(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】インク供給装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220531BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 307
B41J2/01 305
(21)【出願番号】P 2019083560
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390008833
【氏名又は名称】東伸工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雅和
(72)【発明者】
【氏名】一ノ瀬 孝一
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-082396(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0012780(US,A1)
【文献】特開2018-126921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送装置によって一方向に搬送される記録媒体にインク供給によって画像形成するためのインク供給装置であって、
複数のインクヘッドを有し前記搬送装置による前記記録媒体の搬送方向と垂直な前記搬送装置の搬送幅方向にわたって配置される供給装置本体を備え、
前記供給装置本体
は、
前記搬送装置に対して設置した状態で前記搬送方向の上流側に向かう面と前記搬送方向の下流側に向かう面とを有すると共に、前記搬送方向および前記搬送幅方向を含む面内において反転させることで前記搬送方向の上流側に向かう面と前記搬送方向の下流側に向かう面とを入れ換えた双方向の何れの状態でも前記搬送装置に対して設置可能であり、
前記複数のインクヘッドのノズル開口を一方向に向けた状態で前記インクヘッドを収容する筐体を有し、
前記筐体内において前記複数のインクヘッドを保持した状態で、前記インクヘッドを前記搬送幅方向に走査するヘッドキャリッジを有し、
前記複数のインクヘッドは、
前記ノズル開口の開口方向を保ったまま反転させた双方向の何れの状態でも前記筐体内に収容され、
前記搬送幅方向に沿って配列された状態で前記ヘッドキャリッジに保持される
インク供給装置。
【請求項2】
前記複数のインクヘッドは、前記ヘッドキャリッジ内における配置順が変更可能である
請求項
1に記載のインク供給装置。
【請求項3】
前記複数のインクヘッドのノズル開口から前記記録媒体へのインク供給によって形成する画像の画像データを処理するデータ処理部を備え、
前記データ処理部は、前記画像データを反転させる処理を実施する
請求項1に記載のインク供給装置。
【請求項4】
前記供給装置本体に対して独立した状態で配置される機能部を備えた
請求項1~
3の何れか1項に記載のインク供給装置。
【請求項5】
前記機能部は、前記供給装置本体にインクを供給するためのインク供給ユニット、前記供給装置本体を操作するための操作部、および前記供給装置本体を電気制御するための制御盤のうち少なくとも1つである
請求項
4に記載のインク供給装置。
【請求項6】
記録媒体を搬送する搬送装置と
請求項1~
5の何れか1項に記載のインク供給装置とを備え、
前記搬送装置は前記インク供給装置による画像形成時において、前記記録媒体を一方向に搬送する
画像形成装置。
【請求項7】
前記搬送装置は、ベルト搬送方式のものである
請求項
6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記インク供給装置の他に、前記搬送装置によって一方向に搬送される記録媒体に画像形成するための画像形成部を備えた
請求項
6または
7に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インク供給装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクの供給によって記録媒体に画像形成を行う画像形成装置は、記録媒体を搬送するための搬送装置と、搬送装置で搬送されている記録媒体にインクを供給するインク供給装置を備える。このような画像形成装置に関する技術として、下記特許文献1には「記録媒体を印字のために搬送する搬送部の片側を開口形状とするとともに、記録媒体を正逆いずれの方向からも搬送可能とした」構成が開示されている。これにより、記録媒体のサイズによらずに印字が可能で、且つ記録媒体の正逆何れの搬送方向に対しても印字可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、インク供給装置は、既存の画像形成装置の搬送装置に対して新たに追加で設置して用いられる場合がある。この場合、既存の画像形成装置の画像形成時における記録媒体の搬送方向に合わせて、新たなインク供給装置を設置する必要がある。しかしながら、新たなインク供給装置を設置するためのスペースには制限がある場合が多く、新たなインク供給装置の設置が困難であったり、仮に追加の設置が可能であったとしてもオペレーターが効率のよい作業を実施できるだけの作業環境を確保することが困難な場合が多かった。
