(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/462 20060101AFI20220531BHJP
B65D 5/42 20060101ALI20220531BHJP
【ＦＩ】
B65D5/462 110
B65D5/42 E
【請求項の数】
6
(21)【出願番号】P 2018109961
(22)【出願日】2018-06-08
(65)【公開番号】P2019210037
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】権田 和広
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第０３７９９４２４（ＵＳ，Ａ）
【文献】特開２００９－０９６５１３（ＪＰ，Ａ）
【文献】特表２００９－５０２６８６（ＪＰ，Ａ）
【文献】特開２００８－１７４２７３（ＪＰ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｂ６５Ｄ ５／４２－５／４６２
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第１方向に対向する一対の側壁（１１）と第１方向に直交する第２方向に対向する一対の他の側壁（１０）とによって形成される周壁（５Ｗ）の一端面を閉じる蓋壁（１７）を含む箱体（５）と、前記蓋壁上にて第１方向に延びた姿勢で配置され、運び手によって把持される把手部（６）と、を備え、
前記周壁は、第１方向一方の前記側壁（１１）に連設された抜け止め片（４１）を有し、
前記把手部は、
前記周壁の第１方向他方の前記側壁に連設され、第１方向他方から一方に延設され、前記他の側壁と第１方向の長さが同一に形成されている把手本体（５０）と、
前記把手本体の第１方向一端部に連設され、前記周壁の内側に差し込まれる差込片（３１）と、
前記差込片に形成され、前記差込片を前記周壁の内側に差し込んだ状態で前記抜け止め片が差し込まれる抜け止めスリット（４０）と、を含み、
前記抜け止めスリットは、前記抜け止め片を差し込んだ状態で、前記周壁の一端面に直交する引き抜き方向に沿って前記差込片が移動することを許容する溝幅に形成され、
前記抜け止めスリットの溝幅は、前記抜け止め片が遊びのある状態で差し込まれるように前記抜け止め片の厚みよりも広く設定され、
前記運び手によって前記把手部が把持されない場合、前記把手本体は一対の前記側壁の間に架け渡された状態で前記蓋壁と平行な姿勢で前記蓋壁上に配置され、前記差込片は前記周壁の内側に差し込まれ、前記抜け止め片は前記抜け止めスリットに差し込まれて前記抜け止めスリットの中で引き抜き方向の下流側に位置し、
前記運び手によって前記把手部が把持される場合、前記把手本体は前記差込片を前記周壁の内側から引き抜きつつ、自身を撓ませながら前記蓋壁から引き離され、前記抜け止め片は前記抜け止めスリットの引き抜き方向の上流側縁部に当接することで前記差込片の引き抜きを規制することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
第１方向に対向する一対の側壁（１１）と第１方向に直交する第２方向に対向する一対の他の側壁（１０）とによって形成される周壁（５Ｗ）の一端面を閉じる蓋壁（１７）を含む箱体（５）と、前記蓋壁上にて第１方向に延びた姿勢で配置され、運び手によって把持される把手部（７）と、を備え、
前記周壁は、第１方向両側の一対の前記側壁（１１）に連設された一対の抜け止め片（４１）を有し、
前記把手部は、
前記箱体とは別個に形成され、前記他の側壁と第１方向の長さが同一に形成されている把手本体（５０）と、
前記把手本体の第１方向両端部に連設され、前記周壁の内側に差し込まれる一対の差込片（３１）と、
前記一対の差込片に形成され、前記一対の差込片を前記周壁の内側に差し込んだ状態で前記一対の抜け止め片が差し込まれる一対の抜け止めスリット（４０）と、を含み、
前記抜け止めスリットは、前記抜け止め片を差し込んだ状態で、前記周壁の一端面に直交する方向に沿って前記差込片が移動することを許容する溝幅に形成され、
前記抜け止めスリットの溝幅は、前記抜け止め片が遊びのある状態で差し込まれるように前記抜け止め片の厚みよりも広く設定され、
前記運び手によって前記把手部が把持されない場合、前記把手本体は一対の前記側壁の間に架け渡された状態で前記蓋壁と平行な姿勢で前記蓋壁上に配置され、前記差込片は前記周壁の内側に差し込まれ、前記抜け止め片は前記抜け止めスリットに差し込まれて前記抜け止めスリットの中で引き抜き方向の下流側に位置し、
前記運び手によって前記把手部が把持される場合、前記把手本体は前記差込片を前記周壁の内側から引き抜きつつ、自身を撓ませながら前記蓋壁から引き離され、前記抜け止め片は前記抜け止めスリットの引き抜き方向の上流側縁部に当接することで前記差込片の引き抜きを規制することを特徴とする包装箱。
【請求項3】
前記差込片と前記把手本体との境界には、第１差込用折線（Ｌ１６）が形成され、前記差込片には、前記第１差込用折線との間に前記抜け止めスリットを挟んで前記第１差込用折線と平行に第２差込用折線（Ｌ１７）が形成されていることを特徴とする請求項１または２に記載の包装箱。
【請求項4】
前記把手部は、段ボールシート若しくは板紙または樹脂製シートで形成されており、前記把手本体は、
運び手によって握られるグリップ部（５２）と、
前記グリップ部に連設され、折り返されて前記グリップ部の表面または裏面に重なるグリップ補強板（５３）と、を含むことを特徴とする請求項１ないし３のいずれかに記載の包装箱。
【請求項5】
前記グリップ補強板は、前記グリップ部の裏側に重ねられ、前記蓋壁には、前記グリップ補強板を配置するための逃し穴（１７Ａ）が形成されていることを特徴とする請求項４に記載の包装箱。
【請求項6】
前記箱体は、前記抜け止め片が形成された前記側壁から前記周壁の一端面の内側に向かって延設され、前記蓋壁の裏面に重なる内フラップ（１６）と、
前記内フラップに形成され、前記蓋壁上に配置された前記把手部の前記差込片が差し込まれる差込スリット（３０）と、を含み、
前記抜け止め片は、前記差込スリットを横断して前記側壁から前記内フラップに亘って形成されていることを特徴とする請求項１ないし５のいずれかに記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
運び手によって把持される把手部を備えた包装箱が知られている。
【0003】
