(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】吸収性パッドを形成するための装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/15 20060101AFI20220531BHJP
A61F 13/533 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
A61F13/15 355B
A61F13/15 321
A61F13/15 355A
A61F13/533 100
A61F13/15 390
(21)【出願番号】P 2019551476
(86)(22)【出願日】2018-01-26
(86)【国際出願番号】 IB2018050475
(87)【国際公開番号】W WO2018172860
(87)【国際公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-14
(31)【優先権主張番号】102017000031317
(32)【優先日】2017-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】509349004
【氏名又は名称】ジーディーエム エス.ピー.エー.
【氏名又は名称原語表記】GDM S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Battindarno, 91, I-40133 Bologna(IT)
(74)【代理人】
【識別番号】100159905
【氏名又は名称】宮垣 丈晴
(74)【代理人】
【識別番号】100142882
【氏名又は名称】合路 裕介
(74)【代理人】
【識別番号】100158610
【氏名又は名称】吉田 新吾
(74)【代理人】
【識別番号】100132698
【氏名又は名称】川分 康博
(72)【発明者】
【氏名】ピアントーニ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ソリ,ヴァレーリオ
(72)【発明者】
【氏名】ロザーニ,マルコ
(72)【発明者】
【氏名】トスカーニ,フェデリコ
(72)【発明者】
【氏名】ポリ,ジュゼッペ
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第02905001(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0042844(US,A1)
【文献】国際公開第2007/020562(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105960224(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 13/15
A61F 13/533
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収性衛生用品のための吸収性パッド(100)を形成するための装置であって、前記パッド(100)は、第1層(101)、第2層(102)、及び前記第1層(101)と前記第2層(102)の間に置かれて吸収性材料を含まない少なくとも1つのチャネル(104、105)を有する吸収性材料の拡散パターンM1に従って配置された吸収性材料(103)を含み、前記装置は、
形成ドラム(2)と、
前記第1層(101)を形成するための第1ウェブ(NW1)を前記形成ドラム(2)に供給するための第1供給システム(4)と、
前記第2層(102)を形成するための第2ウェブ(NW2)を前記形成ドラム(2)に供給するための第2供給システム(5)と、
前記吸収性材料(103)を前記形成ドラム(2)上に広げるための少なくとも1つのスプレッダ(6)であって、前記スプレッダ(6)と前記形成ドラム(2)との間に間隙を形成するためのスプレッダ(6)とを備え、前記形成ドラム(2)は、前記形成ドラム(2)上に配置された前記第1ウェブ(NW1)上に、前記吸収性材料の拡散パターン(M1)に従って吸収性材料(103)の広がりを形成する吸引システム(7)を備え、前記形成ドラム(2)は、前記吸引システム(7)において、前記吸収性材料(103)が前記チャネル(104、105)に保持されないように前記チャネル(104、105)での吸引を抑制する少なくとも1つのインサート(8)を含み、
前記第1ウェブ(NW1)、前記第2ウェブ(NW2)および前記吸収性材料(103)は共に複合ウェブ(NW)を形成し、前記装置は、前記第1および前記第2ウェブ(NW1、NW2)を接合するための、前記第2供給システム(5)の下流に配置されたシステム(10)を備え、前記装置は、前記第1ウェブ(NW1)上の前記チャネル(104、105)に存在し得る吸収性材料(103)を除去するために前記吸収性材料(103)を除去するための除去システム(17)を備え
