(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】再剥離可能な感圧接着細長片
(51)【国際特許分類】
C09J 7/38 20180101AFI20220531BHJP
C09J 153/02 20060101ALI20220531BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20220531BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J153/02
C09J7/20
C09J11/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020159228
(22)【出願日】2020-09-24
(62)【分割の表示】P 2019124607の分割
【原出願日】2016-03-29
【審査請求日】2020-10-23
(32)【優先日】2015-04-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509120403
【氏名又は名称】テーザ・ソシエタス・ヨーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】ブラツェイェフスキー・アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ブルマイスター・アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ローマン・フランチスカ
(72)【発明者】
【氏名】ペーターゼン・アニカ
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-521544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接着剤層を含み、二つの下地の間に接着されたときに、実質的に貼付面での伸長延伸により残留物および破壊なく下地から再剥離可能な両面感圧接着細長片であって、
さらに、感圧接着細長片が一層の支持体を有し、この支持体が、少なくとも100%の引裂伸びを有しており、
この支持体の両面に、接着剤層がそれぞれ施されており、
当該接着剤層が、ビニル芳香族系ブロックコポリマーおよび接着樹脂をベースとして構成された感圧接着剤から成っており、これに関しては(樹脂割合全体に対して)少なくとも75重量%で、DACP(ジアセトンアルコール曇り点)が-20℃超、軟化温度(環球式)が70℃以上の樹脂が選択され、かつ感圧接着剤がマイクロバルーンにより発泡し、前記感圧接着剤の表面の粗さR
aが、15μm未満であり、
前記発泡した感圧接着剤の絶対密度が500~900kg/m
3である、
感圧接着細長片。
【請求項2】
接着剤層を含み、二つの下地の間に接着されたときに、実質的に貼付面での伸長延伸により残留物および破壊なく下地から再剥離可能な両面感圧接着細長片であって、接着剤層が、ビニル芳香族系ブロックコポリマーおよび接着樹脂をベースとして構成された感圧接着剤から成っており、これに関しては(樹脂割合全体に対して)少なくとも75重量%で、DACP(ジアセトンアルコール曇り点)が-20℃超、軟化温度(環球式)が70℃以上の樹脂が選択され、かつ感圧接着剤がマイクロバルーンにより発泡し、前記感圧接着剤の表面の粗さR
aが、15μm未満であり、
接着樹脂として室温で液体の樹脂をさらに含む、感圧接着細長片。
【請求項3】
室温で液体の樹脂の含有割合が接着剤の組成全体に対して2.9~10重量%の間であることを特徴とする、請求項2に記載の感圧接着細長片。
【請求項4】
感圧接着剤としては、主としてビニル芳香族によって形成されたポリマーブロック(Aブロック)ならびに主として1,3-ジエンの重合によって形成されたポリマーブロック(Bブロック)または両方のポリマーブロックから成るコポリマーを含有するブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤が用いられる
ことを特徴とする、
請求項1~3のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項5】
ビニル芳香族系ブロックコポリマーとしては、A-B、A-B-A、(A-B)
n、(A-B)
nX、または(A-B-A)
nXの構造をもつブロックコポリマーの形態での少なくとも1種の合成ゴム
式中、
- ブロックAは、互いに独立して、少なくとも1種のビニル芳香族の重合によって形成されたポリマーを表しており、
- ブロックBは、互いに独立して、4~18個のC原子を有する共役ジエンおよび/もしくはイソブチレンの重合によって形成されたポリマーまたはそのようなポリマーの部分的もしくは完全に水素化された誘導体を表しており、
- Xは、カップリング試薬または開始剤の残基を表しており、かつ
- nは、整数≧2を表している
ことを特徴とする、
請求項1~4のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項6】
ブロックAを形成するためのビニル芳香族が、スチレン、α-メチルスチレン、および/またはそのほかのスチレン誘導体を含む
ことを特徴とする、
請求項1~5のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項7】
ブロックBのためのモノマーが、ブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、およびジメチルブタジエン、ならびにこれらモノマーの任意の混合物から成る群から選択されることを特徴とする、
請求項1~6のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項8】
感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が、合計で少なくとも20重量%であり、同時に最大で75重量%である
ことを特徴とする、
請求項1~7のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項9】
感圧接着剤が、接着樹脂を感圧接着剤の総重量に対して20~60重量%で含有している
ことを特徴とする、
請求項1~8のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項10】
接着樹脂が、少なくとも75重量%で、炭化水素樹脂またはテルペン樹脂またはその混合物である
ことを特徴とする、
請求項1~9のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項11】
接着剤が下記の組成:
・ ビニル芳香族系ブロックコポリマー 20~75重量%
・ 接着樹脂 24.6~60重量%
・ マイクロバルーン 0.5~3.5重量%
・ 添加剤 0.2~10重量%
から成っている
ことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項12】
接着剤が下記の組成:
・ ビニル芳香族系ブロックコポリマー 35~65重量%
・ 接着樹脂 34.6~45重量%
・ マイクロバルーン 0.5~3.5重量%
・ 添加剤 0.2~10重量%
から成っている
ことを特徴とする、
請求項1~11のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項13】
接着剤が下記の組成:
・ ビニル芳香族系ブロックコポリマー 30~75重量%
・ 接着樹脂 24.8~60重量%
・ マイクロバルーン 0.5~3.5重量%
から成っている
ことを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項14】
接着剤がマイクロバルーンを、接着剤の組成全体に対して0.5~1.5重量%の間で含有している
ことを特徴とする、
請求項1~13のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項15】
発泡した感圧接着剤の絶対密度が、500~900kg/m
3であり、かつ/または相対密度が、0.35~0.99である
ことを特徴とする、
請求項1~14のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項16】
発泡した感圧接着剤の相対密度が、0.20~0.99の間である
ことを特徴とする、
請求項1~
14のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項17】
第1および第2の接着剤層が同一の組成を有しており、支持体の厚さが20~60μmの間で、かつ支持体上の同一の接着剤層の厚さがそれぞれ20~60μmの間である
ことを特徴とする、
請求項1~16のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項18】
支持体が、少なくとも300%の引裂伸び、および50%超の復元力を有する
ことを特徴とする、
請求項1~17のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか一つに記載の感圧接着細長片を含む電子機器。
【請求項20】
請求項1~18のいずれか一つに記載の感圧接着細長片を含む携帯電話。
【請求項21】
請求項1~18のいずれか一つに記載の感圧接着細長片を含む蓄電池。
【請求項22】
感圧接着細長片が接着
テープロールまたはダイカットの形態であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項23】
接着テープの形態であることを特徴とする、請求項1~18のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項24】
1,3-ジエンがイソプレンである、請求項4に記載の感圧接着細長片。
【請求項25】
ビニル芳香族系ブロックコポリマーが、A-Bの構造をもつブロックコポリマーの形態である、請求項5に記載の感圧接着細長片。
【請求項26】
ビニル芳香族系ブロックコポリマーが、A-B-Aの構造をもつブロックコポリマーの形態である、請求項5に記載の感圧接着細長片。
【請求項27】
感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が、合計で少なくとも30重量%、同時に最大で65重量%である
ことを特徴とする、
請求項8に記載の感圧接着細長片。
【請求項28】
感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が、合計で35重量%であり、同時に最大で55重量%である
ことを特徴とする、
請求項8に記載の感圧接着細長片。
【請求項29】
感圧接着剤が、
接着樹脂を感圧接着剤の総重量に対して30~50重量%で含有している
ことを特徴とする、
請求項9に記載の感圧接着細長片。
【請求項30】
感圧接着細長片がダイカットの形態であることを特徴とする、請求項22に記載の感圧接着細長片。
【請求項31】
前記感圧接着剤が
一次酸化防止剤を含むことを特徴とする、請求項1~18および22~30のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項32】
前記感圧接着剤が、結晶質もしくは非晶質の酸化物、水酸化物、炭酸塩、窒化物、ハロゲン化物、炭化物であり、またはアルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、スズ、亜鉛、鉄、もしくはアルカリ金属、アルカリ土類金属の酸化物化合物/水酸化物化合物/ハロゲン化物化合物の混合物をさらに含むことを特徴とする、請求項1~18および22~31のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項33】
前記感圧接着剤が、ガラス中空球またはセラミック中空球を含むことを特徴とする、請求項1~18および22~32のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項34】
前記支持体に、フィルム形成特性を改善し、結晶質セグメントの形成傾向を減らし、かつ/または機械的特性を的確に改善する添加剤およびさらなる成分を添加する請求項1~18および22~33のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項35】
前記感圧接着剤の表面の粗さR
aが、15μm未満である請求項1~18および22~34のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項36】
前記感圧接着剤の表面の粗さR