例えば、特許文献１に記載のカートンには、２枚のトップパネルに２枚のハンドルパネルが備えられ、ハンドルパネルの両側にはハンドル開口部が開口している。ユーザがハンドル開口部に指をおいてハンドルパネルを握って上に持ち上げると、ハンドルパネルは切り裂き線でトップパネルから切り取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表２００９－５２５９３１号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したカートンでは、ハンドルパネルを形成するためにトップパネルにハンドル開口部が開いているため、カートンに収容した物品がハンドル開口部を通して外から見えてしまい、箱の見映えが悪くなっていた。また、ハンドルパネルはトップパネルの一部を切り裂いて形成されるため、トップパネルの強度が著しく低下し、箱として必要な強度を確保することができない虞もあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、把手部を設けたことによる見映えの悪化および強度の低下を抑制することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、周壁の一端面を閉じる蓋壁を含む箱体と、前記蓋壁上にて第１方向に延びた姿勢で配置され、運び手によって把持される把手部と、を備え、前記周壁は、第１方向一方の側壁に連設された抜け止め片を有し、前記把手部は、前記周壁の第１方向他方の側壁に連設され、第１方向他方から一方に延設されている把手本体と、前記把手本体の第１方向一端部に連設され、前記周壁の内側に差し込まれる差込片と、前記差込片に形成され、前記差込片を前記周壁の内側に差し込んだ状態で前記抜け止め片が差し込まれる抜け止めスリットと、を含む。
【0008】
また、上記した目的を達成するため、本発明の包装箱は、周壁の一端面を閉じる蓋壁を含む箱体と、前記蓋壁上にて第１方向に延びた姿勢で配置され、運び手によって把持される把手部と、を備え、前記周壁は、第１方向両側の一対の側壁に連設された一対の抜け止め片を有し、前記把手部は、前記箱体とは別個に形成されている把手本体と、前記把手本体の第１方向両端部に連設され、前記周壁の内側に差し込まれる一対の差込片と、前記一対の差込片に形成され、前記一対の差込片を前記周壁の内側に差し込んだ状態で前記一対の抜け止め片が差し込まれる一対の抜け止めスリットと、を含む。
【0009】
この場合、前記抜け止めスリットは、前記抜け止め片を差し込んだ状態で、前記周壁の一端面に直交する方向に沿って前記差込片が移動することを許容する溝幅に形成されていることが好ましい。
【0010】
この場合、前記差込片と前記把手本体との境界には、第１差込用折線が形成され、前記差込片には、前記第１差込用折線との間に前記抜け止めスリットを挟んで前記第１差込用折線と平行に第２差込用折線が形成されていることが好ましい。
【0011】
この場合、前記把手部は、段ボールシート若しくは板紙または樹脂製シートで形成されており、前記把手本体は、運び手によって握られるグリップ部と、前記グリップ部に連設され、折り返されて前記グリップ部の表面または裏面に重なるグリップ補強板と、を含むことが好ましい。
【0012】
この場合、前記グリップ補強板は、前記グリップ部の裏側に重ねられ、前記蓋壁には、前記グリップ補強板を配置するための逃し穴が形成されていることが好ましい。
【0013】
この場合、前記箱体は、前記抜け止め片が形成された前記側壁から前記周壁の一端面の内側に向かって延設され、前記蓋壁の裏面に重なる内フラップと、前記内フラップに形成され、前記蓋壁上に配置された前記把手部の前記差込片が差し込まれる差込スリットと、を含み、前記抜け止め片は、前記差込スリットを横断して前記側壁から前記内フラップに亘って形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、把手部を設けたことによる包装箱の見映えの悪化および強度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第１実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【図2】本発明の第１実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【図3】本発明の第１実施形態に係る包装箱の底面を形成した状態を示す平面図である。
【図4】本発明の第１実施形態に係る包装箱の底面を形成した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第１実施形態に係る包装箱の内蓋壁等を閉じた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第１実施形態に係る包装箱の蓋壁を閉じた状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第１実施形態に係る包装箱の箱体に把手部を接続する過程を示す斜視図である。
【図8】本発明の第１実施形態に係る包装箱の把手部の作用を説明する斜視図である。
【図9】本発明の第２実施形態に係る包装箱であって、箱体のブランクおよび把手部のブランクを示す平面図である。
【図10】本発明の第２実施形態に係る包装箱の箱体の組立過程を示す斜視図である。
【図11】本発明の第２実施形態に係る包装箱の箱体に把手部を取り付ける過程を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示す「Ｆｒ」は「前」を示し、「Ｒｒ」は「後」を示し、「Ｌ」は「左」を示し、「Ｒ」は「右」を示し、「Ｕ」は「上」を示し、「Ｄ」は「下」を示している。左右方向（第１方向）は前後方向に直交し、上下方向は左右方向と前後方向とに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0017】
【0018】
図１に示すように、包装箱１は、複数の物品（図示せず）を収容することができるように略直方体状に形成されている。包装箱１は、差込式で閉塞される天面と、ワンタッチ式で組み上げられる底面（図３参照）と、を含む所謂Ｂ式の段ボール箱である。具体的には、包装箱１は、略角筒状の周壁５Ｗの上面開口５Ｕ（一端面（図３参照））を閉じる蓋壁１７を含む箱体５と、蓋壁１７上にて左右方向（第１方向）に延びた姿勢で配置され、ユーザ等の運び手によって把持される把手部６と、を備えている。なお、把手部６は、箱体５と一体に形成されている。
【0019】
包装箱１は、図２に示すブランク１Ａを組み立てることで形成される。ブランク１Ａは、紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。ブランク１Ａは、例えば、波状の中しん９Ａに表裏に表ライナ９Ｂと裏ライナ９Ｃ（図３参照）とを貼り合せた両面段ボールシートで形成されている。なお、図２では、表ライナ９Ｂ側を示している。本明細書では、段ボールシートの中しん９Ａと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「Ｘ」は「段方向」を示し、「Ｙ」は「流れ方向」を示している。また、以下のブランク１Ａの説明において、方向や位置を示す用語は、包装箱１を組み立てた状態における方向や位置を指している。
