(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】送金システム、プログラム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/02 20120101AFI20220531BHJP
G06Q 20/10 20120101ALI20220531BHJP
【FI】
G06Q40/02
G06Q20/10 320
(21)【出願番号】P 2019032870
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-03-25
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593022629
【氏名又は名称】株式会社ジェーシービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】三宮 維光
(72)【発明者】
【氏名】間下 公照
(72)【発明者】
【氏名】南井 享
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-215893(JP,A)
【文献】特開2002-169965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0024708(US,A1)
【文献】特表2003-532199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0212641(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第1425164(CN,A)
【文献】特開2014-106746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支払人が使用する端末から、前記支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付ける受付部と、
前記受付部により前記送金指示が受け付けられた際に、前記第1銀行の第1サーバに対して前記第1口座から資金移動業者が保有する前記第1銀行の第3口座への前記所定金額の振込処理を指示する第1振込部と、
前記第1振込部により前記振込処理の指示があった際に、前記第1銀行の第1サーバに対して前記第3口座の口座情報の参照を指示して前記第3口座への前記所定金額の入金を検出する検出部と、
前記検出部により前記第3口座への前記所定金額の入金が検出された際に、前記第2銀行の第2サーバに対して、前記資金移動業者が保有する前記第2銀行の第4口座から前記第2口座への前記所定金額の振込処理を指示する第2振込部と、
前記第1銀行の前記第3口座の残高と前記第2銀行の前記第4口座の残高に対して設定された所定の上限値又は下限値に基づいて、前記第3口座から前記第4口座へ送金する処理を行い、前記第3口座の残高と前記第4口座の残高とを調整する残高調整部と、
精算部と、
を備え
、
前記受付部は、前記支払人と店舗との間で前記第1口座を利用する取引が行われた際に、前記取引のクレジットカードによる決済のために、前記第1口座から、前記クレジットカードのイシュアが保有する第3銀行の第5口座への前記決済のための支払金額の送金指示を、前記決済のための第1決済サーバから受け付け、
前記第1振込部は、前記受付部により前記支払金額の送金指示が受け付けられた際に、前記第1サーバに対して前記第1口座から前記第3口座への振込を指示し、
前記精算部は、前記第1決済サーバからの前記送金指示に基づいて、所定期間において、前記第1振込部により前記第1口座から前記第3口座に振込された総額を記録し、前記第1銀行の前記第3口座から前記第3銀行の前記第5口座へ前記総額を送金する処理を行う、
送金システム。
【請求項2】
前記検出部は、前記第2振込部により前記振込処理の指示があった際に、前記第2銀行の第2サーバに対して前記第2口座の口座情報の参照を指示して前記第2口座への入金を検出し、
前記検出部により前記第2口座への前記所定金額の入金が検出された際に、前記支払人および前記受取人の少なくともいずれかに、前記第2口座への入金を通知する通知部と、を備える、
請求項1に記載の送金システム。
【請求項3】
前記受付部は、前記取引が取り消された際に、前記第1決済サーバから前記第5口座から前記第1口座への前記取り消された取引の支払金額の送金指示を受け付け、
前記第1振込部は、前記受付部により前記送金指示が受け付けられた際に、前記第1サーバに対して、前記支払金額で前記第3口座から前記第1口座への振込を指示し、
前記精算部は、前記第1決済サーバからの前記送金指示に基づいて第1振込部により前記第3口座から前記第1口座に振込された総額を記録し、前記第3銀行の前記第5口座から前記第1銀行の前記第3口座へ前記総額を送金する処理を行う、
請求項
1又は2に記載の送金システム。
【請求項4】
前記受付部は、前記取引が行われた際に、前記取引の決済のための第2決済サーバから、第5銀行の第7口座から前記店舗が保有する第4銀行の第6口座への前記支払金額の送金指示を受け付け、
前記受付部により前記送金指示が受け付けられた際に、前記第4銀行の第4サーバに対して前記資金移動業者が保有する第4銀行の第8口座から前記第6口座への振込処理を指示する第3振込部と、
前記精算部は、前記第2決済サーバからの前記送金指示に基づいて前記第3振込部により前記第8口座から前記第6口座に振込された総額を記録し、前記第5銀行の前記第7口座から前記第8口座へ送金する処理を一括で行う、
請求項
1から3のいずれか一項に記載の送金システム。
【請求項5】
前記受付部は、前記取引が取り消された際に、前記第2決済サーバから前記第6口座から前記第7口座への前記取り消された取引の支払金額の送金指示を受け付け、
前記第3振込部は、前記受付部により前記送金指示が受け付けられた際に、前記第4サーバに対して、前記支払金額で前記第6口座から前記第8口座への送金を指示し、
前記精算部は、前記第2決済サーバからの前記送金指示に基づいて第3振込部により前記第6口座から前記第8口座に振込された総額を記録し、前記第8口座から前記第7口座へ送金する処理を行う、
請求項4に記載の送金システム。
【請求項6】
コンピュータに、
支払人が使用する端末から、前記支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付ける受付機能と、
前記受付機能により前記送金指示が受け付けられた際に、前記第1銀行の第1サーバに対して前記第1口座から資金移動業者が保有する前記第1銀行の第3口座への前記所定金額の振込処理を指示する第1振込機能と、
前記第1振込機能により前記振込処理の指示があった際に、前記第1銀行の第1サーバに対して前記第3口座の口座情報の参照を指示して前記第3口座への前記所定金額の入金を検出する検出機能と、
前記検出機能により前記第3口座への前記所定金額の入金が検出された際に、前記第2銀行の第2サーバに対して、前記資金移動業者が保有する前記第2銀行の第4口座から前記第2口座への前記所定金額の振込処理を指示する第2振込機能と、
前記第1銀行の前記第3口座の残高と前記第2銀行の前記第4口座の残高に対して設定された所定の上限値又は下限値に基づいて、前記第3口座から前記第4口座へ送金する処理を行い、前記第3口座の残高と前記第4口座の残高とを調整する残高調整機能と、
精算機能と、
を実現し、
