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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】気道開存性を決定するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
A61M16/00 370Z
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2018556823
(86)(22)【出願日】2017-04-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 IB2017052458
(87)【国際公開番号】W WO2017187391
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-24
(31)【優先権主張番号】62/329,555
(32)【優先日】2016-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】ペイトン マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャヴァレミ アリレザ ネジャティ
(72)【発明者】
【氏名】バーンズ トーマス ハインリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ハーメズ ライス アディーブ
(72)【発明者】
【氏名】グレイヴス レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】オールドフィールド サマンサ デイル
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-508036(JP,A)
【文献】特表2012-531246(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0190088(US,A1)
【文献】特表2010-526568(JP,A)
【文献】特表2014-519856(JP,A)
【文献】米国特許第06675797(US,B1)
【文献】特表2007-525267(JP,A)
【文献】国際公開第2016/035035(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の気道開存性を判定するためのシステムであって、
患者の気道から排出されている少なくとも1種の標的ガスの濃度を測定するように構成されたガスセンサーと、
ある期間の前記少なくとも1種の標的ガスの前記濃度に基づいて、前記気道における閉塞の場所が上気道であるかまたは下気道であるか、を判定するように構成されたコントローラと、
を含
前記システムが、フロー療法または呼吸補助を、前記患者の鼻孔を経由して提供するように構成され、前記ガスセンサーが、前記患者の前記口または口腔または口咽頭領域にまたはその内側に位置するように配置され、前記少なくとも1種の標的ガスがCO2であり、前記システムが、
前記CO2の濃度は経時的に変動していて、前記ガスセンサーによって測定された前記CO2の濃度がゼロである又はゼロに近い第1のベース濃度から第1のピーク濃度へ上昇し、かつ前記CO2の濃度は、前記第1のピーク濃度から、前記第1のベース濃度を上回る第2のベース濃度へと低下し、およびある期間にわたって、後続のピーク濃度から戻った後続のベース濃度が、経時的に先行するベース濃度を上回り、および/または経時的に前記第1のベース濃度を実質的に上回ること、及び、
前記CO2の濃度は、経時的に変動せず、または経時的に不変の濃度であり、前記ガスセンサーによって測定された前記CO2の濃度は前記ベース濃度に留まること、
を測定するように構成されている、システム。
【請求項2】
流れ発生器が、前記少なくとも1種の標的ガスを、前記患者へのフロー療法または呼吸補助の一部として前記患者の気道へ供給されるガスに加えるように構成されている、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
患者インターフェースが、前記少なくとも1種の標的ガスを前記患者の気道へ提供するように構成され、前記ガスセンサーが、前記少なくとも1種の標的ガスの濃度を、前記提供に続いて、ある期間、測定するように構成されている、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記システムは、フロー療法または呼吸補助のガスの流れを、前記患者の気道に提供するように構成された患者インターフェースをさらに含み、前記患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含むタイプである、請求項に記載のシステム。
【請求項5】
前記患者インターフェースは、鼻マスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、または上記の組み合わせを含む、請求項に記載のシステム。
【請求項6】
前記患者インターフェースが、
前記患者の気道へのガスの流れ
前記患者の気道への前記少なくとも1種の標的ガス
の1つ以上を提供するように構成されている、請求項又はに記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、
患者の酸素飽和度を増加させるために、ある期間、前記患者の気道にフロー療法または呼吸補助を提供するように流れ発生器を制御し、
ある期間、前記患者に提供中のフロー療法または呼吸補助を除去、停止、または減少させ、
ある期間、前記患者の気道に、前記少なくとも1種の標的ガスを含むガスを提供するように前記流れ発生器を制御し、
前記患者の気道への前記フロー療法または呼吸補助の提供を復活するように前記流れ発生器を制御し、
ある期間、前記患者から排出されるガスにおける前記少なくとも1種の標的ガスの濃度を測定することまたはその測定値を取る
ように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記コントローラが、経時的に測定される前記少なくとも1種の標的ガスの測定値と相関がある前記患者の心拍または心原性作用の情報を出力するように構成されている、請求項1又はに記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、経時的に測定される前記少なくとも1種の標的ガスの濃度と相関がある前記患者の心拍または心原性作用の情報を出力するように構成されている、請求項またはに記載のシステム。
【請求項10】
ガスの流れが、患者インターフェースにより前記患者の気道に提供される、請求項に記載のシステム。
【請求項11】
流れ発生器が、前記ガスの流れを、前記患者に振動流で提供するように構成されている、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記流れ発生器が、前記ガスの流れを前記振動流で提供して前記少なくとも1種の標的ガスの前記排出を増強するように構成されている、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記システムが、前記システムが前記患者の気道に提供する前記ガスの流れの流量と、監視ガス信号としての前記少なくとも1種の標的ガスの前記濃度との相関を特定するように構成されている、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記振動流は、前記コントローラによって提供された流れ信号に基づいて提供され、前記流れ信号が、
周波数であって、ある期間にわたって繰り返している、周波数、
振幅、
波形であって、ある期間にわたって繰り返している、波形、
位相
の信号特性のうちの1つ以上を有する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、
前記流れ信号の前記周波数、
前記流れ信号の前記振幅、
前記流れ信号の前記波形であって、前記波形は、ある期間にわたって繰り返している、前記流れ信号の前記波形、
前記流れ信号の前記位相、
前記流れ信号の経時的変化
のうちの1つ以上と、
前記監視ガス信号の周波数または周波数範囲、
前記監視ガス信号の振幅、
特定の周波数での前記監視ガス信号の振幅、
前記監視ガス信号の波形、
前記監視ガス信号の位相、
前記監視ガス信号の経時的変化、
のうちの1つ以上との比較に基づいて前記相関を特定するように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記流れ信号の前記周波数と、前記監視ガス信号の周波数または周波数範囲との比較に基づいて前記相関を特定するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラが、
前記流れ信号の前記波形の信号のエッジまたは移行部分、
前記流れ信号の前記波形の極大値または極小値または変曲点、
前記流れ信号の一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間内の前記流れ信号のいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上と、
前記流れ信号の前記波形の前記信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に前記監視ガス信号の前記波形の後続の信号のエッジまたは移行部分が置かれていてもよいときの、前記監視ガス信号の前記波形の前記後続の信号のエッジまたは移行部分、
前記流れ信号の前記波形の前記信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に前記監視ガス信号の前記波形の後続の極大値または極小値が置かれていてもよいときの、前記監視ガス信号の前記波形の前記後続の極大値または極小値または変曲点、
前記流れ信号の前記波形の一部分の前記傾きまたは離散点における前記傾きの後の、ある期間内に前記監視ガス信号の前記波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾きが置かれていてもよいときの、前記監視ガス信号の前記波形の前記後続の一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間内の前記監視ガス信号のいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上との比較に基づいて前記相関を特定するように構成されている、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記コントローラが、前記相関がある閾値を上回るとき、前記患者の気道が閉塞されていないと判定するように構成されている、請求項1317のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項19】
前記コントローラが、前記監視ガス信号の周波数または周波数範囲の少なくとも1つの成分が前記流れ信号の周波数に実質的に適合するとき、および周波数の前記適合がある閾値を上回るとき、前記患者の気道が閉塞されていないと判定するように構成されている、請求項1318のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項20】
前記コントローラが、前記患者の気道の開存性のレベルを判定するように構成され、前記レベルが、前記相関の強さに比例する、請求項1319のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラが、前記相関がある閾値を下回るとき、前記患者の気道が閉塞されていると判定するように構成されている、請求項1320のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラが、前記監視ガス信号の周波数の少なくとも1つの成分が前記流れ信号の周波数と異なるとき、および/または前記監視ガス信号の振幅が前記流れ信号の振幅と同様でありかつある閾値を下回るとき、前記患者の気道が閉塞されていると判定するように構成されている、請求項1321のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項23】
視ガスまたは前記少なくとも1種の標的ガスが、患者の肺におけるガス交換の結果生成され、前記流れ発生器によって提供される前記流れが、前記患者が自発呼吸下になくても前記監視ガスの前記排出を促すように、または前記患者の体内で発生する心原性パルスに起因するガス交換を高めるまたは増強するように、作用するように構成されている、請求項1322のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項24】
前記コントローラが、前記相関を、モンテカルロ分析、および/またはスペクトル分析、および/または高速フーリエ変換のうちの1つ以上によって特定するように構成されている、請求項1323のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、無呼吸または非自発呼吸下の患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスを監視するための、および患者の気道が詰まって(blocked)いないかどうかまたは気道が開存性(patency)を有するかどうかを決定するための、および/または標的ガス痕跡(trace)の測定に基づいて、患者の気道のどの部分が詰まっているかを決定するための、方法および/または装置および/またはシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者は、麻酔、または鎮静されている間、またはより一般的に、いくつかの医療処置の間、呼吸機能を失い得る。医療処置の前に、患者は、医療専門家によって前酸素化(pre-oxygenated)されて、酸素飽和の蓄えを提供し得、およびこの前酸素化は、一般的に、袋およびフェイスマスクを用いて実施される。ひとたび全身麻酔下になると、患者に挿管を行って、患者を換気する必要がある。場合によっては、挿管は60秒未満で完了するが、他の場合には、特に患者の気道を横断するのが困難である場合(例えば、癌、重度の損傷、肥満または頚筋の痙攣に起因して)、挿管には著しく長い時間がかかる。前酸素化は、酸素飽和度の低下を和らげるが、挿管処置が長くかかると、挿管プロセスを中断してフェイスマスクを再適用し、患者の酸素飽和度を適切なレベルまで上昇させる必要がある。挿管プロセスの中断は、難しい挿管プロセスでは数回発生する可能性があり、これには時間がかかり、および患者を重大な健康リスクにさらす。挿管を約3回試みた後、医療処置は中止される。
【0003】
患者の気道が塞がれるまたは閉塞される(例えば気道が虚脱したり、または気道内にアイテムが引っかかったりする)場合、呼吸補助のために患者に実施しようと試みられ得る呼吸療法にもかかわらず、そのような療法は部分的にまたは全体的に無効となるかもしれない。そのような状況では、患者の安全性が危険にさらされる。
【0004】
本明細書におけるいずれかの従来技術への言及は、その従来技術が、世界中のいずれの国においても、努力分野における共通の一般知識の部分をなすことの、承認または何らかの形態の提案ではなく、かつそのようにみなされるべきではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書で開示するいくつかの実施形態の目的は、上述の問題の1つ以上を解決し得る、または少なくとも一般人または医療専門家に有用な選択肢を提供するのに少なくともいくらかの助けになり得る、方法および/または装置を提供することとし得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書で開示したような方法またはシステムまたは装置が、患者での使用に好適なフロー療法または呼吸補助システムまたは呼吸回路に関連付けられ得る。
【0007】
患者の沈静段階の間に(例えば、外科的処置を受けていて、患者の気道の開存性が損なわれ得る程度まで沈静された患者)、加湿ガスが、快適なガスの送給を可能にするために使用され得る。湿度は、気道が乾燥するのを防止するかまたはそれを最小限にするのを助け、それゆえ、気道への損傷を防止し得るかまたはそれを最小限にし得、かつまた、患者の1つまたは複数の気道に送給されているガスの流れを受け取っているときに、患者の快適さを高め得るかまたはそれを維持するのを支援し得る。そのような加湿ガスはまた、理由の如何に関わらず患者が無呼吸または非自発呼吸下である場合の別の状況においても、患者に用いられ得る。
【0008】
第1の態様では、
患者の気道から呼息されているまたは吐き出されている少なくとも1種の標的ガスを監視すること、および
ある期間の少なくとも1種の標的ガスの測定値に基づいて、
気道開存性に関する決定、または
気道における詰まりまたは閉塞の場所に関する決定、または
i)とii)の組み合わせ
に関するインジケータを提供すること
を含む、患者の気道開存性の指標または確証(establishment)を提供するための方法またはシステムを提供する。
【0009】
少なくとも1種の標的ガスの監視は、少なくとも1種の標的ガスの濃度の変動を測定することまたはその測定値によるとし得る。
【0010】
測定または測定値は、
患者の口または口腔または口咽頭領域に隣接してまたはその内側で取られる測定値、
患者の咽頭、または咽頭の流れに隣接してまたは実質的に隣接して取られる測定値、
患者の鼻または鼻腔に隣接してまたはその内側で取られる測定値
のうちの1つ以上から得られ得る。
【0011】
気道の詰まりまたは閉塞の決定可能な場所は、上気道または下気道であるとし得る。
【0012】
標的ガスは、CO2、O2、またはN2、または良性の医療用トレーサーガス、または二酸化炭素、O2もしくはN2の濃度を示すガスとし得る。
【0013】
標的ガスは、トレーサーガス(または複数種のトレーサーガス)としてもよく、および標的ガスは、窒素もしくは窒素と酸素の混合ガス、またはヘリウムもしくはヘリウムと酸素の混合ガス、または任意の他の不活性ガス、または混合ガスとしての不活性ガスおよび酸素のうちの1つ以上としてもよく、またはおそらくは、検出可能および測定可能である使用可能な任意の好適なガスが、標的ガスとして使用され得る。
【0014】
標的ガスは、患者のフロー療法または呼吸補助の一部としての、患者の気道へのガスの送給に含まれ得る。
【0015】
標的ガスは、患者の気道へ送給され得、および前記標的ガスの濃度は、送給に続いて、ある期間、測定または監視され得る。
【0016】
前記呼息されるまたは吐き出されるガスまたは前記呼息されるまたは吐き出されるガスの少なくとも一部分は、心原性活動(cardiogenic activity)に起因した結果として生じる、または患者の心拍に起因した結果として生じる。
【0017】
ガスの流れのフロー療法または呼吸補助は、患者インターフェースを経由して患者の気道に実施され、前記患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含むタイプであり、およびさらに、鼻マスク、口腔マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、上記の組み合わせ、または何らかの他のガス搬送患者インターフェースシステムを含み得る。
【0018】
前記患者インターフェースは、
患者の気道へのガスの流れ
患者の気道への標的ガス
のうちの1つ以上を送給し得る。
【0019】
システムまたは方法は、さらに、
患者の酸素飽和度を増加させるために、ある期間、患者の気道にフロー療法または呼吸補助を提供または実施すること、
ある期間、患者に提供中のフロー療法または呼吸補助を除去または停止または減少させること、
ある期間、患者の気道に標的ガスを含むガスを提供または送給して、患者の気道への前記フロー療法または呼吸補助の提供または送給を復活すること、
ある期間、患者から呼息されるまたは吐き出されるガスにおける標的ガスの濃度を測定することまたはその測定値を取ること
を含み得る。
【0020】
酸素飽和度は、約95または96または97または98%を上回ってもよい。
【0021】
フロー療法または呼吸補助を除去または停止または減少させることは、前記フロー療法または呼吸補助によって患者の気道または肺に加える圧力を低下させるため、または患者に先に提供または実施されたフロー療法または呼吸補助の初期の流れまたは圧力条件と比べて流れまたは圧力が低下した条件下で、患者の肺を部分的に収縮できるようにするためとし得る。
【0022】
ガスの提供または送給は、前記標的ガスを含む前記ガスによって患者の肺を少なくとも部分的に再膨張させるためとし得る。
【0023】
濃度を測定することまたはその測定値を取ることは、実質的に前記患者の肺を収縮させることができないとし得る。
【0024】
濃度を測定することまたはその測定値を取ることは、ある期間、患者から呼息されるまたは吐き出されるガス中の標的ガスの濃度の変動を監視および追跡することを含み得る。
【0025】
センサーが、ある期間、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を獲得するために、患者の口または口腔または口咽頭領域に隣接してまたはその内側に置かれ得る。
【0026】
経時的に測定される前記標的ガスの濃度は、患者の心拍または心原性作用(cardiogenic action)と相関される。
【0027】
患者に提供または実施されるフロー療法または呼吸補助は、周囲または空気条件を上回るまたは約20.95%(乾燥重量ベースで)の酸素を上回る酸素の一部を提供するガス源からとし得、ガス源は、約100%までの酸素のガスとしてもよい。前記フロー療法または呼吸補助の1種または複数種のガスは、加湿されていてもよい。
【0028】
ガスは、窒素対酸素の50:50の混合ガス、ヘリウムと酸素の混合ガス、1種または複数種の不活性ガスと酸素の混合ガス、または検出可能および測定可能でありかつ患者の呼吸に適したガスと混合可能な任意の好適なガスのうちの1つ以上とし得る、標的ガスを含み得る。
【0029】
前記患者の気道に提供または送給されるガスは、加湿され得る。
【0030】
フロー療法または呼吸補助が、患者の鼻孔に提供または実施され得、および患者の気道において圧力を測定することまたはその測定値を取ることがあり(圧力を測定することまたはその測定値を取ることは、喉頭の上方に置かれたセンサーを使用してもよい)、患者の喉頭の上方で測定される患者の気道の圧力は、咽頭気道の開存性の決定に寄与してもよい。
【0031】
フロー療法または呼吸補助は、患者の鼻孔を経由して提供または実施され得、ガスセンサーが、患者の口または口腔または口咽頭領域にまたはそこに隣接してまたはその内側に置かれて、標的ガスがCO2であるとき、ある期間、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を取り、および以下:
CO2の濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度は、ベース濃度からピーク濃度へ上昇し、および前記ベース濃度に実質的に戻り、前記ピーク濃度は、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が開存しているまたは開いていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示してもよい)、
CO2の濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度は、第1のベース濃度から第1のピーク濃度へ上昇し、および前記CO2濃度は、前記第1のピーク濃度から、第1のベース濃度を上回る第2のベース濃度まで低下し、およびある期間(2回以上の患者の心拍または心原性活動)にわたって、後続のピーク濃度から戻った後続のベース濃度は、経時的に先行するベース濃度を上回り、および/または経時的に第1のベース濃度を実質的に上回り、前記第1および第2および後続のピーク濃度は、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が閉じているまたは閉塞しているまたは塞がれていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示してもよい)、