【0020】
［ブランク］
図２に示すように、ブランク１Ａは、一対の第１側壁１０と、一対の第２側壁１１と、一対の下内フラップ１２と、一対の下外フラップ１３と、内蓋壁１４と、内層壁１５と、内フラップ１６と、蓋壁１７と、外層壁１８と、把手部６と、を備えている。
図２に示すように、ブランク１Ａは、一対の第１側壁１０と、一対の第２側壁１１と、一対の下内フラップ１２と、一対の下外フラップ１３と、内蓋壁１４と、内層壁１５と、内フラップ１６と、蓋壁１７と、外層壁１８と、把手部６と、を備えている。
【0021】
＜第１側壁，第２側壁，継代片＞
一対の第１側壁１０と一対の第２側壁１１とは、第１折曲線Ｌ１を介して流れ方向に交互に連設されている。第１側壁１０は、第２側壁１１よりも流れ方向に長い略長方形状に形成されている。流れ方向一方に位置する第１側壁１０の流れ方向端部には、第１折曲線Ｌ１を介して継代片１９が連設されている。
一対の第１側壁１０と一対の第２側壁１１とは、第１折曲線Ｌ１を介して流れ方向に交互に連設されている。第１側壁１０は、第２側壁１１よりも流れ方向に長い略長方形状に形成されている。流れ方向一方に位置する第１側壁１０の流れ方向端部には、第１折曲線Ｌ１を介して継代片１９が連設されている。
【0022】
＜下内フラップ＞
一対の下内フラップ１２は、一対の第２側壁１１の段方向一端部（下端部）に第２折曲線Ｌ２を介して連設されている。下内フラップ１２は、基端（根本）から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。下内フラップ１２の段方向の寸法（延出寸法）は、第２側壁１１の流れ方向の寸法の略半分に設定されている。
一対の下内フラップ１２は、一対の第２側壁１１の段方向一端部（下端部）に第２折曲線Ｌ２を介して連設されている。下内フラップ１２は、基端（根本）から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。下内フラップ１２の段方向の寸法（延出寸法）は、第２側壁１１の流れ方向の寸法の略半分に設定されている。
【0023】
＜下外フラップ＞
一対の下外フラップ１３は、一対の第１側壁１０の段方向一端部（下端部）に第２折曲線Ｌ２を介して連設されている。下外フラップ１３は、略長方形状に形成されている。下外フラップ１３の段方向の寸法（延出寸法）は、下内フラップ１２の延出寸法よりも長く設定されている。下外フラップ１３の流れ方向中間部には、先端から基端（根本）に向かって略台形状の噛合凹部１３Ａが切り欠かれている。下外フラップ１３には、噛合凹部１３Ａの流れ方向他方の角部から第２側壁１１の側に向かって斜めに延びた傾斜折線Ｌ１０が形成されている。なお、下外フラップ１３の中央付近には、例えば、包装箱１に収容された物品に記載された賞味期限等の情報を確認するための丸穴Ｈが開口している。
一対の下外フラップ１３は、一対の第１側壁１０の段方向一端部（下端部）に第２折曲線Ｌ２を介して連設されている。下外フラップ１３は、略長方形状に形成されている。下外フラップ１３の段方向の寸法（延出寸法）は、下内フラップ１２の延出寸法よりも長く設定されている。下外フラップ１３の流れ方向中間部には、先端から基端（根本）に向かって略台形状の噛合凹部１３Ａが切り欠かれている。下外フラップ１３には、噛合凹部１３Ａの流れ方向他方の角部から第２側壁１１の側に向かって斜めに延びた傾斜折線Ｌ１０が形成されている。なお、下外フラップ１３の中央付近には、例えば、包装箱１に収容された物品に記載された賞味期限等の情報を確認するための丸穴Ｈが開口している。
【0024】
流れ方向一方に位置する第１側壁１０には、下外フラップ１３との境界に沿って蓋用スリット２０が形成されている。蓋用スリット２０は、第１側壁１０の流れ方向中央部にて第２折曲線Ｌ２に沿って切り込まれている。下外フラップ１３には、蓋用スリット２０の流れ方向中央部に連通するように略半円形状の指掛け部２０Ａが切り欠かれている。
【0025】
＜内蓋壁＞
内蓋壁１４は、流れ方向一方に位置する第１側壁１０の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。内蓋壁１４は、根本部分を除いて第１側壁１０よりも流れ方向に幅狭い略四角形状に形成されている。内蓋壁１４の流れ方向他端は、第１側壁１０と第２側壁１１との境界から先端に向かって斜めに延びた後、先端に向かって第１折曲線Ｌ１（中しん９Ａ）と平行に延びている。つまり、内蓋壁１４の流れ方向他端部には、略台形状に欠けた欠損部１４Ａが形成されている。内蓋壁１４の段方向の寸法（延出寸法）は、第２側壁１１の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。
内蓋壁１４は、流れ方向一方に位置する第１側壁１０の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。内蓋壁１４は、根本部分を除いて第１側壁１０よりも流れ方向に幅狭い略四角形状に形成されている。内蓋壁１４の流れ方向他端は、第１側壁１０と第２側壁１１との境界から先端に向かって斜めに延びた後、先端に向かって第１折曲線Ｌ１（中しん９Ａ）と平行に延びている。つまり、内蓋壁１４の流れ方向他端部には、略台形状に欠けた欠損部１４Ａが形成されている。内蓋壁１４の段方向の寸法（延出寸法）は、第２側壁１１の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。
【0026】
＜内層壁＞
内層壁１５は、内蓋壁１４の先端部に第４折曲線Ｌ４を介して連設されている。内層壁１５は、内蓋壁１４の先端部と同一幅となる略四角形状に形成されている。内層壁１５の段方向の寸法は、第１側壁１０の段方向の寸法（高さ）よりも短く設定されている。なお、上記した内蓋壁１４には、第４折曲線Ｌ４の流れ方向中央部に沿って略半円形状の指掛け穴１４Ｂが開口している。
内層壁１５は、内蓋壁１４の先端部に第４折曲線Ｌ４を介して連設されている。内層壁１５は、内蓋壁１４の先端部と同一幅となる略四角形状に形成されている。内層壁１５の段方向の寸法は、第１側壁１０の段方向の寸法（高さ）よりも短く設定されている。なお、上記した内蓋壁１４には、第４折曲線Ｌ４の流れ方向中央部に沿って略半円形状の指掛け穴１４Ｂが開口している。
【0027】
＜内フラップ＞
内フラップ１６は、一対の第１側壁１０の間に位置する第２側壁１１の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。内フラップ１６は、基端（根本）から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。内フラップ１６の流れ方向一端は、第１側壁１０と第２側壁１１との境界から先端に向かって斜めに延びている。この内フラップ１６の傾斜は、内蓋壁１４の根本部分の傾斜と対称となるように形成されている。内フラップ１６の段方向の寸法（延出寸法）は、内蓋壁１４の延出寸法よりも短く（１／３程度）設定されている。