aが、10μm未満である請求項1~18および22~35のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項37】
接着細長片の引裂力とストリップ力の比が2超である請求項1~18および22~36のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項38】
接着細長片の厚さが50μmである請求項1~18および22~37のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項39】
支持体がポリウレタンである、請求項1~18および22~38のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項40】
接着剤の組成が同一である、請求項1~18および22~39のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項41】
前記一層の支持体が50%超の復元力を有している、請求項1~18および22~40のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項42】
使用される前記ビニル芳香族系ブロックコポリマーがA-B構造をもつブロックコポリマーの形態での少なくとも1種の合成ゴムを含み、ここで、Aがポリスチレンであり、Bがポリブタジエンである、請求項5に記載の感圧接着細長片。
【請求項43】
使用される前記ビニル芳香族系ブロックコポリマーがA-B-A構造をもつブロックコポリマーの形態での少なくとも1種の合成ゴムを含み、ここで、Aがポリスチレンであり、Bがポリイソプレンである、請求項5に記載の感圧接着細長片。
【請求項44】
使用される前記ビニル芳香族系ブロックコポリマーが、(i)A-B構造をもつブロックコポリマーの形態での少なくとも1種の合成ゴム、ここで、Aがポリスチレンであり、Bがポリブタジエンである、および、(ii)A-B-A構造をもつブロックコポリマーの形態での少なくとも1種の合成ゴム、ここで、Aがポリスチレンであり、Bがポリイソプレンである、の混合物を含む、請求項5に記載の感圧接着細長片。
【請求項45】
前記感圧接着剤が、アルカリ(土類)金属の炭酸塩をさらに含む、ことを特徴とする、請求項1~18および22~44のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項46】
前記感圧接着剤が、ケイ素の酸化物化合物をさらに含む、ことを特徴とする、請求項請求項1~18および22~45のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項47】
前記感圧接着剤が、アルカリ(土類)金属の炭酸塩およびケイ素の酸化物化合物をさらに含む、ことを特徴とする、請求項1~18および22~46のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項48】
支持体が機械的特性を改善する添加剤またはさらなる成分を含む、ことを特徴とする、請求項1~18および22~47のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項49】
支持体の厚さが10μmである、ことを特徴とする、請求項1~18および22~48のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項50】
接着フィルム細長片の厚さが50μmである、ことを特徴とする、請求項1~18および22~49のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項51】
接着剤層が、ビニル芳香族系ブロックコポリマーおよび接着樹脂をベースとして構成された感圧接着剤から成っており、これに関しては(樹脂割合全体に対して)少なくとも75重量%で、DACP(ジアセトンアルコール曇り点)が-0℃超である、請求項1~18および22~50のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【請求項52】
前記発泡した感圧接着剤を、マイクロバルーンの導入およびその後の膨張によって得る、請求項1~18および22~51のいずれか一つに記載の感圧接着細長片
を製造するための方法。
【請求項53】
前記発泡した感圧接着剤を、既膨張マイクロバルーンによって得る、請求項1~18および22~52のいずれか一つに記載の感圧接着細長片
を製造するための方法。
【請求項54】
DACP(ジアセトンアルコール曇り点)が-20℃超、軟化温度(環球式)が70℃以上の樹脂が、α-ピネンおよび/またはβ-ピネンおよび/またはδ-リモネンをベースとするポリテルペン樹脂である、請求項1~18および22~
51のいずれか一つに記載の感圧接着細長片。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニルブロックコポリマーをベースとし、貼付面方向での伸長延伸によって再剥離可能な結合を提供するために使用可能な、引裂に強い感圧接着細長片に関する。
【背景技術】
【0002】
貼付面での伸長延伸により残留物および破壊なく再剥離可能な、弾性または可塑性に高伸長性の自己接着テープは、例えばUS4,024,312A(特許文献1)、DE3331016C2(特許文献2)、WO92/11332A1(特許文献3)、WO92/11333A1(特許文献4)、DE4222849C1(特許文献5)、WO95/06691A1(特許文献6)、DE19531696A1(特許文献7)、DE19626870A1(特許文献8)、DE19649727A1(特許文献9)、DE19649728A1(特許文献10)、DE19649729A1(特許文献11)、DE19708364A1(特許文献12)、DE19720145A1(特許文献13)、DE19820858A1(特許文献14)、WO99/37729A1(特許文献15)、およびDE10003318A1(特許文献16)から公知であり、以下ではストリップ可能な自己接着テープとも言う。
【0003】
このようなストリップ可能な自己接着テープは、片面または両面で感圧接着性の接着フィルム細長片の形態でしばしば用いられ、これらの接着フィルム細長片は、感圧接着性ではないつまみ領域を有するのが好ましく、このつまみ領域から剥離プロセスが開始される。対応する自己接着テープの特別な適用は、なかでもDE4233872C1(特許文献17)、DE19511288C1(特許文献18)、US5,507,464B1(特許文献19)、US5,672,402B1(特許文献20)、およびWO94/21157A1(特許文献21)で見つかる。特殊な実施形態は、DE4428587C1(特許文献22)、DE4431914C1(特許文献23)、WO97/07172A1(特許文献24)、DE19627400A1(特許文献25)、WO98/03601A1(特許文献26)、およびDE19649636A1(特許文献27)、DE19720526A1(特許文献28)、DE19723177A1(特許文献29)、DE19723198A1(特許文献30)、DE19726375A1(特許文献31)、DE19756084C1(特許文献32)、DE19756816A1(特許文献33)、DE19842864A1(特許文献34)、DE19842865A1(特許文献35)、WO99/31193A1(特許文献36)、WO99/37729A1(特許文献15)、WO99/63018A1(特許文献37)、WO00/12644A1(特許文献38)、およびDE19938693A1(特許文献39)にも記載されている。
【0004】
前述のストリップ可能な接着フィルム細長片の好ましい使用分野は、とりわけ、住宅、作業所、およびオフィスの領域での、軽量~中量の対象物の、残留物および破壊なく再剥離可能な固定を含んでいる。住宅およびオフィスの領域での使用には、400μm超のかなりの厚さの製品が一般的に用いられる。
【0005】
例えば携帯電話、デジタルカメラ、またはラップトップの製造に関するような、一般消費者向け電子機器産業では、利用後、ごみ処理の際に個々の部品の分離が可能であることへの希望がますます大きくなっている。この場合、幾つかの部品は再利用または再生することができる。または少なくともごみの分別処理が可能になる。したがってこの産業では、再剥離可能な接着結合に大きな関心が寄せられている。ここではとりわけ、くっつき性能が高く、希望に応じて容易に除去可能な接着テープが、剥離のために最初に例えば加熱により前処理しなければならない接着細長片に対する有意義な代替策となる。
【0006】
一般消費者向け電子機器の分野では、端末機器はできるだけ薄くあるべきであり、したがってすべての個々のコンポーネントもあまりスペースをとるべきではないので、できるだけ薄い接着細長片が好ましい。
【0007】
支持体なしで製造された非常に薄いストリップ可能な接着細長片を使用する場合は、裂け目が生じ易くなる(DE3331016C2(特許文献2)を参照)。接着細長片が裂けると、残った接着細長片が接着接合部内に跳ね返り、したがってつまみ部がなくなるので、一般的にはもちろんそれ以上剥離できなくなる。
【0008】
WO92/11333A1(特許文献4)は、延伸後の復元力が<50%の高延伸性フィルムを支持体として利用するストリップ可能な接着テープを記載している。
【0009】
WO92/11332A1(特許文献3)は、高延伸性で実質的に非復元性のフィルムを支持体として利用可能な、貼付面での引張により再剥離可能な接着フィルム細長片を記載している。接着剤としては、UV架橋したアクリラートコポリマーのみを使用しており、これらの接着剤では高い貼付強度を達成することはできず、これらの接着剤は、例えばビニル芳香族系ブロックコポリマーベースの接着剤の場合にそうであるより、伸長中の接着力の喪失が弱い。
【0010】
WO2010/141248A1(特許文献40)のようなさらなる公報は、同様に接着力が小さいポリイソブチレン感圧接着剤を備えた系を記載している。
【0011】
発泡した非感圧接着性のフィルム支持体を備えたストリップ可能な接着フィルム細長片が、WO95/06691A1(特許文献6)、DE19649727A1(特許文献9)、DE19649728A1(特許文献10)、DE19649729A1(特許文献11)、およびDE19820858A1(特許文献14)に記載されている。このフォーム材中間支持体により、200μm未満の小さな厚さの接着フィルム細長片は不可能である。
【0012】
発泡感圧接着剤系は、比較的以前から公知であり、従来技術で記載されている。基本的に、ポリマーフォームは2つの様式で製造することができる。一つは、発泡ガスとして添加されるのであれまたは化学反応の結果として生じるのであれ、発泡ガスの作用によるものであり、もう一つは、材料マトリクス中に中空小球を混ぜ込むことによる。後者の様式で製造したフォームは、シンタクチックフォームと言う。
【0013】
微小中空球によって発泡した接着剤は、均一なサイズ分布の発泡セルによる規定のセル構造を特徴とする。微小中空球により、穴のないクローズドセルフォームが得られ、これらのクローズドセルフォームはオープンセルの形態に比べ、なかでも埃および液状媒体に対するより良好な密閉作用を特徴とする。それだけでなく、化学的または物理的に発泡した材料は、圧力下および温度下での不可逆的な崩壊に対して比較的脆弱であり、かつ比較的低い凝集強度をしばしば示す。
【0014】
特に有利な特性は、発泡のための微小球として、膨張可能な微小球(「マイクロバルーン」とも言う)を用いる場合に達成することができる。膨張可能な微小球の柔軟で熱可塑性のポリマーシェルにより、このようなフォームは、膨張可能でなくポリマーでない微小中空球(例えばガラス中空球)で満たされたものより高い適合能力を有している。このようなフォームは、例えば射出成形部品の場合に規定されているような製造公差の補償により良く適しており、かつそれらのフォーム性質に基づき、熱応力もより良好に相殺することができる。
【0015】
さらに、ポリマーシェルの熱可塑性樹脂の選択により、フォームの機械的特性にさらに影響を及ぼすことができる。こうして例えば、フォームがマトリクスより小さい密度を有する場合でさえ、ポリマーマトリクスだけより高い凝集強度をもつフォームを製造することができる。したがって、自己接着性フォームのために、粗い下地への適合能力のような典型的なフォーム特性を、高い凝集強度と組み合わせることができる。
【0016】
