを同材料にて形成する場合は、これらを一体化した部品として軸部76Ddに嵌合してもよいし、これらを一体で軸部76Ddにインサート成形することで構成を簡略化でき、組立性が改善する。
【0050】
本実施例では、前方フラップについて述べたが、後方フラップに同構造を適用しても同様の効果が得られる。
【実施例6】
【0051】
以下、本発明に係る実施例6について図12を参照して説明する。なお、実施例1と同一の構成物には同一番号を付している。
【0052】
図12は、前方フラップ76Eの斜視図である。前方フラップ76Eは、樹脂や金属の硬質部材で形成される軸部76Edが一体化したフラップ部76Eaに、軟質部材で形成される別体の接触回動部76Eb、76Ecが嵌合され、構成される。この時、軸部76Edに十字リブやL字のリブなどの凹凸を備えることで接触回動部76Eb、76Ecの空転を防止することができる。軸部76Edとフラップ部76Eaを一体化することでインサート成形などの複雑な製造工程が無くなるとともに、成型工程を簡素化することができる。また、軟質部材は硬質部材と比較し高価であることが多く、接触回動部76Eb、76Ecのみ軟質部材で形成することで軟質部材の使用量を減らし、コストダウンを図ることもできる。
【0053】
本実施例では、前方フラップについて述べたが、後方フラップに同構造を適用しても同様の効果が得られる。
【実施例7】
【0054】
以下、本発明に係る実施例7について図13を参照して説明する。なお、実施例1と同一の構成物には同一番号を付している。
【0055】
図13は、後方フラップ77Fの斜視図である。後方フラップ77Fは、樹脂や金属の硬質部材で形成される軸部77Fdが一体化した、軸方向に連続して設けられる嵌合部77eを有するフラップ部77Faに、嵌合部77Feに嵌合されるシール部材77Ff、軸部77Fdに嵌合される軟質部材で形成される別体の接触回動部77Fb、77Fcによって構成される。
【0056】
フラップ部77Faの先端に軟質部材または刷毛部材で形成されるシール部材77Ffを備えることで床面Mを傷つけることなく床面Mの開口を小さくし吸口体内部の気密を高めることができる。また、シール部材77Ffを変更することで吸口体内部の気密の調整を行うことができるため、用途や電気掃除機の機種によって床面への張り付きを調整し、様々な形態、吸引力を有する電気掃除機でも吸口体本体の形状を変更することなく、軽い操作性を実現することができる。
【0057】
本実施例では、後方フラップについて述べたが、前方フラップに同構造を適用しても同様の効果が得られる。
【実施例8】
【0058】
以下、本発明に係る実施例8について図14を参照して説明する。なお、実施例1と同一の構成物には同一番号を付している。
【0059】
図14は、吸口ケース10の、軸受押え部材32を外した状態の斜視図である。後方フラップ77Gの軸部77Gdの先端にはバネ100が備えられており、バネの一端は吸口ケース10に当接し、多端は軸部77Gdに設けられたリブ77Ghに当接している。これにより後方フラップ77Gは吸口体を前後操作しない状態、または床面抵抗の小さい床面において可動せず、床面Mとの開口を閉じたまま後方に付勢され、吸口体の後方へ漏れる風切り音を低減することができる。
【0060】
本実施例では、バネにてフラップを付勢する構成を説明したが、フラップを閉方向、または開方向に付勢出来れば、他の手段にて実施しても良い。
【0061】
本実施例では、後方フラップについて述べたが、前方フラップに同構造を適用しても同様の効果が得られる。
【0062】
また,本実施例では,床移動型の掃除機の吸口体について述べたが,いわゆるコードレススティック型掃除機の吸口体に適用しても,同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0063】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
2a 電動送風機
2b 集塵部
6 吸口体
10 吸口ケース
20 回転ブラシ
76 前方フラップ
77 後方フラップ
40 電動機
50 回路基板(制御基板)
70、71 実施例1によるサイド固定刷毛
M 床面
Q ブラシ室
P 均圧室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14