CO2の濃度は、経時的に変動しない、または経時的に不変の濃度であり、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度は、ベース濃度に留まり、前記ベース濃度は、患者の心拍または心原性活動と同期していなくても、非同期でなくてもよいこと、
のうちの1つ以上が測定される。
【0032】
フロー療法または呼吸補助は、患者の鼻孔を経由して提供または実施され得、ガスセンサーが、患者の口または口腔または口咽頭領域にまたはその内側に置かれて、ある期間、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を取り、および患者に標的ガスを提供した後、以下:
標的ガスの濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度が、ベース濃度から第1のピーク濃度まで上昇し、および前記ベース濃度に実質的に戻り、および後続の各ピーク濃度は、直前のピーク濃度と比べて実質的に少なくまたは低下し、前記ピーク濃度のそれぞれは、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が開存しているまたは開いていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示してもよい)、
標的ガスの濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度は、第1のベース濃度から、患者の周囲のガス(例えば空気または手術室周囲ガス条件)中の標的ガスの濃度に実質的に適合する濃度へ上昇し、およびこれは、患者の口腔を経由してガスセンサーに曝露されること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が閉じているまたは閉塞しているまたは塞がれていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示してもよい)、
標的ガスの濃度は、初期ピーク濃度からベース濃度まで低下し、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度は、ベース濃度に実質的に留まり、前記ベース濃度は、経時的に不変であっても、または患者の心拍または心原性活動と同期していなくても、非同期でなくてもよいこと(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が開存しているまたは開いていること、および患者の気管が閉じているまたは閉塞しているまたは塞がれていることを示してもよい)、
のうちの1つ以上が測定される。
【0033】
フロー療法または呼吸補助は、一定流量で提供され得る。
【0034】
ガスの流れは、患者の気道に提供または送給され得る。
【0035】
前記ガスの流れは、患者に振動流で提供または送給され得るか、または患者への実在(positive)のガスの流れの重畳された振動が送給され得る。
【0036】
振動流は、少なくとも1種の標的ガスの呼息または吐き出しを増強するおよび/または促すために送給され得、患者の気道が閉塞されていないまたは開存しているときに、ある期間の少なくとも1種の標的ガスの測定値が、振動流に応答して変動するようにする。
【0037】
方法は、送給される流量と、監視ガス信号としての少なくとも1種の標的ガスの前記測定値との相関を決定することを含み得、および前記インジケータは前記相関に基づき、監視ガス信号は、前記標的ガスの濃度に基づいてもよい。
【0038】
流れは、少なくとも2つの振動波形(oscillating waveforms)の和とし得る(振動波形は実質的に正弦波としてもよい)。
【0039】
流れは実質的に正弦波としてもよく、流れ信号は正弦関数に基づいてもよい。
【0040】
流れは、以下の信号特性:
周波数であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、周波数、
振幅、
波形(wave shape、wave form)であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、波形、
位相
のうちの1つ以上を有し得る。
【0041】
相関は、
流れの周波数、
流れの振幅、
流れの波形であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、流れの波形、
流れの位相、
流れの経時的変化(例えば前記流れの減衰または推進(driving))
のうちの1つ以上と、
監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)、
監視ガス信号の振幅、
特定の周波数での監視ガス信号の振幅、
監視ガス信号の波形、
監視ガス信号の位相、
監視ガス信号の経時的変化
のうちの1つ以上との比較に基づき得る。
【0042】
相関は、流れの周波数と、監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)との比較に基づき得る。
【0043】
相関は、
流れの波形(wave shape)の信号のエッジまたは移行部分、
流れの波形の極大値または極小値または変曲点、
流れの一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間内の流れのいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上と、
流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分、
流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点、
流れの波形の一部分の傾きまたは離散点における傾きの後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾きが置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間内の監視ガス信号のいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上との比較に基づき得る。
【0044】
信号のエッジは、
立ち上がりエッジまたは立ち上がり部分
立ち下がりエッジまたは立ち下がり部分
の1つ以上とし得る。
【0045】
送給される流れと前記監視ガス信号との相関がある閾値を上回るとき、患者の気道は、閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定され得る。
【0046】
監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)の少なくとも1つの成分が流れの周波数に実質的に適合するとき、および周波数の前記適合がある閾値を上回るとき、患者の気道は、閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定され得る。
【0047】
患者の気道の開存性のレベルは、送給される流れと前記監視ガス信号との相関の強さに比例し得る。
【0048】
送給される流れと前記監視された標的ガスとの相関がある閾値を下回るとき、患者の気道は、閉塞されているまたは実質的に閉塞されていると決定され得る。
【0049】
監視ガス信号の周波数の少なくとも1つの成分が、流れの周波数と同様ではない、および/または前記周波数における信号の振幅が同様でありかつある閾値を下回るとき、患者の気道は、閉塞されているまたは実質的に閉塞されていると決定され得る。
【0050】
監視または標的ガスは、患者の肺でのガス交換の結果生成され得、および流れは、前記監視ガスの呼息または吐き出しを促すように(患者は自発呼吸下になくてもよい)、または患者の体内で発生する心原性パルス(cardiogenic pulse)に起因するガス交換を高めるまたは増強するように、作用する。
【0051】
前記相関は、モンテカルロ分析、および/またはスペクトル分析、およびまたは高速フーリエ変換のうちの1つ以上によって決定され得る。一形態では、相関は、逐次モンテカルロ分析(Sequential Monte Carlo analysis)を使用して決定され得、および相関は、気道開存性の指標を決定するために使用される。
【0052】
標的ガスの測定値は、瞬間的に導き出された測定値、またはリアルタイムで導き出された測定値とし得る。
【0053】
患者は、無呼吸または非自発呼吸下の患者とし得る。
【0054】
信号または出力が提供され得、信号または出力は、個別に、前記インジケータのいずれか1つ、または組み合わせと関連付けられる。
【0055】
信号は、可聴式、触覚的、可視的のうちの1つであるかまたは1つ以上の組み合わせであるかに関わらずに、警告またはアラームを生成するために用いられ得る。
【0056】
方法またはシステムはセンサーを含み得、センサーは、患者から呼息されるまたは吐き出されるガス(前記標的ガスなど)を検出するように構成され、センサーは、ガスセンサーまたはカプノグラフ機器でもよい。
【0057】
ガス分析器が、前記ガスセンサーと通信するように設けられ得る。
【0058】
電子制御装置が、前記ガスセンサーと通信するように設けられ得る。
【0059】
電子制御装置は、前記標的ガスと前記送給される流量との相関を決定し得る。
【0060】
電子制御装置は、呼息されるまたは吐き出されるガスの波形を決定するために、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理し得る。
【0061】
コントローラは、さらに、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理するように構成または適合され得、前記コントローラは、さらに、患者に送給中のガスの特定の流量を考慮するために、補正因子または補償を適用するように構成または適合され得る。
【0062】
フロー療法または呼吸補助は、患者の1つまたは複数の鼻孔(または患者の鼻腔)に送給され得る。
【0063】
前記患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含むタイプとし得、およびさらに、鼻マスク、口腔マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、上記の組み合わせ、または何らかの他のガス搬送患者インターフェースシステムを含み得る。
【0064】
フロー療法または呼吸補助は、1分当たり少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150リットル(LPM)以上の流量で、患者の気道に送給され得る;またはこれらの値のいずれかの間(例えば、約40~約80、約50~約80、約60~約80、約70~約80LPM)に選択され得る;供給されるガスは、十分に飽和または加湿された条件で送給されてもよいし、または飽和または加湿されたガスは、患者インターフェースまたは患者に供給または送給するために、他のガス(標的ガスあるかまたは非標的ガスであるかに関わらない)とブレンドされてもよく、標的ガスは、患者にフロー療法または呼吸補助を提供するガスに含まれてもよい。
【0065】
それゆえ、本明細書で開示する第2の態様によれば、
- 患者(例えば無呼吸または非自発呼吸下の患者)の気道から呼息されているまたは吐き出されている少なくとも1種の標的ガス(例えばCO2、N2、または検出、監視、および測定できる他のガスとし得る)を監視する、および
- ある期間の少なくとも1種の標的ガスの測定値に基づいて、
i. その期間の少なくとも1種の標的ガスの測定値の出力、または
ii. 気道開存性に関する決定、または
iii. 気道における詰まりまたは閉塞の場所に関する決定、または
iv. i)とii)の組み合わせ、または
v. i)とiii)の組み合わせ、または
vi. ii)とiii)の組み合わせ、または
vii. i)とii)とiii)の組み合わせ
に関するインジケータを提供する
ための方法またはシステムが提供される。
【0066】
項目i)では、出力は、標的ガスの痕跡の表示とし得る。そのような痕跡は、スクリーン(例えばGUI)などのユーザインタフェース上に表示されていてもよく、およびリアルタイムでまたは適切なリフレッシュ速度で更新されて、臨床医に、前記標的ガスの出力に関する情報が確実に提供されるようにし得る。
【0067】
少なくとも1種の標的ガスの監視は、少なくとも1種の標的ガスの濃度の変動を測定することまたはその測定値によるとし得る。
【0068】
測定することまたは測定値は、
- 患者の口または口腔または口咽頭領域でまたはその内側で取られた測定値、
- 咽頭、または咽頭の流れでまたはそれに実質的に隣接して取られた測定値、
- 患者の鼻または鼻腔でまたはその内側で取られた測定値
のうちの1つ以上から得られ得る。
【0069】
信号または出力が提供され得、信号または出力は、個別に、i)~vii)のいずれか1つ、またはそれらの組み合わせと関連付けられる。
【0070】
信号または出力は、可聴式、触覚的、可視的のうちの1つであるかまたは1つ以上の組み合わせであるかに関わらず、警告またはアラームを生成するために用いられ得る。例えば、可聴式アラームが発せられても、またはユーザ装着可能機器に振動が開始されても、または光で照らされても、もしくは照明のスイッチがオンにされたりオフにされたりしても、またはグラフィカルユーザインタフェース(GUI)に画像が提供されてもよい。そのような警告やアラームは、医療専門家や助手に、i)またはii)またはiii)のステータスの変化に対して注意喚起するために用いられ得る(例えば、患者の気道は開存しているかもしれないが虚脱している可能性がある、または閉塞されて開存性を失う、または患者の気道内の詰まりもしくは閉塞の場所が変化し得、これらは、患者に取り組んでいるもしくは患者の呼吸補助の責任を負う医療専門家に対して影響を有し得る)。例えば、患者の気道の詰まりが決定される場合、アラームまたは警告が発せられて、患者のケアに関連する人に注意喚起し得るまたは知らせ得る。
【0071】
警告またはアラームまたは表示は、例えば気道の塞ぎまたは詰まりまたは閉塞が検出される場合、または前記患者の気道の開存性が損なわれる場合など、患者の気道の開存性に関して、発せられ得る。そのような塞ぎまたは詰まりまたは閉塞の異なる場所に関連して異なる警告またはアラームまたは表示が提供されてもよく、例えば上気道が塞がったりまたは詰まったりまたは閉塞したりする場合、第1の音または第1の触覚的または第1の可視的な出力などの警告またはアラームまたは表示があってもよく、および下気道が塞がったりまたは詰まったりまたは閉塞したりする場合、第2の音または第2の触覚的または第2の可視的な出力などの第2のアラーム警告またはアラームまたは表示があってもよい。
【0072】
気道内の詰まりまたは塞ぎまたは閉塞の決定可能な場所は、上気道または下気道であるとし得る。
【0073】
決定は、標的ガスまたはトレーサーガスの出力の処理に基づいて、詰まりまたは塞ぎまたは閉塞の追加的なまたは異なる場所でなされてもよい。
【0074】
標的ガスは、CO2またはN2または良性の医療用トレーサーガス(例えばアルゴン)、または標的ガスの痕跡の指標を決定するために、ある期間、検出および測定できる別の1つまたは複数のガスとし得る。ガスが非毒性であるならば、ヘリウムまたはアルゴンまたはネオンなどの任意の好適な不活性ガスがトレーサーガスとして使用されることができ、およびそのようなガスは、あまり濃密ではないため、肺内に留まってもよい。好適な標的ガスは、O2と不活性ガスの混合ガスとして送給され得る。
【0075】
標的ガスは、窒素(例えば窒素と酸素の混合ガス)またはヘリウム(例えばヘリウムと酸素の混合ガス)などのトレーサーガス(または複数種のトレーサーガス)としても、または任意の他の不活性ガス(例えば、混合ガスとしてのそのような不活性ガスおよび酸素)としてもよい。あるいは、検出可能および測定可能である使用可能な任意の好適なガスが、標的ガスとして使用され得る。
【0076】
標的ガスは、患者へのフロー療法または呼吸補助の一部としての患者の気道へのガスの送給に含まれ得る。
【0077】
標的ガスは、患者の気道に送給され得、および前記標的ガスの濃度は、送給に続いて、ある期間、測定または監視され得る。そのような期間は、患者がフロー療法または呼吸補助を提供される期間全体としても、または患者が無呼吸または非自発呼吸下である期間全体としてもよい。
【0078】
ある期間の標的ガスの濃度は分析され得、および分析に基づいて、気道開存性の場所に関する決定が行われ得、および/または気道内の詰まりまたは閉塞の場所が決定される。
【0079】
方法またはシステムはセンサーを含んでもよく、センサーは、患者から呼息されるまたは吐き出されるガス(例えば前記標的ガス)を検出するように構成され得る。センサーは、ガスセンサーまたはカプノグラフ機器としてもよい。
【0080】
ガス分析器が、前記ガスセンサーと通信するように設けられ得る。
【0081】
コントローラが、前記ガスセンサーと通信するように設けられ得る。
【0082】
コントローラは、呼息されるまたは吐き出されるガスの波形を決定するために、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理し得る。
【0083】
コントローラは、さらに、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理するように構成または適合され得、前記コントローラは、さらに、患者に送給中のガスの特定の流量を補うために、補正因子または補償を適用するように構成または適合される。例えば、患者に送給中のガスの特定の流量が、十分に多い場合、患者から呼息されるまたは吐き出されるガスの感知または検出に応答して、センサーによって生成された信号または出力に干渉し得るかまたはそれに「ノイズ」を加え得る。
【0084】
方法またはシステムは、患者から呼息されるまたは吐き出されるガス(例えば標的ガス)の測定値またはその感知に対する干渉またはそれへのノイズの追加を考慮して、患者の気道に送給中のガスの流量を補うために、補償を提供し得る。
【0085】
前記呼息されるまたは吐き出されるガスは、心原性活動に起因した結果として生じ、または患者の心拍に起因した結果として生じ得る。
【0086】
フロー療法または呼吸補助のガスの流れは、患者の気道に送給され得る。
【0087】
前記標的ガスは、患者の気道に送給中のフロー療法または呼吸補助のガスの流れの一部として、患者インターフェースを経由して患者の気道に送給され得る。
【0088】
フロー療法または呼吸補助は、患者の1つまたは複数の鼻孔(または患者の鼻腔)に実施され得る。その代わりにまたはそれに加えて、フロー療法または呼吸補助は患者の口腔に実施され得る。
【0089】
患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含んでもよく、および鼻マスク、口腔マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、上記の組み合わせ、または何らかの他のガス搬送システムを含んでもよい。
【0090】
患者の気道に実施されるフロー療法または呼吸補助は、1分当たり少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150リットル(LPM)以上の流量とし得る;またはこれらの値のいずれかの間に選択され得る(例えば、約40~約80、約50~約80、約60~約80、約70~約80LPM);供給されるガスは、十分に飽和または加湿された条件で送給されてもよいし、または飽和または加湿されたガスは、患者インターフェースまたは患者に供給または送給するために、他のガスとブレンドされてもよい(標的ガスであるかまたは非標的ガスであるかに関わらず)。標的ガスは、患者にフロー療法または呼吸補助を提供するためのガスに含まれてもよい。
【0091】
本明細書で開示する方法またはシステムに関して、フロー療法または呼吸補助によって提供されるガスの流量は、一定流量とし得るが、その代わりに振動流または循環流が提供されてもよい。
【0092】
方法またはシステムは、
- 患者の酸素飽和度を増加させるために(約95または96または97または98%超の酸素飽和度までとしてもよい)、ある期間、患者の気道にフロー療法または呼吸補助を提供または実施すること、
- ある期間、患者に提供中のフロー療法または呼吸補助を除去または停止または減少させること(前記フロー療法または呼吸補助によって患者の気道または肺に加えられる圧力を低下させるため、または患者に先に提供または送給されたフロー療法または呼吸補助の初期の流れまたは圧力の条件に対して流れまたは圧力が低下した条件下で、患者の肺を部分的に収縮できるようにするためとしてもよい)、
- ある期間、患者の気道に、標的ガスを含むガスを提供または送給すること(前記標的ガスを含む前記ガスによって、患者の肺を少なくとも部分的に再膨張するためとしてもよい)、
- 患者の気道への前記フロー療法または呼吸補助の提供または送給を復活すること(実質的に前記患者の肺を収縮できるようにすることはないとしてもよい)、
- ある期間、患者から呼息されるまたは吐き出されるガスにおける標的ガスの濃度を測定することまたはその測定値を取ること(ある期間、患者から呼息されるまたは吐き出されるガス中の標的ガスの濃度の変動を監視および追跡することとしてもよい)
を含み得る。
【0093】
センサーは、患者の口または口腔または口咽頭領域にまたはその内側に置かれて、ある期間、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を取り得る。
【0094】
経時的に測定される前記標的ガスの濃度は、患者の心拍または心原性作用と相関され得る。
【0095】
患者に提供または実施されるフロー療法または呼吸補助は、約90%以上の酸素の分量を提供するガス源からとし得るか、あるいは、ガス源は空気とし得る。ガス源は、追加的な酸素が補充されてもよい。前記フロー療法または呼吸補助の1種または複数種のガスは加湿されてもよい。
【0096】
標的ガスを含むガスは、窒素対酸素の50:50の混合ガスとし得る。あるいは、ヘリウムと酸素の混合ガスとしても、または任意の他の不活性ガスと酸素の混合ガスとしてもよい。あるいは、検出可能および測定可能な任意の好適なガスが使用され得、これが、患者の呼吸に適したガスと混合され得る。あるいは、標的ガスは、最小限約5%のO2で、約50%未満のO2を備える混合ガスとし得る。標的ガスを含む前記ガスは、加湿されてもよい。
【0097】
フロー療法または呼吸補助は、患者の鼻孔に提供または実施され得、および患者の気道の圧力を測定することまたはその測定値を取ることとし得る(喉頭の上方に置かれたセンサーを使用して、圧力を測定することまたはその測定値を取ることとしてもよい)。患者の喉頭の上方で測定された患者の気道の圧力は、咽頭気道の開存性の決定に寄与してもよい。
【0098】
フロー療法または呼吸補助は、患者の鼻孔を経由して提供または実施され得、ガスセンサーは、患者の口または口腔または口咽頭領域にまたはその内側に置かれて、標的ガスがCO2であるとき、ある期間、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を取り得、および以下:
- CO2の濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度は、ベース濃度からピーク濃度へ上昇し、および前記ベース濃度に実質的に戻り、前記ピーク濃度は、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が開存しているまたは開いていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示していてもよい)、
- CO2の濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度は、第1のベース濃度から第1のピーク濃度へ上昇し、および前記CO2濃度は、前記第1のピーク濃度から、第1のベース濃度を上回る第2のベース濃度まで低下し、およびある期間(2回以上の患者の心拍または心原性活動)にわたって、後続のピーク濃度から戻った後続のベース濃度は、経時的に先行するベース濃度を上回り、および/または経時的に第1のベース濃度を実質的に上回り、前記第1および第2および後続のピーク濃度は、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が閉じているまたは閉塞しているまたは塞がれていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示していてもよい)、