EP0257984A1(特許文献41)では、少なくとも片面に発泡接着コーティングを有する接着テープが開示されている。この接着コーティング中にポリマー小球が含有されており、ポリマー小球自体は、炭化水素から成る液体を内包しており、温度が上昇すると膨張する。自己接着剤の骨格ポリマーは、ゴムまたはポリアクリラートから成ることができる。ここではマイクロバルーンは、重合の前か後に添加される。マイクロバルーンを含有する自己接着剤は、溶剤から加工され、接着テープへと成形される。この場合、発泡ステップは必然的にコーティングの後に行われる。こうして微細粗面が得られる。これに基づき、とりわけ破壊なしの再剥離性および再配置性のような特性が結果として生じる。マイクロバルーンによって発泡した自己接着剤の微細粗面による比較的良好な再配置性の効果は、DE3537433A1(特許文献42)またはWO95/31225A1(特許文献43)のようなさらなる公報にも記載されている。
【0017】
微細粗面は、気泡のない貼付を形成するために使用される。この使用は、EP0693097A1(特許文献44)およびWO98/18878A1(特許文献45)も開示している。マイクロバルーンによって発泡した自己接着剤は、公報US4,885,170A(特許文献46)およびEP1102809B(特許文献47)からも公知であり、ここではしかしマイクロバルーンを、再剥離不可の永久貼付用接着テープのための充填剤として用いている。
【0018】
一般消費者向け電子機器産業における機器に属するのは、電子式の、光学式の、および精密機械工学式の機器であり、本願の意味ではとりわけ、標章の登録のための商品およびサービスの国際分類(ニース分類);第10版(NCL(10-2013));の第9類に分類される機器(電子式、光学式、または精密機械工学式の機器である場合に限る)、さらに第14類(NCL(10-2013))に基づく時計および時間測定器であり、
とりわけ以下のようなものである。
・ 科学用、船舶航行用、測量用、写真用、映画用、光学用、計量用、測定用、信号用、検査用、救命用、および教育用の器具および器械
・ 電気の伝導用、開閉用、変圧用、蓄電用、調整用、および制御用の器具および器械
・ 画像の記録用、加工用、転送用、および再生用の機器、例えばテレビおよびその類似物
・ 音響の記録用、加工用、転送用、および再生用の機器、例えばラジオおよびその類似物
・ コンピューター、計算機器およびデータ加工機器、数学用の機器および器械、コンピューター付属部品、事務機器(例えばプリンター、Fax機、コピー機、タイプライター)、データ記憶機器
・ 遠隔通信機能をもつ遠隔通信および多機能機器、例えば電話、留守番電話機
・ 化学的および物理的な測定機器、制御機器および器械、例えば蓄電池充電機器、マルチメーター、ランプ、スピードメーター
・ 航海用の機器および器械
・ 光学用の機器および器械
・ 医療用の機器および器械、ならびにスポーツマンのための医療用の機器および器械
・ 時計およびクロノメータ
・ 太陽電池モジュール、例えば電気化学式の色素太陽電池、有機太陽電池、薄膜電池
・ 消火機器
【0019】
技術的発展は、ますます小さく軽く形成され、したがって所有者がいつでも携帯でき、かつ通常は常に携帯されるような機器へと、いっそう向かっている。これは、このような機器の軽い重量および/または適切なサイズの実現によって通常もたらされる。このような機器を、本明細書の枠内ではモバイル機器またはポータブル機器とも言う。この発展傾向では、精密機械工学式および光学式の機器に、電子コンポーネントが(も)ますます装備されるようになり、これは最小化の可能性を向上させる。モバイル機器の携帯に基づき、これらの機器は、例えば縁にぶつかることで、落とすことで、カバン内でのほかの硬い物と接触することで、しかし携帯すること自体によって絶えず動いていることでも既に、とりわけ機械的な負荷にますます曝される。しかしモバイル機器は、通常は室内で設置されてまったくまたはほとんど動かない「固定の」機器より、湿気の影響、温度の影響、およびそれに類することに基づく負荷にもより強く曝されている。
【0020】
これに対応して本発明は、モバイル機器に関することが特に好ましい。なぜなら本発明によって用いられる接着剤はここでは、接着剤の予想外に優れた特性(非常に高い耐衝撃性)に基づいて特別な効用を有するからである。以下に幾つかのポータブル機器を列挙するが、このリスト内で具体的に挙げた代表物により、本発明の対象を不要に制限する意図はない。
【0021】
・ 写真機、デジタルカメラ、写真撮影用の付属機器(例えば露出計、フラッシュ機器、絞り、カメラハウジングケース、対物レンズなど)、フィルムカメラ、ビデオカメラ
・ ミニコンピューター(モバイルコンピューター、ポケットコンピューター、電卓)、ラップトップ、ノート型パソコン、ネットブック、ウルトラブック、タブレットパソコン、ハンドヘルド端末、電子式の日程記入用カレンダーおよびシステム手帳(いわゆる「Electronic Organizer」または「Personal Digital Assistant」、PDA、Palmtop)、モデム
・ コンピューター用付属機器および電子機器用操作ユニット、例えばマウス、ペンタブレット、グラフィックタブレット、マイク、スピーカー、ゲーム機、ゲームパッド、リモコン、遠隔操作装置、タッチパッド(「Touchpad」)
・ モニター、ディスプレイ、スクリーン、タッチ感応式スクリーン(センサースクリーン、「タッチスクリーン機器」)、プロジェクター
・ 電子書籍(「E-Book」)用の読み取り機器
・ 小型テレビ、ポケットテレビ、フィルム再生機器、ビデオ再生機器
・ ラジオ(小型およびポケットラジオも)、ウォークマン、ディスクマン、例えばCD、DVD、ブルーレイ、カセット、USB、MP3用の音楽再生機器、ヘッドホン
・ コードレス電話、携帯電話、スマートフォン、無線電話機、ハンドフリー電話機、呼び出し機器(ページャー、ピーパー)
・ 携帯型除細動器、血糖値測定器、血圧測定器、歩数計、心拍計
・ 懐中電灯、レーザポインター
・ 携帯型探知機、光学拡大機器、望遠機器、暗視機器
・ GPS機器、ナビゲーション機器、衛星通信の携帯型インターフェイス機器
・ データ記憶機器(USBスティック、外付けハードディスク、メモリカード)
・ 腕時計、デジタル時計、懐中時計、チェーン時計、ストップウォッチ
【0022】
これらの機器には、とりわけ、高い保持性能を有し、希望に応じて容易に除去可能な接着テープが必要とされている。
【0023】
さらに重要なのは、電子機器、例えば携帯電話が落ちて下に衝突しても、接着テープの保持性能に不具合が生じないことである。つまり、接着細長片は非常に高い耐衝撃性を有さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【文献】US4,024,312A
【文献】DE3331016C2
【文献】WO92/11332A1
【文献】WO92/11333A1
【文献】DE4222849C1
【文献】WO95/06691A1
【文献】DE19531696A1
【文献】DE19626870A1
【文献】DE19649727A1
【文献】DE19649728A1
【文献】DE19649729A1
【文献】DE19708364A1
【文献】DE19720145A1
【文献】DE19820858A1
【文献】WO99/37729A1
【文献】DE10003318A1
【文献】DE4233872C1
【文献】DE19511288C1
【文献】US5,507,464B1
【文献】US5,672,402B1
【文献】WO94/21157A1
【文献】DE4428587C1
【文献】DE4431914C1
【文献】WO97/07172A1
【文献】DE19627400A1
【文献】WO98/03601A1
【文献】DE19649636A1
【文献】DE19720526A1
【文献】DE19723177A1
【文献】DE19723198A1
【文献】DE19726375A1
【文献】DE19756084C1
【文献】DE19756816A1
【文献】DE19842864A1
【文献】DE19842865A1
【文献】WO99/31193A1
【文献】WO99/63018A1
【文献】WO00/12644A1
【文献】DE19938693A1
【文献】WO2010/141248A1
【文献】EP0257984A1
【文献】DE3537433A1
【文献】WO95/31225A1
【文献】EP0693097A1
【文献】WO98/18878A1
【文献】US4,885,170A
【文献】EP1102809B
【文献】WO2011/124782A1
【文献】DE102012223670A1
【文献】WO2009/114683A1
【文献】WO2010/077541A1
【文献】WO2010/078396A1
【文献】EP0894841B1
【文献】EP1308492B1
【非特許文献】
【0025】
【文献】J.Brandrup、E.H.Immergut、E.A.Grulke(発行者)、Polymer Handbook、第4版 1999、Wiley、New York
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0026】
本発明の課題は、ビニル芳香族系ブロックコポリマーをベースとする接着剤を備えており、とりわけ貼付面方向での伸長により残留物および破壊なしに再剥離可能であり、x、y平面およびz平面での特に高い耐衝撃性を有すると同時に剥離力が減少した接着細長片を発見することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この課題は、請求項1に記されているような概念の感圧接着細長片により、本発明によって解決される。この場合、従属請求項の対象は感圧接着細長片の有利な変形形態である。
【0028】
それに応じて本発明は、接着剤層を含み、実質的に貼付面での伸長延伸により残留物および破壊なく再剥離可能な感圧接着細長片に関し、この接着剤層は、ビニル芳香族系ブロックコポリマーおよび接着樹脂をベースとして構成された感圧接着剤から成っており、これに関しては(樹脂割合全体に対して)少なくとも75重量%で、DACP(ジアセトンアルコール曇り点)が-20℃超、好ましくは0℃超で、軟化温度(環球式)が70℃以上、好ましくは100℃以上の樹脂が選択され、かつこの感圧接着剤は発泡している。
【0029】
この関連で公知のストリップ可能な接着フィルム細長片を、容易かつ残留物なく再剥離し得るには、接着フィルム細長片が、特定の接着技術的特性を有さなければならない。すなわち、延伸の際、接着フィルム細長片の接着性が明らかに低下しなければならない。延伸状態での接着性能が低ければ低いほど、剥離の際に下地がより損傷されなくなる。
【0030】
この特性は、ビニル芳香族系ブロックコポリマーをベースとする接着剤で、特にはっきりと認識することができ、これらの接着剤の場合、降伏点の付近で接着性が10%未満に低下する。
【0031】
ストリップ可能な接着テープを、容易かつ残留物なく再剥離し得るには、接着テープが、上記の接着技術的特性だけでなく、幾つかの特定の機械的特性も有さなければならない。
【0032】
引裂力とストリップ力の比が2超、好ましくは3超であることが特に有利である。
【0033】
このストリップ力とは、接着細長片を接着接合部から、貼付面方向での平行な引張によって再剥離するために費やさなければならない力である。このストリップ力は、上記のように貼付下地から接着テープを剥離するために必要な力と、接着テープを変形するために費やさなければならない力とから構成されている。接着テープの変形に必要な力は、接着フィルム細長片の厚さに依存している。
【0034】
これに対し剥離に必要な力は、接着フィルム細長片の考察した厚さ範囲(20~2000μm)内では接着細長片の厚さには依存していない。
【0035】
ビニル芳香族系ブロックコポリマーとしては、A-B、A-B-A、(A-B)n、(A-B)nX、または(A-B-A)nXの構造をもつブロックコポリマーの形態での少なくとも1種の合成ゴムが好ましく、
式中、
- ブロックAは、互いに独立して、少なくとも1種のビニル芳香族の重合によって形成されたポリマーを表しており、
- ブロックBは、互いに独立して、4~18個のC原子を有する共役ジエンおよび/もしくはイソブチレンの重合によって形成されたポリマーまたはそのようなポリマーの部分的もしくは完全に水素化された誘導体を表しており、
- Xは、カップリング試薬または開始剤の残基を表しており、かつ
- nは、整数≧2を表している。
【0036】
とりわけ、本発明による感圧接着剤のすべての合成ゴムは、上で説明したような構造をもつブロックコポリマーである。したがって本発明による感圧接着剤は、上記のような構造をもつ様々なブロックコポリマーの混合物も含有することができる。
【0037】
