(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】過熱防止非可逆的感温変色成形体およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C09B 67/08 20060101AFI20220531BHJP
H01R 4/70 20060101ALI20220531BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20220531BHJP
C09B 67/20 20060101ALI20220531BHJP
G01K 11/16 20210101ALI20220531BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20220531BHJP
C08L 91/06 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
C09B67/08 A
H01R4/70 F
H01R43/00 Z
C09B67/20 A
G01K11/16
C08K3/013
C08L91/06
(21)【出願番号】P 2020516359
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(86)【国際出願番号】 KR2018005701
(87)【国際公開番号】W WO2018216964
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2019-11-25
(31)【優先権主張番号】10-2017-0064883
(32)【優先日】2017-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2018-0056174
(32)【優先日】2018-05-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519420403
【氏名又は名称】アクチボン カンパニー,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ スー
(72)【発明者】
【氏名】チョ,ヨン キ
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/119161(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/200053(WO,A1)
【文献】特開2014-015546(JP,A)
【文献】特開2015-083641(JP,A)
【文献】特開2015-071734(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102807853(CN,A)
【文献】特開2012-188648(JP,A)
【文献】特開2009-126999(JP,A)
【文献】特開2010-126549(JP,A)
【文献】特開2003-313453(JP,A)
【文献】特開昭63-123438(JP,A)
【文献】特開平06-111863(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09B 11/00,67/08,
67/20,67/46
C09D 11/50
C09K 9/02
H01R 4/70,43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JSTChina/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳化剤として水溶性高分子物質を使用して乳化剤を製造する段階と、
ワックス、ロイコ染料、および変色剤を、共にワックスを溶かして混合させることにより、変色顔料混合物を製造する段階と、
前記乳化剤に変色顔料混合物を投入した後で乳化させることにより、カプセル内部層を形成させる段階と、
前記カプセル内部層に熱硬化性樹脂としてメラミン縮合物を付加し、熱を加えて撹拌しながら、カプセル外部層を形成させる段階と、
70℃以上で4時間以上撹拌しながら反応を維持させ、さらに5~10
重量%の薄い有機酸水溶液を投入して混合するカプセル外部層を硬化させる段階と、
カプセルを常温まで徐々に冷却させ、カプセル同士が互いに固まり合わないように熟成させ、変色顔料を製造する段階と、
前記変色顔料を樹脂と混合し、射出または押出する段階と、
を含む、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な感温変色を示す絶縁保護キャップまたは銅管端子点検タブの製造方法であって、
前記ワックスは、2-(4-フェニルメトキシフェニル)エチルデカノエート、ドデカノフェノン、ナフチルラウレート、およびそれらの任意の組み合わせのうちから選択されることを特徴とする、絶縁保護キャップまたは銅管端子点検タブの製造方法。
【請求項2】
