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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】複式ポンプ分注システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20220531BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20220531BHJP
   B65D 81/32 20060101ALI20220531BHJP
【FI】
B05B11/00 101G
B65D83/00 K
B65D81/32 U
B05B11/00 101Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020543546
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-03
(86)【国際出願番号】 US2019017295
(87)【国際公開番号】W WO2019160765
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】15/898,575
(32)【優先日】2018-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513161449
【氏名又は名称】イーエルシー マネージメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】特許業務法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】モニャール,ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】クレスカス,ロバート マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ドレイク,ロレーヌ
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン,トーマス エドワード
(72)【発明者】
【氏名】パルド,ジャネット
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特表2000-503947(JP,A)
【文献】特公昭53-030166(JP,B1)
【文献】韓国公開実用新案第20-2013-0006909(KR,U)
【文献】特表2015-517182(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B11/00-11/06
B65D81/32-81/36
83/00
83/08-83/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器(1)であって、
第1のリザーバ(1c)、
首部(1d)、及び、
前記容器の前記首部内の開口(1f)に通じる前記第1のリザーバ内へのアクセス部、を有する、容器(1)と、
前記容器(1)の前記首部(1d)に取り付けられるカラー(60)と、
カートリッジ(10)であって、
前記カラー(60)内へ固定された頂部(10b)、
前記容器(1)の前記首部(1d)を通って挿入され、前記容器の前記第1のリザーバ(1c)内を下方に延びる底部(10a)、及び、
前記カートリッジ(10)の内部を通路(10f)及び第2のリザーバ(10c)に分割する内壁(10e)、を備え、
前記通路が前記カートリッジの両端で開いており、
前記第2のリザーバが前記カートリッジの前記底部(10a)で閉じており、
前記内壁(10e)、前記通路(10f)及び第2のリザーバ(10c)を覆う外周面と、当該外周面の上端及び下端にそれぞれ連なる前記頂部(10b)及び前記底部(10a)とよって画定される筒状体として形成された、カートリッジ(10)と、
前記カートリッジ(10)の前記通路(10f)内に位置する第1の機械式ポンプ分注器(30)であって、
前記第1のリザーバ(1c)まで延びる浸漬管(30a)、及び、
前記カラー(60)を通って突出する上部ステム(30b)を有する、第1の機械式ポンプ分注器(30)と、
前記カートリッジ(10)の前記第2のリザーバ(10c)内に位置する第2の機械式ポンプ分注器(40)であって、