、前記除去システム(17)が、前記間隙を通して前記スプレッダ内に空気流(F1)を引き込む前記吸引システム(7)と、前記負圧空気流(F1)を調整するためのシステム(23)とを備える、装置。
【請求項2】
前記間隙(20)が前記第1ウェブ(NW1)のための入口(21)および出口(22)を有し、前記調整システム(23)が前記出口(22)で前記空気流(F1)を調整するように構成される、請求項
1に記載の装置。
【請求項3】
前記調整システム(23)が、前記間隙(20)を少なくとも部分的に閉じるための弁(24)を備える、請求項
1または
2に記載の装置。
【請求項4】
前記調整システム(23)が、前記間隙(20)を少なくとも部分的に閉じるための弁(24)を備え、
前記弁(24)が前記出口(22)に配置されている、請求項
2に記載の装置。
【請求項5】
前記調整システム(23)が、前記弁(24)を駆動するためのアクチュエータ(25)を備える、請求項
3または
4に記載の装置。
【請求項6】
前記スプレッダ(6)が、前記吸収性材料(103)を供給するための、前記形成ドラム(2)に面する出口(6b)を有するダクト(6a)を備え、前記調整システム(23)は少なくとも部分的に前記ダクト(6a)の外側に配置されている、請求項
1から
5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記吸収性材料(103)を除去するための前記除去システム(17)が、前記第1ウェブ(NW1)の供給方向V1において前記吸収性材料のスプレッダ(6)の下流に配置されており、その回転軸R19が前記形成ドラム(2)の回転軸R2と平行である少なくとも1つの遠心インペラ(19)を含むブローシステム(18)を含む、請求項1から
6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記インペラ(19)の外面が前記形成ドラム(2)に面している、請求項
7に記載の装置。
【請求項9】
前記インペラは、前記インサートと少なくとも部分的に半径方向に合わせられている、請求項
7または
8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1ウェブ(NW1)の供給方向V1において前記吸収性材料(103)の前記スプレッダ(6)の上流に配置された少なくとも1つの接着剤ディスペンサ(9)を備え、前記第1ウェブ(NW1)上に、前記チャネル(104、105)において接着剤がない領域(Z1、Z2)を含む接着パターンM2に従って前記接着剤の層を塗布する、請求項1から
9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
吸収性衛生用品のための吸収性パッド(100)を形成するための方法であって、前記パッド(100)は、第1層(101)、第2層(102)、および前記第1層(101)と前記第2層(102)との間に置かれて吸収性材料を含まない少なくとも1つのチャネル(104、105)を有する拡散パターンM1に従って配置された吸収性材料(103)を含み、前記方法は、
前記第1層(101)を形成するための第1ウェブ(NW1)を供給するステップと、
前記第2層(102)を形成するための第2ウェブ(NW2)を供給するステップと、
前記拡散パターンM1に従って前記吸収性材料(103)を前記第1ウェブ(NW1)上に広げるステップと、
前記第1ウェブ(NW1)上に広げられた前記吸収性材料(103)を吸引によって保持するステップと、
前記第1ウェブ(NW1)と前記第2ウェブ(NW2)とを接合するステップと、を含み、
前記第1ウェブ(NW1)、前記第2ウェブ(NW2)、および前記吸収性材料(103)は共に複合ウェブ(NW)を形成し、前記方法は、前記チャネル(104、105)において前記第1ウェブ(NW1)の溶接領域(Z3、Z4)に存在し得る吸収性材料(103)を除去するステップを含
み、前記吸収性材料を除去する前記ステップが、吸収性材料のスプレッダ(6)と前記第1ウェブ(NW1)を供給する形成ドラム(2)との間に画定された間隙(20)に入る負の空気流(F1)を調整するステップを含む、方法。
【請求項12】
前記吸収性材料を除去する前記ステップが、前記チャネル(104、105)において前記溶接領域(Z3、Z4)内の前記第1ウェブ(NW1)に接する接線方向成分を有する渦を発生させるステップによって、前記チャネル(104、105)において前記第1ウェブ(NW1)の前記溶接領域(Z3、Z4)に存在し得る吸収性材料(103)を吹き飛ばすステップを含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