該ロイコ染料は、2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン、3,3-ビス(4-ジメチル-アミノフェニル)-6-デメチルアミノフタリド、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、6’-(ジエチルアミノ)-1’,2’-ベンゾフルオラン、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、2-N,N-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチルオキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン、およびそれらが任意の組み合わせとして構成された群のうちから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記変色剤は、ビスフェノールA、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシ-ジフェニルスルホン、ビス-(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)-スルホン、およびそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちから選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記乳化剤は、水溶性高分子物質であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過熱防止非可逆的変色顔料、それを含む感温変色成形体、およびその製造方法に係り、さらに具体的には、過熱時、変色した後、常温に冷却した後でも、その変色が維持される変色顔料、前記変色顔料を含む感温変色成形体、およびそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配線用圧着端子は、電気製品において、部品および部品、部品および電源、ならびに電線および電線を効果的に連結および接続するために、絶縁電線の先端を適切な長さに脱皮させた後、その先端を圧着加工するのに使用される。そのような圧着端子は、一般的には、絶縁保護キャップに結合され、安全に使用される。
【0003】
ところで、電気製品の特性上、電線の接続部位に過熱が発生し、それによる火災などの危険性があるので、絶縁保護キャップは、電線の接続部位での過熱を感知するようにも製造される。
【0004】
そのような過熱感知絶縁保護キャップは、温度変化により、可逆的に変色する可逆的変色顔料を含み、過熱時、色相変化を介して、過熱を感知する。従来、過熱感知絶縁保護キャップは、70℃以上の温度に過熱されるとき、変色(消色)し、60℃まで冷却されれば、本来の色相に回復する可逆的な特徴を有する。そのような過熱感知絶縁保護キャップは、過熱時、色相が変化することはするが、可逆的変色顔料を含むために、電気遮断により、発熱されて冷却されて常温に戻る場合、再び色相が本来通りに復帰される。ところで、任意の原因により、電線の接続部位に過熱が発生した後、電気を遮断した後、過熱された部位を見つけ、交換および修理を行わなければならないが、前記変色顔料は、60℃において、再び本来の色相に戻るために、電気遮断時、発熱されて常温に冷却されるとき、どの接続部位で過熱が発生するか感知することができないという問題がある。
【0005】
特許文献1は、「ケーブル接続の確認が可能な配線用圧着端子」に係わるものであり、当該特許発明の本来目的は、配線用圧着端子とケーブルとの接続不良防止において、ケーブル接続を確認する確認部材に、軟質の合成樹脂材で構成され、該樹脂に、可逆的変色顔料を適用し、ケーブルの発熱を肉眼で確認するようにした。結果として、確認部材での色相変化を介して、過熱如何を確認することができるが、ケーブル接続如何を確認するためのものであるので、過熱と見ることができない正常な接続の場合にも変色され、実質的に過熱のみを選択的に確認することができない。それだけではなく、前記確認部材には、可逆的変色顔料を適用しているので、接続部分の過熱が発熱された後、常温に冷却されるときには、過熱如何が確認されないという問題がある。
【0006】
特許文献2は、「色相可変型配線用圧着端子の絶縁保護キャップおよびその製造方法」に係わるものであり、配線用圧着端子と電線との接続不良などが発生する場合、発熱される現象を、作業者が、色相変化を介し、容易に感知せしめるものであり、色相変化は、可逆的変色顔料を第1可変部に適用し、第2可変部には、非可逆的変色インクを適用した。しかし、電源の遮断時、可逆的変色顔料は、色相が復帰され、過熱が発生した部位を識別することができないので、装置内部に過熱が発生した後、それを点検するために、非可逆的変色インクを第2可変部を適用した。ところで、前記非可逆的変色インクは、別途の第2可変部に適用するので、射出工程や押出工程に使用することができず、追加して、印刷工程、および他の工程を導入しなければならず、工程コストおよび単価上昇という問題があり、前記非可逆的変色インクは、変色温度が90℃以上であるために、電線の主材料であるPVCの場合、PVCの劣化温度である70~90℃の温度で持続的に過熱が発生した場合には、変色温度に及ばず、過熱されたにもかかわらず、過熱部位を感知することができないという問題点がある。また、変色インク自体が、射出工程または押出工程において適用される熱に脆弱であるので、射出工程および押出工程で加工した後、インクプリンティング工程を別途に導入しなければならないという工程上の問題がある。
