(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】地図軌跡マッチングデータの品質決定方法、装置、サーバ及び媒体
(51)【国際特許分類】
G09B 29/00 20060101AFI20220531BHJP
G01C 21/30 20060101ALI20220531BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G01C21/30
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2020058212
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】201910251676.0
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512015127
【氏名又は名称】バイドゥ オンライン ネットワーク テクノロジー(ペキン) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】特許業務法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】シ,ジョォンチィ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,イレェ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ニン
【審査官】安田 明央
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-111813(JP,A)
【文献】特開2007-155503(JP,A)
【文献】特開2004-342138(JP,A)
【文献】特開2001-141467(JP,A)
【文献】特開2002-251698(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0170514(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0178499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 23/00-29/14
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図軌跡マッチングデータの品質決定方法であって、
走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定するステップと、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、
少なくとも一つの特徴次元を決定し、その後、決定された少なくとも一つの特徴次元を予めトレーニングされた予測モデルに入力し、走行軌跡の全体的品質を決定するステップ
であって、走行軌跡の全体的品質とは、走行軌跡の地図マッチングデータの評価を指すステップと、
前記走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するステップと、
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、
当該軌跡セグメントの重みを決定し、当該軌跡セグメントの重み及び当該軌跡セグメントの道路属性の重みに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するステップ
であって、当該軌跡セグメントの重みは、軌跡セグメントを単位とする地図マッチングデータの評価であるステップと、を含み、
前記走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するステップは、
前記走行軌跡における現在のスライディングウィンドウを決定するステップであって、現在のスライディングウィンドウの長さは、長さの閾値に等しいステップと、
現在のスライディングウィンドウ内の軌跡が位置する道路の情報に基づいて、現在のスライディングウィンドウにおける軌跡が位置する道路内の分岐点の数を決定し、分岐点の数に基づいて、前記現在のスライディングウィンドウを少なくとも二つのサブスライディングウィンドウに分割するステップと、
サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントの滑らかさが予め設定された分割条件を満たしているか否かに基づいて、当該サブスライディングウィンドウを分割して、サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントを取得するステップであって、前記滑らかさは、
軌跡セグメントのいずれかの軌跡点における走行方向と、一つ前の隣接する軌跡点における走行方向と
の夾角であるステップと、を含む、
ことを特徴とする地図軌跡マッチングデータの品質決定方法。
【請求項2】
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、
少なくとも一つの特徴次元を決定し、その後、決定された少なくとも一つの特徴次元を予めトレーニングされた予測モデルに入力し、走行軌跡の全体的品質を決定するステップは、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、前記走行軌跡のドリフト領域を決定するステップであって、走行軌跡のドリフト領域は、走行軌跡におけるドリフト軌跡点と、当該走行軌跡が位置する道路とによって囲まれる領域であるステップと、
走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値と全体的時間差、及び前記ドリフト領域における軌跡点の投影距離と局所的時間差に基づいて、走行軌跡のオフセット重みを決定するステップであって、前記全体的時間差は、走行軌跡における最初の軌跡点と最後の軌跡点との時間差であり、前記局所的時間差は、当該軌跡点と当該走行軌跡における最後の軌跡点との時間差であり、当該軌跡点は、走行軌跡における最初の軌跡点と最後の軌跡点との間の軌跡点であり、投影距離は、走行軌跡における当該軌跡点と、当該軌跡点の当該走行軌跡が位置する道路における投影点との間の距離であり、前記ドリフト領域における軌跡点をそれぞれA、B、C…としたとき、
【数1】
Areaは、走行軌跡のオフセット重みであり、dist
meanは、投影距離の平均値であり、Tは、全体的時間差であり、T
A、T
B、T
C…は、それぞれドリフト領域における軌跡点A、B、C…の局所的時間差であり、dist(A)、dist(B)、dist(C)…は、それぞれドリフト領域における軌跡点A、B、C…の投影距離であるステップと、
走行軌跡のオフセット重みに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、
少なくとも一つの特徴次元を決定し、その後、決定された少なくとも一つの特徴次元を予めトレーニングされた予測モデルに入力し、走行軌跡の全体的品質を決定するステップは、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率を決定するステップであって、発射確率は、軌跡点が道路ネットワークにおけるある道路区間に属する確率であるステップと、
前記走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率のうちの少なくとも一つに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するステップと、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントの滑らかさが予め設定された分割条件を満たしているか否かに基づいて、当該サブスライディングウィンドウを分割するステップは、
サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内のいずれかの軌跡点における走行方向と一つ前の隣接する軌跡点における走行方向との夾角が夾角閾値より大きい場合、当該軌跡点を新たな軌跡セグメントの開始軌跡点とするステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、
当該軌跡セグメントの重みを決定し、当該軌跡セグメントの重み及び当該軌跡セグメントの道路属性の重みに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するステップは
、
前記軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、軌跡セグメントの少なくとも一つの特徴次元を決定し、決定された少なくとも一つの特徴次元を予めトレーニングされた予測モデルに入力して、軌跡セグメントの重みを取得するステップを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するステップの後に、
地図マッチングデータ取得の要求に応答して、走行軌跡における軌跡点の全体的品質と局所的品質とに基づいて、走行軌跡をスクリーニングするステップをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
地図軌跡マッチングデータの品質決定装置であって、
走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定するように構成される道路決定モジュールと、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、