前記受付機能は、前記支払人と店舗との間で前記第1口座を利用する取引が行われた際に、前記取引のクレジットカードによる決済のために、前記第1口座から、前記クレジットカードのイシュアが保有する第3銀行の第5口座への前記決済のための支払金額の送金指示を、前記決済のための第1決済サーバから受け付け、
前記第1振込機能は、前記受付機能により前記支払金額の送金指示が受け付けられた際に、前記第1サーバに対して前記第1口座から前記第3口座への振込を指示し、
前記精算機能は、前記第1決済サーバからの前記支払金額の送金指示に基づいて、所定期間において、前記第1振込機能により前記第1口座から前記第3口座に振込された総額を記録し、前記第1銀行の前記第3口座から前記第3銀行の前記第5口座へ前記総額を送金する処理を行う、
プログラム。
【請求項7】
コンピュータが、
支払人が使用する端末から、前記支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付けるステップと、
前記送金指示が受け付けられた際に、前記第1銀行の第1サーバに対して前記第1口座から資金移動業者が保有する前記第1銀行の第3口座への前記所定金額の振込処理を指示する
第1振込ステップと、
前記振込処理の指示があった際に、前記第1銀行の第1サーバに対して前記第3口座の口座情報の参照を指示して前記第3口座への前記所定金額の入金を検出するステップと、
前記第3口座への前記所定金額の入金が検出された際に、前記第2銀行の第2サーバに対して、前記資金移動業者が保有する前記第2銀行の第4口座から前記第2口座への前記所定金額の振込処理を指示する
第2振込ステップと、
前記第1銀行の前記第3口座の残高と前記第2銀行の前記第4口座の残高に対して設定された所定の上限値又は下限値に基づいて、前記第3口座から前記第4口座へ送金する処理を行い、前記第3口座の残高と前記第4口座の残高とを調整するステップと、
精算ステップと、
を含
み、
前記受け付けるステップは、前記支払人と店舗との間で前記第1口座を利用する取引が行われた際に、前記取引のクレジットカードによる決済のために、前記第1口座から、前記クレジットカードのイシュアが保有する第3銀行の第5口座への前記決済のための支払金額の送金指示を、前記決済のための第1決済サーバから受け付け、
前記第1振込ステップは、前記受け付けるステップにより前記支払金額の送金指示が受け付けられた際に、前記第1サーバに対して前記第1口座から前記第3口座への振込を指示し、
前記精算ステップは、前記第1決済サーバからの前記支払金額の送金指示に基づいて、所定期間において、前記第1振込ステップにより前記第1口座から前記第3口座に振込された総額を記録し、前記第1銀行の前記第3口座から前記第3銀行の前記第5口座へ前記総額を送金する処理を行う、
情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送金システム、プログラム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットバンキング等、支払人の銀行の口座から受取人の他の銀行の口座に送金するサービスが提供されている。このように他行宛の送金は、銀行間ネットワークシステム(いわゆる、「全銀システム」)を利用して行われる。下記特許文献1には、仕向銀行(送金側)から被仕向銀行(受取側)に対して全銀システムを利用して振込する銀行システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、全銀システムを利用した他行宛の送金は、送金手数料が高額であるといった課題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するため、他行宛の送金において、低コストで受取人の口座に入金することができる送金システム、プログラム、及び情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る送金システムは、支払人が使用する端末から、支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付ける受付部と、受付部により送金指示が受け付けられた際に、第1銀行の第1サーバに対して第1口座から資金移動業者が保有する第1銀行の第3口座への所定金額の振込処理を指示する第1振込部と、第1振込部により振込処理の指示があった際に、第1銀行の第1サーバに対して第3口座の口座情報の参照を指示して第3口座への所定金額の入金を検出する検出部と、検出部により第3口座への所定金額の入金が検出された際に、第2銀行の第2サーバに対して、資金移動業者が保有する第2銀行の第4口座から第2口座への所定金額の振込処理を指示する第2振込部と、第1銀行の第3口座から第2銀行の第4口座へ送金するための処理を行い、第3口座の残高と第4口座の残高とを調整する残高調整部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、支払人が使用する端末から、支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付ける受付機能と、受付機能により送金指示が受け付けられた際に、第1銀行の第1サーバに対して第1口座から資金移動業者が保有する第1銀行の第3口座への所定金額の振込処理を指示する第1振込機能と、第1振込機能により振込処理の指示があった際に、第1銀行の第1サーバに対して第3口座の口座情報の参照を指示して第3口座への所定金額の入金を検出する検出機能と、検出機能により第3口座への所定金額の入金が検出された際に、第2銀行の第2サーバに対して、資金移動業者が保有する第2銀行の第4口座から第2口座への所定金額の振込処理を指示する第2振込機能と、第1銀行の第3口座から第2銀行の第4口座へ送金するための処理を行い、第3口座の残高と第4口座の残高とを調整する残高調整機能と、を実現する。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、支払人が使用する端末から、支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付けるステップと、送金指示が受け付けられた際に、第1銀行の第1サーバに対して第1口座から資金移動業者が保有する第1銀行の第3口座への所定金額の振込処理を指示するステップと、振込処理の指示があった際に、第1銀行の第1サーバに対して第3口座の口座情報の参照を指示して第3口座への所定金額の入金を検出するステップと、第3口座への所定金額の入金が検出された際に、第2銀行の第2サーバに対して、資金移動業者が保有する第2銀行の第4口座から第2口座への所定金額の振込処理を指示するステップと、第1銀行の第3口座から第2銀行の第4口座へ送金するための処理を行い、第3口座の残高と第4口座の残高とを調整するステップと、を含む。
【0009】
上記の態様によれば、支払人の口座と受取人の口座のそれぞれの口座と同一銀行内の資金移動業者の口座を利用して、支払人の口座から出金し受取人の口座に入金することができる。これにより、他行宛の送金において、低コストで受取人の口座に入金することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、他行宛の送金において、低コストで受取人の口座に入金させることができる送金システム、プログラム、及び情報処理方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1実施形態に係る送金システムのシステム構成例を説明するための図である。