【0005】
そこで本発明は、画像形成装置用の搬送装置であって画像形成時に記録媒体を一方向に搬送する搬送装置に対し、設置状態の自由度の向上を図ることが可能なインク供給装置を提供すること、およびこのようなインク供給装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するための本発明は、搬送装置によって一方向に搬送される記録媒体にインク供給によって画像形成するためのインク供給装置であって、複数のインクヘッドを有し前記搬送装置による前記記録媒体の搬送方向と垂直な前記搬送装置の搬送幅方向にわたって配置される供給装置本体を備え、前記供給装置本体は、前記搬送装置に対して設置した状態で前記搬送方向の上流側に向かう面と前記搬送方向の下流側に向かう面とを有すると共に、前記搬送方向および前記搬送幅方向を含む面内において反転させることで前記搬送方向の上流側に向かう面と前記搬送方向の下流側に向かう面とを入れ換えた双方向の何れの状態でも前記搬送装置に対して設置可能であるインク供給装置である。また本発明は、このようなインク供給装置を備えた画像形成装置でもある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成時に記録媒体を一方向に搬送する画像形成装置用の搬送装置に対し、設置状態の自由度の向上を図ることが可能なインク供給装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の概略構成図(その1)である。
【
図2】実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の概略構成図(その2)である。
【
図3】実施形態に係るインク供給装置が有するヘッドキャリッジの構成図(その1)である。
【
図4】実施形態に係るインク供給装置が有するヘッドキャリッジの構成図(その2)である。
【
図5】実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の設置例を示す図(その1)である。
【
図6】実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の設置例を示す図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の構成要素には同一の符号を付して説明を行う。
【0010】
図1は、実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の概略構成図(その1)である。また
図2は、実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の概略構成図(その2)である。これらの図に示す画像形成装置1は、記録媒体Pの主面上に画像を形成するための装置である。記録媒体Pは、シート状のものであって、枚葉シートであっても連続シートであってもよい。また記録媒体Pは、布帛のような布材、普通紙、厚紙、薄紙、和紙、特殊紙、段ボール紙、樹脂フィルム等の様々な材質のものが用いられる。このような画像形成装置1は、搬送装置10と、インク供給装置20とを備えており、
図1および
図2に示したように、搬送装置10に対するインク供給装置20の配置方向が反転自在であるところが特徴的である。以下、画像形成装置1が有する搬送装置10とインク供給装置20の詳細な構成を説明する。
【0011】
≪搬送装置10≫
搬送装置10は、記録媒体Pを搬送する装置であって、例えば図示したようなベルト搬送方式のものである。ベルト搬送方式の搬送装置10は、ここでの図示を省略した複数のローラーに無端状のベルトを掛け回して構成されている。このような搬送装置10は、無端状のベルトの外周面を記録媒体Pの載置面10aとし、ローラーの回転によって無端状のベルトを回動させることにより、載置面10aに吸着によって固定させたシート状の記録媒体Pを、ベルトの回動方向に搬送する。図示した例においては、無端状のベルトの外周面のうちの上方に向く面を記録媒体Pの載置面10aとしている。
【0012】
このような搬送装置10による記録媒体Pの搬送方向xは、画像形成時においては一つの搬送方向xであるが、記録媒体Pの位置調整や画像形成装置1のメンテナンス時においては逆方向[-x]となる場合もある。
【0013】
≪インク供給装置20≫
インク供給装置20は、搬送装置10によって所定の搬送方向xに搬送される記録媒体Pに対してインクを供給する装置である。インク供給装置20によるインクの供給は、搬送装置10における載置面10aの搬送幅方向yにわたって実施可能である。ここで搬送幅方向yは、載置面10aと平行な面内であって、搬送装置10による記録媒体Pの搬送方向xに対して垂直な方向である。
【0014】
このようなインク供給装置20は、例えばインクジェット方式のものであって、搬送装置10によって所定の搬送方向xに搬送される記録媒体Pに対して所定のタイミングでインクを噴射する装置であり、記録媒体Pに対して非接触でインクを供給する。インクジェット方式のインク供給装置20は、スキャン方式であってもシングルパス方式であってもよいが、ここではスキャン方式のインク供給装置20を例示して説明を行う。