吹き飛ばしが断続的である、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記チャネル(104、105)において接着剤を含まない領域(Z1、Z2)を含む接着パターンM2に従って前記第1ウェブ(NW1)上に前記接着剤を広げるステップを含む、請求項
11から
13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記負の空気流(F1)が、前記第1ウェブ(NW1)上に広げられた前記吸収性材料(103)を吸引によって保持する前記ステップによって発生する、請求項
11に記載の方法。
【請求項16】
調整する前記ステップが、前記第1ウェブ(NW1)が送り出される前記間隙(20)の出口の断面サイズを変えることによって達成される、請求項
11または
15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば子供用および大人用のおむつのような吸収性衛生用品に使用することを意図した、業界でも知られている吸収性構造体、特に吸収性パッドまたは「コア」を形成するための装置および方法に関し、以下では、生理用ナプキンなどの一般性を失うことなく、特定の言及がなされる。
【背景技術】
【0002】
知られているように、おむつは、不織布の透過性の内層と例えばポリエチレンで作られた不透過性の外層との間に通常封入されている吸収性パッドまたはコアを含む。
【0003】
既知のタイプの吸収性パッドは、2層の不織布層の間に挟まれた、閉じ込めセルロースパルプ(フラフ)と吸収性材料結合剤との混合物内部の、例えば超吸収性ポリマー材料(SAP)の顆粒などの吸収性材料からなる吸収性コアを含む。
【0004】
吸収された液体の分配、快適さおよび吸収性に関して性能を向上させるために、2層の不織布層の間に吸収性材料を含まない長手方向チャネルを備えたパッドが開発されてきた。
【0005】
文献EP2905001は、この種の吸収性パッドを製造するための装置および方法に関する。
【0006】
記載された装置は、2枚の不織布シートを移送するためのローラ、前述のチャネルが不織布層の間に形成されるように構成される、吸収性材料を供給するためのシステム、および2枚のシートを接合するために使用される接着剤を塗布するためのシステムを含む。
【0007】
この説明によれば、ローラがシートを供給し、接着剤がチャネルにおいてさえもシート上に広げられる。吸収性材料は2枚のシートのうちの一方の上に離散的に広げられ、それがチャネル上に堆積するのを防止しようとする。
【0008】
接着剤塗布装置の下流で、装置は、チャネルにおけるシートの互いに対する接着を最適化するための加圧装置を含む。より具体的には、接着剤と圧力との複合作用によって2枚のシートが互いに接着される場合にチャネルが形成される。
【0009】
このシステムの1つの不利な点は、接着剤がチャネルが形成されるべき領域上にも広がることであり、したがって吸収性材料がシートにそれらのまさに領域内においてくっつくことがある。
【0010】
したがって、加圧装置とそれに対向する対合部分(mating part)との間に吸収性材料が堆積していると、加圧装置によって加えられる押圧作用によってパッドが損傷を受けるか、または穿孔さえされる可能性がある。
【0011】
さらに、チャネルで満足のいく接合を得るために、加圧装置によって加えられる圧力は、不良なおむつを作らないようにするために非常に正確にかつ慎重に較正されなければならない。
【発明の概要】
【0012】
これに関連して、本開示の主目的は、上述の欠点を克服するために吸収性パッドを形成するための装置を提案することである。
【0013】
本開示の1つの目的は、従来技術の解決策よりも信頼性が高い、チャネルを有する吸収性パッドを形成するための装置を提案することである。
【0014】
本開示の別の目的は、効果的なチャネルを有する正確な吸収性パッドを製造することを可能にする、チャネルを有する吸収性パッドを形成するための装置を提案することである。
【0015】
これらの目的は、本願に付随する請求項のうちの1つ以上の組み合わせから生じる特徴を有する吸収性パッドを形成するための装置によって完全に達成される。
【0016】
本開示の第1の態様によれば、本開示は、吸収性衛生用品の吸収性パッドを形成するための装置に関する。
【0017】
パッドは、第1層、第2層、および第1層と第2層との間に置かれて吸収性材料を含まない少なくとも1つのチャネルを有する拡散パターンに従って配置された吸収性材料を含む。
【0018】