【
図2】第1実施形態に係る送金システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図3】第1実施形態に係る送金サーバの機能構成の一例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る送金システムの動作例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る送金サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図6】第2実施形態に係る送金システムの概要の一例を説明するための図である。
【
図7】第3実施形態に係る送金システムの概要の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0013】
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。本実施形態では、支払人が、スマートフォン等の端末をもって資金移動業者が提供する他行宛の送金サービスを利用して、自身が保有する銀行の口座から受取人が保有する他行の口座に送金する例を説明する。本実施形態の支払人及び受取人は、個人であっても事業者であってもよい。本実施形態に係る送金システムは、C2C(個人間取引)で他行宛に送金する以外にも、C2BやB2B等の事業者を含めた他行宛の送金にも用いることができる。
【0014】
本実施形態に係る資金移動業者(以下、単に「資金移動業者」という)は、決済指示サービス提供者(PISP(Payment Initiation Service Provider))として、ユーザの指示に基づいて、銀行に対して決済や資金移動を指示するサービスを提供するものとする。また、資金移動業者は、口座情報サービス提供者(Account Information Service Provider)として、ユーザの指示に基づいて、銀行から口座情報を取得してユーザに提供するサービスを提供するものとする。
【0015】
<1.システム構成>
図1を参照して、本実施形態に係る送金システム1のシステム構成例を説明する。
【0016】
送金システム1は、資金移動業者の他行宛の送金サービスを提供するためのシステムである。
図1に示すように、送金システム1は、資金移動業者の送金サーバ100と、支払人が使用する第1端末200aと、受取人が使用する第2端末200bとを含む。送金サーバ100と第1端末200aと第2端末200bとは、ネットワークNを介して互いに接続されている。また、送金サーバ100は、銀行の口座を利用した取引を行うため、ネットワークNを介して第1銀行の第1サーバ300aと第2銀行の第2サーバ300bとに接続されている。なお、第1端末200aと第2端末200bとは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「端末200」という。また、第1サーバ300aと第2サーバ300bとは、特に区別の必要が無い場合は、総称して「銀行サーバ300」という。また、送金サーバ100は、ネットワークNを介して事業者や個人が利用する会計システムと接続されてもよい。
【0017】
ネットワークNは、無線ネットワークや有線ネットワークにより構成される。ネットワークの一例としては、携帯電話網や、PHS(Personal Handy-phone System)網、無線LAN(Local Area Network)、3G(3rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)、WiMax(登録商標)、赤外線通信、Bluetooth(登録商標)、有線LAN、電話線、電灯線ネットワーク、IEEE1394等に準拠したネットワークがある。
【0018】
送金サーバ100は、端末200や銀行サーバとの通信が可能な情報処理装置である。送金サーバ100は、所定のプログラムを実行することにより、端末200等と連携して送金に関する情報(例えば、口座情報等)を管理し、同一銀行内の口座間や第1銀行と第2銀行の口座間の振込等による資金移動処理を制御するサーバ機能を実現する。なお、送金サーバ100は、
図1において、説明を簡単にするために1台のみ図示しているが、複数台設けてもよい。
【0019】
「口座情報」とは、銀行の各口座を管理するための情報である。口座情報は、例えば、対象の銀行を識別するための「銀行ID」、支払人又は受取人が有する口座を識別するための「口座ID」、口座に入金されている総額等の口座残高を示す「口座残高」又は口座を利用した取引の内容を示す「取引内容」等を含む。取引内容は、例えば、入出金履歴を示す「入出金履歴」を含む。入出金履歴は、例えば、各入出金を識別するための「入出金ID」、入出金の際に利用した銀行カードのIDやクレジットカードの引き落としにおけるクレジットカード会社等の入出金の相手方を示すID等を示す「取引先ID」、入出金された日時を示す「入出金日時」、口座に入金された金額を示す「入金額」又は口座から出金された金額を示す「出金額」等を含む。
【0020】
端末200は、支払人からの送金指示の受け付け等の入力や受取人等への入金等の通知の出力、送金サーバ100との通信が可能なスマートフォンやラップトップ端末等の端末装置である。端末200は、所定のプログラムを実行することにより、送金サーバ100と連携して送金指示に関する情報を送受信したり、送金に関する画面を表示したり、支払人の指示を受け付けたりする。
【0021】
銀行サーバ300は、銀行口座の口座情報を管理し、当該口座に対する振込処理や参照処理を行う銀行システムのサーバである。銀行サーバ300は、上記振込処理等に関するサービスを提供するために送金サーバ100と連携する。
【0022】
<2.概要>
図2を参照して、送金システム1の概要の一例を説明する。
図2において、太枠で囲ったボックスは、
図3に示す送金サーバ100の各機能部を表す。本実施形態において、第1口座と第3口座は第1銀行の口座であり、第2口座と第4口座は第2銀行の口座である。なお、本実施形態では、送金サーバ100において、第1銀行の口座から第2銀行の口座への送金の例を説明するが、送金サーバ100での送金の態様はこれに限られない。送金サーバ100は、例えば、第2銀行の口座から第1銀行口座の口座への送金を行うこともでき、また、第1銀行及び第2銀行以外の他の銀行間の送金も行うことができる。
【0023】
本実施形態では、説明を簡単にするために、第1銀行の第1サーバ300a及び第2銀行の第2サーバ300bが、それぞれの銀行が提供する銀行APIを実装しているものとする。なお、送金システム1では、第1サーバ300aと第2サーバ300bとが銀行APIを実装していることに限定されず、外部から利用できる、上記のような資金移動や口座情報を取得するための何らかのインタフェースが備わっていればどのような態様でもよい。
【0024】
「銀行API(Application Programming Interface)」とは、資金移動や残高照会等、既存機能を個別にサービス化して、外部のアプリケーションから利用するために、ソフトウェアコンポーネントが互いにやり取りするために使用するインタフェースである。銀行APIには、「更新系API」と「参照系API」とが含まれる。「更新系API」は、銀行口座の振込・振替等の資金移動のためのAPIであり、「参照系API」は、銀行口座の残高照会等の口座情報を取得するためのAPIである。
