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特許7082028コネクタセット、コネクタ、及びコネクタセットの使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】コネクタセット、コネクタ、及びコネクタセットの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 39/10 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
A61M39/10 100
A61M39/10 110
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018199524
(22)【出願日】2018-10-23
(65)【公開番号】P2020065657
(43)【公開日】2020-04-30
【審査請求日】2021-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100149249
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 達也
(72)【発明者】
【氏名】秋山 和矢
【審査官】田中 玲子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-223583(JP,A)
【文献】特開2017-056120(JP,A)
【文献】国際公開第2018/062551(WO,A1)
【文献】特開平09-327519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路に設けられた第1接続部と第1押当り部と第1ねじ部とを有する第1コネクタと、第2流路に設けられた第2接続部と第2押当り部と第2ねじ部とを有する第2コネクタと、で構成されるとともに緩み防止部が設けられたコネクタセットであって、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記第1流路と前記第2流路とを接続するように互いに接続可能であり、
前記第1押当り部と前記第2押当り部とは、前記第1接続部と前記第2接続部との接続状態において、所定の軸線に沿う軸方向において互いに押当り可能であり、
前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とは、前記接続状態における前記第1押当り部と前記第2押当り部との押当り状態において、前記軸方向において互いに締結可能であり、
前記緩み防止部は、前記接続状態での前記押当り状態における前記第1ねじ部と前記第2ねじ部との締結状態において、前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とが前記軸方向において互いに引張るように前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部の少なくとも一方を付勢可能であり、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタのいずれか一方は、オスルアーを備える内筒と、前記内筒との連結部及び雌ねじ部を備える外筒と、を有し、
前記第1コネクタが前記内筒及び前記外筒を有する場合に、前記第1接続部は前記オスルアーで構成され、前記第1押当り部は前記オスルアーの外周面で構成され、前記第1ねじ部は前記雌ねじ部で構成され、前記緩み防止部は、前記連結部と前記第1ねじ部との間において前記外筒に設けられた複数の開口によって区画された、前記所定の軸線に関する周方向に並ぶ複数の弾性片で構成されており、
前記第2コネクタが前記内筒及び前記外筒を有する場合に、前記第2接続部は前記オスルアーで構成され、前記第2押当り部は前記オスルアーの外周面で構成され、前記第2ねじ部は前記雌ねじ部で構成され、前記緩み防止部は、前記連結部と前記第2ねじ部との間において前記外筒に設けられた複数の開口によって区画された、前記所定の軸線に関する周方向に並ぶ複数の弾性片で構成されている、
コネクタセット。
【請求項2】
前記連結部は、前記内筒に対して回動可能に連結している、請求項に記載のコネクタセット。
【請求項3】
前記連結部は、前記内筒に一体に連結している、請求項1又は2に記載のコネクタセット。
【請求項4】
前記緩み防止部は、前記所定の軸線に関する周方向に並ぶ複数の弾性片で構成されており、
前記複数の弾性片は、互いに延在方向を揃えてそれぞれ一定の幅で延在する直線状、折れ線状、曲線状又は波状をなしており、
前記複数の弾性片が直線状をなす場合には、前記複数の弾性片の延在方向は、それぞれ、前記軸方向に対して前記周方向に傾斜している、
請求項1~のいずれか一項に記載のコネクタセット。
【請求項5】