内フラップ１６は、一対の第１側壁１０の間に位置する第２側壁１１の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。内フラップ１６は、基端（根本）から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。内フラップ１６の流れ方向一端は、第１側壁１０と第２側壁１１との境界から先端に向かって斜めに延びている。この内フラップ１６の傾斜は、内蓋壁１４の根本部分の傾斜と対称となるように形成されている。内フラップ１６の段方向の寸法（延出寸法）は、内蓋壁１４の延出寸法よりも短く（１／３程度）設定されている。
【0028】
（差込スリット）
内フラップ１６には、第２側壁１１との境界に沿って差込スリット３０が形成されている。差込スリット３０は、内フラップ１６の流れ方向中央部にて第３折曲線Ｌ３に沿って切り込まれている。
内フラップ１６には、第２側壁１１との境界に沿って差込スリット３０が形成されている。差込スリット３０は、内フラップ１６の流れ方向中央部にて第３折曲線Ｌ３に沿って切り込まれている。
【0029】
（抜け止め片）
また、第２側壁１１および内フラップ１６には、略矩形状の切目に囲まれた範囲に抜け止め片４１が形成されている。抜け止め片４１は、差込スリット３０の流れ方向中央部を横断して第２側壁１１から内フラップ１６に亘って形成されている。抜け止め片４１は、第２側壁１１に第１抜け止め用折線Ｌ１１を介して連設されている。抜け止め片４１には、第３折曲線Ｌ３と略同一直線上に第２抜け止め用折線Ｌ１２が形成されている。第１抜け止め用折線Ｌ１１と第２抜け止め用折線Ｌ１２とは平行に形成されている。
また、第２側壁１１および内フラップ１６には、略矩形状の切目に囲まれた範囲に抜け止め片４１が形成されている。抜け止め片４１は、差込スリット３０の流れ方向中央部を横断して第２側壁１１から内フラップ１６に亘って形成されている。抜け止め片４１は、第２側壁１１に第１抜け止め用折線Ｌ１１を介して連設されている。抜け止め片４１には、第３折曲線Ｌ３と略同一直線上に第２抜け止め用折線Ｌ１２が形成されている。第１抜け止め用折線Ｌ１１と第２抜け止め用折線Ｌ１２とは平行に形成されている。
【0030】
＜蓋壁＞
蓋壁１７は、一対の第２側壁１１の間に位置する第１側壁１０の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。蓋壁１７は、第１側壁１０と略同一幅となる略長方形状に形成されている。正確には、蓋壁１７には略四角形状の逃し穴１７Ａが開口しており、蓋壁１７は略矩形環状に形成されている。蓋壁１７の段方向の寸法（延出寸法）は、内蓋壁１４の延出寸法よりも僅かに長く設定されている。蓋壁１７の流れ方向一端部には、略四角形状の差込凹部３２が切り欠かれている。差込凹部３２は、差込スリット３０と略同じ長さに形成されている。差込凹部３２の段方向中央部には、略半円形状の指掛け部３２Ａを挟んで一対の差込凸部３２Ｂが突設されている。
蓋壁１７は、一対の第２側壁１１の間に位置する第１側壁１０の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。蓋壁１７は、第１側壁１０と略同一幅となる略長方形状に形成されている。正確には、蓋壁１７には略四角形状の逃し穴１７Ａが開口しており、蓋壁１７は略矩形環状に形成されている。蓋壁１７の段方向の寸法（延出寸法）は、内蓋壁１４の延出寸法よりも僅かに長く設定されている。蓋壁１７の流れ方向一端部には、略四角形状の差込凹部３２が切り欠かれている。差込凹部３２は、差込スリット３０と略同じ長さに形成されている。差込凹部３２の段方向中央部には、略半円形状の指掛け部３２Ａを挟んで一対の差込凸部３２Ｂが突設されている。
【0031】
＜外層壁＞
外層壁１８は、蓋壁１７の先端部に第４折曲線Ｌ４を介して連設されている。外層壁１８は、基端（根本）から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。外層壁１８の段方向の寸法（延出寸法）は、第１側壁１０の段方向の寸法（高さ）と略同一に設定されている。外層壁１８の先端部には、蓋用片２１が蓋用折線Ｌ１３を介して連設されている。蓋用片２１は、蓋用スリット２０に差し込むことができる大きさに形成されている。
外層壁１８は、蓋壁１７の先端部に第４折曲線Ｌ４を介して連設されている。外層壁１８は、基端（根本）から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。外層壁１８の段方向の寸法（延出寸法）は、第１側壁１０の段方向の寸法（高さ）と略同一に設定されている。外層壁１８の先端部には、蓋用片２１が蓋用折線Ｌ１３を介して連設されている。蓋用片２１は、蓋用スリット２０に差し込むことができる大きさに形成されている。
【0032】
＜把手部＞
把手部６は、流れ方向他方に位置する第２側壁１１の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。把手部６は、把手本体５０と、差込片３１と、抜け止めスリット４０と、を含んでいる。
把手部６は、流れ方向他方に位置する第２側壁１１の段方向他端部に第３折曲線Ｌ３を介して連設されている。把手部６は、把手本体５０と、差込片３１と、抜け止めスリット４０と、を含んでいる。
【0033】
（把手本体）
把手本体５０は、一対の把手脚部５１と、グリップ部５２と、一対のグリップ補強板５３と、を含んでいる。把手本体５０は、全体的に、グリップ部５２で括れた略蝶形状に形成されている。把手本体５０の段方向の寸法（延出寸法）は、第１側壁１０の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。
把手本体５０は、一対の把手脚部５１と、グリップ部５２と、一対のグリップ補強板５３と、を含んでいる。把手本体５０は、全体的に、グリップ部５２で括れた略蝶形状に形成されている。把手本体５０の段方向の寸法（延出寸法）は、第１側壁１０の流れ方向の寸法と略同一に設定されている。
【0034】
基端側の把手脚部５１は、第２側壁１１に第３折曲線Ｌ３を介して連設され、基端（根本）から先端に向かって徐々に幅狭くなる略台形状に形成されている。先端側の把手脚部５１は、基端側の把手脚部５１と段方向に対称となる略台形状に形成されている。グリップ部５２は、一対の把手脚部５１の間に把手折線Ｌ１４を介して架設されており、ユーザ（運び手）によって握られる部分となっている。
【0035】