【0015】
このようなインク供給装置20は、供給装置本体21、制御盤22、インク供給ユニット23、および操作部24を備えており、これらは次のように構成されている。
【0016】
<供給装置本体21>
供給装置本体21は、搬送装置10に対して設置した状態で、搬送方向xの上流側に向かう面と下流側に向かう面とを有し、搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において反転させ、搬送方向xの上流側に向かう面と下流側に向かう面とを入れ換えた双方向の何れの状態でも、搬送装置10に対して設置可能な構成となっている。このような供給装置本体21は、筐体21a、および筐体21a内に収容されたヘッドキャリッジ21bを備えている。これらの構成は次のようである。
【0017】
[筐体21a]
筐体21aは、次に説明するヘッドキャリッジ21bやヘッドキャリッジ21bを動作させるための構成要素を収容して保持するものである。この筐体21aは、搬送装置10における載置面10aの搬送幅方向yにわたり、載置面10aに対向して配置されている。図示した例においては、上方を向いて配置されている載置面10aの上方に、筐体21aが配置された状態を示している。この場合、筐体21aは、例えば搬送装置10の搬送幅方向yの両側において支持脚21aaによって床面に支持される。なお筐体21aは、図示したような床面に支持されていることに限定されることはなく、例えば搬送装置10に支持されたり、さらにはこの搬送装置10やインク供給装置20が設置される建屋の床面以外の他の部分に支持されてもよい。
【0018】
このような筐体21aは、搬送装置10の載置面10aに向かう面に、インク供給開口Aを有している。インク供給開口Aは、搬送装置10における載置面10aの搬送幅方向yにわたって設けられており、載置面10a上に載置した記録媒体Pの幅方向の全域に、ヘッドキャリッジ21bからのインクが供給可能な構成となっている。
【0019】
また筐体21aは、インク供給装置20を搬送装置10に対して設置した状態で、搬送方向xの上流側に向かう面と下流側に向かう面とを有している。また筐体21aは、内部に収容されたヘッドキャリッジ21bや他の構成要素をメンテナンスする際のメンテナンス開口Bを備えている。図示した例では、筐体21aの側周部であって、搬送装置10に対してインク供給装置20を設置した状態で、搬送方向xの下流側に向かう面にメンテナンス開口Bが設けられた状態を示している。しかしながら、このメンテナンス開口Bは、1箇所に限定されることはなく、筐体21aの天面も含めて必要に応じた複数箇所に、十分な大きさで設けられていてよい。
【0020】
またここでの図示は省略したが、メンテナンス開口Bには扉が設けられており、メンテナンス開口Bの開閉が自在であることとする。さらに筐体21aの内部には、筐体21aの内部においてヘッドキャリッジ21bを搬送幅方向yに走査させるための軌道(図示省略)が設けられていてもよい。
【0021】
そして特に、以上のような筐体21aは、搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において反転させ、搬送方向xの下流側に向かう面と上流側に向かう面とを入れ換えた双方向の何れの状態でも、搬送装置10における載置面10aに対向して配置される構成となっている。つまり、
図1に示すように、筐体21aは、メンテナンス開口Bが設けられた面を搬送方向xの下流側に向けた状態で搬送装置10に対して配置することもできる。一方、
図2に示すように、筐体21aは、メンテナンス開口Bが設けられた面を搬送方向xの上流側に向けた状態で搬送装置10に対して配置することもできる。
【0022】
[ヘッドキャリッジ21b]
図3は、実施形態に係るインク供給装置が有するヘッドキャリッジの構成図(その1)である。また
図4は、実施形態に係るインク供給装置が有するヘッドキャリッジの構成図(その2)である。これらの図は、ヘッドキャリッジ21bを底面側、すなわち搬送装置10の載置面10a側から見た場合の模式図である。
【0023】
これらの図に示すように、ヘッドキャリッジ21bは、複数のインクヘッド101を保持した状態で、筐体21a内に所定状態で収容され、筐体21a内に収容された状態で搬送幅方向yに走査されるものである。このようなヘッドキャリッジ21bは、インクヘッド101を保持する複数のヘッドユニット102と、インク供給駆動部103、インク供給制御部104、およびヘッド制御部105を保持する。
【0024】
-ヘッドユニット102-
各ヘッドユニット102は、各インク色に対応して設けられている。このような各色のヘッドユニット102は、例えばシアンインク用のヘッドユニット102c、マゼンタインク用のヘッドユニット102m、イエローインク用のヘッドユニット102y、およびブラックインク用のヘッドユニット102kである。これらの各色のヘッドユニット102は、搬送幅方向yに沿って、任意に設定された配色順序で配列される。また、各色のヘッドユニット102は、配置順の入れ替えが自在であるか、または以降に説明するインク供給ユニット23が有する各供給配管との接続の入れ替えが自在であることとする。
