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特許7081992既存建物への太陽電池モジュールの取付け方法
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  • 特許-既存建物への太陽電池モジュールの取付け方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】既存建物への太陽電池モジュールの取付け方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20220531BHJP
   H02S 30/10 20140101ALI20220531BHJP
   E06B 3/64 20060101ALI20220531BHJP
   E06B 7/10 20060101ALN20220531BHJP
   E06B 7/14 20060101ALN20220531BHJP
【FI】
E06B5/00 A
H02S30/10
E06B3/64
E06B7/10
E06B7/14
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018115151
(22)【出願日】2018-06-18
(65)【公開番号】P2019218712
(43)【公開日】2019-12-26
【審査請求日】2021-05-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(72)【発明者】
【氏名】梅田 和彦
(72)【発明者】
【氏名】山宮 輝夫
(72)【発明者】
【氏名】山口 亮
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-144375(JP,A)
【文献】実開昭60-23585(JP,U)
【文献】特開2012-140766(JP,A)
【文献】特開2001-298205(JP,A)
【文献】登録実用新案第3173057(JP,U)
【文献】特開2017-160736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00- 5/20
1/00- 1/70
3/04- 3/46
3/50- 3/52
H01L 31/04-31/078
H02S 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠部材および当該枠部材に取り付けられた太陽電池パネルを備える太陽電池モジュールを既存建物に取り付ける太陽電池モジュールの取付け方法であって、
既存建物の外壁面には、サッシ枠と、当該サッシ枠に取り付けられた板ガラスと、を備える建具が取り付けられ、
前記サッシ枠の下枠の上に弾性部材を設置する工程と、
当該弾性部材の上に前記太陽電池モジュールを配置する工程と、
当該太陽電池モジュールの枠部材と前記サッシ枠の上枠との隙間に、弾性部材を挿入する工程と、
当該太陽電池モジュールの枠部材を前記サッシ枠にビスで固定する工程と、
前記枠部材と前記サッシ枠との隙間をシーリング材で閉塞する工程と、を備えることを特徴とする太陽電池モジュールの取付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存建物に対して太陽電池モジュールを取り付ける構造およびその取付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、既存建物の外壁面に太陽電池パネルを設置することが提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1には、バルコニーに立設された各支柱の側面に形成された溝に、各太陽電池パネルが嵌挿されて支持されるとともに、各支柱の上端にネジ止めされる手摺りにて各太陽電池パネルが設置固定された太陽電池パネル取付構造が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-323625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の太陽電池パネル取付構造では、建物の外壁面であるバルコニーに直接太陽電池パネルを取り付けるため、風圧が太陽電池パネルに直接作用することになり、太陽電池パネルが損傷する問題があった。