一対のグリップ補強板５３は、それぞれ、一対の把手脚部５１とグリップ部５２とで囲まれる括れ部分に配置されている。一対のグリップ補強板５３は、それぞれ、グリップ部５２の流れ方向両端部に２本の折返し線Ｌ１５を介して連設されている。２本の折返し線Ｌ１５は、互いに近接して平行に形成されている。各グリップ補強板５３の先端部には、切込線５３Ａが形成されている。
【0036】
（差込片）
差込片３１は、把手本体５０（把手脚部５１）の先端部（第１方向一端部）に連設されている。差込片３１は、差込スリット３０に差し込むことができる大きさに形成されている。差込片３１と把手本体５０（先端側の把手脚部５１）との境界には、第１差込用折線Ｌ１６が形成されている。差込片３１には、第１差込用折線Ｌ１６との間に抜け止めスリット４０（後述する。）を挟んで第１差込用折線Ｌ１６と平行に第２差込用折線Ｌ１７が形成されている。
差込片３１は、把手本体５０（把手脚部５１）の先端部（第１方向一端部）に連設されている。差込片３１は、差込スリット３０に差し込むことができる大きさに形成されている。差込片３１と把手本体５０（先端側の把手脚部５１）との境界には、第１差込用折線Ｌ１６が形成されている。差込片３１には、第１差込用折線Ｌ１６との間に抜け止めスリット４０（後述する。）を挟んで第１差込用折線Ｌ１６と平行に第２差込用折線Ｌ１７が形成されている。
【0037】
（抜け止めスリット）
抜け止めスリット４０は、差込片３１の基端側（根本側）に形成されている。抜け止めスリット４０は、抜け止め片４１を差し込むことができる大きさに形成されている。抜け止めスリット４０の段方向の幅（溝幅）は、段ボールシート（抜け止め片４１）の厚み（約１．５ｍｍ）よりも十分に広く設定されている。抜け止めスリット４０の溝幅は、抜け止め片４１の厚みの２～１０倍程度に設定されることが好ましく、第１実施形態では約１０ｍｍに設定されている。詳細は後述するが、抜け止めスリット４０は、抜け止め片４１を差し込んだ状態で、上下方向（周壁５Ｗの上面開口５Ｕ（一端面）に直交する方向）に沿って差込片３１が移動することを許容する溝幅に形成されている。なお、先端側の把手脚部５１には、抜け止めスリット４０の流れ方向中央部に連通するように略半円形状の指掛け部４０Ａが切り欠かれている。
抜け止めスリット４０は、差込片３１の基端側（根本側）に形成されている。抜け止めスリット４０は、抜け止め片４１を差し込むことができる大きさに形成されている。抜け止めスリット４０の段方向の幅（溝幅）は、段ボールシート（抜け止め片４１）の厚み（約１．５ｍｍ）よりも十分に広く設定されている。抜け止めスリット４０の溝幅は、抜け止め片４１の厚みの２～１０倍程度に設定されることが好ましく、第１実施形態では約１０ｍｍに設定されている。詳細は後述するが、抜け止めスリット４０は、抜け止め片４１を差し込んだ状態で、上下方向（周壁５Ｗの上面開口５Ｕ（一端面）に直交する方向）に沿って差込片３１が移動することを許容する溝幅に形成されている。なお、先端側の把手脚部５１には、抜け止めスリット４０の流れ方向中央部に連通するように略半円形状の指掛け部４０Ａが切り欠かれている。
【0038】
なお、第１～第４折曲線Ｌ１～Ｌ４、第１抜け止め用折線Ｌ１１、第２抜け止め用折線Ｌ１２、蓋用折線Ｌ１３、把手折線Ｌ１４、折返し線Ｌ１５、第１差込用折線Ｌ１６および第２差込用折線Ｌ１７は、段ボールシートを裏ライナ９Ｃ側から厚み方向に直線状に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、裏ライナ９Ｃを内側に向けるように段ボールシートを折曲させる機能を有している。また、傾斜折線Ｌ１０は、段ボールシートを表ライナ９Ｂ側から厚み方向に直線状に潰した逆罫線である。逆罫線は、表ライナ９Ｂを内側に向けるように段ボールシートを折曲させる機能を有している。これらの第１～第４折曲線Ｌ１～Ｌ４等の種類は一例であって、第１～第４折曲線Ｌ１～Ｌ４等は、上記に限らず、罫線上に複数の切目を所定間隔に形成したリード罫等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0039】
［包装箱の組立］
次に、図１、図３ないし図７を参照して、包装箱１の組立工程について説明する。図３は包装箱１の底面を形成した状態を示す平面図である。図４は包装箱１の底面を形成した状態を示す斜視図である。図５は内蓋壁１４等を閉じた状態を示す斜視図である。図６は蓋壁１７を閉じた状態を示す斜視図である。図７は箱体５に把手部６を接続する過程を示す斜視図である。なお、包装箱１は、略平坦に折り畳まれているものとする。詳細には、ブランク１Ａにおいて、流れ方向両側の第１側壁１０と第２側壁１１とが第１折曲線Ｌ１で折り返され、この折り返された第２側壁１１の裏面（内面）に継代片１９が接着されている。また、下外フラップ１３は傾斜折線Ｌ１０で折り返され、下内および下外フラップ１２，１３は第１および第２側壁１０，１１の裏面（内面）に重なるように第２折曲線Ｌ２で折り返されている。傾斜折線Ｌ１０で折り返された下外フラップ１３の角部分は、下内フラップ１２の表面（外面）に接着されている。
次に、図１、図３ないし図７を参照して、包装箱１の組立工程について説明する。図３は包装箱１の底面を形成した状態を示す平面図である。図４は包装箱１の底面を形成した状態を示す斜視図である。図５は内蓋壁１４等を閉じた状態を示す斜視図である。図６は蓋壁１７を閉じた状態を示す斜視図である。図７は箱体５に把手部６を接続する過程を示す斜視図である。なお、包装箱１は、略平坦に折り畳まれているものとする。詳細には、ブランク１Ａにおいて、流れ方向両側の第１側壁１０と第２側壁１１とが第１折曲線Ｌ１で折り返され、この折り返された第２側壁１１の裏面（内面）に継代片１９が接着されている。また、下外フラップ１３は傾斜折線Ｌ１０で折り返され、下内および下外フラップ１２，１３は第１および第２側壁１０，１１の裏面（内面）に重なるように第２折曲線Ｌ２で折り返されている。傾斜折線Ｌ１０で折り返された下外フラップ１３の角部分は、下内フラップ１２の表面（外面）に接着されている。
【0040】
図３および図４に示すように、作業者は、第１側壁１０と第２側壁１１とを直交させるように第１折曲線Ｌ１で折り曲げる。つまり、作業者は、折り畳まれた包装箱１を起こす。一対の第１側壁１０が前後方向に対向し、且つ一対の第２側壁１１が左右方向に対向すると、略角筒状の周壁５Ｗが形成される（図４参照）。この周壁５Ｗが形成される過程で、下内フラップ１２および下外フラップ１３は周壁５Ｗの内側から外側（下方）に押し出され、下外フラップ１３は傾斜折線Ｌ１０で折り返された状態から平坦に戻り始める。一対の下外フラップ１３が平坦に戻ると、噛合凹部１３Ａ同士が噛み合った状態になる（図３参照）。
【0041】
以上によって、下内フラップ１２と下外フラップ１３とが周壁５Ｗの下面開口を閉塞し、包装箱１の底面が構成される。そして、作業者は、包装箱１の底面上に複数の物品を配置する。