【0007】
特許文献3は、「不可逆性感温変色体を付設した電気絶縁成形体およびその製法」に係わるものであり、電気絶縁成形体を形成する樹脂を所望形状に成形した後、成形後の電気絶縁成形体表面に、非可逆性変色インクのような不可逆性感温変色体を接着、印刷または塗布によって付設することを特徴としている。すなわち、非可逆的感温変色体を、成形体中に含めて高温で成形すれば、温度上昇によって変色し、再び使用することができないという問題点を解決するために、成形が完了した成形体に、非可逆性感温変色体を別途に付設したものである。したがって、前記非可逆性変色インクのような不可逆性感温変色体を射出工程や押出工程に使用することができないという特許文献2に関する問題点をそのまま含んでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】韓国登録特許第0855387号公報
【文献】韓国登録特許第1222138号公報
【文献】特開2006-012470号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
一様相は、過熱時に変色するものの、常温に冷却しても、非可逆的な変色顔料を提供するものである。
【0010】
他の様相は、前記変色顔料を含む、加熱時に変色するものの、常温に冷却しても、その変色が維持される非可逆的な感温変色成形体を提供するものである。
【0011】
他の様相は、過熱時に変色するものの、常温に冷却しても、その変色が維持される非可逆的な変色顔料を製造する方法を提供するものである。
【0012】
他の様相は、過熱時に変色するものの、常温に冷却しても、その変色が維持される非可逆的な感温変色成形体を製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
一様相は、ワックス、ロイコ染料、および変色剤を含む変色顔料混合物が乳化剤に乳化されて形成されたカプセル内部層;ならびに前記カプセル内部層の外郭に熱硬化性樹脂が硬化されて形成されたカプセル外部層からなるマイクロカプセル形態であることを特徴とする、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な変色顔料を提供する。
【0014】
他の様相は、乳化剤として水溶性高分子物質を使用して乳化剤を製造する段階;
ワックス、ロイコ染料、および変色剤を、共にワックスを溶かして混合させることにより、変色顔料混合物を製造する段階;
前記乳化剤に変色顔料混合物を投入した後、乳化させることにより、カプセル内部層を形成させる段階;
前記カプセル内部層に熱硬化性樹脂を付加し、熱を加えて撹拌しながら、カプセル外部層を形成させる段階;
70℃以上で4時間以上撹拌しながら反応を維持させ、カプセル外部層を硬化させる段階;ならびに
カプセルを常温まで徐々に冷却させ、カプセル同士互いに固まり合わないように熟成させ、変色顔料を製造する段階を含む、変色顔料を製造する方法を提供する。
【0015】
他の様相は、変色顔料および樹脂を含む混合物を射出または押出して製造された、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な感温変色成形体を提供する。
【0016】
他の様相は、乳化剤として水溶性高分子物質を使用して乳化剤を製造する段階;
ワックス、ロイコ染料、および変色剤を、共にワックスを溶かして混合させることにより、変色顔料混合物を製造する段階;
前記乳化剤に変色顔料混合物を投入した後で乳化させることにより、カプセル内部層を形成させる段階;
前記カプセル内部層に熱硬化性樹脂を付加し、熱を加えて撹拌しながら、カプセル外部層を形成させる段階;
70℃以上で4時間以上撹拌しながら反応を維持させ、カプセル外部層を硬化させる段階;
カプセルを常温まで徐々に冷却させ、カプセル同士が互いに固まり合わないように熟成させ、変色顔料を製造する段階;ならびに
前記変色顔料を樹脂と混合し、射出または押出する段階を含む、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な感温変色成形体を製造する方法を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一具体例による変色顔料は、過熱時に変色されながら、常温で非可逆的であるので、過熱後、常温に冷却されても、過熱部位を確認するための製品に適用することができる。
【0018】
また、一具体例によれば、熱硬化性樹脂を使用して製造された非可逆的な変色顔料が、250~300℃の温度で耐熱性であるので、押出または射出の簡便な方法で、多様な成形体を製造することができるという長所がある。
【0019】
また、一具体例によれば、電線に主に使用されるPVCの劣化温度より低い温度で変色する変色顔料を採択することにより、絶縁保護タブ、銅管端子点検タブのような多様な過熱感知用製品として汎用されるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一具体例によって製造された実施例4a(黄色)、実施例4b(赤色)、および実施例4c(青色)の絶縁保護キャップ、および市販絶縁保護キャップに対し、常温(20℃)、過熱状態(80℃)、および冷却時の絶縁保護キャップを撮影した写真である。