前記複数の弾性片は、前記周方向に等間隔で並んでおり、且つ、互いに同一の幅を有する、請求項に記載のコネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタセット、コネクタ、及びコネクタセットの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬液等の液体を医療用のチューブを通して体内へ送る輸液ラインにおいて複数のチューブを接続するために、互いに接続可能な2つのコネクタで構成されるコネクタセットが用いられている。
【0003】
このようなコネクタセットとしては、例えば、ルアーロック式のオスコネクタ及びメスコネクタで構成されるものが知られている(例えば特許文献1参照)。このようなルアーロック式のオスコネクタ及びメスコネクタを用いる場合には、オスコネクタのオスルアーをメスコネクタのメスルアーに挿入して、そのテーパ状の外周面をメスルアーの内周面に押当て嵌合させるとともに、オスコネクタに設けられたロック用の雌ねじ部をメスコネクタに設けられた雄ねじ部に締結することにより、オスルアーに連なる流路とメスルアーに連なる流路とが互いに接続されるとともにその接続状態が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-35140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように接続状態を保持するための雄ねじ部と雌ねじ部とを備えるコネクタセットであっても、衝撃等の外力が付加された場合や、嵌合部の経時的な変形が生じた場合などにおいては、雄ねじ部と雌ねじ部とのねじ結合に緩みが生じて、意図せずにコネクタが外れる虞がある。
【0006】
本開示は、このような点に鑑み、雄ねじ部と雌ねじ部とのねじ結合に緩みを生じ難くし、もって、コネクタの外れを生じ難くすることができる、コネクタセット、コネクタ、及びコネクタセットの使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様としてのコネクタセットは、
第1流路に設けられた第1接続部と第1押当り部と第1ねじ部とを有する第1コネクタと、第2流路に設けられた第2接続部と第2押当り部と第2ねじ部とを有する第2コネクタと、で構成されるとともに緩み防止部が設けられたコネクタセットであって、
前記第1接続部と前記第2接続部とは、前記第1流路と前記第2流路とを接続するように互いに接続可能であり、
前記第1押当り部と前記第2押当り部とは、前記第1接続部と前記第2接続部との接続状態において、所定の軸線に沿う軸方向において互いに押当り可能であり、
前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とは、前記接続状態における前記第1押当り部と前記第2押当り部との押当り状態において、前記軸方向において互いに締結可能であり、
前記緩み防止部は、前記接続状態での前記押当り状態における前記第1ねじ部と前記第2ねじ部との締結状態において、前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とが前記軸方向において互いに引張るように前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部の少なくとも一方を付勢可能である。
【0008】
本発明の1つの実施形態として、
前記第1コネクタ及び前記第2コネクタのいずれか一方は、オスルアーを備える内筒と、前記内筒との連結部及び雌ねじ部を備える外筒と、を有し、
前記第1コネクタが前記内筒及び前記外筒を有する場合に、前記第1接続部は前記オスルアーで構成され、前記第1押当り部は前記オスルアーの外周面で構成され、前記第1ねじ部は前記雌ねじ部で構成され、前記緩み防止部は、前記連結部と前記第1ねじ部との間において前記外筒に設けられた複数の開口によって区画された、前記所定の軸線に関する周方向に並ぶ複数の弾性片で構成されており、
前記第2コネクタが前記内筒及び前記外筒を有する場合に、前記第2接続部は前記オスルアーで構成され、前記第2押当り部は前記オスルアーの外周面で構成され、前記第2ねじ部は前記雌ねじ部で構成され、前記緩み防止部は、前記連結部と前記第2ねじ部との間において前記外筒に設けられた複数の開口によって区画された、前記所定の軸線に関する周方向に並ぶ複数の弾性片で構成されている。
【0009】
本発明の1つの実施形態として、
前記連結部は、前記内筒に対して回動可能に連結している。
【0010】
本発明の1つの実施形態として、
前記連結部は、前記内筒に一体に連結している。
【0011】
本発明の1つの実施形態として、
前記緩み防止部は、前記所定の軸線に関する周方向に並ぶ複数の弾性片で構成されており、
前記複数の弾性片は、互いに延在方向を揃えてそれぞれ一定の幅で延在する直線状、折れ線状、曲線状又は波状をなしており、