つまり、適切なブロックコポリマー(ビニル芳香族系ブロックコポリマー)は、1つまたは複数のゴム状のブロックB(軟質ブロック)と、1つまたは複数のガラス状のブロックA(硬質ブロック)とを含んでいる。特に好ましいのは、本発明による感圧接着剤の少なくとも1種の合成ゴムが、A-B、A-B-A、(A-B)3X、または(A-B)4Xの構造をもつブロックコポリマーであることであり、式中、A、B、およびXには上記の意味が当てはまる。とりわけ好ましいのは、本発明による感圧接着剤のすべての合成ゴムが、A-B、A-B-A、(A-B)3X、または(A-B)4Xの構造をもつブロックコポリマーであることであり、式中、A、B、およびXには上記の意味が当てはまる。とりわけ、本発明による感圧接着剤の合成ゴムは、A-B、A-B-A、(A-B)3X、または(A-B)4Xの構造をもつブロックコポリマーから成る混合物であり、この混合物は、少なくともジブロックコポリマーA-Bおよび/またはトリブロックコポリマーA-B-Aを含有することが好ましい。
【0038】
さらに有利なのは、ジブロックコポリマーおよびトリブロックコポリマーおよび(A-B)nブロックコポリマーまたは(A-B)nXブロックコポリマー(nは3以上)から成る混合物である。
【0039】
感圧接着剤としては、主としてビニル芳香族、好ましくはスチレンによって形成されたポリマーブロック(Aブロック)ならびに主として1,3-ジエン、例えばブタジエンおよびイソプレンの重合によって形成されたポリマーブロック(Bブロック)またはこれらのポリマーブロックから成るコポリマーを含有するブロックコポリマーをベースとする感圧接着剤を使用することが好ましい。この生成物は、ジエンブロックにおいて部分的または完全に水素化されていてもよい。ビニル芳香族およびイソブチレンのブロックコポリマーも、本発明に基づいて利用可能である。
【0040】
感圧接着剤のブロックコポリマーは、ポリスチレンブロックを有することが好ましい。
【0041】
AブロックおよびBブロックから生じるブロックコポリマーは、同じまたは異なるBブロックを含有することができる。このブロックコポリマーは、直鎖状のA-B-A構造を有することができる。放射状の形態のブロックコポリマーならびに星形および直鎖状のマルチブロックコポリマーも用いることができる。さらなる成分としてA-B二元ブロックコポリマーが存在することができる。上記のポリマーのすべては、単独でまたは相互に混合して利用することができる。
【0042】
好ましいポリスチレンブロックの代わりに、ビニル芳香族として、75℃超のガラス転移温度をもつそのほかの芳香族含有ホモおよびコポリマー(好ましくはC8~C12芳香族)をベースとするポリマーブロック、例えばα-メチルスチレン含有の芳香族ブロックも利用することができる。同じまたは異なるAブロックをさらに含有してもよい。
【0043】
ブロックAを形成するためのビニル芳香族が、スチレン、α-メチルスチレン、および/またはそのほかのスチレン誘導体を含むことが好ましい。したがってブロックAは、ホモまたはコポリマーとして存在することができる。ブロックAがポリスチレンであることが特に好ましい。
【0044】
軟質ブロックBのためのモノマーとして好ましい共役ジエンは、とりわけブタジエン、イソプレン、エチルブタジエン、フェニルブタジエン、ピペリレン、ペンタジエン、ヘキサジエン、エチルヘキサジエン、およびジメチルブタジエン、ならびにこれらモノマーの任意の混合物から成る群から選択される。ブロックBも、ホモポリマーとしてまたはコポリマーとして存在することができる。
【0045】
特に好ましいのは、軟質ブロックBのためのモノマーとしての共役ジエンが、ブタジエンおよびイソプレンから選択されることである。例えば、軟質ブロックBは、ポリイソプレン、ポリブタジエン、またはこれら両方のポリマーのうちの1つの部分的もしくは完全に水素化された誘導体、例えばとりわけポリブチレンブタジエンであるか、またはブタジエンおよびイソプレンから成る混合物から成るポリマーである。ブロックBがポリブタジエンであることがとりわけ好ましい。
【0046】
Aブロックは、本発明の関連では「硬質ブロック」とも言う。これに対応してBブロックを「軟質ブロック」または「エラストマーブロック」とも言う。これは、それらのガラス転移温度(Aブロックに関しては低くとも25℃、とりわけ低くとも50℃、およびBブロックに関しては高くとも25℃、とりわけ高くとも-25℃)に応じた、ブロックの本発明による選択を反映している。
【0047】
好ましい一形態では、感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマー、とりわけスチレンブロックコポリマーの割合が、合計で少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、さらに好ましくは少なくとも35重量%である。
【0048】
ビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が低すぎると、感圧接着剤の凝集性が比較的低くなり、したがってストリッピングに必要な引裂強度が低くなりすぎる。
【0049】
感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマー、とりわけスチレンブロックコポリマーの合計での最大割合は、最大で75重量%、好ましくは最大で65重量%、とりわけ好ましくは最大で55重量%である。
【0050】
ビニル芳香族系ブロックコポリマーの割合が高すぎても、感圧接着剤がほとんど感圧接着性でなくなってしまう。
【0051】
これに対応して、感圧接着剤全体に対するビニル芳香族系ブロックコポリマー、とりわけスチレンブロックコポリマーの割合は、合計で少なくとも20重量%、好ましくは少なくとも30重量%、さらに好ましくは少なくとも35重量%であり、同時に最大で75重量%、好ましくは最大で65重量%、とりわけ好ましくは最大で55重量%である。
【0052】
本発明による感圧接着剤は、とりわけスチレンブロックコポリマーをベースとする。ポリマー混合物の感圧接着性は、エラストマー相と混合可能な接着樹脂を添加することで達成される。
【0053】
感圧接着剤は、付着性を希望に応じて上昇させるため、少なくとも1種のビニル芳香族系ブロックコポリマーだけでなく、少なくとも1種の接着樹脂を含有している。この接着樹脂は、ブロックコポリマーのエラストマーブロックと適合することが望ましい。
【0054】
「接着樹脂」とは、一般的な当業者の理解に従い、接着樹脂を含有しないがそのほかでは同一の感圧接着剤に比べて感圧接着剤の自着性(タック、自己接着性)を上昇させるオリゴマー性またはポリマー性の樹脂のことである。
【0055】
これに対応して、(樹脂割合全体に対して)少なくとも75重量%で、DACP(ジアセトンアルコール曇り点)が-20℃超、好ましくは0℃超で、軟化温度(環球式)が70℃以上、好ましくは100℃以上の樹脂が選択される。
【0056】
特に好ましいのは、接着樹脂が、(樹脂割合全体に対して)少なくとも75重量%で、炭化水素樹脂またはテルペン樹脂またはその混合物であることである。
【0057】
感圧接着剤のための、とりわけ非極性炭化水素樹脂のための接着性付与剤として、例えば、ジシクロペンタジエンの水素化されたおよび水素化されていない重合体、C5、C5/C9、またはC9モノマー流をベースとする水素化されていない、部分的に、選択的に、または完全に水素化された炭化水素樹脂、α-ピネンおよび/またはβ-ピネンおよび/またはδ-リモネンをベースとするポリテルペン樹脂を用い得ることが有利であると分かった。上記の接着樹脂は、単独でも混合物でも用いることができる。これに関しては室温で固体の樹脂も液体の樹脂も用いることができる。任意選択で、酸素も含有する水素化されているかまたは水素化されていない接着樹脂を、接着剤中の樹脂の接着剤全体に対する最大25%の割合まで用い得ることが好ましい。
【0058】
室温で液体の樹脂の割合は、好ましい一形態によれば、感圧接着剤全体に対して15重量%まで、好ましくは10重量%までである。
【0059】
本発明による感圧接着剤は、少なくとも1種の接着樹脂を感圧接着剤の総重量に対して20~60重量%で含有することが好ましい。特に好ましいのは、感圧接着剤の総重量に対して30~50重量%で接着樹脂を含有することである。
【0060】
さらなる添加剤として典型的に利用可能なのは、以下のとおりである。
・ 可塑剤、例えば軟化油、または低分子液体ポリマー、例えば低分子ポリブテン
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~5重量%の割合
・ 一次酸化防止剤、例えば立体障害性フェノール
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~1重量%の割合
・ 二次酸化防止剤、例えば亜リン酸塩またはチオエーテル
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~1重量%の割合
・ プロセス安定化剤、例えばCラジカルスカベンジャー
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~1重量%の割合
・ 光安定剤、例えばUV吸収剤または立体障害性アミン
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~1重量%の割合
・ 加工助剤
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~1重量%の割合
・ 末端ブロック強化樹脂
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~10重量%の割合、ならびに
・ 場合によっては、好ましくはエラストマー性質のさらなるポリマー;相応に利用可能なエラストマーに含まれるのは、なかでも、純粋な炭化水素、例えば天然のまたは合成で生成したポリイソプレンまたはポリブタジエンのような不飽和ポリジエンをベースとするエラストマー、化学的に実質的に飽和のエラストマー、例えば飽和のエチレン・プロピレンコポリマー、α-オレフィンコポリマー、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレン・プロピレンゴムをベースとするエラストマー、および化学的に官能化した炭化水素、例えばハロゲン含有の、アクリラート含有の、アリル含有の、またはビニルエーテル含有のポリオレフィンをベースとするエラストマーである
好ましくは感圧接着剤の総重量に対して0.2~10重量%の割合
【0061】
混合成分の種類および量は、必要に応じて選択することができる。
【0062】
本発明によれば、接着剤が、上記の混和剤の幾つか、好ましくはすべてをそれぞれ有さない場合もある。
【0063】
本発明の一実施形態では、感圧接着剤がさらなる添加剤も含有しており、例示的に、ただし制限性なく言及するなら、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタン、スズ、亜鉛、鉄、もしくはアルカリ(土類)金属の結晶質もしくは非晶質の酸化物、水酸化物、炭酸塩、窒化物、ハロゲン化物、炭化物、または酸化物化合物/水酸化物化合物/ハロゲン化物化合物の混合物である。これは実質的にアルミナ、例えば酸化アルミニウム、ベーマイト、バイヤライト、ギブサイト、ダイアスポア、およびその類似物である。とりわけ適しているのは、層状ケイ酸塩、例えばベントナイト、モンモリロナイト、ヒドロタルサイト、ヘクトライト、カオリナイト、ベーマイト、雲母、バーミキュライト、またはその混合物である。しかし、カーボンブラックまたはさらなる炭素修飾体、例えばカーボンナノチューブも使用することができる。
【0064】
接着剤を、染料または顔料によって着色してもよい。接着剤は、白、黒、またはカラーであることができる。
【0065】
軟化剤として、例えば(メタ)アクリラートオリゴマー、フタラート、シクロヘキサンジカルボン酸エステル、水溶性軟化剤、軟質樹脂、リン酸塩、またはポリリン酸塩を配量添加することができる。
【0066】
感圧接着剤の熱間せん断強度を調整するため、シリカ、有利にはジメチルジクロロシランで表面修飾された沈降シリカの添加物を利用することができる。
【0067】
本発明の好ましい一実施形態によれば、接着剤は、ビニル芳香族系ブロックコポリマー、接着樹脂、マイクロバルーン、および場合によっては上で言及した添加剤のみから成っている。
【0068】
接着剤が下記の組成から成ることがさらに好ましい。
・ ビニル芳香族系ブロックコポリマー 20~75重量%
・ 接着樹脂 24.6~60重量%
・ マイクロバルーン 0.2~10重量%
・ 添加剤 0.2~10重量%
【0069】
接着剤が下記の組成から成ることがさらに好ましい。
・ ビニル芳香族系ブロックコポリマー 35~65重量%
・ 接着樹脂 34.6~45重量%
・ マイクロバルーン 0.2~10重量%
・ 添加剤 0.2~10重量%
【0070】
接着剤が下記の組成から成ることがさらに好ましい。
・ ビニル芳香族系ブロックコポリマー 30~75重量%