【0025】
(1)
図2に示すように、先ず、支払人は、第1端末200aを使用して、送金サーバ100が提供する送金サービス用のWebページに対して、支払人が保有する仕向銀行である第1銀行の第1口座の口座番号等の口座情報を入力する。また、支払人は、上記Webページに対して、受取人が保有する被仕向銀行である第2銀行の第2口座の口座情報を入力し、送金する金額(以下、「所定金額」という)を入力してから送金サーバ100に第1口座から第2口座への他行宛の送金指示を行う。
【0026】
(2)送金サーバ100の受付部111は、第1端末200aから上記送金指示をWebページ経由で受信すると、当該送金指示を受け付ける。
【0027】
(3)送金サーバ100の第1振込部112は、受付部111が上記送金指示を受け付けると、第1銀行の第1サーバ300aに実装された更新系APIを利用して、第1口座から資金移動業者が保有する第1銀行の第3口座への所定金額の振込処理を第1サーバ300aに指示する。第1サーバ300aは、当該指示に応じて、第1口座から第3口座に所定金額の振込処理を行う。
【0028】
(4)送金サーバ100の検出部114は、第1振込部112が上記振込処理の指示をすると、第1サーバ300aに実装された参照系APIを利用して、第3口座の口座情報の参照を第1サーバ300aに指示する。第1サーバ300aは、第3口座の口座情報を検索し、参照する。
【0029】
(5)検出部114は、上記参照系APIを介して第1サーバ300aから上記(4)の参照の結果を取得して、第3口座への上記振り込まれた所定金額の入金を検出する。
【0030】
(6)送金サーバ100の第2振込部113は、検出部114が上記第3口座への入金を検出すると、第2銀行の第2サーバ300bに実装された更新系APIを利用して、資金移動業者が保有する第2銀行の口座である第4口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の振込処理を第2サーバ300bに指示する。第2サーバ300bは、当該振込処理の指示に応じて、第4口座から第2口座に所定金額の振込処理を行う。
【0031】
(7)検出部114は、第2振込部113が上記振込処理の指示をすると、第2サーバに実装された参照系APIを利用して、第2口座の口座情報の参照を第2サーバ300bに指示する。第2サーバ300bは、第2口座の口座情報を検索し、参照する。
【0032】
(8)検出部114は、上記参照系APIを介して第2サーバ300bから上記(7)の参照の結果を取得して、第2口座への上記振り込まれた所定金額の入金を検出する。
【0033】
(9)送金サーバ100の通知部116は、検出部114が上記第2口座への入金を検出すると、支払人と受取人とに上記第2口座への入金を通知する。通知部116は、具体的には、それぞれが使用する第1端末200aと第2端末200bとに上記第2口座への入金を通知する通知情報を送信して、これらの端末200に当該通知情報によるアラートメッセージを表示させてもよい(いわゆる、プッシュ通知を行ってもよい)。
【0034】
(10)送金サーバ100の残高調整部115は、適宜なタイミングで、第3口座の残高と第4口座の残高とを調整する。残高調整部115は、例えば、資金移動業者が保有する第1銀行の第3口座の残高と第2銀行の第4口座の残高とを含めた複数の口座の残高を監視する。残高調整部115は、当該監視の結果、所定の上限値を超過する残高の口座及び所定の下限値を下回る残高の口座の少なくともいずれかを検出した際には、上記保有する口座間の送金により当該上限値の超過状態及び当該下限値を下回る状態を解消させてもよい。残高調整部115は、例えば、第1銀行の第3口座から第2銀行の第4口座へ送金するための処理をバッチ処理等によって所定のタイミングに一括で行ってもよい。
【0035】
上記構成によれば、送金システム1は、支払人の第1口座と受取人の第2口座のそれぞれの同一銀行内の資金移動業者の第3口座と第4口座とを利用して、支払人の第1口座から出金し受取人の第2口座に入金することができる。これにより、支払人から受取人に対する他行宛の複数の送金に代わって、資金移動業者の第3口座から第4口座への送金を利用して一括で行うことができる。このため、上記構成によれば、送金システム1は、支払人から受取人に対する他行宛の送金の都度にかかっていた振込手数料等のコストを低減することができる。
【0036】
上記構成によれば、送金システム1は、必ずしも上記他行宛の複数の送金を全件分代わりに行う必要はなく(これらの送金の総額と同額の送金をする必要はなく)、資金移動業者の任意のタイミング、及び任意の金額で、第3口座から第4口座へ送金してもよい。このため、上記構成によれば、資金移動業者に対して、使い勝手のよい送金システムを提供することができる。
【0037】
<3.サーバ装置の機能構成>
図3を参照して、本実施形態に係る送金サーバ100の機能構成を説明する。
図3に示すように、送金サーバ100は、制御部110と、記憶部120と、通信部130と、を備える。
【0038】
制御部110は、受付部111と、第1振込部112と、第2振込部113と、検出部114と、残高調整部115とを備える。また、制御部110は、例えば、通知部116を備えてもよい。
【0039】
受付部111は、支払人が使用する第1端末200aから、当該支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付ける。受付部111は、支払人から上記送金指示を受け付ける態様はどのような態様でもよく、例えば、第1端末200aから送金指示用のWebページにアクセスさせて、当該Webページ経由で受け付けてもよいし、第1端末200aに送金指示を行うためのアプリをインストールさせて、当該アプリ経由で受け付けてもよい。
【0040】
第1振込部112は、受付部111により上記送金指示が受け付けられた際に、第1銀行の第1サーバ300aに対して第1口座から資金移動業者が保有する第1銀行の第3口座への所定金額の振込処理を指示する。第1振込部112は、例えば、第1サーバ300aが実装する更新系APIを利用して、第1口座から第3口座への所定金額の振込処理を第1サーバ300aに指示してもよい。このような構成によれば、第1振込部112は、支払人から上記送金指示がされると、低コストで支払人の第1口座から出金することができる。
【0041】
第2振込部113は、後述の検出部114により第3口座への所定金額の入金が検出された際に、第2銀行の第2サーバ300bに対して、資金移動業者が保有する第2銀行の第4口座から第2口座への所定金額の振込処理を指示する。第2振込部113は、例えば、第2サーバが実装する更新系APIを利用して、第4口座から第2口座への所定金額の振込処理を第2サーバ300bに指示してもよい。このような構成によれば、第2振込部113は、支払人から上記送金指示があった場合に、低コストで受取人の第2口座に所定金額を入金することができる。
【0042】
検出部114は、第1振込部112により上記振込処理の指示があった際に、第1銀行の第1サーバ300aに対して第3口座の口座情報の参照を指示して第3口座への所定金額の入金を検出する。検出部114は、例えば、第1サーバ300aが実装する参照系APIを利用して、第3口座の口座情報の参照を第1サーバ300aに指示してもよい。
【0043】