【
図2】本発明の一具体例によって製造された実施例6a(黄色)、実施例6b(赤色)、および実施例6c(青色)の銅管端子点検タブ、および市販銅管端子点検タブに対し、常温(20℃)、過熱状態(80℃)、および冷却時の銅管端子点検タブを撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0022】
本発明で使用される全ての技術用語は、取り立てて定義されない以上、本発明の関連分野において、当業者が一般的に理解するような意味で使用される。また、本明細書には、望ましい方法や試料が記載されるが、それと類似していたり、同等であったりするものも、本発明の範疇に含まれる。本明細書に参考文献として記載される全ての刊行物の内容は、全体が本明細書に参照として統合される。
【0023】
用語「過熱」とは、電線の接続部位に熱が発生し、それによる火災などの危険性が発生可能な状態を意味するものであり、70℃以上を意味する。
【0024】
用語「劣化(deterioration)」とは、材料の物理的性質の永久的な減少を意味する。
用語「常温」とは、平常の温度を意味し、具体的には、20±5℃の範囲を意味する。
【0025】
本発明者らは、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、その変色が維持され、過熱時点だけではなく、常温に冷却された後の時点においても、過熱如何を確認することができ、修理または交換を可能にする過熱感知用製品を開発するために研究した。また、変色顔料が、250~300℃の高温でも耐えることができ、射出または押出の工程で簡便に製作することができる過熱感知用製品を開発するために研究した。
【0026】
その結果、過熱時に変色した後、常温に冷却されても、その変色が維持されるだけではなく、高温でも耐熱性があるマイクロカプセル形態の変色顔料を開発した。前記変色顔料を使用すれば、過熱感知が可能な製品、例えば、絶縁保護キャップ、銅管端子点検タブなどを、射出または押出の工程で簡便に製作することができる。
【0027】
したがって、本発明の一様相は、ワックス、ロイコ染料、および変色剤を含む変色顔料混合物が乳化剤に乳化されて形成されたカプセル内部層;ならびに前記カプセル内部層の外郭に熱硬化性樹脂が硬化されて形成されたカプセル外部層からなるマイクロカプセル形態であることを特徴とする、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な変色顔料を提供する。
【0028】
以下では、前記過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な変色顔料を、「温度感応性非可逆的変色顔料」または「非可逆的感温変色顔料」と略称する。
【0029】
用語「感温変色(thermochromic)」とは、温度によって色が変わることを意味する。
【0030】
従来の絶縁保護キャップのような、過熱感知用製品に一般的に使用される変色顔料は、70℃以上では、変色され、60℃以下では、本来の色相に復帰される可逆的な変色顔料を使用したために、常温に冷却された後には、過熱された製品を感知することができない問題があった。しかし、前記本発明の一様相による、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な変色顔料を使用すれば、いったん過熱された後には、常温に冷却されても、過熱されたものであるか否かということを確認することができ、過熱感知用製品の交換、および過熱部位の修理が可能である。
【0031】
一具体例において、前記変色顔料は、ワックス、ロイコ染料、および変色剤を内部層に含むマイクロカプセル形態を有する。
【0032】
前記マイクロカプセル形態の変色顔料は、マイクロカプセルの内部層において、ワックスの相変化により、溶けて固まる作用を介して、色相が消えていて(透明になっていて)、それが再び現れる現象を介して、温度によって変色される特性を有する顔料である。ワックスの相変化は、マイクロカプセル化された変色顔料の内部でなされる。ワックスの融点以上に温度が上がったとき、マイクロカプセル内部は、溶融され、色相が消え、反対に凝固点下に温度が下がれば、凝固され、色相が再び現れる可逆的変色特性を有する。それは、電子を出す性質がある無色のロイコ染料(leuco dye)と、電子を受ける物質としての変色剤とがワックスの溶融時に作用を止めるか、あるいはワックスの凝固により、再び作用するようになる現象に起因したものである。
【0033】
すなわち、該変色顔料を含むワックスの相変化温度によって変色温度が異なるように現れるが、多様なワックスの変色温度は、下記表1の通りである。
【0034】
【0035】