本発明は、既存建物に太陽電池モジュールを取り付けることを開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の太陽電池モジュールの取付け構造は、枠部材(例えば、後述の枠部材30)および当該枠部材に取り付けられた太陽電池パネル(例えば、後述の太陽電池パネル31)を備える太陽電池モジュール(例えば、後述の太陽電池モジュール1)を既存建物に取り付ける太陽電池モジュールの取付け構造であって、前記既存建物の外壁面には、サッシ枠(例えば、後述のサッシ枠10)と、当該サッシ枠に取り付けられた板ガラス(例えば、後述の板ガラス11)と、を備える建具(例えば、後述の窓2)が取り付けられ、前記太陽電池モジュールの枠部材は、前記サッシ枠で囲まれた内側に取り付けられるとともに、前記太陽電池パネルは、前記板ガラスの屋内側に配置され、前記枠部材と前記サッシ枠の少なくとも一部との隙間には、弾性部材(例えば、後述のゴム板40A、40B)が挿入され、前記枠部材と前記サッシ枠との隙間は、シーリング材(例えば、後述のシーリング材42)で閉塞されていることが好ましい
【0006】
この発明によれば、既存建物の外壁面に設けられた建具の屋内側に太陽電池モジュールを配置したので、太陽電池パネルに風圧が直接作用することはなく、太陽電池パネルが損傷するのを防止できる。また、太陽電池モジュールが板ガラスを備えた建具で覆われるので、太陽電池パネルのガラスを厚くする必要がなく、太陽電池パネルを低コストで製造できるうえに、太陽電池パネルを軽量化できる。
また、工場にて太陽電池パネルと枠部材とが一体化された太陽電池モジュールを製作し、この太陽電池モジュールを現場に搬入して取り付けるので、施工品質にばらつきが少なく、施工精度を確保できる。
また、屋内側から太陽電池モジュールを後付けできるため、建物外部に太陽電池モジュールを取り付けるための足場や揚重機が不要となり、太陽電池モジュールを低コストで取り付けできる。
また、既存の板ガラスやサッシ枠の取り外しを行うことなく、屋内側から太陽電池モジュールを取り付けできるため、施工時に建物外壁面を傷つけないから、建物外壁から漏水するリスクを低減できる。
【0007】
本発明の太陽電池モジュールの取付け構造は、前記建具の板ガラスと前記太陽電池パネルとの間には、空気層(例えば、後述の空気層32)が形成され、前記枠部材の上下には、前記空気層と建物外部とを連通する換気孔(例えば、後述の切り欠き部43)が形成されることが好ましい
【0008】
この発明によれば、建具の板ガラスと太陽電池パネルとの間に空気層を形成した。屋内空気が空気層に流入すると、空気層を構成する板ガラスや太陽電池パネルに結露が生じるおそれがある。特に冬季においては、外気温度が低いので、室内空気が空調で加湿され水蒸気分圧が外気より高い状態となり、水蒸気分圧差により湿気が空気層に流入し、結露が発生しやすい。
そこで、本発明によれば、太陽電池モジュールの枠部材とサッシ枠との隙間をシーリング材で閉塞したので、屋内空気が空気層に流入するのを防止して、板ガラスや太陽電池パネルに結露が生じるのを抑制できる。また、空気層内の空気が外気と同様の水蒸気分圧となるので、仮に、湿気を含む屋内空気が空気層に流入した場合でも、この湿気は屋外から換気孔を通って空気層に流入した外気によって希釈されるから、結露を抑制できる。
【0009】
また、日射には可視光域から近赤外域までのエネルギー特性がある。建具の板ガラスは、可視光を透過させ、近赤外線を透過させにくいという特徴がある。そのため、建具の板ガラスを透過した日射により、空気層内に近赤外線のエネルギーが留まり、空気層の温度が上昇しやすい。これに対し、太陽電池パネルは、温度が上昇すると、発電効率が低下する、という問題があった。
そこで、本発明によれば、枠部材の上下に、空気層と建物外部とを連通する換気孔を形成した。この換気孔を通して、空気層と建物外部との間で換気が行われるので、空気層が高温となるのを抑制して、太陽電池パネルの発電効率が低下するのを抑制できる。
このように、換気孔を通して、屋外風圧の変動や屋外との水蒸気分圧差に伴って、空気層と建物外部との間で換気が行われるので、冬季には結露を抑制でき、夏季には空気層の高温化を防いで、太陽電池パネルの発電が低下するのを抑制できる。
【0010】
本発明の太陽電池モジュールの取付け構造は、前記枠部材の下枠には、前記太陽電池パネルの屋内側の位置に、建物外部と屋内とを連通する排水孔(例えば、後述の排水孔36)が形成されることが好ましい