検出部114は、例えば、第2振込部113により上記振込処理の指示があった際に、第2銀行の第2サーバ300bに対して第2口座の口座情報の参照を指示して第2口座への入金を検出してもよい。検出部114は、例えば、第2サーバ300bが実装する参照系APIを利用して、第2口座の口座情報の参照を第2サーバ300bに指示してもよい。
【0044】
残高調整部115は、第1銀行の第3口座から第2銀行の第4口座へ送金するための処理を行い、第3口座の残高と第4口座の残高とを調整する。残高調整部115は、例えば、所定期間において、第3口座への入金と第4口座からの出金を記録して、これらの入出金の総額を相殺精算するよう第3口座から第4口座へ送金してもよい。また、残高調整部115は、第3口座と第4口座の口座残高に対してそれぞれ所定の閾値(例えば、上限値又は下限値等)を設け、これらの所定の閾値を超過したり下回ったりした際に、所定の閾値内に収まるよう第3口座から第4口座へ送金してもよい。残高調整部115における第3口座から第4口座へ送金する処理は、日次や月次等のバッチ処理によって所定のタイミングに一括で行ってもよい。このような構成によれば、残高調整部115は、第1銀行の第3口座の残高と第2銀行の第4口座の残高とを含めた資金移動業者が保有する口座の残高を安定的に維持することができる。
【0045】
通知部116は、検出部114により上記第2口座への所定金額の入金が検出された際に、支払人及び受取人の少なくともいずれかに、上記第2口座への入金を通知する。通知部116は、例えば、端末200に、上記第2口座への入金をプッシュ通知する通知情報を送信し、当該通知情報を端末200の表示部にアラートメッセージとして表示させてもよい。また、通知部116は、支払人や受取人の後述するユーザ情報に含まれるメールアドレス宛に上記第2口座への入金を通知するメールを送信してもよいし、支払人や受取人のSNSアカウント宛に通知してもよい。なお、支払人宛の通知にあたっては、上記第2口座への入金に代わって、支払人が指示した送金が完了した旨を通知してもよい。
【0046】
上記構成によれば、通知部116は、支払人や受取人に対して、第2口座への入金、すなわち他行宛の送金が完了して即時にその旨を通知することができる。
【0047】
通知部116は、検出部114により上記第3口座への所定金額の入金が検出された際に、支払人に、上記第3口座への入金、すなわち上記第1口座からの出金を通知してもよい。
【0048】
通知部116は、例えば、リコンサイル(複数帳簿間の残高照合)のため、支払人又は受取人が利用する会計システムに対して、検出部114により検出された第1口座や第2口座の口座情報や第1口座や第2口座の所定金額の入出金の情報を通知してもよい。
【0049】
記憶部120は、ユーザ情報と、口座情報とを記憶してもよい。記憶部120は、データベースマネジメントシステム(DBMS)を利用して各情報を記憶してもよいし、ファイルシステムを利用して各情報を記憶してもよい。DBMSを利用する場合は、上記情報ごとにテーブル(例えば、口座テーブル等)を設けて、当該テーブル間を関連付けて各情報を管理してもよい。
【0050】
「ユーザ情報」とは、支払人や受取人等のユーザに関する情報である。ユーザ情報は、例えば、ユーザを識別するための「ユーザID」、ユーザの氏名を示す「ユーザ名」、ユーザが保有する口座を識別するための「口座ID」、若しくはユーザの連絡先を示す「メールアドレス」、「住所」又は「電話番号」等を含む。また、ユーザ情報は、ユーザが利用するSNSアカウントを示す「アカウントID」を含んでもよい。
【0051】
通信部130は、ネットワークNを介して、端末200、銀行サーバ300又は外部システム等に各種情報を送受信する。通信部130は、例えば、ネットワークNを介して、端末200が支払人から受け付けた送金指示を受信したり、当該送金指示による入金通知を端末200に送信したりする。
【0052】
<4.動作例>
図4を参照して、本実施形態に係る送金システム1の動作例を説明する。
図4は、送金システム1において、支払人から送金指示を受け付けて、第1口座から出金し受取人の第2口座に入金して、支払人及び受取人に第2口座への入金を通知する処理の流れを示すフロー図である。なお、以下に示す処理の順番は一例であって、適宜、変更されてもよい。
【0053】
図4に示すように、送金サーバ100の受付部111は、支払人が使用する第1端末200aから、当該支払人が保有する第1銀行の第1口座から受取人が保有する第2銀行の第2口座への所定金額の送金指示を受け付ける(S10)。第1振込部112は、受付部111により上記送金指示が受け付けられた際に、第1銀行の第1サーバ300aに対して第1口座から資金移動業者が保有する第1銀行の第3口座への所定金額の振込処理を指示する(S11)。
【0054】
検出部114は、第1振込部112により上記振込処理の指示があった際に、第1銀行の第1サーバ300aに対して第3口座の口座情報の参照を指示して第3口座への所定金額の入金を検出する(S12)。
【0055】
第2振込部113は、検出部114により上記第3口座への所定金額の入金が検出された際に、第2銀行の第2サーバ300bに対して、資金移動業者が保有する第2銀行の第4口座から第2口座への所定金額の振込処理を指示する(S13)。
【0056】
検出部114は、第2振込部113により上記振込処理の指示があった際に、第2銀行の第2サーバ300bに対して第2口座の口座情報の参照を指示して上記第2口座への所定金額の入金を検出する(S14)。通知部116は、検出部114により上記第2口座への所定金額の入金が検出された際に、支払人及び受取人の少なくともいずれかに、上記第2口座への入金を通知する(S15)。
【0057】
<5.ハードウェア構成>
図5を参照して、上述してきた送金サーバ100をコンピュータ800により実現する場合のハードウェア構成の一例を説明する。なお、それぞれの装置の機能は、複数台の装置に分けて実現することもできる。
【0058】
図5に示すように、コンピュータ800は、プロセッサ801と、メモリ803と、記憶装置805と、入力I/F部807と、データI/F部809と、通信I/F部811、及び表示装置813を含む。
【0059】
プロセッサ801は、メモリ803に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ800における様々な処理を制御する。例えば、送金サーバ100の制御部110が備える各機能部等は、メモリ803に一時記憶された上で、主にプロセッサ801上で動作するプログラムとして実現可能である。
【0060】
メモリ803は、例えばRAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ803は、プロセッサ801によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0061】
記憶装置805は、例えばハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置805は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。この他、記憶装置805は、口座情報やユーザ情報を登録するテーブルと、当該テーブルを管理するDBを記憶することも可能である。このようなプログラムやデータは、必要に応じてメモリ803にロードされることにより、プロセッサ801から参照される。
【0062】