・ 接着樹脂 24.8~60重量%
・ マイクロバルーン 0.2~10重量%
【0071】
本発明による感圧接着剤は発泡している。発泡は、任意の化学的および/または物理的な方法によって行うことができる。ただし発泡した本発明による感圧接着剤は、マイクロバルーンの導入およびその後の膨張によって得ることが好ましい。
【0072】
「マイクロバルーン」とは、熱可塑性ポリマーシェルを有する弾性の、したがってそれらの基本状態で膨張可能な微小中空球のことである。この球は、低沸点の液体または液化ガスで満たされている。シェル材料としては、とりわけポリアクリロニトリル、PVDC、PVC、またはポリアクリラートが使用される。低沸点の液体としては、とりわけ低級アルカンの炭化水素、例えばイソブタンまたはイソペンタンが適しており、これらは圧力下で液化ガスとしてポリマーシェル内に閉じ込められている。
【0073】
マイクロバルーンへの作用により、とりわけ熱作用により、外側のポリマーシェルが軟化する。同時にシェル内にある液状の発泡ガスがそのガス状の状態に移行する。その際、マイクロバルーンが不可逆的に拡張し、3次元で膨張する。膨張は、内圧と外圧が釣り合うと終了する。ポリマーのシェルは維持されるので、こうしてクローズドセルフォームが得られる。
【0074】
多数のマイクロバルーンタイプが市販されており、マイクロバルーンタイプは、実質的にそのサイズ(未膨張状態の直径6~45μm)および膨張に必要な開始温度(75~220℃)によって区別される。市販されているマイクロバルーンの一例は、Akzo Nobel社のExpancel(登録商標)DUタイプ(DU=dry unexpanded)である。
【0075】
未膨張マイクロバルーンタイプは、固体またはマイクロバルーンの割合が約40~45重量%の水分散液としても、さらに、例えばエチレンビニルアセタート中でマイクロバルーン濃度が約65重量%の、ポリマー結合したマイクロバルーン(マスターバッチ)としても入手可能である。マイクロバルーン分散系もマスターバッチも、DUタイプのように、発泡した本発明による感圧接着剤の製造に適している。
【0076】
発泡した本発明による感圧接着剤は、いわゆる既膨張マイクロバルーンによっても生成することができる。この群の場合、膨張は、ポリマーマトリクス中に混入する前に既に行われている。既膨張マイクロバルーンは、例えば名称Dualite(登録商標)で、またはタイプ名称Expancel xxx DE(Dry Expanded)で、Akzo Nobel社から市販されている。
【0077】
本発明に基づいて好ましいのは、マイクロバルーンによって形成されたすべての中空空間の少なくとも90%が、10~200μm、より好ましくは15~200μmの最大直径を有することである。「最大直径」とは、任意の空間方向でのマイクロバルーンの最大広さのことである。
【0078】
直径の決定は、倍率500倍の走査電子顕微鏡(REM)で、凍結割断エッジ(Kryobruchkante)に基づいて行われる。各々の個々のマイクロバルーンから、画像により直径を確定する。
【0079】
マイクロバルーンによって発泡させる場合、マイクロバルーンは、配合物のバッチ、ペーストとして、または混ぜ物無しもしくは有りの粉末として供給することができる。マイクロバルーンは、溶剤中にさらに懸濁していることができる。
【0080】
接着剤中のマイクロバルーンの割合は、本発明の好ましい一実施形態によれば、それぞれ接着剤の組成全体に対して0重量%超~10重量%の間、とりわけ0.25重量%~5重量%の間、ことに0.5~1.5重量%の間である。
【0081】
このデータは未膨張マイクロバルーンに関するものである。
【0082】
膨張可能な微小中空球を含有する本発明によるポリマー剤が、膨張不可の微小中空球を追加的に含有してもよい。重要なのは、ガスを内包するほぼすべての空洞が、永続的に耐密性の膜によって閉じられていることだけであり、したがってこの膜が弾性で、かつ熱可塑性に伸長可能なポリマー混合物から成るのか、または例えば弾性で、かつプラスチック加工であり得る温度スペクトル内では熱可塑性ではないガラスから成るのかはどうでもよい。
【0083】
本発明による感圧接着剤に適しているのは、さらにポリマー中実球、ガラス中空球、ガラス中実球、セラミック中空球、セラミック中実球、および/または炭素中実球(「カーボンマイクロバルーン」)であり、ほかの添加剤から独立して選択される。
【0084】
発泡した本発明による感圧接着剤の絶対密度は、好ましくは350~990kg/m3、より好ましくは450~970kg/m3、とりわけ500~900kg/m3である。
【0085】
相対密度は、発泡した本発明による感圧接着剤の密度の、同一配合で未発泡の本発明による感圧接着剤の密度に対する比率を表している。本発明による感圧接着剤の相対密度は、好ましくは0.35~0.99、より好ましくは0.45~0.97、とりわけ0.50~0.90である。
【0086】
本発明による感圧接着剤が支持体上に施されている(片面または両面で)場合、発泡した本発明による感圧接着剤の絶対密度は、好ましくは220~990kg/m3、より好ましくは300~900kg/m3、とりわけ500~850kg/m3の間である。
【0087】
この場合の相対密度は、好ましくは0.20~0.99の間、より好ましくは0.30~0.90の間、とりわけ0.50~0.85の間である。
【0088】
本発明によるポリマーフォームを使用して製造した接着テープは、下記の接着テープとして形成することができる。
・ 発泡した自己接着剤の1つだけの層から成る、両面で自己接着性の一層の接着テープ(いわゆる「転写式テープ」)
・ 自己接着剤層が本発明による接着テープの層である、片面で自己接着性に仕上げられた接着テープ(以下、「片面自己接着テープ」)
・ 一方の、とりわけ両方の本発明による自己接着剤層が接着テープの層である、両面で自己接着性に仕上げられた接着テープ(以下、「両面自己接着テープ」)、例えば発泡した自己接着剤および発泡してない自己接着剤から成る二層系
・ 支持層を備え、両面で自己接着性に仕上げられた接着テープであり、支持層の両面に接着剤が施されており、接着剤の少なくとも一方が本発明による接着剤である。
【0089】
これに関し、両面製品(貼付を想定しているかまたはシーリングを想定しているかはどうでもよい)は、対称的または非対称的な製品構造を有することができる。
【0090】
本発明の有利な一実施形態によれば、支持体が両面にそれぞれ1つの接着剤層を備えており、この場合、第2の接着剤層も、ビニル芳香族系ブロックコポリマーおよび接着樹脂をベースとして形成されることが好ましい。
【0091】
さらに好ましいのは、第1および第2の接着剤層が同一の組成を有することである。
【0092】
支持体が、1つだけの層のみから成っている接着フィルム細長片の一実施形態が好ましい。
【0093】
本発明思想に含まれて、接着細長片の真ん中に伸長性支持体を備えた構造が考えられ、この場合、支持体の伸長性は、伸長延伸による接着細長片の剥離を保証するために十分でなければならない。支持体として、例えば非常に伸長能力のあるフィルムを用いることができる。有利に用い得る伸長性支持体の例は、WO2011/124782A1(特許文献48)、DE102012223670A1(特許文献49)、WO2009/114683A1(特許文献50)、WO2010/077541A1(特許文献51)、WO2010/078396A1(特許文献52)からの透明な実施形態である。
【0094】
支持フィルムの製造には、フィルム形成性のまたは押出成形可能なポリマーが用いられ、これらのポリマーは、追加的に1軸または2軸配向されていてよい。
【0095】
好ましい一設計では、ポリオレフィンが用いられる。好ましいポリオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、および/またはヘキシレンから製造され、その際、それぞれ純粋なモノマーを重合することができ、または挙げたモノマーから成る混合物を共重合する。重合方法により、およびモノマーの選択により、ポリマーフィルムの例えば軟化温度および/または引裂強度のような物理的および機械的な特性を制御することができる。
【0096】
ポリウレタンは、伸長性支持層のための出発材料としてさらに有利に使用することができる。ポリウレタンは、ポリオールおよびイソシアナートから典型的には形成される化学的および/または物理的に架橋された重縮合物である。個々の成分の種類および使用比率に応じて、本発明の意味において有利に用い得る伸長性材料を入手することができる。このために配合者が利用可能な原料は、例えばEP0894841B1(特許文献53)およびEP1308492B1(特許文献54)に挙げられている。当業者には、本発明による支持層を形成し得るさらなる原料が公知である。伸長性を実現するため、支持層にゴムベースの材料を用いることがさらに有利である。伸長性支持層のための出発材料としての、ゴムまたは合成ゴムまたはそれらから生成された混合物として、天然ゴムは基本的に、例えばクレープタイプ、RSSタイプ、ADSタイプ、TSRタイプ、またはCVタイプのようなすべての入手可能な品質から、必要な純度および粘性のレベルに応じて選択することができ、1種または複数の合成ゴムは、統計的に共重合されたスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、合成ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(XIIR)、アクリラートゴム(ACM)、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)、およびポリウレタン、ならびに/またはその混合物の群から選択することができる。
【0097】
伸長性支持層のための材料として特に有利に用い得るのはブロックコポリマーである。これに関し、個々のポリマーブロックは相互に共有結合で連結している。ブロック連結は、直鎖状の形態で、しかし星形またはグラフトコポリマーの形態でもあり得る。有利に用い得るブロックコポリマーの一例は、直鎖状トリブロックコポリマーであり、その両端のブロックの軟化温度は、低くとも40℃、好ましくは低くとも70℃であり、真ん中のブロックの軟化温度は、高くとも0℃、好ましくは高くとも-30℃である。より高次のブロックコポリマー、例えばテトラブロックコポリマーを用いてもよい。重要なのは、ブロックコポリマーが同じまたは異なる種類の少なくとも2つのポリマーブロックを含有しており、これらのポリマーブロックの軟化温度が、それぞれ低くとも40℃、好ましくは低くとも70℃であり、これらのポリマーブロックがポリマー鎖では、軟化温度が高くとも0℃、好ましくは高くとも-30℃の少なくとも1つのポリマーブロックを介して互いから分離されていることである。ポリマーブロックの例は、ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、またはポリテトラヒドロフラン、ポリジエン、例えばポリブタジエンまたはポリイソプレン、水素化ポリジエン、例えばポリエチレンブチレンまたはポリエチレンプロピレン、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタラート、ポリブタンジオールアジパート、またはポリヘキサンジオールアジパート、ポリカルボナート、ポリカプロラクトン、ビニル芳香族モノマーのポリマーブロック、例えばポリスチレンまたはポリ[α]メチルスチレン、ポリアルキルビニルエーテル、ポリ酢酸ビニル、[α],[β]不飽和エステルのポリマーブロック、例えばとりわけアクリラートまたはメタクリラートである。当業者には、対応する軟化温度が公知である。その代わりに当業者は、例えばポリマーハンドブック[J.Brandrup、E.H.Immergut、E.A.Grulke(発行者)、Polymer Handbook、第4版 1999、Wiley、New York(非特許文献1)]で軟化温度を調べる。ポリマーブロックはコポリマーから形成されていてよい。
【0098】
支持材料の製造に関し、ここでも、フィルム形成特性を改善し、結晶質セグメントの形成傾向を減らし、かつ/または機械的特性を的確に改善するかもしくは必要に応じて悪化させもする添加剤およびさらなる成分を添加することができる。
【0099】
(例えばポリエチレンおよびポリウレタンから成る)シート状フォーム材がさらに適している。
【0100】
支持体は多層に形成することができる。
【0101】
支持体は、上張層をさらに有することができ、例えば、接着剤から支持体内へのまたはその逆での成分の侵入を阻止する遮断層を有することができる。これらの上張層は、水蒸気および/または酸素の浸透拡散を防止するため、バリア特性を有してもよい。
【0102】