前記カートリッジの前記底部(10a)の方へ延びる浸漬管(40a)、及び、
前記カラー(60)を通って突出する上部ステム(40b)を有する、第2の機械式ポンプ分注器(40)と、
少なくとも一つの出口(70e)へつながる二つの入口ポート(70a、70b)を備えるアクチュエータ(70)であって、各入口ポートが、前記上部ステム(30b、40b)のうちの一方を受けることが可能である、アクチュエータ(70)と、
を備える、複式ポンプ分注システム。
【請求項2】
前記第1のリザーバ(1c)内に位置する第1の流動性製品(90)と、前記第2のリザーバ(10c)内に位置する第2の流動性製品(100)とをさらに備える、請求項1に記載の複式ポンプ分注システム。
【請求項3】
前記アクチュエータ(70)の一押しにより、前記第1及び第2の流動性製品(90、100)が5:1~20:1の容積比で分注される、請求項2に記載の複式ポンプ分注システム。
【請求項4】
前記アクチュエータが、二つの出口を備える、請求項2に記載の複式ポンプ分注システム。
【請求項5】
前記容器(1)及び前記第1の流動性製品(90)を通して、前記カートリッジ(10)の前記外周面が見える、請求項2に記載の複式ポンプ分注システム。
【請求項6】
前記第1の流動性製品(90)が、透明な水性ゲル製品である、請求項5に記載の複式ポンプ分注システム。
【請求項7】
容器アセンブリ(300)及びカートリッジアセンブリ(400)を備えるキット(200)であって、
前記容器アセンブリは、
容器(1)であって、
第1の流動性製品(90)を保持する第1のリザーバ(1c)、
首部(1d)、
前記容器(1)の前記首部(1d)内の開口(1f)に通じる前記第1のリザーバ内へのアクセス部、及び、
前記容器(1)の前記首部(1d)内の前記開口(1f)を封止する非分注クロージャ(110)、を有する、容器(1)を備え、
前記カートリッジアセンブリ(400)は、
前記容器(1)の前記首部(1d)に取り付けることが可能なカラー(60)と、
前記容器(1)の前記首部(1d)の開口(1f)を通って嵌るようなサイズのカートリッジ(10)であって、
前記カラー(60)内へ固定された頂部(10b)、
底部(10a)、及び、
前記カートリッジ(10)の内部を通路(10f)及び第2のリザーバ(10c)に分割する内壁(10e)、を備え、
前記通路が前記カートリッジ(10)の両端で開いており、
前記第2のリザーバが、前記カートリッジの前記底部(10a)で閉じており、第2の流動性製品(100)を保持しており、
前記内壁(10e)、前記通路(10f)及び第2のリザーバ(10c)を覆う外周面と、当該外周面の上端及び下端にそれぞれ連なる前記頂部(10b)及び前記底部(10a)とよって画定される筒状体として形成された、カートリッジ(10)と、
前記カートリッジ(10)の前記通路(10f)内に位置する第1の機械式ポンプ分注器(30)であって、
前記通路(10f)を通って延びる浸漬管(30a)、及び、
前記カラー(60)を通って突出する上部ステム(30b)を有する、第1の機械式ポンプ分注器(30)と、
前記カートリッジ(10)の前記第2のリザーバ(10c)内に位置する第2の機械式ポンプ分注器(40)であって、
前記カートリッジの前記底部(10a)の方へ延びる浸漬管(40a)、及び、
前記カラー(60)を通って突出する上部ステム(40b)を有する、第2の機械式ポンプ分注器(40)と、
少なくとも一つの出口(70e)へつながる二つの入口ポート(70a、70b)を備えるアクチュエータ(70)であって、各入口ポートが、前記上部ステム(30b、40b)のうちの一方を受けることが可能である、アクチュエータ(70)と、
を備える、キット(200)。
【請求項8】
請求項7に記載のキット(200)を使用する方法であって、
容器アセンブリ(300)の容器(1)から非分注クロージャ(110)を取り外すステップと、
カートリッジアセンブリ(400)のカートリッジ(10)の底部(10a)を第1のリザーバ(1c)に挿入するステップと、
首部(1d)のねじ付の口(1e)上へカラー(60)をねじ込むステップと、
第1及び第2の流動性製品(90、100)の両方の所望の量が前記アクチュエータから分注されるまで前記アクチュエータ(70)を押すステップと、
皮膚へ両方の製品を同時に塗布するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複式ポンプ分注システムに関する。
【背景技術】
【0002】