少なくとも一つの特徴次元を決定し、その後、決定された少なくとも一つの特徴次元を予めトレーニングされた予測モデルに入力し、走行軌跡の全体的品質を決定するように構成される全体的品質決定モジュール
であって、走行軌跡の全体的品質とは、走行軌跡の地図マッチングデータの評価を指す全体的品質決定モジュールと、
前記走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するように構成される軌跡分割モジュールと、
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、
当該軌跡セグメントの重みを決定し、当該軌跡セグメントの重み及び当該軌跡セグメントの道路属性の重みに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するように構成される局所的品質決定モジュール
であって、当該軌跡セグメントの重みは、軌跡セグメントを単位とする地図マッチングデータの評価である局所的品質決定モジュールと、を含み、
前記軌跡分割モジュールは、
前記走行軌跡における現在のスライディングウィンドウを決定するように構成される現在のウィンドウ決定ユニットであって、現在のスライディングウィンドウの長さは、長さの閾値に等しい現在のウィンドウ決定ユニットと、
現在のスライディングウィンドウ内の軌跡が位置する道路の情報に基づいて、現在のスライディングウィンドウにおける軌跡が位置する道路内の分岐点の数を決定し、分岐点の数に基づいて、前記現在のスライディングウィンドウを少なくとも二つのサブスライディングウィンドウに分割するように構成される現在のウィンドウ分割ユニットと、
サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントの滑らかさが予め設定された分割条件を満たしているか否かに基づいて、当該サブスライディングウィンドウを分割して、サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントを取得するように構成されるサブウィンドウ分割ユニットであって、前記滑らかさは、
軌跡セグメントのいずれかの軌跡点における走行方向と、一つ前の隣接する軌跡点における走行方向と
の夾角であるサブウィンドウ分割ユニットと、を含む、
ことを特徴とする地図軌跡マッチングデータの品質決定装置。
【請求項8】
一つ又は複数のプロセッサと、
一つ又は複数のプログラムを記憶するためのメモリと、を含むサーバであって、
前記一つ又は複数のプログラムが前記一つ又は複数のプロセッサによって実行される場合に、前記一つ又は複数のプロセッサが、請求項1~6のいずれかに記載の地図軌跡マッチングデータの品質決定方法を実現する、
ことを特徴とするサーバ。
【請求項9】
コンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であって、
当該プログラムがプロセッサによって実行される場合に、請求項1~6のいずれかに記載の地図軌跡マッチングデータの品質決定方法が実現される、
ことを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、地図技術の分野に関し、特に、地図軌跡マッチングデータの品質決定方法、装置、サーバ及び媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
地図マッチング(Map Matching)技術は、電子地図と測位情報を利用して道路上の車両の正確な位置を決定するソフトウェア誤り訂正技術であり、その基本的な考え方は、測位装置によって取得された車両測位軌跡と電子地図データベース内の道路情報とを関連付けることによって、車両の地図に対する位置を決定することである。
【0003】
スマート交通(道路状況、ETA)、ナビゲーション(ルートマイニング、道路バインド)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング、新規道路の発見、交通規制)などのアプリケーションが地図マッチングデータを使用することを容易にするために、地図マッチングデータの品質を決定する必要がある。
【0004】
従来の地図マッチングデータの品質決定方法は、通常、軌跡全体又は軌跡点を単位として評価を行う。この方法には、軌跡全体を単位とすると、評価のリアルタイム性が悪く、且つ軌跡全体のマッチング品質は良いが、局所領域のマッチング品質が良くないという問題が存在する。一方、軌跡点を単位とすると、評価の粒度が細かくなりすぎ、リアルタイム性は良いが、地図マッチング品質が揺らぐという問題が存在するため、評価効果が良くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施例は、全体的及び局所的粒度を総合して地図マッチングの品質を評価し、全体的軌跡マッチングを採用することによる適時性の問題を回避することができるとともに、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することもできる地図軌跡マッチングデータの品質決定方法、装置、サーバ及び媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明の実施例は、
走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定するステップと、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するステップと、
前記走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するステップと、
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するステップと、を含む地図軌跡マッチングデータの品質決定方法を提供する。
【0007】
第2の態様において、本発明の実施例は、
走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定するように構成される道路決定モジュールと、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するように構成される全体的品質決定モジュールと、
前記走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するように構成される軌跡分割モジュールと、
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するように構成される局所的品質決定モジュールと、を含む地図軌跡マッチングデータの品質決定装置を提供する。
【0008】
第3の態様において、本発明の実施例は、
一つ又は複数のプロセッサと、
一つ又は複数のプログラムを記憶するための記憶装置と、を含むサーバであって
前記一つ又は複数のプログラムが前記一つ又は複数のプロセッサによって実行される場合に、前記一つ又は複数のプロセッサが、第1の態様のいずれかに記載の地図軌跡マッチングデータの品質決定方法を実現するサーバをさらに提供する。
【0009】
第4の態様において、本発明の実施例は、コンピュータプログラムが記憶されている媒体であって、当該プログラムがプロセッサによって実行される場合に、第1の態様のいずれかに記載の地図軌跡マッチングデータの品質決定方法が実現される媒体をさらに提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施例により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法、装置、サーバ及び媒体は、リアルタイムに取得された走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングすることによって、走行軌跡が位置する道路を決定することができ、その後、走行軌跡データと走行軌跡が位置する道路の情報との両方を組み合わせて走行軌跡の全体的品質を決定することによって、決定された走行軌跡の全体的品質がより合理的且つ信頼的になるとともにリアルタイム性を有する。同時に、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割し、各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定することができる。従来の技術案と比較して、本技術案は、全体的と局所的粒度を総合して地図マッチングの品質を評価することによって、全体的軌跡マッチングを採用することによる適時性の問題を回避することができるとともに、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することもできる。また、本技術案は、軌跡点の全体的品質と局所的品質とを同時に提供することによって、スマート交通(道路状況)、ナビゲーション(ルートマイニング)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング)などのアプリケーションが地図マッチングデータを使用するために更に有利な参考価値を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例1により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。
【