既存の絶縁保護タブのような過熱感知用製品が採択した変色顔料は、前記表1のワックスと共に過熱されて消色後、ワックスが融点の10℃以内で凝固され、再び色相が戻る可逆的な特性を有しており、発色温度が常温以上であるので、常温への冷却時には、過熱されたか否かということを知ることができない。それに反し、過熱され、マイクロカプセル内部のワックスが溶けて消色された後、ワックスが、融点の10℃以内ではなく、顕著にさらに低い温度、すなわち、常温未満で凝固されるワックスが使用される場合、常温に冷却されても、元の色相に再び戻らない非可逆的な特性を有することができ、いったん過熱されたか否かということが、消色如何を介して確認される。
【0036】
そのような過熱変色性でありながら、常温で非可逆的なマイクロカプセル形態の変色顔料の例が、特開平8-39936号公報に開示されており、ここに記載されたマイクロカプセル形態の変色顔料に使用可能なワックスの変色温度は、下記表2の通りである。
【0037】
【0038】
前記表1でのn-デカノフェノン(n-Decanophenone)の場合、常温以上の温度で変色(消色)された後に、常温未満の温度で発色、すなわち、常温においては、前記変色が非可逆的な特性を示す。したがって、前記本発明の一具体例によるマイクロカプセル形態の変色顔料のワックスとしても使用される。一具体例において、常温以上の温度で変色(消色)された後に、常温未満の温度で発色されて常温では発色されない、温度感応性非可逆的ワックスは、例えば2-(4-フェニルメトキシフェニル)エチルデカノエート(2-(4-phenylmethoxyphenyl)ethyl decanoate)、ドデカノフェノン(dodecanophenone)、ナフチルラウレート(naphtyl laurate)、およびそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちからも選択される。そのようなワックスの使用により、前記マイクロカプセル形態の変色顔料は、過熱時に消色された後、常温(20±5℃)において、本来の色相に戻らない、すなわち、発色温度が非常に低く、常温では非可逆的な挙動を見せる変色顔料を形成することができ、そのような温度感応性非可逆的変色顔料を使用し、過熱感知絶縁保護キャップを製造し、過熱が発生した地点を、常温に冷却された後でも、いつでも確認することができる。
【0039】
一具体例において、前記ワックスは、PVCの劣化温度(約80℃)より低い消色温度を有するワックスでもある。そのようなワックスを採択して製造された温度感応性変色顔料は、過熱時、PVCの劣化前に変色する。したがって、主に、PVCで製造される電線が過熱される場合、劣化による変形前、温度感応性変色顔料が含有された過熱感知用製品が過熱を感知し、過熱された製品を交換することができるという長所がある。
【0040】
前記ロイコ染料は、当該技術分野において、温度感応性変色顔料として製造されると公知された任意の染料が使用され、例えば2-アニリノ-6-ジブチルアミノ-3-メチルフルオラン(2-anilino-6-dibutylamino-3-methylfluoran)、3,3-ビス(4-ジメチル-アミノフェニル)-6-デメチルアミノフタリド(3,3-bis(4-dimethyl-aminophenyl)-6-demethylaminophtalide)、3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド(3-(4-diethylamino-2-ethoxyphenyl)-3-(1-ethyl-2-methylindol-3-yl)-4-azaphthalide)、6’-(ジエチルアミノ)-1’,2’-ベンゾフルオラン(6’-(diethylamino)-1’,2’-benzofluoran)、3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド(3,3-bis(1-n-butyl-2-methylindol-3-yl)phthalide)、1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン(1,3-dimethyl-6-diethylaminofluoran)、2-N,N-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン(2-N,N-Dibenzylamino-6-diethylaminofluran)、N,N-ジメチル-4-[2-[2-(オクチルオキシ)フェニル]-6-フェニル-4-ピリジニル]-ベンゼンアミン(N,N-dimethyl-4-[2-[2-(octyloxy)phenyl]-6-phenyl-4-pyridinyl]-bezenamine)、およびそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0041】
前記変色剤は、当該技術分野で温度感応性変色顔料として製造されると公知された任意の変色剤が使用され、例えば、ビスフェノールA(bisphenol A)、4-ヒドロキシ-4’-イソプロポキシ-ジフェニルスルホン(4-hydroxy-4’-isopropoxy-diphenyl sulfone)、ビス-(3-アリル-4-ヒドロキシフェニル)-スルホン(bis-(3-allyl-4-hydroxyphenyl)-sulfone)、およびそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0042】