感圧接着剤の支持体への定着を改善するため、支持体を、コロナ、プラズマ、または火炎のような公知の措置によって前処理することができる。プライマーの利用も可能である。しかし前処理をなくせるのが理想である。
【0103】
支持体の裏面には、抗付着性の物理的処理またはコーティングを施すことができる。
【0104】
最後にシート状支持材料は、剥離紙または剥離フィルム(ライナーとも言う)のような両面で抗付着性にコーティングされた材料、つまり一時的な支持体であることができる。
【0105】
ライナー(剥離紙、剥離フィルム)は、接着テープの構成要素ではなく、接着テープの製造、貯蔵のための、またはダイカット加工によるさらなる加工のための補助材であるにすぎない。それだけでなくライナーは、接着テープ支持体とは違い、接着材料層と固定的には結合していない。
【0106】
この支持層の厚さは、10~200μmの範囲内、好ましくは20~100μmの間である。
【0107】
あまり大きな力を使わない簡単な剥離を可能にするため、伸び率50%での応力は、20N/cm未満、好ましくは10N/cm未満であることが望ましい。
【0108】
特に有利なのは、接着フィルム細長片が、
・ 好ましくはポリウレタンから成る一層の支持体から成っており、この支持体が、少なくとも100%、好ましくは300%の引裂伸び、および場合によっては50%超の復元力を有しており、
・ この支持体の両面に、ビニル芳香族系ブロックコポリマーおよび接着樹脂をベースとして形成された本発明による接着剤から成る接着剤層がそれぞれ施されていることであり、接着剤の組成が同一であることがさらに好ましい。
【0109】
感圧接着剤の製造および加工は、溶液からでも融体からでも行うことができる。支持層上への感圧接着剤の施しは、直接的なコーティングによって、またはラミネート加工、とりわけホットラミネート加工によって行うことができる。
【0110】
本発明による感圧接着細長片の典型的な仕上がり形態は、接着テープロール、および例えばダイカットの形態で得られるような接着細長片である。
【0111】
すべての層が、実質的に直方体の形状をしていることが好ましい。すべての層が、面全体で相互に結合していることがさらに好ましい。
【0112】
任意選択で、感圧接着性でないつまみ領域を設けることができ、このつまみ領域から剥離プロセスを実施することができる。
【0113】
一般的な表現「接着テープ」は、本発明の意味においては、2次元に広がったフィルムまたはフィルム切片、拡張された長さおよび制限された幅を有するテープ、テープ切片、ダイカット、ラベル、ならびにその類似物のような、すべての平面的な形成物を含んでいる。
【0114】
(一層の)接着フィルム細長片の厚さは、好ましくは20μm~2000μm、さらに好ましくは30~1000μm、特に好ましくは50~600μmまたは100μmまたは150μmまたは300μmである。
【0115】
好ましいのは、支持体の厚さが20~60μmの間、好ましくは50μmで、かつ支持体上の同一の接着剤層の厚さもそれぞれ20~60μmの間、好ましくは50μmである感圧接着細長片の一実施形態である。
【0116】
これに関しては2つの実施形態が特に好ましく、第1の実施形態は、50μm厚の支持体の両面で、25μmの接着剤を有しており、第2の実施形態は、30μm厚の支持体の両面で、35μmの接着剤を有している。
【0117】
以下に記載する図および例に基づき、本発明の特に有利な実施形態をより詳しく説明するが、それにより本発明を不要に制限する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【
図1】本発明による三層の感圧接着性接着細長片を示す図である。
【
図2】代替的な一実施形態での本発明による三層の感圧接着性接着細長片を示す図である。
【
図3】本発明による一層の感圧接着性接着細長片を示す図である。
【
図4】1つの混合ユニットを用いる方法を示す図であり、この場合、マイクロバルーンは第1の混合ユニットですぐに添加される。
【
図5】2つの混合ユニットを用いる方法を示す図であり、この場合、マイクロバルーンは第1の混合ユニットで添加される。
【
図6】2つの混合ユニットを用いる方法を示す図であり、この場合、マイクロバルーンは第2の混合ユニットでようやく添加される。
【
図7】例5に基づくサンプルの横からの断面図である。
【
図8】例8に基づくサンプルの横からの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0119】
図1では、3つの層1、2、3から成る本発明による感圧接着細長片を示しており、この感圧接着細長片は、実質的に貼付面での伸長延伸により残留物および破壊なく再剥離することができる。
【0120】
細長片は支持体1から成っており、この支持体1は一層で実施されている。
【0121】
支持体の両面には、外側にある本発明による接着剤層2、3が存在している。
【0122】
支持層1の突き出ている端部は、つまみ部として用いることができ、しかし必ずしも存在しなくてよい。
【0123】
図2では、一形態での本発明による感圧接着性接着細長片を示している。この感圧接着細長片は、完全に等しく重なり合うように配置された3つの層1、2、3から成っている。
【0124】
とりわけ貼付面での伸長延伸を達成するために引っ張るつまみ部を生成するため、接着フィルム細長片の一方の端部が、好ましくはシリコーン処理されたフィルム片または紙片6を両面に施すことにより、感圧接着性でないように仕上げられている。
【0125】
図3では、接着細長片1の両面に施されたシリコーン処理されたフィルム片または紙片6から成るつまみ部を有する一層の感圧接着性接着細長片1を示している。
【0126】
本発明は、膨張したマイクロバルーンを含有する本発明による接着剤を製造するための一つの方法(
図4を参照)をさらに含んでおり、この場合、
・ ポリマー、樹脂、または充填剤のような、接着剤を形成するための構成要素、および未膨張マイクロバルーンを、第1の混合ユニット内で混合し、かつ超過圧下で膨張温度へと加熱し、
・ マイクロバルーンが混合ユニットから出る際に膨張し、
・ 接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンもろとも、ロールコータ内で1つの層へと成形し、
・ 場合によっては、接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンもろとも、シート状の支持材料またはリリース材料上に施す。
【0127】
本発明は、膨張したマイクロバルーンを含有する本発明による接着剤を製造するための一つの方法(
図5を参照)も含んでおり、この場合、
・ ポリマー、樹脂、または充填剤のような、接着剤を形成するための構成要素を、未膨張マイクロバルーンと共に、第1の混合ユニット内で超過圧下で混合し、かつマイクロバルーンの膨張温度未満の温度に温度調節し、
・ 混合された、とりわけ均質な接着剤を、第1の混合ユニットから第2のユニットに移し、かつ超過圧下で膨張温度へと加熱し、
・ マイクロバルーンが第2のユニット内でまたは第2のユニットから出る際に膨張し、
・ 接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンもろとも、ロールコータ内で1つの層へと成形し、
・ 場合によっては、接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンもろとも、シート状の支持材料またはリリース材料上に施す。
【0128】
本発明は、膨張したマイクロバルーンを含有する本発明による接着剤を製造するための一つの方法(
図6を参照)にも関し、この場合、
・ ポリマー、樹脂、または充填剤のような、接着剤を形成するための構成要素を、第1の混合ユニット内で混合し、
・ 混合された、とりわけ均質な接着剤を、第1の混合ユニットから第2の混合ユニットに移し、同時に第2の混合ユニットに未膨張マイクロバルーンを供給し、
・ マイクロバルーンが第2の混合ユニット内でまたは第2の混合ユニットから出る際に膨張し、
・ 接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンもろとも、ロールコータ内で1つの層へと成形し、
・ 場合によっては、接着剤混合物を膨張したマイクロバルーンもろとも、シート状の支持材料またはリリース材料上に施す。
【0129】
本発明の好ましい一実施形態によれば、接着剤はロールコータ内で成形され、かつ支持材料上に施される。
【0130】
マイクロバルーン発泡した接着剤は一般的に、均一で抜けのないコーティング外観を得るためにコーティング前にガス抜きしなくてよい。コンパウンド化中に接着剤中に閉じ込められた空気は、膨張するマイクロバルーンが追い出す。それでもなお、高スループットの際は、ロール間隙での均一な接着剤供給を得るために、コーティング前に接着剤をガス抜きした方がよい。ガス抜きは、理想的にはロールコータの直前で、混合温度および周囲圧力に対して少なくとも200mbarの差圧で行う。
【0131】
下記の場合がさらに有利である。
・ 第1の混合ユニットが、連続式ユニット、とりわけ遊星ロール押出機、二軸スクリュー押出機、もしくはピン押出機であり、
・ 第1の混合ユニットが、不連続式ユニット、とりわけZブレード混錬機もしくは密閉式混合機であり、
・ 第2の混合ユニットが、遊星ロール押出機、一軸もしくは二軸スクリュー押出機、もしくはピン押出機であり、かつ/または
・ 接着剤を膨張したマイクロバルーンもろとも1つの支持層へと成形する成形ユニットが、カレンダー機、ロールコータ、もしくはロールと不動のドクターブレードとによって形成された間隙である。
【0132】
本発明による方法では、すべての予め公知であり、かつ文献中に記載された接着剤、とりわけ自己接着性接着剤の成分を、溶剤なしで加工することができる。
【0133】
以下に、本発明思想内にある上記の方法を、特に秀でた構成形態で具体的に説明するが、示した図を選択することで不要に制限する意図はない。
【0134】
図4では、発泡した感圧性自己接着テープを製造するための特に有利に構成された方法を示している。
【0135】
例えば遊星ロール押出機(PWE)のような連続式混合ユニット内で、(自己)接着剤を製造する。
【0136】
このために、接着剤を形成する反応物Eを、遊星ロール押出機PWE1内に供給する。同時に未膨張マイクロバルーンMBを、コンパウンド化プロセス中に自己接着剤中に、均質に、超過圧下で混ぜ込む。
【0137】
マイクロバルーンがPWE1から出る際にノズル出口での圧力低下により自己接着剤M中で発泡して接着剤表面を突き破るように、自己接着剤の均質な製造に必要な温度とマイクロバルーンの膨張に必要な温度とを互いに適応させる。
【0138】
成形ユニットとしてのロールコータ3により、このフォーム状接着剤Mをカレンダー加工し、かつ例えば剥離紙TPのようなシート状支持材料上にコーティングし、一部ではロール間隙内で後発泡をさらに起こすことができる。ロールコータ3は、ドクターロール31およびコーティングロール32から成っている。コーティングロール32へと、剥離紙TPがピックアップロール33によって案内され、したがって剥離紙TPが接着剤Kをコーティングロール32から引き継ぐ。
【0139】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBが接着剤Kのポリマーマトリクス中に再び押し込まれ、したがって平滑な表面が生成される。
【0140】
図5では、発泡した感圧性自己接着テープを製造するためのさらなる特に有利に構成された方法を示している。
【0141】
遊星ロール押出機PWE1は、相前後して接続された2つの混合ゾーン11、12を有しており、これらのゾーン内では中心スピンドルが回転している。加熱ゾーンごとに6本の遊星スピンドルがさらに存在している。注入リング13には、例えば軟化剤または液体樹脂のようなさらなる反応物を添加する。
【0142】
適切な機器は、例えばボーフムにあるEntex社の遊星ロール押出機である。
【0143】
続いて、例えば一軸スクリュー押出機のような第2の混合ユニット内で、マイクロバルーンを超過圧下で自己接着剤中に均質に混ぜ込み、膨張温度より高く加熱して、出ていく際に発泡させる。このために、反応物Eから形成された接着剤Kを、ここでは一軸スクリュー押出機ESE2内に供給し、同時にマイクロバルーンMBを充填する。一軸スクリュー押出機ESEは、処理長さ21にわたって全部で4つの加熱ゾーンを有している。
【0144】
適切な機器は、例えばKiener社の一軸スクリュー押出機である。
【0145】
マイクロバルーンMBは、ESE2のノズル出口での圧力低下によって引き起こされる膨張中に、接着剤表面を突き破る。
【0146】