図2A】本発明の実施例2により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。
【
図2B】本発明の実施例2により提供される走行軌跡、及び走行軌跡が位置する道路の概略図である。
【
図3A】本発明の実施例3により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。
【
図3B】本発明の実施例3により提供されるスライディングウィンドウのスライドプロセスの概略図である。
【
図3C】本発明の実施例3により提供されるスライディングウィンドウサイズの調整プロセスの概略図である。
【
図4】本発明の実施例4により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例5により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定装置の構成ブロック図である。
【
図6】本発明の実施例6により提供されるサーバの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について図面及び実施例を参照してさらに詳しく説明する。なお、ここで説明される具体的な実施例は、単なる本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するものではない。なお、説明の便宜上、図面には、すべての構成ではなく、本発明に関連する部分のみが示されている。
【0013】
実施例1
図1は、本発明の実施例1により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。本実施例は、従来技術において全体的軌跡マッチングを採用することによるリアルタイム性が悪く、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を解决するために、地図軌跡マッチングデータの品質をどのように決定するかに適用することができる。当該方法は、本発明の実施例により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定装置によって実行することができ、当該装置は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの形態で実現することができる。
図1を参照すると、当該方法は、具体的には、以下のステップS110~ステップS140を含む。
ステップS110において、走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定する。
【0014】
本実施例では、走行軌跡は、車両通信機器がリアルタイムに送信する、当該車両上に配置された測位装置(GPS測位システムなど)によってリアルタイムに収集された測位点データを、時間の前後順序にソートしたものであってもよい。ここで、測位点データは軌跡点データであり、当該軌跡点の経度及び緯度座標情報などを含むことができる。道路ネットワークにおける道路は、電子地図に表示される道路である。
【0015】
具体的には、車両通信機器と通信することによって、走行軌跡をリアルタイムに取得し、リアルタイムに取得した走行軌跡を電子地図にプロットし、その後、ネットワークトポロジアルゴリズム、カーブフィッティングアルゴリズム、類似度アルゴリズム、ファジーロジックアルゴリズムなどの地図マッチング技術を利用して、当該走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定することができる。例えば、道路ネットワークにおける各道路間のトポロジー関係に基づいて、走行軌跡に最も近い道路を走行軌跡が位置する道路として決定することができるし、取得された走行軌跡の各軌跡点データに基づいて曲線関数を作成し、その後、道路ネットワークにおける道路とフィッティングし、フィッティング結果に基づいて、走行軌跡が位置する道路を決定するなども可能である。
【0016】
ステップS120において、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定する。
【0017】
本実施例では、走行軌跡が位置する道路の情報は、道路方向、道路上の各点の経度及び緯度座標、道路名、道路属性、分岐点が含まれているか否か、及び分岐点の数などを含むことができる。ここで、道路属性は道路タイプであり、トンネル、高架道路、主要道路と補助道路、及び内部道路などを含むことができるが、これらに限定しない。走行軌跡データは、走行軌跡における各軌跡点データである。
【0018】
走行軌跡の全体的品質とは、走行軌跡の地図マッチングデータの評価を指す。選択可能に、全体的品質は、リアルタイム性を持ち、走行軌跡データの変化に基づいて、動的に調整することができる。
【0019】
具体的には、統計分析方法を使用して、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとを分析して、走行軌跡の全体的品質を取得することができるし、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、少なくとも一つの特徴次元を決定し、その後、決定された少なくとも一つの特徴次元を予めトレーニングされた予測モデルに入力して解いて、当該走行軌跡の全体的品質を取得することもできる。ここで、トレーニングされた予測モデルを異なる道路シーンに適用可能にするために、本実施例は、異なる道路シーンにおける走行軌跡及び走行軌跡が位置する道路をサンプルデータとして使用して、各サンプルデータについて、ここでからサンプル特徴次元を抽出し、抽出されたサンプル特徴次元とサンプル走行軌跡の全体的品質とをXGBoostモデルに入力し、分裂フィッティング反復を行って、予測モデルを取得することができる。
【0020】
特徴次元は、走行軌跡と走行軌跡が位置する道路との適合度を特徴付けるために用いることができる。異なる走行シーンにおける走行軌跡に適応される特徴次元が異なるため、本実施例では、複数の次元特徴を使用して走行軌跡の全体的品質を決定することができる。選択可能に、特徴次元は、走行軌跡の投影距離、出力確率、走行方向と道路方向との夾角、オフセット重み、及び道路属性などを含むことができるが、これらに限定されない。なお、軌跡点はリアルタイムに更新されるため、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて決定された特徴次元は、リアルタイムに更新され、走行軌跡の全体的品質は動的である。この後、特徴次元の決定戦略、及び特徴次元に基づいて走行軌跡の全体的品質を決定する戦略を詳細に説明する。
【0021】
例示的には、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するステップは、以下のステップA及びステップBを含むことができる。
ステップAにおいて、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率を決定する。
本実施例では、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率は、それぞれ異なる特徴次元を表す。ここで、走行軌跡の投影距離は、走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値及び分散を含むことができ、異常軌跡点の存在を防ぐために、走行軌跡の投影距離は、走行軌跡の投影距離の最大値などをさらに含むことができる。走行軌跡のいずれかの軌跡点の投影距離とは、走行軌跡における当該軌跡点と、当該軌跡点の当該走行軌跡が位置する道路における投影点との間の距離を指す。これに応じて、走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値及び分散は、走行軌跡におけるすべての軌跡点の投影距離の平均値及び分散である。走行軌跡における各軌跡点の投影距離を大きいから小さい順にソートし、上位にソートされた所定個数(上位三個など)軌跡点の投影距離の平均値を走行軌跡の投影距離の最大値とする。
【0022】
走行方向と道路方向との夾角は、走行軌跡における軌跡点の走行方向と道路方向との夾角の平均値及び分散を含むことができ、異常軌跡点の存在を防ぐために、走行方向と道路方向との夾角は、夾角の最大値をさらに含むことができる。ここで、走行軌跡における各軌跡点の走行方向と道路方向との夾角を大きいから小さい順にソートし、上位にソートされた所定個数(上位三個など)軌跡点の走行方向と道路方向との夾角の平均値を夾角の最大値とする。
【0023】
出力確率は、各軌跡点に対するものであり、軌跡点が道路ネットワークにおけるある道路区間に属する確率を指し、当該軌跡の投影距離と、走行方向と道路方向との夾角とに基づいて決定することができる。具体的に走行軌跡における各軌跡点の出力確率は、走行軌跡における各軌跡点の投影距離と、走行軌跡における各軌跡点の走行方向と道路方向との夾角とに基づいて決定することができる。
【0024】
具体的には、走行軌跡が位置する道路を決定した後、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、当該走行軌跡の投影距離、及び走行方向と道路方向との夾角を決定することができるとともに、当該走行軌跡における各軌跡点の投影距離、及び各軌跡点の走行方向と道路方向との夾角に基づいて走行軌跡における各軌跡点の出力確率を決定することができる。
【0025】
