(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-05-30
(45)【発行日】2022-06-07
(54)【発明の名称】焼結ワイヤの現場製造及び供給による付加製造又は修復のための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B23K 26/34 20140101AFI20220531BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20220531BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20220531BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20220531BHJP
【FI】
B23K26/34
B23K26/21 Z
B33Y30/00
B33Y70/00
(21)【出願番号】P 2020551932
(86)(22)【出願日】2018-03-27
(86)【国際出願番号】 US2018024523
(87)【国際公開番号】W WO2019190475
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】599078705
【氏名又は名称】シーメンス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】特許業務法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】ブルバウム,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】オズバイサル,カジム
(72)【発明者】
【氏名】カメル,アフメド
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0252787(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0182558(US,A1)
【文献】特開昭49-119844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/34
B23K 26/21
B33Y 30/00
B33Y 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
焼結ワイヤ
(50)を用いて、レーザ金属堆積によって、超合金部品の
付加製造及び/又は修復のためのシステム
(100)であって、
粉末供給システム
(220、222)と接続された圧力容器
(230)であって、少なくとも2つの粉末を前記圧力容器
(230)の粉末混合領域
(236)まで供給する、前記圧力容器
(230)と、
前記圧力容器
(230)内に設けられた加熱装置
(234)であって、前記粉末混合領域
(236)内で混合された少なくとも2つの異なる粉末の混合物を加熱することによって、液相焼結を生じさせて、前記焼結ワイヤ
(50)を生成するように構成された、前記加熱装置
(234)と、
前記超合金部品の母材
(10)に向けてレーザエネルギーを配向させて、前記母材
(10)上に溶融プールを形成して、前記母材
(10)上に
付加材料の層を形成するために、前記溶融プール内に前記焼結ワイヤ
(50)を堆積させるレーザ処理を行うように作動可能に構成された、レーザエネルギー源
(202)と、
前記圧力容器
(230)から直接的に前記焼結ワイヤを受け取るための溶接ヘッド
(204)と、
を有する、レーザワイヤ溶接システム
(200)と、を含み、
この際、前記圧力容器
(230)から、前記レーザワイヤ溶接システム
(200)まで、前記焼結ワイヤ
(50)を連続的に供給する、システム
(100)。
【請求項2】
前記
付加材料が、前記母材の成分と類似の成分または同一の成分を含む、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項3】
前記少なくとも2つの粉末が、金属母材粉末を含む第1の粉末と、ろう付け合金粉末を含む第2の粉末とを含む、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項4】
前記金属母材粉末が、ニッケル基超合金粉末である、請求項3に記載のシステム
(100)。
【請求項5】