【0025】
各ヘッドユニット102は、それぞれが複数のインクヘッド101を保持する。ここで各インクヘッド101は、1つのノズル面101aに複数列のノズル開口101bを有し、各ノズル開口101bから、それぞれのタイミングでインクを吐出する。各ヘッドユニット102は、各インクヘッド101のノズル面101aが同一面上に配置されるように、複数のインクヘッド101を保持する。また各ヘッドユニット102は、保持したインクヘッド101のノズル面101aに設けたノズル開口101bが、搬送方向xに沿って同程度の間隔で配置されるように、複数のインクヘッド101を互い違いに並べた状態で保持する。なお、各ヘッドユニット102におけるインクヘッド101の配置は同一であってよい。
【0026】
また各色に対応するヘッドユニット102は、搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において、すなわちノズル開口101bの開口方向を保った面内において反転させた双方向の何れの状態でも、ヘッドキャリッジ21bに保持される構成である。これにより、各ヘッドユニット102に保持されたインクヘッド101が、搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において反転させた双方向の状態で、ヘッドキャリッジ21bに保持される構成となっている。
【0027】
そして、このような構成により、上述したように搬送装置10に対して供給装置本体21を反転させて配置した場合(
図1および
図2参照)であっても、ヘッドキャリッジ21bに保持されるヘッドユニット102を反転させることにより、反転させる前と後とにおいて搬送方向xおよび搬送幅方向yに対するインクヘッド101の配置状態を維持することが可能である。この場合、さらにヘッドユニット102の配置順序を入れ替えるか、または各色のヘッドユニット102に対するインク供給ユニット23の供給配管の接続を入れ替えることにより、搬送方向xおよび搬送幅方向yに対するヘッドユニット102の配色順序も維持することが可能である。
【0028】
したがって、供給装置本体21を、搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において反転させた場合と反転させない場合とで、搬送装置10によって搬送方向xに搬送される記録媒体Pに対して、同様の画像形成が可能である。そしてこれにより、供給装置本体21は、記録媒体Pの搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において反転させた双方向の何れの状態でも搬送装置10に対して設置可能な構成となっている。
【0029】
なお、供給装置本体21が、記録媒体Pの搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において反転させた双方向の何れの状態でも搬送装置10に対して設置可能な他の構成として、ヘッドユニット102内におけるインクヘッド101の配置状態が反転可能な構成であってもよい。この場合、ヘッドキャリッジ21bに保持させたヘッドユニット102は、ヘッドキャリッジ21b内で反転可能である必要はない。
【0030】
-インク供給駆動部103-
インク供給駆動部103は、以降に説明するインク供給ユニット23(
図1および
図2参照)から供給された各色のインクを、ヘッドユニット102毎に各インクヘッド101に供給するための駆動部である。このようなインク供給駆動部103は、ポンプおよび電磁弁を備えている。
【0031】
-インク供給制御部104-
インク供給制御部104は、インク供給駆動部103の駆動を制御するための部分である。このようなインク供給制御部104は、マイクロコンピューターなどの計算機によって構成されている。計算機は、CPU(Central Processing Unit:中央処理装置)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの記憶部を備え、CPUが、ROMやRAMに記録されたプログラムを実行することにより、各インクヘッド101へのインク供給を制御する。
【0032】
-ヘッド制御部105-
ヘッド制御部105は、以降に説明する操作部24および制御盤22からの信号に基づいてインクヘッド101の駆動を制御し、これにより各ノズル開口101bから、それぞれのタイミングで各色のインクを噴出させる。このようなヘッド制御部105は、インク供給制御部104と同様の計算機によって構成され、CPUが、ROMやRAMに記録されたプログラムを実行することにより、各インクヘッド101の駆動を制御する。
【0033】
なお、以上のようなインク供給駆動部103、インク供給制御部104、およびヘッド制御部105は、例えばヘッドキャリッジ21bにおける搬送方向xの端部に配置されていることとする。これにより、上述したように搬送装置10に対して筐体21aを反転させて配置した場合(