ロールコータ3により、このフォーム状接着剤Mをカレンダー加工し、かつ例えば剥離紙TPのようなシート状支持材料上にコーティングし、一部ではロール間隙内で後発泡をさらに起こすことができる。ロールコータ3は、ドクターロール31およびコーティングロール32から成っている。コーティングロール32へと、剥離紙TPがピックアップロール33によって案内され、したがって剥離紙TPが接着剤Kをコーティングロール32から引き継ぐ。
【0147】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBが接着剤Kのポリマーマトリクス中に再び押し込まれ、したがって平滑な表面が生成される。
【0148】
図6では、発泡した感圧性自己接着テープを製造するためのさらなる特に有利に構成された方法を示している。
【0149】
例えば遊星ロール押出機(PWE)のような連続式混合ユニット内で、(自己)接着剤を製造する。
【0150】
ここでは、接着剤を形成する反応物Eを、遊星ロール押出機PWE1内に供給する。遊星ロール押出機PWE1は、相前後して接続された2つの混合ゾーン11、12を有しており、これらのゾーン内では中心スピンドルが回転している。加熱ゾーンごとに6本の遊星スピンドルがさらに存在している。
【0151】
注入リング13には、例えば軟化剤または液体樹脂のようなさらなる反応物を添加する。
【0152】
適切な機器は、例えばボーフムにあるEntex社の遊星ロール押出機である。
【0153】
続いて、例えば一軸スクリュー押出機のような第2の混合ユニット内で、マイクロバルーンを超過圧下で自己接着剤中に均質に混ぜ込み、膨張温度より高く加熱して、出ていく際に発泡させる。このために、反応物Eから形成された接着剤Kを、ここでは一軸スクリュー押出機ESE2内に供給し、同時にマイクロバルーンMBを充填する。一軸スクリュー押出機ESEは、処理長さ21にわたって全部で4つの加熱ゾーンを有している。
【0154】
適切な機器は、例えばKiener社の一軸スクリュー押出機である。
【0155】
マイクロバルーンMBは、ESE2のノズル出口での圧力低下によって引き起こされる膨張中に、接着剤表面を突き破る。
【0156】
ロールコータ3により、このフォーム状接着剤Mをカレンダー加工し、かつ例えば剥離紙TPのようなシート状支持材料上にコーティングし、一部ではロール間隙内で後発泡をさらに起こすことができる。ロールコータ3は、ドクターロール31およびコーティングロール32から成っている。コーティングロール32へと、剥離紙TPがピックアップロール33によって案内され、したがって剥離紙TPが接着剤Kをコーティングロール32から引き継ぐ。
【0157】
同時に、膨張したマイクロバルーンMBが接着剤Kのポリマーマトリクス中に再び押し込まれ、したがって平滑な表面が生成される。
【0158】
図4から分かるように、ロール間隙の間隙圧が低下するにつれ、マイクロバルーンの押し戻しがより弱くなるので、コーティングされた発泡自己接着剤の貼付面積が減少する。
図4は、コーティング方法またはコーティングパラメータに応じた貼付面積を示している。必要な間隙圧は、使用する接着剤系に強く依存しており、粘性が高くなればなるほど、所望の層厚および選択されるコーティング速度に応じて、間隙圧は大きくなることが望ましい。実際には、50m/min超の特に高いコーティング速度で、4N/mm超の間隙圧が適することが実証されており、低い接着剤塗布量(単位面積当たりの重量70g/m
2未満)および高粘性接着剤(0.1radおよび110℃で50,000Pa・s)の場合、50N/mm超の間隙圧を必要とする可能性もある。
【0159】
ロールの温度をマイクロバルーンの膨張温度に適合させることが適していると実証された。最初のロールのロール温度は、マイクロバルーンを破壊することなくマイクロバルーンの後発泡を可能にするため、マイクロバルーンの膨張温度を超えていることが理想である。最後のロールの温度は膨張温度以下であることが望ましく、これにより、マイクロバルーンシェルを硬化することができ、本発明による平滑な表面が形成される。
【0160】
溶剤を含まないポリマー系を連続的に製造および加工するための多くのユニットが公知である。非常に様々なプロセス長さおよび装備での一軸および二軸スクリュー押出機のようなスクリューマシンをたいていは使用する。しかし、連続的に動作する混練機の非常に様々な構造形式も、例えば混練機およびスクリューマシンから成る組合せも、または遊星ロール押出機も、この課題のために用いられる。
【0161】
遊星ロール押出機はずっと以前から公知であり、最初は、例えばPVCのような熱可塑物質の加工に使用され、そこでは遊星ロール押出機は主に、例えばカレンダー機または圧延機のような後に続くユニットに送り込むために使用された。摩擦によってもたらされたエネルギーを素早く効果的に排出し得る材料交換および熱交換のための表面更新が大きく、滞在時間が短く、かつ滞在時間スペクトルが狭いという遊星ロール押出機の利点により、その使用分野は最近では、なかでも、特に温度管理されたフロー方式を必要とするコンパウンド化プロセスへも広がった。
【0162】
遊星ロール押出機は、製造業者に応じて様々な実施形態およびサイズがある。所望のスループットに応じて、バレルの直径は70mm~400mmの間が典型的である。
【0163】
遊星ロール押出機は、一般的には充填部およびコンパウンド化部を有している。
【0164】
充填部は搬送スクリューから成っており、この搬送スクリュー上に、すべての固体成分が連続的に分注される。その後、搬送スクリューが材料をコンパウンド化部に引き渡す。スクリューを備えた充填部の領域は、スクリューに材料がくっつくのを避けるため冷却されているのが好ましい。しかしスクリュー部のない実施形態もあり、その場合は、中心スピンドルと遊星スピンドルの間に直接的に材料を供給する。ただし本発明による方法の有効性にとってこれは重要ではない。
【0165】
コンパウンド化部は、1本の駆動される中心スピンドルおよび複数の遊星スピンドルから成っており、遊星スピンドルは、内斜歯を備えた1つまたは複数のバレル内で、中心スピンドルを中心に周回する。中心スピンドルの回転数、したがって遊星スピンドルの周回速度は可変であり、したがってコンパウンド化プロセスを制御するための重要なパラメータである。
【0166】
材料は、中心スピンドルと遊星スピンドルとの間または遊星スピンドルとバレル部の斜歯との間で循環し、これにより、せん断エネルギーおよび外部からの温度調節の影響下で、均質なコンパウンドへと材料の分散が行われる。
【0167】
各々のバレル内を周回する遊星スピンドルの数は可変であり、したがってプロセスの要求に適合させることができる。スピンドル数は、遊星ロール押出機内の自由容積、プロセスでの材料の滞在時間に影響を及ぼし、熱交換および材料交換のための面積をそれに加えて決定する。遊星スピンドルの数は、もたらされるせん断エネルギーを介して、コンパウンド結果に影響を及ぼす。バレル直径が一定の場合、スピンドル数が増すにつれて、より良い均質化性能および分散性能またはより大きな生成物スループットを達成することができる。
【0168】
中心スピンドルとバレルとの間に取り付け可能な遊星スピンドルの最大数は、バレルの直径および使用する遊星スピンドルの直径に依存している。生産的規模でのスループット率を達成するのに必要であるような比較的大きなバレル直径または遊星スピンドルの比較的小さな直径を使用する場合、このバレルは、比較的多くの遊星スピンドルを装備することができる。バレル直径D=70mmで最大7本の遊星スピンドルを使用するのが典型的であり、その一方でバレル直径D=200mmでは例えば10本、およびバレル直径D=400mmでは例えば24本の遊星スピンドルを使用することができる。
【0169】
本発明によれば、発泡接着剤のコーティングを、溶剤なしで、多ロールコータによって実施することが提案されている。これは、少なくとも1つのロール間隙をもつ少なくとも2本のロール~3つのロール間隙をもつ5本のロールから成るコータであることができる。
【0170】
カレンダー機(I、F、L型カレンダー機)のようなコーティング機構も考えられ、これにより発泡接着剤は、1つまたは複数のロール間隙を通過する際に所望の厚さへと成形される。
【0171】
その際、個々のロールの温度管理を、制御された後発泡を場合によっては起こし得るように選択することが特に有利と分かった。この様式では、引き渡す側のロールは、選択したマイクロバルーンタイプの発泡温度以上の温度であることができ、その一方で受け取る側のロールは、制御されていない発泡を防止するため発泡温度以下の温度であることが望ましく、かつその際、すべてのロールを個々に30~220℃の温度に調整することができる。
【0172】
1つのロールからもう1つのロールへの、成形された接着剤層の引き渡し挙動を改善するために、抗付着性に仕上げられたロールまたはドクターロールをさらに使用することができる。十分に精密に成形された接着材料フィルムを生成するため、ロールの周速に差をつけることができる。
【0173】
好ましい4本ロールコータは、ドージングロールと、支持材料上の層厚を決定し、かつドージングロールに平行に配置されたドクターロールと、ドージングロールの下にある転写ロールとによって形成されている。転写ロールと一緒に第2のロール間隙を形成するレイオンロール上では、接着剤およびシート状材料が一緒に案内される。
【0174】
コーティングすべきシート状支持材料の種類に応じて、コーティングを同方向または逆方向の方法で行うことができる。
【0175】
成形ユニットは、ロールと不動のドクターブレードとの間に生じる間隙によって形成することもできる。不動のドクターブレードは、ドクターナイフまたは不動の(半)ロールであることができる。
【0176】
代替的な製造方法では、接着剤のすべての構成要素を、溶剤混合物(ベンジン/トルエン/アセトン)中に溶かす。マイクロバルーンはベンジン中に懸濁して、溶けた接着剤に混ぜ入れた。マイクロバルーンが溶液中で均質に分散すればすぐに、接着剤を例えばドクターブレードにより、従来のPETライナー上にコーティングすることができる。
【0177】
第1のステップでは、コーティングした接着剤をむき出しで、100℃で15分間乾燥させる。
【0178】
乾燥後、接着層を第2の層であるPETライナーで覆い、150℃の炉内で5分間発泡させる。つまり、特に平滑な表面を生成するために2つのライナーの間に挟む。
【0179】
こうして生成された表面の粗さRaは、15μm未満、特に好ましくは10μm未満である。
【0180】
表面粗さは、Raは、表面最終処理の品質に関する業界基準の単位であり、粗さの平均高さであり、とりわけ、評価領域内の粗さプロファイルの中心線からの平均絶対距離である。この絶対距離はレーザ三角測量によって測定する。
【0181】
膨張温度は、たいていは常に乾燥温度より高い。
【0182】
図7および
図8では、本発明による接着剤を横からの断面で示している。
図7は、例5に基づくサンプルの横からの断面を示しており、
図8は、例8に基づくサンプルの横からの断面を示している。
【0183】
接着剤の発泡により、接着技術的および適用技術的な特性が改善される。
【0184】
接着力低下のこの減少は、膨張したマイクロバルーンをコーティング工程中にポリマーマトリクス中に押し戻すことで生じる高い表面品質によって促進されている。
【0185】
そのうえ、発泡した自己接着剤は、同じポリマーベースの未発泡の接着剤に対して、例えば、低温での耐衝撃性の改善、粗い下地への接着力の上昇、比較的大きな緩衝特性および/または密閉特性もしくは凹凸のある下地へのフォーム接着剤の密着性、比較的有利な圧潰/硬化挙動、ならびに圧縮能力の改善のような、追加的な性能特徴を獲得している。
【0186】
本発明による自己接着剤の特徴的な特性または追加機能のより詳しい説明を、例において部分的に行う。
【0187】
以下に、幾つかの例により本発明をより詳しく説明する。
【0188】
この場合、感圧接着剤の構成要素を、ベンジン/トルエン/アセトン中に40%で溶かし、ベンジン中に懸濁したマイクロバルーンを混ぜ入れ、かつ塗布バーにより、剥離性シリコーンを備えたPETフィルム上に所望の層厚で塗りつけ、続いて100℃で15分間、溶剤を蒸発させ、こうして接着剤層を乾燥させた。
【0189】
乾燥後、接着層を第2の層であるPETライナーにより、いかなる空気混入もなく被覆し、両方のライナーの間で5分間、150℃の炉内で発泡させた。2つのライナーの間での発泡により、表面が特に平滑な生成物を入手することができる。すべての挙げた例のRA値は15μm未満である。
【0190】
ダイカット加工により、所望の寸法の感圧接着細長片を得た。
例
例1~例3
【0191】
【0192】
老化防止剤として、なかでも、Irganox 1010(フェノール系抗酸化剤)を用いる。
【0193】
【0194】
例1~例3により、接着剤中のマイクロバルーン含有率の上昇が、どのような影響を及ぼすか、詳しくは、未発泡の同じ厚さの接着剤と比べてどのような影響を及ぼすかが示される。