ステップBにおいて、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率のうちの少なくとも一つに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定する。
【0026】
本実施例では、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率を予めトレーニングされた予測モデルに入力して、走行軌跡の全体的品質を取得する。具体的には、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率という三つの特徴次元のうちのいずれかを当該走行軌跡の全体的品質とすることができるし、この三つの特徴次元の全体的品質に対する影響比重に基づいて、影響重みが大きい特徴次元を走行軌跡の全体的品質とすることができる。
【0027】
ステップS130において、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割する。
【0028】
本実施例では、直接に、走行軌跡が位置する道路の情報、走行軌跡における各軌跡点間の関係などに基づいて走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割する。
【0029】
スライディングウィンドウに基づいて走行軌跡を処理し、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割することもできる。具体的には、スライディングウィンドウに基づいて走行軌跡を処理し、処理中に走行軌跡が位置する道路の情報、走行軌跡における各軌跡点間の関係などを総合してスライディングウィンドウのサイズを動的に調整し、スライディングウィンドウの処理結果に基づいて走行軌跡の分割結果を決定することができる。選択可能に、スライディングウィンドウの処理結果は、走行軌跡の分割処理結果とすることができる。以下の実施例では、スライディングウィンドウに基づいて走行軌跡の分割を実現することを詳細に説明する。
【0030】
ステップS140において、軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定する。
【0031】
本実施例では、軌跡セグメントの局所的品質とは、軌跡セグメントを単位とする地図マッチングデータの評価を指す。
【0032】
走行軌跡における各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの特徴次元を決定することができ、さらに、当該軌跡セグメントの特徴次元に基づいて当該軌跡セグメントの局所的品質を決定することができ、例えば、予めトレーニングされた予測モデルによって解いて決定することもできる。
【0033】
また、道路属性が主要道路と補助道路との出入口などの分岐点である場合、道路マッチングは不確定性を有する。したがって、決定された軌跡セグメントの局所的品質をより合理的にするために、本実施例では、軌跡セグメントの局所的品質を決定する際に、道路属性などを考慮することもできる。具体的には、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの特徴次元を決定し、その後、当該軌跡セグメントの特徴次元に基づいて当該軌跡セグメントの初期局所的品質を決定し、さらに、初期局所的品質と道路属性とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定することができる。
【0034】
本実施例では、走行軌跡の全体的品質と走行軌跡における各軌跡セグメントの局所的品質とをリアルタイムに決定した後、それらを走行軌跡に関連付けて、スマート交通(道路状況)、ナビゲーション(ルートマイニング)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング)などの下流のアプリケーションに提供することによって、下流のアプリケーションは、地図マッチング品質の良くない走行軌跡をリアルタイムにフィルタリングする。また、本実施例は、軌跡セグメントを単位として局所的品質の評価を行うので、軌跡点を単位として評価粒度が細かくなりすぎ、測位装置によって収集された測位点のわずかに揺らいで軌跡点の地図マッチング品質の評価が低くなりすぎるという問題を回避することができる。
【0035】
例示的には、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するステップの後、地図マッチングデータ取得の要求に応答して、走行軌跡における軌跡点の全体的品質と局所的品質とに基づいて、走行軌跡をスクリーニングするステップをさらに含むことができる。
【0036】
本実施例では、地図マッチングデータ取得の要求は、下流のアプリケーションによってリアルタイムに送信された、走行軌跡における軌跡点の全体的品質と局所的品質とを取得するための要求であってもよい。決定された走行軌跡の全体的品質と走行軌跡における各軌跡セグメントの局所的品質とは、走行軌跡をリアルタイムに取得するシーンで行われるため、オンラインストリーミングプロセスに相当し、したがって、走行軌跡における軌跡点の全体的品質は、走行軌跡の局所的品質を表し、走行軌跡における軌跡点の局所的品質は、走行軌跡における各軌跡セグメントの局所的品質である。
【0037】
具体的には、上流及び下流のアプリケーションによってリアルタイムに送信された地図マッチングデータ取得の要求を受信した後、S110~S140で決定された走行軌跡の全体的品質と走行軌跡における各軌跡セグメントの局所的品質とに基づいて、走行軌跡をスクリーニングし、スクリーニングされた走行軌跡を下流のアプリケーションに提供する。選択可能に、各走行軌跡について、当該走行軌跡における軌跡点の全体的品質と局所的品質とを重み付けて合計することによって、合計結果が小さい走行軌跡をフィルタリングし、残りの走行軌跡を下流のアプリケーションに提供する。
【0038】
本発明の実施例により提供される技術案は、リアルタイムに取得された走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングすることによって、走行軌跡が位置する道路を決定することができ、その後、走行軌跡データと走行軌跡が位置する道路の情報との両方を組み合わせて走行軌跡の全体的品質を決定することによって、決定された走行軌跡の全体的品質がより合理的且つ信頼的になるとともにリアルタイム性を有する。同時に、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割し、各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定することができる。従来の技術案と比較して、本技術案は、全体的及び局所的粒度を総合して地図マッチングの品質を評価し、全体的軌跡マッチングを採用することによる適時性の問題を回避することができるとともに、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することもできる。また、本技術案は、軌跡点の全体的品質及び局所的品質を同時に提供することによって、スマート交通(道路状況)、ナビゲーション(ルートマイニング)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング)などのアプリケーションが地図マッチングデータを使用するために更に有利な参考価値を提供することができる。
【0039】
実施例2
図2Aは、本発明の実施例2により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。本実施例は、上記の実施例に基づいて、さらに、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するステップを説明する。
図2Aを参照すると、当該方法は、具体的には、以下のステップS210~ステップS260を含むことができる。
【0040】
S210において、走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定する。
S220において、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡のドリフト領域を決定する。
【0041】
本実施例では、走行軌跡のドリフト領域とは、走行軌跡におけるドリフト軌跡点と、当該走行軌跡が位置する道路とによって囲まれる領域を指し、ここで、ドリフト軌跡点は、走行軌跡における、当該走行軌跡が位置する道路からずれている軌跡点である。後続の計算の複雑さを減らすために、さらに、ドリフト軌跡点は、走行軌跡における、投影距離が設定された閾値より大きい軌跡点であり、設定された閾値は、予め設定された距離の閾値であってもよく、走行軌跡における各軌跡点の投影距離の平均値より大きい一定の値であってもよい。例えば、
図2Bに示すように、「丸」点は、走行軌跡の各軌跡点を表し、直線Lは、走行軌跡が位置する道路を表し、走行軌跡のドリフト領域は、軌跡点A、B、C、及びDと直線Lとによって囲まれた領域とすることができる。
【0042】
具体的には、走行軌跡が位置する道路の情報中の道路上の各点の経度及び緯度座標、及び走行軌跡データ(すなわち、走行軌跡における各軌跡点の経度及び緯度座標)に基づいて、ドリフト軌跡点を決定し、その後、ドリフト軌跡点に基づいてドリフト領域を決定することができる。
【0043】
S230において、走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値と全体的時間差、及びドリフト領域における軌跡点の投影距離と局所的時間差に基づいて、走行軌跡のオフセット重みを決定する。