前記変色顔料において、ワックス100重量部に対して、ロイコ染料は5~15重量部、変色剤は10~30重量部の範囲でも使用される。
【0043】
まず、ワックス、ロイコ染料、および変色剤を共に溶解させて変色顔料混合物を製造するが、ワックスの融点以上、具体的には、約100℃以上に温度を上げ、ワックスを溶かすことにより、混合物を形成することができる。
【0044】
前記カプセル内部層が含むワックス、ロイコ染料、および変色剤の混合物が乳化された形態は、前記混合物が乳化剤と混合して乳化されることによっても形成され、前記乳化剤は、マイクロカプセル形態の変色顔料の製造にも使用されると公知された任意の乳化剤が使用される。
【0045】
一具体例において、前記乳化剤として、水溶性高分子物質が使用され、さらに具体的には、陰イオン性界面活性剤である水溶性高分子物質が使用される。例えば、前記陰イオン性界面活性剤である水溶性高分子物質は、ポリスチレンスルホン酸(polystylene sulfonic acid)系またはスチレン無水マレイン酸(SMA:styrene maleic anhydride)系を使用することができ、分子量が30万以上であるものを使用する場合、適切な粘度を維持し、カプセル化過程において、安定した乳化力を維持することができる。前記乳化剤は、前記ワックス100重量部に対して、0.5~50重量部の範囲でも使用される。
【0046】
前記マイクロカプセル外部層は、熱硬化性樹脂に形成されることにより、変色顔料の耐熱性および耐溶剤性を確保することができ、それにより、樹脂を利用した射出または押出により、多様な成形体にも製造される。もし前記マイクロカプセル外部層が、熱可塑性樹脂によって形成される場合、熱による変形がはなはだしく、溶剤に対する耐溶剤性が弱いために、熱硬化性樹脂で外部層が形成されることが望ましい。
【0047】
前記熱硬化性樹脂は、当該技術分野に公知された任意の熱硬化性樹脂が使用され、例えば、メラミン、ウレア、フェノール、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ウレタン、エポキシ、PMMA(poly(methyl methacrylate))、PS(polystyrene)、およびそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちからも選択される。
【0048】
前記マイクロカプセル外部層の含有量は、ワックス100重量部対比で、10~70重量部、さらに具体的には、30~50重量部の量で使用することができる。該外部層の含有量が過度に高ければ、変色顔料の色相が曇り、初期重合過程において、マイクロカプセルまで固まり合い現象が現れ、該外部層の含有量が過度に低ければ、マイクロカプセルの耐熱性と耐溶剤性とが落ちるという問題がある。
【0049】
前記マイクロカプセルの変色顔料は、樹脂に加え、成形体製造に利用される前、パウダー化しても使用される。成形体製造のために、射出時および押出時、前記変色顔料を付加する時、前記変色顔料に水が含まれていれば、使用され得ないために、マイクロカプセルの水分を完全に除去し、パウダー化して使用しなければならない。前記パウダー化のために、当該技術分野で許容される任意の方法が使用され、例えば、噴霧乾燥(spray dry)法またはオーブン乾燥法などを利用して水分を除去した後、適切な大きさに粉砕して使用することができる。
【0050】
一具体例において、前記温度感応性非可逆的変色顔料は、
乳化剤として、水溶性高分子物質を使用して乳化剤を製造する段階と、
ワックス、ロイコ染料、および変色剤を、共にワックスを溶かして混合させることにより、変色顔料混合物を製造する段階と、
前記乳化剤および変色顔料混合物を混合して乳化させることにより、カプセル内部層を形成させる段階と、
前記カプセル内部層に熱硬化性樹脂を付加し、熱を加えて撹拌しながら、カプセル外部層を形成させる段階と、
70℃以上で4時間以上撹拌しながら反応を維持させ、カプセル外部層を硬化させる段階と、
カプセルを常温まで徐々に冷却させ、カプセル同士が互いに固まり合わないように熟成させる段階と、を含む方法によっても製造される。
【0051】
前記硬化させる段階は、5~10重量%の薄い有機酸水溶液を投入して混合する段階をさらに含んでもよい。前記有機酸水溶液の処理により、前記カプセルの外部層がさらに堅くなる。前記有機酸としては、前記カプセルの外部を硬化させることができる任意の有機酸が可能であり、例えば、クエン酸、酢酸、酒石酸、およびそれらの任意の組み合わせによって構成された群のうちからも選択されるが、それらに限定されるものではない。
【0052】
本発明の他の様相は、
乳化剤として水溶性高分子物質を使用して乳化剤を製造する段階と、
ワックス、ロイコ染料、および変色剤を、共にワックスを溶かして混合させることにより、変色顔料混合物を製造する段階と、
前記乳化剤に変色顔料混合物を投入した後で乳化させることにより、カプセル内部層を形成させる段階と、
前記カプセル内部層に熱硬化性樹脂を付加し、熱を加えて撹拌しながら、カプセル外部層を形成させる段階と、
70℃以上で4時間以上撹拌しながら反応を維持させ、カプセル外部層を硬化させる段階と、