図1および
図2参照)であっても、筐体21aに対するヘッドユニット102の搬送幅方向yの位置を維持することが可能な構成となっている。
【0034】
<制御盤22>
図1および
図2に戻り、制御盤22は、このインク供給装置20を電気制御するための電気制御機器や電気機器などの電気部品が納められたものである。このような制御盤22は、ここでの図示を省略したメーターやスイッチ等を有していてもよい。
【0035】
また制御盤22は、供給装置本体21とは電気的な接続状態を保ち、供給装置本体21に固定されていてもよいが、供給装置本体21から離れた位置に独立して配置可能な構成であってもよい。この場合、例えば
図1に示したように、制御盤22は、筐体21aのメンテナンス開口Bと逆側において、メンテナンス開口Bに向かって左側に配置可能である。また
図2に示したように、制御盤22は、筐体21aのメンテナンス開口Bと逆側において、メンテナンス開口Bに向かって右側に配置可能である。またここでの図示は省略したが、インク供給ユニット23は、筐体21aのメンテナンス開口B側において、メンテナンス開口Bに向かって左右の何れの側にも配置可能である。なお、メンテナンス開口Bの配置箇所は、図示した位置に限定されることはない。
【0036】
<インク供給ユニット23>
インク供給ユニット23は、ヘッドキャリッジ21bに保持された各ヘッドユニット102内のインクヘッド101に、インク供給駆動部103を介して各色のインクを供給するものである。このインク供給ユニット23は、各色のインクを貯留する複数の貯留タンク(図示省略)と、各貯留タンクから各ヘッドユニット102のインクヘッド101にインクを供給するための複数の供給配管23aとを有する。各供給配管23aは、ポンプを備え、インク供給駆動部103に接続されている。
【0037】
また特に、インク供給ユニット23は、供給装置本体21とは独立した構成であって、十分な長さの供給配管23aと十分な出力のポンプを備えており、供給装置本体21に対して任意の位置に配置可能な構成となっている。例えば
図1に示したように、インク供給ユニット23は、筐体21aのメンテナンス開口Bと逆側において、メンテナンス開口Bに向かって右側に配置可能である。また
図2に示したように、インク供給ユニット23は、筐体21aのメンテナンス開口Bと逆側において、メンテナンス開口Bに向かって左側に配置可能である。またここでの図示は省略したが、インク供給ユニット23は、筐体21aのメンテナンス開口B側において、メンテナンス開口Bに向かって左右の何れの側にも配置可能である。なお、メンテナンス開口Bの配置箇所は、図示した位置に限定されることはない。
【0038】
<操作部24>
操作部24は、この画像形成装置1を用いて実施される画像形成ジョブの設定を入力するユーザーインターフェース部分を備え、例えば表示パネル24aおよび操作ボタン24bを有する。操作ボタン24bは表示パネル24aと一体に設けたタッチパネルであってもよい。操作部24による画像形成ジョブの設定とは、例えば、画像を形成する記録媒体Pのサイズ、記録媒体Pに形成する画像および画像のレイアウトなどである。
【0039】
このような操作部24は、表示パネル24aおよび操作ボタン24bのようなユーザーインターフェースの他に、画像データを保持する記憶部や、画像データを形成するための計算機を備えていてもよい。このような操作を実施する操作部24は、画像形成装置1に接続されたパーソナルコンピューターの操作部や他の外部装置であってもよい。
【0040】
また特に、操作部24は、供給装置本体21とは有線または無線接続された状態で独立した構成のものであって、供給装置本体21に対して任意の位置に配置可能な構成となっている。例えば
図1に示したように、操作部24は、筐体21aのメンテナンス開口B側において、メンテナンス開口Bに向かって右側に配置可能である。また
図2に示したように、操作部24は、筐体21aのメンテナンス開口B側において、メンテナンス開口Bに向かって左側に配置可能である。またここでの図示は省略したが、操作部24は、筐体21aのメンテナンス開口Bと逆側において、メンテナンス開口Bに向かって左右の何れの側にも配置可能である。なお、メンテナンス開口Bの配置箇所は、図示した位置に限定されることはない。
【0041】
≪実施形態の効果≫
以上説明した実施形態のインク供給装置20は、搬送装置10の搬送方向xに対して反転させた双方向の何れの状態でも設置可能であり、搬送装置10に対する設置状態の自由度の向上が図られたものとなっている。これにより、例えば搬送装置10に対するインク供給装置20のメンテナンス開口Bの方向を変更し、また操作部14の配置位置を自在とすることができ、インク供給装置20のメンテナンス性を確保することが可能である。また、以下に説明するように、既存の画像形成装置の搬送装置10に対して、新たに追加でインク供給装置20を設置する場合に、効率のよい作業を可能とする設置状態を実現することができる。
【0042】
図5は、実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の設置例を示す図(その1)である。また