【0044】
ここで、走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値は、走行軌跡におけるすべての軌跡点の投影距離の平均値であり、走行軌跡の平均的なオフセット状況を特徴付けるために使用することができる。本実施例では、ドリフト領域における軌跡点の投影距離は、各ドリフト領域における各軌跡点についてのものであり、具体的には、ドリフト領域における各軌跡点の投影距離は、当該軌跡点と、当該軌跡点の走行軌跡が位置する道路における投影点との間の距離であり、走行軌跡のオフセット重みは、当該走行軌跡のドリフト領域が当該走行軌跡からオフセットした状況を特徴付けるために使用することができる。
【0045】
全体的時間差は、走行軌跡における最初の軌跡点と最後の軌跡点との時間差であり、具体的には、走行軌跡における最初の軌跡点を取得する時間と最後の軌跡点を取得する時間との差であり、例えば、
図2Bでは、走行軌跡における軌跡点aと軌跡点bとの時間差である。局所的時間差は、当該軌跡点と当該走行軌跡における最後の軌跡点との時間差である。例えば、ドリフト領域における軌跡点Aについての局所的時間差は、軌跡点Aを取得する時間と、軌跡点bを取得する時間との差である。また、ドリフト領域における各軌跡点は、ドリフト軌跡点と呼ばれてもよい。
【0046】
具体的には、ドリフト領域における各軌跡点の投影距離と走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値とに基づいて、各軌跡点の絶対的オフセット距離を決定し、ドリフト領域における各軌跡点の局所的時間差と全体的時間差とに基づいて、各軌跡点の影響比重を決定し、ドリフト領域における各軌跡点について、当該軌跡点の絶対的オフセット距離と影響比重とに基づいて、当該軌跡のオフセット重みを決定し、さらに、ドリフト領域における各軌跡点のオフセット重みを加算して、走行軌跡のオフセット重みを取得することができる。ここで、各軌跡点の影響比重は、走行軌跡の走行方向に対する当該軌跡点の影響を反映するためのものであり、当該軌跡点の局所的時間差と全体的時間差との比を当該軌跡点の影響比重とすることができる。ドリフト領域における各軌跡点について、当該軌跡点の絶対的オフセット距離と影響比重との積を当該軌跡点のオフセット重みとすることができる。
【0047】
図2Bを例として説明する。走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値は、dist
meanであり、全体的時間差はTであり、ドリフト領域における軌跡点A、B、C、Dの局所的時間差はそれぞれT
A、T
B、T
C、T
Dであり、ドリフト領域における軌跡点A、B、C、Dの投影距離は、それぞれdist(A)、dist(B)、dist(C)、dist(D)であり、走行軌跡のオフセット重みをAreaで表す場合、走行軌跡のオフセット重みは、
【数1】
で表示することができる。
【0048】
S240において、走行軌跡のオフセット重みに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定する。
具体的には、走行軌跡のオフセット重みを決定した後、走行軌跡のオフセット重みをそのまま走行軌跡の全体的品質として決定することができるし、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率のうちの少なくとも一つと、走行軌跡のオフセット重みとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定することもでき、具体的には、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率のうちの少なくとも一つと、走行軌跡のオフセット重みとを予めトレーニングされた予測モデルに入力して解いて走行軌跡の全体的品質を決定することができる。
【0049】
S250において、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割する。
【0050】
S260において、軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定する。
【0051】
本発明の実施例により提供される技術案は、リアルタイムに取得された走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングすることによって、走行軌跡が位置する道路を決定することができ、その後、走行軌跡データと走行軌跡が位置する道路の情報との両方を組み合わせて走行軌跡のオフセット重みを決定し、さらに、走行軌跡のオフセット重みに基づいて走行軌跡の全体的品質を決定し、走行軌跡全体に対する走行軌跡のドリフト領域の影響を考慮することによって、決定された走行軌跡の全体的品質がより合理的且つ信頼的になるとともにリアルタイム性を有する。同時に、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割し、各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定することができる。従来の技術案と比較して、本技術案は、全体的及び局所的粒度を総合して地図マッチングの品質を評価することによって、全体的軌跡マッチングを採用することによる適時性の問題を回避することができるとともに、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することもできる。また、本技術案は、軌跡点の全体的品質と局所的品質とを同時に提供することによって、スマート交通(道路状況)、ナビゲーション(ルートマイニング)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング)などのアプリケーションが地図マッチングデータを使用するために更に有利な参考価値を提供することができる。
【0052】
実施例3
図3Aは、本発明の実施例3により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。本実施例は、上記の実施例に基づいて、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するステップをさらに説明する。
図3Aを参照すると、当該方法は、具体的には、以下のステップS310~ステップS360を含むことができる。
S310において、走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定する。
【0053】
S320において、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定する。
【0054】
S330において、スライディングウィンドウの長さの閾値に基づいて、走行軌跡における現在のスライディングウィンドウを決定する。
【0055】
本実施例では、スライディングウィンドウの長さの閾値とは、予め設定されたスライディングウィンドウの軌跡点の数を指し、Kで表すことができ、デフォルトのスライディングウィンドウは、毎回s=2個の軌跡点を移動する移動速度で前方にスライドし、実際の状況に応じて調整することができる。例えば、スライディングウィンドウの長さの閾値Kが5であり、且つ毎回s=2個の軌跡点を移動する移動速度で前方にスライディングすると仮定すると、
図3Bに示すように、時間の経過とともにスライディングウィンドウのスライド方向とスライドプロセスとが示されている。
【0056】
具体的には、スライディングウィンドウの長さの閾値、及びスライディングウィンドウの移動速度に基づいて、走行軌跡における現在のスライディングウィンドウを決定することができる。
【0057】
なお、実際の複雑な道路シーンでは、軌跡点の数が相対的に多いため、スライディングウィンドウの長さの閾値Kと移動速度とを大きく設定することができ、例えば、スライディングウィンドウの長さの閾値を17に設定することができる。また、スライディングウィンドウを道路レベルで直接に決定することもでき、例えば、同じレベルの道路を同じスライディングウィンドウ内に区分し、且つ毎回に一つの道路レベルをスライドする移動速度で前方にスライドする。これに対応して、スライディングウィンドウの長さの閾値は、異なるレベル道路上の軌跡点の数の最小値であってもよい。例えば、S310で決定された走行軌跡が位置する道路が同じレベルの道路である場合、当該走行軌跡を、
図3Cに示す決定された走行軌跡における現在のスライディングウィンドウなど、同一スライディングウィンドウ内に直接に決定することができる。
【0058】
S340において、現在のスライディングウィンドウにおける軌跡が位置する道路内の分岐点に基づいて、現在のスライディングウィンドウを少なくとも二つのサブスライディングウィンドウに分割する。
【0059】
本実施例では、道路内の分岐点とは、主要道路と補助道路との出入口など、一つの道路と別の道路との交差点を指す。
【0060】
具体的には、現在のスライディングウィンドウ内の軌跡が位置する道路の情報に基づいて、軌跡が位置する道路内の分岐点、及び分岐点の数を決定し、分岐点に基づいて現在のスライディングウィンドウを複数のサブスライディングウィンドウ、具体的には、分岐点の数に一つを加えたサブスライディングウィンドウに分割することができる。
【0061】
例えば、