前記複数の弾性片が直線状をなす場合には、前記複数の弾性片の延在方向は、それぞれ、前記軸方向に対して前記周方向に傾斜している。
【0012】
本発明の1つの実施形態として、
前記複数の弾性片は、前記周方向に等間隔で並んでおり、且つ、互いに同一の幅を有する。
【0013】
本発明の1つの実施形態として、
前記複数の弾性片は、前記周方向に整列した開口によって区画されている。
【0014】
本発明の一態様としてのコネクタは、
前記所定の軸線に沿う軸方向に延在するオスルアーを備える内筒と、
前記内筒との連結部、及び前記所定の軸線を中心とする雌ねじ部を備える外筒と、を有し、
前記外筒は、前記連結部と前記雌ねじ部との間において複数の開口によって区画された、前記所定の軸線に関する周方向に並ぶ複数の弾性片で構成された緩み防止部を有する。
【0015】
本発明の1つの実施形態として、
前記連結部は、前記内筒に対して回動可能に連結している。
【0016】
本発明の1つの実施形態として、
前記連結部は、前記内筒に一体に連結している。
【0017】
本発明の1つの実施形態として、
前記複数の弾性片は、互いに延在方向を揃えてそれぞれ一定の幅で延在する直線状、折れ線状、曲線状又は波状をなしており、
前記複数の弾性片が直線状をなす場合には、前記複数の弾性片の延在方向は、それぞれ、前記軸方向に対して前記周方向に傾斜している。
【0018】
本発明の1つの実施形態として、
前記複数の弾性片は、前記周方向に等間隔で並んでおり、且つ、互いに同一の幅を有する。
【0019】
本発明の1つの実施形態として、
前記複数の弾性片は、前記周方向に整列した開口によって区画されている。
【0020】
本発明の一態様としてのコネクタセットの使用方法は、
第1流路に設けられた第1接続部と第1押当り部と第1ねじ部とを有する第1コネクタと、第2流路に設けられた第2接続部と第2押当り部と第2ねじ部とを有する第2コネクタと、で構成されるとともに緩み防止部が設けられたコネクタセットの使用方法であって、
前記第1流路と前記第2流路とを接続するように前記第1接続部と前記第2接続部とを互いに接続させる接続ステップと、
前記第1接続部と前記第2接続部との接続状態において、前記第1押当り部と前記第2押当り部とを所定の軸線に沿う軸方向において互いに押当てる押当てステップと、
前記接続状態での前記第1押当り部と前記第2押当り部との押当り状態において、前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とが前記軸方向において互いに引張るように前記緩み防止部が前記第1ねじ部及び前記第2ねじ部の少なくとも一方を付勢した状態で、前記第1ねじ部と前記第2ねじ部とを前記軸方向において互いに締結させる、締結ステップと、を有する。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、雄ねじ部と雌ねじ部とのねじ結合に緩みを生じ難くし、もって、コネクタの外れを生じ難くすることができる、コネクタセット、コネクタ、及びコネクタセットの使用方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の一実施形態に係るコネクタセットを輸液ラインに設けた状態で示す側面図である。
図2図1に示すコネクタセットの側面図である。
図3図1に示すコネクタセットの断面図である。
図4図1に示すコネクタセットを接続状態で示す断面図である。
図5図4に示す状態からオスルアーとメスルアーとの嵌合部に経時的変形が生じた場合のコネクタセットの動作を説明するための断面図である。
図6図1に示す第1コネクタの第1変形例を示す側面図である。
図7図1に示す第1コネクタの第2変形例を示す側面図である。
図8図1に示す第1コネクタの第3変形例を示す側面図である。
図9図1に示す第1コネクタの第4変形例を示す側面図である。
図10図1に示す第1コネクタの第5変形例を示す側面図である。
図11図1に示す第1コネクタの第6変形例を示す側面図である。
図12図11に示す第1コネクタの断面図である。
図13】本発明の一実施形態に係るコネクタセットの使用方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係るコネクタセット、コネクタ、及びコネクタセットの使用方法について詳細に例示説明する。
【0024】
まず、本発明の一実施形態に係るコネクタセット及びコネクタについて、詳細に例示説明する。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係るコネクタセット1は、第1コネクタ10と第2コネクタ20とで構成されるとともに、緩み防止部30が設けられている。本実施形態では、緩み防止部30は、第1コネクタ10(すなわち、本実施形態に係るコネクタ)に設けられている。
【0026】