二つの異なる製品を同時に分注する美容及びパーソナルケア用のローション分注器が知られている。これらは概して、二つの製品リザーバを並列配置で使用する。これらは、システムが各リザーバに一つずつ、二つの別個に機能するポンプを使用するか、それとも両方のリザーバから製品を引き込む一つのポンプを使用するかに応じて、さらに区別することができる。第1の場合、皮膚などの塗布面上へ分注されるまで、二つの製品は混合されなくてもよい。このタイプのシステムは、二つの製品が互いに反応するが、使用時まで反応を防止するべきであるときに好ましい。後者の場合、製品はポンプのアキュムレータ内で混合される。使用と使用の間にもアキュムレータ内に常に何らかの製品が存在するため、二つの製品が互いに反応しない場合が好ましい。いずれの場合も、二つのリザーバの並列配置は、製品包装の全体的な外観に悪影響を与える。たとえば、透明のガラス又はプラスチックのリザーバの場合、二つの製品及び二つのポンプ分注器が消費者に見える。これは望ましくない場合がある。また、どちらの製品も見えるため、両方の製品が消費者市場向けに完成した外観を有している必要がある。外観は、有効性にほとんど関係ない品質であるが、完成した外観を実現するとコストが増える。他方では、製品及び複数のポンプ機構が見えないようにリザーバを不透明にすることもできるが、透明なパッケージの高級な外観が好ましい場合、複式ポンプシステムによってデザインの選択肢が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の主目的は、製品が分注システムを出るまで混合しないように、指定の容積比で二つの異なる製品を同時に投与する複式ポンプ分注システムを提供することである。本発明の別の目的は、製品包装の外観を損なわない複式ポンプ分注システムを提供することである。別の目的は、製品包装の外観を向上させるための新しい選択肢を与える複式ポンプ分注システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の複式ポンプ分注システムは、リザーバ配置内にリザーバを有する。各リザーバは、異なる製品を保持しており、別個のポンプ分注器を有する。ポンプ分注器は、それらの機構のほとんどが消費者に見えないように、カートリッジ内に収納される。ポンプは、指定の容積比の各製品を投与するようなサイズであり、製品は、ノズルの出口又は皮膚で初めて混合される。
【0005】
また、非分注クロージャによって封止される第1の流動性製品の第1のリザーバを備えるキットが、本明細書に記載されている。第1のリザーバとは別個に、キットはまた、第2の流動性製品を収容する第2のリザーバを収納するカートリッジを備える。第2のリザーバは、複式ポンプ分注システムに取り付けられており、使用者又は消費者によって第1のリザーバに挿入されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1のリザーバ(1c)を備える容器(1)を示す切欠図。
図2A】第2のリザーバ(10c)を備えるカートリッジ(10)を示す図。
図2B】第2のリザーバ(10c)を備えるカートリッジ(10)を示す図。
図2C】第2のリザーバ(10c)を備えるカートリッジ(10)を示す図。
図3】第1及び第2のポンプ分注器(30、40)並びにアクチュエータ(70)の並列配置の図。
図4】本発明による複式ポンプ分注システムの断面図。
図5A】第2のポンプ分注器(40)のアキュムレータ(40d)と一体成形されたカートリッジ(10)に対するキャップ(50)の斜視図。
図5B】キャップ(50)の断面図。
図6A】容器(1)に取り付けられるカラー(60)の正面断面図。
図6B】カラー(60)の底面図。
図7A】アクチュエータ(70)の斜視図。
図7B】アクチュエータ(70)の底面図。
図8】本発明によるキット(200)の一実施形態の図。
図9】容器(1)及び第1の流動性製品(90)が透明であり、したがって容器内にカートリッジ(10)が見える一実施形態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の実施形態による複式ポンプ分注システムは、容器(1)、カートリッジ(10)、ガスケット(20)、第1の機械式ポンプ分注器(30)、第2の機械式ポンプ分注器(40)、カートリッジキャップ(50)、カラー(60)、アクチュエータ(70)、及びオーバーキャップ(80)を備えることができる。
【0008】
容器