- CO2の濃度は経時的に変動しないか、または経時的に不変の濃度であり、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度はベース濃度に留まり、前記ベース濃度は、患者の心拍または心原性活動と同期していなくても、非同期でなくてもよいこと(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が開存しているまたは開いていること、および患者の気管が閉じているまたは閉塞しているまたは塞がれていることを示していてもよい)、
のうちの1つ以上が測定される。
【0099】
標的ガスは、患者または患者の呼吸系によって消費されないガスとし得る。
【0100】
フロー療法または呼吸補助は、患者の鼻孔を経由して提供または実施され得、ガスセンサーは、患者の口または口腔または口咽頭領域にまたはその内側に置かれて、ある期間、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を取り得、および患者に標的ガスを提供した後、以下:
- 標的ガスの濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度は、ベース濃度から第1のピーク濃度まで上昇し、および前記ベース濃度に実質的に戻り、および後続の各ピーク濃度は、直前のピーク濃度と比べて実質的に少なくまたは低下し、前記ピーク濃度のそれぞれは、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が開存しているまたは開いていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示していてもよい)、
- 標的ガスの濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度は、第1のベース濃度から、患者の周囲のガス(例えば空気または手術室周囲ガス条件)中の標的ガスの濃度に実質的に適合する濃度まで上昇し、およびこれは、患者の口腔を経由してガスセンサーに曝露されること(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が閉じているまたは閉塞しているまたは塞がれていること、および患者の気管が開存しているまたは開いていることを示していてもよい)
- 標的ガスの濃度は、初期ピーク濃度からベース濃度まで低下し、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度は、ベース濃度に実質的に留まり、前記ベース濃度は、経時的に不変であっても、または患者の心拍または心原性活動と同期していなくても、非同期でなくてもよいこと(そのような条件は、患者の軟口蓋または咽頭気道が開存しているまたは開いていること、および患者の気管が閉じているまたは閉塞しているまたは塞がれていることを示していてもよい)、
のうちの1つ以上が測定される。
【0101】
フロー療法または呼吸補助は、一定流量で送給され得る。あるいは、フロー療法または呼吸補助は、患者に振動(実在の)流量で送給され得るか、または重畳された振動が送給され得る。振動流が、CO2またはトレーサーガスの呼息を増強するために送給されていてもよい。
【0102】
本明細書の本開示によれば、ハイフロー療法(high flow therapy)または呼吸補助の方法または装置によって送給されたハイフローガスは、振動するように調整されることを含め、調整され得る1つ以上のパラメータ(例えば流量)を伴う様々な成分を含むように生成され得る。各パラメータは、独立して、または他のパラメータに依存して、調整され得る。これにより、変動するガス流(変動するガス流のパラメータ)を提供する。変動するガス流(振動を伴う)は、ガスの除去を支援し(例えば呼息されるまたは吐き出されるCO2、または例えば標的ガスまたは良性のトレーサーガスの除去を含む他のガス)、および酸素投与または患者の気道もしくは呼吸系への他のガス(例えば標的ガスまたは良性のトレーサーガス)の提供もしくは送給を支援し得る。例として、ガス流は、変動しないベース流量成分を、それぞれ異なる周波数である1つ以上の振動流量成分と組み合わせて、含み得る。これにより、変動する全体的なガス流の波形を生成する。フロー療法装置は、弁、送風器コントローラおよび/または他の変調機器を通して制御されて、流量成分を生成し得る。PCT出願PCT/IB第2016/051820号明細書には、振動成分の使用が説明されており、およびその全体を本書に援用する。
【0103】
方法またはシステムは、ハイフローガス源、振動波形を生じる比例弁、または発振器配置構成を含み得る。システムは、さらに、比例弁またはガス源または加湿器を制御するためのコントローラを含んでいてもよい。
【0104】
比較的高いガス送給流量が、本明細書で説明される実施形態または構成で使用され得るため、ユーザまたは患者に供給または送給中のガスは、ユーザまたは患者の気道の異なる部分に送給され得る。供給中のガスは、患者の肺、または呼吸系のいずれかの部分に到達し得る。
【0105】
例えば、本明細書で説明される様々な実施形態によれば、フロー療法または呼吸補助を提供するためなど、インターフェースにまたはシステムを経由して供給または提供されるガスの流量は、限定されるものではないが、1分当たり少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150リットル(LPM)以上の流れを含み得、および有効範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約40~約80、約50~約80、約60~約80、約70~約80LPM)に選択され得る。供給されるガスは、十分に飽和または加湿された条件で送給されてもよいし、または飽和または加湿されたガスは、患者インターフェースまたは患者に供給または送給するために、他のガスとブレンドされてもよい。
【0106】
そのように比較的高流量のガスは、供給されたガスをユーザの気道に、またはユーザの気道の異なる部分に提供するのを支援し得、例えばそのような流量は、そのようなガスを上気道または下気道の領域へ送給するのを可能にし得る。上気道領域は、一般に、鼻腔、咽頭および喉頭を含む一方で、下気道領域は、一般に、気管、一次気管支および肺を含む。
【0107】
前記ガスの流れは、ガスの振動流とし得る。振動流の立ち下がりエッジ(または立ち下がり流量)では、患者の気道の圧力は低下し、および
患者の気道が少なくとも部分的に開存している場合、標的ガスは、患者の気道から吐き出されるか、または標的ガスが、患者の気道から吐き出されるガスにおいて検出される、
患者の気道が開存している場合、実質的に標的ガスは、患者の気道から吐き出されないか、または患者の気道から吐き出される標的ガスは、検出されない。
【0108】
標的ガスの濃度の振幅、または立ち上がり時間(または立ち上がりの傾き)、または立ち下がり時間(または立ち下がりの傾き)は、患者の気道が開存している程度に対応する。
【0109】
方法またはシステムは、標的ガスの濃度の測定を含み、および患者の気道は、ガスの濃度が前記立ち下がりエッジ(または立ち下がり流量または立ち下がり圧力)後に増加するときには、少なくとも部分的に開存していると決定される。
【0110】
前記標的ガスの濃度は、振動流(または振動圧力?)の2つの流れのピーク間の期間に、測定され得る。
【0111】
標的ガスの濃度は、前記振動流(または振動圧力)の後続の対の流れ(または圧力)のピーク間に測定され得る。
【0112】
提供または送給される振動(実在の)流量(または流れの圧力)は、以下の振動特性:
振幅、
周波数(または期間)、
波長
のうちの1つ以上を有し得る。
【0113】
振動特性は、時間に対して変動し得る。
【0114】
気道開存性の決定は相関因子に基づいてもよく、相関因子は、振動流の振動特性と、1つ以上の標的ガスの特性との比較に基づく。
【0115】
標的ガスの特性は、標的ガスの濃度(またはそのインジケータ)に関し得る。
【0116】
1つまたは複数の標的ガスの特性は、瞬間的に測定され得るか、またはリアルタイム測定値である。
【0117】
1つまたは複数の標的ガスの特性は、振動流量(または送給される流れの振動圧力)のトラフに対応する時点、または2つのピーク間の点で測定され得る。
【0118】
1つまたは複数の標的ガスの特性は、ある期間にわたって、測定され得る。
【0119】
標的ガスの特性は、時間に対して変化し得る。
【0120】
標的ガスの特性は、
振幅、
周波数(または期間)、
波長、
位相
のうちの1つ以上とし得る。
【0121】
トレーサーガスは、振動流に第1の期間、導入され得、前記第1の期間後、トレーサーガスの導入は中止され、およびトレーサーガスの濃度が、第2の期間にわたって測定される。
【0122】
気道開存性の決定は、
- 前記振動流(または送給される流れの振動圧力)の前記振動特性と、前記標的ガスの標的ガス特性との比較または相関(前記第2の期間にわたってとしてもよい)。
- 前記第2の期間にわたる標的ガスの濃度の濃度の減衰率
のうちの1つ以上に基づき得る。
【0123】
本発明の第3の態様では、患者の気道の状態の決定方法が提供され、方法は、
患者へガスの流れ(または圧力であってもよい)を送給することであって、前記ガスの流れは、流れ信号に従って送給されること、および
監視ガス信号として、患者の気道から呼息されているまたは吐き出されている少なくとも1種のガスの濃度を監視し、および送給された流れ信号と前記監視ガス信号との相関を決定すること、および
前記相関に基づいて、患者の気道の状態を特徴付けること
を含む。
【0124】
前記流れは、振動流とし得る。
【0125】
前記流れは、経時的に変動し得る。
【0126】
前記流れは、流れのオフセットまたはバイアスを含み得る。
【0127】
前記流れ信号は、第1の形状またはプロファイルを伴って送給され得(形状またはプロファイルは繰り返してもよい)、および相関は、流れ信号の前記第1の形状またはプロファイルと監視ガス信号の第2の形状またはプロファイル(または後続の形状またはプロファイル)との比較に基づく。
【0128】
前記相関は、流れ信号の波形特性と監視ガス信号の波形特性との比較に基づき得る。
【0129】
前記流れは、患者内で発生する心原性パルスに起因するガス交換を高めるまたは増強するように構成され得る。
【0130】
流れ信号は、少なくとも2つの振動波形の和とし得る(振動波形は実質的に正弦波としてもよい)。
【0131】
流れ信号は実質的に正弦波とし得、流れ信号は正弦関数に基づいていてもよい。
【0132】
流れ信号は、以下の信号特性:
周波数であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、周波数、
振幅、
波形であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、波形、
位相
のうちの1つ以上を有し得る。
【0133】
相関は、
流れ信号の周波数、
流れ信号の振幅、
流れ信号の波形であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、波形、
流れ信号の位相、
流れ信号の経時的変化(例えば前記信号の減衰または推進)
のうちの1つ以上と、
監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)、
監視ガス信号の振幅、
特定の周波数での監視ガス信号の振幅、
監視ガス信号の波形、
監視ガス信号の位相、
監視ガス信号の経時的変化
のうちの1つ以上の比較に基づき得る。
【0134】
相関は、
流れ信号の波形の信号のエッジまたは移行部分、
流れ信号の波形の極大値または極小値または変曲点、
流れ信号の一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間における、流れ信号のいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上と、
流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分、
流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点、
流れの波形の一部分の傾きまたは離散点における傾きの後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾きが置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間内の監視ガス信号のいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上との比較に基づき得る。
【0135】
信号のエッジは、
立ち上がりエッジまたは立ち上がり部分
立ち下がりエッジまたは立ち下がり部分
のうちの1つ以上とし得る。
【0136】
患者の気道は、送給される流れと前記監視ガス信号との相関がある閾値を上回るとき、閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定され得る。
【0137】
患者の気道は、監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)の少なくとも1つの成分が流れ信号の周波数(または周波数範囲)と同様であるとき、および前記周波数における流れ信号の振幅がある閾値を上回るとき、閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定され得る。
【0138】
患者の気道は、監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)の少なくとも1つの成分が流れ信号の周波数に実質的に適合するとき、および周波数の前記適合がある閾値を上回るとき、閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定され得る。患者の気道の開存性のレベルは、送給された流れ信号と前記監視ガス信号との相関の強さに比例し得る。
【0139】
患者の気道は、送給される流れと前記監視された標的ガスとの相関がある閾値を下回るとき、閉塞されているまたは実質的に閉塞されていると決定され得る。
【0140】
患者の気道は、監視ガス信号の周波数の少なくとも1つの成分が流れ信号の周波数と同様であるとき、および前記周波数における信号の振幅がある閾値を上回るとき、閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定され得る。
【0141】
監視ガス信号は、瞬間的に、またはリアルタイムで測定され得るか、またはサンプリングされる(規則的な間隔としてもよい)。
【0142】
前記流れは、前記ガスの呼息または吐き出しを促すために、患者からのガスの流れを生じるように構成され得る。
【0143】
前記流れのパラメータは、前記患者からの前記ガスの呼息または吐き出しを最適にするまたは増加するように、選択され得る。
【0144】
監視ガス信号は、監視ガスの濃度(またはそのインジケータ)に基づき得る。
【0145】
患者の気道の状態は、
気道開存性に関する決定、および/または
気道における詰まりまたは閉塞の場所に関する決定
のうちの1つ以上である。
【0146】
気道の詰まりまたは閉塞の決定可能な場所は、上気道または下気道であるとし得る。
【0147】
監視ガスは、CO2またはO2、または二酸化炭素もしくはO2の濃度を示すガスのうちの1つとし得る。
【0148】
監視ガス信号は、
患者の口または口腔または口咽頭領域でまたはその内側で取られた測定値、
患者の咽頭、または咽頭の流れでまたはそれに実質的に隣接して取られた測定値、
患者の鼻または鼻腔でまたはその内側で取られた測定値
のうちの1つ以上から得られ得る。
【0149】
監視ガス(例えば標的ガス)は、患者の肺でのガス交換の結果、生成され、および流れは、前記監視ガスの呼息または吐き出しを促すように作用する(患者は自発呼吸下になくてもよい)。
【0150】
流れは、患者インターフェースを経由して送給され得る。
【0151】
前記患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含むタイプとし得る。
【0152】
前記患者インターフェースは、鼻マスク、口腔マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、上記の組み合わせ、または何らかの他のガス搬送患者インターフェースシステムを含み得る。
【0153】
患者の気道に実施されるフロー療法または呼吸補助は、1分当たり少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、または150リットル(LPM)以上の平均流量とし得る;またはこれらの値のいずれかの間(例えば、約40~約80、約50~約80、約60~約80、約70~約80LPM)に選択され得る;
【0154】
供給されるガスは、十分に飽和または加湿された条件で送給され得、または飽和または加湿されたガスは、患者インターフェースまたは患者に供給または送給するために、他のガス(標的ガスであるかまたは非標的ガスであるかに関わらず)とブレンドされ得、医療用ガスは、患者にフロー療法または呼吸補助を提供するガスに含まれてもよい。
【0155】
前記相関は、モンテカルロ分析、および/またはスペクトル分析のうちの1つ以上によって決定され得る。一形態では、逐次モンテカルロ法が使用され得る。
【0156】
本発明の第4の態様では、装置が提供され、装置は、
流れ信号に従って患者に送給されるガスの流れ(振動流としてもよい)を提供する流れ発生器、
監視ガス信号として、患者(例えば無呼吸または非自発呼吸下の患者)の気道から呼息されているまたは吐き出されている標的ガス(例えばCO2、N2、または検出、監視、および測定できる他のガスとし得る)の少なくとも1つのパラメータ(濃度としてもよい)を、監視または検出するように構成されたガスセンサー(またはサンプリング機器)、および
送給された流れ信号と前記監視ガス信号との間の相関を決定し、かつ前記相関に基づいて患者の気道の状態を特徴付けるためのコントローラ(プロセッサーを含んでもよい)
を含み得る。
【0157】
インジケータは、ある期間の(または瞬間的な)少なくとも1種の標的ガスの測定値に基づくとし得る。
【0158】
センサーは、ガスセンサーまたはカプノグラフ機器とし得る。
【0159】
装置は、さらに、前記ガスセンサーと通信するように設けられたガス分析器を含み得る。
【0160】
電子制御装置が、前記ガスセンサーと通信するように設けられ得る。
【0161】
電子制御装置は、呼息されるまたは吐き出されるガスの波形を決定するために、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理し得る。
【0162】
コントローラは、さらに、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理するように構成または適合され得、前記コントローラは、さらに、患者に送給中のガスの特定の流量を考慮するために、補正因子または補償を適用するように構成または適合される。
【0163】
ガスセンサーまたはサンプリング機器は、患者インターフェース配置構成の一部とし得る。
【0164】
サンプリング機器は、前記ガスをサンプリングするためのサンプリング先端部を含み得、サンプリング先端部はガスセンサーと通信している。
【0165】
装置は、さらに、カプノグラフ機器またはユニットおよび/または前記ガスセンサーを含み得る。
【0166】
第5の態様では、気道開存性を決定するための装置(または装置アセンブリ)を提供し得、装置は、
患者に送給されるガスの流れの流れを提供するための流れ発生器であって、前記ガスの流れは流れ信号に従って送給される、流れ発生器と、
少なくとも1種のガスの濃度を監視し、監視ガス信号を提供するように構成されたガスセンサーと、
送給された流れ信号と前記監視ガス信号との相関を決定し、
前記相関に基づいて、患者の気道の状態を特徴付ける
ためのコントローラ(プロセッサーを含んでもよい)と
を含む。
【0167】
センサーは、ガスセンサーまたはカプノグラフ機器とし得る。
【0168】
ガス分析器が、前記ガスセンサーと通信するように設けられ得る。
【0169】
電子制御装置が、前記ガスセンサーと通信するように設けられ得る。
【0170】
電子制御装置は、呼息されるまたは吐き出されるガスの波形を決定するために、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理し得る。
【0171】
コントローラは、さらに、前記ガスセンサーまたはカプノグラフ機器の測定値または1つまたは複数の出力を処理するように構成または適合され得、前記コントローラは、さらに、患者に送給中のガスの特定の流量を考慮するために、補正因子または補償を適用するように構成または適合される。
【0172】
ガスセンサーまたはサンプリング機器は、患者インターフェース配置構成の一部とし得る。
【0173】
サンプリング機器は、前記ガスをサンプリングするためのサンプリング先端部を含み得、サンプリング先端部はガスセンサーと通信している。
【0174】
装置は、さらに、カプノグラフ機器またはユニットおよび/または前記ガスセンサーを含み得る。
【0175】
第4および第5の態様の双方に関して、以下の選択肢が提供される。
【0176】
特に、第4および第5の態様に関して本明細書で説明する装置に関し、下記で説明する選択肢は、以下のために提供される。
【0177】
コントローラは、少なくとも1種の標的ガスの濃度の変動を測定することまたはその測定値によって、少なくとも1種の標的ガスを監視し得、測定は、サンプリング機器(ガスセンサーを含んでもよい)によって行われてもよい。
【0178】
サンプリング機器は、
患者の口または口腔または口咽頭領域に隣接してまたはその内側で取られる測定値、
患者の咽頭、または咽頭の流れに隣接してまたは実質的に隣接して取られる測定値、
患者の鼻または鼻腔に隣接してまたはその内側で取られる測定値
のうちの1つ以上の測定を行い得る。
【0179】
コントローラは、気道における詰まりまたは閉塞の場所を決定し得、場所は、上気道または下気道であるとし得る。
【0180】
標的ガスは、CO2、O2、またはN2、または良性の医療用トレーサーガス、または二酸化炭素、O2もしくはN2の濃度を示すガスである。
【0181】
標的ガスは、流れ発生器によって、患者へのフロー療法または呼吸補助の一部として、患者の気道に提供されるガスに加えられ得る。
【0182】
標的ガスは、患者インターフェースによって患者の気道に送給され得、および前記標的ガスの濃度は、サンプリング機器によって、送給に続いて、ある期間、測定または監視される。
【0183】
前記呼息されるまたは吐き出されるガス、または前記呼息されるまたは吐き出されるガスの少なくとも一部分は、心原性活動に起因した結果として生じ、または患者の心拍に起因した結果として生じ得る。
【0184】
フロー療法または呼吸補助のガスの流れは、患者インターフェースを経由して患者の気道に送給され得、前記患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含むタイプであり、およびさらに、鼻マスク、口腔マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、上記の組み合わせ、または何らかの他のガス搬送患者インターフェースシステムを含み得る。
【0185】
前記患者インターフェースは、
患者の気道へのガスの流れ
患者の気道への標的ガス
のうちの1つ以上を送給し得る。
【0186】
コントローラは、
患者の酸素飽和度を増加させるために、ある期間、患者の気道へフロー療法または呼吸補助を提供または実施するための流れ発生器を制御する
ある期間、患者に提供中のフロー療法または呼吸補助を除去または停止または低下させる
ある期間、標的ガスを含むガスを患者の気道に提供または送給するための流れ発生器を制御する