この発明によれば、枠部材の下枠に建物外部と屋内とを連通する排水孔を形成したので、太陽電池パネル表面の結露水が枠部材の下枠表面に落ちても、この結露水は排水孔を通って建物外部に排出される。
【0011】
本発明の太陽電池モジュールの取付け構造は、前記枠部材の屋内側には、断熱材(例えば、後述の断熱材37)が設けられることが好ましい
この発明によれば、太陽電池モジュールの枠部材の屋内側に断熱材を設けたので、屋内の空調熱が建物外部に太陽電池パネルを介して排熱されるのを防止でき、屋内の空調負荷を低減できる。
【0012】
請求項に記載の太陽電池モジュールの取付け方法は、枠部材および当該枠部材に取り付けられた太陽電池パネルを備える太陽電池モジュールを既存建物に取り付ける太陽電池モジュールの取付け方法であって、既存建物の外壁面には、サッシ枠と、当該サッシ枠に取り付けられた板ガラスと、を備える建具が取り付けられ、前記サッシ枠の下枠の上に弾性部材を設置する工程(例えば、後述のステップS1)と、当該弾性部材の上に前記太陽電池モジュールを配置する工程(例えば、後述のステップS2)と、当該太陽電池モジュールの枠部材と前記サッシ枠の上枠との隙間に、弾性部材を挿入する工程(例えば、後述のステップS3)と、当該太陽電池モジュールの枠部材を前記サッシ枠にビスで固定する工程(例えば、後述のステップS4)と、前記枠部材と前記サッシ枠との隙間をシーリング材で閉塞する工程(例えば、後述のステップS5)と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
太陽電池パネル表面のガラスを厚くすることが考えられるが、このようにすると、太陽電池パネルが高価となるうえに、太陽電池パネルの重量が増大する。
本発明によれば、太陽電池パネルを既存建物内に設置することで太陽電池パネル表面のガラスを薄くでき、太陽電池パネルの重量を軽減できる。
また、本発明によれば、既存建物に太陽電池モジュールを取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールが取り付けられた窓を屋内側から視た図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のB-B断面図およびC-C断面図である。
図4】空気層内の空気の流出経路あるいは流入経路の説明図および結露水の排出経路の説明図である。
図5】太陽電池モジュールを窓に取り付ける手順のフローチャートである。
図6】太陽電池モジュールを窓に取り付ける手順の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュール1が取り付けられた建具としての窓2を屋内側から視た図である。図2は、図1のA-A断面図である。図3(a)は、図1のB-B断面図であり、図3(b)は、図1のC-C断面図である。
太陽電池モジュール1は、窓2の屋内側に取り付けられている。1つの窓2につき、2つの太陽電池モジュール1が取り付けられている。
この窓2は、既存建物の外壁面に取り付けられた外部窓である。窓2は、矩形枠状のサッシ枠10と、サッシ枠10に取り付けられた矩形状の板ガラス11と、を備える。
【0016】
板ガラス11は、以下の手順でサッシ枠10に取り付けられる。すなわち、図2に示すように、サッシ枠10には、全周に亘って板ガラス11を嵌め込むための溝20が形成されており、この溝20の屋内側の内壁面には、ガスケット21が取り付けられている。サッシ枠10の溝20にセッティングブロック22を配置し、このセッティングブロック22の上に板ガラス11を載せて、ガスケット21に押し付ける。次に、屋外側から、サッシ枠10の溝20の屋外側の内壁面と板ガラス11との隙間にバックアップ材23を挿入し、このバックアップ材23の上にシリコーン製のシーリング材24を打設する。これにより、板ガラス11と溝20との屋内側の隙間はガスケット21で塞がれ、板ガラス11と溝20との屋外側の隙間は、シーリング材24で塞がれることになる。
【0017】
太陽電池モジュール1は、工場にて製作されたものであり、矩形状の枠部材30と、この枠部材30に取り付けられた板状の太陽電池パネル31と、を備える。
枠部材30は、サッシ枠10で囲まれた内側に取り付けられており、太陽電池パネル31は、板ガラス11の屋内側に配置されている。板ガラス11と太陽電池パネル31との間には、空気層32が形成されている。