図1を参照すると、容器(1)は、システムのうち、使用者の手で握ることができる部分である。容器は、底部(1a)と、頂部(1b)と、第1の流動性製品(90)を保持するための主な又は第1のリザーバ(1c)とを備える。容器の頂部(1b)は、カラー(60)を取り付けるための手段を有する首部(1d)を備える。たとえば、容器の首部は、ねじ付の口(1e)を有することができる。第1のリザーバ内へのアクセス部は、容器の首部内の開口(1f)に通じる。概して、容器のすべて又は一部分を透明、半透明、又は不透明にすることができる。
【0009】
カートリッジ
本発明による複式ポンプ分注システムは、カートリッジ(10)を備える。図2A図2B、及び図2Cに示すように、カートリッジは基本的に円筒形であるが、これは厳密な要件ではない。カートリッジは、底部(10a)及び頂部(10b)を有する。カートリッジの底部は、容器(1)の首部(1d)を通って挿入され、容器の第1のリザーバ(1c)内に位置する製品(90)内を下方に延びる。カートリッジの頂部はフランジ(10d)を有し、フランジ(10d)は、首部(1d)の頂部によって支持される。液密封止をもたらすために、容器の首部の頂部とカートリッジのフランジとの間にガスケット(20)を配置することができる(図4参照)。
【0010】
カートリッジ(10)は、カートリッジの内部を分割する内壁(10e)をさらに備える。カートリッジの内部分割の一方は、カートリッジの両端で開いた通路(10f)として形成される。カートリッジの頂部に位置する開口を第1の頂部開口(10g)とする。カートリッジの底部に位置する開口(10h)は、第1の流動性製品(90)が通路(10f)に入ることを可能にする。カートリッジの他方の内部分割は、カートリッジの底部(10a)で閉じている第2のリザーバ(10c)として形成され、カートリッジの頂部に位置する開口を第2の頂部開口(10i)とする。第2のリザーバは、第2の流動性製品(100)を保持するためのものである。
【0011】
カートリッジの外面は、任意選択で、ロゴ又は他の装飾要素(10j、図9参照)を備えることができる。この特徴は、後述する本発明の特定の実施形態に特に関連する。
【0012】
二つの機械式ポンプ分注器
本発明による複式ポンプ分注システムは、二つの機械式ポンプ分注器(以下、第1のポンプ(30)及び第2のポンプ(40))を備える。図3及び図4を参照すると、どちらのポンプも、浸漬管(30a、40a)、上部ステム(30b、40b)、逆止弁(30c、40c)、アキュムレータ(30d、40d)、及びばね(30g、40g)、並びにピストン及び下部ステムなど、当業者にはよく知られている構成要素を備える。
【0013】
第1のポンプ(30)は、カートリッジ(10)の通路(10f)の第1の頂部開口(10g)を通って挿入され、したがって第1のポンプのほとんどが通路内に位置する。しかし、第1のポンプの上部ステム(30b)は、カートリッジの頂部(10b)の上に立ち上がり、第1のポンプの浸漬管(30a)の自由端は、カートリッジの底部(10a)から容器(1)の第1のリザーバ(1c)内へ、容器の底部(1a)付近の位置まで延びる。第1のポンプは、ローションポンプ分注器の通常の方法で、浸漬管(30a)を通って第1のリザーバから製品(90)を引き込み、上部ステム(30b)へ通過させる。
【0014】
第2のポンプ(40)は、カートリッジ(10)の第2のリザーバ(10c)の第2の頂部開口(10i)を通って挿入され、したがって第2のポンプのほとんどが第2のリザーバ内に位置する。しかし、第2のポンプの上部ステム(40b)は、カートリッジの頂部(10b)の上に立ち上がり、第2のポンプの浸漬管(40a)の自由端は、カートリッジの底部(10a)の閉じた部分の方へ延びる。第2のポンプは、ローションポンプ分注器の通常の方法で、浸漬管(40a)を通ってカートリッジの第2のリザーバから製品(100)を引き込み、上部ステム(40b)へ通過させる。
【0015】
本発明の商業的に受け入れられる実施形態を開発する際に克服すべき課題の一つは、どのようにしてカートリッジ(10)の直径を小さく抑えながら、それでもなお二つの機能する機械式ポンプ分注器をカートリッジ内へ嵌めることができるかであった。カートリッジの外径は、容器(1)の首部(1d)内の開口(1f)をパーソナルケア分野の製品に典型的なものに近づけるように、可能な限り小さくする必要があった。たとえば、本発明の様々な実施形態では、本発明者らは、24mm未満の容器開口に嵌るように、カートリッジの外径を約23mmに低減させた。