患者の気道への前記フロー療法または呼吸補助の提供または実施を復活するために、流れ発生器を制御する
ある期間、患者から呼息されるまたは吐き出されるガス中の標的ガスの濃度を測定するまたはその測定を行う
ように構成され得る。
【0187】
コントローラは、経時的に測定される前記標的ガスの濃度と患者の心拍または心原性作用とを相関させるように構成され得る。
【0188】
装置は、患者の鼻孔を経由してフロー療法または呼吸補助を実施するように構成され得、ガスセンサー(サンプリング機器の一部としてもよい)は、ある期間、患者の口または口腔または口咽頭領域にまたはその内側に置かれて、標的ガスがCO2であるとき、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を取り、およびコントローラは、以下:
CO2の濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度は、ベース濃度からピーク濃度へ上昇し、および前記ベース濃度に実質的に戻り、前記ピーク濃度は、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること、
CO2の濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度は、第1のベース濃度から第1のピーク濃度へ上昇し、および前記CO2濃度は、前記第1のピーク濃度から、第1のベース濃度を上回る第2のベース濃度まで低下し、およびある期間(2回以上の患者の心拍または心原性活動)にわたって、後続のピーク濃度から戻った後続のベース濃度は、経時的に先行するベース濃度を上回り、および/または経時的に第1のベース濃度を実質的に上回り、前記第1および第2および後続のピーク濃度は、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること、
CO2の濃度は、経時的に変動しないか、または経時的に不変の濃度であり、ガスセンサーによって測定されたCO2の濃度はベース濃度に留まること
のうちの1つ以上を検出するように構成され得る。
【0189】
フロー療法または呼吸補助は、患者の鼻孔を経由して提供または実施され得、ガスセンサー(前記サンプリング機器の一部としてもよい)は、患者の口または口腔または口咽頭領域にまたはその内側に置かれて、ある期間、患者から呼息されているまたは吐き出されている標的ガスの測定値を取り、および患者に標的ガスを提供した後、コントローラは、以下:
標的ガスの濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度は、ベース濃度から第1のピーク濃度まで上昇し、および前記ベース濃度に実質的に戻り、および後続の各ピーク濃度は、直前のピーク濃度と比べて実質的に少なくまたは低下し、前記ピーク濃度のそれぞれは、患者の心拍または心原性活動と実質的に同期していること、
標的ガスの濃度が経時的に変動していて、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度は、第1のベース濃度から、患者の周囲のガス(例えば空気または手術室周囲ガス条件)中の標的ガスの濃度に実質的に適合する濃度まで上昇し、およびこれは、患者の口腔を経由してガスセンサーに曝露されること、
標的ガスの濃度は初期ピーク濃度からベース濃度まで低下され、ガスセンサーによって測定された標的ガスの濃度はベース濃度に実質的に留まり、前記ベース濃度は、経時的に不変であっても、または患者の心拍または心原性活動と同期していなくても、非同期でなくてもよいこと
のうちの1つ以上を検出するように構成され得る。
【0190】
ガスの流れは、患者インターフェースによって患者の気道に提供または送給される。
【0191】
流れ発生器は、患者に振動流でガスの流れを提供するように構成され得るか、または患者への実在のガスの流れの重畳された振動が、送給され得る。
【0192】
流れ発生器は、少なくとも1種の標的ガスの呼息または吐き出しを増強するおよび/または促すように送給された振動流を提供するように構成され得、ある期間の少なくとも1種の標的ガスの測定値は、患者の気道が閉塞されていないまたは開存しているときには、振動流に応答して変動する。
【0193】
方法は、送給される流量と、監視ガス信号としての少なくとも1種の標的ガスの前記測定値との相関を決定することであって、前記インジケータは、前記相関に基づくことを含み得る。
【0194】
流れ発生器は、コントローラによって提供された流れ信号に基づく流れを提供するように構成され得、流れは、以下の信号特性:
周波数であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、周波数、
振幅、
波形であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、波形、
位相
のうちの1つ以上を有する。
【0195】
コントローラは、
流れの周波数、
流れの振幅、
流れの波形であって、ある期間にわたって実質的に繰り返してもよい、波形、
流れの位相、
流れの経時的変化(例えば前記流れの減衰または推進)
のうちの1つ以上と、
監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)、
監視ガス信号の振幅、
特定の周波数での監視ガス信号の振幅、
監視ガス信号の波形、
監視ガス信号の位相、
監視ガス信号の経時的変化
のうちの1つ以上との比較に基づく相関を決定するように構成され得る。
【0196】
コントローラは、流れの周波数と監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)との比較に基づく相関を決定するように構成され得る。
【0197】
コントローラは、
流れの波形の信号のエッジまたは移行部分、
流れの波形の極大値または極小値または変曲点、
流れの一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間内の流れのいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上と、
流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分、
流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点、
流れの波形の一部分の傾きまたは離散点における傾きの後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾きが置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾き、
所与の期間または予め決められた期間内の監視ガス信号のいくつものピークおよび/またはトラフ
のうちの1つ以上との比較に基づく相関を決定するように構成され得る。
【0198】
コントローラは、送給される流れと前記監視ガス信号との相関がある閾値を上回るとき、患者の気道が閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定し得る。
【0199】
コントローラは、監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)の少なくとも1つの成分が流れの周波数に実質的に適合するとき、および周波数の前記適合がある閾値を上回るとき、患者の気道が閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定し得る。
【0200】
コントローラは、患者の気道の開存性のレベルを決定し得、前記レベルは、送給される流れと前記監視ガス信号との相関の強さに比例する。
【0201】
コントローラは、送給される流れと前記監視された標的ガスとの相関がある閾値を下回るとき、患者の気道が閉塞されているまたは実質的に閉塞されていると決定し得る。
【0202】
コントローラは、監視ガス信号の周波数の少なくとも1つの成分が流れの周波数と同様でないまたは異なるまたは十分に似ていないとき、および/または前記周波数における信号の振幅が同様でありかつある閾値を下回るとき、患者の気道が閉塞されているまたは実質的に閉塞されていると決定し得る。
【0203】
監視または標的ガスは、患者の肺でのガス交換の結果として生成され、および前記流れ発生器によって提供される流れは、前記監視ガスの呼息または吐き出しを促すように(患者は自発呼吸下になくてもよい)、または患者の体内で発生する心原性パルスに起因するガス交換を高めるまたは増強するように、作用する。
【0204】
コントローラは、モンテカルロ分析、および/またはスペクトル分析、および/または高速フーリエ変換のうちの1つ以上によって、前記相関を決定し得る。
【0205】
第4および第5の態様の装置は、第1~第3の態様のいずれかの方法を実施し得ることが理解される。そのようなものとして、第1~第3の態様に関して説明されるようないずれの代替例も、第4および第5の態様に適用可能である。
【0206】
第6の態様では、
患者に流量を提供または送給すること、
患者(例えば無呼吸または非自発呼吸下の患者)の気道から呼息されているまたは吐き出されている少なくとも1種の標的ガス(例えばCO2、N2、または検出、監視、および測定できる他のガスとし得る)を監視すること、および
送給される流量と前記監視ガス信号との間の相関を決定すること、および
ある期間の少なくとも1種の標的ガスの相関に基づいて、気道開存性に関する決定に関するインジケータを提供すること、
を含む、患者の気道開存性の指標または確証を提供するための方法またはシステムが提供される。
【0207】
上述の第1、第2および第3の態様に関して説明した代替例は、第6の態様に適用可能であることが理解される。
【0208】
本開示の方法および/またはシステムおよび/または装置によれば、ガスを提供するハイフロー療法またはフロー療法または呼吸補助は、かなりの割合のO2を含み得る(またはおそらくはガスの大部分とし得る)。これは、非自発呼吸下または無呼吸状態であるという患者の条件を考えると、特に重要とし得る。そのようなものとして、酸素投与を支援するために、患者に提供または送給中のO2量を増加することが有益である。これらの条件を伴う患者。提供される治療用ガスは、少なくとも約90%またはそれを上回るO2を含むハイフローのガスの一部とし得る。
【0209】
ガスの湿度および温度が、理想的なガス条件、例えば、可能な限り迅速に約37℃および約44mg/lに達するシステム、およびそのようなシステム用のチューブを提供することが望ましい。
【0210】
例えば、それらの様々な実施形態および構成によれば、インターフェースにまたはシステムを経由して、例えば呼吸回路を通って供給または提供されるガスの流量は、限定されるものではないが、本明細書で前述した高いガス送給流量によって定義されるような流れを含み得る。
【0211】
そのような比較的高流量のガスは、供給されたガスを患者の気道に、または患者の気道の異なる部分に提供するのを支援し得る。例えば、そのような流量は、そのようなガスを上気道または下気道の領域に送給できるようにし得る。上気道領域は、一般に、鼻腔、咽頭および喉頭を含む一方、下気道領域は、一般に、気管、一次気管支および肺を含む。
【0212】
本開示のいくつかの構成のいくつかの特徴、態様および利点について、麻酔用の呼吸回路と並行してまたはそれと一緒に使用するための呼吸用の呼吸回路に関して説明した。しかしながら、説明したような構成のいくつかの特徴、態様および利点は、他の呼吸系と一緒に好都合に使用され得る。
【0213】
本明細書では、用語「~を含む」は、「少なくとも部分的に~で構成される」を意味する。用語「~を含む(comprising)」を含む本明細書における各文を解釈すると、この用語に前置きされるもの以外の特徴も、存在してもよい。「~を含む(comprise)」および「~を含む(comprises)」などの関連語は、同じように解釈される。
【0214】
本発明はまた、本出願の明細書において、言及されるまたは示される部分、要素および特徴で、個別にまたはまとめて、および前記部分、要素、または特徴のいずれかまたはいずれかの2つ以上の全ての組み合わせで構成されると広範に言われてもよく、および本発明に関連する業界で公知の等価物を有する特定の整数が本明細書で述べられる場合、そのような公知の等価物は、あたかも個別に説明されているかのように、本明細書に援用されているとみなされる。
【0215】
本発明は、上記で構成され、かつまた、下記で例としてのみ与える構造を予想する。
【0216】
具体的な実施形態およびその修正例は、図面を参照する本明細書の詳細な説明から当業者に明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0217】
図1】患者に所望のフロー療法を提供または実施するために、患者インターフェースと組み合わせられ得る例示的な呼吸回路を含む、呼吸療法支援システムを示す。
図2】患者、および患者の気道の異なる部分、および添付の説明で言及される気道の複数の部分を示す。
図3】患者の吸気相の間の心性オッシレーション(COS)の例であり、ここでは、COSは、心周期(ECG)と同期している。
図4】ガス源および鼻用患者インターフェースおよびガス分析センサーの形態のセンサーを用いる、本明細書で開示するような方法を実施するためのシステムの構成要素を示す。
図5A-B】図5(A)は、患者の口から出るガスの流れと、患者用の患者インターフェースに提供または送給中のガス流との指標的な比を示し、図5(B)は、その後補正または補償因子の決定に使用される、5(A)の線形プロットである。
図6A-C】(A)軟口蓋が開いており、および気管が開いていること;(B)軟口蓋が閉じており、および気管が開いていること;(C)軟口蓋が開いており、および気管が閉じていることに依存する、経時的に異なるガス濃度の痕跡(CO2)を示す。
図7】ガス分析センサーの形態のセンサーが、患者の口または口腔の内側に設けられ、および標的ガスが第2のガス源を経由して提供される、本明細書で開示するような方法を実施するシステムのさらなる構成を示す。
図8A-C】図7の構成が実施されているときの、(A)軟口蓋が開いており、および気管が開いていること;(B)軟口蓋が閉じており、および気管が開いていること;(C)軟口蓋が開いており、および気管が閉じていることに依存する、経時的な異なるガスの濃度の痕跡(N2)を示す。
図9】ガス圧力センサーの形態のセンサーが、患者の口または口腔の内側に設けられる、本明細書で開示するような方法を実施するシステムのさらなる構成を示す。
図10】気道内の圧力がどのようにしてカニューレの流れの二乗に近似して変動するかのプロットである。
図11】ガス分析センサーの形態のセンサーが患者の口または口腔の内側に設けられ、および処理装置またはコントローラが、患者の口から呼息されているまたは吐き出されているガスの濃度、ECGデータ、患者に提供されるフロー療法または呼吸補助の流量、およびそのようなデータ/測定の処理の結果、表示される警告またはアラームの能力に関するデータを受信する、本明細書で開示するような方法を実施するシステムのさらなる構成を示す。
図12】患者の気道に対する流量の適用の影響を示す。
図13A-C】患者に適用される振動流量、および対応するCO2および気管の流れの測定値のプロットを示す。
図14】装置のブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0218】
図2は、人または患者の典型的な気道を示し、およびその人または患者に供給される比較的高い流量のガスが、どのように利用されて、供給されたガスを、患者が正常なまたは典型的な自発型(self-driven)呼吸状態にあるときよりも、患者の気道内をさらに遠くへまたは深くへと効果的に押し込みまたは押し流し得るかを示す矢印を含む。高流量でのガス送給の使用は、ガス流、それゆえO2を、患者の気道のより深くへと押し込むのを助け得る。高流量でのガスはまた、気道のフラッシング(flushing)およびCO2のフラッシングを助け、これも、O2/呼吸ガスを気道内のより深くへと押すのを助け得る。いくつかの状況では、高流量のガス送給は、患者が自発呼吸下にないとき、すなわち患者が無呼吸であるときに、利用され得る。
【0219】
本明細書で説明する方法またはシステムまたは装置は、呼吸管理(respiratory care)または療法システムにおいて、ハイフロー療法において、または密閉または非密閉インターフェースであるかに関わらず、例えば院内呼吸管理システムで使用され得る。方法またはシステムまたは装置はまた、ネーザルハイフロー療法(Nasal High Flow therapy)を提供するために使用され得る。特定の適用例は、患者の気道から呼息されるまたは吐き出されるときの、あるガスまたは複数のガスの測定または検出に関し、およびそれらの測定または検出に基づいて、患者の気道の開存性の指標、および/または患者の気道の閉塞または詰まりまたは閉鎖(すなわち非開存性)の可能性がある場所の指標となる。下記で説明するように、説明した方法またはシステムまたは装置はまた、患者が既に無呼吸であるかまたは呼吸衝動(respiratory drive)が減少している、すなわち自発的に呼吸していないときに、気道の開存性を決定するために有用である。これらの状況では、患者が呼吸しているかどうかを決定しようとするのとは対照的に、呼吸ガスが患者の肺に達しているかどうかを検出する必要がある。
【0220】
図1は、加湿呼吸補助システムおよび加湿呼吸回路を示す。患者Pは、フィルタ501を介して加湿ガス輸送経路または吸息導管401に動作可能に接続される患者インターフェース601の鼻カニューレアセンブリを通して、加湿および加圧ガスを受け取る。次に、吸息導管401は、送風器15または他の適切なガス供給手段からガス送給導管301を経由してガスが供給される加湿器200(加湿器チャンバー251を含む)に接続される。ガス送給導管は、「乾燥した」導管である;すなわち、加湿器の上流に位置決めされている。ヘッドギア620が、患者の顔に対して患者インターフェースを支持して保持するために提供される。加湿器の提供をしてもよいが、加湿ガスの提供は患者の気道に利益があるため、これを含むことが好ましいとし得ることが理解される。フィルタの提供をしてもよいが、そのようなインラインフィルタの提供は利益がある(例えば、フロー療法または呼吸補助を受ける患者による、構成要素(フィルタの下流に設けられる)による回路の構成要素の上流での汚染の可能性が低いため、フィルタの上流にある回路の構成要素は、複数の患者にフロー療法または呼吸補助を提供するために使用され得る)ことも理解される。
【0221】
加湿器が用いられる場合、吸息導管401は、水などの、ある量の液体を入れている加湿器チャンバー251の出口257に接続され得る。加湿器チャンバー251は、プラスチック材料から形成され得、および加湿器200の加熱板203と直接接触する高熱伝導性ベース259(例えばアルミニウムベース)を有し得る。
【0222】
加湿器200は、制御手段または電子制御装置205を備えてもよく、これは、関連のメモリに記憶された、マイクロプロセッサベースのコントローラ実行コンピュータソフトウェア命令を含み得る。吸息導管401を流れるガスは、(あってもよい)フィルタ501および患者インターフェース601によって、患者へと通される。
【0223】
コントローラ205は、機器のユーザが例えば治療法モードを設定し得るユーザ入力手段またはダイアル207などの入力源からの入力を受信できる。この治療法モードの一部として、コントローラの機器のユーザは、患者Pに供給されるガス流量、ガスの湿度または温度を予め決められた必要値(事前設定値)に自動的に設定し得る。ユーザが設定した治療法モード(または任意の他の入力)、ユーザインタフェース(例えばダイアル207、またはタッチスクリーンインターフェース、または1つまたは複数のボタン)、およびガス流または温度を感知する内部センサーなどの他の考えられる入力に応答して、またはコントローラにおいて計算されたパラメータによって、コントローラ205が、いつ(またはどのレベルまで)加熱板203を付勢して、加湿器チャンバー251内の水を加熱するかを決定し得る。加湿器チャンバー251内のある量の水が加熱されると、水蒸気がチャンバーの体積部内の水面の上方を満たし始め、およびガス供給手段または送風器15からもたらされた、ガス入口ポート255を通ってチャンバーに入るガス(例えば空気)の流れと共に、加湿器チャンバー251の出口ポート257から排出される。加湿器チャンバー251内のガスの湿度と加熱板203の温度との間に関係を獲得することが可能であることに留意すべきである。従って、ガスの湿度を決定するために、アルゴリズムまたはルックアップテーブルで加熱板の温度を利用することが可能である。
【0224】
送風器15が、送風器入口17を通して空気または他のガスを引き入れる可変速ポンプまたはファン22を備え得る。可変速ポンプまたはファン22の速度は、コントローラ205からの入力、およびダイアル19または他の入力機器によってユーザが設定した圧力またはファン速度または流量の予め決められた必要値(事前設定値)に応答して、さらなる制御手段または電子制御装置18によって制御され得る(または、その代わりに、このコントローラ18の機能は、他のコントローラ205によって実施され得る)。さらに、タッチスクリーンまたは他の入力機器またはインターフェースは、流量を設定するために使用され得る。あるいは、ガスは、壁面供給部(wall supply);すなわち壁Wにある壁面ガスポートGPから提供され得る。
【0225】
送風器のハウジング16には、出口ポート20が設けられている。ガス送給導管301の入口ポート303および送風器の出口ポート20は相補的な結合特徴を備えて、出口ポート20を入口ポート303と接続し、およびそれらを通るガス流路を提供する。相補的な結合特徴は、一部には、アダプタインサート(図示せず)、例えば導管または他の構成要素をアダプタインサートと接続または嵌合できるようにしかつそれに応じて好適な空気接続がもたらされるようにする好適な接続特徴を提供するアダプタインサートによって、提供され得る。
【0226】
システムはまた、サンプリング機器を含み得る(またはそれと接続可能とし得る)か、または、ガス感知ヘッドなどのセンサーを含む装置が、患者の気道(例えば口/口咽頭領域)に設置され得る。サンプリング機器は、標的または監視ガスのパラメータを感知し得る。標的または監視ガスの感知したパラメータは、システムのコントローラへ通信され、かつ本明細書で説明する気道開存性の決定方法論において使用され得る。
【0227】
いくつかの構成では、流れ発生器は、振動流を提供するように構成され得る。流れ信号は、振動流信号を含んで、振動流を提供し得る。流れ信号は、1つ以上の周波数を含み得る。流れ信号は、ベースガス流成分および1つ以上の振動ガス流成分を含み得る。
【0228】
いくつかの構成では、流れ発生器は、マニホールド配置構成で1つ以上の弁を含み得る。さらに、マニホールド配置構成は、さらに、関連のコントローラ18によって制御される少なくとも1つの比例弁を含み得る。弁は、所望の流量または所望の流れ信号を届けるために使用され得る。いくつかの構成では、マニホールドは、マニホールド内の圧力が最大圧力を超える場合に、開放するように構成される少なくとも1つの圧力逃し弁を含む。
【0229】
1つの例示的な構成では、流れ発生器は、複数の振動流成分を含む振動流を送給するように制御され、これら振動流成分は組み合わせられて、合成振動流を形成する。各振動流成分は、他の成分とは異なる周波数を有し得る。あるいは、複数の振動流成分が存在し得る。
【0230】
いくつかの構成では、少なくとも3つの振動成分がある。第1の成分は、人の安静時の心拍と実質的に同様の周波数にある。第2の成分は、患者の気道からガスを動かすために提供されるように構成された低周波数である。第3の成分は高周波数成分である。3つの成分は組み合わせられて、流れ発生器から出力される(例えばマニホールドによって生成される)合成信号を生じる。
【0231】