入力I/F部807は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部807の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等が挙げられる。入力I/F部807は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続されても良い。
【0063】
データI/F部809は、コンピュータ800の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部809の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部809は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部809は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800へと接続される。
【0064】
通信I/F部811は、コンピュータ800の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部811は、コンピュータ800の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部811は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ800に接続される。
【0065】
表示装置813は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示装置813の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示装置813は、コンピュータ800の外部に設けられても良い。その場合、表示装置813は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ800に接続される。また、入力I/F部807としてタッチパネルが採用される場合には、表示装置813は、入力I/F部807と一体化して構成することが可能である。
【0066】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に係る送金システム1の送金機能を応用して、支払人と店舗との間で商品等の取引をする際の決済において、支払人側の取引の決済を支援する形態である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、支払人側の取引の決済にあたって、送金サーバ100の受付部111に送金指示を行う事業者を、「第1事業者」という。第1事業者は、例えば、支払人に対して当該取引に対する支払いの立替を行う事業者(例えば、イシュア等)、当該取引の決済にあたって決済ネットワークや決済の仲介を提供する事業者(例えば、CAFIS(登録商標:Credit And Finance Information System)やJCN(登録商標:Japan Card Network)の運用者、カードブランド等)、当該取引の決済の代行業者(例えば、PSP(Payment Service Provider))等である。本実施形態に係る送金システムは、クレジットカードのチャージバック等を含めた支払人側の取引が取り消された際の返金にも用いることができる。本実施形態において、第5口座は第3銀行の口座である。
【0067】
<1.概要>
図6を参照して、本実施形態に係る送金システムの概要の一例を説明する。本実施形態では、商品等の取引をする際の決済にクレジットカード決済が用いられる例を用いて説明する。また、本実施形態では、第1事業者が当該取引の決済のために使用するサーバを第1決済サーバ400aとする。本実施形態に係る送金システムは、ネットワークNを介して第1決済サーバ400aと接続される。
【0068】
(1)
図6に示すように、第1事業者は、支払人と店舗との間で支払人が保有する第1銀行の第1口座を利用するクレジットカードでの取引が行われた際に、当該取引の決済のための第1決済サーバ400aから送金サーバ100の受付部111に、当該取引の決済のための支払金額の請求依頼をする。具体的には、第1事業者は、第1決済サーバ400aから、受付部111に、第1口座から第3銀行の第5口座への当該取引の決済のための支払金額の送金指示をする。第3銀行の第5口座は、当該クレジットカード決済における支払人による支払い先の口座であり、例えば、当該クレジットカードの発行会社であるイシュアが保有する口座等である。
【0069】
第1事業者による第1決済サーバ400aからの上記送金指示の態様は、例えば、(A)第1決済サーバ400aが決済ネットワークを運用するサーバの場合、当該決済ネットワークにおいてやり取りされる当該取引の可否を問い合わせるオーソリ情報(取引日、カードID、カードの有効期限、加盟店の識別子、取引金額等の情報等を含む)をキャプチャし、当該オーソリ情報に基づいて、第1決済サーバ400aが受付部111に送金指示を行う、(B)第1決済サーバ400aがイシュアとアクワイアラとの間の決済の仲介を提供するカードブランドのサーバの場合、イシュアとアクワイアラとの間を接続する当該カードブランドのネットワークでやり取りされるオーソリ情報又は当該取引における商品等の売上情報(オーソリ情報と同様に、取引日、カードID、カードの有効期限、加盟店の識別子、取引金額等の情報等を含む)に基づいて、第1決済サーバ400aが受付部111に送金指示を行う、(C)第1決済サーバ400aが上記イシュアのサーバの場合、当該取引を可能とするオーソリ承認をもって、第1決済サーバ400aが受付部111に送金指示を行う、といった態様等が考えられる。なお、上記(A)~(C)の態様において第1決済サーバ400bからオーソリ情報を用いて送金指示が行われた際に、オーソリ情報と売上情報との間で取引金額等の差分がある場合には、上記イシュア及び上記カードブランドとの間で調整されて当該差分が解消されることが考えられる。
【0070】
(2)送金サーバ100の受付部111は、第1決済サーバ400aから上記送金指示を受け付ける。なお、第1決済サーバ400aからの上記送金指示は、上記(A)~(C)の態様において、オーソリ承認都度行われるケース、又は所定のサイクル(例えば、数時間ごと、日次、隔日等)ごと行われるケースが考えられる。
【0071】
(3)送金サーバ100の第1振込部112は、受付部111が上記送金指示を受け付けると、第1銀行の第1サーバ300aに実装された更新系APIを利用して、第1口座から第3口座への所定金額の振込処理を第1サーバ300aに指示する。を第1サーバ300aは、当該振込処理の指示に応じて、第1口座から第3口座に所定金額の振込処理を行う。
【0072】
(4)送金サーバ100の検出部114は、第1振込部112が上記振込処理の指示をすると、第1サーバ300aに実装された参照系APIを利用して、第3口座の口座情報の参照を第1サーバ300aに指示する。第1サーバ300aは、第3口座の口座情報を検索し、参照する。
【0073】
(5)検出部114は、上記参照系APIを介して、第1サーバ300aから上記(4)の参照の結果を取得して、第3口座への上記振り込まれた支払金額の入金を検出する。なお、検出部114は、第1口座から引き落とされた支払金額の出金を検出してもよい。
【0074】