枠部材30は、板状の基部33と、この基部33に立設されて板ガラス11の屋内側の面を支持する第1支持部34と、この基部33に立設されて板ガラス11の屋外側の面を支持する第2支持部35と、を備える。
枠部材30の下枠を構成する基部33には、太陽電池パネル31の屋内側の位置に、結露水を排水するための排水孔36が形成されている(図3(b)参照)。
【0018】
太陽電池モジュール1の枠部材30と窓2の一部のサッシ枠10との隙間は、板状のEPDM(エチレンプロピレンゴム)製の弾性部材としてのゴム板40A、40Bが挿入されている。
ゴム板40Aは、枠部材30の下枠とサッシ枠10の下枠との間に配置され、ゴム板40Bは、枠部材30の上枠とサッシ枠10の上枠との間に配置される。さらに、太陽電池モジュール1の枠部材30と窓2のサッシ枠10との隙間でかつゴム板40A、40Bの屋内側は、バックアップ材41を挿入した後にシーリング材42を打設することで、閉塞されている。
太陽電池モジュール1の枠部材30の縦枠と窓2のサッシ枠10の縦枠との隙間、および、隣り合う太陽電池モジュール1の枠部材30の縦枠同士の隙間は、ゴム板を挿入することなく、バックアップ材41を挿入した後にシーリング材42を打設することで、閉塞されている。
【0019】
図4(a)は、図3(b)のD-D断面図である。
ゴム板40A、40Bの屋外側の辺縁には、換気孔としての切り欠き部43が形成されており、この切り欠き部43により、空気層32とサッシ枠10の内部とが連通している。空気層32内の空気は、図4(a)中矢印で示すように、ゴム板40Aの切り欠き部43およびサッシ枠10の内部を通って、サッシ枠10下面の屋外側から建物外部に流出あるいは流入する。
【0020】
図4(b)は、図3(b)のE-E断面図である。
ゴム板40Aの屋内側の辺縁には、切り欠き部44が形成されている。枠部材30表面に溜まった結露水は、図4(b)中矢印で示すように、枠部材30の排水孔36、ゴム板40Aの切り欠き部44およびサッシ枠10の内部を通って、サッシ枠10下面の屋外側から建物外部に排水される。
【0021】
枠部材30と板ガラス11との隙間は、EPDM(エチレンプロピレンゴム)製のゴム部材45で閉塞されている。
また、枠部材30の屋内側には、断熱材37が設けられている(図2参照)。
【0022】
太陽電池モジュール1は、上下2箇所ずつの合計4箇所で窓2にビス固定されている。太陽電池モジュール1を窓2にビス固定する手順は、以下のようになる。まず、太陽電池モジュール1の枠部材30のビス固定箇所に、ドリルで貫通孔を開ける。次に、この枠部材30に開けた貫通孔からシリコーン製のシーリング材を注入し、その後、この貫通孔にブチルゴム製のワッシャ50を通してテックスビス51をねじ込んで、枠部材30をサッシ枠10に固定する。
【0023】
以上の太陽電池モジュール1を既存建物の窓2に後付けで取り付ける手順について、図5のフローチャートを参照しながら説明する。
ステップS1では、図6(a)に示すように、板ガラス11に当接してゴム部材45を設置し、さらに、サッシ枠10の下枠の上にゴム板40Aを設置する。
ステップS2では、図6(b)に示すように、ゴム板40Aの上に太陽電池モジュール1を配置する。具体的には、太陽電池モジュール1の枠部材30の屋外側の面をゴム部材45に当接させつつ、この枠部材30をゴム板40Aの上に載せる。
ステップS3では、図6(b)に示すように、残りのゴム板40Bを、太陽電池モジュール1の枠部材30と窓2のサッシ枠10の上枠との隙間に挿入する。このようにしても、ゴム板40Bと枠部材30との間に隙間ができる場合には、この隙間にさらに金属製のライナーを打ち込んで閉塞する。
ステップS4では、太陽電池モジュール1の枠部材30をサッシ枠10にテックスビス51で固定する。
ステップS5では、太陽電池モジュール1の枠部材30と窓2のサッシ枠10との隙間にバックアップ材41を挿入してシーリング材42を打設する。
【0024】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)既存建物の外壁面に設けられた窓2の屋内側に太陽電池モジュール1を配置したので、太陽電池パネル31に風圧が直接作用することはなく、太陽電池パネル31が損傷するのを防止できる。また、太陽電池モジュール1が窓2で覆われるので、太陽電池パネル31のガラスを厚くする必要がなく、太陽電池パネルを低コストで製造できるうえに、太陽電池パネルを軽量化できる。