図3Cにおいて現在のスライディングウィンドウ内の軌跡が位置する道路には、二つの分岐点EとFとを有し、二つの分岐点に基づいて現在のスライディングウィンドウを三つのサブスライディングウィンドウに分割することができ、現在のスライディングウィンドウをS1で表すと、三つのサブスライディングウィンドウは、それぞれS1_1、S1_2、及びS1_3で表すことができる。
【0062】
S350において、サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントの滑らかさに基づいて、当該サブスライディングウィンドウを分割して、サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントを取得し、滑らかさは、隣接する軌跡点方向間の夾角である。
【0063】
本実施例では、各サブスライディングウィンドウについて、当該サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントの滑らかさが予め設定された分割条件を満たしているか否かを判断することができる。満たしている場合、当該サブスライディングウィンドウを分割し、満たさない場合、分割を行わない。ここで、分割条件は、隣接する軌跡点方向間の夾角が夾角閾値より大きく、ここで、夾角閾値は予め設定されたものであり、実際の状況に応じて調整することができ、例えば、30度であってもよい。例示的には、サブスライディングウィンドウ内の軌跡の滑らかさに基づいて、当該サブスライディングウィンドウを分割するステップは、サブスライディングウィンドウ内の軌跡について、当該軌跡セグメントのいずれかの軌跡点における走行方向と、一つ前の隣接する軌跡点における走行方向との夾角が夾角閾値より大きい場合、当該軌跡点を新たな軌跡セグメントの開始軌跡点とするステップを含むことができる。
【0064】
具体的には、各サブスライディングウィンドウについて、当該スライディングウィンドウ内の軌跡の滑らかさに基づいて、当該サブスライディングウィンドウを複数のサブサブスライディングウィンドウに分割し、各サブサブスライディングウィンドウにおける軌跡点は、一つの軌跡セグメントを構成することができ、各サブスライディングウィンドウ内の対応する複数の軌跡セグメントを取得することができる。
【0065】
例えば、
図3Cでは、サブスライディングウィンドウS1_1内の軌跡点cにおける走行方向と、軌跡点dにおける走行方向との夾角が30度より大きいため、サブスライディングウィンドウS1_1を二つのサブサブスライディングウィンドウS2_1とS2_2とに分割することができる。
【0066】
なお、本実施例は、走行軌跡が位置する道路の情報、走行軌跡における各軌跡点間の関係などに基づいてスライディングウィンドウのサイズを動的に調整し、スライディングウィンドウの処理結果に基づいて走行軌跡の分割結果を決定することによって、軌跡セグメントの分割がより合理的になり、且つ軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて決定された当該軌跡セグメントの局所的品質がより参考価値を有するようになり、また、本実施例は、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することができる。
【0067】
S360において、軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定する。
【0068】
本発明の実施例により提供される技術案は、リアルタイムに取得された走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングすることによって、走行軌跡が位置する道路を決定することができ、その後、走行軌跡データと走行軌跡が位置する道路の情報との両方を組み合わせて走行軌跡の全体的品質を決定することによって、決定された走行軌跡の全体的品質がより合理的且つ信頼的になるとともにリアルタイム性を有する。同時に、走行軌跡が位置する道路の情報、走行軌跡における各軌跡点間の関係などに基づいてスライディングウィンドウのサイズを動的に調整し、スライディングウィンドウの処理結果に基づいて走行軌跡の分割結果を決定することによって、軌跡セグメントの分割がより合理的になり、且つ軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて決定された当該軌跡セグメントの局所的品質がより参考価値を有するようになる。従来の技術案と比較して、本技術案は、全体的及び局所的粒度を総合して地図マッチングの品質を評価することによって、全体的軌跡マッチングを採用することによる適時性の問題を回避することができるとともに、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することもできる。また、本技術案は、軌跡点の全体的品質と局所的品質とを同時に提供することによって、スマート交通(道路状況)、ナビゲーション(ルートマイニング)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング)などのアプリケーションが地図マッチングデータを使用するために更に有利な参考価値を提供することができる。
【0069】
実施例4
図4は、本発明の実施例4により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法のフローチャートである。本実施例は、走行軌跡における各軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するステップを上記の実施例に基づいてさらに説明する。
図4を参照すると、当該方法は、具体的には、以下のステップ410~ステップ450を含むことができる。
S410において、走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定する。
【0070】
S420において、走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定する。
【0071】
S430において、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割する。
【0072】
S440において、軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの重みを決定する。
【0073】
本実施例では、軌跡セグメントの重みの決定方式は、走行軌跡の全体的品質の決定方式と同じであってもよい。軌跡セグメントの重みは、軌跡セグメントの初期局所的品質と呼ばれてもよい。
【0074】
例示的には、走行軌跡における各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの少なくとも一つの特徴次元を決定することができ、その後、決定された少なくとも一つの特徴次元を予めトレーニングされた予測モデルに入力して解いて、当該軌跡セグメントの重みを取得することができる。
【0075】
具体的には、走行軌跡における各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントのドリフト領域を決定し、当該軌跡セグメントにおける軌跡点の投影距離の平均値と全体的時間差、及び当該軌跡セグメントのドリフト領域における軌跡点の投影距離と局所的時間差に基づいて、当該軌跡セグメントのオフセット重みを決定し、ここで、軌跡セグメントにおける軌跡点の投影距離の平均値は、当該軌跡セグメントにおけるすべての軌跡点の投影距離の平均値であり、全体的時間差は、軌跡セグメントにける最初の軌跡点と最後の軌跡点との時間差であり、局所的時間差は、当該軌跡点と当該軌跡セグメントにおける最後の軌跡点との時間差であり、さらに、当該軌跡セグメントのオフセット重みに基づいて、当該軌跡セグメントの重み、すなわち当該軌跡セグメントの初期局所的品質を決定する。
【0076】
あるいは、軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率を決定し、その後、当該軌跡セグメントの投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率のうちの少なくとも一つに基づいて、当該軌跡セグメントの重みを決定してもよい。
【0077】
また、軌跡セグメントの投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率のうちの少なくとも一つと、軌跡セグメントのオフセット重みとに基づいて、当該軌跡セグメントの重みを決定してもよい。
【0078】
S450において、当該軌跡セグメントの重み及び当該軌跡セグメントの道路属性の重みに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定する。
【0079】
本実施例では、走行軌跡における各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とを総合的に考慮することで、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することができる。異なる道路シーンでは、道路軌跡マッチングの不確定性という問題が存在する可能性があり、例えば、主要道路と補助道路との出入口は、道路マッチングの不確定性を有する。したがって、決定された軌跡セグメントの局所的品質をより合理的にするために、本実施例は、道路属性なども包括的に考慮する。軌跡セグメントの道路属性の重みは、予め設定されてもよく、選択可能に、道路マッチングの確定性に基づいて、軌跡セグメントの道路属性の重みを決定することができる。例えば、道路マッチングが不確定の軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメントの道路属性の重みを低減することができ、道路マッチングが確定の軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメントの道路属性の重みを1に設定することができる。