【0016】
カートリッジキャップ
任意選択で、カートリッジ(10)の頂部は、カートリッジキャップ(50、図5A及び図5B参照)に取り付けられる。カートリッジキャップの底部には第1及び第2の垂直壁(50a、50b)が位置し、第1及び第2の垂直壁(50a、50b)の形状は、カートリッジの頂部に位置する対応する第1及び第2の開口(10g又は10i)の形状に整合する。垂直壁は、カートリッジキャップをカートリッジ内で保持するのに十分なきつさで、カートリッジの頂部内の開口にぴったりと嵌る。第1及び第2の開口(50g、50i)はカートリッジキャップを通過し、それぞれ垂直壁(50a、50b)のうちの一つによって取り囲まれる。第1及び第2のポンプ(30、40)のアキュムレータ(30d、40d)は、カートリッジキャップの二つの開口を通過し、これらの開口は、アキュムレータの周りにぴったりと嵌るような形状及びサイズであり、したがって二つのポンプに安定性を提供する。任意選択で、ポンプの一方又は両方のアキュムレータをカートリッジキャップと一体成形することができる。たとえば、図5Bでは、カートリッジキャップ(50)と一体成形された第2のポンプ(40)のアキュムレータ(40d)が示されているのに対して、第1のポンプ(30)のアキュムレータ(30d)は、カートリッジキャップの第1の開口(50g)を通って挿入されることが意図される。
【0017】
カラー
カラー(60)は、図6A及び図6Bに示すように、基部(60c)によって分離された上部周壁(60a)及び下部周壁(60b)から構成される。基部は、カートリッジの第1及び第2の頂部開口(10g、10i)に対応する第1及び第2の開口(60g、60i)を有する。カートリッジ(10)の頂部に位置するフランジ(10d)は、基部(60c)の下面に当たってカラー(60)内へ受けられ、摩擦嵌め、ロックタブ、又はプラスチック構成要素をともに固定するのに好適な何らかの他の方法によって、そこで固定される。基部内の第1及び第2の開口(60g、60i)、カートリッジの第1及び第2の頂部開口(10g、10i)、並びに、存在する場合、カートリッジキャップの第1及び第2の開口(50g、50i)は、二つのポンプ(30、40)の上部ステム(30b、40b)が基部を通って突出することを可能にするように、それぞれ位置合わせされなければならない。第2の機械式ポンプ分注器が第2のリザーバ内に位置し、カートリッジ(10)のフランジ(10d)がカラー(60)内へ固定されたとき、第2の流動性製品は、環境から実質的に封止され、新鮮で安定した状態で維持される。
【0018】
下部周壁(60b)の内面は、容器(1)の首部(1d)のねじ付の口(1e)と相互作用するように設計されたねじ山(60e)を備える。このねじ係合は、カートリッジを二つのポンプとともに容器(1)上へ固定する。カラーが容器の首部へ完全にねじ込まれたとき、第1の流動性製品は、環境から実質的に封止され、新鮮で安定した状態で維持される。
【0019】
アクチュエータ
上述したように、二つのポンプ(30、40)の二つの上部ステム(30b、40b)は、カラー(60)を通って突出する。単一のアクチュエータ(70、図7A及び図7B参照)が、二つの入口ポート(70a、70b)を備える。各ポートが、上部ステムのうちの一つを受けることができる。二つのチャネル(70c、70d)が、入口ポートからアクチュエータの少なくとも一つ(一つ又は二つ)の出口(70e)へつながる。一つの出口しかない場合、二つのチャネルは出口に到達する直前で一つに合流し、二つの流動性製品(90、100)はアクチュエータ内で混合され始める。別法として、二つの出口が存在する場合、各チャネルは一つの出口につながり、二つの流動性製品は、たとえば使用者の皮膚上など、分注デバイスから完全に出るまで、混合されない。アクチュエータに対する装飾要素として、又は触覚要素を提供するために、オーバーシェル(70g)を使用することもできる。
【0020】
オーバーキャップ
カラー(60)の上部周壁(60a)の外面は、オーバーキャップ(80)を摩擦嵌めによって固定するための表面を提供する。オーバーキャップは、アクチュエータ(70)を保護し、より完成した外観をパッケージに与えるために使用することができる。オーバーキャップは、透明、半透明、又は不透明とすることができる。
【0021】
二つの流動性製品