図2図3に示すように、第1コネクタ10は、第1流路11に設けられた第1接続部12と第1押当り部13と第1ねじ部14とを有している。第2コネクタ20は、第2流路21に設けられた第2接続部22と第2押当り部23と第2ねじ部24とを有している。
【0027】
本実施形態では、第1流路11及び第2流路21は、図1に示すように、輸液ライン2における流路として構成されている。すなわち、コネクタセット1は、輸液ライン2に設けられている。しかし、コネクタセット1は、輸液ライン2に設けられるものに限らず、例えば、シリンジの注出口、血液透析時あるいは心臓外科手術時に使用される体外循環用の血液回路に設けられてもよい。コネクタセット1がシリンジの注出口に設けられる場合、第1流路11及び第2流路21は、シリンジにおける流路として構成される。また、コネクタセット1が血液回路に設けられる場合、第1流路11及び第2流路21は、血液回路における流路として構成される。
【0028】
図1に示す輸液ライン2は、薬液等の液体を収容する輸液バッグ3、輸液バッグ3に輸液バッグ用コネクタ4を介して接続される医療用のチューブ5、チューブ5の遠位端に設けられた第1コネクタ10、第2コネクタ20の遠位端に設けられた医療用の他のチューブ6を有している。このように、第1流路11は、輸液バッグ用コネクタ4内の流路と、チューブ5内の流路と、第1コネクタ10内の流路と、で構成され、第2流路21は、第2コネクタ20内の流路と、他のチューブ6内の流路と、で構成されている。なお、符号7は、輸液ライン2からの液体を投与するときに流路を開放する固定式のクレンメを示している。
【0029】
本実施形態では、このような第1流路11と第2流路21とを接続するとともにその接続状態を保持するために、コネクタセット1が用いられる。図3図4に示すように、第1接続部12と第2接続部22とは、第1流路11と第2流路21とを接続するように互いに接続可能である。第1押当り部13と第2押当り部23とは、第1接続部12と第2接続部22との接続状態において、所定の軸線Oに沿う軸方向(以下、単に「軸方向」ともいう)において互いに押当り可能である。第1ねじ部14と第2ねじ部24とは、第1接続部12と第2接続部22との接続状態における第1押当り部13と第2押当り部23との押当り状態において、軸方向において互いに締結可能である。図4において、第1接続部12と第2接続部22とは接続状態となっており、第1押当り部13と第2押当り部23とは押当り状態となっており、第1ねじ部14と第2ねじ部24とは締結状態となっている。
【0030】
本実施形態では、第1コネクタ10は、オスルアー15を備える内筒16と、内筒16との連結部17a及び雌ねじ部17bを備える外筒17と、を有している。また、第2コネクタ20は、雄ねじ部25aを備えるメスルアー25を有している。第1接続部12はオスルアー15で構成され、第1押当り部13はオスルアー15の外周面で構成され、第1ねじ部14は雌ねじ部17bで構成されている。第2接続部22はメスルアー25で構成され、第2押当り部23はメスルアー25の内周面で構成され、第2ねじ部24は雄ねじ部25aで構成されている。
【0031】
外筒17の連結部17aは、本実施形態では、内筒16に対して回動可能に連結している。より具体的に、連結部17aは、テーパ面を介して内筒16の先端側への抜け止め可能に内筒16の外周面と係合している。
【0032】
図4に示すように、緩み防止部30は、第1接続部12と第2接続部22との接続状態での第1押当り部13と第2押当り部23との押当り状態における第1ねじ部14と第2ねじ部24との締結状態において、第1ねじ部14と第2ねじ部24とが軸方向において互いに引張るように第1ねじ部14及び第2ねじ部24の少なくとも一方(本実施形態では第1ねじ部14)を付勢可能である。より具体的に、緩み防止部30は、図2図3に示すように、連結部17aと第1ねじ部14との間において外筒17に設けられた複数の開口31によって区画された、軸線Oに関する周方向(以下、単に「周方向」ともいう)に並ぶ複数の弾性片32で構成されている。
【0033】
本実施形態では、複数の弾性片32は、互いに延在方向を揃えてそれぞれ一定の幅で延在する直線状をなしている。複数の弾性片32の延在方向は、それぞれ、軸方向に対して周方向に傾斜している。本実施形態では、複数の弾性片32は、周方向に等間隔で並んでおり、且つ、互いに同一の幅を有している。本実施形態では、複数の弾性片32は、周方向に整列した開口31によって区画されている。
【0034】