【0080】
具体的には、走行軌跡における各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメントの重みと当該軌跡セグメントの道路属性の重みとの積を、当該軌跡セグメントの局所的品質とすることができる。
【0081】
本発明の実施例により提供される技術案は、リアルタイムに取得された走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングすることによって、走行軌跡が位置する道路を決定することができ、その後、走行軌跡データと走行軌跡が位置する道路の情報との両方を組み合わせて走行軌跡の全体的品質を決定することによって、決定された走行軌跡の全体的品質がより合理的且つ信頼的になるとともにリアルタイム性を有する。同時に、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割し、各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データ、当該軌跡セグメントが位置する道路の情報、及び当該軌跡セグメントの道路属性の重みに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定することができる。従来の技術案と比較して、本技術案は、全体的及び局所的粒度を総合して地図マッチングの品質を評価することによって、全体的軌跡マッチングを採用することによる適時性の問題を回避することができるとともに、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することもできる。また、本技術案は、軌跡点の全体的品質と局所的品質とを同時に提供することによって、スマート交通(道路状況)、ナビゲーション(ルートマイニング)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング)などのアプリケーションが地図マッチングデータを使用するために更に有利な参考価値を提供することができる。
【0082】
実施例5
図5は、本発明の実施例5により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定装置の構成ブロック図である。当該装置は、本発明のいずれかの実施例により提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法を実行することができ、方法の実行に対応する機能モジュールと有益な効果とを備える。
図5に示すように、当該装置は、
走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定するように構成される道路決定モジュール510と、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するように構成される全体的品質決定モジュール520と、
走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するように構成される軌跡分割モジュール530と、
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するように構成される局所的品質決定モジュール540と、を含むことができる。
【0083】
本発明の実施例により提供される技術案は、リアルタイムに取得された走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングすることによって、走行軌跡が位置する道路を決定することができ、その後、走行軌跡データと走行軌跡が位置する道路の情報との両方を組み合わせて走行軌跡の全体的品質を決定することによって、決定された走行軌跡の全体的品質がより合理的且つ信頼的になるとともにリアルタイム性を有する。同時に、走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割し、各軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定することができる。従来の技術案と比較して、本技術案は、全体的及び局所的粒度を総合して地図マッチングの品質を評価することによって、全体的軌跡マッチングを採用することによる適時性の問題を回避することができるとともに、軌跡点を単位として粒度が細かくなりすぎて地図マッチング品質が揺らぐという問題を回避することもできる。また、本技術案は、軌跡点の全体的品質と局所的品質とを同時に提供することによって、スマート交通(道路状況)、ナビゲーション(ルートマイニング)、データエンジン情報(オン、ブロッキング、フッキング)などのアプリケーションが地図マッチングデータを使用するために更に有利な参考価値を提供することができる。
【0084】
例示的には、全体的品質決定モジュール520は、具体的には、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、前記走行軌跡のドリフト領域を決定し、
走行軌跡における軌跡点の投影距離の平均値と全体的時間差、及びドリフト領域における軌跡点の投影距離と局所的時間差に基づいて、走行軌跡のオフセット重みを決定し、全体的時間差は、走行軌跡における最初の軌跡点と最後の軌跡点との時間差であり、前記局所的時間差は、軌跡点と当該走行軌跡における最後の軌跡点との時間差であり、
走行軌跡のオフセット重みに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するように構成することができる。
【0085】
例示的には、全体的品質決定モジュール520は、さらに、具体的には、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率を決定し、
前記走行軌跡の投影距離、走行方向と道路方向との夾角、及び出力確率のうちの少なくとも一つに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するように構成することができる。
【0086】
例示的には、軌跡分割モジュール530は、具体的には、
スライディングウィンドウの長さの閾値に基づいて、走行軌跡における現在のスライディングウィンドウを決定するように構成される現在のウィンドウ決定ユニットと、
現在のスライディングウィンドウにおける軌跡が位置する道路内の分岐点に基づいて、現在のスライディングウィンドウを少なくとも二つのサブスライディングウィンドウに分割するように構成される現在のウィンドウ分割ユニットと、
サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントの滑らかさに基づいて、当該サブスライディングウィンドウを分割して、サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントを取得するように構成されるサブウィンドウ分割ユニットであって、滑らかさは、隣接する軌跡点方向間の夾角であるサブウィンドウ分割ユニットと、を含むことができる。
【0087】
例示的には、サブウィンドウ分割ユニットは、具体的には、
サブスライディングウィンドウ内の軌跡セグメントについて、当該軌跡セグメント内のいずれかの軌跡点における走行方向と一つ前の隣接する軌跡点における走行方向との夾角が夾角閾値より大きい場合、当該軌跡点を新たな軌跡セグメントの開始軌跡点とするように構成することができる。
【0088】
例示的には、局所的品質決定モジュール540は、具体的には、
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの重みを決定し、
当該軌跡セグメントの重み及び当該軌跡セグメントの道路属性の重みに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するように構成することができる。
【0089】
例示的には、上記の装置は、
当該軌跡セグメントの局所的品質が決定された後、
地図マッチングデータ取得の要求に応答して、走行軌跡における軌跡点の全体的品質と局所的品質とに基づいて、走行軌跡をスクリーニングするように構成されるスクリーニングモジュールをさらに含むことができる。
【0090】
実施例6
図6は、本発明の実施例6によって提供されるサーバの概略構成図である。
図6は、本発明の実施例の実施形態の実現に適する例示的なサーバのブロック図である。
図6に示されるサーバは、単なる一例であり、本発明の実施例の機能及び使用範囲を一切限定しない。
【0091】
図6に示すように、サーバ12は、汎用コンピューティング機器の形態で示されている。サーバ12の構成要素は、一つ又は複数のプロセッサ又は処理ユニット16と、システムメモリ28と、異なるシステム構成要素(システムメモリ28と処理ユニット16とを含む)を接続するバス18と、を含むことができるが、これらに限定されない。
【0092】
バス18は、メモリバス又はメモリコントローラ、周辺バス、アクセラレーテッドグラフィックスポート、プロセッサ又は多様なバス構造のうちのいずれかのバス構造を使用するローカルバスを含む、複数種類のバス構造のうち一つ又は複数を表す。例を挙げると、これらのアーキテクチャは、インダストリスタンダードアーキテクチャ(ISA)バス、マイクロチャネルアーキテクチャ(MAC)バス、拡張ISAバス、ビデオエレクトロニクススタンダーズアソシエーション(VESA)ローカルバス、及びペリフェラルコンポーネントインターコネクト(PCI)バスを含むが、これらに限定されない。