前記混合物が、ろう付け合金粉末(重量%)に対するニッケル基超合金粉末(重量%)の割合を含み、その際、
前記ニッケル基超合金粉末が60~100%(重量%)の範囲内にあり、かつ前記ろう付け合金粉末が0~40%(重量%)の範囲内にある、
請求項4に記載のシステム
(100)。
【請求項6】
前記ニッケル基超合金粉末が、CM247、Rene80、IN738、およびIN792からなる群から選択される、請求項4に記載のシステム
(100)。
【請求項7】
前記ろう付け合金粉末は、AmdryBRB、AmdryDR-4B、Ni-Cr-Ti、Ni-Cr-Zr-Ti、Ni-Ti-Zr、Ni-Cr-Hf-Zr、Ni-Cr-Ti-Hf、およびNi-Cr-Hf-Zr-Tiからなる群から選択される成分を含むことを特徴とする請求項3に記載のシステム
(100)。
【請求項8】
前記システムは、前記
焼結ワイヤ
(50)を前記圧力容器
(230)から受け取り、前記焼結ワイヤ
(50)を前記レーザワイヤ溶接システム
(200)まで連続的に供給するための、少なくとも2つのローラー
(226)をさらに備える、請求項1に記載のシステム
(100)。
【請求項9】
前記レーザワイヤ溶接システムを介して、
付加材料の
堆積層
(15)の上に連続した層を積み上げる、請求項3に記載のシステム
(100)。
【請求項10】
前記堆積層の前記第2の粉末に対する前記第1の粉末の第1の割合が、前記連続した層の前記第2の粉末に対する前記第1の粉末の第2の割合と相違する、請求項9に記載のシステム
(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、材料技術の分野に関する。より具体的には、現場で製造された焼結ワイヤを用いる、付加製造およびレーザ金属堆積プロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
超合金の溶接修復には、それらの合金を最適化するための高い強度(および対応する低い延性)のために、種々な技術的課題が存在する。付加的に製造部品を積み上げたり、損傷した超合金部品を修復するために、レーザやアーク等のような熱源が適用されている。付加的な製造または修復に使用されるプロセスの1種として、レーザ金属堆積(LMD:laser metal deposition)プロセスがある。LMDプロセスは、付加材料の層を形成するために、溶融プール内に堆積される粉末材料を用いるが、これはビルドアップ(積み上げ)層としても知られている。粉末材料を使用するLMDプロセスは、噴霧(スプレー)プロセス中に失われる材料の量のため、効率的ではないという問題があった。例えば、処理のために溶融プール内に流入することに失敗した堆積物のために、効率的ではなかった。さらに、粉末材料の非拘束的性質のために、汚染物質は、しばしば、LMDプロセス中に粉末材料と共に堆積されることがあった。したがって、少なくともLMDプロセス中の材料の損失を減らして、従来の粉末堆積に関する汚染物質の低減または排除のために、より効率的なLMDプロセスが求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
簡潔に説明すると、本開示内容は、焼結ワイヤを用いたレーザ金属堆積による超合金部品の付加製造および/または修復のためのシステム、ならびに超合金部品の付加製造および/または修復のための方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、第1の態様では、焼結ワイヤを用いるレーザ金属堆積によって、超合金(超耐熱合金)部品の付加製造および/または修復のためのシステムを提供する。このシステムは、粉末供給システムと接続された圧力容器を含むが、これは、少なくとも2つの粉末を圧力容器の粉末混合領域まで送るように構成される。少なくとも2つの粉末は、圧力容器内の回転型円錐形状部によって混合される。混合後、圧力容器内に設けられた加熱装置によって混合物を加熱する結果、液相焼結を生じさせて、焼結ワイヤを生成すせる。焼結ワイヤは、レーザワイヤ溶接システムまで連続的に供給されて、母材上に付加材料の層を堆積させる。
【0005】