第1の流動性製品(90)は、容器(1)の第1のリザーバ(1c)内に収納される。第2の流動性製品(100)は、カートリッジ(10)の第2のリザーバ(10c)内に収納される。好ましい流動性製品は、たとえば粉末製品を除いて粘性である。好ましい流動性製品は、典型的に、第1及び第2の機械式ポンプ分注器(30、40)によって汲み上げることができるように十分に低い粘性を有するローション又はクリームである。この分注システムでは、アクチュエータ(70)の一押しにより、1用量分の二つの製品(90、100)が、画定された容積比で分注される。パーソナルケア分野では、様々な投与量のローションポンプ分注器が利用可能である。そのようなポンプは、典型的に、1用量当たり約25μL~約500μLの製品を分注する。したがって、分注された製品の完全な反応を確保するために、又は特定の消費者体験若しくは利益を確保するために、ポンプ分注器の適切な設計又は選択によって、1用量分の分注される製品の容積比を、必要に応じて約1:1~約20:1の範囲とすることができる。有用な製品比の例には、1:1~20:1、好ましくは5:1~20:1、又はより好ましくは5:1~15:1、さらにより好ましくは5:1~10:1が含まれる。概して、カートリッジ(10)内に位置する第2のリザーバ(10c)から引き込む第2の機械式ポンプ分注器(40)は、二つのリザーバのうちの小さい方から引き込むため、より小さい投与ポンプである。同様に、第1のポンプ(30)は、大きい方の第1のリザーバ(1c)から引き込むため、より大きい投与ポンプである。任意選択で、第1及び第2のリザーバは、二つのポンプの投与比と同じ比で充填され、したがって両方のリザーバがほぼ同じ時点で空になる。
【0022】
二つの流動性製品(90、100)は、互いに対して不活性であり得るが、本発明の大きな利点は、普通なら互いに反応するはずの二つの製品を分離することができ、使用時まで混合されないことであり、したがって有効性及び鮮度が確保される。
【0023】
本発明の別の大きな利点は、皮膚又は毛髪に対する全体的な利益を提供する1次パーソナルケア製品(90)で第1のリザーバ(1c)を充填し、一つ以上の特有の要望に対処する特有のスキンケア作用を有する2次パーソナルケア製品(100)で第2のリザーバ(10c)を充填することができることである。たとえば、第1のリザーバを人気の皮膚保湿液で充填することができるのに対して、第2の(カートリッジ)リザーバは、しわ若しくはむらのある肌の色合い若しくはむらのある肌のきめに対処する一つ以上の活性成分を有する製品、又は抗刺激性の製品若しくは疲労用の製品等を保持する。別法として、第1のリザーバは、同じ人気の皮膚保湿液で充填することができるのに対して、第2の(カートリッジ)リザーバは、クレンジング、トーニング、ニキビ治療、日光による損傷の防止、日焼け後の治療の提供等のための一つ以上の活性成分を有する製品を保持する。したがって、本発明は、追加の利点のために、消費者が一つの「ヒーロー」製品と多くの他の皮膚のためになる製品とを組み合わせて試すための容易で安価な方法を可能にする。ビジネス的観点からは、販売者が、単一の1次製品を2次製品の数に応じて複数の変種で提示することが可能になる。消費者は、1回の購入だけを必要とするすぐに使用できる組合せの利便性から利益を得る。
【0024】
本発明の複式ポンプ分注器が初めて使用されるときは、二つの機械式ポンプ分注器(30、40)を準備するために、いくつかのストロークが必要とされる。任意選択で、設計により、第2の機械式ポンプ分注器は、第1の機械式ポンプ分注器より多くのストロークを準備に必要とすることができる。これにより、保湿液が第1のリザーバ(1c)に入る前に第2のリザーバ(10c)内の活性成分が自然に分注されないことが確実になる。これは、第2の(カートリッジ)リザーバが、希釈されていない状態で皮膚を刺激し得る一つ以上の成分を濃縮された状態で収容するときに有利である。たとえば、第1の機械式ポンプ分注器(30)は、設計により、準備に1~6のストロークを必要とすることができるのに対して、第2の機械式ポンプ分注器(40)は、準備に6~10のストロークを必要とする。
【0025】