カプセルを常温まで徐々に冷却させ、カプセル同士互いに固まり合わないように熟成させ、変色顔料を製造する段階と、を含む、前記本発明の一様相による変色顔料を製造する方法を提供する。
【0053】
前記製造方法の詳細は、前記本発明の一様相による変色顔料に係わる説明がそのまま適用される。
【0054】
本発明の他の様相は、前記本発明の一様相による変色顔料および樹脂を含む混合物を射出または押出して製造された、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な感温変色成形体を提供する。
【0055】
前記温度感応性非可逆的変色顔料は、所定の比率で、成形体製造のための樹脂と共に混合した後、成形体製造のための任意の方法によって成形体を製造することができる。
【0056】
一具体例において、前記成形体製造のための方法は、射出または押出による方法でもある。射出の場合、所望の形態の金型を製造した後で射出して製造し、押出は、使用する樹脂(resin)の変形温度より高く温度を維持し、適切な圧力で調節し、所望する成形体を製造する通常の方法で製造することができる。このとき、樹脂対比で、温度感応性非可逆的変色顔料の含有量は、樹脂100重量部に対して、0.1~15重量部を混合して使用することができ、さらに具体的には、1~5重量部の含有量で混合して使用するとき、適切な濃度いおよび色相が得られる。変色顔料の含有量が過度に高ければ、射出時または押出時、成形体が変形されたり、変色顔料が樹脂内に一様に分散しなかったりするという問題点が発生する。
【0057】
前記成形体は、絶縁保護キャップ、銅管端子点検タブ、ワッシャ点検タブ、または任意の過熱可能な製品でもある。したがって、前記過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な感温変色成形体は、過熱感知用製品でもある。
【0058】
本発明の他の様相は、
乳化剤として水溶性高分子物質を使用して乳化剤を製造する段階と、
ワックス、ロイコ染料、および変色剤を、共にワックスを溶かして混合させることにより、変色顔料混合物を製造する段階と、
前記乳化剤に変色顔料混合物を投入した後で乳化させることにより、カプセル内部層を形成させる段階と、
前記カプセル内部層に熱硬化性樹脂を付加し、熱を加えて撹拌しながら、カプセル外部層を形成させる段階と、
70℃以上で4時間以上撹拌しながら反応を維持させ、カプセル外部層を硬化させる段階と、
カプセルを常温まで徐々に冷却させ、カプセル同士が互いに固まり合わないように熟成させ、変色顔料を製造する段階と、
前記変色顔料を樹脂と混合し、射出または押出する段階と、を含む、過熱時に変色するものの、常温に冷却されても、非可逆的な感温変色成形体を製造する方法を提供する。
【0059】
前記製造方法の詳細は、前記本発明の一様相による変色顔料および感温変色成形体に係わる説明がそのまま適用される。
【実施例】
【0060】
以下、本発明について、下記実施例に基づいて詳細に説明する。ただし、下記実施例は、本発明を例示するためのものであるのみ、本発明の範囲は、それらに限定されるものではない。
【0061】
実施例1:乳化液としての水溶性高分子物質の製造
水に、スチレン無水マレイン酸(styrene maleic anhydride)を約4重量%加え、85~90℃の温度に徐々に上げながら、10時間位撹拌して溶解させた。製造後、約40℃でGF/Aフィルタ(ワットマン)を利用して濾過した後、乳化液として使用した。
【0062】
実施例2a:常温で非可逆変色する変色顔料(Blue)の製造
2-(4-フェニルメトキシフェニル)エチルデカノエート 500gに、Blue-63(山本化成株式会社製)25g、ビスフェノールA 50gを混合した後、120℃まで温度を上げて溶解させた後、実施例1で製造した水溶性高分子乳化液 1,000g投入し、約60~70℃、6,000rpmで5分間乳化させた後、含有量40重量%のメラミン縮合物500gを投入し、85℃で4時間反応させた。その後、カプセルをさらに堅くするために、5重量%のクエン酸65gを投入し、4時間さらに反応させた後、常温で撹拌しながら徐々に冷却させ、変色顔料を製造した。
【0063】
実施例2b:常温で非可逆変色する変色顔料(Red)の製造
2-(4-フェニルメトキシフェニル)エチルデカノエート 500gに、Red-8(山本化成株式会社製)25g、ビスフェノールA 50gを混合した後、120℃まで温度を上げて溶解させた後、実施例1で製造した水溶性高分子乳化液を1,000g投入し、約60~70℃、6,000rpmで5分間乳化させた後、含有量40重量%のメラミン縮合物500gを投入し、85℃で4時間反応させた。その後、カプセルをさらに堅くするために、5重量%のクエン酸65gを投入し、4時間さらに反応させた後、常温で撹拌しながら徐々に冷却させ、変色顔料を製造した。
【0064】
実施例2c:常温で非可逆変色する変色顔料(Yellow)の製造
2-(4-フェニルメトキシフェニル)エチルデカノエート 500gに、N,N-ジメチル-4-[2-(2-オクトキシ)フェニル-6-フェニルピリジン-4-イル]アニリン25g、ビスフェノールA 50gを混合した後、120℃まで温度を上げて溶解させた後、実施例1で製造した水溶性高分子乳化液を1,000g投入し、約60~70℃、6,000rpmで5分間乳化させた後、含有量40重量%のメラミン縮合物500gを投入して85℃で4時間反応させた。その後、カプセルをさらに堅くするために、5重量%のクエン酸65gを投入し、4時間さらに反応させた後、常温で撹拌しながら徐々に冷却させ、変色顔料を製造した。