例として、振動成分は、約375リットル/分~約0.5リットル/分(またはベース成分に対して約270リットル/分~約0.25リットル/分)、または好ましくは約270リットル/分~約15リットル/分(またはベース成分に対して約120リットル/分~約0.5リットル/分)、または一層好ましくは約150リットル/分~約30リットル/分(またはベース成分に対して約60リットル/分~約10リットル/分)の最大流量を有し得る。振動成分は、約370リットル/分~約0.5リットル/分(またはベース成分に対して約270リットル/分~約0.25リットル/分)、または好ましくは約240リットル/分~約15リットル/分(またはベース成分に対して約120リットル/分~約5リットル/分)、または一層好ましくは約150リットル/分~約30リットル/分(またはベース成分に対して約60リットル/分~約10リットル/分)の最小流量を有し得る。
【0232】
いくつかの構成では、振動成分の周波数は、1つ以上のセンサーから感知される1つ以上のパラメータ、例えばO2飽和度、呼吸数、呼吸相、流量、CO2濃度、心拍数に基づいて変更され得る。
【0233】
ガス流振動を伴う変動するガス流は、患者の呼吸衝動が損なわれているかまたは少なくとも減少しているときに、これが、医療処置の前、その間、またはその後であるか、または任意の他の状況においてであるかに関わらず、有用である。振動成分を伴う変動するガス流は、主に、呼吸している患者からCO2を除去するのを支援する。CO2の除去は、患者が無呼吸であるとき、または患者の呼吸機能が低下しているとき、例えば沈静時または麻酔にかかるときもしくは麻酔から覚めるときに有用とし得る。これらの事象の間、患者の呼吸機能は、支援なしでCO2を十分にクリアにすることができるほど十分に良好な状態にはないかもしれない。
【0234】
いくつかの構成では、ガス流は、送風器15を使用するのではなく、何らかの他の1つまたは複数のガス源から得られ得る。例えば、いくつかの構成では、1つまたは複数のガス源は、圧縮空気および/または別のガスの1つ以上のコンテナー、およびガスが1つ以上のコンテナーから出る割合を制御するように適合された1つ以上の弁装置を含み得る。別の例として、いくつかの構成では、ガスは酸素濃縮器から得られ得る。システムはまた、空気と補助ガスの混合ガスを提供するために、補助ガス源を含み得る。例えば、補助ガスはO2とし得る。いくつかの構成では、装置は、ハイフロー療法を実施するように適合され得る。本開示では、「ハイフロー療法」は、1分当たり約5または10リットル(5または10LPM)以上の流量での、患者へのガスの送給を指し得る。
【0235】
いくつかの構成では、「ハイフロー療法」は、約5または10LPM~約150LPM、または約15LPM~約95LPM、または約20LPM~約90LPM、または約25LPM~約85LPM、または約30LPM~約80LPM、または約35LPM~約75LPM、または約40LPM~約70LPM、または約45LPM~約65LPM、または約50LPM~約60LPMの流量での患者へのガスの送給を指し得る。例えば、本明細書で説明するそれらの様々な実施形態および構成によれば、インターフェースへ、または流路を通ってなどシステムを経由して、供給または提供されるガスの流量は、限定されるものではないが、少なくとも約5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150L/分以上の流れを含んでもよく、および有効範囲は、これらの値のいずれかの間(例えば、約40~約80、約50~約80、約60~約80、約70~約100L/分、約70~80L/分)に選択され得る。
【0236】
送給されるガスは、一定の割合の酸素を含み得る。いくつかの構成では、送給されるガス中の酸素の割合は、約20%~約100%、または約30%~約100%、または約40%~約100%、または約50%~約100%、または約60%~約100%、または約70%~約100%、または約80%~約100%、または約90%~約100%、または約100%、または100%とし得る。
【0237】
ハイフロー療法は、患者の酸素投与量を増大させるおよび/または呼吸仕事量を減少させるために、患者の正常時の実際の吸気要求量に適合するかまたはそれを超える際に効果的であることが分かっている。さらに、ハイフロー療法は、鼻咽頭におけるフラッシング効果を生成し、上気道の解剖学的死腔が、大流量の流入ガスによってフラッシングされるようにし得る。これにより、毎回の呼吸に利用可能なフレッシュガスの溜め部を生じ得る一方、二酸化炭素、窒素などを再呼吸するのを最小限にする。
【0238】
加湿器200は、加熱器203と、加熱器に結合されるコントローラ205と、ユーザが加湿器の電源をオンにしたりオフしたりできるようにしかつ加熱器によってもたらされるべき所望の温度を選択できるようにするユーザ入力機器207とを備えるハウジング201を含む加湿器ベースを有し得る。ユーザ入力機器207は、例えばボタン、スイッチ、またはタッチスクリーンディスプレイとし得る。加熱器203は、1つ以上の加熱素子を含み得る。
【0239】
加湿器ベースは、加湿器チャンバー251を受け入れるように構成され得る。加湿器チャンバー251は、内部液溜め部254を規定するハウジング253、液溜め部と流体/空気連通する上流ガス入口ポート255、液溜め部と流体/空気連通する下流ガス出口ポート257、およびベース259を含む。ベース259は、液溜め部内の液体を加熱するために、加熱器203上にまたはその上方に位置決めされるように配置され得る。ベースは、ハウジング253の隣接する部分から外向きに突出するフランジ261を含み、加湿器ベース上の適所に加湿器チャンバーを設置するのを支援し得る。
【0240】
ガス入口ポート255、液溜め部254、およびガス出口ポート257は流体/空気連通して、ガス入口ポート255から液溜め部を通ってまたは通り過ぎてガス出口ポート257に至るガス流路を提供し、ガス流路に沿って移動するガスを加熱および加湿する。
【0241】
加湿器チャンバー251は、例えば水などの、ガスの加湿に使用するために好適な液体を保持する任意の好適なチャンバーとし得る。加湿器チャンバー251は手動充填チャンバーとしてもよく、および液体入口ポート263を通して充填され得る。あるいは、加湿器チャンバー251は自動充填チャンバーとしてもよく、および液体は、液体コンテナー、袋、または他の液体源から加湿器チャンバーに供給され得る。加湿器チャンバーは液溜め部にフロート弁を含んでもよく、フロート弁は、液体コンテナーから液溜め部への液体の流れを制御するように構成されている。
【0242】
ガス送給導管301は、加湿器チャンバー251の上流に置かれ得る。そのようなガス送給導管301は、加湿器チャンバー251と流体/空気連通してもよいし、または加湿器チャンバーの上流で加湿器チャンバーと;すなわちガス導管301の下流にある加湿器チャンバー251と流体/空気連通して配置されるように構成される。ガス送給導管301は、ガス源から1種以上のガスを受け入れかつ1種または複数種のガスを加湿器チャンバーのガス入口ポート255に送給するように構成され得る。
【0243】
ガス送給導管301は、導管の一方の端部に上流ガス入口ポート303を、および導管の対向端部に下流ガス出口ポート305を有する。ガス入口ポート303およびガス出口ポート305は流体/空気連通して、ガス入口ポート303からガス送給導管を通ってガス出口ポート305へ至るガス流路を提供する。ガス送給導管のガス出口ポート305および加湿器チャンバー251のガス入口ポート255は相補的な結合特徴を含み、ガス送給導管301を加湿器に結合して、ガス送給導管301と加湿器チャンバー251との間の流体/空気連通を可能にし得る。ガス送給導管301のガス出口ポート305および加湿器チャンバー251のガス入口ポート255の相補的な結合特徴は、互いに接続を切ることができ、ガス送給導管251を加湿器チャンバー251から切り離すことができるようにする。あるいは、相補的な結合特徴は、永久的にまたは半永久的に結合されてもよい。
【0244】
相補的な結合特徴に関して、それらの少なくともいくつかは、アダプタインサート、例えば1つまたは複数の好適な結合特徴を含むアダプタインサート(図示せず)によって提供され得る。
【0245】
ガス送給導管のガス入口ポート303は、ガス送給導管をガス源に結合できるようにするために、1つまたは複数の結合特徴を備えてもよい。
【0246】
吸息導管401は加湿器チャンバー251から延在して、インラインフィルタ501を介して加湿器を患者インターフェース601につなげる。吸息導管401は、導管401を通過するガスを加熱するように適合された導管加熱器403を含み得る。加熱器403は、吸息導管内での結露の形成を最小限にするかまたは防止するのを助け、そうでなければ、結露は、導管壁の内面と導管壁の外面との温度差に起因して発生し得る。他の構成では、導管加熱器403は存在しなくてもよい。吸息導管401は、導管の一方の端部に上流ガス入口ポートおよび導管の対向端部に下流ガス出口ポート405を含み、導管は、ガス入口ポート409からガス出口ポート405までのガス流路を規定する。
【0247】
加湿器チャンバー251は、吸息導管401の上流で吸息導管401と流体/空気連通するか、または吸息導管の上流で吸息導管401と;すなわち加湿器チャンバー251の下流に位置決めされる吸息導管と流体/空気連通して配置されるように構成される。加湿器チャンバー251のガス出口ポート257および吸息導管401のガス入口ポート409は相補的な結合特徴を含み、吸息導管を加湿器に結合できるようにして、加湿器チャンバー251と吸息導管401との間に流体/空気連通をもたらしてもよい。加湿器チャンバー251のガス出口ポート257および吸息導管401のガス入口ポート409の相補的な結合特徴は、互いに接続を切ることができ、吸息導管401を加湿器チャンバー251から切り離すことができるようにする。あるいは、相補的な結合特徴は、永久的にまたは半永久的に結合されてもよい。加湿器の出口ポート257および入口ポート255は、ISO22mm医療用テーパ接続部などの標準的な医療用テーパ接続部とし得る。あるいは、加湿器の少なくとも出口ポート257には、専売の接続部などの他の接続部が考えられる。
【0248】
吸息導管401は、一般に、ガス送給導管301よりも長い。
【0249】
フィルタ501は、例えば任意の好適なタイプとし得るが、拡大中心本体部分を備える全体的にシリンダー状のフィルタハウジング503を含み得る。拡大中心本体部分の前縁は、上流ガス入口ポート505で終端するテーパ付き壁を含み、および拡大中心本体部分の後縁は、下流ガス出口ポート507で終端する。ガス入口ポート505およびガス出口ポート507は、中心本体部分を介して流体/空気連通している。フィルタは、高効率微粒子集塵(HEPA:high-efficiency particulate arrestance)フィルタとし得る。フィルタハウジングの拡大中央部分は、好適なろ過材を含んでいる。例えば、ろ過材は、ひだの付いた紙、ナノファイバー、または、ソックフィルタ、スタックドディスクフィルタ、スパイラルフィルタ、フィルタ材の1つまたは複数のブロック、フィルタ材のストリームが流体流でディスクに対して自由に流れるフィルタ材の1つまたは複数のディスクを含め、任意の他の好適なろ過材を含み得る。フィルタは、微粒子、細菌および/または他の感染性物質を捕捉し、かつそれらが吸息導管から患者へとフィルタを通って下流へ通過するのを防止し、かつまた、細菌および/または他の感染性物質を捕捉し、かつそれらが患者から吸息導管へとフィルタを通って上流へ通過するのを防止する。
【0250】
吸息導管401は、フィルタの上流でそのようなフィルタ501と流体/空気連通し得るか、またはフィルタの上流でフィルタと;すなわち吸息導管の下流に設置されたフィルタと流体/空気連通して配置されるように構成され得る。フィルタ501のガス入口ポート505および吸息導管401のガス出口ポート405は相補的な結合特徴を含み得、吸息導管をフィルタに結合できるようにして、吸息導管とフィルタとの間に流体/空気連通をもたらす。フィルタのガス入口ポート505および吸息導管のガス出口ポート405の相補的な結合特徴は、互いに接続を切ることができ、吸息導管401をフィルタ501から切り離すことができる。
【0251】
1つの構成例では、吸息導管401のガス出口ポート405とフィルタのガス入口ポート505との間の相補的な結合特徴は、22mmの医療用接続部または22mmの医療用テーパ接続部を含む。
【0252】
フィルタ501は、用いられる場合、患者インターフェースの上流で患者インターフェース601と流体/空気連通し得るか、または患者インターフェース601の上流で患者インターフェース601と;すなわちフィルタの下流に置かれた患者インターフェースと流体/空気連通して設置されるように構成される。1つの構成例では、フィルタ501は、患者インターフェース601に結合されるか、または患者インターフェース601に結合されるように構成される。
【0253】
患者インターフェース601は、導管の一方の端部に上流ガス入口ポート605のある、患者インターフェースガス導管603を含み得る。患者インターフェースガス導管603の対向する下流端部は患者カニューレ30/607と流体/空気連通して、患者インターフェースガス導管603から患者Pへガスを送給する。
【0254】
1つの構成例では、フィルタ501のガス出口ポート507および患者インターフェースガス導管のガス入口ポート605は相補的な結合特徴を含んで、フィルタ501を患者インターフェース601に結合できるようにして、フィルタが、患者インターフェースガス導管を通るガス流路と一致した状態で、フィルタと患者インターフェースガス導管との間に流体/空気連通をもたらす。相補的な結合特徴は、互いに接続を切ることができ、フィルタを患者インターフェースの患者インターフェースガスチューブから切り離すことができるようにする。あるいは、相補的な結合特徴は、永久的にまたは半永久的に結合され得る。
【0255】
患者インターフェース601は鼻カニューレであるとして示されているが、いくつかの構成では、他の患者インターフェースが好適とし得ることを理解すべきである。例えば、いくつかの構成では、患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含んでもよく、および鼻マスク、口腔マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、上記の組み合わせ、または何らかの他のガス搬送システムを含んでもよい。患者の気道内へ少なくとも部分的に延在する他のインターフェースはまた、想定されるシステムの一部として使用され得ることが理解される。実施形態では、患者インターフェース601は、鼻カニューレなどの非密着インターフェースを含み、これは、ガスを環境と交換できるようにする。例えば、非密着カニューレは、患者がシステムからフロー療法を受けている間、二酸化炭素を患者の気道から除去するおよび/またはクリアにすることができる。さらに、実施形態では、患者インターフェースは、鼻インターフェースの形態にあり、システムが、挿管処置において他の経口気道器材および/または複数の機器、例えば、気管チューブに干渉しないようにする。従って、患者は、挿管処置を通してフロー療法を受け続け得る。
【0256】
患者インターフェースガス導管603は、チューブ状の壁によって規定される第1のガスルーメンを形成する。第1のガスルーメンは、呼吸療法システムから、図1に示す吸息導管401およびフィルタ501を介してガスを受け入れ、かつガスを患者Pへ送るように適合される。
【0257】
図示の通り、一例では、患者インターフェース601は、患者の鼻孔のそれぞれに1つずつ位置決めされるように適合された2つの鼻送給要素を含み得る。各鼻送給要素は、患者の鼻中隔に向かって内向きに延在するような形状または角度にされ得る。ガス入口導管603は、ガス導管603内の結露の形成を減少させるように構成される非加熱通気性チューブを含み得る。
【0258】
さらに、各鼻送給要素は、各鼻送給要素の先端部が、使用中、患者Pの頭の後ろ側に向くような形状または角度にされ得る。
【0259】
他の実施形態では、各鼻送給要素は、異なる特性を有し得る。例えば、一対の鼻送給要素の一方は比較的長く、および他方の鼻送給要素は比較的短いとし得る。
【0260】
いくつかの実施形態では、流れマニホールドは、流れマニホールドの2つの側面から(例えば、流れマニホールドの「左」側だけまたは「右」側だけの代わりとなるとき、例えば図1に示すように、流れマニホールドの「左」側および「右」側から)流れを受け入れるように構成され得る。
【0261】
いくつかのそのような実施形態では、複数のガスルーメンは、流れマニホールドと呼吸療法システムとの間に空気連通をもたらすように使用され得る。
【0262】
いくつかの実施形態では、流れマニホールドは、流れマニホールドの非側面から(例えば患者インターフェースの「底面」または「上部」から)流れを受け入れるように構成され得る。
【0263】
他の実施形態では、流れマニホールドは、鼻カニューレまたは鼻マスクなどの患者インターフェースの本体に取り付けられる別個の取り付け可能な構成要素とし得る。そのようなマニホールドは、インターフェースへの取り付けから取り外すことができる全体的に別個の構成要素とし得るか、または動作位置から取り付けが外されて(de-attached)または接続を切られて、インターフェースに対してマニホールド(および関連の供給導管)の向きを変える(re-orientation)ことができるようにする。例えば、マニホールドは、インターフェース本体との接続部に押し込まれる押し込み型タイプの配置構成とし得るか、またはマニホールドの向きを変えることができるようにする、インターフェースの本体とのスイベル型接続部とし得る。向きを変えることによって、インターフェースの左側または右側に供給導管を位置決めできるようにする(それゆえ、患者の一方の側から別の側へ変えられる)。これにより、患者にガスを送給するシステムの構成要素の利便性または配置構成を向上できる。例えば、医療処置を支援するものが、特定の一方の側から患者にアクセスする必要がある場合、マニホールドは向きを変えることができ、および供給チューブは再位置決めされて、患者の異なる側から延在する。そのような配置構成は、医療専門家から離れて、患者インターフェースおよびその関連の構成要素を比較的目立たないように適用できる。
【0264】
患者インターフェースは、鼻カニューレの形態にあるとき、分岐され得る(すなわち脆弱な線または他の分裂配置構成が構成され得る)ストラップの形態のヘッドギアを用いて、ヘッドギアまたはそのストラップを、単一のストラップ配置構成から分岐ストラップ配置構成へ再構成できるようにし得る。
【0265】
患者インターフェースは、鼻カニューレの形態にあるとき、(マニホールドが接続される)本体から延在する一対のサイドアームを用い得る。サイドアームは、ガス供給チューブのサイドアームへの保持または固定または位置決めをできるようにする特徴を含み得る(ガス供給チューブが制御不能に動き回るのを防止するために)。
【0266】
患者インターフェース601は、さらに、患者の顔にガスルーメン603および/またはカニューレ30/607を取り付けるおよび/または支持するためのマウントおよび/または支持体、例えば、頬支持体を含み得る。例えば、患者の顔にインターフェースを位置決めするまたは置くために解放可能な接続システムが用いられ得るが、必要な場合には、インターフェースの比較的迅速な取り外しまたは再位置決めを可能にする。
【0267】
従って、組み立て済みの患者インターフェースは、回路に空気式に結合されると、患者が麻酔下にあるときおよび/または患者が麻酔下になったとき(すなわち無呼吸の窓の間)の前酸素化の間に、ガスを患者に送給するために使用され得る。例えば、装置は、患者が麻酔下になったときに、5l/分~200l/分、好都合には少なくとも約70l/分であるが、少なくとも約50l/分ともし得る、加熱され加湿されたハイフローガスを送給するために使用され得る。患者が麻酔下になったら、患者の呼吸衝動が低下し、および患者は自発的に呼吸しない。ハイフローは、患者の酸素レベルを安全レベルに維持する。これにより、一般に患者を人工的に換気するために使用されるマスクおよび袋に有用な代替例を提供する。
【0268】
システムは、送風器の代わりに壁面源(wall source)を含んでもよいし、または送風器は壁面源としてもよい。
【0269】
それに加えてまたはその代わりに、方法は、患者が麻酔下になる前の前酸素化されているときに、使用され得る。そのとき、患者は自発呼吸している。前酸素化は、患者の肺の酸素濃度を高めるために実施される。
【0270】
どちらの場合にも、患者に送給されるガスの温度は、好都合には、約37℃とし、および湿度は約44mg/lのH2Oとし得る。
【0271】
患者インターフェースとしての鼻カニューレは、患者に、高空気流量で高湿度のガス流を患者の鼻腔に送給するのに好適な患者インターフェースを提供し得る。
【0272】
鼻カニューレは、カニューレが比較的小さい設置面積を有しかつ上唇に位置決めされ、口および喉を自由にして、外科医または他の医療専門家が最小限の閉塞または干渉で追加的な器具を挿入できるようにするかまたは最小限の閉塞または干渉で口/喉で処置を実施できるようにするため、麻酔の観点でまたは無呼吸または非自発呼吸下の患者の観点で有用とし得る。
【0273】
しかしながら、いくつかの実施形態では、患者インターフェースは、密着または非密着インターフェースを含むタイプとしてもよく、およびさらに、鼻マスク、口腔マスク、口鼻マスク、フルフェイスマスク、鼻枕マスク、鼻カニューレ、上記の組み合わせ、または何らかの他のガス搬送患者インターフェースシステムを含み得る。
【0274】
鼻カニューレアセンブリ30/607の1つの形態では、一体的に成形されるかまたは取り外し可能に取り付けられる一対のチューブ状の鼻プロングを含む顔面取付部、および、上述のように、チューブ603に一体的に成形されるかまたは取り付けられるガス流マニホールド部が設けられ得る。
【0275】
上述の通り、鼻カニューレは、ガスの流れをインターフェースに送給するために取り外し可能に取り付け可能なマニホールドを備え得、マニホールドは向きを変えることができ、ガス供給接続部をインターフェース(または患者)の左側または右側のいずれかにするようにする。そのような鼻カニューレの1つのまたは1対のサイドアームまたは頬支持体は、患者の顔面上でのインターフェースの位置決めを可能にし、および少なくとも患者接触面に比較的軟質の外側材料またはオーバーモールド材料を含んでいてもよい。一実施形態では、頬支持体は剛性であり、およびそれらはまた、シリコーンやTPEなどの比較的軟質の材料によってオーバーモールドされている。
【0276】
取り外し可能なマニホールドは、前述の通り、向きを変えられ得る。そのような向きの変更は、ユーザまたは患者/ユーザを支援する人によって、手動で行われ得る。
【0277】
本明細書で開示するようなヘッドギアは、鼻カニューレと組み合わせて提供され得、および分岐可能な(すなわち、ユーザがストラップを2つの部分に分離できる脆弱な線または他の予め規定されたゾーンを有し得る)少なくとも1つのストラップを含み得る。
【0278】
鼻カニューレの本体は、マニホールドが挿入される樽形部分を含んでもよく、およびそこから取り外されて、左右を交換(side swapping)できるようにし得る。さらにまたは任意選択的に、鼻カニューレは、一方のサイドアームまたは両サイドアームに接続するためのヘッドギアコネクタを含んでもよい。
【0279】
顔面取付部およびプロングは、シリコーン、またはカニューレ構成の分野で公知のような他の可撓性材料から成形され得る。ガス流マニホールド部は、硬質プラスチック材料から作製され得るが、他の好適な材料で製造されてもよい。
【0280】
顔面取付部は、プロングと一体的に成形され得、および上唇領域の周りの患者の顔面の輪郭に全体的に従うような形状にされ得る。
【0281】
ガス流マニホールド部は、長尺状の卵形の出口の周りで湾曲する一方の側に実質的に円形の入口(図示せず)を有する全体的にチューブ形状とし得る。円形の入口は、導管またはチューブ603の端部を受け入れるため、ガスは、ガス流マニホールド部に供給され、かつ入口を通って出口から出るように流れることができる。チューブ603は、マニホールド部に永久的に固定され得るか、または解放可能に取り付け可能とし得る。
【0282】
長尺状にされかつ卵形の出口は、マニホールドとの摩擦嵌合またはスナップフィット係合で長尺状の凹部に収まることができ、そのような長尺状の凹部からマニホールド部を取り出すためには、かなりの力が必要とされる。さらに、顔面取付部は可撓性とし得、かつマニホールド部は、より硬質のプラスチック材料から作製され得るため、マニホールド部出口は、そのような長尺状の凹部に比較的より簡単に押し込まれるまたは押し入れられることが可能である。マニホールド部が顔面取付部と係合すると、および使用中、ガスは、チューブ603からガス流マニホールド部を通ってその出口29から流出し、卵形の凹部のそれぞれに、プロングのそれぞれにおよび患者の鼻孔に流入するように流れる。