このような緩み防止部30を有するコネクタセット1によれば、第1接続部12と第2接続部22とを互いに接続するとともに第1押当り部13と第2押当り部23とを互いに押当て、緩み防止部30が弾性変形によって軸方向に適度に引き延ばされるまで第1ねじ部14と第2ねじ部24とを互いにねじ込んで、第1ねじ部14と第2ねじ部24とを互いに締結することができる。したがって、その締結状態において、緩み防止部30の上記弾性変形からの復元力によって、第1ねじ部14と第2ねじ部24とが軸方向において互いに引張るように(すなわち、図4において左方向に)第1ねじ部14を付勢することができる。このとき、緩み防止部30は、複数の弾性片32の延在方向がそれぞれ軸方向に対して周方向に傾斜しているので、各弾性片32の曲げ変形を介して軸方向に容易に弾性変形することができる一方、破壊に対する強度は良好に確保することができる。このような効果を得るためには、複数の弾性片32は、それぞれ、細長い形状(すなわち、延在方向の長さがそれに直交する幅より長い形状)を有することが好ましい。
【0035】
図4に示すように緩み防止部30の復元力によって第1ねじ部14を左方向に付勢した状態で第1ねじ部14と第2ねじ部24とを互いに締結した場合には、衝撃等の外力による弾性変形又は塑性変形や、経時的な塑性変形などが、第1押当り部13と第2押当り部23との間に生じた場合においても、第1ねじ部14と第2ねじ部24とのねじ結合に緩みが生じることを抑制することができる。すなわち、上記のような変形により、図5に示すように、第1接続部12(オスルアー15)と第2接続部22(メスルアー25)とが互いに軸方向に接近する方向に変位したとしても、その変位により第1ねじ部14と第2ねじ部24との間に生じるはずの隙間Sは、緩み防止部30の復元変形(図5における白抜き矢印の方向の変形)によって直ちに解消されることになる。つまり、このような隙間Sを生じずに、ねじの緩みの発生を抑制することができ、もって、コネクタの外れの発生を抑制することができる。
【0036】
緩み防止部30を構成する複数の弾性片32は、図2に示すような直線状のものに限られない。複数の弾性片32は、図6に示すように、互いに延在方向を揃えてそれぞれ一定の幅で延在する折れ線状をなしていてもよい。複数の弾性片32は、図7に示すように、互いに延在方向を揃えてそれぞれ一定の幅で延在する曲線状をなしていてもよい。複数の弾性片32は、図8に示すように、互いに延在方向を揃えてそれぞれ一定の幅で延在する波状をなしていてもよい。
【0037】
緩み防止部30を構成する複数の弾性片32は、図2及び図6図8に示すような、周方向に等間隔で並んでおり、且つ、互いに同一の幅を有するものに限られず、例えば、図9に示すような、周方向に異なる間隔で並んでおり、且つ、互いに異なる幅を有するものであってもよい。
【0038】
緩み防止部30を構成する複数の弾性片32は、図2及び図6図9に示すような、周方向に整列した開口31によって区画されているものに限られず、例えば、図10に示すような周方向にばらつきがある開口31によって区画されているものであってもよい。
【0039】
第1コネクタ10は、本実施形態のように外筒17の連結部17aが内筒16に対して回動可能に連結した構成に限られない。第1コネクタ10は、図11図12に示すように、外筒17の連結部17aが内筒16に一体に連結した構成であってもよい。
【0040】
本実施形態では、第1接続部12がオスルアー15で構成され、第2接続部22がメスルアー25で構成されている。しかし、本実施形態に係るコネクタセット1における第1接続部12及び第2接続部22は、このようなテーパ面を有するものに限られない。また、本実施形態では、第1押当り部13が第1接続部12(オスルアー15)の外周面で構成され、第2押当り部23が第2接続部22(メスルアー25)の内周面で構成されている。しかし、本実施形態に係るコネクタセット1における第1押当り部13及び第2押当り部23は、このような構成に限られず、第1押当り部13が第1接続部12と別に設けられてもよいし、第2押当り部23が第2接続部22と別に設けられてもよい。
【0041】
本実施形態では、第1接続部12は、その内部の流路を閉塞する弁体を有さない開放式の接続部として構成されているが、第1接続部12は、このような弁体を有する閉鎖式の接続部として構成されてもよい。第2接続部22は、その内部の流路を閉塞する弁体を有さない開放式の接続部として構成されているが、第2接続部22は、このような弁体を有する閉鎖式の接続部として構成されてもよい。
【0042】
本実施形態では、緩み防止部30が第1コネクタ10に設けられている。しかし、本実施形態に係るコネクタセット1は、緩み防止部30が第2コネクタ20に設けられていてもよい。この場合、緩み防止部30は、第1接続部12と第2接続部22との接続状態での第1押当り部13と第2押当り部23との押当り状態における第1ねじ部14と第2ねじ部24との締結状態において、第1ねじ部14と第2ねじ部24とが軸方向において互いに引張るように第2ねじ部24を付勢可能に設けられる。この場合、緩み防止部30は、第2コネクタ20に設けられた複数の開口によって区画された、周方向に並ぶ複数の弾性片で構成することができる。例えば、緩み防止部30は、第2コネクタ20のメスルアー25に設けられた複数の開口によって区画された、周方向に並ぶ複数の弾性片で構成することができる。