【0042】
次に、作業者は、周壁５Ｗの上面開口５Ｕを閉塞し、包装箱１を封緘する。
【0043】
具体的には、図４および図５に示すように、作業者は、内層壁１５を第４折曲線Ｌ４で折り曲げ、その内層壁１５を周壁５Ｗの内側に差し込みながら内蓋壁１４を第３折曲線Ｌ３で折り曲げる。続いて、作業者は、内フラップ１６を第３折曲線Ｌ３で折り曲げる。内フラップ１６は、抜け止め片４１が形成された第２側壁１１の上端部から周壁５Ｗの上面開口５Ｕ（一端面）の内側に向かって延設され、内蓋壁１４の欠損部１４Ａを塞ぐように配置される（図５参照）。なお、抜け止め片４１は、内フラップ１６と一緒に折り曲げずに、内フラップ１６等から刳り貫いておく（図５参照）。
【0044】
次に、図５および図６に示すように、作業者は、蓋壁１７を第３折曲線Ｌ３で折り曲げて内蓋壁１４および内フラップ１６の表面（上面）に重ねる。続いて、作業者は、外層壁１８を第４折曲線Ｌ４で折り曲げて第１側壁１０の表面（前面）に重ねながら、蓋用片２１を蓋用折線Ｌ１３で折り曲げて蓋用スリット２０（周壁５Ｗの内側）に差し込む。以上によって、内蓋壁１４、内フラップ１６および蓋壁１７が周壁５Ｗの上面開口５Ｕを閉塞し、包装箱１の天面が構成される（図６参照）。
【0045】
この状態で、図６に示すように、内蓋壁１４の大部分は、蓋壁１７に開口した逃し穴１７Ａの内側に露出している。また、内フラップ１６は、蓋壁１７の裏面に重なっている。また、第２側壁１１と内フラップ１６との境界に沿って切り込まれた差込スリット３０は、蓋壁１７に形成された差込凹部３２の内側に開口（露出）している。さらに、差込凹部３２に突設された一対の差込凸部３２Ｂは、内フラップ１６において抜け止め片４１を刳り貫いた穴に対応して配置されている。
【0046】
次に、図６に示すように、作業者は、一対のグリップ補強板５３を折返し線Ｌ１５で折り返してグリップ部５２の裏面に重ねながら、一対のグリップ補強板５３を交差させて切込線５３Ａ同士を噛み合わせる。すると、一対のグリップ補強板５３はグリップ部５２の裏側に重なった状態に保持される。これにより、グリップ部５２と一対のグリップ補強板５３とが二重壁構造（一部は三重壁構造）を構成する。
【0047】
次に、図７に示すように、作業者は、把手部６を第３折曲線Ｌ３で折り曲げて蓋壁１７の表面（上面）に重ねながら、差込片３１を第１差込用折線Ｌ１６で折り曲げて差込スリット３０（周壁５Ｗの内側）に差し込む。続いて、図１に示すように、作業者は、抜け止め片４１の基端側を第１抜け止め用折線Ｌ１１で外側に折り曲げ、抜け止め片４１の先端側を第２抜け止め用折線Ｌ１２で内側に折り曲げ、抜け止め片４１の先端側を抜け止めスリット４０に差し込む。正確には、抜け止め片４１は、蓋壁１７の下側に差し込まれ、内フラップ１６から自身を刳り貫くことで形成された穴に嵌り込んでいる。
【0048】
以上によって、包装箱１の組立作業（封緘作業）が完了する（図１参照）。この状態で、蓋壁１７が周壁５Ｗの上面開口５Ｕ（一端面）を閉塞し、把手部６が、蓋壁１７上に配置され、左右一対の第２側壁１１の間に架け渡されている。また、把手部６の右端部は、差込スリット３０に差し込んだ差込片３１と、抜け止めスリット４０に差し込んだ抜け止め片４１とから成る二重ロック構造によって、右側の第２側壁１１に接続されている。
【0049】
また、グリップ部５２の裏面に折り返された一対のグリップ補強板５３は、蓋壁１７の逃し穴１７Ａの内側に配置されている。一対のグリップ補強板５３は蓋壁１７よりも一段下がった内蓋壁１４上に配置されるため、グリップ部５２が不自然に突出することなく、グリップ部５２は蓋壁１７と略平行な姿勢で蓋壁１７上に配置される。
【0050】
［把手部の作用］
次に、図８を参照して、ユーザが包装箱１を持ち運ぶ場合における把手部６の作用について説明する。図８は把手部６の作用を説明する斜視図である。なお、抜け止め片４１は、抜け止めスリット４０の中で上縁側に位置しているものとする。
次に、図８を参照して、ユーザが包装箱１を持ち運ぶ場合における把手部６の作用について説明する。図８は把手部６の作用を説明する斜視図である。なお、抜け止め片４１は、抜け止めスリット４０の中で上縁側に位置しているものとする。
【0051】
ユーザは、逃し穴１７Ａの内側に配置されたグリップ部５２（グリップ補強板５３）を握って、グリップ部５２を持ち上げる。グリップ部５２は一対の把手折線Ｌ１４で僅かに屈曲しながら（撓みながら）持ち上げられる。また、グリップ部５２の屈曲によって、一対の把手脚部５１は、互いに引き寄せられることになるため、左右方向外側から中央に向かって僅かに上方に傾斜した姿勢になる。
【0052】
グリップ部５２の持ち上げが進むと、差込片３１は差込スリット３０から引き抜かれて行き、グリップ部５２は蓋壁１７から上方に離れて行く。正確には、把手本体５０は、第２側壁１１との連接部分（第３折曲線Ｌ３）を支点として上方に回動し、差込片３１は、第１差込用折線Ｌ１６と第２差込用折線Ｌ１７とで屈曲しながら引き抜かれて行く。
【0053】
差込片３１の引き抜きが進み、抜け止め片４１が抜け止めスリット４０の下縁部に当接すると、差込片３１の引き抜きが規制される。これにより、ユーザは蓋壁１７から上方に離間したグリップ部５２（グリップ補強板５３）を確りと握ることができ、包装箱１を容易に持ち上げて運搬することができる。
【0054】
なお、ユーザがグリップ部５２を持ち上げた状態で、抜け止め片４１は差込片３１と蓋壁１７との間に挟み込まれるため、抜け止め片４１が抜け止めスリット４０から抜け出すことが規制される。つまり、ユーザがグリップ部５２を持ち上げた状態であっても、二重ロック構造が確りと機能し、把手部６が箱体５から分離することを抑制している。
【0055】
以上説明した第１実施形態に係る包装箱１では、把手本体５０が、周壁５Ｗの左側（第１方向他方）の第２側壁１１に連設され、左側から右側に延設されていた。また、把手本体５０の先端に連なる差込片３１が差込スリット３０（周壁５Ｗの内側）に差し込まれる構成とした。さらに、抜け止め片４１は、右側（第１方向一方）の第２側壁１１の上側（上面開口５Ｕ側）に連設され、差込片３１を差込スリット３０（周壁５Ｗの内側）に差し込んだ状態で抜け止めスリット４０に差し込まれる構成とした。つまり、把手部６の右側（第１方向一方）が抜け止め片４１等と差込片３１等とから成る二重ロック構造によって箱体５に取り付けられる構成とした。この構成によれば、包装箱１を展示した場合に、箱体５の目視可能な範囲に開口ができることが無く、箱体５に収容された物品が外部から見えてしまうことを防止することができる。これにより、把手部６を設けたことによる包装箱１としての見映えの悪化を抑制することができる。その結果、例えば、贈答用の物品の収容に適した包装箱１を提供することができる。また、把手部６は蓋壁１７とは異なる部位として形成されているため、蓋壁１７を切り裂いて把手部６を形成した場合に比べて、蓋壁１７の強度を高く維持することができる。これにより、把手部６を設けたことによる包装箱１（蓋壁１７）の強度の低下を抑制することができる。