【0283】
顔面取付部の長尺状の凹部とマニホールド部の出口とは、形状および構成が対称的とし得るため、マニホールド部は、チューブ603が患者の鼻孔の左側または右側のいずれかから延在するように、切り替えられるまたは反転されることができる。これは、カニューレ20が、2つの入口ではなく、単一の水平側面の入口のみを必要とするため、鼻カニューレアセンブリおよび関連のチューブ603が比較的目立たないことを意味する。
【0284】
そのように全体的に説明した鼻カニューレアセンブリは、鼻中隔の下側に載置されかつ2つの鼻プロングを支持するため、装着がより快適となり得る。プロングは、シリコーンなどの軟質材料の1つの成形物で作製されるため、プロングは、患者の鼻孔に簡単に挿入でき、および患者にとって快適である。
【0285】
フロー療法または呼吸補助を実施または提供することに関連して、本明細書で説明される実施形態において使用されるガスは、一般に酸素である。あるいは、ガスは、空気または他の好適な1種または複数種のガス、または空気と補給用酸素または患者に好適な他のガスとの混合ガスとし得る。
【0286】
加湿のために上述の構成において使用される液体は、一般に水である。あるいは、液体は、加湿プロセスに好適な他の1種または複数種の液体とし得る。
【0287】
より具体的には、いくつかの外科的処置に関して、患者が麻酔されかつ患者の呼吸系が麻痺されている間に、患者の気道の要素-例えば声帯、声門、または気管-への妨げられないアクセスを有することが望ましい。
【0288】
麻痺した患者では、通常気管内チューブが使用されて気道を固定し、かつ人工換気を適用するための経路を提供するが、気管内チューブの使用は、チューブが下気道を完全に遮るだけでなく、そのような気管内チューブ配置構成の膨張したカフの上方にある気道要素へのアクセスを著しく妨げるため、これらの状況では望ましくないかもしれない。同様に、喉頭マスクも、実質的に気道へのアクセスを妨げ、それゆえ、一般に、このタイプの処置の間に使用するのに好適ではない。
【0289】
最近まで、医師または臨床医は、ある程度の換気およびガス交換をもたらすために、口を経由して気管に導入された細いカテーテル(例えば、Hunsakerカテーテル)を経由して供給される酸素を使用する様々な形態のジェット換気を使用してきたかもしれない。しかしながら、カテーテルは、依然として、気道を下方に延びるチューブを経由して供給される必要があり、支障は少ないが、アクセスが依然として制限される。臨床医はまた、レーザーアブレーションや焼灼法などのいくつかの手術が実施され得るとき、酸素を豊富に含んだ大気中でプラスチックチューブを気道の下方に導入する際には火事の可能性および損傷リスクに気づく必要がある。
【0290】
患者の鼻孔(例えば鼻インターフェース)を経由してもたらされるハイフローガス(O2または含酸素ガスなど)、またはハイフローガス療法または呼吸補助は、例えば鼻カニューレまたは他の形態の患者インターフェースを経由して供給されるハイフローの加湿酸素またはガスを使用して、麻痺患者を換気する能力を提供する。供給されたガス(例えば酸素を含む)が、患者インターフェースを経由して(例えば鼻カニューレの鼻プロングを経由して)鼻に入り、かつ口から流出し、そのようにするときに、咽頭腔のかなりの乱流フラッシングを引き起こし得る。そのようなガスの流れは、加湿されることができてもよい。そのようなハイフローは、気管および肺に比較的小さい陽圧を生じ、これにより、気道を効果的に支えて(splint)、肺胞を広げる-無気肺を部分的に軽減する。肺胞において酸素が消費されるため、フレッシュガスが自然に気管に引き下ろされて、それが肺胞膜を横切って吸収されるようにする。
【0291】
同時に、二酸化炭素が体で生産され、および血流を介して肺へと運ばれる。二酸化炭素は肺胞に蓄積し、および気管支へ拡散する。
【0292】
心臓が鼓動すると、動脈系に圧力の周期的変動を生じ、およびこれらの圧力変動は、肺を囲む動脈を介して肺に伝達される。さらに、心臓は、肺と部分的に接触しており、およびこれによりまた、肺組織に周期的な圧力変動を加えることとなる。肺に加えられる圧力変動は、わずかな周期的な肺気量変動を引き起こし、これにより-麻痺または非自発呼吸下の患者において-気管支に蓄積したガスを気管へと、咽頭に向かって周期的に絞り出し(心臓が肺の正味の圧縮を引き起こすとき)、および咽頭から肺の方へガスを周期的に吸い込むようにする(正味の圧縮力が解放されるときの心臓の拍動の1サイクルの動作(heart cycle)の他方の半分で)。
【0293】
心臓の働きによって引き起こされる気管における周期的流れは、一般に、「心性オッシレーション」と呼ぶ。ほとんどの患者では、心臓の働きによって変位される肺気量は、各心原性周期(cardiogenic cycle)の呼気部分で、少量のガス(CO2を含む)を肺から咽頭へ運び、その後、周期の吸気部分で、ガス(O2を含む)を咽頭から肺へ戻すのに十分である。
【0294】
心原性周期の呼気部分で、CO2を含むガスが咽頭に到達すると、ガスは、フロー療法または呼吸補助を提供する患者インターフェースによって(例えば鼻カニューレから)もたらされる比較的ハイフローのガスにより、ほとんど即座に口から一掃される。
【0295】
同様に、心原性周期の吸気部分は、咽頭から肺の方への、酸素を含むガスの輸送を実質的に強化させる-肺胞における酸素の正味の消費に起因する流れに加えて。
【0296】
患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)からの流れがない場合、心原性作用単独では、CO2を含む相当量のガスを、肺から気管死腔および咽頭死腔を通って、患者の気道(患者の口など)から出るように輸送するのには、振幅が十分に大きくないかもしれないことは、注目に値する。CO2を含むガスの十分なクリアランスは、咽頭死腔がフラッシングされる場合にのみ、発生し得る。
【0297】
様々な例では、例えば高ネーザルガス流量では、それゆえ、心性オッシレーションがポンプの機能を果たし、ガスを肺から、フラッシングされる咽頭へ輸送し、かつ咽頭から肺へ戻るガスの輸送を強化する。これを図2に示す。
【0298】
図2は、心原性作用による無呼吸の換気システムを示す。ガスの流れが、フロー療法または呼吸補助として、患者インターフェース2を介して患者の鼻の1つまたは複数の鼻孔に提供または送給されている患者Pが示されている。提供または送給されるガスは、鼻腔および患者の気道に入る。ガスは、上気道を下方へ、患者の下気道内へと肺Lに向かって輸送され得る。肺Lは、心臓からの拍動性ブロー流によって引き起こされる、肺へのある程度の振動圧力を受け得、矢印6で示すように心原性作用を引き起こすのを助ける。ガスの流れは、患者の口5から呼息され得るかまたは吐き出され得る(または排出され得る)。
【0299】
一定流量のフロー療法または呼吸補助が患者に提供または実施され得るが、振動が流れに加えられ得る。患者の気管におけるガスの振動流は、患者の心拍の心原性作用に起因するとし得る。鼻を経由して患者に提供または送給される比較的高流量でのフロー療法または呼吸補助は、気管におけるこのガスの振動流に応答して、患者の肺から吐き出されるまたは呼息されるガスのフラッシングを支援し得る。ガスおよびフラッシングは、鼻を経由して実施されるフロー療法または呼吸補助を受けるときには、患者の口または口腔を通して排出され得る。振動流量の適用例を、下記で詳細に説明する。
【0300】
無呼吸の換気を効果的に動作させるために、肺と咽頭との間に、開存した気道が存在することが重要である。気管または声帯の閉塞または詰まりは、心原性のポンプ作用の働きを中断させ、患者へフロー療法または呼吸補助(酸素投与を含む)を提供する能力を防止し、ならびに患者から呼息されるまたは吐き出されるガスのクリアランス、例えばCO2クリアランスまたはフラッシング作用を防止する。
【0301】
従って、患者の気道の開存性がより効率的に監視および/または決定され得る場合、臨床医には(ならびに患者の安全性および健康にとって)、特に利点がある。
【0302】
ガス流が、鼻においてフロー療法または呼吸補助を提供する患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)から口咽頭を通って口から出るまで、遮られずに移動できることも重要である。この流路が遮られるまたは塞がれるまたは他の方法で閉塞される場合、咽頭は、適切にフラッシングされず、およびCO2が肺胞および気管内で増大し、酸素を置換させ、および最終的には、血液中のO2飽和度の低下および高炭酸ガス血症の双方を生じる。
【0303】
咽頭/口における標的ガス(例えばCO2)の濃度変動の感知
肺はCO2を継続的に生じ、これが、非自発呼吸下の患者または無呼吸の患者における心原性作用によって一連のパルスで、気管および口を介して呼息されるまたは吐き出される。
【0304】
それゆえ、咽頭/口において時間と共にCO2濃度の変動を監視することによって、CO2が肺から気管へ送られているかどうか、およびまた、それが、例えば鼻用患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)から患者の鼻を経由して提供または実施されている比較的ハイフローのフロー療法または呼吸補助(例えば酸素を含み得るガス)によって一掃されているかどうかを、チェックすることが可能である。
【0305】
無呼吸の換気において1心原性周期当たりクリアにされる標的ガス(例えばCO2)の量および口での濃度
図3は、心性オッシレーションに起因して口から流出する流れのプロットである。心原性周期の呼気部分にわたる心原性の流量(Cardiogenic flow volume)は、人によって異なるが、一般に20~60mlの範囲にある。
【0306】
一例では、モデル実験は、この範囲における心原性の流量では、肺と咽頭との間で1周期当たり約5~30mlのガス交換が達成可能であることを示している。肺におけるCO2の分圧は約40mmHgであると仮定すると、心原性のポンプは、1心原性周期当たり、約0.27~1.59mlのCO2を、咽頭へとクリアにし得る。図示の通り、ガスの流れの心性オッシレーションは、患者の心拍にマッピングされ得る。
【0307】
肺からクリアにされるガスは、咽頭を通過する比較的ハイフローのガス(フロー療法または呼吸補助として提供または送給される)と混合され得、およびこれにより、CO2がかなり希釈される(および同時に他のガスが呼息されるまたは吐き出される)。
【0308】
一例では、咽頭を通る酸素の流れが70l/分であり、および心原性周期の呼気部分が0.4秒間続く場合、各心原性パルスの間に口から出るCO2の濃度は、約570~3405ppmとなる(0.057~0.34%、0.43~2.58mmHgの分圧に対応する)。
【0309】
心原性呼息の間に口から出る(または咽頭を通って移動する)CO2のパルスを監視するために、これらの値の約1/10である濃度を測定できるガスセンサーを有して、濃度のパルス波形を追跡できるようにすることが望ましい。これは、時間応答0.2秒以下で、約57~340ppmまたは0.04~0.26mmHgの感度に対応する。
【0310】
本明細書で開示する方法およびシステムおよび装置への高感度のCO2感知技術の実施および使用は、肺からのCO2の心原性のポンプに起因する咽頭の流れにおけるCO2の濃度変動の監視を可能にする。
【0311】
無呼吸の換気における気道開存性を評価するための、心原性作用によってクリアにされる標的ガス(例えばCO2)のカプノグラフの代替例
さらなる例では、肺中のCO2の濃度は、比較的低い-40mmHgの動脈のCO2レベルの約5%である。この低濃度のCO2は、肺からポンプで送られるCO2が例えば咽頭において、患者に送給または提供されるフロー療法または呼吸補助の高フラッシング流で希釈されると、さらに実質的に低下される-およびこれは、上述の課題である、患者から呼息されているまたは吐き出されているガスの濃度を効率的に正確に測定できるという課題に貢献する。
【0312】
そのような課題に起因して、無呼吸の換気下にあるとき、患者は、高濃度の酸素(限定されるものではないが、100%の酸素を含み得る)を供給され得る。そのようなものとして、肺を短期間、高濃度の良性のトレーサーガス(その後検出および測定される標的ガスである)で効果的に満たし、その後、患者の肺系統からの標的ガスの心原性のポンプを監視することが可能である。これにより、患者の気道開存性の効果的な監視を可能にする。
【0313】
正常な自発呼吸条件下では、患者は、約80%の窒素と20%の酸素の混合ガスである空気を吸う。これに照らせば、本明細書で開示したような方法またはシステムまたは装置は、実質的に(または十分に)酸素化された、無呼吸で換気される患者の肺を、50:50の窒素/酸素混合ガス(または、標的にされ、検出されおよび測定されるガスを含有するガスの他の混合ガス)で、簡単に(briefly)満たす能力を促進してから、それに続いて、心原性作用によって窒素(または他の標的ガス)のクリアランス行うことを可能にする。そのような手法は、患者を脱飽和にする余分な危険はわずかしかないが、臨床医に、窒素などの標的ガスの監視、および比較的高い濃度におけるそのクリアランスに関する情報を提供できるようにすることによって、著しい利益をもたらす。
【0314】
それゆえ、本明細書の開示の1つの特定の実施形態では、患者の肺を混合ガス(例えば窒素/酸素混合ガス)で満たして、気道開存性を監視できるようにすることが提供される。特定の処置が、以下の通り提供され得る。
1. 比較的ハイフローのガス(鼻インターフェースを介して提供される)を使用して、患者が確実に実質的に酸素化され(または少なくとも患者の酸素投与の飽和レベルが増加される)(約98%を上回る酸素飽和度が達成され得るとしてもよい)、ガスの流れは、酸素(加湿された酸素としてもよい)を含む。ガスの流れは、少なくとも70l/分、および約1cmH2Oの咽頭のスプリンティング圧力(splinting pressure)である。
2. 比較的短期間のステップからガスの流れを除去するまたは実質的に減少させる(例えば、約1~2秒間、加湿酸素供給を除去するまたは減少させる)。これにより、有効な気道のスプリンティング圧力を除去しまたは減少させ、かつ肺をわずかに収縮させる。
3. 標的ガス(例えば、加湿された窒素/酸素混合ガスとし得る)を含むガスを、流量(例えば、特定の患者に必要なフロー療法または呼吸補助の流量に従って、比較的ハイフローとし得、および例えば約70l/分以上とし得る)で、ある期間(例えば約1~3秒間とし得る)適用する。ここで、ステップ3の間に提供されるガスの流れは、肺を少なくとも部分的に再膨張させ得るが、肺は、標的ガス(例えば、ここでは窒素/酸素混合ガス)を含むガスを使用して少なくとも部分的に再膨張され、それにより、標的ガスを含むガスが確実に肺に到達するようにする。
4. 患者の気道に加えられる圧力を低下させ得ることなく、ステップ1から提供されたフロー療法または呼吸補助を復活させ(例えば加湿された酸素の供給)、肺が収縮するのを防止する。
5. 標的ガスが、肺から心原性作用によって押し出され、かつフロー療法または呼吸補助(例えば比較的ハイフローの加湿酸素)によってもたらされたガスの流れによって口から一掃されるので、口/咽頭における標的ガス(例えば窒素)の濃度の変動を経時的に監視する。
【0315】
50:50の窒素/酸素混合ガスが上述のステップ(3)で使用される場合、窒素の濃度は、初めはCO2の濃度の約10倍であり、クリアランスの監視に著しい利点をもたらす可能性がある。代替的な混合ガスがこの処置で用いられることができ、標的ガスの検出、測定および監視に異なるガスが使用されることが理解される。
【0316】
収縮/膨張処置が実施されず、その代わりに、ハイフローの酸素が単にハイフローの混合ガス、例えば窒素/酸素混合ガスで置き換えられる場合、生理学的死腔が混合ガス(例えば窒素/酸素混合ガス)で満たされるようになること、または標的ガス(例えば窒素)が肺に到達することを保証することは不可能であることに留意されたい。
【0317】
無気肺を支えかつ軽減するための十分な流れを保証するための気道圧の監視
例えばフロー療法または呼吸補助(例えばガスは、酸素化され得るかまたは補給用酸素を含有して、空気単独での酸素濃度を上回るように酸素濃度を上昇させる)によって、例えば患者の鼻を経由して患者に提供される比較的ハイフローのガスは、患者の気道内に小さなスプリンティング圧力を生じるまたは提供するのを助け得る(限定されるものではないが、約0.5~5cmH2Oとし得る)。この圧力は、比較的小さいが、肺胞を膨張させるのを助け、かつ無気肺を軽減させるのを支援し得る。この余分な圧力は、肥満患者や無気肺を起こしやすい他の患者では、特に重要とし得る。
【0318】
鼻からの咽頭気道が部分的に詰まる場合、スプリンティング圧力は実質的に低減され、それにより、患者は、気道虚脱、無気肺、脱飽和のうちの1つ以上の危険が増した状態にされ得る。
【0319】
それゆえ、本明細書で開示する方法またはシステムおよび装置はまた、喉頭のすぐ上に配置され得る圧力センサーまたはプローブによる、気道におけるスプリンティング圧力の監視を提供してもよい。これにより、臨床医が咽頭気道の開存性をさらに評価できるようにする追加的な情報を提供し得るか、またはそのようなセンサーまたはプローブからの圧力データの信号または出力は、患者の気道開存性の決定に貢献し得る。
【0320】
気道開存性を評価するための、咽頭/口における標的ガス(例えばCO2)の濃度変動の感知
図4は、心原性作用によって患者Pの肺から呼息されるまたは吐き出されるCO2などの標的ガスを監視することによって、気道開存性を評価するためのシステムの例を示す。
【0321】
患者の麻酔下にあるおよび/または麻痺した呼吸系は、例えば鼻用患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)を介して供給される比較的ハイフローのガス(例えば加湿酸素)を使用してフロー療法の呼吸補助を提供または実施することによって、無呼吸換気される。送給または提供されるガスの流量は、無気肺を軽減するために少なくともある程度のスプリンティング圧力を十分に達成するように、十分に高く、および脱飽和状況に取り組みかつそれを回避するために、肺による、供給されたガス(例えば酸素)の十分な吸収能力を保証する。
【0322】
患者の気圧障害の可能性を回避または減少させるために、予防措置が実施され得る(例えば、フロー療法または呼吸補助を提供する回路または患者インターフェース内の圧力を解放し得るまたは下げ得るために、安全弁または他の圧力逃し弁または孔とし得る)。
【0323】
図4に示すように、患者の口は開いていて、鼻を介して提供または送給されている、フロー療法または呼吸補助におけるガスの流れは、咽頭を通って移動し、かつ口から流出し得る。
【0324】
ガス感知ヘッドなどのセンサーを含むサンプリング機器または装置が、患者の口/口咽頭領域内に配置され得る。センサーの位置決めは、図4に示すように、口/口咽頭の底に沿って、位置(a)と(b)との間のどこかに配置され得る。
【0325】
サンプリング機器または装置は、別個の機器としても、または鼻カニューレに組み込まれても、または鼻カニューレに取り外し可能に結合可能としてもよい。
【0326】
位置(a)は、歯の間の口の入口の底であるまたはその近くであるとして示されており、および位置(b)は、気管の入口であるまたはその近くであるとして示されている。センサーヘッドは、センサー内へのガスの流れを遮るリスクを示すため、谷に設置されるべきではなく、かつまた、そのため、気管からくるガスストリーム内により直接置かれないようにする。センサーを設置するための異なる位置の範囲は、臨床医に、実施される処置に依存して、手術部位が見えなくなるのを回避するための柔軟性を与える。その位置の範囲は、患者が無呼吸であり、かつ患者に刺激または不快感を与える可能性を減少させるため、可能である。
【0327】
いくつかの構成では、ガスは、患者の口および鼻の双方からサンプリングされ得る。
【0328】
その代わりにまたはそれに加えて、サンプリング機器/装置はサンプリング先端部を含み得る。先端部は、CO2の収集を最大にしかつサンプリング機器/装置への唾液の導入を防止/減少させるように設計され得る。サンプリング機器/装置は、例えば流れ発生器において患者から遠く離れたところに配置されるガスセンサーに結合される中空チューブを含み得る。サンプリング先端部は、動作可能位置へと操作されるときにサンプリング先端部の位置を保持できる可鍛性先端部とし得る。
【0329】
センサーは、口/口咽頭領域からのガスのサンプルを比較的低流量で吸引する感応性副流ガス(例えばCO2、N2、ヘリウム)センサーに接続され得る。センサーに吸引される流量は、約200ml/分未満である必要がある(気管において心原性誘発ガス流(cardiogenically-induced gas flow)に予期されるピークの1/5)。
【0330】
必要な場合には、例えば水トラップ(water trap)またはフィルタなどを、半透過性チューブ(例えばNAFIONと呼ばれる材料など)と併せて使用して、センサーへの流体および水蒸気の吸引を回避するための予防措置が取られ得る。これらは図面には示していない。上述の実施形態に照らして、サンプリング先端部は、流体が吸引されるのを防止するような形状にされ得るかまたはそのための壁配置構成、例えばキャステレーション(castellation)を含み得る。
【0331】
センサー(例えばガス分析器型のセンサー)は、処理装置またはコントローラによって処理され得る信号または出力を提供し得、および検出および測定された標的ガス濃度の補正または補償された出力または信号が、出力(例えばGUI)または他の情報ディスプレイを介して提供され得る。アラームまたは他の警告が、経時的に測定される標的ガスの濃度変動に依存して出され得るかまたは発せられ得る。
【0332】
同様に、患者の心拍または心原性活動の入力は、感知した標的ガスの濃度に相関されるかまたは関連づけられて、臨床医に情報の出力を提供するようにし得る。
【0333】
同様に、患者に提供または送給されるガスの流量の入力(すなわち患者に提供されるフロー療法または呼吸補助の流量)は、フローメータ機器によって感知または測定され得、およびそのような入力は、臨床医に情報の出力を提供するように、感知した標的ガスの濃度に相関させるまたは関連付けるために提供される。
【0334】
上述の通り、ガスの流れは、患者に振動流で提供または送給され得るか、または患者への実在のガスの流れの重畳された振動で送給され得る。流れは、患者の気道からのガス交換を高めるまたは増強させるのを助け得る。それに加えてまたはその代わりに、流れは、患者の体内で発生する心原性パルスに起因するガス交換を高めるまたは増強させるのを助け得る。
【0335】
流れは、1つ以上の振動波形の和とし得る。振動流または各振動波形は実質的に正弦波とし得る(すなわち正弦関数に基づいて生成される)。一実施形態では、流れは、2つまたは3つの振動波形の和である。一実施形態では、流れは、患者の心拍または心原性パルシング(cardiogenic pulsing)と同じ周波数特性を備える振動波形を含み得る。
【0336】
ガスの流れは、流れ信号に従って送給され得る。流れ信号(それゆえ送給された)は、以下の信号特性またはパラメータ:周波数、振幅、波形、および/または位相、の1つ以上を含み得る。周波数は、ある期間にわたって実質的に繰り返している。さらに、波形は、ある期間にわたって実質的に繰り返している。
【0337】
流れのパラメータは、前記患者からの前記ガスの呼息または吐き出しを最適にするまたは増加するように選択され得る。振動流は、心原性機序(cardiogenic mechanism)に起因するガスの吐き出しを改善するための、1つまたは複数の周波数成分を有し得る。その代わりにまたはそれに加えて、流れのパラメータは、標的ガスの吐き出しを最大にするように選択され得る(例えば振動の振幅または期間)。
【0338】
標的ガスおよび監視ガスという用語は、区別しないで使用され得る。システム内のセンサーによって測定される信号は、それぞれ標的ガス信号または監視ガス信号とし得る。
【0339】