上述したように、第1のリザーバ(1c)及び第2のリザーバ(10c)は、二つの機械式ポンプ分注器(30、40)の投与比と同じ比で充填することができ、したがって両方のリザーバがほぼ同じ時点で空になる。しかし、第2のリザーバが第1のリザーバより先に空になることを確実にすることが有利なときもある。たとえば、第2のリザーバ内の第2の流動性製品(100)が、希釈されていない状態で皮膚を刺激し得る一つ以上の成分を濃縮された状態で含有するとき、第2の流動性製品を第1の流動性製品(90)より先に使い切ることを確実にすることが望ましい。これは、第1のリザーバと第2のリザーバとの充填比が、第1の機械式ポンプ分注器と第2の機械式ポンプ分注器との投与比を超過することを確実にすることによって行うことができる。またこれにより、第2のリザーバの濃縮された製品(100)が、設定された比で第1の製品に常に希釈されることが保証される。
【0026】
キット
本発明はまた、キットとして実施することができる。本発明によるキット(200)のいくつかの実施形態は、容器アセンブリ(300)及びカートリッジアセンブリ(400)を備える。容器アセンブリは、第1の流動性製品(90)の容器(1)を備え、容器は、首部(1d)のねじ付の口(1e)と協働するようなサイズのねじ付のキャップ(110)などの非分注クロージャを備える。協働するねじが完全に係合したとき、キャップは、第1のリザーバ(1c)内の第1の流動性製品へのアクセス部(開口1f)を封止する。第1の流動性製品は、商用環境での販売のために新鮮で安定した状態で維持される。
【0027】
別個に、カートリッジアセンブリ(400)は、上述したように、カラー(60)と、容器(1)の開口(1f)に嵌るようなサイズのカートリッジ(10)と、アクチュエータ(70)を有する二つの機械式ポンプ分注器(30、40)とを備える。第2のリザーバは、第2の流動性製品(100)を保持する。上述したように、第2の機械式ポンプ分注器(40)が第2のリザーバ(10c)内に位置し、カートリッジのフランジ(10d)がカラー(60)内へ固定されたとき、第2の流動性製品は、環境から実質的に封止され、商用環境での販売のために新鮮で安定した状態で維持される。上述したように、アクチュエータ(70)の保護及び完成した外観のために、カラー上へオーバーキャップ(80)を嵌めることができる。
【0028】
消費者は、第1の流動性製品(90)の容器アセンブリ(300)と、第2の流動性製品(100)のカートリッジアセンブリ(400)とを購入する。次いで、一つ以上の第1の流動性製品に整合するような一つ以上の第2の流動性製品の選択肢を消費者に与えることが可能である。購入後、消費者は、非分注クロージャ(110)を容器(1)から取り外して、カートリッジ(10)を第1のリザーバに挿入し、次いで首部(1d)のねじ付の口(1e)上へカラー(60)をねじ込むことが意図される。
【0029】
本明細書に記載するキットを使用する方法は、容器アセンブリ(300)の容器(1)から非分注クロージャ(110)を取り外すステップと、カートリッジアセンブリ(400)のカートリッジ(10)の底部(10a)を第1のリザーバ(1c)に挿入するステップと、首部(1d)のねじ付の口(1e)上へカラー(60)をねじ込むステップと、第1及び第2の流動性製品(90、100)の両方の所望の量がアクチュエータから分注されるまでアクチュエータ(70)を押すステップと、使用者の皮膚へ両方の製品を同時に塗布するステップとを含むことができる。
【0030】
いくつかの任意選択の特徴
図8及び図9を参照すると、カートリッジの外面は、一つ以上の任意の色とすることができ、任意選択でロゴ又は他の装飾要素(10j)を備えることができる。これが有利になる複数の状況がある。たとえば、カートリッジがキットの一部として販売されるとき、カートリッジの外面は見えており、カートリッジの外面に色、図形、及び/又はロゴを提供することで、市場における製品の魅力が向上する。
【0031】
またたとえば、容器(1)のすべて又は一部分が透明であり、リザーバ(1c)が透明な第1の流動性製品(90)を収容するとき、容器及び第1の流動性製品を通してカートリッジ(10)の外面が見える。この状況では、色、図形、及び/又はロゴ(10j)を提供することで、市場における製品の魅力が向上する。この特に好ましい形態は、容器及び第1の流動性製品が非常に高い透明性を有するときである(図9参照)。そのような製品は、たとえば水性ゲル製品とすることができる。パーソナルケア市場では、包装及び製品の高い透明性はほぼいつでも、上流又は高級ファッションの外観を伝える。容器及び第1の流動性製品の透明性は、様々な美的要素を示して視覚的な関心及び魅力をさらに向上させる機会をもたらす。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9