【0056】
また、第１実施形態に係る包装箱１では、抜け止め片４１が遊びのある状態で抜け止めスリット４０に差し込まれる構成とした。この構成によれば、抜け止めスリット４０と抜け止め片４１との隙間の範囲で差込片３１が移動可能となっているため、ユーザによる把手本体５０の持ち上げに伴って差込片３１を上方に引き出すことができる。これにより、把手本体５０が蓋壁１７上から浮く（離れる）ため、ユーザは把手本体５０を容易に把持することができる。
【0057】
また、第１実施形態に係る包装箱１では、差込片３１が把手本体５０の撓みによって斜めに引き出されることになるが、差込片３１が第１折曲線Ｌ１と第２折曲線Ｌ２とで内側に折れて中央側（内側）に傾けられるため、差込片３１を円滑に引き出すことができる。
【0058】
また、第１実施形態に係る包装箱１では、一対のグリップ補強板５３が折り返されてグリップ部５２の裏面に重なる構成とした。この構成によれば、グリップ部５２とグリップ補強板５３とが二重壁構造を構成することで、グリップ部５２を補強することができると共に、ユーザにとって握り易いグリップ部５２を提供することができる。
【0059】
また、第１実施形態に係る包装箱１では、グリップ補強板５３を配置するための逃し穴１７Ａが蓋壁１７に形成されていた。この構成によれば、グリップ部５２の裏側に折り返した一対のグリップ補強板５３が逃し穴１７Ａに入るため、把手本体５０の表面（上面）を略平坦にすることができる。これにより、複数の包装箱１を安定して積み重ねることができる。また、蓋壁１７に逃し穴１７Ａが形成されたことで、内蓋壁１４とグリップ部５２との間に段差ができるため、ユーザは容易にグリップ部５２を掴むことができる。
【0060】
また、第１実施形態に係る包装箱１によれば、内フラップ１６の表面に蓋壁１７が重なり、蓋壁１７の表面に把手部６が重なることで、周壁５Ｗの上面開口５Ｕ（一端面）を隙間なく閉塞することができる。これにより、箱体５に収容された物品が略完全に覆い隠され、包装箱１としての見映えを良好に保つことができる。
【0061】
［第２実施形態］
次に、図９を参照して、第２実施形態に係る包装箱２について説明する。図９は箱体５のブランク５Ａおよび把手部７のブランク７Ａを示す平面図である。なお、以下の説明では、第１実施形態に係る包装箱１と同様または対応する構成については同一の符号を付し、包装箱１と同様または対応する説明は省略する。
次に、図９を参照して、第２実施形態に係る包装箱２について説明する。図９は箱体５のブランク５Ａおよび把手部７のブランク７Ａを示す平面図である。なお、以下の説明では、第１実施形態に係る包装箱１と同様または対応する構成については同一の符号を付し、包装箱１と同様または対応する説明は省略する。
【0062】
第１実施形態に係る包装箱１では、把手部６が箱体５（第２側壁１１）に連設されていたが、第２実施形態に係る包装箱２では、把手部７が箱体５とは分離された別個の部材として形成されている。
【0063】
把手部７のブランク７Ａは、把手本体５０の段方向（第１方向）両端部に連設された一対の差込片３１と、一対の差込片３１に形成された一対の抜け止めスリット４０と、を含んでいる。
【0064】
また、箱体５（周壁５Ｗ）のブランク５Ａは、一対の第２側壁１１に上端部に連設された一対の内フラップ１６と、一対の第２側壁１１の上側（上面開口５Ｕ側）から一対の内フラップ１６に亘って形成された一対の抜け止め片４１と、を含んでいる。一対の内フラップ１６には、一対の差込スリット３０が形成されている。
【0065】
また、包装箱２（箱体５のブランク５Ａ）では内層壁１５が省略されている。内蓋壁１４の流れ方向両端部には、一対の欠損部１４Ａが形成されている。内蓋壁１４には、第１側壁１０との境界に沿って蓋用スリット２０が形成されている。第１側壁１０および内蓋壁１４には、略矩形状の切目に囲まれた範囲に蓋用抜け止め片２３が形成されている。蓋用抜け止め片２３は、蓋用スリット２０の流れ方向中央部を横断して第１側壁１０から内蓋壁１４に亘って形成されている。蓋用抜け止め片２３は、第１側壁１０に第１蓋用折線Ｌ２０（汎用罫線）を介して連設されている。蓋用抜け止め片２３には、第３折曲線Ｌ３と略同一直線上に第２蓋用折線Ｌ２１（汎用罫線）が形成されている。第１蓋用折線Ｌ２０と第２蓋用折線Ｌ２１とは平行に形成されている。
【0066】
さらに、包装箱２（箱体５のブランク５Ａ）では外層壁１８が省略されている。蓋用片２１は、蓋用折線Ｌ１３を介して蓋壁１７の先端部に連接されている。蓋用片２１の基端側（根本側）には、蓋用抜け止めスリット２２が形成されている。蓋用抜け止めスリット２２は、蓋用抜け止め片２３を差し込むことができる大きさに形成されている。蓋用抜け止めスリット２２の溝幅は、段ボールシートの厚みよりも僅かに広く設定されている。なお、蓋壁１７には、蓋用抜け止めスリット２２の流れ方向中央部に連通するように略半円形状の指掛け部２２Ａが切り欠かれている。
【0067】
［包装箱の組立］
次に、図１０および図１１を参照して、包装箱２の組立工程について簡単に説明する。図１０は箱体５の組立過程を示す斜視図である。図１１は箱体５に把手部７を取り付ける過程を示す斜視図である。
次に、図１０および図１１を参照して、包装箱２の組立工程について簡単に説明する。図１０は箱体５の組立過程を示す斜視図である。図１１は箱体５に把手部７を取り付ける過程を示す斜視図である。
【0068】
図１０に示すように、作業者は、下内フラップ１２と下外フラップ１３とが周壁５Ｗの下面開口を閉塞して複数の物品を収容した後、内蓋壁１４および一対の内フラップ１６を第３折曲線Ｌ３で折り曲げる。なお、一対の抜け止め片４１は内フラップ１６等から刳り貫いておき、蓋用抜け止め片２３は内蓋壁１４等から刳り貫いておく。
【0069】
次に、図１０および図１１に示すように、作業者は、蓋壁１７を第３折曲線Ｌ３で折り曲げて内蓋壁１４および内フラップ１６の表面（上面）に重ねながら、蓋用片２１を蓋用折線Ｌ１３で折り曲げて蓋用スリット２０に差し込む。続いて、作業者は、蓋用抜け止め片２３を第１蓋用折線Ｌ２０で外側に折り曲げ、蓋用抜け止め片２３を第２蓋用折線Ｌ２１で内側に折り曲げ、蓋用抜け止め片２３の先端側を蓋用抜け止めスリット２２に差し込む。以上によって、内蓋壁１４、一対の内フラップ１６および蓋壁１７が周壁５Ｗの上面開口５Ｕを閉塞し、包装箱２の天面が構成される。
【0070】