【0195】
結果
・ z平面での衝撃負荷は、マイクロバルーン含有率が増すにつれて上昇する(落球)。
・ x、y平面での衝撃負荷は、マイクロバルーン含有率が増すにつれて上昇し、マイクロバルーン含有率が1.5重量%の場合に最大値を観察することができる(横衝撃靭性)。
・ 剥離力は、マイクロバルーン含有率が増すにつれて、衝撃負荷耐性が上昇するにもかかわらず低下する。
例4~例7
【0196】
【0197】
【0198】
【0199】
例4~例7により、接着剤中のマイクロバルーン含有率の上昇が、どのような影響を及ぼすか、詳しくは、未発泡の接着剤と比べてどのような影響を及ぼすかが示される。
【0200】
結果
・ 0.5重量%のマイクロバルーン含有率で既に、衝撃負荷耐性の明らかな改善を測定することができる(落球)。
・ 衝撃負荷耐性は、マイクロバルーン含有率が増すにつれて上昇する。
・ ストリップ力は、マイクロバルーン含有率が増すにつれて低下する。
例8~例9
【0201】
例8および例9では、三層のサンプルを相互に比較する。
【0202】
比較例2は、中間支持体としての50μmPUフィルムから成っており、PUフィルムの両面で、提示した組成に基づく未発泡の接着剤が、それぞれ接着剤塗布量25g/m2および層厚25μmで、両面に施されている。
【0203】
例8は、中間支持体としての50μmPUフィルムから成っており、中間支持体の両面で、提示した組成に基づく未発泡の接着剤が、それぞれ接着剤塗布量20g/m2の厚さおよび層厚20μmで、両面に施されている。このサンプルの両面をPETライナーで覆い、150℃の炉内で5分間、100μmの全体厚へと発泡させた。
【0204】
例9は、中間支持体としての30μmPUフィルムから成っており、中間支持体の両面で、提示した組成に基づく未発泡の接着剤が、それぞれ接着剤塗布量28g/m2の厚さおよび層厚28μmで、両面に施されている。このサンプルの両面をPETライナーで覆い、150℃の炉内で5分間、100μmの全体厚へと発泡させた。
【0205】
【0206】
【0207】
例8および例9により、発泡した接着剤が、接着細長片の剥離角度に対してどのような影響を有するかが示される。
【0208】
結果
・ 発泡した三層構造は、相変わらず高い衝撃負荷耐性を示しており、180°および90°の剥離角度での裂け目はない。
・ 発泡した三層構造は、90°の剥離角度では、同じ厚さの未発泡の三層構造より引裂きに強い。
【0209】
試験法
すべての測定は、別に提示がない限り、23℃および相対湿度50%で実施した。
【0210】
機械的および接着技術的なデータは、以下のように確定した。
【0211】
復元力または弾力性
復元力を測定するため、感圧接着細長片を100%伸ばし、この伸び率で30秒間保持し、それから緩めた。1分の待ち時間の後、改めて長さを測定した。
【0212】
その後、復元力を下記のように算出する。
RV=((L100-Lend)/L0)×100
RV=%単位の復元力
L100:100%伸ばした後の接着細長片の長さ
L0 :伸ばす前の接着細長片の長さ
Lend:1分の緩和後の接着細長片の長さ
【0213】
この場合、復元力は弾力性に対応している。
【0214】
引裂伸び、引張強度、および伸び率50%での応力
引裂伸び、引張強度、および伸び率50%での応力は、DIN 53504に依拠して、サイズS3のダンベル試験片を使用し、1分当たり300mmの分離速度で測定した。試験雰囲気は23℃および相対湿度50%であった。
【0215】
剥離力
剥離力(ストリップ力またはストリップ応力)は、上端に感圧接着性でないつまみ領域を備えた長さ50mm×幅20mmの寸法の接着材料フィルムを用いて確定した。この接着材料フィルムを、50mm×30mmの寸法の互いに完全に等しく配置された2つのスチールプレートの間に、それぞれ50ニュートンの押圧力で貼り付けた。このスチールプレートの下端には、S字形スチールフックを掛けるための穴が1つずつある。スチールフックの下端には、さらなるスチールプレートが装着されており、このスチールプレートで、引張試験機の下側の締付け具に、試験構成を測定のために固定することができる。貼付物を24時間の期間、+40℃で貯蔵する。室温にコンディショニングし直した後、接着フィルム細長片を、1分当たり1000mmの引張速度で、貼付面に平行に、および両方のスチールプレートの縁領域に接触せずに剥がし取る。その際、必要な剥離力をニュートン(N)で測定する。接着細長片がスチール下地から、貼付長さ10mm~40mmの間で剥離されている範囲内で測定したストリップ応力値(mm2当たりのN)の平均値を提示している。
【0216】
引裂試験
試験すべき接着テープから、幅10mmおよび長さ40mmの細長片をダイカット加工する。これらの細長片を30mmの長さで、エタノールでコンディショニングしたPCプレートに接着し、したがって10mm長のつまみ部が突き出る。貼り付けた細長片の第2の面に第2のPCプレートを接着し、詳しくは、両方のPCプレートが揃って重なり合うように接着する。この複合体の上で、4kgのローラを10回転がす(5往復)。24時間の養生期間の後、つまみ部を利用して細長片を手で
a)90°の角度および
b)180°の角度で、
接着接合部からストリップする。
【0217】
何個のサンプルを残留物なく再剥離できるかを評価する。
【0218】
接着樹脂軟化温度
接着樹脂軟化温度を、環球法として公知であり、かつASTM E28に基づいて規格化されている該当する方法に基づいて実施する。
【0219】
DACP
DACPはジアセトン曇り点であり、樹脂5gと、キシレン5gと、ジアセトンアルコール5gとの加熱した溶液を、溶液が曇る時点まで冷却することによって決定する。
【0220】
球落下試験(衝撃靭性、落球)
試験すべき接着テープから、正方形でフレーム形の試料を切り取った(外寸33mm×33mm;桟幅3.0mm;内寸(窓切り抜き部)27mm×27mm)。この試料をABSフレーム(外寸50mm×50mm;桟幅12.5mm;内寸(窓切り抜き部)25mm×25mm;厚さ3mm)上に接着した。両面接着テープのもう一方の面に、35mm×35mmのPMMA窓を接着した。ABSフレームと、接着テープフレームと、PMMA窓との貼付は、幾何学的中心および対角線がそれぞれ重なり合うように行った(角の上に角)。貼付面積は360mm2であった。貼付物を10barで5秒間プレスし、それから24時間、23℃/相対湿度50%のコンディションで貯蔵した。
【0221】
貯蔵の後すぐに、ABSフレームと、接着テープと、PMMA板とから成る接着複合体を、複合体が水平に位置合わせされるように、かつPMMA板が支えなしでぶら下がる状態で下に向くように、ABSフレームのはみ出ている縁でフレーム台(試料ホルダー)に載せた。このように配置した試料に、250cmの高さから垂直に(ABSフレームの窓を通り抜けて)、それぞれ提示した重量の鋼球をPMMA板の中心に落とした(測定条件23℃、相対湿度50%)。各々の試料で、PMMA板がそれ以前に外れなければ3回の試験を実施した。
【0222】
球落下試験は、3回の試験のいずれでも貼付が外れなかった場合に合格とみなす。
【0223】
異なる球重量での試験を比較できるよう、エネルギーを下記のように算出した。
E=高さ[m]×球重量[kg]×9.81kg/m・s2
【0224】
プッシュアウト強度(z平面)
プッシュアウト試験により、フレーム形物体内の部品、例えばハウジング内の窓の貼付の耐性がどのくらい高いかについてのデータを獲得できる。
【0225】
試験すべき接着テープから、長方形でフレーム形の試料を切り取った(外寸43mm×33mm;桟幅はそれぞれ2.0mm、内寸(窓切り抜き部)39mm×29mm、上面および下面の接着面積はそれぞれ288mm2)。この試料を長方形のABSプラスチックフレーム(ABS=アクリロニトリル・ブタジエン・スチレンコポリマー)(外寸50mm×40mm、長い方の桟の桟幅はそれぞれ8mm;短い方の桟の桟幅はそれぞれ10mm;内寸(窓切り抜き部)30mm×24mm;厚さ3mm)上に接着した。両面接着テープの試料のもう一方の面に、寸法45mm×35mmの長方形のPMMA板(PMMA=ポリメチルメタクリラート)を接着した。接着テープの提供されている接着面積すべてを利用した。ABSフレームと、接着テープ試料と、PMMA窓との貼付は、幾何学的中心と、長方形の鋭角の対角線交差角度の角の二等分線と、鈍角の対角線交差角度の角の二等分線とがそれぞれ重なり合うように行った(角の上に角、長辺に長辺、短辺に短辺)。貼付面積は360mm2であった。貼付物を10barで5秒間プレスし、それから24時間、23℃/相対湿度50%のコンディションで貯蔵した。
【0226】
貯蔵の後すぐに、ABSフレームと、接着テープと、PMMA板とから成る接着複合体を、複合体が水平に位置合わせされるように、かつPMMA板が支えなしでぶら下がる状態で下に向くように、ABSフレームのはみ出ている縁でフレーム台(試料ホルダー)に載せた。
【0227】
その後、圧子を10mm/sの一定速度で上から垂直に、ABSフレームの窓を通過して移動させ、これにより圧子がPMMAプレートの中心を押し、かつ(それぞれの圧力および圧子とプレートとの接触面積から確定された)その時々の力を、圧子とPMMAプレートとの最初の接触から力の低下直後までの時間との関係で記録する(測定条件23℃、相対湿度50%)。PMMAプレートとABSフレームとの間の接着結合が破綻する直前に作用している力(力/時間グラフでの最大力Fmax:単位N)を、プッシュアウト試験の回答として記録する。
【0228】
横衝撃靭性;x、y平面
試験すべき接着テープから、正方形でフレーム形の試料を切り取った(外寸33mm×33mm;桟幅3.0mm;内寸(窓切り抜き部)27mm×27mm)。この試料をABSフレーム(外寸45mm×45mm;桟幅10mm;内寸(窓切り抜き部)25mm×25mm;厚さ3mm)上に接着した。両面接着テープのもう一方の面に、35mm×35mmのPMMA窓を接着した。ABSフレームと、接着テープフレームと、PMMA窓との貼付は、幾何学的中心および対角線がそれぞれ重なり合うように行った(角の上に角)。貼付面積は360mm2であった。貼付物を10barで5秒間プレスし、それから24時間、23℃/相対湿度50%のコンディションで貯蔵した。
【0229】
貯蔵の後すぐに、ABSフレームと、接着テープと、PMMA板とから成る接着複合体を、複合体が垂直に位置合わせされるように、ABSフレームのはみ出ている縁で試料固定具内にぴんと張って固定した。続いて試料固定具を、「DuPont Impact Tester」に設けられている収容部の中心にセットした。重さ300gの打撃ヘッドを、寸法20mm×3mmの長方形の衝突形状が、PMMA窓の上に向いた正面の中心に的確に当たるようにセットした。
【0230】
こうして配置された、試料固定具と、試料と、打撃ヘッドとから成る複合体に垂直に、2つのガイドバーでガイドされた質量150gのおもりを3cmの高さから落とした(測定条件23℃、相対湿度50%)。もたらされた衝撃エネルギーが横衝撃負荷により試料を破壊し、かつPMMA窓がABSフレームから外れるまで、落下おもりの高さを3cmステップで上昇させた。
【0231】
異なる試料での試験を比較できるよう、エネルギーを下記のように算出した。
E[J]=高さ[m]×おもり質量[kg]×9.81kg/m・s2
【0232】
生成物ごとに5つの試料を試験し、エネルギー平均値を横衝撃靭性に関する固有値として提示した。
【0233】
接着力
(AFERA 5001に基づく)接着力の決定は以下のように実施する。規定の被接着下地として、ガルバニック処理により亜鉛メッキされた厚さ2mmの鋼板(Rocholl GmbH社から購入)またはポリエチレンブロックを用いる。試験すべき貼付可能な面要素を、幅20mmおよび長さ約25cmに裁断し、取扱い部を設け、その後すぐに、4kgのスチールローラで、10m/minの送りで、それぞれ選択した被接着下地に5回押し付ける。その直後に、引張試験機(Zwick社)を用い、貼付可能な面要素を180°の角度で被接着下地から速度v=300mm/minで引き剥がし、このために室温で必要な力を測定する。測定値(N/cm)は、3回の個別の測定からの平均値としてもたらされる。
【0234】
静的ガラス転移温度Tg
ガラス転移点(同義的にガラス転移温度と言う)は、DIN 53 765;とりわけ7.1章および8.1章に基づいた、ただしすべての加熱ステップおよび冷却ステップにおいて画一的な10K/minの加熱率および冷却率での(DIN 53 765;7.1章;注1を参照)、示差走査熱量測定DDK(英語Dynamic Scanning Calorimetry;DSC)による測定の結果として提示される。試料の規定量は20mgである。