第2の態様では、超合金部品の付加製造および/または修復のための方法を提供する。この方法は、加熱プロセスによって、圧力容器内で少なくとも2つの異なる粉末を焼結させるステップを含み、それによって焼結ワイヤを生成させる。焼結ワイヤは、レーザワイヤ溶接システムの溶接ヘッドまで連続的に現場供給される。レーザ金属堆積システムは、レーザワイヤ溶接システムからのレーザビームを、超合金部品の母材の方へと配向させるが、そこでは、超合金部品の母材上に溶融プールを形成し、その中に、焼結ワイヤを堆積させて、母材上に付加材料の層を形成する。
【0006】
第3の態様では、レーザワイヤ溶接システムまで焼結ワイヤを現場供給するための焼結ワイヤの製造方法を提供する。焼結ワイヤの製造のため、少なくとも2つの粉末を圧力容器の粉末混合領域まで供給し、そこで少なくとも2つの粉末が粉末混合領域で混合される。次いで、この混合物を加熱装置によって加熱して、液相焼結を生じさせて、焼結ワイヤを生成する。次いで、レーザ金属堆積プロセスによって、レーザ溶接ヘッドの場所まで焼結ワイヤを連続的に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、レーザ金属堆積によって、超合金部品の
付加製造及び/又は修復のためのシステムの概略図を示す。
【
図2】
図2は、焼結ワイヤを製造して、レーザワイヤ溶接システムまで現場供給する方法のブロック図を示す。
【
図3】
図3は、本開示内容に従う、
付加製造および/または修復のプロセスのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態、原理、および特徴について、理解を容易にするため、例示的な実施形態での実装を参照しながら説明する。ただし、本開示の実施形態は、後述するシステムまたは方法での使用に限定されない。
【0009】
後述する、様々な実施形態を構成する構成要素および材料は、例示的なものであって、限定的なものではないものとする。また、本明細書に記載の材料と同じ機能または同様の機能を有する多くの適当な構成要素および材料が、本開示の実施形態の範囲内に包含されるものとする。
【0010】
まず、図面を参照するが、これら図面は、本発明主題の実施形態の例として示されており、本発明を限定するものではない。
図1は、レーザワイヤ溶接システム200の場所(現場)まで焼結ワイヤ50を供給するように、焼結ワイヤ50を製造するためのシステム100を例示している。
【0011】
システム100は、1つまたは複数の粉末供給システム220、222と機能的に接続された圧力容器230を含むことができる。粉末供給システム220、222は、少なくとも2つの粉末を、圧力容器230に供給するように構成されている。
図1に示す実施形態では、2つの粉末供給システム220、222が示されている。しかしながら、当業者であれば、より多くの粉末供給システムをこのシステムに追加できることを理解するであろう。圧力容器230の粉末混合領域236まで、(1つまたは複数の)粉末を供給することができる。粉末混合領域236は、回転型円錐形状部(回転型コーン)232を有する容器238を含むことができる。粉末混合領域236内では、回転型円錐形状部232を用いて、粉末を混合することによって、粉末の混合物を形成することができる。
【0012】
粉末供給システム220、222は、それぞれ、対応する供給ライン224を介して、圧力容器230の粉末混合領域236まで供給されるように粉末を含むことができる。粉末は、金属母材(ベース金属)粉末を含む第1の粉末と、ろう付け(鑞接)合金粉末を含む第2の粉末とを含むことができる。金属母材粉末は、レーザ溶接の対象の部品10の母材の成分に相当し得る。一実施形態では、金属母材粉末は、ニッケル基(ニッケルベース)超合金粉末を含む。ろう付け合金粉末は、金属母材粉末と比べてより低い溶融温度を有する、ろう付け材料を含み得る。
【0013】
一実施形態では、粉末の混合物の割合は、重量%(wt.%)で、0~40%の範囲内のろう付け合金粉末に対して、重量%(wt.%)で、60~100%の範囲内の金属母材粉末の割合を含むことができる。一実施形態によると、ろう付け合金粉末は、AmdryBRBまたはAmdryDF-4B等のようなニッケルまたはコバルトに基づく超合金に使用される、ろう付け合金粉末を含み得る。ろう付け合金粉末は、次の合金、即ち、Ni-Cr-Ti、Ni-Cr-Zr-Ti、Ni-Ti-Zr、Ni-Cr-Hf-Zr、Ni-Cr-Ti-Hf、およびNi-Cr-Hf-Zr-Tiからなる群から選択される粉末成分を含み得る。
【0014】
圧力容器230は、焼結プロセスを実行するため、