図6は、実施形態に係るインク供給装置および画像形成装置の設置例を示す図(その2)である。これらの図は、壁部1001と作業用の通路1002との間の限られた設置スペース1003に配置されている既存の画像形成装置1aに対し、新たにインク供給装置20を追加で設置する場合のインク供給装置20の配置例を示している。
【0043】
ここで既存の画像形成装置1aは、実施形態で説明した搬送装置10と、搬送装置10で搬送される記録媒体Pに画像を形成する画像形成部30を有する。この画像形成部30は、インク供給装置であってもよいし、スクリーン印刷などを行う印刷装置であってもよく、単数であっても複数であってもよい。
【0044】
このような既存の画像形成装置1aに、先の実施形態で説明したインク供給装置20を追加で設置する場合、
図5に示すように、メンテナンス開口Bを既存の画像形成部30側に向けるようにインク供給装置20を配置してもよい。この場合、操作部24は、通路1002側でかつメンテナンス開口B側に配置することで、インク供給装置20の操作部24、メンテナンス開口B、および既存の画像形成部30との間でのオペレーターOpの作業動線を短くして作業性を確保することができる。またインク供給ユニット23を、通路1002側でかつ供給装置本体21を挟んで操作部24とは逆側に配置することで、オペレーターOpによる操作およびメンテナンス作業を妨げることなく、かつインク供給ユニット23の貯留タンクの交換作業を容易にすることができる。さらに、通常は操作することのない制御盤22を、通路1002と逆の壁部1001側に配置することができる。
【0045】
また、設置スペース1003の都合上、画像形成部30とインク供給装置20との間隔[d]を十分に設けることができない場合、
図6に示すように、メンテナンス開口Bを既存の画像形成部30とは逆側に向けるようにインク供給装置20を配置することもできる。この場合、操作部24は、通路1002側のメンテナンス開口B側に配置することで、インク供給装置20の操作部24、およびメンテナンス開口Bの間でのオペレーターOpの作業動線を短くして作業性を確保することができる。またインク供給ユニット23を、通路1002側でかつ供給装置本体21を挟んで操作部24とは逆側に配置することで、オペレーターOpによる操作およびメンテナンス作業を妨げることなく、かつインク供給ユニット23の貯留タンクの交換作業を容易にすることができる。さらに、通常は操作することのない制御盤22を、通路1002と逆の壁部1001側に配置することができる。なお、メンテナンス開口Bの配置箇所は、一例であって図示した位置に限定されることはない。
【0046】
≪変形例≫
以上説明したインク供給装置20は、
図3および
図4を用いて説明したように、ヘッドキャリッジ21b内においてインクヘッド101の配置状態を反転可能な構成として説明した。しかしながら、本発明のインク供給装置20は、供給装置本体21が、記録媒体Pの搬送方向xおよび搬送幅方向yを含む面内において反転させた双方向の何れの状態でも搬送装置10に対して設置可能な他の構成であればよい。このような構成の他の例として、ヘッドキャリッジ21b内におけるインクヘッド101の配置状態は固定であって、形成する画像の反転処理を実施するデータ処理部を有する構成を例示することができる。
【0047】
このようなデータ処理部は、制御盤22に設けられていてよい。この場合、制御盤22には、マイクロコンピューターなどの計算機が設けられていることとする。データ処理部は、このような制御盤22の計算機に専用プログラムをインストールしたものでよく、この計算機を構成するCPUが、ROMやRAMに記録されたプログラムを実行することにより、操作部24または外部装置から入力された画像データを反転させる処理を実施する。
【0048】
またデータ処理部は、制御盤22に設けられることに限定されず、操作部24またはヘッドキャリッジ21b内に設けたヘッド制御部105に設けられていてもよい。操作部24に設ける場合であれば、操作部24は、マイクロコンピューターなどの計算機が設けられていることとする。データ処理部は、このような操作部24の計算機に、画像データを反転させるための専用プログラムをインストールしたものでよい。またデータ処理部がヘッド制御部105に設けられている場合、データ処理部は、ヘッド制御部105に対して、画像データを反転させるための専用プログラムをインストールしたものでよい。
【0049】
以上のような変形例の構成であっても、実施形態と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…画像形成装置
10…搬送装置
10a…載置面
20…インク供給装置
21…供給装置本体
21a…筐体
21aa…支持脚
21b…ヘッドキャリッジ
22…制御盤
23…インク供給ユニット
23a…供給配管
24…操作部
24a…表示パネル
24b…操作ボタン
101…インクヘッド
101a…ノズル面
101b…ノズル開口
102…ヘッドユニット
102k…ヘッドユニット
102c…ヘッドユニット
102m…ヘッドユニット
102y…ヘッドユニット
103…インク供給駆動部
104…インク供給制御部
105…ヘッド制御部