(6)送金サーバ100の通知部116は、検出部114が上記第3口座への入金を検出すると、支払人に上記第3口座への入金に代えて上記第1口座からの出金を通知する。具体的には、通知部116は、支払人が使用する第1端末200aに上記第1口座からの出金を通知する通知情報を送信して、これらの端末200に当該通知情報によるアラートメッセージを表示させてもよい。
【0075】
(6)送金サーバ100の精算部117は、第1所定期間において、第1決済サーバ400aからの上記送金指示に基づいて第1振込部112により第1口座から第3口座に振込された総額を記録する。精算部117は、第1銀行の第3口座から第3銀行の第5口座へ上記記録された総額分を送金するための処理を行う。ここで「第1所定期間」とは、第3口座と第5口座との間の送金対象とする第1口座と第3口座との間の振込を特定するための期間であり、資金移動業者の事業等によって1週間、半月、1ヶ月等の期間を適宜設定すればよい。
【0076】
上記構成によれば、本実施形態に係る送金システムは、支払人と店舗との間で商品等の取引をする際、支払人側の取引の決済にあたって、即時に支払代金を支払人の口座から引き落とすことができる。
【0077】
上記構成によれば、本実施形態に係る送金システムは、支払人からイシュア等に対する都度行っていた他行宛の複数の送金に代わって、資金移動業者の第3口座からイシュア等の第5口座へ一括送金で行うことができる。このため、上記構成によれば、本実施形態に係る送金システムは、支払人からイシュアに対する上記他行宛の送金の都度にかかっていた振込手数料等のコストを低減させることができる。
【0078】
送金サーバ100は、上記取引が取り消された際には、第1振込部112において第3口座から第1口座への振込を指示して支払人への返金を行う。また、精算部117において、第3口座から第1口座に振込された総額分を第5口座から第3口座に送金するための処理を行う。
【0079】
<2.送金サーバの機能構成>
第2実施形態に係る送金サーバ100の機能構成の一例について説明する。本実施形態に係る送金サーバ100は、第1実施形態に係る送金サーバ100の記憶部120と通信部130とを共通して備え、制御部110においては、受付部111と、第1振込部112と、検出部114と、通知部116とを共通して備え、これらの機能部に加えて精算部117(
図6参照)を備える。
【0080】
受付部111は、支払人と店舗との間で第1口座を利用する取引が行われた際に、第1決済サーバ400aから、第1口座から第3銀行の第5口座への当該取引の決済のための支払金額の送金指示を受け付ける。受付部111は、例えば、第1決済サーバ400aから通信部130を介して上記送金指示を示すメッセージを受信して当該送金指示を受け付けてもよい。
【0081】
受付部111は、上記取引を取り消された際に、例えば、第1決済サーバ400aから第5口座から第1口座への上記取り消された取引の支払金額の送金指示を受け付けてもよい。
【0082】
第1振込部112は、受付部111により上記取引の決済のための送金指示が受け付けられた際に、第1サーバ300aに対して第1口座から第3口座への振込を指示する。
【0083】
第1振込部112は、上記取引が取り消された際に、例えば、受付部111により上記送金指示が受け付けられた場合に、第1サーバ300aに対して、上記支払金額で第3口座から第1口座への振込を指示してもよい。
【0084】
精算部117は、第1所定期間において、第1決済サーバ400aからの上記送金指示に基づいて第1振込部112に第1口座から第3口座に振込された総額を記録し、第1銀行の第3口座から第3銀行の第5口座へ上記総額を送金するための処理を行う。精算部117における第3口座から第5口座へ送金する処理は、日次や月次等のバッチ処理によって所定のタイミングに一括で行ってもよい。
【0085】
精算部117は、上記取引が取り消された際には、例えば、第1所定期間において、第1決済サーバ400aからの送金指示に基づいて第1振込部112により第3口座から第1口座に振込された総額を記録し、第3銀行の第5口座から第1銀行の第3口座へ上記総額を送金するための処理を行ってもよい。
【0086】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に係る送金システム1の送金機能を応用して、支払人と店舗との間で商品等の取引をする際、店舗側の取引の決済を支援する形態である。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。本実施形態では、店舗側の取引の決済にあたって、送金サーバ100の受付部111に送金指示を行う事業者を、「第2事業者」という。第2事業者は、例えば、当該取引に対する店舗への支払いの立替を行う事業者(例えば、アクワイアラ)、当該取引の決済にあたって決済ネットワークや決済の仲介を提供する事業者(例えば、カードブランド、CAFISやJCNの運用者、当該取引の決済の代行業者等である。本実施形態に係る送金システムは、クレジットカードのチャージバック等を含めた店舗側の取引が取り消された際の返金にも用いることができる。本実施形態において、第6口座と第8口座は第4銀行の口座であり、第7口座は第5銀行の口座である。
【0087】
<1.概要>
図7を参照して、本実施形態に係る送金システムの概要の一例を説明する。本実施形態では、第2実施形態同様、商品等の取引をする際の決済にクレジットカード決済が用いられる例を用いて説明する。また、本実施形態では、第2事業者が当該取引の決済のために使用するサーバを第2決済サーバ400bとする。本実施形態に係る送金システムは、ネットワークNを介して第2決済サーバ400bと接続される。
【0088】
(1)
図7に示すように、第2事業者は、支払人と店舗との間でクレジットカードでの取引が行われた際に、第2決済サーバ400bから送金サーバ100の受付部111に、当該取引の決済のための支払金額の送金依頼をする。具体的には、第2事業者は、第2決済サーバ400bから、受付部111に、第5銀行の第7口座から店舗が保有する第4銀行の第6口座への当該取引の決済のための支払金額の送金指示をする。第5銀行の第7口座は、当該クレジットカード決済における店舗に対する支払い元の口座であり、例えば、当該クレジットカードの加盟店管理者であるアクワイアラが保有する口座等である。
【0089】
第2事業者による第2決済サーバ400aからの上記送金指示の態様は、例えば、(A)第2決済サーバ400aが決済ネットワークを運用するサーバの場合、当該決済ネットワークにおいてやり取りされる当該取引の可否を問い合わせるオーソリ情報をキャプチャし、当該オーソリ情報に基づいて、第2決済サーバ400bが受付部111に送金指示を行う、(B)第2決済サーバ400bがカードブランドのサーバの場合、イシュアとアクワイアラとの間を接続する当該カードブランドのネットワークでやり取りされるオーソリ情報又は当該取引における商品等の売上情報(オーソリ情報と同様に、取引日、カードID、カードの有効期限、加盟店の識別子、取引金額等の情報等を含む)に基づいて、第2決済サーバ400bが受付部111に送金指示を行う、(C)第1決済サーバ400aが上記アクワイアラのサーバの場合、当該取引を可能とするオーソリ承認をもって、第2決済サーバ400bが受付部111に送金指示を行う、といった態様等が考えられる。
【0090】
(2)送金サーバ100の受付部111は、第2決済サーバ400bから上記送金指示を受け付ける。なお、第2決済サーバ400bからの上記送金指示は、上記(A)~(C)の態様において、オーソリ承認都度行われるケース、又は所定のサイクル(例えば、数時間ごと、日次、隔日等)ごと行われるケースが考えられる。