患者に送給されるガスの流れは、少なくとも1種の標的ガスの呼息または吐き出しを増強し得るおよび/または促し得る。このようにして、少なくとも1種の標的または監視ガスの測定値は、患者の気道がある期間にわたって閉塞されていないすなわち開存している場合には、送給される流れに応答して、変動し得る。
【0340】
送給された流量と、監視ガス信号としての少なくとも1種の標的または監視ガスの測定値との相関が決定され得、および患者の気道開存性の指標は、この相関に基づき得る。
【0341】
監視ガスまたは標的ガスは、CO2またはO2、または二酸化炭素もしくはO2の濃度を示すガスとし得る。さらに、監視ガスは、上述の標的ガスのいずれかとし得る。
【0342】
実施形態では、標的ガスはCO2である。CO2が肺から吐き出されるためである。そのようなものとして、自発呼吸下にないまたは呼吸衝動が非常に低い患者に100%のO2が送給中であるとき、CO2が特に気道開存性の良好な指標を提供する。
【0343】
どのように相関が気道開存性を決定できるようにするかの生理機能について、鼻カニューレインターフェースおよび振動流量に関して下記で説明するが、他のインターフェースが利用され得ることが想定される(実際に、流量プロファイルが変動するかまたはそうでないかは別にして)。鼻カニューレを通って流れが適用され(例えば、上述のような比例弁を含む流れ発生器を経由することによって)、および患者の上気道が開存しているとき、流れのかなりの部分が鼻咽道を通過して、口を通って出る。正常成人では、流量が70l/分(または、患者が無呼吸であるかまたは呼吸衝動が低下しているときには、100l/分まで)がカニューレを通して適用され、咽頭において生成される圧力は、一般に0.5~5cmである。
【0344】
上気道に加えて、下気道(喉頭/気管など)が開存している場合、この流れまたは圧力は肺に送られる。提供される振動流量の増減は、咽頭における圧力の対応する増減を生じる(流量の二乗にほぼ比例する割合で)。患者の肺は、一般的に伸展性があるため、肺は、気道に圧力が加えられると、拡張する。それゆえ、インターフェースを通して適用される流れが増加すると、気道に生じた圧力の増大によって肺を拡張させ、およびガスの流量の少なくとも一部が、気道を咽頭から肺へ通過する。反対に、カニューレを通して加えられる流れが減少すると、気道の圧力は低下する。そのため、肺は収縮し、および肺中のガスの一部は、強制的に気管を上昇させられ、咽頭内の乱流に入り、そこから、口から排出されるガスストリームと混合される。さらに、CO2はまた、心原性パルシング(上述の通り)の一部として生じ、および気管を強制的に上昇させられるガスの成分である。
【0345】
ガス交換が肺において発生する場合(例えば心原性パルシングまたは正常なガス交換のいずれかによって)、肺はCO2を含み、ガスが気管を強制的に上昇させられるとき(すなわち適用される流量の減少)、これは、カニューレに適用される流れが低下するために、口を離れるガス中のCO2濃度の一時的上昇として現れる。CO2濃度のこの一時的増加は、上気道および下気道の双方が開存している場合にのみ見られる(すなわち、流れは、鼻から咽頭へ移動し、そこに圧力を加えることができ、およびガスは、肺と咽頭との間で気管を上下に通過できる)。
【0346】
適用される流量と肺気量と気道圧との間の関係を図12に示す。図12は、インターフェース2からガスの流れを提供されている患者Pを示す。グラフは、流量がA’からD’まで増加すると、肺気量も増加し、および患者の肺Lへの流れ10が生成されることを示している。
【0347】
理解され得るように、患者が自発呼吸下にないときには、振動するまたは他の方法で変動する流量の適用は、そうでなければ患者の肺からの流れがない(または心原性パルシングに起因する流れが少なくとも極めて最小限である)ため、好ましい。しかしながら、患者が自発呼吸下にあるとし得る場合には、振動するまたは他の方法で変動する流れおよび一定流量の双方が使用されてもよく、およびCO2または他の標的ガスの濃度が、気道開存性を決定するために使用される。
【0348】
送給される流量と標的または監視ガスとの相関
相関は、標的ガスの濃度を有するガスの流量(流量信号として)に基づき得る。標的ガスの他の特性も、流量などの流量信号と相関され得る。
【0349】
相関は、ガスの流れの波形特性と、監視ガス信号の波形特性との比較に基づき得る。波形特性は、波のいずれかの特徴とし得る。波形特性のいくつかの非限定的な例は、周波数、振幅、位相、形状、傾きである。
【0350】
それに加えてまたはその代わりに、相関は、送給される流れの第1の形状またはプロファイルと、監視ガス信号の第2の形状またはプロファイル(または後続のプロファイルの形状)との比較に基づき得る。送給される流れの第1の形状またはプロファイルは、少なくとも部分的に繰り返し得る。例として、第1の形状またはプロファイルは、送給される流れのピークまたはトラフとし得、および第2の形状またはプロファイルは、監視ガス信号における同様のまたは実質的に同一の波形形状またはプロファイルとし得る。
【0351】
それに加えてまたはその代わりに、相関は、流れの周波数、流れの振幅、流れの波形、流れの位相、流れの経時的変化(例えば前記流れの減衰または推進)のうちの1つ以上と、監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)、監視ガス信号の振幅、特定の周波数での監視ガス信号の振幅、監視ガス信号の波形、監視ガス信号の位相、監視ガス信号の経時的変化のうちの1つ以上との比較に基づき得る。
【0352】
上述の相関の特定の1つの方法は、流れの周波数(または流れ信号)と監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)の比較である。
【0353】
その代わりにまたはそれに加えて、相関は、流れの波形の信号のエッジまたは移行部分、流れの波形の極大値または極小値または変曲点、流れの一部分の傾きまたは離散点における傾き、所与の期間または予め決められた期間内における流れのいくつものピークおよび/またはトラフのうちの1つ以上と、流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の信号のエッジまたは移行部分、流れの波形の信号のエッジまたは移行部分の後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点が置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の極大値または極小値または変曲点、流れの波形の一部分の傾きまたは離散点における傾きの後の、ある期間内に監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾きが置かれていてもよいときの、監視ガス信号の波形の後続の一部分の傾きまたは離散点における傾き、所与の期間または予め決められた期間内の監視ガス信号のいくつものピークおよび/またはトラフのうちの1つ以上との比較に基づき得る。
【0354】
上述のような信号のエッジは、信号の立ち上がりエッジまたは立ち上がり部分とし得る。それに加えてまたはその代わりに、信号のエッジは、信号の立ち下がりエッジまたは立ち下がり部分とし得る。
【0355】
気道開存性を決定するための相関の使用
閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていない気道状態を示す相関は、設定閾値または限界(margin)を上回る(またはそれ以内にある)上述の相関ベースのいずれか1つまたは組み合わせに基づき得る。反対に、閉塞されているまたは実質的に閉塞されている気道状態を示す相関は、設定閾値または限界を下回る(またはそれ以内にない)上述の相関ベースのいずれかに基づき得る。
【0356】
それに加えてまたはその代わりに、相関の強さは、患者の気道が開存している程度に比例する。
【0357】
再度、流れの周波数(または流れ信号)と監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)との比較に基づく特定の相関を参照する。監視ガス信号の周波数(または周波数範囲)の少なくとも1つの成分が流れの周波数(または周波数範囲)と同様であるとき、および前記周波数における流れの振幅がある閾値を上回るとき、患者の気道は、閉塞されていないまたは実質的に閉塞されていないと決定される。
【0358】
図13Aは、送給される流れの流量対時間の波形Wを示す。図13Bは、測定された監視ガス(この場合CO2)を示す。図13Aに示すように、測定された監視ガスは、ノイズを除去するために、フィルタリング済みの信号である。患者に送給される流れの減少(図13AのセクションAによって示す)は、監視ガスの対応するピーク(図13BのセクションAによって示す)を生じることが観察される。これは圧力の低下に起因し、患者の肺からの、CO2を含有するガスの流れを引き起こす。さらに、図13AのセクションBでは、流量が減少し、このセクションの期間中、患者の肺からのガスの流れはなく、それゆえ、図13BのセクションBにおいてCO2は測定されない。監視ガス信号W’の周波数は、送給される流れ信号Wの周波数と同じである。それゆえ、2つの間の周波数に基づく相関は、監視ガス信号W’と、送給される流れ信号の周波数で送給される流れ信号Wとの間の強い相関を示す(この場合、送給される流れの周波数は約3hzである)。図13Aに示す振動流量は、患者の酸素投与を支援し、およびフラッシングによるCO2クリアランスを助ける。振動流については上記でより詳細に説明されている。
【0359】
いくつかの実施形態では、図13Bおよび図13Aにそれぞれ示すように、測定された監視ガス、および/またはガスの流量は、上記でより詳細に説明したユーザインタフェース上に示され得る。
【0360】
上述と同様に、監視ガス信号の周波数の少なくとも1つの成分が流れの周波数と同様ではないまたは異なるまたは十分に似ていないときに、および/または前記周波数における信号の振幅が同様でありかつある閾値を下回るときに、患者の気道は閉塞されているまたは実質的に閉塞されていると決定される。
【0361】
さらに、ガスの監視は、監視ガス信号として、瞬間的にまたはリアルタイムで行われ得る。監視ガス信号は、周期的にまたは規則的な間隔でサンプリングされてもよい。それに加えてまたはその代わりに、監視ガス信号は、例えば処置(手術または前酸素化処置など)、またはその一部に対する設定期間にわたって監視され得る。
【0362】
気道開存性の決定は、監視ガスのリアルタイム測定に基づき得るか、または測定は、ある期間、監視ガスに対して行われ、それに続いて分析されて、波形を導き出しおよび/または気道開存性を決定し得る。
【0363】
相関は、当業界で公知の方法の1つによって決定され得る。相関の決定に考えられる方法は、モンテカルロ法、スペクトル分析またはフーリエ変換である。一例では、逐次モンテカルロ法が使用され得る。
【0364】
いくつかの構成では、逐次モンテカルロ法が使用され得る。逐次モンテカルロ法では、異なる気道状態に対応する複数の推定値が生成される。推定値は、コントローラのメモリに保持され、およびシステムの決定されたモデルに基づく各時間ステップで更新される。そのようなモデルは、気道の様々な要因または患者の他の生理的パラメータに基づき得る。その後、監視ガスが測定され、かつ更新された推定値と比較される-実際の測定値に近い推定値には、さらに離れている推定値よりも重みが与えられる。複数の時間ステップにわたって、推定値は、再び重みが付けられる(それらがどの程度実際の測定値に近いかに基づいて)。推定値の重みは、特定の推定値が正しいという信頼度に対応する。
【0365】
上述の相関方法は、上述の装置によって実施され得る。装置は、流量を生成および/または提供し(流量は振動していてもよい)、および患者に流量を送給するための流れ発生器;患者の気道から呼息されているまたは吐き出されている少なくとも1種の標的(または監視ガス)を監視または検出するように構成されたガス採取器(またはサンプリング機器または装置)、および送給される流量と監視ガスとの間の相関を決定し、および前記相関に基づいて、気道開存性に関する決定、または気道の詰まりまたは閉塞の場所に関する決定のうちの1つ以上のインジケータを決定するためのコントローラ(プロセッサーを含んでいてもよい)を含み得る。
【0366】
装置は、上述の方法のいずれかを実行するように、または上述の特徴のいずれかを含むように構成され得る。
【0367】
口/咽頭において測定される標的ガス(例えばCO2)の濃度に対する、鼻カニューレからの流れの希釈効果の補正
心原性誘発(cardiogenic induced)呼気パルスの間に口から出る標的ガス(例えばCO2)の濃度を信頼性高く推定するために、口から出るハイフローのO2、またはハイフローガス療法または呼吸補助からのフロー療法または呼吸補助(例えば比較的高流量の加湿酸素)により患者に提供または送給中のガスによって、標的ガス(例えばCO2)が希釈するのを補うために、補正または補償を提供することが必要である。この流量は、フロー療法または呼吸補助を施している患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)に流入するガス(例えば酸素)の流量を測定し、およびその後、患者の鼻孔からのバイパス漏洩を考慮して、その場合口を通って流出する流れをそのままの状態にするために、補正因子または補償を適用することによって、推定され得る。患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)に流入する流れと、呼息されるまたは吐き出されている(すなわち口から出ている)流れとの関係が、図5に示される。すなわち、図5は、カニューレ流量に応じた口の流れ対鼻カニューレの流れの比を示す。
【0368】
特に図5(A)に関して、
1. 比較的低い程度ガスの流れでは(すなわち約10l/分まで)、患者インターフェース(例えば鼻インターフェース、例えば鼻カニューレ)に入るガスの流れのかなりの部分が、鼻孔を経由して戻って漏れることによって、鼻から出る。インターフェースからの流れは実質的にほとんど咽頭を通過して口から出ない。
2. 比較的中程度の流れでは(すなわち約10l/分~約30l/分)、患者インターフェースに入るガスの流れの、口を経由して出る割合または比率が増え、比例して、鼻孔を経由して鼻に戻っての漏れが減る。
3. 約30l/分超では、口から出るガスの流れ対患者インターフェースに入るガスの流れの比は、実質的にまたはほとんど一定である。その比は、鼻孔および患者の気道への患者インターフェースのガス送給要素(例えば鼻カニューレのカニューレプロング)の相対的なサイズに依存し、それゆえ、患者毎に異なり得る。平均値は約0.4とし得る。
【0369】
口を通して行われるCO2測定に対する、患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)からの流れの希釈効果の補正では、図5(B)に示すような3つの直線によって図5(A)の曲線を近似させるのに十分とし得る。
【0370】
図5(B)に関して、および約0~10l/分の線の第1の水平なセグメントにおいて、希釈因子は約1とし得る(すなわち口を経由して患者から出る流れは実質的になく、および心原性作用によって口に入るCO2は希釈されない)。すなわち、以下の通りである。
F<10l/分の場合:希釈因子=1
式中、Fは、カニューレの流量である。
【0371】
線の第2の立ち上がりセグメントでは(約10l/分~30l/分)、口からの流れ対患者インターフェースに入る流れの比は、患者インターフェースの流量Fで約0から0.4に線形に上昇する。この比がRであると指定される場合、患者インターフェース流量によるRの変動の式は、以下の通りである。
10l/分<F<30l/分の場合:R=0.4(FБ10)/20
式中:Rは、口から出る流れ対カニューレに入る流れの比である。
この範囲の流れの希釈因子は以下の通り表わされ得る。
10l/分<F<30l/分の場合、希釈因子=1+0.4F(FБ10)/(20PCF)
式中:F=患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)の流量(l/分)
PCF=ピーク心原性の流量(l/分単位-一般に2l/分)
30l/分超の患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)の流れでは、口からの流れ対患者インターフェースに入る流れの比は、約0.4のままである。それゆえ、30l/分を上回る流れの希釈因子は、以下の通りである。
F>30l/分の場合:希釈因子=1+0.4F/PCF
【0372】
定数:10l/分、30l/分、および0.4は、例として与えられるにすぎず、および例示的な鼻カニューレに対してのみ行われた測定に基づくことに留意すべきである。異なるカニューレサイズ、または異なる患者インターフェースでは、経験的に予め決められた異なる定数が使用されて、希釈因子を決定し得る。希釈因子は、経験的な試験またはモデリングによって決定され、およびコントローラにプログラムされ得る。
【0373】
図6に示す構成を使用して口/咽頭において測定されたCO2濃度は、カニューレからの流れによって、それを、上述のようなカニューレの流量に応じて決定された希釈因子によって乗算することによって、希釈に対して補正され得、補正CO2濃度を生じ、これが、下記で説明する気道開存性の決定において使用される。
【0374】
補正を始めるための段階的な手順は、以下の通りである。
1. 患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)の流量Fが、患者インターフェース供給導管またはラインにおいてフローメータを使用して測定される。フローメータ信号は、信号処理装置に送信される。
2. CO2センサー信号の補正に使用する希釈因子は、以下の通り計算される。
F<10l/分の場合:希釈因子=1
10l/分<F<30l/分の場合:希釈因子=1+0.4F(FБ10)/(20PCF)
F>30l/分の場合:希釈因子=1+0.4F/PCF
【0375】
これらの種類の希釈因子は例示にすぎず、および他の希釈因子は、他の供給流量に関して決定され得ることに留意されたい。
【0376】
希釈因子は、供給されるハイフロー療法、または呼吸補助によって送給されるガスの流量を考慮するために、コントローラによって使用され得る。コントローラは、供給中の流れを決定するために、流れセンサーを含み得、およびそのため、コントローラは希釈因子を自動的に決定し得る。
【0377】
PCFが、心臓発生によって誘発されたピーク流量であり、一般に2l/分である場合、および通常1l/分~6l/分の範囲である。処理装置によって使用されるPCFの値は、ある範囲の典型的な対象者に対する測定から予め決められる。
1. 口/咽頭におけるCO2レベルは、感度が0.05%よりも良好でありかつ応答時間<0.2秒の感応性高速CO2センサーによって、時間に応じて検出される。
2. 測定されたCO2信号は希釈因子によって乗算されて、補正CO2レベルを与える。
3. 補正されたCO2レベルは、ディスプレイユニット上に、時間に応じて表示される。
【0378】
図6は、様々な気道条件下でのガス濃度分析をもたらすガスセンサーから予期される、時間によるCO2濃度(補正前)の痕跡を示す。図6において与える値は、指標または概算にすぎず、および実質的に患者毎に、センサーの感知ヘッドの位置、および患者の鼻を通して供給されるガス(酸素など)の流量によって、変動することに留意されたい。絶対値ではなく、気道開存性を評価するために使用される痕跡の定性的特徴である。
【0379】
図6のプロット(A)は、咽頭気道および気管の双方が開存しており、およびCO2が無呼吸の換気によって実質的にクリアにされている患者において予期される痕跡を示す。以下の特性を有する。
・CO2濃度のパルスは、患者の心拍または心原性活動と同期して発生する。
・心原性周期の呼気部分において咽頭へ送られる実質的に全てのCO2が、フロー療法または呼吸補助が患者にもたらされている状態で患者(例えば鼻を経由して)に送給または提供されている比較的ハイフローのガス(例えば酸素)によって、口からフラッシングされるため、ベースラインCO2レベルはゼロである(またはゼロに近い)。
・ベースラインCO2レベルは、時間とともに上昇しない。
【0380】
CO2濃度のパルスのピーク値は、患者によるCO2発生の変動に依存して(十中八九、外科的処置に起因する代謝の変動の結果として)、時間と共に変動し得ることに留意されたい。CO2濃度のパルスのピーク値、およびそれらの持続期間も、鼻を経由して患者に供給される酸素の流量と共に変動する。より高い流量は、より低いピーク値およびより短いパルスを与える。
【0381】
図6のプロット(B)は、気管は開存しているが、鼻からの咽頭気道が詰まっている患者において予期される痕跡を示す。これは、-例えば-気道に落ちて詰まる軟口蓋に起因し得る。この場合、フラッシングの流れは口/口咽頭に到達せず、および痕跡は、以下の特性を有する。
・詰まりの早期では、CO2は依然として肺によって生産されており、心原性作用によって口/口咽頭に送られているため、CO2濃度のパルスが見られる。パルスは、患者の心拍に同期している。
・気管から口咽頭または口に到達するガスは、フラッシングの流れによって口を通ってクリアにされない。これをクリアにするのに利用可能な唯一の機序は、希釈、口の内部での残存流/乱流を引き起こす口の外部での補助空気の動き、および患者の動きである。概して、これらのクリアランス機序は、口咽頭から全てのCO2を実質的にクリアにするのには十分ではないため、CO2のベースラインレベルは時間とともに上昇する。上昇率は、患者の代謝率、心原性誘発流(cardiogenically induced flow)に対する気管の抵抗、および外部の空気の動きまたは患者の動きからの残存フラッシングのレベルに依存して、変動し得ることに留意されたい。
・口咽頭または口のCO2濃度は、心原性作用によって肺から送られるガスで一杯になると、上昇する。最終的には、肺自体のCO2濃度に達し得る。それゆえ、患者の動きの外部の空気の動きによる残存クリアランスがないと、濃度のパルスの振幅は、咽頭でのCO2のベースライン濃度が肺の濃度に達するため、低下することが予期される。口咽頭でのCO2のベースライン濃度が肺の濃度に達するときでも、ベースラインレベルは、依然として、CO2の分圧が継続的な代謝作用に起因して血液中で高まるため、時間と共にゆっくりと上昇すると予期される(それゆえ肺でのその濃度が時間と共に増加する)ことに留意されたい。
【0382】
口咽頭からCO2を十分にクリアにするためには、鼻からの少量の流れのみが必要であり、およびこの痕跡は、咽頭気道の部分的な詰まりでは予期されず、依然として鼻から口へ1~5l/分超で流れることができることに留意すべきである。こうした状況では、気道におけるスプリンティング圧力の測定が必要であり、およびこれは、別の特許請求の一部を形成する。
【0383】
図6のプロット(C)は、気管が詰まっており、および咽頭気道が開いている患者において予期される痕跡を示す。CO2は心原性作用によって口咽頭へ送られないが、酸素によるフラッシングは発生する。痕跡は、実質的にゼロまたはベースライン濃度のままである。
【0384】
従来の換気の実行では、臨床医は目視でカプノグラフの痕跡を監視して、CO2が患者からクリアにされているという快適さを得る。本出願では、好適なコントローラを備えるガスセンサーを実装することが可能であり、それにより、上述の痕跡の特性を認識でき、かつ条件(B)または(C)が検出される場合には、警告またはアラームを発するかまたは生成する。
【0385】
下記の説明は、条件(A)および(B)、および(A)および(C)を見分けるための、そのようなソフトウェア処理の一例である。
【0386】
信号(A)および(B)を見分けるために、軟口蓋および気管の双方が開いている場合、信号(A)は、患者の心拍と同期する規則的な一連のCO2濃度のパルスからなることに留意すべきである。各パルス間に、口/咽頭におけるCO2の濃度はゼロまで低下する。なぜなら、咽頭が鼻カニューレからのハイフローの純酸素でフラッシングされるためである。しかしながら、軟口蓋が閉じている場合、口/咽頭のCO2レベルは1000ppm超に上昇する。それゆえ、いくつかの心拍の期間、連続的に1000ppm超であるCO2のレベルは、軟口蓋での問題を示す。
【0387】