次に、作業者は、一対のグリップ補強板５３をグリップ部５２の裏面に折り返し、一対の差込片３１を第１差込用折線Ｌ１６で折り曲げる。作業者は、把手部７を蓋壁１７の表面（上面）に重ねながら、一対の差込片３１を一対の差込スリット３０（周壁５Ｗの内側）に差し込む。一対の差込片３１を一対の差込スリット３０（周壁５Ｗの内側）に差し込んだ状態で、作業者は、一対の抜け止め片４１を一対の抜け止めスリット４０に差し込む。以上によって、包装箱２の組立作業（封緘作業）が完了する。
【0071】
［把手部の作用］
ユーザが包装箱２を持ち運ぶ場合における把手部７の作用は、上記した第１実施形態に係る包装箱１の把手部６の作用と略同様である。すなわち、ユーザがグリップ部５２を持ち上げると、一対の差込片３１は、それぞれ、差込スリット３０から引き抜かれて行き、グリップ部５２は蓋壁１７から上方に離れて行く。一対の差込片３１の引き抜きが進み、一対の抜け止め片４１が一対の抜け止めスリット４０の下縁部に当接すると、各々の差込片３１の引き抜きが規制される。
ユーザが包装箱２を持ち運ぶ場合における把手部７の作用は、上記した第１実施形態に係る包装箱１の把手部６の作用と略同様である。すなわち、ユーザがグリップ部５２を持ち上げると、一対の差込片３１は、それぞれ、差込スリット３０から引き抜かれて行き、グリップ部５２は蓋壁１７から上方に離れて行く。一対の差込片３１の引き抜きが進み、一対の抜け止め片４１が一対の抜け止めスリット４０の下縁部に当接すると、各々の差込片３１の引き抜きが規制される。
【0072】
以上説明した第２実施形態に係る包装箱２では、把手部７（把手本体５０）が、箱体５とは別個独立した部材であり、抜け止め片４１等と差込片３１等とから成る二重ロック構造によって箱体５に確りと取り付けられる構成とした。この構成によれば、ユーザは把手部７の有無を選択することができ、必要な場合にのみ把手部７を箱体５に取り付けることができる。
【0073】
なお、第１実施形態に係る包装箱１は、内層壁１５および外層壁１８を備えていたが、第２実施形態に係る包装箱２と同様に、包装箱１から内層壁１５および外層壁１８を省略してもよい。この場合、蓋用スリット２０や蓋用片２１等の位置を、第２実施形態に係る包装箱２と同様の位置に変更することが好ましい。
【0074】
また、第２実施形態に係る包装箱２では、蓋用抜け止め片２３や蓋用抜け止めスリット２２が蓋壁１７を固定する手段として設けられていたが、蓋用抜け止め片２３や蓋用抜け止めスリット２２は省略されてもよい。
【0075】
なお、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２では、内フラップ１６に差込スリット３０が形成され、差込片３１が差込スリット３０に差し込まれていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、内フラップ１６および差込スリット３０を省略し、差込片３１が蓋壁１７と第２側壁１１との隙間から周壁５Ｗの内側に差し込まれてもよい。
【0076】
また、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２では、蓋壁１７が包装箱１，２の天面を構成し、把手部６，７が蓋壁１７上に配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、蓋壁１７が包装箱１，２の側面を構成し、把手部６，７が蓋壁１７（側面）上に配置されてもよい。また、例えば、包装箱１の対向する一対の側面に、一対の蓋壁１７および一対の把手部６，７が設けられてもよい。
【0077】
また、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２では、蓋壁１７が第１側壁１０に連設され、把手部６，７が第２側壁１１に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、蓋壁１７が第２側壁１１に連設され、把手部６，７が第１側壁１０に連設されてもよい。また、蓋壁１７が周壁５Ｗ（第１側壁１０または第２側壁１１）とは分離された別個の部材であってもよい。
【0078】
また、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２では、グリップ部５２に一対のグリップ補強板５３が連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、グリップ部５２に１つのグリップ補強板５３が連設されていてもよい。また、例えば、グリップ補強板５３が省略されてもよい。この場合、蓋壁１７の逃し穴１７Ａを省略することもできる。
【0079】
また、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２では、グリップ補強板５３がグリップ部５２の裏面に重なっていたが、これに限らず、グリップ補強板５３が折り返されてグリップ部５２の表面に重なるようにしてもよい。この場合、蓋壁１７の逃し穴１７Ａを省略することもできる。
【0080】
また、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２では、底面が所謂ワンタッチ底であったが、本発明はこれに限定されない。包装箱１，２の底面は、例えば、アメリカンロック（地獄底）であってもよいし、一対の外フラップを突き合せた底面であってもよい。
【0081】
また、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２は、所謂Ｂ式の段ボール箱であったが、本発明はこれに限定されない。蓋壁の他の例として、一対の外フラップを突き合せた天面とし、その天面上に把手部６，７を配置してもよい。その他、種々の形式の段ボール箱に把手部６，７を適用してもよい。
【0082】
また、第１および第２実施形態に係る包装箱１，２は、段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、例えば、板紙や樹脂製の板材（樹脂製シート）等で形成されていてもよい。
【0083】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0084】
１，２ 包装箱
５ 箱体
５Ｗ 周壁
６，７ 把手部
１０ 第１側壁（側壁）
１１ 第２側壁（側壁）
１６ 内フラップ
１７ 蓋壁
１７Ａ 逃し穴
３０ 差込スリット
３１ 差込片
４０ 抜け止めスリット
４１ 抜け止め片
５０ 把手本体
５２ グリップ部
５３ グリップ補強板
Ｌ１６ 第１差込用折線
Ｌ１７ 第２差込用折線
５ 箱体
５Ｗ 周壁
６，７ 把手部
１０ 第１側壁（側壁）
１１ 第２側壁（側壁）
１６ 内フラップ
１７ 蓋壁
１７Ａ 逃し穴
３０ 差込スリット
３１ 差込片
４０ 抜け止めスリット
４１ 抜け止め片
５０ 把手本体
５２ グリップ部
５３ グリップ補強板
Ｌ１６ 第１差込用折線
Ｌ１７ 第２差込用折線
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】