【0091】
(3)送金サーバ100の第3振込部118は、受付部111が上記送金指示を受け付けると、第4銀行の第4サーバ300dに実装された更新系APIを利用して、資金移動業者が保有する第4銀行の第8口座から第6口座への所定金額の振込処理を第4サーバ300dに指示する。第4サーバ300dは、当該振込処理の指示に応じて、第8口座から第6口座に所定金額の振込処理を行う。
【0092】
(4)送金サーバ100の検出部114は、第3振込部118が上記振込処理の指示をすると、第4サーバ300dに実装された参照系APIを利用して、第6口座の口座情報の参照を第4サーバ300dに指示する。第4サーバ300dは、第6口座の口座情報を検索し、参照する。
【0093】
(5)検出部114は、上記参照系APIを介して第4サーバ300dから上記(4)の参照の結果を取得して、第6口座に上記振り込まれた支払金額の入金を検出する。
【0094】
(6)送金サーバ100の通知部116は、検出部114が上記第6口座への入金を検出すると、店舗に上記第6口座への入金を通知する。具体的には、通知部116は、店舗が使用する第3端末200cに上記第6口座への入金を通知する通知情報を送信して、第3端末200cに当該通知情報によるアラートメッセージを表示させてもよい。
【0095】
(6)送金サーバ100の精算部117は、第2所定期間において、第2決済サーバ400bからの上記送金指示に基づいて第3振込部118により第8口座から第6口座に振込された総額を記録する。精算部117は、第5銀行の第7口座から第4銀行の第8口座へ上記記録された総額分を送金するための処理を行う。ここで「第2所定期間」とは、第7口座と第8口座との間の送金対象とする第8口座と第6口座との間の振込を特定するための期間であり、資金移動業者の事業等によって1週間、半月、1ヶ月等の期間を適宜設定すればよい。
【0096】
上記構成によれば、本実施形態に係る送金システムは、支払人と店舗との間で商品等の取引をする際の決済において、店舗側の取引の決済にあたって、即時に支払代金を店舗の口座に振込むことができる。
【0097】
上記構成によれば、本実施形態に係る送金システムは、店舗への代金支払のため都度行っていたアクワイアラから店舗への他行宛の複数の送金に代わって、アクワイアラ等の第7口座から資金移動業者の第8口座へ一括送金で行うことができる。このため、上記構成によれば、本実施形態に係る送金システムは、アクワイアラ等から受取人に対する上記他行宛の送金の都度にかかっていた振込手数料等のコストを低減させることができる。
【0098】
送金サーバ100は、上記取引が取り消された際には、第3振込部118において第6口座から第8口座への振込を指示して店舗からの返金を受け取る。また、精算部117において、第6口座から第8口座に振込された総額分を第8口座から第7口座に送金するための処理を行う。
【0099】
<2.送金サーバの機能構成>
第3実施形態に係る送金サーバ100の機能構成の一例について説明する。本実施形態に係る送金サーバ100は、第2実施形態同様に、第1実施形態に係る送金サーバ100の記憶部120と通信部130とを共通して備え、制御部110においては、受付部111と、第1振込部112と、検出部114と、通知部116とを共通して備え、これらの機能部に加えて精算部117(
図7参照)と第3振込部118(
図7参照)とを備える。
【0100】
受付部111は、支払人と店舗との間で取引が行われた際に、第2決済サーバ400bから、第5銀行の第7口座から店舗が保有する第4銀行の第6口座への当該取引の決済のための支払金額の送金指示を受け付ける。受付部111は、例えば、第2決済サーバ400bから通信部130を介して上記送金指示を示すメッセージを受信して当該送金指示を受け付けてもよい。
【0101】
受付部111は、上記取引を取り消された際に、例えば、第2決済サーバ400bから第6口座から第7口座への上記取り消された取引の支払金額の送金指示を受け付けてもよい。
【0102】
第3振込部118は、受付部111により上記取引の決済のための送金指示が受け付けられた際に、第4銀行の第4サーバ300dに対して資金移動業者が保有する第4銀行の第8口座から第6口座への振込処理を指示する。第3振込部118は、例えば、第4サーバ300dが実装する更新系APIを利用して、第8口座から第6口座への所定金額の振込処理を第4サーバ300dに指示してもよい。このような構成によれば、第3振込部118は、アクワイアラから上記送金指示があった場合に、即時に、店舗の第6口座に入金することができる。
【0103】
第3振込部118は、上記取引が取り消された際に、例えば、受付部111により上記送金指示が受け付けられた場合に、第4サーバ300dに対して、上記支払金額で第6口座から第8口座への振込を指示してもよい。
【0104】
精算部117は、第2所定期間において、第2決済サーバ400bからの上記送金指示に基づいて第3振込部118により第8口座から第6口座に振込された総額を記録し、第5銀行の第7口座から第8口座へ送金するための処理を行う。精算部117における第8口座から第7口座へ送金する処理は、日次や月次等のバッチ処理によって所定のタイミングに一括で行ってもよい。
【0105】
精算部117は、上記取引が取り消された際には、例えば、第2所定期間において、第2決済サーバ400bからの上記送金指示に基づいて第3振込部118により第6口座から第8口座に振込された総額を記録し、第8口座から第7口座へ送金するための処理を行ってもよい。
【0106】
なお、上記実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をその実施の形態のみに限定する趣旨ではない。また、本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。さらに、当業者であれば、以下に述べる各要素を均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であり、かかる実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0107】
[変形例]
なお、本発明を上記実施の形態に基づいて説明してきたが、以下のような場合も本発明に含まれる。
【0108】
上記実施形態に係る送金サーバ100における各構成の少なくとも一部は、端末200が備えていてもよい。例えば、端末200に送金システム1の専用アプリケーションとして送金サーバ100の機能を全て実装させて、端末200と、銀行サーバ300、第1決済サーバ400a又は第2決済サーバ400bとのやり取りのみで本発明を実現させてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1…送金システム、100…送金サーバ、110…制御部、111…受付部、112…第1振込部、113…第2振込部、114…検出部、115…残高調整部、116…通知部、117…精算部、120…記憶部、130…通信部、200… 第1端末200a…第1第2端末200b…第2第3端末200c…第3端末、300…銀行サーバ、300a…第1サーバ、300b…第2サーバ、300c…第3サーバ、300d…第4サーバ、400a…イシュアサーバ、400b…アクワイアラサーバ、800…コンピュータ、801…プロセッサ、803…メモリ、805…記憶装置、807…入力I/F部、809…データI/F部、811…通信I/F部、813…表示装置。