形成装置は、形成ドラムと、形成ドラムに第1層を形成するための第1ウェブを供給するための第1供給システムと、形成ドラムに第2層を形成するための第2ウェブを供給するための第2供給システムとを備える。
【0019】
形成装置は、形成ドラム上に吸収性材料を広げるための少なくとも1つのスプレッダを備え、形成ドラムは、例えば形成ドラム上を進む第1ウェブ上に、吸収性材料の拡散パターンに応じた吸収性材料の広がりを作り出すための吸引システムを備える。
【0020】
本開示の一態様によれば、形成ドラムは、吸収性材料がチャネルに保持されないように、チャネルでの吸引を阻止するために吸引システム内に少なくとも1つのインサート(insert)を含む。
【0021】
形成装置は、接着剤パターンに従って接着剤の層を第1ウェブ上に塗布するために、例えば、少なくとも吸収性材料を保持して第1ウェブと第2ウェブとの接合に寄与するように意図された、第1ウェブの供給方向Vにおいて吸収性材料のスプレッダの上流に配置された少なくとも1つの接着剤ディスペンサを備える。
【0022】
互いに接合されると、第1ウェブ、第2ウェブおよび吸収性材料は複合ウェブを形成し、これは続いて前述のパッドを得るために小片に切断される。
【0023】
本開示の一態様によれば、装置は、第1ウェブを第2ウェブに少なくとも吸収性材料がないチャネルで接合するために第1ウェブを第2ウェブに溶接するための溶接システムを備える。
【0024】
本開示の一態様によれば、溶接システムは、互いに協働する第1溶接要素と第2溶接要素とを備える。
【0025】
第1溶接要素は、第2溶接要素と接触するための対向面を有し、チャネルに少なくとも1つの溶接領域を含む溶接パターンに従って成形されている。
【0026】
チャネルでの溶接は安全で信頼できる接合を確実にする。
【0027】
本開示の一態様によれば、溶接パターンは、複合ウェブの第1および第2の長手方向縁部に第2溶接領域を含むので、得られるパッドは、他の解決策の接着縁部よりも信頼性が高い溶接された長手方向縁部を有する。
【0028】
不織布の2つのウェブは永久的な超音波溶接によって接合されている。
【0029】
本開示の一態様によれば、溶接システムは、第1溶接要素がアンビルであり、第2溶接要素がアンビルに作用するソノトロードである超音波溶接システムである。
【0030】
一実施形態では、アンビルは、その外面に、溶接パターンに従って成形された対向する接触面を含む溶接ローラの形態である。
【0031】
本開示の一態様によれば、溶接ローラは、ソノトロードによって作用される対向する接触面を備えた形成ドラムである。
【0032】
第1溶接要素、例えばアンビルとして作用しかつ溶接パターンを備えたローラは、パッド縁部とチャネルとの両方を同時に溶接することを可能にする。
【0033】
本開示の一態様によれば、形成装置は、第1ウェブと第2ウェブとを溶接するための第2溶接システムを備える。
【0034】
第2溶接システムは、互いに協働する第3溶接要素と第4溶接要素とを含む。
【0035】
第3溶接要素は、第4溶接要素と接触するための第2の対向面を有し、第1の溶接パターンとは異なる第2の溶接パターンに従って成形されている。
【0036】
第2の溶接パターンはチャネルに少なくとも1つの第2の溶接領域を含む。
【0037】
第1および第2の溶接システムは、それぞれ第1および第2のサイズの吸収性パッドを溶接するために使用され、選択的に動作する。それは装置を特に用途が広く異なるサイズのパッドへの迅速な変更を容易にすることを可能にする。
【0038】
第2溶接システムは、好ましくはマイクロ波システムである。2つの溶接システムがある場合には、作動していない溶接システムは単に複合ウェブのための輸送手段を構成する。
【0039】
本開示の一態様によれば、接着パターンは、チャネルに接着剤がない領域を含む。
【0040】
一実施形態では、溶接パターンは、パッドの横方向端部を画定するために第2溶接領域を横切る第3溶接領域を含む。このようにして、複合ウェブが小片に切断されると、パッドは横方向端部とチャネルとで溶接されることになる。
【0041】
本開示の一態様によれば、装置は、吸収性材料を除去し、形成ドラムで動作するための除去システムを備える。
【0042】
本開示の一態様によれば、除去システムは、吸収性材料をドラム上に保持する吸引システムによってスプレッダ内に生成された負圧空気流を使用する。
【0043】
除去システムは、それがスプレッダとドラムとの間の間隙に入る場合に負圧流を分割する流量調整システムを含む。
【0044】
本開示の一態様によれば、調整システムは、間隙の出口で空気流を調整する弁を含み、当該出口を通って第1ウェブは、その上に吸収性材料を含んで、スプレッダを離れる。
【0045】
本開示の一態様によれば、吸収性材料を除去するための除去システムは、第1ウェブの供給方向Vにおいて吸収性材料のスプレッダの下流に配置され、チャネルにおいて第1ウェブ上に存在し得る吸収性材料を除去する。