以下のルーチンまたは処置は、コンピュータ可読命令、ソフトウェア論理、またはハードウェア論理に基づいて、1つまたは複数のプログラマブル機器によって実施または実行され得ることが理解される。好適なプログラマブル機器は、限定されるものではないが、マイクロ-コントローラ、マイクロ-プロセッサー、CPU、ASIC(特定用途向け集積回路)、またはハードウェアまたは任意の他のプログラマブルハードウェア機器、システムまたはプラットフォームを含み得る。説明されるルーチンおよび処置は、ハイフロー療法用に送給される流量または呼吸補助用の流量のコントローラによって実施され得ることも理解される。
【0388】
条件(B)を決定するためのプロセスまたはルーチンまたは処置(例えばソフトウェアによって実施され得る)の例は、以下の通りとし得る。
1. 信号処理装置は、センサーからのガス濃度レベル(例えばCO2濃度レベル)を連続的に監視する。
2. ガス濃度レベルが閾値(例えば1500ppm)超に上昇する場合(これは、典型的な値であるが、使用される他の範囲の値は、例えば100%の純酸素が患者インターフェースに供給されるときには、約100ppm~約4000ppmとし得る)、ソフトウェア・フラグが設定され、およびカウンタが開始される。カウンタは、患者に取り付けられたプレチスモグラフセンサー(酸素飽和度センサー)からの心拍のパルスを数える。あるいは、カウンタはまた、患者に取り付けられたECGからの信号における心拍を数えるように配置され得る。
3. フラグがリセットされる。このフラグまたはカウンタは、ソフトウェア・フラグまたはカウンタとして実装され得る。ガス濃度(例えばCO2濃度)レベルがそれに続いて閾値(例えば上記で述べた1500ppm)未満に低下する場合、カウンタは停止されて、ゼロにされる。
4. カウンタが増えるたびに、その値がチェックされる。値が設定閾値を上回る場合(典型的な値の設定は30であるが、10~120の範囲内にあるとし得る)、アラームまたは警告または他のインジケータが生成されるかまたは発せられて、条件(B)(すなわち軟口蓋が閉じていて、気管が開いている)を示し得る。
【0389】
良性のトレーサー型ガスまたは他の標的ガスなどの標的ガスの注入が使用されるとき、同じルーチンが、軟口蓋の閉鎖または閉塞または詰まりを検出するために使用または実施され得る。そのような状況では、ソフトウェア・フラグが設定される標的ガス(良性の医療用ガスまたはそうでなければトレーサーガスなど)の濃度は、患者に提供される、例えば、10%の初期濃度の標的ガス(例えば良性の医療用トレーサーガス)である。
【0390】
条件(C)を決定するためのプロセスまたはルーチンまたは処置(例えばソフトウェアによる)の例は、以下の通りとし得る。
1. 信号処理装置は、センサーからの標的ガス濃度(例えばCO2)レベルを連続的に監視する。
2. カウンタ、例えばソフトウェアカウンタが提供され、これは、処置の開始時には、または臨床医によってリセットボタンが押されるまたは起動される場合には、ゼロにされる。
3. 標的ガス濃度(例えばCO2)レベルが上側閾値(例えば250ppm)超に上昇し、その後下側閾値(例えば200ppm)未満に低下するたびに、ソフトウェアカウンタが減らされる。
4. 同時に、プレチスモグラフセンサー(酸素飽和度センサー)からのパルスが信号処理装置に供給される。
5. プレチスモグラフのパルスが発生するたびに、ソフトウェアカウンタは増やされ、およびその値が監視される。
6. ソフトウェアカウンタの値が、一定の閾値を超える場合(典型的な値の設定は約30であるが、約10~120の範囲内にあるとし得る)、アラームまたは警告または他の表示が発せられるかまたは提供されて、条件(C)(気管が閉じている)を示し得る。
【0391】
良性のトレーサー型ガスまたは他の標的ガスなどの標的ガスの注入が使用されるときに、同じソフトウェアルーチンまたはアルゴリズムを使用して、気管の閉鎖を検出し得る。そのような状況では、閾値を、患者に注入されるトレーサーガス濃度の1%に(トレーサー心原性パルスの立ち上がり部に対して)、および患者に注入されるトレーサーガス濃度の0.75%に(トレーサー心原性パルスの立ち下がり部に対して)設定することによって、標的ガスのトレーサーガスのパルスが検出される。
【0392】
条件(B)を決定するために使用されるカウンタは、条件(C)を決定するために使用されるものとは異なるカウンタであることに留意すべきである。
【0393】
気道開存性を評価するためのトレーサーガスのクリアランスの監視
図7は、心原性作用によって肺から呼息されているまたは吐き出されている標的ガス(例えば良性のトレーサーガス)のクリアランスを監視することによって、気道開存性を評価するためのシステムの例を示す。
【0394】
麻酔下にある麻痺患者Pは、患者インターフェース(例えば鼻カニューレ2)を経由して供給される比較的ハイフローのガス(例えば加湿酸素)を使用して、無呼吸換気される。そのようなフロー療法または呼吸補助によって患者に提供または送給される流量は十分に高く、少なくともある程度のまたは必要なスプリンティング圧力を達成して、無気肺を軽減させ、かつ肺による酸素の十分な吸収能力を保証して脱飽和を回避するのを助けるようにする。
【0395】
ガス流量は、一定流量で送給され得る。あるいは、フロー療法または呼吸補助は、振動(実在の)流量で患者に送給されても、または重畳された振動が送給されてもよい。振動流は、CO2またはトレーサーガスの呼息を増強するために送給され得る。
【0396】
ハイフローガスがハイフロー療法または呼吸補助方法または装置によって患者へ送給される場合、そのような流量は、振動するように調整されることを含め、調整され得る1つ以上のパラメータ(例えば流量)を伴う様々な成分を含むように生成され得る。各パラメータは、独立して、または他のパラメータに依存して、調整され得る。これにより、変動するガス流(変動するガス流のパラメータ)を提供する。変動するガス流(振動を伴う)は、ガスの除去(例えば、呼息されるまたは吐き出されるCO2、または例えば標的ガスまたは良性のトレーサーガスを含む他のガスの除去)を支援し、および患者の気道または呼吸系への酸素投与または他のガス(例えば標的ガスもしくは良性のトレーサーガス)の提供もしくは送給を支援し得る。例として、ガス流は、変動しないベース流量成分を、それぞれ異なる周波数である1つ以上の振動流量成分と組み合わせて含み得る。これにより、変動する全体的なガス流波形を生成する。フロー療法装置は、弁、送風器コントローラおよび/または他の変調機器によって制御されて、流量成分を生成し得る。PCT出願PCT/IB第2016/051820号明細書には、振動成分の使用が説明されており、およびその全体を本書に援用する。
【0397】
患者インターフェースへの供給システムは、比例弁または切替え弁14を組み込み、それにより、患者インターフェースへの流れを制御できるようにし、かつ第1のガス源1(酸素化ガス源など)から標的ガス(例えば酸素と良性のトレーサーガスの混合ガス)を含むガスの源13へ切り替えてもよい。この例では、窒素/酸素の50:50の混合ガスが使用されるが、酸素とトレーサーガスの相対濃度は変動してもよく、および患者を危険にさらしたりまたは手術室での処置を損なわせたりしないことを条件に、異なるトレーサーガスが使用されてもよい。
【0398】
比例弁または切替え弁13は、患者インターフェース(例えば鼻カニューレ2)への正味の流れを中断せずに、およびこのようにして、患者インターフェースを経由して送給される流れから生じる気道のスプリンティング圧力の低下を引き起こさずに、一方の源から他方の源へ流れを切り替えるように構成され得る。
【0399】
窒素/酸素混合ガスの流れは、ゼロと、患者に対する気圧障害のリスクによって制限される最大流量との間で、第2の弁によって独立して制御され得る。本明細書で前述した通り、気圧障害を回避するための予防措置(例えば鼻カニューレ内の圧力を解放するための安全弁)が、実装され得る。これらは図面に示していない。
【0400】
患者の口は開いているため、鼻を経由して入ってくるフラッシング流が、咽頭を通って移動して、口を経由して出ることができる。
【0401】
ガス感知ヘッド4などのセンサーが、患者の口/口咽頭領域内に設置され得る。ガス感知ヘッドは、ガスセンサー(図示せず)の一部とし得るか、またはそれに取り付けられ得る。口/口咽頭の底に沿った、図面に示すような位置(a)と(b)との間のどこかに設置されるべきヘッドの位置付けには、かなりの許容範囲(latitude)がある。位置(a)は、歯の間の口の入口の底にあり、および位置(b)は気管への入口にある。センサーヘッドは、これが、センサーへのガスの流れを遮る危険がありかつまた気管からくるガスストリーム内に直接ないため、谷に設置されるべきではないことに留意されたい。感知ヘッドの範囲は、臨床医が、実施される処置に依存して、手術部位を見えなくするのを回避するように柔軟性をもたらす。センサーは、上述のようなサンプリング機器または装置の一部とし得る。
【0402】
感知ヘッドは、口/口咽頭領域からのガスのサンプルを低流量で吸引する感応性副流窒素センサーに接続される。センサー内に吸引される流量は、一般的に、200ml/分未満である必要がある(気管の心原性誘発流で予想されるピークの1/5)。必要な場合には、流体および水蒸気をセンサーヘッド内へ吸引するのを回避するために、NAFIONなどの材料の半透過性チューブと併せて水トラップまたはフィルタを使用するなどの、標準的な予防措置が取られる必要がある。これらは図面に示されていない。
【0403】
臨床医は、以下のような測定処置を実行することによって、気道開存性を評価する。
1. 患者は、最初に、少なくとも70l/分の加湿酸素のハイネーザルフロー、および1cmH2Oの咽頭スプリンティング圧力または袋およびマスク換気のいずれか(またはこれらの組み合わせ)を使用して、十分に酸素化される(98%超の飽和度)。
2. その後、鼻カニューレを経由する加湿酸素供給は、1、2秒除去される。これにより、スプリンティング圧力を除去し、かつ肺がわずかに収縮できるようにする。
3. その後、ハイフロー(70l/分以上)の加湿された窒素/酸素混合ガスが、数秒間適用される。これにより、ここでは、窒素/酸素混合ガスによって肺を部分的に再膨張するが、それにより、混合ガスは肺に確実に到達する。
4. 肺を収縮させずに、加湿酸素供給が復活する。
5. 口/咽頭における窒素濃度の変動が、心原性作用によって肺から送られかつ高い酸素流によって口から一掃されるときに、時間と共に監視される。
【0404】
図11は、図7において開示されたような構成と同様の、補正または補償システムを含むさらなる構成について説明している。システムは処理装置33を含み、処理装置は、システムの様々な他の構成要素からのデータを読むための少なくとも1つのデータ入力部、および様々な他の構成要素へデータを送信するための少なくとも1つのデータ出力部を有する。
【0405】
フローメータ31は、ガス源(1、13)と鼻カニューレ2との間で、ガス送給導管内に配置される。ガス源は、上述したようなものとし得る(例えば第1のガス源1(酸素化ガス源など)、および標的ガス(例えば酸素と良性のトレーサーガスの混合ガス)を含むガス源13)。フローメータは、ガス源(1、13)によって弁14を通ってもたらされるガスの流量を測定する。フローメータは、質量流ゲート、または体積流量、または鼻カニューレ2へのガスの流量に比例する任意の他の信号を測定し得る。フローメータからのデータは、処理装置23に提供される。
【0406】
ガスセンサー32がガス感知ヘッド4に提供され、感知ヘッドは、図7に関連して説明したものと同様とし得る。ガスセンサー32、およびガス感知ヘッド4の出力は、処理装置23に提供される。
【0407】
処理装置には、プレチスモグラフセンサー、または心電図(ECG)からの患者パラメータを示す信号も提供される。患者パラメータとし得る。
【0408】
処理装置は上述の入力を使用して、補正または補償因子を計算または適用し得る。補償因子は、上述の通り、患者Pに提供または実施されるフロー療法または呼吸補助の提供(例えばフロー源1、13から、および患者インターフェース、例えば鼻インターフェースを経由する)に起因するガスの希釈を補償し得る。フロー療法は、標的ガスを希釈し得るか、または測定され得る他のガス(例えばCO2)を希釈し得る。処理装置はまた、気道開存性を決定または推定し得、例えば処理装置は、関連の構成要素(例えばガスセンサー32、フローメータ31、およびECG34)からの情報を分析して、気道開存性、および例えば上述のような条件(A)、(B)、および(C)のいずれかを決定し得る。
【0409】
処理装置33からの少なくともデータ出力36を表示するためにディスプレイ36が提供される。データ出力36は、前述のような条件(A)、(B)、および(C)のいずれかに関連し得る、および/または処理装置に取り付けられるまたは接続される構成要素のいずれかから測定される生データとし得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、ガスセンサー32、および/またはガス感知ヘッド4によって測定されているときに、経時的にCO2の濃度または分圧を表示する働きをする。ディスプレイ36は、臨床医が、システムの変数または測定値を直接監視できるようにする。
【0410】
処理装置は、上述のような構成要素の少なくとも1つ以上またはさらには全てからの入力を取って、アラーム出力37を提供し得る。アラーム出力は、1つ以上のアラーム信号39を含み得る。1つまたは複数のアラーム信号39は、条件(A)、(B)、および(C)に、または気道開存性の他の様々な状態に関連し得る。アラームは、可聴式または可視的とし得るか、または他の方法で臨床医に示され得る。
【0411】
図8は、様々な気道条件下での、センサーから予期される窒素濃度の痕跡を時間と共に示す。図表で与える値は近似にすぎず、および患者毎に、感知ヘッドの位置、および鼻を通して供給される酸素の流量によって、実質的に異なることに留意されたい。絶対値ではなく、気道開存性を評価するために使用される痕跡の定性的特徴である。
【0412】
図8のプロット(A)は、咽頭気道および気管の双方が開存しているときに予期される痕跡を示す。50:50の窒素/酸素混合ガスが患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)に適用される一方、窒素濃度は50%まで上がる。流れが酸素のみに戻すように切り替えられると、咽頭に残る窒素はいずれも、口を通って直ぐにフラッシングされる。それに続いて、窒素は、心原性作用によってパルスで肺から咽頭へと送られる。酸素はまた、肺まで導かれ、そこに残存する窒素を希釈し、そのため、窒素濃度のパルスの振幅は、時間とともに減少し、最終的には、全ての窒素が肺から送り出されると、ゼロになる。
【0413】
パルスの大きさは、図では、説明のために誇張されていることに留意されたい。肺からくる窒素は、流れが酸素のみに戻すように切り替えられると、実質的に希釈され、および50:50の窒素/酸素混合ガスが使用された場合には、第1のパルスにおいて約0.57~3.4%のピーク濃度が予期される。
【0414】
窒素濃度のパルスは、患者の心拍または心原性活動と同期される。
【0415】
図8のプロット(B)は、咽頭気道は詰まっているが、気管が開いているときに予期される痕跡を示す。この場合、患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)からの窒素は口咽頭を通過しないため、フラッシング流がない。その代わりに、酸素投与が停止されると直ちに、ガス感知ヘッドによって誘発される拡散と低速の流れとが組み合わさった状態で、開いている口を経由して、空気が口咽頭に入る。窒素濃度は、空気の窒素濃度(80%)まで上昇する。
【0416】
図8のプロット(C)は、気管は詰まっているが咽頭気道は開いている場合に予期される、時間と共に変動するときの濃度の痕跡を示す。50:50の窒素/酸素混合ガスがカニューレを経由して導入されるとき、口咽頭における窒素濃度は、直ちに50%まで上昇する。流れが、酸素のみに戻すように切り替えられると、口咽頭はすぐにフラッシングされ、および窒素濃度はゼロまで低下する。気管が詰まっているため、窒素は肺へ導入されないかもしれず、および窒素は、心原性作用によって気管まで送られないかもしれない。流れが酸素のみに戻すように切り替えられた後、窒素濃度の周期的変動が観察され得る。
【0417】
咽頭気道が部分的に詰まっていて、および気管が開いている場合、50:50の窒素/酸素混合ガスが鼻カニューレを経由して適用されるときに、少量の窒素が肺に到達し得る。この場合、窒素濃度のいくつかの小さい残存パルスが、流れが酸素のみに切り替えられた後、より長い口咽頭フラッシング時間と一緒に、観察され得る。この条件は、気道圧を監視することによって、痕跡の誤った解釈の可能性をなくすために、チェックされ得る-これは、別の特許請求の主題である。
【0418】
図8に関連する上記の「フォールト」条件(B)および(C)を決定するためのアルゴリズムは、気道開存性を決定するためのCO2の監視に関連して上記で説明されている。良性のトレーサーガスなどの標的ガスが使用されるとき、ソフトウェアカウンタをトリガするために使用されるのは、CO2の閾値ではなく、そのトレーサーガスの濃度閾値であることは確実である。閾値は、CO2の濃度よりも遥かに高い肺中のトレーサーガスの初期濃度に起因して、CO2のものとはトレーサーガスでは異なることにも留意されたい。アルゴリズムは、コントローラ(上述の通り)と関連付けられるメモリ機器内にコンピュータ可読および実行可能命令として記憶され得る。コントローラは、処理する標的ガスの測定値に基づいて電子制御装置に気道開存性を決定させるようにするために、アルゴリズムを読み出して実行するように構成される。
【0419】
全ての閾値は、例として与えられているにすぎず、および実施する方法またはシステムを示す。
【0420】
無気肺を支えかつ軽減するための十分な流れを保証するための気道圧の監視
鼻を経由して提供または送給されるハイフローのガス(例えば酸素)は、気道に小さいスプリンティング圧力を生じる(一般に0.5~5cmH2O)。この圧力は、小さいものの、肺胞を膨張させるのを助け、それにより無気肺を軽減する。これは、肥満患者において特に重要とし得る。
【0421】
鼻からの咽頭気道が部分的に詰まっている場合、スプリンティング圧力は実質的に低減され得る。それゆえ、患者の気道における圧力の監視は、臨床医に対し、上述の通りCO2またはトレーサーガス測定値から疑われ得る、咽頭気道の詰まりを確認する手段を提供する。
【0422】
この確認を可能にする、気道圧を測定するためのシステムが、図9に示されている。
【0423】
圧力変換器12が無呼吸の患者Pの気道に導入されて、喉頭のすぐ上であるが、口から出ている患者インターフェース2からのガスの主流からは外れている点で、圧力を測定する。気道において、上述のガス感知ヘッドのセンサーよりも深い位置である必要がある。これは、ハイフローからの動的効果に起因する圧力測定の乱れを最小限にするために必要があるかもしれない。圧力変換器12は、0.2cmH2O以上の感度で、約-10~+10cmH2Oの範囲を有し得る。変換器は、0.1秒よりも良好な応答時間を有し得る。
【0424】
患者の口は、この測定のために、開いている必要がある。閉じられている口は、実際には部分的に閉じているときに、咽頭気道が開いているとの誤った指標を与え得る。
【0425】
鼻に取り付けられた鼻用患者インターフェース(例えば鼻カニューレ2)は、患者の鼻孔にぴったりのサイズである必要がある。大きすぎるカニューレは、実際には部分的に閉じているときに、咽頭気道が開いているとの誤った指標を与え得る。小さすぎるカニューレは、実際には患者にとって正常な範囲で開いているときに、咽頭気道が部分的に詰まっているとの誤った指標を与え得る。
【0426】
咽頭気道が正常に開いている場合、気道内の圧力は、近似的にカニューレ流の二乗で変動する。正常成人では、カニューレ流量70l/分での圧力は、約0.5~2cmH2Oの範囲内にあるとし得る(例えば図10参照)。0.5cmH2Oよりも低い圧力は、咽頭気道が部分的に詰まっていること、およびスプリンティング圧力が、無気肺を軽減するために必要とされるものよりも実質的に低い可能性があることを示す。低気道圧が、例えば体格指数(BMI)が30以上の肥満患者に対して、特に懸念されている。
【0427】
患者インターフェース(例えば鼻カニューレ)から咽頭気道を経由する流量が低流量であることのさらなる確認は、0.1~0.5秒の時間スケールで発生するセンサーにおいて、乱流圧力変動を測定することによって、取られ得る。0.2cmH2O以上の圧力変動は、60l/分以上の流れを示す。正常な条件下では、これよりも小さい圧力変動は、咽頭への流れが気道および肺胞を支えるためには最適ではないことを示す。
【0428】
システムはまた、ディスプレイ3、およびフロー源1、13および弁14を含み得る(それらの全ては、上記の図7および図11に関連して説明されている)。
【0429】
図9に示すようなシステムは、図7および/または図11のシステムと組み合わせられ得ることが想定される。
【0430】
文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、説明および特許請求の範囲を通して、語「~を含む(comprise)」、「~を含む(comprising)」などは、排他的または徹底的であるのとは対照的に、包括的に、すなわち、「限定されるものではないが、~を含む」という意味で解釈されるものとする。
【0431】
本明細書で開示する数値の範囲(例えば、1~10)への言及はまた、その範囲内にある全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)かつまたその範囲内の有理数の任意の範囲(例えば、2~8、1.5~5.5および3.1~4.7)への言及を含むことを意図し、それゆえ、本明細書で明白に開示される全範囲の全部分範囲が、ここに明白に開示される。これらは、具体的に意図されるものの例にすぎず、および列挙される最低値と最高値との間の数値の全ての考えられる組み合わせは、本出願において同様に明白に述べられていると考慮される。
【0432】
本明細書では、名詞が後に続く、用語「1つまたは複数の」は、その名詞の複数形および/または単数形を意味する。
【0433】
本明細書では、用語「および/または」は、「および」または「または」、または文脈によって可能である場合には、それら双方を意味する。
【0434】
本明細書では、用語法「~ように構成される」は、その代わりに、その用語法が、「~ように配置される」または「~ように適合される」と置き換えられる。
【0435】
上記の説明において、完全体またはその公知の等価物を有する構成要素に言及する場合、それらの完全体は、本明細書では、あたかも個別に説明されているかのように、援用される。
【0436】
本開示はまた、本出願の明細書で、言及されるまたは示される部分、要素および特徴で、個別にまたはまとめて、構成されると、前記部分、要素および特徴の2つ以上のいずれかまたは全ての組み合わせで構成されると、広範に言われ得る。
【0437】
本明細書におけるいずれかの従来技術への言及は、その従来技術が、世界中のいずれの国においても、努力分野の共通の一般知識の一部を形成するとの、承認または何らかの形態の提案ではなく、かつそのように取られるべきではない。
【0438】
本開示のいくつかの構成のいくつかの特徴、態様および利点は、呼吸療法システムを備えるガス加湿システムの使用に言及して、説明された。しかしながら、説明されるようなガス加湿システムの使用のいくつかの特徴、態様および利点は、ガスの加湿を必要とする他の治療または非治療用システムで好都合に使用され得る。本開示の方法および装置のいくつかの特徴、態様および利点は、他のシステムでの使用法に等しく適用され得る。
【0439】
いくつかの実施形態に関して本開示を説明したが、当業者に明白な他の実施形態も、本開示の範囲内にある。それゆえ、様々な変更および修正が、本開示の趣旨および範囲から逸脱せずに、なされ得る。例えば、様々な構成要素が所望通りに再配置され得る。上述の構成のいずれかからの特徴は、互いにおよび/または呼吸補助システムと組み合わせられてもよいし、または加湿器は、上述の構成の1つ以上を含んでもよい。さらに、特徴、態様および利点の全てが、必ずしも、本開示の実施に必要なわけではない。従って、本開示の範囲は、下記の特許請求の範囲によってのみ定義されるものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A-B】
図13C
図14