図1に示すように、圧力容器230内に設けられた加熱装置234を含み得る。加熱装置234は、誘導加熱(インダクション・ヒーティング)システム、炉、または誘導加熱システムと炉の両方の組み合わせを含むことができる。加熱装置234は、ろう付け合金粉末の溶融温度、例えば、l000℃~l250℃の範囲内の温度まで、またはそれ以上に熱を生成するように動作可能である。選択されたろう付け合金粉末および金属母材粉末の溶融温度に基づいて、上述の範囲と比べてより低い温度またはより高い温度を生成可能な加熱装置を使用できることを理解されたい。
【0015】
一実施形態では、加熱装置234は、ろう付け合金粉末が溶融し始める温度まで混合物を加熱する。加熱システムの加熱温度は、ろう付け合金粉末のみが溶融するように、金属母材粉末の溶融温度よりも低くすることができることに留意されたい。溶融が開始すると、ろう付け合金粉末は残りの金属母材粉末と接触して、粉末を濡らすことにより、残りの粉末の全てが、溶融したろう付け材料のために、共に焼結する。このため、液相焼結が生じる。一実施形態では、焼結材料は、圧力容器230内で焼結ワイヤ50へと形成することができる。その後、圧力容器230の外側に配置された複数のローラー226を介して、レーザワイヤ溶接システム200内まで焼結ワイヤ50を連続的に供給することができる。
【0016】
システム100は、従来のレーザワイヤ溶接システム200を含むことができ、それによって、レーザエネルギー源202を介して、レーザエネルギーを、溶接対象の部品10の母材に適用して、レーザエネルギーに起因する母材の溶融プール(肉だまり)内に焼結ワイヤ50を堆積(付着)させる。それによって、所望の部品10を製造または修復するための付加材料の層を形成することができる。一実施形態では、部品10は、ガスタービン・ブレード又はベーン等のようなニッケル基超合金部品でもよい。レーザエネルギー源202は、溶融プールを形成するために母材の一部を溶融させるため、母材に向かってレーザエネルギーを配向または放出する動作が可能なように構成できる。
【0017】
一実施形態では、レーザワイヤ溶接システム200は、圧力容器230から高温の焼結ワイヤ50を直接的に受け入れるための溶接ヘッド204を含む。圧力容器230は、レーザワイヤ溶接システム200の溶接ヘッド204まで焼結ワイヤ50を連続的に現場供給可能なように、少なくとも2つの粉末を連続的に加熱して、焼結ワイヤを生じさせてもよい。一実施形態では、溶接ヘッド204は、レーザエネルギー源202と機能的に接続することができる。
【0018】
堆積されると、レーザエネルギーは、付加された/積み上げられた材料を処理/溶融し、その材料は、その後固形化して、所望の部品またはコンポーネントを形成するために付加材料の層15を形成する。所望の部品またはコンポーネントを形成するために、レーザ金属堆積プロセスによって、堆積層の上部に連続した層を積み上げてもよい。一実施形態では、金属粉末をろう付けするための金属母材粉末の割合は、層ごとに変えることができ、すなわち、第1の層内で金属粉末をろう付けするための金属母材粉末の割合は、それに続く層のものと異なっていてもよい。このようにして、例えば、金属母材粉末に対してろう付け金属粉末の割合がより高い材料を用いて、亀裂(クラック)を充填してもよく、より高い層は、ろう付け金属粉末に対して金属母材粉末の割合がより高くてもよく、例えば、タービン・ブレードなどの部品用の材料において、より高い強度が必要とされる場合等がある。一実施形態では、例えば、亀裂を充填するために用いられる付加材料は、80重量%の金属母材粉末と20重量%のろう付け合金粉末の割合を有していてもよく、その際、より高い層の付加材料は、90重量%の金属母材粉末と10重量%のろう付け合金粉末の割合を有していてもよい。
【0019】
引き続き
図1を参照しながら、
図2を参照すると、レーザワイヤ溶接システム200まで焼結ワイヤを現場供給するための、焼結ワイヤの製造プロセス300の実施形態が示されている。焼結ワイヤを製造するためのシステム構成については、上述の通りである。システム構成要素の組み立てには、異なる粉末合金をそれぞれ含む、少なくとも2つの粉末供給システム220、222の提供を含み得る。粉末合金は、それぞれ、対応する粉末供給システム220、222から、供給ライン224を介して、圧力容器230内の容器238の混合領域236まで供給される(ステップ310)。容器238内では、回転型円錐形状部232を用いて、混合が行われる(ステップ320)。次に、少なくとも2つの粉末の混合物は、圧力容器230内の加熱装置234まで供給される。