【0046】
そこに存在し得る材料を除去することは、より高品質の溶接を行うことを可能にし、したがって、より信頼性の高いパッドを得ることを可能にする。
【0047】
好ましい一実施形態では、吸収性材料を除去するための除去システムは、その回転軸が形成ドラムの回転軸と平行である少なくとも1つの遠心インペラを含むブローシステムを含む。
【0048】
インペラは、形成ドラムに面する外面を有することが好ましい。
【0049】
本開示の一態様によれば、インペラの外面は、チャネルが形成されるインサートと少なくとも部分的に半径方向に合わせられている。
【0050】
本開示の一態様によれば、インペラは渦をインサートに発生させ、渦がそこに存在し得る吸収性材料を形成ドラムの負圧領域に強制的に向かわせる。
【0051】
一実施形態では、吸収性材料を除去するための除去システムは、第1ウェブ上に、例えば、チャネル上に存在し得る吸収性材料を吹き飛ばすように形成ドラムに向けて配向され得るブローノズルを含んでもよい。
【0052】
本開示の一態様によれば、本開示は、上記の種類の吸収性衛生用品の吸収性パッドを形成するための方法に関する。
【0053】
この方法は、パッドの第1層を形成するための第1ウェブを供給するステップと、パッドの第2層を形成するための第2ウェブを供給するステップと、上記の吸収性材料の拡散パターンに従って第1ウェブ上に吸収性材料を広げるステップとを含む。
【0054】
本開示の一態様によれば、方法は、接着パターンに従って第1ウェブ上に接着剤を広げるステップを含むことが好ましい。
【0055】
互いに接合されると、第1ウェブ、第2ウェブおよび吸収性材料は複合ウェブを形成する。
【0056】
方法は、チャネルに少なくとも1つの溶接領域を含む溶接パターンに従って、好ましくは超音波溶接で第1ウェブと第2ウェブとを溶接するステップを含む。
【0057】
本開示の一態様によれば、この方法は、チャネルにおける溶接領域に存在し得る吸収性材料を除去するステップを含む。
【0058】
吸収性材料を除去するステップは、チャネルにおける溶接領域に存在し得る吸収性材料を吹き飛ばすステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0059】
この解決策のさらなる特徴および利点は、添付の図面に示されるように、パッドを形成するための方法および装置の好ましいが排他的ではない実施形態を参照した以下の非限定的な説明においてより明らかである。
【
図1】本開示による装置によって製造される吸収性パッドの概略平面図である。
【
図2】吸収性パッドを形成するための本開示による形成装置の概略正面図である。
【
図3】
図1の装置を部分的にブロックで示し、より明確にするためにいくつかの部分を取り除いた概略正面図で示す。
【
図4】吸収性パッドを形成するための本開示による形成装置の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
図1を参照すると、数字100は、本開示に従って製造される形成装置を用いて得られるパッドを示す。
【0061】
パッド100は、例えば子供用または大人用のおむつなどの吸収性衛生用品に使用するためのものであり、第1層101、第2層102、および第1層101と第2層102との間に置かれて拡散パターンM1に従って配置された吸収性材料103を含む。
【0062】
第1層101および第2層102は、例えば不織布でできており、互いに接合されている。吸収性材料103は、例えば、セルロース繊維とSAPとも呼ばれる超吸収性材料とを含み、第1層101と第2層102との間に固定されている。
【0063】
図示の例では、パターンM1、ひいてはパッド100は、吸収性材料を含まず、第1層101および第2層102が互いに直接接合されている2つの領域またはチャネル104、105を有する。
【0064】
例として示される好ましい実施形態では、パッド100は、第1層101および第2層102が互いに直接接合される第1および第2の長手方向縁部106、107を有する。
【0065】
例として示される好ましい実施形態では、パッド100は、第1層101および第2層102が互いに直接接合されている第1および第2の横方向縁部108、109を有する。
【0066】
図2および
図3を参照すると、数字1は、本開示に従って製造されるパッド100を形成するための形成装置を示す。
【0067】
装置1のこの説明は、本発明を理解するのに必要な部分に限定されている。
【0068】
装置1は、パッド100を形成するための、軸R2を中心に回転可能であるドラム2を含む。
【0069】
ドラム2は、その周縁に沿って、以下により詳細に説明されるように、特に材料103を受けるための複数の座部3を備える。