また、工場にて太陽電池パネル31と枠部材30とが一体化された太陽電池モジュール1を製作し、この太陽電池モジュール1を現場に搬入して取り付けるので、施工品質にばらつきが少なく、施工精度を確保できる。
【0025】
(2)屋内側から太陽電池モジュール1を後付けできるため、建物外部に太陽電池モジュールを取り付けるための足場や揚重機が不要となり、太陽電池モジュール1を低コストで取り付けできる。
また、既存の板ガラス11やサッシ枠10の取り外しを行うことなく、屋内側から太陽電池モジュール1を取り付けできるため、施工時に建物外壁面を傷つけないから、建物外壁から漏水するリスクを低減できる。
【0026】
(3)窓2の板ガラス11と太陽電池パネル31との間に空気層32を形成し、さらに、太陽電池モジュール1の枠部材30とサッシ枠10との隙間をシーリング材42で閉塞した。よって、屋内空気が空気層32に流入するのを防止して、板ガラス11や太陽電池パネル31に結露が生じるのを抑制できる。また、空気層32内の空気が外気と同様の水蒸気分圧となるので、仮に、湿気を含む屋内空気が空気層32に流入した場合でも、この湿気は屋外から空気層32に流入した外気によって希釈されるから、結露を抑制できる。
例えば、冬季の降雨時に、屋外が気温5.0℃、相対湿度100%で、室内が温度22℃、相対湿度50%であって、空気層に室内空気が流入した場合、空気層内の空気の露点湿度が11.1℃となるのに対し、ガラスの空気層側表面温度は7.4℃となるから、ガラスの空気層側表面で結露が発生する。しかし、本発明によれば、空気層が外気と連通しているので、空気層の空気の絶対湿度が外気とほぼ同等になるから、空気層内の空気の露点温度が5.0℃となる。すると、ガラスの空気層側表面温度が7.4℃、太陽電池パネルの空気層側表面温度が6.6℃であるので、結露が発生しない。
【0027】
(4)枠部材30の上下に、空気層32と建物外部とを連通する換気孔としての切り欠き部43を形成した。この切り欠き部43を通して、空気層32と建物外部との間で換気が行われるので、空気層32が高温となるのを抑制して、太陽電池パネル31の発電効率が低下するのを抑制できる。
例えば、夏季の晴天日には、最高気温35℃、全天日射量900W/mの場合、南向き窓の空気層内の気温は50℃を超える。しかし、本発明によれば、空気層と建物外部との間で換気が行われるので、南向き窓の空気層内の空気温度を35℃~40℃程度にできる。
【0028】
(5)枠部材30の下枠に建物外部と屋内とを連通する排水孔36を形成したので、太陽電池パネル31表面の結露水が枠部材30の下枠表面に落ちても、この結露水は排水孔36を通って建物外部に排出される。
【0029】
(6)太陽電池モジュール1の枠部材30の屋内側に断熱材37を設けたので、屋内の空調熱が太陽電池パネル31を介して建物外部に排熱されるのを防止でき、屋内の空調負荷を低減できる。
【0030】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態では、屋内側から太陽電池モジュール1を窓2に屋内側から取り付けたが、これに限らず、屋外側から取り付けてもよい。この場合、屋外に設置した足場を利用して板ガラス11を取り外し、この状態で、太陽電池モジュール1を取り付けて、板ガラス11を再度取り付ける。このようにしても、上述の(1)、(3)~(6)と同様の効果がある。
【0031】
また、上述の実施形態では、枠部材30に板ガラス11の屋外側の面を支持する第2支持部35を設けたが、これに限らず、第2支持部材を設けなくてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…太陽電池モジュール 2…窓(建具) 10…サッシ枠 11…板ガラス
20…溝 21…ガスケット 22…セッティングブロック
23…バックアップ材 24…シーリング材
30…枠部材 31…太陽電池パネル 32…空気層 33…基部
34…第1支持部 35…第2支持部 36…排水孔 37…断熱材
40A、40B…ゴム板(弾性部材) 41…バックアップ材
42…シーリング材 43…切り欠き部(換気孔) 44…切り欠き部
45…ゴム部材
50…ワッシャ 51…テックスビス
図1
図2
図3
図4
図5
図6