【0020】
圧力容器230内には加熱装置234が設けられていて、それにより混合物に対して焼結プロセスを実行する(ステップ330)。焼結プロセス330では、混合物は、ろう付け合金粉末の融点まで、またはそれよりも少し上の高い温度まで加熱される。加熱中、ろう付け材料は溶融する一方、金属母材粉末は溶融しないため、液相焼結が生じて、焼結ワイヤ50が生成される。この時点で、焼結ワイヤ50は依然として高温であり、例えば400~l000℃であるが、ワイヤ50は、レーザ金属堆積プロセスのために、溶接ヘッド204まで連続的に現場供給され得る(ステップ340)。あるいは、焼結ワイヤ50は、レーザ金属堆積のために、より低い温度で溶接ヘッド204に供給されてもよい。
【0021】
次に、
図3を参照すると、超合金成分を
付加的に製造または修復するための方法400の実施形態が示されている。この実施形態では、超合金部品10の母材または基材が、修復および/または
付加製造プロセスのために、溶接場所に提供される。その場所では、上述したように、少なくとも2つの異なる粉末が、焼結ワイヤ50を形成する場所で、加熱装置234によって焼結されてもよい(ステップ410)。「高温の」焼結ワイヤ50は、レーザワイヤ溶接システム200の溶接ヘッド204まで連続的に供給されてもよい(ステップ420)。一実施形態では、焼結ワイヤ50は、溶接場所での製造の直後に、
付加的な製造プロセスまたは修復プロセス中に利用される。
【0022】
部品10が修復される実施形態では、本方法は、部品10を工業機械から取り外すステップと、溶接プロセスのために部品10を準備するステップを含むことができ、例えば、部品の損傷部分を掘り出すステップを含むことができることを理解されたい。
【0023】
付加製造プロセス又は修復プロセス400では、レーザ金属堆積システム200からのレーザビーム202を、超合金部品10の母材の方へ配向させることを含み得る(ステップ430)。レーザエネルギーによって、部品10の母材上に溶融プールが生成される。このステップでは、溶接ヘッド204によって搬送される焼結ワイヤ50の端部を、母材の溶融プール内に位置決めすることができる。焼結ワイヤ50の端部がレーザビーム202と接触すると、ろう付け合金材料が溶融する結果、溶融したろう付け材料が溶融プール内に流入して、冷却すると、固形化して、母材10上に追加層15を形成する。
【0024】
部品10の長さに沿って層15を形成するように、レーザ金属堆積システム200に対して部品を移動することができ、その結果、必要に応じて、付加材料の層を基板上に配置することができる。所望の部品の形状または幾何学的性質が得られるまで、レーザ処理および堆積ステップを繰り返して、層15上に連続的に層を形成してもよいことを理解されたい。一実施形態では、本方法を利用して、部品の構造的修復を行うため、例えば、毛管力を利用して、亀裂内に溶融ろう付けを流入させてもよい。
【0025】
レーザ金属堆積によって、超合金部品の付加製造および/または修復のための本開示のシステムでは、追加層が堆積される間、溶接場所にて連続的に製造される高温の焼結ワイヤを用いて、追加層を母材上に積み上げることを可能にする。このため、高温の焼結ワイヤは、その製造後に直接的に溶接される。このようにして、焼結ワイヤは、脆性材料から製造されて、加熱状態でのワイヤのより延性のある材料特性のために、直接的に溶接されてもよい。加えて、レーザ金属堆積プロセスを用いる本開示の焼結ワイヤの使用では、超合金材料の構造的な修復のための粉末粒子及び合金にありがちな汚染を減らすことができるが、それは、一旦処理された焼結ワイヤが、基礎を成す成分の母材と同一又はほぼ同一(類似)の化学成分を提供するためである。
【0026】
以上、本開示の実施形態について、例示的な実施形態を用いて説明したが、特許請求の範囲に記載されているように、本発明およびその均等物の技術思想および範囲から逸脱することなく、様々な修正、追加、および削除を行うことができることは、当業者には明らかであろう。
【符号の説明】
【0027】
10 部品(コンポーネント)
15 付加材料の層
50 焼結ワイヤ
100 システム
200 レーザワイヤ溶接システム
202 レーザエネルギー源
204 溶接ヘッド
220 粉末供給システム
222 粉末供給システム
224 供給ライン
226 ローラー
230 圧力容器
232 円錐形状部(コーン)
234 加熱装置
236 粉末混合領域
238 容器