【0070】
装置1は、ブロック4として概略的に表されている、第1ウェブNW1を形成ドラム2に供給するための第1供給システムを備える。
【0071】
ウェブNW1は方向V1に移動可能であり、パッド100の第1層101を形成するように意図されている。
【0072】
装置1は、ブロック5として概略的に表されている、第2ウェブNW2を形成ドラム2に供給するための第2供給システムを備える。
【0073】
ウェブNW2は方向V2に移動可能であり、パッド100の第2層102を形成するように意図されている。
【0074】
装置1は、吸収性材料103を形成ドラム2上に広げるためのスプレッダ6を備える。スプレッダ6は、実質的に知られているタイプのものであり、この開示を理解するのに必要な限りにおいてのみ説明されている。
【0075】
特に
図4を参照すると、スプレッダ6は、吸収性材料103を供給するための、ドラム2に面する出口6bを有するダクト6aを備える。
【0076】
ダクト6aとドラム2の円筒形の外面との間には、ドラム2を図示の例では時計回りに回転させることを可能にする間隙20が画定されている。
【0077】
実際には、間隙6は、出口6bの輪郭におけるダクト6aの壁とドラム2の円筒形の外面とによって画定されている。
【0078】
実質的に知られている方法では、やはりダクト6a内の乱流および吸収性材料103の散乱を防ぐために、間隙20は、ウェブNW1の供給方向V1に平行な側面に沿って適切なシール、例えばラビリンスシールによって閉じられる。
【0079】
ウェブNW1の供給方向V1を考慮して、装置1は、ウェブNW1が間隙20に入る入口21と、ウェブNW1が間隙20から出る出口22とを有する。第1ウェブNW1、第2ウェブNW2および吸収性材料103は共に複合ウェブNWを形成する。
【0080】
形成ドラム2は、ブロックとして概略的に表される吸引システム7を含み、ドラム2によって供給される第1ウェブNW1上に、吸収性材料の拡散パターンM1に従って吸収性材料の広がりを作り出す。
【0081】
吸引システム7は、実際には好ましくは吸引タイルであり、パターンM1に従ってウェブNW1に対して所定の位置に材料103を保持する座部3と連通している。
【0082】
実質的に公知の方法で吸引システム7によって発生された負圧流Fがタイルに加えられる。
【0083】
材料103は、一実施形態において、ドラム2の実質的に円筒形の周縁部分に沿って延びる連続円形座部の形態であり得る吸引タイル内に配置される。
【0084】
図面に示される種類の別の実施形態では、吸引タイルは、ドラム2の実質的に円筒形の周縁部分に沿って整列されかつ等間隔に配置された複数の別々の座部3の形態であり得る。
【0085】
複数の座部3は、いずれにせよパッド100に適合するように成形されてもよく、ドラム2によって輸送される吸収性材料103を吸引によって保持することができる。
【0086】
特に
図3に見られるように、形成ドラム2は、特に複数の座部3内に配置された、吸引システム7内に複数のインサート8を含み、吸収性材料103がチャネル104、105ではウェブNW1に保持されないように、チャネル104および105での吸引を抑制する。
【0087】
複数のインサート8は、例えば空気が通過できない中実ブロックである。
【0088】
図示の好ましい実施形態では、形成装置は、吸収性材料のスプレッダ6の供給方向V1の上流側に配置され、吸収性材料103を接着するためのパターンM2に従って接着剤の層を第1ウェブNW1に塗布する接着剤ディスペンサ9を備える。
【0089】
好ましい実施形態では、接着パターンM2は吸収性材料のパターンM1に対応し、すなわち、接着剤は、吸収性材料103が堆積されるべき領域のウェブNW1に塗布される。
【0090】
より具体的には、接着パターンM2は、チャネル104、105に対応する、接着剤を含まない領域Z1、Z2を含む。
【0091】
図示されていない代替実施形態では、吸収性材料が広げられる前に接着剤は塗布されない。
【0092】
装置1の好ましい実施形態は、溶接パターンM3に従って第1および第2ウェブNW1、NW2を接合するための溶接システム10を備える。
【0093】
例として示された好ましい実施形態では、装置1は、溶接パターンM3に従って第1および第2ウェブNW1およびNW2を接合するための溶接システム10と、溶接パターンM4に従って第1および第2ウェブNW1およびNW2を接合するための溶接システム11とを備える。
【0094】
システム10および11は、異なるサイズのパッド100を溶接して選択的に動作するために使用されることが好ましい、すなわち、システム10が動作している場合に、ウェブNWは輸送中にのみシステム11を通過し、逆も同様である。
【0095】