【0043】
また、本実施形態に係るコネクタセット1は、緩み防止部30が第1コネクタ10及び第2コネクタ20の両方に設けられた構成であってもよい。この場合、緩み防止部30は、第1接続部12と第2接続部22との接続状態での第1押当り部13と第2押当り部23との押当り状態における第1ねじ部14と第2ねじ部24との締結状態において、第1ねじ部14と第2ねじ部24とが軸方向において互いに引張るように第1ねじ部14及び第2ねじ部24の両方を付勢可能に設けられる。この場合、緩み防止部30は、第1コネクタ10に設けられた複数の開口31によって区画された、周方向に並ぶ複数の弾性片32と、第2コネクタ20に設けられた複数の開口によって区画された、周方向に並ぶ複数の弾性片と、で構成することができる。
【0044】
前述したように、本実施形態及びその種々の変形例に係るコネクタセット1は、第1接続部12と第2接続部22との接続状態での第1押当り部13と第2押当り部23との押当り状態における第1ねじ部14と第2ねじ部24との締結状態において、第1ねじ部14と第2ねじ部24とが軸方向において互いに引張るように第1ねじ部14及び第2ねじ部24の少なくとも一方を付勢可能な緩み防止部30を有しているので、第1ねじ部14と第2ねじ部24とのねじ結合に緩みを生じ難くし、もって、コネクタの外れを生じ難くすることができる。
【0045】
また、本実施形態及びその種々の変形例に係るコネクタである第1コネクタ10は、オスルアー15を備える内筒16と、連結部17a及び雌ねじ部17bを備える外筒17と、を有し、外筒17が、連結部17aと雌ねじ部17bとの間において複数の開口31によって区画された、周方向に並ぶ複数の弾性片32で構成された緩み防止部30を有しているので、メスルアー25と雄ねじ部25aとを備える第2コネクタ20に対し、ねじ結合に緩みを生じ難くし、もって、コネクタの外れを生じ難くすることができる。
【0046】
次に、本発明の一実施形態に係るコネクタセットの使用方法について、詳細に例示説明する。
【0047】
本実施形態では、図1図5を用いて説明したコネクタセット1を用いる場合について説明する。しかし、本実施形態で用いるコネクタセット1には、前述した変更を含めた種々の変更が可能である。
【0048】
本実施形態に係るコネクタセットの使用方法は、図13に示すように、接続ステップS1と、押当てステップS2と、締結ステップS3と、を有している。
【0049】
本実施形態では、まず、接続ステップS1が行われる。接続ステップS1は、図3に示すような、第1接続部12と第2接続部22とが離れた状態から、図4に示すように、第1流路11と第2流路21とを接続するように第1接続部12と第2接続部22とを互いに接続させるステップである。
【0050】
本実施形態では、接続ステップS1の終了と同時に、押当てステップS2が行われる。押当てステップS2は、図4に示されるように、第1接続部12と第2接続部22との接続状態において、第1押当り部13と第2押当り部23とを軸方向において互いに押当てるステップである。
【0051】
本実施形態では、押当てステップS2に次いで、締結ステップS3が行われる。締結ステップS3は、図4に示されるように、第1接続部12と第2接続部22との接続状態での第1押当り部13と第2押当り部23との押当り状態において、第1ねじ部14と第2ねじ部24とが軸方向において互いに引張るように緩み防止部30が第1ねじ部14及び第2ねじ部24の少なくとも一方(本実施形態では第1ねじ部14)を付勢した状態で、第1ねじ部14と第2ねじ部24とを軸方向において互いに締結させるステップである。
【0052】
本実施形態に係るコネクタセットの使用方法によれば、第1ねじ部14と第2ねじ部24とが軸方向において互いに引張るように、緩み防止部30による付勢力を与えた状態で締結ステップS3を行うようにしているので、第1ねじ部14と第2ねじ部24とのねじ結合に緩みを生じ難くし、もって、コネクタの外れを生じ難くすることができる。
【0053】
前述した本実施形態は、本発明の実施形態の一例にすぎず、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0054】
1 コネクタセット
2 輸液ライン
3 輸液バッグ
4 輸液バッグ用コネクタ
5 チューブ
6 他のチューブ
7 クレンメ
10 第1コネクタ
11 第1流路
12 第1接続部
13 第1押当り部
14 第1ねじ部
15 オスルアー
16 内筒
17 外筒
17a 連結部
17b 雌ねじ部
20 第2コネクタ
21 第2流路
22 第2接続部
23 第2押当り部
24 第2ねじ部
25 メスルアー
25a 雄ねじ部
30 緩み防止部
31 開口
32 弾性片
O 軸線
S 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13