【0093】
サーバ12は、典型的には、複数種類のコンピュータシステム読み取り可能な媒体を含む。これらの媒体は、サーバ12がアクセスすることができる任意の使用可能な媒体であってもよく、揮発性媒体及び不揮発性媒体、リムーバブル媒体及びノンリムーバブル媒体を含む。
【0094】
システムメモリ28は、ランダムアクセスメモリ(RAM)30及び/又はキャッシュメモリ32などの揮発性メモリの形態のコンピュータシステム読み取り可能な媒体を含んでもよい。サーバ12は、他のリムーバブル/ノンリムーバブル、揮発性/不揮発性コンピュータシステム記憶媒体をさらに含んでもよい。単なる一例として、ストレージシステム34は、ノンリムーバブル、不揮発性磁気媒体(
図6に示されていないが、通常「ハードドライブ」という)に対して読み出し及び書き込みをするために用いることができる。
図6に示されていないが、リムーバブル不揮発性磁気ディスク(例えば、「フロッピーディスク」)に対して読み出し及び書き込みをするための磁気ディスクドライブ、及びリムーバブル不揮発性光学ディスク(例えば、CD-ROM、DVD-ROM又は他の光学媒体)に対して読み出し及び書き込みをするための光学ディスクドライブを提供することができる。これらの場合、各ドライブは、一つ又は複数のデータメディアインターフェイスを介してバス18に接続することができる。システムメモリ28は、本発明の実施例の各実施例に記載の機能を実行するように構成される1セット(例えば、少なくとも一つ)のプログラムモジュールを有する少なくとも一つのプログラム製品を含んでもよい。
【0095】
1セット(少なくとも一つ)のプログラムモジュール42を有するプログラム/ユーティリティ40は、例えば、システムメモリ28に記憶されてもよく、このようなプログラムモジュール42は、オペレーティングシステム、一つ又は複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュール、及びプログラムデータを含むがこれらに限定されない。これらの例のそれぞれ又は何らかの組み合わせには、ネットワーク環境の実装が含まれる可能性がある。プログラムモジュール42は、通常本発明の実施例に記載の実施例における機能及び/又は方法を実行する。
【0096】
サーバ12は、一つ又は複数の外部デバイス14(例えば、キーボード、ポインティングデバイス、ディスプレイ24など)と通信することができるし、ユーザが当該サーバ12とインタラクションすることを可能にする一つ又は複数のデバイスと通信することもでき、及び/又はサーバ12が一つ又は複数の他のコンピューティング機器と通信することを可能にする任意のデバイス(例えば、ネットワークカード、モデムなど)と通信することができる。そのような通信は、入力/出力(I/O)インターフェイス22を介して行うことができる。また、サーバ12は、ネットワークアダプタ20を介して、一つ又は複数のネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、及び/又はパブリックネットワーク、例えば、インターネット)と通信することができる。図に示すように、ネットワークアダプタ20は、バス18を介して、サーバ12の他のモジュールと通信する。なお、図示されていないが、マイクロコードやデバイスドライバ、冗長処理ユニット、外部ディスクドライブアレイ、RAIDシステム、テープドライバ、及びデータバックアップトレージシステムなどを含むがこれらに限定されない他のハードウェア及び/又はソフトウェアモジュールを、サーバ12と組み合わせて使用することができる。
【0097】
処理ユニット16は、システムメモリ28に記憶されたプログラムを実行することにより、様々な機能アプリケーション及びデータ処理を実行し、例えば、本発明の実施例によって提供される地図軌跡マッチングデータの品質決定方法を実現する。
【0098】
実施例7
本発明の実施例7は、コンピュータプログラム(又はコンピュータ実行可能な命令と呼ぶ)が記憶されているコンピュータ読み取り可能な記憶媒体をさらに提供し、当該プログラムがプロセッサによって実行される場合に、
走行軌跡を道路ネットワークにおける道路とマッチングさせ、走行軌跡が位置する道路を決定するステップと、
走行軌跡が位置する道路の情報と走行軌跡データとに基づいて、走行軌跡の全体的品質を決定するステップと、
走行軌跡を少なくとも二つの軌跡セグメントに分割するステップと、
軌跡セグメント内の軌跡データと当該軌跡セグメントが位置する道路の情報とに基づいて、当該軌跡セグメントの局所的品質を決定するステップと、を含む地図軌跡マッチングデータの品質決定方法が実行される。
【0099】
本発明の実施例のコンピュータ記憶媒体は、一つ又は複数のコンピュータ読み取り可能な媒体の任意の組み合わせを採用することができる。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータ読み取り可能な信号媒体、或いはコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。コンピュータ読み取り可能な媒体は、例えば、電子、磁気、光、電磁気、赤外線、又は半導体のシステム、装置又はデバイス、或いは上記の任意の組み合わせであってもよいがこれらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例(非限定的なリスト)は、一つ又は複数の配線を備える電気接続部、ポータブルコンピュータディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバ、ポータブルコンパクトディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、光記憶装置、磁気記憶装置、又は上記の任意の適切な組み合わせを含む。この明細書において、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスにより使用され、或いはそれらと組み合わせて使用されることが可能であるプログラムを含む又は記憶する任意の有形の媒体であってもよい。
【0100】
コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、ベースバンドにおける、又は搬送波の一部として伝播するデータ信号を含むことができ、その中にはコンピュータ読み取り可能なプログラムコードが搭載されている。この伝播するデータ信号は様々な形式を採用することができ、電磁信号、光信号又は上記の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない。コンピュータ読み取り可能な信号媒体は、さらに、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体以外の任意のコンピュータ読み取り可能な媒体であってもよく、当該コンピュータ読み取り可能な媒体は、命令実行システム、装置又はデバイスにより使用され、或いはそれらと組み合わせて使用されるプログラムを送信、伝播又は伝送することができる。
【0101】
コンピュータ読み取り可能な媒体に含まれるプログラムコードは、無線、有線、光ケーブル、RFなど、又は上記の任意の適切な組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な媒体によって伝送することができる。
【0102】
一つ又は複数のプログラミング言語又はそれらの組み合わせで本発明の動作を実行するためのコンピュータプログラムコードを作成することができ、前記プログラミング言語は、Java、Smalltalk、C++などのプロジェクト指向のプログラミング言語を含み、さらに、「C」言語又は同様のプログラミング言語といった従来の手続き型プログラミング言語をも含む。プログラムコードは、完全にユーザーコンピュータで実行されてもよいし、部分的にユーザーコンピュータに実行されてもよいし、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行されてもよいし、部分的にユーザーコンピュータで、部分的にリモートコンピュータで実行されてもよい、又は完全にリモートコンピュータ又はサーバで実行してもよい。リモートコンピュータに係る場合、リモートコンピュータは、ローカルネットワーク(LAN)又は広域ネットワーク(WAN)を含む任意種類のインターネットを介して、ユーザーコンピュータに接続することができ、或いは、外部コンピュータ(例えば、インターネットサービスプロバイダを利用してインターネットを介して接続する)に接続することもできる。
【0103】
なお、上記の記載は、本発明の好ましい実施例及び運用される技術的原理に過ぎない。当業者は、本発明がここに記載された特定の実施例に限定されないことを理解することができる。当業者であれば、本発明の保護範囲を逸脱することはなく、種々の明らかな変形、再調整及び置換えを行うことができる。したがって、上記実施例を用いて本発明の実施例を比較的詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定されず、本発明の実施例の構想を逸脱しなく、より多くの他の効果同等な実施例をさらに含むことができ、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって决定される。