好ましくは、装置1は超音波溶接システム10、11を備える。
【0096】
システム10、11はそれぞれ、図示の例では、それぞれの回転軸R12、R13を中心に回転可能な溶接ローラによって画定される第1溶接要素12、13を備える。
【0097】
システム10および11はそれぞれ、図示の例では、ソノトロードによって画定される第2溶接要素14、15を備える。
【0098】
ローラ12および13はそれぞれ、対応するそれぞれのソノトロードのための溶接アンビルを画定する。
【0099】
各第1溶接要素12、13は、対応するそれぞれの第2溶接要素と接触するための対向面を有し、対応するそれぞれの溶接パターンM3、M4に従って成形されている。
【0100】
溶接パターンM3を有する溶接ローラ12は、一例として
図3に示されている。パターンM4は、概念的にはパターンM3と同一であり、したがってこれ以上説明しない。
【0101】
溶接ローラ12は、ソノトロード14と接触するための対向面12aを有し、溶接パターンM3に従って成形されている。
【0102】
パターンM3は、チャネル104、105に対応する溶接領域Z3、Z4を含む。
【0103】
実際には、表面12aは、チャネル104および105に対応する領域Z3、Z4においてソノトロード14のためのアンビルを画定するように成形されている。
【0104】
装置1の好ましい実施形態では、パターンM3は、パッド100の長手方向縁部106、107に溶接領域Z5、Z6を含む。
【0105】
実際には、表面12aは、パッド100の長手方向縁部106および107に対応する領域Z5、Z6においてソノトロード14のためのアンビルを画定するように成形されている。
【0106】
図示されていない実施形態では、パターンM3はパッド100の横方向縁部108、109に溶接領域Z7、Z8を含む。
【0107】
実際には、表面12aは、パッド100の横方向縁部108および109に対応する領域Z7、Z8においてソノトロード14のためのアンビルを画定するように成形されている。
【0108】
図示されない実施形態では、溶接ローラ、すなわち溶接システム10の第1溶接要素は形成ローラ2である。
【0109】
そのような場合、超音波溶接の場合にシステムのアンビルを構成する形成ローラ2は、ソノトロードと接触するための、例えば溶接パターンM3に従って成形された対向面を備える。
【0110】
ローラ2において、前述の複数のインサート8は、例えば、ソノトロードと接触するための対向面を構成してもよい。
【0111】
例として示される実施形態では、装置1は、ウェブNW2の第1ウェブNW1への接着を最適化するためにウェブNW2上に接着剤の層を塗布するための第2の接着剤ディスペンサ16を備える。
【0112】
本開示の一態様によれば、装置1は、第1ウェブNW1上の複数のインサート8に、すなわちチャネル104、105を構成することになるウェブの領域内に存在し得る吸収性材料を除去するための除去システム17を備える。
【0113】
例として
図2および
図3に示される実施形態では、システム17は形成ドラム2で動作し、第1ウェブNW1の供給方向V1において吸収性材料103のスプレッダ6の下流に取り付けられる。
【0114】
例として示される実施形態では、吸収性材料を除去するための除去システム17は、複数のインサート8、すなわちチャネル104、105に存在し得る吸収性材料103をウェブNW1から吹き飛ばすことができるブローシステム18を備える。材料103は吸引領域に吹き付けられてもよく、そこで材料はシステム7によって保持される。
【0115】
本開示の一態様によれば、ブローシステム18は、回転軸R19がドラム2の回転軸R2と平行である少なくとも1つの遠心インペラ19を備える。図示の例では、システムは2つの同軸インペラ19を備え、各インペラ19は装置6の下流に対応するそれぞれのチャネル104、104に配置されている。
【0116】
図2に概略的に示されるように、各インペラ19は、ドラム2に面する外面を有する。
【0117】
本開示の一態様によれば、各インペラ19はインサート8に渦を発生させ、その渦がそこに存在する可能性のある吸収性材料103をドラム2の負圧領域に強制的に向かわせる。
【0118】
渦は、ドラム2の円筒形の外面に実質的に接する接線方向成分を有することが好ましい。
【0119】
代替的な実施形態では、ブローシステムは、各インサート8に空気を送風するノズルを含み、これらのノズルは好ましくは形成ドラム2に向けられている。
【0120】
好ましくは、ドラム2が軸R2まわりを回転するときに、各インペラ19、またはブローノズルが複数のインサート8が続く軌道T1、T2に沿って配置されている。
【0121】