【0065】
実施例3a~3c:変色顔料のパウダー化
前記実施例2a(blue)、2b(red)、または2c(yellow)で製造した変色顔料を、遠心分離機を利用し、4,000rpmで20分間遠心分離させた後、下層だけ取る方法で約10回繰り返し、残った下層液だけ1μmフィルタで濾過し、濾過されない変色顔料だけ取り、70℃オーブンで24時間以上乾燥させた。その後、細かく粉砕し、200メッシュで篩掛けした後、変色顔料パウダーとして使用した。
【0066】
実施例4a~4c:過熱感知絶縁保護キャップの製造(射出)
前記実施例3a(blue)、3b(red)、または3c(yellow)で製造されたパウダー30gを、PVC樹脂(GE90A、Young Polymer Co., Ltd.、(株)永ポリマー)1,000gによく混合した後、絶縁保護キャップ金型に投入し、通常の射出方法で、絶縁保護キャップを製造した後、発色させるために、氷点下20℃で約24時間発色させ、過熱感知絶縁保護キャップを製造した。
【0067】
実施例5a~5c:過熱感知絶縁保護キャップの製造(押出)
実施例3で製造されたパウダー30gを、PVC樹脂(GE90A、Young Polymer Co., Ltd.、(株)永ポリマー)1,000gによく混合した後、絶縁保護キャップ押出機に投入し、通常の押出方法で絶縁保護キャップを製造した後、発色させるために、氷点下20℃で約24時間発色させ、過熱感知絶縁保護キャップを製造した。
【0068】
実施例6a~6c:過熱感知銅管端子点検タブの製造(射出)
前記実施例3a(blue)、3b(red)、または3c(yellow)で製造されたパウダー30gを、PVC樹脂(GE90A、Young Polymer Co., Ltd.、(株)永ポリマー)1,000gによく混合した後、銅管端子点検タブ金型に投入し、通常の射出方法で銅管端子点検タブを製造した後、発色させるために、氷点下20℃で約24時間発色させ、過熱感知銅管端子点検タブを製造した。
【0069】
試験例1:過熱感知絶縁保護キャップおよび銅管端子点検タブの温度による色相変化の観察
前記実施例4a~4cで製造された過熱感知絶縁保護キャップ、および実施例6a~6cで製造された過熱感知銅管端子点検タブを電線と連結させた後、20℃温度の水に入れた後で取り出して色相を確認した。
【0070】
その後、20℃から、約30~60分間で80℃まで加温した後、徐々に常温(20℃)に温度を低くしながら色相変化を観察した。既存絶縁保護キャップ製品(ソウルディッピング、モデル:OSTC-6)および既存銅管端子点検タブ製品(製造社:アイキャップコリア、規格:35-2H-45)も、同じ方法で、温度を80℃まで上げた後、常温(20℃)に冷却して色相を肉眼で確認した。
【0071】
図1は、常温(20℃)、過熱状態(80℃)、および冷却時の絶縁保護キャップを撮影した写真である。
【0072】
図2は、常温(20℃)、過熱状態(80℃)、および冷却時の銅管端子点検タブを撮影した写真である。
【0073】
また、絶縁保護キャップの色相変化が観察される温度、すなわち、消色温度および発色温度を確認して下記表3に示した。
【0074】
【0075】
前記表3と、
図1および
図2の結果によれば、既存の市販品の絶縁保護キャップ製品は、60℃以上で変色が始まり、66℃ほどで変色が完了し、冷却時、60℃で発色がなされ、55℃で本来の色相に完全に回復し、既存の市販品の銅管端子点検タブ製品は、61℃以上で変色が始まり、67℃で変色が完了し、冷却時、60℃で発色がなされ、53℃で本来の色相に完全に回復された。一方、実施例4a~4cの絶縁保護キャップ、および実施例6a~6cの銅管端子点検タブは、65℃以上で変色が完了した後、常温(20℃)まで温度が下がっても、色相が本来の状態に復帰されず、5℃で色相が徐々に示され始め、0℃以下または-10℃で色相が完全に復帰されると確認された。したがって、本発明による絶縁保護キャップおよび銅管端子点検タブは、いったん65℃以上に過熱されると、5℃以下に下がらない限り、過熱された状態を肉眼で確認することができる。そのために、本発明による絶縁保護キャップおよび銅管端子点検タブは、室内が5℃以下に下がらない限り、過熱された状態を肉眼で確認することができ、四季を通じて適用される。
【0076】
以上、本発明について、その望ましい実施例を中心に説明した。本発明が属する技術分野において当業者であるならば、本発明が、本発明の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現されるということを理解することができるであろう。したがって、前記開示された実施例は、限定的な観点ではなく、説明的な観点から考慮されなければならない。本発明の範囲は、前述の説明ではなく、特許請求の範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての差異は、本発明に含まれたものであると解釈されなければならないのである。