各インペラ19、またはブローノズルもまた、吹付け空気がチャネルの近くに広がる吸収性材料103のパターンを変更するのを防ぐように最適化されている。
【0122】
図示されていない代替的な実施形態では、吸収性材料を除去するための除去システム17は、例えば、ウェブNW1に作用するブラシ、および/または吸収性材料を抽出するための吸引システムおよび/またはウェブNW1が溶接されることになるチャネル104、105においてウェブNW1が確実にきれいなままであるためのスクレーパを備えてもよい。
【0123】
装置1の動作中、システム7はダクト6a内に負圧を発生させ、それがスプレッダ6の外側から内側への負圧空気流F1を生成する。
【0124】
流れF1は、主に間隙20を通ってダクト6aに入る。
【0125】
間隙20の側面は閉じているので、流れF1は主に出口22を通って入る。
【0126】
例として
図4に示される実施形態では、吸収性材料103を除去するための除去システム17は、適切に調整された場合に、流れF1がウェブNW1上の各インサート8に存在し得る吸収性材料103を除去するように、スプレッダ6内の負圧空気流F1を調整するためのシステム23を備える。
【0127】
この実施形態では、材料を除去するための除去システム17は、吸引システム7と、出口22における空気流F1を調整するように構成される調整システム23とを備える。
【0128】
好ましくは、調整システム23は少なくとも部分的にダクト6aの外側に配置され、吸収性材料103の広がりに対する影響を低減する。
【0129】
例として示される実施形態では、システム23は、間隙20を少なくとも部分的に閉じるための弁24を備える。
【0130】
図示のように、弁24は出口22で動作し、出口22が開いている第1動作構成と出口22が少なくとも部分的に閉じている第2動作構成との間で移動可能である。
【0131】
図示されていない代替的な実施形態では、弁24は入口21に配置されてもよく、または間隙の入口に1つと出口に1つの2つの弁があってもよい。
【0132】
適切に制御された流れF1が各インサート8においてウェブNW1から材料を除去することができるように、間隙20の側面に吸い込まれる空気の入口もあってもよい。
【0133】
図示の実施形態では、システム23は、ブロック25として概略的に表されるアクチュエータを含み、弁24を駆動し、予想される流れF1に応じて弁開度を調整する。
【0134】
ドラム24を自由に回転させたままにする必要性に関係なく、空気が間隙20に入ることを決して完全に防止しないように弁24を設定することもできる。
【0135】
一例として概略的に示されるように、少なくとも弁24はダクト6aの外側に配置されることが好ましい。
【0136】
本開示の一態様によれば、本開示は、前述され
図1に示されたような吸収性パッド100を形成するための方法を目的とする。
【0137】
例えば、
図2および
図3を参照すると、吸収性パッド100を形成するための方法は、第1層101を形成するための第1ウェブNW1を形成ドラム2に供給するステップと、第2層102を形成するための第2ウェブNW2を形成ドラム2に供給するステップと、拡散パターンM1に従って第1ウェブNW1上に吸収性材料103を広げるステップと、接着パターンM2に従って第1ウェブNW1上に接着剤を広げるステップとを含む。
【0138】
本開示の一態様によれば、方法は、例えば超音波を使用して、チャネル104、105に溶接領域Z3、Z4を含む溶接パターンM3またはM4に従って、第1および第2ウェブNW1、NW2を溶接するステップを含む。
【0139】
本開示の一態様によれば、方法は、ウェブNW1上の、チャネル104、105が画定されることになる溶接領域Z3、Z4において存在し得る吸収性材料103を除去するステップを含む。
【0140】
例として示される好ましい実施形態では、吸収性材料103を除去するためのステップは、次の溶接の準備ができるようウェブをきれいにするために、チャネル104、105において溶接領域Z3、Z4に存在し得る吸収性材料103をウェブNW1から吹き飛ばすステップを含む。
【0141】
チャネル104、105は複合ウェブNWに沿って連続的ではなく、したがって、ウェブNW1上の吸収性材料を含まない領域104、105は連続的ではないので、吹き飛ばすステップは断続的である。
【0142】
一実施形態では、吸収性材料103を除去するためのステップは、吸引システム7によってスプレッダ6内に吸い込まれる空気流を適切に調整するステップを含む。
その場合、方法は、好ましくは、間隙20に入る空気流F1の1つまたは複数の特性を修正するように、適切な調整システムによって出口22の開口部または断面サイズを調整するステップを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0143】